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小説(転載) もう一人の……

近親相姦小説
05 /20 2018
掲載サイトは消滅。いろいろ仕掛けがあってついつい読み進んでしまう作品だ。
「・・やだ・・お兄ちゃん・・あんまり見つめないでよ」
 千夏が頬を染めながらかなり大きめな乳房を両手で隠そうとした。そのシャツとブ
ラジャーを取った恵一はやんわりと千夏の両肩を掴み、そのまま身体を引き寄せる。
次の千夏の抗議の声は恵一の唇でほとんど塞がれた。少年が少女の口を貪る音だけが
応接間に響く。
「・・キスもだいぶ上手くなったんじゃない?千夏」
 ようやく唇を離した恵一はことさらに余裕をみせるように囁いた。キスの余韻でと
ろんとなっている千夏が反応するまで、ややかかる。
「上手くなったって・・そんな・・あ、お兄ちゃん!」
 千夏が恥らっている隙に恵一は千夏の両手をそっとずらし、その下から現れたピン
クの乳首を素早く唇にふくんだ。こりっ!とした感触が舌にくると同時に、千夏の口
から押さえきれないあえぎが漏れる。
 最近の中学二年生としては小柄な千夏だが、ここだけは――胸の二つの塊だけはた
いていの大人の女以上であった。その谷間には恵一の顔も肉棒も隠れてしまうくらい
だ。その上、ピンクの乳首を中心としてその全部の感度も最高に良好ときている。
「ほんと大っきいね。秀美どころかお母さんより大きいんじゃないか?」
「もう!」
 千夏が恥ずかしそうに――しかしやや誇らしげに笑った。確かに十四才とは思えぬ
巨乳である。恵一の掌だけでは揉み尽くせないほどだ。その分、やっぱりパイずり向
きであって…
 悪戯めいた微笑を浮かべて千夏は身体を下げる。そのまま恵一のパンツを剥ぎ取
り、その中から弾け出た赤い肉棒を手馴れた仕草で胸の谷間の奥深くに挟み込んだ。
恵一が止める暇もない。いや、止めるどころかお気に入りの…
「う…んん――飲み込まれるみたい…いや食べられてしまうみたいな…」
「いいのよ。お兄ちゃん。このまま、出して――全部飲んであげるからぁ…」
 恵一の決して小さくはない肉棒は完全に千夏の二つの塊に飲みこまれている。わず
かに先端だけが顔を覗かせていたが、それを千夏の赤い舌がアイスキャンディーのよ
うに嬉しそうに――そしてまったりとなめあげていた。
 とても中学生とは思えない粘りつく愛撫に恵一は声もまともに出ず、ただただあえ
ぐだけである。そして、肉棒を包み込む熱い感触にひたる恵一以上に千夏の目元もと
ろんとしてきた。
「あ……」
 恵一の細い声と同時に白く熱いミルクが飛んだ。ちょうど半分口を離していた千夏
の顔と胸一杯にピチャッ!と熱いものが飛び散る。急いで少女は口を当てたが、半分
も受け止めることはできなかった。
「あー―ン。もったいない!」
 そう言いながら千夏は指と舌を動かしてその熱い男のミルクを全部口に入れようと
する。なんともエロチックな光景であった。恵一がうっとりとそれに見とれてしま
う。
「なに、幸せそうにしてるのよ!お兄ちゃん!出す時はちゃんと言ってくれる約束で
しょう!」
「ごめん。だって千夏のおっぱいと口があまりにも気持ちが良かったのだから」
「ぷーー!」
 可愛くふくれながらも千夏はミルクをふき取り、その全部を赤い舌で舐め取った。
それも実においしそうに――恵一としては嬉しさと誇らしさを感じる反面、スイッチ
を入れられた様に何かが盛り上ってくる淫靡な光景で――
「え?キャアッ!」
 恵一は力まかせに千夏の身体を抱きしめるとそのままベットに押し倒した。キャア
キャア叫ぶ――悦ぶ――千夏の声を無視して乱暴にスカートと下着を剥ぎ取る。恵一
の下で中学生の薄い陰毛と白い下腹部が恵一の目の前に剥き出しになった。
「え?あ、ちょっと!いきなりそれは…恥ずかしい――ヒイッ!」
 千夏の抗議をものともせずに恵一はその剥き出しの中心に――股間に顔を突っ込ん
だ。頬に陰毛がさわりと触れ、舌が真っ赤な秘肉に突き刺さる。指だって黙ってはい
ない。千夏の声はすぐに悲鳴まじりのあえぎに変った。
「い、いや…そんな…クリちゃんをそんなに…ヒッ!指を中でぐりぐりしない
でぇぇぇぇっ…もう、すぐいっちゃうぅぅぅ…」
 クリトリスを中心に舐め上げ、丁寧に人差し指を秘肉に肉襞に刺しこむ。恵一しか
知らない肉壺はすでに濡れ濡れであった。初体験してから三ヶ月――千夏の弱点は十
分学習済みであり、その恵一の執拗な愛撫に、千夏の秘所からは垂れ流すかのように
愛液が流れ出ている。このままなら、もう少しで―――
「だめっえぇぇ!お兄ちゃんも一緒じゃなきゃあぁ!」
 恵一の愛撫に感じながらも思いっきり千夏は身体をよじった。指と舌だけでいかさ
れるのが我慢できないのであろう。このまま、いやいやさせながら絶頂にいかせるの
も面白いのだろうが、その千夏の痴態に、すでに恵一の下半身も限界であった。
「じゃあ、ご褒美あげる」
 恵一は身体を上げ、千夏の上にかぶさった。さっき存分にミルクを吐き出したのが
嘘のように硬くなった肉棒が千夏の下腹部にあたる。千夏はそれを夢中で掴み、その
熱さに熱狂しながらも自分の――中学生の秘所にあてがった。
「よしよし、良い子良い子――そら!」
 恵一が腰を突き出す。その肉棒は滑るように軽やかに千夏の肉壺に突き刺さった。
同時に千夏の口から二オクターブも高い悲鳴が漏れる。それが合図のように恵一の腰
が乱暴に動き始めた。
「い、いやっ。お兄ちゃん…奥まであたるぅぅ…ぜ、全部入れてぇぇ――全部かきま
わしてぇぇっ…」
 経験もまだ浅い恵一の動きは決して上手い方ではない。だが、千夏には自分の中で
暴れているのが恵一であるということだけで十分であった。目が眩むような快感に痺
れながらも下から両手で恵一にしがみつく。まだ着ている恵一のTシャツが邪魔らし
く、無意識のうちに引き破りそうであった。
「そ、そんなにあそこに力を入れるなよ。もう出ちゃいそうじゃないか」
「いいの…出して。一緒にいくからぁ」
 あまりの千夏の乱れっぷりに少しインターバルをおこうとした恵一を千夏は許さな
かった。
「出してよぉ――千夏の中へ…。に、妊娠したって構わない。お兄ちゃんの子供なら
産むからさぁ…いや、お兄ちゃんの子供が欲しい…」
 快感に朦朧としながらの千夏の囁きに恵一はすぐにも限界に来た。淫らさに嬉しさ
――そして肉棒から頭のてっぺんまでの快感の電撃に、ついに我慢が切れてしまう
――爆発は盛大であった。
「あ……お兄ちゃんのが入ってくる…」
 中学生の肉壺に高校生のミルクが流しこまれる事実を、ドクドクと言う感触によっ
て二人は身体で感じ続けた。


 たっぷりと互いの身体と淫らさを堪能しての休憩の後、恵一は千夏の頭を優しく抱
きながら囁いた。
「まだ、伯父さんには絶対内緒だよ」
「うん」
 千夏は恵一にはあくまで従順なのである。それこそ実の妹以上に――
「お父さん、あたしがお兄ちゃんとSEXしているなんて言ったら、ただですませてく
れるわけないもんね。従兄弟でもなんでも、とにかく異性問題にはうるさいんだか
ら」
 日常、“お兄ちゃん”と呼んではいるが、実は恵一と千夏は兄妹ではない――従兄
妹同士なのである。千夏の父の秀行と恵一の母の恵美子が兄妹なのだ。
 恵一の実の父は家族を省みない極めつけの放蕩者だったので、母の兄である秀行伯
父がこまめに恵一達一家の面倒を見てくれていた。恵一の家が破産しなかったのも、
父親が残した膨大な借金や愛人達や隠し子等の後始末も、そして母子家庭になってか
らの家族の十分な生活も――全て伯父秀行のおかげなのである。恵一ら家族は――双
子の妹の秀美も含めて――この伯父だけには頭が上がらない。――と言うより上げて
はいけない関係なのであった。
 そして千夏はその伯父の一人娘である。家が近く、また伯父が甥姪達の面倒も見な
くてはならないという状況から――また、千夏の母が早くに亡くなってしまい、叔母
が姪の面倒も見なくてはならないと言う事情もあって――子供達は本当の三人兄妹の
様に育ったものである。だから恵一の実妹の秀美は恵一を“兄貴”と呼び捨てにする
のに対し、従妹の千夏は昔からごく自然に“お兄ちゃん”と呼んでいたのであった。
 そんな二人がこう言う関係になってしまったのは三ヶ月前の初夏の事である。恵一
も千夏も、まあそれなりに恥ずかしい――男はまだ高校生で、それ以上に女は一昨年
には小学生だったのだから――ものではあったが、そこはそれとして二人は幸せで
あった。環境のせいかもしれないが、それこそ“家族”のように仲むつまじい二人
だったからである。たとえこのまま結婚すると言ってもどこにも違和感はなかったで
あろう。


 時計の針が二時を示していることに気がついた恵一は、慌てて服を着ると共になご
りを惜しんでごねる千夏を強引に送り出した。こんなシーンを家族に見つけられたら
大変なことになる。母や妹も怖いが、万が一にでも秀行伯父にでもばれでもしたら…
危機感の薄い千夏はふくれたが、どうせこっちは夜の電話一本でどうとでもなるんだ
し。
 とろけるような時間から追い出されて、ぶうたれた千夏がマンションから帰ってか
ら正確に二十分後、予定通りというかなんというか――母の恵美子と双子の妹の秀美
が池袋の買い物から帰ってきた。
「ただいま!」
 ショートな髪の妹の秀美は従妹の千夏とは違い、背も高く全体的にすらりとしてい
る。亡くなった祖父母らは母親の子供の頃とそっくりと言っていたが、恵一には子供
の目から見てもしっとりとして女らしい恵美子とは明らかに異質に見えた。
(これがほんとにあんなに女っぽくなるのかなあ。やっぱ、千夏のほうが将来を期待
できそうだけど――三才下にも関わらず、胸もすでに越えているし)
「?何を見てんのよ!兄貴。また、何かの悪口でしょう!」
「いやそんな・・」
「いーーや!兄貴がそんな顔をしている時は何か口に出せないこと考えてんのよ!白
状しなさい!」
 妹の鋭い追及に、考えはともかく、確かに口に出せない事をしたばかりの恵一はほ
うほうのていで自室へ逃げ出した。元気でうるさい妹である秀美がその後姿に何事か
怒鳴る。まあ、いつもの仲の良い光景であった。
 この時、普通なら一緒になって騒ぐはずの母の恵美子が、意味ありげな無言でそん
な二人を見つめていたことに子供達は気がつかなかった。


 恵美子が子供達を応接間に呼んだのは夕食の後片付けとみんなの入浴が終わってか
らのことである。恵一と秀美は滅多に見ない母の難しい顔とその前に置かれたラジカ
セにさすがに違和感をおぼえたのだった。
「二人ともそこに座りなさい」
(わ……)
 母の硬い声に子供達は首をすくめながら急いでソファに座る。いつもは明るい母だ
が、そのぶん怒ったらとても怖いのだ。
(あたしは何もしていないからね!)
 秀美がソファの隣の至近距離で睨む。大丈夫だと自分に言い聞かせながらも、一抹
の「まさか」――と言う思い当たることのある(しかも、ついさっき)恵一は背筋を
やや涼しくしていた。
「今日はあなた達に重大なことを言わなければならないの。面倒な追求は嫌だから単
刀直入に言うわ――まず、これを聞いて」
 恵美子の指がカセットのボタンを押した。一拍置いて“声”が流れる。数秒後、秀
美が“?”となり、恵一の血の気が引いた。
「何よ、この甘ったるしい悲鳴は?ひょっとして――従妹の千夏?」
「これを聞いてわからないなんて…秀美はまともなのね。お母さんはうれしいわ」
 わざとらしく恵美子がまなじりを押さえる。二人の子供達は同時に“やばい!”と
感じた。こう言う変にふざけている時こそが母の本気の時なのだ。
「秀美にだけ教えてあげるわ。これはあなた達の従妹の千夏ちゃんがSEXしている時
の声よ。今日、隠しマイクで録音していたの」
 秀美はすぐには母の言っている意味がわからなかった。その隣の恵一はもちろん母
が言う前から意味を理解し、蒼白になっている。それには気がつかなかった秀美が数
秒後に悲鳴を上げた。
「えーーーー!千夏が!だって、あの子、まだ中学生になったばかりじゃん!そ、そ
れがせ、SEXなんて…どう言うことよ!」
 わめき続ける秀美をひとまず置いといて、恵美子は息子に――今や石と化している
――向き直った。その視線が恵一にはとてつもなく痛い。全ては、ばれていたのだ。
「恵一。わかっているでしょうね」
 母の声は息子には絶対零度に聞こえた。顔が引きつるのと秀美が驚愕の目をむける
のがほぼ同時である。舌が咄嗟には動かない恵一のかわりにまず秀美が絶叫した。
「ま、まさか、兄貴なの!この千夏とセ・・しているのは!」
 声と同時に兄の頬が妹に殴られ、にぶい音をたてた。かなり痛かったが、ここで文
句を言えた義理ではなかろう。何より嘘の言い訳も出来ないほどにずばりと真実を指
摘された恵一は石になったままである。秀美の目はそんなことでは許さないまでに燃
え上がっていた。
「なに考えてんのよ!千夏を――従妹で、まだ子供の千夏になんてことをするのよ!
この馬鹿兄貴!」
 恵美子が向き直った。手だけが動いてラジカセのスイッチを切る。今回の事をうす
うす感づいていた母は盗聴機を息子の部屋にセットし録音するようにしてから、わざ
と娘と家を留守にしたのである。
「恵一。あなたも健康な男の子なのだからこう言うことに興味を持つなとは言いませ
ん」
 恵美子の声は息子の表情よりもさらに硬かった。
「でも世の中にはやって良いことと悪いことがあるのよ。
 秀美の言うとおりにあなたがその獣欲の対象にした千夏ちゃんはまだ中学生で、私
達にとっては家族同然だったはず。しかもそのお父さんはあなたが――いや私達一家
がずっとお世話になっている秀行伯父さんじゃないの」
 事実である。恵一の父はどうしようもないろくでなしで、受け継いだ膨大な遺産を
食いつぶす事と家の外で女性問題を起こす事しかできない男だった。その後始末を全
て黙って行い、父が何十何人目かの愛人に自業自得で刺殺された後に恵一達一家の面
倒を見たのも秀行伯父である。今、住んでいる板橋のマンションを世話したのも、恵
美子を自分の建設会社の役員にするという方法で一家の生活費を出しているのも全て
秀行伯父なのだ。
 確かに普通ならば世の中で一番遠慮しなければならない人であった。その一人娘を
――しかも中学生の千夏を欲望の対象にするなどは絶対にあってはならない事であろ
う。しかし――
「ちょっと待ってよ。母さん!」
 急に恵一の舌と表情が石になるのをやめた。母の言うことはよくわかる。しかし、
それは違うのだ。
「俺は千夏で遊んだわけじゃないんだ!本気で好きだから愛し合っただけなんだ!確
かに中学生には早過ぎることをしたのも、早まったのも認めるけど――ふざけたつも
りじゃない。本気で俺と千夏は愛し合っているんだよ!」
 恵一は自分でもびっくりするような大声を出した――しかし出しすぎとは思わな
い。ここでちゃんと言わなければ千夏が可哀想だし、言えなければ恵一に千夏を好き
だと言う資格は永遠にないであろう。
「はやまったのは認める。謝る。ごめん!
 でも千夏とのことはいい加減じゃないんだ。中学生相手に高校生が何をと思うかも
しれないけど、俺達は真面目に付き合っているんだ」
「あ、兄貴・・」
 恵一の突然の絶叫に、唖然としたのは秀美だけで、恵美子は微動だにせず、氷のよ
うな目で息子を睨みつけた。これが嘘も冗談もない状態であることは恵一にはわか
る。全身に力を込めて、次の母の叱責を待った。
「では恵一は千夏ちゃんと本気で愛し合っていると言うのね」
 意外にも母の声は柔らかで――しかし、目はまだ本気のままだった。
「――うん」
「ちなみにそれは将来の結婚をふまえてってことなの?」
「え・・けっこん?」
「結婚をして生涯の伴侶として千夏ちゃんを考えているかってことよ。いい?最近の
あなた達のお友達は“愛しあっているからSEX”みたいに、自分達の欲望を満たす事
だけしか考えないみたいだけど、そんなのはその時にその相手に欲情したという意味
しかないのよ。
 私達の世代が古いのかもしれないけれど、本来、愛と言うのは一生相手を慈しむこ
となの。そしてその具体的表現が結婚なの――本気で愛していると言う恵一に千夏
ちゃんをそこまで大事にする覚悟はあるの?」
「………」
 ここで『はい』と答えられれば格好良いのであろう――男としては。
 しかし、恵一の口はすぐには動かなかった。無理はない。だって――
「そ、そんな・・お母さん。兄貴はまだ高校生よ。千夏なんて中学生…」
 さすがに心配げに援護に回った秀美の言うとおりであろう。高校生と中学生(!)
に結婚を前提に話をしろと言うほうが無茶である。いくら、もう最後まで“やっ
ちゃった”とは言え・・
「年齢なんて関係ないわ。私達は身内です。身内である以上、こう言うことはただの
遊びじゃすまないの。縁でも切らない限り、身内中の記憶にずっと残ることなのだか
ら!」
 恵美子の言う事にも一理ありそうで、秀美は黙ってしまう。だが恵一は違った。
「じゃあ――いや、け、結婚する!僕は千夏と遊びで付き合っていたじゃない。真面
目だったんだ!」
 ここまで言われれば男の恵一にも意地があろう。売り言葉に買い言葉だったかもし
れない。言ったと同時に自分で呆然ともしたのである。何か空気の色が変ったような
衝撃が室内に走った。
「あ、あにき…」
 秀美のつぶやきがどこかで聞こえる。冷静に聞けば恵一以上に恐慌状態にあるのが
わかったであろうが、そんな余裕は兄にも妹にもない。 
「判ったわ。恵一の気持ちは。あなたは本気なのね。女に対しては・・では千夏ちゃ
んとSEXしたことは責めないわ」
 恵美子は静かに言った。意外な反応に恵一はやや驚く。では、納得してもらえたの
であろうか?秀美のほうは事態がそのまま決着しそうな気配に本気で目をむいた。で
も動転のあまり抗議も疑問もにわかには出ない。
「でも駄目よ。恵一」
 それぞれ別方向の高揚状態にある兄妹に――しかし、母は断ち切るように宣言し
た。
「あなたと千夏ちゃんは絶対に結婚できません」
「?え・・何故!?」
 恵一としてはそう叫ばざるをえない。ここまで男が――半人前とは言え――決意し
て、勇気を出して、それで拒否されては立つ瀬がないであろう。親戚とは言え、法律
的には従兄妹同士ならば結婚はできるはずだ。それくらいは恵一にも判る。
 自分が秀行伯父に認められないほどにつまらない人間だとも思わない。いや、千夏
のためにもそれであってはならないわけで――
 恵美子は二人の子供を交互に眺め、やや間を置く。目が本気だ。子供達にもそれは
わかり、こちらも口を止めてしまう。それを確認してから恵美子は静かになった部屋
の空気をさらに一変させることを、ゆっくりと――しかし、はっきりと言った。
「あなたと千夏ちゃんは従兄妹じゃないの。実は血のつながった異母兄妹なのよ」
 空気が凍結した。兄妹が台詞の意味を理解できなかったからではない。母が冗談を
言ったからでも断じてない。ただ、その意味があまりにも予想外で――しかし信じら
れないとは言えないものだったからであった。
「もちろん、世間が知っている事ではないわ。子供達の世代のためにも公表できる話
ではないからね。今ではこの事を知っているのは私と兄さんだけよ」
 恵一と秀美は思わず互いを見つめた。二人とも死んだ父親がどれほどのろくでなし
だったかについては嫌と言うほど知っている。恵美子の言うとおりだとすると、父親
はさんざん無恥な面倒を義兄に助けてもらいながら、その妻と不倫したとなるが――
ありえないことなどとは断言できなかった。あの父親ならそう言う非道の可能性は十
二分にあるのである。
「まあ、亡くなった義姉さんには悪い話だけどそういう事なの。嘘じゃないわ。
 判った?だから恵一は千夏ちゃんとは結婚してはいけないのよ。異母とは言え、近
親相姦になるのだもの」
 母の宣告を確かに聞きながら、二人の兄妹は呆然とするしかなかった。恵一の上半
身が倒れるかのようによろけ、慌てて秀美が支える。その背を押さえた妹の両手も笑
いたくなるほどに大きく揺れていた。
「じゃ…じゃあ…僕は…千夏と…」
「そ。近親相姦してしまったと言うわけ」
 声と身体で震える息子に恵美子はしごくあっさりと宣言した。傍らの秀美が今の兄
の気持ちを考えて思わず抗議したくなったくらいに――しかもそれだけでは終わらな
かったのである。
「異母とは言え、実の兄と妹でよ。まあ好きでやったのかもしれないけど大変なこと
よね。いったいどうこの始末をつけるつもりなの?恵一。
 あなたがどうこうじゃないわ。千夏ちゃんになんと説明するかよ。まさか『妹だっ
たからもう駄目だ』なんては言えないよね。何も知らない千夏ちゃんに『近親相姦』
と言う一生ものの重荷を背負わせるわけにもいかず――かと言って普通に別れるに
は、このテープの声からも千夏ちゃんが納得しないでしょう。どうやら恵一が最初の
男で、しかもぞっこんらしいし」
 母の口調は淡々ではあったが、恵一にはこれ以上もなく辛い、意地悪なものであっ
た。
「どうするの?普通、男が責任とるって言ったら“結婚”だけど、あなた達は兄妹だ
からねえ――本物の近親相姦だもの。まあ、知っているのが身内だけだから、世間に
は誤魔化せるかもしれないけど。問題は当人同士よ。
 恵一。あなた、妹と知った上で、今日みたいなことが出来る?このテープだと、子
供と思えないくらい熱烈だったけど、今後もこれが出来るかしら?そうでなきゃ、結
婚は出来ないわ。つまり責任は取りようがないのよね――
 ま、しかたないか。実の兄妹なんだし、たまたまSEXしたかっただけの仲だったん
だし――」
 あまりの母のいいざまであろう。そこまで言われては恵一はともかく千夏が可愛そ
うである。恵一の脳裏に千夏に真面目だった分だけの爆発が起こった。
「そ、そんなんじゃない!じゃ、するよ、結婚を!近親相姦なんて知った事か!僕は
千夏と結婚する!絶対にしてやる!」
 恵一の絶叫は必死の覚悟――というよりどちらかと言えば、またも売り言葉に買い
言葉であった。その証拠にあまりの異常発言に何度めかの目をむいた秀美を見て、一
瞬だが後悔のような――或いは羞恥心のようなものが胸を刺した。わざわざ秀美に指
摘されなくても、これはとんでもないことなのだ。何せ異母とは言え、兄妹相姦での
結婚をすると言っているのだから…千夏への愛は確かに本物なのだが、そうであって
もこれはあんまり…
 しかし、母の応えは子供達の常識と想像力を超えきっていた。
「あ、そう。そう言う覚悟なら判ったわ――本気なのね。
 じゃ、もう責めない。初志貫徹して千夏ちゃんと堂々と結婚しなさい」
 子供達は一瞬何を言われたか判らず、次の瞬間には自分の耳を疑った――疑わざる
を得なかった!
「反対しないって言っているの。賛成よって認めているの。何よ。二人とも馬鹿みた
いに口を開けて」
 自信――と言うより日常的過ぎる母親の声に子供達は唖然とする。どちらかは自分
の耳をもう一度疑い、もう一方は母親の頭を深刻に心配した。
「な…何言ってんのよ、お母さん!」 
 唖然としたままの恵一の隣で、聞き間違いでも冗談でもないと確認した秀美は絶叫
した。そうであろう。それが常識というものである。
「兄貴は実の妹の千夏と結婚するって言ってのよ!従妹じゃないのよ。実の兄妹なん
でしょ!近親相姦じゃない!」
「あら、判っているわよ。でも、近親相姦のどこがいけないの?」
 あまりにもあっさりとした母の反論に秀美はのけぞった。まさかそう切り返してく
るとは――近親相姦が悪いなど天下の常識ではないか。秀美は急いで母の顔を見る。
微笑すら浮かべている表情は狂ったわけでも、錯乱しているようでもなかった。
「ど、ど、どこがいけないって――法律で家族同士じゃ結婚できないってなっている
じゃない!」
「だーーいじょーーぶ!戸籍上では恵一と千夏ちゃんはただの従兄妹同士よ。結婚は
出来るわ。役所も世間も文句は言わないって」
 顔色も表情もパニック状態の娘に比べて母はむしろ楽しそうですらある。後で子供
達が思い返してみると、この時の母は絶対に確信犯であった。
「戸籍が何とかなれば言ってもんじゃないでしょう!こんなことがよそに知れたらど
うすんのよ!」
「それもだいじょーぶ。このことを知っているのは私と秀行兄さんと、たった今から
恵一と秀美だけよ。千夏ちゃんですら知らないわ。この四人が黙っていれば永久に他
の邪魔な奴に騒がれる事はないの。秀美だってお兄ちゃんの幸せを壊したくはないで
しょうから、この重大秘密は守るわよね?」
 母の笑顔の脅迫である。そして、そう迫られると“守る”と素直に言えないくせ
に、その兄の前で“ばらす”とも怒鳴れない秀美であった。しかし、交互に青と赤に
顔色を変化させながら何とか攻撃を続行する。
「で、でも、近親相姦って産まれる子供に問題が出る可能性が高いんでしょ。やっぱ
り、やっちゃ駄目よ」
 これには恵一も、“どきっ!”とし、思わず息を呑んだ。そうなのだ。確かに近親
相姦はそう言われている。それが怖くないとは興奮した恵一でも言うわけにはいかな
い。自分だけのことではないのだ。今後の千夏とその子供の人生にかかわってくるこ
となのだから…
 しかし、これに対する母の反論は今夜最大に想像を絶するものであった。
「あ、それもだいじょぶ。可能性なんて大して悪くもないわよ。実際、それで産まれ
たあんた達がこんなに健康じゃない」
 最初、子供達は母が何を言っているか判らなかった。恵一が健康だから近親相姦で
産まれる子供も大丈夫――そう誤解しているのかと二人とも思ってしまう。しかし、
母の主張はそんな甘いものではなかった。
「いや、だから、お母さん。誤解してるよ。あのね。兄貴の健康問題じゃないの。兄
貴が本当は実の妹の千夏と結婚した結果、産まれる子供のことを問題としているの」
「だから、これは恵一とあんたの健康問題が参考となるのよ――だって、あなた達も
近親相姦で産まれた子供なんだもの」
 心臓が止まる音というものが外に聞こえたとしたら、部屋中にその音が二回ほど鳴
り響いただろう。兄妹は母の説明を理解するのに一分以上かかり――気絶せんばかり
に絶句してしまった。
「だから言ったでしょう。千夏ちゃんとは異母兄妹だって。どうやら、あんた達は死
んだ義姉さんがあのクズと不倫したと誤解したようだけど違うの。
 あなた達の本当のお父さんが、“あたし”の秀行兄さんなのよ」
 母の説明が硬直した兄妹の鼓膜に鳴り響く。言っていることは単純なのでよく判
る。しかし、それでも二人は身動きも出来ない。何せ、自分たちが兄妹相姦によって
産まれた命だと宣言されているのだから――
「あ、でも誤解しないでね。兄さんが無理矢理どうこうしたからと言うわけじゃない
のよ。私のほうが強引だったの。
 ほら、お母さん、露骨な政略結婚であんなクズの妻になって、いろいろと不幸だっ
たでしょう。だからその腹いせに――ひょっとしたらきっかけに――ほんとは世界で
一番好きだった秀行兄さんに無茶苦茶せまったのよ。もちろん子供を産むつもりで
ね。
 ま、あの堅物の兄さんだからかなりいろいろあったけど、そこは努力と作戦(笑)
で何とかうまくいき、あなた達を産む事が出来たのよ。そのことについてはこれっぽ
ちも後悔していないわ――兄さんはそうじゃないみたいだけど」
 そう胸を張って宣言する母であったが、“はいそうですか”と納得できる内容では
絶対にない。自らの出生のとんでもない秘密を今日初めて知った兄妹はもう声も出せ
ず、身動きすら出来ずに、ただソファに座っているだけだった。
「だから恵一が千夏ちゃんと結婚することについては、母さん、大賛成よ。『愛しあ
う兄妹の結婚』と言う私の代で出来なかった夢を、兄さんと私の子供である恵一が達
成してくれるなんて…近親相姦冥利につきるってもんだわ。ほんと涙が出そう――
 私達の代が我慢したかいがあったのね。恵一と千夏ちゃんなら戸籍上は従兄妹同士
だし、兄妹なんて秘密を知っている他人もいなく、文句も抗議もないしね。うれし
い…ほんと、うれしいわ。恵一がどんな相手をつれてくるよりも、母さんうれしい」
 何も言えない子供達の前で――そんな事は一切気にもせず――恵美子は一人だけで
感極まっていた。
「ああ、それから兄さんには私から話しておくから心配しないで。ほんとの事を言え
ばあの堅物も私には絶対に逆らえないのよ。あなた達の件もそうだけど他にも“掛け
軸”事件とかいろいろあってね。
 そうだ!兄さんも義姉さんを亡くしての千夏ちゃんとの二人暮しでしょう。これを
機会にまた私達と同居するようにしようかしら。お父さん達はもういないから、私と
兄さん、恵一と千夏ちゃんで暮らすのも良いかもしれない。どうせ兄さん、昔と同じ
く悪い所で“処理”しているでしょうから、そこは邪魔者もない状態でこの私が
――」


 自室に戻った恵一は呆然としたまま座った。ちなみに座ったまま従妹の――いや異
母妹の千夏に口での奉仕をさせていたベットにである。しかし、この時はそんな日常
的なことや楽しいことを思い出すような心境ではなかった。
「妹だったんだよなあ・・」
 一人だけの呟きが意識せずに唇からもれる。時計を見ればほんの三十分程度の家族
会議であったが、なんと重く、驚き、信じられない時間であったろうか――内容も事
実も、そして自分さえも。
 恵一の脳裏にはほんの数時間前に抱いた千夏の身体全ての感触と最初から最後まで
の声が全て浮かんでいた。まだ高校生が言うには大げさすぎるかもしれないが、その
全てが“最高”であったと思ったことは事実である。そしてそれが純粋な男から女へ
の愛ゆえのものだと恵一は信じたかった――いや信じなければならなかった。たとえ
異母兄妹とは言え、妻とする事を宣言したのだから――
 部屋の扉がノックされたのはその新しい感慨に兄が浸りきっていた時である。おか
げで三度叩くまで妹は部屋へ入れなかった。
「あ…秀美…」
“どうぞ”と自分が言ったのだから入ってきた妹なのだが、兄はそう応えたことも無
意識の上だったらしい。呆然とした恵一の顔を見てそうと悟った秀美は聞こえない歯
軋りをした。
「…座って良い?」
「う…ん…」
 それでも一応はしおらしく秀美はベットに腰掛ける。それから静かな時間がやや経
過した。兄妹がお互いの気持ちと自分の表情に悩んでいる時間である。無理もない。
恵一としてはこのまま無音ですんでしまいたい時間であり、今更、妹に――というよ
り事情を知っている誰であれ、今日の話題だけは持ち出してもらいたくなかったので
ある。例え、覚悟の上のことだといっても…
 しかし、妹は違った。
「びっくりしたよね」
 主語抜きの――しかも、おずおずとした口調ではあったが、恵一にとってそれが何
を意味するかは誤解がしようがない。具体的には、千夏の事、母の事、恵一の決断の
事、そして自分達の出生の事――と複数あるのだが、その全てがたった一つの問題に
収束されている――そう、兄妹相姦と言う…
「ま、まあね…」
 兄のおざなりの相槌に秀美はややきつい目で見返した。恵一は笑っている。照れ笑
いのようにも見える――
 妹の奥歯が鳴った。
「兄貴は、あたし達の本当の父親が秀行伯父さん――つまり、この二人が兄妹相姦に
よる子供だと言うことをどう思う?」
 質問内容の非常識さのせいで恵一は妹の表情の怖さには気がつかなかった。
「うーーーーん。まあ、事実ならしょうがないんじゃない。今更ここで騒いだからと
いって事実が改善するわけはないんだし」
 恵一の意見はもっともである。近親相姦がどうこうだとしても、母と伯父が過去に
やってしまった事実を今更どう修正しようがあるというのか。まして、その結果で産
まれたこの二人にとって、世間が何と言おうと近親相姦を否定する事は自分たちの否
定につながりかねないのではないだろうか。
「じゃ、お母さんが近親相姦してあたし達を産んだことを認めるわけ?」
「………うん。だって、そうならばしかたがないじゃないか。確かにあんな迷惑で
あってもお父さんには悪いような気もするけど……でもお父さんのせいでお母さんが
どれだけ苦しんだか。その始末の為に伯父さん――秀行さんがどれだけ苦労したかも
知っているから――一概にどうこうは言えない」
「そう言ってお母さん達の近親相姦を認め、ついでに異母兄妹の千夏との近親結婚も
認めさせるつもりなんだ」
 自分中心に考えていた恵一もさすがにこの妹の悪意には感づいた。
「なんだ。その言い方は」
「事実を言っているのよ。どうやら兄貴は近親相姦には抵抗がないわけね」
 少しむっとしたがそう言われれば、その通りなのかもしれなかった。抵抗がない
――とまでは言いきれないにしても、千夏とこれからもつき合う事も、そしていずれ
は結婚も――母の言うように全てを知っている伯父が許してくれるとも思えなかった
が――何とか受けいられそうなのである。異常かもしれないが、そうでない未来より
はずっと望ましく感じられるのであった。
「……………」
 絶句してしまった兄を秀美は怖い目で睨んだ。論戦に勝ったと言って喜んでいるわ
けではない。むしろ妹の指摘を受け入れた兄に怒っているらしい。恵一の表情にほっ
としたような柔らかい笑みが浮かんだ二瞬後に秀美は白い歯を牙のようにきらめかせ
た。
「でもあたしは反対よ。兄貴が近親婚なんて出来るわけがないわ」
 妹の強い口調にきょとんとする兄に秀美は続けた。
「千夏が従妹だと思っていたから、せ――SEXできたんでしょ?でも実妹だと知って
も本当にできるの?今日みたいなことが出来る?子供を作れるって言える?自信を
持って?
 お母さんも言ってたけどそれができなきゃ結婚そのものが無理よ。ママゴトじゃな
いんだから」
 突きつけられた妹の指摘にさすがに恵一は身構えた。言われてみれば一々もっとも
である。結婚すると言う事は具体的にはそう言うことなのだ。SEXをして、妊娠させ
て、子供を産ませて――それがどう言うことなのかを高校生の恵一には全て理解は出
来ないが、大変である事だけは十二分に想像できた―――しかし。
「出来る――いや、やる!
 千夏が妹だと知らなかったとかじゃない。たまたま好きになったのが千夏だったの
で、妹かどうかは関係ないんだ。だから、ちゃんと好きになった――いや千夏が応え
てくれた分の責任は取る。たとえそれが実の妹であったとしても」
 答えはすでに決まっているのだ。そのことには後悔も何も絶対にない――はずだ。
 兄の決意の声と表情を秀美は何とも言えない顔で見て、聞いた。その後、何かを考
え、肩が震えるほどの深刻な表情になるが、自分に興奮している恵一は気がつかな
い。
 ややしてから秀美は静かな声で問うた。
「つまり、兄貴は異母兄妹の千夏とちゃんとSEXできるっていうのね」
「も、もちろん」
 そう言う話題だから仕方がないのだが、やはり妹から“SEX”などといわれると今
の恵一でも気恥ずかしい。思わず頬の辺りが熱くなってしまう。
 秀美がもう一度静かに言った。
「じゃあ……“もう一人の”妹とは?」


「え………?」
 最初、恵一には何の事か判らなかった。口を開け、芸も無く聞き返す。その声と表
情を確認してから秀美は急に怒った顔になった。
「だから、“もう一人の”妹とはどうだって聞いているのよ!」
 それでもまだ恵一には――秀美が怒っている意味も含めて――判らない。ようやく
理解したのは真っ赤になった秀美の頬に気がついてからの事であった。
「…“もう一人”って………お前のこと?」
 しぼりだすような――自分でも他人のようなうつろな声が恵一の口かもれる。心底
驚いているらしく口を馬鹿のように開けたままだ。
「そうよ。あたしともセ…SEXが出来る?――って聞いているのよ!」
 恵一は思わず妹の――同母同父妹の顔を見た。怒ったような表情であるが、はっき
りと紅潮はしている。それが言ってしまった事に対して恥ずかしさをこらえている為
の反応だとまでは、経験不足の恵一には判らない。判らないままに馬鹿な事を言って
しまった。
「おまえと――てったって…兄妹じゃないか。そ、そんな…妹と…SEXなんて…」
「妹?じゃ、千夏はどうなのよ!」
 確かにそうであった。異母とは言え、実の兄妹でもかまわないと宣言したばかりで
はないか。千夏で良いのなら、秀美でも良いはずである――理屈では。
「いや。そんな…千夏とは知らなかったからああなったんであって…」
 しどろもどろもの弁明に秀美の視線が突き刺さる。冷や汗に近いものをかきながら
も恵一は、仲の良かった妹から何故こんな追及にあうのかが理解できないでいた。
やっぱり秀美は兄の近親結婚に反対なのであろうか。まあ、無理はないがーーーい
や、それでは困るのであって・・
「兄貴は妹相手でもSEX出来るって宣言したんだよ。お母さんは・・そのああいう事
情から喜んでいるけど、あたしは納得できない。いくら愛してたって近親相姦なんて
ずっと出来るわけがない!」
 秀美は叫んだ。視線を落としながら――その意味がわかるほどに恵一はまだ大人で
はない。
「だから!もし、兄貴が千夏と一生近親相姦できると言うのならば、あたしでそれを
証明してよ!」
 無茶苦茶である。言っている意味は恵一にも判るが――納得などできる意味ではな
い。思わず浮かんだ愛想笑いは事態を誤魔化そうとしたためである。しかし、秀美は
――“もう一人の”妹は明らかに本気であった。
「同じ妹のあたしと――妹とわかった上でSEXできるのなら納得もするし、今後の協
力もするわ。もし出来ないって言うのなら、今晩のことを千夏に全部話す。その上
で、千夏が兄妹婚でも良いって言ったら―今度は世間にもばらすわ」


(何故こんなことになったんだろう・・)
 どこかで呆然としながら恵一はベットの縁で腿が触れ合うほどの距離に座っている
妹を見た。目を硬く閉じ、歯を食いしばりながらも顔は兄のほうに上げている。キス
を待っているつもりらしい。兄の――実の兄の――妹である自分へのキスを。
(近くで見ると意外に美人なんだな・・)
 流れと勢いと必然とで妹とのSEXをやらざるを得なくなった恵一は、今は必要ない
感想を浮かべる。他にする事がないからであろう――正確にはこれから先をしたくは
ないのだ。妹への近親相姦など――このまま・・ずっとこのままで朝がきたらどんな
に平和であろうか・・
「あ・に・き!」
 兄の悪い考えを見透かしたような秀美の一言に恵一は半分飛びあがった。十七才が
キスを待つ姿勢のまま三分も待たされていたのだから怒られて当然である。所詮、恵
一にはじらすどころか、またせる権利も拒絶する自由もないのだ。なにせ、“もう一
人の”妹を『人質』にとられているのだから・・
「・・よし」
 と言いながら恵一は妹の頬に両掌をゆっくりと伸ばした。信じがたい事だがその指
先がわずかに震えているような気がする。
 その指が妹の顎に触れた――そこも同じくらいに微妙に震えているのがわかる。し
かし、緊張のあまりそれに対してどうこう考える事も出来ずに恵一は妹の唇を奪っ
た。
「……ん…」
 唇が触れた瞬間、電気が走ったような感触が恵一の背中を走る。同じくぶるっと震
えた秀美もそうなのかもしれない。
(たかが触れただけのキスなのに―――)
 そう思いながらも恵一は自分の心臓の高まりをまざまざと感じる。それほどまでに
妹の唇の柔らかさは吸い込まれるように魅力的であった。
(え……っと……)
 キスはした。これからさらに舌をいれ、互いに口で口を愛撫しなければならない。
 しかし、秀美はそうとは判らないらしく、キスをしながらも歯は硬くかみ合わせて
いる。
(こいつ、やっぱり……)
 やや強引に恵一は舌を押しこんだ。少しの抵抗の後、恐る恐る秀美の口は兄の舌を
受け入れる。恵一の舌に暖かい感触がまとわりつくように広がった。
 そのまま恵一は妹の口を舌で愛撫しつづけた。最初は技巧的であったはずなのだ
が、すぐに――本当にすぐに夢中になって舌を動かし口を吸う。それほどまでに妹の
口は甘く美味しかったのだ。キスがこんなに官能的だとは初めて知ったくらいであ
る。
「…………」
 兄に抱かれている秀美の身体もよじる様にしてうごめく。兄の執拗なキスに感じて
いるらしい。そしてさらに兄の愛撫に応えようと拙いまでも舌をうごめかしたりして
いる。そのどれもが恵一には男としてたまらないほどに可愛く――淫らであった。
(ち、千夏と初めてした時より……)
 夢中になりながらも恵一は何とか次の動作を始めた。くっついたように動かない
――と言うより二人とも動かせない――唇はそのままに右手をそっと動かし、妹のパ
ジャマの下に入れる。その感触に秀美は一度だけびくり!と大きく震えたが、その後
は覚悟を決めた様に兄の手を受け入れた。
 恵一の右手はそのまま腰からそっと中へ入った。少し驚いたくらいに熱くなった
――そして柔らかい肌が吸いつくようにして触れる。触っているだけで快感であっ
た。
(え……っと)
 まるで壊れものに触る様に恵一は大事に手を動かし、やがてその指先に妹の胸のふ
くらみを捕らえた。とても熱い。千夏とは違って、Aカップ強しかない秀美のそれで
はすぐに先端の――ピンクの乳首に触れる。そこは――そこだけは指に反撥を感じる
ほどに固くなっていた。
(――感じているんだ……秀美も)
 恵一はそのまま妹の乳首に優しく力を入れた。秀美の身体がまたびくん!と大きく
動く。下から持ち上げるようにそっと揉むと動きはさらに大きくなった。
「う………」
 キスをしたまま秀美はいやいやをする。恥ずかしそうに声を出すのだけは我慢して
いるが、頬が紅潮し、目元がとろけそうになってくるのは止められない。恵一はさら
に手を動かし、丁寧に妹の二つの乳房を愛撫した。
(よ……し。それなら――上手くいけば誤魔化せるかも――)
 ふいに恵一の唇が妹の唇から離れた。「え?」と少し驚く秀美であったが、そのま
ま兄の手がパジャマを脱がせ始めると覚悟を決めるためか歯をかみ締める。
「綺麗だね。秀美」
 剥き出しになったほっそりとした上半身を見て、恵一は思わず呟いてしまった。秀
美が恥ずかしそうに目を伏せる。傷一つついていない肌は白く、陶器のようにすべら
かで、細い骨組みと薄い肉付き、そして小ぶりだが形の良い二つの乳房が――中性的
な美しさの絶妙のバランスであった。たった今呟いたように“綺麗”としか表現しょ
うがなかったのである。
 初めて妹を女として見たからその魅力に気がついたのであろう。いけないことかも
しれないが、思わず“もう一人の”妹である千夏と比べてしまう。あちらは食べてし
まいそうな巨乳を中心として豊満そのものであったが――
(いけないいけない。これはいけない!)
 脳裏に浮かんだ二つの妹の裸身を頭を振って振りきって恵一は身体をあずけ、その
ままベットにゆっくりと押し倒した。秀美は抵抗しない。そして、口を妹の――今の
――乳首に寄せる。こりっ!とした歯応えと共に空いてしまった妹の口から押さえき
れないあえぎが漏れた。大きさは大分違うが、感度は“もう一人の”妹に負けず劣ら
ずのようであった。
「あ……あ、あにきぃ…そんな――」
 無心に乳首を舌と歯で愛撫する兄の頭に妹のか細いあえぎが囁かれる。あえぎ声の
可愛らしさといやらしさでも“もう一人の”妹に匹敵するようであった。真剣にやっ
ている恵一の腰の辺りが無性に熱く、固くなって――困るほどであって――。
「そ、そんな………歯をたてちゃっ――あああー―ん…」
 兄の執拗な愛撫に秀美がたまらず、あえぎ声を大きくし、兄の頭を両手で抱きしめ
る。恵一はそろそろ良しと判断して、右手をさらに下げ、まだ着ているパジャマに指
をかけた。さすがに秀美も次に何が来るかを理解して身を固くする。恵一は構わず、
下のパジャマも脱がせた。
「……………」
 真っ白なパンティだけの下半身が二人の視界にさらけ出される。思わず恵一がため
息をついたように足のラインの美しさも見事なものであった。かすかに染みが見える
股間がなんとも言えずにいやらしい。ついつい、“もう一人の”妹と比べてしまった
――タイプはまったく違うとは言え、優劣が本当につけがたく、いったい自分はどっ
ちが好きなのだろうかと言う“いけない”考えが恵一の脳裏によぎる。
「あ、いや!……」
 思い切ったように兄の指がパンティの中に刺しこまれると、さすがに妹は抗おうと
した。しかし、それで兄の動きが止まってしまうと――覚悟を決めたように静かにな
る。ほんの少しだけ足を開き、兄の動きを助けようとしているのが、恵一にはたまら
ないくらいに可愛く――それ以上にいやらしく思えた。
(………濡れている――)
 兄の指が妹の秘所に触れた。まだ薄い恥毛とその下の赤い肉襞はすでにしっとりと
湿っていた。そして肌の部分はかなり熱い――兄の指はそのまま肉襞をゆっくりとな
ぞりはじめる。
「ひ…ひぃぃ……そんな―――」
 秀美の口からまたあえぎが漏れる。それが大きくなるのを待ってから恵一は人差し
指を中に入れようとした。妹のあえぎがさらに一段と大きくなる。しかし、恵一の指
先は十分な固さと抵抗を感じ、ゆっくりとしか動けない。
(やっぱり…処女なんだ)
 恵一は確認するように口の中だけでつぶやいた。処女を抱くのはこれで二度目だが
――二度とも妹なのだが――落ち着いてなどはいられない。大きく唾を飲む音が自分
でもびっくりするくらいに喉に響いた。しかし、今日は最後までするわけには――
(秀美…悪いようにはしないからな―――)
 兄はそのまま頭を下げた。かなり乱れてはいたが妹もさすがにぎょっ!とする。兄
は妹のパンティを剥ぎ取り、秘肉を剥き出しにするとそのまま口をつけ、舌で肉襞を
舐め上げ、指でクリトリスを愛撫し始めたのである。
「いやっ!そんな――それだけは恥ずかしい……」
 実の兄に女の一番大事で恥ずかしい部分をさらけ出し、さらに舐められていると言
う事態に秀美も身体に力をこめた。しかし、恵一は逃がさない。そのまま執拗に愛撫
を続ける。たまらず秀美のあえぎは悲鳴のように大きく――いやらしくなって部屋中
に響き渡った。
(…ほんと、姉妹一緒なんだな。「恥ずかしい」って言うことが一番感じるんだか
ら)
 二度目のせいか――あるいはもう一人の処女を開発した経験のおかげか。恵一の舌
も指も、秀美が絶叫せんばかり巧妙にかつ途絶えなく動いた。産まれて初めての快感
のすごさに秀美は腰を引いて逃れようとすらするが、兄の両手がしっかりと腰と尻を
つかんでそうはさせない。
 やがて――秀美には一時間も続いたような快感の嵐の果てに、秀美の華奢な身体は
爆発し、脳裏が真っ白になった。


 気がついたのは数分後であったろう。痺れあがる感覚がまだ続く中、秀美はようや
く上半身を起こした。視界に兄の心配そうな表情が写る。
「あ……そ、その――いっちゃったの?あたし」
 思わず、自分で言った“絶頂った”という恥ずかしい台詞が秀美の意識をややさま
す。恵一が重々しくうなずいた。秀美はそのまま――全裸のまま兄の身体にしがみつ
く。
「あにき――ありがとう。なんか――すごかったよ」
 真っ赤になりながらもそれだけは囁く妹だった。もちろん産まれて初めてのエクス
タシーであるが、それ以上にそれが兄によってもたらせられたことがより嬉しかっ
た。
「これで良いな?」
 しかし、更なる妹の期待にかけられた兄の声は苦しそうであった。
「え?いいって……」
「今晩はこれで終わり。もう部屋に帰りなさい」
「な、なに言ってんのよ!あたしは…」
「おまえ――処女だろ」
 妹の胸に楔を打ち込むように兄は断言し、妹の顔色が変った。
「だから、実の兄の俺が軽々しくもらって良いもんじゃない。それは将来、好きな奴
にあるためにとっておけ」
 恵一は真剣であった。千夏とのことは仕方がない。知らなかったことであり、もう
本気で愛してしまったからであり、何とか近親婚もできる状況だからだ。
 しかし、秀美は違う。妹と言うことは産まれた時からわかっている。たとえ、本気
で愛したとしても結婚や将来は持てないのだ。そう、たとえ、千夏以上に愛したとし
ても―――
「もうこれで終わりにしよう。おまえも気がすんだだろう。お前はいい女だった。本
音で言えば妹だったのが惜しいくらいに――だからこそ、ここでその大事なものを俺
が奪うわけにはいかないんだ。お前が幸せになる為に使ってくれ」
 秀美はうなだれている。説得をきいてもらえたのであろうか――違った。
 突如、秀美は――その右手が兄の――恵一の股間をむんずと掴んだのである。恵一
は悲鳴をあげる暇もなかった。
「駄目よ!そんなこと言っても誤魔化されないわ!千夏の――千夏にはしたじゃない
!同じ妹なのにあたしだけ放っとくのは差別よ!」
 無茶苦茶なことを言いながら、遮二無二恵一のパジャマを脱がそうとする。恵一が
その手を押さえようとすると秀美は右手に力を込めた――兄の肉棒を掴んだその右手
に。
「いたっ!ちょ、ちょっと!」
 秀美は兄に悲鳴に構わず、切り裂くように叫んだ。
「兄貴が好きだったのよ!あたしは――妹だからって我慢してたのに!」
 思わず、恵一は痛さも忘れて口を開けてしまった。意外――とも違うが(こんなに
なっているのだから)、驚けないことでもない。愛の告白を受けたのは二人目だが、
今は兄妹と知った上での告白である。前のとは重みも意味も違い――
「それを千夏に――千夏なんかに横取りされて…兄貴は同じ妹だと判っても千夏を捨
てないって言うし、しかも世間には知られていないから結婚も出来るなんて……ずる
い!」
 押さえていたものを爆発するように秀美は叫ぶ。その主張に恵一は身動きも出来な
い。されるがままに服を脱がされ、妹と同じ全裸になってしまう。さらに女の秀美の
力でベットにあっさりと押し倒されてしまった。
「このままじゃすまさないわ。絶対、あたしも兄貴に愛してもらうんだから!妹の処
女をもらって一生、あたしの事を忘れなくしてやる!だって、あたしは絶対に兄貴を
忘れられないんだから……」
 秀美によって恵一のパジャマとパンツが剥ぎ取られ、その下から現れたのは、硬直
した――
「あ―――ふん…さっきから身体にあたる感触で判ってたけど――兄貴も感じている
じゃん」
 誇らしげに――嬉しそうに秀美に言われ、恵一は返す言葉もない。さっきから――
それこそ最初にキスしたと同時に下半身の肉棒が硬直していたことは事実である。自
分でもその理由は――妹の身体に反応した理由は判らない――いや、認めたくなかっ
た。そう“実の妹”とわかって欲情したなどとは――
「――ねえ、これ――千夏にしゃぶってもらっているの?」
 兄の硬直した肉棒を握りながら秀美はそっと囁いた。実際、その通りなのだが
――そうは恥ずかしくて言えたものではない。しかし、その兄の躊躇だけで妹には全
て理解できた。
「じゃ、あたしも………いや、あたしだって!」
 秀美は兄の返事もまたず、そのまま口を兄の下半身によせ――一気にその肉棒を咥
えた。恵一の妙な悲鳴が口からもれる。それが妹に咥えられた羞恥心か、――それと
も悦びによるものなのかは――今のここにいる誰にも断言できないことであった。
「………!」
 何事か呟きながら、秀美は兄の肉棒を舐めて――しゃぶりあげた。もう一人の妹よ
り上手いとは言えないが――初めてなのだからしかたがないであろう。そもそもフェ
ラチオの意味がまだ判っていないらしく、乱暴としか言えない舌さばきである。時折
あたる歯が痛いくらいだ。
 しかし、それでも恵一がすぐに反応し――いつもの半分の時間で爆発したのは何故
であろうか?
「う……ウー――!」
 突然、兄の肉棒が破裂し、熱いミルクを口と喉一杯に叩きつけられた秀美は、瞬き
できないくらいに驚いた。しかし、口は離さない。そのまま、どくどくと音を立てて
兄の肉棒の先端から吐き出される男のミルクを全部吸い上げーー飲み込んだのであっ
た。
「秀美………」
 妹は兄を口で愛撫し、その全てを飲みこんだ――その事実を目の当たりにして恵一
の声がわずかに湿る。いけないことだとは思いつつも――うれしい。千夏の時と同じ
位に――いや――。
「あ、また固くなっている――熱い…」
 兄の肉棒からようやく外した口で妹は笑った――まるで、勝ち誇ったかのように。
恵一にはたまらない――淫らな笑顔で。
 それから秀美は目の前の兄の硬直をやや見つめた。それから自分の胸を見る。A
カップ強の胸は乳首の先まで紅くはりつめてはいたが――
「ひょっとして、千夏におっぱいでさせてた?」
 優しい声ではあった――が、優しい気持ちで言っているわけではないことは恵一に
も判る。思わず恵一の喉がごくりと鳴った。秀美にはそれだけで十分であった。
「ふーーん。おっぱいでもしてたんだ――妹相手に。兄貴って意外といやらしいの
ね。それとも実はマザコンなのかな?巨乳好きって、みんなそうなんでしょ?」
 恵一は応えない――いや何を言えと言うのだ。
 正直言って妹の笑顔が初めて怖かった。しかし、股間の硬直は――妹の掌に握りし
められている肉棒は、恥ずかしいくらいにぎんぎんになっている。今から起きるいけ
ないこと――兄妹での…――を非難する資格は恵一には絶対にないことを証明してい
るのだ。
「いいもん!あたしのしたいようにするんだから!」
 秀美はかなり怖い声で言いながら身動きの出来ない兄の上にまたがった。“確か
に、秀美のAカップではパイずりは出来ない”などとくだらないことを考えた恵一の
股間に妹の愛液の滴が幾つか落ちる。その熱さと淫香に兄の理性は思わず飛びそうに
なった。
「ちょっと待て……やめろ!秀美」
「駄目!するの!」
 叫びざま秀美は大きく腰を沈めた。乱暴過ぎる動きである。いくらすでに濡れきっ
ているとは言え、初めてなのだから―――
「痛い!」
 案の定、秀美の口から悲鳴が漏れた。最初でなくてもそう「するり!」と入るもの
ではない。それでなくても、兄の肉棒は鉄のように固く熱く――大きくなっていたの
だから。先っちょが入っただけであまりの痛さに決意も止まってしまったのも無理は
なかった。ちなみにごつん!と肉棒をやられた恵一は最悪の意味での“突き指”に声
も出ずに悶絶してしまう。
「お、おかしいなあ。場所は間違っていないよね。あたし濡れているし、いくら初め
てでも、そんなまさか、入らないなんて―――」
そう呟きながら秀美が腰を上下左右に動かす。本人は真剣なのだが、滑稽でしかな
い。もっとも洒落にならない恵一としては――このまま力任せにやられたらそれこそ
折れてしまうかも―――絶対に笑い事ではなかった。
「ちょ、ちょっと待て、秀美。無理するな。力を抜けよ。もっとそうっと――」
「そんなこと言って、また誤魔化そうとしているんでしょ!」
 目の怖い妹に恵一は力一杯首を振った。
「違う!そうじゃない!SEXってのはそんな体力勝負じゃないんだ。もっと繊細なも
のであって――特にお前は初めてなんだからもっと優しくしないと――」
「ふーーん。さすがに中学生の妹の処女を奪って、弄んで、結婚する人の言う事は違
うわね」
 悪意の塊のような秀美の主張である。恵一としては怒って良かったのだろうが――
怒れはしない。先ほどの妹の告白と、今の事態と――何よりも下半身にさっきから音
を立てて垂れている妹の愛液の熱さと意味が、男としての何かに強烈に訴えかけてい
た。
「え……あぁっ!」
やにわに恵一は妹の腰を両手で抱えた。そのままゆっくりとコントロールして下へ
――自分の、鉄のようになった肉棒へ誘導する。最初は驚いた秀美ではあったが、兄
の真剣な顔を見て急に素直にならざるをえなかった。
「あ………」
兄の固い肉棒の先端が妹の濡れた秘肉に触れた。そのまま恵一は秀美の腰をやや落
とす。少しだけ肉棒が妹の中に入った。秀美の口から小さい悲鳴が漏れる。
「だいじょうぶ。ゆっくり――優しくするから」
 “もう一人の妹”――千夏で一度経験済みの恵一は妹よりは、まだ余裕があった。
そのまま腰をゆっくりと上下させる。妹が痛がらない程度に、最後の瞬間まで――こ
こでかける時間と労力は大変だが、それは相手への愛情に正比例するのである。
 そして今夜の恵一のそれは、処女の秀美であっても十分すぎるくらいにあったので
あった。
「あ………」
 どれくらい時間をかけたのであろう。ゆっくりとした単調な上下運動によって、秀
美の体は徐々に沈んでいった。やがて、肉棒が――兄の欲望が――全て妹の中に入
る。秀美には痛みはあったが、我慢できないものではなかった。
「…は、入っちゃった?あ、兄貴が――あたしの中に…全部――」
「―――うん…」
 不思議な感動が二人を包んだようであった。囁くように呼びかけながらも、そのま
まぴくりともしない。ただ、二人で――少しでも密着できるように、妹が兄に――
入ったままに強く抱きしめあう。
「ありがとう。兄貴。あたしの夢をかなえてくれて……」
 妹に押さえつけられた恵一の首のあたりに泪のようなしずくが一滴落ちた。
「千夏の事は許せないけど――ずっと昔から、いや子供の頃から兄貴が一番好きだっ
たの。
 でも妹だから結婚も愛も出来ないって知って…諦めていたのに」
 妹の声が兄の脳裏にこだまする。きっと一生忘れない声だと、意味もなく恵一は確
信した。
「だけど、それなのに、処女を――あたしの“女”を兄貴にあげられるなんて――こ
れも千夏のおかげかしら。それなら少しは――兄貴をあたしから横取りしたあの泥棒
女に感謝しても良いのかも…」
 千夏の腰が動き始めた。“自分の快感を追って”ではない。ただただ“兄の肉棒を
満足させる”ためだけに!
「最高の初体験だわ。あたし、これだけで人生終わってもいい!」
 秀美は力一杯腰を動かした。秘肉がいやらしい音を立てる。それは下手だったかも
しれないが、真剣であったのは――自分にも、そして実の兄に対しても――間違いな
かった。
「あ、で、出る―――」
 そして恵一の身体と感情は――世間体とかよりは遥かに正直であった。自分でも驚
くくらいに速く――さっき出したばかりだというのに!――脳裏と下半身が爆発す
る。その感触を兄と妹は自分の肉体の感触を通じてはっきりと――実の妹にだと言う
のに!――そしてたっぷりと感じたのであった。
「あ、あにき…いったのね。あたしの中で――あたしに感じて…うれしい。妹のあた
しが兄貴の女になれたのよね………」


 翌日、母の恵美子は恵一と千夏のことを秀行伯父に公表した。
 子供達の予想通りに最初は唖然として声も出なかった秀行伯父であったが、何故か
恵美子の静かな笑顔を見ると何も言えなくなった。ついでに従兄妹同士の婚約を宣言
され、今度は卒倒しそうなくらいに動揺したが、恵美子の「掛け軸、大事にしてる
?」の一言でそのまま舌を凍らせたのである。何故だかは二人以外の誰にも判らな
かったが、このようにして恵一と千夏の結婚はとりあえず了承されたようであった。
 それどころか、恵美子は子供達の婚約を機に、また実家に戻って両家族みんなで同
居するよう言いだし、伯父はその対応にたいそう苦慮している。この場合の恵一達と
してはどちらを応援すべきであろうか。ちなみに、何も知らない千夏はこの事態を素
直に喜んでいるのだから、もう一方の当事者である恵一も喜ばなければならないのだ
ろう――きっと
「よかったね。兄貴」
 複雑な心境の恵一により複雑な声でそう言った秀美のほうは表立っての変化はな
い。違いに気がついているのは、毎晩、娘が息子の部屋にいくようになったことを
知っている母親くらいなものであろう。(もちろん、そこで野暮なつっこみをするよ
うな“恵美子お母さん”ではない)
 ちなみに婚約を許された恵一と千夏であるが、それからは逆に二人が会う時間は制
限される事となってしまった。この婚約によって恵一が伯父の会社を継ぐことがほぼ
確定となったので、恵一がしかるべき大学に行ってちゃんとした成績をおさめ、さら
に責任ある一人前の社会人にならざるをえなくなったのである。具体的には勉強の邪
魔にならぬよう、デートは週一回、電話は一日一時間以内と双方の親の同意のもとに
強制的に決定されたのであった。
 ちなみにこの処置については、恵一はともかく開発されたばかりの(?)千夏が悲
鳴を上げた。怖い父親の命令と愛しい“お兄ちゃん”との結婚のために我慢はしたも
のの、身体まではごまかせない。いきおい、毎晩のラブコールは生々しいものになっ
てしまうのである。
「お兄ちゃん。いま、千夏の中に・・人差し指が入っているの・・動かしていい?お
兄ちゃんのみたいに・・」
 毎晩、そう言う電話をかけられる恵一であったが、こちらはもっとたいへんであっ
た。千夏の電話を受ける時には必ず傍らに秀美がいるのである。しかも無言で――そ
して獣のように。
「き、気持ち良い・・お兄ちゃんの指と思ったら千夏の指も良いの・・次はどうする
?中指もいれるの?それとも・・」
 そう千夏が囁く受話器の下で秀美は実の兄の肉棒を舐め、時には上に跨って肉壺で
吸い尽くしていた。恵一は声をおさえるだけで精一杯である。今をばれるわけにもい
かず、かといって何ともしようもない。こんな秀美でも責めるわけにもいかず、ま
た、それ以上に拒絶などは――できはしなかった。
 しかし、秀美の責めはどんどん過激になっていったのである。千夏との映画館デー
トの際にあとをつけてきた秀美に携帯で呼び出され、化粧室で襲われたこともある。
ほんの数分のことだったが、その時の恵一は自分でも恥ずかしくなるほど燃え、立っ
たままの姿勢で秀美が失神するまでに責め上げたのであった。


 ある時、恵一はいつまでこんなことを続けるのか――SEXを終えた後、丹念に兄の
肉棒を舐める秀美に聞いたことがある。返事はさわやかすぎるくらいにあっさりで
あった。
「いつまで?何を言っているのよ。千夏とは違って、戸籍上、同じ家の兄妹なんだか
ら法的に結婚できるわけがないじゃない」
「…………」
「だから、あたしと兄貴との…愛情の…その――証ができるまでよ」
「…え?」
 疑問形の恵一であったが、実は秀美の言っている意味の推測は出来る。その途端に
巻き起こった驚愕とも感動とも言えない衝動に、常識みたいなものが必死で耐えてい
たのである。一生、誰にも言えない事だが、この瞬間だけは理不尽であっても――罪
の辛さよりも歓喜の方がはるかに強く、自制心がはじけそうであった。
「だから!」
 恥ずかしさのあまりか、兄の感動には気がつかなかった妹は真っ赤な顔で叫んだ。
「――兄貴の子供ができたら勘弁してあげるわ。そうしたら千夏にも何も言わない。
約束するわ。兄貴は好きにしていいのよ。あたしは兄貴からもらったものを大事にし
て生きていくから――それであたしはいいの」
「秀美…」
「兄貴を不幸にはできないからね。ま、千夏に言いたいことはあるんだけれども…」
 妹は笑って言った。恵一はその意味を悟り、何とも言えない気持ちになる。不覚に
も涙が出そうになったのは何故であろうか。
 秀美は決意したのだ。兄との――誰にも言えない子供――と家族を作り、慈しむ事
を。
 それがどんなに困難であっても、何があろうとも――その母・恵美子と同じように
・・


 そう、同じ“もう一人の”妹として・・

――終――
[2001/11/14]

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eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。