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特命6

妄想
04 /30 2015
「エロ夫さん、お願い・・・。」
「Y子さん、今日は約束の日ではありませんよ。」
「わかってます。でも・・・。」
「Y子さん、私も貴女を今ここで犯したい気持ちを抑えているんです。」
「・・・。」Y子はしばらく黙って抱擁を続けた。そして、
「ごめんね。」そういうと寮母の顔に戻り、リビングに足を向けた。
K室とは呼んでいるが3LDKのしっかりした造りだ。
「N君のご家族、いやお母さんはどんな感じですか。」
「いまではすっかり慣れて、あちらから声をかけてくださるのよ。」
「そうですか。はじめは恥ずかしがっていたと聞いていますが。」
「ええ、誰でも皆さんはじめは複雑な感情があっても仕方がないわ。」
「そうですね。」私たちはリビングからアップライトピアノが置いてある「練習室」に向かった。
「N君たちもこの部屋で一晩を過ごしているのでしょうか?」
「そうみたいね。音が漏れないということで安心して結ばれることが出来るんですって。」
「そこまでお話いただけるようになりましたか?」
「そうなのよ。」
練習室には入らなかった。また寮母のスイッチが入る気配を察したからだ。ドアを開けて中を
一瞥してリビングに戻った。
「きれいに手入れをしていただいてありがとうございます。」
「利用される方が皆さんきれいにされて帰るの。たぶん私に気づかれないようというのもあるみたいね。
私は気にしないでと伝えてあるんだけど。」
各部屋を一通り廻り安心してH君のお母さんをお迎えできることを確認できたのおいとますることにした。
「それではH君とご家族の対応お願いいたします。
「了解です。」
「それからY子さん、次の約束の日を楽しみにしています。」
「忘れないでね。」
寮母室には戻らずそのまま玄関を抜け、駅に向かった。明日は遅刻できない。
つづく

小説(転載) 美人妻秘書淫乱調教

官能小説
04 /30 2015
 真昼間から淫猥な空気が漂う。それは、業界内では名高いある一社の代表取締役社長室での出来事だった。
 世襲ながら七光りに頼り切ることなく、名に背負う大グループの一派を率いる新進気鋭の実業家、新村 真人。この男の腕の中で、その美貌を歪ませながら、必死に気をやり続ける女が一人。専属社長秘書の女、羽須美だった。高価そうなスーツの下は、堅い服装越しでも、最高の身体をしている事が分かる。豊な胸、括れたウェスト、その腰付きはいわゆる安産型と言うヤツだ。その指にはプラチナの結婚指輪が光り、人妻である事を示していた。
「し、社長…、あぁ…も、もうお許し下さいませ…。は…くっ」
「駄目だ。俺が出す前に勝手に気をやっているお前が悪いんだろうが」
 豪奢なソファに腰掛けながら、絶世の美女の股を卑猥に拡げさせ、自らの男根の上に跨らせた。そして、自分で動いて俺のモノを処理しろと命令していたのだった。
 社長の肩に手を置いて、陰毛と陰毛を擦り合わせるように動き、背を仰け反らせながら喘ぎ続ける美人秘書。堅い服越しに背中を撫でてやると、それだけで軽いアクメに達する程までに性感が昂ぶっている。その陰部からは大量の愛液が漏れ、男の腰の間で糸を引きながら、ねちゃねちゃと湿った音を立てている。
 スーツを着こなし、てきぱきと仕事をこなす姿からは連想できそうも無いほどに乱れた表情。いつもの颯爽とした姿はどこへやら、ショーツだけを下げて、自らの恥部で、自分の上司の恥部を愉しませる。しかし、その行為はむしろ自分自身を苛み、際限の無い絶頂地獄に追い込んだ。

 それを見て、真人は鼻で笑う。
「全く羽須美…お前みたいな淫乱な女は見た事が無いぞ」
「そ、んな、酷いぃ…」
 そう言いながらもねちっこい腰の動きを止めようともしない。それもこれも、日々行われる真人の調教の成果だった。
「違うだと? ふん…、ならその捏ねる様な腰つきは何だ?」
「こ…れは、はぅっ…あふぅ」
 命令をしておきながら、秘書羽須美の淫猥な動きを容赦なく追及する、冷たい利己主義者。その傲慢さが、妙に被虐願望をそそり、新たな淫液を吐き出してしまうようになるまでに、その芳しくも美しい肉体は作り変えられてしまっていた。
「これは、何だ?」
 哀れなまでに出来上がった羽須美とは対照的に、冷静な佇まいを崩さぬまま指摘を続ける真人。二十代前半とは思えない性技術の熟達さだ。相手の女がいくらか年上だという事を少しも連想させない。羽須美が完全に手中に納められている証拠だ。
「お前の蜜壷が俺の息子をさも美味そうに食い締める。それが何だと言うんだ? 羽須美君」
「そ、れは…社長が無理やり…っ!」
 体中から情感を漂わせながら、尚も気丈に振舞おうとするさまが滑稽だ。口を一文字に結ぼうとして、自らの動きにそれを阻害される。乱れた髪が、ほつれて耳に引っかかり、ひたすらに色っぽい。

 若さ故の悪戯心と好奇心が、真人を残酷な加虐嗜好に駆り立てる。羽須美のむっちりした肉感的な腰を掴むと、自分の腰に力ずくで引き寄せ、動きを止めさせた。
 高まりかけていた羽須美は狂乱する。
「はぁっ…、な、何故!? あ、あぁぁ」
 両足をぴくぴく痙攣させ、膣の柔肉をひくつかせる。その感触が真人を大いに喜ばせる。何より、鼻筋の通った高慢な女の慌てる姿が素晴らしい目の保養だ。
「あぁぁ、た、堪らないっ…! は、あぁぁ」
 弱々しい抵抗力で腰を動かそうとするが、男の腕力に敵う訳も無く、精々、自分を貫く狼藉者をやわやわと歓迎し、粘液を吐きかけるばかり。
 真人としては、その抵抗感が最高に心地良かったが、羽須美は身体の奥から湧き出る焦燥感に身を焼かれ、居た堪れない不快感に悶えた。その上、焦らすような手付きで脇腹や、その豊かな乳房を撫でさすられる。表面に浮き出た鳥肌が、快感の根深さと、焦れ、悶える女体のさがを顕していた。
「か、堪忍してぇ」
「どうした? 嫌なんだろう?」
 意地の悪い笑い顔をする真人。その顔を見て余計に羞恥心を煽られたのか、顔を赤くしながら嫌々と首を振る。しかし、そんな様も、真人を愉しませるばかりだった。

 自分の中で更に膨張するモノを感じ取り、驚くが、同時に体がそれを受け入れ、好ましそうにぴくぴくと喰い絞める。その感触を察した真人が、羽須美の奥を悪戯に小突き、からかう。羽須美は頭に血が上り、それに反抗しようとするが、中に居る男の硬さが、自分の中に居る女の弱さを思い知らされるばかり。
 自分の身体から湧き出る、自分ではどうしようもない程の快感に、諦めの感情が沸く。―――私はこの人に無理やりされて、こんな身体にされてしまった。だから、どうしようもない。だから、私はこの人に従属を…。
 羽須美がそんな事を考えている事は、海千山千の真人にはとっくに承知済みで、凛とした女性の弱々しい仕草に、またしても加虐心が刺激される。
 羽須美の膣が震える。腰がもどかしそうにうねる。逆らいがたい魅力に溢れたその秘所は、そんじょそこら性経験しか持ち合わせない男なら、どんなに理性的だったとしても、心行くまで犯し抜き、孕ませたいという欲求が勝っただろう。が、真人にとってはさらに陰湿な責めを加え、羽須美を追い詰める事の方が重要だった。
 自分に跨る腰を持ち、自らの腰を引く真人。
「ふぁっ」
 にゅるっとした感触と共に、真人のモノが抜き取られる。その感触だけで、羽須美は全身を泡立たせる。しかし、すぐに喪失感に駆られ、軽いパニック状態に陥る。
「な、何故っ」
 良い年の女が慌てる様は中々だ。それも、美人で聡明な人妻と来たら尚更だ。

「終わりだ」
 呆然となる羽須美を見ようともせず、自慢の巨根に装着しているゴムを外す真人。当然、その無粋な避妊具の袋の中には、何も入っていない。少々カウパー氏液でぬめっている程度だ。
「ま、まさか、そっ、そんなっ!?」
「お前のゆるマンじゃぁイク事なんて出来やしないんだ。あぁ…疲れた。お前ばかり楽しんで、俺は全く気持ち良くなれやしない。大した敏腕秘書さんだよ…全く! 社長の俺をバイブ代わりにする秘書がどこに居る?」
 冷酷な皮肉。自分から強要しておきながら、女にとって最も自尊心を刺激される部位を蔑む真人。初めの内は「良い」だのと言われる事を気持ち悪がっていた羽須美だが、こうまでされて、納得が行く訳も無い。
「あぁぁ、そ、そんな、そんな」
 我が肉体を好きにした男の足元に跪き、その性器を凝視する。ギンギンに張り詰めたそれは、自分の性器による愛撫の刺激の名残か、ぴくぴくと震え、青筋を浮き立てる。おぞましくも美しい。快感をマーキングされ抜いた羽須美の身体は、奥の奥からそれを望むようになってしまった。悔しそうに下唇を噛みながら、喉の奥から出る熱い息を押し殺す。そうしていても、まるで媚薬を盛られたかのように、じわじわと熱い興奮の渦に飲み込まれて行ってしまう。
 清純ぶっている女とて、一皮剥けばこんな物…。くつくつと喉をならして笑う真人。

「何だ。おねだり、か? なら、教えたセリフがあるだろう」
「…!」
 厭らしい問いかけに、頬を紅潮させながら俯く羽須美。どこまでも女の精神を痛ぶり、苛み、掌の上で躍らせる。
「あぁう、あぅ、お、お願いします、は、羽須美に、この浅ましい牝にお情けを下さいませぇ」
「はははは、あんなに何度も何度もイっただろう! お前は何回イケば気が済むって言うんだ」
「あぁーっ! も、もう、うぅぅ、何度でもぉ、あ、アタシぃ…」
 余りの興奮に冷や汗をかきながら、真人の足に必死にしがみ付く。
「もう一度言うが、お前のがばマンじゃぁ無理なんだよ。きちんと俺をイカせれる方でやるんだ」
「はぅっ…わ、分かりマシたぁぁ」
 鼻筋の通った美女が立ち上がる。そして、若社長の腰の上ではしたなく蟹股になり、絨毯に愛液を滴らせながらその最も穢れた部位をさらす。
 アナルだ。
「そうだ、賢いじゃないか、羽須美君。それに、とても厭らしく、可愛らしいよ、君のそのクソ穴は」
「あ、あぁりがとうございます…」
 顔をぐしゃぐしゃに歪ませながら、あまりの羞恥心に耐える。こればかりは何度やっても慣れそうにも無い…。

 良く見ると、羽須美の蕾からは何か紐のような物が垂れ、その先は輪が付いており、何かを引き出せるかのようになっていた。
「よし、言ったとおり着けて居た様だね? 職場でも、取引先でも、着けていたのかい」
「くっ…は、はい、仰せのままに」
「ふふふ、そうか、かしましい新人秘書どもが『何か匂わない?』とか言ってなかったかね」
 羽須美は嫌々と首を振る。
「…そ、そのような事はありません」
「そうだろうな。私が直々に、中まできちんと洗ってやってるわけだからな」
 恥らう羽須美をさらに追い立てる真人。
「…うぅぅ」

 真人が、羽須美のアナルから出ている紐を引っ張る。
「はぁぅ…」
 悪戯に、くいくいと引っ張っては緩め、引っ張っては緩め、何度も何度も羽須美の穴を痛ぶる。ついでに、前の方にも手を回し、女の最も敏感な所を突付きまわした。絶頂途上で寸止めされた羽須美は、その快感で早くも達しそうになるが、真人がそれを許さない。八合目から九号目の辺りを、絶妙な愛撫で行ったり来たりさせられる。
 羽須美の中から大粒のパールが引き出されると共に、陰唇を好きなようにくつろげたり、尿道を小指で擽ったりもする。…その部分は真人もまだ開発していないが、二穴責めに慣れきった後は、あれこれと弄る事を考えている。その意図を察した羽須美は、腰をきゅっと捻り、真人の手から逃れる。その時にアナルのパールを食い絞め、口からか弱い喘ぎ声を出した。
「まるで卵でも産んでるみたいだよ、羽須美君。今度は卵でも入れてみるかい? ははは、その卵で作った料理はさぞかし美味いんだろうな」
「嫌ぁ…」
 腸液を絡ませながら、にゅるにゅるとした感触を伝えるアナルパール。滑らかに仕上がった美女のアナルが、柔らかい抵抗感を手に伝えてくる。
「ふん、嫌だ、嫌だと良いながら、お前の尻穴は随分と現金な物だな。普通こんな大きなパールを平気で飲み込めやしないぞ? どうだ、気持ち良いのか?」
「くぁ…はぁん、い、良いですの…あんっ!」
 精一杯真顔を作りながら後ろを振り向き、たどたどしい口調で自らの淫乱さを懺悔する蓮見。
「くくっ…淫乱な妻を持って、お前の旦那は世界一の幸せ者だなぁ?」
「あぁぁぁ、そんな、い、言わないで、恥ずかしい…っ」

 そして、全てのパールが美人秘書の中から抜き取られた。
「あふぅ…」
 そこに左手の人差し指と中指を差し込むと、躊躇はした物の、容易に拡げられ、内部を外気に触れさせた。
 その中は痛々しいまでに赤く、肛門は、慎ましやかだった蕾などはまるで連想できない程までに引き伸ばされた。度重なる調教によって、もはやそこに皺は無く、完全なる性玩具としてのアスホールだけがぽっかりと口を開けていた。
 真人は秘芯の方にも手をやり、そちら中身も外気に晒した。そこは薄いピンク色をしており、何度も何度も主人にハメ込まれたろうとは思えない程の粛々しさを保っていた。しかし、それも異常な量の愛液と快楽による充血が見て取れ、やはり淫猥な佇まいを呈していた。
「綺麗だよ、羽須美君。どちらも、とても美しい色だ…」
「あ、ありがとうございます…、よ、喜んで頂ければ、あの、…」
 もどかしそうに肉感的な腰を振り、これでもかと見せつけ、スーツのスカートをたくし上げる。腰を押し出して、むわっとする淫臭を真人に嗅がせ、相手を興奮に誘った。
「入れて欲しければ言う事があるだろう?」
 調教され抜き、大柄な女性がまるで処女のように恥らう。その淫らな匂いと光景に最高に興奮してくる。
「さぁ、言うんだ」
 おずおずと腰を落とし、自分の尻たぶを掴み、それを開く羽須美。余りの羞恥心に顔を赤らめ俯きながら、言い含められた懇願のセリフを口にする。
「うぅっ…わ、ワタクシのケツまんこの中でおくつろぎ下さい。社長…」
 その言葉を受けて、真人はペニスの先を羽須美のアナルにあてがった。
「あぁ」
 そして、そう一言だけ呟くと、ゆっくりと腰を進め、美人秘書の中に進入していった。

「はぁぁー…っ!」
 全身を泡立て、汗を噴出しながら、待ちに待った狼藉者を迎え入れる羽須美。その中は熱く蕩け、ふやけきっていた。
 腸壁を擦り立てながら進入していくと、羽須美は腹の奥から声を上げ、真人の物をさも美味そうに喰い絞める。その感触が堪らなく気持ち良くて、真人は優しく胸を揉みながら、ゆっくりと羽須美の腸を愛した。
「あ、あ、あぁぁ」
 額に汗を滲ませながら、きりっとした表情をだらしなく緩ませ、唾液すら垂れ流しながら喘ぐ羽須美。その肌は快楽に上気して、アナルセックスの快感を見る者に伝える。
「ほら、お前も腰を使いなさい」
「く、ひぃ…」
 真人に命令され、くねくねと円運動を行う羽須美。
 羽須美のアナルは、膣と同じように、奥を擦るとはしたない声を上げてのた打ち回るように出来ている。真人はそこに容赦なく入り込み、自らの亀頭を図々しく接触させた。
 敏感な部分と敏感な部分が触れ合い、お互いの鼓動を感じる。それが互いの興奮を誘い、互いの腰の動きを速めさせる。

「羽須美、奥が良いのか? お前は、ケツの奥を犯されてヨガるような女なんだな?」
「あ、あぁ、そ、それはぁ、あはぁ…ん」
 羽須美は厭らしい指摘に耳まで紅くしながら、尚も腰を振る事を止めようとしない。
 快感が理性に勝り、勝手に粘膜を収縮させ、交渉相手の性器に粘液を吐きかける。そのせいで段々と尻肉が紅く染まっていき、陰部からは煙の立ちそうな程の熱気が込み上げる。…羽須美は濡れやすい体質だ。その粘液は、多目の陰毛に絡み、股間に淫らな化粧を施していく。真人の腰が羽須美の腰をリズミカルに突き上げ、肉と肉がパンパンと小気味良い音を立てると、そのリズムに合わせて濡れそぼった陰毛が踊る。
「あっ、あっ、あぁぁっ!」
 真人自慢のペニスの張り出したカリが、羽須美の腸奥を掻く度に、どこか敏感な所があるのか、下半身の筋肉を精一杯緊張させながら喘ぎ声を捻り出す。くちゅくちゅと音を立てながら、肉と肉を打ち合わせる音に同調し、喘ぐ。その音が、陵辱者に取っては最高のBGMとなる。
 情欲に駆られた真人が、腰の送りを早めた。
「おっ、おっ…ぉふっ、あ、あ、あ、あ、あ」

 真人が羽須美の淫核を摘み、優しく揉み込む。
「きゃぅっ!」
 揉む度に尻が締まり、真人を喜ばせる。
「あ、あ、き、キツいぃ…」
 そう言う羽須美の頬を掴み、後ろを向かせる真人。舌に唾液をたっぷりと乗せると、羽須美の口に流し込んだ。そして、舌を差し込むと、ペニスの抜き差しに合わせて歯茎を舐め上げた。
「ひぃぃ、ひぃぃ」
 夫婦の寝室でもしないような熱いキスに、脳神経を焼かれるような快感を感じる羽須美。腰の奥から溶け、脳髄を愛撫されるような快感に、ひたすら悶え、叫んだ。
「あーっ、あぁぁーっ!」
 もはや羽須美の顔は、涎と涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっており、いつもの美貌も淫猥に崩れきっていた。

 羽須美の腹筋が痙攣しだす。全身に鳥肌が立ち、締め付けが強くなった。
「ケツでイクのか? この淫売、ケツでアクメるとはな、つくづく見下げ果てた女だな」
 この社長室で毎日のように行われる拡張、挿入の調教によって開発され尽くしたアナルは、むしろ前の穴以上に羽須美の肉体を悦ばせ、精神を蝕む。
 尻から得る快感に戸惑いながらも、絶頂の期待に打ち震える美女。最高の絵面だ。
「他の男にもここを使わせた事があるのか? ん? この淫売女」
 分かりきった事を確認する事で、独占欲を満たそうとするサディスト。泣き喚く羽須美を犯し、じっくりと愛し抜いたのは、真人の記憶に新しい。これほどの美女、人妻のアナルヴァージンを堪能する。それは真人にとっても、それはとても得がたい体験だった。
「い、いいぃぇぇ、し、社長だけですぅ」
「そうかっ…、お前の穴は誰の物だ?」
「あ、貴方の…はぐっ」
 年上の美女が隷属を誓う様に興奮し、性急に腰を送る真人。
「わ、私のアナルは社長だけの穴ですぅ、社長専用の性処理便器穴なんです…っ!」
 自分の叫んだ厭らしい独白に感じたのか、入り口の括約筋をきゅっと締め上げ、激しい羞恥心に駆られている事を真人に告げる。それと、どれ程の快感を得ているのかを…。
「あぁぁぁ…だ、だから、お、お好きにお使い下さい、お気の済むようになさってぇぇ!」

 ―――あぁ、してやるさ。
 心の中でそう呟くと、俄然、大きいストロークで、強烈なピストン運動を行う。しかも尚、捏ねるような優しさで、昂ぶって敏感になっている羽須美の腸壁を、粘膜接触により愛撫する。何とも余裕を感じさせる、クネクネとした淫靡な腰つき。
「あぁぁー…っ!」
「あふっ、ふぁっ、はぁぅっ…!! はんっ、あぁぁっ!」
 掠れる様なセクシーな喘ぎ声を、まさに喘ぐようにして捻り出す羽須美。その叫びの合間合間に押し寄せる強烈な締め付けが、真人をついに追い詰める。何より、ペニス一つでここまで羽須美を追い込んだ事が、もはや我慢の限界だった。
 やがて羽須美にも限界が訪れる。それは、飽く事無い調教の経験により、その腸壁の震え具合で手に取るように分かった。
「あぁ~!? き、来ますぅ、社長…! わ、私、アナルで、アナルで気をやりますっ…!」
「そうか」
 あくまで冷たい口調の真人。しかし、今の状態の羽須美には、尻の穴に打ち込まれた杭も、冷たい真人の口ぶりも、髪を乱暴に引っつかむその腕も、最高に愛しく、女芯の奥からメロメロにさせる。それに応えるように、絨毯をふやかせる程の愛液を噴射させる。それが、羽須美の絶頂だった。
「ほ…ぉぉぅ」
 余りの快感にぶるぶるっ、とおこりにかかったように震え、白痴じみた笑みを浮かべながら涎を垂らす羽須美。アナルを刺激されて潮を吹く。…余りにもエロティックなシチュエーション。真人にも射精感が押し寄せる。
「あっふぅ」
 真人は乱暴に羽須美のアナルからペニスを抜くと、羽須美の顔を両手で掴み、ペニスをその可憐な唇に押し込み、敏感な亀頭を舌に乗せた。

「ん…むぅ」
 鼻を鳴らし、快感に喘ぐ真人。その声も、仕草も、羽須美にとっては軽い絶頂感を誘うものだった。そして真人は、己の罪悪を穢れなき口膣に発射する。
 びゅる…びゅっ…。
 容赦なく。羽須美の喉の奥に、べっとりとした濃厚な白いゼリーを流し込んでいく。物凄い性臭が羽須美の鼻腔をくすぐる。それだけで、羽須美の身体は喜悦を感じ、軽く達してしまう。喉を降りていく粘液の感触が、まるで食道を犯されるようで、心地良い。
 ―――あぁ…、こんなイヤラシイモノで…私、あぁぁ…。
 自らの身体が勝手に反応する様が、堪らなく惨めでありながら、奇妙な快感を呼び込む。もう引き返せない…。私の肉体はもうこの人にマーキングされ尽くされて、この人の欠片に触れただけで、腰の奥からメロメロになってしまう。そんな実感が、喉にへばり付く様にして、臓腑に落ちていった。
 身体の奥に染み渡るセックスの残り香。上からも下からも、隅々まで濃厚な男の匂いを擦り付けられて、羽須美は全身を震わせる。正に体現された女の悦びが、否も応も無く、羽須美を虜にしていった。

 焦点の合わない目で、真人の顔をとろんと見つめる羽須美。ぞくりと来る色気がある。―――この女の胃に子種を入れた。
「あむぅ…」
 羽須美は鈴口を吸い、熱いパイプから精子の残りを引き出していく。ちゅっ…ちゅっ…と、小鳥のさえずるような音と共に、腰骨を擽られるような快感が走る。じわじわと精子が吸い出され、羽須美の舌に乗る。
「あぅ…」
 羽須美は精子を舌で弄び、舌で上顎にこすり付けると、その感触に満足したかのように、腹の底から大きな溜息を吐いた。

 そんな羽須美の頬を撫で、優しげに語りかける真人
「ふふ、今日の趣向はどうだった? ハニー」
 クサい口調で羽須美に問いかけ、ふっ…とキザに笑う。
「あ…は、よ、良過ぎぃ。腰が抜けちゃったわよぅ、あ・な・た♪」
 それに対し、鼻から抜けるような甘ったるい声を出しながら、真人の腰にクネクネと巻きつく羽須美。
 羽須美が潤んだ目で真人を見つめると、真人はプラチナの結婚指輪を付けた手で羽須美の手を握り、羽須美の額にキスをした。
「それにしても、今日は保ったわねぇ…うふふ、あんなにイカせてくれるなんて思わなかったぁ…」
「ふふん…、何しろコンドーム三枚重ねだったからな」
 情けない事を言いながらニヒルな笑みを浮かべる真人。…つもりだったのだろうが、その顔は愛しい妻を満足させた事に至上の達成感を得た喜びに満ちて、緩んでいた。


*


 日々こんな放蕩を続ける新村社長夫婦の勤める会社は、社員に「あのバカップル富豪が」等と揶揄される社長を持つ、型に囚われない自由な社風が信条です。

小説(転載) 隣人からのメッセージ

官能小説
04 /29 2015
隣人からのメッセージ

 私の中に数人居る事は知っていたし、それは他の人もそうで、それが普通なのだと思っていた。「今日は誰なの?」なんて、友達に話しかけて、「?」な顔をされる事もしばしば。
 時折記憶の飛ぶ私を見て、友達やお父さんやお母さんは、物忘れの激しい子、程度に見ていた。だから違和感も無く私は成長していった。
 妹の未夕は比較的早くから、私が「そう」だと知っていたけど、お父さんお母さんが「そう」だと認識するまでは、かなりの時期を経てからだった。その後、少し、お父さんとお母さんの間でトラブルが増した。
 …多重人格だとか、乖離性同一性障害だとか(自分に関係のある難しい言葉は、ワリと簡単に覚えられる物)、そんな事はどうだって良い。私にとっては、言ってみれば、関わりの無い親戚と言うか、そんなような遠い人が時たま夢から現実に手を伸ばしてくるような、そんな他愛の無い感じだった。
 活発な女の子が一人、幼い女の子が一人、ドモる女の子が一人、私と大体同年齢位の男の子が一人、暗いけど、ちょっと私より年上の女の人が一人。大体、把握出来る限りの俳優はそんな程度。多分他にはもう居ないと思う。私とその活発な女の子、ミウリ(身売とでも書くのか?)は、日記で双方の情報をやり取りしたりして、結構仲良くなった。

 中学生活も終わりに近づいて、私は恋をした。
 その恋はあっと言う間に破れ、その思い人は友達の彼氏になった。
 私は周囲から「性格が掴めない」と言われていて、結構良い評判が無かった。ただ、顔が良いだとか、成績が良いだとか、運動神経が良いだとか、そんな評判だけは良かった。顔はそりゃ当然自前だけど、勉強は年上のかすみさん、運動はミウリにやって貰っていた。人格が違うだけで能力も違ってくるのが、不思議。
 ムラのある成績から、私はやる気の無い生徒として、先生内にも有名になった。目の悪いかすみさんのかける眼鏡は、伊達眼鏡だと思われていた。
 友達だけは多い。知らない人だって話しかけてくる。でも、彼氏だけは出来ない。
 疲れるよね。そんな人と付き合うなんて。

 初めて私がトオル(男の子人格)に話しかけたのは、男の気持ちってどんなモノなのか、それを知りたくて、ってのがきっかけ。
 くずはちゃん(ちっちゃい子。妹と仲が良い)はともかく、他の人は、ミウリと私の日記を読んでいるだろう、と思った。それで、ミウリとの筆談の中で、意識的にトオルを持ち出すようにしたのだ。ミウリは何それーって反応してたけど。
 あ、ちなみに、私の名前は未央。どうでも良いけど。

 返事はすぐに来た。
 ミウリの服と私の服は、別々にされている。これがプライバシーと言うヤツだ。それを知っている(であろう)トオルは、私のトレーナーが入っている所にメモを入れていた。
「話、したいんですか?」
 私はムカッと来て、そこにメモを書き込んで、置いておいた。
「勝手に女の服に触るのは痴漢って言うんだよ、バカヤロー!」
 トオルは素直に、「ごめんなさい」と書いてきた。

 それが、トオルとの初めての接触だった。


*


 トオルの話は的を得なかった。しかし、私は根気強くやり取りを続けた。
 しばらく、自分はどういう性格なのか、どういう趣味なのか、そういう話題を振って、段々とトオルが男っぽい趣味をしている事を知った。それで、余計に男の心理を聞きたくなった。
 男の子ってどういう子が好きなの?って、直接聞くわけにも行かないから、私も的を得ない質問の仕方をしていたのかも知れない。でも、やっぱり察しの悪いやつだなって思う。

「トオルって、女の子の体してて、どう?」
「別に」
 いつも、別に、別に…。かったりぃなぁ、こいつとのやり取り。
「男なら、やっぱし女の子と恋愛するんでしょ?」
 そのメッセージには、ろくな返事が返って来なかった。だから、私は少し痛い事を言ってみた。
「トオルってもしかしてホモ?」
「違うよ!」
 って怒った雰囲気で返事が返って来た。
 そんなに怒る事無いのに。全く、短気なんだから。

「女の子の体で男の子やるって大変でしょ。学校だと女の子のフリしなきゃいけないし?」
「あぁ、まぁ、そうだけど」
 気の無い返事。いっつもそう。
「辛くない?」
「もう慣れたって言うか、しょうがない。諦めてる」
 …その時、何故私がそう考えたのか分からない。興味本位だったのかも知れない。同情だったのかも。ただ、良かれと思って提案したのは確かだった。
「お金上げる。これだけ使って良いから、好きに男装しなよ」

 いつも日陰に居るトオルは、いつも無愛想で、そんな事じゃいけないと思った。それは、この奇妙な提案で、簡単に突き崩せる物だとも。
「ありがとう」
 その時も無愛想な返事が返って来て、いつか私のタンスに男物の服が入ってくる事を連想した。しかし、暫く経ってもそれは起こらず、その前にトオルからのメッセージが入ってきた。
「でも、良いの?」
 歯切れの悪いトオルの返事。
「何よ。言いたいことあるならはっきり言いなさいよ。男なのに女々しいのよアンタ」
 と、強く押した。
 また、暫く経ってからのトオルのメッセージが返って来た。
「服を着替えたら、体を見る事になる」

 あぁ…。言われてみれば。
 いつも、コイツにだけは風呂に入れた事が無かったっけ。そこら辺は面倒見のやたら良いミウリが全部仕切ってるから、私は無頓着だったんだ。いつもミウリやかすみさんに言われる。無防備だ、ってね。あと、危なっかしいとも言われたり。
 でも、トオルだってミウリやかすみさんと同じく、同居人なんだから、差別はいけないと思った。ある意味でこいつの体でもあるんだから、見られても構わないとも。
 或いは、彼女らが自分の体を見られるのが嫌だったのかも知れない。その配慮を欠いたのは、やはり、トオルの男性性への興味だった。
 私の強い許可が降りて、トオルは意気揚々と街に出掛けて行った。

 次のメッセージは、デジカメでのビデオメッセージだった。
 なるほど、こっちの方が良い。
 早速中を観ると、緊張した面持ちの、中々の美少年がベッドに腰掛けていた。当然、それが私の男装した姿だった。
『えぇと、…初めまして』
 ぺこり、と挨拶をする「トオル」。
『あのぉ…お金ありがとう。いや…って言うか、買い物させてくれて』
 照れ臭そうに頭を掻く。それを見ながら、私はわくわくしていた。久しぶりに会った兄弟のような、微妙な親近感。懐かしさが全く感じ取れないのは、当然だ。
『…それじゃ、また』
 と、言って、ビデオがぷつっと切れた。
 ―――え、これだけ?
 少しあっけない幕切れで、トオルとの初対面は終わった。

 私もビデオメッセージを残そう。そう思い、鏡を見て、髪を整える。鏡の中には私しか居なかった。
 制服から私服に着替え、ベッドに座ってビデオを撮る。多分テレビの上にビデオを置いたんだろう。私もそこにビデオを置いて、録画を開始する。にこやかな商業スマイルをしながら。
「えぇ…服の事だけど」
 なんて言ったら良いだろう。
「格好良いじゃない。君、中々センス良いよ」
 お世辞ではなく、かなり格好良い男の子になっていた。私は普段からショートカットなので、ボーイッシュだなんて言われる事が多かったけど、それは全部ミウリの趣味だった。
「そのまま女子高かなんかに行けば、レズっ娘がほっとかないんじゃ無いかなー。あはは」
 下らない話題…。私は途端に冷めて、ビデオのファインダーがうざったくなる。
「…」
 案外、話す事なんて無いものだ。
 笑顔を作って、手を振った。
「それじゃね」
 ビデオを切って、データをパソコンに持って行って確認しようとした。でも、面倒臭くて、メモリーを抜いて、そのままタンスに入れておいた。

 その後は、いつも通りにメモでのやりとりになった。

「トオルって私と趣味似てるんだ。良いよね、この曲。クラスじゃあんまウケてないけど、マジでワケ分かんないよね。売れるとか、売れないとかって」
 それから、私達の話題は弾んだ。主に、私や夏(ドモる子)が買って来たCDやゲームの話。大体は音楽だったかな。
「あの歌も良い詩してるのに、そのパクリみたいな曲の方がウケてるもんね」
 私がその時振ったのは、恋愛の歌。トオルも好きだって言っていた。
 久々に、話題の乗る相手だった。
 徐々に思う事を歯に衣着せず、言い合えるような仲になって行った。一回一回に時間のかかるやり取りだから、「私達」はもう高校に入学していた。
 高校では、周りの友人がより深い猥談をするようになっていた。私達もそれにつられて、より深い猥談をするようになっていった。それも、兄弟みたいな軽い気持ちで。…私はトオルの姉? それとも妹?

 トオルは物事を難しく考える方らしい。
「俺はさ、心は男で、体は女だと。それで女と恋愛したら、レズになんの? ノーマルになんの?」
 そんなの知らないよ。
「さぁ…」
 こいつは思い込みの激しいたちなのか。
 いや、それとも、いつも子供が大人にするような、「なんで? どうして?」な幼稚な質問なのかも知れない。
「女の体で、男の人格で、女の人格と恋愛したらレズになんの? つーか、『恋愛』の範疇になるのかな」
 ―――なりやしない。
 何故か、確信がある。自分は生きているに決まっている、といった感覚に似ている。
 私はからかい気味に、「何? もしかして私達の中の誰かの事好きなの?」と、書いた。

 次の日、メモには、「別に…」と書いてあった。


*


 高校に入って、どんどん私の周りの人達は彼氏を作り、処女を捨てて行った。エッチな話がどんどん耳に入ってくる。私も彼氏を作ろうとするんだけど、どうしても出来なかった。くずはちゃんが出てくるのだけは避けなきゃならないけど、そうも行かない。それが一番の原因だったかも知れない。
 反面、オナニーだけはどんどん激しくなって、エッチな事を試しまくっていた。
 ローターだとか、シャワーでオナニーするだとか。膜だけは傷付けたくなかったから、入れる事はしなかった。自分の体を触りながら、自分に魅力が無いんじゃないか、なんて思ったりした。
 そんな事は無いはずだ。顔は良い。背だって小さくない。胸だって友達内じゃ一番大きい。ただ、近寄りがたいのかも。そんなの、どうしようもない。

 身近な男と言えば、お父さんだけど、そんなのは例外。やっぱり、トオルが一番の相談相手だった。
「ねぇ、トオル、あんたって私の体の事、他人みたいに思ってる?」
「まぁ、そう言われれば、そう言えない事も無い」
 はぁ、んじゃ異性って思えない事も無いのかな…。
 単刀直入に聞いてみる。
「私の体って、どう思う?」
「何が?」
 全く察しの悪いヤツ。
「女として、どう思うかって聞いてる」
 でも、トオルはあんな性格してるから、まともに返事しないだろうなって思った。
 案の定、返事は「別に」。やっぱりね、シャイなヤツ。

 面白くなってきたから、ちょっとからかってやる事にした。
「トオルってオナニーすんの?」
 ちょっと過激すぎたかな。トオルからの返事は素早かった。
「しないよ!」
 と、大きな字で書き殴ってあった。私はソレを見て、腹を抱えて笑った。
「本当? それってムラムラすんじゃないの? 玉無いから大丈夫なの?」
「別に」
「んじゃ、テレビとかでベッドシーン見ちゃった時って、どうなんの?」
 以下、別に、別に、別に…。
 段々ムカついてきた。
 んなわきゃ無いでしょ。あんたは病気なの? そんなわけないよ。男は女とヤリテーわけ。女は男をモノにしたいわけ。プラトニックもクソも無いでしょーが。プラトンなんてただれたチェリーボーイなのよ、きっと。トオルにだって性欲が無いわけがない。

 どうあったって、これは沽券に関わるワケよ。女が男よりすけべーであって良いわけが無いっつー事で、私は何とかしてトオルから性欲むんむんの姿を引き出してやろうって思った。
 エロ本を男友達に選んで貰ったりして、ごっつエロいのを買ってみた。そんでもって、トオルにあげた。
「オナニーする時は、私の体なんだから、きちんとビデオに撮って、変な事しないよーに。はぁと」
 暫く返事が返って来なくなった。
 でも、
「まさか隠れて私の体に触ってるんじゃないでしょうね?」
 と、書いたら、すぐに反応するようになった。
「するわけない。オナニーなんてしない」
 ちょっとムカつく。なんて、って言われたら、私とかどうなんのよ。
「なんで?」
 優しく聞いてあげる。きっと、私の方がお姉さんだよね、コイツよりは、さ。

「別に」
 少し踏み込むと、すぐにこれ。まったくシャイボーイだよ。生涯童貞が約束されてるだけはあるよね。でも、私はなんとしたってトオルにオナニーさせて見たくなった。それはもう使命のように感じていた。
「ふーん、そういう仲だったんだ、私達」
「体が男じゃないから、出来ない」
 …可愛いヤツ。
「あのね、体が男じゃなくてもオナニー位出来るでしょ」
「出来ないよ、男のオナニーは」
 そう来たか。
「男も女も一緒でしょ、一人でヤって一人で気持ち良くなる分には。クリトリスなんてちんちんのなりかけだって言うじゃない」
「マジ?」
 そんな事も知らないの。バカじゃないのコイツ。
「マジよ。エロ学者さんの言う事信じるなら、ね。そんな事言うって事は、触ってみた事ないの?」
 なんとなく優越感に浸る私。可愛いやっちゃ。まだまだコドモなのよね。

 目的が、男への興味から、トオルへの興味へと移りかける。今はどちらとも言えない。
 トオルは段々とイラついた文体になっていく。私はそれも楽しんでいる。
「禁止してる癖に。それに、恥ずかしくないの?」
 なんて、ちょっと挑発的な言い方をしてくる。そんなのに乗る私じゃねーっつーの。
「禁止なんてしてないよ、別に。それに恥ずかしくないの?って、何言ってるのよ、私達の仲よ? どうせ、二心同体なんだし、いや…五心だけど、まぁ良いとして、とにかく、脳みそ取られて、今更体も何も無いわ」
 トオルを怒らせるのは簡単。
「あんた女なんでしょ? ちんちん触ってオナニーしない思春期の男なんてどこに居るのよ」
 ちょっと小突いただけで、すぐこいつは反応する。それが最近は楽しくて。
「差別だ」
「差別じゃなくて区別って言うの」

 口(文字?)でトオルが私に勝てるわけも無い。頭も悪そうだし、経験も薄いし。そんなトオルが面白くて、私は何度もからかった。
 当然、トオルもただでは転ぶまいとしていた。
「体に触ってみた」
 いきなりの展開に、私は少々ビビった。
 ずっと潔癖みたいにオナニーを避けてた癖に、いきなり「触った」は無いでしょう、と。
 何をされたのか分からない不安に、私は少したじろぐ。思わず怒りの文面を書き殴った。
「勝手に触るな! ちゃんとビデオに撮れって言っただろ!」
 しかし、トオルは冷静に返事を返して来た。
「触って良いって言ったじゃないか。禁止して無いって」
 そう言われると弱い。
 まぁ、良いんだけどさ…。自分の体で無茶はしないでしょ。
 すぐに私の興味は次へ移る。
「もう、良いよ。で、イケた? エロ本読んだの? それとも、私の体見て興奮しちゃった?」
「エロ本読んだ」
 やっぱりね。

 悪戯心が沸く。いや、沸きっ放しだけど。こんなに刺激的な事もそうそう無いから、私はどんどん積極的になった。
「私の体にも興奮したんでしょ」
「するもんか」
 いつもの仏頂面。
 そんな事無いでしょう。男なら、女の体に触ってどうって事無いなんて、それこそ有り得ない。
 対抗心もあった。
 優勢な私。それが、トオルの行為を見抜けないなんて、そんなのは癪に触る。
「正直に言いなよ。別に変な事じゃないでしょ。友達の弟なんて、その友達が悪戯でおっぱい見せたら、ズボンの前押さえてくの字になったってさ」
 嘘を吐いて、体を乗っ取って、それで勝手にオナニーするなんて許せない。だから、少し強く出てみるんだ。
「正直に言わないと、もうエロ本買ってきて上げないよ」

 さすがにこれは効いたらしい。トオルはすぐに降参の白旗を上げた。
「見たいよ。俺も男だし」
 優越感で、背筋がぞくぞくした。
「そう…やっぱり見たいんだ」
 男のトオルは女の体なのに、女のオナニーをして、気持ち良くなる。男のトオルは、女の私の体を見てオナニーをするんだ。
「私の体見たいんだよね」
 良い遊びを思い付いた。
 トオルは他愛無い。だから、何も恥ずかしくなんて無かった。

「見せてあげる。私が言うとおりやるの。私のビデオを流しながら、トオルも一緒にそれを録画するの」


*


『これは…トオルのためにして上げる事なんだから、感謝してね』
 モニターの中から、男装した女の子の姿が見える。その子は顔を真っ赤にしながら、泣きそうな顔でもじもじしている。それが、物凄く可愛かった。自分の顔には思えなかった。みんな表情が違うから、それもそうだろうけど。
 隣に裸の女の人の写真が載っている本を置いている辺りが、少し違和感がした。
『私の言う通りに進めるんだよ』
 ビデオの中から、ビデオの声がする。私の声。私が録画して、トオルに渡したデータから流れる声が、トオルが録画した画面の背後に流れている。
『ビデオとテンポが違ったら、そこで停止して待つ。分かった?』

 トオルは膝を擦り合わせてじっとしている。まるで、風俗で女の子を待ってる男の人みたい。はは、見たことも無いけどね。
『ズボン脱いで』
 画面に流れる、ビデオから流れる私の声。トオルはそわそわして、落ち着かなさげに襟を弄っている。テレビには私の下着姿が映っているはずだ。私達は同じ体だけど、こうしてビデオを通すとまるで他人のよう。人が私に、まるで人が違ったみたいって言うのも分かる。
 自分では見えない部分が見えることが、なんとはなしに面白い。
 今にも倒れそうな顔をしながら、トオルがズボンを脱いで行く。ふふ、初心なヤツ。
 折角の男装が、服を脱いでしまっては、全く意味が無い。だから、わざと上着だけは残させて、私が見た時の楽しみを残す。
 へぇ…こうして見ると、私の腰周りって結構色っぽいじゃない。結構キワドい水着着ても大丈夫かもね。

 画面の中の私は、そのまま上着まで脱いで行く。ブラで包まれた、私自慢の胸が現われる。そんな事をしたはず。こっちからは見えないけど。
『ほら、これがトオル君待望の未央ちゃんおっぱいでーす』
 恥ずかしいから、ブラまでは取らない。でも、わざとそれを寄せて、谷間を見せ付けてやった。確か、そう。
 それを見て、画面内のトオルが腰をもじもじと動かす。
 ふふっ、効いてる効いてる。
『女の子の胸は敏感だから、強く揉んじゃ駄目なんだよ。それに…揉むだけじゃなくて、先っちょとかも優しく触るの。したいなら、トオルのオナニーにも取り入れな』
 その言葉に反応して、シャツの上から胸を揉もうとするトオル。でも、次の私の言葉を聞いて、その動きを止めた。
『でも、それじゃ女の子のオナニーになっちゃうよねぇ。あはは』
 顔を真っ赤にして、パッと手を離す。手持ち無沙汰になったのか、握り拳を作ったあと、ゆっくりと自分の膝を撫でていた。
 私はその動作を見て、腹をかかえて笑った。だって、凄く面白いんだもん。

『…次はぁ、お待ちかねのアソコね』
 画面内の私が、少し戸惑ったような声を出す。
 ―――どうせ同じカタチなんだ。そんな風に考えてはいたけど、さすがに…画面内の私の顔は、少しくらい赤らんでいるだろう。
 股を開いて、そこを画面に晒した。指で、そこを指し示す。その動きに連動して、トオルが自分のあそこに手を伸ばす。思った通りのタイミング。
『ここが女の子の性器…』
 トオルが生唾を飲み込む。
『分かるよね。大体の部品は、さ。でも、教えたげるね…。トオルも、一緒に触るんだよ』
 ある意味、男の子に初めてのオナニーを教えている。それが見ている私を最高に昂ぶらせた。

 トオルが、両手で花弁を押さえる。
『ん…』
 画面の中から声が聞こえる。
『ここが膣ね…。私、まだ処女なんだから、入れちゃ駄目だよ?』
『うぅっ…』
 トオルが呻きながら、私の膣の入り口を指で撫でる。私はソレを見て、少し濡れた。
『…入り口に指くらいなら入れて良いよ。人差し指でゆっくりね…』
 トオルの指が、私の入り口を犯す。
 あぁ、こんなに拡がるんだ…。そりゃそうだよね、赤ちゃんが出てくる穴だもん。
『はじめはゆっくりね…』
 ゆっくり、ゆっくり…トオルの指が動く。
『胸触った方が早いよ』
 でも、トオルは胸を触ろうとはしなかった。強情な。
 女の子みたいに綺麗な少年が、女装してオナニーしているような、そんな不思議な光景。しかし、その格好は男物の格好だ。
 そのまま、トオルは私の花弁や入り口を優しく突付いて、気持ち良くなって行った。

『ん…ん…』
 私の喘ぎ声が聞こえる。トオルは口をぎゅっとつぐんで、耐えている。
 そのまま、しばらく愛撫していると、奥から愛液が染み出して来た。トオルは今、最高に興奮しているだろう。見て分かるほどにクリトリスが立っている。…私のクリトリスは割りと大きい方なのだ。
『尿道口とか、お尻とかあるけど、んなモンどうだって良いよね…。ヘンタイじゃないんだから』
 トオルの指が段々と上に上がっていく。そして、自分の指が一番敏感な所を捉えると、トオルは腰を跳ね上げ、眉を寄せた。…なんて色っぽい反応。見てるこっちが切なくなっちゃうよ。
『ここが…一番キモチイイ所ね…。女の子のおちんちん』
 画面から、くちゅくちゅと粘着音が流れてくる。トオルの股間からではない。画面の中の画面の、私の股間から流れる音だ。
 トオルはその画面を凝視して、腰を浮かせながら、荒い息を吐いてその部分を指で優しく揉んでいる。

『いつも、ここを触ってオナニーするの。…良いでしょ』
 何度目だか分からないほど、トオルは何回も唾を飲み込んで、そこを人差し指で転がす。
『ここはね、皮を被ってるのよ』
 トオルはくりくりと指を動かす。「くぅぅー…」って表情をしている。私も同じ動作をしていたのだろう。
『で…それを剥いちゃうと、凄いの』
『あ、あ、あぁ…んぐ』
 口を押さえるトオル。画面の中の私は平然といているはずだ。でも、トオルは戸惑いながら、それをゆっくり剥いていく。その時に出る声を抑えようと、枕を一生懸命噛んでいる。

『慣れてるっちゃ慣れてるんだけど…、やっぱり加減知らないと痛いと思うから、自分のヨダレをたーっぷり付けて塗りこんでみて』
 私の言葉に合わせて、すっかり快楽の虜になって素直になっているトオルが、自分のヨダレを指に乗せる。そして、それをクリトリスに塗りこむと、もう一度、もう一度と、何度もそれを繰り返した。
『ん、んんっ…』
 トオルは顔を真っ赤にしながら、はしたなく股を広げ、腰をカクカクと動かす。画面内からは、私とトオルのオナニー音が、脳みそが痒くなるほど響いていた。
『あ、あ、こ、え…出して…っ…そうすると、すっ…凄く良くなるから、ぁぁ』
 私の言葉に反応して、トオルが顔から枕を離す。すぐに喘ぎ声が漏れて、私の喘ぎ声と同調する。
『あっ…あっ、あぁぁ』
 声を上げた瞬間に、トオルの体が痙攣した。
 知っている。わざと声を出すと、エッチな事をしている事が分かって、気持ち良くなるんだ。
『あぁっ!? あ、あひぃ…』
 自分の体の変化に戸惑うトオル。画面内にあるであろう画面内の私も大いに盛り上がっている。それを見ている画面内のトオルも盛り上がっている。それを見ている私は、触っても居ないのに、もっと盛り上がっていた。
『き、気持ち良いでしょ』
 そう、凄く気持ち良いんだ。
『エッチな言葉を一杯言うの…あぁ』

 トオルが涎を垂らして喘いでいる。とろぉーん…とした目で。
『お、俺ぇ、ちんちん触ってるよぉ』
 クリトリスを扱く様に弄るトオル。
『うぅぅ、き、気持ち良いよ、お、俺、ちんちんでオナニー…してるっ…!』
 なんて切ない声。
 トオルと私が昂ぶる。指の動きが激しくなる。ねちゃねちゃと粘着音。シーツが濡れてる。段々と足の先がピンと張り、快感が深まっている事が分かる。

 トオルの腰が止まった。足で自分の手を挟み、ぎゅっと押し付ける。
『い、イク…っ、イク、イクぅ』
 足を揃え、腰を押し出した。…女の子の中に精液を送り出そうと言うのか。そのままの格好で、体を震わせて、絶頂へと向かって行く。私のアクメ声と、トオルの声がユニゾンする。
『はぁぅ…い、いっくぅ…』
 それは女の子の声。私より少しだけハスキーな、女の子の声。
 女の声なのに、妙に色っぽくて、ぞくぞくした。
 トオルの中から、少し白っぽい粘液が流れ出た。
 ぐったりとしたトオルは、深い溜息を吐いた。その顔はとても満足そうで、凄く可愛かった。私はそれを見ていただけで、軽くイった。

 私は満足して、ビデオを止めた。
 ふぅ…っと一息付く。例のビデオと一緒に置かれていた一切れのメモに目を通す。
「凄い気持ち良かった…。すっきりした。ありがと」
 それからも、私はトオルを男装させたり、女装させたりして、そのオナニー風景を撮って遊んだ。トオルは少し明るくなった。
 私も、男の子がどうやったら喜ぶのか、段々コツが掴めて来た。男ってかなり夢想家って言うか、妄想的って言うか、絵本に登場する女の子みたいな清純な子が好きみたいで、そうじゃなかったらポルノスターみたいなエロエロが好きみたい。どっちゃねんっつーの。
「トオルって彼女欲しいって思ったりすんの?」
「別に」
 こいつは、全く無愛想なんだから。
「私はねぇ、彼氏が欲しくって。今度、出来たら紹介するよ」
 と、言ったら、トオルの返事はいつも通りの物だった。
「別に良い」
 全くもう。いつもの事だけど、無愛想なヤツ。でも、そこがちょっと可愛いんだ。
 可愛い、バカな、エッチな弟が出来たようで。

 …トオルはいつも、イク時だけは女の子の表情をしていた。


*


 それから暫くして、私には彼氏が出来た。
 トオルとのオナニーごっこはもう終わりにしよう、と思った。少しゴネられると思ったけど、それだけだった。

 いつも通り、メモにメッセージを残す。
「私はもう彼氏が出来たの。変でしょ、こんなの。だから、もう私達、あんな事やめるの」
 トオルの体は辛いかも知れない。だから、私は優しくこう提案した。
「今度レズの友達連れて来てあげようか?」
 ―――トオルも彼女を作りなさい、と。

「…そんな事、メモに書いてなかった」
 文字から、唖然としているトオルの顔が見える。
「なんで彼氏が出来たらやめるぞって言ってくれなかったんだよ。俺、別に…先に言ってくれれば」
 やっぱりその気になってたんだ。
 だから、トオルはしつこくも私を諦めようとしなかった。
「別れろよ、そんな男」
 ゴネるとは思ったけど、そこまで言うとはね。
「勝手言わないでよ、会えもしないくせに」
 同じ体で、別々の現われて、どうやって私達が親交を深めるって言うの?
「会えもしない、体は女、それに、あんたが出てる時は私は出れない。そんなのお遊びでしょ? まだ電話Hの方が生身だわ」

 しばらくトオルからのメッセージが途絶えたと思ったら、ビデオでのメッセージが返って来た。熱気の篭った、強烈なビデオ。
『どうしろって言うんだよぉ…。会えもしない、ってか、会うって言うか…』
 自分の手をじっと見るトオル。その手を見て、手の甲に頬擦りをした。
 私は背筋を凍らせた。鳥肌が立つ。
『あんなに…しといて…お前は…』
 トオルの目から涙。
『ほ、本当にやめちゃうの…? 俺が、あ、会えないから?』
 自分の体を抱きしめるトオル。また、悪寒がした。
『うぅぅ…、俺だって、会いたいよ、触りたい。お、俺がいけないのかよぉ、ち、違うだろ、や、やめてくれよ、本当に、本当に別れてよ、俺の…俺の体でもあるんだぞ…!』
 勝手を言うな、勝手を。
『この顔も! この胸も、この足も…、こ、この手だって、その変態男の物じゃないだろ!?』
 顔を撫で、全身を撫で、拳を作って床を叩く。
『俺が一番知ってるんだ…。趣味が合うって言ったじゃないか。センスが良いって…』

 トオルが自分の顔を手で覆い隠す。
『だから! 好きなんだよ…っ! 俺、もう未央の事が、本当に、本当に、本当に、本当に、本当に、本当に、…本当にっ、好きで、好きで、す、き、でっ! しょうがないんだよ!』
 トオルの熱意が私を怯えさせる。私は完全に引いていた。
 すると、急にトオルは静かになった。
 その肩が震える。細かいヒクッヒクッとした呼吸音が聞こえる。暗い。…とにかく暗い。

 それから暫くしてビデオが止まった。
 私はそれ以来、トオルとやり取りしようとはしなくなった。
 それでもトオルからのメッセージは届いた。

『別に何と言われようと構わない。知るものか。見てろ、良いか、俺は絶対に離れないぞ。方法なんて? いくらだって思いついてやる。絶対に離れるもんか!』
 激昂するトオル。しかし、私はそれを無視し続けた。
『俺の事忘れようったってそうは行かないぞ! 俺はお前なんだ! お前だって俺を好き勝手に遊んで…。なら、俺だってお前を好きにしたって良いだろう!』
 段々過激になる内容。無力なトオル。たまにしか出て来れない哀れなトオル。私は内心怯えながら、自分とトオルの支配権の違いを考える。簡単に、安心出来た。
『なんで連絡してくれないんだよ…。なんで…』
 トオルはすぐに気弱になった。
『ごめん、もう嫌な事言わないから、もう、本当に無視しないで』
 段々弱々しくなっていくトオル。
『ごめんなさい、もうしません…許して下さい』
 観るも無残な姿。私は余計にキモくなって、返事なんてしやしなかった。
『昨日、テレビでやってた映画観たんだけど』
 最後には、私の返事に関係無く、勝手にしゃべるようになった。
『ほら…君、前にあの映画観たいって言ってただろ。だから、俺、あれ録画しといたよ。ビデオデッキに入ってるから』

 それでも私はトオルを無視し続けた。
 ビデオだけはちゃんと観た。彼氏を呼んで、私の部屋で一緒に観た。中々面白い映画だった。期待していただけはあった。何よりも、ベッドシーンがあって、私達は盛り上がってしまった。
 彼氏は経験豊富で、優しくて、凄く気持ち良くしてくれた。

『あれ、面白かった? 俺は面白かったよ…』


*


 異変は、意外な形で現われた。
 最近未夕と話して無いなって思ったんだ。それが、そんな形で…。
「あの子が変」
 ミウリもそう言って来た。
 話しかけても、怯えるような表情をした後に、作り笑顔をする。明らかに怪しい未夕の挙動。
 ミウリは私とトオルのやり取りを知っていたけど、止めなかった。でも、今回は流石に介入してきた。
「未夕ちゃんの部屋のビデオ、見なさい」
 は?って思った。
 未夕の居ない内に、未夕の部屋をガサ入れた。ベッドの下から出てきたダンボール。中からはラベルの貼っていないビデオテープが。それが、ミウリの言う「未夕ちゃんの部屋のビデオ」だろうという事は、すぐに分かった。分からないわけも無い。

 その中身は、トオルによる未夕へのレイプビデオだった。
 腰が抜けるようなショック。私の可愛い未夕。それをレイプするトオル。頭をハンマーで殴られたような気が、本当の本当にした。本当に、地球がグラッと回った。

『…これ着ろよ』
 トオルが未夕を乱暴に扱い、私の服を着せていく。未夕は泣いている。
 私は思わず叫んでいた。意味も無いのに。
『お、お姉ちゃん、許して、止めて…た、助けて』
『お姉ちゃんじゃないよ…トオルって呼んでよ、未央…』
 未夕は泣きながら、いやいやと首を振っている。
『や、やめて、お姉ちゃん』

『トオルって呼べって言っただろっ!』
 トオルの張り手が飛ぶ。未夕の動きが一瞬止まり、その後、大袈裟な程に泣き始める。

『あ、あぁ…』
 戸惑っているトオル。自分でやっておきながら。
『ご、ごめん、違うよ…俺』
『こ、こ、来ないで、来ないでぇ』
 未夕に抱き付くトオル。私の服に顔をうずめる。
「あぁぁ」
 私は頭を抱えて、ただひたすら何かに祈る。

 トオルが未夕にキスをする。未夕は体を硬くして、そのキスを受け止める。トオルの顔が真っ赤になっている。ぼうっと、陶酔するような。
『…』
 何かを未夕に耳打ちするトオル。未夕の抵抗が激しくなった。
『はぁぁっ』
 トオルが荒い呼吸をする。未夕の胸を揉む。私はただ祈っていた。トオルはそれでも未夕を弄んだ。未夕の胸を揉みながら、未夕の顔に頬擦りをするトオル。体を密着させて、未夕の動きを封じる。
 …画面は、そこで終わった。すぐに、画面が切り替わる。
 私は「あっ」と言った。未夕はベッドの上に座り、パンツを下げられ、そこを四つん這いになったトオルに舐められていた。

『ちゅるる、…ちゅるぅ、ちゅぱ、ちゅっ、じゅじゅぅ…んはぁ』
 わざとらしく音を立てながら、未卯のスカートの中に顔を突っ込んでいるトオル。何をしているかは明白だった。未夕の服が違う事から、さっきとは別の日だという事が分かった。抵抗が少ない事から、…一度目では無いという事も。
『んんっ…!』
 未夕は唇を噛んで耐えている。トオルは上手くも無いだろう。しかし、舌でそこを舐められて、シラフでいられるワケが無い。ましてや未夕はまだ子供なのだ。
『おいひぃよ、未央…。ここ、綺麗、未央のここ…最高だよ』
 画面を背に、トオルはそこから顔を離す。表情が見えない。
 立ち上がって、Gパンのベルトをカチャカチャと鳴らして外していった。
『ねぇ、俺のも舐めてよ…。未央、俺の事好きなんだろ、なら舐められるよね』

『うぅっ…』
『ほら…上目遣いしてよ、俺の目を見て…』
 未夕は涙で潤んだ目を上に向ける。トオルは未夕の頭を掴み、自分の股間に押し付ける。意味も無く腰を前後に振るトオル。
『あぁ…』
 必死になって舌を使う未夕。湿った音がそれを私に伝える。
 私は悪寒がして、自分の体を抱きしめた。
『うっ、うっ…、あ、あ、あむ…』
 トオルが自分の口を押さえる。自分の女声が嫌なんだ。未夕のうなじを撫でながら、むぐむぐ喘いでいる。

『むぁ…ん、ん、んんっ…!』
 トオルの腰がビクビクと動く。全身が紅潮し、トオルが得ている快感を見る者に伝えた。それを察した未夕が、怖いものから逃げるようにして、目を瞑って体を離した。
 その未夕の体を押さえるトオル。
『ヒッ』
『目を離しちゃ駄目だよ…』
『い、嫌っ』
 未夕の頭を掴んで、その額にキスをする。
『なんで目を離すんだよ』
 瞼にキスをして、ほつれた前髪を整える。トオルは上気した顔をしながら、少しイラついた表情を見せた。
『ほら、目を開けて…こっち見て』
 しかし、未夕は体を硬くしながら、首を振った。

『離すなって言っただろう…』
 トオルの声が低く、冷たい響きを鳴らす。
『お、俺の顔見てよ…、俺だけ見てよ、あ、あんなに仲良くなったのに、そ、そんなの無いよ』
 トオルは髪を掻き乱し、再度未夕の頭を掴んだ。
『好きだって言ったのに、返事も無いじゃないかぁ! 返事しろよっ、返事を!』
 未夕の顔を平手で打ち続けるトオル。未夕は呆然として、為すがままだ。未夕を殴りながら、殴った所を気遣うように撫でている。そして、何度も何度もキスをした。

 手を未夕の股間に入れるトオル。そこを触っているのだろう。何とも言えない声を出す未夕。本当に嫌なんだろう。しかし、手馴れたトオルの手は、そんな未夕をも高みに昇らせる。
『未央、うぅぅ、未央ぉ』
 未夕にキスしながら、胸を揉み、あそこを弄る。細かい動きは分からない。ただ、時折未夕の体がビクついて、敏感な箇所を愛撫されたという事が分かるだけ。
 トオルが未夕の体を撫でる。首筋に舌を這わせる。顔は興奮で緩み、目が潤み、息が荒い。未夕の息も荒くなり、体がぴくぴくと震えている。
 ディープなキスの湿った音が聞こえる。ぺちゃぺちゃと…何かを食べるような、胎内に取り込もうとでも言うような、そんな陰湿な音が。
 しばらくそのまま愛撫が続くと、未夕の体が痙攣し、背中が海老反った。
 トオルと口で繋がっているために、大きな喘ぎ声は聞こえない。しかし、子犬がすすり泣くような、胸が切なくなる声がかすかに聞こえた。トオルはそんな他愛の無い未夕の体を、震えが収まるまで、ゆっくりと撫でていた…。

『好きだ、好きだよ、本当に好きなんだ。絶対に離れないよ。離れられやしない…』
 トオルは返事の無い未夕を見て、歯噛みし、目を瞑って眉を寄せた。そして、恐らくは何かを取りに部屋を出た。しばらくして、部屋のドアが開いた所でビデオが止まった。
 そこまで見て、私は泣いていた。何を言ったら良いか、思ったら良いか、分からなかった。これから未夕とどう付き合えば良いのか。
 私がトオルをあそこまで追い詰めたんだ。トオルは思いつめて、あんな事を…。

 そうだ…トオルは私の可愛い未夕に手を出したんだ。
 あいつを絶対に許すものか。


*


 未夕に手を出した―――その事実はトオルを孤立させる結果になった。
 私達を敵に回して勝てるわけも無い。トオルは完全に「奥」に追いやられた。日中は私達四人が私の体を完全に支配。夜は大体私とトオルが出るんだけど、私が早く寝るようにして、自分の体を縛るようにしてから、トオルは夜にモガモガ言うしか出来なくなった。その拘束を解くのは未夕の役目だ。

 それからしばらくすると、トオルは出てこなくなってしまった。私はもう夜中にトイレに行きたい時にも我慢しなくて良くなった。それはとても良い事だ。
 ムシャクシャしていたって、して良い事と悪い事くらいある。
 トオルは越えてはいけない一線を越えたんだ。
 私だってそこまで罰する事も無いかな、とも思った。でも、それがやるとやらないを分ける基準になんてなるもんか。ミウリとかの押しが強くて、私はそれに沿っただけ。
 あれは事故。私は何もしていないもの。私はただ、私を着飾って遊んだだけだもの。

 今でも鏡を見ると、あの時のトオルの声が聞こえる。
「方法なんて? いくらだって思いついてやる。絶対に離れるもんか!」
 言われた時と違って、思い出されるそれはとても迫力が無く、まるで夢の中で噛み付かれたような恐怖感すら出てこなかった。
 しかし、いつか私の目の前にトオルが現われて、私に返事を聞きに来るような気がするのだ。その時、私はどう返事するだろう。

 子供の頃から一緒に居た友人は、今までも、これからも、ずっと私の隣に居る。
 そして私達は、今までも、これからも、一度も出会わない。

eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。