小説(転載) Wedding Anniversary 1/4
近親相姦小説
掲載サイトは消滅。ちょっとくどいかなと思わせるくらいが良いのかも。
第一話
「お兄ちゃん、お兄ちゃん」
「ん?」
「ねえねえ」
「どうしたんだ?」
「あのね~八百屋さんがね」
「買い物行って来たのか?あ、今日の夕御飯なんだ?」
「えっとね、今日はとんかつと、ポテトサラダにしようかなぁって…
ってそんな話じゃないのよ」
「じゃあ、なんの話だ?」
「え~っとね、あ、そうだ、これ」
清音が俺に紙を渡す。
「これは……ブライダルフェア?」
「うん、そう。将来の参考のために行っときなって」
「将来の為って…おまえまだ17だろ?」
「もう、17だよ。私結婚できる年なんだからね。
そんな妹がお兄ちゃんのために毎日毎日家事してるんだよ。
感謝してる?」
「もちろん感謝してるよ。いつもありがとう」
「う、うん、分かってるんならいいんだけどね」
「で、これどうするんだ?」
「どうするって?」
「誰かと行くのか?」
「私が?そんな人いないよ。私はお兄ちゃんの面倒見るので忙しいの」
「なんだ彼氏の一人もいないのか」
「悪かったわね…そういうお兄ちゃんはどうなの?」
「俺はいるわけないだろ」
「だよね。いつも帰ってくるの早いし。彼女がいるって感じじゃないもん」
「ほっとけ…じゃあ、どうするんだ、それ」
「う~ん……そうだ!お兄ちゃんと一緒に行くっていうのはどう?」
「誰が?」
「私が」
「誰と?」
「お兄ちゃんと」
「なぜ?」
「せっかく券があるんだからもったいないじゃない。それに何事も経験よ」
「なんだそりゃ…」
「ダメ?」
「まあ、いいけどな」
「それじゃ、今度の日曜日にね」
「ああ」
清音は嬉しそうに台所に消えていく。
何がそんなに嬉しいんだか…
日曜日―
「お兄ちゃ~ん、ブライダルブライダル」
「ん…あ?」
「約束忘れたの?ブライダルフェア行くんでしょ?」
「ああ…そうだったな」
「ほら、起きて準備」
「わかった、わかったからもうちょっと寝させてくれ…」
「全然分かってないじゃない。ほら、起きて~」
清音が俺の体を揺すってくる。
眠い…
「ぐ~」
「………」
「ぐ~……って何やってんだ!?」
「縛ってるの」
俺はいつの間にか布団もろともぐるぐる巻きにされていた。
「いわゆる簀巻きという状態だ」
「誰に言ってるの?」
「そんなことはどうでもいい。これからどうするつもりだ」
「濡れたティッシュを顔の上に置く♪」
「……殺す気?」
「起きないんだったらね☆」
「妙に嬉しそうじゃないか?」
「そんなことないよ♪」
「分かった。起きる」
「じゃあ、早く準備してね。私は朝御飯の準備するから」
清音はそのまま出ていこうとする。
「ちょっと待て」
「なに?」
「解いていけ…」
「あ…」
「朝っぱらから疲れるな」
「あ、お兄ちゃん。皿出して」
「ああ」
「はい、できたよ」
「じゃあ、食うか」
「うん」
「ところでブライダルフェアってなんなんだ?」
「え…」
「結婚に関係してるのは分かるけど、具体的にはどんなもんなんだ?」
「結婚式で出る料理とか、結婚式のプランの紹介じゃない?
披露宴の紹介ビデオとか流れてたりして」
「ふ~ん」
「で、私達が行ったら是非そのビデオに出てくれとかスカウトされたりして」
「なんだそれ。そんなことあるわけ……」
「…あった」
「はい?」
「い、いえ、なんでもありません。どうぞ続けてください」
「それでですね。先ほどの言ったようにあなた方に是非
今度作られるPRビデオに出ていただきたいと…」
清音に引っ張られてきたブライダルフェアの会場で、一通り見終わった俺達に
男が話しかけてきた。で、それが清音の朝話していたようなビデオに出てくれ
という誘いだったわけで…偶然とは恐ろしい…
そして、清音はというと手を胸の前に組み、目は輝いていた…
なんて分かりやすいヤツなんだ…
「ところで、なぜ俺達なんですか?」
俺は気になっていたことを聞いてみることにした。
まさかお似合いのカップルだと思ったとでも言うのか?
「社長がいうにはあなた達は理想のカップル像だと」
マジかよ…
ちなみにその社長とかいう人も清音の正面、俺と話している男の隣に座っている。
腕なんか組んで偉そうだな。
「俺達がですか?」
一応確認する。
「そうです」
ま、いきなり俺達じゃないって言われても困るけど…
「そうですか…」
ん~、どうするか…
清音の方を見てみるとさっきの姿勢のまま固まっている。
清音はどうみても出たそうだな…
ウエディングドレスを着てみたいのか?
「どうでしょうか?」
「…ちょっと二人で話がしたいんですが」
「あ、はい。それは構いませんよ。
私達はしばらく席を外しますのでどうぞお二人で」
「はい」
二人が部屋から出ていくと、俺は清音に話しかけた。
「清音は出たいんだろ?」
「え?え?」
「おまえ話聞いてたのか?」
「あ、あんまり…」
「はぁ~」
俺は大げさにため息をついて見せる。
「清音はビデオに出たいんだろ?」
「う、うん、よくわかったね」
「おまえの様子を見てれば誰でもわかる…」
「え?」
「イヤ、なんでもない。う~ん、じゃあ、黙っておいた方が良いよな…」
「何を?」
「俺達が兄妹ってこと」
「あ、うん、そうだね」
「じゃあ、俺は今から田中信司、おまえは中田清音だ」
「な、何それ?」
「偽名だよ、偽名。たぶん契約書書くだろうからな。間違えるなよ?」
「うん、わかった」
清音はコクコク頷く。
ま、こんなもんだろう。
とりあえず話の終わった俺は部屋の中を見まわす。
結構高そうなものがあるな。
あの壷いくらぐらいするんだ?
そんなことを考えながら出されたコーヒーに口をつける。
15分ぐらいして二人は戻ってきた。
「どうです、お決まりになりましたか?」
「はい、出させていただきます」
「ありがとうございます。それではこの契約書にサインを」
「はい」
町が赤色に染まる頃、俺達は家に帰ってきた。
帰りに買い物に寄ったためすっかり遅くなってしまった。
「腹減ったな~」
「今、ご飯の用意するからね」
「早めで頼むぞ」
「うん」
「今日はすごいことになんだかなったな。
朝話してた事が本当のことになるなんて」
「そうだね。でも、私は嬉しかったよ」
そう言いながらも清音は忙しく動き回っている。普段は結構とろかったりする
清音だが、家事、特に料理に関してはまるで別人のような動きをする。
しかも、料理の味もお世辞なしでうまい。そこらの店屋で食べるぐらいなら
清音の料理を食べていた方が良いと思うぐらいだ。
「ホントいつでも結婚できるな…」
「え?何?」
「なんでも、ない」
俺はテレビをつけた。
つまらない番組しかやってないな…
ふと、ある番組に目が止まる。
ドラマに一場面だろうか、ウエディングドレスを着た女性がバージンロードを
歩いていく。牧師の前まで行くと、誓いの言葉、指輪の交換、誓いのキス…
そこまで見て俺は気づいた。
「キス!?」
「何なに?どうしたの?」
俺の出した大声に反応して清音が台所から顔を覗かせる。
「な、な、なんでもない」
「変なお兄ちゃん」
清音は料理に戻っていく。
すっかり忘れてた…
結婚・披露宴ってことは…清音とキスするのか!?
あ、でも、撮影だからしないかも…
イヤ、撮影だからこそするか。
う~ん、まあ、あいさつ代わりにする国もあるし…
ってここは日本だ!そんな習慣はない。
清音の後姿を見つめる。
清音…
その時、清音がこちらを振り向いた。
心臓が大きくドクンと鳴ったような気がする。
「お兄ちゃん、ご飯できたから運ぶの手伝ってくれる?」
「あ、ああ」
なに動揺してるだ、俺は…
やがて、食卓には色とりどりの料理並べられる。味・見た目だけではなく、
栄養のバランスまで考えてあるそうだからすごいもんだ。
コロッケを一口食べる。
うん、うまい。市販品なんか目じゃないな。
今どきコロッケをジャガイモから作れる女子高生はなかなかいないだろう。
「お兄ちゃん、美味しい?」
清音が上目がちに聞いてくる。
「うん、うまいよ。さすが清音だな」
「えへへ」
清音は少し頬を赤らめて微笑んだ。
清音とキス…
俺はいつの間にか清音の唇を見つめていた。
桜色で柔らかそうな唇…触れてみたい…
「私の顔に何かついてる?」
「え?」
「ずっと私の顔見てなかった?」
「え、あ、いや、別にそんなことないよ」
思いっきり動揺してるじゃないか。俺は何を考えてるんだ…
どうしても意識してしまう…
でも、こうして改めて見ると清音って…
綺麗な顔してるよな。美人ってタイプじゃないけど、可愛い…
……今日の俺はおかしいな。
ん?そういえば、清音は気付いてるのか?
「なあ、清音」
「何?お兄ちゃん」
「あのさ…」
「うん」
「今日はなんかすごいことになっちゃったな」
「うん、そうだね。ブライダルフェアのことでしょ?」
「そうそう。俺達ビデオによることに出ることになっただろ」
「うん」
「おまえ結婚式ってどんなことするか分かってるか?」
「それぐらいわかってるよ」
「じゃあ、言ってみろ」
「牧師さんの前で誓いの言葉、指輪交換、それで…」
そこまで言った清音の顔がどんどん赤くなっていく。
「ど、どうしよう!?」
「どうしようって…」
「だって私とお兄ちゃんがキ、キ…」
「ちょっと落ちつけよ」
「お兄ちゃん、どうしてそんなに落ちついていられるの!?」
「おまえがあんまりにあわててるから、逆に落ちついてきた」
「そんなのずるいよ!」
「自分で何言ってるのか分かってるのか?」
「え?あ、ゴメン…」
「でも、ホントにどうするの…」
俺にはどうしても聞きたいことがあった。
どうしてこんなことを聞きたいのかは良く分からないが…
俺はもしかしたら…
「清音は俺とキスするのイヤか?」
「え…」
俺の真面目な様子に気付いた清音はすぐには答えられないようだ。
しばらくの間、二人の間に静かな時間が流れる。
答えられるわけないか…
「答えられないなら…」
「私は…」
「………」
「…お兄ちゃんだったらいいよ」
そう言ったとき清音の顔はとてもやさしい微笑みを浮かべていた。
ずっと一緒だった俺が初めてみる清音の表情だった。
相変わらず頬が赤いけど。
第一話
「お兄ちゃん、お兄ちゃん」
「ん?」
「ねえねえ」
「どうしたんだ?」
「あのね~八百屋さんがね」
「買い物行って来たのか?あ、今日の夕御飯なんだ?」
「えっとね、今日はとんかつと、ポテトサラダにしようかなぁって…
ってそんな話じゃないのよ」
「じゃあ、なんの話だ?」
「え~っとね、あ、そうだ、これ」
清音が俺に紙を渡す。
「これは……ブライダルフェア?」
「うん、そう。将来の参考のために行っときなって」
「将来の為って…おまえまだ17だろ?」
「もう、17だよ。私結婚できる年なんだからね。
そんな妹がお兄ちゃんのために毎日毎日家事してるんだよ。
感謝してる?」
「もちろん感謝してるよ。いつもありがとう」
「う、うん、分かってるんならいいんだけどね」
「で、これどうするんだ?」
「どうするって?」
「誰かと行くのか?」
「私が?そんな人いないよ。私はお兄ちゃんの面倒見るので忙しいの」
「なんだ彼氏の一人もいないのか」
「悪かったわね…そういうお兄ちゃんはどうなの?」
「俺はいるわけないだろ」
「だよね。いつも帰ってくるの早いし。彼女がいるって感じじゃないもん」
「ほっとけ…じゃあ、どうするんだ、それ」
「う~ん……そうだ!お兄ちゃんと一緒に行くっていうのはどう?」
「誰が?」
「私が」
「誰と?」
「お兄ちゃんと」
「なぜ?」
「せっかく券があるんだからもったいないじゃない。それに何事も経験よ」
「なんだそりゃ…」
「ダメ?」
「まあ、いいけどな」
「それじゃ、今度の日曜日にね」
「ああ」
清音は嬉しそうに台所に消えていく。
何がそんなに嬉しいんだか…
日曜日―
「お兄ちゃ~ん、ブライダルブライダル」
「ん…あ?」
「約束忘れたの?ブライダルフェア行くんでしょ?」
「ああ…そうだったな」
「ほら、起きて準備」
「わかった、わかったからもうちょっと寝させてくれ…」
「全然分かってないじゃない。ほら、起きて~」
清音が俺の体を揺すってくる。
眠い…
「ぐ~」
「………」
「ぐ~……って何やってんだ!?」
「縛ってるの」
俺はいつの間にか布団もろともぐるぐる巻きにされていた。
「いわゆる簀巻きという状態だ」
「誰に言ってるの?」
「そんなことはどうでもいい。これからどうするつもりだ」
「濡れたティッシュを顔の上に置く♪」
「……殺す気?」
「起きないんだったらね☆」
「妙に嬉しそうじゃないか?」
「そんなことないよ♪」
「分かった。起きる」
「じゃあ、早く準備してね。私は朝御飯の準備するから」
清音はそのまま出ていこうとする。
「ちょっと待て」
「なに?」
「解いていけ…」
「あ…」
「朝っぱらから疲れるな」
「あ、お兄ちゃん。皿出して」
「ああ」
「はい、できたよ」
「じゃあ、食うか」
「うん」
「ところでブライダルフェアってなんなんだ?」
「え…」
「結婚に関係してるのは分かるけど、具体的にはどんなもんなんだ?」
「結婚式で出る料理とか、結婚式のプランの紹介じゃない?
披露宴の紹介ビデオとか流れてたりして」
「ふ~ん」
「で、私達が行ったら是非そのビデオに出てくれとかスカウトされたりして」
「なんだそれ。そんなことあるわけ……」
「…あった」
「はい?」
「い、いえ、なんでもありません。どうぞ続けてください」
「それでですね。先ほどの言ったようにあなた方に是非
今度作られるPRビデオに出ていただきたいと…」
清音に引っ張られてきたブライダルフェアの会場で、一通り見終わった俺達に
男が話しかけてきた。で、それが清音の朝話していたようなビデオに出てくれ
という誘いだったわけで…偶然とは恐ろしい…
そして、清音はというと手を胸の前に組み、目は輝いていた…
なんて分かりやすいヤツなんだ…
「ところで、なぜ俺達なんですか?」
俺は気になっていたことを聞いてみることにした。
まさかお似合いのカップルだと思ったとでも言うのか?
「社長がいうにはあなた達は理想のカップル像だと」
マジかよ…
ちなみにその社長とかいう人も清音の正面、俺と話している男の隣に座っている。
腕なんか組んで偉そうだな。
「俺達がですか?」
一応確認する。
「そうです」
ま、いきなり俺達じゃないって言われても困るけど…
「そうですか…」
ん~、どうするか…
清音の方を見てみるとさっきの姿勢のまま固まっている。
清音はどうみても出たそうだな…
ウエディングドレスを着てみたいのか?
「どうでしょうか?」
「…ちょっと二人で話がしたいんですが」
「あ、はい。それは構いませんよ。
私達はしばらく席を外しますのでどうぞお二人で」
「はい」
二人が部屋から出ていくと、俺は清音に話しかけた。
「清音は出たいんだろ?」
「え?え?」
「おまえ話聞いてたのか?」
「あ、あんまり…」
「はぁ~」
俺は大げさにため息をついて見せる。
「清音はビデオに出たいんだろ?」
「う、うん、よくわかったね」
「おまえの様子を見てれば誰でもわかる…」
「え?」
「イヤ、なんでもない。う~ん、じゃあ、黙っておいた方が良いよな…」
「何を?」
「俺達が兄妹ってこと」
「あ、うん、そうだね」
「じゃあ、俺は今から田中信司、おまえは中田清音だ」
「な、何それ?」
「偽名だよ、偽名。たぶん契約書書くだろうからな。間違えるなよ?」
「うん、わかった」
清音はコクコク頷く。
ま、こんなもんだろう。
とりあえず話の終わった俺は部屋の中を見まわす。
結構高そうなものがあるな。
あの壷いくらぐらいするんだ?
そんなことを考えながら出されたコーヒーに口をつける。
15分ぐらいして二人は戻ってきた。
「どうです、お決まりになりましたか?」
「はい、出させていただきます」
「ありがとうございます。それではこの契約書にサインを」
「はい」
町が赤色に染まる頃、俺達は家に帰ってきた。
帰りに買い物に寄ったためすっかり遅くなってしまった。
「腹減ったな~」
「今、ご飯の用意するからね」
「早めで頼むぞ」
「うん」
「今日はすごいことになんだかなったな。
朝話してた事が本当のことになるなんて」
「そうだね。でも、私は嬉しかったよ」
そう言いながらも清音は忙しく動き回っている。普段は結構とろかったりする
清音だが、家事、特に料理に関してはまるで別人のような動きをする。
しかも、料理の味もお世辞なしでうまい。そこらの店屋で食べるぐらいなら
清音の料理を食べていた方が良いと思うぐらいだ。
「ホントいつでも結婚できるな…」
「え?何?」
「なんでも、ない」
俺はテレビをつけた。
つまらない番組しかやってないな…
ふと、ある番組に目が止まる。
ドラマに一場面だろうか、ウエディングドレスを着た女性がバージンロードを
歩いていく。牧師の前まで行くと、誓いの言葉、指輪の交換、誓いのキス…
そこまで見て俺は気づいた。
「キス!?」
「何なに?どうしたの?」
俺の出した大声に反応して清音が台所から顔を覗かせる。
「な、な、なんでもない」
「変なお兄ちゃん」
清音は料理に戻っていく。
すっかり忘れてた…
結婚・披露宴ってことは…清音とキスするのか!?
あ、でも、撮影だからしないかも…
イヤ、撮影だからこそするか。
う~ん、まあ、あいさつ代わりにする国もあるし…
ってここは日本だ!そんな習慣はない。
清音の後姿を見つめる。
清音…
その時、清音がこちらを振り向いた。
心臓が大きくドクンと鳴ったような気がする。
「お兄ちゃん、ご飯できたから運ぶの手伝ってくれる?」
「あ、ああ」
なに動揺してるだ、俺は…
やがて、食卓には色とりどりの料理並べられる。味・見た目だけではなく、
栄養のバランスまで考えてあるそうだからすごいもんだ。
コロッケを一口食べる。
うん、うまい。市販品なんか目じゃないな。
今どきコロッケをジャガイモから作れる女子高生はなかなかいないだろう。
「お兄ちゃん、美味しい?」
清音が上目がちに聞いてくる。
「うん、うまいよ。さすが清音だな」
「えへへ」
清音は少し頬を赤らめて微笑んだ。
清音とキス…
俺はいつの間にか清音の唇を見つめていた。
桜色で柔らかそうな唇…触れてみたい…
「私の顔に何かついてる?」
「え?」
「ずっと私の顔見てなかった?」
「え、あ、いや、別にそんなことないよ」
思いっきり動揺してるじゃないか。俺は何を考えてるんだ…
どうしても意識してしまう…
でも、こうして改めて見ると清音って…
綺麗な顔してるよな。美人ってタイプじゃないけど、可愛い…
……今日の俺はおかしいな。
ん?そういえば、清音は気付いてるのか?
「なあ、清音」
「何?お兄ちゃん」
「あのさ…」
「うん」
「今日はなんかすごいことになっちゃったな」
「うん、そうだね。ブライダルフェアのことでしょ?」
「そうそう。俺達ビデオによることに出ることになっただろ」
「うん」
「おまえ結婚式ってどんなことするか分かってるか?」
「それぐらいわかってるよ」
「じゃあ、言ってみろ」
「牧師さんの前で誓いの言葉、指輪交換、それで…」
そこまで言った清音の顔がどんどん赤くなっていく。
「ど、どうしよう!?」
「どうしようって…」
「だって私とお兄ちゃんがキ、キ…」
「ちょっと落ちつけよ」
「お兄ちゃん、どうしてそんなに落ちついていられるの!?」
「おまえがあんまりにあわててるから、逆に落ちついてきた」
「そんなのずるいよ!」
「自分で何言ってるのか分かってるのか?」
「え?あ、ゴメン…」
「でも、ホントにどうするの…」
俺にはどうしても聞きたいことがあった。
どうしてこんなことを聞きたいのかは良く分からないが…
俺はもしかしたら…
「清音は俺とキスするのイヤか?」
「え…」
俺の真面目な様子に気付いた清音はすぐには答えられないようだ。
しばらくの間、二人の間に静かな時間が流れる。
答えられるわけないか…
「答えられないなら…」
「私は…」
「………」
「…お兄ちゃんだったらいいよ」
そう言ったとき清音の顔はとてもやさしい微笑みを浮かべていた。
ずっと一緒だった俺が初めてみる清音の表情だった。
相変わらず頬が赤いけど。
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