小説(転載) 画紙相姦 1/2
近親相姦小説
画紙相姦(前編)
黒川千恵子の職業は一口では語れなかった。
もっとも時間を占めている仕事と言うのであれば、ホテルの結婚式場でのカメラマン
であった。新郎新婦の思い出の一瞬をフィルムに収め、DVDに焼く。
T市の大概のホテルでの仕事は彼女にオファーがあった。
ただ彼女には別の仕事があった。T市の名門老舗ホテル「舞欄」のオーナーは、同時
にモデル派遣も行っており、というか舞欄のスタッフが揃いも揃って美貌のミセスが
多かったために、モデル部門ができたと言った方が正しい。
そんなわけで千恵子はカメラマンながら、撮影もされる奇妙な女性でもあった。
他にも新婦に華麗な着付けを行う白鳥潤華。
メイクアップなどを指導する母児生葉蓮。
ホテルのデザートシェフでもある三沢礼子。
舞欄のスタッフではないが、学者としても知られる橋本杏奈。
T市どころか、属する県のミセスファッションをリードする華麗な女性たち。
千恵子はその中の一人であった。
そんな千恵子には一人息子があった。名前は孝則。
それは千恵子が39歳。孝則が15歳の時だった。
ミセスモデルなどをやっているくらいなので、孝則は級友達にうらやましがれた。
「お母さん美人だね」「素敵よね」その賞賛は男女の別を問わず聞かされた。
そうしたほめ言葉は別に、何度聞いても悪い気はしない。
千恵子は夫と死別していたので、ために孝則を溺愛した。
孝則だけが生きがいだった。言い寄る男たちは星の数だが、その肉体は別にして
その心だけは息子にしか注がれていなかった。
大人の付き合いで体を求め合う関係の男性はいても、そこまでだった。
千恵子の美を維持させるもの、それは他の男の視線ではない。
息子孝則の視線こそがそれだった。
千恵子をいつでもまぶしそうに見つめ、照れくさそうに話しかけてくる孝則。
母親にドギマギするその様子が愛らしく思えた。
それが千恵子にとっては、最高の自分への賞賛にほかならなかった。
孝則のためにいつまでも美しくありたい。それが千恵子の意思だった。
さてカメラマンである千恵子だけに、息子が美術系高等学校を志望することには別に
驚かなかった。ただ息子が選んだのが写真ではなく、絵画だったことだけが残念では
あったのだが。
その日千恵子はオフだった。ブライダルもモデルも仕事はなかった。
中学に行く孝則を送りだした後、千恵子は何気なしに孝則の部屋を掃除していた。
画学生志望なのだから、孝則の部屋はキャンバスやらクロッキー・スケッチブック・
絵の具などが散乱していた。但しそのカオスの中にも彼なりの秩序がある。
孝則一人が、どこに何が置かれてあるのかを認識できるのだ。
前に千恵子が部屋をそれなりに掃除をしてあげたら、孝則があとでこう言った。
「母さん、勝手に片付けないでよ! 習作がどこにいったかわかんなくなっちゃった
よ。メールの期限は明日なんだよ」
名門美大の通信教育コースがあり、孝則は習作をスキャンし、メールに添付して総評
を仰ぐのである。
ビル・ゲイツが変えた世界が、また一つこういう社会にも見て取れる。
よってそれからというもの、千恵子は掃除といっても、置かれている物には手をつけ
ず、ほこりを払うくらいに留めていた。
さて千恵子は言うまでもなく美形である。その血をひいて孝則もハンサムな顔立ちで
あった。だから千恵子は息子の写真を撮るのが好きだった。カメラマンなのだから当
たり前だが。
一方孝則も幼い頃から、母の肖像を描くのが好きだった。
学校で両親の顔みたいな展示会があると、嬉々としてそれを描いた。
当時から絵が上手だった。千恵子の特徴をよくとらえていた。
それを千恵子に見せて「上手だね」と言われるのが、何より孝則は好きだったのだ。
だが小学校高学年にもなれば、そんな授業はなくなる。
だから孝則が自分を描いた絵などここ数年目にしていない。
千恵子が目にできたのは、孝則の様々なテーマの絵画であり、母の肖像画ではなかっ
た。だが息子びいきを差し引いても、孝則の絵には気品があり、芯が感じられた。
千恵子は何気なく、スケッチブックの一つを手に取った。
元の位置にさえ戻せば、別に構わないわけである。
道端の可憐な花のデッサン、夕暮れの校庭。
千恵子はカメラマンなので、その絵からありありとその光景をリアルに感じられた。
写真と絵画、道は違えど根は同じ。人々にアートの感動を与えるものだ。
ブライダルがアートなのか?と問われれば、千恵子たち舞欄スタッフは、花嫁を人生
の中一番光り輝く美しさに演出することを、アートだととらえていた。
そして上から四つ目のスケッチブックを開いた。
衝撃の瞬間だった!
黒川千恵子がそこに描かれていた。
その右側に千恵子がシックなドレスで、たたずみ微笑む姿があった。
それは雑誌でモデルを務めた記憶があるファッションだった。
問題はその左側のページに描かれた絵のほうである。
そのままのポーズで、千恵子の裸婦デッサンが細密に描かれていたのだ。
それはまるで右側の姿を、衣服を脱がされたままのそれだった。
リアルだった、少年の愛か?妄執か??実に刻銘な筆致だった。
ページをめくる。数々の千恵子のモデル姿がそこにあった。
どれも雑誌や広告に露出した姿だった。
但し中学生が目にするような媒体には、掲載されない。
孝則が本屋でミセス雑誌などを購入するか?
あるいは千恵子の部屋の本棚から持ち出し、それを見ながらデッサンしたに違いない。
だが、千恵子を混乱させるのはペアになった裸婦像だ。
息子が母親を描くのであればそう問題はない。だがわざわざヌードを描いていくのは
常軌を逸していた。
いや裸婦デッサンはアートの基本である。女性のヌードはまさに美の極致である。
だからといって、ここまで一人の女性を、しかも母親である自分を描く孝則、千恵子
はそれを眺めながら、少年の気持ちが伝わり、全身が震え始めた。
さらなる衝撃が千恵子を襲った。
そこには千恵子が雑誌で着た水着姿があった。
ミセス層にはギリギリきわどい、ややハイレグのワンピースやビキニ姿。
そしてミセス用ランジェリー。ベビードールやガーターストッキング姿。
ミセス層にアピールする商品なので、それほど扇情的なデザインではない。
だがそれを孝則がその筆で、ふしだらな女神に仕上げてしまっていた!!!!!!
水着姿。その左側にはそのヌードは描かれてはいなかった。
そこにあったのは、見るものに微笑みかけ、ビキニを脱いでいく様々な千恵子の
姿態であった。
「いやあああああああああああああああああああああ」
千恵子は心の中悲鳴をあげた。クロッキーの中、千恵子がビキニを脱ぎ捨てていく
10個のカット。まるでシャッターを切られているような、犯されているような感覚。
ハイレッグワンピース、そしてベビードールにランジェリー。
千恵子はそこで恍惚、あるいは挑発するような微笑を浮かべ、見るものを惑わそうと
していた。ページをめくるごとに、次から次へとあられもないポーズをとる。
千恵子はベビードールのパンティラインをずらせ、やや開かれた両腿の奥にのぞいた
女陰が詳細に書き出されていた。
「いやあ!駄目!!! 私こんなことした覚えはないわ!!!」
などと思っても、これは孝則の妄執の発露であって、事実ではない。
それはわかっていても、たかが絵でも、いやだからこそ、少年の千恵子に対する熱い
思いが伝わり、全身がほてるのだ。
背中のほくろの位置。お尻の小さなアザ。
なんで孝則にそれが描けたのか?
最後に一緒にお風呂に入ったのが小学四年生のころである。
その時の記憶が少年に残っていたのか?
だが女陰はどうなのだろう??
千恵子の恥毛のさまは、千恵子が毎日目にしているだけに、そのままだった。
女陰もまさに精密にこれでもかというくらいに、描かれている。
さすがにそれがそっくりなのかまではわからない。
想像だけで、記憶に頼っただけで、ここまで書けたのならいっそ天晴れである。
だからといって、母親としてほめていいものではない。
だがどう言って、叱るなり、諭せばいいのであろう?
「どうして?どうして母さんにこんなことさせるの????」
実際にアソコを開いて、男を誘惑しているわけではないのに、そうつぶやいた。
息がつまる。心臓が激しく鼓動する。ほほが染まる。
女の大事な部分さえ疼く。
「母さん、母さんを裸にして…いけない子…」
千恵子はスケッチブックを震える手で元の位置に戻した。
「母さんの体を、母さんのことそんなにまで……」
千恵子は孝則の部屋を出ると、自分の寝室に向かった。
そして大きな姿見の前に立った。モデル家業の必需品である。
「常に他人の目を意識すること。誰もいなければ自分の目線を意識すること」
そう言った50代のミセスモデルがアメリカにいるという。
千恵子も全く同感だった。そこに映る自分の姿に合格点を出し、仕事場に向かうのだ。
そして今、無性に千恵子は自分の裸を目にしたくなっていた。
鏡の中の自分を見つめながら、着ているものを脱ぎ始める。
きつきつのジーンズを、セーターを脱ぐ。
孝則が見たかったのは、こんなラフな姿ではない。裸婦な姿であったはず。
ブラジャーをひきちぎるようにはずし、パンティを両脚からすべらせていく。
既に汗ばんでかすかに染まった肌、甘い体臭を自分でも感じてしまった。
午前11時。美貌のミセスは自室でヌードになり、内部から沸き上がる陶酔感に酔い始
めていた。
我ながら素晴らしいプロポーションだと思った。
孝則にその昔ミルクを与えた乳房は、垂れることなく盛りあがり、乳首は黒ずむこと
なくピンクであった。肌はしたたるほどになまめかしく、ウエストはくっきりとくび
れ、下半身に続くラインは見惚れるほどに美しい。お尻も同僚の津島郁代のフィット
ネス指導のかいあって一向にだらしない様子は見せていない。
そう…もうじき四十路の美ではとうていなかった。
そして女のもっとも大切な部分に目がいく。
スケッチブックに、息子の筆に・鉛筆によって描かれたとおりの、いやらしい恥毛。
千恵子は自分で自分に羞恥してしまった。
思わず自分の目線からそこを隠した。隠せば自分の手に秘陰があてがわれてしまう。
「母さんの身体が好きなのね? 孝則ったらいやらしい子……母さんの身体がそんな
に見たいの?」
下腹にあてがった手の平と、内部から沸きあがる甘い感覚とが官能しあう。
もう一人の千恵子が愕然とする。鏡に映る自分の表情。
それは孝則の絵に描かれた、恍惚・誘惑の表情そのままだったからだ。
「これが母さんの身体……ああ、素敵って言ってくれるわよね???」
ナルシズムが千恵子を突き動かす。彼女は鏡の中の自分とキスを交わす。
舌をからませる。ディープに唇を重ねる。
「でも、どうして? 孝則はどうして母さんの裸……どうして知っているの?」
孝則の熱い視線に体を視姦されている錯覚。
あのスケッチブック一枚一枚に叩きつけられた少年の妄執。
少なくとも中学に入ってからは、裸を見せるような隙は見せたことはない。
だが言い切れるだろうか???
母子家庭なのだ。二人暮らしなのだ。
風呂上り、バスタオル一枚で孝則の前を、歩いたことはあったかもしれない。
自室のドアが開いていて、偶然?着替えを垣間見たこともありうることだ。
だがアソコまでは見られるはずがない。
まさか小学生にそこに興味があって、その有様を克明に記憶できたとは思えない。
疼く…秘陰が疼く、ジンジンと。もう反応してるのがわかる。
本棚、とある雑誌タイトル。「下着百選」
それは後に母児生隆という少年も妄執するカタログ雑誌だった。
手に取りペラペラとめくる。
若い!千恵子よりはるかにみずみずしい、モデルたちが通販用の下着をまとっていた。
だが! 孝則はこの女性たちでデッサンは描かなかったのだ。
そして千恵子は自分が露出しているページを震える手で開いた。
地味なベージュのランジェリー。それはそうだ。
ミセス用のランジェリーなのだから。
カラフルな色合いやフリル、官能的なデザインまでは要求されない。
そこでほがらかなモデル目線で、千恵子は掲載されていた。
だが、地味でもガーターストッキング、サスペンダー、ベビードール。
千恵子の素晴らしいラインは、あからさまだった。
それを孝則は妄執し、あふれんばかりのエネルギーで、実母のいやらしい姿を何枚も
何枚も描いていったのだ。
千恵子はクローゼットを開く。そのランジェリー一式を探し出す。
なぜ探したいのか自分でもわかっていない。
だがどうにも身に着けてみたく思ったのだ。
ベージュのパンティ。それ一つであれば別にどうということもない。
いやらしくもなんともない。フリルもついていない。
なのに体は震える。そのパンティーに脚を通していく。
それだけで自分のフェロモンが、活発に分泌されるのを知感する。
高ぶる。自分で自分を滅茶苦茶にしたくなってくるのだ。
パンティーをはけば、次はベージュのベビードールだ。
シルク混の肌触りがなまめかしい。
「はぁー」
そんな行為にさえエネルギーを使う。
そして腰にガーターリングをまきつける。
ストッキングを丸め、するすると脚にとおしていく。
両足にきっちりはきおわると、最後にサスペンダーでストッキングを吊るす。
カタログそのままの姿を、今一度姿見で確認する。
「あぁー」
身体のラインがあますところなく浮きだしている。
大事なところは隠しているのに、異性をそそってしまうのがランジェリーだ。
全身が羞恥に染まる。今一度孝則に見られている感覚にとらわれてしまう。
千恵子はくるりと背を向け、首をひねって鏡に映った自分の後ろ姿を見てみた。
片目でかすかにウインク、右手の人差し指を唇で色っぽく舐めた姿。
クロッキーの姿を、今自分で演じて?みる。
「嗚呼、こんな母さんを思ってしたのね、したのよ! 嗚呼、きっとそうよ!」
その姿妖艶かつふしだらな美熟女。
千恵子は孝則の夢の絵本の姿を、今また思い描く。
ああ、こんなんじゃなかったわ。もう少しお尻の露出があったわよ。
千恵子は両手で水パンティの布地を細くしぽるようにして、ややTバックに近いよう
にしてみる。双丘があますところなく鏡に映しだされた。
「いやらしい、淫らぁ…」
地味なベージュのミセス下着もこうなっては、ましてや千恵子がこんな形でまとって
は、もうエロス以外の何物でもなかった。
お尻をくゆらせてみる。若干の贅肉がついたヒップの肉がゆれる。
思いきってグイとお尻にパンティを食い込ませる。
まさにTバック。こんな姿はとてもカタログには掲載できない。
でも全ての健康な男が生唾を飲まずにはいられない姿だった。
「はぁーーーーー」
嗚咽がもれる。
千恵子はベッドにいたたまれず腰掛けてしまう。
そうだわ…おっぱいも触っていたわよね???
千恵子はランジェリー越しに乳房をもみしだく。
既に乳首はかたくはりつめていた。
「あぁーん、私っていやらしい……」
絵の中の自分をそのまま再現していく。
大また開き、股間に食い込んだパンティー。
そしてパンティーをずらせる。秘陰をあらわにしていく。
「嗚呼孝則ったらあ…母さんのアソコを絵に描いちゃ駄目、駄目なのぉ」
そんなセリフがなお官能をつのらせていく。
自分の女陰が姿見に映り、その光景にくらくらする。
客観的に見たならば、ナルシズムに酔うもうじき四十路、但し美女である。
ただ息子にそれを妄執されてしまったという事実が、耐えようもなく千恵子の理性を
かき乱してしまうのだった。
そっとそこに右手をあてがう。
「あああっ」
悲鳴が上がる。濡れそぼったそこは、摩擦を、快感を求めたぎっていた。
千恵子はその感触を目で確かめようとするかのように、自分が自分を慰める姿に見入
る。孝則さえいまだ描かず、当然見てもいない千恵子のオナニーする姿だった。
向き直って、姿見に正面を向けた。
「はぁーん、駄目、私ったら変態だわ」
一人異様につぶやく。でもそう言いながら、アソコをくじる動きは止めようがない。
千恵子の右手は、激しく前後左右に動き、自分を犯す。
女陰の敏感な部分をしごきたてる。
「あっ、嗚呼アアっ」
嗚咽をあげてしまえばなおのこと淫らな気分を昂らせる。
千恵子の右手は孝則のそれとなって、パンティーをずらせ、大きく開いたく股間の奥
の奥まで挿入し快感を送り込んでいく。
息子にいじくられているようなめくるめく錯覚に陥り、千恵子は正気を失い始めてい
た。愛液はしとどにあふれ、股間を指を愛液でてからせる。
太陽が窓から差し込み、そのてかりがきらめき、昼のさなかにオナニーに酔う自分の
ふしだらさを知感させる。腰の動きもオナニーに合わせて、徐々に速く激しくなって
いく。
鏡に映った卑狸な光景と、股間を衝きあげるいやらしい快感とに、千恵子の心と身体
はめくるめいた。
「はぁーん、パンティ邪魔なのぉ」
千恵子はわざと声に出して言った。
そしてパンティをじらすように脱いでいく。
誰も見てはいないのに。
目をつぶってベッドの上、下着を脱ぎ捨て、ベッド下にほおる。
再度大また開き。
鏡に映るその光景。アソコをおっぴろげたまるで商売女のような姿。
千恵子は再び狂ったように股間をしごきはじめた。
そのたびに全身に快感が疾る。千恵子は我を忘れ、あさましきエクスタシーに自分を
追い込んでいくのだった。
左手の指先がしこったクリトリスを押しもむ。
女のもっとも華奢な部分は右手が蹂躙する。
右手に感じる熱いぬめり、それに自分で感応する。
匂いたつようなフェロモンを自分で感じる。
甘酸っぱい女の香り。
ナルシズムな陶酔がいやがうえにも高まる。
「アアっ嗚呼ああアア!!!!!!」
喉からもれる鳴咽が自分の耳もとにふしだらにコダマする。
ガーターストッキングに包まれた両脚がピーンと突っ張り、爪先が快感に丸まってい
く。ベッドの上、背中がのけぞり、千恵子は自慰行為の嵐に身を委ねる。
「アア!!!アーンツ!」
人々が仕事に学業に、家事に向き合う正午にあと少しの時間帯。
千恵子は全身をひきつらせてイッタ。
「アーーーーー!! アー! いやああああああああんんん」
甘いエクスタシーの響きが、彼女の部屋の中にコダマしていく。
しばらくベッドの上で千恵子はすさまじい官能の余韻に、じっと身をまかせていた。
孝則はその日習作の添削のため、地元の高名な画家の元を訪問してから帰宅した。
帰ってみると母、千恵子は不在だった。
テーブルにメモが残されていた。
「急なお仕事が入ったので出かけます。夕食は準備してありますからね」
そうか、とだけ思って食事を済ませ、気がつけば午後九時。
彼はお風呂に入ることにした。
そそくさと体を洗い、シャンプーを済ませ、そして浴室から出て、体をぬぐい終わっ
た時であった。
突然脱衣室のドアが開いて、千恵子が入ってきたのた。
しかも一糸まとわぬ全裸であった。
「キャアーツ!」
千恵子の悲鳴が脱衣場に響き渡った。
だが悲鳴を出したいのはまず孝則の方だろう。
当然ながら、ものすごく気まずい空気が二人をおおった。
中学生と、その母親が、生まれたままの姿で一つの場所にいていいわけがない。
孝則はしばらくしてあわててタオルで、そのペニスを母の視線から覆い隠した。
だが千恵子は孝則の下半身の有様を、その数瞬で網膜にまじまじと焼き付けた。
たくましく、同時に若く美しい息子の裸を。
口の中に生唾があふれた。
孝則は困った。母はショックなのかどうかはわからないが、その全裸を隠そうともし
ていないのだ。
それは神々しいほどに美しかった。まぶしかった。
ミセスモデル黒川千恵子のあらゆる部分が、孝則の前にさらけ出されていたのだ。
即座にタオルの中、孝則のペニスは勃起した。
彼がここ数年、精通を果たし性に目覚めてから、ひたすらに焦がれ続けた、その妄執
をスケッチブックに叩きつけた母の姿態が、そこにあったのだから。
乳房も、かすかに贅肉を帯びた母性の証のおなかも、長い脚も、雪肌も。
そして母の大切な部分を覆う、手入れされているのであろう恥毛さえもが、孝則の目
に映っているのだ。
孝則がその頭の中に、千恵子のヌードデータを転送するには十二分な数瞬が過ぎた。
そこで呆然としていたのかに見えた千恵子は、あわててそばにあったバスタオルで、
その姿態を孝則の目線から遮ったのだった。
「か、母さん!何考えてるんだよ! 僕が入ってることなんかわかるだろ!!!!」
「ごめん! 母さん考え事してたのよ、まさか孝則がいるなんて……ごめんなさい」
そう言いながら千恵子は全身をピンクに染めて、孝則のそばを急いで駆け抜けるよう
にして、浴室の中に消えていくのだった。
そして浴室の曇りガラスの向こうに、母の裸体のラインはいまだ「見えたまま」だっ
た。そして一瞬ながら千恵子の甘い母薫さえ鼻腔に強く残った。
呆然に包まれたまま、ふらふらと全裸で孝則は脱衣場を出た。
ふと気がついて、脱衣場にトランクスやパジャマをとりに戻った。
ガラスに千恵子のラインはもう見えなかった。
母は既に浴槽につかっているところだった。
「見た」「見せてあげた」それが千恵子の思いだった。
当たり前だ、誰が、息子が入浴していることに、気がつかないわけがあろうか。
しかもパジャマも持たず、全裸で脱衣場に入ってくるわけがない。
そう、千恵子は孝則の裸が見たかったのである。
そっと外から浴室に電気が点いたところを見計らって家に戻り、次に風呂から出た
ところを狙って、全裸同士の偶然の遭遇を演出したのだ。
孝則が母を妄執し、ヌードをデッサンする。だがそれで済むわけがない。
きっとオナニーしているに違いない。
千恵子はその! 息子の大人の部分を確認したかったのである。
記憶に残る、小枝のような孝則の「オチンチン」は紛れもなく大人の「ペニス」
に変貌していた。かつての華奢な子供の体は、雄雄しきたくましさに包まれていた。
千恵子はそれを自分の目で、母として見ることができ、感動にひたっていた。
そして同時に孝則のために、自分の今を、今の裸を見せてあげたかったのだ。
どれほど見たいと思ったことだろう、その少年の一途な思いに応えてあげたかっただ
け?なのだった。
きっと孝則は喜んでくれたはず、千恵子はそう信じた。
なんだ…実際の母さんは貧相だなあ、などとは絶対思わないはず。
そう、自分に自信はあった。そうでなければミセスモデルなどは務まらない。
目的の達成感に、温水につかりながらも、千恵子は鳥肌をたてた。
一方孝則の心臓は爆音たてて鼓動していた。
日々妄執した憧れの女性、実母千恵子の裸身をかいま見てしまったのだから。
芸術家志望の少年の網膜は、1600万色のデータでそれを記憶してしまった。
メロンのようにたわわな乳房も、漆黒の茂みも、母性の魅力をたたえたお尻の双丘も
全てをである。そして甘く香る母薫。
母が不在の時、ベッドやパジャマに顔をうずめ孤独に甘えた香りが、母の裸身のデー
タとあいまって官能的に、今も少年の鼻腔をくすぐり続けた。
母さん……どうして僕に裸を見せちゃったんだよ!!
孝則は母のうかつさ(ではなかったわけだが)に感謝し、同時に呪った。
決して見ることはかなわないと思ったからこそ、彼はスケッチに情熱をかたむけるこ
とができたのである。
しかし全裸の千恵子の魅力は彼の妄想の範疇さえはるかに越えていた。
それはまぎれもなく美女の肉体、もう彼は母を母として見つめることはできない。
「たまんないよ!母さん!僕、僕、もう絵なんかじゃ我慢できないじゃないか!
でも母さんにいやらしいことなんかできないだろ??? ひどいよ! 僕受験生なん
だよ! 習作に手がつかないじゃないか!!!!」
網膜のデータが、1600万色で再現された母の裸身が、少年の脳裏で再現される。
咽が乾く、冷蔵庫からジュースを取り出しがぶ飲みする。
息が苦しい、心臓が止まりそうだ!
嗚呼、苦しい!!! アソコがパンパンだ!!!!
自室に駆け込み、孝則はベッドにあおむけになり、目を閉じた。
そうすれば生々しく、千恵子の衝撃的な全裸が3Dで姿態を彼に見せつける。
母さんのオッパイ! 母さんのオマンコ! そうだ!オマンコ、オマンコだあ!!!
心の中で禁断の四文字をつぶやけば、千恵子の熟れきった、豊満な肉体が孝則を優し
く誘う。勃起がペニスが狂おしく涙を流す。
母さんのオッパイ! 母さんのオマンコ! ああ吸いたい!ぶちこみたいよぉおお!
心の叫びのままに、実母を妄想の中犯す、少年の許されない女性を思い描いてのオナ
ニーが始まった。右手で激しくペニスをこすりたてる。
頭の中の3D実母の乳房を、女陰を、必死にしゃぶりたてた。
ほんの数瞬だ、母のその部分の有様などわかりはしない。
パソコンで女性のその部分の作りを知り、わずかな記憶で彼が描いた千恵子の秘陰。
そこを舌でえぐる。しゃぶる。
ペニスはギンギンにきばりきり、またたくまに快感の頂点が少年の内部からわきあが
っていく。
「ああああああああああ!!!! 母さん!!!!!!!!」
悲鳴とともに、彼は風呂を浴びたばかりの下腹部に胸に、精液をほとばしらせてしま
った。あまりの快感に、ティッシュを手にすることさえ忘れていたのであった。
翌日千恵子は舞欄に1時間ほど遅れて出社すると伝えた。
孝則と千恵子はあれから、なにか気恥ずかしい一線が引かれてしまっていた。
いや千恵子に壁はない。心理的障壁を作っているのは孝則の方だった。
千恵子が話しかけても、真っ赤なってうつろな返事。
母親に照れてどうするの!と言いたかったが、自分に責任があるのだから仕方がない。
それよりも孝則を送り出した後、かのクロッキーの最新の1ページが見たかったのだ。
必ず、昨夜の自分を描いてくれているに違いない、そう思ったのだった。
千恵子はスケッチブックを手にした。
そして愕然とした。書かれていたからか?違う!
孝則の習作の中に、昨夜の自分の姿はどこにもなかったからである。
「なんで? 母さん魅力なかったの!! どうしてよ!!!!」
実に身勝手な心の叫びを千恵子は発した。
それから心にかすかな傷を負いつつ、千恵子は舞欄に出勤した。
帰宅すると、孝則が友人二人を連れてきていた。
中学は違うのだが、同じ美術高校志望で、たびたび短期ゼミで顔を合わせ、仲がよく
なり励ましあう仲間なのである。
「あ、おばさん、お邪魔してます」
「あら、矢島君に大原君、いらっしゃい」
孝則の自室で三人は、最近の習作を品評しあっていた。
少しだけ?気が楽になった。
二人だけになったら、問い詰めてしまいそうな自分が怖かったのだ。だが…
「なんで母さんのヌードを書かなかったの? せっかく見せてあげたのよ」
そんなことをどうして言えるものでもない。
だが二人暮らしである。いつでも二人きりになってしまうのだ。最終的には。
さて千恵子は少年たちのために、ジュースと軽食の類を出してあげることにした。
三人は既にハンバーガーで食事を済ませたそうだが、喜んで受け取って食べだした。
孝則の部屋を出てしばらくそこに千恵子はそこにとどまった。
もしや! 孝則が友人たちにあのスケッチを、見せているのではないかと不安になっ
たのだ。ドアを通しても三人の会話は聞こえてきた。
「いやあ! ホント孝則の母さん、美人だよなあ」
「そりゃそうだよ。モデルなんだから。俺の母さんも、孝則の母さんが載った本持っ
てるよ、水着とそのなんだ…エロっぽい下着の写真もあったぜ」
「うひゃああ!! あのおばさんの下着かよ! どんな?どんなの!!!!」
「アレだよ、太もものとこまでのストッキングで紐で吊るやつ」
そこではじめて孝則が口を挟んだ。
「ああ、それガーターストッキングっていうんだよ」
「いいなあ、俺その写真見てえ! あんな色っぽいおばさんの写真なら三回くらい抜
けるぜ! それって外人さんがつけるやつでしょ? でもあの人なら似合うよ」
「おいおい、俺の母さんになんてこというんだよ」
千恵子の耳に響く、孝則の言葉には怒りはこもっていなかった。
そのことがなにやら嬉しく感じられた。
「何言ってんだ! お前だって感じるだろ? そうでなきゃインポだぜ」
「馬鹿言え! 俺の母親だぞ、しかも39だよ?」
「あんなにいい匂いするんだぜ、あのおっぱいだぜ? ぷるんぷるんじゃんか!」
「ホントだよ、俺の母さんなんかもう40で、お前の母さんと一歳しか変わんないけど
もうただのおばはんだよ? いいよなあ。あんな色っぽい母親と、毎日一緒なわけで
しょ? もう俺だったら絶対甘えちゃうね。ねえ母さん、おっぱい触んないと眠れな
いのとか言ってさ。もしかしたらもうやっちゃってんじゃないの!」
「馬鹿抜かせ! 俺は獣か! 親子でエッチなんて気持ち悪い」
「いいや! 俺が息子なら喜んでやっちゃうね」
「このおばはん趣味の変態め! 普通感じるか? 中年に???」
その孝則の言葉が、千恵子の胸を鋭くえぐった。
「クー立ってきた! もうベロベロに舐め舐めしたいなあ、ああ!おばさん!!!」
少年たちの悪い冗談にされていた。千恵子と孝則の母子相姦。自分の肉体。
いたたまれなくなり、千恵子は足音をたてないようにして、息子の部屋から離れた。
友人たちの目には、いやらしい肉体を持つ美女と認識されている。
それは少しだけ自尊心をくすぐられる。
だが真っ向から否定された、愛する孝則から。中年、その言葉が悲しかった。
息子は自分の裸を見て、かえって自分を嫌いになったのだろうか???
違うわ! 強がってるのよ!
たとえ昨夜描かれなかったのは事実でも、それまでの熱い思いが消え去っているはず
はない! もう一度少年の心をかき乱してやりたい、そう願った。
「ねえ孝則、母さん先にお風呂に入るからね。そうそう洗うものあったら洗濯機回し
ておくから入れておいてよね」
心臓を激しく鼓動させながら、声の震えを抑え、千恵子はそう少年たちに呼びかけた。
少年たちの会話がしばし中断した。
「うん、わかった。僕はこいつら帰ってから入るから、お風呂のふたは閉めといてい
いよ」
「今日は汚れ物多いからね。二回に分けて洗うかもしれないから」
誘惑のお膳立ては整った。
浴室の脱衣場で千恵子はまず、昨日までの汚れ物を洗濯機で洗い始めた。
次にそそくさと服を脱ぎ、下着を取り去る。
そして下着類を洗濯機横の籠に、重ねる。
わざわざ先ほど着替えた、千恵子が持つパンティーの中で一番透け透けで、フリルが
ついたいやらしい薄緑色のそれ。
そして全裸になった千恵子はバスルームに入っていった。
「さあ覗きに来るのよ。坊やたち。照れ屋さんの孝則に勇気を与えてちょうだい。
三人がかりなら、ふふ、踏み出せるでしょう??」
そう心の中でつぶやきながら、千恵子はシャワーを使いはじめる。
バスルームのドアは磨りガラス。
少年たちがというか、孝則が脱衣場に来る名目はある。靴下でもなんでも洗濯物を置
きに来るというのがそれだ。ご丁寧に脱衣場の照明は消してある。
リビングから脱衣場に続くドアを開けば、千恵子の裸体シルエットはあますところな
く、少年たちの目に入るはずであった。
シャワーの温水を浴びながら、その温かさだけではなく、羞恥による火照りで肌が真
っ赤に上気していく。まだ見られてはいないのに、想像するだけで恥ずかしい。
今頃少年たちは孝則にせがみ、せっついているだろう。
あの会話では多分童貞だ。
女の裸など雑誌かネットでしか見たことがないに違いない。
「生意気ね、そのくせ私の体舐め舐めしたいだなんて…」
だがそう思わせるなまめかしさが、千恵子の肉体にはあった。
少年たちのいやらしい言葉を思い出す。早く、早く覗きに来て……
温水で身体を洗う、乳房を腰をヒップを、いやそれは自分への愛撫に他ならなかった。
さもいやらしく自分を愛する。秘陰をくじり、乳房をしだいていないだけで、その全
身へのマッサージに自分で酔う。
浴室の鏡に映る顔は、悩ましく恍惚に満ちていた。
ウーン……ハァーー……
スーーー
千恵子ははっとして目を開いた。かすかな自分の嗚咽と、シャワーの温水以外の音が
聞こえた。それは脱衣場のドアがレールを走る音だった。
「ああ!! いやらしい坊やたち……」
自分で誘っておきながら、羞恥がさらに高まり、思わず脱衣場の方向に背を向けてし
まう。
それでは駄目だ! 若き六つの目に、自分の裸身を見せてあげられない!
浴室の曇りガラスに真横に立ち、右手でシャワーを頭の上にかざす。
もう千恵子のシルエットは、そのプロポーションはあからさまのはずだった。
その乳房も、形のいい(勃起しきった)乳首も、お尻のたわわさも。
千恵子はうっとりする。少年たちの青い視線に。
いや違う、息子孝則の目線だけが、彼女の欲するものだったのだ。
温水シャワーショーはふしだらに、次の幕に。
うっとりとして乳房にシャワーを、そして片足をあげ、バスタブにかけ、やや開いた
両足の中心までシャワーを近づけ、そこを洗う。
たかが温水なのに、バイブレーターを使用しているところを、目撃されているような
錯覚が襲う。千恵子は濡れていた。ぐしょぐしょに濡れそぼっていた。
温水以外の、彼女自身が分泌するエキスで。
演技ではなかった。千恵子は興奮しきっていた。
おもむろに、シャワーの途中、少年たちのほうに顔を向けた。
三つの影が脱衣場から逃げ去っていった。
「アー、私がこっちを向いたからだわ」
もう少しだけ、いやずっと見せてあげたかった。孝則のためなら……
浴室から出ると、彼女のパンティーのそばに、孝則の靴下がのっていた。
「手に取らなかったのね…」
残念に少しだけ思った。盗まれてさえ構わなかったのかもしれない。
だが犯人ばればれの行為に、そうは、はしれるものでもない。
体を拭い、バスタオル一枚で千恵子は自室に向かった。
大胆である。普段はそんな行為はしない。
浴室にはきちんと着替えも、パジャマも持って入っているのだ。
だがそうはしなかった。
千恵子はもう一度、少年たちに声をかけてやろうかと思った。
だがやめた。この姿はガラス越しだからこそ他人に見せてあげられた。
それ以上は、孝則以外の視線に触れさせるつもりはなかった。
自室でもう一度姿見の前で全裸になってみる。
自分で自分に生唾を飲み込む。
この姿を夢想し、少年たちはいやらしいことを、千恵子の話をしている。
それは願望ではなく確信だった。
張りのある豊満な乳房をもむ。
「ァ・・・」
かすかな嗚咽がもれる。激しく今!オナニーしてしまいたいほどたぎっている。
だが一つ屋根の下、少年たちがいるのだ。
千恵子はおのが嬌声を聞かせてやりたいとさえ思った。
黒く茂った恥毛の部分にもそっと手をはわせる。
「!!!!!ァァ」
わかってはいたが、異性を迎え入れる準備は十二分に整っていた。
なまめかしい女体は、自分のかすかな愛撫に嗚咽と快感をこらえ、くねる。
その姿がさらに千恵子をたかぶらせる。
ここ数日の千恵子は、どう考えても正気を失っていた。
「きっと言っているのよ、オマンコさわりたいとか、オチンチンここにぶちこみたい
とか、私のこと恥ずかしい言葉で……」
こんな格好を見たら、孝則はどうするだろう?
千恵子の目は、再び孝則のそれになって、姿見の中の自分を視姦する。
「ああん、どうだった母さんのライン? それでも中年だってアノ子たちに言うの?」
「母さん、僕こいつら駅まで送ってくるからさ」
千恵子の恍惚を中断させた孝則の声、そこで千恵子はかろうじて正気に戻った。
あわてて愛撫を中止し、優しく孝則に声をかけてあげる。
「うん、気をつけてね」
「いやだなあ、たかが駅までだよ」
息子を気遣う普通の母親と、子ども扱いしてくれるなという息子の会話だった。
それだけを聞けば普通だった。
深夜になった。千恵子は寝付かれなかった。
なにやら物音がした。孝則はまだ起きているようだった。
トイレなのか? やや時間がたって彼は自室に戻ったようだった。
今なら自分は寝入っていると思うだろう。
孝則は今夜こそ自分をスケッチしてくれている。そんな確信があった。
千恵子は細心の注意を払って、自室のドアを開き、抜き足差し足で孝則の部屋に向か
った。
息子のプライバシーを覗き込もうという、自分のあさましさに気が引ける部分はある。
だが孝則も自分のヌードを空想しているのだから、おあいこではある。
そんな言い訳を一人、心の中でとりつくろいながら、目的のドアに向かう。
そして蒸し暑かったからなのか? 孝則の部屋のドアは開かれていた。
千恵子は心臓を激しく鼓動させながら、そっと覗き込んだ。
孝則はパジャマ姿でドアに背を向けて机に向かって坐っていた。
そして食い入るようにパソコン画面に見入っていた。
スケッチブックはそこにはなかったのである。
だが何かを何かに!夢中になって打ち込んでいた。マウスを激しく動かしていた。
孝則の頭が邪魔で何がウインドウズの画面に、映っているのかはわからない。
ネットサーフィンをしている感じではなかった。
「ハァハァハァ」
孝則の息は荒かった。何かにとりつかれたような感じだった。
「フーッ」
孝則は大きな息をつき、しばらくの間パソコン画面に見入っていた。
そしておもむろに、少年は画面を見つめ、なにやら股間あたりをまさぐっていた。
というよりそれがオナニーそのものだということは、すぐにわかった。
なぜなら下半身のパジャマがひざ下まで下げられていたのである。
そして左手で顔に何かをあてがっていた。
というよりいぎたなく匂いを嗅いでいるといったほうが正しい。
「ハァハァハァ」
それは異様な光景だった。まあオナニーなどというものは、他人から見ればそういう
ものなのかもしれない。千恵子は自分がここ数日、真昼間にさえ自分を慰めていたこ
とを思い出し、ほほが染まったが、息子のオナニーを凝視していて気がつかない。
次の瞬間、衝撃が千恵子の内部をはしった!
孝則が顔にあてがっていたものを、まるでうやうやしく拝むかのように、顔の前に広
げていったのだ。
孝則が匂いをかいでいたもの、それは千恵子のパンティーだった。
「!!!!!!」
驚きのあまり声さえ出せなかった。
数時間前、少年たちの前に撒き餌のように、見せつけた緑色の布切れ。
それが彼女が盗まれてもいい、と思った人物の手にあったのだ。
孝則はパンティーをまるでいとおしむように、もう一度顔をうずめていった。
というよりパンティーを顔に見立てて、両手でほほを優しくはさんでキスをしている
といった感じだった。声が喉にからまった。
そして次には湿った音がくぐもった。
孝則がわたしのパンティーの匂いを嗅いでいる!!!!
パンティーにキスして、アソコの部分をしゃぶってるんだわ!!!!!
その事実に、こみあげる差恥に、ナルシズムの官能に、千恵子の全身は激しく火照っ
た。全身の細胞から汗が噴き出し、振動していった。
思う存分に少年は母親のパンティーとの、甘酸っぱいベーゼを済ませると、次にはパ
ンティーを股間にあてがっていく。
「くーーーーー」
少年は快感のためか、首から背筋から、ひきつらせていた。
私のパンティーでオチンチンしごいているんだわ!!!!!!
少年はそのすさまじいインナースペースの妄執にひたりきり、背後で千恵子がその有
様を見つめていることなど気がつきもしない。
だが千恵子も興奮のあまりか! ドアに体を少しぶつけてしまった。
そのギッという音に、驚き孝則は振り向いた。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!
??????????????????
母子の視線はからみあった。
瞬間、千恵子の姿に恐怖しながら、同時に母のパンティーに、しとどにペニスは爆発
してしまった。千恵子は誘惑の下着が、こんな形で目的どおり?の成果をあげていく
様子を目の当たりにしてしまったのだった。
緑色のパンティーが、無残にペニスに巻きつけられ、その先端部分から大きなシミが
広がり、何度も何度も脈動していくその有様を。
孝則は全身をひきつらせて、くぐもった声を出していた。
「…孝則…」それだけ言うのがやっとだった。
エクスタシーの後、孝則は視線を下げた。
あさましい母の下着を使用してのオナニーを、こともあろうに当の千恵子に見られて
しまったのだ。どんな言い訳も通用せず、またこれほどの屈辱もなかった。
重い空気が、二人の間にただよった。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
衝撃はそれだけでは収まらなかった。
千恵子はそこでようやく、孝則がパソコンで見入っていた画面を確認するに至った。
それは千恵子の3Dグラフィックであったのだ。
そう! 脱衣場で孝則が記憶した愛しい母の全裸であった。
ああ!!! 孝則ったら!!!!!!
全身を喜びが駆け抜けた。
だからスケッチブックに新しい自分の姿がなかったのだ。
二次元ではなく、生々しい網膜の記憶を少年が、パソコンに向かい、必死に再現させ
ようと試みていたことを千恵子は悟った。
孝則は、はっとしてパソコン画面に気がつき、シャットダウンしようとする。
「駄目! 消しちゃいや! 母さんに見せて!!!」
その言葉に孝則は泣きそうな顔をする。いや既に涙を浮かべていた。
「母さん、怒ってない! ううん嬉しいくらいよ。だからお願い見せて!!!!」
千恵子はそこでようやく孝則の部屋に足を踏み入れたのだった。
自分のパンティーを息子に陵辱されながらも、咎めるつもりなど毛頭なかった。
そこで千恵子はあることに気がついた。
「孝則、パンティー洗濯機に入れてきて…」
孝則はそこで下半身に母の下着を、からめたままだということに気がついた。
真っ赤になって少年は、あせるようにパンツとパジャマをはくと、自室を出て行った。
千恵子はそこでようやく、パソコン画面に映る自分のヌードグラフィックに見入った。
二日前、少年が見た自分の裸が細部まで再現されていた。
パソコンにはこんな使い方もあるのだと感心する。
擬似空間に浮かぶ自分は、かすかな微笑みを浮かべているらしい。
だが画面のサイズがサイズだけに小さかった。
背後に孝則が戻ってきた気配があった。
「これ母さんね? 母さんよね???」
後ろを振り返り、いまさらのように確認する。
少年は真っ赤になって首をたてに振った。
「母さんの裸、お風呂で見ちゃった時の姿でしょ?」
「うん・・・」
「ありがとう。母さんのこと思ってくれてたのよね。母さんの裸を見ても嫌いになら
ないでいてくれたんでしょ?」
孝則は返答に困った。
あの素晴らしいヌードを持つ女性を、なんで嫌えるものだろう?
「母さんね、あんなつまらない(無論本意なわけはない)たるんだ姿見せちゃったから、
おばさんだって思われちゃったかな?って、でも母さんの裸好きになってくれたのよ
ね。だからこんな悪戯しちゃって、ついつい母さんの下着にまで手を出してしまった
のよ。あのね、身近な異性に興味を抱いちゃうのは、孝則みたいな中学生くらいだと
当たり前なのよ。ちっとも変なことじゃないの。気にしなくていいわ。泣いたりしち
ゃおかしいぞ、孝則」
その千恵子の言葉に徐々に少年の心は癒されていく。
即興とはいえ、そういう理屈が作り出せるのが、母性というものなのかもしれなかっ
た。但し二人きりだから通じるだけのものでもある。
他人が聞いたらどう評価するかは別であろう。
「母さん、たるんでなんかいない! おばさんなんかじゃないよ! 今日きたあいつ
らだってすごく美人だって言ってたよ」
「ふふありがとう。孝則」
「うん…」
「ねえ孝則、お願いがあるんだけれど」
「何?」
「あのね、母さんの絵を描いてほしいの」
「え、うん、いいよ」
孝則にとっては、お願いしたいくらいの話である。
「そう、じゃあ、明日書いてもらえる?」
「うん」
「じゃあ今日はもう寝ましょうね」
そう言って千恵子は、孝則の部屋を出た。
翌朝、普通に二人は食事を済ませた。
そしてこれから肖像画を描くことになる。
孝則はリビングにキャンバスなど画材一式を準備して母を待った。
リビングには、衝立が用意されていた。
そこで着替えか何かをするのかな? などと思っているうちに、千恵子が黒いシック
な婦人スーツをまとって、入ってきた。
優しい笑顔とやや上気した顔色。スーツは実にミセスモデルらしいものだった。
「じゃあお願いね」藤の大きめの椅子に。右に傾けた感じで腰掛け、実に普通のポー
ズを決めた。ただそれだけなのに、実に気品があって美しかった。
孝則は黙々と筆をはしらせていた。30分ほどが過ぎた。
少年の芸術家志望の色彩感覚は、母の表情に妙な熱を感じた。
ただ肖像画を描かれているだけなのに、顔の上気はますます火照りを増す。
一方の千恵子も言い出しのタイミングを計っていた、というか迷っていた。
だが既に昨夜決心したことではないか!!!!
「ねえ孝則、ちょっと見せてくれる?」
「え…母さん、まだデッサンがどうのこうのってな出来だよ?」
構わず、孝則のところに歩み寄り、千恵子は己の肖像画未満のそれを眺めた。
愛に満ちた筆致だった。このまま描き終えれば、プロのカメラマンの手による千恵子
の写真よりも、彼女の美をとらえた絵になるはずだった。
だが孝則が描きたいのはこんな絵ではないのだ!
「うーん、やっぱり素敵だわ。これなら母さん、頼めるわ」
「は? 何を???」
「肖像画なんかじゃもったいないわ。孝則、母さんの全てを描いて!」
「全てって???」
突然上気などではない、明白な羞恥の表情が千恵子に現れた。
「そのね…ほら若い女性が自分が一番美しい時代を残したいって…写真とか絵のモデ
ルになるじゃない?」
「母さん、何が言いたいの???」
そう言いつつ孝則は既に察していた、母の次の言葉を。
「そ…その…母さんの裸婦像を描いてもらえないかな?って…、駄目? 母さんみた
いな年になって一番美しい時代なんて言わないわ、でも孝則、昨日母さんのこと素敵
だって言ってくれたじゃない? もし嘘じゃないなら…いやじゃないのなら…」
「か、母さん本気なの????」
孝則の声は興奮にうわずっていた。
「本気よ! 母さんを一番美しく書いてくれるの、孝則だけだって思ってる!」
「いいよ! いいよ! 母さん、僕描いてあげる!!!!」
孝則は絶叫した。
「そう…じゃあ母さん裸になるから…、ちょっと待っててね」
そこで千恵子は衝立の向こうに入っていった。
孝則は激しく心臓を跳ね打たせていた。
もう一度母のヌードを見られるのだ。しかもあの脱衣場の時のような数瞬ではない。
裸婦像を描くのだから、千恵子の素晴らしい肉体を、思う存分凝視できるわけなのだ
から孝則の反応は当然だった。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
そしてとてつもない衝撃!
モデルの職業柄、リビングにも姿見が置いてあり、そこに衝立の向こうの母の着替え
が丸写しになっていた。
母はそのことには気がついていない様子だった。
だが千恵子は当然知っていた。角度さえ測っていたのだ。
少女時代父の書斎にあった古典的ポルノグラフィーを盗み読みしたことがあり、その
中に熟女が青年を、こういう状況で誘惑する一シーンがあり、昨夜千恵子はそのこと
を遠い記憶から蘇らせたのだった。
着替えと入浴ほど、男が覗きたがるものはない。
少年が胸をドキドキさせている様子が、衝立の向こうから電波となって伝わる。
まずスーツを脱ぐ。そしてブラウスのボタンとホックを外した。
ブラウスを脱ぐ。少年の目にあらわになるブラジャーだけの母の上半身。
白いうなじがピンクに染まっている。
なんとなめらかそうな背中だろうか?
「しっかりするんだ! こんなんで取り乱して、母さんの裸なんか描けやしないぞ!」
と自分に言い聞かせる少年。
千恵子はブラジャーに手をかけた。が、そこで手をスカートに。
黒いスカートのホックを外し、ジッパーをおろす。
ふわりとスカートが床に舞い落ちる。
そこにあったのは漆黒のガーターストッキングと、純白のパンティー。
母の淫らな、娼婦のようなその姿に、股間はテントをはり、生唾があふれる。
それまで孝則に、背中側を姿見に映し出させていた千恵子だったが、そこで向きを変
えた。姿見のほうは見ない。見れば、孝則と視線があってしまうからだ。
知らない振りで見せつけてあげることこそが、少年をたぎらせるはずだった。
千恵子はストッキングの留め金に手をかけた。小さな藤椅子に片足を乗せて、その美
脚ラインを少年に確認させる。留め金を外すや、ストッキングをゆっくりと下に巻き
下ろしていく。そう焦らすように、焦らすために、ゆっくりと。
孝則にとってスローモーションにさえ思える動作も、期待と興奮が優り、あっという
間にストッキングは脱ぎ去られてしまった。
千恵子はしばらく考え、ストッキングを衝立にかけた。
その母の肌に接触していた薄衣に顔をうずめたくなる孝則。
必死にその衝動を抑える。
いまや千恵子はブラジャーとパンティーだけの姿である。
千恵子も興奮していた。
大事な部分以外は全部息子に見られている。
しかもこれからその隠した部分さえ見せなければならない?のだから。
震えながらブラジャーの前に手を持っていく。
しばし戸惑う素振り。かすかに乳房をもみしだいてみる。
乳首の勃起がわかり、羞恥を感じる。
「嗚呼孝則、こんな母さんを、母さんの服を脱ぐ姿を思い描いてたんでしょう?」
でもまだだ、もっと焦らさなくては。
またもや母が姿見に背中側を向ける。
ブラジャーが方から外された、生の母の上半身。
ブラも衝立にかける、惨い?仕打ち??
そしてパンティーに手がかかった。
こっちを向いてほしい、そんな願い空しく?千恵子はパンティーを脱ぎ始めた。
双丘が孝則の網膜を射抜く! その狭間に顔をうずめ舐めしゃぶりたい!妄執!!
孝則は目を血走らせて、母の背中側の全裸に見ほれるしかなかった。
千恵子は考えていた。このまま衝立から出て行く勇気が、ここまでしていながらも、
その踏み出しができないでいたのだ。
千恵子は目に付いたソファーの上のカバーを手に取り、前を隠した。
少年の目の前にいよいよ、全裸99%未満の千恵子が姿を現した。
千恵子は全身が汗ばむ。己のフェロモン分泌にめまいがしそうだった。
「じゅ、じゅんば、い、いえ、準備はいいの? 孝則?」
「母さん、僕はとっくにだよ。準備は母さんの方でしょ?」
その言葉には期待の意が感じられた。
「そうね、ヌードを描いてもらうのだから・・・」
全身の勇気を振り絞り、前を隠していたカバーを千恵子は外す。
ふわりとカバーは床に。
そして少年の目に、数日前見た千恵子のヴィーナスさえ恥らう姿が再び!
孝則の喉が鳴る響き、生唾を飲む音が、千恵子の全身に聞こえた。視線が合う。
青い狼の視線に、熟れた羊は怯えた。だがもうはじまってしまったのだ。
「か、母さん、ヌードモデルなんてはじめてなのよ」(当たり前である)
「孝則も裸婦デッサンなんかは経験あるんでしょう? ポーズはどんなのがいいのか
母さんわからないの。どんなポーズをしたらいいのか教えてくれて?」
「か、母さんならどうやっても素敵な絵になると思うよ」
それでは千恵子も困る。おまかせでは戸惑う。
カメラマンの叱咤や賞賛の言葉に反応していくのが、モデルのサガなのだから。
「じゃあこうやって普通に立ってみる?」
孝則はなんのポーズもとらない、ある意味無味乾燥な母のヌードをまじまじと見る。
それでも、いやだからこそ妄執は高まる。
自分が描いてきたデッサンは、こんな千恵子ではなかったのだから。
「母さん後ろを向いて振り返ってみて、母さんのお尻のラインも確認したいんだ」
孝則の妄執が、恥じらいを凌駕しはじめる。
指示の言葉に、千恵子のモデル魂が反応する。
さっと後ろを向き、振り返り微笑をたたえる。
何度も何度も、様々な雑誌や広告でとったポーズだ。
だがヌードで、しかも息子の前なのだ!
それが恥ずかしく、そして心が同時に躍るのだった。
「すごい! 母さんきれいだよ!!!!」
そう言いつつ、孝則はここで絵と写真の重大な相違点に気がついた。
どちらも被写体なり被描体の一瞬をとらえる芸術である。
但し写真は続けざまに、それらの変化をとらえていくことが可能だ。
だが絵は連作?がきかないものである。
母のヌードの美しさを、ただ一枚に閉じ込めなければならないのだ。
「違う! 母さん、ソファーに寝そべってみてよ」
千恵子はごく自然にソファーの上で絵を作った。
うっとりとした表情。グラビアギャルが浜辺で寝そべる写真に似た構図だ。
興奮しきりながら様々なポーズをせがむ。
孝則はそこで姿見について思いあたった。
「母さん、ちょっと待っててね」
今リビングにあるものではなく、千恵子が昔使っていた大き目のやつである。
二年前しまうのを手伝ったので、納戸に少年は向かう! 千恵子を一人残して。
滑車付きの姿見を孝則は注意深く、リビングに運んできた。
そして姿見を開く。(小さいベッド並みに)大きな鏡が三つに開かれる。
「母さん、この中央に立ってよ。そしたら一度に母さんのいろいろな姿が目にできる
でしょ
「こ、こう?」
千恵子は片手で髪を後ろ手にかきあげ、うっとりと目をつぶり、自分の四面図を孝則
の視線にさらす。
「うん母さんバッチリだよ。どの方向から見たって最高だよ、母さんのヌード」
全身をひりひりと息子に視姦される、目線に愛撫され犯され弄ばれているような錯覚。
だが実際に弄んでいるのはどちらであろうか?
そっと薄目をあけ、孝則の様子をうかがう。
構図が決まったようで、狂ったようにラフデッサンを始めていた。
見たいと妄執した日々の空想上の千恵子の淫らな姿。
脱衣場でかいまみ、それをパソコンで再現した3D。
だが今はただひたすらに、じっくりと千恵子のヌードをデッサンできる自分に、少年
は喜悦する。
瞬く間に5枚のデッサンを書き上げ、床においていく孝則。
最終的に油絵に残す姿はいまだ決定していない様子だ。
といか決定させる意思などないのかもしれなかった。
千恵子も少しずつ、なれてくる。なれれば大胆さを増していく。
やや足をこころもち開く。お尻を突き出す。手で胸を盛り上げる。
かすかに唇をとがらせる。
そうすると姿見には母の下半身が、その秘めた部分が、映し出されそうになる。
無論、見えそうでまだ見えはしない。だからこそ興奮がいやますのだ。
千恵子はお尻の左右を両手で押し開きたい誘惑にかられる。
秘陰もアヌスも、その恥ずかしい肉襞の一本一本まで、孝則に見せつけ描いて欲しい
という内心の言葉に戸惑い、抵抗する。
秘陰が疼く、その視線に、背徳感に、衝動に、もう千恵子は耐えられなくなっていた。
「アーーーーーーーーーー」
嗚咽ともつかない声をあげ、千恵子は膝をつき、うずくまってしまった。
「か、母さん、どうしたの???」
「な、なんでもないのよ。ヌードモデルなんか始めてだから疲れちゃっただけ」
「そうだね、少し休もうよ、僕トイレに行ってくるからさ」
「うん、わかった…」
母がまだうつむいていることを確認し、素早く手を伸ばして、少年はリビングから駆
け去った。
「フー」
大きく息をついて、千恵子はソファーに座り、肉体を休ませた。
全身が興奮に疼き、今にも自慰行為をはじめてしまいそうだった。
これが夜中なら、とてもこのままでは安眠にはつけないだろう。
ふと衝立に目をやった。
!!!!!!!!!???????????
そこには彼女のストッキングが、ブラジャーがかけられていたはずだった。
だが消失していた。ペアのパンティーもどこにも見当たらなくなっていた。
あったのはブラウスと婦人スーツ上下のみである。
「孝則ったら! トイレで!!!!!」
千恵子はそれらでオナニーしている孝則に思い当たった。
少年はもう我慢が効かなかったのだ。
既に一度千恵子に現場を抑えられていたし、それをなだめる言葉も聴いた。
だから白昼堂々と母の下着を持ち去ったのであろう。
「そんな! 一人だけ慰めちゃうなんてずるいじゃないの!」
千恵子はそんな理不尽な声を、心の中で発した。
孝則には彼なりの理由があった。
興奮は限界に達していた。
そう、あと10分もデッサンを続けていたら、ましだとして、パンツの中に射精してし
まっただろう。最悪、千恵子に襲い掛かってしまったかもしれない。
孝則は千恵子を愛していた。レイプなどしたくなかった。
だが抑えきれそうにない自分も知感していたのである。
だから彼はトイレに走った。母の下着一式を抱えながら。
「あのね、身近な異性に興味を抱いちゃうのは、孝則みたいな中学生くらいだと当た
り前なのよ。ちっとも変なことじゃないの、悩まないで」
母はそう言ってくれたではないか!
だがさすがに一度見られたとはいえ、母の目前でオナニーなどできはしない。
だから彼はトイレに駆け込み、後ろ手でトイレのドアを閉めた。
一人きりになった。
あせるようにズボンを下ろす。
たけり狂い、涙をとめどなく流したペニスがそそりたつ。
孝則は一本のストッキングをペニスに巻きつけた。
パンティーを、口にあてがう。その香りをかぐ。
きつい! 母が一晩着ていたのだろうか?
そこでペニスをいきなりしごく!
ナイロンの繊維のザラザラ、シルク混のなめらかさ。
そのどちらもが気持ちがいい。
わずかに三回の上下、それだけで孝則は先端に熱い奔流を感じた。
とっさにわかった、これはもう決壊だと。
だからそのまましごきを深めた。
「アッ!アアア!!! 母さん!!!」
悲鳴とともにストッキングに、少年の熱いほとばしりがぶちまけられていく。
孝則は思い切り腰を突き出し、背中をあごをのけぞらせて、そのすさまじいエクスタ
シーに身を委ねた。
ドクッツドクッツと濃いエキスがストッキングに浸透していく。
我慢を重ねた樹液の放出がようやくやむ、少しずつ力をなくしていくペニス。
少年は深い余韻にひたった。全身に鳥肌がたつ。呼吸が激しい。
これほどのオナニーによる快感はかつてないものだった。
興奮がそれなりに収まっていく。
そこでトイレの本来の用を済ませ、彼は洗濯籠に、まさに汚れ物を入れた。
リビングに戻る。
千恵子が顔をあげた。
「さあ母さん、続きを始めようよ」
TO BE CONTINUED
[2007/02/16 初稿]
[2007/02/20 一部改定]
黒川千恵子の職業は一口では語れなかった。
もっとも時間を占めている仕事と言うのであれば、ホテルの結婚式場でのカメラマン
であった。新郎新婦の思い出の一瞬をフィルムに収め、DVDに焼く。
T市の大概のホテルでの仕事は彼女にオファーがあった。
ただ彼女には別の仕事があった。T市の名門老舗ホテル「舞欄」のオーナーは、同時
にモデル派遣も行っており、というか舞欄のスタッフが揃いも揃って美貌のミセスが
多かったために、モデル部門ができたと言った方が正しい。
そんなわけで千恵子はカメラマンながら、撮影もされる奇妙な女性でもあった。
他にも新婦に華麗な着付けを行う白鳥潤華。
メイクアップなどを指導する母児生葉蓮。
ホテルのデザートシェフでもある三沢礼子。
舞欄のスタッフではないが、学者としても知られる橋本杏奈。
T市どころか、属する県のミセスファッションをリードする華麗な女性たち。
千恵子はその中の一人であった。
そんな千恵子には一人息子があった。名前は孝則。
それは千恵子が39歳。孝則が15歳の時だった。
ミセスモデルなどをやっているくらいなので、孝則は級友達にうらやましがれた。
「お母さん美人だね」「素敵よね」その賞賛は男女の別を問わず聞かされた。
そうしたほめ言葉は別に、何度聞いても悪い気はしない。
千恵子は夫と死別していたので、ために孝則を溺愛した。
孝則だけが生きがいだった。言い寄る男たちは星の数だが、その肉体は別にして
その心だけは息子にしか注がれていなかった。
大人の付き合いで体を求め合う関係の男性はいても、そこまでだった。
千恵子の美を維持させるもの、それは他の男の視線ではない。
息子孝則の視線こそがそれだった。
千恵子をいつでもまぶしそうに見つめ、照れくさそうに話しかけてくる孝則。
母親にドギマギするその様子が愛らしく思えた。
それが千恵子にとっては、最高の自分への賞賛にほかならなかった。
孝則のためにいつまでも美しくありたい。それが千恵子の意思だった。
さてカメラマンである千恵子だけに、息子が美術系高等学校を志望することには別に
驚かなかった。ただ息子が選んだのが写真ではなく、絵画だったことだけが残念では
あったのだが。
その日千恵子はオフだった。ブライダルもモデルも仕事はなかった。
中学に行く孝則を送りだした後、千恵子は何気なしに孝則の部屋を掃除していた。
画学生志望なのだから、孝則の部屋はキャンバスやらクロッキー・スケッチブック・
絵の具などが散乱していた。但しそのカオスの中にも彼なりの秩序がある。
孝則一人が、どこに何が置かれてあるのかを認識できるのだ。
前に千恵子が部屋をそれなりに掃除をしてあげたら、孝則があとでこう言った。
「母さん、勝手に片付けないでよ! 習作がどこにいったかわかんなくなっちゃった
よ。メールの期限は明日なんだよ」
名門美大の通信教育コースがあり、孝則は習作をスキャンし、メールに添付して総評
を仰ぐのである。
ビル・ゲイツが変えた世界が、また一つこういう社会にも見て取れる。
よってそれからというもの、千恵子は掃除といっても、置かれている物には手をつけ
ず、ほこりを払うくらいに留めていた。
さて千恵子は言うまでもなく美形である。その血をひいて孝則もハンサムな顔立ちで
あった。だから千恵子は息子の写真を撮るのが好きだった。カメラマンなのだから当
たり前だが。
一方孝則も幼い頃から、母の肖像を描くのが好きだった。
学校で両親の顔みたいな展示会があると、嬉々としてそれを描いた。
当時から絵が上手だった。千恵子の特徴をよくとらえていた。
それを千恵子に見せて「上手だね」と言われるのが、何より孝則は好きだったのだ。
だが小学校高学年にもなれば、そんな授業はなくなる。
だから孝則が自分を描いた絵などここ数年目にしていない。
千恵子が目にできたのは、孝則の様々なテーマの絵画であり、母の肖像画ではなかっ
た。だが息子びいきを差し引いても、孝則の絵には気品があり、芯が感じられた。
千恵子は何気なく、スケッチブックの一つを手に取った。
元の位置にさえ戻せば、別に構わないわけである。
道端の可憐な花のデッサン、夕暮れの校庭。
千恵子はカメラマンなので、その絵からありありとその光景をリアルに感じられた。
写真と絵画、道は違えど根は同じ。人々にアートの感動を与えるものだ。
ブライダルがアートなのか?と問われれば、千恵子たち舞欄スタッフは、花嫁を人生
の中一番光り輝く美しさに演出することを、アートだととらえていた。
そして上から四つ目のスケッチブックを開いた。
衝撃の瞬間だった!
黒川千恵子がそこに描かれていた。
その右側に千恵子がシックなドレスで、たたずみ微笑む姿があった。
それは雑誌でモデルを務めた記憶があるファッションだった。
問題はその左側のページに描かれた絵のほうである。
そのままのポーズで、千恵子の裸婦デッサンが細密に描かれていたのだ。
それはまるで右側の姿を、衣服を脱がされたままのそれだった。
リアルだった、少年の愛か?妄執か??実に刻銘な筆致だった。
ページをめくる。数々の千恵子のモデル姿がそこにあった。
どれも雑誌や広告に露出した姿だった。
但し中学生が目にするような媒体には、掲載されない。
孝則が本屋でミセス雑誌などを購入するか?
あるいは千恵子の部屋の本棚から持ち出し、それを見ながらデッサンしたに違いない。
だが、千恵子を混乱させるのはペアになった裸婦像だ。
息子が母親を描くのであればそう問題はない。だがわざわざヌードを描いていくのは
常軌を逸していた。
いや裸婦デッサンはアートの基本である。女性のヌードはまさに美の極致である。
だからといって、ここまで一人の女性を、しかも母親である自分を描く孝則、千恵子
はそれを眺めながら、少年の気持ちが伝わり、全身が震え始めた。
さらなる衝撃が千恵子を襲った。
そこには千恵子が雑誌で着た水着姿があった。
ミセス層にはギリギリきわどい、ややハイレグのワンピースやビキニ姿。
そしてミセス用ランジェリー。ベビードールやガーターストッキング姿。
ミセス層にアピールする商品なので、それほど扇情的なデザインではない。
だがそれを孝則がその筆で、ふしだらな女神に仕上げてしまっていた!!!!!!
水着姿。その左側にはそのヌードは描かれてはいなかった。
そこにあったのは、見るものに微笑みかけ、ビキニを脱いでいく様々な千恵子の
姿態であった。
「いやあああああああああああああああああああああ」
千恵子は心の中悲鳴をあげた。クロッキーの中、千恵子がビキニを脱ぎ捨てていく
10個のカット。まるでシャッターを切られているような、犯されているような感覚。
ハイレッグワンピース、そしてベビードールにランジェリー。
千恵子はそこで恍惚、あるいは挑発するような微笑を浮かべ、見るものを惑わそうと
していた。ページをめくるごとに、次から次へとあられもないポーズをとる。
千恵子はベビードールのパンティラインをずらせ、やや開かれた両腿の奥にのぞいた
女陰が詳細に書き出されていた。
「いやあ!駄目!!! 私こんなことした覚えはないわ!!!」
などと思っても、これは孝則の妄執の発露であって、事実ではない。
それはわかっていても、たかが絵でも、いやだからこそ、少年の千恵子に対する熱い
思いが伝わり、全身がほてるのだ。
背中のほくろの位置。お尻の小さなアザ。
なんで孝則にそれが描けたのか?
最後に一緒にお風呂に入ったのが小学四年生のころである。
その時の記憶が少年に残っていたのか?
だが女陰はどうなのだろう??
千恵子の恥毛のさまは、千恵子が毎日目にしているだけに、そのままだった。
女陰もまさに精密にこれでもかというくらいに、描かれている。
さすがにそれがそっくりなのかまではわからない。
想像だけで、記憶に頼っただけで、ここまで書けたのならいっそ天晴れである。
だからといって、母親としてほめていいものではない。
だがどう言って、叱るなり、諭せばいいのであろう?
「どうして?どうして母さんにこんなことさせるの????」
実際にアソコを開いて、男を誘惑しているわけではないのに、そうつぶやいた。
息がつまる。心臓が激しく鼓動する。ほほが染まる。
女の大事な部分さえ疼く。
「母さん、母さんを裸にして…いけない子…」
千恵子はスケッチブックを震える手で元の位置に戻した。
「母さんの体を、母さんのことそんなにまで……」
千恵子は孝則の部屋を出ると、自分の寝室に向かった。
そして大きな姿見の前に立った。モデル家業の必需品である。
「常に他人の目を意識すること。誰もいなければ自分の目線を意識すること」
そう言った50代のミセスモデルがアメリカにいるという。
千恵子も全く同感だった。そこに映る自分の姿に合格点を出し、仕事場に向かうのだ。
そして今、無性に千恵子は自分の裸を目にしたくなっていた。
鏡の中の自分を見つめながら、着ているものを脱ぎ始める。
きつきつのジーンズを、セーターを脱ぐ。
孝則が見たかったのは、こんなラフな姿ではない。裸婦な姿であったはず。
ブラジャーをひきちぎるようにはずし、パンティを両脚からすべらせていく。
既に汗ばんでかすかに染まった肌、甘い体臭を自分でも感じてしまった。
午前11時。美貌のミセスは自室でヌードになり、内部から沸き上がる陶酔感に酔い始
めていた。
我ながら素晴らしいプロポーションだと思った。
孝則にその昔ミルクを与えた乳房は、垂れることなく盛りあがり、乳首は黒ずむこと
なくピンクであった。肌はしたたるほどになまめかしく、ウエストはくっきりとくび
れ、下半身に続くラインは見惚れるほどに美しい。お尻も同僚の津島郁代のフィット
ネス指導のかいあって一向にだらしない様子は見せていない。
そう…もうじき四十路の美ではとうていなかった。
そして女のもっとも大切な部分に目がいく。
スケッチブックに、息子の筆に・鉛筆によって描かれたとおりの、いやらしい恥毛。
千恵子は自分で自分に羞恥してしまった。
思わず自分の目線からそこを隠した。隠せば自分の手に秘陰があてがわれてしまう。
「母さんの身体が好きなのね? 孝則ったらいやらしい子……母さんの身体がそんな
に見たいの?」
下腹にあてがった手の平と、内部から沸きあがる甘い感覚とが官能しあう。
もう一人の千恵子が愕然とする。鏡に映る自分の表情。
それは孝則の絵に描かれた、恍惚・誘惑の表情そのままだったからだ。
「これが母さんの身体……ああ、素敵って言ってくれるわよね???」
ナルシズムが千恵子を突き動かす。彼女は鏡の中の自分とキスを交わす。
舌をからませる。ディープに唇を重ねる。
「でも、どうして? 孝則はどうして母さんの裸……どうして知っているの?」
孝則の熱い視線に体を視姦されている錯覚。
あのスケッチブック一枚一枚に叩きつけられた少年の妄執。
少なくとも中学に入ってからは、裸を見せるような隙は見せたことはない。
だが言い切れるだろうか???
母子家庭なのだ。二人暮らしなのだ。
風呂上り、バスタオル一枚で孝則の前を、歩いたことはあったかもしれない。
自室のドアが開いていて、偶然?着替えを垣間見たこともありうることだ。
だがアソコまでは見られるはずがない。
まさか小学生にそこに興味があって、その有様を克明に記憶できたとは思えない。
疼く…秘陰が疼く、ジンジンと。もう反応してるのがわかる。
本棚、とある雑誌タイトル。「下着百選」
それは後に母児生隆という少年も妄執するカタログ雑誌だった。
手に取りペラペラとめくる。
若い!千恵子よりはるかにみずみずしい、モデルたちが通販用の下着をまとっていた。
だが! 孝則はこの女性たちでデッサンは描かなかったのだ。
そして千恵子は自分が露出しているページを震える手で開いた。
地味なベージュのランジェリー。それはそうだ。
ミセス用のランジェリーなのだから。
カラフルな色合いやフリル、官能的なデザインまでは要求されない。
そこでほがらかなモデル目線で、千恵子は掲載されていた。
だが、地味でもガーターストッキング、サスペンダー、ベビードール。
千恵子の素晴らしいラインは、あからさまだった。
それを孝則は妄執し、あふれんばかりのエネルギーで、実母のいやらしい姿を何枚も
何枚も描いていったのだ。
千恵子はクローゼットを開く。そのランジェリー一式を探し出す。
なぜ探したいのか自分でもわかっていない。
だがどうにも身に着けてみたく思ったのだ。
ベージュのパンティ。それ一つであれば別にどうということもない。
いやらしくもなんともない。フリルもついていない。
なのに体は震える。そのパンティーに脚を通していく。
それだけで自分のフェロモンが、活発に分泌されるのを知感する。
高ぶる。自分で自分を滅茶苦茶にしたくなってくるのだ。
パンティーをはけば、次はベージュのベビードールだ。
シルク混の肌触りがなまめかしい。
「はぁー」
そんな行為にさえエネルギーを使う。
そして腰にガーターリングをまきつける。
ストッキングを丸め、するすると脚にとおしていく。
両足にきっちりはきおわると、最後にサスペンダーでストッキングを吊るす。
カタログそのままの姿を、今一度姿見で確認する。
「あぁー」
身体のラインがあますところなく浮きだしている。
大事なところは隠しているのに、異性をそそってしまうのがランジェリーだ。
全身が羞恥に染まる。今一度孝則に見られている感覚にとらわれてしまう。
千恵子はくるりと背を向け、首をひねって鏡に映った自分の後ろ姿を見てみた。
片目でかすかにウインク、右手の人差し指を唇で色っぽく舐めた姿。
クロッキーの姿を、今自分で演じて?みる。
「嗚呼、こんな母さんを思ってしたのね、したのよ! 嗚呼、きっとそうよ!」
その姿妖艶かつふしだらな美熟女。
千恵子は孝則の夢の絵本の姿を、今また思い描く。
ああ、こんなんじゃなかったわ。もう少しお尻の露出があったわよ。
千恵子は両手で水パンティの布地を細くしぽるようにして、ややTバックに近いよう
にしてみる。双丘があますところなく鏡に映しだされた。
「いやらしい、淫らぁ…」
地味なベージュのミセス下着もこうなっては、ましてや千恵子がこんな形でまとって
は、もうエロス以外の何物でもなかった。
お尻をくゆらせてみる。若干の贅肉がついたヒップの肉がゆれる。
思いきってグイとお尻にパンティを食い込ませる。
まさにTバック。こんな姿はとてもカタログには掲載できない。
でも全ての健康な男が生唾を飲まずにはいられない姿だった。
「はぁーーーーー」
嗚咽がもれる。
千恵子はベッドにいたたまれず腰掛けてしまう。
そうだわ…おっぱいも触っていたわよね???
千恵子はランジェリー越しに乳房をもみしだく。
既に乳首はかたくはりつめていた。
「あぁーん、私っていやらしい……」
絵の中の自分をそのまま再現していく。
大また開き、股間に食い込んだパンティー。
そしてパンティーをずらせる。秘陰をあらわにしていく。
「嗚呼孝則ったらあ…母さんのアソコを絵に描いちゃ駄目、駄目なのぉ」
そんなセリフがなお官能をつのらせていく。
自分の女陰が姿見に映り、その光景にくらくらする。
客観的に見たならば、ナルシズムに酔うもうじき四十路、但し美女である。
ただ息子にそれを妄執されてしまったという事実が、耐えようもなく千恵子の理性を
かき乱してしまうのだった。
そっとそこに右手をあてがう。
「あああっ」
悲鳴が上がる。濡れそぼったそこは、摩擦を、快感を求めたぎっていた。
千恵子はその感触を目で確かめようとするかのように、自分が自分を慰める姿に見入
る。孝則さえいまだ描かず、当然見てもいない千恵子のオナニーする姿だった。
向き直って、姿見に正面を向けた。
「はぁーん、駄目、私ったら変態だわ」
一人異様につぶやく。でもそう言いながら、アソコをくじる動きは止めようがない。
千恵子の右手は、激しく前後左右に動き、自分を犯す。
女陰の敏感な部分をしごきたてる。
「あっ、嗚呼アアっ」
嗚咽をあげてしまえばなおのこと淫らな気分を昂らせる。
千恵子の右手は孝則のそれとなって、パンティーをずらせ、大きく開いたく股間の奥
の奥まで挿入し快感を送り込んでいく。
息子にいじくられているようなめくるめく錯覚に陥り、千恵子は正気を失い始めてい
た。愛液はしとどにあふれ、股間を指を愛液でてからせる。
太陽が窓から差し込み、そのてかりがきらめき、昼のさなかにオナニーに酔う自分の
ふしだらさを知感させる。腰の動きもオナニーに合わせて、徐々に速く激しくなって
いく。
鏡に映った卑狸な光景と、股間を衝きあげるいやらしい快感とに、千恵子の心と身体
はめくるめいた。
「はぁーん、パンティ邪魔なのぉ」
千恵子はわざと声に出して言った。
そしてパンティをじらすように脱いでいく。
誰も見てはいないのに。
目をつぶってベッドの上、下着を脱ぎ捨て、ベッド下にほおる。
再度大また開き。
鏡に映るその光景。アソコをおっぴろげたまるで商売女のような姿。
千恵子は再び狂ったように股間をしごきはじめた。
そのたびに全身に快感が疾る。千恵子は我を忘れ、あさましきエクスタシーに自分を
追い込んでいくのだった。
左手の指先がしこったクリトリスを押しもむ。
女のもっとも華奢な部分は右手が蹂躙する。
右手に感じる熱いぬめり、それに自分で感応する。
匂いたつようなフェロモンを自分で感じる。
甘酸っぱい女の香り。
ナルシズムな陶酔がいやがうえにも高まる。
「アアっ嗚呼ああアア!!!!!!」
喉からもれる鳴咽が自分の耳もとにふしだらにコダマする。
ガーターストッキングに包まれた両脚がピーンと突っ張り、爪先が快感に丸まってい
く。ベッドの上、背中がのけぞり、千恵子は自慰行為の嵐に身を委ねる。
「アア!!!アーンツ!」
人々が仕事に学業に、家事に向き合う正午にあと少しの時間帯。
千恵子は全身をひきつらせてイッタ。
「アーーーーー!! アー! いやああああああああんんん」
甘いエクスタシーの響きが、彼女の部屋の中にコダマしていく。
しばらくベッドの上で千恵子はすさまじい官能の余韻に、じっと身をまかせていた。
孝則はその日習作の添削のため、地元の高名な画家の元を訪問してから帰宅した。
帰ってみると母、千恵子は不在だった。
テーブルにメモが残されていた。
「急なお仕事が入ったので出かけます。夕食は準備してありますからね」
そうか、とだけ思って食事を済ませ、気がつけば午後九時。
彼はお風呂に入ることにした。
そそくさと体を洗い、シャンプーを済ませ、そして浴室から出て、体をぬぐい終わっ
た時であった。
突然脱衣室のドアが開いて、千恵子が入ってきたのた。
しかも一糸まとわぬ全裸であった。
「キャアーツ!」
千恵子の悲鳴が脱衣場に響き渡った。
だが悲鳴を出したいのはまず孝則の方だろう。
当然ながら、ものすごく気まずい空気が二人をおおった。
中学生と、その母親が、生まれたままの姿で一つの場所にいていいわけがない。
孝則はしばらくしてあわててタオルで、そのペニスを母の視線から覆い隠した。
だが千恵子は孝則の下半身の有様を、その数瞬で網膜にまじまじと焼き付けた。
たくましく、同時に若く美しい息子の裸を。
口の中に生唾があふれた。
孝則は困った。母はショックなのかどうかはわからないが、その全裸を隠そうともし
ていないのだ。
それは神々しいほどに美しかった。まぶしかった。
ミセスモデル黒川千恵子のあらゆる部分が、孝則の前にさらけ出されていたのだ。
即座にタオルの中、孝則のペニスは勃起した。
彼がここ数年、精通を果たし性に目覚めてから、ひたすらに焦がれ続けた、その妄執
をスケッチブックに叩きつけた母の姿態が、そこにあったのだから。
乳房も、かすかに贅肉を帯びた母性の証のおなかも、長い脚も、雪肌も。
そして母の大切な部分を覆う、手入れされているのであろう恥毛さえもが、孝則の目
に映っているのだ。
孝則がその頭の中に、千恵子のヌードデータを転送するには十二分な数瞬が過ぎた。
そこで呆然としていたのかに見えた千恵子は、あわててそばにあったバスタオルで、
その姿態を孝則の目線から遮ったのだった。
「か、母さん!何考えてるんだよ! 僕が入ってることなんかわかるだろ!!!!」
「ごめん! 母さん考え事してたのよ、まさか孝則がいるなんて……ごめんなさい」
そう言いながら千恵子は全身をピンクに染めて、孝則のそばを急いで駆け抜けるよう
にして、浴室の中に消えていくのだった。
そして浴室の曇りガラスの向こうに、母の裸体のラインはいまだ「見えたまま」だっ
た。そして一瞬ながら千恵子の甘い母薫さえ鼻腔に強く残った。
呆然に包まれたまま、ふらふらと全裸で孝則は脱衣場を出た。
ふと気がついて、脱衣場にトランクスやパジャマをとりに戻った。
ガラスに千恵子のラインはもう見えなかった。
母は既に浴槽につかっているところだった。
「見た」「見せてあげた」それが千恵子の思いだった。
当たり前だ、誰が、息子が入浴していることに、気がつかないわけがあろうか。
しかもパジャマも持たず、全裸で脱衣場に入ってくるわけがない。
そう、千恵子は孝則の裸が見たかったのである。
そっと外から浴室に電気が点いたところを見計らって家に戻り、次に風呂から出た
ところを狙って、全裸同士の偶然の遭遇を演出したのだ。
孝則が母を妄執し、ヌードをデッサンする。だがそれで済むわけがない。
きっとオナニーしているに違いない。
千恵子はその! 息子の大人の部分を確認したかったのである。
記憶に残る、小枝のような孝則の「オチンチン」は紛れもなく大人の「ペニス」
に変貌していた。かつての華奢な子供の体は、雄雄しきたくましさに包まれていた。
千恵子はそれを自分の目で、母として見ることができ、感動にひたっていた。
そして同時に孝則のために、自分の今を、今の裸を見せてあげたかったのだ。
どれほど見たいと思ったことだろう、その少年の一途な思いに応えてあげたかっただ
け?なのだった。
きっと孝則は喜んでくれたはず、千恵子はそう信じた。
なんだ…実際の母さんは貧相だなあ、などとは絶対思わないはず。
そう、自分に自信はあった。そうでなければミセスモデルなどは務まらない。
目的の達成感に、温水につかりながらも、千恵子は鳥肌をたてた。
一方孝則の心臓は爆音たてて鼓動していた。
日々妄執した憧れの女性、実母千恵子の裸身をかいま見てしまったのだから。
芸術家志望の少年の網膜は、1600万色のデータでそれを記憶してしまった。
メロンのようにたわわな乳房も、漆黒の茂みも、母性の魅力をたたえたお尻の双丘も
全てをである。そして甘く香る母薫。
母が不在の時、ベッドやパジャマに顔をうずめ孤独に甘えた香りが、母の裸身のデー
タとあいまって官能的に、今も少年の鼻腔をくすぐり続けた。
母さん……どうして僕に裸を見せちゃったんだよ!!
孝則は母のうかつさ(ではなかったわけだが)に感謝し、同時に呪った。
決して見ることはかなわないと思ったからこそ、彼はスケッチに情熱をかたむけるこ
とができたのである。
しかし全裸の千恵子の魅力は彼の妄想の範疇さえはるかに越えていた。
それはまぎれもなく美女の肉体、もう彼は母を母として見つめることはできない。
「たまんないよ!母さん!僕、僕、もう絵なんかじゃ我慢できないじゃないか!
でも母さんにいやらしいことなんかできないだろ??? ひどいよ! 僕受験生なん
だよ! 習作に手がつかないじゃないか!!!!」
網膜のデータが、1600万色で再現された母の裸身が、少年の脳裏で再現される。
咽が乾く、冷蔵庫からジュースを取り出しがぶ飲みする。
息が苦しい、心臓が止まりそうだ!
嗚呼、苦しい!!! アソコがパンパンだ!!!!
自室に駆け込み、孝則はベッドにあおむけになり、目を閉じた。
そうすれば生々しく、千恵子の衝撃的な全裸が3Dで姿態を彼に見せつける。
母さんのオッパイ! 母さんのオマンコ! そうだ!オマンコ、オマンコだあ!!!
心の中で禁断の四文字をつぶやけば、千恵子の熟れきった、豊満な肉体が孝則を優し
く誘う。勃起がペニスが狂おしく涙を流す。
母さんのオッパイ! 母さんのオマンコ! ああ吸いたい!ぶちこみたいよぉおお!
心の叫びのままに、実母を妄想の中犯す、少年の許されない女性を思い描いてのオナ
ニーが始まった。右手で激しくペニスをこすりたてる。
頭の中の3D実母の乳房を、女陰を、必死にしゃぶりたてた。
ほんの数瞬だ、母のその部分の有様などわかりはしない。
パソコンで女性のその部分の作りを知り、わずかな記憶で彼が描いた千恵子の秘陰。
そこを舌でえぐる。しゃぶる。
ペニスはギンギンにきばりきり、またたくまに快感の頂点が少年の内部からわきあが
っていく。
「ああああああああああ!!!! 母さん!!!!!!!!」
悲鳴とともに、彼は風呂を浴びたばかりの下腹部に胸に、精液をほとばしらせてしま
った。あまりの快感に、ティッシュを手にすることさえ忘れていたのであった。
翌日千恵子は舞欄に1時間ほど遅れて出社すると伝えた。
孝則と千恵子はあれから、なにか気恥ずかしい一線が引かれてしまっていた。
いや千恵子に壁はない。心理的障壁を作っているのは孝則の方だった。
千恵子が話しかけても、真っ赤なってうつろな返事。
母親に照れてどうするの!と言いたかったが、自分に責任があるのだから仕方がない。
それよりも孝則を送り出した後、かのクロッキーの最新の1ページが見たかったのだ。
必ず、昨夜の自分を描いてくれているに違いない、そう思ったのだった。
千恵子はスケッチブックを手にした。
そして愕然とした。書かれていたからか?違う!
孝則の習作の中に、昨夜の自分の姿はどこにもなかったからである。
「なんで? 母さん魅力なかったの!! どうしてよ!!!!」
実に身勝手な心の叫びを千恵子は発した。
それから心にかすかな傷を負いつつ、千恵子は舞欄に出勤した。
帰宅すると、孝則が友人二人を連れてきていた。
中学は違うのだが、同じ美術高校志望で、たびたび短期ゼミで顔を合わせ、仲がよく
なり励ましあう仲間なのである。
「あ、おばさん、お邪魔してます」
「あら、矢島君に大原君、いらっしゃい」
孝則の自室で三人は、最近の習作を品評しあっていた。
少しだけ?気が楽になった。
二人だけになったら、問い詰めてしまいそうな自分が怖かったのだ。だが…
「なんで母さんのヌードを書かなかったの? せっかく見せてあげたのよ」
そんなことをどうして言えるものでもない。
だが二人暮らしである。いつでも二人きりになってしまうのだ。最終的には。
さて千恵子は少年たちのために、ジュースと軽食の類を出してあげることにした。
三人は既にハンバーガーで食事を済ませたそうだが、喜んで受け取って食べだした。
孝則の部屋を出てしばらくそこに千恵子はそこにとどまった。
もしや! 孝則が友人たちにあのスケッチを、見せているのではないかと不安になっ
たのだ。ドアを通しても三人の会話は聞こえてきた。
「いやあ! ホント孝則の母さん、美人だよなあ」
「そりゃそうだよ。モデルなんだから。俺の母さんも、孝則の母さんが載った本持っ
てるよ、水着とそのなんだ…エロっぽい下着の写真もあったぜ」
「うひゃああ!! あのおばさんの下着かよ! どんな?どんなの!!!!」
「アレだよ、太もものとこまでのストッキングで紐で吊るやつ」
そこではじめて孝則が口を挟んだ。
「ああ、それガーターストッキングっていうんだよ」
「いいなあ、俺その写真見てえ! あんな色っぽいおばさんの写真なら三回くらい抜
けるぜ! それって外人さんがつけるやつでしょ? でもあの人なら似合うよ」
「おいおい、俺の母さんになんてこというんだよ」
千恵子の耳に響く、孝則の言葉には怒りはこもっていなかった。
そのことがなにやら嬉しく感じられた。
「何言ってんだ! お前だって感じるだろ? そうでなきゃインポだぜ」
「馬鹿言え! 俺の母親だぞ、しかも39だよ?」
「あんなにいい匂いするんだぜ、あのおっぱいだぜ? ぷるんぷるんじゃんか!」
「ホントだよ、俺の母さんなんかもう40で、お前の母さんと一歳しか変わんないけど
もうただのおばはんだよ? いいよなあ。あんな色っぽい母親と、毎日一緒なわけで
しょ? もう俺だったら絶対甘えちゃうね。ねえ母さん、おっぱい触んないと眠れな
いのとか言ってさ。もしかしたらもうやっちゃってんじゃないの!」
「馬鹿抜かせ! 俺は獣か! 親子でエッチなんて気持ち悪い」
「いいや! 俺が息子なら喜んでやっちゃうね」
「このおばはん趣味の変態め! 普通感じるか? 中年に???」
その孝則の言葉が、千恵子の胸を鋭くえぐった。
「クー立ってきた! もうベロベロに舐め舐めしたいなあ、ああ!おばさん!!!」
少年たちの悪い冗談にされていた。千恵子と孝則の母子相姦。自分の肉体。
いたたまれなくなり、千恵子は足音をたてないようにして、息子の部屋から離れた。
友人たちの目には、いやらしい肉体を持つ美女と認識されている。
それは少しだけ自尊心をくすぐられる。
だが真っ向から否定された、愛する孝則から。中年、その言葉が悲しかった。
息子は自分の裸を見て、かえって自分を嫌いになったのだろうか???
違うわ! 強がってるのよ!
たとえ昨夜描かれなかったのは事実でも、それまでの熱い思いが消え去っているはず
はない! もう一度少年の心をかき乱してやりたい、そう願った。
「ねえ孝則、母さん先にお風呂に入るからね。そうそう洗うものあったら洗濯機回し
ておくから入れておいてよね」
心臓を激しく鼓動させながら、声の震えを抑え、千恵子はそう少年たちに呼びかけた。
少年たちの会話がしばし中断した。
「うん、わかった。僕はこいつら帰ってから入るから、お風呂のふたは閉めといてい
いよ」
「今日は汚れ物多いからね。二回に分けて洗うかもしれないから」
誘惑のお膳立ては整った。
浴室の脱衣場で千恵子はまず、昨日までの汚れ物を洗濯機で洗い始めた。
次にそそくさと服を脱ぎ、下着を取り去る。
そして下着類を洗濯機横の籠に、重ねる。
わざわざ先ほど着替えた、千恵子が持つパンティーの中で一番透け透けで、フリルが
ついたいやらしい薄緑色のそれ。
そして全裸になった千恵子はバスルームに入っていった。
「さあ覗きに来るのよ。坊やたち。照れ屋さんの孝則に勇気を与えてちょうだい。
三人がかりなら、ふふ、踏み出せるでしょう??」
そう心の中でつぶやきながら、千恵子はシャワーを使いはじめる。
バスルームのドアは磨りガラス。
少年たちがというか、孝則が脱衣場に来る名目はある。靴下でもなんでも洗濯物を置
きに来るというのがそれだ。ご丁寧に脱衣場の照明は消してある。
リビングから脱衣場に続くドアを開けば、千恵子の裸体シルエットはあますところな
く、少年たちの目に入るはずであった。
シャワーの温水を浴びながら、その温かさだけではなく、羞恥による火照りで肌が真
っ赤に上気していく。まだ見られてはいないのに、想像するだけで恥ずかしい。
今頃少年たちは孝則にせがみ、せっついているだろう。
あの会話では多分童貞だ。
女の裸など雑誌かネットでしか見たことがないに違いない。
「生意気ね、そのくせ私の体舐め舐めしたいだなんて…」
だがそう思わせるなまめかしさが、千恵子の肉体にはあった。
少年たちのいやらしい言葉を思い出す。早く、早く覗きに来て……
温水で身体を洗う、乳房を腰をヒップを、いやそれは自分への愛撫に他ならなかった。
さもいやらしく自分を愛する。秘陰をくじり、乳房をしだいていないだけで、その全
身へのマッサージに自分で酔う。
浴室の鏡に映る顔は、悩ましく恍惚に満ちていた。
ウーン……ハァーー……
スーーー
千恵子ははっとして目を開いた。かすかな自分の嗚咽と、シャワーの温水以外の音が
聞こえた。それは脱衣場のドアがレールを走る音だった。
「ああ!! いやらしい坊やたち……」
自分で誘っておきながら、羞恥がさらに高まり、思わず脱衣場の方向に背を向けてし
まう。
それでは駄目だ! 若き六つの目に、自分の裸身を見せてあげられない!
浴室の曇りガラスに真横に立ち、右手でシャワーを頭の上にかざす。
もう千恵子のシルエットは、そのプロポーションはあからさまのはずだった。
その乳房も、形のいい(勃起しきった)乳首も、お尻のたわわさも。
千恵子はうっとりする。少年たちの青い視線に。
いや違う、息子孝則の目線だけが、彼女の欲するものだったのだ。
温水シャワーショーはふしだらに、次の幕に。
うっとりとして乳房にシャワーを、そして片足をあげ、バスタブにかけ、やや開いた
両足の中心までシャワーを近づけ、そこを洗う。
たかが温水なのに、バイブレーターを使用しているところを、目撃されているような
錯覚が襲う。千恵子は濡れていた。ぐしょぐしょに濡れそぼっていた。
温水以外の、彼女自身が分泌するエキスで。
演技ではなかった。千恵子は興奮しきっていた。
おもむろに、シャワーの途中、少年たちのほうに顔を向けた。
三つの影が脱衣場から逃げ去っていった。
「アー、私がこっちを向いたからだわ」
もう少しだけ、いやずっと見せてあげたかった。孝則のためなら……
浴室から出ると、彼女のパンティーのそばに、孝則の靴下がのっていた。
「手に取らなかったのね…」
残念に少しだけ思った。盗まれてさえ構わなかったのかもしれない。
だが犯人ばればれの行為に、そうは、はしれるものでもない。
体を拭い、バスタオル一枚で千恵子は自室に向かった。
大胆である。普段はそんな行為はしない。
浴室にはきちんと着替えも、パジャマも持って入っているのだ。
だがそうはしなかった。
千恵子はもう一度、少年たちに声をかけてやろうかと思った。
だがやめた。この姿はガラス越しだからこそ他人に見せてあげられた。
それ以上は、孝則以外の視線に触れさせるつもりはなかった。
自室でもう一度姿見の前で全裸になってみる。
自分で自分に生唾を飲み込む。
この姿を夢想し、少年たちはいやらしいことを、千恵子の話をしている。
それは願望ではなく確信だった。
張りのある豊満な乳房をもむ。
「ァ・・・」
かすかな嗚咽がもれる。激しく今!オナニーしてしまいたいほどたぎっている。
だが一つ屋根の下、少年たちがいるのだ。
千恵子はおのが嬌声を聞かせてやりたいとさえ思った。
黒く茂った恥毛の部分にもそっと手をはわせる。
「!!!!!ァァ」
わかってはいたが、異性を迎え入れる準備は十二分に整っていた。
なまめかしい女体は、自分のかすかな愛撫に嗚咽と快感をこらえ、くねる。
その姿がさらに千恵子をたかぶらせる。
ここ数日の千恵子は、どう考えても正気を失っていた。
「きっと言っているのよ、オマンコさわりたいとか、オチンチンここにぶちこみたい
とか、私のこと恥ずかしい言葉で……」
こんな格好を見たら、孝則はどうするだろう?
千恵子の目は、再び孝則のそれになって、姿見の中の自分を視姦する。
「ああん、どうだった母さんのライン? それでも中年だってアノ子たちに言うの?」
「母さん、僕こいつら駅まで送ってくるからさ」
千恵子の恍惚を中断させた孝則の声、そこで千恵子はかろうじて正気に戻った。
あわてて愛撫を中止し、優しく孝則に声をかけてあげる。
「うん、気をつけてね」
「いやだなあ、たかが駅までだよ」
息子を気遣う普通の母親と、子ども扱いしてくれるなという息子の会話だった。
それだけを聞けば普通だった。
深夜になった。千恵子は寝付かれなかった。
なにやら物音がした。孝則はまだ起きているようだった。
トイレなのか? やや時間がたって彼は自室に戻ったようだった。
今なら自分は寝入っていると思うだろう。
孝則は今夜こそ自分をスケッチしてくれている。そんな確信があった。
千恵子は細心の注意を払って、自室のドアを開き、抜き足差し足で孝則の部屋に向か
った。
息子のプライバシーを覗き込もうという、自分のあさましさに気が引ける部分はある。
だが孝則も自分のヌードを空想しているのだから、おあいこではある。
そんな言い訳を一人、心の中でとりつくろいながら、目的のドアに向かう。
そして蒸し暑かったからなのか? 孝則の部屋のドアは開かれていた。
千恵子は心臓を激しく鼓動させながら、そっと覗き込んだ。
孝則はパジャマ姿でドアに背を向けて机に向かって坐っていた。
そして食い入るようにパソコン画面に見入っていた。
スケッチブックはそこにはなかったのである。
だが何かを何かに!夢中になって打ち込んでいた。マウスを激しく動かしていた。
孝則の頭が邪魔で何がウインドウズの画面に、映っているのかはわからない。
ネットサーフィンをしている感じではなかった。
「ハァハァハァ」
孝則の息は荒かった。何かにとりつかれたような感じだった。
「フーッ」
孝則は大きな息をつき、しばらくの間パソコン画面に見入っていた。
そしておもむろに、少年は画面を見つめ、なにやら股間あたりをまさぐっていた。
というよりそれがオナニーそのものだということは、すぐにわかった。
なぜなら下半身のパジャマがひざ下まで下げられていたのである。
そして左手で顔に何かをあてがっていた。
というよりいぎたなく匂いを嗅いでいるといったほうが正しい。
「ハァハァハァ」
それは異様な光景だった。まあオナニーなどというものは、他人から見ればそういう
ものなのかもしれない。千恵子は自分がここ数日、真昼間にさえ自分を慰めていたこ
とを思い出し、ほほが染まったが、息子のオナニーを凝視していて気がつかない。
次の瞬間、衝撃が千恵子の内部をはしった!
孝則が顔にあてがっていたものを、まるでうやうやしく拝むかのように、顔の前に広
げていったのだ。
孝則が匂いをかいでいたもの、それは千恵子のパンティーだった。
「!!!!!!」
驚きのあまり声さえ出せなかった。
数時間前、少年たちの前に撒き餌のように、見せつけた緑色の布切れ。
それが彼女が盗まれてもいい、と思った人物の手にあったのだ。
孝則はパンティーをまるでいとおしむように、もう一度顔をうずめていった。
というよりパンティーを顔に見立てて、両手でほほを優しくはさんでキスをしている
といった感じだった。声が喉にからまった。
そして次には湿った音がくぐもった。
孝則がわたしのパンティーの匂いを嗅いでいる!!!!
パンティーにキスして、アソコの部分をしゃぶってるんだわ!!!!!
その事実に、こみあげる差恥に、ナルシズムの官能に、千恵子の全身は激しく火照っ
た。全身の細胞から汗が噴き出し、振動していった。
思う存分に少年は母親のパンティーとの、甘酸っぱいベーゼを済ませると、次にはパ
ンティーを股間にあてがっていく。
「くーーーーー」
少年は快感のためか、首から背筋から、ひきつらせていた。
私のパンティーでオチンチンしごいているんだわ!!!!!!
少年はそのすさまじいインナースペースの妄執にひたりきり、背後で千恵子がその有
様を見つめていることなど気がつきもしない。
だが千恵子も興奮のあまりか! ドアに体を少しぶつけてしまった。
そのギッという音に、驚き孝則は振り向いた。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!
??????????????????
母子の視線はからみあった。
瞬間、千恵子の姿に恐怖しながら、同時に母のパンティーに、しとどにペニスは爆発
してしまった。千恵子は誘惑の下着が、こんな形で目的どおり?の成果をあげていく
様子を目の当たりにしてしまったのだった。
緑色のパンティーが、無残にペニスに巻きつけられ、その先端部分から大きなシミが
広がり、何度も何度も脈動していくその有様を。
孝則は全身をひきつらせて、くぐもった声を出していた。
「…孝則…」それだけ言うのがやっとだった。
エクスタシーの後、孝則は視線を下げた。
あさましい母の下着を使用してのオナニーを、こともあろうに当の千恵子に見られて
しまったのだ。どんな言い訳も通用せず、またこれほどの屈辱もなかった。
重い空気が、二人の間にただよった。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
衝撃はそれだけでは収まらなかった。
千恵子はそこでようやく、孝則がパソコンで見入っていた画面を確認するに至った。
それは千恵子の3Dグラフィックであったのだ。
そう! 脱衣場で孝則が記憶した愛しい母の全裸であった。
ああ!!! 孝則ったら!!!!!!
全身を喜びが駆け抜けた。
だからスケッチブックに新しい自分の姿がなかったのだ。
二次元ではなく、生々しい網膜の記憶を少年が、パソコンに向かい、必死に再現させ
ようと試みていたことを千恵子は悟った。
孝則は、はっとしてパソコン画面に気がつき、シャットダウンしようとする。
「駄目! 消しちゃいや! 母さんに見せて!!!」
その言葉に孝則は泣きそうな顔をする。いや既に涙を浮かべていた。
「母さん、怒ってない! ううん嬉しいくらいよ。だからお願い見せて!!!!」
千恵子はそこでようやく孝則の部屋に足を踏み入れたのだった。
自分のパンティーを息子に陵辱されながらも、咎めるつもりなど毛頭なかった。
そこで千恵子はあることに気がついた。
「孝則、パンティー洗濯機に入れてきて…」
孝則はそこで下半身に母の下着を、からめたままだということに気がついた。
真っ赤になって少年は、あせるようにパンツとパジャマをはくと、自室を出て行った。
千恵子はそこでようやく、パソコン画面に映る自分のヌードグラフィックに見入った。
二日前、少年が見た自分の裸が細部まで再現されていた。
パソコンにはこんな使い方もあるのだと感心する。
擬似空間に浮かぶ自分は、かすかな微笑みを浮かべているらしい。
だが画面のサイズがサイズだけに小さかった。
背後に孝則が戻ってきた気配があった。
「これ母さんね? 母さんよね???」
後ろを振り返り、いまさらのように確認する。
少年は真っ赤になって首をたてに振った。
「母さんの裸、お風呂で見ちゃった時の姿でしょ?」
「うん・・・」
「ありがとう。母さんのこと思ってくれてたのよね。母さんの裸を見ても嫌いになら
ないでいてくれたんでしょ?」
孝則は返答に困った。
あの素晴らしいヌードを持つ女性を、なんで嫌えるものだろう?
「母さんね、あんなつまらない(無論本意なわけはない)たるんだ姿見せちゃったから、
おばさんだって思われちゃったかな?って、でも母さんの裸好きになってくれたのよ
ね。だからこんな悪戯しちゃって、ついつい母さんの下着にまで手を出してしまった
のよ。あのね、身近な異性に興味を抱いちゃうのは、孝則みたいな中学生くらいだと
当たり前なのよ。ちっとも変なことじゃないの。気にしなくていいわ。泣いたりしち
ゃおかしいぞ、孝則」
その千恵子の言葉に徐々に少年の心は癒されていく。
即興とはいえ、そういう理屈が作り出せるのが、母性というものなのかもしれなかっ
た。但し二人きりだから通じるだけのものでもある。
他人が聞いたらどう評価するかは別であろう。
「母さん、たるんでなんかいない! おばさんなんかじゃないよ! 今日きたあいつ
らだってすごく美人だって言ってたよ」
「ふふありがとう。孝則」
「うん…」
「ねえ孝則、お願いがあるんだけれど」
「何?」
「あのね、母さんの絵を描いてほしいの」
「え、うん、いいよ」
孝則にとっては、お願いしたいくらいの話である。
「そう、じゃあ、明日書いてもらえる?」
「うん」
「じゃあ今日はもう寝ましょうね」
そう言って千恵子は、孝則の部屋を出た。
翌朝、普通に二人は食事を済ませた。
そしてこれから肖像画を描くことになる。
孝則はリビングにキャンバスなど画材一式を準備して母を待った。
リビングには、衝立が用意されていた。
そこで着替えか何かをするのかな? などと思っているうちに、千恵子が黒いシック
な婦人スーツをまとって、入ってきた。
優しい笑顔とやや上気した顔色。スーツは実にミセスモデルらしいものだった。
「じゃあお願いね」藤の大きめの椅子に。右に傾けた感じで腰掛け、実に普通のポー
ズを決めた。ただそれだけなのに、実に気品があって美しかった。
孝則は黙々と筆をはしらせていた。30分ほどが過ぎた。
少年の芸術家志望の色彩感覚は、母の表情に妙な熱を感じた。
ただ肖像画を描かれているだけなのに、顔の上気はますます火照りを増す。
一方の千恵子も言い出しのタイミングを計っていた、というか迷っていた。
だが既に昨夜決心したことではないか!!!!
「ねえ孝則、ちょっと見せてくれる?」
「え…母さん、まだデッサンがどうのこうのってな出来だよ?」
構わず、孝則のところに歩み寄り、千恵子は己の肖像画未満のそれを眺めた。
愛に満ちた筆致だった。このまま描き終えれば、プロのカメラマンの手による千恵子
の写真よりも、彼女の美をとらえた絵になるはずだった。
だが孝則が描きたいのはこんな絵ではないのだ!
「うーん、やっぱり素敵だわ。これなら母さん、頼めるわ」
「は? 何を???」
「肖像画なんかじゃもったいないわ。孝則、母さんの全てを描いて!」
「全てって???」
突然上気などではない、明白な羞恥の表情が千恵子に現れた。
「そのね…ほら若い女性が自分が一番美しい時代を残したいって…写真とか絵のモデ
ルになるじゃない?」
「母さん、何が言いたいの???」
そう言いつつ孝則は既に察していた、母の次の言葉を。
「そ…その…母さんの裸婦像を描いてもらえないかな?って…、駄目? 母さんみた
いな年になって一番美しい時代なんて言わないわ、でも孝則、昨日母さんのこと素敵
だって言ってくれたじゃない? もし嘘じゃないなら…いやじゃないのなら…」
「か、母さん本気なの????」
孝則の声は興奮にうわずっていた。
「本気よ! 母さんを一番美しく書いてくれるの、孝則だけだって思ってる!」
「いいよ! いいよ! 母さん、僕描いてあげる!!!!」
孝則は絶叫した。
「そう…じゃあ母さん裸になるから…、ちょっと待っててね」
そこで千恵子は衝立の向こうに入っていった。
孝則は激しく心臓を跳ね打たせていた。
もう一度母のヌードを見られるのだ。しかもあの脱衣場の時のような数瞬ではない。
裸婦像を描くのだから、千恵子の素晴らしい肉体を、思う存分凝視できるわけなのだ
から孝則の反応は当然だった。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
そしてとてつもない衝撃!
モデルの職業柄、リビングにも姿見が置いてあり、そこに衝立の向こうの母の着替え
が丸写しになっていた。
母はそのことには気がついていない様子だった。
だが千恵子は当然知っていた。角度さえ測っていたのだ。
少女時代父の書斎にあった古典的ポルノグラフィーを盗み読みしたことがあり、その
中に熟女が青年を、こういう状況で誘惑する一シーンがあり、昨夜千恵子はそのこと
を遠い記憶から蘇らせたのだった。
着替えと入浴ほど、男が覗きたがるものはない。
少年が胸をドキドキさせている様子が、衝立の向こうから電波となって伝わる。
まずスーツを脱ぐ。そしてブラウスのボタンとホックを外した。
ブラウスを脱ぐ。少年の目にあらわになるブラジャーだけの母の上半身。
白いうなじがピンクに染まっている。
なんとなめらかそうな背中だろうか?
「しっかりするんだ! こんなんで取り乱して、母さんの裸なんか描けやしないぞ!」
と自分に言い聞かせる少年。
千恵子はブラジャーに手をかけた。が、そこで手をスカートに。
黒いスカートのホックを外し、ジッパーをおろす。
ふわりとスカートが床に舞い落ちる。
そこにあったのは漆黒のガーターストッキングと、純白のパンティー。
母の淫らな、娼婦のようなその姿に、股間はテントをはり、生唾があふれる。
それまで孝則に、背中側を姿見に映し出させていた千恵子だったが、そこで向きを変
えた。姿見のほうは見ない。見れば、孝則と視線があってしまうからだ。
知らない振りで見せつけてあげることこそが、少年をたぎらせるはずだった。
千恵子はストッキングの留め金に手をかけた。小さな藤椅子に片足を乗せて、その美
脚ラインを少年に確認させる。留め金を外すや、ストッキングをゆっくりと下に巻き
下ろしていく。そう焦らすように、焦らすために、ゆっくりと。
孝則にとってスローモーションにさえ思える動作も、期待と興奮が優り、あっという
間にストッキングは脱ぎ去られてしまった。
千恵子はしばらく考え、ストッキングを衝立にかけた。
その母の肌に接触していた薄衣に顔をうずめたくなる孝則。
必死にその衝動を抑える。
いまや千恵子はブラジャーとパンティーだけの姿である。
千恵子も興奮していた。
大事な部分以外は全部息子に見られている。
しかもこれからその隠した部分さえ見せなければならない?のだから。
震えながらブラジャーの前に手を持っていく。
しばし戸惑う素振り。かすかに乳房をもみしだいてみる。
乳首の勃起がわかり、羞恥を感じる。
「嗚呼孝則、こんな母さんを、母さんの服を脱ぐ姿を思い描いてたんでしょう?」
でもまだだ、もっと焦らさなくては。
またもや母が姿見に背中側を向ける。
ブラジャーが方から外された、生の母の上半身。
ブラも衝立にかける、惨い?仕打ち??
そしてパンティーに手がかかった。
こっちを向いてほしい、そんな願い空しく?千恵子はパンティーを脱ぎ始めた。
双丘が孝則の網膜を射抜く! その狭間に顔をうずめ舐めしゃぶりたい!妄執!!
孝則は目を血走らせて、母の背中側の全裸に見ほれるしかなかった。
千恵子は考えていた。このまま衝立から出て行く勇気が、ここまでしていながらも、
その踏み出しができないでいたのだ。
千恵子は目に付いたソファーの上のカバーを手に取り、前を隠した。
少年の目の前にいよいよ、全裸99%未満の千恵子が姿を現した。
千恵子は全身が汗ばむ。己のフェロモン分泌にめまいがしそうだった。
「じゅ、じゅんば、い、いえ、準備はいいの? 孝則?」
「母さん、僕はとっくにだよ。準備は母さんの方でしょ?」
その言葉には期待の意が感じられた。
「そうね、ヌードを描いてもらうのだから・・・」
全身の勇気を振り絞り、前を隠していたカバーを千恵子は外す。
ふわりとカバーは床に。
そして少年の目に、数日前見た千恵子のヴィーナスさえ恥らう姿が再び!
孝則の喉が鳴る響き、生唾を飲む音が、千恵子の全身に聞こえた。視線が合う。
青い狼の視線に、熟れた羊は怯えた。だがもうはじまってしまったのだ。
「か、母さん、ヌードモデルなんてはじめてなのよ」(当たり前である)
「孝則も裸婦デッサンなんかは経験あるんでしょう? ポーズはどんなのがいいのか
母さんわからないの。どんなポーズをしたらいいのか教えてくれて?」
「か、母さんならどうやっても素敵な絵になると思うよ」
それでは千恵子も困る。おまかせでは戸惑う。
カメラマンの叱咤や賞賛の言葉に反応していくのが、モデルのサガなのだから。
「じゃあこうやって普通に立ってみる?」
孝則はなんのポーズもとらない、ある意味無味乾燥な母のヌードをまじまじと見る。
それでも、いやだからこそ妄執は高まる。
自分が描いてきたデッサンは、こんな千恵子ではなかったのだから。
「母さん後ろを向いて振り返ってみて、母さんのお尻のラインも確認したいんだ」
孝則の妄執が、恥じらいを凌駕しはじめる。
指示の言葉に、千恵子のモデル魂が反応する。
さっと後ろを向き、振り返り微笑をたたえる。
何度も何度も、様々な雑誌や広告でとったポーズだ。
だがヌードで、しかも息子の前なのだ!
それが恥ずかしく、そして心が同時に躍るのだった。
「すごい! 母さんきれいだよ!!!!」
そう言いつつ、孝則はここで絵と写真の重大な相違点に気がついた。
どちらも被写体なり被描体の一瞬をとらえる芸術である。
但し写真は続けざまに、それらの変化をとらえていくことが可能だ。
だが絵は連作?がきかないものである。
母のヌードの美しさを、ただ一枚に閉じ込めなければならないのだ。
「違う! 母さん、ソファーに寝そべってみてよ」
千恵子はごく自然にソファーの上で絵を作った。
うっとりとした表情。グラビアギャルが浜辺で寝そべる写真に似た構図だ。
興奮しきりながら様々なポーズをせがむ。
孝則はそこで姿見について思いあたった。
「母さん、ちょっと待っててね」
今リビングにあるものではなく、千恵子が昔使っていた大き目のやつである。
二年前しまうのを手伝ったので、納戸に少年は向かう! 千恵子を一人残して。
滑車付きの姿見を孝則は注意深く、リビングに運んできた。
そして姿見を開く。(小さいベッド並みに)大きな鏡が三つに開かれる。
「母さん、この中央に立ってよ。そしたら一度に母さんのいろいろな姿が目にできる
でしょ
「こ、こう?」
千恵子は片手で髪を後ろ手にかきあげ、うっとりと目をつぶり、自分の四面図を孝則
の視線にさらす。
「うん母さんバッチリだよ。どの方向から見たって最高だよ、母さんのヌード」
全身をひりひりと息子に視姦される、目線に愛撫され犯され弄ばれているような錯覚。
だが実際に弄んでいるのはどちらであろうか?
そっと薄目をあけ、孝則の様子をうかがう。
構図が決まったようで、狂ったようにラフデッサンを始めていた。
見たいと妄執した日々の空想上の千恵子の淫らな姿。
脱衣場でかいまみ、それをパソコンで再現した3D。
だが今はただひたすらに、じっくりと千恵子のヌードをデッサンできる自分に、少年
は喜悦する。
瞬く間に5枚のデッサンを書き上げ、床においていく孝則。
最終的に油絵に残す姿はいまだ決定していない様子だ。
といか決定させる意思などないのかもしれなかった。
千恵子も少しずつ、なれてくる。なれれば大胆さを増していく。
やや足をこころもち開く。お尻を突き出す。手で胸を盛り上げる。
かすかに唇をとがらせる。
そうすると姿見には母の下半身が、その秘めた部分が、映し出されそうになる。
無論、見えそうでまだ見えはしない。だからこそ興奮がいやますのだ。
千恵子はお尻の左右を両手で押し開きたい誘惑にかられる。
秘陰もアヌスも、その恥ずかしい肉襞の一本一本まで、孝則に見せつけ描いて欲しい
という内心の言葉に戸惑い、抵抗する。
秘陰が疼く、その視線に、背徳感に、衝動に、もう千恵子は耐えられなくなっていた。
「アーーーーーーーーーー」
嗚咽ともつかない声をあげ、千恵子は膝をつき、うずくまってしまった。
「か、母さん、どうしたの???」
「な、なんでもないのよ。ヌードモデルなんか始めてだから疲れちゃっただけ」
「そうだね、少し休もうよ、僕トイレに行ってくるからさ」
「うん、わかった…」
母がまだうつむいていることを確認し、素早く手を伸ばして、少年はリビングから駆
け去った。
「フー」
大きく息をついて、千恵子はソファーに座り、肉体を休ませた。
全身が興奮に疼き、今にも自慰行為をはじめてしまいそうだった。
これが夜中なら、とてもこのままでは安眠にはつけないだろう。
ふと衝立に目をやった。
!!!!!!!!!???????????
そこには彼女のストッキングが、ブラジャーがかけられていたはずだった。
だが消失していた。ペアのパンティーもどこにも見当たらなくなっていた。
あったのはブラウスと婦人スーツ上下のみである。
「孝則ったら! トイレで!!!!!」
千恵子はそれらでオナニーしている孝則に思い当たった。
少年はもう我慢が効かなかったのだ。
既に一度千恵子に現場を抑えられていたし、それをなだめる言葉も聴いた。
だから白昼堂々と母の下着を持ち去ったのであろう。
「そんな! 一人だけ慰めちゃうなんてずるいじゃないの!」
千恵子はそんな理不尽な声を、心の中で発した。
孝則には彼なりの理由があった。
興奮は限界に達していた。
そう、あと10分もデッサンを続けていたら、ましだとして、パンツの中に射精してし
まっただろう。最悪、千恵子に襲い掛かってしまったかもしれない。
孝則は千恵子を愛していた。レイプなどしたくなかった。
だが抑えきれそうにない自分も知感していたのである。
だから彼はトイレに走った。母の下着一式を抱えながら。
「あのね、身近な異性に興味を抱いちゃうのは、孝則みたいな中学生くらいだと当た
り前なのよ。ちっとも変なことじゃないの、悩まないで」
母はそう言ってくれたではないか!
だがさすがに一度見られたとはいえ、母の目前でオナニーなどできはしない。
だから彼はトイレに駆け込み、後ろ手でトイレのドアを閉めた。
一人きりになった。
あせるようにズボンを下ろす。
たけり狂い、涙をとめどなく流したペニスがそそりたつ。
孝則は一本のストッキングをペニスに巻きつけた。
パンティーを、口にあてがう。その香りをかぐ。
きつい! 母が一晩着ていたのだろうか?
そこでペニスをいきなりしごく!
ナイロンの繊維のザラザラ、シルク混のなめらかさ。
そのどちらもが気持ちがいい。
わずかに三回の上下、それだけで孝則は先端に熱い奔流を感じた。
とっさにわかった、これはもう決壊だと。
だからそのまましごきを深めた。
「アッ!アアア!!! 母さん!!!」
悲鳴とともにストッキングに、少年の熱いほとばしりがぶちまけられていく。
孝則は思い切り腰を突き出し、背中をあごをのけぞらせて、そのすさまじいエクスタ
シーに身を委ねた。
ドクッツドクッツと濃いエキスがストッキングに浸透していく。
我慢を重ねた樹液の放出がようやくやむ、少しずつ力をなくしていくペニス。
少年は深い余韻にひたった。全身に鳥肌がたつ。呼吸が激しい。
これほどのオナニーによる快感はかつてないものだった。
興奮がそれなりに収まっていく。
そこでトイレの本来の用を済ませ、彼は洗濯籠に、まさに汚れ物を入れた。
リビングに戻る。
千恵子が顔をあげた。
「さあ母さん、続きを始めようよ」
TO BE CONTINUED
[2007/02/16 初稿]
[2007/02/20 一部改定]
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