小説(転載) 『ゆるしてあげない』
近親相姦小説
『ゆるしてあげない』
「ただいま!」
今日、和弘は最高に上機嫌で帰宅した。靴を脱ぐ足が浮くようにはしゃいでいるの
が自分でもわかる。原因は唇に残っている湿った小さなぬくもりだ。
「やだ、お兄ちゃん。何、はしゃいでんのよ!外まで聞こえるじゃない!」
台所で夕食を作っていた妹の百合が顔を露骨にしかめた。貿易商として年の三分の
二は家をあけている両親に代わって家事一切をこなす立派な妹だ。学校の成績もまず
まずであり、何よりも決定的なまでに可愛いかった。
「百合ちゃん、た・だ・い・まぁぁぁン。今日のご飯、なーに?」
しかし、妹のしかめ面など気にもならない状態のようで和弘は浮かれている。それ
をエプロン姿の二つ下の妹はすごく疑い深そうににらんだ。
「まさか、三年の理恵子先輩と何かあったんじゃないでしょうね?このふられ君が」
「違いまーす。理恵子さんとはもう別れました」
正確には何故だかふられたのである。中背だがアイドル系の容姿のはずの和弘は、
結構女の子の受けがいい。しかし、何故かなかなか進展出来ず、キスの三日前くらい
で必ず破局を迎えていた。一度として最後までいった事がない。同じ学校の中等部の
百合が各方面にもてもてなのとくらべると情けない兄貴である。
「じゃ、何よ。テストは季節じゃないし、ゲームやCDが出るって話はなかった
しーー」
「うーふーふー。子供には、ひ・み・つ」
「気持ち悪いのよ!カマみたいに!白状しな……あーっ!」
どどどどっ!と床を踏み鳴らして百合が突進してきた。驚く和弘を逃さず、制服の
ネクタイをがっしりとつかむ。その拍子に右手にまだ握っていたおたまが和弘のこめ
かみを直撃し、火花を散らせた。
「…痛かった…今のは」
薄く涙目になった和弘がうなる。しかし、それにすら気づかず、百合は顔をぶつか
らんばかりにすりよせて燃えるような目で観察し――怒鳴った。
「ルージュがついている!薄いけど間違いない!お兄ちゃん、キスしたんだ!誰と
よッ!」
つかんだネクタイがちぎれんばかりに強く振りまわされた。和弘の頭ががくがくと
ゆれる。可愛い顔してとんでもない怪力であった。
「ちょ、ちょ、ょ、ちょっとま、て、て」
「誰よ!理恵子のばばあじゃないんでしょう!誰なのよっ!」
和弘が質問に答えるのにはやや時間が必要であった。
「加世ちゃんだよ。お前の友達の」
「加世――っ!あんなガキなんかと!」
百合の反応は予想外だった。手にしたおたまで、今度ははっきりと和弘に殴りかか
る。何が何だか判らずに和弘は慌てて自分の部屋に逃げ込んだ。
「お兄ちゃん!ちょっと話があるわよ!出といで!」
しばらく鍵をかけられた扉を叩きつづける。中の和弘にはまだわけが判らない。中
等部の加世に今日告白され、そのまま勢いでキスをしたのは事実だ。加世は百合の友
達だったからまずかったのだろうか。“友達に手を出した!”とか言って――しか
し、いくらなんでもここまで怒らなくてもいいだろうに。
やがて諦めて百合は台所に戻っていった。しかし和弘としてはすぐに顔を合わせる
気にもならず、そのままベットで漫画を読み出した。
そのうちに、お腹がすく頃になって台所から呼ぶ声がした。先ほどと違っておだや
かな声だ。夕食が出来たそうである。和弘としてはまだ気まずくはあったが、育ち盛
りの空腹には勝てない。それでも一応、足音をひそめるようにして台所に出る。
今日の夕食はチャーハンと肉野菜炒めに卵スープだった。味はどれも良い。百合の
不機嫌が食卓についても目も合わさないくらい続いている事から、とんでもない味付
けで報復されるのかと警戒していたが、疑いすぎだったらしい。しかも夕食にはコー
ヒーまでついていた。カフェインの興奮作用が一日の疲れを癒すのには悪い――との
理由で朝しか飲めないのが家のルールだったのに、一体、どうした事だろう。さっき
怒った事へのわびのつもりか、それとも兄のファーストキッスへのささやかな御祝い
なのだろうか――和弘の顔がほころぶ。
ただし、そのコーヒーの味は濃すぎた。通常の倍は豆を使っているのであろう。苦
味が舌に重く、それ以外の味が全然わからないほどだった。
そして夕食後、何故か和弘は強烈な睡魔に襲われた。
目が覚めた時、和弘の頭は状況を理解していなかった。
見上げているのは、貼ってあるアイドルのポスターからいって、自分の部屋の天井
だ。とすると身体の方はベットに仰向けになっている事になる。そこまでは判った。
しかし、自分が全裸で、しかも大の字に両手両足を開いた姿勢のままで身動きでき
ないでいるのはどういうわけだ?
「…馬鹿な…」
身動きできない理由はすぐ判った。両方の手首足首をしっかりとロープがつないで
いる。恐らく登山が趣味の父親のザイルであろう。引いてみたがさすがに丈夫でびく
ともしない。
すると今、自分は囚われの身になっているのだろうか?
「――――――」
落ち着いて考えてみた。夕食を食べ、その後コーヒーを飲んだ事までは鮮明に覚え
ている。飲み終わって十分もしないうちに猛烈な眠気を感じたこともだ。その後は確
か百合の手を借りてこの部屋まで何とかたどりついて―――――
「あら、もう起きたの?」
明るい声がドアの方からした。ぎょっ!としてそちらを見――ようとしたが四肢が
固定されている為に顔が十分に上がらない。しかしそれでも声の主が誰だかは判っ
た。
「百合!」
兄の悲鳴に応えるように妹の百合が視界に現れた。シャワーでも浴びていたのか髪
が濡れ、頬が紅潮している。身につけているのは大き目のパジャマの上と髪を拭いて
いるバスタオルだけで、ピンクの足は太股から全部剥き出しだ。可愛い顔もあって、
幼いなりにほんわりとした色気が―――そんな事はどうでもいい。
「ちょっとこれほどいてくれ―――ああぁっ!見るな、俺の身体を!」
助けを頼む前に全裸な事に気づいたのだ。大の字になっているからもちろん何も隠
し様がない。まだやっと生えそろった陰毛も、その下の初々しい肉棒も百合の位置か
らは丸見えだ。兄としては本気で穴を掘って隠れたいほどに恥ずかしい姿であった。
「恥ずかしがったってもう遅いわよ。お兄ちゃん。縛る時にたっぷり見たもん。写真
まで撮っちゃったんだから」
「写真?なんて事を――」
と、落ち着き払って言う百合に怒ろうとして和弘は愕然とした。縛る時だって?
じゃあ、こんな事をしたのは百合なのか?!
あまりの事に混乱して何と言って良いか判らない和弘に対し、百合はしっかりとし
た足取りで和弘の下半身の方へ行った。何をすべきか、あるいは何をしたいのか良く
理解しているらしい。
その手が縮こまっている和弘の肉棒に触れた時、さすがに和弘も我にかえった。
「おい!ちょっと待て!何をする気だ!?」
「何って、ここまできたら一つしかないじゃん」
百合の口調はふざけようとして失敗し、その下の真剣さが露になっていた。それだ
けに今やっている行為への真摯さが嫌と言うほど判る。身動きできないままに和弘は
自分の血の気が引く音を確かに聞いた。
「へ、変なところを触るな!悪戯して良い場所と悪い場所があるぞ!」
「悪戯じゃないもん。本気だもん」
「え……?」
和弘からは良く見えなかったが、百合はゆっくりと――と言うより恐る恐る兄の肉
棒をなぜまわした。もちろん生まれて初めての経験なので顔は紅潮し、指先は震えて
いる。その指に伝わる感触は当然まだ柔らかいが、ほのかな暖かさが触れた部分から
確かに伝わってきた。
「お兄ちゃんが悪いのよ。百合以外の女と付き合おうとするから――今まで影で邪魔
するのにあたしがどれだけ苦労したか知っている?」
「……どう言う事だ?」
和弘は問いながらもその解答は予想でき――ぞっとした。今まで女との付き合いが
ことごとく失敗したのは百合のせいだったのか。そしてその動機は――まさか、実の
兄に対して……
「でも、もう決めたの。お兄ちゃんの弱みを今夜握るわ。もしお兄ちゃんが百合以外
の女に手を出したら世間に公表して、人生ずたずたにしてやる」
とんでもない宣言であったが、その淡々とした口調が和弘には冗談とは思えなかっ
た。縛りつけられた無理な姿勢から何とか百合を見ようと首を痛くして顔を上げる。
予想通りに真剣そのものの妹の表情があった。
「弱みってなんだ?こんな姿の写真くらいで脅迫されたりしないぞ!第一、パパとマ
マがそんな事を許すわけないだろう!」
和弘は絶叫した。残念ながら幾らかは虚勢も入っており、雄雄しいものとは言えな
い。自分でも顔色が悪い方に変っているのが判る。百合が今からする事以上に、その
動機を聞く事に理性と感性の両方が危険信号を出していた。
「写真なんて――そんな簡単なもんじゃないわ」
百合は鼻で笑った。
「それにパパとママに言ったって百合が怒られるわけは絶対にないもの――だってお
兄ちゃんが妹のあたしを強姦するんだから」
和弘は―――絶句した。しばしの間、百合のくすくす笑いだけが部屋に響く。その
間も百合の暖かい指が和弘の萎んだ肉棒をゆっくりといじりつづけている。その本気
を疑う気にはとてもなれなかった。
「強姦なんてそんな嘘が通るわけがないだろう!」
「あら、じゃ、二つ下の中学生のあたしが高校生のお兄ちゃんを薬で眠らせ、ベット
に縛り付け、無理矢理強姦したとでも言うの?そんな漫画みたいな話より、その逆の
方が他の人には信じやすいんじゃない?」
真剣な絶叫に百合は楽しそうに言い返し、再度、兄を絶句させた。確かにそうだ。
百合の嘘より、今の事実の方があまりにも現実的ではない。ましてこんなに可愛い美
少女が訴えれば、誰が和弘の主張を信じてくれるであろう。一瞬、本当に和弘は絶望
で目が眩みそうになった。
「……判った。百合が嫌なら、今後、女とは付き合わない。もし付き合ったらその嘘
を公表しても良い――だから、もう今日は許してくれ。な?」
それでも何とか気を持ちなおして、和弘は懐柔策に出る。百合が今から何をする気
かは十分に予想がついていた。せめてそれだけはやめさせないと――しかし。
「だーめ。お兄ちゃん嘘をつくから」
百合は笑っているのに違いない声で、兄の必死の譲歩を明るく拒否した。
「嘘なんかついたことは―――」
「ほら、それが嘘!だって、百合が幼稚園の時、百合をお嫁さんにすると言ったくせ
に、その後はずうっと他の女ばかり追いかけていたじゃない!」
そんな無茶な――と答えそうになった和弘は下半身からの強い感触に小さな悲鳴を
上げた。百合が和弘の肉棒をしっかりと掴み、上下にこすりだしのである。
「ちょ、ちょっとま――」
「それに……もう駄目なの」
兄の悲鳴を無視して百合は急に囁くように言った。
「百合もね………濡れてきちゃったの……もう我慢できない……」
うっとりとした告白に和弘は硬直し――自分でも意味不明のわめき声を上げた。も
うこうなったら声で威嚇するしかないと思ったのだろう。
「いい加減にしろ!この馬鹿!実の兄妹だぞ!近親相姦じゃないか、この…」
「もう、うるさいなあ。ムードがないじゃない。お兄ちゃん、嫌いっ!」
百合は顔をしかめると、和弘の肉棒から手を離し――なんと自分のパンティを脱ぎ
出した。そしてピンクの縞模様のそれを丸めるとわめき続ける和弘の口に押し込んだ
のである。和弘は身動きできない上に、大口を開け続けていたから、作業は簡単だっ
た。
「そうそう。今夜は百合がお兄ちゃんのお嫁さんになる記念すべき日なんだから、静
かにクールにしといてね。じゃないと女の子にもてないよ」
速成のHな猿轡は十分な効果を発揮し、和弘のわめきはうめき声程度まで小さく
なった。百合がにんまりと笑う。そのパンティから和弘の口一杯に初めて感じる甘い
香りとやや濃い目の味が広がった。
しかし、今度は和弘は縛られたままでありながら猛然と身体を揺り動かし始めた。
縛ってあるとは言え、結んでいるのは四肢のほうだけだから胴体は上下動くらいは出
来るのだ。特にどの縛った位置からも遠い腰の辺りが一番動かす事が出来た。
「もう、うるさいわねっ!これを使うわよ!」
あまりの兄の拒絶ぶりにさすがに腹が立ったのか、突如、百合が怒鳴った。同時に
ベットの傍らの和弘の机に手を伸ばし、何かを掴む。それが部屋の照明の光を反射し
たのが和弘の目にも見えた。
「どうしても百合が嫌だって言うのなら、こいつで切っちゃうからね!」
それは父親のサバイバルナイフであった。実用性本位の頑丈な奴で、鉈のような幅
広の刃は熊でも解体できると父親が自慢していた代物である。
「別に百合はいいのよ。お兄ちゃんのおちんちんを切っちゃいさえすれば、少なくと
も他の女のところにはいけないんだから。そしたらずっと百合だけのものなんだし―」
百合はそう言ってナイフの刃を和弘の肉棒にあてた。ひんやりとした鋼の感触が和
弘の全ての動きを止める。百合が本気かどうか以前に、男にとってこれほどの脅迫が
あるであろうか。
「そうそう、いい子いい子」
和弘の素直な反応に満足して百合は嬉しそうに言った。両手で肉棒を掴む。であれ
ばナイフは置いたはずだが、だからと言って冒険する勇気は和弘には全くなかった。
しばしお互いに沈黙が続いた。和弘は何の反応も出来ないし、百合は和弘の肉棒を
手にしたまま感触を確かめている。脅迫までしたくせに、何故か躊躇しているように
も感じられた。
「ごめんね。お兄ちゃん。こんな形になってしまって」
不意に、しかし思いつめたように百合が口を開いた。
「ほんとは、最初の時はお兄ちゃんに百合を抱いてもらいたかったんだけど……でも
もうお兄ちゃんが他の女の方を見るのを我慢できなくなったの」
「………」
「だから今夜、お兄ちゃんの童貞を百合にちょうだい――かわりに百合の処女をお兄
ちゃんに上げるから……好きなのよ、愛しているの――お兄ちゃん」
突然の――しかしもう判っていた告白に和弘はめまいのようなものを覚えた。しか
しそれは恐れでもショックでもない。百合の告白により身体中の血が逆流したせいで
ある。それが怒りか悲しみか、それともそれ以外の何かかは和弘にも咄嗟にはまった
く判らなかった。
「あ!勃ってる!」
しかし、本人にも判らない事でも身体は動くらしい。妹の手に握られていた和弘の
肉棒は、持ち主の意思を無視してびくりと反応した。生きの良い魚のように妹の両手
の中で動いたのである。
「確かこうするのよね。よいしょ、よいしょ」
兄の反応にそれ以上に元気になって百合は和弘の肉棒をしごき始めた。男のものを
触るのは初めてだけあって、かなり乱暴で無駄に大きな動きだったが、肉棒はどんど
ん堅さを増している。こんな異常な状況だと言うのに――和弘は恥ずかしさに真っ赤
になった。
「ああーっ!こんなになっちゃった。最初はあんなに小さかったのに。すごいのね。
お兄ちゃんのおちんちんって!」
ついに和弘の肉棒は直立した。皮は剥けているが、未使用のせいもあって、全体的
に綺麗なピンクだ。先端からすでに透明な液も出ている。自分の言う事を聞かない恥
ずかしいこの反応に、和弘は屈辱で本気で死にそうな気分になった。実の妹の愛撫で
こんなになるなんて――結局、誰がしても反応するのか。それとも実の妹に欲情して
いるとでも言うのか。
百合が兄の肉棒の怒張ぶりを楽しそうに見ている。こちらは自分の愛撫に兄が反応
した事を素直に喜んでいた。“お兄ちゃんもあたしとしたいんだ”と思ったのであ
る。しかし――
「え?、わ…きゃあ!」
本当に男の生理を知らない百合は勃起した兄の肉棒をそのまましごきつづけていた
のである。反応するのは当然であった。和弘の股間から全身へ鋭い快感が走った。妹
の手の愛撫によって射精してしまったのである。白いどろりとしたミルクが不用意に
顔を近づけていた百合の顔から胸にかけてべっとりと飛び散った。
「あぁぁ…すごい。これが射精っていうものなのね」
びくびくと動きながらも、なおも男のミルクを吐き出す兄の肉棒を両手で握り締め
ながら百合は感極まった声を出した。目が恍惚とすらしている。逆に実の妹の目の前
で、しかも直接しごかれて発射していまった和弘は目の前が恥辱で真っ暗であった。
生まれてこの方これほどの目にあった事があったであろうか。いっそこの場で死んで
しまいたいくらいである。
そんな兄の苦悩にも気づかず、新鮮な驚きで目を輝かせている百合は身体に飛び
散った男のミルクを丹念に指ですくい――舐めた。あまり美味いものではなかったら
しく、可愛い顔を複雑にしかめる。しかし、少なくとも肌についた分は全て指を使っ
て舐めとった。
「お兄ちゃんの味って……何か、変」
さすがにパジャマに飛び散った分まではしたくないのか、パジャマは脱いで傍らに
置いた。部屋の照明に十四歳の裸体が照らし出される。パンティは先ほど兄の口に押
し込んだのだから、もうその身体を飾る物は何もない。全体的に細めのそれは幼さに
よる丸みがあちこちに残る少女のものだったが、その分、歳相応の健康な色香をたっ
ぷりと発散させていた。
「でもいっちゃうとまた小さくなるのよね」
百合は何か不満そうに呟きながら和弘の肉棒を脱いだパジャマでぬぐった。すぐ綺
麗にはなったが、サイズは最初に戻っている。和弘本人が呆然としているのだから当
然であろう。先ほどと同じように両手でしごいてみたがすぐには反応しなかった。百
合はしばし考える。
「後に取っときたかったんだけど。今夜は大サービスね」
百合は宣言するように呟き、へたっている肉棒に口を寄せた。しかし、ベットのサ
イズと壁との距離の都合上、今の体勢では少し無理がある。少し考え――さすがに頬
を染めつつも身体を入れ替えた――69の形に。
「…………」
びっくりしたのは和弘のほうであろう。妹が身体の上で動いているなと思っていた
ら、突然、その股間が目の前にきたのだから。当然、生まれて初めて見る女の秘肉と
そのまわりの薄い陰毛に、心臓と目と股間が嫌になるほど反応した。
「やだ、そんなに見ないでよ」
やはり恥ずかしいのだろう。愛撫そっちのけで百合が抗議の声を出す。しかし、和
弘は目の前の秘肉から周囲の陰毛を滴らせるほどに愛液が染み出ている事をはっきり
と見た。
「もう!」
真っ赤になりながらも百合は兄の肉棒をやや乱暴に咥えた。しかし舌は恐る恐る動
かす。それは拙い愛撫だったが、タイミングはぴたりで、妹の女の部分を見た和弘の
肉欲が反応する瞬間に合致した。
「う・ぢ……!」
突然、口の中で大きくなった肉棒に百合は目をぱちくりした。喉の奥に熱い塊が強
くあたったのである。思わずむせ返り、口を慌てて離す。
「あーあーあ、びっくりした。お兄ちゃん、現金なだから」
そう言って百合は目の前の兄の肉棒を眺め――にやりとする。兄の肉棒は咥える前
とは別の物のようにあっさりと逞しくなっていた。
「何よ。これ。百合にしゃぶってもらって嬉しいの?それとも百合の恥ずかしいとこ
ろを見たせいかな?本当にお兄ちゃんってHねえ。実の妹の愛撫と身体に欲情するな
んて。
本当は前から百合が欲しかったんじゃないの?そっか、だから性欲処理に他の女を
追っかけまわしていたのね。馬鹿ねえ。お願いすればいつでも百合がしてあげたの
に」
百合は機嫌の良い猫のように笑った。猿轡をかまされている兄に対してまさに言い
たい放題である。もっとも妹の愛撫と身体に反応してしまったのは事実であったか
ら、たとえ口が自由でも和弘には何も言えなかったであろう。
「ま、これでお兄ちゃんは大丈夫ね。で、百合の方は――」
百合はそう呟きながら、右手を自分の股間に伸ばした。人差し指で秘肉に触れ、湿
り気を確認し、次にそっと中に入れて柔らかさを確かめる。姿勢はそのままであるか
ら、和弘には妹の秘肉に指が出し入れされる光景が至近距離で見えた。百合の秘肉に
挿入された人差し指を伝って滴り落ちた愛液のしずくが、和弘の頬に確かに落ちる。
「だい…じょ…ぶ――よね。百合も濡れてるし…でも、いつもの百合の指よりお兄
ちゃんのは大分大きいけれど…」
ぶつぶつと呟きながら百合は身体を入れ替え、騎乗位の姿勢になる。そしてさすが
に恥ずかしそうに右手で十二分な堅さになった和弘の肉棒をつかみ、その先端を自分
の秘肉にあてた。
「………!」
和弘が猿轡ごしに何か叫んだ。「やめろ!」とでも言ったのかも知れないが、百合
は聞く耳も持たない。第一、その肉棒が明らかに妹の秘肉に欲情してかちかちに勃起
しているのだから、説得力はまるでなかった。
兄の肉棒を自分の秘肉にあてがいはしたものの、百合はすぐには先にいかなかっ
た。そのままの姿勢でしばし硬直する。心臓の鼓動が自分でも判るくらい速くなり、
視界がぐらぐらと揺れだしたからだ。それが処女としての初体験への恐怖のせいか、
それとも生まれた時から恋焦がれていた兄と一つになる事への感動のせいか――百合
本人にもこの場では判らなかった。
「……えい!」
やがて、小さな掛け声と同時に百合の腰がわずかだけ沈んだ。和弘の肉棒の先端が
ぬめりと温かみを同時に感じる。童貞の和弘にはそれが妹の中にわずかだけ入った事
だと理解するのに少し時間がかかった。
「いたーい!」
わずかだけだったのに、もう百合は顔をしかめていた。初めてだし、また兄を妹が
強姦するという異常な形だからそれも無理もないかもしれない。
しかし、百合は諦めたりはしなかった。痛そうな表情のまま、かなりゆっくりで
あったが徐々に腰を落としていく。和弘の肉棒にもじわじわと濡れた感触とかなりき
つめの締めつけが先端から順番に感じられたいった。
そしてついに―――
「……はいっちゃった―――」
百合が囁くように言い、動きが止まった。すでに和弘の肉棒も先端が何かあたって
いる。妹の物の柔らかい肉襞の感触と肉壺全体から痛いまでの締めが同時に感じられ
ていた。顔の動きが自由なら、シーツに流れた血を確認する事も出来たであろう。
「――はいっちゃったよ。お兄ちゃん。お兄ちゃんのおちんちんが全部、百合の中に
――今、百合はお兄ちゃんとSEXしているんだよ――ねえ」
百合が言った声は嬉しそうではあったが、明らかに痛みをこらえていた。そして妹
の口と自分の肉棒の感触から妹との近親相姦を認めざるを得ない和弘は本当にめまい
を憶えた。ついにこんなあってはならない事に――
「やだ、お兄ちゃん、急に大きくしないでよ!さ、裂けちゃう!」
和弘はこの時、あってはならない事だと確かに思っているのだが、身体のほうは別
だったようである。百合はぐわっ!と太く、そして堅くなった和弘の肉棒に本気で悲
鳴を上げた。
「――――――!」
悲鳴を上げられても和弘にはどうしようもない。先ほどからこの部分は意思ではど
うにもならないのだ。それでも何とか腰を動かして妹から出ようとする。しかし――
「だめ!逃げちゃ!」
痛いはずなのに百合は腰をさらに沈ませた。その上、身体を前に倒し、兄の裸の胸
に両手でしがみつく。爪が肌に立ち、和弘にも鋭い痛みと血の匂いを感じさせた。
「動いちゃだめよ…お兄ちゃん。もう――ずうっと百合の物なんだからね。もし逃げ
たりしたら……」
痛みをこらえながらも笑ってそう言う百合に、和弘は心底ぞっとした。二つ年下
の、しかも実の妹相手に見入られたかのような恐怖が背筋から全身にかけて走る。一
瞬、この妹からは一生逃れられないのではないかという思いが脳裏に浮かぶ。
恐怖か、或いはそれに似たもので動きを止めた和弘に満足した百合は身体を少し浮
かせてそろそろと動き始めた。痛く苦しいはずなのに、ゆっくりと腰を上下に動か
す。突き刺さったままの和弘の肉棒にきつい締めつけと、さらに上下に絞り上げるよ
うな力が加わった。
「ねえ…どう?百合のあそこは?――男の人って女と違って最初から気持ち良いんで
しょう?」
和弘の胸の上で囁きながら、百合は動く。その肉壺はまだまだきつすぎるだけだっ
たが、初体験の和弘には十分だった。大して時間もかからずに二度目の強烈な快感が
肉棒から腰へあっという間に伝わる。それに和弘はほとんど耐えられず――すぐに爆
発した。
「あ……出ちゃった……」
二度目と言うのに和弘の肉棒は恥ずかしいほどミルクを吐き出し続けた。そのどく
どくとした感触が、百合の肉壺にはっきりと伝わる。兄が自分の中でいったという何
よりも明らかな証拠に百合は痛みを忘れてにんまりと笑った。
そして兄を自分の中へ挿入したまま抜きもせず、百合は身体を倒し、兄の身体に抱
きついた。身体を密着させているので小さくなりつつある和弘の肉棒も外れない。そ
のままでようやく和弘の口に詰めた自分のパンティを取り除いた。
「あーあ。百合のお気に入りの下着をこんなに唾でべとべとにしてしまって。お兄
ちゃんってほんとケダモノなんだから」
くすくすと無邪気に笑う百合に和弘は返す言葉もなかった。ただただ呆然とするだ
けである。初めてのSEXを、しかも実の妹とやってしまったと言う事実に頭は何を考
えて良いのか判らない状態であった。
背筋に冷たく走るのは恐らく近親相姦と言う罪悪感であり、胸一杯にあるのは実の
妹に勃起してしまったと言う嫌悪感だろう。しかし、いずれにしても事実は消えない
のである。
笑顔のまま百合が顔を寄せ兄の開いた口にキスをした。舌がするりとはいり、口の
中を丁寧にねぶる。和弘は抵抗する気にもなれず、ただなされるがままに妹の愛撫を
受け入れていた。
ただ、その獲物を仕留めた猫のような笑顔と笑い声をぼんやりと感じながら―――
それからどれくらいたっただろう。和弘は縛られたままでいつまでも終わらない妹
の愛撫を受けつづけていた。口と手と股間の愛撫で何度も何度も勃起させられ、その
都度、妹に騎上位で責められ、ついには射精するのである。
身動きが出来ないから和弘からほとんどできる事はない。ただ唯一動く口と舌には
妹の唇以外にも乳房や肉襞が差し出され愛撫を強要された。和弘はもはやそれに逆ら
う事も出来ず、堅く尖った乳首や、たっぷりと愛液と自分が出したミルクの滴る肉襞
に呆然と口と舌を動かす。童貞だった和弘の愛撫が上手いはずもなかったが、百合は
声を上げて悦び、身体を震わせた。
「お兄ちゃんばかり何度もいってずるい!今日は百合が最低一回はいくまでやめない
からね!」
そう言って何度目かの――ひょとしたら十何度目かのフェラチオで勃起させられた
和弘の肉棒に百合が嬉々として乗り、肉襞に先端を注しこんだ時に――電子音がし
た。
「―――?」
それが和弘の部屋用の電話の子機の呼び出し音だとはとっさに理解できなかった。
判ったのはその姿勢のまま百合が手を伸ばしてそれに出てしまってからである。
「はい、もしもし――なんだ。加世?あたしよ、百合。どしたの、こんな時間に?
あーもう十時か」
兄の肉棒を自分の肉壺に挿入したままで百合は女子中学生らしい明るい声を出し
た。
「な!―――」
“加世”と言う相手の名に和弘もさすがに反応する。しかし、声など出せようがな
い。今、実の妹と近親相姦している真っ最中なのだから。
そんな兄を見下ろし、百合は目だけでにやりと笑った。
「え?お兄ちゃん?お兄ちゃんなら、朝早くから、女の人から電話があって外出した
わよ。――いや、うそっ!て言われても、ほんとだもの。前から付き合っている女み
たいよ。最近はパパには黙っとけって言って外泊する事もあるもの」
声には出さずに笑いながらとんでもない作り話をする妹を、和弘は何度目かの絶望
を感じながら見上げていた。そのまま喋りながらも百合の腰が徐々に大きく動き出
す。
「……キスしたって――えーーっ!じゃ、お兄ちゃん、加世を二股にしてたんだ!
ひっどーい!あの女とはSEXまでしたって言っていたくせに!」
良くは聞き取れなかったが電話の向こうから騒音が響いた。おとなしい加世は泣き
叫んでいるのだろう。きっと―――まさか本当はこんな事実だとも知らずに。
「今ごろも姦ってるのに違いないよ!うきうきしていたもの。―――ごめんね。加
世。あんなお兄ちゃんで。うんうん。ごめんね、ほんとうに」
ベットがきしむ音と先ほどからの愛液とミルクのにちゃにちゃした音が和弘には
はっきりと聞こえ出した。百合の顔がどんどん赤くなり、呼吸も早く、笑いながらも
何かを耐えているような表情になる。そして今度は痛みではなかった。
「うん。また電話するわ。え?百合が泣かないでいいって?――泣いているわけじゃ
ないけど。
うん。じゃ、夜にでも」
そうして電話は切られた。和弘の視界で百合が最高の笑みを見せ――ほとんど同時
に全身の痙攣と悲鳴のような嬌声とともにのけぞった。和弘には何が何だか判らな
い。
しかし、これは絶頂に達したあらわれであった。女として生まれて初めて、実の兄
の肉棒で――そして、兄とその初めての恋人の関係をずたずたにした悦びと共に。
これが二人の関係の始まりだった。百合は宣言した通り、兄の全てを独占した。今
までのように影で邪魔する事はなくなったが、例え百合が何をしなくても和弘自身が
他の女に興味を持つ事は無くなってしまったのである。
和弘は他のどの女といる時でも常にどこからか見ているに違いない妹の視線を感じ
るようになっていた。もちろんこれは一種の被害妄想ではあったが、どんな事をしよ
うとも、どんな場合でも、あの日以来、妹の存在を一瞬でも忘れる事は出来なかっ
た。
SEXはその後も、毎日のように続けられた。両親は家にほとんどいなかったし、例
え珍しく帰宅していても
「お兄ちゃん。この問題の解き方を教えて」
と言って妹が兄の部屋に夜行く事を疑いもしなかった。
SEXに関しては常に積極的なのは百合の方で、女性誌などを読み漁って憶えたテク
ニックを試して兄を悦ばそうと努力を惜しまなかった。また、和弘も服を脱いだ妹を
自分から抱き寄せるようにまで、気持ちが変化するようになっていた。これが近親相
姦と言う異常事態に慣れたのか、妹へ男としての愛情が出来たせいなのかは良く自分
でも判らなかったし、また百合にせがまれても答えられなかった。
「次はね。百合ね。お兄ちゃんの子供が欲しいんだ」
それでもSEXの後に百合が甘えてそう言うと胸がきゅんとする事はある。
「馬鹿だな。兄妹で子供なんか作れるわけないだろう」
「大丈夫よ。知らない男に強姦されたって言えば、パパとママは熱心なカトリックだ
もの。どんなに嘆いても中絶しろとは言えないはずよ」
「…………」
とんでもない話だが、確かにそうだろう。あの両親なら百合さえよければ出産させ
るはずだ。
「そしたら、お兄ちゃんを解放してあげても良いわ。お兄ちゃんの子とならあたし生
きていけるもの」
「……え?それはちょっと、さびし―――」
呟きかけて和弘は慌てて自分の口を押さえたが、百合はその僅かな声を聞き逃さな
かった。
「ね!今、なんて言ったの?もう一度言ってよ、お兄ちゃん!」
《終》
[2000/05/27]
「ただいま!」
今日、和弘は最高に上機嫌で帰宅した。靴を脱ぐ足が浮くようにはしゃいでいるの
が自分でもわかる。原因は唇に残っている湿った小さなぬくもりだ。
「やだ、お兄ちゃん。何、はしゃいでんのよ!外まで聞こえるじゃない!」
台所で夕食を作っていた妹の百合が顔を露骨にしかめた。貿易商として年の三分の
二は家をあけている両親に代わって家事一切をこなす立派な妹だ。学校の成績もまず
まずであり、何よりも決定的なまでに可愛いかった。
「百合ちゃん、た・だ・い・まぁぁぁン。今日のご飯、なーに?」
しかし、妹のしかめ面など気にもならない状態のようで和弘は浮かれている。それ
をエプロン姿の二つ下の妹はすごく疑い深そうににらんだ。
「まさか、三年の理恵子先輩と何かあったんじゃないでしょうね?このふられ君が」
「違いまーす。理恵子さんとはもう別れました」
正確には何故だかふられたのである。中背だがアイドル系の容姿のはずの和弘は、
結構女の子の受けがいい。しかし、何故かなかなか進展出来ず、キスの三日前くらい
で必ず破局を迎えていた。一度として最後までいった事がない。同じ学校の中等部の
百合が各方面にもてもてなのとくらべると情けない兄貴である。
「じゃ、何よ。テストは季節じゃないし、ゲームやCDが出るって話はなかった
しーー」
「うーふーふー。子供には、ひ・み・つ」
「気持ち悪いのよ!カマみたいに!白状しな……あーっ!」
どどどどっ!と床を踏み鳴らして百合が突進してきた。驚く和弘を逃さず、制服の
ネクタイをがっしりとつかむ。その拍子に右手にまだ握っていたおたまが和弘のこめ
かみを直撃し、火花を散らせた。
「…痛かった…今のは」
薄く涙目になった和弘がうなる。しかし、それにすら気づかず、百合は顔をぶつか
らんばかりにすりよせて燃えるような目で観察し――怒鳴った。
「ルージュがついている!薄いけど間違いない!お兄ちゃん、キスしたんだ!誰と
よッ!」
つかんだネクタイがちぎれんばかりに強く振りまわされた。和弘の頭ががくがくと
ゆれる。可愛い顔してとんでもない怪力であった。
「ちょ、ちょ、ょ、ちょっとま、て、て」
「誰よ!理恵子のばばあじゃないんでしょう!誰なのよっ!」
和弘が質問に答えるのにはやや時間が必要であった。
「加世ちゃんだよ。お前の友達の」
「加世――っ!あんなガキなんかと!」
百合の反応は予想外だった。手にしたおたまで、今度ははっきりと和弘に殴りかか
る。何が何だか判らずに和弘は慌てて自分の部屋に逃げ込んだ。
「お兄ちゃん!ちょっと話があるわよ!出といで!」
しばらく鍵をかけられた扉を叩きつづける。中の和弘にはまだわけが判らない。中
等部の加世に今日告白され、そのまま勢いでキスをしたのは事実だ。加世は百合の友
達だったからまずかったのだろうか。“友達に手を出した!”とか言って――しか
し、いくらなんでもここまで怒らなくてもいいだろうに。
やがて諦めて百合は台所に戻っていった。しかし和弘としてはすぐに顔を合わせる
気にもならず、そのままベットで漫画を読み出した。
そのうちに、お腹がすく頃になって台所から呼ぶ声がした。先ほどと違っておだや
かな声だ。夕食が出来たそうである。和弘としてはまだ気まずくはあったが、育ち盛
りの空腹には勝てない。それでも一応、足音をひそめるようにして台所に出る。
今日の夕食はチャーハンと肉野菜炒めに卵スープだった。味はどれも良い。百合の
不機嫌が食卓についても目も合わさないくらい続いている事から、とんでもない味付
けで報復されるのかと警戒していたが、疑いすぎだったらしい。しかも夕食にはコー
ヒーまでついていた。カフェインの興奮作用が一日の疲れを癒すのには悪い――との
理由で朝しか飲めないのが家のルールだったのに、一体、どうした事だろう。さっき
怒った事へのわびのつもりか、それとも兄のファーストキッスへのささやかな御祝い
なのだろうか――和弘の顔がほころぶ。
ただし、そのコーヒーの味は濃すぎた。通常の倍は豆を使っているのであろう。苦
味が舌に重く、それ以外の味が全然わからないほどだった。
そして夕食後、何故か和弘は強烈な睡魔に襲われた。
目が覚めた時、和弘の頭は状況を理解していなかった。
見上げているのは、貼ってあるアイドルのポスターからいって、自分の部屋の天井
だ。とすると身体の方はベットに仰向けになっている事になる。そこまでは判った。
しかし、自分が全裸で、しかも大の字に両手両足を開いた姿勢のままで身動きでき
ないでいるのはどういうわけだ?
「…馬鹿な…」
身動きできない理由はすぐ判った。両方の手首足首をしっかりとロープがつないで
いる。恐らく登山が趣味の父親のザイルであろう。引いてみたがさすがに丈夫でびく
ともしない。
すると今、自分は囚われの身になっているのだろうか?
「――――――」
落ち着いて考えてみた。夕食を食べ、その後コーヒーを飲んだ事までは鮮明に覚え
ている。飲み終わって十分もしないうちに猛烈な眠気を感じたこともだ。その後は確
か百合の手を借りてこの部屋まで何とかたどりついて―――――
「あら、もう起きたの?」
明るい声がドアの方からした。ぎょっ!としてそちらを見――ようとしたが四肢が
固定されている為に顔が十分に上がらない。しかしそれでも声の主が誰だかは判っ
た。
「百合!」
兄の悲鳴に応えるように妹の百合が視界に現れた。シャワーでも浴びていたのか髪
が濡れ、頬が紅潮している。身につけているのは大き目のパジャマの上と髪を拭いて
いるバスタオルだけで、ピンクの足は太股から全部剥き出しだ。可愛い顔もあって、
幼いなりにほんわりとした色気が―――そんな事はどうでもいい。
「ちょっとこれほどいてくれ―――ああぁっ!見るな、俺の身体を!」
助けを頼む前に全裸な事に気づいたのだ。大の字になっているからもちろん何も隠
し様がない。まだやっと生えそろった陰毛も、その下の初々しい肉棒も百合の位置か
らは丸見えだ。兄としては本気で穴を掘って隠れたいほどに恥ずかしい姿であった。
「恥ずかしがったってもう遅いわよ。お兄ちゃん。縛る時にたっぷり見たもん。写真
まで撮っちゃったんだから」
「写真?なんて事を――」
と、落ち着き払って言う百合に怒ろうとして和弘は愕然とした。縛る時だって?
じゃあ、こんな事をしたのは百合なのか?!
あまりの事に混乱して何と言って良いか判らない和弘に対し、百合はしっかりとし
た足取りで和弘の下半身の方へ行った。何をすべきか、あるいは何をしたいのか良く
理解しているらしい。
その手が縮こまっている和弘の肉棒に触れた時、さすがに和弘も我にかえった。
「おい!ちょっと待て!何をする気だ!?」
「何って、ここまできたら一つしかないじゃん」
百合の口調はふざけようとして失敗し、その下の真剣さが露になっていた。それだ
けに今やっている行為への真摯さが嫌と言うほど判る。身動きできないままに和弘は
自分の血の気が引く音を確かに聞いた。
「へ、変なところを触るな!悪戯して良い場所と悪い場所があるぞ!」
「悪戯じゃないもん。本気だもん」
「え……?」
和弘からは良く見えなかったが、百合はゆっくりと――と言うより恐る恐る兄の肉
棒をなぜまわした。もちろん生まれて初めての経験なので顔は紅潮し、指先は震えて
いる。その指に伝わる感触は当然まだ柔らかいが、ほのかな暖かさが触れた部分から
確かに伝わってきた。
「お兄ちゃんが悪いのよ。百合以外の女と付き合おうとするから――今まで影で邪魔
するのにあたしがどれだけ苦労したか知っている?」
「……どう言う事だ?」
和弘は問いながらもその解答は予想でき――ぞっとした。今まで女との付き合いが
ことごとく失敗したのは百合のせいだったのか。そしてその動機は――まさか、実の
兄に対して……
「でも、もう決めたの。お兄ちゃんの弱みを今夜握るわ。もしお兄ちゃんが百合以外
の女に手を出したら世間に公表して、人生ずたずたにしてやる」
とんでもない宣言であったが、その淡々とした口調が和弘には冗談とは思えなかっ
た。縛りつけられた無理な姿勢から何とか百合を見ようと首を痛くして顔を上げる。
予想通りに真剣そのものの妹の表情があった。
「弱みってなんだ?こんな姿の写真くらいで脅迫されたりしないぞ!第一、パパとマ
マがそんな事を許すわけないだろう!」
和弘は絶叫した。残念ながら幾らかは虚勢も入っており、雄雄しいものとは言えな
い。自分でも顔色が悪い方に変っているのが判る。百合が今からする事以上に、その
動機を聞く事に理性と感性の両方が危険信号を出していた。
「写真なんて――そんな簡単なもんじゃないわ」
百合は鼻で笑った。
「それにパパとママに言ったって百合が怒られるわけは絶対にないもの――だってお
兄ちゃんが妹のあたしを強姦するんだから」
和弘は―――絶句した。しばしの間、百合のくすくす笑いだけが部屋に響く。その
間も百合の暖かい指が和弘の萎んだ肉棒をゆっくりといじりつづけている。その本気
を疑う気にはとてもなれなかった。
「強姦なんてそんな嘘が通るわけがないだろう!」
「あら、じゃ、二つ下の中学生のあたしが高校生のお兄ちゃんを薬で眠らせ、ベット
に縛り付け、無理矢理強姦したとでも言うの?そんな漫画みたいな話より、その逆の
方が他の人には信じやすいんじゃない?」
真剣な絶叫に百合は楽しそうに言い返し、再度、兄を絶句させた。確かにそうだ。
百合の嘘より、今の事実の方があまりにも現実的ではない。ましてこんなに可愛い美
少女が訴えれば、誰が和弘の主張を信じてくれるであろう。一瞬、本当に和弘は絶望
で目が眩みそうになった。
「……判った。百合が嫌なら、今後、女とは付き合わない。もし付き合ったらその嘘
を公表しても良い――だから、もう今日は許してくれ。な?」
それでも何とか気を持ちなおして、和弘は懐柔策に出る。百合が今から何をする気
かは十分に予想がついていた。せめてそれだけはやめさせないと――しかし。
「だーめ。お兄ちゃん嘘をつくから」
百合は笑っているのに違いない声で、兄の必死の譲歩を明るく拒否した。
「嘘なんかついたことは―――」
「ほら、それが嘘!だって、百合が幼稚園の時、百合をお嫁さんにすると言ったくせ
に、その後はずうっと他の女ばかり追いかけていたじゃない!」
そんな無茶な――と答えそうになった和弘は下半身からの強い感触に小さな悲鳴を
上げた。百合が和弘の肉棒をしっかりと掴み、上下にこすりだしのである。
「ちょ、ちょっとま――」
「それに……もう駄目なの」
兄の悲鳴を無視して百合は急に囁くように言った。
「百合もね………濡れてきちゃったの……もう我慢できない……」
うっとりとした告白に和弘は硬直し――自分でも意味不明のわめき声を上げた。も
うこうなったら声で威嚇するしかないと思ったのだろう。
「いい加減にしろ!この馬鹿!実の兄妹だぞ!近親相姦じゃないか、この…」
「もう、うるさいなあ。ムードがないじゃない。お兄ちゃん、嫌いっ!」
百合は顔をしかめると、和弘の肉棒から手を離し――なんと自分のパンティを脱ぎ
出した。そしてピンクの縞模様のそれを丸めるとわめき続ける和弘の口に押し込んだ
のである。和弘は身動きできない上に、大口を開け続けていたから、作業は簡単だっ
た。
「そうそう。今夜は百合がお兄ちゃんのお嫁さんになる記念すべき日なんだから、静
かにクールにしといてね。じゃないと女の子にもてないよ」
速成のHな猿轡は十分な効果を発揮し、和弘のわめきはうめき声程度まで小さく
なった。百合がにんまりと笑う。そのパンティから和弘の口一杯に初めて感じる甘い
香りとやや濃い目の味が広がった。
しかし、今度は和弘は縛られたままでありながら猛然と身体を揺り動かし始めた。
縛ってあるとは言え、結んでいるのは四肢のほうだけだから胴体は上下動くらいは出
来るのだ。特にどの縛った位置からも遠い腰の辺りが一番動かす事が出来た。
「もう、うるさいわねっ!これを使うわよ!」
あまりの兄の拒絶ぶりにさすがに腹が立ったのか、突如、百合が怒鳴った。同時に
ベットの傍らの和弘の机に手を伸ばし、何かを掴む。それが部屋の照明の光を反射し
たのが和弘の目にも見えた。
「どうしても百合が嫌だって言うのなら、こいつで切っちゃうからね!」
それは父親のサバイバルナイフであった。実用性本位の頑丈な奴で、鉈のような幅
広の刃は熊でも解体できると父親が自慢していた代物である。
「別に百合はいいのよ。お兄ちゃんのおちんちんを切っちゃいさえすれば、少なくと
も他の女のところにはいけないんだから。そしたらずっと百合だけのものなんだし―」
百合はそう言ってナイフの刃を和弘の肉棒にあてた。ひんやりとした鋼の感触が和
弘の全ての動きを止める。百合が本気かどうか以前に、男にとってこれほどの脅迫が
あるであろうか。
「そうそう、いい子いい子」
和弘の素直な反応に満足して百合は嬉しそうに言った。両手で肉棒を掴む。であれ
ばナイフは置いたはずだが、だからと言って冒険する勇気は和弘には全くなかった。
しばしお互いに沈黙が続いた。和弘は何の反応も出来ないし、百合は和弘の肉棒を
手にしたまま感触を確かめている。脅迫までしたくせに、何故か躊躇しているように
も感じられた。
「ごめんね。お兄ちゃん。こんな形になってしまって」
不意に、しかし思いつめたように百合が口を開いた。
「ほんとは、最初の時はお兄ちゃんに百合を抱いてもらいたかったんだけど……でも
もうお兄ちゃんが他の女の方を見るのを我慢できなくなったの」
「………」
「だから今夜、お兄ちゃんの童貞を百合にちょうだい――かわりに百合の処女をお兄
ちゃんに上げるから……好きなのよ、愛しているの――お兄ちゃん」
突然の――しかしもう判っていた告白に和弘はめまいのようなものを覚えた。しか
しそれは恐れでもショックでもない。百合の告白により身体中の血が逆流したせいで
ある。それが怒りか悲しみか、それともそれ以外の何かかは和弘にも咄嗟にはまった
く判らなかった。
「あ!勃ってる!」
しかし、本人にも判らない事でも身体は動くらしい。妹の手に握られていた和弘の
肉棒は、持ち主の意思を無視してびくりと反応した。生きの良い魚のように妹の両手
の中で動いたのである。
「確かこうするのよね。よいしょ、よいしょ」
兄の反応にそれ以上に元気になって百合は和弘の肉棒をしごき始めた。男のものを
触るのは初めてだけあって、かなり乱暴で無駄に大きな動きだったが、肉棒はどんど
ん堅さを増している。こんな異常な状況だと言うのに――和弘は恥ずかしさに真っ赤
になった。
「ああーっ!こんなになっちゃった。最初はあんなに小さかったのに。すごいのね。
お兄ちゃんのおちんちんって!」
ついに和弘の肉棒は直立した。皮は剥けているが、未使用のせいもあって、全体的
に綺麗なピンクだ。先端からすでに透明な液も出ている。自分の言う事を聞かない恥
ずかしいこの反応に、和弘は屈辱で本気で死にそうな気分になった。実の妹の愛撫で
こんなになるなんて――結局、誰がしても反応するのか。それとも実の妹に欲情して
いるとでも言うのか。
百合が兄の肉棒の怒張ぶりを楽しそうに見ている。こちらは自分の愛撫に兄が反応
した事を素直に喜んでいた。“お兄ちゃんもあたしとしたいんだ”と思ったのであ
る。しかし――
「え?、わ…きゃあ!」
本当に男の生理を知らない百合は勃起した兄の肉棒をそのまましごきつづけていた
のである。反応するのは当然であった。和弘の股間から全身へ鋭い快感が走った。妹
の手の愛撫によって射精してしまったのである。白いどろりとしたミルクが不用意に
顔を近づけていた百合の顔から胸にかけてべっとりと飛び散った。
「あぁぁ…すごい。これが射精っていうものなのね」
びくびくと動きながらも、なおも男のミルクを吐き出す兄の肉棒を両手で握り締め
ながら百合は感極まった声を出した。目が恍惚とすらしている。逆に実の妹の目の前
で、しかも直接しごかれて発射していまった和弘は目の前が恥辱で真っ暗であった。
生まれてこの方これほどの目にあった事があったであろうか。いっそこの場で死んで
しまいたいくらいである。
そんな兄の苦悩にも気づかず、新鮮な驚きで目を輝かせている百合は身体に飛び
散った男のミルクを丹念に指ですくい――舐めた。あまり美味いものではなかったら
しく、可愛い顔を複雑にしかめる。しかし、少なくとも肌についた分は全て指を使っ
て舐めとった。
「お兄ちゃんの味って……何か、変」
さすがにパジャマに飛び散った分まではしたくないのか、パジャマは脱いで傍らに
置いた。部屋の照明に十四歳の裸体が照らし出される。パンティは先ほど兄の口に押
し込んだのだから、もうその身体を飾る物は何もない。全体的に細めのそれは幼さに
よる丸みがあちこちに残る少女のものだったが、その分、歳相応の健康な色香をたっ
ぷりと発散させていた。
「でもいっちゃうとまた小さくなるのよね」
百合は何か不満そうに呟きながら和弘の肉棒を脱いだパジャマでぬぐった。すぐ綺
麗にはなったが、サイズは最初に戻っている。和弘本人が呆然としているのだから当
然であろう。先ほどと同じように両手でしごいてみたがすぐには反応しなかった。百
合はしばし考える。
「後に取っときたかったんだけど。今夜は大サービスね」
百合は宣言するように呟き、へたっている肉棒に口を寄せた。しかし、ベットのサ
イズと壁との距離の都合上、今の体勢では少し無理がある。少し考え――さすがに頬
を染めつつも身体を入れ替えた――69の形に。
「…………」
びっくりしたのは和弘のほうであろう。妹が身体の上で動いているなと思っていた
ら、突然、その股間が目の前にきたのだから。当然、生まれて初めて見る女の秘肉と
そのまわりの薄い陰毛に、心臓と目と股間が嫌になるほど反応した。
「やだ、そんなに見ないでよ」
やはり恥ずかしいのだろう。愛撫そっちのけで百合が抗議の声を出す。しかし、和
弘は目の前の秘肉から周囲の陰毛を滴らせるほどに愛液が染み出ている事をはっきり
と見た。
「もう!」
真っ赤になりながらも百合は兄の肉棒をやや乱暴に咥えた。しかし舌は恐る恐る動
かす。それは拙い愛撫だったが、タイミングはぴたりで、妹の女の部分を見た和弘の
肉欲が反応する瞬間に合致した。
「う・ぢ……!」
突然、口の中で大きくなった肉棒に百合は目をぱちくりした。喉の奥に熱い塊が強
くあたったのである。思わずむせ返り、口を慌てて離す。
「あーあーあ、びっくりした。お兄ちゃん、現金なだから」
そう言って百合は目の前の兄の肉棒を眺め――にやりとする。兄の肉棒は咥える前
とは別の物のようにあっさりと逞しくなっていた。
「何よ。これ。百合にしゃぶってもらって嬉しいの?それとも百合の恥ずかしいとこ
ろを見たせいかな?本当にお兄ちゃんってHねえ。実の妹の愛撫と身体に欲情するな
んて。
本当は前から百合が欲しかったんじゃないの?そっか、だから性欲処理に他の女を
追っかけまわしていたのね。馬鹿ねえ。お願いすればいつでも百合がしてあげたの
に」
百合は機嫌の良い猫のように笑った。猿轡をかまされている兄に対してまさに言い
たい放題である。もっとも妹の愛撫と身体に反応してしまったのは事実であったか
ら、たとえ口が自由でも和弘には何も言えなかったであろう。
「ま、これでお兄ちゃんは大丈夫ね。で、百合の方は――」
百合はそう呟きながら、右手を自分の股間に伸ばした。人差し指で秘肉に触れ、湿
り気を確認し、次にそっと中に入れて柔らかさを確かめる。姿勢はそのままであるか
ら、和弘には妹の秘肉に指が出し入れされる光景が至近距離で見えた。百合の秘肉に
挿入された人差し指を伝って滴り落ちた愛液のしずくが、和弘の頬に確かに落ちる。
「だい…じょ…ぶ――よね。百合も濡れてるし…でも、いつもの百合の指よりお兄
ちゃんのは大分大きいけれど…」
ぶつぶつと呟きながら百合は身体を入れ替え、騎乗位の姿勢になる。そしてさすが
に恥ずかしそうに右手で十二分な堅さになった和弘の肉棒をつかみ、その先端を自分
の秘肉にあてた。
「………!」
和弘が猿轡ごしに何か叫んだ。「やめろ!」とでも言ったのかも知れないが、百合
は聞く耳も持たない。第一、その肉棒が明らかに妹の秘肉に欲情してかちかちに勃起
しているのだから、説得力はまるでなかった。
兄の肉棒を自分の秘肉にあてがいはしたものの、百合はすぐには先にいかなかっ
た。そのままの姿勢でしばし硬直する。心臓の鼓動が自分でも判るくらい速くなり、
視界がぐらぐらと揺れだしたからだ。それが処女としての初体験への恐怖のせいか、
それとも生まれた時から恋焦がれていた兄と一つになる事への感動のせいか――百合
本人にもこの場では判らなかった。
「……えい!」
やがて、小さな掛け声と同時に百合の腰がわずかだけ沈んだ。和弘の肉棒の先端が
ぬめりと温かみを同時に感じる。童貞の和弘にはそれが妹の中にわずかだけ入った事
だと理解するのに少し時間がかかった。
「いたーい!」
わずかだけだったのに、もう百合は顔をしかめていた。初めてだし、また兄を妹が
強姦するという異常な形だからそれも無理もないかもしれない。
しかし、百合は諦めたりはしなかった。痛そうな表情のまま、かなりゆっくりで
あったが徐々に腰を落としていく。和弘の肉棒にもじわじわと濡れた感触とかなりき
つめの締めつけが先端から順番に感じられたいった。
そしてついに―――
「……はいっちゃった―――」
百合が囁くように言い、動きが止まった。すでに和弘の肉棒も先端が何かあたって
いる。妹の物の柔らかい肉襞の感触と肉壺全体から痛いまでの締めが同時に感じられ
ていた。顔の動きが自由なら、シーツに流れた血を確認する事も出来たであろう。
「――はいっちゃったよ。お兄ちゃん。お兄ちゃんのおちんちんが全部、百合の中に
――今、百合はお兄ちゃんとSEXしているんだよ――ねえ」
百合が言った声は嬉しそうではあったが、明らかに痛みをこらえていた。そして妹
の口と自分の肉棒の感触から妹との近親相姦を認めざるを得ない和弘は本当にめまい
を憶えた。ついにこんなあってはならない事に――
「やだ、お兄ちゃん、急に大きくしないでよ!さ、裂けちゃう!」
和弘はこの時、あってはならない事だと確かに思っているのだが、身体のほうは別
だったようである。百合はぐわっ!と太く、そして堅くなった和弘の肉棒に本気で悲
鳴を上げた。
「――――――!」
悲鳴を上げられても和弘にはどうしようもない。先ほどからこの部分は意思ではど
うにもならないのだ。それでも何とか腰を動かして妹から出ようとする。しかし――
「だめ!逃げちゃ!」
痛いはずなのに百合は腰をさらに沈ませた。その上、身体を前に倒し、兄の裸の胸
に両手でしがみつく。爪が肌に立ち、和弘にも鋭い痛みと血の匂いを感じさせた。
「動いちゃだめよ…お兄ちゃん。もう――ずうっと百合の物なんだからね。もし逃げ
たりしたら……」
痛みをこらえながらも笑ってそう言う百合に、和弘は心底ぞっとした。二つ年下
の、しかも実の妹相手に見入られたかのような恐怖が背筋から全身にかけて走る。一
瞬、この妹からは一生逃れられないのではないかという思いが脳裏に浮かぶ。
恐怖か、或いはそれに似たもので動きを止めた和弘に満足した百合は身体を少し浮
かせてそろそろと動き始めた。痛く苦しいはずなのに、ゆっくりと腰を上下に動か
す。突き刺さったままの和弘の肉棒にきつい締めつけと、さらに上下に絞り上げるよ
うな力が加わった。
「ねえ…どう?百合のあそこは?――男の人って女と違って最初から気持ち良いんで
しょう?」
和弘の胸の上で囁きながら、百合は動く。その肉壺はまだまだきつすぎるだけだっ
たが、初体験の和弘には十分だった。大して時間もかからずに二度目の強烈な快感が
肉棒から腰へあっという間に伝わる。それに和弘はほとんど耐えられず――すぐに爆
発した。
「あ……出ちゃった……」
二度目と言うのに和弘の肉棒は恥ずかしいほどミルクを吐き出し続けた。そのどく
どくとした感触が、百合の肉壺にはっきりと伝わる。兄が自分の中でいったという何
よりも明らかな証拠に百合は痛みを忘れてにんまりと笑った。
そして兄を自分の中へ挿入したまま抜きもせず、百合は身体を倒し、兄の身体に抱
きついた。身体を密着させているので小さくなりつつある和弘の肉棒も外れない。そ
のままでようやく和弘の口に詰めた自分のパンティを取り除いた。
「あーあ。百合のお気に入りの下着をこんなに唾でべとべとにしてしまって。お兄
ちゃんってほんとケダモノなんだから」
くすくすと無邪気に笑う百合に和弘は返す言葉もなかった。ただただ呆然とするだ
けである。初めてのSEXを、しかも実の妹とやってしまったと言う事実に頭は何を考
えて良いのか判らない状態であった。
背筋に冷たく走るのは恐らく近親相姦と言う罪悪感であり、胸一杯にあるのは実の
妹に勃起してしまったと言う嫌悪感だろう。しかし、いずれにしても事実は消えない
のである。
笑顔のまま百合が顔を寄せ兄の開いた口にキスをした。舌がするりとはいり、口の
中を丁寧にねぶる。和弘は抵抗する気にもなれず、ただなされるがままに妹の愛撫を
受け入れていた。
ただ、その獲物を仕留めた猫のような笑顔と笑い声をぼんやりと感じながら―――
それからどれくらいたっただろう。和弘は縛られたままでいつまでも終わらない妹
の愛撫を受けつづけていた。口と手と股間の愛撫で何度も何度も勃起させられ、その
都度、妹に騎上位で責められ、ついには射精するのである。
身動きが出来ないから和弘からほとんどできる事はない。ただ唯一動く口と舌には
妹の唇以外にも乳房や肉襞が差し出され愛撫を強要された。和弘はもはやそれに逆ら
う事も出来ず、堅く尖った乳首や、たっぷりと愛液と自分が出したミルクの滴る肉襞
に呆然と口と舌を動かす。童貞だった和弘の愛撫が上手いはずもなかったが、百合は
声を上げて悦び、身体を震わせた。
「お兄ちゃんばかり何度もいってずるい!今日は百合が最低一回はいくまでやめない
からね!」
そう言って何度目かの――ひょとしたら十何度目かのフェラチオで勃起させられた
和弘の肉棒に百合が嬉々として乗り、肉襞に先端を注しこんだ時に――電子音がし
た。
「―――?」
それが和弘の部屋用の電話の子機の呼び出し音だとはとっさに理解できなかった。
判ったのはその姿勢のまま百合が手を伸ばしてそれに出てしまってからである。
「はい、もしもし――なんだ。加世?あたしよ、百合。どしたの、こんな時間に?
あーもう十時か」
兄の肉棒を自分の肉壺に挿入したままで百合は女子中学生らしい明るい声を出し
た。
「な!―――」
“加世”と言う相手の名に和弘もさすがに反応する。しかし、声など出せようがな
い。今、実の妹と近親相姦している真っ最中なのだから。
そんな兄を見下ろし、百合は目だけでにやりと笑った。
「え?お兄ちゃん?お兄ちゃんなら、朝早くから、女の人から電話があって外出した
わよ。――いや、うそっ!て言われても、ほんとだもの。前から付き合っている女み
たいよ。最近はパパには黙っとけって言って外泊する事もあるもの」
声には出さずに笑いながらとんでもない作り話をする妹を、和弘は何度目かの絶望
を感じながら見上げていた。そのまま喋りながらも百合の腰が徐々に大きく動き出
す。
「……キスしたって――えーーっ!じゃ、お兄ちゃん、加世を二股にしてたんだ!
ひっどーい!あの女とはSEXまでしたって言っていたくせに!」
良くは聞き取れなかったが電話の向こうから騒音が響いた。おとなしい加世は泣き
叫んでいるのだろう。きっと―――まさか本当はこんな事実だとも知らずに。
「今ごろも姦ってるのに違いないよ!うきうきしていたもの。―――ごめんね。加
世。あんなお兄ちゃんで。うんうん。ごめんね、ほんとうに」
ベットがきしむ音と先ほどからの愛液とミルクのにちゃにちゃした音が和弘には
はっきりと聞こえ出した。百合の顔がどんどん赤くなり、呼吸も早く、笑いながらも
何かを耐えているような表情になる。そして今度は痛みではなかった。
「うん。また電話するわ。え?百合が泣かないでいいって?――泣いているわけじゃ
ないけど。
うん。じゃ、夜にでも」
そうして電話は切られた。和弘の視界で百合が最高の笑みを見せ――ほとんど同時
に全身の痙攣と悲鳴のような嬌声とともにのけぞった。和弘には何が何だか判らな
い。
しかし、これは絶頂に達したあらわれであった。女として生まれて初めて、実の兄
の肉棒で――そして、兄とその初めての恋人の関係をずたずたにした悦びと共に。
これが二人の関係の始まりだった。百合は宣言した通り、兄の全てを独占した。今
までのように影で邪魔する事はなくなったが、例え百合が何をしなくても和弘自身が
他の女に興味を持つ事は無くなってしまったのである。
和弘は他のどの女といる時でも常にどこからか見ているに違いない妹の視線を感じ
るようになっていた。もちろんこれは一種の被害妄想ではあったが、どんな事をしよ
うとも、どんな場合でも、あの日以来、妹の存在を一瞬でも忘れる事は出来なかっ
た。
SEXはその後も、毎日のように続けられた。両親は家にほとんどいなかったし、例
え珍しく帰宅していても
「お兄ちゃん。この問題の解き方を教えて」
と言って妹が兄の部屋に夜行く事を疑いもしなかった。
SEXに関しては常に積極的なのは百合の方で、女性誌などを読み漁って憶えたテク
ニックを試して兄を悦ばそうと努力を惜しまなかった。また、和弘も服を脱いだ妹を
自分から抱き寄せるようにまで、気持ちが変化するようになっていた。これが近親相
姦と言う異常事態に慣れたのか、妹へ男としての愛情が出来たせいなのかは良く自分
でも判らなかったし、また百合にせがまれても答えられなかった。
「次はね。百合ね。お兄ちゃんの子供が欲しいんだ」
それでもSEXの後に百合が甘えてそう言うと胸がきゅんとする事はある。
「馬鹿だな。兄妹で子供なんか作れるわけないだろう」
「大丈夫よ。知らない男に強姦されたって言えば、パパとママは熱心なカトリックだ
もの。どんなに嘆いても中絶しろとは言えないはずよ」
「…………」
とんでもない話だが、確かにそうだろう。あの両親なら百合さえよければ出産させ
るはずだ。
「そしたら、お兄ちゃんを解放してあげても良いわ。お兄ちゃんの子とならあたし生
きていけるもの」
「……え?それはちょっと、さびし―――」
呟きかけて和弘は慌てて自分の口を押さえたが、百合はその僅かな声を聞き逃さな
かった。
「ね!今、なんて言ったの?もう一度言ってよ、お兄ちゃん!」
《終》
[2000/05/27]
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