小説(転載) ブルースター ~信じあう心~ 8/8
近親相姦小説
ブルースター ~信じあう心~
最終話
…束の間のようにも思えた家での日々が、圭の脳裏をよぎる。
数え切れぬ程の出来事の中で、それらは色褪せてゆくとしても、記憶から消え去ることは決してないように思える。
それは今、家を離れてアパートでの生活を送ろうとする彼の傍らに、その少女の姿があるかもしれなかった。
あの時………
日記には圭も舞も知らない事実が記されていた。
父が中学生の時、両親が再婚した。
その時の連れ子として母は父と出会う。
やがて、二人は愛し合うようになる。
しかし、二人の関係に気が付いた両親が離婚し、父と母は離ればなれになった。
そして、何年か後二人は再び出会い、その後結婚することになる。
こうして、圭と舞は生まれた。
「父さん、僕は家を離れて暮らそうと思う」
「何故そんな、突然……」
「ねえ、父さんって母さんと結婚して幸せ?」
「なんだ、それは……」
「和田さんが僕たちの様子を見て『兄妹で仲がいいな。こんな事も遺伝するのか?』
って言ったんだ」
「………そうか。それで…か……」
「そう、僕たちと同じ…」
「!…おまえ、舞を……そうか、やっぱり血か」
「いや、これは僕の意志だよ」
「そうか…そうだな、それで舞を連れていくのか?」
「舞が望むなら…舞とのこと認めてくれるの?」
「認めることはできない……しかし、否定することもできない。
そんな資格はないしな…」
「そう…」
「おまえが自立するまでは生活費を出してやる。
これはせめてもの償いだ」
「…父さん……ありがとう」
……季節が盛りをすぎ、彼が家を出ることを決めたとき、少女ははっきりと、いつまでも彼の側にいることを望んだ。
うつむき加減に、僅かに潤ませたその瞳が、圭に自分のなすべき事を教えた。
そして、短い夏が終わりを告げるころ、小さな住処に暮らす二人の姿があった。
「ちょっと…お兄ちゃん……だめ……私まだ…することがあるの……」
「だって、ほら…もうこんなに濡れてるよ…」
「それは、お兄ちゃんが……あぁ…だめ…ほら、近所に聞こえちゃう…」
「入れるよ」
「だめぇ……ちょ、やあぁ…あぁ……」
舞と二人で暮らすようになって、一ヶ月がたった。
二人で暮らすようになってからは、僕らにとって初めてのことばかりだった。
この生活に不安がないわけじゃない。
僕らはまだ親に養ってもらっているのだから。
でも、不安は二人で取り除いてゆけばいいと思う。
この生活は僕の幸せの形、数多の幸せの一つの形にすぎないけれど、この生活が舞にとっても、幸せの形であってくれればいいと思う。
僕は舞を必要としているし、舞も僕を必要としてくれている。
今この時、舞に必要とされている僕が、側についていることが、どれほどの意味を持つのか、それを自分自身に問うつもりはない。
僕にとって、愛おしい存在……たとえいつか、それが自分のもとを離れるときが来ようとも悔いることはない……
それまでに重ねた時間に、偽りはないはずなのだから……
最終話
…束の間のようにも思えた家での日々が、圭の脳裏をよぎる。
数え切れぬ程の出来事の中で、それらは色褪せてゆくとしても、記憶から消え去ることは決してないように思える。
それは今、家を離れてアパートでの生活を送ろうとする彼の傍らに、その少女の姿があるかもしれなかった。
あの時………
日記には圭も舞も知らない事実が記されていた。
父が中学生の時、両親が再婚した。
その時の連れ子として母は父と出会う。
やがて、二人は愛し合うようになる。
しかし、二人の関係に気が付いた両親が離婚し、父と母は離ればなれになった。
そして、何年か後二人は再び出会い、その後結婚することになる。
こうして、圭と舞は生まれた。
「父さん、僕は家を離れて暮らそうと思う」
「何故そんな、突然……」
「ねえ、父さんって母さんと結婚して幸せ?」
「なんだ、それは……」
「和田さんが僕たちの様子を見て『兄妹で仲がいいな。こんな事も遺伝するのか?』
って言ったんだ」
「………そうか。それで…か……」
「そう、僕たちと同じ…」
「!…おまえ、舞を……そうか、やっぱり血か」
「いや、これは僕の意志だよ」
「そうか…そうだな、それで舞を連れていくのか?」
「舞が望むなら…舞とのこと認めてくれるの?」
「認めることはできない……しかし、否定することもできない。
そんな資格はないしな…」
「そう…」
「おまえが自立するまでは生活費を出してやる。
これはせめてもの償いだ」
「…父さん……ありがとう」
……季節が盛りをすぎ、彼が家を出ることを決めたとき、少女ははっきりと、いつまでも彼の側にいることを望んだ。
うつむき加減に、僅かに潤ませたその瞳が、圭に自分のなすべき事を教えた。
そして、短い夏が終わりを告げるころ、小さな住処に暮らす二人の姿があった。
「ちょっと…お兄ちゃん……だめ……私まだ…することがあるの……」
「だって、ほら…もうこんなに濡れてるよ…」
「それは、お兄ちゃんが……あぁ…だめ…ほら、近所に聞こえちゃう…」
「入れるよ」
「だめぇ……ちょ、やあぁ…あぁ……」
舞と二人で暮らすようになって、一ヶ月がたった。
二人で暮らすようになってからは、僕らにとって初めてのことばかりだった。
この生活に不安がないわけじゃない。
僕らはまだ親に養ってもらっているのだから。
でも、不安は二人で取り除いてゆけばいいと思う。
この生活は僕の幸せの形、数多の幸せの一つの形にすぎないけれど、この生活が舞にとっても、幸せの形であってくれればいいと思う。
僕は舞を必要としているし、舞も僕を必要としてくれている。
今この時、舞に必要とされている僕が、側についていることが、どれほどの意味を持つのか、それを自分自身に問うつもりはない。
僕にとって、愛おしい存在……たとえいつか、それが自分のもとを離れるときが来ようとも悔いることはない……
それまでに重ねた時間に、偽りはないはずなのだから……
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