小説(転載) 母の闇3-1
近親相姦小説掲載サイト「母親の香り 息子の匂い」は消滅。
涙の最後以来、母が俺の部屋を訪れることはなかった。 俺は母の素顔を見る日常が苦痛だったが、母はそんなそぶりを一切見せなかった。 毅然とした俺の母を演じ切っていた。 演じるという気持ちが母にあったのかどうかはわからないが、 以前と変わらぬ母であり続けてくれた。 俺はそんな母に感謝しなければならないのだろう。 俺から一方的に母を拒絶してしまったというのに・・・。 しかし、そんな孤独な母の苦しみを思い知らされる日がくることになる。
最後の日から3ヶ月程が過ぎようとしていた夏休みのある夜。 俺は部屋で音楽を聴きながらマンガを読んでいた。 もう母の襲来を待つ気持ちなど忘れてしまっていた。 そんな俺の部屋に母が申し訳なさそうにやって来た。
「ゆうくん・・・話があるんだけど・・・」
ものごしの柔らかい母を見て、 俺はまた母がエッチを求めてやって来たのかと疑った。
「なに?」
イヤホンを外しながら冷たく答える。 視線はちらっと母を見ただけで、わざとマンガを読み続けた。
「ゆうくん・・・ゆうくん・・・」
母は扉の手前で立ち止まったまま涙を流し始めた。 俺はただ事ではないと悟った。 俺は慌てて母のもとに駆け寄ると、母の手を引いて部屋の中に迎え入れた。
「落ち着いてからでいいから・・・」
俺はそんなことしか言えなかった。 ここは俺が大人になって母の話を聞いてあげなければならないと感じていた。 しばらく母の涙は止まらなかった。 俺はわけもわからず座り込んでただ涙を流す母を抱きしめた。 強く抱きしめると壊れてしまいそうな体だった。 改めて母の体の小ささを思い知った。 こんな体で俺をここまで育ててくれたのだと、そんなことを漠然と考えていた。
「ゆうくん・・・お母さんね・・・」
ようやく俺の胸の中で母が小さくつぶやいた。 俺はその声を耳ではなく、胸に直接伝わる振動で感じた。
「お母さんね・・・不倫しちゃった。 ・・・知らない男の人に抱かれちゃったの・・・」
それだけ言うと母は堰を切ったように声を出して泣き始めた。 俺はにわかに母の言うことが信じられなかった。 いつでも毅然とした態度の母が知らない男に簡単に体を許すとは思えなかった。 俺と寝たこととは違う次元の話だと直感した。 本当に母の意思で浮気をしたのだろうか? 相手の男が母をたぶらかしているだけなのではないだろうか? そう考えると次第に不倫相手の男に対して嫉妬心がふつふつと湧いてきた。
「俺の女に手を出しやがって。」
それが俺の正直な気持ちだった。 このとき俺はまだ彼女と健全な関係を続けていた。 俺の知っている唯一の女が母だった。 その母を傷物にしやがって。 俺はその男のことが許せなかった。 普段は暴力とは程遠い俺だったが、このときばかりは相手の男を殴りたい衝動にかられた。 力ずくでねじ伏せたかった。 母を守らなければならないという根拠のない責任感に燃えていた。 改めて俺は男として生まれてきたんだと思い知らされた。
「・・・どうしよう・・・」
母が泣きながら俺にすがる。 言わなければ誰にも知られないことを、 わざわざ俺に告白する母の気持ちを考えるといたたまれなくなった。 俺はそんな母を全力で抱きしめる。
「俺が守るから。俺が全力で守るから。」
俺はまるでプロポーズのような言葉で母を励ます。 母は俺の胸の中で何度もうなずく。 3ヶ月の間に2度も母の涙を見ることになるとは思わなかった。 1度目は俺のせい。 2度目は・・・いや2度目も俺のせいなのだろうか? 俺は不倫をした母の気持ちを想像していた。 母は体の疼きを満たすためだけに不倫をしたのだろうか? それとも俺が母を拒否したから不倫をしたのだろうか? 今、母から正直な気持ちを聞き出すことは酷なことだと感じ思いとどまった。 そして、母に語り掛ける一言目の言葉を探したが、なにから聞けばいいのかもわからなかった。 しばらくすると、母の方から顔を上げてくれた。 泣き腫らした瞳が赤く充血している。
「ゆうくん・・・」
母の表情がわずかに緩んだ。 俺の気持ちも少しだけ楽になった。
「どう?少しは落ち着いた?」
自然に言葉が出た。 母は1度微笑んでから大きくうなずいた。 母の微笑みには不思議な力がある。 俺は母の微笑みを守るためならどんなことでもできた。 母はなにかを言いたそうな表情で俺の瞳を見つめている。 しかし、言葉は出てこなかった。 俺は母の唇に引き寄せられる懐かしい感覚を思い出していた。 なまめかしい感触が俺の唇によみがえる。 こんなとき甘いキスさえあれば言葉は必要なかった。 俺は無駄に大人の知識を身に着けていた。 そんな安易な誘惑に負けそうになった瞬間、母の表情がこわばった。 俺も母の言葉を受け止めるための心の準備をした。
「・・・寂しかったの・・・」
母はそう言うとうつむいて絨毯の上で指をくねくねさせた。 まるで駄々をこねている子どものようだった。 こうなるとどちらが大人なのかわからなかった。 母は俺に甘えるために来たのだろうか? 俺は母の寂しさを紛らわせるためだけに、再びエッチをしてあげなくてはいけないのだろうか? 俺の中で葛藤が始まる。 しかし俺の決心は揺るがなかった。 彼女のことを考えると母の誘惑に打ち勝つことができた。 母が俺を誘惑しているのかどうかは定かではなかったが、俺は1つの選択肢を確実に消すことができた。 こうなると俺は母のことを冷静に見つめることができた。 今の俺にできることは母の甘えを受け入れることではなく、母を立ち直らせることだった。 2度とこんなことにならないように話を聞いてあげる必要があると感じた。 そして母の話を聞くことにした。
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