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小説(転載) 母心 1/12(未完)

近親相姦小説
05 /15 2015
母心 1

 

家の軒下に、小さなツバメの巣がある。
朝、親鳥がそこからさっそうと飛び出す姿を真一は何度か目にすることがあった。
その巣の中に、ひな鳥達が何羽いるのかまでは分からない。
ただ真一は、家を出る度にその巣を眺めては、その中で小さくなっているであろうヒナ達を想像して、
一人、ほのぼのとした気持ちになっていた。

その日、真一はいつものように学校から帰宅すると、なにをするわけでもなく、ただテレビをぼんやりと眺めていた。
夕食の時間まで、まだ2時間はある。
学校では一応、吹奏楽部に籍を置いてはいるが、真面目に参加したことはこれまで一度もなかった。
中学校の時からの友人が吹奏楽部に入るからという理由だけで、真一も入部しただけのことだった。
他の部員からすれば、真一が吹奏楽部に籍があることすら知らない者が多いのだろう。
どこかに寄り道するわけでもなく、ただまっすぐと自転車に乗って帰ってくる。
これといった特技があるわけでもない。
人に誇れるものがあるわけでもない。
別にグレるわけでもなく、これといった欲もない。
要するに、時間ばかりを持て余す、どこにでもいる高校生だった。

下では母の峰子が夕食の支度をしていた。
いつもそうしているように、台所には峰子の好きなヒーリング音楽が流れている。
悠々としたその音を聞きながら、峰子は鍋の中に箸を入れていた。
その時、少しだけ開けていた台所の窓からあわただしく風が入ってきて、テーブルの上に広げられていた新聞の折り込み広告が
バサバサと床に散らばった。
峰子は慌てて菜箸をまな板の上に置くと、床に散乱しているチラシを見渡した。
20枚以上のチラシ類が床のあちらこちらに散乱している。
峰子は軽いため息をひとつ吐くと、腰をかがめ散らばったチラシを一枚づつ拾い上げた。
ちょうど学校から帰ってきたばかりの由加利は玄関で靴を脱ぎ捨てるようにして、家の中に入ってきた。
そして廊下まで飛んでしまっていた一枚のチラシを拾い上げると、そのまま峰子の方に歩み寄った。

「ねえ、おかあさん。明日、お店休みでしょ」

「うん」

「カバン買いに行くの付き合ってよ」

「あるじゃないの」

「もう、みんな新しいの買ってるよっ。こんなの持ってるのワタシくらいだよっ」

そう言うと由加利は持っていたカバンをテーブルの椅子に投げ捨てるようにして置いた。
由加利の話では、自分の持っている学校指定のカバンを使っているのは1年生くらいまでで、
2年生ともなると、みんな自分の好きなカバンで登校しているという事だった。

「・・・ねぇ、いいでしょ・・・」

「・・・・・・」

「ねぇ・・・」

「しょうがないわね、じゃあ、明日一緒に行ってあげるわよ」

峰子はため息混じりにそう言うと、手に持っていたチラシを折り畳み、新聞の間に挟み込んだ。

 

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eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。