小説(転載) 弱者の妖光 1/6(未完)
官能小説
素敵な上司に出会えたらそれが天職だと思うようにしている。
第1話
-熟女部屋への侵入-
一
弱い者が、強い者に楯突く事はできない。
例え相手が女であっても、屈してしまうものである。
山田次郎。彼もその一人である。
生れて24年間、弱気な性格の元、強い相手に一度もはむかった経験がないの
だ。
勤め先の会社に運良く受かったのも彼のその性格がものをいったのである。
「山田!! これ頼む」
「山田!! 今朝、頼んだ資料はまだか?」
「山田君、ゴミ捨てまだ行ってないの? 早くしてよ!!」
彼の名前は朝から夕方まで引っ切り無しに呼ばれ続けている。
決して仕事をこなす能力があるわけではないが、雑用係として社員には欠かせ
ない人材であるのだ。
頼られているのではない、ただ利用されているだけでモノ扱いされる山田。
山田は、そんな自分が嫌で仕方なかった。毎日10時過ぎに退出して、途中の
橋の上から濁った都会のドブ川を眺めると、自分の生い立ちと将来を重ねるの
であった。
──或る日
「山田君、昨日頼んだ見積書、出来ている?」
課長、七瀬耀子36歳。彼女も山田を利用している一人である。
「いえ、あの、まだ…で、今…」
「終わっていないの? まったく、明日朝一番にお客様に提出しなければいけ
ないのよ!! 夕方には揃えておきなさい。いいわね!」
彼の机の上には、社員の依頼による山積みの書類が重なったままである。そ
れを眺めながら山田は深い溜息をつくのであった。
そんな二人の遣り取りを社員の女子達はヒソヒソと話をしている。
「七瀬課長って、あんな綺麗な顔をしてるのに、山田には鬼の形相で怒るのよ
ね…」
「そうそう、でもあまり怒らないで欲しいわ。嫌になって山田が退社したら誰
がゴミ捨てに行くのよ? ねぇー」
「彼が居ないと、雑用がこっちに回ってくるのよね」
と、彼女らは、毎回このような話しで時間を潰しているのだ。
──時計は午後5時30分を示していた。
「もっと早くできなかったの? チェックするのに、家に持ち帰ってしなけれ
ばいけないじゃないのよ」
「すみません…途中で、あの、他の仕事を言いつけられて…あの、それで」
「ふー、もういいわよ。貴方の言い訳なんか聞きたくないわ」
七瀬は山田から書類を受け取るとそのまま帰宅していった。
何時もの事である。山積みの書類が一日で終わる事は少ない。七瀬の書類も
昨夜帰宅して途中まで終わらせていたのだが、他の仕事を押付けられ、それで
も休憩時間を惜しみながら、何とか終わらせる事ができたのである。
彼は、次の仕事に取り掛かっていた。すると、書類の中に一枚の紙切れが目
に入り、それを目にして驚いた。
「し、しまった!! 課長に渡した見積書の最後の一枚が抜けていた!!」
時計を見ると、七瀬が会社を出てから30分過ぎていた。
直ぐに受話器を手にした山田。しかし、思いとどまって受話器を置いた。
連絡しても彼女が戻ってくる可能性は少ない。仮に帰ってこようものなら、怒
りの鉄拳が彼を襲うであろう。
課長が書類を見る前に届けたら叱られることは無いのでは…。
これが彼の判断であった。そして直ぐに会社を出て七瀬の後を追ったのである。
この判断が、彼の生きる道の分岐点にさせた、と言っても大袈裟にはならな
いであろう。
女の裸体など見る機会のなかった彼に、予期せぬ事態でそれを可能にさせるの
であるから…
ニ
汗をビッショリかいた山田が、七瀬の自宅へ辿り付いたのは午後7時過ぎで
あった。
届けると叱られる事は無いと判断したのには、一つの確信があったからだ。
家族と一緒の彼女が、家族の前で自分を叱る姿を見せる事は無いと思ったのだ。
ただ、それは家族の前で会った場合のみである。二人きりになったら何時もの
通り、鬼の形相になるのは確実だ。
いろいろな構想を考え、暫く玄関に佇む山田。
ふと玄関横の大きな窓に目をやると、カーテンの隙間から明りが漏れている。
彼はその光に惹かれるように場所を移動した。
カーテンの隙間から見える内部の様子は、ただ蛍光灯が灯されているだけで
人の気配はなかった。
山田は漏れる明りの空間を眺め、疑問の気持ちが湧いていた。
「…誰も、いないのかな…おかしいな、課長の居間からは家庭の臭いがまった
くしてこない…」
山田には、本能的に体が動く性質を持ち合わせている。これまでも不思議に
思うと体が勝手に働いて、結果とんでもない収穫を手にした経験がある。
例えば、薄暗い学校の校舎。一台の自転車を見て不思議に思い、その先に足
を踏み入れてみると、その先では学生同士がSEXを愉しんでいたのだ。また
歩道を急ぎ足で歩くOLを見て、後をつけてみると、なんと公園の茂みに身を
隠し放尿をしたのである。その光景をこっそり覗き見した事があるのだ。
今の山田には、その時と同じ匂いがしているのである。
山田は気が向くまま、七瀬の庭を移動して裏側へ出た。
そこには明りが灯されている小さな窓が一つ。中から、水しぶきの音がしてい
る。風呂場のようだ。
耳を澄ますと、女性の咳払いが時たま聞こえてくる。七瀬であると山田は確信
した。
暫く耳を澄ましてみるが、やはり一人で入浴中である。
「やはりおかしいぞ…会社では旦那と子供らと一緒に暮らしていると聞いてい
たのに」
不思議な思いで、歩いて来た通路を引き返すと、途中の掃出し窓の前で足が
止まった。明りが漏れる居間の隣の部屋である。
窓に手をさし伸ばす山田。
「あっ!? この窓、鍵が掛かっていない」
早く書類を届けたい。その心境が山田をとんでもない行動にうつさせた。
窓を開けると、部屋の中へ浸入してしまったのである。
とにかく忘れた書類を、七瀬の鞄の中に放り込みさえすれば、数分後には気持
ちよい風に吹かれながら帰宅できるのだから。
居間の明りが扉の細長い窓から漏れる6帖間の部屋。
ベッドに机、鏡台。どうやら七瀬の寝室らしい。しかし今の山田には部屋を見
渡す余裕など無い。
「か、鞄は? 鞄は何処だ!!」
薄明るい部屋の中を捜すが鞄は見当たらない。
「居間に置いてあるのかな? しかし、居間には照明がついているから無理だ。
くそっ…仕方無い、正直に手渡しをするか……ん? 足音? しまった!!
課長が風呂から上がってきてるぞ! か、隠れなければ!!」
足音に気付いた時には、居間に七瀬の影が見えていた。
咄嗟に山田は部屋の隣の、暗闇の空間に移動した。そこは3帖のクロゼットで
洋服が掛けられ、床には小さなダンボール箱が散らばっている。
しかし、山田は一生の不覚を取ったと慌てた。 己の身を隠す扉がその物置き
には無かったのである。仕切りは薄っぺらなレースだけであった。
「神様!! どうか、10分前に時間を戻して下さい。どうか、どうか!!」
暗闇の中、山田は必死に時間が逆戻りしないものかと、両手を合わせ祈りを
捧げていた。だが、これも彼に対しての仕打ちなのかもしれない。既に七瀬は
寝室の扉を開けて、部屋の中へ入ろうとしているのだから。
(2)へつづく・・・
第1話
-熟女部屋への侵入-
一
弱い者が、強い者に楯突く事はできない。
例え相手が女であっても、屈してしまうものである。
山田次郎。彼もその一人である。
生れて24年間、弱気な性格の元、強い相手に一度もはむかった経験がないの
だ。
勤め先の会社に運良く受かったのも彼のその性格がものをいったのである。
「山田!! これ頼む」
「山田!! 今朝、頼んだ資料はまだか?」
「山田君、ゴミ捨てまだ行ってないの? 早くしてよ!!」
彼の名前は朝から夕方まで引っ切り無しに呼ばれ続けている。
決して仕事をこなす能力があるわけではないが、雑用係として社員には欠かせ
ない人材であるのだ。
頼られているのではない、ただ利用されているだけでモノ扱いされる山田。
山田は、そんな自分が嫌で仕方なかった。毎日10時過ぎに退出して、途中の
橋の上から濁った都会のドブ川を眺めると、自分の生い立ちと将来を重ねるの
であった。
──或る日
「山田君、昨日頼んだ見積書、出来ている?」
課長、七瀬耀子36歳。彼女も山田を利用している一人である。
「いえ、あの、まだ…で、今…」
「終わっていないの? まったく、明日朝一番にお客様に提出しなければいけ
ないのよ!! 夕方には揃えておきなさい。いいわね!」
彼の机の上には、社員の依頼による山積みの書類が重なったままである。そ
れを眺めながら山田は深い溜息をつくのであった。
そんな二人の遣り取りを社員の女子達はヒソヒソと話をしている。
「七瀬課長って、あんな綺麗な顔をしてるのに、山田には鬼の形相で怒るのよ
ね…」
「そうそう、でもあまり怒らないで欲しいわ。嫌になって山田が退社したら誰
がゴミ捨てに行くのよ? ねぇー」
「彼が居ないと、雑用がこっちに回ってくるのよね」
と、彼女らは、毎回このような話しで時間を潰しているのだ。
──時計は午後5時30分を示していた。
「もっと早くできなかったの? チェックするのに、家に持ち帰ってしなけれ
ばいけないじゃないのよ」
「すみません…途中で、あの、他の仕事を言いつけられて…あの、それで」
「ふー、もういいわよ。貴方の言い訳なんか聞きたくないわ」
七瀬は山田から書類を受け取るとそのまま帰宅していった。
何時もの事である。山積みの書類が一日で終わる事は少ない。七瀬の書類も
昨夜帰宅して途中まで終わらせていたのだが、他の仕事を押付けられ、それで
も休憩時間を惜しみながら、何とか終わらせる事ができたのである。
彼は、次の仕事に取り掛かっていた。すると、書類の中に一枚の紙切れが目
に入り、それを目にして驚いた。
「し、しまった!! 課長に渡した見積書の最後の一枚が抜けていた!!」
時計を見ると、七瀬が会社を出てから30分過ぎていた。
直ぐに受話器を手にした山田。しかし、思いとどまって受話器を置いた。
連絡しても彼女が戻ってくる可能性は少ない。仮に帰ってこようものなら、怒
りの鉄拳が彼を襲うであろう。
課長が書類を見る前に届けたら叱られることは無いのでは…。
これが彼の判断であった。そして直ぐに会社を出て七瀬の後を追ったのである。
この判断が、彼の生きる道の分岐点にさせた、と言っても大袈裟にはならな
いであろう。
女の裸体など見る機会のなかった彼に、予期せぬ事態でそれを可能にさせるの
であるから…
ニ
汗をビッショリかいた山田が、七瀬の自宅へ辿り付いたのは午後7時過ぎで
あった。
届けると叱られる事は無いと判断したのには、一つの確信があったからだ。
家族と一緒の彼女が、家族の前で自分を叱る姿を見せる事は無いと思ったのだ。
ただ、それは家族の前で会った場合のみである。二人きりになったら何時もの
通り、鬼の形相になるのは確実だ。
いろいろな構想を考え、暫く玄関に佇む山田。
ふと玄関横の大きな窓に目をやると、カーテンの隙間から明りが漏れている。
彼はその光に惹かれるように場所を移動した。
カーテンの隙間から見える内部の様子は、ただ蛍光灯が灯されているだけで
人の気配はなかった。
山田は漏れる明りの空間を眺め、疑問の気持ちが湧いていた。
「…誰も、いないのかな…おかしいな、課長の居間からは家庭の臭いがまった
くしてこない…」
山田には、本能的に体が動く性質を持ち合わせている。これまでも不思議に
思うと体が勝手に働いて、結果とんでもない収穫を手にした経験がある。
例えば、薄暗い学校の校舎。一台の自転車を見て不思議に思い、その先に足
を踏み入れてみると、その先では学生同士がSEXを愉しんでいたのだ。また
歩道を急ぎ足で歩くOLを見て、後をつけてみると、なんと公園の茂みに身を
隠し放尿をしたのである。その光景をこっそり覗き見した事があるのだ。
今の山田には、その時と同じ匂いがしているのである。
山田は気が向くまま、七瀬の庭を移動して裏側へ出た。
そこには明りが灯されている小さな窓が一つ。中から、水しぶきの音がしてい
る。風呂場のようだ。
耳を澄ますと、女性の咳払いが時たま聞こえてくる。七瀬であると山田は確信
した。
暫く耳を澄ましてみるが、やはり一人で入浴中である。
「やはりおかしいぞ…会社では旦那と子供らと一緒に暮らしていると聞いてい
たのに」
不思議な思いで、歩いて来た通路を引き返すと、途中の掃出し窓の前で足が
止まった。明りが漏れる居間の隣の部屋である。
窓に手をさし伸ばす山田。
「あっ!? この窓、鍵が掛かっていない」
早く書類を届けたい。その心境が山田をとんでもない行動にうつさせた。
窓を開けると、部屋の中へ浸入してしまったのである。
とにかく忘れた書類を、七瀬の鞄の中に放り込みさえすれば、数分後には気持
ちよい風に吹かれながら帰宅できるのだから。
居間の明りが扉の細長い窓から漏れる6帖間の部屋。
ベッドに机、鏡台。どうやら七瀬の寝室らしい。しかし今の山田には部屋を見
渡す余裕など無い。
「か、鞄は? 鞄は何処だ!!」
薄明るい部屋の中を捜すが鞄は見当たらない。
「居間に置いてあるのかな? しかし、居間には照明がついているから無理だ。
くそっ…仕方無い、正直に手渡しをするか……ん? 足音? しまった!!
課長が風呂から上がってきてるぞ! か、隠れなければ!!」
足音に気付いた時には、居間に七瀬の影が見えていた。
咄嗟に山田は部屋の隣の、暗闇の空間に移動した。そこは3帖のクロゼットで
洋服が掛けられ、床には小さなダンボール箱が散らばっている。
しかし、山田は一生の不覚を取ったと慌てた。 己の身を隠す扉がその物置き
には無かったのである。仕切りは薄っぺらなレースだけであった。
「神様!! どうか、10分前に時間を戻して下さい。どうか、どうか!!」
暗闇の中、山田は必死に時間が逆戻りしないものかと、両手を合わせ祈りを
捧げていた。だが、これも彼に対しての仕打ちなのかもしれない。既に七瀬は
寝室の扉を開けて、部屋の中へ入ろうとしているのだから。
(2)へつづく・・・
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