小説(転載) 過ち…それから 1/3(未完)
官能小説
【1】
「こんばんわ~」
「いらっしゃい! 待ってたわよ!!」
土曜の19時。妻の学生時代の友人の麻耶が新築した我家を訪れた。
妻の瑞希と麻耶は女子大時代から今日までの5年、お互いを親友と認め、マメ
に交流を計っている。
僕も今迄何度か妻を介して麻耶と会い、大きな二重の瞳に魅了されていた。
妻の手料理を肴に、新築祝として麻耶が持参したワインで乾杯した。喉越しの
良い、とても美味しいワインだった。
「麻耶、まだ結婚しないの?」
瑞希は少し酔ったのか、薄っすらと顔を赤らめ麻耶に聞いた。
「そろそろしたいって考えてるけど、こればかりは相手が居ないとね」
麻耶は軽く微笑みながら答えた。
「麻耶くらいイイ女だったら、相手なんていくらでもいるでしょっ!」
「そんな事ないわよ。誰も私をもらってなんかくれないわ」
そんな会話に華を咲かせ、3人は飲み続けた。
「ああ~飲み過ぎたわ・・麻耶のせいよ!」
目をトロンとさせた瑞希が言った。
確かに瑞希はかなり酔っており、今にも瞼が目を塞ぎそうだった。
「もうだめ・・おやすみ!」
そう言うと瑞希は、カーペットに寝転がり目を閉じた。
「ちょっと瑞希! 寝たら困るわ」
麻耶は瑞希の肩を数回揺すったが、瑞希はすでに寝息をたてて眠りに落ちてい
た。
「ごめんね、麻耶さん。コイツ、酔って寝たらまず起きないから」
僕は眉を顰めて麻耶に詫びた。
「知ってるわ。長い付き合いですから・・」
二人は顔を見合わせて軽く笑った。
寝息をたてる妻を気遣い、僕と麻耶は少し声をひそめて話した。
「でも麻耶さん、本当に結婚を考えてる相手はいないの?」
麻耶の顔をもってして、言い寄ってくる男が居ないとは考えられない。
スタイルにしたって、もちろんいつも服の上からであるが、均整のとれたプロ
ポーションを容易に確認できる。
そんな麻耶に夢中になる男の存在が無いなんて、本心から信じる事ができずに
僕は聞いた。
「全くいないって訳じゃないけど・・・」
「やっぱり!」
「でも、魅力を感じる人が現れなくて」
麻耶はグラスの中のワインを俯いた目で見つめながら言った。
その表情に僕は思わず身震いした。
俯いた麻耶の顔は、アルコールを帯びてほんのり赤く染まり、白い肌に赤ワイ
ンで色付いた唇がとても生めかしかった・・・。
「そ、そうなんだ・・」
僕は浮んだ邪念を振り払うように言葉を発してから、グラスのワインを一気に
飲み干した。
「どんな男に魅力を感じるのかな?」
平静を取り戻しつつ、麻耶に尋ねた。
「どんなっていうものは無いけど、直感みたいなものかな・・」
「直感?」
「そうなの、会った瞬間に胸が熱くなるような感覚ってあるでしょ? そんな
感じがする人がいないの」
「今迄一人も居なかったの? 胸が熱くなった男は?」
「いたわ、一人だけ・・」
麻耶は少し横を向いて、寝ている妻に目をやった。
「その男とは上手く行かなかったの?」
「うん、ダメだった・・ダメだったというより、アプローチしなかったから」
「どうして?」
「その人、結婚してたから・・会った時すでに」
麻耶は妻の立てる寝息を聞きながら、静かに答えた。
「そう・・残念だったね」
僕は麻耶の横顔を見詰め、綺麗な首筋に焦点を合わせていた。
「今でもその男は結婚してるの? もしかしたらバツ1になってるかもよ!」
僕は麻耶を励ますつもりで言ってみた。
「とっても仲の良い夫婦なの・・とても私の入り込む余地なんて無いわ」
「えっ? 奥さんの事も知ってるの? 一緒にいるところを見たとか?」
「夫婦一緒のところを何回も見てるわ」
麻耶は視線をこちらに戻し、潤んだ瞳で僕を見た。
(えっ! まさかね・・・)
その眼差しが何かを訴え掛けるように思え、僕は自分の都合の良い考えを否定
しようとした。
「好きになったらダメなのよね?」
麻耶は俯き小声で呟いた・・・。
「本当に?・・・・」
僕はたった今自分で振り払った甘い考えを言葉に出してみた。
顔を上げた麻耶は、うっすらと涙で瞳を濡らしながら頷いた。
吸い込まれそうな麻耶の瞳に見詰められ、僕は唾を飲み込んだ。
喉を通る唾の音が麻耶の耳に届いた。
「ごめんなさい! 変なこと言って! 私酔ってるみたい」
麻耶は僕に向けていた瞳を逸らすように横を向いた。
「いや・・こっちこそ! 焦ったよ」
僕は空のグラスへワインを注ぎ入れ、急いで口へ運んだ。
麻耶も同じようにワインを口に含み、乾いた口内を潤しているようだ。
その後、二人の会話は続かず、ただ時間だけが流れた・・。
(2)へつづく・・・
「こんばんわ~」
「いらっしゃい! 待ってたわよ!!」
土曜の19時。妻の学生時代の友人の麻耶が新築した我家を訪れた。
妻の瑞希と麻耶は女子大時代から今日までの5年、お互いを親友と認め、マメ
に交流を計っている。
僕も今迄何度か妻を介して麻耶と会い、大きな二重の瞳に魅了されていた。
妻の手料理を肴に、新築祝として麻耶が持参したワインで乾杯した。喉越しの
良い、とても美味しいワインだった。
「麻耶、まだ結婚しないの?」
瑞希は少し酔ったのか、薄っすらと顔を赤らめ麻耶に聞いた。
「そろそろしたいって考えてるけど、こればかりは相手が居ないとね」
麻耶は軽く微笑みながら答えた。
「麻耶くらいイイ女だったら、相手なんていくらでもいるでしょっ!」
「そんな事ないわよ。誰も私をもらってなんかくれないわ」
そんな会話に華を咲かせ、3人は飲み続けた。
「ああ~飲み過ぎたわ・・麻耶のせいよ!」
目をトロンとさせた瑞希が言った。
確かに瑞希はかなり酔っており、今にも瞼が目を塞ぎそうだった。
「もうだめ・・おやすみ!」
そう言うと瑞希は、カーペットに寝転がり目を閉じた。
「ちょっと瑞希! 寝たら困るわ」
麻耶は瑞希の肩を数回揺すったが、瑞希はすでに寝息をたてて眠りに落ちてい
た。
「ごめんね、麻耶さん。コイツ、酔って寝たらまず起きないから」
僕は眉を顰めて麻耶に詫びた。
「知ってるわ。長い付き合いですから・・」
二人は顔を見合わせて軽く笑った。
寝息をたてる妻を気遣い、僕と麻耶は少し声をひそめて話した。
「でも麻耶さん、本当に結婚を考えてる相手はいないの?」
麻耶の顔をもってして、言い寄ってくる男が居ないとは考えられない。
スタイルにしたって、もちろんいつも服の上からであるが、均整のとれたプロ
ポーションを容易に確認できる。
そんな麻耶に夢中になる男の存在が無いなんて、本心から信じる事ができずに
僕は聞いた。
「全くいないって訳じゃないけど・・・」
「やっぱり!」
「でも、魅力を感じる人が現れなくて」
麻耶はグラスの中のワインを俯いた目で見つめながら言った。
その表情に僕は思わず身震いした。
俯いた麻耶の顔は、アルコールを帯びてほんのり赤く染まり、白い肌に赤ワイ
ンで色付いた唇がとても生めかしかった・・・。
「そ、そうなんだ・・」
僕は浮んだ邪念を振り払うように言葉を発してから、グラスのワインを一気に
飲み干した。
「どんな男に魅力を感じるのかな?」
平静を取り戻しつつ、麻耶に尋ねた。
「どんなっていうものは無いけど、直感みたいなものかな・・」
「直感?」
「そうなの、会った瞬間に胸が熱くなるような感覚ってあるでしょ? そんな
感じがする人がいないの」
「今迄一人も居なかったの? 胸が熱くなった男は?」
「いたわ、一人だけ・・」
麻耶は少し横を向いて、寝ている妻に目をやった。
「その男とは上手く行かなかったの?」
「うん、ダメだった・・ダメだったというより、アプローチしなかったから」
「どうして?」
「その人、結婚してたから・・会った時すでに」
麻耶は妻の立てる寝息を聞きながら、静かに答えた。
「そう・・残念だったね」
僕は麻耶の横顔を見詰め、綺麗な首筋に焦点を合わせていた。
「今でもその男は結婚してるの? もしかしたらバツ1になってるかもよ!」
僕は麻耶を励ますつもりで言ってみた。
「とっても仲の良い夫婦なの・・とても私の入り込む余地なんて無いわ」
「えっ? 奥さんの事も知ってるの? 一緒にいるところを見たとか?」
「夫婦一緒のところを何回も見てるわ」
麻耶は視線をこちらに戻し、潤んだ瞳で僕を見た。
(えっ! まさかね・・・)
その眼差しが何かを訴え掛けるように思え、僕は自分の都合の良い考えを否定
しようとした。
「好きになったらダメなのよね?」
麻耶は俯き小声で呟いた・・・。
「本当に?・・・・」
僕はたった今自分で振り払った甘い考えを言葉に出してみた。
顔を上げた麻耶は、うっすらと涙で瞳を濡らしながら頷いた。
吸い込まれそうな麻耶の瞳に見詰められ、僕は唾を飲み込んだ。
喉を通る唾の音が麻耶の耳に届いた。
「ごめんなさい! 変なこと言って! 私酔ってるみたい」
麻耶は僕に向けていた瞳を逸らすように横を向いた。
「いや・・こっちこそ! 焦ったよ」
僕は空のグラスへワインを注ぎ入れ、急いで口へ運んだ。
麻耶も同じようにワインを口に含み、乾いた口内を潤しているようだ。
その後、二人の会話は続かず、ただ時間だけが流れた・・。
(2)へつづく・・・
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