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小説(転載) 幻鬼

近親相姦小説
05 /22 2015
その時、伸之は夢にうなされていた。
酷い呻き声が部屋中に響いた。
「ねえ・・如何したの?しっかりして・・ねえ兄さん。」
横で一緒に寝ていた和実が、心配そうに伸之に寄り添った。
「わぁ……」
勢い大きく布団を跳ねて伸之は飛び起きた。
顔中には玉のような汗が吹き出ていて、シーツには、その汗が滴り落ちていた。
「ねえ・・本当にどうしたの?また悪い夢でも見たの?…最近うなされてばかりよ。」
愁いのある瞳が、影を帯びて伸之を見つめていた。
「ま…まただ…また、鬼の顔をした女の生首が、お…俺に向かって飛んで来たんだ・・
大きな口が顔中に広がって『何故…手を出した・・何故だ?』と叫んでいるんだ・・はぁはぁ・・
こ、怖い、怖い…はぁはぁ…。」
焦点の合わない目が和実を見ずに、ずっと宙を彷徨っていた。

「ああ…ごめんなさい兄さん…わ、私がいけないんだわ…きっとお母さんが怒っているんだわ…
でも何故兄さんばかり苦しめるのかしら、私も同罪なのに、何故私には来ないの?」
和実は、はらはらと泣き出した。

「何を言うんだ和実、これは全部俺だ…俺の心の弱さが原因なんだ。お前が気にすることは無いんだよ…いいかい?」
伸之は、汗ばんだ胸に和実の体をぎゅっと包み込んだ。
和実の胸の柔らかさが伸之の気持ちを落ち着かせた。

「私は、後悔しないわ、私…兄さんが好き。死ぬほど好き、兄さんに抱かれて本望よ。
でも兄さんはそうじゃないみたいね。何時も何時も苦しそうな顔ばかり…私を抱いてからは、
何時も悲しそうな顔ばかり…もう私どうしたらいいの?」

和実は、兄、伸之と結ばれた時は、まさに天にも昇る面持ちだった・・・・
なのに、それが単なる独りよがりな幸福だったなんて信じたくはなかった。

「俺もそうだよ、和実。俺もお前と一緒になれてこれほど嬉しい事はないんだ…ホントなんだ…信じてくれ。」
「だったら、なぜそんなにも悲しい顔をするの?どうして、うなされるほど苦しんでいるの?私にはどうかウソは
言わないで…お願いよ兄さん。」
整然とした美貌が、涙と怒りで、脆く崩れていた。

「和実、母さんが死んで、まだ幾日も経ってないんだぞ、俺たちがしでかした事が何であるか判ってるだろう?
まだ魂が彷徨っているかと思うと、俺は申し訳なく思っているんだ
もし母さんがこのベッドでお前と裸で抱き合っているのを見たらどう思う? お・・俺は何て事をしでかしたんだぁ…嗚呼」
伸之は髪をかきむしりながら、夢の続きを思い出しているかのように、カッと見開いた眼には、瞬きなど無かった。

「兄さんの気持ちは判るわ…呵責の念が、兄さんに取り付いている悪魔の心を呼ぶのよ。
確かに禁断の掟を破った罪深い2人だけど、私、兄さんとなら大丈夫よ。
それに、もう後戻りなんて出来ないのよ、このまま未来へ行くだけ…どこか遠くへ行きましょうよ…
誰も知らない土地で2人だけで暮らしましょ・・ね?」
和実の切なる想いが、凍りついた伸之の心に染み渡っていく様であった。

「お前と2人か…そうだよな、もう俺にはお前しか居ないんだよな。」
「そうよ兄さん、私たち2人きりよ、お母さんだって、この事は知らないで死んじゃったんだし、
霊になって彷徨っていたって、私たちの事を認めてくれているかも知れないじゃないの…そう思いましょうよ。」
和実の言葉に徐々に吹っ切れていくのを感じた伸之は、1つ深呼吸をした。

「和実すまなかったな、俺の気の弱さが原因なんだから、どうしようもないな・・ははは」
「ううん…イイのよ、元はと言えば私から強引にアタックしたんだから、本当に罪深いのは私なのよ、
地獄に落ちるのは私一人で充分よ。」
涙で潤んだ瞳が、柔らかく微笑んだ時、一筋の涙が笑顔を作る頬を伝って落ちた。
和実の偽りの無い純愛が、そこに在った。
伸之は、その暖かさに触れながら寝たかった。

透き通る程に白い柔肌は興奮で紅潮し、熱を帯びていた…伸之は朱色に染まった乳房を、
ゆっくりと口に含み、さくらんぼの様な乳首を舌で丁寧に転がした。
遠い昔、母にねだったように…
和実も慈母のように伸之を抱きしめた…打ち震えるような幸せをかみ締めながら…

伸之と和実の母は、生来病弱であった。
生まれつき心臓に欠陥があったのが原因だった。
この場合では大体そうなのだが、こういった病気が小さい頃からあった人というのは、あまり騒がしくなく、
周りとの協調を第一として、決して争いを好まず、自分よりまず他人の事を気にかけるといった性分になるものだが、
彼らの母親も例に漏れず、そうであった。
積極的に前にも出ず、他人を蹴落とすよりも応援するといった性分だった。

心臓の病気であったせいもあり、肌は透き通るように白かったし面差しも、はかなく愁いを帯びた風情があった…
守ってあげたいというかよわさが彼女にはあった。
愁いのある瞳の笑顔は、すぐ溶けて消えてしまいそうなぐらいだった。
幸薄い女…一言でいえばそうなるが…

はかなげな美貌は、男をその気にさせやすい。
彼女の争奪戦は幾十人の男の間で繰り広げられた。
まあ、その後彼女がどのような男と一緒になったかは、この際関係ない。
ただ、幸せな結婚生活であったことだけは間違いなかった。
男との間で、一男一女の子供にも恵まれ、なにも不満なく生活が送れた。
そして25年の間に、男が不慮の事故で死んでしまうといった不幸もあったが、
子供達も、すでに自立していて仕事をそれぞれ持っていたから、生活そのものに深い影響などは出なかった。

確かに主人を亡くす不幸があったとはいえ、子供達も無事独立して、彼女の人生もこれから新しく次の幕に移ろうかとした
矢先に、突然心臓発作に襲われ帰らぬ人となってしまった。
その時、伸之は24、和実は21だった。

伸之の落胆は、それはそれは大きかった。
棺が出る直前まで、傍を片時も離れようとはしなかった…
ずっと、傍らで泣き崩れていたのだった…その姿は、まさに後悔で溢れていたようだった。

話を少し戻そう…
伸之と和実が、その禁断の世界の住人となったのは、母親が亡くなる半年前だった。

兄と妹とかが、互いに男と女を意識するのは、思春期のある時期には、必ずといってあるものなのだそうだ。
それはそうだろう…1つ屋根の下で、それまでは一緒になって、泥んこ遊びや、取っ組み合いのケンカとか、
お風呂に入ったりしていたのが、突然、ある日を境に、一方では肩幅が広くなり、胸板も厚くなり、口元に髭が生えたり、
声変わりが始まり、また一方では、胸が突出しだし、肩や腰の周りに丸みを帯びてきて、肌質がつるつると柔らかいもの
に変わっていったら、否応なしに男は女を、女は男を、当然兄や妹らは感じるだろう。

でも、普通はそこから自然の摂理たる掟が互いに歯止めをかけるのだが、しかし・・・
なぜか2人は、その掟をあっさりと破ってしまったのだった。
意識が強かったのは和実の方だった…いやこの場合、早くから兄、伸之に男性を感じたのは、と言い換えてもいいだろう。
和実は中学2年の時から、ずっとアプローチを仕掛けていた。
何度、愛という言葉を口にしたことか…何度、伸之の前で裸になって抱きつきに来た事か…
でも、伸之は当初、一切相手にしなかったのである。

むしろ、何度も思い直すように説得し、時には引っ叩くこともしばしばだった。
それなのに、なぜか彼が24になった時に、とうとう和実を受け入れてしまったのである。
14,5の子供の時ならいざしらず、それなりの分別もつく20才を超えてからの出来事に、何かしらの違和感を感じても
おかしくないのだが、長年の想いが通じた和実には、喜びの気持ちで一杯で、そこまでの意識など気が付くはずも無かった。

ここまでお読みになった人なら、はた、と気付かれたと思うが、和実は、まさに母の容姿そのものだったのだ。
うしろ姿から、ちょっと横など向いたものなら、あまりのそっくりさに、つい声を出してしまいそうなほどなのである。
20年前、周りの幾人の男どもをやきもきさせた若かりし頃の母が、そこにいたのである。
はかなげな面持ちではあるが、決して何事にも流されない強い意志が感じられる瞳が、美しい色彩をまばゆいほどに放っていた。

和実は己自身を良く知っていた…そして伸之の事も。
兄は母親を慕っている…いや母親としてではなく一人の女性として愛していたはずだと。
兄の母を見る目は、それはそれは優しい眼差しだった。
それは、決して母恋しいと言ったものではなく、時に激しく、時には乞うような視線を絶えず送っていたのを和実は知っていた。
和実の女としての直感は、そう確信していた。
母を見る目がそうならば、私の方もきっと見てくれるはずだ…きっとそうだ。
母よりずっと若い私ならば、兄を長く愛せるし、きっと兄をも満足させられる。
母のような、しっとりとした風情などは出せないが、そんなものは時間が解決してくれよう。
和実の伸之への想いは時と共に隠せえぬものとなっていた。
もう一緒にいても、息が出来ぬほどまでに…

だからこそ、あの夜、伸之が、いきなり和実を抱きしめた時、嬉しかったのだった。
もう地獄など、怖くない・・誰もが私を罵倒しても良いのだ…私の愛は成就したのだ。
道徳観など、くそくらえだ…人ひとり深く愛した事の無い人たちの非難など、なにほどのものか…
愛は貰うものではなく与えるものなのだ。
兄の想いは母にあるのだ、その苦しみを救えるのは私だけなのだ…




次の日も、また次の日も、伸之は眠れなかった。
和実を抱いても、絶えず襲ってくる鬼の首に悩まされていた。
「兄さん、もっと楽にして、もう心配ないわ、私がいつも傍にいるから…ね。」
和実は、伸之の胸板をやさしく愛撫しながら、そう呟いた。
「ごめん・・もう大丈夫だから、さ、寝よう。」
「ううん・・その前に、ちょっとね…」
和実がイタズラっぽい笑顔を伸之に見せて、そのまま布団の中に潜り込んでいった。
「あっ…」
伸之の口から、驚きの声が漏れた。
和実は、伸之のペニスを取り出してしゃぶり始めた。
ゆっくりと、口の中に入れて、手を使わずに頭の動きだけで全方位から刺激を与えた。
舌は、絡みつくように棒を舐めた。
何と、気持ちの良いことだろう…俺の気持ち第一に考えてくれているのが嬉しかった。
和実は伸之に心地よい疲労感を与えたかったのだ。
伸之は妹の一途な愛に感謝した。

次第に力がみなぎって来た…伸之は、元気を取り戻しつつあった。
「さあ…おいで和実。」
伸之は和実を抱え、自分の前に座らせ、キスを交わした。
そして次第にお互いの舌をむさぼり始めたのを機に、伸之は和実を下に寝かせ深く腰を沈めた。
ゆっくり伝わる快感を、和実は全身で捉えた。
決して一人ではない愛の交わり…私たちは2人で1つなのだ。
伸之の舌が和実の豊かな乳房を這った。
和実は伸之の頭を両手で包み込んだ…今1つになる時が来たのだ。
伸之は和実を抱えた…抱っこ状態で2人は再び互いの舌を貪りあった。
「あっああ・・あああん」
和実は幸せの声を高らかに上げた。
伸之の動きも収束に向けて加速し始めた。
「あっああ、か、和実、俺もうイキそうだ、ああ気持ちいい・・」
「お兄ちゃん、一緒にいこう、ね、一緒に・・あああいっちゃう…」
伸之の腰を掴んで和実も動きを合わせた。
もう、イク・・その時だった。


伸之の目の前に再びあの鬼の生首が現れたのだ。
『なぜだ、なぜ手を出したのだぁ…なぜ手を…』
つりあがった眉に、血で染まった目元、悔しげなまでに歪んだ唇…あの鬼がまた来たのだった。
「う、うわぁ…許してくれ、俺を・・俺を、許してくれ…か、母さん俺を許してぇ…」
伸之は、和実をドンと前に突き飛ばし、布団を幾重にも重ねて潜り込んでしまった。

「に、兄さんしっかりして、どうしたのよ?また見たの?ねえ、兄さんたらぁ・・」
和実は、その絶頂の瞬間から地獄の淵まで、叩き落されたようなショックを覚えた。
伸之は、布団の中で、ただガタガタと震えるばかりだった。
「何もいないわ、兄さんしっかりして、なにもいないわよ、だから出てきて、兄さんてば。」
和実は震える伸之の耳に、必死に声を届けた。
「俺が、俺が悪かった…だから許してよう、お母さん・・うっうっ・・」
ひたすら呪文のように、この言葉を繰り返すばかりだった。

「兄さん、よく聞いて、兄さんがお母さんの事が大好きだった事、私知っていたわ。
そして兄さんがお母さんに詰め寄った事も…お母さん泣きながら拒絶した事も。
私を抱いたのも、その痛手から逃れる為だけの思いからってこともね。
でも、私嬉しかった、たとえそれがお母さんの代用だとしても…兄さん、お母さん怒っていないわ、
そうよ、きっとそうよ、だから、もう自分を責めないで・・お願いよ。」
和実の声は、もう涙で震えていた。
伸之の震えは、止まっていた。

ゆっくりと布団から出てきた伸之は、和実の前に顔を出した。
ぼぉっとした、まるで魂の抜け殻のような表情で和実に向かった。
「違う・・違うんだ和実。母さん、知っていたんだ。俺がお前を抱いた事を…」
和実は愕然とした…母が、おぞましい近親相姦の事実を知っていた。

「そうなんだ…母さんはあの時、俺とお前がSEXをしているのを見てしまったんだ。
自分が拒否したのに、直ぐに妹に手を出したって・・俺をさんざんになじったんだ。
おぞましい、おぞましいって、激しく俺をなじったんだ…そしたら。」
伸之の顔がみるみると青ざめていった。
「母さん、突然苦しみ出して、俺の足元に倒れ込んでしまったんだ。」
和実は、震えが止まらなかった。
何ということだ、母を死なせたのは、私たちなのだ・・嗚呼、何てことだ。

「母さんが、許さなかったのは当たり前さ。自分のお腹を痛めて産んだ子同士が、体を貪り合うなんてのは、
鬼畜の所業さ…あははは・・もう最低さ。」
「も、もう言わないでぇ…もう、もうやめてにいさぁん…うっうっ」

和実の固い決心が揺らいでいた…もうバラバラになるぐらいに…
私の愛は何なの?こんな事って…お母さん死なしてまでのモノだったの?
和実は今座っている場所が、本当に自分のいる場所なのか判らなくなっていた。

「泣くな、和実。お前が悪いんじゃない・・全て俺が悪いんだ。全て。」
伸之の顔から血の気が引いていて青くなっていた表情が、さらに白くなっていった。
大きく見開いた目に、狂気ともいえる、青い火が宿っていた。
「俺の罪は、それだけじゃないんだ。俺は、俺は…」
伸之の喉が、ここまで言ったときに、ゴクリと鳴った。
「俺は、倒れた母さんを抱きかかえて、すぐさま確認したんだ、そうしたら、もうその時には、息はもう無かったんだ…。
でも、でも…俺は、病院には連絡しなかったんだ。」

和実は思わず耳を疑った…何言ってるのかしら?、兄さんは・・・
「何故なの?兄さん、何故?もしかしたらお母さん助かったかもしれなかったじゃないの?」
和実の疑問も当然だ。目の前で倒れた母なら、肉親なら誰だって直ぐに病院に連絡だろうに。
少し冷静さを取り戻した和実は、いぶかしそうに伸之を見た。
次の瞬間、和実は腰を抜かさんばかりの衝撃を受けた。

「俺は・・・俺は・・・母さんを抱いたんだ。」
伸之の顔が鬼の表情に変わっていた・・・

死姦・・・そう、まさに鬼畜の所業の最たるものだ。
死体を貪るとは…それも、死に直面した直後に…しかも実の母親の肉体を貪り喰うとは・・
これを鬼畜の所業と言わずして何と言おうか・・・

伸之は地獄の亡者に魂を売ったのだ…己の欲望を満たす為に・・・
「何てことしたの兄さん・・・・どうして母さん見殺しにしたの? 死んでしまったら元も子も無いじゃないの!!
そ、そんなハイエナみたいな事していいと思っているの?これじゃあ、最低の人でなしよ・・兄さん!」
和実は思わず大きな声で怒鳴ってしまった。

「母さんさぁ…すっげぇ綺麗なんだよ。苦痛の顔なんて何処にも無かったんだ・・これ逃したらもう最後だと思ったんだ。
たとえ助かったとしても、どうせ俺を拒絶するに違いないんだ。それに時間も無かった…
だって母さんの温もりが消えていくのを黙って見逃せっていうのか?お前なんかに俺の気持ちなんか判るものか!」
ぼんやりとした、うつろな眼で和実を見つめた。

和実は、今こそ自分たちの罪の深さを思い知った事はなかった。
伸之の言い分は、もはや我欲のかたまりとしか言いようが無かった。
もう2人は、地獄に行くしかないだろう・・・和実の涙は止まらなかった。

「兄さん、も、もう良いわ、もう良いのよ、苦しかったでしょ、もう良いのよ。
私も罰を受けるわ、お互い神が決して許さない罪を背負ったのよ。一人で苦しまないで。」
それでも和実は兄を許そうとしていた・・・しかしながら和実の言葉は、もう伸之には聞こえていなかった。

「うっうわぁ…」
伸之が突然に、和実に覆い被さってきた。
「ど、如何したの?兄さん、い、痛いわ、ああ、いたぁい…」
突然キレた凧みたいに、ぐるぐる急降下するように、和実の身体を急ぎ貪った。
「く、くそう、くそう…」
わめきながら、和実を襲った…あの優しさのかけらもなく、ただ力任せに和実を犯した。
もう、どうにでもなれ…伸之は自暴自棄になって暴れたかった。
自分に覆われた闇を振り払うには、もうこれしかないのだ…
「あっあっ…」
和実は、訳もなく泣いてしまっていた。
伸之は、和実の髪を掴んで、顔を上に向かせ、己のペニスを乱暴に和実の口に突っ込ませた。
激しく腰を動かす伸之…和実の嗚咽が響いた。
そして、後ろを向かせ、バックから花びらへ侵入していった。
激しく打ち据える音が幾重にも鳴り響いた。
「ど、どうだ、あはは、イイぞ、気持ちイイぞ、ああ最高だ、サイコーだ和実、あははは・・」
「ああ、おにいちゃん…」
和実は、もう息も絶え絶えだった。
伸之は今度は前から責めるつもりで、和実の身体を前に向かせた。
その時、伸之の顔が引きつった。


「か、母さん…なんで、母さんが?…」
突然、母の顔が伸之の前に現れたのだ。
『なぜ手を出した・・なぜ手を出した。伸之、苦しいよぉ・・ああ苦しい。』

「わぁあ…許してくれぇ・・母さん、ゆるしてぇ…」
伸之の絶叫が部屋中に響いた。
「兄さん、どうしたの?また鬼が出たの?ねぇ・・・しっかりして、私には何も見えないわ・・・ねえ、にいさぁん・・」
狂わんばかりに暴れ回る伸之に和実が、その動きを止めるために彼の背中にしがみ付いた。
何も見えない自分に腹立しさを覚えた。

「ねえ、母さんいるの?いるんでしょ?どうして兄さんばかり責めるのよ・・・わ、私だって同罪よ、罪深き片割れよ。
お母さん聞いて?・・・私、今幸せなのよ・・・だから兄さんをどうにかしたら、私も死ぬわ・・・それでも良いの?
兄さんのやった事は、確かに酷いわ・・・許せないわ・・・でも、でも許してあげて・・お願いだから。」

和実は、地べたに頭を擦りつけながら懇願し続けた・・・獣以下に成り下がった兄の為に。
それでも和実の耳には、目には何も聞こえず、そして見えなかった。
しかし伸之の絶叫は、ますます大きくなっていった・・・・



『許さん、許さないぞ、伸之、私に飽きたらず、和実にまで手を出すとは、見下げた奴だ、
私は鬼になって呪ってやるぞ・・・一生呪ってやるぞぅ…』
母の顔が、あの鬼の生首の顔に変わっていった。
目が血の涙で一杯になって頬を伝わって滴り落ちていた。唇は怒りで歪んでいた。

「うわぁ・・くそう、もう出るなぁ、俺の目の前に出てくるなぁ・・この野郎、殺してやる」
伸之は、鬼の生首を捕まえて、力任せに、殴りつけた。
そして、首をこれとばかりに思い切り締め上げたのだった。

『ぎゃぁ…苦しい。苦しい、伸之や、やめておくれ、母さん、苦しいよぉ…』
鬼は、またもや母の姿に変えて、哀しく訴えた。
『伸之、お前は私の事を好きだと、あれほど熱く訴えたじゃないの、なのに、この仕打ちは、あんまりじゃないの?…
私だって、あの時はどうして良いか判らなかったのよ。だから、あんなキツイ口調で、あなたを叱り飛ばしちゃったのよ。』

伸之の手が止まった。
「ああ、やっぱり母さんだぁ…母さん…ごめんよ。俺、どうしても母さんが欲しかったんだ。どうしても…」
さめざめと泣き出すと、伸之は、そのままギュっと母を抱きしめた。
『本当はね、私、嬉しかったのよ、お前の告白に、母さんは、思わずお父さんとの出会いを思い出しちゃったしね・・
もう忘れたはずの女を思い出したわ。』
母の笑顔は、実にたおやかであった。
伸之の心が、すっーと軽くなるような心地良さを感じた。
あの時言えなかった謝りの言葉が、今やっと言える。

「母さん、ずっとずっと好きだった…ホントだよ。僕の目は小さい頃から、ずーっと母さんしか追わなかったんだよ。
母さんは僕の自慢、僕の憧れだった・・・このままずっと、僕の腕の中に閉じ込めたいぐらいに・・
どこにも行かないで欲しかった。嗚呼・・嬉しい・・今、僕は嬉しいんだ。もうどこへも行かないで…母さん。」
伸之は母を一層強く抱きしめた。
『あのまま死ななければ、私はお前を受け入れていたかも知れないと思うとね、残念でならないわ。
あなたがあの時、直ぐにでも病院に運んで行ってくれていたら、助かったかもしれなかったのに…』

影を帯びた頬に涙が伝った…
伸之も、ただ泣くだけだった…


『泣かないで伸之、母さん怒ってないわよ…運命だったと諦めているから…。
ただ、和実の事が不憫で仕方ないのよ…私の心残りはそれなの。
分かるでしょ?貴方が彼女にした事を考えると…ね?』
母は物静かに伸之に問うた。
伸之は、それまでうなだれていた頭を、すっと上げて意を決した眼を母に向けた。
「もう、和実には触れないよ…俺が悪かったんだから。ちゃんと説得するよ。
本当だよ。だから、母さん、このまま僕の傍から離れないで、お願いだよ。」
泣きながら伸之は懇願した。

『うふふ…分かったわ。私もあなたの気持ちが分かって今、とても嬉しいのよ。
それに、もう私…どこにも行く所が無くって、ココしか帰る所がないの。
これからは、ずっとあなたの傍にいるわ。』
母の告白に、伸之の表情に赤みが増した。

「ほ、ホント?ホントだね?うわぁ…ウソみたいだ。幽霊でもイイや、母さん帰って来たんだよね。
ハハハ・・ほんと最高だぁ…」

『私も正直になるわ…ねえ伸之?私の事好き?ねえ答えて?』
生前決して見せた事の無いほどの何かにすがる様な表情が凄く欲情的だった。
「も、もちろんだよ、愛してるよ母さん…俺は一生愛しているよ。もう一時も離れやしないよ。」
伸之の声が震えていた…まさに感無量の感があった。
はかなげな色彩の水晶玉に伸之の顔が写った…母の顔が伸之の眼の前に近づいてきた。
直ぐに伸之の唇に、綿菓子を食べた時と同様の柔らかさと甘さを覚えた。
伸之は母の舌を一心不乱に貪った。
「ああ・・母さん愛してるよ…」
伸之の興奮も最高潮に近づきつつあった。

母はふと、その甘美な遊びを停めた。
『あなたを味わいたいわ…ねえ、いいでしょ?』
こんな積極的な母は初めてだった。
母は、右手で伸之のペニスを扱き始めた。
伸之は、すっかり母に身を委ねていた…・大きな乳房を伸之の顔に当てて吸わせた。
伸之は、口を大きく開けて、ほお張った。
『うふふふ…甘えん坊ねぇ…そんなに吸っちゃ嫌よ、もう痛いわ。』
「母さんの手、気持ちイイよ…ああ、もっと扱いて。」
伸之は、すっかり甘え口調になっていた。

『固いわ・・固くなっていくわ…ああ、おっきくなったわねぇ…』
母の感嘆が、ことさら伸之の力を増幅させた。
『今度は母さんを気持ち良くさせて…』
母は、股間を伸之の顔に持っていって、静かに腰を下ろした。
密林に覆われた伸之は、舌を駆使して開拓していった。
「良い匂いだぁ・・母さんのオマンコ美味しいよぉ・・」
「そんな、はしたない言葉使っちゃダメヨ、ああ、でも気持ちイイ、上手いわぁ…」
母は腰をくねらせ、快感に酔いしれたようだった。

「ああ、母さん、もう俺ガマンできない、母さんをちょうだい、ねえ、ちょうだい…」
更なる快感を欲しがる伸之は、母に懇願した。

『お母さんが欲しいの?ねぇ、入れたいのね?』
淫靡な視線を伸之に投げかけ、彼女は花びらを指で押し広げた。
顔の上での痴態に、もう待ったなしの状態になった。
伸之は必死に右手で自らを扱き上げていた。
「うん・・もう入れたい…ぶち込みたいんだ…ああ早く…来て。」

『もうがっつかないで、ね?心配しないで、私はもうどこへも行かないから…もう離れないわ…』
母の腰が、ゆっくりと伸之を呑み込んで行った。
「ああ…締まる…気持ちイイ・・イイよ母さん。」
伸之の興奮は高まる一方だった。
『ふふふ…可愛いわ伸之。イイわよ…もう離れないわよ…』

そう言った瞬間、再び母の顔が鬼の顔に変わった。
たおやかな表情も一瞬にして険しく、眼は大きく吊上がり憎悪の炎で、真っ赤に充血していた。
口は耳まで裂けて、ドロドロと血をにじませていた。

『バカかお前は…私が死んだって事をもう忘れたのか?お前が死んだ私の身体を弄んだものだから、私はこの世に未練が
残ってしまったんだぁ…分かるかぁ?・・死んでもなお、どこへも行けない辛さが分かるかぁ?
天国はもちろん地獄へすら行けないのだ・・一人ぼっちで彷徨う寂しさが、お前に分かるかぁ?何も無い空虚な世界に、
ただ一人だけいる怖さが、分かるかぁ?それなのにお前は和実と抱き合ってやがる、なぜ、それを指咥えて見ていなくっ
ちゃならないんだ?…もうお互いのぬくもりすら感じられなくなった一人ぼっちの冷たい世界に、どうして私が閉じ込めら
れなくてはいけないんだ?もういやだぁ…だからお前も道連れにしてやるわ…二人なら淋しくないからなぁ…ふはははあ。』

裂けた口元から血の沫を飛ばしながら、妖しく笑った。
再び、恐怖が伸之を襲った。
「うわぁああああ…」
伸之は、鬼から離れようとしたが、ペニスを呑込まれたものだから、身動きすらできなかった。
鬼は伸之の喉を締め上げにかかった。

白く細い指が、伸之の首に食込んでいった。
甘美な誘惑は、地獄への誘いへと変わってしまった。
絶望は、再生への渇望を促がした…伸之はまさにその正念場に立たされたのだ。
「ああ、俺は嫌だぁ…死にたくない。もう母さんは死んだんだぁ…か、和実もうお前しかいない、
俺を、俺を助けてくれぇ…」
伸之は鬼の腕を掴み、食い込んだ指を離しにかかった。

『ムダだ、私はお前を連れて行くぞぉ…ふはははあ…』
物凄い力が、更に伸之の首に加えられた。

「くっそう…死にたくない、死にたくない…俺はいやだぁ。」
生への執着心が、信じられない程の力を伸之に与えた。
首に食い込んだ指を、まるで引き千切ったかのように引き離してしまった。
そして、そのまま体勢を上下ひっくり返しての攻防が始まった。
伸之の拳が、雨あられのように鬼の顔に降りかかった。
「この野郎、この野郎…ええい、くっそう…」
闇雲に殴りつけた後、とうとう鬼の首を締め上げていった。

『くううぅんん…く、苦しい…た、助けてくれぇ・・』
鬼が堪らず、音を上げた。
伸之の眼は赤く充血していた…凝視した視線には、もう迷いは無かった。
『あああん…た、助けてぇ・・苦しいよ伸之、て、手を離してぇ・・ねえ』
鬼は再び母親の顔に変わった。
「もう、騙されるもんか、母さんは死んだんだ。母さんは天国に行ったんだ。お前は鬼なんだ、母さんの魂は、
そこにはもう無いんだ。」
食い込む指に力がさらに増した。
『く、苦しい…ねえ、私よ、お願いだから、手を離して…もう堪忍して。』
美しい顔が苦悶で歪んだ。
「もう騙されねぇぞ、早く俺の前から失せろ!・・・失せるんだぁ!!」
そして最後の一撃を加えた。

『うぎゃぁあああああ…』
伸之が恋焦がれた、愁いのある美しい母の顔が醜く歪み、憎悪に塗れた表情には漆黒の闇が広がった。
伸之の目の前から鬼は忽然と消え失せたのだった。


伸之は、肩で息をしていた…精も根も果てた。
「か、和実、和実?…どこにいるんだ?もう終わったよ…出ておいで。」
静まり返った部屋の中を見渡した。
「ごめんな、もうお前だけだ。本当に本当だよ…もう、お前は母さんの代わりじゃないんだ。な?今こそ気付いたんだ。
これからは、ずっと俺の傍を離れないでくれよ。な?かずみぃ・・・どこにいるんだよ・・俺を一人にしないでくれぇ・・」

ふらつく伸之のうつろな眼が、部屋の周りを旋回していた。
しかし、その視線のどこにも和実はいなかった。


ただ、ベットの下から一本の腕が、力無く飛び出ていた。
指は何かを掴んでいたかのように折れ曲がっていて動いてはいなかった。
              
                                  (完)
                             

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小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。