小説(転載) 綾香とぼく 1/10
官能小説
10章に分けなくてもよい分量だが原文のままとする。
第1章 桜の天使
綾香と出会ったのは桜が舞うある暖かい春の日のことだった。何気なく大きな公
園に散歩に出かけたとき、桜の中でまるで天使のように戯れる彼女を見つけた。彼
女は他にふたりの友達の娘と遊んでいた。ぼくは少し離れたベンチに座り、彼女を
ぼんやり眺めていた。かわいい。彼女と友達になりたい。そんな気持ちでいっぱい
になった。
声を掛けてみたくなった。どうやって声を掛けよう、なんて言えばいいんだろう。
頭の中で空想の問答がぐるぐるとめぐる。
少女達が桜の木の枝を引っ張って遊びだした。
これだ。
ぼくは意を決して立ち上がると、ゆっくりと少女達に近づいて行った。
緊張で心臓を吐き出しそうになりながらも、思いきって話しかける。
「桜の木の枝をひっぱっちゃだめだよ。」
少女達は驚いたように顔を見合わせ、そして笑った。こそこそと内緒話をする。
ぼくは自分が何かまずいことでも言ったのかと不安になった。だが、彼女達はぼ
くの言ったことを気にする様子もなく、再び桜の木の枝を引っ張って遊びだした。
「危ないよ。」
桜の木の近くのベンチに座ったぼくは、もう一度声を掛けてみた。今度はとくに驚
く様子もなかったが、何のリアクションもなかった。
(まずったか……。)
不安が広がる。あきらめて、いづらくなったその場を立とうかと考えた。すると、
少女達が笑いながら桜の木の枝についた雨の水滴をぼくにかけてきた。
どうやら友好の表現のようだ。
「うわっ!やめろよ。」
「きゃははははは!」
少女達が黄色い声で笑う。彼女達はぼくの座っているベンチから桜の木の枝を引っ
張ったり、ぼくの前で桜の花を広い集めたりして遊んでいた。
ぼくは緊張していた。自分の幼い少女へ対する特別な感情の存在を知って以来、
少女と接する初めての機会だからだ。言葉につまった。ただぼくは黙って、横に座
っているしかできなかった。
ふと、ひとりの少女が時間を聞いてきた。
ぼくが「5時前だよ。」と答えると、少女達は「もう帰らなきゃ。」と言って、
さっさと帰っていってしまった。
ぼくはその場に取り残されて唖然とした。こどもというのはこんなもんなんだろう。
感情の切り替えが早い。そのテンポにぼくはついて行けないでいた。
でも、ひとときでも少女と一緒に過ごせたことに、ぼくは喜びをかみしめていた。
第1章 桜の天使
綾香と出会ったのは桜が舞うある暖かい春の日のことだった。何気なく大きな公
園に散歩に出かけたとき、桜の中でまるで天使のように戯れる彼女を見つけた。彼
女は他にふたりの友達の娘と遊んでいた。ぼくは少し離れたベンチに座り、彼女を
ぼんやり眺めていた。かわいい。彼女と友達になりたい。そんな気持ちでいっぱい
になった。
声を掛けてみたくなった。どうやって声を掛けよう、なんて言えばいいんだろう。
頭の中で空想の問答がぐるぐるとめぐる。
少女達が桜の木の枝を引っ張って遊びだした。
これだ。
ぼくは意を決して立ち上がると、ゆっくりと少女達に近づいて行った。
緊張で心臓を吐き出しそうになりながらも、思いきって話しかける。
「桜の木の枝をひっぱっちゃだめだよ。」
少女達は驚いたように顔を見合わせ、そして笑った。こそこそと内緒話をする。
ぼくは自分が何かまずいことでも言ったのかと不安になった。だが、彼女達はぼ
くの言ったことを気にする様子もなく、再び桜の木の枝を引っ張って遊びだした。
「危ないよ。」
桜の木の近くのベンチに座ったぼくは、もう一度声を掛けてみた。今度はとくに驚
く様子もなかったが、何のリアクションもなかった。
(まずったか……。)
不安が広がる。あきらめて、いづらくなったその場を立とうかと考えた。すると、
少女達が笑いながら桜の木の枝についた雨の水滴をぼくにかけてきた。
どうやら友好の表現のようだ。
「うわっ!やめろよ。」
「きゃははははは!」
少女達が黄色い声で笑う。彼女達はぼくの座っているベンチから桜の木の枝を引っ
張ったり、ぼくの前で桜の花を広い集めたりして遊んでいた。
ぼくは緊張していた。自分の幼い少女へ対する特別な感情の存在を知って以来、
少女と接する初めての機会だからだ。言葉につまった。ただぼくは黙って、横に座
っているしかできなかった。
ふと、ひとりの少女が時間を聞いてきた。
ぼくが「5時前だよ。」と答えると、少女達は「もう帰らなきゃ。」と言って、
さっさと帰っていってしまった。
ぼくはその場に取り残されて唖然とした。こどもというのはこんなもんなんだろう。
感情の切り替えが早い。そのテンポにぼくはついて行けないでいた。
でも、ひとときでも少女と一緒に過ごせたことに、ぼくは喜びをかみしめていた。
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