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小説(転載) 綾香とぼく 2/10

官能小説
08 /23 2015
第2章 ベンチで

 昨日の少女達にまた会えるかもしれないという淡い期待を抱いて、今日もその公
園に行った。昨日となんら変わらない風景の中、ぼくは彼女達の温もりを求めて歩
き回った。桜の木のところに行ってみた。彼女達はいない。さあっと、公園の中を
風が吹き抜けた。桜の花が舞い上がる。
(やはり、そううまくいくものでもないか……。)
 ぼくは落胆した。公園の少し高くなったところに、景色がよく見えるベンチがあ
る。ぼくはあの娘達のことをあきらめて、そこに向かってとぼとぼと歩きだした。
ベンチに向かう階段をゆっくりと上がっていったときのことだった。
「あっ。」
 少女のかわいい声が聞こえた。ぼくは耳を疑った。声の聞こえた方を振り向くと、
植え込みの向こう側に昨日の少女がいた。間違いない、彼女だ。彼女と会えた嬉し
さと同時に、自分のことを覚えていてくれたことにも喜びを感じた。
「昨日の子だね。」
 あまりにも急な出来事だったので、ぼくはまともな言葉が出ないでいた。当たり
前のことを言っている自分になにか腹が立った。
「……ねぇ。一緒にジュース飲む?」
ない勇気を振り絞って言った。
「どうして?」
彼女があどけない表情を浮かべて聞き返した。
「いや、ひとりで飲むより、みんなで飲んだ方が楽しいかなって思って。」
「うーん。」
彼女が考え込む。
「ちょっと待ってね、春菜ちゃんに聞いてくる。」
彼女は少し向こうへ走って行った。「春菜」とは友達のことだろう。しばらくする
と彼女が友達を連れて帰ってきた。
「いいよ。いこっ!」
彼女はにこにこした表情で言った。

 公園の中にある自動販売機へ向かってぼくたちは歩きだした。少し離れて、後ろ
から少女ふたりがついてくる。夢のような状況だった。まさか、こんなにうまくい
くとは思ってもみなかった。
 後ろでこそこそと少女達が話していた。ときどきくすくすと笑い声も聞こえる。
何を話しているのだろう。たぶん、ぼくのことについてだ。彼女達はぼくをどう思
っているだろう。変な人だと思っているのだろうか、優しいおにいちゃんだろうか。
時折聞こえる笑い声が、ぼくを馬鹿にしているものではないかと不安にさせた。
 自動販売機につく。
「ふたりで一本にしてね。」
「はーい。」
ふたりが声を合わせて言った。
ぼくがお金をいれる。彼女達はサイダーにし、ぼくは暖かいミルクティーを買った。
「ありがとう。」
ふたりはちゃんとお礼を言った。
3人で座れる場所を探した。手ごろなベンチがあったのでみんなで座る。
ぷしゅ!
ふたりが缶を開けてジュースを飲みだした。
「ねぇ、名前はなんていうの?」
「えーっと、斉藤綾香です。」
はじめに植え込みでぼくに気がついた女の子が言った。
「上島春菜です。」
もうひとりの活発そうな子が言った。ふたりは学校の自己紹介のような口調で名前
を教えてくれた。
「あ、ぼくは立花 光といいます。」
「うふふ。」
ふたりは楽しそうにジュースを交代しながら飲んでいた。
「いくつ?」
「8才だよ。小学校3年生。おにいさんは?」
「19才。」
「ふーん。大きいんだね。」
そんなたあいのないことを話しながら過ごした。このとき飲んだミルクティーが今
まで飲んだ中で一番おいしく感じた。

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eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。