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小説(転載) 綾香とぼく 9/10

官能小説
08 /23 2015
第9章 キャッチボール


 緑山公園で待っていると綾香が友達と一緒に帰ってきた。ぼくは彼女に声を掛け
た。
「あ、立花さんだ。」
いつもと変わらない表情でぼくを迎えてくれる綾香。
「綾香ちゃん、この人だあれ?」
友達の女の子が聞く。
「立花さんっていうの。」
「ふーん。お兄さんいくつ?」
「え、はたちだけど。」
「ねぇ、綾香ちゃん、今度一緒に遊ばない?」
ぼくが綾香を誘った。
「えー、20才が8才と遊ぶのぉ。へんなの。」
友達の娘が言った。確かに変である。だが、ぼくは本気だった。
「じゃあ、これからあそぼっか?」
綾香が提案した。ぼくはいつでも構わない。
「うん、そうしよう。」

綾香がいったん家に帰ってカバンを置くと、住宅街のちょっと広くなった道路の方
に行った。先ほどの娘は帰っていった。彼女とふたりきりになれた。ぼくはどきど
きしていた。
「立花さんお待たせ。」
小学校で使うドッジボールのような赤いボールだった。
「キャッチボールしよっ。」
「ようし。」
彼女が振りかぶって、ボールを投げる。ぼくがぽんと受け取る。ぼくは体を動かす
のは得意ではなかったが、相手はこども、丁度よいレベルだった。ぼくがボールを
山なりにゆっくり投げて返す。ふたりの間を赤いボールがぽんぽんと行き来した。
「もうちょっと強くしてもいいよ。」
「じゃあ、いくよ。」
ぼくは少し手に力をいれて投げた。
「きゃっ!」
ボールが彼女の手に当たって、宙に飛んだ。
「やっぱりもちょっと力抜いて。」
そんなことを言いながら彼女とキャッチボールをした。ぼくは彼女と一緒に時間を
過ごせるだけでも幸せを感じていた。

「お菓子食べよっか。」
ぼくが彼女に言った。
「うん食べる食べる。」
彼女がボールをわきに抱えて、近寄ってきた。ぼくはカバンからチョコレートのス
ナック菓子を取り出して、ふたを開けた。彼女が2、3個お菓子を手にとり口にほ
おばった。ぼくをちらっと見る。そのしぐさがとてもかわいかった。
「あ、これちょうだい。」
彼女がお菓子のおまけのシールをほしがっている。
「いいよ。」
「やった。」
彼女はにっこりと笑うと、シールを受け取った。

「綾香ちゃん、クラスに好きな男の子いる?」
ぼくは話題を変えた。
「いないよ。」
その「いないよ」は本当はいるのに照れていないと言っているのか、本当にいない
のか、ぼくには分からなかった。
「でもね、綾香、男の子に好きって言われたことあるよ。」
「へぇ、すごいね。」
彼女はクラスの男子にも人気があるようでうれしかった。
本当はここで「ぼくは綾香ちゃんのことが好きだ」と伝えたかったが、どうしても
言い出せなかった。

「ねぇ、これからどうしよっか。誰か呼んでくる?」
ぼくはふたりきりで話がしたかったが、彼女がそうしたいのならばそれも悪い気は
しなかった。
「ちょっとまっててね。」
彼女は駆け出し、曲がり角を曲がると姿が見えなくなった。
しばらく待っていると、春菜を連れて綾香は戻ってきた。
3人でボール遊びをして楽しんだ。

あっという間に日が暮れ、あたりが薄暗くなってきた。
そろそろ春菜が帰ると言い出したので、解散することになった。
「またあしたも公園にきてね。じゃあね、ばいばーい。」
綾香はいつものように、笑顔で手を振ってくれた。

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eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。