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小説(転載) 「娘の看護」

近親相姦小説
07 /08 2018
掲載サイトは消滅。
題名   「娘の看護」

3日前に吹き荒れた雨と風は、それまで覆っていた冬の雲を一気に東の空
へと追い出すと、西の方から清々しい太陽と暖かい空気とを迎い入れてく
れて、さっさと早足で東の空へと去っていったのだった。

それまで肌寒い日々が続いていたのがウソのような、暖かい陽気が降り注
ぐ日々がそれから始まった。

街を行く人々も、次第に重々しかった衣を1枚2枚と脱ぎ捨てて、俯き加
減だった背筋も、しゃんと伸ばして歩くようになっていた。
長いこと待ち望んでいた暖かい春が、今やっと到来したのだと実感したの
だった。

しかしながら、やっと暖かくなったとはいえ、ほんの数日前までは、手足など
がガチガチ冷える程の寒さだったことから、この急激な温度変化がことさら
人間の体調などに影響を与えるのは当然だった。

弘平もその1人で、昨日の夜から酷く汗をかいてうなされていた。
横で寝ていた妻も、驚いて飛び起きると、心配そうに弘平の汗ばんだ額を
拭きながら、氷嚢を用意したり、汗で汚れた下着の取替えをしたりと、甲
斐甲斐しく看護をした。

そして次の朝、容態は、ようやく落ち着きを取り戻した。
呼吸も平静な状態に戻っていた。そして滝のように噴出していた汗も、す
っかりと引いていて、青白かった頬も、ほんのり赤みを取り戻していた。

妻は夫の口に突っ込んでいた体温計を引き抜くと、じっと目盛を見ていた
が、すぐに安堵の表情を浮かべて体温計を持っていた手を2度3度大きく
振った。

「どうやら熱も下がったようね」
「ああ、やっと薬が効いたようだな。大分気持ちが楽になったよ」
「真夜中にいきなりうなされるんだもん、びっくりしたわ」
「最近少し仕事が忙しかったからなあ・・」
「仕事だけかしら・・・ねえ?」
「な、なんだよう、その疑いに溢れた目は・・」

弘平は、呆れた表情の妻の視線が、ネチネチと身体にまとわりつくのを感
じた。その理由は自分でも分かっていた。

「大体飲み過ぎなのよ。いつも仕事と称しては毎晩毎晩遅くまで、飲み歩
いてばかりいるから身体を壊すのよ」
「実際仕事なんだからしょうがないだろ」
「フン、ホントかしらね・・お酒のせいで弱った身体だから、この季節の
変わり目ですぐに体調崩しちゃうのよ」

それから妻の叱り付ける口調が何分か続いた。
いい加減うんざりな弘平は、掛け布団を頭の上に覆ってしまった。
一も二にもキリキリと耳の中が痛くなる甲高い声から逃げたかったのだ。

「またそうやって逃げる・・もうやんなっちゃうわ」

妻は心配してくれているからこそ、ああいう物言いをするという事を弘平
は十分に理解はしていたが、昨日から続いていた発熱と嘔吐などで精神的
にかなり参っていたので辛いのも無理なかった。

勿論、妻の方も旦那が、かなり辛い精神状態である事は重々承知していた。
それでも彼女が必要以上に責め立てているのは、いつも言う事を聞かない
弘平にお灸を据えたいという思いからだった。

結婚して15年、商社に勤める弘平との生活は、すれ違いと我慢の連続だ
った。朝早く出て夜遅く帰る日々、たまの休みは接待ゴルフ漬けとくれば、
大概の奥さんなら、とっくの昔に離婚だ。

だが彼女はそうはしなかった。
勿論、愛情は当然あっただろうし、一流商社でエリート出世コースを歩む
彼のお陰で、あくせく共働きをしなくてもいい身分なのも魅力としてあった。
それにもう1つ、子供の存在があった。

彼ら夫婦の間に、今年11才になる1人娘の美亜がいた。
有名私立付属小学校に通う今年最上級生になるお嬢様だった。

そして来年は付属中学校に上がる。ここは何よりも家庭環境が重要なのだ。
今まで以上に安寧な生活が求められるようになってくる。家庭不和に離婚
などは以ての外だったのだ。

弘平から見た妻は、それでも申し分の無い女性だった。
夜遅い帰宅の時でも、寝ずに待っていてくれるし、たまに部下を引き連れて
一緒に自宅に帰って来ても、彼に恥をかかす行動や言動などは一切無かった。
いつも笑顔でお出迎え、気配り上手の料理上手。誰もが羨ましがる賢妻だった。

弘平の妻が評判の美人妻という話は、社内ではつとに有名だった。
弘平が引き連れてくる部下たちなどは、彼女の顔を見たいが為に喜んでやって
くるといっても過言ではなかった。
お互いにとって良い関係が続く生活だった。

だが、今日の朝だけはそうとは云えなかった。
けだるさが残る中、気分は最悪。綺麗な妻の顔も、今日だけは憎々しく見えた。

「会社には私が連絡しておくわ。だからあなたは今日1日ゆっくり休んでいて
くださいよ」
「ああ・・済まないがお願いするよ。明日には治ると思うから、今日は1日中
大人しくして寝ることにするよ」

妻は布団を2度3度、ポンポンと軽く手で叩くと、優しい微笑を浮かべて部屋
を出て行った。
そこでやっと弘平も落ち着いて一息ついたのだった。



それからしばらくして、彼女は飲物が入ったコップをお盆に載せて戻って来た。

「さあ、あなたが大好きなトマトジューズを持ってきたわ。これを朝食代わり
に飲んでくださいね。それとはい、お薬。これもちゃんと飲んでくださいよ」

面倒臭さそうに、身体を布団から起こす弘平。
だが、熱の後遺症か、少しばかりめまいを覚えた弘平は、思わず前につんのめ
ってしまった。

「本当に大丈夫?私が飲ませてあげようっか?」
「いいよ、もう。自分で飲むからさ。それよりも美亜の方はいいのか?」
「そっちは大丈夫。もう起きて今ちゃんと食事しているわ」

部屋の時計に目をやると、デジタル表示が7時30分を示しているのが見えた。
いつもならとっくに家を出ている時刻だ。
その時弘平は、最近娘と一緒に食事をした記憶がまったくない事に気付いたの
だった。

あれはいつだったか?
だがいくら思い出そうとしても、全然分からなかった。
今さながらに愕然とする弘平。

「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらって、あちらに行かせて頂くわ」

妻は、呆然とした弘平の顔を見て、少しばかりの笑みを浮かべながら立ち上が
って部屋を出て行った。


妻が台所に戻った時、隣の部屋にある食卓では、娘の美亜が1人で、ご飯を食べ
ていた。彼女は大人しく背筋を伸ばして、ゆっくりと箸を口元に運んでいた。

「お父さんはどうだった?お母さん」
「ああ、あなたが心配する事は何も無いわよ。お父さんは単なる風邪だから・・」
「そうなんだ、ああよかったあ・・・うふふ」
「後で、顔を見せに行ってあげなさい。お父さん喜ぶと思うから」
「うん、そうする。最近あんまり話したこと無かったから、ちょっと緊張しちゃう
けど・・ね」
「そうだからといって、あんまり長話しちゃだめよ。お父さん病気で今大変なんだ
からね。分かった?」
「はああい」

クリクリとした大きな瞳が、差し込んでくる陽光の中で可愛く輝いた。
長い黒髪に、幅広カチューシャタイプの白のヘアバンドが頭頂部にくるりと巻かれた
姿と白を基調としたセーラ服と胸元に巻かれた赤いリボンを身に纏った格好は、どこ
から見ても、清楚なお嬢様という印象を受けた。

そして食事を終えると丁寧に箸を置いて席を立った時、更に印象深いものが目に映っ
た。それはすらりとしたプロポーションだった。
かなり長いスカートに覆われていたが、腰から下が異常に長いのが目で分かるぐらい
の長さだった。
女の子なら誰もが憧れる脚の長さとスタイルの良さを、美亜はすでに持ち合せていた。


美亜は、逸る気持ちを抑え切れないのか、足早に父が寝ている部屋へと向かった。
次第に紅潮する頬に嬉しそうな表情。まるで待ち焦がれた恋人に久しぶりに逢える
かのような喜びに満ちた笑顔を浮かべていた。

そして・・目の前に父親が寝ている部屋に近づくと、そこで足の運びをゆっくりと
スローダウンさせて静かにドアの前に立った。
美亜は胸に手を当てて一度深呼吸をして緊張した面持ちで、ドアを軽くノックをした。

「ああ、起きているから入っておいで」

中から父親の声が聞こえると、美亜は勢いよくドアを開けた。
さっきまでの緊張した表情とは一転して明るくにこやかな笑顔を浮かべながら
部屋に入っていった。

「な、なんだあ・・結構顔色いいじゃない。よかったあ」
「美亜には心配させてしまったなあ・・・ゴメンな」
「いいよ、そんなこと。美亜はお父さんが元気になってくれたのが嬉しいの。
それにね美亜、お父さんの風邪ちょっとは感謝しているのよね・・・えへへ」

美亜は少しはにかんだ笑みを見せながら、弘平の枕元に寄って来た。

「そっかあ・・ここ最近あまり話したこと無かったからなあ」
「お父さん、ずうっと忙しいもんね、しょうがないよ」
「それでオレの体調不良に感謝なんて皮肉だな。ははは」

2人は顔を見合わせながら笑った。
だが弘平は下から見上げながら見る美亜の姿に、内心少しばかり驚いていた。
いつも、どんなに遅く帰ってきても寝顔だけは見るようにしていたのだが、
まだまだ幼さが残る表情なのだが、時折見せる横顔には、そこはかなげに色気が
見え隠れするのを見逃さなかった。

いつの間に・・
弘平は、今更ながら時の流れの速さを思い知った。

「なあ美亜、ちょっと立ってごらん」
「うん」

云われた通りに立ち上がった美亜。
すらりとした立ち姿。11才にしてはかなりの身長だ。
見た目だけなら高校生と云っても信用してもらえるだろう。

「随分と大きくなったなあ・・」
「学校朝礼の時は、一番後ろなんだよ。直ぐに校長先生と目が合っちゃうし・・
美亜目立つの凄く苦手だから、困っちゃうの」
「あはは・・・まあ、身を小さくしてろと言っても、それじゃあ出来ないしな」
「な、何も笑うことないじゃん」
「いやあ、ゴメン、ゴメン。笑うつもりじゃあなかったんだけど、つい・・な」
「つい・・何よ?」
「つい、可愛かったからさ・・あはは。美亜の恥ずかしそうにしている顔がね」
「え?私が可愛いって?」
「ああ、そうだよ。美亜は可愛い。お父さんウソ言わない・・本当だよ」

弘平の言葉に美亜は、頬を赤らめ、甘い甘い笑顔を見せた。
久しぶりの父娘の会話。ぎこちなさは既に無く、楽しげに話す美亜。
そしてはしゃぎながら、ふざけながらくるくると身体を回した。
回る度にスカートがふわりと浮き上がる姿を、弘平は眩しそうに見ていた。

「ちょっとー!美亜ちゃん、何してるの?もう学校に行く時間でしょー!」

その楽しいひと時を終わらす妻の大きな声が聞こえた。
残念そうな表情を浮かべる美亜。

「はああい。すぐに行きまーす!」

美亜は大きな声で返事をした後、振り返って弘平の顔を見た。
もう少しだけでも話をしたい・・そんな表情が彼女の顔に出ていた。

「お父さん、今日1日はここで寝ているから、美亜が学校から帰ってきたら
またお話をしよう。まだまだいっぱい話したい事あるからさ」
「うん。美亜もいっぱい話したい事あるの。今日は寄り道しないで帰るからね」
「おいおい、それじゃあ美亜はいつもどこか寄り道しているのかい?」
「え?あっ、ええっと・・・じ、じゃあ行ってきまーす」

しまった、とばかりに、美亜は顔を逸らしながら慌てて部屋を出て行った。
その姿に堪え切れずに吹き出す弘平。
久しぶりに聞いた娘の声が、疲れ切った身体を優しく癒してくれたことを実感
していた。

妻のくれた薬は、事のほか良く効いてくれたようだ。
少しウトウトしたかなと思ったら、いつの間にか部屋の辺り一面に夕日が差し
込んでいた。

その時、かなり喉の乾きを覚えた弘平。
彼は妻の名前を呼んだ。
だが返事は返ってこなかった。

少し間を置いて、もう一度声を出した。
だがやっぱり返事は無い。

仕方ないとばかりに弘平は身体を起こした。
薬が効いていたとはいえ、かなり大きなめまいが頭の中を巡った。
やはりまだまだ無理は出来なかった。

足腰に力を入れて立ったが、足がふらついて仕方がなかった。
心許ない身体を引きずりながらも、やっとの思いで台所にたどり着いた。

蛇口を大きく捻ると、あっという間に大量の水道水がコップから溢れ出た。
我慢しきれずに口元を寄せると、音を立てながら一気に飲み干した。

はああ~!

もやもやした喉奥に滑らかさが戻った。
爽快とは云えないまでも、些か重苦しかった胸のつかえが下りた。
その時、玄関先からドアが開く音がした。
妻が帰ってきたと思った弘平は、”おかえり”と声を掛けた。

するとその玄関先の気配が、急に慌しい空気に変わった。
パタパタと忙しく急いでこっちに向かってくる足音がした。

目の前に現れたのは娘の驚いた顔だった。

「お、お父さん?起きてても大丈夫なの?」
「あ、ああ、何とかな・・・約束通り、寄り道しなかったんだ」
「当たり前じゃない。でもお父さん、凄く顔色が悪いわよ。まだ無理しちゃ
だめなんだってばあ・・」
「で、でもお父さん喉渇いちゃってさあ、でも誰もいなかったから仕方なく」
「ああ、もう~!無茶しちゃだめだよう」

美亜はカンカンに怒りながら父親に肩を貸しながら一緒に部屋へと連れ帰った。
まだめまいが残る中、弘平は美亜の肩に身体を寄せながら歩いているのに驚き
と嬉しさが入り混じった感慨でいた。

小さい頃に抱いた時、彼女はミルクの匂いでいっぱいだった。
だが今横にいる娘からは、何かしら甘酸っぱい匂いがしていたのだった。
おしゃれで何かの香水をつけたのかもしれないと弘平は思った。

不思議な思いが交錯した。
まだまだ子供と思っていたのに・・・オレの体重をしっかり支えるまで大きく
なったなんて・・・それでこの香水・・もう大人の手前に来ているのか。
何故か寂しい気持ちがした。
こんな成長の速い娘を持った男親は気が気でないのは当然であろう。


部屋に戻って布団に寝かされた弘平は、それからしばらく美亜の看護を受けた。
美亜は甲斐甲斐しく弘平の世話をした。汗拭き、氷嚢の取替、食事、等々・・
だがさすがにトイレだけは何とか自力で行った。

弘平は美亜に妻の日常のことを聞いた。
昼間彼女がいなかったのを不思議に思ったからだった。

「お母さんね、最近お祖母ちゃん家によく行ってるの」

意外な返答に弘平は面食らった。
更に聞けば、妻の姉婿が弘平と同じく体調を崩してしまったらしく、家の中
の用事一切が出来なくなったということで、急遽妻が代わりに手伝いに行っ
てるとのことだった。

弘平にはその話の全てが初耳だった。妻からは何も相談がなかったからだ。
まあ自分が仕事で疲れているから余計な事を耳に入れないでおこうという配慮
だったに違いないと、直ぐに理解したのだが・・・

その時、弘平は、ほんの少しだが胸の中に出来た小さな染みが、次第にじわじ
わと広がっていくのを感じていた。

どうして夫である自分より実家を優先したのだろう?
そして何も言ってくれないのはナゼだ?

だが疲れて弱りはてた肉体が、それ以上考えるのを拒否してしまった。
そして再び熱が高くなった。だが幸いにも美亜が良く看てくれたお陰で大事に
は至らなかった。

妻が帰宅したのは、日が沈んで大分経ってからだった。
そして彼女は帰ってくると直ぐに夕食の準備に取り掛かったのであった。

「あなた、今日はおかゆで済ましてくださいね」

普段と同じように抑揚が無い妻の口調を聞くと、再び熱が上がっててきた弘平。
声を出すのもおっくうだったが、美亜がそれらを運んでくれたとなると話は別
だった。

「はい、お父さん、あ~んして」

言われる通りに口を開ける弘平。まんざらでもない表情で時折笑顔も見えた。
美亜も、口にスプーンを運ぶ際には、恥らう様な笑みを浮かべていた。

「あまり話せなかったなあ・・・ごめんよ美亜」
「いいの、気にしないで。だってお父さん、ずっと苦しそうだったもん。
美亜、かなり心配しちゃった。お話はまた明日でもいいのよ」
「でも・・・明日はさすがに会社に行かないと、かなり拙い事になりそうなんだ」
「ダメよ。ダメ、ダメ、ダメ、ダメだったらダメ!そんな事したら、お父さん
もっと身体を悪くなっちゃう」

美亜は顔色を真っ赤にして詰め寄ると、弘平のパジャマの袖口を摘み、
大きく左右に振りながら猛反対の態度を示した。
子供らしく自分の気持ちに正直に反応する美亜。
真直ぐに自分を見つめる真剣な眼差しに、嬉しさの反面戸惑いを覚える
弘平だった。

「だめですよ、あなた。今無理をして、後でどうにもならないってことに
なったりでもしたら、残された私達2人はどうしたらいいんです?自分の
事以上に私達の事も考えてくださいよ」

その時、突然部屋の外から妻の声が聞こえてきた。
2人が振り返ると、妻が入り口のところで立っていた。
彼女は美亜とは違って、いつもと同じように極めて平然とした表情だった。

「何もそんなに不服そうな顔をしないでよ」
「い、いや、そんなつもりはないけど・・さ」
「だったら、ちゃんと言う事聞いてちょうだい」
「しかし、今休むと、これから先、仕事の面でかなり影響がでそうなんだ」

弘平はいぶかしそうな顔で妻を見ると、頭をポリポリと掻いた。
それを見ていた妻は、更に冷ややかな視線を彼に送った。

「死んだらお終いなのよ。死んでしまったら大好きな仕事も出来なくなるのよ」
「な、何も、死ぬとは限んないだろ。縁起の悪い事を言うんじゃない!」

荒い息遣いの中で、振り絞るように声を出した。
弘平は、イラつく気持ちをどうにも抑えられなかった。
妻の平然とした横顔を見ると、その思いは更に強くなった。

「2人とももうケンカは止めて!お願いだから・・」

とうとう美亜が弘平の怒声に泣き出してしまった。
妻が慌てて美亜を抱きかかえた。

「とにかく2,3日は安静に寝ててちょうだい。あなたにもしもの事が
あったらこの家はお終いなの。美亜の為にもお願い」

キレイな顔した妻の冷たく鋭い視線と”美亜の為”という言葉に、弘平
は、仕方なく自分の言葉を飲み込んでしまったのだっだ。

結局弘平は土日を挟んた都合4日間の休暇を取った。
だけど何もする事が無く、ただただ時間が過ぎていくだけだった。

不調を訴えていたところは、2日程で全部無くなっていた。
今ではめまいもなく家中を自由に歩き回るところまで回復していた。

妻は相変わらず昼になると実家へ足繁く通っていた。
無論説明など無かった。弘平も無理に聞こうとはしなかった。

それでも妻は夕方に帰ってからは、看病はよくしてくれた。
だが互いに意識的に目を合わすことは無かった。

くさくさする気持ちの中、娘・美亜と話す間の時間だけは幾分気持ちが
安らいだ。
学校の話、友達の話、将来の話、、頷いたり驚いたり。
母親との旅行の話、そして家の中での話、落ち込んだり、反省したり。

いかに仕事にかまけて、家庭をおろそかにしていた事を痛感した2日間だった。
特に娘のことなどは何1つ分かっていないのが明白になった。
担任の先生の名前から、娘の好物が何であるか、趣味は何であるかなど、
親なら知っていて当然の事柄ついて何1つ知らなかったのだから・・

「お父さんって、何も知らなかったのね?」
「ごめんごめん。これでは父親失格だな・・あはは」
「なーんか、顔が引きつっちゃってますけど?・・うふふ」
「分かった分かった、今回こんな病気をしたのも何かのお告げなんだと思う
から、罪滅ぼしの意味を込めて、2人への家庭サービスをめいっぱいするよ」

ここ数日の妻の態度を見て、彼女の素っ気無い態度は、やはり自分に責任が
あるからなのだと率直に思ったからだった。
回復と同時に冷静に物事を考えるようになると、それまでふてくされた態度を
とっていた自分がますます情けなく思えるようになっていた。

「お母さんには悪いことしちゃったな」
「そうかなあ?お母さんも分かっていると思うけどね」
「美亜には分かっていたんだ?」
「うん。だからお父さんも、そんなに落ち込まなくてもいいんじゃない?」

”ただいま”

その時、玄関から声が聞こえて来た。
どうやら妻が帰ってきたようだった。

弘平と美亜のお喋りの時間は、そこで終了となった。
弘平はふぅ~っと一息つき、美亜は大きく背伸びをした。
長い時間お喋りを続けた疲れが、その時垣間見えたのだった。

「ねえ、お父さん。お休みもあと1日ね」
「明日もゆっくり寝かしてもらうよ。それでOKだろうな」
「それからね、向こうの家の小父さんも具合が良くなったそうよ。やっぱり
お母さんの看護のお陰かしら・・・お祖母ちゃんも喜んでたって、お母さん
言ってたわ」
「ふぅ~ん、看護ねえ・・こちとらは1人で大変だったのにな」
「もう、怒らない怒らない、お父さんには美亜がいるじゃない」

美亜は可愛らしい笑みを弘平に見せながら、2,3回肩を軽く叩いた。
これには、へそを曲げていた弘平も、ついつい頬が緩んでしまった。
そうなるぐらいに美亜には魅力的な可愛らしさが備わっていた。

「お前に、お母さんと同じ看護が出来るのかい?」
「モチロン!お父さんの看護ぐらい簡単よ。今日だって美亜、お祖母ちゃん
の家でお母さんの看護の仕方を見てきてるもの。うふふ・・」

妻の実家は、そう遠くないところにあった。
昔はいつでも行こうと思えば気軽に行けたのだけど、やはり仕事の都合も
あって、最近あまり足繁く通ったことが無かったのだった。
それがあってか、訪ねるのにもかなり気が引けていたのがあった。

妻のゆっくりとした足音が近づいて来た。
美亜のお喋りは、またまたそこで中断となってしまった。

「ただいま、どう調子は?」
「ああ、熱は何とか治まったようだな。明日と明後日の2日あればもう大丈夫かな」
「そう、それは良かったわ。大事に至らなくて幸いだったわね」

弘平は話の最中に、ふと辺りを見回したが美亜はいつの間にか部屋から出て行
ったのか、そこにはいなかった。

「今日も実家に行ってたのかい?」
「え、ええ、まあ・・あちらも人手が足らなくて困っていたようだから仕方
なく・・・ね。そのせいであなたの看護を疎かにしちゃってごめんなさいね」

しらっとした台詞回しに、どうも親切心が感じられないと弘平は感じた。

「さっき美亜から聞いたんだけど今日は美亜も、向こうの家に行ってたんだってな」
「ええ?あ、ああ、そうなの・・・」
「どうしたんだい?急に驚いちゃってさ」

それまで表情1つ変えなかった妻が、弘平の言葉に大きく動揺したのか眉間に
シワを寄せて、目元がキョロキョロとあちこちに動いて落ち着かなくなっていた。

「美亜は何か言ってた?」
「いや何も・・今あちらの家は大変なんだってな」
「ええ、姉の主人が倒れたから、酒屋の仕事が回んなくなっちゃって」
「だからお前が手伝いに行ってるんだな?」
「まあ、そうよ。姉と母が配達をしている間に、私が店番をしながら看護していたの」
「どうして俺に言ってくれないんだ?」
「無理言わないでよ。あなた、風邪でウンウン唸ってたじゃない。そんな時に言える
訳ないわ」
「そ、そりゃそうだけど・・」

弘平は不満そうな顔をして妻を睨んだ。
その顔を見た妻は少し驚いたようだった。

「ひょっとしてあなた、妬いてるの?」
「ば、ばか、そんなことあるもんか!何言うんだ、絶対違うぞ!」
「ああ、私があっちの看護ばかりをして、あなたをほったらかしにしたから・・」
「も、もういい、もういい、そんな下らん話は聞きたくない」

顔を真っ赤にした弘平は、妻に対してわめき散らすと布団を頭から被ってしまった。
その様子を目の前で見た妻は、目を大きくして驚いていたが、次第に落ち着き
を戻したようで目元に安堵の色が見えた。
そして、少し笑みを浮かべると、弘平が包まった布団を一瞥して静かに部屋を
出て行った。


「お父さん、もう大丈夫そうね」

妻がリビングに戻ると、美亜がソファーで座ってテレビを見ていた。
美亜の問いかけに妻は黙って首を縦に振った。

「ねえ美亜ちゃん、あなた今日お祖母ちゃんの家に来たの?」
「うん。ちょっとヒマだったから・・」

妻はやかんに水を入れると、コンロのスイッチを捻った。
そしてコンロに着いた火を、じっと見ていた。
美亜は相変わらずテレビに顔を向けたままだった。

「お父さんと何話したの?」
「学校の事と友達の話だけよ」
「そう・・でもお父さん、何も知らなかったでしょ?」
「うん、しょうがないけどね・・あはは」

しらっとした空気が漂う中、互いに視線を合わさずに会話を交わした。
美亜は、手元に置いてあったコントローラで、無作為にチャンネルを
回した。そして、詰まらなさそうに唇をへの字に曲げると、スイッチ
を切って、ソファーから身体を起こした。

「ねえ、お母さん・・」
「なあに?すぐに夕食を作るから、少し待ってなさい」
「明日もお祖母ちゃん家に行くの?」
「仕方ないわねえ・・伯父さん、まだ身体が悪いから」

妻は美亜と目を合わさずに、忙しそうに台所で夕食の準備に取り掛か
っていた。

「ふうう~ん。そうなんだ」

美亜は、まじまじと忙しく働く母親の背中を見つめた。

「お父さん、ホント何にも知らないのよね」

美亜は、小さな声で呟くと、その時見ていた背中から目を背けて、父親
が寝ている部屋の方に、その沈みがちな視線を送ったのだった。



翌日は土曜日だったので、美亜は昼過ぎには学校から帰ってくる予定だった。
一方弘平はというと、すでに体調がすこぶる良好であった。
そうなると当然というべきか、彼は朝から身体を持て余していた。
もちろん直ぐには行動しなかったが、布団の中で、おとなしくしてもいなかった。

妻は早い時間に家を出て行くと、弘平は美亜が帰る昼頃まで、誰にも気に掛けず
に周辺を散策に出たりして身体を解した。

だけど、美亜が帰宅する頃には、いつものパジャマ姿に戻って、布団の中に
潜り込むと、昨日一昨日同様おとなしく寝ている姿を彼女に見せようとした。

「ただいまあ~」

美亜の明るく大きな声が玄関先から聞こえると、弘平の頬は自然と緩んだ。
そして美亜の足音が近づいて来ると、頭を隠すように掛け布団を深々と被った
のだった。

「お父さん、どう具合は?」
「あ、ああ、美亜か、お帰り。お父さんちょっと寝てたみたいだな」
「ごめんなさい。起こしちゃった?」
「いや、いいよ。よく寝れるのは良い事だからな。凄く気分もいい」

弘平は大きく背伸びをすると、ゆっくりと上半身を起こした。
すると美亜が、すぐに近寄ってきた。彼女は両手で弘平の両肩を優しく抱えた。
いかにも、つい今しがた起きたばかりといった風の眠そうな目をこすりながら
少し疲れた感じの笑顔を美亜に見せた。

眉を八の字に曲げて、心配そうに手を弘平の額に当てる美亜。
その時弘平の鼻に彼女のセーラー服から清々しい草花のような匂いがするのを
覚えた。そして目の前には、彼女の胸元にある赤いリボンの結び目に少しばかりの
膨らみがあるのが見えた。
それらと一緒に若い樹木に見られるしなやかさと柔らかさに似たものが美亜の身体
から感じられた。

その時弘平自身、妙な戸惑いを覚えた。
かすかに匂う女の色気のようなものを美亜から感じたせいかもしれなかった。
胸の鼓動が自分でも感じられるぐらいに高まっているのが分かった。

「もう熱は無いみたいだね」

美亜の安心した笑顔に、またもやドキリとした。
今度は後ろめたさからだった。
冷やかし半分にやった弘平の演技は意外に良く出来ていたのだった。

「母さんは週末もあっちの家に行くんだな」
「しょうがないよ、お父さん。酒屋さんって休みが無いもんね」

美亜の言葉に弘平は少しばかり寂しそうにため息をつくと顔をうつぶせた。
もちろんダサイ芝居だった。その証拠に、ほんの少しだけチラリと上目使いで
美亜の顔を覗いていた。

可愛くなった娘の笑顔が、よほど弱った心に沁みたのか、美亜の関心を得ようと
弘平は何かと甘える素振りを見せた。
父思いの娘が怪しむはずも無く、あっけなく術中に嵌ったのだった。

「お父さんお腹空いてない?何か作ろっか?」
「お前、料理出来るのか?心配だなあ・・」
「ああ信用してないの・・大丈夫だよ、お粥ぐらいなら美亜でも作れるから」
「そ、そうかあ?ま、まあいいや、じゃあ待ってるから」
「うん、すぐ作るからね」

父の為に何かをしてあげたいという意思が美亜の表情に表れたの見て、弘平は
思わずほくそえんだのだった。

しばらくして、台所から何やら物音が聞こえて来た。
何もしないでただ待っているだけで、かなりな退屈を覚えていた弘平は、こっそり
と台所へ向かった。やはり娘が料理をしている姿が見たかったからだが、弘平の場合
親としての心配からだけではなさそうな雰囲気を匂わせていた。

少しばかりニヤけた顔で、静かに少しだけ戸を開けると中を覗き込んだ。
目の前にジャケットを脱いでシャツの両腕を捲し上げた美亜の後姿があった。
妻が愛用している可愛いピンクのエプロンが、また良く似合って映った。

料理は実に手際良く進められた。
決められた量のお米を炊飯器用のお釜に入れてから、米の研ぎ具合、最後の水の量
まですいすいと流れるように行われた。
弘平は驚いた表情で美亜の料理を見ていた。
妻の手解きが上手だった事もあるが、まだまだ子供だと思っていた娘が、ここまで
ちゃんと行えるまでになっていることに素直に感心したようだった。

美亜が炊飯器にスイッチを入れるところまで見届けると、弘平はゆっくりと静かな
足取りで部屋に戻って行った。

布団の中で大人しく待つこと1時間・・・
廊下の奥から美亜の足音と、カタカタと食器が重なり合う音が聞こえて来た。

「お待たせ~。ごめんね、ちょっと時間が掛かっちゃった」

美亜が持っていたお盆の上には、お粥以外に、かぼちゃやなすを煮た料理が添えら
れていた。それを見た弘平はびっくりした顔で美亜に聞いた。

「これ・・全部お前が作ったのか?」
「違うよ。美亜が作ったのは、このお粥だけで、後は全部お母さんが作ったの」
「そうか・・そうだよな、短時間で、こんな煮物が出来るはずないもんな、はは・・」

動揺なのか考えがまとまらないままに、弘平の頭の中は混乱していた。
娘に対してこんなに強く意識したのは初めてだった。
こんなに長い時間、顔を合わすことは余り無かったからだろうか。
仕事以外では、いつも妻の事をあれこれ考えるのが常だったのに、今この瞬間において
そんな事など頭の中には1つもなくて、あるのは娘のことをあれこれ考えてばかりいた。

そして既に元の状態に戻っていた弘平にとって、目の前に置かれた料理を平らげること
などまったく苦労はなかった。箸は一度も止まることなく、全ての料理はせっせと口に
運ばれていったのだった。

「わああ、スゴイ食欲だね、お父さん」
「ああ、特にこの粥が絶品だな。もう一杯おかわりが欲しいぐらいだ」
「本当~?嬉しい!ありがとうお父さん。大好き!!」

その時、
忙しく食べている弘平の頬に、一粒の米粒が着いてしまっていたのを見つけた美亜は、
すっと手を伸ばして指で摘むと、何の躊躇もなく自分の口の中に放り込んだ。
いつもと変わらない屈託の無い笑顔を見せる美亜。

だが今日に限って、それもどこか違う雰囲気があると弘平は感じた。
いや、それは彼自身の気持ちの変化の表れだったのかもしれない。

11才の子供に色気を感じた?
まさか・・・

弘平は苦笑いを浮かべながら頭を左右に振った。

「どうしたの・・お父さん?」

覗き込むように美亜が顔を近づけてきた。
内心ドギマギしている弘平は顔を赤らめながら引きつった表情のまま視線を外した。
自分でも判らない感情が知られるのが恥ずかしかった。
ましてや目の前にいる可愛い娘にはなおさら・・・・だった。

「い、いや、何でもないよ。ちょっと食べ過ぎてお父さん、ちょっと汗かいちゃった」
「もう・・それを早く言ってよ。汗かいたままだったら、また風邪がぶり返しちゃう
じゃない・・・下着持ってくるから早く着替えてよ」

妻そっくりの上から押さえ込むような大きな声で美亜は父親を叱り付けると、早足に
部屋を出て行った。
その瞬間熱を帯びた頭の中に急激に冷えた風が吹き込んできたのを弘平は感じた。
すっと我に返っていくのをしっかりと自覚した。

ああ・・将来美亜も我が女房殿のように口喧しくなるのかもな・・
ほんの少しの時間とはいえ危険な妄想が全身を侵しそうになった自分を自戒しつつ、
目の前に浮かんだ妻の見下ろすような冷ややかな表情に、弘平は小さくため息を
漏らすのであった。

しばらくして、廊下の向こうからばたばたと足早にこちらに向かってくる音が
聞こえて来た。

「はい、下着持ってきたよ。お父さん早く着替えてね」

美亜の手にはキレイに畳まれた男性下着の上下と白いタオルを持っていた。
あらかじめ母親から指示されていたのだろう。美亜はテキパキと動いた。
弘平がシャツを脱ぐと、その背中や胸の辺りには、無数の大粒の汗が吹き出ていた。

美亜は弘平の背後に回ると、すぐに持っていたタオルで背中を丁寧に拭き始めた。
美亜の手が右に左にと動くたびに、弘平は何とも言えない心地良さを感じた。

「これだけ汗が出ると大分調子も戻ったんじゃないの?」
「ああ、結構ご飯も美味かったし、汗をかいて身体の方も軽くなった気がするしな」
「うふふ・・本当に良かったね。じゃあ前も拭くね」

美亜は、そのままの状態から、前屈みになって両脇の間から腕を伸ばすと、
持っているタオルで胸元や、お腹辺りを拭き出した。
するとなぜか弘平の顔が次第に紅潮してきたのであった。

弘平は背中のところで、柔らかい感触を直接感じていた。
背後から手を伸ばす格好だと、2人の身体がピッタリと張り付いてしまっていて
美亜の胸がそれを敏感に伝えていたのだ。

その時密着した状態から、美亜のセーラ服の匂いが弘平の鼻をくすぐった。
それは草原の土の匂いに若い女の子特有の柑橘系の匂いが混ざった独特の濃い香り
だった。

弘平は美亜がまだ幼い頃にいつも抱っこをした時に匂っていた甘いミルクの香りを
漂わせていた頃を思い起こそうとしたが、今のそれはまったくといってもいい程に
違う強烈な思春期の匂いに圧倒されてしまったせいか、全然出来なる程に頭の中が
混乱していた。

「な、なあ・・美亜」
「なあに?お父さん」
「そ、そうくっ付かれると、凄く暑苦しい感じでしょうがないんだ。ちょっと離れて
くれないか?」

やっとの思いで父親としての理性が働いてくれた。
美亜が素直に離れてくれた直後、弘平は少しばかり疲れた表情でうな垂れた。
すると、美亜が弘平の背後から今度は横手へと移動して、肩口から腕へと丁寧に
拭き始めた。

「ごめんね、ちょっと臭っちゃった?学校から帰ってきて汗も拭かずにいたから」
「い、いや、そうじゃないんだ。本当に暑かったから・・それでなんだ」
「本当?」
「あ、ああ本当だ。父さんウソは言わないぞ」

美亜は、少しばかり頬を赤くしながら、はにかんだ表情で手を動かしていた。
その表情を見た弘平は、少しばかり居た堪れない心地になった。

ウソ・・・そうはっきりとしたウソをついてしまったのだ。
どういう訳か、娘の、立ち振る舞い、表情、そして匂い、と今まで気にもしていな
かった事柄によって今この場で大いに気持ちを揺り動かされてしまっている自分を
思い知ったのだった。

”ありがとう美亜”

なぜかその一言が言えないままに、ただ黙って娘の看護を受ける弘平。
このまま時が過ぎていくのに心地良さを覚えているかのようだ。
だが、美亜の手が布団の上から足下に触れた時、弘平の表情が一変した。

「もうここら辺で十分だ。お父さん随分とスッキリとしたからな」
「まだ残ってるよう。だから美亜が全部拭いてあげるね、いいでしょ?」
「あ、いや、その・・・あっ、それだったらシャワーでも浴びてきたらどうだ?」

弘平の言葉に、突然美亜は驚いた表情を浮かべると、すぐに制服の左肩辺りに
顔を近づけて、くんくんと鼻を嗅いだ。
すると、少し何かに引っ掛かったて困惑したかのように眉間にしわを寄せた。
そして少しばかり頬を赤らめたかと思ったら、そのまま俯いてしまった。

「やだああ・・やっぱり汗臭かったんだ・・ごめんねお父さん」

恥ずかしそうに小さな声で謝る美亜。
だが、まるっきり別の意図を持って言った弘平にとって、娘のその恥ずかしそう
な表情を見るにつれ、まるで我が事のように凄く恥ずかしい思いが全身を駆け巡
ったのだった。
勿論すぐにでも美亜に違うという言葉を掛けたかったのだが、その別の意図を
娘に言う訳にもいかず、ただ黙って落ち込む娘の横顔を見るしかなかった。

「すぐにシャワー浴びに行くね」
「い、いや、ま、まあ・・そんなに気にしなくてもいいんだぞ。お、お父さんは
そんなに気にしてないから・・・な。まあ、一応、最後まで身体拭いてくれないか?」
「お父さん、いいの?」
「ああ、もちろん」

今、男として困った気配が出ているのにも拘らず、
弘平は直ぐにでも出て行こうとする美亜を引き止めてしまった。
それは美亜の恥ずかしそうにしている横顔を見たときから腹の底から沸き立つ
気持ちが彼を父としての気持ちよりも優先させた。
そう、1人の男として・・・

美亜は、弘平の顔をまじまじと見た後、止めていた手を動かし始めた。
そして弘平の両手の甲を丁寧に拭き終わると、次に掛け布団に手を掛けた。

ゆっくりと捲り上げると、それまでずっと閉じ込められている内に生暖かくなっていた
その空気が一目散に逃げ出して美亜の鼻の周りに漂った。
そして弘平自身も、ムッとする臭いが立ち込めたのを分かったようだ。
彼の顔が少し赤くなった。

「なによ~お父さんも汗臭いじゃない。パジャマもしわくちゃになっちゃってるし・・」

美亜の顔がさっきとは一変、眉を尖らせ頬を膨らませての怒りモード全開だ。

勿論理由はある。だが言えない。
さっきまで出歩いていた事は言えないのは勿論だが、更にもう1つの理由があっては・・
当然弘平は一言も口を開かず、ただ黙ってその言葉を聞いていた。

「お父さんズボン脱いでちょうだい」
「あ、ああ・・スマンな」

まるで女房きどりな口ぶり。だけど、
言われるままに、弘平は座った状態から、そのしわだらけのズボンを脱いだ。
美亜はそれを受け取ると、直ぐに包めて横に置いた。

「お父さんのトランクス、すごくカッコいいね」
「センスいいだろう?お父さんのお気に入りなんだ」

ブルーの生地にイエローのストライブ、見栄えは確かにイイ、だけど少々若すぎるか・・

「お母さんに買ってもらったの?」
「いや、お父さんが自分で買って来た」
「へええ~意外だね」
「何が?」
「お父さん、そんなこと興味無いと思ってた」
「これでも少し年を気にしてるんだ」
「あはは・・でもお父さん、十分若いよ」
「そうかあ?これでも最近少しお腹が出てきてショックを受けているんだけどな」

弘平は、苦笑いを浮かべながらポンポンと手でお腹を叩いて見せた。
美亜は、その仕草を見てクスクスと笑いながら、タオルで両足のふくらはぎの
辺りを丁寧に拭き始めた。

タオル生地のザラつきが、美亜が少しばかり指先に力を入れる度に感じた。
弘平は次第に息苦しさを覚えた。そしてタオルが擦れる度に声が出そうになった。

「お父さん、もうちょっと足を立ててくれる?」
「ど、どこまで拭く気なんだ?もうここらでいいよ」
「最後に太ももの裏が残ってるの。早くう~」
「そんなところは、そのまま手を伸ばせば直ぐじゃないか」

美亜の意外なまでの積極性に戸惑う弘平は、甲高い声で早口で捲くし立てた。
だけど、美亜の再度のお願いの言葉に、仕方なく言う通りに渋々足を立てた。

美亜の手が伸びると、タオルが太ももの裏側にすっと当てられた。
一番柔らかい部分だけになんとも言えない、こそばゆい感触が背筋を伝わって
頭の中に侵食してきたのだった。

(は、はあ・・っ・・)

妙な刺激で全身の神経が剥き出しになった。
男なればこその刺激は、まったくの久しぶりだった。
だが、目の前の相手は妙齢な美女でも、その手の商売女でも無い。
11才の少女で実の娘なのだ。

これでも父親としての理性はちゃんと持ち合わせているぞ、と弘平は思い直した。
だが、美亜の手が妙に上手に動く・・上に下に、優しく柔らかいタッチで・・

そして・・弘平は思わず声が出そうになった。

「あら?どうしたのお父さん?」
「な、何だ?美亜?」

ふいに出た美亜の声に、少し驚いた弘平は美亜の顔を見た。
その時美亜の大きな瞳は一点に注視していた。

そして、弘平はその視線の先に自分の股間があるのに気づく。
顔を下に向けた。そして事の重大さを思い知ったのだった。

「うわあ~何か・・腫れてるみたい・・ね?」

驚きのまなざしで覗き込む美亜。
すると人差し指を伸ばすと、いきなりその膨らみを突っつくという行動に出た。

「あっ!」
予期しない行動に虚を突かれた弘平は、身動き出来ないままに、股間に美亜の
人差し指を迎え入れる格好になってしまった。

「うっそ~何これ?すっごく硬くなってる~まるで石みたい!」

美亜は好奇心いっぱいに目を大きくして、2度3度とまるでおはじきをするよう
に股間の膨らみを指で弾いたのだった。

「こ、これは、その・・お父さんが元気になった証拠なんだ・・うん」
「元気に?じゃあ・・お父さん、もう身体は本当の本当にいいのね?」
「あっ・・ああ、そ・・う・・だな」

父の無事を喜ぶ娘の無邪気な笑顔を前にして、弘平の胸の中に得も言えぬ疼きが
広がっていった。そして、
口にすれば、今にも身体が粉々に破裂しそうなぐらい恥ずかしい思いが頭の中で
いっぱいになっていた。

「じゃあ、ここも拭いてあげるね、お父さんパンツ脱いで」
「なっ・・ええ?」

突然の予期しない美亜の発言に、弘平の声もひっくり返った。
そして更に彼女が予期しない行動に出て弘平を驚かせた。

美亜はいきなりブルーのパンツを掴むと一気に下ろそうとしたのだ。
だが慌てた弘平の手が、反射的にパンツの端を掴んで何とか阻止した。

「ば、ばか!何するんだ!」
「何って、お父さんの身体を拭いてあげようとしてるだけじゃない」
「ここはいい、ここはお父さんが自分でするから・・」
「何恥ずかしがってるの?美亜は小さい頃からお父さんのハダカは見慣れているから
別に気にしてないよ」
「い、いや、でも、その・・最近風呂に入ってないせいで結構汚くなってるから、
それでちょっと見られるのがいやなだけなんだ・・分かってくれよ美亜」

弘平は、とりあえずの理由を説明した。極めて普通の言い分だった。
だが・・

「いやよ、いや、いや、お父さんの看護は最後まで美亜がするの!」

いつもなら聞き分けの良い美亜が反発した。
そして、またも人差し指を弘平の目に前に突き出した。

「それに、ほらあ~、パンツの先っちょにシミが出てるじゃない。ここも汗が吹き出て
気持ち悪くなってるんでしょ?だから早く拭かないと風邪が、ぶり返すかもしれないじ
ゃない」

美亜のふくれっ面を前に、弘平の息が詰まった。
否定説明など出来る筈もなかった。

”このシミは普通の汗ではない、男の欲望の汗なんだ。美亜とSEXがしたいから
出たんだよ”

って、言えない・・・言えるものか!
11才ともなれば、それなりの知識はあるだろう。美亜の強張った表情など弘平には
すぐに想像できた。
これ以上はマズイ!弘平の父としての理性が最後に勝ったのか、やっとの思いで布団
に片方の手を掛けた。直ぐにでも身体を隠さければ、弘平はそう考えた。

その時、細い手が弘平の目の前に伸びてきた。

「ちょっと待って!」
「あ、あうっ!」

美亜の鋭い声がしたかと思った瞬間、弘平の悶絶する声が被さった。
弘平の上半身が前屈みになった。
なんと美亜の手が弘平の股間の膨らみのところを鷲掴みしていた。
虚を突かれた弘平は、パンツの端を掴んでいた指の力を思わず緩めてしまった。

「それっ!」

美亜は、一瞬の間に弘平のパンツを勢い良くずり下ろしてしまった。
するとパンツの中から大きな塊が、勢い良く弾かれて現れた。

「うわああ・・」

やはりというか・・美亜の驚きの眼差しが、目の前に晒された塊に注がれた。

そして、それともう1つ、風邪の影響を考えて弘平はしばらくの間風呂には
入っておらず、おまけに全身大汗をかく展開もありで股間の中は大いに蒸れ
ていた。
その篭った空気が一気に解き放たれた時、何ともいえない臭気が辺り一面漂
ったのを弘平の鼻は敏感に嗅ぎつけた。
美亜の驚きは、その臭いにもあったのだと、弘平は即座に思った。

それにしても・・
ああ、何たる臭さだ。それに目いっぱい大きくなってるし・・
弘平は恥ずかしさで顔を上げれなかった。
唖然としている美亜の前では父としての威厳など跡形も無く吹っ飛んでしまった。

「何か、凄い臭いだね?・・お父さん」
「しょうがないだろ、風呂入ってないんだから・・」
「それに、すっごく大きくなってるんだね、お父さんのチンチン、うふふ・・」

美亜は嬉しそうに指で弾くと、弘平のそれは、プラプラと揺れ動いた。
若い頃には、自慢の持ち物だったが、今は恥ずかしいまでの欲望の象徴に成り
下がってしまっていた。

だが一方で次第に高ぶる気持ちが、胸の中に広がっていくのも感じていた。
見られてしまった以上、弘平の中で抑える気持ちが消えて、逆に大きな開放感
が溢れんばかりに広がっていった。

「こうなったらしょうがないなあ・・・すまんが美亜拭いてくれないかな?」
「はああい。でも乾いたタオルじゃあ意味無いかも・・この臭いを何とか
しなくっちゃね」
「じゃあ、もう1枚タオルを出してきて、それをお湯で濡らして拭いてくれ
ないか」
「うん、そうする。ちょっと待っててね」

そう言うと美亜は、またもや足早に部屋を出て行ってしまった。

「やれやれ・・」

後には、全裸のまま布団の上に、ただ呆然とした表情のまま寝転がってる弘平がいた。
股間には黒光りした大きなオブジェが一向に萎えることなく佇んでいたのだった。

少ししてから廊下の向こうから美亜の足早な音が次第に大きく聞こえてきた。
その音で弘平は思い出したように美亜が用意してくれたシャツに首を突っ込んだ。

「お待たせ~、お湯も持ってきちゃった」

美亜は、お湯が入った洗面器を両手に抱えながら慌しく部屋に入って来た。

「少し手際が悪いな。いくら汗かいててもお父さん風邪ひいていたんだよ、なのに
まだ肌寒い時期にシャツ1枚だけでいて、またぶり返したらどうするんだ?」
「あっ・・ご、ごめんなさい・・・美亜、つい忘れちゃって・・」

弘平は、パジャマの上着を羽織ると、厳しい表情で美亜を叱った。
その顔を見た美亜は、さっきまでのはしゃぎようから一転、シュンとなってしまった。

怖い父・・
それは父弘平としての精一杯の意地の表れだったのは言うまでも無かった。
だけど、正直なところ下半身丸出しの格好では余りにも滑稽にしか見えなかった。
弘平には分かっていた。分かっていたが、ああそれでもやはり、その場の己を取り繕う
しか術が無かったのだ。

「あっ、すまん、すまん、美亜を怒るのは間違っていたな。美亜がお父さんの為に
色々としてくれているのを、ついつい忘れていたよ」

美亜の落ち込む顔を見るや、即座に言葉を翻す弘平。
一転して優しい言葉で慰める・・優秀なビジネスマンはバランスを取るのが実に上手い。

「ううん・・いいの。悪いのは美亜なの。せっかくお父さんが治りかけているのに、
お父さんをハダカのままにしちゃったから・・それで、もしお父さんがまた風邪を
ひいたら、美亜、もう、悲しくなっちゃう・・ゴメンねお父さん」

そう言うと突然に美亜の目からポロポロと涙があふれ出た。
いきなりの出来事に弘平は慌てた。

「おいおい、いきなり泣くなよ。危ないから、まずはその洗面器を下に下ろしなさい」
「う、うん・・」

美亜は言われたとおりに洗面器を下ろすと、直ぐに自分も座り込むと顔を何度も手の甲
で拭った。
弘平の戸惑いは情けない事に股間に全部現れてしまった。
涙が頬を伝ってる美亜の顔が、何ともいえないぐらいに可愛く見えた。そしてそれは
父親としてある弘平の気持ちを隅に追いやりそうになるぐらいに男として愛しく思え
たのだった。

「さあ美亜、泣くのはもうやめて,お父さんの看護を続けてくれないかな?」
「あっ・・うん。ごめんね、すぐに拭いてあげるからね、お父さん」

父親の優しい言葉を受けて、美亜は目を真っ赤にしながらも満面の笑みを浮かべた。

「あら、お父さんのオチンチン、さっきより大きくなってない?」
「ば、ばか!どこ見ているんだ美亜、は、早く拭いてしまいなさい」

ズバリ心の中を見透かされたような言葉に弘平は驚いて思わず大きな声を出してしまった。
しかし美亜は、それには気にもせずに洗面器に入れていたタオルを取り出すと、ぎゅっと
強く絞ってから目の前で揺れているオブジェを優しく包み込んだ。

「おおうっ!」

ほど良い暖かさが股間を通じて気持ち良さと相まって感じられた。
それから少しして、何ともイイ匂いが弘平の鼻に入って来た。

「お湯の中に少しだけボディシャンプーを入れたの。どう?イイ匂いでしょ?」
「ああ気持ちがイイし、ほっと落ち着いた気持ちになれたよ」
「美亜だって、これぐらいはちゃんと出来るのよ」
「あ~あ~、謝る謝る、美亜は気が利くイイ娘だ・・ぞと」

弘平の軽いオヤジ口調に、美亜は子供らしい無邪気な笑い声をあげた。
そして・・自然と指先に力が入っていく。
美亜はタオルの上から、十本の指を軽く押し込んでいった。
くいくいっと指先が押したり引いたりとを繰り返すうちに、次第に弘平の口元が緩んで
きた。
震えるような快度が何度も押し寄せてきたのだ。気づかれないように我慢をするのだが
こう何度もだと、ついつい声が出そうになるのも無理なかった。

「ねえ、何かさっきより硬くなってる気がするんだけど・・」
「な、何言ってるんだ。最初からこのままだよ」
「そうかなあ・・?さっきより大きくなってるしなあ・・」

美亜の指先に更なる力が加わる・・
”やめてくれ、それ以上はヤバイ・・”
平静を装いながらも、頭の中では何度も反芻していた。
だが、弘平の頬は次第に強張り、口元が歪み始めた。

「ねえ、お父さんのオチンチンって、先っぽが大きくムケてるけど痛くないの?」
「あっ、ああ、お父さんぐらいの大人になるとな、みんなムケてるんだ。だから
全然痛くは無いんだ。ホントだぞ」
「ふう~ん、そうなんだ。でも、こんなに硬かったら、どうパンツの中に入れるの?」
「それは、当然小さくして納めるんだけど・・な」

美亜のいかにも女の子的質問は、弘平にとってはまさに言葉責め以外の何物でも
無かった。そんな中、
次第に高まる興奮は、とうとう揺れるオブジェを、石膏に変えてしまったのだった。

「じゃあ、今すぐ小さく出来るの?」

無邪気な娘の質問に対して弘平は返答に窮してしまった。
男の生理上、今すぐ小さくは出来るはずも無い事を美亜には説明出来ない。
ではどうしたらいいのだ?

その時、弘平のオブジェを包んでいたタオルの上から握っていた美亜の両手が上下に
動いた。

「あううう!」

その時、興奮からか過敏な状態になっていた股間に、大きな刺激が背中に向けて走った。
そして、もう一度、美亜の両手が上下に動いた。
大きく腰を引く弘平。最早顔を取り繕う余裕も無かった。
大きく歪んだ口元から、小さな吐息が漏れた。

「どうしたのお父さん?痛いの?」
「い、いや、ちょっとタオルが擦れて・・うううっ」
「ゴメン、痛かったんだね?どうしよう・・」
「それじゃあさ、タオルを外してくれるか・・美亜?」

美亜は言われたとおりに弘平のオブジェを包んであったタオルを取った。

「わあああ、スゴ~イ!」

美亜がソレを見て目を輝かせながら素っ頓狂な声をあげた。
美亜の目の前には、先っぽが赤くなってカチカチに硬くなったオブジェが更に大きく
なって出来上がっていたのだ。

「やっぱりさっきより、先っぽが大きくムケちゃってるう~」
「タオルをどけて美亜の手で直にさすってくれるかな?」
「う、うん、いいよ。それでお父さんどうなの?」
「い、いいから、早くさすってくれ!」

堪らないといった感じで顔を歪めながら、声を荒げる弘平。
美亜は素直に両手で弘平の石膏オブジェを握った。

「おお・・そのままゆっくり手を上下に動かしてくれ・・」
「こ、こう?」
「あっああ、そうだ、おおお気持ちイイぞ、美亜!そのまま続けて・・」

美亜が言われるままに手を動かす度に、弘平の硬く閉じた目元には大きなシワを、
寄せて出来ていた。そして弘平は両足を更に大きく広げた。

「す、すごいわお父さん。美亜が両手で包んでいても、まだ先っぽが出ているよ。
お父さんのオチンチンがこんなに大きくなるなんて・・・」
「美亜のお陰で、父さんの元気が充満したんだ。あああもっと扱いてくれ!美亜!」
「やっぱりお父さんもこれで元気になるんだね」

両手の動きが上下に次第に速くなっていった。
既に弘平の表情からは、全ての感情を表に出すのに何ら躊躇しなくなっていた。
大きく口を開けて、大きく開けた目には喜びが溢れていた。
そして、大きく肩で息をしながら、しきりに大きな声を上げた。

「お父さん、気持ちイイのね?凄くイイのね?」
「あっああ・・もう最高だ美亜!」
「あのね、お父さん、美亜ね・・もっとお父さんを気持ちよくさせる方法知ってるの」
「な、なんだって?どういう事・・はああああ?!」

美亜の言葉に反応した弘平、だがその瞬間、突然に言葉が途切れた。
何と目の前にあった美亜の顔が一瞬にして、自分の股間に移動していたのだ。
そして、それと同時に美亜の両手が即座に股間から離れた。

弘平は抵抗する間もなく、あっという間にボール状に大きく膨らんだ袋を美亜は
その小さな口の中に含んでしまったのだった。
小さな舌が袋をチロチロと舐めながら、中の玉ごと吸い上げたり吐いたりとを繰
り返した。
そして、次に口を袋から離すと、舌を硬くなった石膏の表面をツーッと下から上
へと走らせた。
柔らかい舌が、ねっとりとした唾液を出してながら、石膏オブジェにまとわりついた。

「ねっ、凄く気持ちイイでしょ?」
「あ、ああ、もうガマン出来ないぐらいに・・な」
「美亜知ってるのよ。大きくなったオチンチンを小さくするやり方を、それからね、
それをするともっと気持ちよくなることも・・うふふ」
「本当か?美亜」

美亜は弘平の問いに、満面の笑みを浮かべながら大きく頷いた。
そして、更に大きく口を開けるとオブジェの先っぽを咥えた。

「んあふふうう・・なぜ・・そんなことまで・・知ってるのだ?」

弘平は予期しない噴火級の衝撃を何とか耐えた・・が、それも時間の問題だった。
美亜は舌先をオブジェの先っぽにつけると、その周りを丁寧に舐め始めた。

チュパチュパ・・・可愛い口元から漏れる淫靡な音が弘平の耳を責めた。

「男の人って、こうやって気持ちイイのが続いたら、オチンチンを硬くして、それで
最後に・・・うふふ、いっぱい白~いお汁を出しちゃうの」
「よ、よく知ってるな・・うう、せ、正解だよ美亜、お父さん、もうイキそうなんだ」

だが、美亜は、そんな苦悶の表情の弘平をヨソに、更に股間に深く顔を埋めた。
そして両手を離すと、口にオブジェを咥えたままで顔を前後に動かし始めた。

幼い娘のスロートに、堪らず弘平の手が、よつんばになった状態の美亜のお尻に伸びた。
小さいが弾力のある肌質が手を通じて感じられた。
すると弘平は狂ったように美亜のお尻を撫で回し始めた。

「た、たまらん・・・どうして俺はこんな事を・・くうう!」

その時、美亜が口に咥えたままの体勢から身体を反転させてきた。
弘平の鼻にいきなり美亜のお尻が押し付けられた。

「お父さんだけ気持ちよくなるのは、美亜つまんないの・・」

美亜の甘ったるい呟きが弘平のオトコを大いに刺激した。
弘平は一気に美亜のスカートを捲り上げると、パンツの上から舌を勢い良く押し付けた。

「くすぐったいよう・・お父さん」
「すぐに気持ち良くなる・・美亜も続けてくれ」

美亜の顎からはよだれが垂れるぐらいに、そして弘平も胸元まで流れるぐらいに互いの
秘部を舐めるのに没頭した。

弘平は美亜のパンツを脱がすと、更に顔を深く深く押し込んでいった。
あの青臭い土のような匂いや柑橘系の汗の匂いも、もはや止まらなくなった
快淫を更に促す秘薬と化していた。

「おお・・美亜も・・興奮していたんだな・・こんなに濡れているとは・・な」
「そ、そんなに見ないで・・」

顔を赤らめながら、今にも泣き出しそうなか細い声。
その声に、父親としての理性の針は一気に振り切れてしまった。

まだまだ固い花びらの中に強引なまでの勢いで濡れそぼった舌が押し入った。
美亜の上半身が大きく仰け反った。眉間に寄ったしわが初めて受ける感度の大きさを
如実に物語っていた。
その小さくて、まるでさくらんぼのような真っ赤な唇からは、小さく震えながらも、
かすかに吐息が漏れて出していた。

「あ、あああ・・・何か変な気持ちだよ・・お父さああん」
「お父さんも同じだよ。どうしよう・・すごく気持ちがいいんだ・・ああ」

固い蕾から甘い蜜が大量に吹き出て滝のように滴り落ちていく・・
まだまだ幼いと思っていた我が娘が、甘い色気に包まれた腰のくびれを見せていたのを
見るにつれて弘平は驚きを隠せなくなっていた。
さらにセーラ服のリボンが両足の太ももに何度も触れる度に、その驚きが次第に大きな
興奮へと変わっていった。

「お・・お父さんも・・・ああ、やっぱり男の人ってみんな同じなんだ」
「み・・美亜、お前・・・」

弘平の頂はチョモランマを越えた。
彼は勢いよく起き上がるや、よつんばの状態の美亜の後から何の躊躇いもなく身体を、
覆い被さってきた。
まだまだ蕾のような固さの花弁だったが、蜜に溢れた今なら容易に進入することが
出来た。
こうして父の不道徳な如意棒が美亜の背後から一気押し込まれた。

「アア・・ウソ・・く、苦しいよう・・」
「身体の力を抜くんだ美亜・・そうすれば後はお父さんが気持ちよくしてやるからな」

弘平は美亜の上着を肩口まで引き上げた。
中から真っ白な肌の背中が目に入った。
そしてその時に実に鮮やかな水色の色彩が目に映った。
細身の背中に装着されたブラだった。
まさにそれこそが娘の成長を雄弁に語っていた。

弘平が、ゆっくりと腰を前へと動かす・・その度に実に切ない吐息が聞こえてきた。
一度、二度、三度・・・

「あん、あん・・あああん・・・」

美亜の2本の腕が、自分の体重を支えきれない為かプルプルと震えていた。
それはまるで、か弱い子犬が後から襲ってくる衝撃に耐えているかのように見えた。

美亜のお尻にピッタリと張り付いた弘平の腰が前後大きく滑らかに動いた。

「ふあああああ!!身体が勝手に浮いちゃううう!!」

突然美亜の声が1オクターブ上がった。
幼い花芯の中が狭苦しかったからか、弘平の眉間に深いシワが寄った。

「おおお、キ、キツイ・・でも、いいぞ・・凄くイイぞ・・うう」
「お,おとうさああん・・・元気になったあ?ねえ、なったあ?」
「あ、ああ、凄く元気になったぞ、美亜のお陰だ」

次第に互いのリズムが合ってきた。
弘平の腰の動きに美亜のお尻がスムーズに揺れ始める。
美亜の固い蕾から淫らな蜜が溢れ出し始めたのか、腰がぶつかる度に、
クチュクチュと、いやらしい音が次第に大きく部屋に響き渡った。

「父さん美亜の顔をもっと見たい」
「美亜もお父さんの顔見たああい」

弘平の腰の動きが止まると、よつんばの状態だった美亜が、ごろんと、
布団の上に仰向けに転んだ。
弘平は、素早い動きで両手を美亜の背中に通すと、抱きかかえるように
して手元に引き寄せた。

「本当だあ、お父さん凄くいい顔してるう・・あはは」
「美亜も、可愛い顔になってるぞ」
「ねえ、お父さん?」
「なんだい?美亜」
「1つお願いしてもいい?」
「ああ、なんだい?」

「キス・・して」

ふと見ると美亜の瞳が潤んでいた。
間近かで見る娘の頬は、ほのかに赤く染まっていた。
今にも泣き出しそうな瞳に、うっすらと笑みが浮かんだ。
そこには11才とは思えないほどの色香が漂っていた。

弘平は美亜の下唇を軽く噛むと、優しくそっと上唇に自分の唇を重ねた。
その時弘平の広い背中に回してあった美亜の両手に力が入った。

そして、再び弘平は美亜の身体に深く押し入った。
美亜の腰が、ふわりと浮くと、弘平の膝の上に乗っかった。

「お父さん、美亜には気にしないで気持ちよくなってね」
「ありがとう・・・美亜」

弘平は腰を左右にくねりながら、小刻みな動きで美亜の身体を突き上げ始めた。

「あああん・・・お父さん、スゴイよう!」
「おおおお!!美亜、美亜、美亜!!」

美亜の両足が弘平の腰の上で、がっちりと組まれた。
弘平のピストン運動は更に加速していった。

「んんっ!」

激しい動きの中、2人は再びキスをした。
今度のは2人が大きく口を開けて互いの舌を奪い合うという凄く激しいキスだった。
美亜の口からよだれが滝のように流れ出すとセーラ服の襟にべったりと着いてしまった。

そして弘平はセーラ服を美亜の胸上まで捲り上げると、実に器用に片手で背中
についてあるブラのフォックを外した。
そして、その下からは実に優しい盛り上がりが出てきた。
小学生にしては、かなり大きめのふくらみに、弘平の気持ちも大きく昂ぶった。

弘平は控えめに小さく舌を出して、美亜の小さな乳首を舐めた。
そっと乳房に触れた頬に意外なまでに柔らかくて弾力のあるのが伝わってきた。

成熟とは程遠いけど、女性としての確かな証を感じ取る弘平だった。
左右の乳首を交互に舐めるうちに、興奮は天井知らずに昇っていった。
弘平は美亜の両肩を持ちながら自分の腰を上へと突き上げた。
そして更に美亜の身体を下へと押し込めた。
2人は更に深く繋がった。

「何かお腹が張っている感じがするよ」
「気分が悪いのか美亜?」
「ううん、そうじゃないの、何か分かんないんだけど不思議な感じなの」
「そうか、分からないか・・初めてだからな」

互いの息遣いが聞こえるところまで顔を近づけて見つめあう2人。
弘平の背中に回している美亜の両手に力が入る・・

「お父さんのすきにして・・・いいよ」

かすれ気味だが甘えるように囁く声に、弘平はいても堪らずに、その声を
塞ぐように自分の唇を重ね合わせた。
激しく荒れ狂う心が、そのまま美亜の幼い舌を欲した。

「あうあう・・んんんぷ!!」

激しい舌の絡み合いでよだれが流れ出して美亜の頬を濡らすと、そのまま
敷き布団に染みを広げていった。
そしてその間にも弘平の止まらない突き上げが、更に激しさを増していった。

「ああんあん・・・」

大きく上下に身体が揺れる美亜、捲り上げた服が美亜の顔を覆った。

「お、お父さん、何か・・もう・・限界かなあ・・・うううっ!」
「美亜も、何だか凄く・・何か・・あああん・・気持ち・イイ!!」

弘平はこれが最後とばかりに上半身を起こすと、両手で美亜の両足を大きく
広げさすと、大きく腰を振り始めた。

「おお、凄くイイぞ、美亜の・・おまんこ・・ああもうイクぞ」
「ま、待ってお父さん・・」

息も絶え絶えの中、美亜は、かすれた声で弘平を呼び止めた。

「何だあ・・美亜?」

そのいきなりの呼び止めに弘平は、いつにない忙しい口調となっていた。

「最後は美亜に任せて・・お願い」

そう言うと美亜は、身体を起こして弘平から離れた。
花びらから抜かれたオブジェは、その先から付け根まで美亜が出した蜜で覆われて
いて、いつもより黒く光って美亜の目に映っていた。

美亜は弘平の正面に座り直すと、すっと両手を付いてよつんばの体勢になると、
そのまま身体を沈めるように屈んだ。
丁度オブジェと同じ目線で美亜の顔が対峙する格好となった。

「最後は美亜がきれいに舐めてあげる」

弘平がその言葉に驚いて一瞬怯んで腰を引いた。
だけど、それよりも早い反応で美亜は弘平の黒光りのオブジェを口に咥えたのだった。

「美亜、なんて子なんだ・・・」

弘平の観念する声が出た、そしてまた・・大きく腰が前後に振られた。
そして大きく開いた口から、雫のようによだれが流れ出してきた。
口の中いっぱいにオブジェが詰め込まれているのが、それで十分分かった。

その黒くて大きな塊が美亜の小さな口の中で傍若無人に暴れた。
そして次第に美亜の両方の目から涙が溢れ出てきた。
何度も美亜の喉にその塊が勢いよくぶつかるからであろう。
 
「んんんふ・・ううん!!」

そのモノを咥えながら、美亜は上目遣いで弘平の顔を見上げた。
可愛い顔が涙で濡れていた。その瞬間弘平の中の男の欲望が頂点を極めた。

もうガマンできん!!!
出すぞ!!おおおお!!もうどうでもいい、俺は美亜で気持ちを満たすんだ!

心の中で大きな声で叫ぶ弘平。
腰の動きが止まって背中がピンと張った。

その時、いきなり美亜が顔を引いて、弘平の股間から離れた。

「お父さん、もうガマンしないでね」
「み、美亜ァァァァ!!」

はやる気持ちのせいか、おぼつかない手で目一杯にオブジェを扱いた。
まるで根こそぎ引き抜くような激しい扱き方を目の前で見つめる美亜の顔
は、まるでエサを待つ猫のように見えた。

「ああああ!!も・・う・・限界だああ!!」

女のような引っくり返った声がけたたましく響いた瞬間・・・
扱いていた手の動きが止まった。

そして、ほんの少しの間が開いた後・・・
その黒いオブジェの先端から、勢いよく白い液体が太い糸状の放物線を描き
ながら、美亜の小さな顔に向かって放たれていった。

最初に着地したのは、小さな額で、次に放たれた放物線は、頬に、そして鼻
の先、目元、唇、顎・・・と、その凄まじい量は、尽きること無いほどに、
美亜の顔に降り注がれ、そして激しく汚していった。

「凄く温っかああい・・お父さん、スゴイよ、まだ出てるよ」
「くはあああああ!!何て気持ちイイんだあ、凄く気持ちイイぞーっ!」

5,6度の放出の後、やっと弘平の手が止まった。
そして天井に向いていた顔を、やっとのことで前に下ろすと、目の前には、
自分が吐き出した恥液で顔全体を覆われて固く目を瞑っている美亜の顔があった。

「何か凄くドロドロしたのが一杯顔に着いちゃったあ」
「ああ、凄く良かったよ実亜・・お父さん、もう久しぶりだったから、一杯出し
ちゃったな・・・スマン、スマン。直ぐに顔を拭いてあげるからな」

弘平は、傍に置いてあった手拭いで美亜の顔を手早く拭いて上げた。
しかしながら、それだけではツンとした汁臭は美亜の身体から消える
事はなかった。

「お父さん、好き、好き、大好き!美亜の看護で、やっと元気になった
のよね、美亜は嬉しい、凄く嬉しいの!」
「お、おいおい、何もそんなことを大声で云わなくても・・」

美亜のはしゃぎように戸惑いを覚える弘平。
うろたえる気持ちもよく分かる、とんでもないことをしたという意識が
コトを終えて次第に芽生えるというのは・・男なら誰でも一度はあるからだ。

つまり、浮気をした男は大なり小なりそんな気持ちになるということだが、
しかしながら浮気といってもこの場合、相手は年端もいかない少女であり、
それ以上に問題なのは、血の繋がった実娘であることが更に尋常でない様相
をはらんでいたからだ。

「美亜のことは心配しなくてもいいからね。美亜はお父さんと一緒になれて
すごく幸せな気持ちでいっぱい・・えへへ・・」

確かに、
今まで仕事優先生活のために、一人娘である美亜には随分寂しい思いをさせて
きたのは事実だ。そしてそれに対しても、余り関心を示さなかったのも正直な
気持ちとしてあった。
そして、今、そんな父親に対して純粋に思いを寄せていた娘に対して、あろう
ことか父親としてよりも1人の欲望を滾らせた男としての思いを遂げてしまった
ことに深い後悔で気持ちが沈みゆく一方だった。

しかしながら美亜が恥ずかしそうにはにかみながらも嬉しそうな表情を自分に
向けているのを見ているうちに、弘平は何故だかは判らないけど、不思議と次第
に救われていく気持ちになっていくのを感じていた。

「気持ちが良すぎて汗かいちゃったな」
「うん、美亜も汗とか色んなもので身体がベタベタしちゃった」
「よし、それじゃあ、今からシャワーで汗を流そうか?」
「うん、そうだね」

少し照れた表情の弘平と美亜は、互いに手を取りあって仲良く風呂場まで歩いて
行った。
美亜は、汗とよだれと恥液とでベタベタに塗れた制服を脱ぐと、すぐに風呂場横
に置いてある洗濯機の中に下着と一緒に放り込んでスイッチを入れた。

「これでお母さんには分からないね」

美亜は動き始めた洗濯機を見ながら、可愛らしい笑顔を弘平に向けた。
一方弘平はというと、目の前に立つ美亜の裸体に改めて心奪われていた。
大きくなってから初めて見る美亜の肢体に視線が外せなくなってしまっていた。
柔らかい白い肌に、ほんのり朱が交わると、若い色気が匂うほどに可愛らしく映った。
収まったはずの疼きが、再び動き出しそうな気配・・まったくやっかいなまでに。

風呂場では先に美亜にシャワーを浴びさせた。
勢いよく出るお湯が、顔から胸、背中へと伝わっていくと、先まで執拗なまでに
漂っていた恥臭が、一変に消えていった。

美亜の隣で弘平がボディシャンプーを含ませたスポンジを使って下半身を洗っていた。
その時いきなり美亜は手に持っていたシャワーを弘平に向けた。
力強いお湯の勢いが、股間に命中するや、突然の熱さに弘平は思わず飛び上がって
しまった。

「わ、わわ、いきなり何するんだ美亜」
「お父さん驚きすぎだって・・あはは・・」
「お父さんにイタズラしてそんなに笑うことないだろ、ようし、それだったら
こうしてやる」

弘平は美亜からシャワーを奪うと、お返しとばかりに美亜の顔と頭に向けた。
目も開けられない程の大量のお湯が頭から顔へと降り注ぐ・・・
美亜も両腕で防ごうとするが、お湯の勢いが勝っているせいで、突き抜けて顔
にお湯が矢のように降り掛かった。

「きゃあああ~、いやああん、息が出来ないよう~や、やめてええ~」
「あっははは、やめて欲しいなら、お父さんにちゃんと謝ったら許してやろう」
「わ、分かったから・・・ああん、もう許して、美亜が悪かったから、ごめんな
さああい」

大量のお湯を浴びて美亜の髪や顔などはあっという間にずぶ濡れになってしまった。
手足をばたつかせながら必死に抵抗する美亜。
それを見ながらにやつく弘平。
そして弘平は美亜の泣きを聞くと、ようやくシャワーの勢いを緩めた。

「あああん・・もう、苦しかったあああ・・」

シャワーの水圧からやっとのことで解放された美亜は、安堵の笑みを浮かべながら、
弘平の胸に倒れこむ様にして身体を預けた。

「何甘えてるんだ?」
「別に甘えてなんかいないよ、うふふ・・・」
「ウソつけ、だったら早いこと離れてくれないかなあ?」
「このままでもイイじゃん」
「お前がいつまでもひっついていると、お父さん身体洗えないんだ。だから・・」
「だったら美亜が洗ってあげる。それでおあいこね。えへへ」

そう言い終わるやいなや美亜は直ぐ様弘平が持っていたスポンジを取り上げると、
荒っぽい手付きで父親のお腹を洗い始めた。

「お父さんのお腹って、すっごく柔らかいね」
「おいおい、あまり乱暴に擦るなよ、痛くてしょうがない」

だけど父のその言葉を無視するかのようにスポンジを持つ美亜の手の動きは一向に
改まらない。むしろお腹から背中、そしてお尻にかけては、荒さが増す一方だ。

「お父さんもウソはダメだよ」
「いきなり何だ?お父さんは別にウソなんかついてないぞ」
「じゃあこれはなんでしょう・・か?」

にやにやした美亜が指差す先は、弘平の股間。
弘平の視線が下に行くと・・

「あっ!」

いきなり素っ頓狂な大声が、狭い風呂場にこだました。
そして美亜の右手がすっと伸びて、その証拠のオブジェを丁寧に撫で始めた。
一度役目を終えたオブジェは、それまでの力強さを無くしていてまるで、空気が
抜け掛かっている風船のようだったが、よく見ると、再びムクムクと頭を持ち上
がりつつあるように見えた。

「何だあ・・気持ちいいんじゃない・・うふふ」

確かに、洗い方は荒いが、その餅のような柔らかい肌触りとか、元気にはしゃぐ
息遣いなどを感じているうちに、何とも言えないくすぐったい感触が全身へと
伝わってきたからなのだが・・

「ウソといえば・・なあ美亜・・お前、お父さんに隠していることあるだろ?」
「何のこと?」
「お母さんの事だ・・どうだ、そうだろ?」

美亜の目が少し驚いた様子になって弘平の顔を見つめた。
ほんの少しの静寂、シャワーがタイルを激しく叩く音だけが響く・・

「分かっちゃった?」
「当たり前だ。やってることがお母さんとまるっきり同じだからな」
「へえ・・やっぱりアレがお母さんのクセだったんだね」
「何納得した表情してんだ?」
「だって・・・・うふふ」

思惑ありげな含み笑いを浮かべながら2度3度と頷く美亜。
それを見る弘平の何ともバツの悪そうな顔。

「見たんだな・・あっちの家で、お母さんを・・」

美亜の首が小さく頷いた。
それを見た弘平は大きな溜息を漏らした。

「うそだろう・・・まさかあいつが・・浮気?」
「お母さん、さびしい、さびしいって、ずっと小父さんに言ってた」
「まさか、これでもやることはちゃんとしてたし、なのにさびしいって
何なんだよ」
「え?なに?やることって?」
「あ、ああ、まあ、その、夫婦の話し合いだ」

目線を逸らしながらぶっきらぼうな受け答えをする弘平を怪訝そうな
表情で覗き込む美亜。

「思うんだけど、普段から家のこととか全部お母さん任せにしてる
くせに、お母さんから何か相談ごとがあってもあまり話に乗らなか
ったのが原因じゃないのかなあ?」
「子供のくせに、なに分かったようなセリフ言ってるんだあ?」
「美亜はもう、子供じゃないもん、お父さんとエッチしちゃったもん」

あっけらかんとケラケラと笑う美亜を見て弘平は、初めて己のやった
ことへの罪悪感を胸の中を覆うように重く圧し掛かった。

弘平は蛇口を右に大きく回した。
更に勢いよく降り注ぐシャワーの嵐の中に佇む2人。
頭の中の雑音を洗い流すかのように、つんざくお湯の音が弘平の耳を叩いた。

「そんな怖い顔しないで・・お父さん」

落ち込む弘平を見て、さすがに美亜の顔から笑みが消えた。

「あいつが不倫・・オレは娘とSEXを・・・ああ何てことを・・」
「お父さん、気にしちゃダメよ、絶対ダメ。美亜は嬉しいんだから・・
お父さんとこうなって・・ホントよ」

美亜のずぶ濡れな顔が甘えるように上目遣いで微笑んでいる。
その目を見ているうちに、目の中で揺らぐ波が静まっていった。
苛ついていた弘平の気持ちもどうにか落ち着いていったようだ。

「美亜はお父さんもお母さんも大好き。だから2人でケンカして欲しくないし
ずっと仲良くやっていって欲しいと思ってるのね」
「だ、だけどな美亜・・」
「悪いことをお母さんはやっちゃったけど、お父さんも同じことした訳だし、
これでお互い様ということで、こっちは黙ってればいいの。後はお父さんがゆ
っくりと家のことを考えながらお母さんとの仲を直していけばそれでいいんじ
ゃないかなって美亜は思うの」

「美亜がお父さんたちの抑止力になってるってことかあ・・・」
「抑止力って?」
「まあ・・これからのお父さんとお母さんとのケンカを止めるだろうという
存在ってことだよ」
「ええーっ?美亜が?」

両目をパチクリと見開いて驚いた表情を見せる美亜。
そして、目を瞑ってふーっと大きく息を吐く弘平。

「もっと家庭のことを考えなくっちゃな」
「でもお母さんには言わない方がいいよ、やっぱり」
「まあ、こっちから言うわけにもいかないからなあ」
「でもさあ・・きっと今も小父さんと、やってるかもね・・」

美亜はそう言うと、じっと弘平の顔を覗き込んだ。
頭上からお湯を滴らせながらじりじりと焦りの色を深める弘平が
すっと目を開けると、はたっと2人の視線が合った。

「ねえ・・お父さん・・」
「なんだ?」
「もう一度、どう?」

11才とは思えない妖しげで艶っぽい視線を弘平に送ると、口元をツンっと上げた。

「どうせお母さんも楽しんでいるんだから、こっちもいいんじゃない?それにさ・・」

美亜は突然そこで言葉を切ると、ぷいっと背を向けた。
そして、両肩を交互に揺らしながら、何やらもじもじし始めた。
弘平も突然にそんな姿を見せられて、ついついと焦れてしまった。

「それに・・どうしたんだ美亜?」
「それにね・・・美亜が思っていた以上に気持ちが良くてさ・・もう1回したいなって
思ったんだよね、えへへ・・」

その言葉に弘平は、ポカンと口を開けて呆れた表情を浮かべた。

「お前、何言ってるんだ?」
「何って、誘っているんだけど・・抑止力としてね。うふふ・・」

弘平は蛇口を左に捻った。
勢いよく出ていた噴水が、ピタっと止まると一転して静寂な間が出来た。
するとその時、美亜が、勢い良くくるりと振り返った。
だがその勢いから美亜の足元が、バランスを取れずに少しふらついてしまった。

少し大きめだが、まだまだ成長の途中である胸が目の前にいた弘平のお腹の辺りに
被さった。
その時に弘平は、美亜の2つの乳首が立っていることに気づいた。
早熟な色気が立ち上がる湯気と一緒に弘平の鼻の中をくすぐった。

「何で誘うのが抑止力になるんだ?」
「声震えてるよお父さん・・だから・・」

まるで胸の中を見透かしたように顔を近づけ上目遣いで弘平の顔を覗き込む。
悟られぬよう弘平も視線を合わせずに仏頂面で室内の隅に目をやるが、その落ち着き
の無い目の動きでは、すでにバレバレであった。

「バレちゃったからしょうがないけど、お母さんのこと、お父さん許せないでしょ?
このままだとお父さんがお母さんに詰め寄ってさ、大ゲンカになると思うの。
それで・・」
「それで美亜で気持ちを抜いちゃえってか?」
「うん。お母さんに言えない分、美亜で楽しんで欲しいの、美亜がお父さんを絶対寂しく
なんかさせないから・・ね」
「でも、こうなっちまったら、あいつらより俺達のほうが罪がかなり重いんだよな」

弘平は、そこでやっと美亜と目を合わせた。
明るくて無邪気な2つの瞳がこちらを見ていた。

なぜこんなに平然としているのか?ひょっとして何1つ気が咎めてなどいないのかも?
美亜の顔を見ているうちに弘平の中でどうしようもない不安が沸き起こった。

「美亜がそれを見た時にね、何も知らないお父さんが凄く可哀相に思っちゃったの。
おまけに風邪をひいて体調最悪になっちゃうし、もう美亜がお父さんの全てを看病
してあげなくっちゃいけないなと思ったのね」
「それでこんな真似をしたのか」
「うんそう・・後はお父さん次第ね、頑張ってお母さんをこっちに引き戻さなくっ
ちゃね」

弘平は内心美亜のしたたかなまでの計算に驚いた。
その平然とした表情は、決してばれないという自信からなのだと・・
確かに誰にも言えないことだから仕方ないといえばそうなる。

「ああ、お父さんももっと家族のことに時間を費やすようにするよ」
「無理しない程度にね・・うふふ」

そんなこまっしゃくれたセリフも、どこか堂に入った雰囲気があった。
人差し指を顎の上に置いてにっこりと笑う姿には、男を惑わす女のずるさが
際立っていた。

いつの間にこんな色気を持ったのか?
困惑が弘平の頭の中を支配した。

その時、美亜の右手がすっと伸びて、目の前にあるモノに5本の指でかき鳴らす
ようにして触れた。

「半分戻ってるね、お父さん」

美亜は、そう言うとすぐに腰を下ろした。
そして目の前に頭が垂れた半勃ち状態のモノを見る状態から、何のためらいも無く、
その小さな花のような唇の中に、その柔らかいモノを収めた。

「も、もう、やめなさい・・・美亜・・おお!」
「美亜も1回だけの看護のつもりだったんだけど、まさかこんなに気持ちのいいこと
なんだってこと知っちゃったから・・・ねえ、いいでしょうお父さああん・・
もう1回しようよう・・」

甘えるような声で呟くと、美亜は左手で扱きながら、小さな舌で静脈が浮き上がる
部分をチロチロと丁寧に下から上へとゆっくりと舐め始めた。
その舌は頂上の丘まで達すると、また直ぐにゆっくりとだが下へと降りていった。
そして次にその可愛い唇は、一息もつかずに2つの袋を含んだのだった。

「く、くううう・・や、止めなさい・・み、みあああ・・」
「硬くなってるよ、お父さんガマンしなくてもいいんだよ。う、う、んぐんぐ・・」

美亜はすっかり大きくなったモノを口のほとんどに咥え込むと、激しく顎を上下に
動かし始めた。
そして弘平も抵抗らしい動きも無く、ただただその動きに合わせて腰を前後に
動かすだけだった。

それから激しい滑りを股間に感じ始めると、弘平の頭の中は真っ白になった。
まさに、その動きはいつも妻がする動きそのものだった。
舌の使い方、這し方、そして唇の動き、顎の動かし方、等々・・寸部の狂いも
無い動きだった。
思わず妻を思いだす弘平。途端にものすごいまでの怒りが全身を包み込んだ。

なぜ、なぜ、なぜ???
こうしている今もあいつは、あいつは、あいつは!!!

でも、俺は何をしているんだ?
俺は幼い娘を犯してしまった。しかも実の娘を・・
悪いのは誰だ?俺か?あいつか?
ああ、しかし・・この止むに止めれぬ気持ちはいったい・・

弘平の中でめちゃくちゃな問答が繰り返される。
だが迫り来るオスとしての本能を理性で抑えつけるなど最早どこにもありは
しなかった。
美亜のテクニックは、どういうわけか上手かったのだ。

どこで知った?(母親の浮気を覗いていたから?)
どこで習った?(母親の動きを見よう見まねで?)
だけどわずか11才の小学生がそれだけで大人の女性顔負けの動きが出来るなんて?


「ねえお父さああん・・好きよ、大好きよ、だから美亜を気持ちよくさせて・・・お願い」

舌を這わせながら、下から弘平を見上げる美亜の顔は、何人たりとも真似出来ない
ほどのいやらしく淫らで可愛らしい表情だった。

その瞬間、弘平のこんがらがった頭の中が一気にスパークした。
弘平は美亜の腕を掴むと、乱暴なまでの力を出して一気に美亜の身体を引き上げた。
そして荒々しく腕を反転させるとタイル敷きの壁に手をつかせた。

「こうなったら、俺だって・・・」

しゃがみこむと目の前ある美亜のお尻を両手で揉み始めた。
するとゴムまりのように柔らかい尻肉は弘平の手の中で幾重にも揉まれた。
次第に荒くなる息遣いが降りかかる度に美亜もそれを感じるようになった。

「いやああん・・もう・・お父さんの息がお尻に掛かって、凄くくすぐったいよう」

だけど弘平は何も答えずに、次第に動きをエスカレートさせていった。
今度はお尻を掴んでいた両手の親指を左右に思い切り広げた。
すると、ひし形に変形した美亜の菊穴が目の前に現れた。

「美亜、最近ウンコはちゃんとしてるか?」
「イヤイヤ、そんなとこ見ないでぇー!もう手を放してお願いだからーっ!」
「もっと気持ちよくなりたいんだろ?お父さんがちゃんと教えてやるからな」

弘平は舌を、その菊穴の周りに這わせた。
すると美亜の腰から足首までが震え始めた。
そして弘平が舌先で突っつく度に、美亜の口から小さく喘ぐ声が漏れ聞こえた。

「ホントに、そこはダメだったらダメェー」

だけど委細構わず次に弘平は、人差し指と中指で美亜の花弁を緩やかに、
そして強くと交互に繰り返しながら擦りつけた。
そうしているうちに次第にしっとりとした感触が指の先に感じられた。

更に菊穴に唇を持っていくと一気に吸い上げ始めた。
肉と肉とが共鳴しあう恥ずかしい音が風呂場の中に大きく鳴り響いた。
2本の指は、その間中も幼い花弁を優しく撫でていた。

美亜はタイルに顔を押し当て顔を歪めながらも、懸命に弘平からの責めを
受け止めていた。

「イヤイヤイヤ、何なの何なの・・いやあああん!!」
「これがお前が知りたがったことだよ。どうだ気持ちが変になってきただろう?」
「イヤイヤ・・・お父さん、さっきとは違う痺れが・・美亜もう立ってられなああい」

既に父としての鎖を解き放った弘平は、その硬くした真っ赤な舌を、休む間も無く、
その花弁にある蜜を吸うべく這わせていく・・

ピチャピチャと水気が溢れる花芯が淫らな音と共に震え始めた。
弘平はしゃがんだ格好から、股間を忙しく扱いていた。

「こうなったら、もうどうにでもなれってか」
「もう・・早くもっと美亜を気持ちよくさせて、こんなの初めてなんだから・・」

今度は小声で甘く喘ぎながら弘平に求めた。
まだ肉付きの薄い腰だが、ゆっくりと左右に振る仕草には、何とも言いよう
のない妖艶な雰囲気が漂っていた。

弘平の股間には欲望の象徴としてのオブジェが激しい息遣いと共にいきり立っていた。
最早これ以上の我慢は出来ないとばかりに、弘平は勢いよく立ち上がると、突き出し
ている美亜の尻を両手で掴むと、まさに裂かんとばかりに力強く左右に広げ、そして
硬くなったオブジェを強引に押し込んでいった。

「あっ、ああ・・、さっきより硬いよお父さん」
「お、おお、やっぱりキツイ・・2度も小学生とハメるなんて俺は地獄行きだな」

激しく動く腰、パンパンと水を弾く・・
弘平は美亜の左足首を掴むと、そのままぐいっと上へと持ち上げた。
弘平の腰が更に深く入っていった。

「ああ・・ウソ、奥で当たってる・・ああん、痺れるう!!!」
「はあああ・・美亜、美亜、美亜・・・お父さんもう最高だ。止まらん!!」

弘平の激しさの前にタイルに美亜の上半身がべったりと引っ付いてしまった。
美亜の声と弘平の声が交互に響き合った。

「もっと、もっと・・もっと美亜を虐めて・・お父さんの気が済むまで・・ああん!」

その言葉に弘平は動きを止めた。
そして一旦花芯からオブジェを引き抜くと、美亜を正面に向き直させた。
弘平は美亜の腰に手を回すと軽々と抱え上げた。

「美亜の顔が見たくなった。お前はどうなんだ?」
「美亜も同じ気持ちよ。ねえキスして・・お父さん」

弘平は言われるままに美亜の下唇を軽く噛むと同時にするりと舌を中に入れた。
美亜も、すぐに自分の舌を絡ませに来た。
弘平は少し驚いた。見よう見まねでここまで出来るのか?と。
美亜は、そんな顔をした弘平を見て、すっと顔を離した。

「美亜の看護は徹底しているのよ・・お父さん。うふふ・・」

何もかも承知したような察したような笑みは、まるで妻のような母のような
表情に見えた。
抱えたままの体勢から弘平は、欲に犯され黒光りしたオブジェを荒々しく
うぶ毛に覆われた蜜壷の中に侵入させていった。
その瞬間、美亜の眉間に苦いシワが大きく浮かんだ。
そして美亜の両足が弘平の背中で交差した。

「ど、どうだ・・美亜、気持ちいいか?」
「う・・ん、凄く・・ああん、何か飛んじゃいそうな気持ち・・あん・・イイ」

弘平の腰が前後、左右、と激しく動き出した。
美亜の首がその度にガクガクと激しく揺れ、長い髪が乱れて顔を覆った。

「ねえ、ねえ、もっとキスしてええ!!」
「美亜、お父さん、凄く気持ちがいいぞ!!」

狂ったように激しく求め合う父と娘、一体化した2人は一気に高みに上り詰めた。

「ああ、もうダメだ。お父さんイキそうだ・・」
「もう、もう・・だめなのお父さああん・・美亜の中でもっと暴れてええ!!」

さすがに限界を迎えた弘平に美亜のおねだりは応えられそうになかった。
顎が上がり、うつろな目には美亜の喘ぐ顔がまるで壊れたビデオのようにブレて写った。
そして美亜の方も堪らず弘平の伸びた首筋に歯を立てた。

「あ、あ、あ、、ダメだダメだ、ああ、イク、イク、ああ出るううううう!!!」
「いやあああああああああ!!もっとおおおお!!お父さあああああああん!!」

その激しい咆哮と共に、弘平の腰は一気に伸びきった。
欲に溢れた白濁液が、勢いよく幼い蜜壷の中を溢れるまでに満たしていった。

荒れ狂うように氾濫した大河も、しばらくしていつもの静けさを取り戻した。
弘平は震える手付きで再びシャワーの蛇口を回した。
けたたましい音と共に降り注ぐお湯の中で2人は互いの額を押し当て合いながら、
荒い息の中静かに、その余韻に浸っていたのだった。

、、、、・・・・・・・・・・

”ただいま”

陽が落ちて暫く経った夕方遅くに、妻がようやく実家から戻ってきた。
その両手には、近くのスーパーで購入したのであろう野菜類がたくさん入った大きな
ビニール袋が握られていた。

「遅くなってごめんなさいね。週末ってこともあってね、店が忙しくなっちゃったの
すぐに夕飯作るからちょっと待っててちょうだいね」
「そんなに急がなくてもいいよお母さん、お店が忙しいのは仕方ないことだから、
ねえお父さん?」

申し訳ないという表情で苦笑いを浮かべる妻に、美亜はいつもの愛らしい笑みを
浮かべながら、ちらりと弘平の顔を見た。

「あ、ああ・・そうだな・・」

少しばかりの動揺が2度、3度の咳と相まってその言葉を詰まらせた。
美亜の落ち着きとは対照的に弘平にはその種の背徳意識のせいか、どこか落ち
着きのない態度に見えた。

「あら、あなた今日お風呂に入ったの?」
「え?え?あの・・それは・・だな・・」
「風邪はもういいのね、良かったわ、安心した。うふふ」

妻は優しい笑みを弘平に見せた。
だが、弘平にはそれが分からなかった。
その時、やはりというか、うつむいたままにいたからだった。

「それじゃあお母さん、美亜、宿題があるから部屋に戻るね、御飯出来たら呼んでよね」
「ええ分かったわ。今日は美亜の大好物のハンバーグ作るから楽しみにしててね」
「うわあ・・嬉しい!美亜すぐに宿題終わらせるわ」

子供らしく無邪気で嬉しそうな顔をしながら美亜は飛び跳ねるようにして
自分の部屋に入って行った。

「やれやれ、ああいう顔を見ると、まだまだ子供なのよねえ・・」
「そ、そうだな、なんたってまだ小学生なんだからな」

妻はビニール袋から食材を取り出しながら苦笑交じりに話した。
弘平も同様な思いであると表情を作って妻に向かって頷いた。

「でもね・・」

妻は、ふと手を止めて、先程までの表情とは一転して真顔な表情を弘平に向けた。
そして身を屈めながら小さな声でこそこそと喋り始めた。

「私の気のせいかもしれないけど・・ちょっと気になることがあってさ・・」
「な、なんだよ、気になることって?」

何かしら不穏な臭いが立ち込めてきた。
弘平は何とか平静を装いながら目の前に置いてあるタバコの箱に手を伸ばした。

「私ね、最近ずっと妙な視線を感じるのよね」

ドキリとした弘平。
思わず手にしたタバコを落としかけた。

「な、なんだよ、それってお前の気のせいだろ?は、はは・・」
「そう思いたいんだけど・・でも・・ねえ・・」
「で、でも、なんだい?」

内心の動揺を見せまいと、弘平は少し震える手つきで、ライターの火を着けると、
タバコの先に持って行った。
火が着くと、急ぎ1口、2口と一気に大きく吸い込んでいった。

「ひょっとしたら美亜に・・・って」

まさかとは思ったが、想定した名前が妻の口から出た瞬間、動揺が気管を
締め付けたせいか胸の中が一気にむせてしまった。

ゴボゴボッ・・・

あっという間に大量の紫煙が顔一面を覆い尽くしてしまった。
驚いた妻が慌てて弘平の背中を擦ってくれた。

「どうしたの?あなた。さっきから変よ」
「な、何でもないよ・・それより、その話は本当なのか?」
「まさかあ、ただ最近そんな気がするなあって思っただけよ、まああなたの言うとおり
私の思い違いって気がするわ、だからあまり気にしないで」
「だ、だったら聞くけど、お前、ここ最近あちらの家で、美亜と顔を会わした事は?」
「いいえ、私はずっと実家の店番を手伝ってたけど、あの子一度も来たことないわよ」

その妻の言葉に、冷たい感触があっという間に弘平の背中から首筋へと這っていった。

「お前、あちらで病人の看護していたんじゃないのか?」
「え、ええ、そうですけど、でも看護のほとんどはうちの姉がやってたわ。私はせいぜい
声を掛けるぐらいで・・まあ、あそこの夫婦は今でも結構ラブラブなのよね・・私も羨ま
しくって・・ああ私って何言っているんだろう・・あはは」

顔を赤くしながら話す妻に愕然とする弘平。
紫煙がぐらぐらと揺れ始めた。

「ひょ、ひょっとして・・あいつは・・」

その時・・弘平の脳裏に浮かんでいた美亜の笑顔に突如大きなひびが
入って粉々に砕けた。
震えながら小声で呟く弘平の顔は真っ青になった。
そんな弘平の異様な雰囲気に、妻も笑顔が消えた。

「どうしたの・・あなた?」

その時、手にしていたタバコの先の灰がテーブルに落ちた。

「見られているっていうのは・・その、俺たちの寝室ってことか?」
「そ、そうなの・・やっぱりあなたも感じた?私、ずっと気になっていて・・
こういったことは女の子だけに慎重に話をしないと・・・もしそうだとしたら
やっぱりそういうことに興味を持つ年頃になったってことだけど、ああ、でも、
ちょっと・・ああん恥ずかしいわ・・ねえあなたどうしたらいい?」

困った表情の妻は弘平の肩を何度も揺すった。
だが弘平は石のように固まったまま動かなかった。

その時、部屋から美亜が出てきた。
話し込む2人は、はっとして振り返った。

「やっぱりお母さんは分かっちゃってたのね、せっかくバレないように見ていたのに
ざあんねん・・これからどうしようか、ねえ・・お父さん?うふふ・・・」

                               (おわり)

[2006/09/17 初稿]
[2006/09/23 改定]

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eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。