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小説(転載) 『Y氏の場合』 1/3

近親相姦小説
07 /13 2018
いろいろな家族の形がある。

くねりながら振動

 高校を出てすぐに入った会社が公民鉛筆という会社で、昔は有名だったがボ
ールペンの普及とともに生産量が激減し、時代の波に乗り遅れた感じだった。
 会社に入って3年、当時(現在もだが)小型モーターで有名なマイニチ製作
所と共同で「電気鉛筆削り」を開発することになり、私も担当の末席に加わる
ことになった。
 開発した製品はあまり性能が良くなく、鉛筆を押さえるチャック(ぎざぎざ
の部分)がすぐに故障し、お客さんからのクレームだらけだった。
 来る日も来る日も製品の信頼性試験をやらされていた私はある発見をした。
 チャックが故障した製品は鉛筆の先端が回転刃に食い込んでしまうため、が
たがた振動して不規則に回転するので危険なのだが、電池の電圧を加減すると
マッサージに都合の良い振動が得られそうなのだ。
 私はそのことを上司に報告したが、「うちは健康器具を作る会社ではないん
だから、余計なことを考えないでまじめに仕事しろ」と一喝されてしまった。
 それでも私はその発見が気に入り、部品を家に持って帰っていろいろ検討し
てみた。ギヤを替え、シャフトの長さを工夫し、途中にクランクをつけるなど
の改造をした。
 その結果出来上がったのが「くねりながら振動」するバイブレータなのだ。
女性器に挿入して使用する「大人のおもちゃ」にはいろいろなタイプがある
ことは知っていたが、くねりながら振動するタイプは世の中に無かった。
 私は試作品作りの許可をもらうべく上司に頼み込んだが交渉結果は捗々しく
なく、「そんなくだらない製品を作るのは会社の恥だ」とか、「よしんば製品
ができたとしても、誰が売るんだ。お前が自分で売ってくるならいいが、営業
部では知らんぞ」と散々だった。
 ところが「捨てる神あれば拾う神あり」の例えどおり、社長の娘婿の森川常
務が大乗り気で、「それなら別会社でやろう」との一声で新規に会社を設立し
てくれた。資本金200万円の「株式会社バイブル」が設立され、私は若干21
歳で技術部長になった。
 コンドームを作っている岡野技研ゴムや下着メーカーのグンマ産業などが販
売に協力してくれ、連れ込み旅館やラブホテルなどでどんどん売れた。
 アダルトグッヅの専門店も買ってくれ、2年後に会社は資本金を1,000
万円に増資し、ぐんぐん成長していった。
 しかしいいことはそう続くものではなく、うちの製品を真似する業者が続出
し、製品の価格競争がはじまった。
 映画会社から来た営業部長が薬事法違反容疑で捕まったのを皮切りに、電気
用品取締り規則違反容疑で私と社長が捕まってしまった。
 営業部長は会社の業績を上げようとして「媚薬」を販売したのがいけなかっ
た。世田谷にあるハテナ化粧品という老舗の化粧品会社が作ったスキンローシ
ョンを、「中国四千年の歴史に培われた房中秘薬」とか「男がよみがえる特殊
ローション」などと言って販売したので薬事法違反に問われたのだ。
 パンフレットに書かれたような効果や効能はまったくない、きわめて普通の
化粧品をあたかも素晴らしい効果があるように誇大に宣伝したからだ。
 この業界はかなりいい加減なものでも「売れればいい」という業者が多く、
そうした業者をいちいち取り締まっていてはきりが無いので警察も「見て見ぬ
振り」をするのだが、うちの会社は急成長したので前から目をつけられていた
らしい。
 罰金30万円を払って営業部長が保釈された直後、今度は社長と私が捕まっ
てしまった。
 お風呂の中で低周波パルスを発生させることにより筋肉のコリをほぐしリラ
クゼーション効果を発揮する電気マッサージ機が電気用品取締法違反の疑いが
あると言うのだ。
 弁護士を使っていろいろやってみたが結局はだめで、これも罰金30万円取
られた。合計60万円の罰金を取られはしたが会社の儲けは桁違いに多く、3
億円近い販売額に対し利益は2億円以上に達した。
 社長以下逮捕された3人は会社の役員を続けることができないので、一応会
社を退職し、それぞれが独立して業務を継続することにした。
 私は製品の設計開発を担当し、社長が製造、営業部長が営業を担当すること
に決まった。総発売元はこれまでどおり株式会社バイブルだが、森川社長の弟
が新社長として就任した。
 こうして私は性交用具やSM器具などを設計開発専門の商売(と言っても個
人事業だが)をやるようになったのだ。


(2)へつづく・・・

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eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。