小説(転載) 紗枝の長い1日(後編)
近親相姦小説
題名 紗枝の長い1日(後編)
ホテル。
その独特の香りと雰囲気は紗枝にとって初めてではない。睦言を交し、お互いの肉体
を交し合った。彼は逢うたびに紗枝の体を求め、紗枝は羞恥を捨てて彼の望むがまま
に委ねた。いつも誘われ、従うだけ。性的好奇心だけで安直に生じた彼との交際だっ
たような気もする。判で押したように繰り返される男の誘いに紗枝は飽きていたの
だ。
最初の頃は、誘われるたびに、彼と励む行為を想って頬を赤らめたが、それも過去の
話だ。恋の蜜月というものは長くは続かない。彼をどこか醒めた目で見ている紗枝が
いた。紗枝の女の部分を露骨に貪る彼に、つまらない男の地金を見た思いがした。
彼に抱かれても、どこか満たされない。心底感じる事が出来ない。何かが足りない。
煮え切らないような漠然とした紗枝の心。欲求不満の一言で片付ける事はできない。
心の深部に知らず知らずのうちに溜まった澱(おり)が、徐々に紗枝の理性を侵食
し、胎内を疼かせた。近親相姦という禁断な行為。兄と繋がる自分の体を想い、背徳
感にのたうちながら身を焦し腰をくねらす。卑しい想像が心の深部に楔を打ち込み、
女はそれから逃れようがない。想像だけですら、これほど刺激的なものは他に無いよ
うに感じられた。紗枝の胸が黒い想像にふくれ上がる。
「この部屋にしよ。お兄ちゃ…!」
無人のフロントで紗枝はそう言いかけて慌てて口篭もった。自分達が兄妹だと誰かに
知られるのはまずい。こういう場所では、客の様子を別室からカメラやマイクで監視
しているものだ。只ならぬ関係を秘密にしなければ。否応なく紗枝の鼓動が高まっ
た。
久しぶりに湧き上がる緊張感。彼の時とは違い、自分から誘ったホテル。横に兄が佇
む。その兄に、これから抱かれると思うと、唇が震え、膝が揺れた。それでも慣れた
手つきで部屋を選択し、紗枝が先頭になって兄を導く。どちらも無言だ。柔らかなカ
ーペットが敷かれた通路を歩みだした時、紗枝の細い手が兄の腰に触れた。突然の紗
枝の行動に狼狽する兄。そっと兄に腕を絡ませながら耳元で紗枝が囁く。兄にしか聞
こえないほどの紗枝の呟き。
「お兄ちゃん、ムード出さないと、このホテルの人達から疑われからね。いかにも恋
人同士って格好しないと駄目だから、こうして腕を繋ぐの。分かった?」
「そ、そうなのか?!。あ、ああ!分かった」
わざと兄の腕を自分の胸に押し付けるような格好で刺激する。その柔かい感触にどぎ
まぎしている兄の顔が微笑ましい。紗枝の企み。胸に当たる彼の腕は、潤滑油の切れ
た機械人形のようにぎこちない。ランプが点滅する扉が見えてきた。紗枝が選んだ部
屋だ。
「私、シャワー使うね!お兄ちゃん。せっかくお金出して入った部屋だから、使わな
いともったいないし、それに汗かいちゃったから…。テレビでも見ててよ」
屈託の無い笑顔で、
「お兄ちゃんも一緒に入る?」
「!?」
「冗談で~す!覗かないでよね」
「ば、馬鹿!」
兄に軽口を言いながらバスルームに入った紗枝。かすかに「ジャー」と水が流れる音
が部屋に響く。あの音の中で紗枝は一糸まとわぬ姿なのだ。心が騒ぐ。駄目だ、変な
事考えるな!、と言い聞かせる。必死に理性を保っていたが、柔らかな妹の体をつい
想像してしまう。
ベットに腰を下ろして、ふーっと大きな溜息が出た。まだ妹の胸の感触が腕に残って
いる。兄は恥じていた。紗枝を女として見てしまったのだ。紗枝が腕を絡めてきた
時、思わず勃起してしまった。紗枝の胸は柔かかった。とにかく歯を食いしばって、
これ以上大きくならないように耐えた。そんな兄の心を知ったら紗枝は軽蔑するだろ
うと思う。
紗枝の体を見たい、直に触れてみたいが、紗枝には嫌われたくない。
紗枝に女を感じた自分の心を知られたくなかった。
シャワールームから出てきた紗枝の姿を見て驚いた。真っ白な備え付けバスローブを
身に着けていたのだ。唖然とした兄に構わず、思い詰めたような顔で兄に対峙した。
「お兄ちゃん…これが最後の提案なんだけど…その前に…お兄ちゃん…これから私が
することを黙って見ててね」
紗枝の指が腰に伸び、紐をするりと引いた。はらりと白い花びらが散るかように、肩
からバスローブが滑り落ちた。兄の目の前で一糸まとわぬ姿になって立ちすくむ。
「さ、紗枝っ…」
見てはいけないものを見てしまい、慌てて下を向こうとするが、紗枝の見事な肢体か
ら目が離せない。紗枝は真剣な顔で兄の顔に向かっていたが、その目は欲情で潤んで
いた。
兄の視線が紗枝の肌に刺さり、その部分から熱くなっていくのを感じ、肌が上気して
いく。兄に自分のすべてを晒した興奮で、頭の奥がぐらりとした。今、少しでも触れ
られたら、たちまち絶頂に達してしまう。固まってしまい、妹の裸体を凝視する兄に
向かって応える。声が少し震えていた。
「最後の提案は…お兄ちゃん、私を抱いて。」
「な、なんだって!紗枝、自分が何を言ってるのか…」搾り出すような兄の声を遮っ
て、
「じゃあ、お兄ちゃんも脱いで…見せてよ。早く!」
「お、お前…」
「お兄ちゃんの、あそこを見れば、お兄ちゃんの言うことが本心かどうか分かるか
ら。私の裸を見て興奮してるのなら、我慢しなくたっていいじゃない!ね」
「…」
「お兄ちゃん、私がいいって言ってるのよ。誰にも言わないから。二人だけの秘密に
しようよ。私の体で練習すればいいんだから。恥ずかしがることないよ。兄妹だか
ら」
これまで男の本能を我慢していた兄は、いわば危険な「可燃物」のようなものだ。火
気が近づけばの話だが…。紗枝の肢体は「火気」としては充分すぎる。抑圧している
その分だけ噴出力も強いから見る見るうちに兄は手のつけられない火達磨になる。
何かが頭の中で切れた。
「紗枝…本当にいいのか?」
「うん。いいよ。お兄ちゃんも脱いで」
兄の締まった筋肉が眩しいくらいにキリッとして見えた。あの夢と同じ。いやそれ以
上の興奮に瞳を輝かせて兄の男を見つめる紗枝。肉棒は想像以上に逞しく、上に向か
って突き上げていた。思わず腰がへたりそうになるのを堪える。
「…凄い、お兄ちゃんの体」
全裸で対峙する兄と妹。どちらも興奮しきって小刻みに揺れている。神聖な儀式のよ
うな情景。
「お兄ちゃん、触ってもいい?」
「ああ」上ずった声。
紗枝の細い指が兄の肉棒の先に触れ、大きさを確かめるように、やさしく握る。
「お兄ちゃんも触って」
無言で、紗枝の柔らかな乳房を手のひらに包み込む兄。どう扱ってよいのか分からな
い戸惑いが腕の動きに感じられる。それをやさしく引き寄せ、自分の腰へ誘導した。
兄の指先が紗枝の敏感な部分を探り当てた瞬間、早くも達してしまった。すでに紗枝
の太股は胎内から溢れたもので濡れていた。
蜜壷の中で蠢く兄の指を全身に感じ、立っていられなくなり、ベットに倒れこむ。そ
れを妹の「サイン」と勘違いした兄。
兄は解き放たれた獣のような荒々しさで紗枝を組み敷き本能の赴くまま彼女の胎内に
一気に侵入した。
「ああっ!お兄ちゃん。待って…まだ…」
そんな紗枝の叫びも頭に届かない兄。紗枝の肉襞に強引に割り込み欲望を吐き出そう
と激しく動く。
「紗枝、紗枝!好きだ!」
口走りながら、これまで抑圧されたものを一気に紗枝の中で爆発させようとしてい
た。歯止めがきかない兄。既に理性が切れて、ただ紗枝の体を貪りつくす。
「お兄ちゃん!駄目。ちょっと待って、出さないで!まだ準備が…」
あっという間に登りつめた兄が大きく腰を反らせた瞬間!
「ううっ!」
「ああっ、嫌あぁぁっ!だめっ。」
紗枝の奥底で大きく弾ける感触。自分以外の熱い粘液に満たされた。壊れそうなほど
激しい肉棒の痙攣。(ああっ、熱いっ。 もう…どうなってもいい)
まるで犯されたような紗枝。大量の精液を全て受け入れてしまった胎内はまるで蜜壷
のようにとろけて兄の肉棒を包み込み、最後の一滴まで搾り出そうと締める。
(あぁ。中で出されちゃった…。「待って」って言ったのに。今日は危なかったのに
な~)
心でそう呟くも、これが紗枝の願望だったので兄を無下に責められない。ただ、もっ
と長く感じたかったと思う。だが兄にはそんな余裕など無かった。兄の初めての女は
紗枝になった。
これからも決して忘れる事ができない存在。
「…ごめん、紗枝」
兄が謝る理由が、乱暴なセックスをした事なのか、無防備な膣に射精した事なのか、
自分だけあっという間に達してしまった事なのか、分からなかった。
淫夢とは若干筋書きが違ってはいたが、願望は一応叶えられた。よろよろとベットか
ら上体を起こし兄と離れる。どちらも汗びっしょりでシーツを湿らせていた。息を整
える紗枝。
「お兄ちゃん…気持ちよかった?」
「ああ。最高だったよ」
「あ、そう。それは良かったね。おめでとう初体験できて。でもね、お兄ちゃん!」
「ん?」
「私が妊娠したらどうするつもりなの?」
「!…」
まるで、親に叱られて小さくなってる子供のような兄の姿がかわいい。
顔はうなだれているが。まだ兄の怒張は収まっていない。可笑しくて、口元が微笑
む。
「大丈夫(…たぶん)だから、お兄ちゃん、安心してよ」
いたずらっ子のような表情で優しく耳元で囁く。
「お兄ちゃん、とっても素敵だったよ。本当は私も凄く感じてたの…」
兄とセックスする夢や、兄を想って自慰した事まで目の前で披露する紗枝。お互い全
裸のままで。欲情して唇を貪りあい性器を啜り合った。
紗枝の唇に包まれた肉棒が弾け、たちまち口内を満たす体液。吐き出された白い汚濁
を飲み込む妹、その喉の動きを満足そうに眺める兄。妹の乳房に執着し、掻き分ける
ように肉襞の奥に舌を這わせる。
甘い香りのする果実のような妹の裸体を飽きることなく味わう。
妹は自ら進んで手や唇を動かし、兄の欲望の証を顔に受ける。
本来なら決して出逢うことなど叶わなかった兄の精液が妹の細胞一つ一つに染み込ん
で、妹を変質させていくような錯覚。飽くなき妄想と相手への性欲。
セックスは欲望を遂げれば沈静する。だが、血の繋がった相手同士だと話は違う。
すればするほどのめり込む。お互いの分泌した体液で溺れてしまう。いくらセックス
しても尽きないのだ。ますます昂ぶる兄妹…。
紗枝が考え及ばなかった事だ。近親相姦の罪。
お互いが離れられなくなってしまう魔力。麻薬そのものだ。
紗枝は彼氏と別れ、兄との関係にのめり込んだ。兄もまた紗枝だけの世界になった。
澱んだ沼の中で一生を過ごす魚のように、暗澹とした奈落に沈んでいく二人。
だが、いわゆる我々のような「保菌者」から見れば、この二人は幸せであると心から
思う。
ここに幸あれ。
[終]
[2000/06/08]
ホテル。
その独特の香りと雰囲気は紗枝にとって初めてではない。睦言を交し、お互いの肉体
を交し合った。彼は逢うたびに紗枝の体を求め、紗枝は羞恥を捨てて彼の望むがまま
に委ねた。いつも誘われ、従うだけ。性的好奇心だけで安直に生じた彼との交際だっ
たような気もする。判で押したように繰り返される男の誘いに紗枝は飽きていたの
だ。
最初の頃は、誘われるたびに、彼と励む行為を想って頬を赤らめたが、それも過去の
話だ。恋の蜜月というものは長くは続かない。彼をどこか醒めた目で見ている紗枝が
いた。紗枝の女の部分を露骨に貪る彼に、つまらない男の地金を見た思いがした。
彼に抱かれても、どこか満たされない。心底感じる事が出来ない。何かが足りない。
煮え切らないような漠然とした紗枝の心。欲求不満の一言で片付ける事はできない。
心の深部に知らず知らずのうちに溜まった澱(おり)が、徐々に紗枝の理性を侵食
し、胎内を疼かせた。近親相姦という禁断な行為。兄と繋がる自分の体を想い、背徳
感にのたうちながら身を焦し腰をくねらす。卑しい想像が心の深部に楔を打ち込み、
女はそれから逃れようがない。想像だけですら、これほど刺激的なものは他に無いよ
うに感じられた。紗枝の胸が黒い想像にふくれ上がる。
「この部屋にしよ。お兄ちゃ…!」
無人のフロントで紗枝はそう言いかけて慌てて口篭もった。自分達が兄妹だと誰かに
知られるのはまずい。こういう場所では、客の様子を別室からカメラやマイクで監視
しているものだ。只ならぬ関係を秘密にしなければ。否応なく紗枝の鼓動が高まっ
た。
久しぶりに湧き上がる緊張感。彼の時とは違い、自分から誘ったホテル。横に兄が佇
む。その兄に、これから抱かれると思うと、唇が震え、膝が揺れた。それでも慣れた
手つきで部屋を選択し、紗枝が先頭になって兄を導く。どちらも無言だ。柔らかなカ
ーペットが敷かれた通路を歩みだした時、紗枝の細い手が兄の腰に触れた。突然の紗
枝の行動に狼狽する兄。そっと兄に腕を絡ませながら耳元で紗枝が囁く。兄にしか聞
こえないほどの紗枝の呟き。
「お兄ちゃん、ムード出さないと、このホテルの人達から疑われからね。いかにも恋
人同士って格好しないと駄目だから、こうして腕を繋ぐの。分かった?」
「そ、そうなのか?!。あ、ああ!分かった」
わざと兄の腕を自分の胸に押し付けるような格好で刺激する。その柔かい感触にどぎ
まぎしている兄の顔が微笑ましい。紗枝の企み。胸に当たる彼の腕は、潤滑油の切れ
た機械人形のようにぎこちない。ランプが点滅する扉が見えてきた。紗枝が選んだ部
屋だ。
「私、シャワー使うね!お兄ちゃん。せっかくお金出して入った部屋だから、使わな
いともったいないし、それに汗かいちゃったから…。テレビでも見ててよ」
屈託の無い笑顔で、
「お兄ちゃんも一緒に入る?」
「!?」
「冗談で~す!覗かないでよね」
「ば、馬鹿!」
兄に軽口を言いながらバスルームに入った紗枝。かすかに「ジャー」と水が流れる音
が部屋に響く。あの音の中で紗枝は一糸まとわぬ姿なのだ。心が騒ぐ。駄目だ、変な
事考えるな!、と言い聞かせる。必死に理性を保っていたが、柔らかな妹の体をつい
想像してしまう。
ベットに腰を下ろして、ふーっと大きな溜息が出た。まだ妹の胸の感触が腕に残って
いる。兄は恥じていた。紗枝を女として見てしまったのだ。紗枝が腕を絡めてきた
時、思わず勃起してしまった。紗枝の胸は柔かかった。とにかく歯を食いしばって、
これ以上大きくならないように耐えた。そんな兄の心を知ったら紗枝は軽蔑するだろ
うと思う。
紗枝の体を見たい、直に触れてみたいが、紗枝には嫌われたくない。
紗枝に女を感じた自分の心を知られたくなかった。
シャワールームから出てきた紗枝の姿を見て驚いた。真っ白な備え付けバスローブを
身に着けていたのだ。唖然とした兄に構わず、思い詰めたような顔で兄に対峙した。
「お兄ちゃん…これが最後の提案なんだけど…その前に…お兄ちゃん…これから私が
することを黙って見ててね」
紗枝の指が腰に伸び、紐をするりと引いた。はらりと白い花びらが散るかように、肩
からバスローブが滑り落ちた。兄の目の前で一糸まとわぬ姿になって立ちすくむ。
「さ、紗枝っ…」
見てはいけないものを見てしまい、慌てて下を向こうとするが、紗枝の見事な肢体か
ら目が離せない。紗枝は真剣な顔で兄の顔に向かっていたが、その目は欲情で潤んで
いた。
兄の視線が紗枝の肌に刺さり、その部分から熱くなっていくのを感じ、肌が上気して
いく。兄に自分のすべてを晒した興奮で、頭の奥がぐらりとした。今、少しでも触れ
られたら、たちまち絶頂に達してしまう。固まってしまい、妹の裸体を凝視する兄に
向かって応える。声が少し震えていた。
「最後の提案は…お兄ちゃん、私を抱いて。」
「な、なんだって!紗枝、自分が何を言ってるのか…」搾り出すような兄の声を遮っ
て、
「じゃあ、お兄ちゃんも脱いで…見せてよ。早く!」
「お、お前…」
「お兄ちゃんの、あそこを見れば、お兄ちゃんの言うことが本心かどうか分かるか
ら。私の裸を見て興奮してるのなら、我慢しなくたっていいじゃない!ね」
「…」
「お兄ちゃん、私がいいって言ってるのよ。誰にも言わないから。二人だけの秘密に
しようよ。私の体で練習すればいいんだから。恥ずかしがることないよ。兄妹だか
ら」
これまで男の本能を我慢していた兄は、いわば危険な「可燃物」のようなものだ。火
気が近づけばの話だが…。紗枝の肢体は「火気」としては充分すぎる。抑圧している
その分だけ噴出力も強いから見る見るうちに兄は手のつけられない火達磨になる。
何かが頭の中で切れた。
「紗枝…本当にいいのか?」
「うん。いいよ。お兄ちゃんも脱いで」
兄の締まった筋肉が眩しいくらいにキリッとして見えた。あの夢と同じ。いやそれ以
上の興奮に瞳を輝かせて兄の男を見つめる紗枝。肉棒は想像以上に逞しく、上に向か
って突き上げていた。思わず腰がへたりそうになるのを堪える。
「…凄い、お兄ちゃんの体」
全裸で対峙する兄と妹。どちらも興奮しきって小刻みに揺れている。神聖な儀式のよ
うな情景。
「お兄ちゃん、触ってもいい?」
「ああ」上ずった声。
紗枝の細い指が兄の肉棒の先に触れ、大きさを確かめるように、やさしく握る。
「お兄ちゃんも触って」
無言で、紗枝の柔らかな乳房を手のひらに包み込む兄。どう扱ってよいのか分からな
い戸惑いが腕の動きに感じられる。それをやさしく引き寄せ、自分の腰へ誘導した。
兄の指先が紗枝の敏感な部分を探り当てた瞬間、早くも達してしまった。すでに紗枝
の太股は胎内から溢れたもので濡れていた。
蜜壷の中で蠢く兄の指を全身に感じ、立っていられなくなり、ベットに倒れこむ。そ
れを妹の「サイン」と勘違いした兄。
兄は解き放たれた獣のような荒々しさで紗枝を組み敷き本能の赴くまま彼女の胎内に
一気に侵入した。
「ああっ!お兄ちゃん。待って…まだ…」
そんな紗枝の叫びも頭に届かない兄。紗枝の肉襞に強引に割り込み欲望を吐き出そう
と激しく動く。
「紗枝、紗枝!好きだ!」
口走りながら、これまで抑圧されたものを一気に紗枝の中で爆発させようとしてい
た。歯止めがきかない兄。既に理性が切れて、ただ紗枝の体を貪りつくす。
「お兄ちゃん!駄目。ちょっと待って、出さないで!まだ準備が…」
あっという間に登りつめた兄が大きく腰を反らせた瞬間!
「ううっ!」
「ああっ、嫌あぁぁっ!だめっ。」
紗枝の奥底で大きく弾ける感触。自分以外の熱い粘液に満たされた。壊れそうなほど
激しい肉棒の痙攣。(ああっ、熱いっ。 もう…どうなってもいい)
まるで犯されたような紗枝。大量の精液を全て受け入れてしまった胎内はまるで蜜壷
のようにとろけて兄の肉棒を包み込み、最後の一滴まで搾り出そうと締める。
(あぁ。中で出されちゃった…。「待って」って言ったのに。今日は危なかったのに
な~)
心でそう呟くも、これが紗枝の願望だったので兄を無下に責められない。ただ、もっ
と長く感じたかったと思う。だが兄にはそんな余裕など無かった。兄の初めての女は
紗枝になった。
これからも決して忘れる事ができない存在。
「…ごめん、紗枝」
兄が謝る理由が、乱暴なセックスをした事なのか、無防備な膣に射精した事なのか、
自分だけあっという間に達してしまった事なのか、分からなかった。
淫夢とは若干筋書きが違ってはいたが、願望は一応叶えられた。よろよろとベットか
ら上体を起こし兄と離れる。どちらも汗びっしょりでシーツを湿らせていた。息を整
える紗枝。
「お兄ちゃん…気持ちよかった?」
「ああ。最高だったよ」
「あ、そう。それは良かったね。おめでとう初体験できて。でもね、お兄ちゃん!」
「ん?」
「私が妊娠したらどうするつもりなの?」
「!…」
まるで、親に叱られて小さくなってる子供のような兄の姿がかわいい。
顔はうなだれているが。まだ兄の怒張は収まっていない。可笑しくて、口元が微笑
む。
「大丈夫(…たぶん)だから、お兄ちゃん、安心してよ」
いたずらっ子のような表情で優しく耳元で囁く。
「お兄ちゃん、とっても素敵だったよ。本当は私も凄く感じてたの…」
兄とセックスする夢や、兄を想って自慰した事まで目の前で披露する紗枝。お互い全
裸のままで。欲情して唇を貪りあい性器を啜り合った。
紗枝の唇に包まれた肉棒が弾け、たちまち口内を満たす体液。吐き出された白い汚濁
を飲み込む妹、その喉の動きを満足そうに眺める兄。妹の乳房に執着し、掻き分ける
ように肉襞の奥に舌を這わせる。
甘い香りのする果実のような妹の裸体を飽きることなく味わう。
妹は自ら進んで手や唇を動かし、兄の欲望の証を顔に受ける。
本来なら決して出逢うことなど叶わなかった兄の精液が妹の細胞一つ一つに染み込ん
で、妹を変質させていくような錯覚。飽くなき妄想と相手への性欲。
セックスは欲望を遂げれば沈静する。だが、血の繋がった相手同士だと話は違う。
すればするほどのめり込む。お互いの分泌した体液で溺れてしまう。いくらセックス
しても尽きないのだ。ますます昂ぶる兄妹…。
紗枝が考え及ばなかった事だ。近親相姦の罪。
お互いが離れられなくなってしまう魔力。麻薬そのものだ。
紗枝は彼氏と別れ、兄との関係にのめり込んだ。兄もまた紗枝だけの世界になった。
澱んだ沼の中で一生を過ごす魚のように、暗澹とした奈落に沈んでいく二人。
だが、いわゆる我々のような「保菌者」から見れば、この二人は幸せであると心から
思う。
ここに幸あれ。
[終]
[2000/06/08]
コメント