小説(転載) Coffee Shop 7/7
官能小説美知が目覚めると、見知らぬ天井が見える。ゆっくり上半身を起こすと、ちゃんと服も着ている。
「夢…だったの?」
恥ずかしい夢を見てしまい、美知の顔が一気に赤くなる。
「きゃっ」
起きあがろうした美知は、がくっと逆に倒れ込んだ。
「気が付いた?」
慌てて首をあげると、そこには竹内の顔がある。竹内が起きあがろうとする美知の腕を引っ張ったのだ。
「ここ、俺のマンション。」
自分の状況が理解できない美知に、竹内は説明した。
美知は失神したまま気が付かず、竹内が服を着せ、抱きかかえて帰ってきたらしい。管理人には途中で貧血を起こしたと言い訳したが、たぶん信じていないだろうと竹内は笑った。
「しょ、書類は?」
同僚に頼まれた書類はどうしたのか、と美知は聞きたいらしい。竹内はさらに笑って、
「届けてきたよ。あいつ、えらくすまなさそうに謝るから、今回の件については、俺の方が感謝してるって言って置いた。」
明日から、資料室に行ったらにやけちゃうなあ、と竹内はうれしそうに笑った。
夢ではなかったのだ。美知は自分の姿を思い出し、一気に恥ずかしくなった。
「やっと主導権を握れたって感じ。」
美知の躰を抱きしめ、竹内はつぶやいたあと、ちらりと時計を見た。
「まだ、時間あるよ。…一緒に風呂に入ろ。」
「えっ…だ…だめ。だめです。」
竹内に手を引っ張られ、美知は懸命に首を振る。竹内はシャツとズボンを脱ぎ、トランクスだけになると、無理矢理美知のセーターを脱がせようとした。美知は竹内から逃れようともがいている。
「そう……そんなに嫌なら……」
竹内はそう言うと、美知を背後から抱きかかえ、首筋に唇をあてた。美知の全身がびりりと痺れる。
「美知の弱点……知ってる……。」
美知の耳元で竹内がささやき、そのまま唇で刺激し始めた。小さな悲鳴をあげる美知の服を脱がせた竹内は、裸の美知を持ち上げてバスルームに入っていった。
恥ずかしそうに両手で躰を隠す美知にシャワーをあてた後、自分もさっと浴びた竹内は、空の浴槽に美知を抱えて腰を下ろした。蛇口から勢いよくお湯が流れ出し、二人の座る空の浴槽にお湯が張られていく。
「こっち向いて座って。」
恥ずかしがる美知に、竹内は強引に自分の太ももをまたがせ座らせた。竹内は両手を美知の腰にまわし、美知をゆっくりと抱き寄せる。
「昨日はごめんね。あんな場所で…。俺さ、喫茶店できみを見かけてから、いつか声をかけようって思ってたんだ。だから…すごく嬉しかった。告白されたのも、昨日のきみの反応も…。」
竹内の言葉に、美知は竹内の胸にしがみついた。
「あ…だめ…。」
突然、竹内が声をあげる。美知が驚いて竹内の顔を見ると、竹内の顔が少し赤くなっていた。
「どう…したんですか?」
「胸……美知の胸があたって、目が覚めちゃった。」
照れくさそうな竹内のつぶやきは、美知の下腹部にあたるものを指していた。美知が慌てて躰を浮かせると、竹内は美知の腰を片腕で抱きかかえ、美知の股間に自分のものをあてがった。
「だめです。そんな……動かさないで……や…っ……」
「美知の中に…入りたい。」
美知の秘部を男根の先でなぞり、竹内は美知の愛液を誘い出す。
無防備に開かれた美知の秘部は、竹内の感触に反応を示し始めていた。
「竹内さ…ん……ず…るい…あっ……」
美知の躰がゆっくりと引き寄せられるように、竹内を受け入れていく。数時間前の熱い行為が、美知の躰に種火として残っていたらしく、美知の躰は急激に熱くなっていく。浴槽は竹内の胸のあたりまでお湯がたまり、竹内は蛇口をひねった。急に静かになった浴室の中で、竹内は美知の顔を見つめる。
「動いてもいい?」
美知は、うなずくしかなかった。じっとしていると、自分から腰を動かしそうになってしまう。
「あっ……んんっ……た…竹内…さ…ん……」
竹内は下からゆっくりと美知を突き上げ始めた。浴槽の水面が大きく揺れる。
「今日は…会社に行きたくないな…。」
片手で美知の腰を支えながら美知を突き上げる竹内は、もう片方の手を美知の頬に手をあてる。頬をピンク色に染め、潤んだ瞳で竹内を見つめる美知を手放せそうにない。
「んっ……はぁっ……はぁぁっ……あぅっ……」
ちゃぷんっ…ちゃぷんっ…ちゃぷんっ、ちゃぷんっ…
水面が音を立て、浴室内に響き渡った。
「恥ずかしいことばかりするんだもの…竹内さん。」
風呂からあがり、ベッドで竹内に抱きしめられながら、美知はうらめしそうにつぶやいた。美知にとって、思いを寄せていた竹内にされることはすべて恥ずかしく感じていた。顔を見つめられるだけで頬が染まる。
「恥ずかしいこと…?…そうかなぁ。それほどでもないと思うんだけど。」
竹内は美知の髪をなでながら、美知の顔を見つめた。
「それじゃあ、今夜はもっと恥ずかしくしてやろっかな…。…っと、ぼちぼち行かないと…。」
美知に軽くたたかれ、竹内は起きあがると、服を着始めた。会社に行く時間が近づいていた。美知もふとんの中でごそごそ動いている。ふと、竹内はカレンダーに目をやった。
「今度の連休、空いてる?」
竹内の問いに、美知はうなづく。
「そう、じゃ、一緒に俺の地元に連れてく。」
しばらくして竹内の会社のデスクマットの下には、同窓会の写真と、竹内の家族と笑う美知の写 真がはさまっていた。
~終わり~
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