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小説(転載)  彼女は嘘つき  下

官能小説
01 /05 2019
その数日後、だったと思う。
学校も始まり、あれやこれや考える事の多くなった俺は、バイトでちょっとしたミスを犯した。
まあ、ミスといってもそんなに重大なものではなく、他のバイトや社員の人でもよくやっているような凡ミス。
なんだけど・・・なぜか所長がそれを咎め、俺は結構な人がいる事務所の中でかなりきつく叱られてしまったんだ。
当然、何故!? って思った。
他の人はしょっちゅうやってる失敗だし、俺は今まで失敗らしい失敗をした事は少なく、怒られるだなんて思わなかったのに。
事務所には松山さんもいて、鉛筆を持った手を止めてこっちの様子を見てた。
俺はその視線がたまらなく歯痒くて、悔しくて、何時しか「納得出来ない!」と所長に歯向かってしまっていた。
今まで「甘えてる」と思われないように頑張ってきたのは何だったんだ!?
結局は俺みたいな子供っぽいのが真面目に仕事しても、誰も認めてくれないのか!?
・・・と、もの凄くやるせない気持ちで一杯になって。
そしたら脂ぎった所長はさらに怒り、最近の俺のやる気がない態度も気になってたんだって怒鳴りやがったんだ。
やる気がない態度って・・・俺なんかより凄まじくやる気が無いバイトなんて他にもいるのに、何で今さら・・・。
事務所にいるみんなの視線が、松山さんの視線が、所長と一緒になって俺を責めているみたいだった。
結局、松山さんも所長も、周りの奴らだって同じ・・・・・・!!
それから先は何を言ったかも覚えて無く、ただ「もうやめてやる、やめてやる」って言葉がぐるぐる脳ミソ回ってた。
ぐるぐるぐるぐると・・・。
その後、「お疲れさまっ!」と言い捨て事務所を飛び出す時に見た松山さんの眉根を寄せた表情が、「甘いのよ」って言ってる気がしてしょうがなかった。



次の日、学校が終わって家に帰った俺は、ムシャクシャした気持ちを抱えながらまた外出した。
たまたまバイトは休みの日で(と言っても、もう行く気はなかったけど)とにかく家にじっとしているのは嫌だったんだ。
町中に出た時にはもう五時過ぎになっていて、辺りは暗くなり始めてきてた。
俺は上着をあまり着込んでこなかった事を後悔しつつ、小物を眺めたり本屋で立ち読みしたりして時間をつぶした。
そうしてると、嫌なバイトの事も忘れられる気がしたから。
でも、前日にあった腹立ちをそんなすぐ忘れられるはずもなく、何をしてても怒りが心の奥から沸き上がってくる。
それと同時に、いざやめるとなると、どっか淋しいって気持ちが感じられるのも確かだった。

「・・・けっ、なにが!」

そうこうしているうちに時間は過ぎていき、そろそろ帰ろうかと町中を抜けて家の方へ向かって歩いていた時だ。
俺はまるで何かに吸い寄せられるように、いっちばん会いたくなかった人と会ってしまったんだ。



俺の家は駅から2km位離れた所にある。
駅周りの繁華街から家に帰るには、大通りを真っ直ぐに行って脇道に入るのが速い。
のだけれど、その日はちょっと寄り道して帰りたい気分でもあり、普段通らない道で帰る事にした。
大通りを通らずに街灯の少ない二車線の道をずっと歩くと、しばらくしてケバケバしいネオンの灯ったホテルがある。
そこはこの辺りで唯一のラブホテルで、通学路が近くにあるにもかかわらず突然建てられた事から、色々問題視されているホテルだった。
そのホテルの横を何気なく通り過ぎ、近くにある安さが自慢の小さなスーパーの前に差し掛かった時だ。
俺の横を黒いセダンが通り過ぎ、スーパーの前に横付けした。
俺はその車を見て、どこかで見た事ある車だというのはすぐに分かった。
何となく嫌な予感がしつつ、そっちに向かって歩いていくと、助手席から黒いコートを着た女の人が降りてきたのが見えた。
女性を降ろした車はすぐに何処かへ行き、目の前の道には俺とその女性だけ。
一見して主婦、割と背が高く細身で、ショートカットの髪は綿菓子のように緩いウェーブがかかってる・・・。
俺は「マズイ!」と思い、すぐラブホテルに向かってUターンしようとしたんだけれども、二人が目を合わせてしまう方が早かった。

「あっ・・・」

暗闇の中でも、松山さんは俺だとすぐに気付いたみたいだった。
やっぱり息子の車だったのかと俺は小さく舌打ちしたが、もう遅いとそのまま松山さんの横を素早く通り過ぎる事にしたんだ。

「・・・」

嫌な雰囲気の中、松山さんの横を通り過ぎて行くと、少し歩いたところで「ちょっと」と呼び止める声が聞こえた。
無視しようかどうしようか・・・。
俺が足を止めずにいると、今度はもっと大きな声で「生田君」と呼び止められた。

「・・・なんすか」

俺は立ち止まり、振り向かずに聞き返すと、コツコツとヒールの音をさせて松山さんが近寄ってくるのが判った。
昨日の事をまた言うつもりなのか、なんなのか・・・。
走って逃げ出したいような気分と沸き上がってくる怒りとで、瞬時に胸が一杯になる。

「あのさ、昨日の事」

やっぱり・・・と思い、ちょっとだけ振り返ると、思ったより近くに来てた松山さんの顔が街灯で照らされた。
ちょっと怒っているような真剣な面持ち。

「なんですか」
「あの、気にする必要ないから。あの後ね、みんな「それはないだろ」って所長さんに言ってあげて、所長さんも反省してたから」
「・・・そうすか」
「うん、そう。私もね、ちょっと大声出したりして所長さん怒ったのよ」
「へぇ・・・別に無理しなくてもいいのに。どうせやめるんだから」
「無理とか言うんじゃなくてさ、生田君真面目にやってるのに、あんな怒り方はないからと思って、私・・・」
「ふぅん、そうですかあ」

自分がやってあげたって事を強調する松山さんに、俺は力一杯どうでもいいような返事をしてやった。
何が真面目にやってる、だ。ちょっと前までは所長と同じような事言ってたくせに、と。

「とにかく、もういいから。俺、明日から行きませんよ」
「いや、だからね・・・」
「いいです、やめますって。別に、昨日怒られた事だけが理由じゃないし」

俺は松山さんを睨み付けて言ってやった。
すると、少しカチンときた様子で松山さんは、

「何よ。他に何があるの?」

と、俺の目を見返してきたんだ。
でも俺は、この人に何か言ってもしょうがない事分かってたから、そのまま無視して歩いていこうとした。

「ちょ、ちょっと待ちなよ。・・・また何も言わない気?」

溜め息と一緒に言うような、もの凄く呆れた様子の声。
怒りの形相で振り返る俺に、畳み掛けるように松山さんは続けた。

「あなた、やっぱり男らしくないのよ。この前、何か不満があるんだったら言うって言ったじゃない! それなのに口きかなくなって・・・」

どうしようもないガキね、って言い方に、当然俺はキレた。メチャクチャキレた。
認めもせずに、平等に扱いもせずに、また男らしくないだと・・・!

「********!!!」
「********!!!」

前にはスーパー、背後にはラブホテルという場所で、俺と松山さんは激しい言い争いになった。
何を言ったかも覚えてないような激しい応酬。
周りの人が何事かと歩みを止めたっても、俺は全然気にならなかった。

「ウソツキ、言い触らし魔!! 言う事全部ウソ、前のTELだって、今日の事だって、すぐみんなが知るんだろっ!!」
「なっ!? まだそんな事・・・!」
「何も言わないから言わないからって、言ったってどうせ何も聞いてくれなくて、みんなに言い触らされるだけじゃないか! 俺が言って、なんかしてくれた事あんのかよ!!」

何も思い浮かばないのだろう、松山さんは困った顔をした。
でもすぐに言い返してくる。

「そ、そんな事覚えてないけど・・・。でも、言い触らすって何よ! 何で言っちゃいけないの!?」
「じゃ、なんで他の人の事は俺に嘘ついてまで黙ってんだよっ!!」
「そ、それは、別に話すような事じゃないと・・・」

そういって松山さんは口籠もった。
何で認めないんだろう、何で謝らないんだろう。やっぱり俺をガキだと思ってるからか?
これが最後、もうやめるんだと思ったら、何でも言える気がした。

「松山さんは背の高い男が好きなんですよね。カッコいい男の頼みだったら聞くけど、俺みたいなんだったら聞かないんですよね。・・・いい歳して気持ち悪い」
「なっ!? なによ、それ・・・!」
「そんな差別してんのに認めないんだからなぁ・・・。それで平等だとか言うんだから・・・」

俺は思いっきり鼻で笑ってやると、松山さんは更に顔を赤くして言った。

「じゃあ、あなたは・・・生田君は、私のために何かしてくれたの? ろくに話しもしないで、ただ自分の仕事してるだけじゃない!」
「それは他の人だって同じじゃないか!」
「それに、差別差別って言うけど、誰に何をしてあげるかは私の勝手じゃない! そう言うあなただって、クラスのみんな全員に同じ接し方してる訳じゃないでしょ!?」
「・・・そりゃ、どうでもいいように思ってる奴もいるけど、そいつらから嫌われたり無視されたりするのは当たり前だと思ってるよ。誰かみたいに、どうして話してくれないの? なんて事言わないし」
「ん・・・だ、だから私は別に差別したりなんか・・・。」
「はいはい、平等平等・・・」

俺はそこまで言って、もう帰ろうとした。
参ったのか呆れたのか、松山さんはもう言い返せないみたいだし、これだけ言えれば満足だと思ったんだ。
松山さんの瞳はちょっと潤んでいて、華奢な身体を包むコートが震えているのが見えた。
そうして松山さんを置いたままスーパーに向けて歩き出したんだけど、しばらくして小さーく呼び止める声が聞こえて、俺はちょっと振り返った。
松山さんは少し俯き、爪を噛んでいるのか手を口に持っていってる。
泣いてるのか? と思ったけど、そうではないみたいだった。
明らかに変な様子に、「何?」と聞くかこのまま帰ろうか迷っていると、松山さんは怒りを秘めたような、トーンを下げた声でこう言った。

「・・・分かったわよ。じゃ私、何でもしてあげるわよ。何がして欲しいの?」

口をとんがらせて拗ねたような口調。
何を言いたいのかよく解らなくて黙っていると、

「何か、あなただけにしてあげればいいんでしょ。いいわよ、してあげるわよ」
「・・・誰もそんな事言ってないだろ!」
「言ったじゃない! さあ、何がいいの。何でもいいわよ。・・・そこのホテルにでも入る!」

投げやりなその発言に俺はまた怒り、二人は再度言い合いになった。

「だから。私は生田君のお母さんでも奥さんでもないんだから、特別な事は出来ないでしょ! みんな一緒に扱わなくちゃいけないんだから」
「だから。特別な事しろだなんて言った事は無いだろ!? みんなと一緒の事しか頼んでないのに、それもしてくれないんじゃないかっ!!」
「で、でも、してあげないなんて言った事は無いじゃないっ! ・・・分かった、いいわよ、分かったわよ。特別な事でも何でもしてあげるわよ!」

それから、松山さんは俺の怒りに油を注ぐように「してあげる、してあげる」を繰り返した。
「ホテルに入って、奥さんみたいな事してあげようか」とも・・・。
俺はその言葉が「参った? このガキ!」と言ってるようにしか聞こえなくて、少し高い位置にある松山さんの目を見ながら言ってやったんだ。

「じゃ入ろ、入ろ。入ろうよ。入って何してくれるの、オバサン!」

って。
すると憎たらしい事に松山さんはお澄まし顔で「いいわよ」と言い捨て、スタスタとケバいネオンの方へ歩き始めた。
一瞬取り残された俺だったけど、ここで行かなきゃ負けだと思い、ロングスカートから覗く足首を目標に追いかけた。
ほとんどその場の勢いだけで。
どうせすぐ帰ろうと言い出すに決まってる、と。



二人ともが怒りの状態でラブホテルの小さな入り口をくぐると、フロント前にカップルが一組、そしてホールの中央にでーんと部屋の写真が貼られたパネルが置いてあった。
入室する時は入りたい部屋のボタンを押すわけだけれど、松山さんは仕組みが分からないらしく、視線を向ける若いカップルを母親みたく睨み付けたりしてた。
俺は状況が状況だし、おばさんのヒステリーに付き合ってるだけだから何も言わずにいたんだけど、実はこれ以前にもこのホテルに来た事があったのだ。
その時の相手はコンパで知り合った他校の同級生で、ホテルに入ったまでは良かったんだけれども、大人しい子だったせいかのらりくらりとはぐらかされ、結局何もせず出たという苦い場所。
同じ場所で同じ事繰り返すのかと思いつつ、とにかくこのオバサン相手には退けないと思い、俺は適当に部屋のボタンを押してやった。

「さ、早く部屋へ行こうよ」

そんな俺を[勝手にレジへ商品を持っていく子供]を見るような目つきで見た後、「行きましょ」とエレベーターに向かっていく松山さん。
わざと強がっているようにしか見えない。・・・俺もそうなんだけれども。
そして、二人っきりのエレベーターは静かな音を立てて上がっていく。
その間俺達は一言も言葉を交わさなかった。
呼吸の音までも聞こえそうな密閉感の中、隣を見ると、息子に車で送られ買い物をしようとしてた事務のおばさん・・・。
あまりの静けさに、ふと我に返って気付いたからだろうか。いつの間にか怒りの感情よりも、不安の方が大きくなっているのに気付いた。
俺、何やってんだろう? と。
それは松山さんも同じようで、階を示すランプを見る目は、細かく宙をさまよっていた。
それでもここで引き返すわけには行かず、「早く折れろ」と念じながら、俺と松山さんはドアを開け部屋に入ったんだ。



ベッドの枕元と足元に腰掛けて十分程。
俺と松山さんは一言も口をきかず、目も合わさず、でもお互い意識しながら俯いてた。
部屋の中はそれほど凝った造りではなく、ベッドサイドに全体が映る大きな鏡が張り付けられ、風呂場が曇りガラスで仕切られて透けてるくらい。
以前同級生と入った部屋よりは地味な感じだったけれど、性行為を行う場所である事は間違いない。
当然松山さん相手にそんな事は無理だし、どうしよう、どうすればいいんだと考えていると、何もせずホテルを出た時のいやーな気分が甦った。

「どうするのよ」

ふてたような声で枕元から松山さんが聞いてくる。
どうすると言われても出るしかないじゃないか。
しかし、それを言ったら自分の負けだからと、こちらからは絶対に言えないと思った。
俺が黙っていると松山さんはもう一度「どうするのよ、こんな所来て」と聞いた。
自分で「入りましょ」と言っておいて、まるでこっちに非があるような言い方。
俺が一睨みして黙っていると、松山さんもブツブツと何か言った後また口を閉じる。
とっても静かな部屋に、少し硬めのツインベッド、そして男と女が一匹ずつ・・・。
俺の胸の中は、激しい緊張感と早く出なければって気持ちで、爆発しそうになってた。
でも、でもだ。
よくよく考えると、エッチ出来るチャンスと言えなくもないのだ。おばさんだけど、割と美人な松山さんと・・・。
でも、それは出来ないと思った。
高校二年の冬にして俺は完全初心者な訳で、そんな身分で主婦を相手なんてとても・・・。
それに「やろう」だなんて言ってしまったら、それこそ変態少年として認定されかねない。
二人はベッドに座ったままで、ホントに静かな時間だけが過ぎていった。
そして、この部屋に入ってから三十分程が過ぎた頃だろうか。
背筋をピンと張って俯いていた松山さんが力が抜けるような溜め息をつき、いきなりベッドから立ち上がって、

「・・・しょうがない!」

と叫んだ。
瞬間、緊張状態にあった俺の心臓はドキンと大きく跳ねたんだけれども、「やっと折れたか?」と様子を窺ってると、松山さんは両手に持っていたハンドバッグをベッドの脇へ置いただけだった。

「時間二時間でしょ。早くしましょうよ」
「えぇ?」

何を? とマジで聞き返そうとした俺に向かって、松山さんは、

「このまま出るわけにもいかないでしょ。シャワー先に入る?」

と、ふて腐れた表情のまま聞いてきたんだ。
その言葉がまた怒りに火を付けそうになったんだけれども、俺を試してるのかも知れないと思い、「フン」と平静を装って顔を背けてやった。
そしたら、

「あなた経験はあるの」

と、とんでもない事を続けて聞かれた。
驚いて松山さんの顔を見ると別に冗談で聞いている風には見えない。
ガキだと思って馬鹿にしてるんだろうか。

「まあいいけど。生田君ならもてるでしょうしね」

本当にどうでもよさそうに言って、松山さんは黒のコートを脱ぎ、ベッドの上で綺麗にたたんでテーブルの上に置いた。
俺はそこまで来てもこのおばさんが何をしたいのか判らず、顔を背けたまま。

「じゃ、先に入るからね」

俺は驚き、「どこへ?」と聞こうとして慌ててやめた。
ここで動揺する素振りを見せたら、負けな様な気がすると思ったからだ。
どうせフリだけなのは判ってるんだから。
松山さんはハンドバッグをコートの上に置き、左手の指から何かを抜き出し、その中へゴソゴソとしまった。
そうして俺の方を見もせず、入り口近くにあるシャワールームへと歩いていった。
もしかして今の、指輪か? マジ入る気!?
喉がカラカラで唾を呑み込みにくくなってる事に気付きながら、俺は松山さんの後ろ姿を見た。
茶色のセーターに、大きな青い葉っぱがデザインされた白地のスカート、少しだけ脱色されたパーマ頭・・・。
長いスカートは歩いてもゆったりとしか動かなくて躍動感がない。女性的ではあるんだけど、やっぱり家でのんびりしてる主婦的な動き。
なんでこんな強情なんだろ。もう、出ちまおうか・・・。
ベッドからは見えないシャワールームの入り口へ消えていく松山さんを、俺は腹立たしく観察した。
その後しばらく待っても、薄曇りのガラスで仕切られたシャワールームの明かりは点かない。
俺は緊張が少し解けた気がして、ベッドの上で大きく伸びをした。
あれ? なんでこんなにドキドキしてたんだろ、俺・・・。
その時だった。
突然シャワールームの明かりがバッと灯り、ガラスの中に人影が浮かんだのだ。
当然俺の目ン玉は2cmくらい飛び出した。

「・・・マ、マジ!?」

俺は慌てて立ち上がると、部屋の入り口前にあるシャワールームの入り口へ忍び足で向かった。
するとそこには、さっきまで松山さんが着て俺が見ていた服が、綺麗にたたまれて置かれていたんだ!
と、いう事は、当然この中の松山さんは・・・裸。
俺は信じられず「嘘だろ?」と呟きながら、松山さんの着替えをそっと一枚一枚めくって確かめてみた。
熱いくらいに感じる生々しい暖かみと一緒に、スカート、セーター、そしてその中に挟まれるようにして・・・。
今まで想像した事だってない、見れるとは思わなかった松山さんの下着類があった。
俺はマズイとは思いつつも確かめたくて、その怖いくらいに白いパンティらしき布をちょっと摘んでみた。
そしたら、ツルッとしたとてもソフトな触り心地の生地に、松山さんの体温が残ってる。
他にも、縮んで靴下みたいになってるベージュのストッキングや小さめのブラジャーなど、松山さんの秘密の部分を隠す物が全てあった。
俺はもう混乱と緊張で、何が何だか判らなくなりそうだった。
歴とした一家の母親が、余所の男の前で風呂に入るなんて。今、この扉を開けられたらどうするんだ。
同じく曇りガラスの扉の向こうには、スレンダーな身体のラインがクッキリと浮かんで見える。

「まずいよ、まずい・・・」

もしかしたら、松山さんは本気かも知れない。
本気で俺に特別な事をしてくれるのかも知れない。
そんな事求めてなんか無いのに。
俺はこのまま帰ってしまおうかとも思った。
でも、ここで逃げたら松山さんの思うつぼ・・・負けになるんじゃ、と悔しい思いで動けなかった。
シャワーの音に、さっき見た下着の白さが重なる。
オトナの服の下は、ああだったんだ・・・。
その時、シャワールームから漏れていた水滴の音がピタッと止み、俺は慌ててベッドへ戻った。
そうだ、シャワーを浴びただけかも知れない。あんな大きな息子がいる人だぞ?
しかし、心臓の高鳴りを抑えきれずにベッドで座っていると、しばらくして松山さんは身体にバスタオルを巻き付けただけの姿でやって来た。
当然飛び出る俺の目ン玉。
初めて見る松山さんの膝から下は、そこだけは若い女性のように、とても綺麗だった。

「替わりましょ」
「え、え、俺は・・・」
「ダメよ、シャワーは入らなきゃ」

子供を言い含めるように言って松山さんは枕元に座った。
身体のラインが、肉付きの一つ一つが、もの凄い刺激として俺の脳ミソを直撃する。

「さあ、早く」
「も、もういい加減に・・・」

こんな事やめよう、とうまく言えない俺に、松山さんは、

「なに言ってんの、特別な事して欲しいんでしょ。だから早くったら」

と、相変わらずふてているような声で急かした。
しかしそれに従うわけにはいかず、かといって逃げる事も出来ず、俺はベッドから動く事が出来なかった。

「もう・・・。じゃシャワーはいいわよ。とにかく服脱いで」

すごい事を言うおばさんだと思った。
どうすればいいんだ・・・。このまま松山さんとセックス? するのか・・・。
しかし、そう思ったところで俺はまた「これってラッキーな事」じゃないかと思った。
どうせ関わり合うのは今日が最後なんだ。やり逃げしちゃえばいいんじゃないのか?
恨みのある女にチンコぶち込んでからやめる。最高のラストじゃないか、と。
そう開き直ったとたん、松山さんの身体がさらに生々しく見えた。目尻の皺や垂れた肉だって、してはいけない相手の証みたいなものだ。

子持ちの人妻とヤレる、いいじゃないか。

初めてでもヘタでも、どうでもいい。
俄然やる気になった俺は上着を脱ぎ、トレーナーの裾に手をかけた。

「脱げばいいんだよね」
「脱がなきゃ出来ないじゃない。脱がずにするの」

俺はトレーナーを脱ぎ捨て、ズボンも素早く脱ぎ捨てた。
もちろん恥ずかしくはあったんだけれども、気にしてたらまた馬鹿にされる、と。
Tシャツも脱いで上半身裸になった頃から、松山さんの視線が俺に注がれるのが判った。
やっぱりどっか怯えてるような、戸惑っているような目つき。
最後トランクス一枚って所では流石に手が止まり、

「脱ぐよ?」

と聞いてみたけど、松山さんは慌てて目を逸らし、どうでもいいように頷くだけ。俺は思いきってパンツを脱いだ。
でもその瞬間思ったんだ。
そういえば、今のあそこの状態はどうなのだろう? って。
松山さんに気を取られて自覚してなかったが、俺のチンコは緊張のためか、ポロッと太股にしなだれただけだった。
何となく格好悪い思いを抱きつつ松山さんを見ると、松山さんは真面目な顔で俺の股間を見つめた後、すぐに俯いた。

「脱いだよ」
「うん」
「・・・」
「・・・」

微妙な間が二人だけの部屋を包む。
ちょっと気になってベッド横に添え付けられた鏡を見ると、素っ裸の俺とバスタオル一枚の松山さんの後ろ姿が写っていた。
この場面で見ると、見慣れた俺のペニスだってグロテスクに思える。

「ま、松山さんは?」
「うん、待って」

顔を紅潮させている松山さんは、タオルを掛けている胸元へ手を持っていった。
こんなおばさんが俺の前で裸になるなんて信じられない・・・。
喉がカラカラになって「ング、ング」と唸りながら見つめてると、松山さんはタオルを解き左右に拡げた。
直後目に飛び込んでくる、松山さんのバスト。
小さいのは判ってたけど、直に見ても確かに小さく、その中央に大きな乳首がポツンと二つ付いてる。
乳首の色合いや形に松山さんの歳や経験を感じながら下半身を見ると、なんと松山さんはバスタオルの下に下着を穿いてた。

「うん。ちょっと・・・恥ずかしいから」

さっきは解らなかったけど、松山さんのパンティは結構ハイレグになってて、前の部分は黒いヘアが透けてる。
意外なエグさにビビってしまったのと同時に、プライベートを一つ知れたような気がした。
松山さんって、こんなパンツ穿いてたんだ・・・と。
ベッドの上にバスタオルを置いた松山さんは、ちょっとだけ俺の視線を気にする様子で下着に手を掛け、それを下ろした。
スリムな割にたっぷりとした太股から布が滑り落ちると、股間にはぼうぼうに茂った陰毛。
これで仲の悪い二人は密室の中、全裸で向かい合ったんだ。



そうなればする事は一つ、なんだけど、俺は経験が0なためどうしていいか分からない。
それに相手は人妻。どう扱っても良いような身体ではないんだ。
ここは当然松山さんが、ずっと長く生きてきた自分の身体をどう扱えばいいか、教えなくてはいけないと思った。
そんな俺の気持ちを察するように、

「近くに来なさいよ。離れて出来るの」

と、ひねくれた言い方で俺を側へと誘う。
俺は大人しくそれに従った。近くに行かないと、松山さんのアソコが見えないから。
近くに寄ると、想像以上に松山さんの身体は華奢だった。お肉が垂れ始めてるから尚更だ。

「緊張してる?」
「いや、別に」

本当は最高に緊張しているんだけれども、俺は意地っ張りに虚勢を張った。
だって、そうでもしなくちゃ、このおばさんに軽くあしらわれて処理されてしまいそうだ。
そんな俺を胡散臭げに眺めながら、松山さんは細くて長い指を俺のペニスに、断りもなく添わした。
驚いて飛び跳ねてしまう俺・・・。

「じゃあ、なんでココはおとなしいままなの?」
「そりゃ、松山さん相手だし」
「・・・・・・」

怒って言い返してくるだろうと思ったのに松山さんは何も言わず、ちょっと拗ねた顔で俺のオトコを見つめた。
そして、ゆっくりと指を動かし、尿道を拡げたり、そこへ指を入れようとしながら亀頭をいじくる。
そんな事をされたら、シンボルが勃起を始めるのは当然だった。
ゆっくりと、だんだんと硬く、恥ずかしいぐらいにニョキニョキと持ち上がりながら。
その様子を見て松山さん笑うんじゃないだろかと思ったが、松山さんは表情を変えず、ソフトな手つきで俺のチンコをなぞり続けた。
やっぱり手慣れてる・・・。
俺は為すすべもなくその手の動きを眺めるだけだった。
そして松山さんは駄々っ子に言うみたいにこう言ったんだ。

「素直になりなよ、生田君」

言ったとたん、俺からちょっと離れて上半身を屈ませ、俺の腹の前へ頭を持ってきた。
松山さんの後頭部や背中が真下に見えるその体勢に、俺の全身の筋肉は強張る。
フェラチオ。
主婦には当たり前なのかも知れないが、童貞にはあまりに速すぎる刺激の連続だった。
松山さんが手で固定した亀頭の上を、味わった事のない、ナメクジが這ったようなぬるっとした感触が走ってく。

「や、やめ・・・」

あまりのこそばゆさに怖くなり、やめてと言おうとしたが、言い切れなかった。
松山さんはそんな俺に構わず、尿道を中心に舌だけで俺のチンコを責めてくる。
素っ裸の身体にしても行為にしても、これが会社のみんなに慕われている松山さんの姿だとは思えなかった。
触れ合いからくる直接の快感と、それを松山さんがしているという興奮。いつも何気なく見ていた唇が、俺のそこに触れられているんだ。
俺は本当に怖かった。
俺のチンコはどれ程の物なのか判らなかったから。
他人にそんな行為をされて、どれくらい耐えられる自分なんだろう、と。
悲しい事に、その答えはすぐに判った。

「松山さんっ、やめてっ!」

俺は恥も捨てて叫んだんだけれども、信じられないくらいの速度で射精が始まり、小便のような精液がアッという間に尿道を突き抜けていった。

「ん」

それを察した松山さんは顔を離し、俺の肉棒を素早くしごいてくれる。
それはもの凄い、もの凄い快感。
でも俺はその快感に身を任せる余裕なんか無く、格好悪さと松山さんに対する申し訳なさでいっぱいだった。
松山さん、いきなりで避けられなかっただろうな・・・。
射精を続けるチンコに目を向けると、いつの間にか松山さんは亀頭の前にもう片方の手を置き、飛び散る精液をブロックしてくれてた。
しばらくして快感は退いていき、情けなさが残る。
体を起こした松山さんを見たら、口元にはやっぱり青白い液体が付着してた。
そして真面目な顔をして、

「うそ・・・どうしたの?」

って聞いてきたんだ。
あんなに強がってた俺が、こんなに簡単にイッてしまったのが信じられないみたいだった。
何も言えない俺。
手に受け止めた精子を気にする松山さんとの間に、すごく気まずい空気が流れた。
・・・そりゃそうだ。ここまできたら「やって」すっきり全てを終わらせるのが一番だったのに。
松山さんは多分、最悪に俺を馬鹿にしてるだろうと思った。
裸なのに、オマ○コも見ずに・・・俺のバカバカバカ・・・・・・。

「ねぇ」
「・・・」
「ちょっと、生田君」
「・・・・・・」
「生田君、こういう事、経験あったの? ねえ、教えてよ」

小さい子に語りかけるような松山さんに、俺は情けなくて悔しくて、「ないっ」と大声で叫んでしまった。
そしたら、

「うん、それじゃあ仕方ないじゃない。・・・もお、最初に言わないから・・・」

と、最後は何かブツブツ言って、ゆっくりとベッドに上がっていったんだ。



「ほら、おいで。ちょっと休も」

振り向くと、ベッドに寝そべった松山さんが枕元のティッシュで手を拭きながら、手招きして俺を誘っていた。
その後ろにある鏡には彫りの深いお尻が映ってる。
俺は倦怠感と恥ずかしさに包まれながら、松山さんの横へ寝そべった。

「ふふ、そうなんだ。生田君、童貞だったんだ。ふふ、童貞く~ん・・・」

香水でも付けていたのだろうか。松山さんからは少し鼻につくオトナの香りが漂ってきてた。

「童貞? 童貞。 ウフフフフ」
「・・・人種みたいに言うな」

俺は松山さんと目を合わす事が出来ず、天井を見上げながら呟いた。

「いいじゃない別に。恥じる事じゃないんだから」

そういってまた松山さんは「ウフフフフ」と笑った。
面白そうに俺の顔を眺めてくるのが、どうしようもなく恥ずかしい。
さっきまではあんなにふて腐れた様子だったのに、今はホント楽しそうな笑顔。
やっぱり簡単にイッてしまった事で「勝った」とでも思ってるのかも知れないと思った。
でも、もうどうでも良かったんだ。
松山さんは俺を射精させた事で終わったと思ってるだろうし、俺だってこれ以上・・・。
その時点で怒りは抜けていたんだから。
と言いつつ、やっぱり女の裸は気になったから、あまり露骨にならないよう横の松山さんをチラチラと見てた。
見慣れた人の裸って、服を着た状態しか知らないわけだから、すごく違和感がある。
松山さんの身体はやっぱり「衰え」って言葉が浮かんでしまうような身体だった。
ちょっとだけ膨らんでおっぱいに、黒ずんで丸く大きな乳首、俺のとは好対照なのっぺりした股間・・・。
そこだけ見れば、間違いなく女であるのは分かるんだけれども。
俺はその裸を見ながら思ったんだ。
多分、松山さんとデキるチャンスなんて、これが最初で最後なんだろうなって。
別にやりたいとか思ってた人じゃないけど、折角ここまで来たなら・・・やりたかった。
おっぱい吸ってみても良かった。オマ○コ見て自慢したかった。
そう残念がった時、松山さんがこう言った。

「うちの人に電話しちゃおうかな。今日、若い子の童貞もらっちゃったって」

俺は驚いて松山さんの顔を見た。
多分、今まで会ってから一番近い顔の距離で。

「もらう?」
「え? しないの!?」

俺が「だって、もう出しちゃったし・・・」と言うと、松山さんは可笑しそうに笑い、

「もお、若いんだからもう一回くらい出来るでしょ!」

と、叱るように言ったんだ。
その言い方には、さっきまでの怒りが全然感じられない。事務所で軽口を叩いていた松山さんそのものだった。

「しても、いいの?」
「しょうがないじゃない。裸になったのに、このまま終わりって訳にはいかないし」
「セックス、いいの!?」
「・・・いいって言ってるんでしょ。起きてんの」

はっきりとは言いにくそうな松山さんのその言葉を聞いて、俺は憂鬱が吹き飛ばされるような気分だった。
セックスが出来ると判って、興奮しない奴なんていないと思う。
でも、心配でもあった。
あんなに簡単にイッてしまって、またすぐ出してしまったらと思うと・・・。
いや、それは大丈夫なはず。
誰かが言っていた。仏蘭西方面では、まず一度イッておいてから「二回目の持続力」を活かして行為に及ぶ伝統があるのだと。

「気にしなくてもいいわよね。悪い事するんじゃないんだから。ちょっと愛し合うだけじゃない・・・」

内緒話みたいに囁いてくる松山さんに、俺は頷いた。
初体験の相手は年上がいいと思ってたけど、まさかここまで歳の離れたおばさんになるなんて。



仕切直し。
今度は明確な目的があるからやりやすいと思ったとはいえ、ベッドで向き合い、まず最初に何をすればいいのか分からない。
普通キスからなんだろうけど、相手が相手だけに・・・。
俺はちょっと悔しかったが、松山さんに任せるしかないと思った。

「あの、松山さん・・・どうすれば」
「ん、すぐ出来る?」
「うん、多分」
「多分なの?」

松山さんに視線を向けられた俺のチンコはまだ眠っている。
でも、体力的には大丈夫なのは分かっていた。

「じゃ、私が起たせてあげる。あなたも・・・生田君も私の、見るでしょ?」
「ん、うん」
「それじゃあ」

そう言って松山さんは俺の腹の上に一度乗り、それから逆向きになって俺を跨いだ。
俗に言うシックスナイン。
わざとかは分からないけど、松山さんが俺の顔へ向けて小振りなヒップを突き出すと、あまりにも簡単にそれは目の前へ広がった。
太股とは違ってくすんだ肌の股間に唇みたいなオマ○コが、その上には皺しわのアナルが。
それは、あまりにも衝撃的な光景だった。

「また出そうになったら言ってよね。生田君?」

オマ○コの左右の肉はクネクネしながらもピッタリとくっつき、一センチ程の幅で真っ直ぐな割れ目を形成していた。
歳の割に綺麗なのかも知れないけれども、これはやっぱりグロテスク、それにケツの穴まで・・・。
俺は返事が出来る余裕なんて無く、ただ目の前の現実を見るばかり。
その時、ちょうど視覚からの興奮が伝えられそうだったチンコに、松山さんの舌が触れられたのが分かった。
その刺激に、俺もこうしちゃいられないと両手でケツを持って左右に拡げる。
もちろん、中が見たかったからだ。
松山さんのオマ○コは徐々に広がり、アコーディオンのように軟らかく開いていった。
そして現れた内部を見た時、俺はチンコをくわえてくれている松山さんに思わず「止めて」と叫んでしまったのだった。

「・・・どうしたの、もう出る?」

恥ずかしい部分を全部見せてる人間が話しかけてくるのが信じられない。
松山さんの内部は全体がぬめっていて、青紫色というのか、血が巡っているのが判るような物凄いグロテスクな色合いをしていた。
その肉壁の中に、軟らかそうな肉の穴がある。
俺はなんだか、頭が真っ白になってしまいそうだった。
グロテスク、気持ち悪い・・・。
女にとっちゃ、これが普通なんだろうけど。
しかし、俺のチンコや脳ミソは、怖いくらいに興奮していた。

「どうする? もう、すぐした方がいい?」

俺を心配してか、ちょっと焦った様子で松山さんは尋ねてきた。
俺は素直に頷く。そして、

「コンドーム」

と、言った。
ベッドの枕元にはサービスなのかコンドームが二つ置かれており、俺は以前ここに来た時それを知ったんだ。
松山さんは俺が教える通りにコンドームを取り、慣れた感じにそれをチンコへかぶせてくれた。
松山さんのお腹をガードする、薄くて頼りなさそうなゴムを・・・。
装着し終えると松山さんは俺の横へ正座して座り、俺も慌てて起きる。

「やり方、分かる」
「うん。分かる」
「そりゃ分かるわよねぇ」

俺の目を見て笑いながら、松山さんはベッドの中央へ寝ころび、M字形に大きく脚を開いた。
なんという、なんという無防備な姿だろう。
ベッドの横の鏡にはそんな松山さんの横半身が、枕元の鏡には開かれた股間の前でマヌケ面で正座する俺の姿が映っていた。

「男らしいとこ見せなさいよ」

その言葉に俺の全身は奮い立つ。
大きく開いた脚と、ぱっくり開いたオマ○コ。
その姿に、今まで見た松山さんの姿が重なるかのようだった。
---マジメな顔して事務処理する姿
---職場のみんなに囲まれ、楽しそうに話す姿
---背の高い息子の車に乗って、買い物に行く姿
なんだか、そんな奥さんとセックス出来るって事は、男冥利に尽きるって気がしてきた。
今、このおばさんは俺の物なんだ。
俺はチンコを包むゴムの根元を引っ張るようにして、縮れ毛が生えた肉の割れ目へ亀頭を合わせた。

「いくよ」
「早く、待ってるんだから」

経験の多さを感じさせるそこへ向かって、俺は腰を一突き!
場所が合ってるか心配だったけど、松山さんはたっぷり濡らしてくれてたから、うまい具合にチンコは松山さんの中へと埋まっていった。
ズブズブ、ズブズブと。
ホントに入った! こんなに入るのか! と素直に感動しつつ、穴内部の肉感や締め付けに驚く。
俺の太股と松山さんの太股がピッチリ合わさったのは、すぐの事だった。

「あ、んぅ~ん!」

全てが埋まると、松山さんが今まで聞いた事ないような色っぽい声を上げた。
チェーンみたいに繋がってるそこから視線を上げると、俺の顔をジーッと見つめる瞳。
俺は我慢出来ず、襲いかかるように松山さんの上へ身体を重ねた。
すると松山さんは、華奢な身体からは想像出来ないような力で俺の肩を掴んでくる。
そんな事されて燃え上がらない俺じゃない。
横の鏡には二人が重なってる姿が写り、俺がヘコヘコと腰を動かすと、そのやらしい動きがはっきりと見て取れた。

「あん、あん、あぁっ!」

腰を当てる度に上がる松山さんの声に負けないよう、俺は力強く突いた、突いた!
颯爽とした雰囲気さえ持ってた松山さんが、こんな声を出す人だとは思わなかった。
・・・人間って分からない。
途中、内部の深さや構造が知りたくて、深く入れたまま腰を回し子宮らしき奥の壁をグリグリとしたんだけど、それにもシンクロして声を上げてくれた。

「気持ちいい? ねえ、気持ちいい?」

喘ぎを少し止め、耳元で松山さんが聞いてくる。
俺は素直に「うん、うん」と頷いた。
すると松山さんは、更に強く俺を胸に抱きしめる。
その圧迫感も、チンコへの圧迫感も、まさに初体験。
そうして我慢出来なくなった俺は、松山さんに一言告げ、二度目の射精を開始したんだ。

「あ~ん・・・」

松山さんの悩ましい喘ぎ声の中、俺は不思議な程冷静に絶頂を感じてた。
目の前や横にある鏡を見て、二人が重なってるか確認しながら。
全部出し終えてしばらくするとまた、

「気持ちよかった?」

と聞かれ、頷いた俺から松山さんはコンドームをゆっくりと引き抜いてくれた。
これで童貞じゃなくなったんだ。
嬉しいような淋しいような不思議な脱力感に包まれて時計を見ると、

「ゲッ! 入れてから五分も経ってない」

俺は更に激しい脱力感に襲われ、ベッドの上へ大の字に寝ころんでしまった。



そして。
俺と松山さんは交互にシャワーを浴び、服を着た。
終わってからというもの俺は照れくさい気持ちで一杯だったんだけれども、松山さんは妙にはしゃいで嬉しそうな様子だった。
しかし、そこは主婦らしく、

「ね、ここお金はどうやって払うの」
「ああ、そこのパイプからスポーンて。あ、俺が払うから」
「ううん、ダメダメ。高校生に払わせられないわよ」

なんて、現実的な話もしたり、俺の身体の心配もしてくれたり。
そして余った時間はベッドの上で談笑。
した行為が行為だからか「嘘つき」な松山さんはそこに居ず、いつもなら絶対に聞けない社員への文句や学生バイトへの愚痴、あと二人の息子の愚痴なんてのも聞けた。
そんな接し方の変化が単純に嬉しかったのは事実なんだけれども・・・。

「ね、松山さん。俺、早いよね」
「なにが? え? ああ、出るの・・・そんなの関係ないよ」
「早いよね」
「うん・・・。でもこれからだもん、生田君は。いっぱい経験を重ねていけば、ね。心配すること無い! そんな事より・・・」

曖昧に頷く俺の肩を松山さんは抱き寄せ、

「帰ってこようよ。ね」

と、優しく言ったんだ。
俺は最初、何を言われたのか分からなかったんだけれども、

「私も上手く接してあげられなかったのは認めるし・・・。今度はそんな事無いから、ね、ね?」

と言われて、バイトの事を言っているのだと気付いた。
そうだった。所長に怒られて飛び出したのが元になって、この場所に居るんだ。

「所長さんにはうまく言ってあげる。だから」

俺はコクンと頷いた。
こんなにも優しくしてくれる人がいるのに、これ以上意地を張るのは恥ずかしい気がしたから。
でも、それでも気になる・・・早漏。

「なあに。そんなに気になるの」
「うん・・・」
「大丈夫。所長さんだって反省・・・・・・え? なんだ、そっちの方」

松山さんはおばさんっぽく笑って俺の肩を叩き、そして、アッケラカンとした顔でこう言ったんだ。

「じゃあ、私が経験積ませてあげるからさ」
「え?」
「そんなに驚くこと無いじゃない。慣れて大丈夫になるまで、私が相手しましょ。ね?」

松山さんが経験を積ませてくれる。
その言葉の意味が判るまで、俺は少し時間がかかった。

「イヤなの!?」
「い、いやじゃないよ!」
「フフ、じゃそういう事で」

俺は松山さんのスカートを見ながら、旦那さんのことや息子さんのことを思った。
単身赴任中に妻が浮気・・・?
母親が自分より年下の高校生と浮気・・・?
背徳的なシチュエーションがすごい興奮を伝えてくる。
でも、なんでそんなに松山さんは俺なんかを・・・。

「そりゃ一応、責任感じてるもん」

そうなんだ。
松山さんは歳の割にとても話しやすく、いい人だったんだ。
ちょっと感動しながら改めて松山さんの全身を眺めてると、またチンコが勃起してくるのが分かった。
それを察したのだろうか、

「まだ出来る? なんなら、もう一回してみる?」
「・・・うん」
「じゃ早くしなきゃ。時間もう無いでしょ。早く脱いで、脱いで」

急かされるまま俺は素早くズボンを脱ぎ、チンコをさらした。
短時間に三回目なのが信じられないくらい、それは硬く天井を向いている。
松山さんはスカートを脱ぐもんだとばかり思ってたんだけれども、下着類を降ろしてベッドに投げただけだった。

「時間無いから、立ったままで」
「うん。じゃ、コンドーム」
「そんなの着けてる時間無いって。早く早く」

思いっ切り焦らすような声で、松山さんは壁に手を突き、俺を誘った。
コンドーム着けないなんて冗談じゃない、でも時間がない・・・。
俺はしばらく迷った末、ケツを向けて待ってる松山さんの背後へ走った。

「大丈夫、うちのお父さんだって、無頓着にするから」
「今もしてるの」
「たまによ、たまに。・・・イヤだ、もう」

珍しい松山さんが照れる姿。
ナマでして外で出せという事なのか、中に出しても良いと言う事なのか・・・。
松山さんの年齢を考えると安易に結論が出せず、俺は念のためもう一度、このまましていいのか訊ねた。

「いいわよ、外に出してくれれば」
「分かった」
「気を付けてよ」

今度こそって思いが強くなるこの状況に、俺は緊張しながらスカートを捲り上げた。
すると硬くなったチンコの目の前に、小振りなヒップが立ちはだかる。
すぐに場所が解らなかった俺は、松山さんの手に導かれながら、軟らかい体内へ二度目の突入を果たしたのだった。

「あんっ、生田くぅん!」
「松山さん!」

さらに激しくなったよがり声の中、しばらくのピストン、そしてフィニッシュ。
見事ギリギリでチンコを抜いた俺は、愛液でテカってるそれをしごきたて、松山さんのケツの上へドクンドクンと射精した。
さすがに三度目ともなると、気が遠くなるような快感だった。
そして下着を穿き、部屋を後にする二人・・・。

「間にあって良かったね」

・・・。



それから・・・。
つつがなくバイトに復活した俺は、入った頃と同じように真面目に仕事をこなした。
松山さんが味方についてるおかげで周りの評価は急上昇、時給だって30円UP。
あの日以来、例えばミスを犯した時や他の人と喧嘩になっちゃった時、決まって松山さんは俺の味方になってくれた。
この前だって、テスト期間中バイトに出てきた俺のためだけに、軽い食事を作ってくれたり。
贔屓って元々嫌いだったのに、松山さんの場合なら優越感を持って迎えられた。
俺は思う。
結局の所、以前の俺は松山さんにとって対等な人間とは思えなかったんだ。だから軽んじられた。
でも今は違う、と。
中には、あんなに仲の悪かった二人が急に仲良くなった事を不思議に思う奴らもいたけど、仲直りしたと言えばそれで納得した。
こんな幼い高校生と、成人した息子のいる事務員が関係を持ってるなんて、誰も思うはずがないんだ。

「・・・松山さん、松山さん」
「ん?」
「今週」
「・・・うん。いつもの所で。成果見せてよね」

俺達は毎週土曜日になると、あのホテルの一室でエッチを重ねた。
名目上は性のレッスン。早漏直し講座。
なんだけれども、どちらかといえば先生の方がエキサイトする方が多かったように思う。
何度も経験を重ねるうち徐々に持続時間も延びていき、そして、三月のある日。
二人で一応決めた、レッスン修了の日がやってきた。
いつもの通り俺は裏路地を経由し、松山さんは買い物を装って裏口から別々にホテルへ入り、部屋で落ち合う。
二人っきりになると、お互い名前を呼び合う仲になってた。

「じゃ崇君。10分持たせたら合格だから」
「うん。頑張る!」
「頑張んなね」

フフっと笑って、松山さんはベッドの上で四つん這いになった。
いつもなら本能に任せて挑んでいくけど、今日は『テスト』なんだと思うと、身が引き締まる思いだ。

「コンドームは?」
「うぅん、いいわよ」

俺は枕元の避妊具を手に取ろうとして、戻した。
何度かのレッスンの中では、緊張感を出すためわざとナマでする事もあった。もちろん、中に出しちゃダメって断り付きで。
しかし、そこは敏感な俺のこと。
失敗して松山さんの中に射精してしまう事も、数度。
その度に気まずい思いをし、寛容な松山さんに出会ったんだけれども・・・。
だから二人とも、生身でする事にもう抵抗はなかった。
俺は剥き出しのチンコを何度かしごいて気合いを入れると、松山さんのケツを見下ろす。

「早く、崇君」
「ね、松山さん。もし10分持ったら、どうする?」
「そりゃあ何かご褒美上げるわよ。何がいい?」
「一度、中に思いっ切り出してみたいな。失敗したとかいうんじゃなくって」

すると松山さんは真面目な顔をして、

「うん。二回くらいまでなら・・・別にいいわよ」
「あと、おしっこも見たい」
「それはイヤよぉ」

そして俺と松山さんは繋がった。
このセックスに今まで愛し合った全てが反映されるのだと思うと、自然と力も入る。
しかし焦らないよう、時折天井の柄を眺めて松山さんの声と感触から気を逸らしながら、俺は頑張った。ムチャクチャ頑張った。
何度肌と肌をぶつかり合う音を響かせた事だろう。
もうそろそろ限界が近いと悟ったその時、枕元のデジタル時計を見ると、いつの間にか目標の時間はオーバーしていて・・・!

「やった! 持った!!」
「やったじゃない、崇君!」

俺は喜びを松山さんに伝えようと、フルスピードでピストンを開始した。
華奢な松山さんが壊れてしまいそうな激しいファック。
松山さんはそんな俺の本能を、まるで小娘のようなよがり声と熟女らしい腰使いで受け止めてくれた。

「イク、イクよ!」
「うん、来て、遠慮しないでいいから!」
「うわぁっ!!」

永遠とも思えるような絶頂時間。
出し切った俺がケツを離れてベッドへ座ると、同じく座った松山さんは、垂れ流れてくる俺の戦果を見せつけるように大きく股を開いた。

「合格?」
「合格!」
「じゃあ、今日で終わり?」
「ダメよ、まだまだ教える事はいっぱいあるんだから」

優しく叱るような声で言って強く抱きしめてくる松山さんに、俺はキスした。

「じゃ、全部教え終えたらどうする?」
「そしたら、あなたが私を教育する番じゃない」

松山さんはハッキリと俺が必要だとの意を示してくれる。
俺も松山さんと同じ気持ちだった。
すれ違いやひがみから始まった付き合いだけど、だからこそ、強い繋がりが生まれたのかも知れない・・・。
なんて事を、抱きしめる腕の強さに思うんだ。



END

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eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。