小説(転載) ついてる少年 5/5
官能小説
あれから何ヶ月が過ぎただろうか。
僕はどうにか高校を卒業することができ、今度の春から予備校に通うことになった。
大学へ・・・といけば最高だったけど、まぁいいよ。残念だけど必死に頑張った結果だもん。
・・・ん?
必死に頑張って落ちたなんて・・・能力がないって事?余計悪いのかな?
武藤の母親との経験後何日か経って、僕は叔父のところへ出向いた。
あの、あまりにも恵まれた環境の生活を返上するためだ。
今思えば、あまりに衝動的な、後先の考えない決断だったように思うけど、その場その時にしかできない決断がある。
叔父はいつも通り、ニコリともせず感情の読みにくい表情で、僕の説明を聞いていた。
「・・・それでどうするんだ。」
「どうするって?」
「生活だ。お前はまだ高校生、一人で生きていけるわけがない。」
「それは・・・確かに。」
「・・・何を、して欲しい?」
「何を・・・。ゴメン、それは考えてなかった。」
不思議だった。
こんなに緊張してるのに、こんなに堂々と自分の意見を言えるなんて。
「何も考えてない、そんなことでは一人にするわけにはいかない。お前は私の大切な甥だ。」
くさい言葉を真顔で言われ、多分赤面したであろう僕を見ながら、叔父さんがふとピンと伸びた背筋をゆるめた。
「フ・・・。そうか、判った。とりあえず生活費、それに下宿代などは私が面倒見てやる。だが、身の回りの世話はお前が自分でやれ、それでいいな?」
突然の豹変と、あまりの物分かりの良さに呆然としながらも、僕は素直に頷いた。
「わがまま言って、ごめんなさい。」
「いいさ。」
叔父さんはそう言って背広の中から煙草をとりだし火をつけた。
高級な服とは全く似合わない、古くさい銘柄・・・。
「フー・・・。・・・やっぱりお前は兄さんの子だな。」
「え?」
「金や権力は嫌い。そんなものに頼った幸せなんてイヤだ。そう言うんだろう?」
「いや・・・そうでもないよ。ただ、僕には似合わないかな。そう思っただけ。」
「世の中は金だよ、はじめ。金が権力――力を生みだし、その力が新しく金を呼び込む。だが・・・そうか、似合わないか。フフフ・・・そうだな。そうかも知れないな。」
その時の叔父の笑みは、僕をあざけると言うよりも、自嘲しているように感じた。
「・・・安心したよ、はじめ。」
「え?」
「誰にだって、それがどんなに無駄で小さな事であっても、譲れない物や考えがある。それをお前が持っていたって事に、だよ。」
・・・?
譲れない考え?
そんな深く考えていたわけではない僕は、その叔父の言葉に少し抵抗を感じた。
叔父さん。ちょっと僕を買い被りすぎてるよ?
そう言おうかとも思ったが、やめておいた。
だって、その時の叔父さんの顔は、今まで見たこともないくらい穏やかで、そして・・・そして・・・。僕の親父に、とても似ているような気がしたから。
「よーし、ガスもOK。ストーブも・・・OK。あ、そうだ。コンセント抜いておこう。」
いつも通りのあわただしい朝。
僕は戸締まりを済ませると、愛車に飛び乗った。
前乗っていたのとは違う、三段切り替え付きの高級車だ。(僕にしてはだけど。)
人並みをスイ~っとかき分けながら街路樹の歩道をゆくと、新緑と同じくらい、通り過ぎるミニスカートの女子高生が眩しく見える。
「あ~~、やりたいよぉ。」
人並みが途切れたのを確認して僕は呟いた。
「前のままの生活だったら、いくらでも出来ただろうに・・・。」
そう、武藤の母親とだって、もっと若い人とだって・・・。
「あぁ、ばかばかバカバカ!」
まだ頭の中には武藤の母親の肌触り、暖かさをリアルに甦らせることが出来る。
一体、それで何度オナニーしたことか・・・。
武藤の母親との経験以来、武藤は一切僕にちょっかいをかけてこなくなった。
まぁそれは、セックスしたからではなく、取り引きしてやったからだけど。
でも、僕の中では明らかに武藤との地位が入れ替わっていた。
そりゃそうだ。
母親とセックスしてやったんだから。
セックスって簡単に出来るもんじゃない。それをしちゃったんだから。
地位、なんてよくない考えとも思うけど、平等に見る事なんてとても出来ないし、それはそれでいいんではないかとも思う。
「あーぁ・・。もう一度させてくれないかなぁ・・・。またナマでズコズコと・・・なんて。」
・・・。
あ~あ。いつも下半身が元気になると、こんなこと思っちゃうなぁ。
もう納得したはずなのに・・・。
そりゃ確かに前の生活のままだったら楽だったに違いない。
どでかいマンションに、美人なお姉さん作のご飯、お小遣いもたくさん。
でも、そんな生活してたら努力することを忘れてしまう。
そうはなりたくないよね。
そう思えただけでも、前より自分のことを好きになることが出来たんだ。
「そうだ、そうだった。よし、もう過去のことは忘れるぞ!」
でもまだズボンの中でお元気な自分。
・・・。
ま、しょうがないか。こればっかりは・・・。
そんなある日。
僕が予備校を終え買い物をして帰ると、アパートの部屋の前に誰かが立っているのが見えた。
「ん?誰だろう。」
女性みたいだから自分には関係ない人だろうな、と思いつつドアの前に行くと・・・。
「し、静香さん!!」
「・・・お帰りなさい、はじめくん。」
「え?な、なんで・・・。」
「・・・探したんですよ?何も言わないで引っ越しちゃうんだから。」
長い髪、透き通った瞳、すらっと伸びた足・・・。どこからどう見てもあの静香さんだ。
「ど、どうして。」
「どうして・・・?それはこっちの言葉です。なんで一言もなかったんですか?冷たいですよ・・・。」
俯き加減で寂しそうに言う静香さん。
「イ、イヤ、ほら、それはさ。あのまま静香さんに甘えてるわけにもいかないと思ったから・・・。」
「それにしたって、一言くらいあってもいいと思います。」
う、それは確かに・・・。
「いや、うん、そうだね、そうだよね。でもさ、その・・・静香さんにもう迷惑とかかけたくな・・・。」
「・・・はじめくん、私のことが嫌いなんですか?」
いきなり上目遣いでそう言われ、僕はたじろいだ。
嫌い・・・そんなわけない。
イヤ、逆に好きだから。すごく好きになっちゃったから、武藤の母親との体験の後、すぐに叔父さんに申し出たんだ。
こんな僕と合うような人じゃないから・・・。
僕は言葉に詰まったまま、何も言えなかった。
静香さんもまた俯き、薄暗くなりかけている部屋の前で僕たちはしばらく立ち尽くした。
・・・一体静香さんは何を言いたいのだろう。
「はじめくん。」
「は、はい?」
「今日からあなたのお世話をする『川合 静香』です。よろしくお願いします。」
「え。・・・え!?」
「ほら、それ貸してください。あっ・・・もぅ、ラーメンばっかり。そんな事じゃ大学受験なんて言ってられませんよ。」
「ちょ、ちょっと。静香さん!」
・・・。
そうして訳も分からずまま、また静香さんに家事をしてもらう事になった。
最初はやっぱり戸惑ったけど・・・正直に言ってすごく嬉しかったのも確かだ。
でも、どうしてそうまでして僕に尽くしてくれるんだろう。
好意なのか、それとも裏があるのか。もしかして・・・僕のことが好きとか?・・・それはないか。
静香さんの真意は全く分からない。でも・・・これだけは思う。
僕はこの人が好きだ。
そして、この人に似合うような人間になりたい。
たとえ無駄な努力だとは分かっていても―――。
そうそう。
容姿の面ではやっぱ生まれつきってモンがあるから、まぁ、それはしょうがないとしよう。
そ・れ・と。
やっぱオナニーは具体的なオカズが欲しいから、武藤のおばさんとかでイッてもいいよね?
だって、静香さんは汚したくないんだもん。
いいよね?ね?ね?
END
僕はどうにか高校を卒業することができ、今度の春から予備校に通うことになった。
大学へ・・・といけば最高だったけど、まぁいいよ。残念だけど必死に頑張った結果だもん。
・・・ん?
必死に頑張って落ちたなんて・・・能力がないって事?余計悪いのかな?
武藤の母親との経験後何日か経って、僕は叔父のところへ出向いた。
あの、あまりにも恵まれた環境の生活を返上するためだ。
今思えば、あまりに衝動的な、後先の考えない決断だったように思うけど、その場その時にしかできない決断がある。
叔父はいつも通り、ニコリともせず感情の読みにくい表情で、僕の説明を聞いていた。
「・・・それでどうするんだ。」
「どうするって?」
「生活だ。お前はまだ高校生、一人で生きていけるわけがない。」
「それは・・・確かに。」
「・・・何を、して欲しい?」
「何を・・・。ゴメン、それは考えてなかった。」
不思議だった。
こんなに緊張してるのに、こんなに堂々と自分の意見を言えるなんて。
「何も考えてない、そんなことでは一人にするわけにはいかない。お前は私の大切な甥だ。」
くさい言葉を真顔で言われ、多分赤面したであろう僕を見ながら、叔父さんがふとピンと伸びた背筋をゆるめた。
「フ・・・。そうか、判った。とりあえず生活費、それに下宿代などは私が面倒見てやる。だが、身の回りの世話はお前が自分でやれ、それでいいな?」
突然の豹変と、あまりの物分かりの良さに呆然としながらも、僕は素直に頷いた。
「わがまま言って、ごめんなさい。」
「いいさ。」
叔父さんはそう言って背広の中から煙草をとりだし火をつけた。
高級な服とは全く似合わない、古くさい銘柄・・・。
「フー・・・。・・・やっぱりお前は兄さんの子だな。」
「え?」
「金や権力は嫌い。そんなものに頼った幸せなんてイヤだ。そう言うんだろう?」
「いや・・・そうでもないよ。ただ、僕には似合わないかな。そう思っただけ。」
「世の中は金だよ、はじめ。金が権力――力を生みだし、その力が新しく金を呼び込む。だが・・・そうか、似合わないか。フフフ・・・そうだな。そうかも知れないな。」
その時の叔父の笑みは、僕をあざけると言うよりも、自嘲しているように感じた。
「・・・安心したよ、はじめ。」
「え?」
「誰にだって、それがどんなに無駄で小さな事であっても、譲れない物や考えがある。それをお前が持っていたって事に、だよ。」
・・・?
譲れない考え?
そんな深く考えていたわけではない僕は、その叔父の言葉に少し抵抗を感じた。
叔父さん。ちょっと僕を買い被りすぎてるよ?
そう言おうかとも思ったが、やめておいた。
だって、その時の叔父さんの顔は、今まで見たこともないくらい穏やかで、そして・・・そして・・・。僕の親父に、とても似ているような気がしたから。
「よーし、ガスもOK。ストーブも・・・OK。あ、そうだ。コンセント抜いておこう。」
いつも通りのあわただしい朝。
僕は戸締まりを済ませると、愛車に飛び乗った。
前乗っていたのとは違う、三段切り替え付きの高級車だ。(僕にしてはだけど。)
人並みをスイ~っとかき分けながら街路樹の歩道をゆくと、新緑と同じくらい、通り過ぎるミニスカートの女子高生が眩しく見える。
「あ~~、やりたいよぉ。」
人並みが途切れたのを確認して僕は呟いた。
「前のままの生活だったら、いくらでも出来ただろうに・・・。」
そう、武藤の母親とだって、もっと若い人とだって・・・。
「あぁ、ばかばかバカバカ!」
まだ頭の中には武藤の母親の肌触り、暖かさをリアルに甦らせることが出来る。
一体、それで何度オナニーしたことか・・・。
武藤の母親との経験以来、武藤は一切僕にちょっかいをかけてこなくなった。
まぁそれは、セックスしたからではなく、取り引きしてやったからだけど。
でも、僕の中では明らかに武藤との地位が入れ替わっていた。
そりゃそうだ。
母親とセックスしてやったんだから。
セックスって簡単に出来るもんじゃない。それをしちゃったんだから。
地位、なんてよくない考えとも思うけど、平等に見る事なんてとても出来ないし、それはそれでいいんではないかとも思う。
「あーぁ・・。もう一度させてくれないかなぁ・・・。またナマでズコズコと・・・なんて。」
・・・。
あ~あ。いつも下半身が元気になると、こんなこと思っちゃうなぁ。
もう納得したはずなのに・・・。
そりゃ確かに前の生活のままだったら楽だったに違いない。
どでかいマンションに、美人なお姉さん作のご飯、お小遣いもたくさん。
でも、そんな生活してたら努力することを忘れてしまう。
そうはなりたくないよね。
そう思えただけでも、前より自分のことを好きになることが出来たんだ。
「そうだ、そうだった。よし、もう過去のことは忘れるぞ!」
でもまだズボンの中でお元気な自分。
・・・。
ま、しょうがないか。こればっかりは・・・。
そんなある日。
僕が予備校を終え買い物をして帰ると、アパートの部屋の前に誰かが立っているのが見えた。
「ん?誰だろう。」
女性みたいだから自分には関係ない人だろうな、と思いつつドアの前に行くと・・・。
「し、静香さん!!」
「・・・お帰りなさい、はじめくん。」
「え?な、なんで・・・。」
「・・・探したんですよ?何も言わないで引っ越しちゃうんだから。」
長い髪、透き通った瞳、すらっと伸びた足・・・。どこからどう見てもあの静香さんだ。
「ど、どうして。」
「どうして・・・?それはこっちの言葉です。なんで一言もなかったんですか?冷たいですよ・・・。」
俯き加減で寂しそうに言う静香さん。
「イ、イヤ、ほら、それはさ。あのまま静香さんに甘えてるわけにもいかないと思ったから・・・。」
「それにしたって、一言くらいあってもいいと思います。」
う、それは確かに・・・。
「いや、うん、そうだね、そうだよね。でもさ、その・・・静香さんにもう迷惑とかかけたくな・・・。」
「・・・はじめくん、私のことが嫌いなんですか?」
いきなり上目遣いでそう言われ、僕はたじろいだ。
嫌い・・・そんなわけない。
イヤ、逆に好きだから。すごく好きになっちゃったから、武藤の母親との体験の後、すぐに叔父さんに申し出たんだ。
こんな僕と合うような人じゃないから・・・。
僕は言葉に詰まったまま、何も言えなかった。
静香さんもまた俯き、薄暗くなりかけている部屋の前で僕たちはしばらく立ち尽くした。
・・・一体静香さんは何を言いたいのだろう。
「はじめくん。」
「は、はい?」
「今日からあなたのお世話をする『川合 静香』です。よろしくお願いします。」
「え。・・・え!?」
「ほら、それ貸してください。あっ・・・もぅ、ラーメンばっかり。そんな事じゃ大学受験なんて言ってられませんよ。」
「ちょ、ちょっと。静香さん!」
・・・。
そうして訳も分からずまま、また静香さんに家事をしてもらう事になった。
最初はやっぱり戸惑ったけど・・・正直に言ってすごく嬉しかったのも確かだ。
でも、どうしてそうまでして僕に尽くしてくれるんだろう。
好意なのか、それとも裏があるのか。もしかして・・・僕のことが好きとか?・・・それはないか。
静香さんの真意は全く分からない。でも・・・これだけは思う。
僕はこの人が好きだ。
そして、この人に似合うような人間になりたい。
たとえ無駄な努力だとは分かっていても―――。
そうそう。
容姿の面ではやっぱ生まれつきってモンがあるから、まぁ、それはしょうがないとしよう。
そ・れ・と。
やっぱオナニーは具体的なオカズが欲しいから、武藤のおばさんとかでイッてもいいよね?
だって、静香さんは汚したくないんだもん。
いいよね?ね?ね?
END
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