小説(転載) ジェネレーショん
官能小説
六歳離れた妹・あずさが、高校生の兄・ひびきの部屋をたずねた、夜の九時。
「どうした?」
やさしく問い掛けたひびきに、あずさははにかんだ。
「あ、あのねー。お兄ちゃん」
もじもじもじもじ。もじもじもじもじ。
「……なんだよぉ?」
「どっしよーかな……? お母さん達にはナイショよ」
「へ?」
もじもじもじもじ。もじもじもじもじ。
「……だ、だから何だってーの? なにがナイショだよ」
「あのねー。……しんご君の……ことなんだけど」
あずさは、三つ編みをいじりながら、やっと用件を言い始めた。
「しんご君ね。そのー……」
「はいはい。ボーイフレンドのしんご君が、ほら、どうしたってさ」
「最近、ダメなの」
ひびきは、軽くイスからコケた。
ジェネレーショん
「ダメなのって、え?」
「んんー。だからぁ! ……その、マンネリ、なのかなぁって」
「……なあ、あず」
呼ばれたあずさは、ふと真顔に戻った。
「なに?」
「そのー……」
ひびきは、懸命にセリフを選んだ。ストレートには、聞く気になれない。
「ひょっとして、キミの悩みって……体のこと?」
「からだ……」
小首を傾げたあずさは、やがて頬を赤らめて、言ってのけた。
「まあ、胸がまだ小さいから、しんご君もつまらないと思うけど……」
今度はひびき、しっかりコケた。
「お兄ちゃん?」
「い、いやいや。あ、あそー。もう、そんな関係だったんだー」
「え? だって、おつきあいしてるんだもん。……自然じゃない」
ごく純粋な目だった。まだまだあどけない、澄んだ瞳だった。
けっして、イキがって背伸びしている様子じゃない。
「……そーかぁー……」
ひびきの声は、ひどく沈んでいた。
大事な妹を傷モンにされた、からではない。比較して、自分が小学生だった頃を思い起こしたからだ。
(映画でシャワーシーンでもあれば、それでも刺激的すぎたってのに……)
「どーしたの? お兄ちゃん」
「べ、別に。でも、お前さー」
「なに?」
早すぎるんじゃねーの? そう聞こうとして、妹の体をそれとなく見た。
あと二、三年でおいつかれそうな身長、小さいとはいえしっかり形になっている胸、ミニスカートから伸びる、白くて細いしなやかな足。
中身はおいといて、「側」は受け入れ体勢が整っている。
(自然、なのかもなー)
ひびきは、引き出しからタバコを出して、くわえた。
「ま、いいや。でま、最近、彼が燃えてくれないと、こーゆーことだな?」
「うん……。いちおーするんだけど、なんかパッとやって、パッと終わっちゃうってゆーかぁ」
「おざなり?」
「あ、うん。なんか、義理?みたいな感じで。体位だって、ずっと同じだし……」
理解しようとする一方、ジンワリとくる頭痛は抑えられなかった。
よっぽど、このクソガキどもと怒鳴りつけてやろうかと、ひびきは思った。
一番腹立たしい要素は、やはり、
(兄貴はこの年で、キスすらまだだっつーに……)
これだろう。
「どぉしたらいいと思う? お兄ちゃん」
「……むーぅ」
幸い、そういう方面の書籍、映像などは、何度も見ている。なんだったら、今すぐベッドの下あたりから、参考文献の一冊や二冊は取りだせる。
ただ、実践中の妹を前にして、マニュアル本をひもとく兄の姿は、見せたくなかった。
「やっぱり……、気分転換じゃねーか?」
「気分転換?」
あずさは、件のベッドに腰をおろした。
「そう。たとえば、場所を……。そういえば、お前ら、どこでやってんだ?」
「んとねー。一番多いのは、やっぱ、しんご君の部屋?かな」
「一番多いのは……。後は、だれもいない教室とか、体育倉庫とか、公園の茂みとかか?」
やけくそ気味に並べ立てた兄の言葉に、あずさは目をパチクリとした。
「さすがお兄ちゃんね。どーしてわかるの?」
「わからいでか」
いわゆる『パターン』というやつだ。
「でもね。他に、二人だけの秘密の場所があるんだー。えへへ」
「わかった。場所のセンは捨てよう」
ひびきは、タバコをもみ消した。いつもより、執念深く。
「じゃあ、変わったプレイをしてみたらどーだよ。ちょっと変態っぽいのでも」
「そ、そんな。……変態っぽいのって?」
まあ、例えばオシリを試すとか、オシッコでもしてみるとか。ひびきがそう言おうとした寸前。
「オシリも最初のうちだけだったし、オシッコには興味なさそうだったし……」
頬を染めながらブツブツ言っているあずさの前で、ひびきはイスから落ちた。
そして、その勢いで、妹につかみかかった。
「お前なー!」
「きゃ! な、何? そんなんじゃ、変態じゃない?」
「!…………」
あくまでも、目は純粋。そんなあずさを見て、ひびきは必死に自分に言い聞かせた。
(年で考えるな。自分の時代で物事を考えるな。彼女は真剣なんだ。がんばれ、ひびき)
そして、ポツリと提案した。
「SMは?」
「やだ。痛かったもん」
過去形である。
「ふぅーむ……」
ひびきは、あれこれ考えた。
金がないから、ホテルもダメ、コスプレもダメ。
オシッコがダメなら、脱糞はもっとダメだろう。
変わった体位といっても、彼女たちのことだから、四十八種類なんてとっくにクリア済みだろう。
「……ねえ、お兄ちゃーん。なんかない?」
「むむぅ……」
「ねえ。終わりたくないの、こんなことで。だって、だって……」
感情がたかぶってきたのだろう。彼女の瞳から、熱い涙がこぼれ始めた。
ひびきの頭の中に、WANSの歌がリフレインした。「恋せよ乙女」だ。
「わかった。兄ちゃんが、なんとか考えよう! せっかく相談してくれた、妹のためだ!」
「ホント! お兄ちゃん!」
ひびきは、あずさの頬から涙が一気に蒸発するのが見えた、気がした。
「ああ。でも、時間をくれ。それまでは、短気を起こすなよ」
「ん……」
「さ、もう寝ろ」
「んー……」
あずさがトボトボと部屋を出ていったのをキッチリ見送ってから、彼はベッドの下をまさぐった。
だが、打開策を思い付いたのは、翌日のあずさのほうだった。
学生服を着たままのひびきは、しんごの勉強机の椅子に、うつろに座っていた。
午後の光が、のんびりと彼を照らしていた。
その向かいのベッドに、しんごと、愛すべき我が妹が、肩を並べて座っている。
「じゃあ……見ててね、お兄ちゃん」
「……なあ、あずさ。マジ?」
と聞いたのは、ひびきではなく、しんごだ。
「もちろんよ。他人に見られるのはヤだけど、あたしのお兄ちゃんよ。まだ……がまんできるから」
「がまんしなくたって、いいじゃないかぁ」
「何言ってるのよ! しんご君のためじゃない」
(倦怠期の夫婦じゃないってんだ……)
あいかわらず、死んだサバみたいな目付きで、ひびきはうつろに愚痴を浮かべた。
「……ほれ。わざわざ学校帰りに寄ったんだ。さっさとしろぃ!」
「ほらぁ、しんご君」
「わ、わかったよ。あの、すいませんです、お兄さん」
「いーから」
実際、妹に手を出した男を目の当たりにすると、さすがにいい気分ではなかった。
が、相手は子供。あずさも真剣なようだし、怒るわけにもいかないひびきであった。
「しんご君……」
「あずさ……」
ファースト・ステップの、静かな甘いキスである。もちろん、ディープである。
(いーなぁ)
ひびきの、素直な感想である。
しんごは、唇から、鼻、頬、それから首筋へと、キスを降らせた。
「ん……」
そして、チラッとひびきに目をやった後、片手をあずさの小さなふくらみに、Tシャツ越しに重ねた。
「あ……」
ようやく発見した古代遺跡の土をほろう考古学者の様な手付きで、しんごの手は動いた。
「はぁ……」
あずさの息に、甘みが増していく。ひびきが、思わず見とれるほどだ。
(パッパッ、と聞いてたけど……。やっぱ、兄が監督してるから、かな?)
などと思っていると、しんごがまたひびきを盗み見た。そんな彼に、ひびきはイライラして言った。
「……あのなあ、しんご君」
「あ、はい!」
それで手を止めたため、ウットリしていたあずさの顔が、スッと曇った。ひびきにも、それがわかった。
「止めるなよ。それと、いちいち俺を見るな」
「でも……。なんか、悪いことしてるみたいで……」
「悪かねーよ。真剣なんだろ?」
「もちろんです!」
即答だった。
「なら、しっかり愛してやってくれ。それで責任とれだの言う気はねーから。お前ら、まだ若いんだから」
心の中で「若すぎるわい!」と付けたしながら、ひびきはとっておきの笑顔をこしらえた。
「お兄さん……」
「お兄ちゃん……」
二人の若いカップルは、素直に感動した。
「わかりました。じゃ、本格的にいくよ、あずさ」
「うん……」
しんごは、あずさの服を、一枚一枚脱がせた。
Tシャツ、スカート、スリップ。靴下を取らなかったのは、面倒だったからか忘れていたのか、わからない。
そして……。
「あ……」
(う……)
最後の一枚が放たれるのを、ひびきは固唾を飲んで見守った。
(ほんと……成長してたんだなぁ、あずさ……)
靴下だけにされたあずさは、ベッドにコロンと横になった。
しんごも、トランクスを残して裸になると、その上に手をついて覆いかぶさった。
「あずさ……。なんか今日は、すごくキレイだ……」
「しんご君……。うれしい……、あっ!」
しんごの唇が、胸の小さな突起に触れた瞬間、あずさの体がビクンと波打った。
「敏感になってるね」
「ばか……」
ひびきは、身を乗り出した。
チュッ、チュッ、と、音が響いた。
「あ、あん! やん……」
左右のつぼみを交互に吸った後、しんごはあずさの隣に沿って、横になった。ひそかに気をつかって、ひびきの視界をさえぎらないほうに。
そして、あずさの髪をやさしくなでた。
「ホント、ずいぶん感じやすくなってるね。すっかりカチカチだよ」
「だって……、しんご君、やさしいんだもん……」
自分をロバみたいに感じ始めていたひびきをよそに、二人は盛り上がっていた。
「でもさぁ……」
「あぅん!」
「……ほら。こっちだって、もうこんなに……」
自分の秘部からすくい取られた粘液を見て、あずさは顔を覆った。
「み、見せないでよぉ」
それから、ソッとひびきに向いた。
「……見ないで、お兄ちゃん」
しんごも、忘れてた、みたいな顔で、ひびきを見た。
「あ、あの……お兄さん。もう……いいですから」
「やかーしい」
ひびきは、つっけんどんに答えた。
「なに勝手言ってやがんだ。続けろよ。俺が最後まで、ジックリ、タップリ、すみからすみまで見てやる!」
実際、これで帰ったら、本当にロバだ。
椅子から立ち上がったひびきは、ベッドのかたすみ、彼女らの頭のほうにドカッと座った。
「ほれ。続けんかい。怒るぞ、しまいには」
「……そ、そんな……」
躊躇(ちゅうちょ)しているしんごの首に、あずさが手をまわした。
「続けて、しんご君。あたし、大丈夫だから……」
そして、ひびきを上目づかいに見て、言った。
「ごめんねお兄ちゃん。……しっかり見ててね」
「おう。たっぷり可愛がってもらえ」
「ん……」
あずさが目をとじると、しんごも観念したらしく、再び彼女の無毛でなめらかな急丘に手を沈ませた。
「あ! はあ!」
しんごの指が動くたび、あずさの体もビクンッとゆれた。
濡れてきたそこから、イヤらしい音がこぼれ始めた。
「こんなに……、あずさ……」
「あ、あん! ううっ!」
「あずさ……」
あずさの下腹部へ体をずらすしんご。その顔が、あずさの細い足と足の間に納まった。
「し、しんご君……、ああっ!」
さらに激しいケイレンが、あずさをはね上げた。
「あ……あ! 感……じちゃう……、あ! ああ!」
しんごの舌は、まず淵沿いにはいまわり、次に付け根をくすぐり、それから深みへと沈められた。
「はあ! 入ってくる! ああ! 動い……てる、あう! んんっ!」
勝手に暴れようとする体を抑えようと、あずさの両手はシーツをしっかりと握り締めていた。
そんな中で、無防備になっていた胸のふくらみを、別の手がつかんだ。
「きゃ! お、お兄ちゃん?!」
「ちょ、ちょっとお兄さん!」
ひびきは、ジロッとしんごにニラみを効かせて、言った。
「いいじゃねーか。俺の妹だぞ」
本当は、だからなおのことマズいのだが、しんごは引き下がるしかなかった。
「あん……。や、やめてぇ、お兄ちゃん……」
「ほらしんご! 口が留守だぞ!」
「はい……」
「んんぅ! だ、だめ……、しんご君……、お兄ちゃん……」
上下を同時に責められて、あずさはふりほどくことも出来ず、快感の波におぼれた。
しんごの舌が、キュウッとすぼんでいたつぼみに行く。
ひびきの指が、両の突起を小刻みに弾く。
「あ! そ、そこは! んんぅ! お、お兄ちゃ、あ! 感じすぎ……! んんぅ! だめぇ! だめぇぇ!」
あずさは、涙も唾液も垂れ流しだった。
(こんな顔するんだ、あずさ。ガキだと……思ってたけどな)
いとおしく妹の顔を見つめてから、ひびきはしんごに言った。
「しんご。そろそろいいんじゃねーか?」
「あ、はい……」
あずさの股間から顔を上げたしんごは、自分の腰をあずさの腰の位置にあわせた。
「じゃ、行きます」
「俺に言うな」
「は、はあ……」
間抜けなやりとりを上に、あずさは肩で息をしていた。
「じゃ、行くよ。あずさ」
「ん……。んんっ!」
年相応のしんごのものが、ゆっくりとあずさに進入していく。
「うぅ……、んああ!」
「くぅ……」
一気にヌルッと入りきり、二人は一瞬にして来た甘美な感触にブルブル震えた。
(気持ちいーんだろーなぁ……)
あいかわらず妹の胸をもみながら、ひびきは陰気にうらやましがった。
そんなことは構わず、しんごは腰を前後に振った。
「あ! あ! あ! あ!」
肌と肌がぶつかりあう音と、あずさのあえぎが同調している。
「す、すごいよあずさ。キツくなってる……」
「あ! いいの! いいのぉ! しんごくぅん……」
徐々にテンポが上がっていき、二人の汗が弾け飛ぶ。
あずさの両足が、足場を求めてシーツをかき乱した。
その足を、ひびきがつかんで、持ち上げた。
「きゃう!」
「お兄さん、何を!」
「止めるな! 持てよ、ほら」
しんごは、腰を使いながら、ひびきの言うとおりの体位をした。
「あ、あ! お、奥に当たって、あ!」
「あ、あずさぁ……」
ひびきは、あずさの頭の上で、またも命令した。
「待てしんご。……あず、ほれ」
「え……? きゃ!」
ひびきによって、あずさは無理やり四つんばいにされた。しんごのが入ったままで。
「うう……」
「ほれしんご。動けよ」
「はい……」
あずさの尻に手をかけて、しんごは再び腰をゆらした。
「あ! あは! ん! んん!」
「そうそう。体位はマメに、な」
と言いながら、今度はひびき、ベッドから降りて、二人の横にまわった。
「次はこう!」
「わっ!」
「きゃあ!」
しんごを押し倒し、同時にあずさも起こして、あおむけに寝るしんごに、あずさが後ろ向きでまたがる状態にした。
「ほら、今度はあずが動け」
「うん……、ん!」
「う、あ……」
しんごが、たまらずのけ反った。
「ん! ん! ん! し、しんご君、どお……!」
「いいよ。気持ちいいよ、あずさ……」
「時にはこうして、女にリードさせるんだ。なあ、あず」
「う、うん……ん! あ、あ! ああ!」
あずさは、懸命にひびきに返事をした。
「よしよし。では、本日のスペシャル・ラーゲ!」
「あ、あ……。な、に……、あ!」
けなげに動くあずさを、ひびきは正面からガップリと抱いた。
「よっと!」
「きゃう!」
ひびきは、あずさを持ち上げた。そのひょうしで、しんごのものが抜け、その感触があずさを震わせた。
「重くなったな、あずさ」
「な、なにお兄ちゃん。途中なのに……」
「まあまあ」
あずさを抱っこしたまま、ひびきはベッドに上がって、しんごの横に回り込んだ。
「お兄……さん?」
「よし、しんご。構えろ」
「え?」
「こいつを降ろすから。ちゃんと入るようにしろ」
「は、はい……」
ひびきの腕の中で、あずさは、子供がオシッコをさせてもらうような体勢だった。
「はなしてお兄ちゃん。恥ずかしい!」
「何言ってんだ、いまさら」
たしかに、正面を向かされたあずさの秘部が、しんごから丸見えの、そうとう恥ずかしい体勢である。
「降ろすぞ、しんご」
「は……い」
「いや! いやぁ!」
「よっと」
「うああっ! いやぁぁ……」
ひびきのバランスと、しんごの調整によって、あずさのそこが、再びしんごで満たされた。
だが、ひびきはまだ手を離していない。
「行くぞぉ」
「ああん!」
そう。ひびきは、あずさを無理やり上下に動かしはじめたのだ。
「お、お兄さん! は、早い……っく!」
「やあ! あ! いやぁ! だめぇ!」
「遠慮、すんな……、はあ、はあ……」
ありったけの体力を使って、妹を上下するひびき。はあはあ言っているのは、だが体力を使っているからだけではなく、自分の腕の中でせつなく甘い息をこぼす妹に興奮しているからでもあった。
(あずさ……。もっと感じろ!)
「ああ! すご、すごいの! ああ! あずさ、こわれちゃうよぉ!」
「お、おれもう……!」
「そろそろか? よーし!」
ひびきは、上下の動きに、回転まで加えた。
「んあああああーっ! あう! あうぅ!」
「ちょ、う、ううっ!」
「い、いっちゃうぅ!」
「くはっ!」
「っっっっっ!」
しんごは全身をつっぱらせ、腕の中のあずさはガクガクと震えた。
(イッたか……)
ひびきは、ケイレンが弱まるのを待って、あずさを離した。
彼女は、ゆっくりと、しんごに倒れこんだ。
「はあ、はあ……、しんごぉ……」
「あずさ……」
激しい呼吸と、とめどない汗の中、二人は抱きしめあい、当分離れそうにないキスを交わした。
満たされきった表情だった。
そしてそれは、ひびきもだった。
(へへ。早い遅いなんて問題じゃねーな。幸せを求めて、何が悪い)
ひびきは、そっと部屋を出て、タバコに火を灯した。
六歳離れた妹・あずさが、高校生の兄・ひびきの部屋を再びたずねた、夜の九時。
「どうした?」
やさしく問い掛けたひびきに、あずさははにかんだ。
「今日は、どもね」
「どってことねーよ。だけど、うちの親にも、しんごの両親にも、バレないよーにしろよ」
「う、うん。……でね?」
もじもじもじもじ。もじもじもじもじ。
「な、なんだよ今度は」
「今度は、お兄ちゃんも一緒にしよ!」
もうちょっとで、机をひっくり返すところだった。
(こ、こいつはぁ……)
「……だって、お兄ちゃんの手、気持ちよかったんだぁ。それに、あのスペシャルも、またして欲し……」
「…………………………」
「お兄ちゃん?」
ようやく立ち直ったひびきは、あずさの両肩に手を乗せた。
「あず」
「なに?」
「たった今、マンネリを打ち破る、画期的な方法を発見した」
「え? なになに?」
ひびきは、ありったけの大声で、怒鳴った。
「当分禁止だぁーっ!」
おしまい
【コメント】
本当は、すなおに兄妹の触れあい(!)を描こうかと思ったんですけどね。でも、あゆみで散々姉弟を描いた後でそれやっちゃ、何も考えてないみたいに思われそうなので、こーしちゃいました(^^;)。
これ書いてて思いだしたのが、私の小学生時代の1ページ。「さらば宇宙戦艦ヤマト」ってあったじゃないですか。あれのカードってのがあって、その中に、スリップ姿の森雪が、古代進と抱きあうシーンのがあったんですよ。それでみんなキャアキャア言って、誰かのカバンにコッソリそれを入れるなんて遊びがちょっとだけ流行ったことがありまして。
いいですねぇ。なんかこの、ちょっとしたことで大いに楽しめたあの頃って(^^)。
念の為。「ジェネレーショん」とゆータイトル、誤植じゃないですからね。
「どうした?」
やさしく問い掛けたひびきに、あずさははにかんだ。
「あ、あのねー。お兄ちゃん」
もじもじもじもじ。もじもじもじもじ。
「……なんだよぉ?」
「どっしよーかな……? お母さん達にはナイショよ」
「へ?」
もじもじもじもじ。もじもじもじもじ。
「……だ、だから何だってーの? なにがナイショだよ」
「あのねー。……しんご君の……ことなんだけど」
あずさは、三つ編みをいじりながら、やっと用件を言い始めた。
「しんご君ね。そのー……」
「はいはい。ボーイフレンドのしんご君が、ほら、どうしたってさ」
「最近、ダメなの」
ひびきは、軽くイスからコケた。
ジェネレーショん
「ダメなのって、え?」
「んんー。だからぁ! ……その、マンネリ、なのかなぁって」
「……なあ、あず」
呼ばれたあずさは、ふと真顔に戻った。
「なに?」
「そのー……」
ひびきは、懸命にセリフを選んだ。ストレートには、聞く気になれない。
「ひょっとして、キミの悩みって……体のこと?」
「からだ……」
小首を傾げたあずさは、やがて頬を赤らめて、言ってのけた。
「まあ、胸がまだ小さいから、しんご君もつまらないと思うけど……」
今度はひびき、しっかりコケた。
「お兄ちゃん?」
「い、いやいや。あ、あそー。もう、そんな関係だったんだー」
「え? だって、おつきあいしてるんだもん。……自然じゃない」
ごく純粋な目だった。まだまだあどけない、澄んだ瞳だった。
けっして、イキがって背伸びしている様子じゃない。
「……そーかぁー……」
ひびきの声は、ひどく沈んでいた。
大事な妹を傷モンにされた、からではない。比較して、自分が小学生だった頃を思い起こしたからだ。
(映画でシャワーシーンでもあれば、それでも刺激的すぎたってのに……)
「どーしたの? お兄ちゃん」
「べ、別に。でも、お前さー」
「なに?」
早すぎるんじゃねーの? そう聞こうとして、妹の体をそれとなく見た。
あと二、三年でおいつかれそうな身長、小さいとはいえしっかり形になっている胸、ミニスカートから伸びる、白くて細いしなやかな足。
中身はおいといて、「側」は受け入れ体勢が整っている。
(自然、なのかもなー)
ひびきは、引き出しからタバコを出して、くわえた。
「ま、いいや。でま、最近、彼が燃えてくれないと、こーゆーことだな?」
「うん……。いちおーするんだけど、なんかパッとやって、パッと終わっちゃうってゆーかぁ」
「おざなり?」
「あ、うん。なんか、義理?みたいな感じで。体位だって、ずっと同じだし……」
理解しようとする一方、ジンワリとくる頭痛は抑えられなかった。
よっぽど、このクソガキどもと怒鳴りつけてやろうかと、ひびきは思った。
一番腹立たしい要素は、やはり、
(兄貴はこの年で、キスすらまだだっつーに……)
これだろう。
「どぉしたらいいと思う? お兄ちゃん」
「……むーぅ」
幸い、そういう方面の書籍、映像などは、何度も見ている。なんだったら、今すぐベッドの下あたりから、参考文献の一冊や二冊は取りだせる。
ただ、実践中の妹を前にして、マニュアル本をひもとく兄の姿は、見せたくなかった。
「やっぱり……、気分転換じゃねーか?」
「気分転換?」
あずさは、件のベッドに腰をおろした。
「そう。たとえば、場所を……。そういえば、お前ら、どこでやってんだ?」
「んとねー。一番多いのは、やっぱ、しんご君の部屋?かな」
「一番多いのは……。後は、だれもいない教室とか、体育倉庫とか、公園の茂みとかか?」
やけくそ気味に並べ立てた兄の言葉に、あずさは目をパチクリとした。
「さすがお兄ちゃんね。どーしてわかるの?」
「わからいでか」
いわゆる『パターン』というやつだ。
「でもね。他に、二人だけの秘密の場所があるんだー。えへへ」
「わかった。場所のセンは捨てよう」
ひびきは、タバコをもみ消した。いつもより、執念深く。
「じゃあ、変わったプレイをしてみたらどーだよ。ちょっと変態っぽいのでも」
「そ、そんな。……変態っぽいのって?」
まあ、例えばオシリを試すとか、オシッコでもしてみるとか。ひびきがそう言おうとした寸前。
「オシリも最初のうちだけだったし、オシッコには興味なさそうだったし……」
頬を染めながらブツブツ言っているあずさの前で、ひびきはイスから落ちた。
そして、その勢いで、妹につかみかかった。
「お前なー!」
「きゃ! な、何? そんなんじゃ、変態じゃない?」
「!…………」
あくまでも、目は純粋。そんなあずさを見て、ひびきは必死に自分に言い聞かせた。
(年で考えるな。自分の時代で物事を考えるな。彼女は真剣なんだ。がんばれ、ひびき)
そして、ポツリと提案した。
「SMは?」
「やだ。痛かったもん」
過去形である。
「ふぅーむ……」
ひびきは、あれこれ考えた。
金がないから、ホテルもダメ、コスプレもダメ。
オシッコがダメなら、脱糞はもっとダメだろう。
変わった体位といっても、彼女たちのことだから、四十八種類なんてとっくにクリア済みだろう。
「……ねえ、お兄ちゃーん。なんかない?」
「むむぅ……」
「ねえ。終わりたくないの、こんなことで。だって、だって……」
感情がたかぶってきたのだろう。彼女の瞳から、熱い涙がこぼれ始めた。
ひびきの頭の中に、WANSの歌がリフレインした。「恋せよ乙女」だ。
「わかった。兄ちゃんが、なんとか考えよう! せっかく相談してくれた、妹のためだ!」
「ホント! お兄ちゃん!」
ひびきは、あずさの頬から涙が一気に蒸発するのが見えた、気がした。
「ああ。でも、時間をくれ。それまでは、短気を起こすなよ」
「ん……」
「さ、もう寝ろ」
「んー……」
あずさがトボトボと部屋を出ていったのをキッチリ見送ってから、彼はベッドの下をまさぐった。
だが、打開策を思い付いたのは、翌日のあずさのほうだった。
学生服を着たままのひびきは、しんごの勉強机の椅子に、うつろに座っていた。
午後の光が、のんびりと彼を照らしていた。
その向かいのベッドに、しんごと、愛すべき我が妹が、肩を並べて座っている。
「じゃあ……見ててね、お兄ちゃん」
「……なあ、あずさ。マジ?」
と聞いたのは、ひびきではなく、しんごだ。
「もちろんよ。他人に見られるのはヤだけど、あたしのお兄ちゃんよ。まだ……がまんできるから」
「がまんしなくたって、いいじゃないかぁ」
「何言ってるのよ! しんご君のためじゃない」
(倦怠期の夫婦じゃないってんだ……)
あいかわらず、死んだサバみたいな目付きで、ひびきはうつろに愚痴を浮かべた。
「……ほれ。わざわざ学校帰りに寄ったんだ。さっさとしろぃ!」
「ほらぁ、しんご君」
「わ、わかったよ。あの、すいませんです、お兄さん」
「いーから」
実際、妹に手を出した男を目の当たりにすると、さすがにいい気分ではなかった。
が、相手は子供。あずさも真剣なようだし、怒るわけにもいかないひびきであった。
「しんご君……」
「あずさ……」
ファースト・ステップの、静かな甘いキスである。もちろん、ディープである。
(いーなぁ)
ひびきの、素直な感想である。
しんごは、唇から、鼻、頬、それから首筋へと、キスを降らせた。
「ん……」
そして、チラッとひびきに目をやった後、片手をあずさの小さなふくらみに、Tシャツ越しに重ねた。
「あ……」
ようやく発見した古代遺跡の土をほろう考古学者の様な手付きで、しんごの手は動いた。
「はぁ……」
あずさの息に、甘みが増していく。ひびきが、思わず見とれるほどだ。
(パッパッ、と聞いてたけど……。やっぱ、兄が監督してるから、かな?)
などと思っていると、しんごがまたひびきを盗み見た。そんな彼に、ひびきはイライラして言った。
「……あのなあ、しんご君」
「あ、はい!」
それで手を止めたため、ウットリしていたあずさの顔が、スッと曇った。ひびきにも、それがわかった。
「止めるなよ。それと、いちいち俺を見るな」
「でも……。なんか、悪いことしてるみたいで……」
「悪かねーよ。真剣なんだろ?」
「もちろんです!」
即答だった。
「なら、しっかり愛してやってくれ。それで責任とれだの言う気はねーから。お前ら、まだ若いんだから」
心の中で「若すぎるわい!」と付けたしながら、ひびきはとっておきの笑顔をこしらえた。
「お兄さん……」
「お兄ちゃん……」
二人の若いカップルは、素直に感動した。
「わかりました。じゃ、本格的にいくよ、あずさ」
「うん……」
しんごは、あずさの服を、一枚一枚脱がせた。
Tシャツ、スカート、スリップ。靴下を取らなかったのは、面倒だったからか忘れていたのか、わからない。
そして……。
「あ……」
(う……)
最後の一枚が放たれるのを、ひびきは固唾を飲んで見守った。
(ほんと……成長してたんだなぁ、あずさ……)
靴下だけにされたあずさは、ベッドにコロンと横になった。
しんごも、トランクスを残して裸になると、その上に手をついて覆いかぶさった。
「あずさ……。なんか今日は、すごくキレイだ……」
「しんご君……。うれしい……、あっ!」
しんごの唇が、胸の小さな突起に触れた瞬間、あずさの体がビクンと波打った。
「敏感になってるね」
「ばか……」
ひびきは、身を乗り出した。
チュッ、チュッ、と、音が響いた。
「あ、あん! やん……」
左右のつぼみを交互に吸った後、しんごはあずさの隣に沿って、横になった。ひそかに気をつかって、ひびきの視界をさえぎらないほうに。
そして、あずさの髪をやさしくなでた。
「ホント、ずいぶん感じやすくなってるね。すっかりカチカチだよ」
「だって……、しんご君、やさしいんだもん……」
自分をロバみたいに感じ始めていたひびきをよそに、二人は盛り上がっていた。
「でもさぁ……」
「あぅん!」
「……ほら。こっちだって、もうこんなに……」
自分の秘部からすくい取られた粘液を見て、あずさは顔を覆った。
「み、見せないでよぉ」
それから、ソッとひびきに向いた。
「……見ないで、お兄ちゃん」
しんごも、忘れてた、みたいな顔で、ひびきを見た。
「あ、あの……お兄さん。もう……いいですから」
「やかーしい」
ひびきは、つっけんどんに答えた。
「なに勝手言ってやがんだ。続けろよ。俺が最後まで、ジックリ、タップリ、すみからすみまで見てやる!」
実際、これで帰ったら、本当にロバだ。
椅子から立ち上がったひびきは、ベッドのかたすみ、彼女らの頭のほうにドカッと座った。
「ほれ。続けんかい。怒るぞ、しまいには」
「……そ、そんな……」
躊躇(ちゅうちょ)しているしんごの首に、あずさが手をまわした。
「続けて、しんご君。あたし、大丈夫だから……」
そして、ひびきを上目づかいに見て、言った。
「ごめんねお兄ちゃん。……しっかり見ててね」
「おう。たっぷり可愛がってもらえ」
「ん……」
あずさが目をとじると、しんごも観念したらしく、再び彼女の無毛でなめらかな急丘に手を沈ませた。
「あ! はあ!」
しんごの指が動くたび、あずさの体もビクンッとゆれた。
濡れてきたそこから、イヤらしい音がこぼれ始めた。
「こんなに……、あずさ……」
「あ、あん! ううっ!」
「あずさ……」
あずさの下腹部へ体をずらすしんご。その顔が、あずさの細い足と足の間に納まった。
「し、しんご君……、ああっ!」
さらに激しいケイレンが、あずさをはね上げた。
「あ……あ! 感……じちゃう……、あ! ああ!」
しんごの舌は、まず淵沿いにはいまわり、次に付け根をくすぐり、それから深みへと沈められた。
「はあ! 入ってくる! ああ! 動い……てる、あう! んんっ!」
勝手に暴れようとする体を抑えようと、あずさの両手はシーツをしっかりと握り締めていた。
そんな中で、無防備になっていた胸のふくらみを、別の手がつかんだ。
「きゃ! お、お兄ちゃん?!」
「ちょ、ちょっとお兄さん!」
ひびきは、ジロッとしんごにニラみを効かせて、言った。
「いいじゃねーか。俺の妹だぞ」
本当は、だからなおのことマズいのだが、しんごは引き下がるしかなかった。
「あん……。や、やめてぇ、お兄ちゃん……」
「ほらしんご! 口が留守だぞ!」
「はい……」
「んんぅ! だ、だめ……、しんご君……、お兄ちゃん……」
上下を同時に責められて、あずさはふりほどくことも出来ず、快感の波におぼれた。
しんごの舌が、キュウッとすぼんでいたつぼみに行く。
ひびきの指が、両の突起を小刻みに弾く。
「あ! そ、そこは! んんぅ! お、お兄ちゃ、あ! 感じすぎ……! んんぅ! だめぇ! だめぇぇ!」
あずさは、涙も唾液も垂れ流しだった。
(こんな顔するんだ、あずさ。ガキだと……思ってたけどな)
いとおしく妹の顔を見つめてから、ひびきはしんごに言った。
「しんご。そろそろいいんじゃねーか?」
「あ、はい……」
あずさの股間から顔を上げたしんごは、自分の腰をあずさの腰の位置にあわせた。
「じゃ、行きます」
「俺に言うな」
「は、はあ……」
間抜けなやりとりを上に、あずさは肩で息をしていた。
「じゃ、行くよ。あずさ」
「ん……。んんっ!」
年相応のしんごのものが、ゆっくりとあずさに進入していく。
「うぅ……、んああ!」
「くぅ……」
一気にヌルッと入りきり、二人は一瞬にして来た甘美な感触にブルブル震えた。
(気持ちいーんだろーなぁ……)
あいかわらず妹の胸をもみながら、ひびきは陰気にうらやましがった。
そんなことは構わず、しんごは腰を前後に振った。
「あ! あ! あ! あ!」
肌と肌がぶつかりあう音と、あずさのあえぎが同調している。
「す、すごいよあずさ。キツくなってる……」
「あ! いいの! いいのぉ! しんごくぅん……」
徐々にテンポが上がっていき、二人の汗が弾け飛ぶ。
あずさの両足が、足場を求めてシーツをかき乱した。
その足を、ひびきがつかんで、持ち上げた。
「きゃう!」
「お兄さん、何を!」
「止めるな! 持てよ、ほら」
しんごは、腰を使いながら、ひびきの言うとおりの体位をした。
「あ、あ! お、奥に当たって、あ!」
「あ、あずさぁ……」
ひびきは、あずさの頭の上で、またも命令した。
「待てしんご。……あず、ほれ」
「え……? きゃ!」
ひびきによって、あずさは無理やり四つんばいにされた。しんごのが入ったままで。
「うう……」
「ほれしんご。動けよ」
「はい……」
あずさの尻に手をかけて、しんごは再び腰をゆらした。
「あ! あは! ん! んん!」
「そうそう。体位はマメに、な」
と言いながら、今度はひびき、ベッドから降りて、二人の横にまわった。
「次はこう!」
「わっ!」
「きゃあ!」
しんごを押し倒し、同時にあずさも起こして、あおむけに寝るしんごに、あずさが後ろ向きでまたがる状態にした。
「ほら、今度はあずが動け」
「うん……、ん!」
「う、あ……」
しんごが、たまらずのけ反った。
「ん! ん! ん! し、しんご君、どお……!」
「いいよ。気持ちいいよ、あずさ……」
「時にはこうして、女にリードさせるんだ。なあ、あず」
「う、うん……ん! あ、あ! ああ!」
あずさは、懸命にひびきに返事をした。
「よしよし。では、本日のスペシャル・ラーゲ!」
「あ、あ……。な、に……、あ!」
けなげに動くあずさを、ひびきは正面からガップリと抱いた。
「よっと!」
「きゃう!」
ひびきは、あずさを持ち上げた。そのひょうしで、しんごのものが抜け、その感触があずさを震わせた。
「重くなったな、あずさ」
「な、なにお兄ちゃん。途中なのに……」
「まあまあ」
あずさを抱っこしたまま、ひびきはベッドに上がって、しんごの横に回り込んだ。
「お兄……さん?」
「よし、しんご。構えろ」
「え?」
「こいつを降ろすから。ちゃんと入るようにしろ」
「は、はい……」
ひびきの腕の中で、あずさは、子供がオシッコをさせてもらうような体勢だった。
「はなしてお兄ちゃん。恥ずかしい!」
「何言ってんだ、いまさら」
たしかに、正面を向かされたあずさの秘部が、しんごから丸見えの、そうとう恥ずかしい体勢である。
「降ろすぞ、しんご」
「は……い」
「いや! いやぁ!」
「よっと」
「うああっ! いやぁぁ……」
ひびきのバランスと、しんごの調整によって、あずさのそこが、再びしんごで満たされた。
だが、ひびきはまだ手を離していない。
「行くぞぉ」
「ああん!」
そう。ひびきは、あずさを無理やり上下に動かしはじめたのだ。
「お、お兄さん! は、早い……っく!」
「やあ! あ! いやぁ! だめぇ!」
「遠慮、すんな……、はあ、はあ……」
ありったけの体力を使って、妹を上下するひびき。はあはあ言っているのは、だが体力を使っているからだけではなく、自分の腕の中でせつなく甘い息をこぼす妹に興奮しているからでもあった。
(あずさ……。もっと感じろ!)
「ああ! すご、すごいの! ああ! あずさ、こわれちゃうよぉ!」
「お、おれもう……!」
「そろそろか? よーし!」
ひびきは、上下の動きに、回転まで加えた。
「んあああああーっ! あう! あうぅ!」
「ちょ、う、ううっ!」
「い、いっちゃうぅ!」
「くはっ!」
「っっっっっ!」
しんごは全身をつっぱらせ、腕の中のあずさはガクガクと震えた。
(イッたか……)
ひびきは、ケイレンが弱まるのを待って、あずさを離した。
彼女は、ゆっくりと、しんごに倒れこんだ。
「はあ、はあ……、しんごぉ……」
「あずさ……」
激しい呼吸と、とめどない汗の中、二人は抱きしめあい、当分離れそうにないキスを交わした。
満たされきった表情だった。
そしてそれは、ひびきもだった。
(へへ。早い遅いなんて問題じゃねーな。幸せを求めて、何が悪い)
ひびきは、そっと部屋を出て、タバコに火を灯した。
六歳離れた妹・あずさが、高校生の兄・ひびきの部屋を再びたずねた、夜の九時。
「どうした?」
やさしく問い掛けたひびきに、あずさははにかんだ。
「今日は、どもね」
「どってことねーよ。だけど、うちの親にも、しんごの両親にも、バレないよーにしろよ」
「う、うん。……でね?」
もじもじもじもじ。もじもじもじもじ。
「な、なんだよ今度は」
「今度は、お兄ちゃんも一緒にしよ!」
もうちょっとで、机をひっくり返すところだった。
(こ、こいつはぁ……)
「……だって、お兄ちゃんの手、気持ちよかったんだぁ。それに、あのスペシャルも、またして欲し……」
「…………………………」
「お兄ちゃん?」
ようやく立ち直ったひびきは、あずさの両肩に手を乗せた。
「あず」
「なに?」
「たった今、マンネリを打ち破る、画期的な方法を発見した」
「え? なになに?」
ひびきは、ありったけの大声で、怒鳴った。
「当分禁止だぁーっ!」
おしまい
【コメント】
本当は、すなおに兄妹の触れあい(!)を描こうかと思ったんですけどね。でも、あゆみで散々姉弟を描いた後でそれやっちゃ、何も考えてないみたいに思われそうなので、こーしちゃいました(^^;)。
これ書いてて思いだしたのが、私の小学生時代の1ページ。「さらば宇宙戦艦ヤマト」ってあったじゃないですか。あれのカードってのがあって、その中に、スリップ姿の森雪が、古代進と抱きあうシーンのがあったんですよ。それでみんなキャアキャア言って、誰かのカバンにコッソリそれを入れるなんて遊びがちょっとだけ流行ったことがありまして。
いいですねぇ。なんかこの、ちょっとしたことで大いに楽しめたあの頃って(^^)。
念の為。「ジェネレーショん」とゆータイトル、誤植じゃないですからね。
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