小説(転載) ドア
官能小説
たぶん、よくある話なんだと思う。
女の子が、同じクラスの同性の親友に、ひとりエッチの“方法”を聞くというのは。
「な、なんだっ……ムグ!」
手と、なぜか頭のてっぺんを押さえつけられて、辰美(たつみ)は目をシロクロさせた。
辰美といっても男じゃない。ストレートのショートカットで、男に毛が生えた程度のボディラインだが、れっきとした少女である。
かなり、大きなお世話な説明ではあるが。
「声が大きいよぉ!」
辰美を押さえつけている、やや天パ気味の黒いロングヘアの少女。名前は穂乃香(ほのか)。
名前と、「大きいよぉ」と小さな「ぉ」が付くしゃべり方が、性格を現わしている。
同性からもかわいいと言われるその顔は、真っ赤っかだった。
ドア
「したことないの? 中学生にもなって」
「…………」
帰り道。ちょうどバレンタインを過ぎた辺りで、陽の光にも微妙な温かさを感じる。
「だって、普通、思わない? ちょっと触ってみよっかなーとか、どんな感じかなーとか」
「…………」
「ふーん」
「……辰美は? したことあるの?」
「ま、この際だからちゃんと答えるけど、したこと、どころじゃないよ」
「え…………?」
ヒソヒソヒソ。
「ええ~……。も、もう男の子と……」
「まーね。あ、ナイショだからな、これ」
「う、うん……。でも……ああ、私、やっぱり遅れてるんだぁ……」
「ま、私の場合は、ちと進みすぎだってわかってるけどさ」
(それも、たった二回だけだし)
「それにしても、確かに穂乃香は遅れてる。てゆーか、ヘン」
「ううう……。だって、わかんないんだもん……」
「でもさ。なんでまた、急に興味が?」
真っ赤っか。
「……男子が……ね? その……男子の会話で……その……聞こえちゃって」
女もするらしいな。そーゆーコト。
「まーなぁ。男の場合は、生理と同じだなんて、彼も言ってたし……」
「…………」
「でも、でもだぞ? 女だって、それに近いぞ? 私だって、小学生の頃にはもう……」
「だから……だから辰美にぃ……」
「おっけ、おっけ」
頭ナデナデ。
家の鍵を開けた穂乃香は、誰もいないの、と言った。
二階にある彼女の部屋は、アリが入り込む隙間もないほど、女の子っぽさに満ちあふれていた。
なんせ、同性の辰美が、照れて入室を躊躇するほどだから。
「えっと、じゃあ、お茶入れてくるねぇ」
「あー待った待った。いいから、本題に入ろ」
「……う、うん……」
開きかけたドアをパタンと閉じて、そのドアを背にして、穂乃香は立ちすくんだ。
「本題、ね……」
「さて、本題って言っても……」
では説明いたしましょう、って類いのモンじゃない。
切り出すキッカケをつかめず、あれこれ考えてるうちに、辰美は、なぜこんなにもウブなコと、入学式で初めて会って以来の親友なんだろうかと、悩む始末だった。
「辰美?」
「むー。ま、いいか。じゃ、まず脱いじゃってよ」
「え?!」
「ま、実は脱がなくても出来るんだけどさ。でも、脱いだほうが、気分も盛り上がるし」
「ええー……。わかった。じゃ、脱ぐから……」
穂乃香は、再びドアを押し開けた。
「なに」
「だからぁ……脱ぐから……部屋を出て」
「……忘れてるかもしれないけど、私、女だぞ?」
「わかってるよぉ。でも……恥ずかしいからぁ……」
「…………」
だったら、ひとりエッチのやり方なんて、聞きなさんさ。
そんなセリフをゴックリとひと飲みして、部屋を出る辰美。
「ま、リラックスしてやったほうがいいし……」
なんて言いながら廊下に出て、背中でドアを閉めた。
「脱いだー?」
「もうちょっとぉ。んしょっと……」
「…………」
「いーい?」
「わぁ! だ、だめだよぉ、入っちゃ」
「あ、あのなぁ」
辰美は、閉まったまんまのドアにもたれかかって、ウンザリした。
「じゃあナニ? ドアを閉めたまま、ドア越しに、あれこれ説明しろってかい?!」
「…………うん」
もたれていた腕が、ズルッと滑った。
「まったくー……」
呆れのドロ沼にズブズブとハマりそうになったその時、辰美に、小悪魔のツノが生えた(比喩)。
こりゃ面白い、である。
「だけどさぁ。実際にあんたの裸を見ないと、教えるプランが立てられないよ?」
「……うううー……」
予想通りの反応。辰美が声を殺して笑ってると、じきに、困り果てた末の穂乃香の声がした。
「じゃあ……チラッとね。チラッとだよぉ?」
「おっけ、おっけ」
辰美は、ガサ入れの刑事みたいな勢いで、思いきりドアを開け放った。
「やああっ!」
滑稽に思えるほどの悲鳴をあげて、中にいた穂乃香は、両手を目一杯使って、体を隠した。
「チ、チラッとだってばぁ! ドアの隙間からそ~っとぉ……」
「ノゾキか私は。いいからホレ、手をどけろって」
「うううー……」
「帰ろっかな」
「あ、待って! ……わかった。はい……」
しおれる花のように、戸惑いながら穂乃香の腕が降りると、それは辰美のノドをゴクッと鳴らせる裸体だった。
男なら、確実に鼻血を吹きだしているだろう。それも、致死量を遥かに越えて。
それほどに、もはや魔力とも言えるほど、穂乃香のヌードは、美しく、そして艶やかだったのだ。
「ふーん……」
「ふ、ふーんって……やだぁ……」
(そーか。あっちの毛、まだなんだ……)
(それでいて、出るトコ出て……)
(引っ込むトコは、キュッと引っ込んでて……)
(こりゃイヤらしい)
(彼女がこれほどウブなのって、神様の配慮なのかもねー)
「ちょ、ちょっとぉ」
耐えきれずに穂乃香がまた体を隠したので、辰美のひとり思いも寸断された。
「ま、わかった。じゃあ、そーだなー……、ん?」
「ん!」
「……おっけ、おっけ」
真っ赤っかな穂乃香に後ろを指差されて、辰美はハイハイと部屋を出て、ドアを閉じた。
(……くそー。じゃあ、私のこの体つきも、“神様の配慮”なのかぁ?)
ヤケクソ気味に、ドアの前にデンとあぐらで、辰美は座り込んだ。
制服のスカートがシワになるとか、そんなコトに気の回る性格ではないのだ。
「じゃあ、まずー……ん?」
「んしょっと……」
ドアの向こうで、それもドアのすぐ近く辺りで、穂乃香のオシリが、フローリングの床にペタンと鳴る音がした。
「なに、穂乃香。あんたも、ドアの前に座ったわけ?」
「うん……。だって、聞こえにくいから……」
返事をしない辰美の顔は、ふーんと言っていた。
ドア一枚へだてて、さっきのあのナイスバディが、恥ずかしそうに座ってるってワケか。
妙な気分、である。
「……じゃあまず、胸を揉んでごらん」
「う、うん……! 痛!」
「あーコラコラ。強くやっちゃダメ。もっと微妙なタッチで、こう……」
「…………うん……」
「どお?」
「どぉって……揉んでるよ?」
「……それ、ただ真っ正面からつかんで、単純にモミモミしてるだけじゃないの?」
「ええ? だって、揉めって……」
「違うの。なんてーか、その……」
言葉を選びそこねた辰美は、廊下に座ったままスゥッと腕をのばして、まるで背中から穂乃香の胸を揉むように、空中で手をワキワキさせた。
それから、頭をバリボリと掻いた。
「あー、わからん。いいや、ちょっとドア開けるよー」
「だめぇ!」
ドアノブがガチャガチャ鳴る。きっと向こうで、穂乃香が必死に開けられないようにしてるんだろう。
「待った待った。今度は少し開けるだけだから。私の手が入る程度にさ」
「手? 手を入れて……どうするの?」
「だからー。実際にこう揉むんだっての、説明するから」
「……! ちょちょ、ちょっとぉ! それって、私の胸で?」
「手を入れて空中でワキワキしたって、説明になんないだろーさ!」
「…………」
「じゃ、後はひとりで頑張って……」
「わかったからぁ! ううう~……」
ツノどころか、今の辰美には、シッポまで生えていた(比喩)。
「きゃは! や、やぁん!」
手探りだったため、最初は穂乃香のわき腹を探ってしまった辰美の手が、
「あ……!」
どうにか、フニャラッとした感触を得ることに成功した。
(ええ乳や……)
ドアにほっぺたを付けていた辰美は、思わず空いてる手で、自分の胸を触った。
(貧しい乳や……)
「ね、ねぇ?! それで、どう揉むのぉ?」
「お、おう。だから、こうして……」
つかみ応えのある膨らみを、下からすくい上げるように、手の平で包み込む。
「ふぁ……っ!」
指先ではなく、あくまでも手の平全体をすぼめるようにして、微妙に膨らみの形を変えてやる。
「んっ……」
そして、それを繰り返す。
「んん……あ、はぁぁ……」
「……いい気持ちでしょぉー」
「うん……! わ、わかったから、あ、後は自分でやってみるから、ね?」
「……そっか。うん」
エサを取りそこねたヘビみたいに、辰美の手がシュルシュルッと抜けると、ドアはパタリと閉じてしまった。
「えっと……下から……うん」
「…………」
「手の平で……あ、ああ……」
「…………」
やってるんだろうなぁというドアの向こうの声を耳に、辰美は揉んでいた手を、ジッと見つめた。
(こりゃまた……)
まだ、穂乃香の温もりが残っている。スベスベでヤワヤワな感触が、ジンワリと残っている。
「…………」
思わず、本当に思わず、その手に鼻をよせて、クンクンする前に、我に返る。
(ア、アホか。匂い嗅いでどーするよ、匂い嗅いで)
「ん……んん……ふぁ……」
「…………」
ドアの向こうの、元がかわいいだけに、ますます色っぽい声。
辰美は、手の匂いを嗅いでいた。
かすかに、穂乃香の体臭を感じた。緊張で、発汗していたのだろう。
「……穂乃香ぁ。どぉ?」
「うん……。なんか……ポォッとするぅ……」
「乳首、立ってない?」
「え……? あ、ホ、ホントだぁ……ええ……?!」
「いいのいいの、それで。触ってみた?」
「ううん……」
「触ってごらん?」
「…………きゃん!」
ゴンッ!
「わっ!」
辰美は驚いた。ドアの向こうから、何かがぶつかる音がしたからだ。
「ど、どーしたの、穂乃香!」
「……頭ぶつけたぁ……痛いよぉ……」
「…………プッ!」
きっとそうだ。穂乃香のヤツ、ドアを背にして座ってて、あまりの衝撃にのけ反って、それで後頭部を。
そう思うと、ちょっと気の毒だからおおっぴらには笑えないものの、辰美の震えは、なかなか止まらなかった。
「ううう~……笑ってるんでしょぉ、辰美ぃ。ひどいよぉ……」
「ごめんごめん。その状態の乳首って、すごく感じやすいから……ププッ……気をつけなよ……プッ」
「遅いもんっ……」
それから気を持ち直したのか、穂乃香から、また艶っぽい声が出始めた。
「ふぅ……んっ、ぁあ……、うっ」
「…………」
辰美は、ポーッとなっていた。
(私も……彼との時……こんな声出して……るんだろうなー)
「はぁ、ぁ、あぁ……」
(いや、こんなにかわいい声じゃないだろーけどさー)
自然と、彼の下になっている自分の姿を想像してしまう。
好き勝手に体をいじられて、それなのに拒絶どころか、悦びの声をあげて。
「……あんっ!」
「!!」
ドアの向こうからした、甘ったるい悲鳴に、辰美はギクッとした。
自分の想像と、オーバーラップしたからだ。
ドキドキドキドキ……。
「穂乃香ぁ。気持ちいいかい?」
「え? う、うん……。とってもぉ……」
いつもに増して、トロッと煮込まれたような、穂乃香の返事。
「頭の中がビリビリってしてぇ……甘酸っぱくてぇ……」
「ふーん……」
「あぁん……気持ちいいよぉ……」
「…………」
いよいよ。
辰美の背中に、コウモリみたいな羽が現れ、パタパタと羽ばたきだした(比喩)。
「もっと気持ちいい場所も、触ってごらん」
「え……?」
「そこに触ると、胸なんか全然およびじゃない、体中がシビれるほど、自分の体が浮いてしまいそうなほど、そりゃもう……何ていうか、もンのすごく気持ちよくなるんだなー」
「…………」
コクンッと、穂乃香のノドが鳴ったのが、聞こえたような気がした。
「これ以上の? ……どこぉ?」
「アソコ」
「あそこって?」
ヒソヒソヒソ。
「え? ええ? えええ~っ?!」
「いやホントに」
「だ、だって、だってぇ……汚いよ、そんな、オシッコ出るトコなんて……」
「ふーん」
「それに、大事なトコなんだよ? そんなコトしたら……」
イジ悪い、小悪魔の笑顔で、辰美はドアの向こうに言った。
「後で手を洗えばいいじゃない。それに、なにもひっかき回せって言ってんじゃないんだし」
「でも……ダメだよぉ……」
「最高だよぉ。アソコを中心に、熱くてシビれる何かが、体中にジュワーッて広がる感じで……」
「…………」
「もうね、何も考えれなくなっちゃう。荒い波にもまれるみたいに、気が遠くなるほど……」
「そんなに……?」
ためらう時間は、三秒で足りた。
「じゃあ……ちょっとだけ……」
「そうそう。イヤなら、やめればいーし」
「うん……」
そして辰美は、ドアの向こうの声を待った。
用足しの後で紙で拭く以外、触ったことがないであろう場所。
そこを初めて触った、その瞬間の声を。
「………………うンッ!」
(うひゃあ……)
想像以上の、かわいくてせつなくて、そこら中の物をブチ壊したくなるような声だった。
「す、すごいぃ……。こ、怖いよ辰美ぃ。こんなに……こんなにぃ?」
「でっしょー。大丈夫だから、もっと触って、こすってみな?」
「……あ! あぅっ! んっ! ふあっ!」
ドアからは、そんな甘美な声に混じって、背中とドアの間でこすられている、穂乃香の黒髪の乾いた音が聞こえていた。
もう、体の抑えが効かなくなっているのだろう。
「な? めちゃくちゃ気持ちいいだろ? もっとも、男に触られたら、さらに……」
「あん! あん! いい! いいのぉ!」
「……穂乃香」
「んうぅ! うっ! あ、あ、あ!」
返事もできないほど、らしい。
(あの穂乃香が……イヤらしいなぁ……)
そんな無責任なことを思いながら。
辰美は膝立ちになって、そっとドアに耳を重ねた。
「あは……、んっ………………ひゃうっ!?」
ゴンッ!
「うわぁ!」
またも、ドアの向こうから、何かがぶつかる音がしたのだ。
ノゾキがバレたみたいな気分で、少し慌てた辰美だが、じきにニヤッと笑みを浮かべる。
「穂乃香。あんた、クリトリスに触ったね?」
「…………栗とリス?」
「発音が違う。今あんたが触った、小豆くらいの大きさの、固い部分の名前だよ」
「あ、小豆? …………うあっ!」
ゴンッ!
「あんたねぇ……」
どうやら、小豆くらいの大きさという辰美の言葉を、触って確かめようとしたらしい。
「痛いよぉ……」
「最初のうちは、あんまりソコに触れないほうがいいぞ? 感度よすぎるから」
彼に吸われた時なんて、失禁しかけた。そう言いかけた矢先、
「あ、あれぇ……私、オシッコなんて漏らしてないのにぃ……」
困り果てたような穂乃香の声がした。またもギョッとしかけた辰美だったが、
「ああ、ソレ。心配ない。自動的に出てくるモンで、汚かないから」
ニマーッと笑った。
「だってホレ、オシッコは、そんなにヌルヌルしないだろ?」
「うん…………わ、糸ひいてるぅ……」
「…………」
辰美は、ポォーッとなる頭を二、三度振ってから、熱っぽい声で言った。
「続けなよ。なるべくクリトリスに触らないように、それから指が深く入らないように……」
「う、うん…………あっ! あはぁっ! あん! ああっ……!」
それからしばらく、穂乃香の喘ぎ声は、休まず続いた。
問題は、喘ぎの隙間から漏れ出ている言葉だ。
「あぅん……辰美ぃ……あ、あん! 辰美ぃぃ……」
それは、あまりの快感故に怯える穂乃香が、親友にすがりつくような思いでの言葉だった。
だが、当の辰美にとっては、たまったものではない。
そりゃ穂乃香はかわいい。女の私だって、かわいいと思うし、そんな彼女と親友なのは嬉しい。
しかし私は、すでに体を許しているほどの彼がいる。やや早熟だが、れっきとした女だ。
いたってノーマルなのだ。
間違っても、女同士の世界に憧れる、アブノーマルではない。
「辰美ぃ……あぁあ……」
ついに、辰美の口から、キバが生えた(比喩)。
ま、いいか。穂乃香、かわいいし。
「穂乃香ぁ。イク、って解る?」
「あっ! んふぅ……。ん! んん!」
予想どおり、返事をする余裕なんてないらしい。
構わず、辰美は言葉を続けた。
「イクって、気持ちよさがピークに達して、何もかもが真っ白になる瞬間なんだ」
「ふぁ! あ、あは……、あああ!」
「でもさー。ひとりでやって、ひとりでイクと、その後が何かさびしいんだよねー」
「あん! あ! あふ! んぅぅ!」
「だからさー……」
ドアノブを、クイッと緩めるだけでよかった。
それで、寄りかかっていた穂乃香の重みで、ドアはあっさりと全開になった。
「わ、きゃあ!」
もちろん、そのはずみで、穂乃香も後ろ向きに倒れる。
それを、辰美が受け止めた。
「た、辰美ぃ……やだぁ……」
体に力が入らないのだろう。素っ裸の穂乃香は、足を開いたまま、そこに手を重ねたままだった。
独特の淫臭にゾクゾクしながら、辰美は言った。
「だから、私がイカせてやる」
「だ、だからって、何?」
素早かった。
穂乃香の背中を、膝まくらに乗せて。
邪魔な手を払うようにどかせて。
一瞬にして、穂乃香のをポイントした。
「いやぁぁ!」
「ほら」
辰美は、そのヌルヌルにまかせて、激しく穂乃香をこすった。
「あああっ! だ、だめ! あう! あうう!」
「胸もサービスだ」
「きゃい! つ、つまんじゃダメぇ! ああ、ああーっ!」
「ほら、ほら。イクっての、わからせてやる」
「ああ! イクって? イクって? あん、あん!」
「すぐ解る。ほら、ほら!」
「わかんない、あ、わかんないよ、あん!」
「早く、イク顔を見せな! 親友の私に、思いっきり恥ずかしい顔を!」
「やぁ! やだぁ! ああっ!」
必死の思いで、片手で顔を隠す穂乃香。
「ほらほら~! もうスグだぞぉー!」
「いや、ああ、あ! ま、待って! 待ってぇ! おかしいの! 体がぁ!」
「来たなぁ! ほら! ほらぁ!」
「これなの?! これが、ああ! これがイクなのぉ?! あ、あ、あ……」
そして、もうほとんど、金切り声になった。
「イクゥッ!」
辰美は、穂乃香のヒクヒクしている場所を、ティッシュで優しく拭き取った。
それから、スッと立ち上がると、何やらゴソゴソ始めた。
「……辰美? ……え?」
「穂乃香……」
裸になった辰美が、穂乃香に覆いかぶさった。
「今度は、私の番……」
「……辰美も、イクになりたいの?」
「ああ。それも、彼にでもない。もちろん、ひとりでもない……」
「…………」
熱い口づけの後、辰美は言った。
「穂乃香の手で、イクってなりたいんだ……」
親友が高じ、想いのドアを開け放って、より深い仲となる。
たぶん、よくある話なんだと思う。
おしまい
【後書き】
たしかに、よくある話だよなぁ(^^;)。ウブなコにオナニー教えて、それがレズに発展するって。
そりゃもう太古の昔から。ロリというジャンルが誕生した時から。
それでも構いません。題材の新鮮味は問いません。
あくまでも、「まげが書くとこうなる」というのを、表現してみたかったのですから。
その上で、楽しんでもらえる内容にしたつもりですから。
…とは言えなぁ(^^;)。直球すぎて、逆に恥ずかしいよ(^^;)。
何でしょうね。ふと、女の子のひとりエッチを書きたくて、しょうがなかったんですよ。
(イヤな衝動だな…)
女の子にとっては、情けないだけの、絶対見られたくない姿なんでしょうねぇ。
ま、それ故に、なんですが(^^)。
女の子が、同じクラスの同性の親友に、ひとりエッチの“方法”を聞くというのは。
「な、なんだっ……ムグ!」
手と、なぜか頭のてっぺんを押さえつけられて、辰美(たつみ)は目をシロクロさせた。
辰美といっても男じゃない。ストレートのショートカットで、男に毛が生えた程度のボディラインだが、れっきとした少女である。
かなり、大きなお世話な説明ではあるが。
「声が大きいよぉ!」
辰美を押さえつけている、やや天パ気味の黒いロングヘアの少女。名前は穂乃香(ほのか)。
名前と、「大きいよぉ」と小さな「ぉ」が付くしゃべり方が、性格を現わしている。
同性からもかわいいと言われるその顔は、真っ赤っかだった。
ドア
「したことないの? 中学生にもなって」
「…………」
帰り道。ちょうどバレンタインを過ぎた辺りで、陽の光にも微妙な温かさを感じる。
「だって、普通、思わない? ちょっと触ってみよっかなーとか、どんな感じかなーとか」
「…………」
「ふーん」
「……辰美は? したことあるの?」
「ま、この際だからちゃんと答えるけど、したこと、どころじゃないよ」
「え…………?」
ヒソヒソヒソ。
「ええ~……。も、もう男の子と……」
「まーね。あ、ナイショだからな、これ」
「う、うん……。でも……ああ、私、やっぱり遅れてるんだぁ……」
「ま、私の場合は、ちと進みすぎだってわかってるけどさ」
(それも、たった二回だけだし)
「それにしても、確かに穂乃香は遅れてる。てゆーか、ヘン」
「ううう……。だって、わかんないんだもん……」
「でもさ。なんでまた、急に興味が?」
真っ赤っか。
「……男子が……ね? その……男子の会話で……その……聞こえちゃって」
女もするらしいな。そーゆーコト。
「まーなぁ。男の場合は、生理と同じだなんて、彼も言ってたし……」
「…………」
「でも、でもだぞ? 女だって、それに近いぞ? 私だって、小学生の頃にはもう……」
「だから……だから辰美にぃ……」
「おっけ、おっけ」
頭ナデナデ。
家の鍵を開けた穂乃香は、誰もいないの、と言った。
二階にある彼女の部屋は、アリが入り込む隙間もないほど、女の子っぽさに満ちあふれていた。
なんせ、同性の辰美が、照れて入室を躊躇するほどだから。
「えっと、じゃあ、お茶入れてくるねぇ」
「あー待った待った。いいから、本題に入ろ」
「……う、うん……」
開きかけたドアをパタンと閉じて、そのドアを背にして、穂乃香は立ちすくんだ。
「本題、ね……」
「さて、本題って言っても……」
では説明いたしましょう、って類いのモンじゃない。
切り出すキッカケをつかめず、あれこれ考えてるうちに、辰美は、なぜこんなにもウブなコと、入学式で初めて会って以来の親友なんだろうかと、悩む始末だった。
「辰美?」
「むー。ま、いいか。じゃ、まず脱いじゃってよ」
「え?!」
「ま、実は脱がなくても出来るんだけどさ。でも、脱いだほうが、気分も盛り上がるし」
「ええー……。わかった。じゃ、脱ぐから……」
穂乃香は、再びドアを押し開けた。
「なに」
「だからぁ……脱ぐから……部屋を出て」
「……忘れてるかもしれないけど、私、女だぞ?」
「わかってるよぉ。でも……恥ずかしいからぁ……」
「…………」
だったら、ひとりエッチのやり方なんて、聞きなさんさ。
そんなセリフをゴックリとひと飲みして、部屋を出る辰美。
「ま、リラックスしてやったほうがいいし……」
なんて言いながら廊下に出て、背中でドアを閉めた。
「脱いだー?」
「もうちょっとぉ。んしょっと……」
「…………」
「いーい?」
「わぁ! だ、だめだよぉ、入っちゃ」
「あ、あのなぁ」
辰美は、閉まったまんまのドアにもたれかかって、ウンザリした。
「じゃあナニ? ドアを閉めたまま、ドア越しに、あれこれ説明しろってかい?!」
「…………うん」
もたれていた腕が、ズルッと滑った。
「まったくー……」
呆れのドロ沼にズブズブとハマりそうになったその時、辰美に、小悪魔のツノが生えた(比喩)。
こりゃ面白い、である。
「だけどさぁ。実際にあんたの裸を見ないと、教えるプランが立てられないよ?」
「……うううー……」
予想通りの反応。辰美が声を殺して笑ってると、じきに、困り果てた末の穂乃香の声がした。
「じゃあ……チラッとね。チラッとだよぉ?」
「おっけ、おっけ」
辰美は、ガサ入れの刑事みたいな勢いで、思いきりドアを開け放った。
「やああっ!」
滑稽に思えるほどの悲鳴をあげて、中にいた穂乃香は、両手を目一杯使って、体を隠した。
「チ、チラッとだってばぁ! ドアの隙間からそ~っとぉ……」
「ノゾキか私は。いいからホレ、手をどけろって」
「うううー……」
「帰ろっかな」
「あ、待って! ……わかった。はい……」
しおれる花のように、戸惑いながら穂乃香の腕が降りると、それは辰美のノドをゴクッと鳴らせる裸体だった。
男なら、確実に鼻血を吹きだしているだろう。それも、致死量を遥かに越えて。
それほどに、もはや魔力とも言えるほど、穂乃香のヌードは、美しく、そして艶やかだったのだ。
「ふーん……」
「ふ、ふーんって……やだぁ……」
(そーか。あっちの毛、まだなんだ……)
(それでいて、出るトコ出て……)
(引っ込むトコは、キュッと引っ込んでて……)
(こりゃイヤらしい)
(彼女がこれほどウブなのって、神様の配慮なのかもねー)
「ちょ、ちょっとぉ」
耐えきれずに穂乃香がまた体を隠したので、辰美のひとり思いも寸断された。
「ま、わかった。じゃあ、そーだなー……、ん?」
「ん!」
「……おっけ、おっけ」
真っ赤っかな穂乃香に後ろを指差されて、辰美はハイハイと部屋を出て、ドアを閉じた。
(……くそー。じゃあ、私のこの体つきも、“神様の配慮”なのかぁ?)
ヤケクソ気味に、ドアの前にデンとあぐらで、辰美は座り込んだ。
制服のスカートがシワになるとか、そんなコトに気の回る性格ではないのだ。
「じゃあ、まずー……ん?」
「んしょっと……」
ドアの向こうで、それもドアのすぐ近く辺りで、穂乃香のオシリが、フローリングの床にペタンと鳴る音がした。
「なに、穂乃香。あんたも、ドアの前に座ったわけ?」
「うん……。だって、聞こえにくいから……」
返事をしない辰美の顔は、ふーんと言っていた。
ドア一枚へだてて、さっきのあのナイスバディが、恥ずかしそうに座ってるってワケか。
妙な気分、である。
「……じゃあまず、胸を揉んでごらん」
「う、うん……! 痛!」
「あーコラコラ。強くやっちゃダメ。もっと微妙なタッチで、こう……」
「…………うん……」
「どお?」
「どぉって……揉んでるよ?」
「……それ、ただ真っ正面からつかんで、単純にモミモミしてるだけじゃないの?」
「ええ? だって、揉めって……」
「違うの。なんてーか、その……」
言葉を選びそこねた辰美は、廊下に座ったままスゥッと腕をのばして、まるで背中から穂乃香の胸を揉むように、空中で手をワキワキさせた。
それから、頭をバリボリと掻いた。
「あー、わからん。いいや、ちょっとドア開けるよー」
「だめぇ!」
ドアノブがガチャガチャ鳴る。きっと向こうで、穂乃香が必死に開けられないようにしてるんだろう。
「待った待った。今度は少し開けるだけだから。私の手が入る程度にさ」
「手? 手を入れて……どうするの?」
「だからー。実際にこう揉むんだっての、説明するから」
「……! ちょちょ、ちょっとぉ! それって、私の胸で?」
「手を入れて空中でワキワキしたって、説明になんないだろーさ!」
「…………」
「じゃ、後はひとりで頑張って……」
「わかったからぁ! ううう~……」
ツノどころか、今の辰美には、シッポまで生えていた(比喩)。
「きゃは! や、やぁん!」
手探りだったため、最初は穂乃香のわき腹を探ってしまった辰美の手が、
「あ……!」
どうにか、フニャラッとした感触を得ることに成功した。
(ええ乳や……)
ドアにほっぺたを付けていた辰美は、思わず空いてる手で、自分の胸を触った。
(貧しい乳や……)
「ね、ねぇ?! それで、どう揉むのぉ?」
「お、おう。だから、こうして……」
つかみ応えのある膨らみを、下からすくい上げるように、手の平で包み込む。
「ふぁ……っ!」
指先ではなく、あくまでも手の平全体をすぼめるようにして、微妙に膨らみの形を変えてやる。
「んっ……」
そして、それを繰り返す。
「んん……あ、はぁぁ……」
「……いい気持ちでしょぉー」
「うん……! わ、わかったから、あ、後は自分でやってみるから、ね?」
「……そっか。うん」
エサを取りそこねたヘビみたいに、辰美の手がシュルシュルッと抜けると、ドアはパタリと閉じてしまった。
「えっと……下から……うん」
「…………」
「手の平で……あ、ああ……」
「…………」
やってるんだろうなぁというドアの向こうの声を耳に、辰美は揉んでいた手を、ジッと見つめた。
(こりゃまた……)
まだ、穂乃香の温もりが残っている。スベスベでヤワヤワな感触が、ジンワリと残っている。
「…………」
思わず、本当に思わず、その手に鼻をよせて、クンクンする前に、我に返る。
(ア、アホか。匂い嗅いでどーするよ、匂い嗅いで)
「ん……んん……ふぁ……」
「…………」
ドアの向こうの、元がかわいいだけに、ますます色っぽい声。
辰美は、手の匂いを嗅いでいた。
かすかに、穂乃香の体臭を感じた。緊張で、発汗していたのだろう。
「……穂乃香ぁ。どぉ?」
「うん……。なんか……ポォッとするぅ……」
「乳首、立ってない?」
「え……? あ、ホ、ホントだぁ……ええ……?!」
「いいのいいの、それで。触ってみた?」
「ううん……」
「触ってごらん?」
「…………きゃん!」
ゴンッ!
「わっ!」
辰美は驚いた。ドアの向こうから、何かがぶつかる音がしたからだ。
「ど、どーしたの、穂乃香!」
「……頭ぶつけたぁ……痛いよぉ……」
「…………プッ!」
きっとそうだ。穂乃香のヤツ、ドアを背にして座ってて、あまりの衝撃にのけ反って、それで後頭部を。
そう思うと、ちょっと気の毒だからおおっぴらには笑えないものの、辰美の震えは、なかなか止まらなかった。
「ううう~……笑ってるんでしょぉ、辰美ぃ。ひどいよぉ……」
「ごめんごめん。その状態の乳首って、すごく感じやすいから……ププッ……気をつけなよ……プッ」
「遅いもんっ……」
それから気を持ち直したのか、穂乃香から、また艶っぽい声が出始めた。
「ふぅ……んっ、ぁあ……、うっ」
「…………」
辰美は、ポーッとなっていた。
(私も……彼との時……こんな声出して……るんだろうなー)
「はぁ、ぁ、あぁ……」
(いや、こんなにかわいい声じゃないだろーけどさー)
自然と、彼の下になっている自分の姿を想像してしまう。
好き勝手に体をいじられて、それなのに拒絶どころか、悦びの声をあげて。
「……あんっ!」
「!!」
ドアの向こうからした、甘ったるい悲鳴に、辰美はギクッとした。
自分の想像と、オーバーラップしたからだ。
ドキドキドキドキ……。
「穂乃香ぁ。気持ちいいかい?」
「え? う、うん……。とってもぉ……」
いつもに増して、トロッと煮込まれたような、穂乃香の返事。
「頭の中がビリビリってしてぇ……甘酸っぱくてぇ……」
「ふーん……」
「あぁん……気持ちいいよぉ……」
「…………」
いよいよ。
辰美の背中に、コウモリみたいな羽が現れ、パタパタと羽ばたきだした(比喩)。
「もっと気持ちいい場所も、触ってごらん」
「え……?」
「そこに触ると、胸なんか全然およびじゃない、体中がシビれるほど、自分の体が浮いてしまいそうなほど、そりゃもう……何ていうか、もンのすごく気持ちよくなるんだなー」
「…………」
コクンッと、穂乃香のノドが鳴ったのが、聞こえたような気がした。
「これ以上の? ……どこぉ?」
「アソコ」
「あそこって?」
ヒソヒソヒソ。
「え? ええ? えええ~っ?!」
「いやホントに」
「だ、だって、だってぇ……汚いよ、そんな、オシッコ出るトコなんて……」
「ふーん」
「それに、大事なトコなんだよ? そんなコトしたら……」
イジ悪い、小悪魔の笑顔で、辰美はドアの向こうに言った。
「後で手を洗えばいいじゃない。それに、なにもひっかき回せって言ってんじゃないんだし」
「でも……ダメだよぉ……」
「最高だよぉ。アソコを中心に、熱くてシビれる何かが、体中にジュワーッて広がる感じで……」
「…………」
「もうね、何も考えれなくなっちゃう。荒い波にもまれるみたいに、気が遠くなるほど……」
「そんなに……?」
ためらう時間は、三秒で足りた。
「じゃあ……ちょっとだけ……」
「そうそう。イヤなら、やめればいーし」
「うん……」
そして辰美は、ドアの向こうの声を待った。
用足しの後で紙で拭く以外、触ったことがないであろう場所。
そこを初めて触った、その瞬間の声を。
「………………うンッ!」
(うひゃあ……)
想像以上の、かわいくてせつなくて、そこら中の物をブチ壊したくなるような声だった。
「す、すごいぃ……。こ、怖いよ辰美ぃ。こんなに……こんなにぃ?」
「でっしょー。大丈夫だから、もっと触って、こすってみな?」
「……あ! あぅっ! んっ! ふあっ!」
ドアからは、そんな甘美な声に混じって、背中とドアの間でこすられている、穂乃香の黒髪の乾いた音が聞こえていた。
もう、体の抑えが効かなくなっているのだろう。
「な? めちゃくちゃ気持ちいいだろ? もっとも、男に触られたら、さらに……」
「あん! あん! いい! いいのぉ!」
「……穂乃香」
「んうぅ! うっ! あ、あ、あ!」
返事もできないほど、らしい。
(あの穂乃香が……イヤらしいなぁ……)
そんな無責任なことを思いながら。
辰美は膝立ちになって、そっとドアに耳を重ねた。
「あは……、んっ………………ひゃうっ!?」
ゴンッ!
「うわぁ!」
またも、ドアの向こうから、何かがぶつかる音がしたのだ。
ノゾキがバレたみたいな気分で、少し慌てた辰美だが、じきにニヤッと笑みを浮かべる。
「穂乃香。あんた、クリトリスに触ったね?」
「…………栗とリス?」
「発音が違う。今あんたが触った、小豆くらいの大きさの、固い部分の名前だよ」
「あ、小豆? …………うあっ!」
ゴンッ!
「あんたねぇ……」
どうやら、小豆くらいの大きさという辰美の言葉を、触って確かめようとしたらしい。
「痛いよぉ……」
「最初のうちは、あんまりソコに触れないほうがいいぞ? 感度よすぎるから」
彼に吸われた時なんて、失禁しかけた。そう言いかけた矢先、
「あ、あれぇ……私、オシッコなんて漏らしてないのにぃ……」
困り果てたような穂乃香の声がした。またもギョッとしかけた辰美だったが、
「ああ、ソレ。心配ない。自動的に出てくるモンで、汚かないから」
ニマーッと笑った。
「だってホレ、オシッコは、そんなにヌルヌルしないだろ?」
「うん…………わ、糸ひいてるぅ……」
「…………」
辰美は、ポォーッとなる頭を二、三度振ってから、熱っぽい声で言った。
「続けなよ。なるべくクリトリスに触らないように、それから指が深く入らないように……」
「う、うん…………あっ! あはぁっ! あん! ああっ……!」
それからしばらく、穂乃香の喘ぎ声は、休まず続いた。
問題は、喘ぎの隙間から漏れ出ている言葉だ。
「あぅん……辰美ぃ……あ、あん! 辰美ぃぃ……」
それは、あまりの快感故に怯える穂乃香が、親友にすがりつくような思いでの言葉だった。
だが、当の辰美にとっては、たまったものではない。
そりゃ穂乃香はかわいい。女の私だって、かわいいと思うし、そんな彼女と親友なのは嬉しい。
しかし私は、すでに体を許しているほどの彼がいる。やや早熟だが、れっきとした女だ。
いたってノーマルなのだ。
間違っても、女同士の世界に憧れる、アブノーマルではない。
「辰美ぃ……あぁあ……」
ついに、辰美の口から、キバが生えた(比喩)。
ま、いいか。穂乃香、かわいいし。
「穂乃香ぁ。イク、って解る?」
「あっ! んふぅ……。ん! んん!」
予想どおり、返事をする余裕なんてないらしい。
構わず、辰美は言葉を続けた。
「イクって、気持ちよさがピークに達して、何もかもが真っ白になる瞬間なんだ」
「ふぁ! あ、あは……、あああ!」
「でもさー。ひとりでやって、ひとりでイクと、その後が何かさびしいんだよねー」
「あん! あ! あふ! んぅぅ!」
「だからさー……」
ドアノブを、クイッと緩めるだけでよかった。
それで、寄りかかっていた穂乃香の重みで、ドアはあっさりと全開になった。
「わ、きゃあ!」
もちろん、そのはずみで、穂乃香も後ろ向きに倒れる。
それを、辰美が受け止めた。
「た、辰美ぃ……やだぁ……」
体に力が入らないのだろう。素っ裸の穂乃香は、足を開いたまま、そこに手を重ねたままだった。
独特の淫臭にゾクゾクしながら、辰美は言った。
「だから、私がイカせてやる」
「だ、だからって、何?」
素早かった。
穂乃香の背中を、膝まくらに乗せて。
邪魔な手を払うようにどかせて。
一瞬にして、穂乃香のをポイントした。
「いやぁぁ!」
「ほら」
辰美は、そのヌルヌルにまかせて、激しく穂乃香をこすった。
「あああっ! だ、だめ! あう! あうう!」
「胸もサービスだ」
「きゃい! つ、つまんじゃダメぇ! ああ、ああーっ!」
「ほら、ほら。イクっての、わからせてやる」
「ああ! イクって? イクって? あん、あん!」
「すぐ解る。ほら、ほら!」
「わかんない、あ、わかんないよ、あん!」
「早く、イク顔を見せな! 親友の私に、思いっきり恥ずかしい顔を!」
「やぁ! やだぁ! ああっ!」
必死の思いで、片手で顔を隠す穂乃香。
「ほらほら~! もうスグだぞぉー!」
「いや、ああ、あ! ま、待って! 待ってぇ! おかしいの! 体がぁ!」
「来たなぁ! ほら! ほらぁ!」
「これなの?! これが、ああ! これがイクなのぉ?! あ、あ、あ……」
そして、もうほとんど、金切り声になった。
「イクゥッ!」
辰美は、穂乃香のヒクヒクしている場所を、ティッシュで優しく拭き取った。
それから、スッと立ち上がると、何やらゴソゴソ始めた。
「……辰美? ……え?」
「穂乃香……」
裸になった辰美が、穂乃香に覆いかぶさった。
「今度は、私の番……」
「……辰美も、イクになりたいの?」
「ああ。それも、彼にでもない。もちろん、ひとりでもない……」
「…………」
熱い口づけの後、辰美は言った。
「穂乃香の手で、イクってなりたいんだ……」
親友が高じ、想いのドアを開け放って、より深い仲となる。
たぶん、よくある話なんだと思う。
おしまい
【後書き】
たしかに、よくある話だよなぁ(^^;)。ウブなコにオナニー教えて、それがレズに発展するって。
そりゃもう太古の昔から。ロリというジャンルが誕生した時から。
それでも構いません。題材の新鮮味は問いません。
あくまでも、「まげが書くとこうなる」というのを、表現してみたかったのですから。
その上で、楽しんでもらえる内容にしたつもりですから。
…とは言えなぁ(^^;)。直球すぎて、逆に恥ずかしいよ(^^;)。
何でしょうね。ふと、女の子のひとりエッチを書きたくて、しょうがなかったんですよ。
(イヤな衝動だな…)
女の子にとっては、情けないだけの、絶対見られたくない姿なんでしょうねぇ。
ま、それ故に、なんですが(^^)。
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