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小説(転載)  『過ち…それから』 第二部 4/7(欠落あり)

官能小説
04 /24 2019
【4】

「麻耶~、久し振り。変わりない?」

急に掛かってきた瑞貴の電話に、麻耶は酷く戸惑った・・・。

「う、うん 変わりないよ。 瑞貴は?」
「私はどうだろう~・・パッとしないかな」
「そ、そうなんだ・・・何かあったの・・・?」

不安を押し殺しながら麻耶は聞いた。

「別にコレといって無いけど、毎日が退屈でね」
「そう・・・でも、ご主人は・・?」

聞いたあとに麻耶は少し後悔する・・。

「彼は元気よ。でも最近遅い日が多くて・・浮気でもしてるのかしら」

麻耶の鼓動が早鐘を打った。

「そ、そんな、瑞貴のご主人に限って・・浮気なんて・・・」
「そうかしらね~! 男は分からないから」

麻耶の言葉はその後に続かなかった・・。

「どうしたの、麻耶?」
「えっ! なんでもないわ・・・それで、どうしたの今日は?」

話題を必死に変えようと麻耶は瑞貴の突然の電話の理由を聞いた。

「ああ~、話が逸れちゃってごめんね! 実はね、麻耶、今晩って時間ある?」
「えっ、今晩?」
「何か予定あるの? 麻耶」

(今晩は彼と会うの・・・)

言葉に出来ないセリフを胸の奥で吐いてみる・・・。
当然声に出して瑞貴に言える訳がなかった。

「べ、別に予定なんてないわ・・」
「良かった~! 実は今晩、一緒に飲みたくて電話したの」
「そうなんだ・・・」
「旦那がさー、今日も遅くなるなんて言ってきたから、たまには私もいいかな
~なんて思ってね!」

(あの人ったら、私と会うために瑞貴に遅くなるって伝えたのね・・)

麻耶の中で会いたい気持ちが沸き上がる。

「麻耶っ! マヤったら、聞いてる?!」

今夜の逢瀬に気持ちが飛びそうだった麻耶の思考が瑞貴に戻される。

(仕方ないわ・・・ 仕方ないのよ・・)

「いいわ、今夜は付き合ってあげる! 久し振りだもんね」

命一杯の虚勢を張り、麻耶は瑞貴の誘いを受けた。

「嬉しいわ麻耶! じゃあ、今夜7時に駅前で待ち合わせしよっ!」
「分かった、7時ね。遅れずに行くわ!」
「ふふふ・・楽しみ!」

瑞貴の笑いが大きな意味を含んでる事など、麻耶には解るはずも無かった・・。

「それじゃあ、乾杯~!」

麻耶と瑞貴はグラスを合わせた。
暫くの時間、瑞貴が一方的に喋った。
麻耶は瑞貴の繰り出す話題に相槌を打ちながらも、心はココに無かった・・。

「ちょっと麻耶! 何よ上の空みたいな顔しちゃって?」
「あっ! ごめんね・・・ちゃんと聞いてるわよ」
「ホントに~・・・なんか怪しいぞ、麻耶」

麻耶は必死に笑顔を作り、瑞貴に向けた。

「まあいいわ! その変わり、今日はトコトン付き合ってもらうわよ! 飲ん
で、飲んでー」

瑞貴に対する後ろめたさなのか、勧めるアルコールを麻耶は断れなかった・・。

「あ~・・結構イイ気持ちー!」
「わたしも・・・ちょっと酔ったわ」

ワインを2本も空にした二人は、頬を真っ赤に染め、口調も怪しかった。
そんな二人に、低く渋めの男の声が掛かった。

「美女ふたりでお楽しみですか?」

声の主を一斉に見た瑞貴と麻耶。

(誰かしら・・・)

麻耶には見覚えの無い男だった。

「あらっ、高田さん!? 高田さんよね?」
「久し振りです、瑞貴さん。お元気でしたか?」
「ええ~ 元気ですよ。高田さんは、お変わり有りませんか?」

口裏を合わせた二人の会話だったが、芝居染みたところは全く感じられなかっ
た。

「もし良かったら、ご一緒しません?」

瑞貴が空いた椅子を指差し、高田に座る様に促す・・。

「ちょっと瑞貴、そんなこと言ったって・・・・」

瑞貴の知り合いとはいえ、見ず知らずの男と席を一緒にするほど麻耶は社交的
ではなかった。

「いいじゃない、凄く面白くてイイ人よ、高田さんは」
「でも・・・」

伏し目がちになる麻耶を高田はじっくりと品定めした。

(ほほお~・・これは想像してたより数段イイ女だな・・泣かせ甲斐が有るぜ)

そんな目で自分を見下ろされてるとは微塵も思わない麻耶の身体に、容赦なく
高田の視線が注がれる。

(スタイルもいい! この手の女は胸が性感帯だな。あの膨らみ、たまらねぇ)

200人は下らない女を手にしてきた高田には、薄いサマーセータに包まれた
麻耶の裸体を想像するのは造作もなかった。

「じゃあ、少しだけご一緒しよう!」

不安な表情を見せる麻耶を他所に、高田は二人の間へ軽い身のこなしで座った。

「それじゃあ、改めて乾杯!」
「か、乾杯・・・」

細く小さな声でグラスを合わせる麻耶に、高田は優しく微笑み掛ける。
黒く焼けたパワフルな印象に少し圧倒される麻耶・・。
でも百戦錬磨の高田には、麻耶の緊張を解くのに大した時間は必要なかった。
10分もした頃には、高田の豊富な話題に麻耶は頬を綻ばせ、次第に高田に対
する警戒心を解いていった・・・。

アルコールの廻った麻耶が化粧室へ立ったのを見計らって、高田は上着のポケ
ットから袋に包まれた物体を取り出した。
そしてそれを周りに気付かれない様に麻耶のワイングラスへ落としていく。
白い粉がワインに溶け、見た目には全く判別できない状態に戻る。

「ちょっと、何をしたの!?」

思い掛けない高田の行動に瑞貴は声を潜めた。

「これはな、強力な催淫剤だ。まあ、一緒の麻薬みたいなもんだな」

包み紙を灰皿に投げ入れ、タバコの火で燃やし証拠を無くす高田が言った。

「ま、麻薬! そんなの麻耶に飲ませて平気なのっ?」
「ああ、大丈夫だ。薬をやったことがない女には強烈に作用する・・・。これ
で麻耶が落ちるのは確実だ」
「そ、そうなの? 本当に大丈夫?」
「まあ見てろって! スゴイことになるから楽しみにしとけ」

高田は自分のグラスに残るワインを飲み干すと、瑞貴に耳打ちして席を立った。


(5)へつづく・・・

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eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。