小説(転載) 夫の淫計2/3
官能小説
【夫の淫計 第2話】
公園のベンチで村上高次は親友、岡田倫明を待っていた。
約束の時間に遅れることなく、倫明はやって来た。
「よ!何の用だい?こんなところに呼び出して」
高次は
「まぁ、座ってくれ」
と自分の横に倫明を座らせた。
ポケットからタバコを取り出して火を付ける。
「なんだ、ずいぶん勿体付けるな。そんなに話しにくいことか?」
「んーー、まぁ、そうだ」
高次はまだ長いタバコを足元に落とすと靴で火を消した。
「うちの・・・薫子のことなんだが」
倫明は何度も高次の家に行っている。
当然、高次の妻である薫子とも旧知の仲だ。
「奥さんって・・・何かあったのか?」
「いや、そうじゃない・・・そうじゃなくてな・・・うーん」
「なんだ、言ってくれれば力になるぞ」
「そうか?本当に力になってくれるか?」
「当たり前だろう?」
今更、親友と言葉にしなくても、過去何度も助けあるいは
助けられて来た間柄だ。遠慮する間柄じゃないだろ、
という倫明の言葉に高次が重い口を開いた。
「実はな・・・薫子を・・・抱いて欲しいんだ」
「ええっ!」
思いがけない高次の申し出に倫明は虚を突かれた。
「お前が薫子の好みのタイプだってのは分かっているだろ?
それにお前も薫子のことを憎からず思っているし」
「おいおいおいおい、そういう問題じゃないだろ!
なんで、俺がお前の嫁さんを、
その、ナニしなきゃいけないんだよ!
第一、お前、結婚してまだ2年だろ?
え?もう別れたいっていうのか?」
「声が大きいよ、倫明」
高次はなだめるように手を振った。
「別に俺が分かれたいとか、そんなんじゃないんだ。
その・・・実はな・・・」
高次は倫明に先日掲示板で募集した男と3人でしたことを話した。
「思っていた以上に興奮したよ。
自分の嫁さんが他人に抱かれるところを見て興奮するなんて
変態だと自分でも思う、けれど2人だけのセックスより良かったんだよ」
「で、今度は見ず知らずの男じゃなくて、俺を巻き込もうっていうのか?」
「いや、そうじゃない。この間の3Pの後で考えたんだが、
薫子の奴、緊張してはじけてなかったような気がするんだよ」
「なんだそれ?」
「自分でもうまく言えないんだけどな、もっと淫らに、
それこそ娼婦のようにいやらしくなれるはずなんだよ、薫子は」
「そんなのお前の勝手な思い込みだろ?
薫子さんはそんな人じゃない」
「それこそ勝手な思い込みだと思うがな・・・
だからさ、それを確かめたいんだよ」
「で、相手が俺か?」
「薫子の嫌いな奴じゃ相手にしないだろうしな。
それに頼めるのはお前くらいなんだよ。な?頼む、この通り・・・」
この後もしばらく話し合いは続いたが、結局、倫明は折れた。
一回だけで後に引きずらない、恨みっこなし、
高次は見つからないように見ているだけ。
そんな条件で高次の願いを聞き入れてしまったのだった。
「こんばんは」
玄関を開けると倫明が立っていた。
「いらっしゃい。どうぞ、お上がりになって」
薫子は無意識にシナを作って笑顔を浮かべていた。
倫明は薫子のタイプの男だった。
優しくて、ハンサム。会うたびにドキドキしてしまう。
でも、夫を捨ててまで倫明の元へ走ろうとは思わない。
家庭を壊すつもりはないのだ。
「よぉ、待ってたぞ」
夫はリビングで先に飲んでいた。
すでに顔は赤くなり出来上がっているように思えた。
ほどなく宴会が始まった。
「薫子、肴はもういいから、お前もこっちに来て飲めよ」
「それじゃ、そうさせてもらおうかなっ」
薫子も夫に呼ばれて宴席に参加する。
倫明と一緒に飲めると思うと、旦那に悪いなと思いつつも心が弾む。
「かんぱ~い!」
ビールが日本酒や焼酎へと変わり始めた頃、高次が早々と潰れてしまった。
「しょうがないなぁ、おい、起きろよ」
倫明が起こそうと声を掛けても、
ムニャムニャと不明朗ネ返事をするだけで復活の気配はない。
「だめだなぁこれじゃ。奥さん、寝室に連れて行きましょう」
「えぇ、そうですね」
薫子は倫明を手伝って夫を寝室に連れて行き寝かせた。
風邪を引かないようにと布団をかけて明りを消してリビングに戻ると、
倫明が帰り支度をしているところだった。
「あら?お帰りになるの?」
(せっかく二人きりで飲めると思ったのに・・・)
「えぇ、高次も潰れちゃったし。
近くの居酒屋にでも寄ってから帰りますよ」
「まぁ!そんなことおっしゃらないで、ゆっくりしていらして。
ね、いいでしょ?一緒に飲みましょうよ」
(あたしったら・・・でも、
悪いのは潰れちゃった貴方なんですからね)
薫子は心の中で恥ずかしがりながらも、二人を置いてとっとと
酔い潰れてしまった夫を責めた。
薫子が夫に責任を転嫁している時、
倫明も心の中で葛藤していたのだった。
実は薫子のこの言葉こそが決定的な一言だったのだ。
高次からの提案に躊躇う倫明に対し、高次は
「薫子が帰るのを止めなかったら
そのまま帰るということでどうだ?」
と提案していたのだ。その時には
「それならば」
と決意した倫明だったのだが、
いざその場面になるとやはり躊躇ってしまう。
何しろ、相手は親友の妻なのだ。
いくら親友の頼みとは言え・・・。
「さぁさぁ、上着なんか脱いでお座りになって。
今、新しいお酒お持ちしますから」
薫子は倫明の腕を取って座らせた。
(くそっ!奥さん、奥さんが悪いんですからね・・・)
心を決めた倫明が再び杯を手に取りながら小さく呟く。
その言葉はやや浮かれ気味な薫子の耳には届かなかった。
「ふぅぅっ。こんなおいしいお酒、久しぶりだわ」
コップの中の焼酎を一気に空けた薫子が倫明に微笑み掛ける。
「いや、私もそうですよ・・・でも、そろそろ帰らないと」
「まぁ、そんなことおっしゃらないでぇ。
私一人を置いていくおつもり?」
潤んだ瞳で薫子が問いかける。
薫子自身、自分が酔っ払っている自覚があった。
普段はこんなに深酒しない薫子なのだが。
見つめるだけでなく、媚びるように倫明の手を取ると
両手で包み込みながら左右に振る。
「だぁめ。帰っちゃいやん」
「しょうがないなぁ・・・
じゃぁ、奥さんがキスしてくれたら、帰るのを止めますよ」
「えっ!」
意外な申し出だった。
これまで倫明は薫子に対して気のある素振りは見せていなかった。
(酔っているから?それとも倫明さんも私のこと・・・)
逡巡は一瞬だった。薫子は顔を縦に振りながら、甘ったれた声を出す。
「するわ。してあげるぅ、だから、帰っちゃだめですよぉ」
ずりっ、と腰をずらして倫明に近づく。目を閉じながら顔を近づける。
プチュッ。
つづく
公園のベンチで村上高次は親友、岡田倫明を待っていた。
約束の時間に遅れることなく、倫明はやって来た。
「よ!何の用だい?こんなところに呼び出して」
高次は
「まぁ、座ってくれ」
と自分の横に倫明を座らせた。
ポケットからタバコを取り出して火を付ける。
「なんだ、ずいぶん勿体付けるな。そんなに話しにくいことか?」
「んーー、まぁ、そうだ」
高次はまだ長いタバコを足元に落とすと靴で火を消した。
「うちの・・・薫子のことなんだが」
倫明は何度も高次の家に行っている。
当然、高次の妻である薫子とも旧知の仲だ。
「奥さんって・・・何かあったのか?」
「いや、そうじゃない・・・そうじゃなくてな・・・うーん」
「なんだ、言ってくれれば力になるぞ」
「そうか?本当に力になってくれるか?」
「当たり前だろう?」
今更、親友と言葉にしなくても、過去何度も助けあるいは
助けられて来た間柄だ。遠慮する間柄じゃないだろ、
という倫明の言葉に高次が重い口を開いた。
「実はな・・・薫子を・・・抱いて欲しいんだ」
「ええっ!」
思いがけない高次の申し出に倫明は虚を突かれた。
「お前が薫子の好みのタイプだってのは分かっているだろ?
それにお前も薫子のことを憎からず思っているし」
「おいおいおいおい、そういう問題じゃないだろ!
なんで、俺がお前の嫁さんを、
その、ナニしなきゃいけないんだよ!
第一、お前、結婚してまだ2年だろ?
え?もう別れたいっていうのか?」
「声が大きいよ、倫明」
高次はなだめるように手を振った。
「別に俺が分かれたいとか、そんなんじゃないんだ。
その・・・実はな・・・」
高次は倫明に先日掲示板で募集した男と3人でしたことを話した。
「思っていた以上に興奮したよ。
自分の嫁さんが他人に抱かれるところを見て興奮するなんて
変態だと自分でも思う、けれど2人だけのセックスより良かったんだよ」
「で、今度は見ず知らずの男じゃなくて、俺を巻き込もうっていうのか?」
「いや、そうじゃない。この間の3Pの後で考えたんだが、
薫子の奴、緊張してはじけてなかったような気がするんだよ」
「なんだそれ?」
「自分でもうまく言えないんだけどな、もっと淫らに、
それこそ娼婦のようにいやらしくなれるはずなんだよ、薫子は」
「そんなのお前の勝手な思い込みだろ?
薫子さんはそんな人じゃない」
「それこそ勝手な思い込みだと思うがな・・・
だからさ、それを確かめたいんだよ」
「で、相手が俺か?」
「薫子の嫌いな奴じゃ相手にしないだろうしな。
それに頼めるのはお前くらいなんだよ。な?頼む、この通り・・・」
この後もしばらく話し合いは続いたが、結局、倫明は折れた。
一回だけで後に引きずらない、恨みっこなし、
高次は見つからないように見ているだけ。
そんな条件で高次の願いを聞き入れてしまったのだった。
「こんばんは」
玄関を開けると倫明が立っていた。
「いらっしゃい。どうぞ、お上がりになって」
薫子は無意識にシナを作って笑顔を浮かべていた。
倫明は薫子のタイプの男だった。
優しくて、ハンサム。会うたびにドキドキしてしまう。
でも、夫を捨ててまで倫明の元へ走ろうとは思わない。
家庭を壊すつもりはないのだ。
「よぉ、待ってたぞ」
夫はリビングで先に飲んでいた。
すでに顔は赤くなり出来上がっているように思えた。
ほどなく宴会が始まった。
「薫子、肴はもういいから、お前もこっちに来て飲めよ」
「それじゃ、そうさせてもらおうかなっ」
薫子も夫に呼ばれて宴席に参加する。
倫明と一緒に飲めると思うと、旦那に悪いなと思いつつも心が弾む。
「かんぱ~い!」
ビールが日本酒や焼酎へと変わり始めた頃、高次が早々と潰れてしまった。
「しょうがないなぁ、おい、起きろよ」
倫明が起こそうと声を掛けても、
ムニャムニャと不明朗ネ返事をするだけで復活の気配はない。
「だめだなぁこれじゃ。奥さん、寝室に連れて行きましょう」
「えぇ、そうですね」
薫子は倫明を手伝って夫を寝室に連れて行き寝かせた。
風邪を引かないようにと布団をかけて明りを消してリビングに戻ると、
倫明が帰り支度をしているところだった。
「あら?お帰りになるの?」
(せっかく二人きりで飲めると思ったのに・・・)
「えぇ、高次も潰れちゃったし。
近くの居酒屋にでも寄ってから帰りますよ」
「まぁ!そんなことおっしゃらないで、ゆっくりしていらして。
ね、いいでしょ?一緒に飲みましょうよ」
(あたしったら・・・でも、
悪いのは潰れちゃった貴方なんですからね)
薫子は心の中で恥ずかしがりながらも、二人を置いてとっとと
酔い潰れてしまった夫を責めた。
薫子が夫に責任を転嫁している時、
倫明も心の中で葛藤していたのだった。
実は薫子のこの言葉こそが決定的な一言だったのだ。
高次からの提案に躊躇う倫明に対し、高次は
「薫子が帰るのを止めなかったら
そのまま帰るということでどうだ?」
と提案していたのだ。その時には
「それならば」
と決意した倫明だったのだが、
いざその場面になるとやはり躊躇ってしまう。
何しろ、相手は親友の妻なのだ。
いくら親友の頼みとは言え・・・。
「さぁさぁ、上着なんか脱いでお座りになって。
今、新しいお酒お持ちしますから」
薫子は倫明の腕を取って座らせた。
(くそっ!奥さん、奥さんが悪いんですからね・・・)
心を決めた倫明が再び杯を手に取りながら小さく呟く。
その言葉はやや浮かれ気味な薫子の耳には届かなかった。
「ふぅぅっ。こんなおいしいお酒、久しぶりだわ」
コップの中の焼酎を一気に空けた薫子が倫明に微笑み掛ける。
「いや、私もそうですよ・・・でも、そろそろ帰らないと」
「まぁ、そんなことおっしゃらないでぇ。
私一人を置いていくおつもり?」
潤んだ瞳で薫子が問いかける。
薫子自身、自分が酔っ払っている自覚があった。
普段はこんなに深酒しない薫子なのだが。
見つめるだけでなく、媚びるように倫明の手を取ると
両手で包み込みながら左右に振る。
「だぁめ。帰っちゃいやん」
「しょうがないなぁ・・・
じゃぁ、奥さんがキスしてくれたら、帰るのを止めますよ」
「えっ!」
意外な申し出だった。
これまで倫明は薫子に対して気のある素振りは見せていなかった。
(酔っているから?それとも倫明さんも私のこと・・・)
逡巡は一瞬だった。薫子は顔を縦に振りながら、甘ったれた声を出す。
「するわ。してあげるぅ、だから、帰っちゃだめですよぉ」
ずりっ、と腰をずらして倫明に近づく。目を閉じながら顔を近づける。
プチュッ。
つづく
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