小説(転載) 入浴1
近親相姦小説掲載サイト「母親の香り 息子の匂い」は消滅。
その日、私はいつものようにじっくりと入浴を楽しんでいた。 私は長風呂が大好きだ。 温かいお湯の中に体を沈めてじっと瞳を閉じていいると、心も体も癒される。 長いときには2時間以上も湯船につかっている。 至福の時間である。 お風呂に入っているときが人生で1番幸せな時間だ。 特に冬の熱いお風呂はいい。 生き返る気がする。 夫は冬でもシャワーを浴びるだけで、ほとんど湯船にはつからない。
「暇だから・・・」
そんな理由ですぐに出てくる。 私には信じられない。
「暇だからいいんじゃない。」
こんな2人が夫婦として20年以上もうまくやっていけるのだから不思議である。 高校生の娘も夫に似たのか体を洗う時間程度しか浴室にいない。 おそらくシャワーだけで問題ないのだろう。 お風呂よりもテレビやスマホの方が大切なようである。 常にスマホを片手にテレビを見ている。 私は小学生の頃からお風呂の時間が長かった。 テレビを見ることよりも、お風呂に入ることの方が好きだった。 1人で入り始めた頃からお風呂の魅力にとりつかれていた。 なにをするわけでもなく、ただじっと湯船に座ってお湯に身を任せていた。 子どもの頃はよく長風呂で怒られたものだ。 家族にも迷惑をかけたあげく、自然と私の順番は1番最後になっていた。 両親もあきらめていたようだ。 湯船につかりながら、なにも考えていないようで、いろいろと考えている。 結婚を決心したのもお風呂の中だった。 仕事を辞めると決めたのもお風呂の中だった。 大切なことはお風呂の中で考えることにしている。 お湯につかっていると落ち着いて自分と向きあうことができる。 こんな場所はほかにはない。 家庭に縛りつけられた主婦でもない、世話の焼ける子どもたちのお母さんでもない、 1人の女として人生を満喫することができた。 大学で体育会系の部活に入っている息子は、 毎日のように大学でシャワーを浴びてくるので、家でお風呂には入らない。 息子はスポーツ推薦で大学に入った。 我が家には私立の大学に通わせるようなお金はないので、頑張ってバイトをしている。 名前も知らないような馬鹿大学だが、体育会系の部活はちゃんと就職できるようである。 その点ではおてんばの娘よりも将来は安心だ。 そんなことを考えていると息子が帰ってきたようだ。
「お兄ちゃん、ずぶ濡れでどうしたの?」
娘が遠くで悲鳴のような声をあげている。
「急に土砂降りの大雨が降ってきたんだよ。風呂に入る。」
「今、お母さんが入ってるよ!」
「そんなこと言ってる場合じゃない!」
なにやらただごとではない様子である。 私は湯船の中で他人事のように聞き流していた。 そうこうしているうちに本当に息子が浴室に入ってきた。
「きゃあ!」
私は慌てて体をお湯の中に沈めた。 どうせ透明なお湯の中なので、それでも丸見えなことに変わりはない。
「ちょっと!入ってこないでよ!早く出て行って!」
私は息子にお湯をかけながら暴れた。 今思えば恥ずかしい行動だが、とっさにやってしまった。 母親の威厳などどこかに飛んで行ってしまった。
「ちょ~寒いんだから、温まらせてよ。」
息子は必死な形相である。 よく見れば確かにガタガタと震えている。 私が鎮まると息子は無言でシャワーを浴び始めた。 それでも体の震えは収まらないようだった。
「ねぇ・・・どうしたのよ。」
私はようやく息子の言い訳を聞くくらいにまで落ち着きを取り戻していた。 息子の体をじっくりと見ることなど初めてである。 さすがに体育会系の部活をやっているだけのことはあって筋肉がいっぱいついている。 男の体という感じがした。 私は体を浴槽に隠すようにして、顔だけを出して息子を見つめていた。
「コンビニの角で突然大雨が降ってきてさ。 走って帰ってきたんだけどダメだった。ちょ~寒い。」
息子は震えながら説明してくれた。 コンビニの角と言えばすぐそこである。 息子が走れば1分くらいだろうか? それでこんなになるまで濡れるものなのだろうか? 私は半信半疑だった。
「コンビニってすぐそこじゃない。」
「そうだよ。だから雨宿りもしないで走ったんだよ。」
うちの浴室には大きい窓があるので冬場は特に寒い。 おそらくシャワーを浴びているだけでは、いつまでたっても体は温まらないだろう。 私は息子が不憫に思えてきた。
「中に入ったら?」
恥ずかしかったが、震えている息子を見ながら自分だけ温まっているのも気が引けた。
「いいよ。悪いよ。」
息子はそれだけ言って黙り込んだ。 視線もうつろである。 必死に寒さに耐えているようだった。
「唇が紫色してるわよ。」
「だから、ちょ~寒いんだって。」
「だったら中に入りなさいよ。」
私は息子の手をつかんでひっぱった。 息子の手首は冷えきっていた。
「じゃ、背中合わせで入ろう。」
そう言うと息子はシャワーを止めて立ち上がった。 私は息子の体を見ないように背中を向けて湯船を半分あけた。 息子の足が作る波が私の体を回り込んで重なりあう。 黙って待っていると息子の冷たい背中が私の背中に張りついた。
「やっぱり2人で入るには狭いな。」
息子が恐縮している。 本当なら私が出てあげるべきだったのかもしれないが、その考えは思いつかなかった。 まだお風呂から出る気分ではなかった。
「背中も冷たいのね。もっとお湯入れようか?」
私はそう言うと返事を待たずに熱湯を足し始めた。 狭い湯船の中で息子の方に手でお湯を流した。 息子の震えが少しずつ収まっていくのがわかる。 そのとき、娘が突然浴室の扉を開いた。
「やだ~!お兄ちゃんホントにお母さんと一緒に入っている! ちょ~ウケるんだけどwww」
娘はJKの典型例のようである。 草が生えるとはこういうことを言うのだと思った。
「お前わざわざそんなことを言いに来たのかよ。」
息子は娘の笑いものになって不機嫌なようである。 それでも私と一緒に湯船に入っているということは、 それと引き換えにできるほど寒かったのだろう。
「写メっていい?」
娘は明らかに息子をからかって楽しんでいる。 私には兄がいないので娘の気持ちまではわからないが、 目上の人の恥ずかしがる姿を見るのが楽しいように見えた。
「殺すぞ。」
息子の声が殺気に満ちている。 そのとき、こんな貴重なチャンスは2度とないと気がついた。
「お母さん、写メって欲しい!」
大人になった息子と一緒に湯船につかることなど一生に1度しかないであろう。 突然、母親の気持ちが湧き出してきた。
「お母さんまでなに言ってんだよ。」
息子は私にもからかわれていると思ったのだろうか? 私は意外と本気だった。
「だって仲のいい親子って素敵じゃない。」
「だからって証拠を残すことないだろ。」
息子が必死に拒否している。
「ヒヒヒ。。。」
娘は卑屈な笑いを残して去って行った。 結局、写メは撮ってくれなかった。 残念。 所詮、笑えるネタを探しに来ただけのことだったのだろう。
「ねぇ、お父さん。 お母さんとお兄ちゃんが一緒にお風呂に入ってるよ。」
遠くで娘の笑い声が聞こえる。 娘はわが家を明るく照らしてくれる華だった。 馬鹿な子ほど可愛いとは真理である。
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