小説(転載) 百薬の宴1
近親相姦小説掲載サイト「母親の香り 息子の匂い」は消滅。
「おい、もうあいつを部屋に連れて帰れ!」
そう言うとこっそり部屋のカードキーを僕に手渡す。 耳元でささやく父親の声は明らかに怒りに満ちていた。 初めて参加する有名企業のパーティーだったが、 泥酔した母親の下品な笑い声が高級ホテルのパーティーの場を乱していることはすぐにわかった。 父親に気にいられようとして僕にまでお世辞を言い寄るサラリーマンの相手をすることに辟易していたこともあり、 さりげなく母親に近寄っていき手を引いた。
「もう部屋に帰った方がいいよ。」
酔っていて聞こえないのか、聞こえないふりをしているのか母親はまったく反応を示さない。 相変わらずご機嫌なまま母親にチヤホヤするおじさんの相手をし続けて下品な声で笑っている。
「お母さん。」
そう言って手を引くと、あからさまに手を払って僕を邪魔者扱いにする。
「あっちに行ってなさい。」
あごだけを僕に向けて瞬間的に氷のような横顔を感じさせる。 おそらく僕には見えない方の顔は笑顔のままなのだろう。 困った表情で父親の顔色をうかがうと、早くしろと催促をしている。
「こちらは御子息ですか?」
もう社長の息子という肩書で扱われることにはうんざりしていたが、父親の顔を潰すわけにはいかない。
「はい。いつも父がお世話になっております。」
「もう馬鹿息子で困ってるんですよ。ハハハハハハ。」
どれだけ気を遣っても、高笑いの母親がすべてをぶち壊してしまった。
「お話し中大変申し訳ありませんが、少々母と話がありますので席を外させていただきます。」
そう言うと強引に母親の腕をつかんでパーティー会場の外に連れ出した。
「ちょっと、なにすんのよ。せっかく人が気持ちよく飲んでるのに邪魔しないでよ。」
無邪気な子供のように暴れながらポーチを振りまわして、僕を何度もたたきつけた。
「お母さん飲み過ぎだよ。お父さんが怒ってるよ。」
父親の怒りに触れていることを知ると一瞬だけたじろぐような表情をした。 しかし、息子にそれを知られたくなかったようである。
「お父さんがなんだっていうのよ。 ちっとも構ってくれないくせに。こんなときだけ命令しないでほしいわよね。」
「とりあえず部屋に帰ろう。部屋に帰ってから飲み直そうよ。部屋でも飲めるだろ。」
お酒が飲めない場所には連れていくことができそうになかったので、部屋でも飲めることを強調して誘おうと努力した。 納得した様子はなかったが、 1人でまっすぐに歩くことができないほどに酔っていた母親と腕を組んで無理矢理部屋まで連れて帰った。 不服ながらもご機嫌な母親は鼻歌を歌いながらポーチをグルグル振り回していた。
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