家族の時間 両親の離婚1
妄想金曜日、仕事が終わり帰りの電車を待っている時、父親からラインが届いた。
『離婚した。後は頼む。』
え?どいうことだ。思わず周りを見渡す。私の変な声で反応している人が居ないことを確認して、ホームの天井を眺めた。
それから一分後に母親からラインが届いた。
『離婚しました。これからはよろしくお願いします。』
どうやら両親の離婚は本当のようだ。そして父は妻の面倒を私に頼んできた、母も私に頼ることを決めたようだ。いまや仕事を休んだり辞めたりするのもラインで済ませる時代だ。両親の離婚をラインで知らせるのだって特別なことではないかもしれないが、息子としてはもう少し説明がほしいところだ。仕事帰りに軽く流すことではないとは思ったが、二人にはそれぞれ
『判った。俺で良ければ引き受けた。』
と返信したのは一時間電車に揺られてやっと自分の部屋のベッドに横たわった時だった。
両親の離婚について問いたださなかったのは、私自身バツイチだから何を言っても説得力はないからだ。バツイチ息子に意見はされたくないだろう。理由なんか聞いても本当のことは言わないかもしれない、そんな両親だ。久しぶりに実家に顔を出そうかと思い、一週間の仕事の疲れもあってそのまま寝てしまった。
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