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小説(転載) 一夜限りの愛 1/4

官能小説
04 /16 2015
桜満開の4月上旬。男4人を乗せた1台のワゴン車が、四国を横断する高速道
路を一路西へ向かっていた。
「このままだと、4時過ぎには付きますね」
運転手の男が言った。
「そうやなぁ6時半の宴会までゆっくり出来るわ」
今回の企画者の、公一が返した。後のふたりは酒が回ったらしく、後ろの座席
で眠っている。
「そこって、遊べるんでしょ。女」
「俺の企画やぞ。それがなかったら後ろのふたりが煩いやろ」
「それもそうですね」
この4人は。運転手の男こそ20代後半だが、幹事の公一が43歳、後ろのふ
たりは50歳の同級生。
妙な取り合わせであるが、住まいは近所同士で、これまで地元の活動を共にし
ていたが、後ろのふたりが勇退することになり、今日は送別会を兼ねた温泉旅
行に向かっていた。
4時過ぎ、車は目的の温泉旅館に着いた。
チェックインを済ませ4人は部屋に案内された。
案内した仲居はにこやかにしゃべりながらお茶を勧めた。
仲居に心づけを渡してやると、仲居は、この辺りの説明を始めた。
「ここは、四国でも有名な色街なんですよ。お遊びなら何でもありますので、
遠慮なくおっしゃって下さい。ただ、今日の宴会のコンパさんはダメですよ。
手出しはしては。今の話、旅館には内緒と、言うことで…」
と、遊びのレクチャーをすると部屋を後にした。
風呂を済ませ、6時半にコンパニオンを交えた宴会が始まった。
仲居の言うとおり宴会に来たコンパニオンは、スーツ姿で、お触り等もっての
外、と言う具合のふたり。出来るのは、下ネタまで位だった。
予定の2時間を終え、6人は揃って階下のラウンジに足を運んだ。
ラウンジは、土曜日なのに客はなくひっそりと静まっていた。
6人はボックスに席を取り、また飲み始めた。
ラウンジのママらしき女が、飲み物やツマミ等を準備する。
公一はこの女に目が留まった。
おとなしい感じの女。
年の頃なら公一とほぼ同世代の様に見えた。
背はそれ程高くない。
黒の薄手のセーター、黒のスカート。
髪を後ろで縛り、化粧も薄い。
一番公一の目を引いたのは、女の尻。
丸くて大きい。
女の身体の中で一段と存在感をアピールしている。
公一を除く5人はカラオケや会話それぞれに盛り上がっている。
他に客がいるわけでもないのに、女はただひとりカウンターの中にいる。
公一はボックスから女に声を掛けた。
「こっちに、おいでよ」
女は、首を横に振った。
「なら、俺がそっちに行っていいかな?」
公一の問いに女は頷いた。
公一はカウンターの女の前に座った。
「ヒマそうやし、あっちに来たら良かったのに」
「そんなことしたら、旅館から叱られますけん」
女は訛交じりで返した。
「ここのママ違うん?」
「違います。ただのパートですけん」
「そうなんかぁ。パートねぇ」
「ええ7時半から12までのパートですけん」
「何か飲む?」
「いいんですか? じゃぁオレンジジュース頂きます」
「お酒は?」
「仕事中は、いけませんけん。何になさいます?」
「俺は、安もんのウィスキーのロックで」
公一は女の訛が心地よかった。
公一も地のままの関西訛で話した。
女もまた、公一の飾らない態度に好感を持ったようだった。
「名前は?」
「由美です」
「由美ちゃんかぁ俺は公一」
「ねぇいくつ? 俺は37年生まれ。あんまし変わらんでしょ」
「私36年です」
「なんやぁひとつおねえちゃんやんかぁ」
由美は、公一より年上であることに少し驚いたようであった。
「お客さんは、何処から?」
「お客さんやない。公一」
「じゃぁ公一さんは、何処から?」
「公一君でええよ。年下なんやし」
「もう歳の話はいいじゃないですかぁ」
「ごめんごめん俺ら京都からなんや」
ふたりは、時間を忘れ止め処ない話を続けた。
由美には中学生と小学生の子供が居るらしい。
夜働いているということは、おそらく旦那はいるまい。
そう思い公一は、
「由美ちゃんここ済んだら、何か食べに行かへん?」
「えっそんなお客さんと行ったことないですけん」
「ええやんか今日だけ」
由美は、迷ったが公一の気さくさに了承した。
他のメンバーは、コンパニオンを返した様だった。
その中のひとりが公一のそばに来て、
「公一、何しけこんどるんや。ソープ行くぞ。ソープ」
と、誘ってきた。
「おねえさん。どっかええソープない? 紹介してくれや?」
「私は、そういうこと良く知りませんけん」
由美はそういう情報は疎いようであった。
「誰かに聞いてくれへんかなぁ」
しばらく考えて、由美は、
「それでは」
と、ある女性に電話を掛けた。
由美によると、スナックを経営している鈴々という女が迎えに来るという。
「ほら、公一行くぞ」
公一は、由美に、
「携帯教えて。帰ったら電話するから」
と言い、由美は、公一に携帯番号を書いた紙を渡した。
鈴々に連れられた4人は、外に出てソープへ向かった。
ソープはあいにく1時間待ちだという。
鈴々は、自分の店でも女が紹介できると言った。
4人のうちふたりはその鈴々の店に向かった。
公一は、ソープなんてどうでも良かったが、メンバーの手前、帰る訳に行かず
そのまま残った。
12時になり由美は店を片付け、家路に付いた。
(やっぱり、旅の男なんかいい加減もの)
由美は公一にほんの少し抱いた好感を、恥ずかしく思った。
(何、考えてたんだろ)
家に着いた由美は、まだほんの僅かの期待を持っていた。
その時、携帯が鳴った。
「由美ちゃん遅くなってごめん」
「もう、遅いし寝ますけん」
「えっあかん? 出て来れへん?」
「明日、朝早いですけん。もう、寝ます」
「そんなこと言わんとぉ由美おねえちゃん」
公一は甘えて見せた。
「じゃぁ、ほんの少しだけですよ。そこのコンビニの角で待っててくださいね」
由美は出てくる約束をした。
10分ほど待ち、公一の前に由美が暗闇の中から現れた。
由美は店にいたままだが、公一はジーンズにポロシャツに着替えていた。
公一は由美に腕を組むように左腕を差し出した。
由美は、戸惑った。
が、公一のその腕に自分の右腕を組んだ。
公一は行こうとしたが、由美が「ここよ」と、行った。
待ち合わせのコンビニの横に暖簾を降ろした、店があった。
その店の戸を開けると、由美は公一の背を押しふたりで入った。
中は近くで働く人らしいお客がたくさん居た。
ひと席に着くと、
「ここわたしの従兄弟のお店」
「そうなん」
「おうどんしかないわよ」
「いいよビール飲もうか?」
「じゃぁ1杯だけ」
由美は、生ビールとうどんを2つづつ注文した。
ふたりは乾杯した。
「私、お客さんとこうして出かけたの初めてですけん」
また、由美は呟いた。
「わかってるって」
ふたりの話しはまた、止め処もない話になった。
同世代ゆえ気の会う話し。
お互いの若い頃の話で盛り上がった。
公一は横に座った由美の太股に手を置いた。
由美は驚いたように、脚を逸らした。
公一は由美を見つめ笑った。
ビールをお代りした頃、公一は由美の耳元で、自分の気持ちを由美にストレー
トにぶつけてみた。
「由美ちゃんふたりっきりになれるとこ行こっ」
「私そんなこと行きませんけん」
由美は、拒否した。
公一は由美の手を取り、自分の膝の上に置き、自分の手はまた、由美の腿に置
いた。
そして由美の腿をストッキングの上から撫でた。
由美の手は公一の膝から腿の方へ落ちて行った。
「由美ちゃんダメ?」
公一の問いに
「もう遅いですけん」
「明日は、日曜日やろ」
「スーパーのパートがありますけん」
「何時から?」
「11時半」
「じゃぁしょうがないかぁ諦めるかぁ」
ビールを空にしたふたりは店を出た。
由美の自宅は公一の泊まる旅館の先にある。
公一は、
「送ろうか?」
と、言ったが、由美は近いから大丈夫と答えた。
もうすぐ、旅館の前である。
公一は再度チャレンジのつもりで由美の腕を引き由美を抱き寄せた。
「由美ちゃん」
由美を抱きしめた。
そして、由美にキスをしようとすると由美はそっと目を閉じた。
唇を重ね由美に舌を押し込み絡めた。
由美も公一の舌に自分の舌を絡めた。
由美は自分の身体から力が抜けていくことを感じた。
公一は由美に、「行こ」と、囁いた。
もう、由美は拒否することなく、コクリと頷いた。
ふたりはそのまま、温泉街の外れにあるホテルまで腕を組み歩いた。
その間、由美は俯いたまま、自問自答を繰り返す。
(何、やってるんだろう? 私)
(子供がいるのよ。私)
(今なら、戻れる)
(やっぱり、ダメ戻ろう)
思案のつかないまま、とうとうホテルに着いてしまった。
ホテルは2室しか空いていない。
その内の1室を選ぶと、ふたりはエレベータに乗った。
ホテルの門をくぐり由美の鼓動は一気に高まった。
部屋の前に着くと、公一は、
「ええんやね開けるよ」
由美は、もう公一に全てを委ねるしかないと、決め頷いた。


(2)へつづく・・・

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eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。