2ntブログ

小説(転載) ギュッてして 3/4

官能小説
05 /18 2018
掲載サイトは消滅。厳密には近親相姦ではないので、官能小説のカテゴリとした。話の展開が上手いのですぐ読み終えてしまう感じだ。

「奈美……」
 トイレから部屋に戻ると、怒っているように泣いているようにも見える複雑な表情を浮かべたヨシ兄が待っていた。不意に私は、昨晩の出来事に関係があるんだって悟った。
「あっ……ごめんね、ヨシ兄。昨日はメチャクチャで……ほら、病院に連れていってくれたでしょ? あの後のこと、私、ぜんぜん覚えてないんだ。でも、着替えさせてくれたみたいだし、なんか一晩中、看病しててくれたみたいだし……あ、ありがとうね、ヨシ兄」
 私はシドロモドロになりながら、必死に言葉を探し、言うだけ言って、ヨシ兄に抱きついた。こんなヨシ兄の顔、見たくなかったのだ。
「……奈美」
 私はギュッと、ヨシ兄の胸に頬を押し付ける。
「……元気になって、良かったな」
 ハッとなって顔をあげると、そこにはいつもの不機嫌そうな――つまり普通の――ヨシ兄がいた。
(絶対、秘密にするんだ)
 なぜか私は、そう決心した。
(昨日のことは、絶対、秘密にするんだ……)



 母さんと父さんが再婚して、私たちの本格的な同居生活が始まった。私とヨシ兄との関係は「仲の良い兄妹」というもの。あの夜のことは、ふたりとも決して語ろうとしないけど、共犯意識というか……そんなのがあって、なぜか不思議と仲良くできた。
 もっとも、お互いに共犯意識があるんだって知ったのは、私がいろんな知識を仕入れた後、私が小学六年生、ヨシ兄が高校二年生になった頃のこと……



「ヨシ兄? いるぅ?」
 冬の土曜日、母さんも父さんも仕事で出かけた後、暇だった私は、ヨシ兄から漫画本でも借りて暇を潰そうと、部屋を訪れてみた。
「なんだ?」
 ヨシ兄は勉強机の上にノートパソコンを開いて、何かをカタカタカタッと打ち込みながら返事をしてくる。
「なにしてるの?」
「ちょっとな」
 ヨシ兄の後ろに回ると、ノートパソコンの画面にはなんだか良く割らない英語がいっぱい表示されていた。
「なにこれ?」
「CGIって言って……インターネットって、知ってるか?」
「むぅ。すぐ人のこと、馬鹿にするぅ」
 私は「えいっ」とばかりに、ヨシ兄の首にチョークスリーパーをかけた。
「ギブ。降参。奈美の勝ち」
「アイムウィン!――で、それがどうしたの?」
「ちょっと興味があってな、いろいろ勉強してるってわけ」
「あっ、もしかしてヨシ兄って、ホームページ、持ってるの?」
「話したこと、無かったか?」
「見せて見せて! どんなやつ!?」
「そんな、面白くないぞ」
 開いていたウィンドウを閉じてから、ヨシ兄はブラウザを立ちあげた。
 表示されたのは文字だけが並んでる無味乾燥なページだ。
「なにこれ?」
「オレのサイト」
「うそだぁ。だって、絵とか一枚もないじゃん」
「そういうサイトもあるの」
 内容は自作したプログラムを公開するというもので、ヨシ兄は『YOSHI』のハンドル名で、時計とか何だとか、幾つかのフリーソフトを公開していると説明してくれた。
「ヨシ兄って、プログラマーになるの?」
「まぁな」
 確かに本棚には、いろんなパソコンの本が並んでいるし、パソコン関係の資格の本も幾つか目についた。
「それで、何の用だ?」
「別にぃ。暇だから漫画でも借りようかなぁって思って」
「小説にしろ、小説に」
「それよりさ、他のホームページも見せてよ。どんなのあるの?」
「どんなのって……」
「あ~、もしかしてヨシ兄、夜とかに一人でHなホームページとか見てたりするんだぁ」
「あのなぁ……」
「すっけべぇ~♪ 母さんに言いつけちゃおうっかなぁ♪」
「別にいいぞ」
「えっ? いいの?」
「言ったところで、ちょっと注意されるぐらいだって」
「じゃあ、あの夜のことも?」
 言った瞬間、私は「あっ……」と心の中で声をあげてしまった。
 ヨシ兄が黙り込んでいる。
 触れてはいけないもの――私は、タブーに触れてしまったのだ。
「……奈美」
 ヨシ兄は、首に抱きつく私の腕をぽんと軽く叩いた。
「オレ……奈美のこと、好きだぞ」
 ドキッとした。
「でも、その好きも兄妹の『好き』なんだ。それなのに、あんなことを……」
「良かった……」
 思わず私は、思った通りの言葉をつぶやいてしまった。
「えっ……?」
「あっ……う、うん……あのね……その……私も好きだよ、ヨシ兄のこと。でも、その好きって、ヨシ兄と一緒で、兄妹の『好き』なんだって思うんだ……」
 本当にそうなんだろか?――と尋ねる別の私が、頭の片隅にいた。でも、長い時間をかけてたどり着いた結論がこれだった。少なくとも、クラスメートなんかが、よく騒いだりしている誰のことが好きだとかいうやつとは違うように思える。
「だから……私たち、ずっと一緒だよね?」
 ヨシ兄は無言だった。
 それが恐くて――
「で、でも……兄妹だけど……ほら、血はつながってないんだし……だ、だから……だから私に……私に……」
 その時だ。
――トゥルルルル! トゥルルルル!
「ふみゃっ!」
 電話のコール音で驚いた私はヨシ兄から飛び離れた。ヨシ兄は無言で机の横に置いてある子機に手を伸ばし、電話を受ける。
「はい、もしもし……母さん?」
 急に私はここにいちゃいけないって思った。
 あわてて部屋を飛び出して、自分の部屋に駆け込み、ベッドの中にもぐりこむ。
 本当は……ずっと今みたいな機会を望んでいた。
 私だって、性に興味がある。
 あれから二年も経つ間に、いろんなことを知ったし、初潮だって迎えたし、ひとりですることも覚えたし……だからもう一度、今度は意識がハッキリしてる時に、同じことをされたらどうなるか……ああ、もう! 私、なに考えてるんだろ!
「奈美?」
 ヨシ兄の声だ。ドアが開いたままだったらしい。私は毛布をくるまったまま、黙ってヨシ兄の次の言葉を待った。
「……奈美?」
 足音が聞こえる。
 なんだか恥ずかしくなった私は、もそもそと毛布をかき集めて顔を隠した。そのせいで下半身が毛布から外に出てしまう。でも、ついさっきのことを思い出していた私は、まるで私がヨシ兄を誘っていたみたいだったことに気付いて……
「奈美……」
 ギシッとベッドが鳴る。
 ヨシ兄が座ったんだと思う。
 それからしばらく、ヨシ兄は黙っていた。私は胸のドキドキがヨシ兄に聞こえてるんじゃないかって思って、気が気でなかった。
 不意に太股に何かが押しあてられた。
 手だと思う。
 でも私は驚き、ビクッと震えた。
 手はすぐに離れた。でも、また触れてくる。今度は予想ができたので、驚くこともなかった。
 横向きに寝ている私の太股からお尻のあたりを、ヨシ兄の大きな手が撫ではじめる。
 他人に触れるだけでこんなに感触が違うだなんて……どうしてだろう?
 ただ撫でられているだけなのに、だんだん私は、切なくなってきて、息も少しずつ荒くなって来て、もっともっと撫でて欲しくて……
つづく

コメント

非公開コメント

eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。