小説(転載) Eternal Delta 3/9
官能小説
第1章 彼女の初体験の相手〈2〉
服の上から胸に触れると、遙紀はびくりと体を震わせた。
「……んな緊張すんなよ」
「だ、だって……!」
するなって方が無理か。自分もちょっと緊張してる。
シャツの中に手を入れ、背中に回す。ブラジャーのホックを外そうとしているのだが、遙紀はいちいち身体をびくびくさせる。
やっとホックを外せて、梨玖は考えた。
……やっぱ脱がせた方がいいのかな?
着たままというのもそれはそれでいいのかもしれないが。最初ぐらい普通にやろう。
「遙紀」
「え……?」
「Tシャツ脱いで」
「……え、あ、あの、自分で……!?」
「脱がせて欲しいのか?」
「バ、バカ! そ、そうじゃなくて!」
まあ、自分から脱ぐというのが恥ずかしいんだろうとは思う。
Tシャツをすぽっと脱がせ、ブラジャーも取り去る。遙紀の顔はゆでダコみたいになっていた。
決して大きくはないが、想像してたより胸は膨らんでいた。形は悪くない、と思う。真っ白できれいだ。左胸に触れると、遙紀はさっきよりももっと体を震わせた。心音の早さが手のひらに伝わってくる。
「遙紀」
「んっ、な、なに……?」
「カップサイズは?」
「え!? あ、あの……B……」
「へー……結構あるんだな……」
実はAカップだと思っていた。着痩せするタイプなんだろうか。
キスをしながら遙紀を押し倒す。どうやら遙紀はキスが好きらしい。いや自分も好きだが、突然やっても怒らないし、積極的に舌を絡めてくる。自分のやり方がうまいのかどうか知らないが。
寝転ぶと、胸の膨らみは小さくなった。それぐらいはまあ判っていたが。
二つの胸を両手でもてあそぶ。声を出すのが恥ずかしいのか、遙紀は必死な顔で我慢しているらしい。
……なんかつまらん。
声が聞きたいんだ、声が。キスの時みたいな。
やり方がまずいのかもしれないと思い、梨玖は胸に顔を近づけ、ピンク色の突起をぺろっと舐めた。
「ひゃぁんっ!」
やたら可愛い声を上げて、遙紀が身体をのけ反らせた。
──いい!
梨玖は調子に乗って、何度も乳首を舐めた。そのたびに遙紀が嬌声を上げる。
「……り……梨玖……や、やめ……はぁんっ!」
「なんで? 気持ちいいだろ?」
「だ……だから……いやぁんっ!」
くわー! 可愛い!
悶える姿がこんなにいいもんだとは想像以上だ。しかも遙紀がだ。
今度は舌で転がしてみた。
「ひゃっ!……あっ、やっ、んっ……!」
おー、反応の仕方が違うな。などと感心しながら舌での愛撫を続け、右手は徐々に下へ下げていった。
膝丈の少しタイトなスカート。腰のホックを外し、ファスナーを開ける。左手で腰を浮かせ、スカートを取り去る。
白くて少しレースの入った下着。純潔そのもの。いくら酒を飲んでいて正常な状態ではなかったとはいえ、遙紀が好きでもない男に体を許したなんて信じられない。
身体の位置を後ろへずらし、梨玖は遙紀の両足の間に入った。
そーっと人差し指で下着の上から触る。
「んっ……」
またちょっと反応が違っていた。
つついたり、なでてみたり。
遙紀の声を楽しんでいるうちに、下着がだんだん湿ってきた。
……濡れてきた……のか?
もしかしたら遙紀は感じやすいのかもしれない。初めても同然だから敏感なのかも。
下着を脱がせた。遙紀は完全に裸になった。
梨玖はその部分にじいっと見入った。その手の雑誌は読むし、同級生の家でその兄の持っていたアダルトビデオも見たことがある。だからセックスの仕方は知っている。どうすれば女の子が喜ぶか、なんてことも知識としてはなんとなく判っている。
しかし、生で見たのは当たり前だが初めてだ。どういうものであるのか知っていても、やっぱりこの目で見るとものすごくショッキングだ。
「……梨玖……?」
何もしなくなったから不審に思ったのか、遙紀が紅潮した顔で呼んだ。
我に返った梨玖は、一本線のその割れ目に指を這わせた。
「あっ、やっ……!」
直接触られると感じ方が違うのか。反応の仕方がまた違う。
割れ目でなく、その周りをしばらくこすってみる。それからそっと人差し指の第一関節だけ中に入れる。
ぬるっとしていた。が、まだ駄目だろうかとなんとなく思った。
指を上下──遙紀からすれば前後だろうが、動かしていると、遙紀はひときわ大きな声を上げて身体をびくびくさせた。
梨玖の指は小さな突起に触れていた。割れ目を押し開いて、それをむき出しにする。
指で転がすと、遙紀の反応はいっそう激しくなった。
女の子というより、何度も経験している大人の女に見えた。それに少し唖然としつつも、梨玖もだんだん興奮してくる。
濡れ方が充分になってきたかと思い、梨玖は中指を入れた。
「ふぁっ……!」
「……あ、あれ?」
梨玖は疑問を感じた。
「え……あんっ……な……なに?……やぁっ……」
悶えながら遙紀が聞いてくる。指を動かすのをやめていないからだが。
指が全然中に入らない。めちゃくちゃ狭い。
変だと思って指を抜いた。両手の人差し指で割れ目をぐっと開き、中を見る。が、いまいちよく判らない。穴の中にまた小さな穴があるような気がするが。
もう一度、中指を入れてみた。やっぱり狭い。ものすごい抵抗がある。
たった一回だけで、受け入れやすくなっているとは思わないが、それにしても。
「……遙紀?」
声をかけながらも、淫猥な音を立てて指を動かすのはやめない。
「んっ……な……なに……はあっ……」
「ホントにやったのか?」
「うぁ……ん……あ……」
今のはどれが返事なんだろう。梨玖は指を抜いて、もう一度聞いた。
「ホントにその幼なじみとやったのか?」
「な……なに……が……?」
遙紀ははぁはぁと息をついている。胸が大きく上下していた。
「だからさ。まだ膜あるみたいなんだけど」
「……まく……?」
「処女膜」
「……え?」
「その時、痛くなかったか?」
「え、だ、だから、全然なんにも憶えてないってば……」
女の場合、最初の痛みは身を切られるようなほどだと、その手の本に書いてある。身体を切られて意識を戻さない奴がいるか? もちろん、その後でまた酔いが回って記憶を失ったということもあるだろうが。
「起きた時どこにいたんだ?」
「……だから修祐の部屋……」
「じゃなくて、ベッドとか床の上とか」
「……床」
「汚れてたか?」
「え?」
「だからさ、お前と幼なじみがいた辺り、白いもんで汚れてなかったか?」
「……判んない。でも、汚れてたら判ると思うけど。フローリングだったし」
「じゃあ、気がつかなかったんだな?」
「うん……でも、白いのって何?」
「精液」
「……え」
遙紀は絶句した。
「なかったってことは、出してないんだろ。だとしたら、途中でやめたんじゃないか?」
それに血も出るはずではないのか。そんなものが出ていて気づかないはずないと思う。
「え、や、やめた?」
「酔ってたんだろ? 運動したら酔いが回るの早いぜ」
「あ……そっか……じゃあ、あたし……きゃっ!」
ほっとしたような声で言いかけた遙紀が、悲鳴を上げる。
梨玖が、遙紀の太股の間に顔を突っ込んだのだ。
「り、梨玖?」
顔を突っ込んだというより、ただうつむいたのだが。
最初はただの欲だった。好きな女は抱かなきゃいけないとでも思っていたのかもしれない。しかし遙紀が他の男に抱かれたなんて聞いて、別の感情が出た。たぶん焦ったのだ。最初の奴のことなんて忘れさせてやる、記憶にないなら自分を最初の男と勘違いさせてやろう、と。
だが、遙紀がまだバージンだと判った今は、なんだか馬鹿らしくなった。別に焦らなくても、遙紀が浮気をするわけない。同じ家に住んでいればいつだって出来る。たとえ他の男が現れたとしても、遙紀と一緒に暮らしている自分に誰が勝てる?
焦らなくたって、遙紀はずっとここにいる。
そう考えて、梨玖は笑いたくなった。
「……や、ちょ、ちょっと、梨玖、こ、こそばいってば……!」
声を上げずに笑う梨玖の髪が、遙紀の太股にこすれている。
むくっと顔を上げ、遙紀の身体を抱き上げた。
「え、な、なに?」
遙紀をベッド横の壁にもたれさせる。膝を立てて座っている状態。
「……梨玖?」
不思議そうに自分を見る。
梨玖は何も答えずに、唇に吸い付いた。
「……んっ……」
キスをしているときの遙紀は、幸せそうな顔をする。それも好きだけど、やっぱりもうちょっと、さっきの恥ずかしそうに悶える顔が見たい。
口から首筋へ降り、赤ん坊のように乳首をくわえる。
「ひゃぅんっ!」
どうやら胸はかなり弱いらしい。反応が一番大きいような気がする。しかし、これでは遙紀の顔が見られない。口を離して両手で遙紀の両胸を包み込む。そして先端をつまんだり転がしたりする。
遙紀は両手を身体の横につき、何かに必死で耐えている。
「……り……梨玖……」
「なんだ?」
「ま、まだ……?」
「なにが?」
「ま、まだ……するの……?」
「まだなんにもしてないだろ?」
「し、してるじゃ──あぅんっ!」
梨玖はいきなり指を突っ込んだ。中は充分濡れている。さっきより指は入りやすくなっていた。
「イキたいだろ?」
「んぁっ……ど、どこ……に……?」
「……んな親父ギャグみたいなこと言うな」
「だ、だって……なんのことか判んな……あんっ……」
「……もーいーから。黙ってされてろ。あ、いや黙るな」
興味はあるとはいっても、その手の雑誌を進んで読むのは恥ずかしいのだろう。だから保健の授業程度のことしか知らず、俗語に関しての知識はないわけだ。あんまりあって欲しいと思わないが。
「あっ、いやぁっ、はうっ……」
指を出し入れするたびに遙紀が声を上げる。たった指一本なのにかなりきつい。
胸や中への愛撫を続けながら、遙紀の表情を楽しむ。
そのうち、声の間隔が短くなってきた。達するのかな?と思ったとき。
「いやっ……り、梨玖ぅ!」
「へ?──って、おい!」
がばっ!と遙紀に頭を抱え込まれた。目の前は胸。頬に柔らかいものが当たって気持ちいいのだが、それどころじゃない。
こ、これじゃ、顔が見れん!
振りほどこうにも、ものすごい力で締め付けられていて全然動けない。たぶん何かに捕まっていないと不安なんだろうとは思うが、遙紀にこんな力が出せるとは思わなかった。
「ああっ、あん、あ、や、うぁ、あああっ」
頭の上に遙紀の息がかかる。おそらく自分の頭の上に顔を埋めているんだろう。
向かい合って座り込み、頭を抱えられ、指は遙紀の中へ入れるという、変な恰好。
……しょーがねぇな。
顔を眺めるのは諦めた。諦めるしかないが。
声だけ楽しむことにして、梨玖は指を動かすスピードを上げた。
「あ、やっ、あ、あああっ──!!」
梨玖の頭を締め付ける力が強くなり、遙紀が今までとまったく違う声を上げて身体を痙攣させた。
一瞬の間を置いて、ふっと遙紀の腕の力が緩んだ。梨玖が指を抜いて顔を上げる。
だらっと両腕を垂らし、遙紀は力無くうなだれていた。
「……遙紀?」
フルマラソンを全力疾走したみたいに、遙紀は何度も胸を上下させていた。
「気持ちよかった……か?」
達したみたいではあるが、気持ちよかったかどうかに関しては聞かないと判らない。何せ自分だって女にこういうことをするのは初めてだ。
呼吸しかせず、まったく動かない遙紀の顔を覗き込んだ。
「……遙紀?」
「……う……」
「おーい?」
「──バカぁっ!」
「へ?」
遙紀は泣いていた。顔と同じぐらい、目が赤くなっていた。
「な、なに泣いてんだ……!?」
い、痛かったのか?
そんな顔は全然してなかったような気がするが。
遙紀はぼろぼろ泣き始めた。小さな子供みたいに両手で涙を拭っている。
「……も……やだぁ……」
「へ?……やっぱ痛かったのか?」
もしかして気持ち悪かった……とか?
「そ……じゃな……い……」
「違うのか? じゃあなんで……」
「……だって……あ、あたし、あんな……」
「あんな?」
「……あんなことして……変な声出して……」
「いや、したのは俺だろ。変な声でもないし」
「……でも、あんなの、あたし……すごくいやらしい子みたい……」
えーっと。
感じて悶えて嬌声上げてたのが恥ずかしい、ってことか?
「あ、あのな? あんなもん、全然恥ずかしいことじゃ……いや、恥ずかしいかもしれないけど、あれぐらい誰でもやるんだからさ」
指で達したぐらいでスケベだなんていう奴は、よっぽど純情な奴だ。
……ってことは、こいつ結構、純情なのか? 興味はあるくせに?
免疫がないだけだろうとは思うが。
「……もうしない……」
「へ?」
「もうしたくない。絶対いや。梨玖にあんなの見られるなんて絶対やだ」
「……って……あ、あのな、俺以外の誰に見せる気だ」
「誰にも見せない! もう絶対いや!」
「……だからなぁ……」
梨玖は困った。今は別にいいが、このままでは一生、なんにも出来ない。
「……なあ、遙紀」
遙紀の腕を掴んで顔から離し、あごを手で持ち上げて視線を合わせた。
「気持ちよかっただろ?」
「しっ、知らない! 判んない!」
遙紀は全身赤くなった。どうも言動が子供っぽくなっている。いつもはもっと落ち着いているのに。
「俺、悶えてるお前の顔好きだな」
「へ、変態!」
「さっきも言ったぞ、それ。だいたいあれが嫌いだっていう男の方が変だって。それにあのあえぎ声も好きだなー」
「やっ、やだバカ! 変なこと言わないで!」
「全然変じゃねぇよ。すっげぇ可愛かったぞ」
「~~~~!!」
遙紀が睨みつけるのだが、赤面しているためにまったく迫力はない。逆に可愛い。
普段あまり可愛いなんて梨玖は言わない。なので遙紀は聞き慣れていないからまた恥ずかしいんだろう。
「恥ずかしいのは判るけど、俺は全然やらしい奴だなんて思わないから。男と女が当たり前なことしてるだけなんだからさ。そんなに嫌がるなよ」
「……だって……」
「悪いことやってるわけじゃないんだからさ。そりゃ、考えなしにやりまくるのはどうかと思うけど、俺そんなことしないから」
「……でも……」
「キスは?」
「え?」
「お前、キスするの好きだろ? ディープな奴」
「……え、えっと……」
「あれだって性的に興奮するためだぜ? 前戯って奴」
「……ちょっと違うもん」
すねたような顔でそう言った。やっぱりいつもより態度が子供だ。
「俺からすれば一緒だな。キスしてるときの顔とか声とかすっげぇ好きなんだ」
「え、あ、あの、い、いつもそんなの観察してるの?」
「当たり前だろ」
「な、なんで!?」
「可愛いから」
「あんた今日変よ!」
「お前も今ちょっと変だぜ」
「誰がしたのよぉ!」
「も一回して欲しい?」
「いいいいいらないってば!」
「じゃあ、また今度な」
「やだってばぁ!」
ひとしきりからかって満足した梨玖は、ベッドを降りた。
「遙紀」
「なななによぉ!」
「もう春だっていってもさ、そのままじゃ風邪引くぞ」
「え?……あ」
遙紀は自分の身体を見下ろした。すっぽんぽん。しかも足を広げてたりして。
「きゃあぁぁぁぁっ!」
膝をぺたっと閉じて降ろし、胸を両腕で隠した。
「み、見るな、バカぁっ!」
「もう全部見たって」
「やだぁ、もう!」
半泣きで遙紀はきょろきょろした。服を探しているんだろう。梨玖は脱がせた服をベッドの下に落としていたのだ。それを拾って遙紀に渡す。
「あ、あっち向いてて!」
「……だから全部見たってのに……」
「いいから!」
「へいへい」
こういう恥じらいも可愛いなあとか思いながら、梨玖は遙紀に背を向け、宿題の続きをやろうかとテーブルに向かった。
テーブルを元の位置に戻していると、ベランダの方からトラックの音がした。こっちは家の裏の方だ。なんだろうと思って、ベランダに出てみた。
裏の空き家の前、つまりすぐ目の前の道路にトラックが二台止まっていた。
「売れたのか、あの家」
単純にそう考えた。
「……梨玖? なんかあるの?」
いつもの落ち着いた声で遙紀が聞く。
引っ越しみたいだ、と言いながら部屋の中に戻った。
「引っ越し?」
下着をつけただけの遙紀が聞き返したとき、玄関のチャイムが鳴った。
「あ、やだ、どうしよ」
「俺出るよ」
「うん。お願い」
どうせセールスマンか何かだろうと思って、梨玖は部屋を出た。
階段を下りていくと、正面から右手にかけて玄関がある。さほど広いわけでもないが、梨玖の元の家よりは広い。
ドアを開ける前にまたチャイムが鳴った。しつこいセールスマンだな、と思い、セールスマンはしつこくて当たり前か、と思った。
「──はい?」
自分でも愛想悪すぎと思う声でドアを開けた。
そこにいたのは、背広を着たサラリーマンでもなく、郵便局員でもなく、借金の取り立て屋でもなかった。
自分と同い年ぐらいの、若い男。
眼鏡をかけていて、自分よりもう少し背が高く、かなりの二枚目。
印象としては、モテる東大生。
その東大予備軍は、梨玖を見て驚いていた。梨玖は嫌な予感がした。
「……どちら様?」
「あ……あの、高杉さんのお宅じゃ……?」
「そうだけど?」
この家には、名字が二つある。高杉と津月。両親は夫婦別姓を選んだのだ。なので、表玄関には表札が二つ並んでいる。
「あの、遙紀……さん、います?」
梨玖は内心で舌打ちした。
こいつ、遙紀を呼び捨てにしようとした。ということは。
「……あれ?」
遙紀の声がした。同時に階段を下りてくる音がする。
……降りてこなくていいのに……。
名指しされたのだから、呼びに行かなければならなかったのだが。いないと言ってやろうかと考えてしまっていた。
玄関まで来た遙紀が、サンダルをはきながら言った。
「修祐? なんでいるの?」
「……久しぶり」
二人の間に、親しげな空気が流れた。梨玖は自分が除け者のような気がした。
修祐というと、遙紀の幼なじみで、遙紀とセックスしようとした男。
……自分が勝てないかもしれない男が、現れてしまった。
第1章 彼女の初体験の相手 終わり
服の上から胸に触れると、遙紀はびくりと体を震わせた。
「……んな緊張すんなよ」
「だ、だって……!」
するなって方が無理か。自分もちょっと緊張してる。
シャツの中に手を入れ、背中に回す。ブラジャーのホックを外そうとしているのだが、遙紀はいちいち身体をびくびくさせる。
やっとホックを外せて、梨玖は考えた。
……やっぱ脱がせた方がいいのかな?
着たままというのもそれはそれでいいのかもしれないが。最初ぐらい普通にやろう。
「遙紀」
「え……?」
「Tシャツ脱いで」
「……え、あ、あの、自分で……!?」
「脱がせて欲しいのか?」
「バ、バカ! そ、そうじゃなくて!」
まあ、自分から脱ぐというのが恥ずかしいんだろうとは思う。
Tシャツをすぽっと脱がせ、ブラジャーも取り去る。遙紀の顔はゆでダコみたいになっていた。
決して大きくはないが、想像してたより胸は膨らんでいた。形は悪くない、と思う。真っ白できれいだ。左胸に触れると、遙紀はさっきよりももっと体を震わせた。心音の早さが手のひらに伝わってくる。
「遙紀」
「んっ、な、なに……?」
「カップサイズは?」
「え!? あ、あの……B……」
「へー……結構あるんだな……」
実はAカップだと思っていた。着痩せするタイプなんだろうか。
キスをしながら遙紀を押し倒す。どうやら遙紀はキスが好きらしい。いや自分も好きだが、突然やっても怒らないし、積極的に舌を絡めてくる。自分のやり方がうまいのかどうか知らないが。
寝転ぶと、胸の膨らみは小さくなった。それぐらいはまあ判っていたが。
二つの胸を両手でもてあそぶ。声を出すのが恥ずかしいのか、遙紀は必死な顔で我慢しているらしい。
……なんかつまらん。
声が聞きたいんだ、声が。キスの時みたいな。
やり方がまずいのかもしれないと思い、梨玖は胸に顔を近づけ、ピンク色の突起をぺろっと舐めた。
「ひゃぁんっ!」
やたら可愛い声を上げて、遙紀が身体をのけ反らせた。
──いい!
梨玖は調子に乗って、何度も乳首を舐めた。そのたびに遙紀が嬌声を上げる。
「……り……梨玖……や、やめ……はぁんっ!」
「なんで? 気持ちいいだろ?」
「だ……だから……いやぁんっ!」
くわー! 可愛い!
悶える姿がこんなにいいもんだとは想像以上だ。しかも遙紀がだ。
今度は舌で転がしてみた。
「ひゃっ!……あっ、やっ、んっ……!」
おー、反応の仕方が違うな。などと感心しながら舌での愛撫を続け、右手は徐々に下へ下げていった。
膝丈の少しタイトなスカート。腰のホックを外し、ファスナーを開ける。左手で腰を浮かせ、スカートを取り去る。
白くて少しレースの入った下着。純潔そのもの。いくら酒を飲んでいて正常な状態ではなかったとはいえ、遙紀が好きでもない男に体を許したなんて信じられない。
身体の位置を後ろへずらし、梨玖は遙紀の両足の間に入った。
そーっと人差し指で下着の上から触る。
「んっ……」
またちょっと反応が違っていた。
つついたり、なでてみたり。
遙紀の声を楽しんでいるうちに、下着がだんだん湿ってきた。
……濡れてきた……のか?
もしかしたら遙紀は感じやすいのかもしれない。初めても同然だから敏感なのかも。
下着を脱がせた。遙紀は完全に裸になった。
梨玖はその部分にじいっと見入った。その手の雑誌は読むし、同級生の家でその兄の持っていたアダルトビデオも見たことがある。だからセックスの仕方は知っている。どうすれば女の子が喜ぶか、なんてことも知識としてはなんとなく判っている。
しかし、生で見たのは当たり前だが初めてだ。どういうものであるのか知っていても、やっぱりこの目で見るとものすごくショッキングだ。
「……梨玖……?」
何もしなくなったから不審に思ったのか、遙紀が紅潮した顔で呼んだ。
我に返った梨玖は、一本線のその割れ目に指を這わせた。
「あっ、やっ……!」
直接触られると感じ方が違うのか。反応の仕方がまた違う。
割れ目でなく、その周りをしばらくこすってみる。それからそっと人差し指の第一関節だけ中に入れる。
ぬるっとしていた。が、まだ駄目だろうかとなんとなく思った。
指を上下──遙紀からすれば前後だろうが、動かしていると、遙紀はひときわ大きな声を上げて身体をびくびくさせた。
梨玖の指は小さな突起に触れていた。割れ目を押し開いて、それをむき出しにする。
指で転がすと、遙紀の反応はいっそう激しくなった。
女の子というより、何度も経験している大人の女に見えた。それに少し唖然としつつも、梨玖もだんだん興奮してくる。
濡れ方が充分になってきたかと思い、梨玖は中指を入れた。
「ふぁっ……!」
「……あ、あれ?」
梨玖は疑問を感じた。
「え……あんっ……な……なに?……やぁっ……」
悶えながら遙紀が聞いてくる。指を動かすのをやめていないからだが。
指が全然中に入らない。めちゃくちゃ狭い。
変だと思って指を抜いた。両手の人差し指で割れ目をぐっと開き、中を見る。が、いまいちよく判らない。穴の中にまた小さな穴があるような気がするが。
もう一度、中指を入れてみた。やっぱり狭い。ものすごい抵抗がある。
たった一回だけで、受け入れやすくなっているとは思わないが、それにしても。
「……遙紀?」
声をかけながらも、淫猥な音を立てて指を動かすのはやめない。
「んっ……な……なに……はあっ……」
「ホントにやったのか?」
「うぁ……ん……あ……」
今のはどれが返事なんだろう。梨玖は指を抜いて、もう一度聞いた。
「ホントにその幼なじみとやったのか?」
「な……なに……が……?」
遙紀ははぁはぁと息をついている。胸が大きく上下していた。
「だからさ。まだ膜あるみたいなんだけど」
「……まく……?」
「処女膜」
「……え?」
「その時、痛くなかったか?」
「え、だ、だから、全然なんにも憶えてないってば……」
女の場合、最初の痛みは身を切られるようなほどだと、その手の本に書いてある。身体を切られて意識を戻さない奴がいるか? もちろん、その後でまた酔いが回って記憶を失ったということもあるだろうが。
「起きた時どこにいたんだ?」
「……だから修祐の部屋……」
「じゃなくて、ベッドとか床の上とか」
「……床」
「汚れてたか?」
「え?」
「だからさ、お前と幼なじみがいた辺り、白いもんで汚れてなかったか?」
「……判んない。でも、汚れてたら判ると思うけど。フローリングだったし」
「じゃあ、気がつかなかったんだな?」
「うん……でも、白いのって何?」
「精液」
「……え」
遙紀は絶句した。
「なかったってことは、出してないんだろ。だとしたら、途中でやめたんじゃないか?」
それに血も出るはずではないのか。そんなものが出ていて気づかないはずないと思う。
「え、や、やめた?」
「酔ってたんだろ? 運動したら酔いが回るの早いぜ」
「あ……そっか……じゃあ、あたし……きゃっ!」
ほっとしたような声で言いかけた遙紀が、悲鳴を上げる。
梨玖が、遙紀の太股の間に顔を突っ込んだのだ。
「り、梨玖?」
顔を突っ込んだというより、ただうつむいたのだが。
最初はただの欲だった。好きな女は抱かなきゃいけないとでも思っていたのかもしれない。しかし遙紀が他の男に抱かれたなんて聞いて、別の感情が出た。たぶん焦ったのだ。最初の奴のことなんて忘れさせてやる、記憶にないなら自分を最初の男と勘違いさせてやろう、と。
だが、遙紀がまだバージンだと判った今は、なんだか馬鹿らしくなった。別に焦らなくても、遙紀が浮気をするわけない。同じ家に住んでいればいつだって出来る。たとえ他の男が現れたとしても、遙紀と一緒に暮らしている自分に誰が勝てる?
焦らなくたって、遙紀はずっとここにいる。
そう考えて、梨玖は笑いたくなった。
「……や、ちょ、ちょっと、梨玖、こ、こそばいってば……!」
声を上げずに笑う梨玖の髪が、遙紀の太股にこすれている。
むくっと顔を上げ、遙紀の身体を抱き上げた。
「え、な、なに?」
遙紀をベッド横の壁にもたれさせる。膝を立てて座っている状態。
「……梨玖?」
不思議そうに自分を見る。
梨玖は何も答えずに、唇に吸い付いた。
「……んっ……」
キスをしているときの遙紀は、幸せそうな顔をする。それも好きだけど、やっぱりもうちょっと、さっきの恥ずかしそうに悶える顔が見たい。
口から首筋へ降り、赤ん坊のように乳首をくわえる。
「ひゃぅんっ!」
どうやら胸はかなり弱いらしい。反応が一番大きいような気がする。しかし、これでは遙紀の顔が見られない。口を離して両手で遙紀の両胸を包み込む。そして先端をつまんだり転がしたりする。
遙紀は両手を身体の横につき、何かに必死で耐えている。
「……り……梨玖……」
「なんだ?」
「ま、まだ……?」
「なにが?」
「ま、まだ……するの……?」
「まだなんにもしてないだろ?」
「し、してるじゃ──あぅんっ!」
梨玖はいきなり指を突っ込んだ。中は充分濡れている。さっきより指は入りやすくなっていた。
「イキたいだろ?」
「んぁっ……ど、どこ……に……?」
「……んな親父ギャグみたいなこと言うな」
「だ、だって……なんのことか判んな……あんっ……」
「……もーいーから。黙ってされてろ。あ、いや黙るな」
興味はあるとはいっても、その手の雑誌を進んで読むのは恥ずかしいのだろう。だから保健の授業程度のことしか知らず、俗語に関しての知識はないわけだ。あんまりあって欲しいと思わないが。
「あっ、いやぁっ、はうっ……」
指を出し入れするたびに遙紀が声を上げる。たった指一本なのにかなりきつい。
胸や中への愛撫を続けながら、遙紀の表情を楽しむ。
そのうち、声の間隔が短くなってきた。達するのかな?と思ったとき。
「いやっ……り、梨玖ぅ!」
「へ?──って、おい!」
がばっ!と遙紀に頭を抱え込まれた。目の前は胸。頬に柔らかいものが当たって気持ちいいのだが、それどころじゃない。
こ、これじゃ、顔が見れん!
振りほどこうにも、ものすごい力で締め付けられていて全然動けない。たぶん何かに捕まっていないと不安なんだろうとは思うが、遙紀にこんな力が出せるとは思わなかった。
「ああっ、あん、あ、や、うぁ、あああっ」
頭の上に遙紀の息がかかる。おそらく自分の頭の上に顔を埋めているんだろう。
向かい合って座り込み、頭を抱えられ、指は遙紀の中へ入れるという、変な恰好。
……しょーがねぇな。
顔を眺めるのは諦めた。諦めるしかないが。
声だけ楽しむことにして、梨玖は指を動かすスピードを上げた。
「あ、やっ、あ、あああっ──!!」
梨玖の頭を締め付ける力が強くなり、遙紀が今までとまったく違う声を上げて身体を痙攣させた。
一瞬の間を置いて、ふっと遙紀の腕の力が緩んだ。梨玖が指を抜いて顔を上げる。
だらっと両腕を垂らし、遙紀は力無くうなだれていた。
「……遙紀?」
フルマラソンを全力疾走したみたいに、遙紀は何度も胸を上下させていた。
「気持ちよかった……か?」
達したみたいではあるが、気持ちよかったかどうかに関しては聞かないと判らない。何せ自分だって女にこういうことをするのは初めてだ。
呼吸しかせず、まったく動かない遙紀の顔を覗き込んだ。
「……遙紀?」
「……う……」
「おーい?」
「──バカぁっ!」
「へ?」
遙紀は泣いていた。顔と同じぐらい、目が赤くなっていた。
「な、なに泣いてんだ……!?」
い、痛かったのか?
そんな顔は全然してなかったような気がするが。
遙紀はぼろぼろ泣き始めた。小さな子供みたいに両手で涙を拭っている。
「……も……やだぁ……」
「へ?……やっぱ痛かったのか?」
もしかして気持ち悪かった……とか?
「そ……じゃな……い……」
「違うのか? じゃあなんで……」
「……だって……あ、あたし、あんな……」
「あんな?」
「……あんなことして……変な声出して……」
「いや、したのは俺だろ。変な声でもないし」
「……でも、あんなの、あたし……すごくいやらしい子みたい……」
えーっと。
感じて悶えて嬌声上げてたのが恥ずかしい、ってことか?
「あ、あのな? あんなもん、全然恥ずかしいことじゃ……いや、恥ずかしいかもしれないけど、あれぐらい誰でもやるんだからさ」
指で達したぐらいでスケベだなんていう奴は、よっぽど純情な奴だ。
……ってことは、こいつ結構、純情なのか? 興味はあるくせに?
免疫がないだけだろうとは思うが。
「……もうしない……」
「へ?」
「もうしたくない。絶対いや。梨玖にあんなの見られるなんて絶対やだ」
「……って……あ、あのな、俺以外の誰に見せる気だ」
「誰にも見せない! もう絶対いや!」
「……だからなぁ……」
梨玖は困った。今は別にいいが、このままでは一生、なんにも出来ない。
「……なあ、遙紀」
遙紀の腕を掴んで顔から離し、あごを手で持ち上げて視線を合わせた。
「気持ちよかっただろ?」
「しっ、知らない! 判んない!」
遙紀は全身赤くなった。どうも言動が子供っぽくなっている。いつもはもっと落ち着いているのに。
「俺、悶えてるお前の顔好きだな」
「へ、変態!」
「さっきも言ったぞ、それ。だいたいあれが嫌いだっていう男の方が変だって。それにあのあえぎ声も好きだなー」
「やっ、やだバカ! 変なこと言わないで!」
「全然変じゃねぇよ。すっげぇ可愛かったぞ」
「~~~~!!」
遙紀が睨みつけるのだが、赤面しているためにまったく迫力はない。逆に可愛い。
普段あまり可愛いなんて梨玖は言わない。なので遙紀は聞き慣れていないからまた恥ずかしいんだろう。
「恥ずかしいのは判るけど、俺は全然やらしい奴だなんて思わないから。男と女が当たり前なことしてるだけなんだからさ。そんなに嫌がるなよ」
「……だって……」
「悪いことやってるわけじゃないんだからさ。そりゃ、考えなしにやりまくるのはどうかと思うけど、俺そんなことしないから」
「……でも……」
「キスは?」
「え?」
「お前、キスするの好きだろ? ディープな奴」
「……え、えっと……」
「あれだって性的に興奮するためだぜ? 前戯って奴」
「……ちょっと違うもん」
すねたような顔でそう言った。やっぱりいつもより態度が子供だ。
「俺からすれば一緒だな。キスしてるときの顔とか声とかすっげぇ好きなんだ」
「え、あ、あの、い、いつもそんなの観察してるの?」
「当たり前だろ」
「な、なんで!?」
「可愛いから」
「あんた今日変よ!」
「お前も今ちょっと変だぜ」
「誰がしたのよぉ!」
「も一回して欲しい?」
「いいいいいらないってば!」
「じゃあ、また今度な」
「やだってばぁ!」
ひとしきりからかって満足した梨玖は、ベッドを降りた。
「遙紀」
「なななによぉ!」
「もう春だっていってもさ、そのままじゃ風邪引くぞ」
「え?……あ」
遙紀は自分の身体を見下ろした。すっぽんぽん。しかも足を広げてたりして。
「きゃあぁぁぁぁっ!」
膝をぺたっと閉じて降ろし、胸を両腕で隠した。
「み、見るな、バカぁっ!」
「もう全部見たって」
「やだぁ、もう!」
半泣きで遙紀はきょろきょろした。服を探しているんだろう。梨玖は脱がせた服をベッドの下に落としていたのだ。それを拾って遙紀に渡す。
「あ、あっち向いてて!」
「……だから全部見たってのに……」
「いいから!」
「へいへい」
こういう恥じらいも可愛いなあとか思いながら、梨玖は遙紀に背を向け、宿題の続きをやろうかとテーブルに向かった。
テーブルを元の位置に戻していると、ベランダの方からトラックの音がした。こっちは家の裏の方だ。なんだろうと思って、ベランダに出てみた。
裏の空き家の前、つまりすぐ目の前の道路にトラックが二台止まっていた。
「売れたのか、あの家」
単純にそう考えた。
「……梨玖? なんかあるの?」
いつもの落ち着いた声で遙紀が聞く。
引っ越しみたいだ、と言いながら部屋の中に戻った。
「引っ越し?」
下着をつけただけの遙紀が聞き返したとき、玄関のチャイムが鳴った。
「あ、やだ、どうしよ」
「俺出るよ」
「うん。お願い」
どうせセールスマンか何かだろうと思って、梨玖は部屋を出た。
階段を下りていくと、正面から右手にかけて玄関がある。さほど広いわけでもないが、梨玖の元の家よりは広い。
ドアを開ける前にまたチャイムが鳴った。しつこいセールスマンだな、と思い、セールスマンはしつこくて当たり前か、と思った。
「──はい?」
自分でも愛想悪すぎと思う声でドアを開けた。
そこにいたのは、背広を着たサラリーマンでもなく、郵便局員でもなく、借金の取り立て屋でもなかった。
自分と同い年ぐらいの、若い男。
眼鏡をかけていて、自分よりもう少し背が高く、かなりの二枚目。
印象としては、モテる東大生。
その東大予備軍は、梨玖を見て驚いていた。梨玖は嫌な予感がした。
「……どちら様?」
「あ……あの、高杉さんのお宅じゃ……?」
「そうだけど?」
この家には、名字が二つある。高杉と津月。両親は夫婦別姓を選んだのだ。なので、表玄関には表札が二つ並んでいる。
「あの、遙紀……さん、います?」
梨玖は内心で舌打ちした。
こいつ、遙紀を呼び捨てにしようとした。ということは。
「……あれ?」
遙紀の声がした。同時に階段を下りてくる音がする。
……降りてこなくていいのに……。
名指しされたのだから、呼びに行かなければならなかったのだが。いないと言ってやろうかと考えてしまっていた。
玄関まで来た遙紀が、サンダルをはきながら言った。
「修祐? なんでいるの?」
「……久しぶり」
二人の間に、親しげな空気が流れた。梨玖は自分が除け者のような気がした。
修祐というと、遙紀の幼なじみで、遙紀とセックスしようとした男。
……自分が勝てないかもしれない男が、現れてしまった。
第1章 彼女の初体験の相手 終わり
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