小説(転載) 『誕生日の素敵なプレゼント』 第二部 2/8
近親相姦小説
「ご、ごめん。」
賢が慌てて腰を浮かせようとしたが弥生が腰に手を回して離さなかった。二
度、三度、それが口に入って来る度に弥生の喉が鳴った。一滴もこぼすまいと
しているようだった。
賢がフーッと息を吐いて顔を上げた。弥生が口を離すと、体の向きを変えて
上から重なって来た。見上げた弥生の目が潤んでいた。
「ご、ごめん。我慢出来なかった。」
「ううん。嬉しかった。」
「そう言ってくれると、俺も嬉しい。」
「少し休んだら。」
父親の賢治は一度果てると最低でも十分くらいは休憩するのである。しかし、
賢は首を横に振った。
「弥生がよければ、今すぐにでも一つになりたい。」
「うん、いいよ。」
「ちょっと待って。」
賢が起き上がって枕元から小さなビニール袋を取った。
(コンドーム付けるんだわ)
それは弥生にとって初めての経験だった。最初の晩も含めて賢治は一度も付
けたことがない。賢が振り返ったので弥生がチラッと確認した。それは透明な
スキー帽のように少し先端が余って垂れ下がっていた。
「弥生。」
「賢。」
賢が弥生の膝を開き、その膝を抱えさせた。上を向いた襞が物欲しそうに半
ば口を開いている。賢が先端を宛うと弥生が息を吐いた。スルッと入って来た
ものがやけに滑らかだった。
(やっぱり生の方がいい)
きっと賢の方も物足りないことだろう。出来ることなら邪魔なゴムなど外し
て直に賢の感触を味わいたかった。しかし、今日が安全日なのか、弥生には自
信がなかった。一番奥まで到達した賢が両腕で押し付けていた弥生の膝を自分
の腰に絡ませた。
「好きだよ。」
賢が弥生の耳元で呟いた。
「私も。なぜか分からないけど、賢が好き。」
「動いてもいい。」
「動いて。滅茶苦茶にして。」
賢の腰が激しく動き始めた。最早弥生に優しさは要らなかった。父親の賢治
と比べたら倍以上の早さで賢の腰がコクコクと前後に動いている。それも単純
な動きではない。突き入れる度に角度を変えて来るのである。合わさった部分
から粘っこい、いかにも卑わいな音が部屋中に響き始めた。
「い、いい・・・・」
弥生は身体の芯から沸き上がって来る心地よい波に身を任せながら、心の中
で必死に賢治の面影を思い浮かべていた。ふと見上げた賢の顔がドキッとする
くらい父親に似ていた。
「そうか、弥生にもとうとう彼氏が出来たか。」
上になった賢治が腰の動きを止めた。ともすれば強張って来そうな表情を何
とか和らげようと必死になっていた。
「初デートで抱かれたんじゃ、よっぽど気に入ったんだな。」
「分からない。カラオケハウスで二人きりになったら、なぜか胸がキューン
となっちゃって、気が付いたら抱かれてたって感じかな。」
「兎に角、一度連れておいで。」
「パパ、怒らない。」
「馬鹿言うな。俺に怒る筋合いなんて無いさ。」
「駄目よ、パパ。元気無くしちゃ。」
弥生が下から腰を突き上げた。
「男って、本当にデリケートなのね。」
勢いを失った賢治に弥生が焦れたように腰を押し付けた。
「駄目、ちゃんと可愛がって。」
弥生が目をつぶると目の前に賢の顔が浮かんできた。ハッと目を開くと目の
前の父親の顔が賢とダブって見えた。
(何でこんなに似てるのかしら)
中の感じだけが違っていた。
(やっぱり生がいい。賢とも生でしたい)
弥生は父親のゆったりした動きに身を任せながら勝手な想像を巡らせていた。
(きっと賢とも生でしたらこんな感じなんだわ)
弥生は父親と一つになりながら平気で賢のことを想像している自分に苦笑し
た。
翌日、弥生が賢治の会社に電話を掛けてきた。
「ねえ、帰りに待ち合わせていい。」
「昨日の今日じゃちょっと。」
賢治が言い淀んだので弥生が苦笑した。会社だから滅多なことは口に出来
ないのである。
「違うの。今、賢とデート中なの。で、パパが会いたがってるって言ったら、
今日じゃ駄目か聞いてみてって。」
「そこにいるのか。」
「うん。」
「分かった。今晩会おう。どこか適当なところで待ってなさい。もうすぐ出
られるから六時前には行けるだろう。そうだな、新宿西口交番の前でどうだ。
地下のロータリーの。」
「何か色気のない待ち合わせ場所ね。」
「そのまま寿司でも食いに行こう。家には俺の方から電話入れておくから。」
「いいわ、それで。じゃあ六時ね。」
「うん、なるべく早めに行くよ。」
電話を切った賢治が隣の若い事務員、洋子に向かって照れ笑いした。
「娘が彼氏に会ってくれだってさ。」
「あら、父親としては複雑な気分じゃありません。」
「うん。どんな奴を連れて来るんだか。」
「父親の目って、どんなにいい相手でも厳しいらしいですね。娘を取られち
ゃうような気分になるんでしょう。」
「違いない。」
「お寿司、喉、通ります。」
「さあ。井上くんの時はどうだった。」
「私、まだ一度も彼を紹介したことないんです。そんな決まった相手いない
し。あら、そう言えば課長のお嬢さん、まだ高校生じゃなかったかしら。」
「うん、高校一年だ。」
「お嬢さん、よっぽど課長のこと信頼してるのね。私だったら、例え彼氏が
出来ても絶対に父親に会わせたりなんかしないわ。」
「そんなもんか。」
「だって・・・」
洋子が頬を赤らめた。
「彼氏って言うからには、もうしてる訳でしょ。そんな相手、恥ずかしくっ
て父親なんかに紹介出来ないわよ。」
「やっぱり、してるかな。」
「してなかったら彼氏だなんて言わないし、ただのボーイフレンド紹介して
も始まらないし。」
「言われてみればそうかも知れないな。」
洋子が時計をチラッと見た。
「ほら、課長。急がないと遅刻ですよ。残りの書類は私が片付けて置きます
から。」
「すまない。そうさせて貰うよ。」
「明日、しょげて来ないで下さいね。」
「だといいんだが。」
賢治が約束の西口に着いたのは六時五分前だった。既に弥生が賢を連れて待
っていた。
「パパ、紹介します。植野賢さんです。」
「植野です。はじめまして。」
「こちらこそ。弥生の父親です。さ、こんなところで立ち話してないで、寿
司でも食いに行きましょう。」
賢治は一目見て、賢が自分の息子だと確信した。
今から二十年前、妻の美子と知り合う前に賢治は大学の後輩、植野圭子と付
き合っていた。既に大学を卒業して現在の会社に就職していた賢治は圭子の卒
業を待って一緒になる積もりだった。圭子の卒業式の日、二人は初めて避妊せ
ずに抱き合った。二人の結婚に反対だった圭子の両親に既成事実としての二人
の関係を認めさせる積もりだった。その日は危険日のまっただ中だった。
二人の思惑通り圭子が妊娠した。圭子はその事実をひたすら隠し通し、腹の
出っ張りが傍目にも目立つようになって初めて両親に賢治との結婚を頼み込ん
だ。既に中絶は不可能だった。
ところが圭子の両親は頑としてこれを認めず、強引に圭子を連れて海外に移
住してしまった。なぜ、これ程までに圭子の両親が自分を嫌うのか。その理由
が賢治には分からなかった。半年後、男の子が生まれたこと。名前は賢治から
一字貰って賢としたことが簡単な封書で知らされた。差出人は圭子の名前にな
っていたが、賢治はその筆跡が本人のものではないような気がした。
失意の賢治に結婚話が持ち上がった。美子との縁談だった。圭子との非常な
別れの直後だったので賢治は頑なにこれを拒んだ。圭子の家族はヨーロッパに
いるらしかったが、一箇所に留まっていることは無かったらしい。音信不通の
まま一年の歳月が流れ、賢治も周囲からの圧力を押さえきれなくなって来た。
何よりも賢治の父親が美子との縁談に積極的だった。
美子は父親の友人の娘だった。少し我が儘なところは見られたが顔立ちは目
が覚めるほど整っており、何年か前の全日本レベルのミスコンで準ミスに選ば
れたこともあるらしい。両親や周囲から徐々に外堀を埋められた形でようやく
賢治が結婚を了承した。
結婚式の祝電の中に賢治は植野の名前を見付けて愕然とした。差出人は植野
賢になっていた。どこで聞きつけたのか、圭子が息子の名前で送って寄こした
ものらしい。
『ご結婚おめでとうございます。末永くお幸せに。』
賢治はその行間から圭子の想いを読み取ろうとした。飾りっ気も何もない電
文。全てを打ち消すような言葉の中に賢治は、最早同じ世界では暮らして行け
ないと言う圭子の覚悟のようなものを読み取った。その日から賢治は美子のこ
とだけを見つめて生きて行く決心をした。
(3)へつづく・・・
賢が慌てて腰を浮かせようとしたが弥生が腰に手を回して離さなかった。二
度、三度、それが口に入って来る度に弥生の喉が鳴った。一滴もこぼすまいと
しているようだった。
賢がフーッと息を吐いて顔を上げた。弥生が口を離すと、体の向きを変えて
上から重なって来た。見上げた弥生の目が潤んでいた。
「ご、ごめん。我慢出来なかった。」
「ううん。嬉しかった。」
「そう言ってくれると、俺も嬉しい。」
「少し休んだら。」
父親の賢治は一度果てると最低でも十分くらいは休憩するのである。しかし、
賢は首を横に振った。
「弥生がよければ、今すぐにでも一つになりたい。」
「うん、いいよ。」
「ちょっと待って。」
賢が起き上がって枕元から小さなビニール袋を取った。
(コンドーム付けるんだわ)
それは弥生にとって初めての経験だった。最初の晩も含めて賢治は一度も付
けたことがない。賢が振り返ったので弥生がチラッと確認した。それは透明な
スキー帽のように少し先端が余って垂れ下がっていた。
「弥生。」
「賢。」
賢が弥生の膝を開き、その膝を抱えさせた。上を向いた襞が物欲しそうに半
ば口を開いている。賢が先端を宛うと弥生が息を吐いた。スルッと入って来た
ものがやけに滑らかだった。
(やっぱり生の方がいい)
きっと賢の方も物足りないことだろう。出来ることなら邪魔なゴムなど外し
て直に賢の感触を味わいたかった。しかし、今日が安全日なのか、弥生には自
信がなかった。一番奥まで到達した賢が両腕で押し付けていた弥生の膝を自分
の腰に絡ませた。
「好きだよ。」
賢が弥生の耳元で呟いた。
「私も。なぜか分からないけど、賢が好き。」
「動いてもいい。」
「動いて。滅茶苦茶にして。」
賢の腰が激しく動き始めた。最早弥生に優しさは要らなかった。父親の賢治
と比べたら倍以上の早さで賢の腰がコクコクと前後に動いている。それも単純
な動きではない。突き入れる度に角度を変えて来るのである。合わさった部分
から粘っこい、いかにも卑わいな音が部屋中に響き始めた。
「い、いい・・・・」
弥生は身体の芯から沸き上がって来る心地よい波に身を任せながら、心の中
で必死に賢治の面影を思い浮かべていた。ふと見上げた賢の顔がドキッとする
くらい父親に似ていた。
「そうか、弥生にもとうとう彼氏が出来たか。」
上になった賢治が腰の動きを止めた。ともすれば強張って来そうな表情を何
とか和らげようと必死になっていた。
「初デートで抱かれたんじゃ、よっぽど気に入ったんだな。」
「分からない。カラオケハウスで二人きりになったら、なぜか胸がキューン
となっちゃって、気が付いたら抱かれてたって感じかな。」
「兎に角、一度連れておいで。」
「パパ、怒らない。」
「馬鹿言うな。俺に怒る筋合いなんて無いさ。」
「駄目よ、パパ。元気無くしちゃ。」
弥生が下から腰を突き上げた。
「男って、本当にデリケートなのね。」
勢いを失った賢治に弥生が焦れたように腰を押し付けた。
「駄目、ちゃんと可愛がって。」
弥生が目をつぶると目の前に賢の顔が浮かんできた。ハッと目を開くと目の
前の父親の顔が賢とダブって見えた。
(何でこんなに似てるのかしら)
中の感じだけが違っていた。
(やっぱり生がいい。賢とも生でしたい)
弥生は父親のゆったりした動きに身を任せながら勝手な想像を巡らせていた。
(きっと賢とも生でしたらこんな感じなんだわ)
弥生は父親と一つになりながら平気で賢のことを想像している自分に苦笑し
た。
翌日、弥生が賢治の会社に電話を掛けてきた。
「ねえ、帰りに待ち合わせていい。」
「昨日の今日じゃちょっと。」
賢治が言い淀んだので弥生が苦笑した。会社だから滅多なことは口に出来
ないのである。
「違うの。今、賢とデート中なの。で、パパが会いたがってるって言ったら、
今日じゃ駄目か聞いてみてって。」
「そこにいるのか。」
「うん。」
「分かった。今晩会おう。どこか適当なところで待ってなさい。もうすぐ出
られるから六時前には行けるだろう。そうだな、新宿西口交番の前でどうだ。
地下のロータリーの。」
「何か色気のない待ち合わせ場所ね。」
「そのまま寿司でも食いに行こう。家には俺の方から電話入れておくから。」
「いいわ、それで。じゃあ六時ね。」
「うん、なるべく早めに行くよ。」
電話を切った賢治が隣の若い事務員、洋子に向かって照れ笑いした。
「娘が彼氏に会ってくれだってさ。」
「あら、父親としては複雑な気分じゃありません。」
「うん。どんな奴を連れて来るんだか。」
「父親の目って、どんなにいい相手でも厳しいらしいですね。娘を取られち
ゃうような気分になるんでしょう。」
「違いない。」
「お寿司、喉、通ります。」
「さあ。井上くんの時はどうだった。」
「私、まだ一度も彼を紹介したことないんです。そんな決まった相手いない
し。あら、そう言えば課長のお嬢さん、まだ高校生じゃなかったかしら。」
「うん、高校一年だ。」
「お嬢さん、よっぽど課長のこと信頼してるのね。私だったら、例え彼氏が
出来ても絶対に父親に会わせたりなんかしないわ。」
「そんなもんか。」
「だって・・・」
洋子が頬を赤らめた。
「彼氏って言うからには、もうしてる訳でしょ。そんな相手、恥ずかしくっ
て父親なんかに紹介出来ないわよ。」
「やっぱり、してるかな。」
「してなかったら彼氏だなんて言わないし、ただのボーイフレンド紹介して
も始まらないし。」
「言われてみればそうかも知れないな。」
洋子が時計をチラッと見た。
「ほら、課長。急がないと遅刻ですよ。残りの書類は私が片付けて置きます
から。」
「すまない。そうさせて貰うよ。」
「明日、しょげて来ないで下さいね。」
「だといいんだが。」
賢治が約束の西口に着いたのは六時五分前だった。既に弥生が賢を連れて待
っていた。
「パパ、紹介します。植野賢さんです。」
「植野です。はじめまして。」
「こちらこそ。弥生の父親です。さ、こんなところで立ち話してないで、寿
司でも食いに行きましょう。」
賢治は一目見て、賢が自分の息子だと確信した。
今から二十年前、妻の美子と知り合う前に賢治は大学の後輩、植野圭子と付
き合っていた。既に大学を卒業して現在の会社に就職していた賢治は圭子の卒
業を待って一緒になる積もりだった。圭子の卒業式の日、二人は初めて避妊せ
ずに抱き合った。二人の結婚に反対だった圭子の両親に既成事実としての二人
の関係を認めさせる積もりだった。その日は危険日のまっただ中だった。
二人の思惑通り圭子が妊娠した。圭子はその事実をひたすら隠し通し、腹の
出っ張りが傍目にも目立つようになって初めて両親に賢治との結婚を頼み込ん
だ。既に中絶は不可能だった。
ところが圭子の両親は頑としてこれを認めず、強引に圭子を連れて海外に移
住してしまった。なぜ、これ程までに圭子の両親が自分を嫌うのか。その理由
が賢治には分からなかった。半年後、男の子が生まれたこと。名前は賢治から
一字貰って賢としたことが簡単な封書で知らされた。差出人は圭子の名前にな
っていたが、賢治はその筆跡が本人のものではないような気がした。
失意の賢治に結婚話が持ち上がった。美子との縁談だった。圭子との非常な
別れの直後だったので賢治は頑なにこれを拒んだ。圭子の家族はヨーロッパに
いるらしかったが、一箇所に留まっていることは無かったらしい。音信不通の
まま一年の歳月が流れ、賢治も周囲からの圧力を押さえきれなくなって来た。
何よりも賢治の父親が美子との縁談に積極的だった。
美子は父親の友人の娘だった。少し我が儘なところは見られたが顔立ちは目
が覚めるほど整っており、何年か前の全日本レベルのミスコンで準ミスに選ば
れたこともあるらしい。両親や周囲から徐々に外堀を埋められた形でようやく
賢治が結婚を了承した。
結婚式の祝電の中に賢治は植野の名前を見付けて愕然とした。差出人は植野
賢になっていた。どこで聞きつけたのか、圭子が息子の名前で送って寄こした
ものらしい。
『ご結婚おめでとうございます。末永くお幸せに。』
賢治はその行間から圭子の想いを読み取ろうとした。飾りっ気も何もない電
文。全てを打ち消すような言葉の中に賢治は、最早同じ世界では暮らして行け
ないと言う圭子の覚悟のようなものを読み取った。その日から賢治は美子のこ
とだけを見つめて生きて行く決心をした。
(3)へつづく・・・
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