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小説(転載)  教育実習 3/5

官能小説
12 /10 2018
 岡原はイライラしていた。教頭の寺下はまだ同じようなことをぐだぐだと言っている。明日は土曜日なのにと、他の教師たちも早く帰りたいという表情で、その話を聞いている様子はない。岡原は諒を待たせていることが気になって、貧乏ゆすりをし始めた。
「どうしたんですか?岡原先生。」
教頭が岡原の様子に気づき、声をかけた。
「えっ?あっ、ちょっとトイレに行っていいですか。」
岡原は席を立ち、控え室の方へ走っていった。
 

 諒はひとり、控え室で待っていた。他の実習生たちは帰ったようだ。
「申し訳ないんだが、会議が長引きそうなんだ。待たせるのも悪いから、帰っていてくれないか。」
岡原の言葉に、まだ涙のあとが消えない諒はつらそうな顔をしながらも、微笑む。そんな顔を見てしまうと、岡原も困る。一度は会議室に引き返そうとしたが、くるっと振り返った。
「もし、よかったら…帰りに庄野先生の家の前まで行こうか。」
岡原は、諒が否と言えばそれでいいと思っていた。しかし、諒は
「お願いします。」
と答えた。岡原さえよければ何時でも構わないと言うのだ。岡原は諒の返事に困惑しながら、あの様子では仕方がないか、と思った。
 

 どうでもいいような教頭の話がようやく終わったのは九時半だった。岡原はそれほど遅くなかったことにほっとしながら、急いでバイクを走らせた。
 

 昨日、諒を送った場所までくると、岡原はバイクを止め、ヘルメットを外した。コツコツという足音が聞こえ、振り向くと人が近づいてくる。
「バイクの音が聞こえたので…。」
暗がりで顔は見えないが、諒の声だった。
「遅くなって悪かったね。今日のことだけど…。」
話し始めようとする岡原を、諒が止めた。
「あの、よかったら上がってください。」
断ろうとする岡原だったが、顔もよく見えないような暗がりで話す話でもない。岡原は諒のあとについて行った。
 

 岡原が案内されたのは、小さなアパートの二階の部屋だった。諒は学生だから当然と言えば当然だったのだが、実家だとばかり思っていた岡原は戸惑った。
「あれ、どうしてうちの学校に実習に来たの?」
岡原は、実習生は自分が卒業した学校を選ぶものだと思っていたのだが、実家が遠い学生によっては、大学に近い学校を選ぶことがあるのだと諒から聞いた。
 

 諒の部屋は女の子らしい雰囲気だった。ベッドの横の机の上には、数学の教科書やレポート用紙が置いてあり、今まで授業案を考えていたことが想像できた。本棚には、岡原自身も昔取り組んだ参考書が並んでいる。
 岡原は出されたコーヒーを飲みながら、諒を見た。控え室で見たときよりも落ち着いた様子の諒にほっとしながら、岡原は諒の話を聞いた。
 

 諒は、今日の失敗がたいしたことではないと分かってはいるが、自分の勉強不足が分かって、どうしようもなく情けなくなったこと。また、生徒に指摘されて、うまく対応できず、動揺したまま授業をしてしまったことを後悔しているとぽつりぽつり話した。話すうちに諒の目からまた、ぽろぽろと涙がこぼれてくる。岡原は、黙って諒の話を聞いていたが、やがて自分の経験談を話し始めた。それは諒の失敗など、足元にも及ばないと思えるほどの、大失敗の内容であった。
「岡原先生でも、そんなことがあったんですか。」
いつの間にか諒の目からは涙が消え、笑みさえこぼれ始めた。
「そうだよ。みんな失敗するんだ。僕の失敗なんか、授業参観のときだったからねえ。あのあとの学級懇談では、親たちの猛攻撃にあったさ。」
諒は声を出して笑った。
「そう言えば、岡原先生って、最初に『彼氏はいるのか』って聞きましたよね。あれも、小さな失敗でしたよね。」
諒はあのときの岡原の慌てた表情を思い出しながら楽しそうに笑い出した。
「初対面の女性にあんなこと聞いて、僕もいつの間にかオヤジ化してきたんだと内心焦ったよ。」
「先生は、彼女いらっしゃるんですか?」
諒の問いに、岡原は笑いながら
「ははは、いませんよ。もてませんから。」
と答えた。そんなことないと諒が言うと、岡原は、コンパがあったら誘ってくれ、と笑った。
 

 岡原は自分の学生時代の話や、アルバイトでの話をして諒を笑わせた。諒は学校での実習生としての顔ではなく、大学生の顔になって、岡原の話を楽しんだ。

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eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。