小説(転載) ついてる少年 2/5
官能小説
それからしばらくは慌ただしい日々が続いた。
住まいは隣町の叔父のマンションに移り(こんな近くに住んでいたなんて)、
学校は変わらなくても良かったが、電車で通うことになった。
叔父のマンションは外観も中身も豪華で、いままでのボロアパートとは天と地ほどの違いがあった。
それよりも驚いたのが、叔父の職業だ。
叔父はこの地方でいくつもの店舗を持つ百貨店『天海屋』の社長だ、と言うのだ。
天海屋でいつもごはんの材料を買っていたのに、まさかそこが親戚の店だったなんて・・・。
「・・・なんでいままで連絡とかしてくれなかったの?」
そう聞くと叔父は、
「・・・いろいろあったんだよ、兄貴たちとは。」
と、ニコリともせずに言い、それ以上は答えたくないようだった。
・・・まぁ構わない。これからの生活が保障されただけでも良かった。
「ところで叔父さん。家族の人とかは・・・?」
「家族はいない。私一人だ。」
叔父は独身らしかった。ずっとなのか、別れたのかは聞かないことにした。
「この家は自由に使っていい。食事や金のことは心配しなくていい。」
叔父はここにはあまり帰ってこないらしい。
となると、身の回りの世話はまた自分でやらなくちゃいけない。・・・当たり前か。
「これを渡しとく。なにか困ったことがあったらすぐに電話してこい。」
叔父は僕に携帯電話を渡すと、会社に向かった。
会話もあまりなく、なんとなく恐い印象が残る叔父だったが、やはりどこか信頼感を感じる。
これが血筋か・・・?
学校へ行くともう親父が死んだことは知れ渡っているようだった。人の不幸話は伝わるのが早い。
「おい、吉沢。お前の親父死んだんだって?」
「天海屋の社長に引き取られたんだってな!?」
「なんかおごれよ!」
肉親が死んだ人間に向かって、なんだろうこいつらは。
やはり僕の扱いなんてそんなものか・・・。
「いいよな~。何もしないで貧乏から一気に金持ちだもんな。」
僕はその言葉にはカチンときた。まるで汚いことをして得たようなその言い方!
その声の方を向くと・・・やっぱり武藤だ。
「・・・何見てんだよ。なんか文句あるのかよ。あ?」
「・・・・・・。」
「なぁみんな。知ってるか。こいつ、小学生の時給食の金払えなくて止められた事あんだぜ。ハハッ。」
その下品な笑い声に一緒になって笑うヤツはいなかったが・・・!
その後、昼休みにパンを食べていると、ふと窓の外の天気が気になった。
どんよりした雲行き。今日僕は傘を持ってきていない・・・。
いつもならここで出てくる結論はひとつ。今日の放課後は”雨”だ。
しかし帰り際になっても雨が降ってくるような気配はなかった。
全くどうでもいい、大したことのないこと。
でも、やっぱり・・・ほんの少し運が向いてきているような気がする。
ガチャ
「ふぅ・・・ん?」
マンションに帰ると、玄関に見慣れぬ靴がおいてあった。
ハイヒール。
「あっ、おかえりなさいませ。」
そう言ってパタパタと走ってきたのは紺のスーツ姿の美人・・・。
「?・・・あの・・・どなたですか?」
「初めまして、はじめくん。社長からあなたのお世話を任された、『川合』と申します。」
そう言って彼女はペコリと頭を下げた。
「お世話・・・?」
「あ、お世話は言い過ぎですね。お掃除に洗濯、それに手作りの夕食、などを・・・。」
「はぁ・・・。」
まぁとりあえずそういうことらしい。
聞くとこの川合静香さんは叔父の秘書をしているらしかった。
「でも秘書の仕事をしながらって・・・大丈夫なんですか?」
その静香さんが作った極上の御馳走を食べながら聞いてみた。
ちょっと・・・こんな美人とでは話しにくい。
「はい、ですからここに来られるのは夕方過ぎになってしまいますね。」
「いいんですか?」
「ご心配なく。社長からもはじめくんに精一杯栄養をつけさせてくれって言われています。」
そう言って彼女はクスッと笑った。
・・・・・・。
全く乱れていない綺麗な長い髪と、その黒さと真っ向から反発する白い肌・・・。
それに(失礼だと思ってあまり見なかったけど)高そうなスーツに身を包んだ見事なスタイル・・・。
スカートから伸びる乳白色のストッキングに包まれた足・・・。
いや、待て。あの一際目立つルージュや、それに、う~ん深い色合いの瞳・・・。
まぁ・・・とにかく、今まで、いや今からもきっと”接触”できない人種だろう。(今してるか。)
僕はそんな美女と二人きりで向き合っている空気に耐えられず、大急ぎでご飯をお腹へ入れた。
「はじめくん・・・もっとゆっくり食べないと詰まりますよ?」
「ん・・・ぐふっ・・・大丈夫・・・。」
静香さんの目を見て話せない、早くここから抜け出したい。
それはやはり身分不相応からくる羞恥心なのか?
とりあえず僕は差し出された食事を全てたいらげる事に成功した。
「どうでした?お味の方は。」
「う、うん・・・美味しかったです。ご馳走様でした。」
「いいえ、どういたしまして。」
ものすごくかわいい笑顔で彼女はそう言った。
無意識に僕はデレーッとその笑顔に見入ってしまう。
普段は凛々しい顔をしているのに、喋ると柔和な笑顔に変わる。ただの美人とは違う・・・これが魅力というものだろうか。
「わたしの顔に・・・何か?」
「あっ・・・いえ。」
いかんいかん、何考えてんだ。変な印象もたれちゃったぞ・・・?
静香さんを見ると澄ました顔で僕を見つめている。
・・・何もかもお見通しって目だ。男の事なんて分かり切ってるって目だ。
だいたい人の目をじっと見つめられるなんて、自分に相当の自信を持っているに違いない。
「・・・じゃ、僕は部屋行きます。」
「えっもう、ですか?・・・それじゃわたしも後かたづけしたら帰りますね。」
部屋に入ってしばらくするとドアをノックする音が聞こえた。
「はじめくん、帰ります。おやすみなさい・・・。」
「・・お、おやすみなさい。」
そんな挨拶交わしたこと無いのでちょっと戸惑ったがうまく言えた。
・・・・・・。
25歳くらいだろうか。
きっと彼氏とかいて、男性経験とかも豊富に違いない・・・。
そんな事を思っていると、なぜか少し悔しくなった。
静香さんはそれから毎日夕食を作りに来てくれ、いつしか自然に話せるようにもなった。
このお姉さんは僕のくだらない話やうまく表現できない話なども、まじめに聞いて、返事をしてくれる。
やさしく、やさしく。ときには厳しく。
やっぱり人の扱い、いや男の扱いになれている・・・と思う。
そう思うと、あまり心を開いてはいけない・・・とも思う。
でも、ちゃんとした”普通”の会話もろくにしたことがなかった僕は、次第に静香さんに惹かれるものを感じていた。
素晴らしい容姿、ではなく、性格に惹かれている・・・。
やばいな、そりゃ。マジで彼女のことが好きになったって事じゃないか?
ダメだダメだ!
こんな美人、それも年上の人なんて好きになったって、無駄だ。
僕は小さな頃からつらい目にばかり遭っていたので、傷つきそうなこととかには予防線を張るようにしている。
・・・無駄だぞ・・・無駄・・・あきらめろ!
そんなある日の日曜日。
僕は叔父から呼ばれ『天海屋』の本社に向かった。
その市街地にそびえ立つ建築物は、あの親父の弟が建てたとは思えない代物だった。
び、びるじんぐじゃん・・・これって・・・。
すっごーい。なんじゅっ階もあるぅ・・・。
はたして僕なんかが足を踏み入れていいエリアなのだろうか・・・?
とりあえず受付の女の人に自分の名前を告げてみた。
「はじめさんですね、お待ちしておりました。社長は今、応接室におります。どうぞ、ご案内いたします。」
す、すごい。
スーツ着たお姉さまが僕のために時間を割いて部屋まで案内してくれるって。
「こちらです。どうぞお入りください。」
うぉっ。
真っ赤な絨毯、どでかいソファーがひぃふぅみぃ・・・。なんと。それに奥は一面窓じゃないか・・・!!
・・・疲れる。いちいち驚くのはやめよう。
「良く来たな、はじめ。」
叔父がソファーから立ち上がり、ソファに座るようにジェスチャーした。
「どうだ。新しい生活は。」
叔父と会って話すのは何日ぶりだろう。
初めて会ってからまだ数回しか会話を交わしていない。
「うん・・・満足です・・・。」
「そうか。それは良かった。」
叔父はニコリともせずにそう言った。
しばらく間が空く。
「・・・実ははじめ。今日呼んだのは、お前にしてもらいたい仕事があるんだ。」
「仕事・・・ですか?」
僕はなぜだか背筋が寒くなった。
こんな贅沢な生活をさせておいての頼みなんて・・・悪事!?
「そう緊張しなくてもいい。大した仕事ではない。・・・仕入れを決めて欲しいのだ。」
「仕入れ・・・?」
「そう。商品の仕入れだ。うちに商品を仕入れさせそれを売るかどうか。お前に決めて欲しいのだ。」
「そ、それって・・・重大なことじゃ?」
そこで叔父は煙草を取り出し、火をつけた。
ん・・・なにか叔父さんには似合わない、古びた感じの銘柄だな。
「もちろん、重要なところは任さんよ。衣料品の一部だ。」
「服・・・?」
「うちの店の衣料品はだいたいが店舗を専門店に貸し出しての販売なのだが、多少うちの管理で扱っている物もある。」
「ふぅん・・・。」
「それをやってもらいたい。・・・なぁに簡単だ。ただ、相手先と会って、商品を見、気に入ったなら入れる、気に入らないなら入れない、それだけの事だよ。」
「そ、それだけのことって・・・。」
「気に入らないなら全く入れなくてもいい。・・・全てお前に任せる。」
「そんな・・・いきなり言われても・・・。」
「実を言うと、うちの衣料品は売れ行きが良くない。当然、収支に与える影響も微少だ。だから全面的な見直しを考えているんだが・・・その前に、と思ってな。」
「なぜ僕が?」
「・・・・・・。はじめ。いままで選ばれる側、それも選ばれなかったお前が、勝手に、そして自由に、選んでみるんだ。」
「・・・・・・。」
「やってみろ、大丈夫だ。責任など問うつもりはない。」
相変わらず叔父はニコリともせずに淡々と話す。
僕は叔父の真意が掴めなかった。
こんな大きなデパートの取引。それを高校生の僕が任されるなんて・・・。
確かに話を聞くと簡単そうにも感じるが・・・。
「どうだ?好きにしていいんだ。今までお前が虐げられてきたように。」
選ぶ(選ばれた)側の人間になりたい。
確かにそう思った事はないと言えばウソになる。
だけどいじめられたりした後に思っていたこと。それは・・・。
『あいつらをいつか見返してやる』ではなく、『あいつらのようにはなりたくない』だった・・・。
もし僕が仕入れを任されて好き勝手に、偉そうに決めたら、あいつらと一緒にならないか。
・・・・・・。
どうする・・・はじめ?
でも、これはもしかして、叔父さんの優しさなのか・・・?
「・・・・・・・・・。」
叔父は僕の返事を待って煙草をふかしている。
・・・・・・。
確かに・・・なんだかんだ言っても、僕の意志で自由気ままに決められるなんて・・・とてつもなく魅力的だ。
それに経営に影響があるとかそんなんじゃないみたい。
好き勝手にするんでもない・・・。ちゃんと商品を見て選べばいいんだ。
「・・・やってみたい。」
「そうか。判った。じゃ早速明日からでもやるといい。時間は放課後で構わない。相手がお前に時間を合わせるんだ。」
その後叔父から細かい話を聞き、僕は偉くなったような気分でマンションに帰った。
「ただいま。」
「はじめくん、おかえりなさい。遅かったんですね。」
日曜日にもかかわらず、静香さんは夕食を作りに来てくれていた。
台所の方から美味しそうな香りが漏れてきている。
「うん、叔父さんとの話が長引いちゃって・・・。」
「社長とのお話、ですか?」
「えっ!仕入れを担当・・・ですか?」
僕は一通り今日の叔父との話を聞かせた。
静香さんはその話を叔父から聞いていなかったらしい。
「うん、全部任せるだって。どう思う・・・?」
「・・・そうですねぇ。社長が何を考えているのかは判りませんけど、はじめくんに負担を与えることになりませんか?責任という物がかかってきますよ。」
「それは気にしなくていいって言うんだ。」
「そうは言っても、やっぱり自分が入れた物の売れ行きは気になるでしょう?」
「そりゃあね。」
「それに学生さんですし・・・。相手もまじめに対応してくれるかどうかも・・・。」
「う~ん、そうだよねぇ。・・・・・・。ねぇ静香さん。今まで聞かなかったけど、叔父さんてどんな人なの?」
「はじめくんは社長の事は全然知らないんでしたね。」
「うん。」
「一言で言うと・・・厳しい方ですよ。」
静香さんはそう言ってくすくすと笑った。
「なんかそんな感じするね。笑うことなんかあるのかな。」
「そういえばあまり見たこと無いですね。仕事以外のことを話す事もないですし。」
僕はちょっと嬉しくなった。
叔父さんと静香さんの関係はそんな物なのか。
てっきり愛人か何かなのかなぁとか思ってたから・・・。実はそうかも知れないけど。
「まぁとりあえずやるだけやってみるよ。それでできそうにないならすぐ断って・・・。」
「そうですね。それがいいですよ。・・・あっはじめくん。野菜も食べてくださいね!」
「・・・・・・・・・。」
-優越感、そして-
僕は次の日学校が終わると『天海屋』本社ビルに向かった。
受付の人と顔を合わせると、すぐに「第三応接室」と書かれた部屋に案内された。
「どうぞこちらでお待ちください。」
ずっとにこやかな受付嬢の態度が気持ちいい。
「ふ~ん。ここで交渉するのかな・・・。」
その部屋は奥に飾り物のような机がおいてあり、真ん中に7,8人が座れそうなソファそれにテーブルが置かれている。
壁には抽象画が一枚。左奥にドアがひとつあった。
・・・どこか殺風景に感じる部屋だ。
「ここの奥は何だろう。」
僕は部屋の奥にある扉を開けてみた。
10畳ほどの部屋。
奥に大きな机がデーンと置かれてあり、壁には資料が詰まってそうな本棚、それにこちらにもソファとテーブルがある。
「こっちでも商談するのかな?」
僕はその部屋を出ると、ソファに座って誰かが来るのを待った。
「また叔父さんが来るのかな・・・。」
しかし予想は外れ、50過ぎの小太りのおじさんがやってきた。
「契約の進め方などを・・・と言っても簡単な物なのですが・・・。」
僕はしばらくそのおじさんの言うことを聞いていた。
ふんふん・・・。
何だ・・・本当に簡単だ。単なる口約束に近いものじゃないか・・・。
「・・・それでこの紙を事務室に持っていってくだされば終わりです。」
「本当に僕が自由に選んでいいんですね。」
「はい。そういう社長の命令でございます。」
こんなおじさんに丁寧な言葉で喋られると、ちょっと気が引けるな。
「わ、わかりました。」
小太りのおじさんは今日は一件の業者とだけ会っていただきますと言うと、お辞儀をして部屋を出ていった。
きっと地位のある人に違いない。なんでこんなガキに・・・とかって思ってるんじゃないか・・・。
その時ドアをノックする音が聞こえた。
「今日はマネージャーさんおひとりですか?」
横文字の社名の営業を名乗る女性にそう聞かれると、下を向きながらそうですと答えた。
どうもここの会社はマネージャーというのが責任者の肩書きのようなのだ。
僕もそう名乗るように言われていた・・・がやはり戸惑いがあり、相手の顔を見れない。
「はい・・・そ、それではこちらが納入していただきたい商品なのですが・・・。」
ちょっと訝しく思っているのだろうか、相手もちょっと戸惑いぎみの口調だ。
歳は二十七、八くらい。
赤毛のショートヘア、濃い化粧とスーツに身を固めた姿だがどこか垢抜けてない感じがするなぁ。
いつも静香さんを見ているからか?
しかしものすごく魅力を感じる部分。それは。
す、すごいミニだ・・・。座ったら見えるんじゃないか・・・?
僕はその女性がテーブルに商品のTシャツを並べ終わるのを見ると、白々しく座るように言った。
「あ、どうも・・・。」
やはりまだ僕みたいな少年との対応に戸惑っているらしく、かたーい声色だ。
僕も一緒に向かいのソファに座る・・・。
「み、み、・・・。」
「・・・?」
見える見える見える!いや、見えない見えない見えない!
超ミニスカートから伸びるはち切れそうな太股。そしてスカートと太股によって造られた三角地帯・・・。
あんなに間が開いてるのに、真っ暗だ。くそっ、パンツ見えない。
いや、もしかして黒なのか・・・?
彼女が商品の説明をしている間も僕の意識はずっとスカートの奥に向かっていた。
「いかがでしょうか?」
「えっ?あ・・・はい、そうですね・・・。」
やばいっ!今のは完全に覗いてるのばれちゃったぞ?
初めての仕事なのに何やってんだ僕は・・・。
「う、う~ん。どうかなぁ。ハハッ。」
女性はちょっと怒ったような顔で僕を見つめている。
「・・・・・・。いや、その・・・。」
その時ふと彼女が笑い出した。
「マネージャーさんて、今おいくつなの?」
「えっ?・・・あの17ですが・・・。」
「ウソ!?まだ高校生!?」
「あ、はぁ。まぁ・・・。」
「ふぅん・・・。まさか、バカにしてるとか・・・そんなんじゃないですよね・・・?」
「ち、違います!僕はちゃんとここの社長から・・・。」
僕は詳しく経緯を説明した。
「なるほど。叔父さんが社長さん、ですか・・・。」
「そうです!」
「・・・・・・。」
彼女は何か考えている風だった。
お、怒ってるみたいだけど大丈夫さ。
僕の方が偉いんだ。断ったって、ぜ、全然構わないんだから・・・。
「・・・ねぇ?マネージャーさん。お願いしていいかしら?」
「は!?何をですか!?」
つい声がうわずってしまう。
「あのね。もう一つ商品あるんだけど、それとこれをですね・・・。」
彼女はそこで足を組んだ。否応なく視線は太股に走る。
「両方とも入れてくれないかな。気持ちいいことしてあげる・か・ら。」
き、気持ちいいこと・・・?なんだ・・・!?
性的なことを考えたとたんに、目の前の女性がすごく魅力的に見えてきた。
ゴクリ・・・。
安易だけどここはとにかく・・・。
「そ、そりゃ別にいいですよ?」
「ありがとう!」
そう言って彼女は僕の横のソファに移ってきた。
嗅いだこともないような甘ったるい香水の香り。
僕は全く未知の世界が近づいていることを肌で感じていた。
「で、でも気持ちいい事って・・・。」
「フフ・・・。」
彼女が肩をぶつけ、顔を耳元に近づけてくる。
それだけでも、僕の心臓は破れそうに高鳴っていた。
「震えてる・・・。経験とかあまりないんですか?」
経験なんてそんな・・・。
自慢じゃないけどいままで女の子と喋ったことだってあまりなかったんだから!
「ゴクリ・・・。」
「かわいい・・・。」
彼女はそう言って僕のほっぺたをペロリと舐めてきた。それだけのことなのに全身に電流が流れたような感覚に陥る。
な、な、なにをしてくれるんだ!?
カチャ、カチャ・・・。
彼女は僕のベルトに手をまわし外すと、何の抵抗もなくパンツごとズボンをおろした。
「ひっ!」
物心ついてから初めて性器を女性の前にさらす羞恥に耐えられず、僕は両手でそれを隠した。
だってそれに・・・モロ立ってるし!
「恥ずかしがらないで・・・。」
幼い子に諭すように言って、彼女が手をどけた。
僕はしょうがなくそっぽを向き、恥ずかしさに耐える。
「立派なの持ってるじゃないの。」
そう言いながら、女性らしく繊細な手が僕の起立をなで上げる。
「わっ!!」
そのあまりにも刺激的で爆発的な感覚。
「大丈夫。出したくなったら構わず出していいわよ・・・。」
その瞬間。
僕のチン○は彼女の真っ赤に塗られた唇の間に埋まっていった。
「うっ・・・。」
それはあまりにも卑猥な光景だった。
完璧にセットされたヘアスタイル、白い素肌、ちょっとのずれもなく塗られた真紅のルージュ。
そしてその会話のために使われる場所に僕の汚いペ○スが入ってる・・・!
「チュ・・・ん・・・チュプッ。」
絡み合った場所から漏れる音。
こ、これがフェラチオ・・・!き、気持ちいい!
「ん・・ん・・・。」
知らずに喘ぎ声が出てしまう。
彼女が舌を使い、尿道辺りをえぐるように舐めあげると、僕の血液は全てそこに集中するような感覚に襲われた。
わっ、感じすぎる!!
「チュルチュル・・・ングッ・・・。」
オナニーだったらここで止めて様子を見るのだが、身を任せているのでそれは出来ない。
・・・しかし、この人スゴイ。
なんでこんなチン○のこと分かってるんだ!?
「ジュル・・・ジュル・・・ジュルッ・・・。」
というより僕は、女の人のすごさを感じた。
想像してみる。
自分が同じようにチン○をしゃぶれと言われたら・・・出来る訳ない!!!
舐めるのだって出来ないさっ!!!
それなのに、女の人は平気で・・・。同じ生き物?プライドとかないのか!?
「チュプッ・・・チュプッ・・・ふふ。」
その時彼女が僕の目を見て笑った。
まるで挑発するような、それでいて「あなたの物よ」とでも言いたそうなその目つき・・・。
「だ・・・で、出るっ!!」
急に訪れた絶頂を予感してからすぐに僕は大量の精液を噴出させた。
ペ○スはしっかりと真っ赤な唇に食い込んでいる。今、彼女の喉に向かって射精しているんだ・・・。
「あぁ、あぁ・・・。」
あまりに強烈な快感に口から喘ぎが漏れる。
・・・いいのかな?口の中に出して。汚いぞ。
・・・いや、出せ出せ。喉のなかにぶちまけて汚してやれっ!
相反することを考えながら、僕は真っ白な世界へ沈んでいった。
「ただいま・・・。」
「おかえりなさい。お疲れさぁま。」
僕は静香さんの顔を見ずに台所に向かった。
そこにはもろに涎が出そうな料理が置いてあった。
「どうでした?今日は。」
「うん・・・。ちょっと疲れた・・・かな。」
「なんか変なこと言われたり、したんですか?」
僕は静香さんの心配そうな声を聞きながら、行為が終わった後の女性の言葉を思い出していた。
「今不況でしょ。この業界もいろいろ厳しいの。だからって訳じゃないけど・・・もしあなたが望むなら、これぐらいの事きっと、女の人ならしてくれると思うわよ。」
彼女は独特な臭いのする精液を飲み込んだ口でそう言った。
「だって天下の『天海屋』ですもの。身体を使ってでも・・・って、ね。フフ・・・私だけかな?」
・・・・・・・・・。
女ってすごい生き物だ・・・。
そして静香さんも同じ女・・・。
「なんですか?そんなにジッと見て。」
「え?あ、いや・・・。」
僕は無意識にご飯をほおばる静香さんの口を見つめていた。
そう、あそこに僕はチン○を入れていた・・・。静香さんもきっと・・・。
不潔だ、信じられない!という思いと、
もっと女の口の中にぶち込みたい。対等、いや自分以上の女(大多数)にチン○をくわえさせて屈服させたい!という欲望。
う~~~ん。
今はもう、後者の方が強くなっちゃってたりするかな・・・。
「はじめくん・・・?」
「・・・は、はい?」
「野菜も食べなくちゃダメですよ?」
・・・・・・・・・。
完璧キャリアウーマン的なスタイルとは似つかない、庶民的な言葉。
う~ん。やっぱり・・・静香さんは他の女とはちょっと違うような気がするけど・・・?
続く
住まいは隣町の叔父のマンションに移り(こんな近くに住んでいたなんて)、
学校は変わらなくても良かったが、電車で通うことになった。
叔父のマンションは外観も中身も豪華で、いままでのボロアパートとは天と地ほどの違いがあった。
それよりも驚いたのが、叔父の職業だ。
叔父はこの地方でいくつもの店舗を持つ百貨店『天海屋』の社長だ、と言うのだ。
天海屋でいつもごはんの材料を買っていたのに、まさかそこが親戚の店だったなんて・・・。
「・・・なんでいままで連絡とかしてくれなかったの?」
そう聞くと叔父は、
「・・・いろいろあったんだよ、兄貴たちとは。」
と、ニコリともせずに言い、それ以上は答えたくないようだった。
・・・まぁ構わない。これからの生活が保障されただけでも良かった。
「ところで叔父さん。家族の人とかは・・・?」
「家族はいない。私一人だ。」
叔父は独身らしかった。ずっとなのか、別れたのかは聞かないことにした。
「この家は自由に使っていい。食事や金のことは心配しなくていい。」
叔父はここにはあまり帰ってこないらしい。
となると、身の回りの世話はまた自分でやらなくちゃいけない。・・・当たり前か。
「これを渡しとく。なにか困ったことがあったらすぐに電話してこい。」
叔父は僕に携帯電話を渡すと、会社に向かった。
会話もあまりなく、なんとなく恐い印象が残る叔父だったが、やはりどこか信頼感を感じる。
これが血筋か・・・?
学校へ行くともう親父が死んだことは知れ渡っているようだった。人の不幸話は伝わるのが早い。
「おい、吉沢。お前の親父死んだんだって?」
「天海屋の社長に引き取られたんだってな!?」
「なんかおごれよ!」
肉親が死んだ人間に向かって、なんだろうこいつらは。
やはり僕の扱いなんてそんなものか・・・。
「いいよな~。何もしないで貧乏から一気に金持ちだもんな。」
僕はその言葉にはカチンときた。まるで汚いことをして得たようなその言い方!
その声の方を向くと・・・やっぱり武藤だ。
「・・・何見てんだよ。なんか文句あるのかよ。あ?」
「・・・・・・。」
「なぁみんな。知ってるか。こいつ、小学生の時給食の金払えなくて止められた事あんだぜ。ハハッ。」
その下品な笑い声に一緒になって笑うヤツはいなかったが・・・!
その後、昼休みにパンを食べていると、ふと窓の外の天気が気になった。
どんよりした雲行き。今日僕は傘を持ってきていない・・・。
いつもならここで出てくる結論はひとつ。今日の放課後は”雨”だ。
しかし帰り際になっても雨が降ってくるような気配はなかった。
全くどうでもいい、大したことのないこと。
でも、やっぱり・・・ほんの少し運が向いてきているような気がする。
ガチャ
「ふぅ・・・ん?」
マンションに帰ると、玄関に見慣れぬ靴がおいてあった。
ハイヒール。
「あっ、おかえりなさいませ。」
そう言ってパタパタと走ってきたのは紺のスーツ姿の美人・・・。
「?・・・あの・・・どなたですか?」
「初めまして、はじめくん。社長からあなたのお世話を任された、『川合』と申します。」
そう言って彼女はペコリと頭を下げた。
「お世話・・・?」
「あ、お世話は言い過ぎですね。お掃除に洗濯、それに手作りの夕食、などを・・・。」
「はぁ・・・。」
まぁとりあえずそういうことらしい。
聞くとこの川合静香さんは叔父の秘書をしているらしかった。
「でも秘書の仕事をしながらって・・・大丈夫なんですか?」
その静香さんが作った極上の御馳走を食べながら聞いてみた。
ちょっと・・・こんな美人とでは話しにくい。
「はい、ですからここに来られるのは夕方過ぎになってしまいますね。」
「いいんですか?」
「ご心配なく。社長からもはじめくんに精一杯栄養をつけさせてくれって言われています。」
そう言って彼女はクスッと笑った。
・・・・・・。
全く乱れていない綺麗な長い髪と、その黒さと真っ向から反発する白い肌・・・。
それに(失礼だと思ってあまり見なかったけど)高そうなスーツに身を包んだ見事なスタイル・・・。
スカートから伸びる乳白色のストッキングに包まれた足・・・。
いや、待て。あの一際目立つルージュや、それに、う~ん深い色合いの瞳・・・。
まぁ・・・とにかく、今まで、いや今からもきっと”接触”できない人種だろう。(今してるか。)
僕はそんな美女と二人きりで向き合っている空気に耐えられず、大急ぎでご飯をお腹へ入れた。
「はじめくん・・・もっとゆっくり食べないと詰まりますよ?」
「ん・・・ぐふっ・・・大丈夫・・・。」
静香さんの目を見て話せない、早くここから抜け出したい。
それはやはり身分不相応からくる羞恥心なのか?
とりあえず僕は差し出された食事を全てたいらげる事に成功した。
「どうでした?お味の方は。」
「う、うん・・・美味しかったです。ご馳走様でした。」
「いいえ、どういたしまして。」
ものすごくかわいい笑顔で彼女はそう言った。
無意識に僕はデレーッとその笑顔に見入ってしまう。
普段は凛々しい顔をしているのに、喋ると柔和な笑顔に変わる。ただの美人とは違う・・・これが魅力というものだろうか。
「わたしの顔に・・・何か?」
「あっ・・・いえ。」
いかんいかん、何考えてんだ。変な印象もたれちゃったぞ・・・?
静香さんを見ると澄ました顔で僕を見つめている。
・・・何もかもお見通しって目だ。男の事なんて分かり切ってるって目だ。
だいたい人の目をじっと見つめられるなんて、自分に相当の自信を持っているに違いない。
「・・・じゃ、僕は部屋行きます。」
「えっもう、ですか?・・・それじゃわたしも後かたづけしたら帰りますね。」
部屋に入ってしばらくするとドアをノックする音が聞こえた。
「はじめくん、帰ります。おやすみなさい・・・。」
「・・お、おやすみなさい。」
そんな挨拶交わしたこと無いのでちょっと戸惑ったがうまく言えた。
・・・・・・。
25歳くらいだろうか。
きっと彼氏とかいて、男性経験とかも豊富に違いない・・・。
そんな事を思っていると、なぜか少し悔しくなった。
静香さんはそれから毎日夕食を作りに来てくれ、いつしか自然に話せるようにもなった。
このお姉さんは僕のくだらない話やうまく表現できない話なども、まじめに聞いて、返事をしてくれる。
やさしく、やさしく。ときには厳しく。
やっぱり人の扱い、いや男の扱いになれている・・・と思う。
そう思うと、あまり心を開いてはいけない・・・とも思う。
でも、ちゃんとした”普通”の会話もろくにしたことがなかった僕は、次第に静香さんに惹かれるものを感じていた。
素晴らしい容姿、ではなく、性格に惹かれている・・・。
やばいな、そりゃ。マジで彼女のことが好きになったって事じゃないか?
ダメだダメだ!
こんな美人、それも年上の人なんて好きになったって、無駄だ。
僕は小さな頃からつらい目にばかり遭っていたので、傷つきそうなこととかには予防線を張るようにしている。
・・・無駄だぞ・・・無駄・・・あきらめろ!
そんなある日の日曜日。
僕は叔父から呼ばれ『天海屋』の本社に向かった。
その市街地にそびえ立つ建築物は、あの親父の弟が建てたとは思えない代物だった。
び、びるじんぐじゃん・・・これって・・・。
すっごーい。なんじゅっ階もあるぅ・・・。
はたして僕なんかが足を踏み入れていいエリアなのだろうか・・・?
とりあえず受付の女の人に自分の名前を告げてみた。
「はじめさんですね、お待ちしておりました。社長は今、応接室におります。どうぞ、ご案内いたします。」
す、すごい。
スーツ着たお姉さまが僕のために時間を割いて部屋まで案内してくれるって。
「こちらです。どうぞお入りください。」
うぉっ。
真っ赤な絨毯、どでかいソファーがひぃふぅみぃ・・・。なんと。それに奥は一面窓じゃないか・・・!!
・・・疲れる。いちいち驚くのはやめよう。
「良く来たな、はじめ。」
叔父がソファーから立ち上がり、ソファに座るようにジェスチャーした。
「どうだ。新しい生活は。」
叔父と会って話すのは何日ぶりだろう。
初めて会ってからまだ数回しか会話を交わしていない。
「うん・・・満足です・・・。」
「そうか。それは良かった。」
叔父はニコリともせずにそう言った。
しばらく間が空く。
「・・・実ははじめ。今日呼んだのは、お前にしてもらいたい仕事があるんだ。」
「仕事・・・ですか?」
僕はなぜだか背筋が寒くなった。
こんな贅沢な生活をさせておいての頼みなんて・・・悪事!?
「そう緊張しなくてもいい。大した仕事ではない。・・・仕入れを決めて欲しいのだ。」
「仕入れ・・・?」
「そう。商品の仕入れだ。うちに商品を仕入れさせそれを売るかどうか。お前に決めて欲しいのだ。」
「そ、それって・・・重大なことじゃ?」
そこで叔父は煙草を取り出し、火をつけた。
ん・・・なにか叔父さんには似合わない、古びた感じの銘柄だな。
「もちろん、重要なところは任さんよ。衣料品の一部だ。」
「服・・・?」
「うちの店の衣料品はだいたいが店舗を専門店に貸し出しての販売なのだが、多少うちの管理で扱っている物もある。」
「ふぅん・・・。」
「それをやってもらいたい。・・・なぁに簡単だ。ただ、相手先と会って、商品を見、気に入ったなら入れる、気に入らないなら入れない、それだけの事だよ。」
「そ、それだけのことって・・・。」
「気に入らないなら全く入れなくてもいい。・・・全てお前に任せる。」
「そんな・・・いきなり言われても・・・。」
「実を言うと、うちの衣料品は売れ行きが良くない。当然、収支に与える影響も微少だ。だから全面的な見直しを考えているんだが・・・その前に、と思ってな。」
「なぜ僕が?」
「・・・・・・。はじめ。いままで選ばれる側、それも選ばれなかったお前が、勝手に、そして自由に、選んでみるんだ。」
「・・・・・・。」
「やってみろ、大丈夫だ。責任など問うつもりはない。」
相変わらず叔父はニコリともせずに淡々と話す。
僕は叔父の真意が掴めなかった。
こんな大きなデパートの取引。それを高校生の僕が任されるなんて・・・。
確かに話を聞くと簡単そうにも感じるが・・・。
「どうだ?好きにしていいんだ。今までお前が虐げられてきたように。」
選ぶ(選ばれた)側の人間になりたい。
確かにそう思った事はないと言えばウソになる。
だけどいじめられたりした後に思っていたこと。それは・・・。
『あいつらをいつか見返してやる』ではなく、『あいつらのようにはなりたくない』だった・・・。
もし僕が仕入れを任されて好き勝手に、偉そうに決めたら、あいつらと一緒にならないか。
・・・・・・。
どうする・・・はじめ?
でも、これはもしかして、叔父さんの優しさなのか・・・?
「・・・・・・・・・。」
叔父は僕の返事を待って煙草をふかしている。
・・・・・・。
確かに・・・なんだかんだ言っても、僕の意志で自由気ままに決められるなんて・・・とてつもなく魅力的だ。
それに経営に影響があるとかそんなんじゃないみたい。
好き勝手にするんでもない・・・。ちゃんと商品を見て選べばいいんだ。
「・・・やってみたい。」
「そうか。判った。じゃ早速明日からでもやるといい。時間は放課後で構わない。相手がお前に時間を合わせるんだ。」
その後叔父から細かい話を聞き、僕は偉くなったような気分でマンションに帰った。
「ただいま。」
「はじめくん、おかえりなさい。遅かったんですね。」
日曜日にもかかわらず、静香さんは夕食を作りに来てくれていた。
台所の方から美味しそうな香りが漏れてきている。
「うん、叔父さんとの話が長引いちゃって・・・。」
「社長とのお話、ですか?」
「えっ!仕入れを担当・・・ですか?」
僕は一通り今日の叔父との話を聞かせた。
静香さんはその話を叔父から聞いていなかったらしい。
「うん、全部任せるだって。どう思う・・・?」
「・・・そうですねぇ。社長が何を考えているのかは判りませんけど、はじめくんに負担を与えることになりませんか?責任という物がかかってきますよ。」
「それは気にしなくていいって言うんだ。」
「そうは言っても、やっぱり自分が入れた物の売れ行きは気になるでしょう?」
「そりゃあね。」
「それに学生さんですし・・・。相手もまじめに対応してくれるかどうかも・・・。」
「う~ん、そうだよねぇ。・・・・・・。ねぇ静香さん。今まで聞かなかったけど、叔父さんてどんな人なの?」
「はじめくんは社長の事は全然知らないんでしたね。」
「うん。」
「一言で言うと・・・厳しい方ですよ。」
静香さんはそう言ってくすくすと笑った。
「なんかそんな感じするね。笑うことなんかあるのかな。」
「そういえばあまり見たこと無いですね。仕事以外のことを話す事もないですし。」
僕はちょっと嬉しくなった。
叔父さんと静香さんの関係はそんな物なのか。
てっきり愛人か何かなのかなぁとか思ってたから・・・。実はそうかも知れないけど。
「まぁとりあえずやるだけやってみるよ。それでできそうにないならすぐ断って・・・。」
「そうですね。それがいいですよ。・・・あっはじめくん。野菜も食べてくださいね!」
「・・・・・・・・・。」
-優越感、そして-
僕は次の日学校が終わると『天海屋』本社ビルに向かった。
受付の人と顔を合わせると、すぐに「第三応接室」と書かれた部屋に案内された。
「どうぞこちらでお待ちください。」
ずっとにこやかな受付嬢の態度が気持ちいい。
「ふ~ん。ここで交渉するのかな・・・。」
その部屋は奥に飾り物のような机がおいてあり、真ん中に7,8人が座れそうなソファそれにテーブルが置かれている。
壁には抽象画が一枚。左奥にドアがひとつあった。
・・・どこか殺風景に感じる部屋だ。
「ここの奥は何だろう。」
僕は部屋の奥にある扉を開けてみた。
10畳ほどの部屋。
奥に大きな机がデーンと置かれてあり、壁には資料が詰まってそうな本棚、それにこちらにもソファとテーブルがある。
「こっちでも商談するのかな?」
僕はその部屋を出ると、ソファに座って誰かが来るのを待った。
「また叔父さんが来るのかな・・・。」
しかし予想は外れ、50過ぎの小太りのおじさんがやってきた。
「契約の進め方などを・・・と言っても簡単な物なのですが・・・。」
僕はしばらくそのおじさんの言うことを聞いていた。
ふんふん・・・。
何だ・・・本当に簡単だ。単なる口約束に近いものじゃないか・・・。
「・・・それでこの紙を事務室に持っていってくだされば終わりです。」
「本当に僕が自由に選んでいいんですね。」
「はい。そういう社長の命令でございます。」
こんなおじさんに丁寧な言葉で喋られると、ちょっと気が引けるな。
「わ、わかりました。」
小太りのおじさんは今日は一件の業者とだけ会っていただきますと言うと、お辞儀をして部屋を出ていった。
きっと地位のある人に違いない。なんでこんなガキに・・・とかって思ってるんじゃないか・・・。
その時ドアをノックする音が聞こえた。
「今日はマネージャーさんおひとりですか?」
横文字の社名の営業を名乗る女性にそう聞かれると、下を向きながらそうですと答えた。
どうもここの会社はマネージャーというのが責任者の肩書きのようなのだ。
僕もそう名乗るように言われていた・・・がやはり戸惑いがあり、相手の顔を見れない。
「はい・・・そ、それではこちらが納入していただきたい商品なのですが・・・。」
ちょっと訝しく思っているのだろうか、相手もちょっと戸惑いぎみの口調だ。
歳は二十七、八くらい。
赤毛のショートヘア、濃い化粧とスーツに身を固めた姿だがどこか垢抜けてない感じがするなぁ。
いつも静香さんを見ているからか?
しかしものすごく魅力を感じる部分。それは。
す、すごいミニだ・・・。座ったら見えるんじゃないか・・・?
僕はその女性がテーブルに商品のTシャツを並べ終わるのを見ると、白々しく座るように言った。
「あ、どうも・・・。」
やはりまだ僕みたいな少年との対応に戸惑っているらしく、かたーい声色だ。
僕も一緒に向かいのソファに座る・・・。
「み、み、・・・。」
「・・・?」
見える見える見える!いや、見えない見えない見えない!
超ミニスカートから伸びるはち切れそうな太股。そしてスカートと太股によって造られた三角地帯・・・。
あんなに間が開いてるのに、真っ暗だ。くそっ、パンツ見えない。
いや、もしかして黒なのか・・・?
彼女が商品の説明をしている間も僕の意識はずっとスカートの奥に向かっていた。
「いかがでしょうか?」
「えっ?あ・・・はい、そうですね・・・。」
やばいっ!今のは完全に覗いてるのばれちゃったぞ?
初めての仕事なのに何やってんだ僕は・・・。
「う、う~ん。どうかなぁ。ハハッ。」
女性はちょっと怒ったような顔で僕を見つめている。
「・・・・・・。いや、その・・・。」
その時ふと彼女が笑い出した。
「マネージャーさんて、今おいくつなの?」
「えっ?・・・あの17ですが・・・。」
「ウソ!?まだ高校生!?」
「あ、はぁ。まぁ・・・。」
「ふぅん・・・。まさか、バカにしてるとか・・・そんなんじゃないですよね・・・?」
「ち、違います!僕はちゃんとここの社長から・・・。」
僕は詳しく経緯を説明した。
「なるほど。叔父さんが社長さん、ですか・・・。」
「そうです!」
「・・・・・・。」
彼女は何か考えている風だった。
お、怒ってるみたいだけど大丈夫さ。
僕の方が偉いんだ。断ったって、ぜ、全然構わないんだから・・・。
「・・・ねぇ?マネージャーさん。お願いしていいかしら?」
「は!?何をですか!?」
つい声がうわずってしまう。
「あのね。もう一つ商品あるんだけど、それとこれをですね・・・。」
彼女はそこで足を組んだ。否応なく視線は太股に走る。
「両方とも入れてくれないかな。気持ちいいことしてあげる・か・ら。」
き、気持ちいいこと・・・?なんだ・・・!?
性的なことを考えたとたんに、目の前の女性がすごく魅力的に見えてきた。
ゴクリ・・・。
安易だけどここはとにかく・・・。
「そ、そりゃ別にいいですよ?」
「ありがとう!」
そう言って彼女は僕の横のソファに移ってきた。
嗅いだこともないような甘ったるい香水の香り。
僕は全く未知の世界が近づいていることを肌で感じていた。
「で、でも気持ちいい事って・・・。」
「フフ・・・。」
彼女が肩をぶつけ、顔を耳元に近づけてくる。
それだけでも、僕の心臓は破れそうに高鳴っていた。
「震えてる・・・。経験とかあまりないんですか?」
経験なんてそんな・・・。
自慢じゃないけどいままで女の子と喋ったことだってあまりなかったんだから!
「ゴクリ・・・。」
「かわいい・・・。」
彼女はそう言って僕のほっぺたをペロリと舐めてきた。それだけのことなのに全身に電流が流れたような感覚に陥る。
な、な、なにをしてくれるんだ!?
カチャ、カチャ・・・。
彼女は僕のベルトに手をまわし外すと、何の抵抗もなくパンツごとズボンをおろした。
「ひっ!」
物心ついてから初めて性器を女性の前にさらす羞恥に耐えられず、僕は両手でそれを隠した。
だってそれに・・・モロ立ってるし!
「恥ずかしがらないで・・・。」
幼い子に諭すように言って、彼女が手をどけた。
僕はしょうがなくそっぽを向き、恥ずかしさに耐える。
「立派なの持ってるじゃないの。」
そう言いながら、女性らしく繊細な手が僕の起立をなで上げる。
「わっ!!」
そのあまりにも刺激的で爆発的な感覚。
「大丈夫。出したくなったら構わず出していいわよ・・・。」
その瞬間。
僕のチン○は彼女の真っ赤に塗られた唇の間に埋まっていった。
「うっ・・・。」
それはあまりにも卑猥な光景だった。
完璧にセットされたヘアスタイル、白い素肌、ちょっとのずれもなく塗られた真紅のルージュ。
そしてその会話のために使われる場所に僕の汚いペ○スが入ってる・・・!
「チュ・・・ん・・・チュプッ。」
絡み合った場所から漏れる音。
こ、これがフェラチオ・・・!き、気持ちいい!
「ん・・ん・・・。」
知らずに喘ぎ声が出てしまう。
彼女が舌を使い、尿道辺りをえぐるように舐めあげると、僕の血液は全てそこに集中するような感覚に襲われた。
わっ、感じすぎる!!
「チュルチュル・・・ングッ・・・。」
オナニーだったらここで止めて様子を見るのだが、身を任せているのでそれは出来ない。
・・・しかし、この人スゴイ。
なんでこんなチン○のこと分かってるんだ!?
「ジュル・・・ジュル・・・ジュルッ・・・。」
というより僕は、女の人のすごさを感じた。
想像してみる。
自分が同じようにチン○をしゃぶれと言われたら・・・出来る訳ない!!!
舐めるのだって出来ないさっ!!!
それなのに、女の人は平気で・・・。同じ生き物?プライドとかないのか!?
「チュプッ・・・チュプッ・・・ふふ。」
その時彼女が僕の目を見て笑った。
まるで挑発するような、それでいて「あなたの物よ」とでも言いたそうなその目つき・・・。
「だ・・・で、出るっ!!」
急に訪れた絶頂を予感してからすぐに僕は大量の精液を噴出させた。
ペ○スはしっかりと真っ赤な唇に食い込んでいる。今、彼女の喉に向かって射精しているんだ・・・。
「あぁ、あぁ・・・。」
あまりに強烈な快感に口から喘ぎが漏れる。
・・・いいのかな?口の中に出して。汚いぞ。
・・・いや、出せ出せ。喉のなかにぶちまけて汚してやれっ!
相反することを考えながら、僕は真っ白な世界へ沈んでいった。
「ただいま・・・。」
「おかえりなさい。お疲れさぁま。」
僕は静香さんの顔を見ずに台所に向かった。
そこにはもろに涎が出そうな料理が置いてあった。
「どうでした?今日は。」
「うん・・・。ちょっと疲れた・・・かな。」
「なんか変なこと言われたり、したんですか?」
僕は静香さんの心配そうな声を聞きながら、行為が終わった後の女性の言葉を思い出していた。
「今不況でしょ。この業界もいろいろ厳しいの。だからって訳じゃないけど・・・もしあなたが望むなら、これぐらいの事きっと、女の人ならしてくれると思うわよ。」
彼女は独特な臭いのする精液を飲み込んだ口でそう言った。
「だって天下の『天海屋』ですもの。身体を使ってでも・・・って、ね。フフ・・・私だけかな?」
・・・・・・・・・。
女ってすごい生き物だ・・・。
そして静香さんも同じ女・・・。
「なんですか?そんなにジッと見て。」
「え?あ、いや・・・。」
僕は無意識にご飯をほおばる静香さんの口を見つめていた。
そう、あそこに僕はチン○を入れていた・・・。静香さんもきっと・・・。
不潔だ、信じられない!という思いと、
もっと女の口の中にぶち込みたい。対等、いや自分以上の女(大多数)にチン○をくわえさせて屈服させたい!という欲望。
う~~~ん。
今はもう、後者の方が強くなっちゃってたりするかな・・・。
「はじめくん・・・?」
「・・・は、はい?」
「野菜も食べなくちゃダメですよ?」
・・・・・・・・・。
完璧キャリアウーマン的なスタイルとは似つかない、庶民的な言葉。
う~ん。やっぱり・・・静香さんは他の女とはちょっと違うような気がするけど・・・?
続く
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