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小説(転載) 2人だけの奇跡(改訂版)4

近親相姦小説
03 /09 2022
掲載サイト「母親の香り 息子の匂い」は消滅。

 翌朝、男はまりあに街を案内してまわった。 まりあにとってはすべてが新鮮だったし、男はそんなまりあを疑うことなく振舞った。 まりあは男の腕に抱きついて離さなかった。 一晩の契ですべてを許す気持ちになっていた。 これが男の言う奇跡だと思った。 本当に運命というものが存在していたのだと思った。
「メシアって救世主って意味なんでしょ。」
まりあはメシアとの運命的な出会いを証明してみせたかった。
「意味なんて関係ないよ。そんなに大したことのできる人間じゃないしさ。」
「そんなことないわ。私を救ってくれたじゃない。あんたは私の救世主よ。」
そう言った瞬間にまりあは昨夜の話を思い出して後悔していた。
「こんなんじゃ救世主なんて言えないよ。真理ちゃんを助けたのも好きになったからだけだし。」
男は照れながらまりあの言葉を謙遜して受けとめていたが、 まりあは自分よりも男が救っている人間がいることに気がついていた。
「でも、あなたが1番救っているのはお母さんだものね。私の救世主だなんて言ったら失礼よね。」
「母と恋人を比べるやつがどこにいるんだよ。どちらかを選ぶ必要なんかないだろ。」
男はうつむいたままのまりあを抱きしめてささやいた。
「えっ?恋人?」
振り返ったまりあの笑顔が急にはじけた。
「違うのかよ。まだ、友達なのかよ。」
男は笑顔のまりあを見つめながら照れていた。
「ううん。恋人・・・恋人だよ。恋人に決まっているじゃない。」
まりあの声が強気の表情とは裏腹に上ずっていた。
「真理ちゃんの笑顔、かわいいのに・・・もっとちゃんと笑えばいいのに・・・」
男はまりあに見せる笑顔とは裏腹に影のある言い方をした。 まりあは普通に笑っているつもりだったので男の言葉がなにを意味しているのか理解できなかった。 そのときメシアのマルチパットに呼びかけがあった。
「こちらSWN管理センターです。 聖メシア様ご購入のマルチパットの誤配による時間のゆがみが発覚いたしました。 大変申し訳ございません。 修正手続きが完了し次第時間を修正いたします。 なお、人体に異変が生じる心配はありませんが、 時間の修正がおこなわれる際に該当する人物の記憶は消去されます。 ご了承ください。」
「ちょっ・・・ちょっと待って下さい。」
メシアは慌てて質問しようとしたが、すでに通話は切れてしまっていた。 メシアは即座に内容を理解することができたが、まりあにどのように説明すればよいのかわからなかった。 ただ、急がなければならないことは確かだった。かけ直して要求している余裕などないと思われた。
「真理ちゃん、冷静に聞いてくれ。」
「なによ。なに急に深刻な顔してんのよ。」
まりあはまだ浮かれた気持ちのままだった。
「今、マルチパットの管理センターから僕に連絡があって、 誤配による時間のゆがみがあったから修正するって言うんだ。 僕の考えが正しければなにか心当たりがあるだろ。」
「なに?なんのこと?全然意味が分かんないよ。」
「真理ちゃんが住んでた時代とは違う時間にいるんだろってことだよ。」
メシアが真剣な眼差しでまりあを見つめている。
「どうして・・・知ってるの?」
まりあはただうろたえるだけだった。
「今の連絡はその時間のズレを修正するっていうことだったんだ。 つまり、真理ちゃんをもとの時間に戻すってことだよ。」
「そんのイヤ・・・私、戻りたくない。イヤッ!イヤ~!!」
まりあは人目も気にしないでメシアにすがりつき泣き叫んだ。
「真理ちゃん、時間がないんだ。聞いてくれ!僕の話を聞いてくれ!」
「イヤ~!イヤ~!戻るなんてイヤ~!!」
メシアの声はまったくまりあに届かなかった。 メシアは泣き叫ぶまりあにキスをするとまりあを黙らせた。
「いいか、まりあ。よく聞いてくれ。もう時間がないんだ。」
そのときメシアは確かにまりあと呼んでいた。 しかし、まりあにはそのことに気がつく余裕などまったくなかった。 まりあは瞳よりも大粒の涙を流しながら黙って泣き続けた。
「まりあ。時間が戻ったら記憶が消えてしまうんだ。僕のことも忘れてしまうんだ。 全部忘れてしまってもいい。僕のことを忘れてしまってもいい。 でも、必ず僕を産んでくれ!どんなことがあっても生まれてこないことよりも不幸なんてことなんてないんだ。 僕は奇跡で生まれてきたんだ!2人なら奇跡を起こすことができるんだ。2人で作った奇跡なんだ!」
「どういうこと?私が産むってどういうことなの!ちゃんと説明して!」
「いいか、まりあ。絶対に僕を産んでくれ。それだけは、それだけは絶対に忘れないでくれ! たったひとつのお願いだ。神様、たったひとつのお願いだ!ひとつくらい聞いてくれたっていいだろぉ!」
メシアはまりあに説明するよりも、 まりあとの運命的な出会いが奇跡に生まれ変われと祈ることに全力を費やした。
「まりあ!まりあ!」
メシアはまりあに永久の愛情を注ぎ込むように抱きしめた。 まりあは男の渾身の愛情に包まれながら、まりあと呼ばれていることに気がついてハッとした。
「え?・・・どうして私がまりあって・・・」
まりあがすべてを言い終わる前に、もうすでにメシアの腕の中にまりあの姿はなかった。
「まりあぁぁぁ!まりあぁぁぁ!」
メシアは時間を超えるほどの力で人目を気にせずに叫び続けた。 メシアの前に残ったまりあのマルチパットからはメシアからの着信音が鳴っていた。

「あら、この空き箱はなにかしら?」
まりあは自分の部屋で見覚えのない空き箱を見つけて伝票を確認していた。
「なんで?変なの。 送ったのが20年後で着いたのが今日だなんておかしな伝票ねぇ。 しかも内容物のマルチパットってなにかしら。 気味が悪いわね。」
窓から差し込む黄昏の日差しに包まれて、まりあは不思議な優しさと一抹の不安を感じていた。

 

2人だけの奇跡(改訂版)

~~ 完 ~~

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eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。