小説(転載) 続おまたせしました2
近親相姦小説掲載サイト「母親の香り 息子の匂い」は消滅。
クリスマス当日、母は食事の前に美容院に行った。 おかげで僕と家を出る時間をずらすことができた。 これで父にはなにも疑われることはないだろう。 そもそも父には関心のないことなのかもしれないのだが・・・。 待ち合わせ場所はホテルの最寄り駅である。 僕が待ち合わせ時間よりもかなり早く着いたにもかかわらず、母はすでに待っていた。
「ごめん、待たせちゃった。」
僕は慌てて駆け寄った。
「ううん、お母さんが悪いの。 美容院の終わる時間間違えちゃった。」
母は舌を出しておどけてみせた。 僕と2人きりのときの母は若く感じる。 家では絶対に見せないようなしぐさをよくする。
「今日は綺麗だね。」
僕は褒めたつもりだった。
「今日は?今日だけなの?」
母は不満なようだった。 こんなすねたような表情も家では見ることができない。 おそらくこっちの性格が母の本当の性格なのだろう。
「いつも綺麗だよ。今日は特別に綺麗だね。」
僕は恥ずかしげもなく褒め直した。 こんなセリフを母以外の女性に言うことはできないだろう。 僕には母以外の女性に対する免疫がない。
「今日はいつもと違う髪型にしてもらったの。 せっかくなのにいつもと同じじゃつまらないでしょ。」
母は僕に見せつけるようにポーズをとって見せる。 ポーズのとり方にジェネレーションギャップを感じたが、それはそれで母の魅力でもあった。
「もう行きましょ。少しくらい早くても大丈夫よ。」
母は僕をおいてホテルに向かって歩き出した。 僕も慌てて母についていった。 僕は母と手をつないで歩きたかった。 しかし、今までに1度も母と手をつないで歩いたことはない。 誰か知っている人に見られたら言い訳ができない。 いつでも母の荷物持ちのような顔で母の後ろをついて歩くしかなかった。 いつものように母の後姿を見ていると、母の姿がいつもとは違うように感じられた。 髪型だけではない違和感があった。 コートもブーツもいつもと変わらない。 髪型に気をとられていたが、よく見るとバッグがいつもとは違っていた。 いつもなら財布と化粧品くらいしか入らないような小さなバッグを持っているのに、 今日は一回り大きなカバンを持っている。 そのバッグを小脇に抱えて歩いている姿がいつもとは違ったのだ。 でも、なぜいつもとは違う大きなバッグを持っているのだろうか。 その瞬間、昨年のクリスマスにサンタのコスプレをして現れたときの母の表情が頭をよぎった。
「サプライズのプレゼントだ!」
僕は手ぶらの自分に気がついて静かに慌てた。 僕は母にプレゼントをなにも買っていない。 クリスマスと言えばプレゼントだ。 母はなにか僕にプレゼントを準備してるのだ。 そう考えると居ても立ってもいられなくなった。 なぜ気がつかなかったんだ! 母がプレゼントを出してきたときにどんな顔をすればいいのだろうか。 だから「彼女いない歴=年齢」の男はダメなのだ。 僕はこんな情けない自分自身に腹が立った。 刻々と近づくホテルに恐怖した。 そしてホテルに到着した。
「何階なの?」
母がレストランの一覧が表示されているパネルの前で尋ねる。 僕は気が気ではない。
「お店の名前忘れちゃった。フレンチなんだけど・・・」
僕は今すぐにでも帰りたかった。 そして日を改めてやり直したかった。
「どうして肝心なことを忘れちゃうのよ。 もう、こんなときでもダメ息子なんだから。え~っと、フレンチね?」
母は愚痴をこぼしながらも一覧の中からフレンチを探した。
「よかった。フレンチは1件だけだわ。14階ね。」
そう言うとエレベーターを探して歩き出した。 エレベーターはすぐにみつかった。 母は上のボタンを押してエレベーターを待っていた。
「こういうときは お店の名前と連絡先くらいはちゃんとメモして持っておくものよ。」
「はい。ごめんなさい。」
僕は怒られる前から意気消沈していた。 逆らう気など微塵もなかった。 14階に着くとフレンチのお店は目の前にあった。 母はてきぱきとコトを進めていく。 予約の確認をすると、クロークにコートとバッグを預けた。
「あれ?バッグ預けちゃうの?」
僕はあっけにとられた。 僕はなにを悩んでいたのだろうか。 バッグを預けるということは、ここでのプレゼントはないということである。 一安心だった。
「早く上着脱いで預けちゃいなさい。」
母がもたもたしている僕に催促する。 僕も慌てて上着を脱いで預けた。 コートを脱いだ母の姿を見て改めて驚いた。 見たこともないワンピースを着ていて、本当に美しかった。 女はこんなに衣装で変わるものなのだろうか。 対照的にほとんど普段着の自分が恥ずかしくなった。 ちっとも母にふさわしい男ではないと思った。 やはり母は僕にとって高根の花だったのだろうか。 窓際のテーブル席に案内されるまでのあいだ、ずっと母の姿に見とれていた。 こんな母とつきあうことができて幸せだと実感していた。
「いい席ね。ほら、景色がきれいよ。」
母に言われて外を見ると、ちょうど黄昏どきで街がオレンジ色に輝いていた。
「夜景もきれいなんでしょうね。」
母は心なしかウキウキしているように見えた。
「今日のお母さんホントに綺麗だよ。 そのワンピースすごくすごく似合ってるよ。」
僕は席に着くと改めて母を褒めた。
「なに言ってるのよ。そんなこと言ってもなにも出ないわよ。」
母は少し恥ずかしそうにうつむいた。 この母の表情のために生きていると思った。 やはり母は最高だ。 僕の母は最高の母だ。
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