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小説(転載) 蒲柳の母2-2

近親相姦小説
03 /27 2022
掲載サイト「母親の香り 息子の匂い」は消滅。

 夕食後の由布とユッコの会話は由布が話題を決める。 そもそもユッコが話をしたいわけではない。 由布が夕食後にまったりとお茶を飲みながら雑談をしたいだけである。
「ユッコは高校を卒業したらどうしたいの?」
ユッコがまだ高2になった頃の話である。
「まだわからないけど、たぶん大学受験はしないかな。」
これまでにも何度か由布はユッコの意思を確認していた。 そのたびにユッコは由布の自慢話を聞かされていた。
「あら、どうして?短大でも出ておけばだいぶ違うのよ。」
由布は自分が有名女子短大を卒業したことを自慢に思っていた。 ユッコは由布が会話の端々に自慢話を挟むことにうんざりとしていた。
「お母さんはいい短大に受かったからそんなことが言えるのよ。」
ユッコはそんな由布のプライドを傷つけることがないように慎重に言葉を選んだ。 これがユッコが時間をかけて身につけた由布と会話をするときに気をつける処世術だった。 実際、ユッコは短大を出たくらいで高卒と大きな違いがない時代であることくらいは知っていた。 しかし、それを由布に対して主張するつもりはなかった。 無駄ないざこざを招くだけである。
「ユッコだって入れるわよ。頑張ってみなさいよ。」
由布は必ずユッコを励ますが、ユッコにはできないことを知ってもいた。 形だけ母親を演じてユッコと比較することで自分自身のプライドを守り続けたかった。 ユッコが由布のそんな性格に気がついたのは高校に入学してからのことである。 そのときユッコは少しだけ大人になった気がした。 思ったことを感じたままに言葉にしていた中学生の頃とは違うと実感した。
「だって、勉強嫌いだし、浪人とかしたくないし。」
ユッコは否定的な言葉を並べて、とりあえずその場をとりつくろうことに終始した。
「今から頑張ったら大丈夫だって。 お母さんの頃はもっと難しかったのよ。短大だって高卒よりは就職に有利なんだから。」
相変わらず由布の言葉にはさりげなく自慢が含まれている。 もちろんユッコは由布のそんな話し方に慣れていた。 中途半端に争うよりも簡単に負けを認めた方が楽なことも知っていた。
「だって、うちの高校って推薦以外で大学に行ける人ってすごく少ないのよ。 大学に受かってる人たちってほとんどが推薦なんだから。 そのためには学校の成績が良くないとダメなの。私みたいな成績じゃダメなのよ。」
推薦入試が増加して大学入試の状況が昔と変わっていることなど、由布には知る由もなかった。 また、由布は大学入試のことを調べてユッコにアドバイスをするような性格でもなかった。
「どうしてやる前から諦めちゃうのかしら。 ユッコって現実主義よね。誰に似たのかしら?」
由布が現実主義という言葉を正確に理解していたのかどうかは定かではない。 ユッコにとっては知らない言葉だったが、由布が言いたいことだけはなんとなく感じることができた。 ユッコが無難な人生を選ぶことが由布と比べると劣っていると由布は思っているのだろう。 そんなことを考えながらユッコは話題を変えてみた。
「お母さんじゃなかったらお父さんに似たんでしょ。」
ユッコが太一のことを話題に選んだことは本意ではなかった。 ただ、消去法で残っただけだった。
「でも、お父さんは頭はいいのよ。 高専で15歳から寮に入っていたから対人関係には問題があるけれどね。」
由布も太一の口数の少なさや感情を表に出さない性格を疑問には感じていた。 しかし、それは夫婦生活を妨げるようなものではなかった。 由布にとって太一はしっかりと働いて収入さえあればそれで十分だった。 実際、太一は農業が主体の田舎町から高専に合格することができた数少ない優秀な中学生の1人だった。 今でも家族4人が生活するには十分すぎる収入があった。 そういう意味ではユッコが大学進学を希望しても金銭的な問題が発生するわけではなった。
「15歳から寮生活かぁ。私ならもう寮に入ってるってことよね。 なんだか変わった性格になるのもわかる気がするかな。」
ユッコは正直な感想を口にしてみた。
「あなたたちにはわからないかもしれないけど、実直でいい人なのよ。 じゃなかったら結婚なんかしてないわよ。」
「そんなことわかってるわよ。 ただちょっとだけ変わってるなぁって思っているだけよ。」
そんな食卓で交わされている母娘の会話を幹太はリビングでテレビゲームをしながら聞いていた。 しかし、幹太にはユッコの複雑な心境を理解することはできていなかった。
「幹太。いつまでゲームなんかしてるの。 あなた受験生なんでしょ。勉強しなさい。」
由布は一段落ついたところで幹太に声をかけた。
「ほら、幹太。勉強しなさい。」
ユッコは由布の代わりに席を立つと、幹太の背後から声をかけた。
「わかってるよ。もうちょっと待ってよ。」
幹太にとって遠くから声をかけるだけの由布よりも、近づいて圧力をかけるユッコの方を恐れていた。
「わかってるんならすぐにしなさいよ。」
ユッコは幹太の背中にケリを入れた。 ユッコは男勝りの性格で幹太よりも男らしいところがあった。 そして幹太には容赦なく暴力をふるった。 その背後には女は男よりも弱いというごく一般的な言い訳があった。 ユッコがその言い訳に当てはまるのかどうかは怪しかったのだが。
「いてぇなぁ。なにすんだよ。」
振り向いた幹太にはふたたびケリを入れようとしているユッコの姿が目に入った。 幹太は男としての建前上、女であるユッコの暴力に対して暴力で対抗することはできなかった。 ただ一方的に暴力を受ける側にい続けた。
「わかったよ。行くよ、行くよ。」
幹太は観念して部屋に向かった。 なぜか幹太はユッコに弱かった。 実際にケンカをしたら幹太が勝つことは間違いない。 しかし、幹太はユッコの暴力を受け入れて争うことをしなかった。
「わかればよろしい。」
ユッコは満足そうにつぶやいた。 全力で蹴っても壊れない弟がいたことはユッコにとっては幸せなことだった。

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eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。