小説(転載) 蒲柳の母6-3
近親相姦小説掲載サイト「母親の香り 息子の匂い」は消滅。
幹太はユッコに相談をしようと思った。 ユッコなら由布のことを詳しく知っているだろう。 なにか貴重な意見をもらえるかもしれない。 そんな淡い期待を胸にユッコに電話をした。
「もしもし、ユッコ?今、大丈夫?」
「なんなのよ。仕事のあとは疲れてるって言ってるでしょ。 また、お母さんがなにかやらかしたとでも言うの?」
幹太はユッコの機嫌が悪いときに電話をしてしまったと思った。 しかし、引き下がるわけにはいかなかった。
「お母さんの機嫌がいいときってどうやって見分ければいいと思う?」
幹太は早く本題に入ってしまおうと思った。
「お母さんの機嫌がいいとき?そんなこと知らないわよ。 なんでそんなこと聞くのよ。」
ユッコがまともに考えてくれる様子はない。
「夜、お母さんとユッコが話をしているときに、 お母さんがすごく楽しいそうにしているときとかあったでしょ。 そんなときになんかわかりやすい仕草とか、表情とか、そんなのなかった?」
幹太はそのことだけが知りたかった。
「お母さんの機嫌がいいとき? そんなのわかんないわよ。なにかあったの?」
ユッコは今すぐにでも電話を切りたい様子だった。
「お母さんお様子がさ、一時期みたいに悪くはないんだけどさ、よくもないんだよ。 でさ、オレってお母さんの機嫌がいいのか悪いのかわからないからユッコに教えてもらおうと思って、」
幹太の話をさえぎってユッコが話し始めた。
「幹太に言ってもわからないかもしれないけど、 お母さんってよくしゃべるときに右の唇の先が微妙に上がるのよね。こんなのでいい?」
幹太はさすが姉弟だと思った。 同じところをユッコも気がついていたのだ。 これで由布の機嫌がいいときはわかるようになった。 朝の由布は確かに機嫌がよかったのだ。
「そんな微妙なこと、オレにわかるかなぁ?」
幹太はわざと知らないふりをしてみせた。
「今でもときどきお母さん突然切れちゃうんだけど、昔もそんなことあったの?」
幹太は抱きしめる以外の対処法も知りたかった。
「お母さんっていつも愚痴ばっかり言ってたから機嫌がいいときってあんまりなかったけど、 すごく機嫌が悪いとか、切れちゃうことなんかなかったと思うのよねぇ。 突然お茶碗投げたりしちゃうんでしょ。私はそんなこと知らないわよ。」
やはりユッコは見たことがないようだった。
「それでさ、もしユッコだったらそういうときどうやって止めると思う? オレいつも強引に突撃して押さえ込んでいるんだけど、これって逆効果だと思うんだよね。 だって、お母さんって押さえ込まれたらかえって暴れる性格だろ。」
「そうねぇ。自分の思うようにならないことがあると反発はするでしょうねぇ。 でも、暴れてるんでしょ。押さえないと止まらないんじゃないの?」
この件に関してはユッコから有益な情報は得られそうにない。 しかし、機嫌が悪そうだったユッコが優しい言葉遣いで答えてくれると幹太は不思議に思った。 そのとき、電話の向こうで知らない男の声がした。
「いつまで電話してんだよ。続きしようぜ。」
「電話中は黙っててって言ってるでしょ。弟と話をしてるんだから。」
幹太は一瞬だけ話が見えなかった。 しかし、すぐに状況を把握することができた。 最近の電話は性能がすごくよいということである。
「ユッコは男と一緒にいたから言葉遣いが悪くなかったんだ。」
幹太は間違いないと思った。 しかし、ここで「誰かいるの?」などと聞くほど幹太はヤボではない。 この事実をいつどのように使うかはタイミングを待つことにした。 さすがに由布の子である。 ユッコも幹太も確実に由布の性格を継いでいることろがある。
「ユッコはお母さんのこと心配じゃないのかよ。」
幹太は話を広げてみた。
「心配だけど、離れて暮らしていたらどうしようもないでしょ。」
ユッコの答えはいつも同じだ。 積極的に由布を助ける気はないようだった。
「オレだけだと心配なんだよね。」
幹太が話をしているときにも男の声が混じって入ってくる。
「ちょっと、やめてって言ってるでしょ。」
ユッコの声も混じってくる。 ユッコも朝の由布のように男を焦らして楽しむのだろうか。 ふとそんなことが気になった。 しかし、そんなことは知る術がなかった。
「ちょっと、もう切るわよ。」
男がせかすのか、ユッコが我慢できないのか、2人の世界に戻りたいようだった。
「わかったよ。また困ったら電話するから相談に乗ってよね。」
幹太は素直にユッコの時間を邪魔しないことにした。
「また、なにかあったら電話してね。 私だってお母さんのこと心配なんだからね。」
本音か建前かわからないようなことを言ってユッコは電話を切った。 幹太も最低限知りたかったことは知ることができた。 しかし、これで問題がさらに深刻化したことは明らかである。 由布が暴れるようなことがあれば幹太は由布を抱きしめなければならない。 そのときに由布が朝のようなちょっかいを出さないとは限らない。 幹太にとって、由布を守るとはどのような行為を意味するのだろうか。
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