小説(転載) スカートの中の息子1
近親相姦小説掲載サイト「母親の香り 息子の匂い」は消滅。
私には息子が1人いる。 東京の大学に行って1人暮らしをしているのだが、 もう1年半以上も実家に帰ってきていない。 1年生の正月が最後だ。
「男の子なんてそんなもんだろ。」
夫からはつれない返事しか返ってこないが心配ではないのだろうか。 最近は携帯に電話をしても出ないことが多い。 履歴は残っているはずなのに電話を返してくれることもない。 そんなこんなで1年以上まともな会話をしていないと思う。 いくら男の子だとはいえ、私はどうしても心配になってしまったので、息子の顔を見に行くことを決意した。
「今日行くから部屋にいて。」
とある日曜日、私は息子の携帯に短いメールだけを送って早朝に家を出た。 契約のときに行ったことがあるので部屋の場所は知っているのだが、鍵は持っていない。 息子がいなければ部屋に入ることもできないが、 強引に行ってしまえば会えないことはないだろうと考えていた。 私は昔から無茶をする方である。 行動力だけはある。 やらないで後悔するよりも、やって後悔する方を選ぶ性格だった。 しかし、息子からの返事が来ないまま東京駅に着いてしまった。 私は不安になりながらも快速電車に乗り換えた。 どこまでも高いビルが続く風景を眺めながら「やっぱり東京は都会だなぁ」と改めて感心してしまった。 太陽はもうすでに高く昇っている。 いつまでも晴れない私の心とは裏腹に、小春日和の空はどこまでも透き通っていた。 そのとき携帯が震えた。
「無理」
それだけだった。 もうすぐ昼になるというのに今頃になってやっと起きたというのだろうか。 愛想のない息子が遠くに感じた。
「もう東京に着いた。」
私も短文を返した。 有無を言わさず会うつもりだった。 息子にも都合があるのだろうが、たまには親に顔を見せることも必要である。 そんなことを考えながらしばらく息子の返事を待っていたが、 いつまで待っても返事は来ない。
「もうすぐ着くよ。」
待ちきれずに再びメールを送った。 それでも息子から返事は返ってこない。 私は40分ほど乗ったJRの改札を出て私鉄の電車を待っていた。 ホームを駆け抜ける風が少し肌寒かった。
「無理」
息子から2通目のメールが来た。 同じ内容のメールだったので見間違えたのかと思ったが、確かに2通目のメールだった。
「お母さんだって無理。」
最後の電車に乗る前に返事を書いたのだが、返事が来たのは電車に乗ってからだった。
「絶対無理」
もはや息子が駄々をこねているようにしか見えない。 比較的聞き分けのよい息子だと思っていたので、 そこまでして拒否しようとする理由がわからない。
「絶対行く。」
私は強気だった。 息子は私が妥協しない性格だということを知っている。 強気に押せば押し切れると考えていた。
「いまどこ」
ようやく観念したのだろうか。
「私鉄に乗った。」
まるで電報のようなやりとりである。
「降りたら電話して」
面倒な息子である。 もうすぐ着くというのになにを電話で話すというのだろうか。 私は改札を出ると息子の部屋に向かいながら電話をした。
「もしもし」
息子が電話に出た。
「もしもし。お母さんだけど。」
歩きながら少し怒ったように答えた。
「もしもし」
息子は気まずそうである。
「もうすぐ着くからね。」
息子の部屋は駅から10分ほどである。
「ごめん。引っ越した。」
私はあっけにとられた。
「引っ越しったってどういうことよ。」
しばらく間があった。 考えているというよりは、答えにくいという感じだった。 私は歩きながら待った。
「引っ越したってこと。」
答えになっていない。
「保証人はどうしたの?」
私は息子が3年生になっても引っ越さないことをずっと不審に思っていた。 息子の大学は1、2年生のときと3、4年生のときではキャンパスの場所が違う。 それほど離れているわけではないので、通えない距離ではないのだが、 毎日乗り換えをして通うのは面倒であろう。 しかし、引っ越しをするときには親が保証人になることになるので、 引っ越しをしないで通っているのだと思っていた。
「知りあいになってもらった。」
いろいろと理解できない。
「なってもらったってどういうことよ。」
「そんなことより・・・今日は帰って。」
息子はまだ会いたくないようである。
「イヤよ。お母さん帰らないわよ。」
私は断固として譲るつもりはない。
「無理なものは無理。」
一向に話が前に進まない。 そうこうしているうちに息子の部屋に着いてしまった。
「お母さん、着いたんだけど・・・」
そう言ってここには住んでいないことを思い出した。
「だからそこにはいないんだって。」
「ああ、そうだっけ・・・」
これが考えるよりも先に行動する人間の特徴である。 考える前にすでに体が動いている。
「お母さん、どうしたらいいの?」
私は来た道を戻りながら息子を問い詰めた。
「とりあえず、今日は帰って。」
「とりあえずってなによ。お母さん、絶対に帰らないからね。 どこに行けばいいのか教えてちょうだい。」
母親は強いのである。