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小説(転載) 天狗村奇談 サーカスの夜 その7

近親相姦小説
02 /25 2021
掲載サイト「母と少年 禁断の部屋」は消滅。最終話。
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お腹の中のものをすべて出し尽くしたぼくはズルリッ、と肉棒を引き抜いた。
 体力を使い果たしたぼくは腰が抜けたみたいに尻餅を突き、そのまま起きあがれなかった。母も床の上に倒れ込み、荒い息を吐きながらぐったりとしている。
 すると、一つのショーが終わったかのように、賀来や団員達の間から拍手が沸き起こった。見回すと、ロドリゲスだけは別だったが、皆、好意的な顔で手を叩いている。これでぼくもサーカスの仲間になった、とでもいうことなのだろうか・・・。
 引き抜いてしばらくの間も、肉棒は突き立ったままだった。しかし、少しすると風船の空気が抜けるように肉棒は急速に縮んでいき、やがていつもの朝顔のつぼみみたいなオチンチンに戻ってしまった。だが、快感の余韻だけは消えなかった。
 ぼくは、自分は本当にこのままサーカスの一員になり、彼らと一緒に世界中を旅して回るのだろうか、と考えながら改めて団員達を見渡してみた。
 それもいいかもしれない、とも思う。そうすればいつでも、あの気持ちのいいことを母にしてもらえる。しかし、何かが胸に引っかかっていた。さっきのサヨちゃんの言葉だ。
「お願いだから連れていかないで」
 と、サヨちゃんはすがりつくような顔でぼくに言った。あれはどういうことなのだろう。サヨちゃんは永遠に生きられるのに、楽しくはないのだろうか?
 そういえばロドリゲスも、母に少し優しくされただけで死ぬほど喜んでいた。あれはいったい、どういうことなのだろうか・・・。
 ふと、ぼくは思い当たった。永遠の命なんて本当は楽しいものではなく、単に死なないで生きていられる、というだけのことではないのだろうか?
 サヨちゃんはきっと、寂しくて堪らなかったのだ。何も考えずにサーカスについて来たが、村を捨て、両親と別れてしまったことを後になって後悔したのだ。もしかしたらその寂しさは、生きている限り永遠に続くのかもしれない。
 それは、誰からも優しくされず、その醜さを馬鹿にされ続けてきたロドリゲスも同じかもしれない。誰かに愛されたいと願いながら愛されず、悶々としたまま永遠に生き続けるのかもしれない。
 そう考えたとき、ぼくには、外から見ていたときあんなに華やかだったサーカスが、何だかとても物寂しいものに思えてきた。
 サーカスを見にくる観客達は、サーカスが終れば自分の家に帰っていく。自分の家族や生活が根っこのようにその土地にある。しかし、団員達に帰る家はない。
 観客にとってサーカスは一時の夢でしかないが、賀来や団員にとっては、その一時の夢である閉ざされたテントの中が終の住処なのだ。サヨちゃんやロドリゲスは、その住処の中で、これからも永遠に苦しむのだろうか?
 そんな姿を見ながらぼくも一緒に暮らすなんて絶対に嫌だ、と思った。
 そして急に、友達と野山を駆け回ったり、川で遊んだり、縁側でのんびりと寝転んでいた平凡な自分の生活が無性に懐かしく思い出されてきた。
「お母さん、帰ろう、家に帰ろうよ!」
 ぼくは、まだ横たわっていた母にすがりつき、狂ったように叫び上げた。
 夢中だった。何としても母と一緒に家に帰りたいと思った。母は艶めかしく微笑みながら顔を上げ、何か言おうとして口を開きかけたが、ぼくの真剣な表情にはっとしたように目を見開いた。
「お母さん、ねえ、お母さん、帰りたい、ぼく家に帰りたいよ!」
 ぼくの叫び声は、そのうち泣き声に変わった。すると必死の思いが通じたのか、母の顔からは憑き物が落ちたように、みるみる艶めかしさが消えていったのだ。
 やがて母の目に強い意志の色が浮かぶのを、ぼくは見た。
「正一、わかったわ・・・もう、泣かないで」
 母は、優しく微笑みながら立ち上がると、
「賀来様、やはり私は行けません。正一と一緒に家に帰らせて下さい」
 穏やかな声で賀来に告げた。
 ステージの入り口に立っていた賀来は、しばらく無表情で母のことを見詰めていたが、やがて、ゆっくりと近寄ってきた。
「そうか、気が変わってしまったか。おまえの淫乱な願望も、息子の涙にはかなわなかったか」
「はい、その通りです賀来様」
「嫌だという者を無理に連れて行くことはできない。しかし、おまえは大事なことを忘れている。すでにおまえは不老不死なのだ。正一が成長し、年老いて死んでからも生き続けるのだぞ。それでもいいのか」
「はい、覚悟はできています」
 凛とした声で母は答え、賀来ががっくりと肩を落としたように見えた。
「仕方がない。おまえの代わりはまた別のところで捜すことにしよう。二人で家に帰るがいい」
 それを聞いて、ぼくは胸を撫で下ろした。しかし、今度はサヨちゃんが叫び上げた。
「いやーっ、行かないでカズちゃん、私を一人にしないで、お願いよぉ!」
 サヨちゃんは観客席から駆け上がってきて母にしがみついた。
 大泣きするその顔はまさに子供の顔だった。あまりにも哀れで、ぼくは胸が締め付けられる思いだった。
「許して、サヨちゃん。でも約束するわ、私が一人きりになったとき、またこのサーカスに戻ってくるって・・・絶対に戻ってくるから、それまで待っていて、ねっ」
 母の言葉にサヨちゃんは驚き、それからみるみる笑顔になっていった。しかし、ぼくの驚きはサヨちゃん以上だった。母の覚悟とは、そういうことだったのだ。
 声を揃えて指切りげんまんをする二人を見詰めながら、ぼくは何とも言えない気持ちになった。
「賀来様、また戻ってきてもよろしいでしょうか」
「いいだろう。世界中のどこにいても、おまえが戻りたいと念じれば私は感じることができる。そのときには誰かを迎えにやろう」
「はい」
 母とサヨちゃんは手を取り合い、互いに別れの言葉を言い合った。ふと気がつくと、ぼくの後ろにロドリゲスが立っていた。母が家を出るときに着ていた服が、綺麗に折り畳まれてロドリゲスの手に乗せられている。
「ありがとうロドリゲス、あなたも、待っていてくれるの?」
 素早く衣服を身につけながら母が言うと、ロドリゲスは、気持ちの悪い唇を奇妙に歪めて笑った。不細工な小さな目が嬉しそうに輝いているのを見て、ぼくはまたも激しい嫉妬を覚えた。ぼくが年老いて死んだ後、母はまたこのロドリゲスとステージに上がるのだろうか? それも永遠という時の流れの中で・・・。
「では、このまま家に帰ります」
「うむ。待っているぞ、和子」
 賀来と団員達に見送られながら、ぼくと母はテントを後にした。
 しかし、ぼくの心には複雑な感情が渦巻き、もう、無事に帰れることを心から喜べなくなっていた。
 テントから飛び出してきたサヨちゃんが、いつまでも、いつまでも手を振っている。
 来たときと同じように、空には満天の星が輝いていた。

 つぎの日の朝、ぼくが布団の中で目覚めると、家のなかはいつものように何気ない日常が始まっていた。
 母は台所で朝食の用意をしていて、みそ汁の良い香りが漂っている。卓袱台の前に座った父はお茶を飲みながら新聞を読んでいて、祖母は飼っているインコに餌をやっていた。 いつもと何一つ変わらない、おだやかな一日の始まりだった。
「正一、早く顔を洗ってご飯を食べなさい。遅刻するわよ」
 母が、卓袱台におかずの乗った皿を並べながら呼んだ。ぼくは慌てて布団から飛び出して顔を洗った。
 ご飯を食べながら窺うように母の顔を覗き込んでみたが、変わった様子ははない。
「どうしたの正一、お母さんの顔になにかついてる?」
 ぼくの視線に気づき、母がにっこりと微笑んだ。清楚で慎み深いいつもの母の顔だった。夕べの妖しいほどの艶っぽさなど、微塵も残ってはいなかった。
 あれほどオロオロしていた祖母も、目を吊り上げてお酒を飲んでいた父も、穏やかな顔で朝ご飯を食べている。
 そういえば昨夜、テントを後にして歩き出したところから、ぼくの記憶はすっぽりと抜け落ちている。家に帰ったところをぼくはまったく覚えていなかった。
 でも、テントの中で起こったことは夢なんかではない。鮮明に場面を覚えているし、何よりぼくの下腹部には、いまだに母のなかに射精したときの快感の余韻が残っているのだから。きっとこれは、賀来の不思議な力のせいだ。ぼくには、そうとしか思えなかった。
 父はいつものように黙ってご飯を食べ、ぼくより先に家を出て行った。
 しばらくして、ぼくも家を出たのだが、いつものように玄関の外まで一緒に出てきた母に、ぼくは恐る恐る尋ねてみた。
「ねえ、お母さん・・・夕べのこと、覚えている・・・?」
「夕べ? 何かあったかしら・・・」
 母は微笑みながら、首をかしげて見せた。
 覚えていないふりをしているのか、それとも本当に覚えていないのか、ぼくにはわからなかった。
「ううん、何でもないよお母さん。いってきます」
 ぼくは、学校に向かって歩き出した。
 神社の境内にそびえていた黄色いテントは、もう無かった。どうやら、次の公演場所に向けて夜中のうちに出発したらしい。
 振り返ると、家の前で母が手を振っていた。
 頭上には今日も、澄み切って突き抜けるような青い空が広がっていた。
 
 ああ、ようやくすべてを語り終わることができました。 
 話し始めたのは午前中でしたが、もう、すっかり日も暮れてしまいましたね。
 ところであなたは、私の話しをどうお感じになりましたか・・・いえ、無理に信じて下さらなくてもいいのです。もともと信じろと言うほうが無理なのですから。
 それよりも私は、あなたに聞いて頂いたことで、長いこと胸に溜めていたものを一気に吐き出すことができてたいへん満足しているのです。はい、死ぬ前に一度は誰かに話しておきたいと思っていたのです。
 さて、その後のことも話しておきましょう。
 私の母は、あれからどうなったのでしょうか? 残念なことに数年後、あの一連の出来事があってからしばらくして始まった太平洋戦争の最中に、母はアメリカの戦闘機の機銃掃射を受けて死んでしまいました。
 戦局が著しく悪くなった頃、日本には毎日のように爆撃機や戦闘機が飛んでくるようになりましたが、私の村などは通称天狗村と呼ばれるほど山奥にあったので、まず標的地にされることはありませんでした。
 ところが、あれはどこかを攻撃した帰りだったのでしょうか、突然村に飛来した二機の戦闘機が、いきなり機銃を撃ってきたのです。
 村人達は悲鳴を上げて逃げ回りましたが、運悪く逃げ遅れた人が次々に狙われ、体を打ち抜かれてバタバタと倒れていきました。母も、そのとき外にいたのです。母は体に三発も弾を撃ち込まれ、即死してしまいました。
 不老不死の秘薬も、あれだけ体を打ち抜かれては効力を持続できなかったようです。
 ところで、これを言うのはとても勇気のいることなのですが、私は母が亡くなったとき、悲しくて仕方なかったくせに、実は心のどこかでほっ、としてもいたのです。
 と言いますのも、サーカス団が去ってから母が亡くなるまでの間、私はずっと心に不安を持ち続けていました。もし、あの出来事が夢でないならば、母は永遠に生き続け、私が年老いて死んだ後には、サーカスに戻ってしまうのですから・・・。
 遠いどこかの国で、観客に惜しげもなく艶めかしい姿を晒し、なおかつロドリゲスに貫かれる母の姿を想像するのは、私にとって堪えられないほど辛いことでした。
 母は私が死んだ後に、今度はロドリゲスを我が子のように可愛がるのだろうか・・・そんなことを考えると、嫉妬と寂しさで私の胸は張り裂けてしまいそうでした。
 しかし母が死んでしまったことで、私はそのような苦しみから解放されたのです。そして同時に、母は私だけのものになったのです。
 本当はほっとしたというより、私は嬉しかった。そう、嬉しかったのです。
 いまから思えば、母に申し訳ない気持ちでいっぱいでございます。
 戦争が終わった後、私は村を出て就職し、よい伴侶にも巡り会え、子宝にも恵まれました。その間に、祖母も父も亡くなっております。
 現在の私は長男夫婦に引き取られ、都心に近いこの住宅地で暮らしています。
 ほら、見てごらんなさい、道の向こうには水田があり、その向こうには低い山々が連なっているでしょう。なんだか私の生まれ育ったあの天狗村に、景色がそっくりなのでございますよ。
 ここで私は日がな一日、日向ぼっこや散歩をして過ごし、ときおり水田の近くを散歩したりもするのですが、遠くの山などを見ておりますとふっ、と幼い頃の自分に引き戻されることがあります。
 そんなとき私は、山裾の岩影や木々の間の木漏れ日の向こうから、懐かしい母の喘ぎ声がいまでも聞こえてくるような気がして仕方がありません。
 そして、決まって賀来サーカス団のことも思い出します。
 賀来サーカス団は、今でも永遠の旅を続けているのでしょうか。
 サヨちゃんは、私の知らないどこかの国で、母が死んだ事も知らず、母が戻ってくるのを心待ちにしながら、今でも一輪車に乗っているのでしょうか。だとすれば、あまりにも哀れです。
 息子の嫁が呼んでおります。そろそろ終わりにすることといたしましょう。
 ああ、それにしても、すべてを聞いて頂いて本当に良かった。もう、いつお迎えが来ても心残りはございません。ありがとう存じました。
 それでは、気をつけてお帰り下さい。

小説(転載) 天狗村奇談 サーカスの夜 その6

近親相姦小説
02 /25 2021
掲載サイト「母と少年 禁断の部屋」は消滅。
観客となった賀来や団員達に見られながら、ぼくと母の行為は続いていた。
「正一、もう一度横になって・・・」
 肉棒から口を離し、抱え上げていた乳房からも手を離して母が言った。
 必死に肉棒をしゃぶってくれた母の顔は真っ赤に上気していて、唇には唾液が滴っていた。
 うん、と頷きながらぼくは仰向けに横たわった。肉棒も、絡みついた母の唾液でぬらぬらと照り輝いている。
 母が上気した顔に笑みを浮かべながら膝立ちになってぼくの体をまたぎ、上から見下ろしてきた。サーカスで言えば、いよいよクライマックスというところだろうか、ぼくは期待に震えながらしっかりと母と目を合わせた。
 母はいくわよ、いいわね、というように頷いて見せてから体を前に倒し、片手を床について体を支え、もう片方の手を肉棒にそえてきた。
 ぼくの肉棒はおへそにくっつくくらい反り返っていた。母はしっかりと肉棒を掴むとグイッ、とおへそから引きはがすように角度を変え、自分の股間に照準を合わせて尻を下ろしてきた。ぼくは、天にも昇るような気持ちでその瞬間を待った。
 と、先端が熱くヌメリとした母の肉ひだに当たった。当たったかと思うとその柔らかい粘膜を掻き分け、王冠部はヌプヌプと内部にのめり込んでいった。
「うっ、くくっ・・・」
 ぼくは息を詰め、身を震わせながら、じっと肉棒全体が飲み込まれるのを待った。
 母がさらに尻を沈めてくる。
 肉棒がヌル、ヌルッ、と母のなかに呑み込まれていく。母のそこは、ジュクジュクと液が滴るほどに濡れそぼっていた。
 とうとう母が尻を下しきり、肉棒は根本まで突き刺さった。
「あうっ・・・」
 ぼくはあまりの感動と快感に呻き上げていた。
 母の肉穴はジーンと温かった。濡れそぼった粘膜はとろけるように柔らかいが、柔らかいなかにもきつい締めつけがあって、まるで絡みついてくるようだった。
「これからよ、本当に気持ち良くなるのはこれからよ、正一・・・」
 快感に目を白黒させて悶えるぼくを、母はどこか面白そうに見つめながら言い、それからゆっくりと尻を上下させ始めた。
「う、ああっ・・・」
 熱くてヌルッ、とした肉穴が、吸盤のように肉棒に吸いついてきた。
 母が尻を上げると肉棒も一緒に引っられ、反対に母が尻を下ろしてくると、今度はどこまでも深く呑み込まれていく。
 肉棒に、強烈な電流を浴びるような快感が走り、その快感が全身を貫いて、脳天を突き抜けていった。
 母は、ぼくを見据えながら、しだいに尻の動きを早めていった。結合部からはクチュッ、クチュッと嫌らしい音が聞こえてくる。
「気持ちいいでしょう、正一・・・」
「うん、うん!」
 ぼくは叫ぶように返事をするのが精一杯だった。そのくらい、とにかく気持ちが良すぎて、もう堪えられそうになかった。つぎの瞬間にも爆発してしまいそうだった。
 そのとき、母はまたもピタリと動きを止めた。
「ああっ」
 ぼくは、昇り詰めたものが急速に下降していくのを感じながら、これでもう少し快感を味わい続けられる嬉しさと、反面、もう一気に出してしまいような複雑な気分を味わった。 そんなぼくを、母が悪戯っぽい目で見下ろしてきた。
「まだよ、正一。もっと気持ちよくなってからよ」
「う、うん」
「さあ正一、深呼吸して」
 ぼくは何度か深く息を吸い込んだ。
 呼吸が整ってくるとまだ当分は堪えられそうに思えてきた。しかし、擦り合わさず、肉穴にすっぽり包まれているだけの状態でも、ぼくは快感を感じ続けていた。温かい粘膜が微妙に収縮しながら、まるで深海に棲む軟体動物のようにウネウネと砲身に絡みついてくるからだ。
「さあ、もう良さそうね、今度は正一も腰を動かしてごらんなさい」
 母が腰の動きを再開した。ふたたび粘膜が擦れ合い、結合部がクチュッ、クチュッと嫌らしい音を立て始めた。
 母はさっきと同様に、最初はゆっくりしたペースで腰を上下させていた。ぼくも見よう見まねで、下から肉棒を突き上げていった。やがて少しずつリズムが合ってきた。
「・・・そうよ正一、その動きよ・・・わかってきたわね」
 にっこりと微笑む母にリードされながら、ぼくは腰を突き上げた。
 母だけにまかせていたときと違って挿入感が強くなり、より母と深く結びついていくように感じられる。それに、ぼくが腰を突き上げることによって、母も快感を覚え始めたようだ。さっきまで余裕の表情だったのに、今では頬が微妙に強張り、喉から切ない喘ぎ声が漏れている。
「あっ、あうっ・・・うまいわ正一、そのまま、そのまま突いて・・・」
「こう? これでいいの?」
「そうよ、そのまま・・・」
 ぼくはグイグイと肉棒を突き上げていった。母の体がヒクッ、ヒクッと反応し、喘ぎ声も次第に大きくなってきた。
 その時、どう腰を動かせばいいのか理解し、自信もついてきたぼくは、なぜかもっと積極的な体勢で母を貫きたくなってきたのだ。思い切って、ぼくは母に言ってみた。
「お母さん・・・う、後ろからしてみたい・・・」
「まあ、正一」
 母はわざと驚いたように大袈裟に目を丸くし、それから、もちろんいいわよ、というふうに頷いた。
 母は肉棒を引き抜きながら、ゆっくりと体を起こしていった。
 這い上がるように立ち上がったぼくの前で、母は両手を床につき、膝を立ててぼくの方に尻を突き出した。
 白くて重量感のある母のお尻に、ぼくは圧倒されるような迫力を感じた。
「お、お母さん・・・」
「なあに? いいのよ遠慮しなくて。さあ、お母さんのお尻に思いきり突き刺しなさい」
「う、うん」
 ぼくは夢中で頷き、見事な丸みを帯びた母の尻を両手で掴みしめた。意外にひんやりとしていた。ピンと張り切った肌はスベスベで、みっしりと脂肪が乗っている。
 しかも、尻たぼの間からはお尻の穴と肉ひだが剥き出しになっていて、肉ひだは赤く充血し、ヌラヌラと濡れそぼっていた。
 ぼくは尻の割れ目をグッ、と押し開いた。閉じ合わさっていた肉ひだがさらにヌメッ、と広がり、内部の真っ赤な粘膜までが覗き込めた。ぼくはもう目が眩みそうだった。
 ぼくは母の尻にしがみつくようにして挿入する体勢をとった。
 ただでさえ量感をたたえた母の尻は、肉棒だけは大人と同じなのに体は子供のぼくにとって、山によじ登るような大きさがあった。ぼくは両手をいっぱいに伸ばして尻を抱えながら、爪先立ちになって肉棒をあてがった。
 ズブリッ、と肉棒が母の肉穴に突き刺さった。
 真っ赤な粘膜が王冠部の形に丸く広がり、そのままヌプヌプッ、と全体を呑み込んでいった。
「ああっ、あああっ!」
 母の歓喜にも似た喘ぎ声を聞きながら、ぼくは肉棒を根元まで突き刺した。ズンッ、と奥まで達したときには、母を見事に串刺しにしたような爽快感まで込み上げてきた。
「い、いいわ正一、何て、何てたくましいの・・・」
 母がうわずった声を上げ、さあ、早く突いて、と促すように串刺しにされた尻をクナクナと振りたくった。ぼくはすぐに肉棒を突き上げ始めた。    
「ああっ、あっ、正一・・・ああっ」
 母は、突き上げるたびに喘ぎ声を上げ、やがてそれは啜り泣きに変わっていった。ぼくは感無量だった。大好きなお母さんを、ぼくがいま征服しているのだ。
 ちらっ、と観客席を見ると、団員達は固唾を呑んで見詰めている。その中でロドリゲスだけが、まるでこの世の終わりが来たような顔をしていた。見開いた目に、深い悲しみが浮かんでいた。
 しかしぼくは、初めてその容姿を見たときあれほど可哀想だと思い、胸の痛みまで覚えたロドリゲスに対して、もう少しも同情しなかった。
(どうだ、悔しいだろう。さあ、もっと悲しめ、その醜い顔で泣き叫んでみろ!)
 ぼくは心の中でそう叫び、胸がすーっ、とするような気分を味わいながら、激しく母の尻を貫いていった。
「あっ、ああっ・・・正一、正一・・・!」
 母の啜り泣くような声が絶え間なく聞こえてくる。何と甘美な喘ぎ声だろう。ぼくは、もう堪らなかった。下腹部がカーッ、と熱くなり、肉棒がヒクヒクと痙攣するのが自分でもはっきりとわかった。
「ああっ・・・お母さん、ぼく、もう・・・」
 ぼくが思わず悲鳴のような声を上げると、
「いいわ正一、もう、もう出していいわよ!」
 母も叫ぶように答え、肉穴をきゅーっ、と締め付けてきた。
「正一・・・ああ、一緒に・・・一緒に・・・」
 母が、背中をググッ、と反り返らせた。汗でびっしょりになった全身が硬直し、激しく震えている。つぎの瞬間母は、
「あっ、あああー!」
 と叫びながら、ブルブルッ、と下腹部の筋肉を硬直させた。
 肉穴がすごい力で締めつけてきた。
「お母さん! あああっ」
 ぼくも続いて爆発した。
 お腹の中でドロドロとひしめき合っていたものが一気に解放され、溶岩のように噴き上がった。何という快感だろうか。腰がつーんと痺れ切り、そのままとろけてしまいそうだった。
「正一、ああ、正一・・・」
 母がうわごとのようにぼくの名を呼んでいる。ぼくは、ドクドクと吐き出される液が、確実に母の体内に注ぎ込まれていく満足感を噛み締めながら、最後の一滴まで絞り出していった。そして、そのときぼくは、権堂さんやロドリゲス達から母を取り戻したような喜びも覚えていた。そう、ぼくはやっと母を自分の手に取り戻したのだ。

小説(転載) 天狗村奇談 サーカスの夜 その5

近親相姦小説
02 /25 2021
掲載サイト「母と少年 禁断の部屋」は消滅。
さっきまで穏やかだったのに賀来の目は猛禽のように輝いていた。心の底まで射抜いてくるようなその目に、ぼくは震えた。
 賀来はしばらくぼくの目を見つめていた。
 反らすことなどできず、ぼくはその目に吸い込まれてしまいそうだった。やがて賀来は、口元をにやりとほころばせた。
「ほう、君にも心に秘めた願望があったじゃないか。なるほど、町田先生に・・・権堂さんか・・・わかったぞ。正一君、はっきり言おう。君はお母さんにロドリゲスと同じことをしたいと思っているな」
「?」
 ぼくは怒りを覚えた。そんなこと、考えたことも思ったことない。母やぼくに対してすごい侮辱だとさえ思った。
「違う、そんなこと誰が思うもんか!」 
 叫びながらぼくは、ほんの少し得意げな顔になっているのが自分でもわかった。自信に満ちた賀来をやりこめてやれそうだったからだ。しかし、またも賀来は笑った。
「正一君、君はそういう願望を持ちながら自分ではまったく意識していなかったのだよ。だが、間違いなく君は願望をもっている。それをはっきりとわからせてやろう」
 そう言って賀来はぼくの肩を押さえていた手をすーっ、と下におろし、いきなりぼくの股間を掴んだ。
「わっ・・・」
 驚いて声を上げるぼくにかまわず、賀来は口の中でむにゃむにゃと呪文のような言葉を唱え始めた。
「あっ・・・ああ・・・」
 ぼくは叫び上げてしまった。これも何かの術なのだろうか、賀来の手を通して熱いものがぼくの体に入ってきたのだ。まるで真っ赤に焼けた鉄の棒がズブズブと下腹部に突き刺さってくるように熱くて痛い。
 立っていられず、賀来が手を離すと同時に、ぼくは床に這いつくばった。
 お腹の中が抉られているような激痛だ。ぼくは呻き、のたうち回った。でも、それはほんの数秒だった。
 しばらくすると激痛はすーっ、と引いていった。
 下腹部には熱くたぎるような感触だけが残り、つぎの瞬間、その感触が溶岩のようにドロッ、と移動して肉棒に流れこんできたのである。
「ああっ、あーっ」
 ぼくはまたも叫び上げていた。ぼくの股間で信じられないことが起こっていた。オチンチンが、むくむくと膨らんできたのだ。今まで単なる付属物でしかなかったぼくのオチンチンに、神経の束が音を立てて生えてくるような感じだった。
「あっ・・・あああ・・・」
 とうとうぼくのそれはギンギンに固くなってしまった。そして、心臓の鼓動に合わせてズキズキと脈打っている。これは何だ、とぼくは思った。これはもう、肉棒そのものだった。
 そのとき、湖底に沈んでいた木片がぽっかりと水面に浮かび上がるかのように、ぼくの脳裏にある思いが浮かび上がってきたのだ。
 そうだ、確かにぼくは母とやりたいと思っていた。
 教室で町田先生に犯される母を見ながら、ぼくは同じことをしたいと思った。権堂さんに犯される母を見たときも、やはり同じことを思った。まだ夢精もしたことくせに、ぼくは犯されて顔を歪める母の姿に激しく欲情していたのだ。
 もしかしたら、同じことを母にすることで、母を奪い返したかっただけなのかもしれない。だが、理由はどうあれ、ぼくが母とやりたいと思ったのは確かだった。
「これが黒魔術だよ正一君。黒魔術で君の股間を一時的に成長させたのだ。つまり、体は子供でもそこだけは大人と同じというわけだ。だから立派に使い物になる。理性のタガも外しておいたから、背徳的な罪悪感が生じることもない。さあ、立ってズボンを脱ぎなさい。そして、思いっきって心も体も解放してやるんだ」
 ぼくは、恐る恐る立ち上がり、ズボンとパンツを脱ぎ下ろした。
 ぼくの股間で大人のそれのように固く大きくなった肉棒が、ヒクヒクと痙攣している。 でもぼくは、顔から火が出るくらい恥ずかしかった。自分が母にそんな思いを持っていたなんて、いまだに信じられない。呆れ返った母が、おぞましいものを見るような目でぼくを見ていないだろうかと、ぼくは顔を上げることもできなかった。 
 ところが、意外な母の言葉が耳に入ってきたのだ。
「正一、恥ずかしがることなんてないのよ。正一が望んでいるのなら、お母さん喜んで叶えてあげる。さあ、顔を上げて、お母さんを見て」
 はっ、としながら顔を上げると、母は本当に嬉しそうに微笑み、慈愛の籠もった眼差しでぼくを見守っていた。
 うっすらと化粧をし、西洋のドレスを身につけた母は何度見ても妖しいほどに美しかった。母性愛をたたえる切れ長の目。しっとりとした唇。ドレスの下からたっぷりと盛り上がってはち切れんばりに谷間を覗かせている乳房。そのすべてが魅惑的だった。
 本当に理性のタガが外れていたのかもしれない。ぼくは母を見上げながら、妖しい衝動が突き上げてくるのを抑えようもなかった。
「正一、全部脱いじゃいなさい。お母さんも裸になるから・・・サヨちゃん、背中のボタンを外してちょうだい」
 屈み込んだ母の後ろで、サヨちゃんがボタンを外し始めた。プチッ、プチッとボタンが外れるたびに、かって味わったことのない期待と興奮が押し寄せてきて、ぼくの心臓は高鳴った。
 母がドレスの前を広げ、たわな乳房をブルンと剥き出しにした。弾むように揺れる乳房に、ぼくの目は釘付けになってしまった。
 母はドレスをスルスルと下に下ろし、両足を抜き取った。
 ドレスの下には何も着けていなかった。一糸まとわぬ素っ裸の母が、甘い体臭を漂わせながらぼくの目の前に立っているのだ。
 ぼくも上半身を脱ぎ捨てながら、何だか目眩がしてきそうだった。
「横になりなさい」
 母に言われ、ぼくはステージの床に尻を下ろし、そのまま仰向けに横たわった。固くて冷たい床の感触が背中に伝わってきたが、気にもならなかった。
 母は、ぼくの横に膝をそろえて座ると、
「さあ正一、お母さんか教えてあげるわ」
 微笑みながら言って、優しくぼくの頭を抱えて上半身を引き寄せた。
 ぼくの顔の前に、フルフルと揺れる乳房が近づいてくる。乳房の頂点からツン、と突き出しているピンク色の乳首が、色も鮮やかに目の中に飛び込んでくるようだった。
「まあ、こんなに大きくして。しょうのない子ね、正一は・・・」
 肉棒をチラリと見やりながら母は言い、ぼくの頬にそっと唇を押しつけた。唇のしっとりとした感触とともに、母の甘酸っぱい体臭にむうっ、と鼻の奥を刺激され、もうそれだけで、ぼくの体には甘美な陶酔が貫いていった。
 母は何度か頬に口づけしたあと、ぼくの頭をグイッと乳房に引き寄せた。
「あむ・・・」
 豊満な乳房に顔を埋めたとき、ぼくは思わず恍惚としてしまった。それは弾力があるくせに、マシュマロのように柔らかかった。それに、何とも温かい。
「さあ、吸ってもいいのよ・・・」
 母が片方の乳首をあてがってきたので、ぼくは夢中で口に含んだ。プニッとした乳首が気色よかった。ぼくはチューッと、音を立てて吸い上げた。
「あ・・・あう・・・」
 母はどこか切なげに体をよじり、喘ぎ声を漏らしながら、もっと吸いなさい、というように乳房を押しつけてきた。その表情が堪らなくて、ぼくはゾクソグしながら口いっぱいに乳房を含み、夢中で吸い立てた。
 さらに母は、ぼくの手を片方の乳房に添えさせた。
 ぼくはしっかりと乳房を掴み、最初は恐る恐る、やがて思いっきり、まるでつきたてのお餅のように吸い付いてくるそれを揉み上げていった。
 母はそんなぼくの体をいとおしむように強く抱き締めてくる。
 ぼくは痺れるような快感を覚えていた。そして、そのときぼくは、永遠の命というのも、もしかしたら悪くはないかもしれない、などと思い始めていたのだった・・・。

 ふと、気がついて回りに目をやると、いつの間にかステージには、一度切られたスポットライトが当てられていた。しかも、音楽までが流れている。
 ステージ上には母とぼくしかいなくて、解体の準備をしていた団員達は全員観客席に座っていた。
 賀来も、ステージの入り口付近に立ってこちらを見ている。観客となった団員達が、ぼくと母の行為を、一つの演目を鑑賞するように見詰めているのだ。
 そのなかにあのロドリゲスもいた。いまにも泣き出しそうな顔だ。それを見て、ぼくは胸のすくような思いがした。
(いい気味だロドリゲス。これはぼくのお母さんなんだぞ、お前みたいに醜くて気持ちの悪い奴に取られて堪るか!)
 ぼくは心の中でそう叫び、わざと大きな音を立てて乳首を吸い立てた。ロドリゲスの体がビクン、と跳ね上がった。
「ああん・・・」
 甘く喘ぎながら、母はぼくの股間に腕を伸ばしてきた。
 先端に指が触れた途端、ビリッと肉棒に電流が走ったような気がし、ぼくは思わず呻き声を上げた。熱くたぎるような肉棒に、母のひんやりとした指がえも言えず心地良かった。
 母は、しっかりと肉棒を掴み締めてくれた。
 そそり立ったぼくの肉棒は、体は子供なのにそれだけは大人と同じように太く、長くなっている。だから、自分で見ていてもそのアンバランスさがとても変だった。ロドリゲスの顔が、体と較べて大きすぎるのとどこか似ているような気もした。
 そんなぼくの肉棒に、母はしなやかな指を絡みつかせ、シコ、シコ、とゆるゆかに擦り始めた。
「あ・・・うう・・・」
 ぼくは呻き声を洩らしながら、母の指遣いに酔った。
 最初はゆるやかに擦ったり揉みこんだりしていた母の指は、時折力を込めてキュッ、と肉棒を締めつけてきた。そのたびに鋭い快感が全身を貫いた。
「どう、正一、気持ちいいでしょう・・・」
 少し掠れた声で母が聞いてきた。
「うん、うん・・・」
 ぼくは快感に震えながら、やっとのことで返事をした。にっこりと笑い返してくれた母の唇が、いままで感じたことのないほど濡れ濡れとして艶めかしく感じられる。
 密着した母の体からは、何とも甘い体臭が漂い、たわわに突き出した乳房は、母が息をするたびに、ふるふると揺れ動いた。それらすべてに官能を刺激され、早くも爆発寸前になってきたぼくの体は、自然と弓なりに反り返った。
「もう出そうなの正一? でもまだ出しちゃ駄目よ、もっと気持ち良くさせてあげるから我慢して・・・ねっ」
「うん・・・」
 答えながらぼくは、キュッとお尻の穴を締め付けた。さっきからお腹の中では、ドロドロしたものが出口を求めてひしめき合い、快感が高まるたびにビュッ、と漏れてしまいそうになっていたのだ。
 まだ夢精もしたこともないぼくにとってまったく初めての感覚だったが、なぜか、我慢すればもっと気持ち良くなるだろうとわかっていた。これも黒魔術のせいなのだろう。
「正一、立って」
 母は肉棒から手を離し、ぼくの上半身を抱き寄せた。そして、立ち上がったぼくの正面に膝を折って座った。
 ぼくの肉棒は怒ったように天を突き、ヒクヒクと痙攣している。
 まるで作り物を接着したみたいに、見れば見るほどぼくの体とは不釣り合いな肉棒だった。しかし、神経の束はしっかりとぼくの体と繋がっているのだ。
 その肉棒に向けて母が上半身を傾けた。そして、フルフルと揺れ動く巨房を、両手を添えて持ち上げ、谷間に肉棒をはさみこんできたのだ。
「あっ」
 ぼくは驚いて声を上げたが、母は微笑みながら両手で乳房を押しつぶすように肉棒をはさみこみ、その柔らかく弾力のある球体をグニグニと擦り合わせてきた。
「あっ、ああ・・・」
 母がこんなことをしてくれるとは思いもよらなかったので、ぼくはいよいよ驚いたが、指とはまた違う感触にまたも喘ぎ声を漏らしていた。
 うっすらと静脈の浮き出た、白くてタプタプした乳房が、肉棒にしっとりと吸いついてくる。たっぷりとした重さと弾力が微妙に肉棒を締めつけて、えも言えず気持ちがいい。
 それに、いつもは清楚で控えめな母が、恥ずかしげもなく乳房を両手で抱え上げ、揉みつぶしている姿そのものが、実に刺激的だった。
「どう? 正一、気持ちいい?」
 何度もそう聞いてくる母の両目は、切ないくらいに潤んでいた。
「きっ、気持ちいいよ、お母さん・・・」
 母の表情にさらなる刺激を受けながら、ぼくは答えた。すると嬉しそうに顔をほころばせた母はさらに両手に力を入れ、乳房を上半身ごと上下に動かし始めた。
 あまりにも気持ちが良くて、ぼくはお尻の穴を何度も締め付けなけばならなかった。
 と、母が肉棒を挟んだまま、ぴたりと動きを止めた。
 押しつぶされた二つの球体の間からは、皮の剥けたエラの部分がにゅっ、と突き出している。母はその先端をじーっ、と見つめ、それから顔を上げてぼくの目を見つめてきた。
 母の顔は悩ましいくらいに上気していた。その口から漏れた甘く温かい吐息がほーっ、とぼくのお腹に吹きかけられる。
(お母さんは、また何か違うことをしようとしているんだ)
 ぼくは、母の表情を見ながらそう思った。またも期待が高まり、胸がドキドキしてきた。 と、母は口を大きく開け、真珠のような歯を覗かせながらカプッ、と肉棒をくわえ込んだ。
「ああっ、お母さん・・・!」 
 その瞬間ぼくは思わず叫び上げていた。驚きもあったが、それ以上に叫ばずにはいられない快感が走ったのだ。
 しかし、快感に背筋を痺れさせながらも、なぜ、こんなことまでしてくれるのだろうとも思った。だってこれは町田先生や権堂さんに無理矢理にやらされた、母にとっては屈辱的な行為のはずだ。
 しかし、そんな疑問はすぐにどこかに吹き飛んでしまった。信じがたいものもあるが、間違いなくぼくの肉棒は、母の温かい口の中にすっぽりと包まれている。そして口の中の、何という温かさとねとつきだろうか。ヌラヌラした口腔粘膜が唾液でさらに潤っている。そんな中に肉棒がどっぷりと浸される気持ちの良さは、何とも形容のしようがなかった。
 母は上目遣いにぼくを見上げながら唇をすぼめ、カリ首のあたりを締めつけながら舌の腹で王冠部を舐めずってきた。唇の引き締まった感触と、ねとついた舌の感触が堪らなく気持ちいい。
 さらに母は、熱い鼻息を陰毛ごしに下腹部に吹きかけながら、唇をキュッ、と締めつけてきた。そして、乳房の谷間を掻き分けるようにしてズズズッ・・・と砲身を喉奥まで飲み込むと、今度はゆっくりと吐き出していった。
 砲身に快感の渦がまきおこり、ぼくは身を悶えさせた。目の前に火花が弾けるような気持ちの良さなのだ。
 母は、根本まで飲み込んで吐き出すことを何度も繰り返してくれた。そうしながら反応を確かめるように、ときおりぼくを見上げてくるのだが、その情感溢れる表情が堪らなかった。そして母は、いくら唇を嫌らしくすぼめても、その清楚さや気品に陰が落ちることがなく、ますます美しく見えた。
 母は大きく顔を上下させ、ジュポッ、ジュポッ、と湿った音を立てながら肉棒をまんべんなく口で摩擦し続けた。
 ときにはカリ首のあたりに唇を静止させて王冠部をペロペロと舐めまわしたり、ときには唾液の乗った舌の表面をグニグニと押しつけきたりした。
 すべやかで上品な頬が真っ赤に染まりながら、さらに淫らにすぼまっていく。
 それでもやはり、母は少しも嫌らしく見えなかった。

小説(転載) 天狗村奇談 サーカスの夜 その4

近親相姦小説
02 /25 2021
掲載サイト「母と少年 禁断の部屋」は消滅。
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ぼくは星明かりに照らされながら、しばらくのあいだ口を開くことができなかった。ことの重大さに怒りさえも忘れてしまった。
「正一君、お母さんは自分から喜んで秘薬を飲んだのだよ。私達と一緒に行くことも自分の意志で決めたことなんだ」
 長い間を置いてから、賀来は続けた。
「嘘だ・・・そんなこと嘘に決まってる。お母さんに、何かしたんだろう・・・」
 ぼくは、やっとのことで言い返した。
「無理にそうし向けたのではない。私は、君のお母さんの心を開き、心の奥底にある願望を引き出してやった・・・ただ、それだけのことなのだ」
「願望・・・?」
「そう、願望だ。私は中国では気の術を、ドイツでは黒魔術を体得している。何しろ体得するために必要な時間はいくらでもあるからね。気を操れるようになると、触れなくても相手の体や精神をコントロールすることができる。観客にはその力を使ってお母さんと気づかぬよう暗示をかけたのだ。そして私は、君のお母さんの心を解放してやった。君は私が、お母さんと虎を箱の中で入れ替えるマジックを見ていただろう。あのとき私は、言葉を発せずに、今日、一人でここに来るようにと暗示をかけておいたのだ。お母さんはやってきた。私は気の術をかけ、心の底に押し込めていた願望を引き出してやった・・・」
 そこで賀来は、またニヤリと意味ありげに笑った。
「正一君、お母さんが心に秘めた願望とは、いったいどんなことだったと思うかね? お母さんは自分の願望に驚き、驚きながらも喜んでくれた。あらゆる呪縛から解放されたように清々しい気分だと言ってな。どうだ、知りたいだろう?」
 賀来が、どこか勝ち誇ったような目でぼくを見つめていた。
 ぼくはごくり、と唾を飲んだ。さっき見た光景が脳裏に蘇ったからだ。
 ぼくはその先を聞きたくなかった。しかし賀来は憎らしいくらいはっきりと言った。
「君のお母さんは、飢えていたんだ。良い妻、良い母親を淡々とこなしながら、実は心の底に悶々としたものをいつも溜めていたんだよ。つまり男とやりたくて仕方がなかったんだ。きっと、君のお父さんは充分に満足を与えていなかったんだろう」
「う、嘘だ・・・」
「嘘ではない。これは本当のことだ。そこで私は、お母さんのそんな願望を押さえつけていた理性のタガを外してやった。するとどうだ、君も見ただろう、お母さんは、あんなに嬉しそうにロドリゲスと交わったじゃあないか」
「嘘だ、嘘だー」
 ぼくは、泣きそうな声で叫んでいた。
 母がそんな嫌らしい願望を持っていたなんて信じたくなかった。しかし、歓喜に満ちた母の顔が、ぼくの脳裏でますます大写しになっていく。ぼくは、胸を掻きむしりたくなるような思いにとらわれた。
「正一君、嘘か本当か、直接お母さんに聞いてみるといい。どれ、最後の公演もそろそろ終わる時間が近づいてきた。君も一緒に来たまえ」
 賀来は御影石から立ち上がり、ぼくの手を取ってテントに戻り始めた。ぼくは引きずられるよう一緒に歩いて行くしかなかった。
 賀来はテントをぐるりと回った。入場口の反対側には虎の入った檻があり、サーカスのテントとは別に小さなテントがいくつか張ってあった。きっと団員達の宿舎なのだろう。
 ステージに直結して張られたテントに入って行くと、ひしめくように待機していた団員達が、いっせいに振り返った。
 空中ブランコの女性達に、一輪車の少女達。曲芸の筋骨たくましい青年達に、ピエロとロドリゲス。その他、見習い兼雑用と思われる少年少女達。異国の、不老不死のサーカスの団員が、ある者は無表情に、ある者は好意的な笑みを浮かべてぼくを見つめていた。
 そのなかには、母の姿もあった。母はすでに着替えていたが、身に纏っていたのは西洋のドレスだった。もともと艶やかで高貴な感じのするドレスだったが、母が身に着けると東洋的な雰囲気も加わって、アランビアンナイトに出てくるどこかの国のお后様のように見えた。
 母が、ぼくに向かってにこにこと笑いかけている。
 ぼくは泣きそうになってしまった。もしかしたらもう会えないかもしれないと思っていた母とやっと会えた。そして、母とはまだ絆がつながっている。そのことが心の底から嬉しかったのだ。
「賀来様、ちょうど今、最後の演目が終わったところです」
 曲芸の男が、うやうやしく賀来に告げた。
「ちょっと待っていなさい、お客様に挨拶をしてくるから」
 賀来がぼくの耳元でそう言ったとき、幕が開いて強烈なライトの光が差し込んできた。拍手と歓声の渦巻くなかを、賀来を先頭に、母を含めた団員達が全員ステージに出て行った。
 ステージにずらりと整列した団員を背にして、賀来は最後の口上を述べ始めた。
「おかげさまにて、賀来サーカス団の公演は本日をもって無事終了いたしました。厚く御礼申し上げます・・・私共は明日からまた村から村、町から町へと移動してまいります。もしかすれば再びおめにかかることもございましょう。そのときにはまた、懐かしく思い出して頂き、ぜひとも足をお運び下さい。それではお別れです。気をつけてお帰り下さいませ」
 賀来と団員がいっせいに頭を下げると、テント内は再び拍手と歓声に包まれた。そして、立ち上がった観客達は列をなして出口に向かって行った。
 ぼくは慌てて袖口から顔を出し、観客の顔を見渡した。やはり知っている人が何人もいた。親戚のおじさんもいる。ステージに上がっていたのが母だとは気づかず、誰もが息を飲み、興奮して見つめていたのだ。
(もし賀来が気の術だとかで母だとわからないようにしていなかったら、いったいどうなっていただろうか・・・)
 そう思い、ぼくはまたもゾッ、とした。
 やがて観客が一人残らず家に帰って行くと、祭りの後の静けさのようにテントの中は急に静まり返ってしまった。
 誰もいない観客席を、裸電球の明かりが何ともうら寂しく照らし出している。
「さて諸君、今夜もごくろうだった」
 賀来は団員達に振り返って言い、軽く頭を下げた。団員達もいっせいに頭を下げる。
「いよいよ明日はつぎの予定地に向けて出発だ。休む前にテントを畳む準備をしておいてくれ」
 はいっ、と息の合った返事を返すと、団員達はテントのあちこちに散らばって行った。「おっと、和子はこっちに来なさい。それと正一君・・・君もここへ来るんだ」
 空中ブランコの女性達がブランコを外そうと天幕に登って行ったり、その他の団員がイスを畳んだり裸電球を外したりするなかを、ぼくはおずおずとステージに向かって歩いて行った。
 母もぼくの方を見ながら賀来の側に歩み寄った。
 ぼくの胸には、やっと母と対面できた嬉しさが込み上げていた。しかしそれとは別に今にも崖から突き落とされそうな、恐怖にも似た感情も込み上げていた。
 賀来に「和子」と呼び捨てにされたのに嫌な顔もせずに従う母は、本当にサーカスの一員なることを決意しているのだろうか? すでに不老不死の秘薬を飲んでしまったという賀来の言葉は、本当に本当なのだろうか? 
 ぼくと母は、互いに再会の喜びに身を震わせながらステージの中央で向き合った。
 ほんの少し会えなかっただけなのに、涙が出そうなくらい懐かしい思いがした。母も同じ思いなのか、目が潤んでいた。
「よかったな和子。おまえが唯一気がかりだった正一は、お前を捜しにテントに入ってきてしまった。おまえのステージを見た以上、正一も一緒に連れて行くしかなくなったぞ」
 賀来が母に言った。母は、心から嬉しそうに顔をほころばせ、
「ああっ、正一」
 と感極まった声を上げ、ぼくを抱き締めた。
 母の甘い体臭に包まれ、ぼくは一瞬何もかも忘れて深い安堵感を覚えた。だが、すぐに感情が込み上げてきて、ぼくは喉を詰まらせながら言った。
「お、お母さん・・・一緒に家に帰ろうよ、帰って今までどおり暮らそうよ。ぼく、不老不死なんてなりたくない・・・お母さんのあんな姿をずっと見続けるなんて、ぼく嫌だよ、ぜったいに嫌だよ!」
「正一・・・賀来様に話しは聞いているのね。それなら、はっきり言うわ。よく聞いて正一・・・お母さんもう家に帰る気はないの。賀来様について行くことに決めたのよ。でも正一も一緒に来てくれるなんて本当によかったわ。お母さんと一緒に世界中を旅しましょうよ」
「お、お母さん、本気で言っているの? ぼ、ぼくは行きたくない・・・それにお母さんがいなくなったらお婆ちゃんやお父さんはどうなるの? すごく悲しむよ」
「大丈夫。最初は悲しんでもそのうちに忘れるに決まってるわ、そういう人達だもの。でも正一は違う。きっといつまでも悲しんでいると思うわ。だから正一のことだけは心配で堪らなかったのよ」
「どうしちゃったのお母さん、そんなことないよ、お父さんだってきっといつまでもお母さんのことを忘れられないよ、もしかしたら死んじゃうかもしれないよ・・・だから、だから帰ろうよ」
「ねえ正一・・・」
 ぼくははっ、とした。言葉をくぎりぼくをじーっ、と見つめた母の目がきらきらと輝いている。ぼくは、母に何か強い意志を感じとった。
「正一も賀来様に心を開放してもらいなさい。そうすればそんな小さなことはどうでも良くなるわ。そして、きっと永遠の旅に出たくなる・・・サヨちゃん、ちょっとこっちへいらっしゃい、サヨちゃん」
 母に呼ばれ、一輪車の少女がこちらに歩いてきた。
「ほら、紹介するわ。神隠しにあったと思っていた、私の幼なじみのサヨちゃんよ」
 立ち上がった母がサヨちゃんの背を押すようにして、ぼくと引き合わせた。
 ぼくと向き合ったサヨちゃんは、ぼくと同じ子供の姿なのに、その顔には大人のように不複雑な表情がこびりついていた。
「お母さんが子供の頃に村にもサーカスが来たって言ったでしょう。あれは、やはりこの賀来サーカス団だったのよ。でも、サヨちゃんはさらわれたんじゃないの。自分から行きたいって賀来様に言ったのよ。ね、サヨちゃん」
「そう、私は生まれて初めてサーカスを見て夢中になったの・・・それで賀来様に一緒に連れてっと頼んだわ。賀来様は快く承知して下さり、私を連れていってくれた。一輪車も教えて下さったし、不老不死の秘薬も飲ませて下さったわ・・・」
 長い間があいて、ぼくはサヨちゃんのつぎの言葉を待った。しかし、サヨちゃんはなぜか思い詰めたような顔になって、そのまま黙ってしまった。母がサヨちゃんの肩に手を置きながら続けた。
「ねっ、おまえと同じくらいの年頃の子もいるの。だから、きっと寂しくなんかないわよ。みんなでサーカスをしながら、毎日楽しく暮らしていきましょうよ、ねっ、正一」
「だ、だけどお母さん・・・年で言ったら、この子もお母さんと同じくらいの年じゃないか、ぼくとは違うよ・・・」
「でも正一、二十年や三十年の年の差なんて、永遠の時間のなかでは何の意味もないことなのよ」 
 ぼくはえっ? と母の顔を見つめ直してしまった。
 母はもう、完全に賀来サーカス団の一員になりきっている。この村にも、父や祖母にも未練はないのだ。ぼくは、へなへなと体中の力が抜けるような気がした。
 そのとき思い詰めた顔でじーっ、とぼくを見つめていたサヨちゃんが口を開いた。
「お願いだから、カズちゃんを連れていかないで! やっと幼なじみと会えたのに、また別れるなんていや・・・それにあんたなんかお母さんと一緒に行けるからいいわ。私なんか、私なんか・・・」
「・・・」
 急に泣きそうになったサヨちゃんは黙り込み、今度も最後まで言わなかった。
 ぼくは、何か変だと思った。母は、永遠というものをとても素晴らしいことのように言ったが、ぼくにはサヨちゃんが、何だか疲れ果てているようにも感じられたのだ。
「心配しなくていいわ、サヨちゃん。私はあなたと一緒に行く。きっと行くから安心して」 母の言葉に、サヨちゃんは顔を上げて嬉しそうに笑った。
「賀来様お願いします、この子の心も解放してやって下さい」
 賀来に向かって、母が言った。
 三人のやりとりを少し離れて見詰めていた賀来が、こっちに歩いてきた。ぼくは思わず後ずさったが、肩を押さえつけられてしまった。
「さあ、私の目を見なさい。心を解放してしまえば、世の中のつまらない決まり事や、しがらみからもいっさい解放される。我々とともに新しい世界に行きたくなってくる。さあ、見なさい」
 そう言って賀来は、ぼくの目を覗き込んできた。

小説(転載) 天狗村奇談 サーカスの夜 その3

近親相姦小説
02 /25 2021
掲載サイト「母と少年 禁断の部屋」は消滅。
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なんと、ステージに登場した母が身につけていたのは、今でいうレオタードだった。
 肌にぴったりと張り付いた真っ赤なレオタード。それだけでもギョッとしてしまうのに、胸の部分には二つの穴が開けられていて、両の乳房がブルンと飛び出しているのである。
 下腹部の方も丸く切り取られていて、陰毛が丸見えになっている。これではもし足を広げたら股間も丸見えになってしまうだろう。
 全裸よりもよっぽど卑猥で恥ずかしい母の姿だった。
 そんな母を遠くから見つめながら、ぼくの体はブルブルと震えていた。何がなんだか、わけがわからなかった。なぜ、母はここにいるのだ。しかもあんな格好で・・・。
 しかも母は、少しもたじろいてはいなかった。乳房を弾ませ、尻をクナクナと揺すりながらステージの中央に立ち、艶っぽく微笑みながら観客を見回している。まるで媚びを売っているようなその笑顔が異様だった。
 そして、薄化粧をし、両目をキラキラと輝かせている母は、なぜか息を飲むほどに美しく艶やかだった。母のこんな表情を、ぼくは今まで見たことがない。
 さらに驚いたのは、母の持っている一輪車のサドルに、肉棒をかたどった太い筒が突き立っていたことである。サドルを跨ぐとしたら、母はその筒を体内いっぱいに飲み込まなければならない。
 母は一輪車を下に置き、サドルを跨ごうと片足を上げた。
 太股が大きく開き、肉ひだが丸見えになった。
 ぬめりと口を広げた肉ひだの中心部に筒の先端をあてがい、母はそのまま尻を下ろしていった。色も形も見るからに本物そっくりに作られた筒が、母の肉穴にズブズブと沈み込んでいく。
 観客の目を釘付けにしながら、母は重量感のある尻をサドルに下ろしきり、ほーっ、と息を吐いた。そのまま、両足をペダルにかけて一輪車をこぎ始めると、テントの中は大きくどよめいた。
 母は、けっこううまく一輪車を操っていた。太い筒を下腹部いっぱいに呑み込んだまま、ステージの上をグルグル回っているのである。
 それでも、夕べの女の子達の演技に較べるとにわか仕込みの感はぬぐえず、バランスを取るために体が大きく揺れ動いている。尻がときおりサドルから持ち上がり、そのたびに筒をくわえ込んだ肉穴が垣間見えた。そんな母を見つめながら、ぼくは体が震えて仕方なかった。
 母がステージの上を一周し終わった頃、幕が開いてなぜかピエロが登場した。その後ろから、あのロドリゲスもついてきた。
 小人男ロドリゲスの姿は、何度見ても慣れない。手足が短くてブヨブヨ太った体は醜悪そのものだったし、唾液に濡れた分厚い唇は、大きなナメクジのようで気持ちが悪かった。
 ピエロはステージの中央に立って母を指さし、ロドリゲスに向かってジェスチャーで追いかけろと指図している。追いかけて、突き飛ばせ、という動作のあと、ピエロは両手で尻を抱える格好をし、腰をヘコヘコと動かして見せた。
 観客は「おおーっ」と歓声を上げたが、ぼくの体はさらに激しく震え出した。
 卑屈な顔でオドオドしていたロドリゲスが、猛然と母に向かって走り出した。その目がギラギラ輝いている。
 母はロドリゲスに気づくとハッ、とした表情になり、あまりうまくない一輪車のペダルを必死にこぎ始めた。しかし、母の顔に嫌悪感は浮かんでいなかった。必死にこぎながらも、艶っぽい笑みがこぼれている。まるで早く追いついてみなさい、とロドリゲスを誘っているようだ。
 短い足で母を追うロドリゲスの姿は滑稽だったが、本人は必死なのだ。その必死さがまたも観客の歪んだ笑いを誘っている。
 一方、あまりうまくないながらも、母はタイミングよく何度も方向転換し、レオタードからこぼれ出た巨乳をたぷたぷと揺らしながら、ロドリゲスの突進をかわしている。
 奇妙な追いかけっこは、観客の喝采を浴びながらしばらくの間続いたが、やがてロドリゲスが全力で母に体当たりして終わった。
 母は一輪車ごと宙を舞うようにドスンとステージの上に落ちた。同時に体が一輪車から離れ、股間に突き刺さっていた筒がズボッと抜け落ちた。痛そうに顔をしかめた母を見て、ぼくは心臓が縮む思いがした。
 しかし、観客の目は開げられた母の股間にいっせいに注がれている。ぬめりと開いた肉ひだが、スポットライトを浴びて照り輝いていたのである。
 ロドリゲスは、もう堪らないというように母に飛びついていった。
 醜くて大きな顔に短い手足、ブヨブヨとたるんだ胴体のロドリゲスが、まるで大きな芋虫のように見える。その醜悪な芋虫に、母がのしかかられてしまった。だが、母は優しくロドリゲスを抱き止め、愛おしそうに頭や顔を両手で撫でまわし始めたのである。
 ロドリゲスは幸せそうだった。ピエロにいじめられてばかりで、今まで誰かにこんなに優しくされたことはなかったのだろう。
 母はロドリゲスの目を見つめ、いいのよ、とでもいうように頷いた。ロドリゲスは気持ちの悪い唇をニッと歪めて体を起こし、母の股間の前に屈み込んだ。
 母は大きく足を広げ、さあいらっしゃいと手招きしている。
(ああっ、や、やめて)
 ぼくは心の中で叫んでいた。しかし、ロドリゲスはためらうことなく短い腕を母の股間に伸ばしていった。
 ロドリゲスが肉ひだを左右に割り広げると、内部のいく層にもくびれた真っ赤な粘膜が露出した。ロドリゲスは指先を粘膜の中に差し込み、たぐり上げるように肉穴を広げ、そして、鍵穴を覗きこむように細めた目を近づけた。
 母の内臓までが、ロドリゲスに覗き込まれているような気がした。
 しかし母は、優しくロドリゲスを見守りながら、
「あ・・ああん・・・」
 と、熱い吐息を漏らしている。
 母はいったいどうなってしまったのだろう、とぼくは思った。
 ロドリゲスが、粘膜の中心に人指し指を突き立てた。粘膜がひしゃげ、ズブッと指が埋没した。きつくすぼまった肉穴が、ロドリゲスの指をきゅうっ、と締めつけている。
「ああっ、あああっ・・・」
 母は熱い吐息を漏らし続けている。やがて指を抜いたロドリゲスは、母の肉ひだに涎のしたたるナメクジのような唇をあてがった。チューチューと吸ってから、今度は真っ赤な舌でペロペロと舐め始めた。
 こんな醜悪な小人男に舐められ、普通なら吐き気さえ催しそうなものなのに、母は逆にうっとりとした顔で、しかも愛おしそうにロドリゲスの頭を撫でいる。
 ロドリゲスの舌は異様に長くて、先のほうが爬虫類のようにとがっていた。その舌でロドリゲスは肉ひだをえぐるように舐め上げ、ときに肉穴に突き刺すようにのめり込ませた。そのたびに、母の白い太股はひくひくと反応を示すのだった。
 満員の観客は、静まり返っていた。
 誰もが身を乗り出し、息を飲んで見詰めている。
 と、ロドリゲスは肉ひだから顔を離し、なぜか泣き出しそうな顔になって母を見上げた。
 どうしてあんな表情で母を見上げたのか、ぼくにはわからなかった。母は少しも嫌がっていないのだから、そのまま一気にのしかかってしまえばいいのだ。それなのに、なぜ改めて許しを乞うような目で母を見たのだろう。
 母はにっこりと笑い、母性愛のこもった優しい眼差しをロドリゲスに向けた。そして醜いわが子を哀れみ、愛おしむように、ロドリゲスの唇にキスをしたのだ。
 ロドリゲスは一瞬身震いし、泣き笑いのような表情になって母を見上げた。
 そのとき、ぼくにはわかった。ロドリゲスは、母に何度でも優しく微笑んでほしかったのだ。
 きっと、その醜くさのために誰からも愛されたことも優しくされたこともなかっただろうロドリゲスは、母の愛情深い性格に気づいていたのだ。母ならば、こんな自分でも温かく包み込んでくれるのではないかと、切ない願いを込めて哀願したのに違いなかった。
 母は、ますます優しい目で見詰めながら、起き上がってロドリゲスの体を抱き締めた。そのあと、腕を伸ばしてロドリゲスの腰のものを外していった。
 おおーっ、と歓声が上がるほど太いものがロドリゲスの股間から現れた。母は(まあっ、立派よ)とでもいうように微笑みかけ、握りしめてシコシコと擦り始めた。
 ロドリゲスが気持ち良さそうに目を閉じ、ヒクヒクと体を震わせている。
 母は肉棒を擦りながら再び仰向けになり、ロドリゲスを誘うように両足を大きく開いていった。
 ロドリゲスが母に覆いかぶさった。
 ライトを浴びた肉棒が、ぬめぬめと黒光りしながらズブズブと母の中に沈んでいく。
 根元まで押し込むと、ロドリゲスはいきなり激しく腰を突き上げ始めた。しかも、母と目を合わせ、顔をほころばせながら・・・。
 そのときぼくは、込み上げてくる嫉妬の炎に体を焼かれてしまいそうだった。
 どうして母は、あんな吐き気を催すほど醜いロドリゲスを、愛情の籠もった顔で受け入れているのだろう、もう、ぼくのことを忘れてしまったのだろうか・・・
 観客達の熱い視線を浴びながら、母とロドリゲスはまるで恋人同士のように抱き合い、体を打ち付け合っている。しかも二人の顔は、とろけるような歓喜に満ちていた。
 やがて、ロドリゲスの腰の動きがさらに早くなり、母の喉からは「ああっ、ああっ」という悩ましく切羽詰まった喘ぎ声が噴き上がってきた。
 ぼくは嫉妬に狂い、胸を掻きむしりながら、昇り詰めていく二人を見続けるしかなかった。そしてついに、二人は絶頂を迎えたのだ。
 母も、ロドリゲスも、全身をブルブル震わせていた。ロドリゲスは獣のような呻き声を上げ、母はすすり泣くような喘ぎ声を噴き上げている。
 ぼくには、母とロドリゲスが身も心も一つに溶け合ったように見えた。
 
 母とロドリゲスが退場したあとも、ぼくは呆然とその場に屈み込んでいた。
 胸の中が、嫉妬で焼け焦げてしまいそうだった。
 ステージでは最後の演目が始まっていた。三人の女性達による空中ブランコだ。見事に引き締まった身体がしなやかに空中で交差している。
 テントの中はあいかわらずサーカスの熱気に包まれていたが、さっきまでの淫らな雰囲気は跡形もなくなっている。
 あれはいったい、何だったのだろう? ぼくは夢でも見ていたのだろうか、と頭の中がますます混乱し、ぼくはもうどうしたらいいかわからなかった。
 と、背後に気配を感じてぼくは振り返った。すると、そこには賀来が立っていてじーっ、とぼくを見下ろしていた。賀来の冷ややかな目を見た瞬間、やはりあれは夢ではなかったのだとぼくは悟った。
「正一君、今日は子供は入れない日だったんだよ」
 賀来が言った。
「・・・」
 ぼくは返事をせず、ありったけの憎悪を込めて賀来を睨みつけた。
「お、お母さんに何をしたんだ!」 
 ぼくは叫び、つぎの瞬間賀来に飛びかかっていた。
 自分でも驚いたが、あれほど誰かが憎いと思ったのは生まれて初めてだった。とにかく、この手で賀来を殴ってやりたかった。
 しかし振り回した拳は賀来には当たらなかった。賀来はふわりと身をよじって拳をよけ、両手でぼくを捕まえた。そのままぼくは抱き上げられてしまった。
「は、離せ、ちきしょう!」
「静かに・・・正一君、ほかのお客様の迷惑になるだろう」
 賀来の声にはうむを言わせぬような威圧感があって、ぼくはたじろいだ。
「正一君、どうして来てしまったんだ・・・見てしまった以上、君ももう家には帰れないぞ」
 賀来はそう小声で言った。
「ど、どういう意味だよ!」
 ぼくがまた叫ぶと、近くの観客が数人振り返った。賀来はさっとぼくの口を押さえた。
「これからわけを話してやるからとにかく静かにしたまえ、お客様の迷惑になる」
 賀来は、ぼくを抱いたまま観客席から離れると、入場口からテントの外に出た。
 テントから少し離れたところにぼくを下ろし、賀来は境内に置かれている御影石の上に腰を下ろした。
「君も座りたまえ、ここなら大きな声を出しても迷惑になるまい。さあ、座りなさい」
 ぼくは座る気にはならず、立ったまま賀来を睨みつけていた。
 テントの中からは「おー」という歓声や拍手の音が聞こえてくる。
 空には相変わらず満天の星が輝き、辺りの草むらを薄青く照らし出していた。
「では、このまま話そう・・・」
 虫の音が響くなかで、賀来は話し始めた。
「正一君、君のお母さんは今日から賀来サーカス団の一員になったのだよ。そして、見てしまったからには君も一員になってもらう。君もお母さんも、我々と永遠の旅に出るのだ」
「永遠の・・・旅?」
 ぼくは一瞬怒りも忘れて賀来の顔を見詰めた。あまりにも突飛な話しなので冗談かと思ったのだ。しかし賀来の目は真剣だった。
「そうだ。聞くが、君は永遠の命というものを信じるかね?」
「し、信じないよ・・・人間はいつか必ず死ぬものだって、お父さんが言ってた・・・」
「ふむ、それは確かなことだ。人間は必ず死ぬ。しかし例外もある。この私と賀来サーカス団がそうだ。サーカスをやりながら、すでに七百年も世界中を旅しているんだ」
 と、賀来はますますわけのわからないことを言い出した。
「そ、そんなの嘘に決まってる・・・」
「嘘ではない。話して聞かせよう、私達の秘密を・・・私はこの国の名前に合わせて賀来と名乗っているが、実はフランス人だ。七百年前も私はサーカスの団長として旅回りをしていたのだ。そして、その頃私はある人物と親交を持っていた。フランスのパリに住むその人物はサン・ジェルマン侯爵といって、社交界で有名な男だった。何しろ自分の歳が二千才だと自称していたのだ。彼はすべての言語を話せ、世界中で行ったことのない国はないと言っていた。君は知らないだろうが、ときにはバビロニア王朝の起源についてまで、実際に見てきたこととして話していたのだよ」
「う、嘘だよ・・・二千年も生きられるわけがないじゃないか」
「いいや、本当のことだ。あるとき、彼の話しを信用できない人物が、執事を呼び止めてこう聞いたことがある。おまえのご主人は二千才などと言っているが本当かね、証拠は何もないじゃないか、と。すると執事は、そうですな、確かに私にも本当かどうかわかりかねますね。何しろあの方の執事になってから、まだ二百年しか経っておりませので・・・そう答えたそうだ」
「・・・・」
「私は、あなたはどうしてそんなに長く生きられるのだ、と侯爵に尋ねてみたことがある。すると侯爵は、あなたなら教えてもいいだろうと秘密を語ってくれた。何でも侯爵は、二千年前にインドに行き、そこで出会ったバラモン教の僧に秘薬の製法を教えてもらったのだそうだ。その秘薬とは不老不死の薬だ。それを飲んだ人間は時間から解放され、殺されたり自殺をしない限り永遠に生きることができるのだ。侯爵はどういう訳かよほど私のことを気に入ってくれていたらしく、秘密を打ち明けるだけでなく、実際にその秘薬の製法を教えてくれたのだ。そして、さまざまな薬草と化学物質を混ぜ合わせ、私も秘薬を作り出すことに成功した。その秘薬を飲んだ私と団員は、侯爵と同じように死なない体になった。以来、私達は死から解放され、気ままに世界中を旅して回っている。この国に来たのは百五十年ほど前のことだった。まだ侍が刀を腰にさして道を歩いていた頃のことだよ」
「・・・」
 ぼくには、賀来のいうことが信じられなかった。わけのわからないことを言って、母のことをはぐらかそうとしているのだと思った。
「そ、そんなことより、どうしてお母さんをさらったんだ・・・さらって、あ、あんなことを・・・」
「そんなことより・・・? そうか、君はまだ不老不死という言葉に魅力を感じないのだね。ふむっ、なるほど・・・」
 賀来はぼくの顔を見ながら、独り言のように言った。
「うらやましい、私にも君のような時代があったが、もう覚えてはいない。忘れてしまった」
「・・・だから、お母さんをどうしてさらったんだ」
「五年ほど前に女の団員が一人やめてね・・・団員のなかには、不老不死であることに嫌気のさす者も時々出てくるんだ。その女はある村で若者と恋をしてな、この人と一緒になりたいとサーカスをやめていった。しかし、体は若いままでも、彼女も私と同じく七百年以上も生きている。相手の男はまだ二十年ほどしか生きておらんのだよ。うまくやっていけるはずがないではないか」
 そこで賀来はふーっ、と溜息をついた。
「・・・しかもフランス人だ。排他的なこの国でやっていけるかどうか・・・彼女はいいとしても、生まれた子が混血児としていじめられるのは目に見えている。だが、あの女はそれでもいいと言った。好きな男と一緒ならどんなことでも我慢できる、燃え尽きて死にたいとな・・・夫と子供が年老いて死んだあと、きっとあの女は自ら命を絶つ覚悟をしているのだろう」
 不老不死を捨ててまで若い男と一緒になった団員の気持ちが、どうしても理解できない・・・一瞬、賀来はそんな表情をした。だがすぐにもとの表情にもどり、
「それ以来、私は新しい団員を捜していた。この国にはなかなか素質のある女はいなくてね。しかし、君のお母さんは団員としてふさわしかった。美しい顔立ちのくせに肉感的な体は、彼女以上に客を呼べるだろうと私は思った。だから君に招待券を渡し、お母さんとここへくるように言ったのだ。実はああいった出し物はサーカスを維持していくのに重要な資金源でね、だから団員になってもらうことにしたんだ」
「そんなの勝手すぎるよ、無理矢理にさらっておいて、あんなことまでさせて・・・明日になったら村中の噂になっちゃうじゃないか。もうこの村にいられないよ、お母さんやぼく達はどうなってもいいのか!」
 ぼくは、とうとう我慢できなくなって叫んだ。思わず掴みかかりそうになったが、なぜかぼくの体は動かなかった。
「安心するがいい、観客の誰にもあれが君のお母さんとは気づかない。今気づかれたら騒ぎになって、すんなりとこの村を起てなくなるからね。だから観客には外人だと思うようにステージの上から暗示をかけておいた。君は途中でもぐり込んだから暗示にかからなかったんだ」
「あ、暗示・・・?」
「そう、暗示だ。観客の誰一人としてあれが君のお母さんだとは気づいていない」
「そ、そんなこと・・・」
「本当だ。私はそういう力を持っている」
「・・・」
 にわかには信じられなかったが、といって賀来はでたらめを言っているようにも思えなかった。
 ぼくは背中に冷たいものが走るのを感じた。賀来の話しが本当なら、途中からもぐり込まなければ、ぼくはあれが母だとは気づかず、そのまま永遠の別れになっていたかもしれないのだ。
「ひ、ひどい、黙ってお母さんをさらっていく気だったんだな」
 ぼくは叫んだ。しかし賀来はそのことには答えずじーっ、とぼくを見つめながら言った。
「だが君もここへきた。おかげで君も永遠の命が手に入るんだ。ありがたいことだとは思わんかね」
「思わないよ!」
 そう叫んだとき、ぼくは体が凍り付くような思いに捕らわれた。もし賀来の話しが本当だとすれば、母はその秘薬をすでに飲まされているのだろうか・・・そのことにはっ、と気づいたのだ。すると賀来は、ぼくの心を見透かしたようにニヤリと笑った。
「正一君、お母さんはもう不老不死の体になっているんだよ」
「!」
 ぼくは、あやうく尻餅をつくところだった。

小説(転載) 天狗村奇談 サーカスの夜 その2

近親相姦小説
02 /25 2021
掲載サイト「母と少年 禁断の部屋」は消滅。
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客席からステージに進む母にさらに大きな拍手が起こった。きっと、母の美貌が観客を喜ばせたのだろう。
「へえ、いいケツしてるな」
 後ろからそんな声が聞こえ、ぼくは不快な思いをした。
 ステージに上がった母に賀来はうやうやしくおじぎをした。母は大勢の視線を浴びるのが恥ずかしいらしく、顔を赤らめ俯いている。
 賀来の助手が箱の蓋を開けると、賀来がもう一度おじぎをしながら、どうぞお入り下さい、と手で指し示した。母は恐る恐る箱に入り、中で窮屈そうに座った。
「では・・・」
 賀来は蓋を閉めた。
 音楽が高鳴り、観客が固唾を飲んで見守るなかで蓋が開けられると、箱の中には母の姿はなく、代わりに鎖につながれた一頭の虎が出てきた。
 グォーッという虎の吠える声と、観客の割れんばかりの拍手が交差しているなかで、ぼくは、消えた母がいったいどこから現れるのだろうとドキドキしながら待っていた。
 ところが母は現れず、箱をかたづけさせた賀来は、その虎でショーを始めてしまったのだ。
 賀来は鞭を振るって、虎に綱渡りをさせたり、火の輪くぐりをさせている。ぼく以外、もう、誰も消えてしまった母のことなど気にしてはいないかのようだった。ぼくはふと、さっきの母から聞いた「神隠し」という言葉を思い出した。もしかして、このまま母がいなくなってしまうのではないか・・・そんな不安に駆られ、ぼくはいても立ってもいられなくなってきた。
 しかも、猛獣ショーが終わると、今度は空中ブランコの女性達が出てきてアラビア風の踊りを始めたのだ。
 遠い異国を感じさせる不思議な音色が鳴り響き、煌びやかな衣装をまとった女性達の踊りは、それはそれで心を引かれるものだったが、ぼくはもう不安で堪らなくて、楽しむどころではなかった。
 しかし、女性達の踊りが終わると、やっとのことでステージにさっきの箱がもう一度運び込まれた。
 箱と一緒に出てきた賀来が、蓋を開けて中を見せ、中には何も入っていないことを観客に見せた。それからまた蓋をし、黒い布をかける。
 場を盛り上げる音楽が鳴り響き、賀来はえいっ、と布を剥いだ。
 箱の各面がパタパタと外れ、母がはっとしたような表情で立ち上がったのを見て、ぼくはやっと胸を撫で下ろすことができた。
 拍手を浴びながら母が席に戻ってきた。母は席に着きながらぼくに言った。
「どうしたのそんな顔をして。心配だったの?」
「うん・・・お母さんがこのままいなくなっちゃうような気がして・・・心配だった」
「馬鹿ねえ、そんなことあるわけないでしょう」
 母は微笑み、ぼくの頭を優しく撫でてくれた。
「本日は、我が賀来サーカスにおいで下さいましてありがとうございました。なお、最終日は成人男子のみの入場となります。本日とは違った趣向をご用意しておりますので、ぜひ今一度お運びください。それでは」
 賀来の挨拶でサーカスは終わった。ステージに当たっていたライトが消え、テントの中は裸電球だけの薄ぼんやりした明るさにもどった。
 ぼくと母は、天の川を見上げながら家路へと急いだ。

 つぎの日、学校では夕べのサーカスの話題でもちきりだった。
 ぼくも輪の中に入って、あれがよかった、これがすごかったと語り合った。けれどぼくは、ロドリゲスのことを思い出すと胸が痛んだ。あまりに醜く、可哀想だと思いながらも、つい笑ってしまった自分に良心の呵責を覚えていたのだ。
 それから数日の間、何事もない平穏な毎日が過ぎていった。
 ぼくは毎日、神社の境内から真っ青な空に向かってぽこんと飛び出した黄色いテントを見上げながら、学校に行き帰りした。
 そして、サーカスは毎晩盛況だった。遠くの村からも毎晩観客が詰めかけてくるのだという。学校でもあいかわらずその話題が中心で、中には親と一緒に二度も三度も見に行く子までいた。
 やがて、一週間が瞬く間に過ぎ、公演の最終日を迎えた。
「サーカスも今日で終わりだね」
「うん、今日は子供の入れない日なんだよね。何でだろうね」
 ぼく達は教室の窓から身を乗り出して、明日にはなくなってしまうテントを眺めやった。 平凡な村に突然現れた黄色いテント。その中で繰り広げられた胸躍る異世界が、テントとともにどこかへ行ってしまうのかと思うと、ぼくは堪らない寂しさを覚えた。ところが、夕方家に帰ると、家に異変が起こっていた。母がお昼頃に黙って家を出たまま、帰ってこないというのだ。
「こんなことは今までなかったのに・・・」
 と、祖母はおろおろしていた。隣り近所にも聞いたが誰も母の姿は見ていないそうなのだ。
 確かに変だった。この時間には、母は必ず台所で食事の用意をしているはずだ。母の性格からして、家事を放り出してどこかに行ってしまうなんてありえないことだった。
 ぼくは驚きながら、とっさに母に聞いたサヨちゃんの話しを思い出していた。
 もしかして母は、サーカス団に捕らえられ、どこかに連れ去られようとしているのではないか・・・そんな考えが浮かんだのだ。
 自分でも、あまりに馬鹿げた想像だと思ったが、ほかに考えられる理由も思いつかなかった。何しろ狭い村のことだ。変わったことがあれば、すぐに近所の人が教えてくれる。
 やがて役場から帰ってきた父も、祖母から事情を聞いて顔色を変えた。そのくせ父は、妻を捜しにいくなんて男の沽券に関わるとでも思っているらしく、ちゃぶ台の前に座り込んで、祖母に用意させた酒を陰気な顔で飲み始めたのである。
 外が真っ暗になっても、母は帰ってこなかった。
 ぼくと祖母は互いに不安な表情で、何度も顔を見合わせたが、父はだんだん怒った顔になって酒を飲み続けるばかりだった。近所に聞きにいこうともしなかった。
 さらに時間が過ぎ、夜の闇はますます濃くなっていく。ぼくはもう、我慢ができなかった。
「ちょっと捜しに行ってくるよ」
 ぼくは台所で祖母に耳打ちし、父に見つからないように、勝手口からそっと家を抜け出した。
 家を出ると、ぼくは必死にサーカスのテントを目指して走り出した。とにかく、行ってみようと思ったのだ。
 空にはいつもと同じように天の川がかかっている。星明かりに照らされながらぼくは走り続け、息を切らしながら境内に駆け上がった。
 サーカスは今日も満員らしく、中から大勢の観客の熱気が伝わってきた。テントの周りには誰もおらず、入場口も無人だった。もう終盤に近づいているので切符を切る係も中に引っ込んだらしい。
 ぼくは入場口の幕をめくり、中を覗き込んだ。一週間前と同じように、饐えたような動物の匂いと観客の熱気が充満している。
 ぼくは意を決っしてテントの中に入り、最後尾の席の後ろに屈み込んだ。満員の観客の目はステージに注がれていて、ぼくに気がつく者は一人もいなかった。ぼくは観客の後ろ姿を見渡してみた。
 もし母がいれば、髪型とか雰囲気で見つけられると思ったが、あまりにも観客が多すぎて捜しようもなかった。それに、考えてみれば今日は男しか入れない日だった。
(何をやっているんだろう、ぼくは・・・)
 見当はずれなことをしていた自分に呆れながら、ふとぼくは今夜の観客の雰囲気が一週間前と違うことに気がついた。それは、大人の男しか入場していないのだから当然とも言えるが、それにしてもこれだけ熱気でむんむんしているくせに、妙に静かすぎた。
 ステージに目をやるとちょうど賀来が出てきたところだった。
「・・・演目も残り二つとなりました。長らくお待たせいたしましたが、つぎはいよいよお待ちかねの演目です。さて、皆さん、噂でお聞き及びのことと存知ますが、この演目につきましては公の場にていっさい口外なさらぬようお願い申し上げます。耳から耳へ内緒で伝えて頂きたい、というのが私どもの希望でございます。もちろん皆さんはそのようにして噂を聞きつけ、今夜おこしになったものと存じます。くれぐれもご内密に、そして存分にお楽しみ下さい」
 賀来の、奇妙な口上だった。
 このときぼくは賀来の秘密めいた言葉に、いったい何が始まるのだろうと、つい母のことも忘れて胸をときめかせてしまった。しかし、音楽が鳴り響き、幕が開いた瞬間、ぼくはカミナリに打たれたような衝撃を受けた。
 一輪車を抱えた母が、信じられないような姿でステージに現れたのだ。

小説(転載) 天狗村奇談 サーカスの夜 その1

近親相姦小説
02 /25 2021
掲載サイト「母と少年 禁断の部屋」は消滅。
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夏休みも終わり、秋の気配が漂ってきた頃である。
 その朝、授業が始まる前に学校中がちょっとした騒ぎになっていた。どの学年の窓からも生徒達が身を乗り出し、神社の境内を見詰めていた。
 境内には大きな黄色いテントが張られ、とんがった天井が校舎から見える。
 村に、サーカスがやってきたのである。
「賀来サーカス団来たる。一週間の限定公演。演目は空中ブランコ、猛獣ショー、世紀の魔術ショー。その他バラエテイに富んだ演目あり。開演は本日午後七時より。尚、最終日の公演は少年少女来場不可」
 各家に配られたビラには、そう印刷されていた。魅惑的な言葉と、どこか神秘的なテントの出現にぼく達は興奮しきっていた。
「空中ブランコだってさ」
「猛獣ショーって、ライオンとかが出るのかな」
「でも、最終日は少年少女来場不可ってなんのことだろう」
「大人しか入れないってことじゃないの」
 誰も彼も胸を躍らせ、目を輝かせていた。
 皆は親と一緒に行くんだと口々に話し合っている。ぼくも行きたくて堪らなかったが、父が許してくれるか不安だった。
 堅物の父は「見せ物」のたぐいが嫌いなのである。人前で芸を見せてお金をもらう人達を軽蔑しているからだ。
「サーカスだと・・・くだらん、そんなもの行くな」
 そう言われそうで、ぼくはとても心配だった。
(どうやって頼めば、父は許してくれるだろうか)
 そんなことを考えているうちに、いつの間にかその日の授業は終わってしまった。町田先生が何を教えていたのか、さっぱり覚えていなかった。
 学校からの帰り道も、ぼくの頭の中はサーカスのことでいっぱいだった。なおもあれこれと算段しながら歩いていると、奇妙な格好をした男が目に入った。
 何が奇妙かというと、肌寒くなったとはいえまだ秋のかかりなのに、男は膝まである黒いマントを着て、頭には円筒でまわりに縁のついた帽子をかぶっていたのだ。
 ぼくは、きっとあれはシルクハットだと思った。確か、母が買ってくれたシャーロックホームズの本に、こんな人物の挿し絵があった。
 どこまでも続く田圃には、いっせいに実った穂が重そうに頭を下げている。男はその田圃を背景に立ち、じっとぼくを見詰めていた。まるで、ぼくを待っていたかのようだった。
 ぼくが近づくと、男はニッと笑った。彫りが深くて日本人離れした顔だった。それに、若いのか年寄りなのかよくわからない顔をしていた。
「あの、何かご用ですか」
 恐る恐る声をかけると、男はもう一度ぼくに笑いかけてきた。
「君、サーカスにはくるかね」
「サーカス・・・ですか? 行きたいですがお父さんが許してくれるかわかりません・・・あのう、あなたは誰ですか」
「私かね、私は賀来という者だ」
「ガライ・・・さんですか? それじゃあ、あのサーカスの・・・」
「そうだ。私はあのサーカス団の団長だ」
 ひえーっ、とぼくは驚いてしまった。サーカスの団長に会えるなんて夢のようだった。
「そんなに嬉しいかい」
「はい・・・」
 ぼくは、猛獣ショーの猛獣はライオンなんですか、とか魔術ショーって人が消えたりするのですかと聞きたかったが、ドキドキしてうまく言葉がでなかった。
「君にいいものをあげよう」
 そう言って賀来は懐に手を差し込み、二枚の紙を取り出した。
「無料招待券。賀来サーカス団」
 受け取って目を落とすと、そう書かれていた。
「もらって、いいんですか!」
 あまりの嬉しさにぼくは胸を弾ませ、叫ぶように言った。
「いいとも。それを見せればお父さんも駄目だとは言うまい。お母さんと一緒に見に来なさい」
 はいっ、と答えながら、ぼくは何度も「無料招待券」という文字を目でなぞった。
 賀来の言うとおり、この券を見せて頼めば、いくら父だって行くなとは言えないだろう。
(ああ、ぼくも猛獣ショーや空中ブランコが見られるんだ。ぼくは何てついているんだろう・・・)
 そんなふうに思いながら顔を上げると、すでに賀来はいなかった。あれっ、と思ってあたりを見回すと、 稲穂が風に揺れるなかに、テントに向かって歩いて行く遠い後ろ姿があった。
 
 夕方、村役場から帰ってきた父に招待券を見せると、思った通り父はあっさりと許してくれた。夕食を食べてから、母と二人で見に行くことになった。
 家を出て、並んで夜道を歩きながら、母もぼくと同じように胸を弾ませているように見えた。
「懐かしいわ、サーカスなんて」
「お母さん、前にも見たことがあるの?」
「ええ、あるわよ。ずーっと昔、お母さんがまだ正一くらいのときだったわ。村にサーカスが来てね、そのときもやっぱり神社の境内にテントが立ったのよ。楽しかったわ」
 そう言いながら母は、遠くを見るような目になった。サーカスの思い出とともに、幼い頃の自分に思いをはせていたのかもしれない。
 空には無数の星が輝き、天の川もはっきりと見えていた。
 境内が近くなり、そびえ立つテントが見えてきた。自然とぼくは急ぎ足になった。
 石の階段を登って境内に入ると、すでに大勢の人が詰めかけていて、列になって入場を待っていた。クラスメートの顔もあったが、知らない顔も多かった。おそらく近辺の村からも大勢来ていたのだろう。
 受付には、まだ十歳くらいの可愛い女の子が座っていた。西洋のドレスのような衣装を身にまとい、まるで大人のようにてきぱきとお客をさばいていた。
 入場待ちの列が進み、ぼく達の番になった。
 ぼくは母の分も一緒に招待券を差し出した。受け取りながら女の子はにっこり笑い「ごゆっくり」と声をかけてくれたが、そのときぼくは、母が驚いた顔でその子をしげしげと見つめているのに気づいた。
「お母さん、入るよ」
 ぼくが母の袖を引くと、母ははっとしてぼくに視線を移し、それから気を取り直したように一緒にテントの中に進んだ。女の子の方は、母の視線には気づかなかったようだ。
「どうしたの」
「・・・ううん、何でもないわ」
 母は言ったが、それでも何かが引っかかっているような表情だった。
 テントの中はかなり広かった。観客席の前に広いステージが設置されていて、その両端に出入り用の黒い幕がかかっていた。
 観客席には百人位座れそうだ。すでに客席の半分が埋まっている。
 見上げると高い天井には複雑に梁が交差していて、吊された二本の空中ブランコがゆらゆらと揺れていた。
 天井にぶらさがった裸電球の薄暗さが少し物悲しい雰囲気を漂わせていたが、観客の人いきれと獣臭い匂いで、テントの中はむっとするような熱気に包まれていた。
 息苦しくもあったが、日常とまったくかけ離れたその雰囲気に、ぼくはすっかり心を奪われてしまった。これからあのステージで、空中ブランコや猛獣ショーが始まるのだと思うと、ゾクゾクするような期待感が込み上げてくるのである。
 ぼくと母は、運良く空いていた前の方の席につくことができた。
 しばらく待っていると、観客も入りきったのだろう、裸電球の明かりが消え、ステージにスポットライトが当たった。
 ステージの右の幕が跳ね上げられ、黒いマントの男が現れた。
 団長の賀来だった。昼間会ったときとまったく同じ服装をしていた。その、異国を思わせる賀来の姿に、早くも客席にどよめきが起こった。
 賀来は、観客を見回しながらゆっくりとステージの中央に進み出ると、よく通る渋い声で口上を述べた。
「わが賀来サーカス団にようこそおいで下さいました。こよいは心ゆくまで妙技の数々をお楽しみ下さい」
 言い終わった賀来は、もう一度ゆっくりと観客席を見渡した。
「最初にお目にかけるのは、一輪車のショーです。少女達の息の合った演技をご堪能下さい」
 幕が開くと、きらびやかなステージ衣装を身にまとった三人の少女が、一輪車に乗って飛び出してきた。同時に、優雅な音楽も流れ始めた。
 もうそれだけで、割れんばかりの拍手が巻き起こった。ステージに上がった少女達は、一輪車を巧みにあやつり、音楽に合わせてぐるぐるとまわったり、ジグザグに動きまわったり、あるいは一瞬ピタリと静止したりと、実に華麗で息の合った演技を繰り出した。
 観客の目は、ステージに釘付けだった。
 ぼくも夢中で見ていたが、そのうちに三人の中の一人が、さっきの受付の女の子であることに気づき、ふと母の顔を見上げた。
 奇妙なことに母の目は、その子だけを真剣に追っていた。
「ねえ、どうしたのお母さん」
 ぼくは、母に耳打ちするようにそっと尋ねてみた。
「・・・変ねえ、サヨちゃんにそっくりなのよ」
 母は首をかしげるようなしぐさをしながら囁き返した。
「誰? サヨちゃんて」
「お母さんと仲の良かった子なの。お母さんの子供の頃にも、サーカスが来たって言ったでしょう」
「うん」
「サヨちゃんは、そのサーカスが来ているときに急にいなくなってしまった子なの」
「・・・いなくなった?」
「そう、突然いなくなって、村中で捜したけれど見つからなかったの・・・神隠しに合ったって言う人もいれば、サーカスにつれて行かれたって言う人もいたわ。そのサヨちゃんに、あの子がそっくりなのよ」
「・・・」
「でも、生きていればサヨちゃんももう大人になってるわ。だからあの子はサヨちゃんじゃない・・・でも、本当によく似ているの。だから不思議なのよ」
 母はもう一度首をかしげ、軽く溜息をもらした。
 ぼくもふーっ、と息を吐いた。母の話しが少し怖かったのだ。
「ごめんね。変な話しをしちやったわね」
 ぼくの様子に気づいた母が、慌てたように言ったので、
「ううん、全然平気だよ」
 ぼくは笑い返して見せた。

 めくるめくような時間が流れていった。
 一輪車の演技が終わると、今度は若い女性達による空中ブランコがあり、つぎにはピエロの玉乗りがあった。
 ぼくはハラハラしたりドキドキしたり、さっきの母の話しもすっかり忘れてサーカスに酔いしれた。
 途中で気がついたのだが、この賀来サーカス団の団員には異国の人達が多かった。さっきの一輪車も、母がしげしげと見つめていた子は日本人だったが、あとの二人はどう見ても西洋人の顔だったし、空中ブランコを演じた人もそうだった。
 そして、ピエロの玉乗りのつぎの演目はどうにも見るに堪えない出し物だったのだが、そのとき登場したのもやはり日本人ではなかった。といって西洋人でもなく、あとから思えば、その名のとおりメキシコあたりだったのだろう。
 その男のことを、賀来は「世にも醜い小人男、ロドリゲス」と紹介した。褌のようなものを腰に巻いただけで、ほとんど素っ裸のロドリゲスが登場すると、客席は一瞬シーンと静まりかえった。言葉どおり、あまりにも醜かったからだ。
 背はぼくと同じくらいだったが、ぶよぶよと太っていた。しかも手足が短くて、まるで太ったオットセイのようだった。
 それだけでもぼくには衝撃的だったが、もっとすごいのは、顔がぼくの二倍くらいあることだった。しかも両目の間は離れすぎていたし、ぶ厚くてぬめぬめとした唇が気持ち悪かった。
 いったいこんな醜い小人男が、どんな演技を見せるのだろうと思っていると、あとからさっきのピエロが一輪車を持って出てきて、ロドリゲスに乗ってみろというしぐさをする。
 ロドリゲスは短い手足で一輪車を跨ごうとするが、もともと短い足が届くはずもなく、見事にひっくり返ってしまった。
 ピエロはひゃっひゃと笑い、観客にも笑うよう促した。
 なんのことはない、この哀れで醜いロドリゲスをただ笑い物にするだけの出し物なのだ。 しかし、静まり返っていた客席からは、つぎつぎに笑い声が漏れ出した。哀れではあるが、一輪車に乗ろうとして何度も倒れるロドリゲスが滑稽なのだ。ぼくも、何て酷い出し物なのだろうと思いながらつい笑ってしまった。
 倒れるたびに、ロドリゲスは悲しそうな顔をした。その顔を見ていると心のどこかが妙に刺激され、可哀想で胸が痛むのに、それでも笑わずにいられないのだ。
 いつまでたっても一輪車に乗れないロドリゲスに(もともと乗れるわけがないのだが)ピエロは大袈裟に呆れ返ったしぐさをして見せ、笑い声はどっと大きくなった。
 そこへ、今度は玉乗りの大きな玉が届けられた。
 ピエロは、これは俺しかできないんだ、でも、とりあえずやってみろ、というようにロドリゲスに玉を押しやった。するとロドリゲスはピョンと玉の上に乗り、短い足で器用に転がし始めたのだ。
 おおーっ、とどよめきが起こり、面目をつぶされたピエロがやめさせようと追いかける。ロドリゲスは、このときばかりは得意げに玉を転がしてピエロから逃げ回ったが、最後には追いつかれて玉を蹴り飛ばされてしまった。
 ステージに叩き落とされたロドリゲスが、またも悲しそうな目をしている。ぼくは可哀想に思いながらも、ロドレゲスの分厚い唇にたれた涎が気持ち悪くて堪らなかった。
 何とも残酷で滑稽な出し物はそれで終わった。
 ロドリゲスは、ピエロに追い立てられてステージから退場し、客席には奇妙な興奮だけが残った。ぼくは、何とも後ろめたいものを覚えていた。
   
 演目もそろそろ終わりに近づいてきた頃、ステージに人が一人すっぽりと入れるくらいの箱が運び込まれた。一緒に出てきた賀来が観客を見回して声を張り上げた。
「つぎは世紀の大魔術ショーです。この箱に入った人間を、たちどころに虎に変えてごらんにいれましょう」
 それから賀来は、もう一度ゆっくりと客席を見回した。
「そこの美しいご婦人、ご協力を願えまいか」
 賀来に指さされたのは、何と、ぼくの母だった。観客の視線がいっせいに母に注がれ、大きな拍手が巻き起こった。母は驚き、手を振って断わろうとしたが、母が応じない限り拍手は鳴りやみそうになかった。
 母は困った顔でぼくと目を合わせていたが、やがて意を決したらしく、
「仕方がないから行ってくるわ」
 と、席を立った。

小説(転載) 天狗村奇談 権堂さんの宴 その5

近親相姦小説
02 /25 2021
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「良平、今度はお前だ」
 安二郎が指示した。良平は安二郎の顔を跨いで立っていたが、頷くと母の顔を両手で押さえ、グイッと引き寄せて肉棒を母の口元に突きつけた。
「あむっ」
 と呻き声を上げた母の唇に、良平は肉棒をグリグリと押しつけていく。母は堪らずに口を大きく開き、その口の中に良平がズブズブと肉棒を押し込んだ。 
「ぐうっ・・・」
 と母の喉が鳴った。母の美貌が良平の陰毛の中に埋もれていた。
 振り向くと、権堂さんが愉快そうに目を細めている。健ちゃんも、鼻の頭に汗の玉を溜めながら食い入るように見つめていた。三人は、互いに目配せしながら腰を動かし始めた。
最初はゆっくりした動きだった。安二郎が腰を突き上げ、引き抜くを待って、今度は達蔵がお尻の穴に突き上げる。達蔵が終わると良平が口の中に、というふうに一定のリズムで母の体に抽送を加えていくのだ。
「あうっ・・・あおっ・・・」
 肉棒の出入りする母の喉から、くぐもった呻き声が漏れている。ぼくにはそれが、まるで地の底から響いてくる声のように聞こえた。
 母の肉穴も、お尻の穴も、めいっぱい広がりきって境目がなくなっていた。
 出入りするたびに肉棒が擦れ合い、境目が今にもプチッ、と切れてしまいそうだ。
 良平は母の顔をしっかりと押さえつけ、口の中に深々と肉棒を挿入している。舐めさせるとか、しゃぶらせるなどという生やさしいものではない。喉の奥に肉棒をドスドスとぶつけているのだ。
 良平が腰を引くたびに、苦しそうに歪んだ母の顔が見えた。呼吸できないらしく、ズルッ、と肉棒が抜けるたびに必死に息を吸い込んでいる。
「うはは・・・どうだ健次、すごいだろう」
 権堂さんが杯を傾けながら、高らかに笑った。
「うん、すっ、すごいや!」
 健ちゃんも嬉しそうに声を上げ、それからぼくの顔の顔を覗きこんだが、ぼくが反応しないのがおもしろくなかったらしい。
「ねえ、お父さん、ねえ、もっと激しくやらせてよ」
 と権堂さんの肩を揺すった。
「おい、聞こえたか、もっと激しくやってやれ。正一が泣き出すくらいにな」
「はい、旦那様」
 ゆっくりしたリズムが崩れ、三人はそれぞれ勝手に、力まかせに肉棒を突き上げ始めた。
もう、粘膜の擦れる音ばかりで、呻き声さえ聞こえなかった。
 三人は、母を人間扱いしていなかった。まるで、マネキン人形をよってたかって叩き壊そうとしているかのようだ。乳房は絡みついた何本もの手で揉まれ、食い込んだ爪跡からはうっすらと血が滲んでいる。ぼくはもう、見ていられなかった。
 どのくらい続いたのだろうか。やがて三人は恍惚の表情となり、つぎつぎに歓喜の呻き声を噴き上げていった。母の体に精液の流れ込む音が聞こえてくるようだった。
 ようやく射精を終えた達蔵と良平が次々に肉棒を引き抜いていった。安二郎は引き抜く代わりに、起きあがりながら母の体を突き飛ばした。
 両足を広げたまま床の転がった母の肉穴とお尻の穴からぴゅっ、ぴゅっ、と白濁が噴きこぼれている。口からもドロドロとしたたっている。何という無惨な母の姿だろう。
「お母さん!」
 ぼくは叫び、母に駆け寄ろうとした。だが、そのぼくの肩を権堂さんが掴んだ。
「まだ終わってないぞ、正一」
「ええっ・・・だって、もう・・・・」
 泣きそうになたぼくの顔を、権堂さんが冷ややかに見下ろしてきた。
 神社の境内からは、あいかわらず祭囃子の練習の音が聞こえていた。
 空が急速に暗くなろうとしている。
 ほとんど意識を失っている母が、安二郎達に体を縄で縛られ、庭の柿の木に吊されてしまうのをぼくは呆然と見つめていた。
 西の空に夕焼けが最後の輝きを放っている。山々が美しいほどに紅く染まっていた。そんな光景のなかに、体中に精液をしたたらせた母が揺れ動いていた。
 母の体も、夕焼けを浴びて紅く染まっている。がっくりと首を落とし、目を閉じている母は、まるで首を吊った死人のように見えた。
「どうだ健次、これですっかり満足したろう」
「うん。胸がすーっとしたよ、お父さん」
「よしよし、しかし、おまえのおかげでわしもいい思いをしたわい」
 柿の木に吊された母を、まるで一幅の名画を鑑賞するかのように見上げながら談笑する権堂さんと健ちゃんを、ぼくはぼんやりと眺めていた。
 すべてが夢のような気がしていた。
 はっと気がつくとぼくは家にいて、母は何事もなく夕食を作っているのではないだろうか・・・。何度もそう思った。しかし、いつまで待っても場面は変わらなかった。
 ふとぼくは、こんなことが平気でできる権堂さんは、本当は人間ではないのではないか、もしかしたら天狗ではないのだろうかと思った。
 恐る恐る目をやると、権堂さんの目が夕焼けを映したように紅く鋭く光っていた。
 
 ようやく許されたぼくと母が、権堂さんの屋敷を後にしたのはあたりが真っ暗になってからだった。
 星明かりの下で、家に戻る道のりは本当に遠かった。
 健ちゃんが穫った魚をよこせと言ったとき、なぜ素直に従わなかったのだろうと、ぼくは後悔の念でいっぱいだった。素直に従ってさえいれば、母がこんな酷い目にあうことはなかったのだ。
「正一、お父さんにもお婆ちゃんにも、絶対に言わないでね・・・お願い・・・」
 かすれた声で何度もくりかえす母が哀れだった。
 見上げると、夜空に満天の星が輝いている。
 手を伸ばせば掴めるほどにキラキラと輝き、とぼとぼと歩くぼく達を、いつまでも照らし続けていた。

eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。