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小説(転載)  ANSWER ~遠くにありて・追章~

近親相姦小説
04 /01 2019
 姉と弟が肉体関係を持つ――愛しあう。
 それは、世間では許されない行為だ。科学的に、道徳的に。
 が、男と女であることにかわりはない。
 一つ屋根の下に住む、憎からぬ異性。
 それは逆に、自然なことなのかも知れない。

 亜裕美(あゆみ)・二十一才。純(じゅん)・十八才。
 あれから二年――


ANSWER
~遠くにありて・追章~


【成人向】




「…………」
 二年ぶりに見た弟の、その成長した姿に、亜裕美は絶句していた。
 結婚した亜裕美が、夫、そして娘一人と暮らしている一軒家の玄関先。
 初夏の陽射しを背にうけて、純はニガ笑いをしながら言った。
「いつまでも、そんな顔するなよな。姉ちゃん」


 リビングに座り、背負っていたリュックを降ろした純は、煙草をくわえようとした。
 が、すぐ横の、クッションの上に寝ている赤ちゃんに目が行き、
「あ、だめか」
 煙草を箱に戻して、赤ちゃんにほほ笑みかけた。
(姉ちゃんの子供か……)
 そこへ、コーヒーカップを二つ持って、亜裕美が台所から戻ってきた。
「あんた、煙草吸うようになったの? まだ十八のクセに」
「いいじゃん別に。いや、ここでは吸わないけどさ」
「そうして」
 静かな午後だった。
 純は、コーヒーをブラックのまま飲んだ。
「……煙草は吸う。コーヒーはブラック。お酒は?」
「もちろん」
「……か」
 自分は砂糖一杯とフレッシュ半分を注ぎ、スプーンで混ぜたままにしていた。
「で?」
 テーブルの向かいに座った亜裕美は、両ひじをついて、純を見すえた。
「今までどうしてたの? 勝手に高校中退して」
 とがめるような口調だった。
「住み込みだよ。工場で」
「……二年よ、二年。その間、電話も手紙もなしで。私にも、父さんや母さんにも」
「いいだろ? 二人とも、あいかわらず家にいないし、姉ちゃんには長谷部(はせべ)さ、いや、……義兄さんがいるんだし。桜庭(さくらば)家はカラッポじゃないか」
「そういう話じゃないでしょ? ……心配してるのよ、父さん達」
「わかったよ」
「……」
 どこか手ごたえのない純に、亜裕美は言葉を失った。色々言いたいことがありすぎて、整理がつかないのだ。
「姉ちゃん。赤ちゃん、ダッコしてみていいか?」
「? ……いいけど」
 純は、おそるおそる赤ちゃんを抱えた。
「コワいな、簡単に壊れそうで。……名前は?」
「さやか。長谷部 彩香よ」
「女の子か。彩香ちゃん、……叔父さんだよー」
「!……」
 純も亜裕美も、「叔父」という言葉に抵抗を感じた。
 叔父、ではない可能性。結婚前夜の、二人だけの夜があったからだ。
「叔父……さんだよ……」
「純……」
 と、彩香が急にグズり始めた。
「ふええぇぇ……」
「わ、わ。なんだ?!」
「待って」
 亜裕美は、彩香の手の平を握って、うなずいた。
「おネムね。寝かしつけなくちゃ」
 慣れた手付きで純から彩香を受け取って、亜裕美は奥の部屋のベビーベッドに向かった。
 ほどなく、純の耳に、姉の静かな子守歌が聞こえた。窓からの陽射しに溶け込む、宝石みたいな声だった。
「……おまたせ」
「あ、ああ」
 亜裕美が再びテーブルの向かいに座ると、純は少しうつむいて、ボソボソと言った。
「俺さ……、ずっと姉ちゃんのこと考えてたんだ」
「……」
「結婚して人の妻になった、実の姉。って考えれば、別に普通だよな」
「そう……ね」
「でもさ、俺……」
「だめ」
 亜裕美は、純の言葉をさえぎった。
「だめよ純。もう……終わったんだから」
「終わった? 終わったのか?」
 純は、まっすぐ亜裕美を見つめた。
「……そうよ。やっぱり、いけないことだし……」
「……違う。違うと思うんだ。そう考えたんだ、俺」
「違う? だって姉弟なのよ、私達」
「だからさ」
「え?」
 純は、またも煙草に手をだそうとして、やはりやめた。
「ちょっとテレくさいセリフだけど……愛ってさ、ひとつの形だけじゃない、って……」
「…………」
 亜裕美の瞳が、寂しそうに反れた。
「でも……、姉弟は姉弟だから……」
「姉弟愛、は?」
「……え?」
 一瞬遅れたリアクション。
「姉弟愛……?」
「そうさ。家族愛に、姉弟愛。それだって、愛って付くじゃないか」
「…………」
「そりゃ、結婚はできないけど、でも愛だろ? 愛して、確かめあって、なんで普通の……他人との恋愛と区別される?」
 亜裕美は、反らしていた目を純に戻した。
「……じゅん……」
「俺は……今でも……姉ちゃんを愛してる」
「!!」
 亜裕美は、純を凝視した。その目から、時間をかけて、ひとしずく流れた。
「……いいのかな。……愛しても」
「ああ。少なくとも俺はそう思……」
 言いかけた言葉が止まった。亜裕美が、熱い瞳のままで近づいてきて。
 その彼女の口から、ささやくような声がこぼれた。
「神の誓いに背いても?」
「……まあ、はせ……いや、義兄さんに理解してくれって言っても無理だろうけど……」
「うん……。もちろん、広樹(ひろき)さんのことも好きよ。でも……」
 亜裕美は、さらに純に近づいた。
「でも…………、でも!」
 そして、押し込めていた感情から逃げ出すように、純に抱きついた。
「でも! やっぱり純が好き! 好きなの!」
「ねっ……亜裕美……」
「いいんだよね! 好きなままで! 愛してるって言って!」
 純の手も、力強く亜裕美を包み込んだ。
「あ、ああ! もちろんさ! 亜裕美が愛してくれるなら、俺はもっと亜裕美を愛せる!」
「愛してる! 愛してる愛してる愛してるっ!」
 心と時間が作ってしまったすき間をふさぐように、二人はきつく抱きしめあった。
 そして二人の唇は、ごく自然に重なり合った。


「あっ! あ! あぁ! あ!」
 ベッドルームで、生まれたままの姿で、亜裕美と純はひとつになっていた。
 上になっている純は、汗を飛び散らせて、腰の動きを速めた。
「亜裕美……! もう……!」
「あ! い、いいわ! きて! 一緒に! ああっ!」
「ふ……っく! ん! ん! ……っくぅ!」
「んああああ――っ!」
 甘美な衝撃に、二人は硬直しあった。
「……っくー……。はあ、はあ、はあ……」
「あは……ぁ……」
「ふぅ……」
 動けるようになった純は、つながったまま、亜裕美を抱きしめた。
「やっぱり最高だよ、亜裕美……」
「ん……、はぁ、はぁ……」
 亜裕美の荒い息が、純の耳にかかる。たまらなく、愛しさが込み上げた。
「よっと!」
「きゃ!」
 純が、亜裕美を抱いたまま、横に転がった。上にされた亜裕美は、余韻が残ったままで、力なく純にもたれかかるしかなかった。
 うっとりした目で、純の胸に頬を寄せて、彼女は言った。
「こんなに広かった?」
「え? ……ああ。まあ、二年も離れてたからね。成長もするさ」
 胸の上にある亜裕美の頭を、彼はていねいに撫でた。
「…………」
「あゆ……姉ちゃんは変わらないよな。あの頃のまま、かわいいままで……」
「ん……」
 軽いキスを交わしてから、純は亜裕美を降ろして、横に寝かせた。
「と。……じゃあ俺、そろそろ帰るから」
「え……。どうして?」
「ど、どうしてって。夕方も近いし、義兄さんも帰ってくるだろ?」
「……広樹さんなら、いつも八時は過ぎるよ」
「……でも……、やっぱり帰らなくちゃ……うん」
 上体を起こした純の腕に、亜裕美の手が絡み付いた。
「……いじめてくれないの?」
「!」
 真っ赤な顔で、うるんだ瞳で、おねだりをする姉。純は、ゴクリとつばを飲んだ。
「い、いや……」
 彼の戸惑いで、亜裕美も思わず目を反らせた。そして、ボソッと言った。
「だって……私、マゾだもん」
「…………」
 亜裕美の亭主は、亜裕美のそのことを承知で結婚した。が、セックスには弱く、亜裕美の欲求に応えきれていなかった。亜裕美からそれを口にすることはなかったが。
「純のせいなんだから。……責任とってよ」
「……わかった。じゃあ……」
 と言った純は、下着とズボンだけを着けて、ベッドルームを出た。
「?……」
 残された亜裕美がベッドに座ってキョトンとしていると、ほどなく彼は戻ってきた。自分のリュックを持って。
「俺さぁ……」
「え?」
「まずいかなーと思ったんだ。あんまり準備がいいと、それが目的だったみたいで」
「準備?」
 亜裕美の問い掛けに応えず、純はリュックを探った。
 そして出したのは、布製の帯のようなものだった。
「……純……」
「勘違いしないでくれよ。俺の目的が、姉ちゃんの体だけ、なんてさ……」
「おっ、思うわけ……、思うわけないじゃない……」
 亜裕美は、胸元を自分で抱きしめながら、続けた。
「……本当はね。純と会うのが怖かったんだから」
「…………」
「忘れよう。広樹さんだけを愛そう。そんな努力が、あっけなく壊れそうで……」
「姉さん……」
 少し哀しそうな顔になった純に、亜裕美ははにかんだ。
「でも、そんな努力自体が無意味だったんだね」
「……」
「それがわかった今、自分へのウソはいや。私は純が好き。弟のあなたを愛してる。私はあなたに愛されたい。身も心も愛して欲しい。だから、疑うわけじゃないけど……」
 亜裕美は腕を解き、膝を開いて、純にすべてを見せた。
「せめて体が愛されるなら、それだけでもいい……」
「……あゆみ……」
 純は亜裕美に近づき、静かで熱いキスをし、胸に抱きしめた。
「もう止まらないぞ。どんなにいやがっても、泣き叫んでも」
「止めたら許さない……」
 頬を伝う涙は、嬉しさの表現だった。


 亜裕美の、ふくらみの下の鼓動は、はち切れそうなほど高鳴っていた。
 両手両足を、純の持ってきた帯によってベッドに固定された、完全な大の字。今の彼女に、自分の体を隠す術は、一切ない。
 その側に腰かけた純は、姉のおなかをさすりながら、たずねた。
「……どうだい? 縛られた気分は……」
「やっぱり……、ちょっとコワいかも……」
「ふーん」
 純は、おなかをさすっていた手を下に移動し、いきなり彼女のひだに親指を埋めた。
「あひゃあっ!」
「『あひゃあ』だって、『あひゃあ』。かっわいー」
「や、やあん……」
 思わず出てしまった素っ頓狂な声が恥ずかしくて、亜裕美は子供のように首を横に降った。
「だ、だって、あ、いきなり指、ああん!」
 純は、顔を亜裕美の顔に近付けた。
「んじゃ、こっちなら、どんな声を出すのかな?」
「え? ……あ! や! や! 顔見ちゃやぁ」
「そのかわいい口から、今度は……」
 言うと同時に、中指をギュッと後ろの穴に押し込んだ。
「きゃううっ!」
「あははー。『きゃうう』かー」
「いや、あ、あん! はず、恥ずかしい……! 恥ずか、あぁ!」
「そのわりに、腰動いてるじゃん。グショグショにしてるし」
「か、勝手に……あ! あ、あ!」
「っと、ここまで」
 純は、あっけなく、彼女から指を抜いた。
「あ、ああ……」
 亜裕美は、あきらかに物足りなさそうに、腰をモジモジさせた。
 そんな彼女を横目に、純はリュックから缶ジュースと、ある錠剤を取りだした。
 そして、ジュースと錠剤を口に含み、口移しで亜裕美に飲ませた。
「ん……? な、なに今のは?!」
「へへ……。これだよ」
 純が見せたのは、薬のパッケージだった。そこに書かれていた文字に、亜裕美は青ざめた。
「利尿剤!?」
「ぴんぽーん」
「ば、ばか! やめなさいよ!」
「やめなさいって……、飲んだ後じゃ、どーしよーもないじゃん」
「そんな……!」
「どうしても、亜裕美のオシッコ姿が見たくてねー」
「そんなっ。それなら、ト、トイレで見せてあげるから! ほどいて!」
 必死の哀願に、純は舌を出した。
「ここがいいんだもーん」
「やだ! ベッド汚しちゃうよぉ……」
「いいじゃん。前だって……」
 初めて亜裕美と純が体を交わした時、彼女は自分のベッドの上で漏らしたのだ。
「あの後、マットレスにシミが出来ちゃったんだから! だから……うあ!!」
 突如、猛烈な尿意が彼女を襲った。手足が固定されて、抑えることもできない。
「だ、だめ……! お、お願いぃ……!」
「いいなあ。オシッコを我慢してる顔も」
「やぁ……、やぁぁ……、だめぇ……」
「大丈夫。シーツは汚れないから」
「でも……! んんうっ!」
 目を口をギュッと閉じて、奥歯をくいしばって、亜裕美は耐えた。
「じゃ、そろそろ……」
 と言って、純は両手で彼女の腰を抱き、顔をその股間に埋め、口を秘部にピッタリと着けた。
「うそっ! や、やめ……んんっ! ……やめて、やめて純……!」
 しかし純は、やめるどころか、舌でピンクの突起をもてあそんだ。
「はあん! いや! いや! いやぁ! ……っんん!! もうダメぇー!」
 亜裕美の全身が激しく震えた。
「出ちゃうぅぅ!」
「!!」
 純の口の中に、熱くて黄色い液体が、音をたててほとばしった。純はそれを、どんどん飲んだ。
「やあぁ……、飲まないでぇ……」
 飲み込む音が、彼女の耳に容赦なく響く。
「止まらないよぉ……」
 それでもようやく勢いが弱まり、やがて最後のひとしずくをこぼして止まった。
 純は残りを吸い上げ、口を離して丹念にその部分に舌をはわせた。
「う……ううぅ……」
「ふう。おいしかったぜ、亜裕美」
「やだぁぁ……」
 涙をボロボロこぼして首を振る亜裕美。を抑えて、純は唇を重ねた。
「んむ!」
「…………」
(私のオシッコを飲んだ口……)
 最初はいやがった亜裕美だが、自分から舌を入れて、純の口中をなめた。
 少し経って、二人の唇が、唾液の線を残して離れた。
「おいしいだろ?」
「…………」
 真っ赤な顔で瞳をふせながら、亜裕美はコクンとうなずいた。
「よしよし。じゃ、スッキリしたところで……」
「! ま、まさか今度は……!?」
「へ? ……ああ」
 純は、ニガ笑いした。
「さすがにアッチは……、いいかもな。亜裕美のその時の顔ってのも」
 亜裕美は真っ青になって、無駄な抵抗をした。
「や、やだ! それだけは許して! 本当に許して!」
「冗談だよ。浣腸なんて出さないから。そこまでの趣味はないって」
「ホント?」
「ああ。次に出すのは……これこれ」
 ピンク色でまがまがしい形の棒――バイブレーターだった。
「あ……」
「欲しいだろー」
「そんな……、純のがいい……」
 素直な姉のセリフに若干赤らみつつも、純は言った。
「ま、まあ、そう言わずにさ、ほーら」
「あん……」
 亜裕美の溝にそって、バイブが上下に動いた。小水じゃないものが、そこからジワッと溢れた。
「んん……ぅ。じらさないでぇ……」
「だろ? じゃ、ほら……」
 純は、それの先端だけを挿入した。
「はぁ……ん。も、もっと……もっと深くよぉ……」
「そんなに欲しいなら、自分でくわえこんでみなよ」
「…………」
 閉じた目から涙をこぼしながらも、亜裕美は懸命に腰を動かした。
「ん……、んん……」
「ほらほら。落ちそうだぞー」
「はっ、はっ……はあぁ……。できないよぉ……」
 腰の動きが止まったところで、純はバイブを根元まで射し込んだ。
「あうっ!」
 さらに純は、バイブのスイッチを、最強レベルで入れた。激しい振動が、亜裕美の中で暴れる。
「んはっ! あ、ああ! あはぁっ!」
 亜裕美の顔が恍惚となり、口から歓喜の声が漏れた。
「いいみたいだな。ヨダレでベチョベチョだぞ」
「あ、んん! んう! ふぅん!」
「聞いてないなぁ……」
 じらされたことで、興奮が高まりきっていたのだ。
 そんな姉を見ながら、純はコッソリと彼女の足の戒めを解いた。が、亜裕美に気付いていない。
「ああ! あああ! い、ううっ!」
「ま、そんだけ喜んでもらえると、苦労して買った甲斐はあるけど……」
 と言いながら、彼は彼女の両足首を持ち上げて、グイッと前に倒した。
「あ?!」
「少しは俺も楽しませてくれなくちゃ」
「あ……や! やあ!」
 胸も、バイブの入ったそこも、後ろの穴も、そして汗と涙と唾液にまみれた顔も、すっかり純にさらすポーズだった。
「見な、ああ! 見ないでぇ!」
「今さらだなぁ。こんなに腰をヒクヒクさせといて」
「だって、あ! こ、んな、ああ! 格好……うっ!」
「まんぐり返しって言うらしいね」
「やあぁ……ああっ!」
 もちろん、両手はつながれたままだから、隠すことも、純の手を払うことも出来ない。
 純は片腕で彼女の両足を抑えると、残りの手でその後ろの穴をこじあけた。
 空気の感触が、彼女に、そこが奥まで見られていることを伝えた。
「そ、そこダメェ……、あ、あん!」
「ひさしぶりだな……っと!」
「うあぁっ!」
 純の指が強引にねじ込んで、中をデタラメに動き回った。
「ふぅぅっ! うあ! や、やめ……ひぃっ!」
「どうだい? 義兄さんにちっとは開発してもらったの? ここは」
「や、やだぁ! そこいやぁ! ああ!」
「なんだ全然か。久しぶりじゃ、キツいかもな」
 純は指を抜き、亜裕美の足を両手で抑え直した。
「……! だ、だめ! だめよぉ!」
 そこにあてがわれたモノの感触に、亜裕美は何をされるのか理解した。
「大丈夫だって。一回したんだから。前よりラクなハズだぞ。これだけ汗で濡れてるし」
「でも、あ! よ、四年前にしたっきりで、うう!」
「いくぞ!」
 前はバイブレーター。そして後ろは純のモノで、すっかり埋められた。
「ううううっ!」
「ほら。入った。入ったじゃないか」
「う、ふぅ! んん、っくぅ……、ああ!」
 苦しそうに歪んだ亜裕美の顔が、純の腰が動くと、アゴをつきだすように大きく反れた。
「はああ! ああ! ああ!」
「こっちの……、しまりも……、昔どおりだな……、くぅ」
「はうう! も、もっと! もっとぉ! 純ぅ!」
「はは! よーし! ほら! ほら! ほら!」
「あああ! いい! いいの! いいのぉ!」
 バイブのすき間から、熱い蜜が噴き出す。
「気持ちいいよ亜裕美! やっぱりお前が最高だ……!」
「んふぅ! ふあぁっ! すきぃ! すきぃぃっ!」
「ほら! いっちゃえ! いっちゃえ!」
「いい! いいぃっ! 狂っちゃう! 狂っちゃうぅぅ!」
「俺も……! 狂いそうだ……! もう……も、う!」
「……! ……! ……!」
「くぅっ!」
 絶頂の瞬間、純は亜裕美に刺さっていたバイブを、一気に引き抜いた。
「かはぁっ……………………っ!!」
「ぉ…………っ!」
 体がバラバラに引きちぎれそうになるほどの、最絶頂の中。
 亜裕美の足首を握り締め、信じられない量の白濁を亜裕美の体内に放出した、純。
 固定された手を限界まで開き、涙と唾液をとめどなく流す、亜裕美。
 二人は、もう二度と動かないかと思うほど、そのままだった。


「……っはあ! はあ、はあ……」
「…………」
 純は、亜裕美の足を、そっとベッドに戻した。
 そして、手の戒めも解いた。
 それから、亜裕美の頬にかかっていた髪を、やさしく撫で取った。
 その頃になって、ようやく余韻の納まった亜裕美が、今まで閉じていた目をうっすらと開けて、言った。
「キスぅ……」
「ん? ああ……」
 まだ両手を開いたままの亜裕美の、汗と涙にまみれた両頬をそっと包んで、純はゆっくりと優しいキスをした。
 キスを終えても、亜裕美はトロンとしたままだった。
「幸せ……。好きよ純……」
「…………」
 生まれたままをさらけだして、自分に愛をささやく彼女の姿に、純は奥底から込み上げる衝動を抑えきれなくなった。
「ああー! もう!」
「! な、なに?!」
 純は、驚く亜裕美に力一杯抱きつき、慟哭した。
「どうして姉弟なんだよ! 身も心もひとつなのに! こんなに愛しあってるのに!」
「!……。……そうだね……、ホントだね……」
「なぜ許されない?! なぜ、許されないって思っちまうんだ!」
「ホント……だね…………」
 抱き返した亜裕美の声にも、涙が混ざった。
「どうして……かしら……ね…………」
 どんなに言葉をゴマかしても、世間はあざむけない。
 それが、わかりすぎていた。
 忘れることが、ついに出来なかった。
 それが、彼女にその言葉をこぼさせた――

 シノウカ?

「……! だ、だめだ!」
 純は亜裕美を離して、上半身を起こした。
「何を言ってるんだ姉ちゃん! 馬鹿なこと言うなよ!」
「だって……。あなたと結ばれないなら、ずっと一緒でいられないなら……」
「だめだ!!」
 怒鳴りながら、亜裕美の両肩をつかんだ。
 亜裕美の、おびえたような、疲れ果てたような瞳をまっすぐに見ながら、純は言った。
「……二人だけじゃないだろ、俺達は」
「…………彩香?」
「そうだ。“俺達の娘”だ」
「あ……! ああ……」
 亜裕美の瞳に、さらに涙があふれた。
「うれしい……、純……」
「……ん、んまあ、そういうことだからさ」
 今になってテレくさくなった純は、亜裕美から離れ、背をむけるようにベッドの端に座った。
「うん……、うん!」
 その背中に、亜裕美はしがみついた。世界中の幸せを独り占めしたような顔で。
「私、一生懸命あの子を愛して、育むわ。誰にも負けない、地球で一番きれいで、優しくて、正しい女の子にするんだから!」
 とまで言って、ふと思い付いてニッと笑い、純の背に頬を押しつけた。
「……でもダメよ、娘には手を出しちゃ」
「う」
 冷や汗を上から下へ流した純は、なんとか余裕を取り戻して、言い返した。
「ね、姉ちゃんこそ、ちっとは義兄さんも愛してやれよ」
「べーだ。言われなくたって、広樹さんのことも愛してるよーだ」
「はは……、あれ? 姉ちゃん?」
 ふと顔をあげて、純はジッとした。
「……泣いてねーか? 彩香」
「え……、ああ! こんな時間! ミルクだ!」
 亜裕美は大慌てで跳ね起き、ダッシュで寝室を出ていった。
「お、おいおい姉ちゃん! これ! せめてコレ!」
 亜裕美のショーツを握り締めて、純も後を追った。
 だが、そういう純も、トランクスを置きっぱなしだ。
 とっさの行動が似てしまう。
 さすが、姉弟である――


おしまい



【後書き】

 書いてしまいました。あ・れ・ほ・ど「続編はなし!」と豪語していたクセに、へいちゃらで書いちゃいました(^^;)。
 何とでも言うがいい。私は書きたかった。それだけなんだ。ああ満足(^^;)(^^;)。

 いや、こうして書いてみて、本当の意味で、完結できたかもと思ってます。
 亜裕美の嫁ぎ先の名前も判明しましたし、子供の性別も判明しました。「さやか」というネーミングにふきだした方もいらっしゃるでしょうが、まさにそれが由来です(わからない人はおいてくよー(^^))。ちょっといいかげんかしら?

 そして、シャーについても、今回のが、私の書きうる究極だと思います。どうすればこれ以上になるだろう? アイデアのある方は
ご一報ください。このシリーズはもう、今度こそもう書きませんが(;;)、別の作品に盛り込みたいので。
 なんせ好きなんですよ、シャーが。出るモノが、じゃなくて、出してるその表情が、ね。
 さあ、素敵なシチュエーションを思い付いたあなたの応募を待ってます!(^^;)

 さ、さて(^^;)、この作品は、これ以上物語を進めても、今度こそどーにもならないでしょう。作者としても、気持ちの整理がつきました。心置きなく、思い出にできそうです。本当に、書いてて楽しいカップルでした。シリーズの1話目を書いた時に、ここまで話がふくらむとは想像も出来ませんでしたよ。ありがとね、亜裕美、純(^^)。

小説(転載)  遠くにありて・特別編 恋

近親相姦小説
04 /01 2019
※本作品は、拙作「遠くにありて」シリーズの、「リアリティ」と「ANSWER」の中間に位置する内容です。
 本作品だけを読んでも理解できないと思いますので、あらかじめご了承ください。



「はぁんっ!」
 亜裕美(あゆみ)はガクンとあごを反らせ、紅潮した顔から汗を飛び散らせた。
 カーテンのすき間から差し込む月光が、彼女の全裸をはかなく照らしている。
「はぁ……あ……はん…………。広樹(ひろき)さん…………」
「…………」
 広樹は、亜裕美の股間から顔を上げると、手の甲で唇を拭いながら、言った。
「……どうする?」
「え……?」
「彩香(さやか)をさ……“お姉さん”にするかい?」
「…………、ん……」
 遠回しな発言の意味を、白くモヤがかった頭の中で、ようやく理解した亜裕美。
「……まだ早いよ」
「そうか? 年の近い妹か弟って……ああ、亜裕美と純(じゅん)君がそうだったね」
「う、うん……。あまり年が近いと……大変よ……」
 大きく開いていた彼女の足が、ほんの少し閉じる。
「色々……と……」
「わかったよ。じゃ、ちゃんと“着ける”としよう」
 そう言って広樹は、ベッドの引き出しから四、五センチ四方の薄い包みを取り出した。
 ベッドの端で背を向けてゴソゴソしている夫を見ながら、亜裕美は心の中でつぶやく。


(彩香にはなってほしくないもの。愛する夫に抱かれながら……足りなさを感じる女には……)



(純………………)




遠くにありて・特別編










 春の終わり。
 温かいと思っていた陽射しに、わずかな暑さを感じる、そんな時期だった。
「おぅい、桜庭(さくらば)ー!」
 新築・一戸建。その建築現場に、野太い声が響く。
「はい!」
 白いヘルメットを被っている十八歳の少年が、それに答えた。
 純である。サイズが大きいのか、ヘルメットがやや目深気味だ。
「何ですか、親方」
「ああ。今日はこの辺にしておこう。道具を積んじまってくれ」
「え? まだちょっと……早いんじゃないですか?」
 身長は純より少し低いが、ガッシリとした筋肉質な体格の、親方と呼ばれた男は、口の周りを覆っているヒゲの間から、白い歯をのぞかせた。
「いいんだよ。今日は……ホレ」
「え……」
「親方ー! んじゃお先にー! また月曜に!」
 他の社員達が、ヘルメットを取って会釈しながら、親方の横を過ぎていく。
「おう、お疲れ! さぁホレ、お前もさっさと支度しろ」
 そう言って親方は、純の肩に手を回した。
「お前さんが来てちょうど今日で一年だろ。パーティするんだとよ、ウチのやつらが」
「! そ、そんな……えー?」
「だーっはっはっは!! ホレ行くぞ! 主役が遅れちゃシャレにならねぇからな! はっはっは!」
 高笑いしながら自分の帰り支度を始める親方。
 ヘルメットを脱いだ純は、量の多い髪をバサッと一振りすると、苦笑いをこぼした。
(一年か……)


――俺が家を飛びだして、もう一年になっていたとは、驚きだった。
 こんなガキで、それも得体の知れないガキを快く雇ってくれた親方には、感謝してもし足りない。
 仕事どころか、下宿までさせてくれて。寝具にテレビ、服まで与えてくれた。
 もちろん、その分仕事はキツい。俺だけ特別キツくされてるわけじゃないけど。
 最初の頃は、資材の重さに震え、足場の高さに怯え、夏は暑い、冬は寒い……。
 でも、そうやって仕事に没頭し、そして疲れてドロのように眠ることができて……。
 忘れることはできなかったけど、悩むこともなかった。
 気づけば……そう、一年も経っていたんだ……――


 満月に照らされた親方の家は大きく、純を三、四人泊めるくらいの広さはある。敷地も広く、家の隣にはトラックも停められる車庫や、資材置き場もあった。
「一年なんてあっと言う間だなぁ、はっはっは!」
 その家中に、親方の大笑いが響いた。
 パーティとは言っても、親方の家族プラス純だけがメンバーで、パーティ料理は焼き肉である。
 明日が日曜ということで、親方は瓶ビールをどんどん空け、今は日本酒に切り替わっている。
 純はノンアルコールのドリンクだった。酒が飲めないわけではないが、苦手ではあるのだ。
 そんな純のかたわらに座って、それを酌する少女がいた。
「純ちゃん。もうおなかいっぱい?」
「あ、うん。そうだね」
「ふふっ。じゃ、アキの部屋で遊ぼう!」
 少女の名は、アキ。漢字で書くと、亜季となる。純より六歳も年下だ。
 髪の両脇をリボンで短くしばっていて、年相応の可愛らしさを醸しだしている。親方に似なくてよかったねと、誰もが思うほどである。腕まくりした白いブラウスと、ジーンズ生地のミニスカートが似合っていた。
「おいアキ。桜庭は疲れてるんらぞ。おまいは早く寝らさい!」
 酒気帯びのオクビ混じりにそう言われて、わかったとうなずく年頃の娘なんていない。
 純は、気を使った。
「ま、まあまあ親方。俺、そんなんでもないですよ。じゃ、アキちゃんの部屋に行こうか?」
「そうしよ。べーだ」
 “べーた”は、もちろん父親宛。だが受け取った父も、せいぜい苦笑い程度で、妻が持っていた追加の肴を相手に、もうニンマリしていた。
「ったくションベン娘が、色気づきやがってぇ……」
 などとブツブツ言いながら。


「純ちゃんが来て、もう一年なんだもんね」
「そうらしいね」
 亜季の部屋。どこかもってまわった純の言い回しに、ベッドの端に座っていた亜季は、クスッと笑った。
「純ちゃんってば、一年前と変わらないねぇ。でも、ちょっと明るくなったかな?」
「そうかい? ん……そうだね」
「ま、陰りのある純ちゃんも、けっこーカッコよかったけどさ」
「…………」
 純は思った。“陰り”なんて言葉、このコにとっては、単なる飾りなんだな、と。
「どうしたの、純ちゃん」
「ん? いや」
「……純ちゃんも、こっちおいでよ」
「はいはい」
 お招きを受けて、純は亜季の隣に座り、ベッドをきしませた。
「ねえ純ちゃん。……あたしは、どぉ? 一年経って」
「え?」
 正直に言うなら、とりたてて感想はない。だが、それをそのまま言うほど、純は馬鹿じゃない。
「うん……女っぽくなったんじゃないかなーなんて」
「あははっ。テレちゃって、かわいーの」
「なんだよぉ」
 苦笑いが交差し、ちょっとだけの沈黙の後、亜季は切り出した。
「ねぇぇ、純ちゃん……」
 純は、来たな、と思った。このタイミングで亜季が「ねぇぇ」と切り出す時は、決まってセックスがらみの何らかを純に質問したり、意見したりするからだ。
 最初はどう受け答えすればいいのか迷っていた純も、今ではそれなりにあしらえていた。
 どうして男の子のオチンチンって立つの? 電車で揺られるだけでも立つ時は立つんだよ。 へぇー。 もちろんエッチなコトを考えてもね。 あはは!
 だから純は、いつもの調子でこう返事をした。
「なんだい?」
 しかし、今回の亜季は、質問ではなかった。
「アキの胸に触って」
「……え?」
 “ムネ”とよく似た発音の何かかと、純は思った。腕……かな?などと。
「亜季ちゃん。ごめん、聞こえなかった」
「胸よムネ。触って」
「…………」
「触ってってば! いいから!」
「……だめだよ、そんな」
「いいから!」
 女の子がこの調子で「いいから」を繰り返す時、それは望み通りにするまで止まらないという意味だ。
 純は、亜季の白いブラウスの胸元に、手を重ねた。
「……もっと押し付けて」
「…………」
 純の手のひらに、トクン、トクンという柔らかな鼓動が伝わる。
「成長したでしょ」
「……わからないよ」
 苦笑いで、純は続ける。
「触ったの、初めてなんだからさ」
「うー……で、でも、膨らんでるでしょ? アキの胸」
「だね。柔らかいよ」
「…………」
 亜季は、そっとうつむいてしまった。
「……冷静なんだね、純ちゃん」
「え? そうかな」
「アキは……」
 小さく細い手が、純の手をさらに白いブラウスに押し付ける。
「アキは、こんなにドキドキしてるんだよ?!」
「…………」
「きっ……嫌いな男の人に、こんなことさせると思う?!」
「あ、亜季ちゃん。だめだよ、そんな……。親方に……悪い」
「……………………」
 うつむいていた亜季は、ゆっくりと顔をあげ、その表情を純に見せながら、言った。


「うそ。悪いと思ってるのは……アユミさんに対してでしょ?」
「!!」


 窓の外は、真っ青な月明かりに満ちていた。
「…………」
「…………」
「…………姉貴だよ、亜裕美は」
「うそ。言わないもん、普通。寝言でも、弟が姉に対して『アユミ……行くな……』なんて」
「っ…………」
 家族同様に迎えられている純。例えばソファでのうたた寝など、機会はいくらでもあっただろう。
「彼女でしょ? わかってるんだから。フラれたんでしょ?」
「!!」
 純の怒りは、拳を握るに留まった。
「やめるんだ亜季ちゃん。そんな言い方……よくないぞ」
「アキは、純ちゃんをフッたりしないよ!」
「…………」
「だから……」
「…………」
「…………!」
 ボタンを外す音。ブラウスがベッドに落ちる音。その下のTシャツがめくれる……気配。
「いいんだよ……。純ちゃんだから……」
「っ!!」
 もう、拳を握るだけでは済まなくなった。
「いい加減にしないか、亜季! 好きになってくれるのは嬉しいけど! だからってさ!」
 純は、亜季の両肩をつかんで、怒りをぶつけた。
「なぜそうやって体を開く!? どうして好きだからって、そうなるんだよ!」
「だって!」
「だってじゃない! そんなの恋じゃないだろう?! ただのリビドーだ!」
「え……? リビドー?」
「…………性欲のことだよ。単にセックスしたいってだけの……エゴな欲望さ」
 亜季の肩から、純の手が離れる。
「……ごめんな、亜季ちゃん。乱暴にして。おやすみ」
「……………………」
 静かにドアを閉じ、亜季の部屋を出ていった純は、
(…………亜裕美……)
 亜季の胸に触れた手を、ジッと見つめた。


 同じ夜。スキンを着けた広樹は、正常位で亜裕美と重なっている。
「あっ……あはっ……んっ……んっ……」
 亜裕美のショートな髪が、枕の上で舞っていた。
「あああ……んん、んああっ」
 激しく揺れる、彼女の豊かな胸。
「あっあっ……ああー……あ、ひろ……きさん……」
「ん? どうした?」
 動きを止める広樹。
「はぁ、はぁ……あの……ね……」
「ん?」
「背中……痛いの……」
 枕に顔を埋めるように横を向く亜裕美の表情は、それが嘘だと語っていた。
 痛いわけではないが、始めてからずっと、背中がベッドに着きっぱなしだと言いたかったのだ。
「あ、ああ。そうか……じゃあ、亜裕美……」
「うん……」
 亜裕美はコロッとうつぶせ、そして、膝と手のひらをベッドに着けた。
「亜裕美……」
 広樹は、亜裕美の滑らかな曲線を描くヒップをひと撫でしてから、再度挿入する。
「あはぁあっ! ……あん、あっ、あっ……ん……」
 肌と肌がぶつかりあう音。合わせて聞こえる、ニチャニチャという音。
「んっ…………んんんっ……! ……!」
「……?」
「…………んふ! んぅ、んぅ……」
「…………」
 広樹は、亜裕美が声を殺しだしたことを、その理由を聞こうとして、やめた。
 時折情事の最中にするクセだからだ。
 それに、必死で声を殺してる様子も、愛らしかったからだ。
 理由は残酷なのだが。
(声を出すなよ)
 亜裕美は、歯を食いしばった。
(だめ……出ちゃう……。せめて……手で抑えさせて……)
(だめだ。そのままで声を我慢するんだ。じゃないと、やめちゃうぞ)
(そんな……)
 亜裕美のひとり想いとなっていた。すでにそれは、セックスではなかった。
(よしいいぞ。声を出すなよ……姉ちゃん)
(もうだめぇ。イッちゃうぅ)
「んん! んん! ん……ん、ん、ん、んん!」
「亜裕美っ、そろそろ……はぁ! はぁ! はぁ!」
「んう! んっくんぅ! い……んんん!」


(イク…… 純……)



 日曜の朝。雲一つない空だ。
「……ちゃん」
「んん……」
 誰かに呼びかけられ、純は眠そうに布団をかぶって寝返りを打った。
「純ちゃん」
「……んあ?」
 声の主が亜季だとわかり、純はガバッと起きる。
「…………」
「…………」
 見つめあう二人。が、亜季が吹きだしたことで、静寂は破られた。
「やだ、スゴい寝グセ!」
「あ……ああ」
 髪の量が多い純は、人よりも朝の調髪に時間がかかる。
「……おはよう、亜季ちゃん」
「おはよ、純ちゃん。朝ゴハンできてるよ……」
「ん……、?」
 亜季の目線が、自分の股間辺りに向けられていると気づく。で、今は寝起きだ。
「……亜季ちゃん……」
「! あ、あはは! ごめんね。じゃ!」
 男の生理現象とはいえ、布団を持ち上げるほどの“元気さ”に、純は苦い笑いをこぼした。
 部屋を出ていこうとした亜季は、そんな純に、顔を少しだけ振り向かせて、言った。
「……昨日はごめんね」
「……いいんだ」
「じゃ……先行ってるよ」
 パタリと閉じたドア。
 それを見つめながら、純はひとりごちた。
(いいんだよ。もう……止まらないってわかってるから。だから……)


 街で過ごす日曜の午後。
 買い物を済ませた純は、歩道橋の真ん中で、にぎわう街を眺めていた。
 カップルが目につく。
 彼氏に腕を絡ませ、幸せそうな顔をしている彼女。
 あの二人に、どんなドラマがあったんだろう。
 告白に始まって、交際を積み、唇を重ね、体を求めあって……。
 別のカップルが見えた。
 あの二人に、どんなドラマがあったんだろう。
 幼なじみの延長で恋愛となり、唇を重ね、体を求めあって……。
 あの女の子も、この女の子も。
 この沢山のカップルの中に、姉と弟という関係はいるのだろうか。
 同じように姉を持つ男の友人は言っていた。姉なんかそんな目で見れるか、と。
 パンツだろうが、裸だろうが、姉は姉であって、姉以外のなにものでもない。
 それが他人だと、亜季のように、同じ屋根の下というだけで、そんな気持ちになる。
 たぶん、それだけが理由だと思う。
 恋という字は、変という字に似ている。
 ヘンなんだろう。
 自分が変になっている。こう言うのを避けるために、ココロなんて文字をくっつけたんだ。
 恋はシタゴコロ。
 それだけのことなのに。
 抑えられないほどの気持ちになっちまう。
 離れて、なおそう思えてくる。
「遠くにありて想うもの……か……」


 空は青から赤へ、そして闇へと変わる。
 真夜中と呼ばれる時間だ。
 眠れずにいた純は、布団の上で小説を読んでいた。
 かすかなノックが聞こえる。
『純ちゃん。……アキだよ』
 なぜか純は、やっぱりと思った。
「……どうぞ」
『開けて』
「…………」
 だから純は、開けたドアの向こうに、全裸の亜季を見つけても、驚きはしなかった。
「純ちゃん……」
「…………」
「一緒に来て」
「…………」
「じゃないと、大きい声出すから」
「…………」
 純は亜季についていった。
 資材置き場には、緩衝材の上に毛布を敷いた、ちょうどいいスペースが用意されていた。
 どこまで冷静で、どこまで冷静じゃないのか。純の心が苦笑った。
「……やっぱり、純ちゃんに抱かれたい」
(肉体の快楽をむさぼりたいんだろう?)
「だって……好きなんだもん」
(ちょうどいいんだろう?)
「……初めては、好きな人としたいの」
(初めては、な)
「純ちゃんが昨日言ったことはわかってる。わかってるけど、でも……」
(わかるわけないんだ)
「来て、純ちゃん……」
(さっさと私を気持ち良くしろ……)
 純は、亜季にキスをした。
「ん…………」
 唇を離し、トロンとしている亜季に向かって、純は言った。
「俺のやり方を……受け止められるか?」
「え……?」
「俺が亜裕美にしてきたこと。そして、今俺がここにいること。この二つの意味……わかるか?」
「…………」
 亜季は、目を閉じた。
「…………よし」
 純は、亜季の両肩をつかんだ。
 その手をスゥッと下に降ろし、今度は両のヒップをキュッと握る。
「んっ……」
 ヒップをかきわけつつ、純の手はどんどん潜り、底にあった蕾に指先をあてる。
「っ! あ……そんな……」
 構わず、純はその指をグイッと沈めた。
「うあ! や、やぁ! そんなトコ……やぁん!」
「俺のやり方がイヤか」
「!! で、でも……う、うあぁ……」
 純にすがりつく形で、ビクッ、ビクッと震える。
 純の指は蕾から抜け、そのままたどるように前に進んだ。
「あ……あっあっ……あっ……」
 やや汗ばんだ柔らかな感触。肉の壁と壁にはさまれたすき間。
「あ……はぁ……う……」
「…………」
 声から、嫌だという音が消えた。
 やはり指の動きにあわせてピクピクしているものの、身のよじり方がさっきとは違う。
 さらに、湿り気が帯びてきた。
(!! …………)
 純は指を、そして体をも離した。
「あ……純ちゃぁん……」
 うっとりした、イヤらしい目だ。
 純の目は冷たい。
「……オシッコしてみせろよ」
「え?!」
「オシッコだよ。さぁ」
「えー……」
 戸惑う亜季。
 上目遣いに純を見て、その口元は。
「……ふふっ」
「!?」
 亜季は、その場にしゃがんだ。
「見える? 純ちゃん」
「…………」
「じゃあ……、んっ」
 音と、かすかな湯気が立った。
 亜季の幼い割れ目から、黄色い雫が放物線を描いてほとばしる。
 いったんそれに目を落としていた亜季が、またも純を上目遣いで見る。
 したまま。
「ほら、してるよ、亜季」
「…………」
 最後のひとしずくが終わる。
 亜季はそのまま立ち上がり、毛布の上に、足を開いた格好で座った。
「……どうだった、純ちゃん」
「…………」
 純は何も感想を返さないまま、亜季に歩み寄った。
 亜季の前にかがみ込み、亜季の両足を握って持ち上げる。
「あん」
 左右に開かれた足の真ん中に、顔を寄せる。
「……あ! ああん、だめぇ、汚いよぉ」
「…………」
 純の舌が、彼女の花びらに着いていた露を舐め取っていく。
 だめといいつつ、一切の抵抗をしない亜季。
「……!」
 純は舐めるのをやめ、亜季の上に覆いかぶさった。
「あ……」
 そして、またも指で亜季の過敏な部分を攻めた。
「あ……ん! あ! ううん! ん……っ」
 窮屈なところへ、無理に指を侵入させる。
「……! い、痛! 痛い! 痛いよ純ちゃん!」
「…………」
「痛いってば! ねぇ!」
「うるさい!」
 純は、これ以上ないという目つきで、亜季をにらんだ。
「これが俺のやり方だ! 嫌か!」
「っ……」
 まず亜季は怯えた。
 手軽に流れる情報では決してわからない、男の激しさに。
「…………」
 次に亜季は葛藤した。
 それでもするものだという観念と。
 結果、亜季の目を閉じさせ、その言葉を発せさせた。
「……いいよ。我慢するもん」
「!!」
 怒りの震え。
 しかしそれは、水面の波紋が徐々に消えていくように、収まっていった。
 純と亜季の体の距離が、離れた。
「! 純ちゃん?」
「…………」
「どうしたの? 我慢するってば」
「…………」
 どんどん離れていく。
「ねぇってば! 我慢するって言ってるじゃない!」
「…………」
「どうして?! 続けないと、大きい声出すよ!」
 ようやく立ち止まる純。
 振り返って、言った。
「出せよ」
「っ……」
 そして、さらに距離が開く。純の足は、一歩ずつ亜季から離れていく。
 が、ふいに立ち止まって、純は最後の言葉を投げ捨てた。
「我慢される覚えはない」
 ただの言いがかりであることは、純が一番わかっていた。
 亜季が、少し大きな声で言った「バカァ!」というセリフは、純の背中だけが聞いた。


――部屋に戻ると、親方が待ちかまえていた。酒飲みは夜中に喉が渇くんだそうだ。
 整頓しつくした部屋を見渡して、親方は、俺は構わないんだぞと言った。
 亜季ちゃんが原因ではないですと言うと、少しの無言のあと、処女だったかと聞いた。
 確かめていませんが、多分そうですねと答えると、息をついてそうか……と言った。
 帰るんだな、と言った。
 はい、と答えた。
 後のことはまかせろという言葉と、精算した俺の給料入りの茶封筒を置いて、親方は立ち上がった。
 どうしてなぐらないのだろうと思った。
 親方が背中越しに、朝には行っちまうのかと、最後の質問をした。
 俺はそのつもりですと答えたが、涙が混ざってしっかり発音できなかった――


「はぁ、はぁ……ふぅ」
 性交を終えた広樹は、亜裕美の隣で仰向けになった。
 少し間を置いて、亜裕美は体を起こした。
「ん?」
「シャワー浴びてくる」
「ああ」
 浴室。温かいシャワーが、亜裕美の全身を濡らす。
「……………………」
 頭からシャワーを浴びていた亜裕美は、ふと目線を下に降ろす。
 そして、静かに目を閉じる。
「…………んっ」
 少し開いた足の間から。
「…………」
 シャワーにまぎれて、そうとはわからない。
「…………」
 亜裕美の足下で、雫がパシャパシャと音を立てる。
 顔がゆっくりと上がり、そして小刻みに震え。
「…………」
 目が、シャワーのしぶきの中で開いた。

(純……)




 始発の電車の中で、純はゆっくりと考えた。

 体が踏み荒らしたものを、心で直せるなら。
 それをそう呼ぶのかも知れない。
 シタゴコロではなく。
 心が支えるもの。

 たとえ、実の姉であったとしても。



(亜裕美……)



「遠くにありて・追章/ANSWER」につづく




【コメント】
 「リアリティ」と「ANSWER」の間には、物語的に二年の月日があります。
 今回の話は、そのうちの後半一年の物語でした。
 前半の一年と後半の一年の境目にあった出来事は、彩香の出産です。

 さて、ちょっと漠然とした内容だったかもしれませんね(^^;)。
 Hシーンの量は、実は今まで書いた作品で一番なんです。でも、Hシーンに求めているファクターが違っているため、官能小説としての役割はどこまで果たせているか……果たせてない気もしてます。
 最近そうなんですよねぇ(^^;)。特に亜裕美シリーズともなると、自分の中でも存在の大きいシリーズ故、単純に亜裕美によるイヤらしさだけを描けなくって。
 少なくとも、ストーリー部分とH部分があって、H部分のところを

(以下Hシーン)

 で済んでしまうものにはしたくないって(^^;)。だからといって、Hシーンの最中にストーリーを展開させるのも、Hシーンそのものを殺してしまう……と昔ある漫画家が述べていたのがそのままだと思いますし。
 例えば、同じ乳を揉むのにしても(^^;)、包むように優しくするか、乱暴に握りしめるか。で、なぜそうするのか、そういう必然性のある描写がしたいんですよね。
 Hのルーチンワークにならないよう。
 思えば私のH小説で挿入が少ないのも、その辺りなんでしょうね。

 ……だから、よしなさいって。後書きでクドクドと(^^;)。


 お久しぶりの亜裕美&純でした♪ ども♪

小説(転載)  リアリティ ~遠くにありて・完結編~

近親相姦小説
04 /01 2019
(そっか……。まだ二年しか経ってないんだ……)
 片手のグラスをながめながら、十六才の桜庭 純(サクラバ ジュン)は、ふと思った。
 居間のソファの、自分の横に座っている女性との、甘美な、許されない夜の事を。
「……? なに?」
 自然とグラスから移っていた純の視線に、彼女は気が付いた。
 桜庭 亜裕美(アユミ)、十九才。純の、姉だ。
 黙っていれば、純のほうが年上に見えるほど、彼女にはあどけなさが残っていた。
「ん……」
 一瞬合った視線を、窓側に反らせた彼は、
(カーテンが半開きだな……)
 ソファの前にあるテーブルに、グラスを置いてから、正直に答えた。
「あれから、まだ二年しか経ってないんだなって、そう思って」
「! ば、ばかね!」
 そんな返事に、カーテンを閉めた純は、内心で首をひねった。
(……よく、俺の考えている事が、すぐわかったな……?)
 が、それを姉に問うような真似はしなかった。
 ソファに戻ると、グラスに残っていたジュースを飲み干して、
「それにしても、こんな晩くらい、帰ってこれないモンかねー。父さんも母さんも」
 と言いながら、軽くため息をついた。
「仕方ないわ。明日のために、無理やりスケジュールつめてるんだから」
 亜裕美が再びテレビに視線を戻すと、純はいらだったように言い返した。
「当たり前だろ?! 自分の娘の結婚式なんだから!」


リアリティ
~遠くにありて・完結編~


【成人向】



 強い口調が空気を重くし、テレビの音だけが、空しく室内を漂った。
「……いや、わかっちゃいるけどさ……」
 気まずそうに、ボソボソッと付け足された言葉。今の恵まれた生活が、両親の苦労によってであること。それをわかってあげられないほど、もう純は幼くはない。
「…………」
 あえて何も答えなかった亜裕美は、リモコンでテレビのスイッチを切った。
 そうしてから、短く息をはいて、言った。
「純のほうは、どう?」
「俺のほう? 何が」
 わからずに自分を指す純に、ジーパンに包まれた足を組みながら、亜裕美は続けた。
「彼女とのことよ。うまくいってる?」
「え? あ、ああ。まあ、まあね」
「その……」
 組んだ足の膝を抱えた彼女の頬が、ふいに赤く染まった。
「……してるんでしょ?」
「う、いや、まあ、そりゃーね。今どき、当ったり前じゃん」
「…………」
 亜裕美は、照れたような苦笑いをする純を、ジィッと見つめた。
 優しく何かを訴えるような、そんな眼差しだった。
「な、なんだよ。ホントだって。……彼女、何か姉ちゃんに言ったの?」
「そうじゃ……、ちょっと気になっただけ」
「? ……」
 取り留めがなくなった二人は、消えているテレビに視線を置いて、黙り込んだ。
 それから、秒針が半周もしないうちに、亜裕美が腰をあげて、
「片付けるよ。テーブル」
 弟と自分のグラスを持って、台所に向かった。
「……待ってよ、姉ちゃん」
 亜裕美を呼び止めた純は、慎重に選んだ言葉で、尋ねた。
「……結婚……するんだろ?」
「!!」
 ビクンという震えは、純からもハッキリわかるほどだった。
 少し間を置いて、台所と居間を仕切るカウンターにグラスを降ろした亜裕美は、彼に背をむけたままで答えた。
「だって……。愛してるもん……」
「! …………」
 純は、言葉を返さなかった。
 ただ黙って立ち上がり、ゆっくりと亜裕美の後ろに近づいた。
 自分より頭ひとつも大きく成長した弟の気配に、焦ったように続ける。
「ホントよ。だから、早い結婚でも、彼が六つ年上でも、構わないんだから」
「愛……だけか?!」
「え……!」
 驚いた亜裕美を、無理やり自分に向かせた純は、その唇と、自分の唇を重ねた。
「ん!」
 すぐに彼女は顔だけをそむけ、怒ったような、悲しむような口調で言った。
「だめ! 約束したじゃない!」
「お互いに恋人が出来たから、姉弟でするのはよそうってね!」
 そしてまた、唇を押し付ける。今度の抵抗は、首をかすかに振るだけだった。
「……もちろん俺だって、今の彼女を愛している。それは嘘じゃないけど、だけど、姉ちゃんを忘れる事が出来ないんだ。忘れられないんだ」
 まくしたてながら、力づくで、亜裕美を胸の中に抱きしめた。
「愛してるんだ! ……亜裕美ぃ!」
「!!」
 呼び捨てされた瞬間、彼女は目を見開いた。そして、今度はギュッ目を閉じて、
「…………」
 徐々に力を抜きながら、純に、その身をまかせきった。
 その途端、純もまた、目を見開いた。
「……っく!」
 一気に亜裕美をソファに押し倒し、彼女のジーパンとショーツを、むしり取るように脱がせた。トレーナーと靴下だけにされた彼女は、まったく抵抗しなかった。
 が、さらに両足を左右に押し広げられると、さすがに手で隠した。
「や、やあ!」
「どけろよ!」
 すかさず怒鳴った純だが、亜裕美は、子供のようにイヤイヤをするだけだ。
「どけろってば! ブン殴るぞ!」
「そ、そんな……」
 涙混じりの声でそうつぶやいた後、ゆっくりとそこから手を離した。
 白い太ももと太ももの間に、指や舌で何度も触られたそれが、薄く開いていた。
「そうだ……。よーっく見えるぞ。前も後ろも、クッキリとな……」
「ぁぁ…………」
 恥ずかしさで真っ赤になった頬に、涙がこぼれ落ちていく。
 純は、そんな亜裕美の両足の、膝の裏辺りをつかんで抑え込んだ。
「さあ、白状しなよ」
「……え……?」
「ひそかに、そうじゃないかと思ってたんだよ」
「な、……何?」
「恥ずかしい事されたがってるんだろ? マゾなんだろ? 亜裕美って」
「!! ち! 違う! 違う!」
 亜裕美は激しくかぶりを降った。が、純は容赦なく責め立てる。
「違うもんか! 恥ずかしい事されないと、感じないんだろ!」
「!! ち、ちが……」
「ええ?! 無理やり見られて! いじくられて! なめられてってさ!」
「! ………ぁ…」
「……ほぉーら。言っただけで、コレだ」
 あふれだした蜜を見て、純は鼻で笑った。
「ああ……ぁ」
 濡れてヒクヒクしたものをさらけだしたまま、両手で顔を覆う亜裕美。
「……でも……、い、痛いのは……、ホントにヤなの……」
「へ? ……ああ」
 一瞬キョトンとした純は、口調をやわらげて、言った。
「痛くはしないよ。そんなつもりで、亜裕美をマゾだなんて言ってないさ」
 それから、フッとそこに息を吹きかけると、亜裕美の体が、しびれたように反った。
「あ……、はぁ……」
「ほら、言ってみろよ。『私はマゾです』って」
「…………」
「素直になれば、恥ずかしい事をいっぱいしてやるぞ……」
「…………」
 両手で隠したままの顔を横に向けた亜裕美から、消え入りそうな声が漏れ出た。
「わた…………で……、す……」
「聞こえない」
「わ……」
 亜裕美は、ギュウッと目を閉じて、くやしそうに大声で言った。
「マゾです! 無理やり恥ずかしい事をされるのが大好きな、変態です!」
「ね、姉ちゃん……」
 言ってないことまで言い出した姉に、ギョッと驚いた純だったが、
「……呼び捨てがいい……。呼び捨てにしてぇ……」
 という亜裕美の台詞に、ゴクッとつばを飲んで、強気を取り戻した。
「よ……、よぉし。……亜裕美」
「はい……」
 純は、か細く返事をした彼女の足を、肩幅くらいに広げた状態で降ろした。
「手をどけて、俺の目を見るんだ」
 亜裕美は恐々と顔から手を外し、口をキュッと結んで純を見た。
「…………! あはぁっ!」
「目をつぶるな!」
「そんな、あ! だめぇ! あんっ!」
 純の指先が、濡れた突起をつまみ、強引にこすり続ける。その刺激にこらえきれず、亜裕美は純と目を合わせながらあえいだ。純のニヤニヤ笑いに、涙が止まらない。
「かわいい顔して、アンアン言っちゃって。で、こっちは……」
 残ってる指で、露に光るそこを捕らえ、クチュクチュと音を立てた。
「ははっ。ほら、いい音だしてる!」
「あぁ! 恥ずかしい! んあ! か、顔見ないでぇ……」
「あっそ」
 純は、そっけなく言うと同時に、責め立てていた指を引っ込めた。
「あ! う……、んぅ……」
「言うこと聞けないんなら、もうやんない」
「ん、んー……」
 ピクピク動く腰を抑えるように、太ももがピッタリ閉じた。しかしその足も、物足りなさそうにモジモジと動く。
 両手はおなかを抱えるような位置で、ウズウズしているのが、はた目にもわかった。
「あーあ、はしたないねえ。そんなにいじくられたいの?」
 テーブルに腰をかけた純が、意地の悪い目で言った。
「じゃあ、自分でいじくりなよ」
「……やぁ……」
「やあじゃないだろ? やれって言ってんの俺は!」
「ぅぅ…………」
 おなかの上の両手が、体の丸みに沿うようにすべり降り、秘部にたどり着く。
「ん! ……ふぅ……」
 太ももを閉じたまま、指先を微妙に動かし始めた亜裕美は、いったん閉じた目を開けて、純を見つめた。その視線を受けて、純は「ん?」となった。
「……あ、そっか。いや、もう俺を見なくてもいいよ」
「あ、うん……、ん、……はぁ……」
 亜裕美は、ホッとしたように目を閉じ、快楽に没頭しはじめた。
「目は閉じてもいいけどー……」
 言いながら立ち上がった純は、亜裕美の両足を、ガバッと左右に開いた。
 濡れきった花びらと、そこを慰めている指が、再び視線にさらされる。
「や、やだぁ」
「続けて」
「……ぁ、……ん!」
「なるほど。そうやっていじると気持ちいいわけか」
「……ぃゃぁ……」
 初めて純に、いや、他人に見せる淫らな行為。
 しかし露はさらにこぼれ、興奮が高まっているのが、亜裕美自身にもわかった。
(私……、私は……)
 と、純が再びキスをしてきた。今度は、唇をピッタリ合わせて、離れなかった。
 同時に、純の両手が、トレーナーごしに胸のふくらみをつかみ、もみ始める。
「む……ん、んんっ! んぅ……」
 そんな純の行動に反応するように、その指が、さら深さを求めて沈んだ。
 唇をふさがれ、乳房をほぐされながら、自らの秘部への刺激を続ける。
 亜裕美のせつない鼻息と、かき混ぜる独特の音だけが、しばらく居間に漂った。
「……イキそう?」
 唇を離した純の問いに、亜裕美は指を止めずに答えた。
「まだ……」
「よっし」
「え……?」
 亜裕美が思わず目を開けた瞬間、純は彼女を抱えて持ち上げた。
「きゃ! な、なに?!」
「手を止めるな!」
「!……」
 弟に抱えられた腕の中で、亜裕美は自分を慰め、あえぎ続けた。
「ははっ。かっわいー」
「やあん……、あ、はぁ」
 純は軽くキスをして、それからそのまま、彼女を風呂場へと運び込んだ。


 二時間前に使われたばかりの浴室は、まだ湯の温かさが空気に残っていた。
 亜裕美の、甘くてせつない声も、よく響いた。
「あ……あん! は、あ、……あぁ」
 両手で、自分をいじって自分であえぐ行為を、亜裕美は続けさせられていた。
 フタを閉めた浴槽の淵に座って足を広げ、腰を差し出すような格好で。
 まくりあげられたトレーナーからこぼれている白いふくらみが、微妙に揺れている。
 もちろん純は、その真っ正面で、風呂イスに座って見ている。
「はあ……、あ! あ、あ! あ!」
「……!」
 純は、姉の動きに激しさが増した瞬間を、見逃さなかった。
「そろそろか? そろそろだろ?」
「う……ん! イ…イキそ……う! あはぁ!」
「じゃあ、もう手を止めろ」
「や……、あ! ああ! いい……!」
「止めろって!」
 怒鳴りながら、亜裕美の両手をつかみ、無理やりそこから引き離した。
「い、いやあ! 離して! イクの! イカせてよぉ!」
 必死に手や顔を振って哀願する亜裕美に、純は抑え付けたまま告げた。
「じゃあ、俺の言うことを聞けよ」
「聞くから! 聞くからぁ……!」
「オシッコして見せろ。今ここで」
「!!」
 純の前で、漏らした事なら、二度もあった。一度目は絶頂時、二度目は失禁で。
 しかし、自分の意思で、となると。
「そ……んなぁ……」
 だが、濡れきった秘部からの熱いシビれが、そんな彼女の羞恥心を追い込んでいく。
「…………はい……」
 ついに、コックリとうなずいてしまった。
「よーし。じゃあ、両手でそこを広げて、奥までよく見せろ」
「……」
 言われたとおりに、亜裕美は濡れてすべるそこを、懸命に広げた。
「いいぞ。じゃあ、ほら」
「でも……、かかっちゃう……よぉ」
「気にしないで。ほら!」
「……ん、んぅ!」
 熱いしぶきが、勢いよくほとばしった。
 音を立ててふきだし、湯気をたて、純のシャツやズボンにかかる。
(とまらないよぉ……)
 長く出続けた後、純が見守る中、やがて最後の一滴をこぼして止まった。
「……きれいだったよ、亜裕美」
「う、うう……」
 亜裕美の目から、涙が次々とこぼれた。
「うれしいだろ? 恥ずかしくて……」
「う……、うあ!」
 純が、亜裕美の足と足の間に顔を埋め、わざと音を立てて、そこをなめ始めた。
「あぁ! や、あ! そ、そこっ……、ああん!」
 最初のうちはブルブル震えていた亜裕美だが、やがてジッとして受け止めた。
 自分の、出してすぐをなめられるのも、初めてではなかったのだ。
 そして亜裕美は、達した。


 ドアが開き、真っ暗だった純の部屋に、廊下の明かりが差し込んだ。
 純と、純に抱えられた裸の亜裕美。二人のシルエットと一緒に。
「…………」
 純は、姉をベッドに寝かせると、机のスタンドを灯した。
 白熱球のうす暗い照明が、仰向けになっている亜裕美の裸体を照らす。
「きれいだ、亜裕美。二年前より、さらに……」
「……ホント?」
「ああ。特に、ココ……」
「あ、はぁぁ……」
 手の平でつつむようにして、亜裕美の足の付け根をなで回す。
 と、純は急に、その中指を全部そこに差し込んだ。
「うぁ! んんんーっ!」
 そのままグリグリ動かすと、その度に亜裕美は妖しく身をよじった。
「……痛くないんだよな」
「え……? あ……」
 純はさみしそうに笑って、そっと指を抜いた。
 それから、まったくためらわずに、身に付けているものすべてを脱ぎ捨てた。
「……あっ」
 チラッと見た亜裕美は、純の男性自身を見て、ちょっと驚いた。
「純。あんた……」
「へへ。二年経ってんだぜ? ここだって、成長するさ」
 亜裕美は上半身を起こし、ドキドキしながら、純のそれを見つめた。
「う、うん。それに……、そんなに……大きかった?」
「握ってみなよ、亜裕美」
「うん……」
 近づいた純に手を延ばし、確かめるように握り締める。
「……こんなに……ドキドキして……」
「……口でしろよ」
「え……」
 見上げると、優しそうな、照れくさそうな、純の顔があった。
「ん? したことない? してないの? 彼には」
「う、うん……」
「してやればいいのに。俺の彼女は、してくれるよ?」
「そんな……、私から、なんて……」
 赤くなってうつむいた亜裕美を見て、ニヤッと笑う純。
「そうだよな。無理やり『やれっ』て言われないと、な」
「…………」
 うつむいたまま顔を横に振るが、言葉は返せなかった。
「ほら。早くくわえろよ。やり方は……」
「ん、知ってる……」
 純の言葉をさえぎり、唇で歯を隠すようにして、亜裕美はそれを口に含んだ。
 聞きかじりの知識だったが、それは正確に、純の性感を捕らえた。
「う! ……ああ、うまいよ、ね、いや、亜裕美……」
「んむ、んむ……」
 舌にからまれ、上あごでこすられたそれは、亜裕美の口の中で跳ね上がった。
「……まっ、待った」
「……?」
 亜裕美の口から自分のを抜いた純は、ベッドに仰向けに寝そべった。
「ほら。俺の顔をまたぐようにして、上に乗っかりなよ」
「えっ……」
「いや。俺ばっかりされてるのもアレだからさ。一緒にするんだ」
「……うん」

 お互いに、相手のをなめ、しゃぶる。部屋に、汗と独特の臭いがたちこめる。
「ん、んむ! むうぅ……、んー」
「口を止めるな」
 しかし、純に前をなめられ、さらに後ろに指をつっこまれ、あまりの快感に、思うように動けないのだ。
「止めるなって。ほらぁ!」
「ふむうぅっ! ……んむ、んむ!」
 指でかき回される苦しみから逃れようと、しがみつくみたいにして、口や舌を使う。
「そうだ……、い、いいぞ……」
 やがて絶頂となった純は、亜裕美の口の中に、白いのをブチまけた。
「……ん、んく」
 純に命ぜられるまま、コクンと音を立てて、亜裕美はそれを飲み込んだ。
 一方純は、またがったままの姉が、まだモジモジしていることに気付いた。
「亜裕美はまだイッてないのか。じゃ……」
 と言って、そこに唇をつけた純に、
「……やだ!」
 いままでにない、強い拒否をした亜裕美は、純の顔から腰を離して、言った。
「もう……、そんなんじゃやだ……」
「あ……、亜裕美……?」
 そして、まだ元気なままの純の上に、向きを正面に変えて、膝立ちとなった。
「欲しいの。純のが欲しいの。……ここに」
 片手で自分のを広げて見せる亜裕美に驚きながら、純は言った。
「だ、だって、あゆ、いや、姉ちゃんが、ダメだって」
「……!!」
 髪が乱れるほど、亜裕美は首を横に振った。
 それから、ジイッと純を見つめた。
 恥ずかしさに耐えている目ではなかった。
 とても熱い。胸に入り込んで、心を包み込んで締めつけるような、せつない瞳だ。
「…………」
 もう純には、何も言えなかった。
「…………」
 亜裕美も何も言わず、黙って純のを、自分にあてがった。
 そして、ゆっくり、ゆっくりと、身を沈ませていった。
「……あ、ああ! ぁあああー……っ!」
 苦しいのか気持ちいいのか、わからない声が、亜裕美の口から漏れた。
 純の、ギュッと目を閉じた表情も、どっちとも見えるものだった。
「っく、はっ! ………………っっ!」
 完全に納まった時は、声にすらならなかった。
 口を開け、頭を後ろにそらせ、小刻みにブルブル震える事しか出来ずにいた。
「……す、すご、ね…えちゃんの……、中……」
 純もまた、絶え絶えな状態で、やっとそう言えた。
 初めてひとつになった二人に、狂おしいほどの快感が走っていたのだ。
 亜裕美も純も、違う相手との性行は、何度も経験している。
 にも関らず、まったく動けなくなるほどの、甘美な衝撃だった。
(全然……違う! 彼女の時と……、比べ物にならない……、一体感……)
 純が、声にならない想いを頭の中で巡らせていると、自分をピッタリ包んでいる亜裕美の締めつけが、一気に強まった。
「い、イクぅ!!」
「ぅああ!!」
 まだ動かしていなかったのに、亜裕美が反り返った。その締めつけで、純も発射し、ブルブル震えている亜裕美の中に、大量の白濁がほとばしった。
「……っはあ、はあ……」
 荒くなった呼吸の中で、純はまた思った。
(こんな快感……、姉ちゃんの後ろの時でもなかった……。もちろん、彼女とも……)
「純……」
 上に乗ったまま、入ったままの亜裕美が、たまらなくなって言った。
「動いてぇ……。私……、もう力が……、力が入んないのぉ……」
「え?!」
 気付くと、確かに亜裕美のそこは再びキュッとしていて、そして自分のも、強く脈を打ったままだった。
(達したばかりなのに?! ……で、でも!)
 純に、物足りなさが込み上げてきた。
「ねぇぇ、純ぅ……、お願いぃ……」
 亜裕美のおねだりを合図に、純は腰を上下に激しく動かした。
「ああっ! あ! いい! あ! あっ!」
 まったく力の入らない亜裕美は、純の胸にすがりついたまま、腰を揺すられるがままになった。涙も唾液も、流れるがままだ。
 純は、そんな亜裕美をガッシリと抱きしめて、さらに腰を突き上げた。
「あはあ! ああ! 好きっ! 好きよ純! 愛してる!」
「亜裕美! 亜裕美!」
 再度、二人は絶頂を迎えた。しかし、今度も、まったく収まらなかった。
「まだだ。まだこれだけじゃ……!」
「きてぇ、純……」
 純は体位を変え、仰向けにした亜裕美に突き刺した。
「あっ、うう! んあ! あー……」
「う……っく!」
 そこでひと息いれ、いよいよ動かそうとした時、亜裕美がかすかな声で言った。
「ご……ごめんね純。私、ちっとも動いてない……。純にばっかり……」
「そんな事ない。動けないんだろ? まかせろよ」
「ああ、大好き、純……っ、ぅあ!」
 純が動き始め、亜裕美の声は、言葉を失った。
「あ! あん! あ、あ! はん!」
「俺だって、俺だって大好きだよ。姉弟でいる事が、たまらなくつらかったんだ!」
「あ! わ、たしも! あぅ!」
「彼女が出来てからも、ずっと亜裕美が欲しかったんだ!」
「あー! ああっ!」
「もう離したくない! ずっと俺のモノだ!」
「はなさないで! ああ! ず、ずっと純のモノに! あん!」
「亜裕美ぃ――!」
「ああ! いい! いい! くる! くるのぉ!」
「く! ぅく! くっ!」
「あイク! イク! イッちゃう! イッちゃうぅ!」
 激しくぶつかりあう音が、どんどんテンポをあげていく。
 そして、最大の絶頂が、電流となって二人を貫き、スパークした。
「うっ! んくぅぅ!」
「――――――――――!!」

 時間が、経った。
 ずっとそのまま動けずにいた二人だが、ようやく純が亜裕美から降りて、その隣に寝転んだ。二人は並んで仰向けになり、肩で呼吸を整えた。
 亜裕美の、クタッと開いたそこから、純の精液が、どんどんあふれていた。


「愛がないから許すって……、姉ちゃん、憶えてる?」
「初めて純にされた……二年前の台詞ね。私の」
 裸のまま、一枚のシーツを二人でかけあって、ベッドに並んでいる。
「俺、あの言葉の意味、彼女が出来てようやくわかったんだ」
「……そうだったんだ」
 亜裕美は、コロッと純のほうを向いて、続けた。
「ほら……。やっぱり……姉弟でしょ? 私と純は」
「ああ。だから……愛を実らせるわけには、いかないんだよな……」
「…………」
 乱れた時の言葉とはいえ、否定するのは、お互いつらかった。
「明日……。いや、もう今日か……」
「……そうね……」
「幸せになってくれよ」
 さりげない純のひと言に、亜裕美は一滴の涙をこぼした。
「……私、彼に言うね。式の前に。私が、その、マ……」
 純はいきなり亜裕美を抱きしめて、その先を言わせなかった。
「大丈夫。あの人なら、きっとわかってくれるさ。姉ちゃんが愛した人なんだから」
「うん……、うん!」
 亜裕美の瞳から、さらに涙があふれた。
 と、純が、それまでの雰囲気を台なしにする勢いで、ガバッと起き上がった。
「わあ!」
「きゃ! な、なんなのぉ?」
 思わず涙の引っ込んだ亜裕美が抗議すると、純は青ざめた顔を向けて答えた。
「俺……、思いっきり中で出しちゃったけど……、まずいかぁ?」
「あ、ああ……。それね」
 亜裕美は、ふわっとして、それでいて力強い笑顔で、こう言った。
「彼ね、私や純と同じ、O型なの」
「え……?」
「大丈夫よ。どんなことになっても……」



 結婚式は無事終わり、その日のうちに、亜裕美とその夫はハネムーンに発った。


 その三カ月後、亜裕美は、自分に宿った新しい生命の事を知らされた。
 夫はもちろん、両家の親兄弟や親類も、友人も、誰もが大いに喜んだ。

 そして一部の悪友が、時期的なものから、ハネムーン・ベビィだとはやし立てた。
 しかし、きっと誰もが、そう思うだろう。

 たった二人の、姉弟を除いて――


終わり



【コメント】

 終わりました。こんなエンディングを二人に与えましたが、いかがだったでしょうか?
 ある種、後味の悪さはあるかも知れません。でも、二人には愛を実らせてほしくなかったんです。駆け落ちしても心中しても、愛としては実ったことになると思ったんですよ。だから、こうしたんです。
 てなことはともかく(^^;)、今回のプレイはなかなか濃厚だったと自負してます。シャーの扱いも、シリーズ中もっとも変態的でしたし。強制ですよ強制(^^;)。いや~、本当に好きだな。
 シャーもそうですが、書いてて燃えたシチュエーション(^^;)は、感じる顔(目)を隠させない場面ですね。やっぱりセックスって男の場合、女の感じる顔や声を楽しむ部分が多いのではないでしょうか?

 ……えー、でも実は、いまだにこの二人を捨てきれてないんですよ。……続編、やるかな?(^^;)(^^;)

小説(転載)  秘密のダンス  ~遠くにありて・3~

近親相姦小説
04 /01 2019
秘密のダンス  ~遠くにありて・3~

【成人向】



「いいから、二人で行っておいでよ」
 よく晴れた日曜日の朝方。桜庭(サクラバ)家の玄関先。
 長女・亜裕美(アユミ)(十七才)に促された彼女の両親は、ニガ笑いを見合わせた。
 そして、父親のほうが、腕を組みながら言った。
「だがなぁ。家族でどこかに行ける機会なんて滅多にないからなぁ」
「そうよ。純(ジュン)がいないんだから、亜裕美だけでも一緒に来ない?」
 母親が、夫の後を継いで誘った。
 だが亜裕美は、両手を胸元で振りながら、ニガ笑いを返した。
「いいってばぁ。もう、私も純も、かまってもらう年じゃないし」
 長男の純(十四才)は、朝から友人達と遊びに出ている。
「それに私、ツボとか茶わんとかって、わかんないよ。興味ない」
「いいじゃないか。それで、その後食事でもして……」
「うーん。でもほら、ひさしぶりに、二人っきりのデートってことで、ね?」
「……そーお?」
 母親は、軽く肩をすくめた。
「じゃあ、娘の言うとおりにしましょうか? あなた」
「……まあ、無理に連れ出すってのもな。でも亜裕美、一人でさびしくないか?」
「ん、全然。色々したいこともあるしね」
 『寂しいのは慣れてる』と、ノドまで出かかった言葉を、亜裕美は飲み込んだ。二人があまり家にいられないのは、仕事のためなのだから。
 結局、桜庭夫婦だけで出かけることとなった。父親の仕事の関係で招待された、高級ホテルで開かれる陶器の展示会、である。
 にこやかに見送った亜裕美は、ドアを閉め際に、空を見上げた。
 春を感じさせる、のどかな晴天だった。
「さあて、っと」
 亜裕美は、いそいそと自分の部屋に向かった。
(こんなチャンスを待ってたのよねー)
 部屋に入るなり、ベッドの下をまさぐって、一つの紙袋を取りだす。
(とりあえず、純に見つかると、なんとなくヤバそーだしね)
 ふとそう思った亜裕美は、キョロキョロと辺りをうかがった。
 そして、半開きになっていた部屋のドアを、パタンと閉じた。


 そのころ、走る電車の中に、仏頂面の純がいた。
(しょーがねーなぁ……)
 朝早く、友人達との待ち合わせ場所に行った彼だったが、
(一人は急用、一人は急病、残る二人は大ゲンカ、かー……)
 ということで、予定していた遊園地行きが、急きょ取りやめとなったのだ。


 ベランダから陽が差し込むフローリングのリビングに、ラジカセからの軽快なサウンドが響いていた。
「んっ……、くっ……、ふぅ」
 額に汗をにじませながら、亜裕美は、立った状態でひざを上下に動かしている。
 彼女は、レオタード姿だった。薄いピンク色のレオタードを、黒いTシャツとスパッツの上に重ねて着ている。さらに、足元をレッグウォーマーで包んでいた。
 以前、友人が買った時に付きあいで購入した一式だが、実際着るのはなんとなく恥ずかしかったので、今まで置きっぱなしだった。
 それは、弟の純を警戒して、という意味もあった。性的な関りがあるからだ。
(きっとこういう格好って、純の好みだろうし……)
 TVのブラウン管にうっすらと写る自分の姿に、困ったような笑みをこぼす。
(……まあ、脱がされちゃえば一緒だけどね……、って!)
 自分の恥ずかしい考え方に赤面し、ゴマかすように、足元の雑誌を雑にめくった。
 毎月買っているファッション雑誌に掲載されていた、いわゆるダイエット体操のページを参行にして、彼女は体を動かしていたのだ。
(まったく私ってば、純に毒されてるなー。せっかくいい汗かいてるのに)
 今度は開脚で座り、体を前に倒す運動を始めた。その顔は、まだ少し赤かった。


 純が帰り着いたのは、昼も間近という時間だった。
(……あれ? 姉ちゃん、いるのかな?)
 玄関の鍵を開けようとして、中から聞こえる大音量の音楽に気付いた。
(なんだぁ? こんな大きな音にして)
 首を傾げながらも、純はノブに鍵を差し込んだ。
 一方の亜裕美は、その音楽のせいで、純の帰宅にまったく気付かなかった。
 かわりに、ふと時計を見て、目を真ん丸にした。
「うそ?! もうこんな時間? ……ん!」
 数十分前から我慢していたトイレが、かなりの状態になっていた。
(全部脱がないと用足せないから、面倒なんだけど……)
 リビングから廊下に出て、足早にトイレに向かおうとした亜裕美。
 あわてていた彼女は、後ろにいた純に、全然気付かなかった。
 だから彼としては、ごく普通の行動として、亜裕美の肩をつかんだのだ。
「姉ちゃん」
「きゃあああっ!」
 亜裕美は、死ぬほど驚いた。
 誰もいないと思っているところに、突然肩をつかまれた上、格好が格好だったから、驚きもことさらだった。
 足をすべらせ、その拍子に壁に後頭部をぶつけ、横座りのような形でくずれ落ちた。
 そして、あまりの反応に驚く純の前で、意識を失いながら、亜裕美は失禁した。
「ねっ! ……姉ちゃん……」


 純は、レオタードを着たままの姉の股間に、顔をうずめていた。
 リビングに仰向けに寝かせて、クッションを枕にさせて、ひざを軽く立たせて。
 少し離れた辺りに、亜裕美の体や床をふいたタオルが、無造作に投げ出されている。
「…………」
 顔中を動かし、なめたり、唇全体を押し付けて吸ったり。
 その度に、気を失ったままの亜裕美が、弱々しく反応を示す。
 が、やがて彼女は、ゆっくりと意識を取り戻した。
「はあ……、な……、なに……?」
 股間に感じる異様な温もり、微妙な刺激を、とっさには判断できなかった。
 そのまま少し、純にされるままになって、ようやく亜裕美は我に返った。
「ちょ、ちょっと、純!」
「うぐ!」
 いきなり足を閉じられ、純は太ももで顔をはさまれた。
「なにすんだよ、姉ちゃん」
「あ、あんたこそ、何やってるのよ!」
 両手で純の頭を押しのけようとするが、純も彼女のふとももをつかんで抵抗する。
「後始末してるんじゃないか」
「あとし……、ば、ばか! やめなさいよ! 汚いってば!」
 ここにきて、気絶する寸前にしてしまったことを思いだしたのだ。
 しかし純は、亜裕美の足を無理やり開いて、再びそこに舌をはわせ始めた。
「やあ! だめ……だってばあ! お願い!」
 出したばかりの場所をなめられるのは、初めてではない。が、あの時は達したばかりだったから、抵抗する気力がなかったのだ。
 今は違う。興奮していない頭が、現状を冷静に見る。
 実の弟が、出した場所に口をつけて、出したものを吸い……、
「いやっ! ……あ! ……く!」
 こんな明るい中で、レオタードを着たまま……、
「んんぅ! だめぇ! いやあぁ……」
 実の姉に、変態的な行為をしている。
(そんな……、そんな……!)
 彼女は、自分を疑った。別の蜜がにじみ始めている自分を。
 純はそれに気付かず、愛撫を続けていた。
「はああー……」
 力なくうめいた亜裕美の体から、とうとつに力が抜けた。
「? 姉ちゃん?」
 見上げた姉は、両手を広げ、目を閉じて、ひどく無防備だった。
 彼の興奮が、いっそう高まった。
「ね、姉ちゃん!」
 亜裕美の体をはい上がり、胸のふくらみに顔を押しつけ、両手ではさみこむように揉んだ。レオタード越しに、柔らかさと弾力が伝わる。
「あん。ま、待ってよ、純……」
「な、何だよぉ!」
 すっかり興奮しきっている彼に、亜裕美は目を閉じたまま、言った。
「……キスから……して……」


 少しのすき間も惜しむように、純の口は亜裕美の口をふさぎ、彼女の舌を味わう。
(私の……をなめたばかりの口なのに……。この舌が……)
 それを嫌がるどころか、積極的に彼女は求めた。
 純は、キスしながら、両手で亜裕美の胸をつかみ、グリグリと回すように動かした。
「んん……、んむ……、んぅん……」
 ふさがれたままのうめき声が、お互いの口に行き交う。
「……ふぅ」
 唇を離すと、口と口に糸が引いた。恍惚とした表情の亜裕美が、それを見つめる。
「かわいいよ、姉ちゃん……」
 もう一度軽くキスしてから、彼は亜裕美の胸元に左手を潜り込ませて、乳房と、固くなっている乳首に、じかに触れた。
「はあぁ……!」
 心持ち胸をそらせた彼女は、乱れ始めた呼吸の中で言った。
「脱ぐ……?」
 聞かれた純が、逆に聞き返した。
「脱ぎたいの?」
「……でも、脱いだほうがラクじゃないの?」
「いいよ。このままでいいよ……」
 言いながら、空いていた右手で、亜裕美のそこをキュッと押した。
「ふぁ!」
「……このままがいいんだ……」
 そして、そこの丸みにそって、激しくこすり始めた。
「ほら、布地がすべるから、こんなにこすれるよ」
「あっ、あっ! ぁあはあああぁー……」
 あまりの刺激に硬直し、腰が浮いた。
 純の手は休むことなく、前や後ろをこすり続ける。
「ああっ! ああっ! あ、いっ! いきそっ……!」
「ま、待った!」
 純は、慌ててそこから手を離した。
「あ! ちょ、ちょっと! やめないでよぉ!」
 亜裕美は、顔だけ起こして純を見ながら、自分の手でそこをこすった。
「意地悪しないでってばぁ……」
 姉の淫らな姿に、ゴクッとつばを飲み込む純。
「い、いや、意地悪じゃなくて……」
「なに……、あ!」
 彼女の目に、降ろされたズボンから出てきた、純のそれが写った。
「じゅ、純……!」
「どうせこするなら、コレでこすろうかと思って……」
 今度は、亜裕美がつばを飲み込む番だった。
「……いいよ、きて。それでこすって。ほら……」
 亜裕美は、足を広げ、そこから手を離して、純を待った。
「は、はやくぅ……!」
「う、うん」
 純は、亜裕美の上に乗り、股間を合わせ、固くなっているそれを押しつけた。
「はぁ……ぁ」
「い……いい感じだよ。前からやってる気分だ……」
「ほ、ホントね……」
 そのまま少し見つめあってから、純は腰を動かし始めた。
 レオタードの布地がこすれる音が、リビング中に響いた。
「あぁ! はん! うっ! ふっ!」
 腰の動きに合わせて、亜裕美の体中がガクガクと揺れる。
「あん! んう! いい! いいよぉ!」
「俺も……! 最高だよ……!」
 亜裕美の両ひざを抱えるように持ち、より激しく腰を上下した。
「はああ! ああ! ああ! ああ!」
「も、もう! で、出そうだよ!」
「わ、私も! イッちゃう! イッちゃうよぉぉ!」
「ぅくっ!」
 純がビクンと震え、彼女のつま先がギュウッと歪んだ。
「イクゥッ……、んんんー……」
 のけぞる亜裕美の腹部や胸に、純の白いものが発射された。
 二人はその体勢のまま、余韻にひたった。


(……やっぱり、純ってこーゆーの好きだったわねぇ……)
 おでこの汗を腕でぬぐいながら、亜裕美は考えた。
(夏になっても、純の前で水着になるのは、よしたほうがいいかも……)
 隣に寝ている純は、満足そうに目を閉じて、深呼吸している。
(でもまさか、着てるままでされるとは……って)
 亜裕美は上半身を起こして、シミだらけになっている、自分の股間を見た。
「ああ……、早く洗濯しなくちゃ」
「え?」
 首だけを横に向けた純は、亜裕美を見てギクッとなった。
 レオタードを腰まで降ろし、ちょうどTシャツを脱いだところだったのだ。その白いふくらみとピンクの突起が、まともに目に写った。
「ととっ……!」
「ん?」
 パンティーやスパッツと一緒にレオタードを脱いだ亜裕美は、ガバッと立ち上がった純を見上げて言った。
「どうしたの?」
「ど、どうしたったって……」
「?」
 純は、彼女から完全に視線を外し、そそくさとリビングから出ていった。
 残された亜裕美は、ひざ辺りまでレオタードを降ろした状態で、キョトンとした。
「……今さら照れるわけ?」
 それから、徐々に笑いがこみあげてきた。
「なんか、わかんないなぁー」


おしまい


【後書き】

 そんなわけで、ケダモノ姉弟シリーズ第3弾、いかがでしたでしょーか?
 (ケダモノは、弟だけですけどね(^^;))
 今回、フェチズムを前面丸だしな内容でしたねぇ。
 とあるキッカケで、なんかレオタードっていいなーとなったんですよ。
 レオタードもさることながら、着たままって、いいと思いません(^^;)。
 夢判断だと、着衣のままの性交というのは、セックスへの羞恥心の現れだとか。
 羞恥心、うん。これですよ、基本は(^^;)。

 いつも両親不在じゃ不自然なので、冒頭だけ出ていただきました。話に関わることの内設定ですが、両方とも芸術系の仕事をしています。だから、時間が不規則と、ま、そーゆーコトで(^^;)。
 では、次回「リアリティ」にて。ホントはそれで最終回のつもりでしたが(^^;)。

小説(転載)  ボディ・ソープ  ~遠くにありて・続編~

近親相姦小説
04 /01 2019
ボディ・ソープ  ~遠くにありて・続編~

【成人向】



 桜庭 亜裕美(サクラバ アユミ)、十七歳。
 歳より二、三は若く見られる童顔で、髪は背中に届くセミロング。
 背丈もそこそこで、きれいと言うより、かわいいタイプの美人だ。
 土曜の午後。
 学校から帰ってきた彼女は、制服のまま、自宅の個室で小用を足していた。
「…………」
 ちょうど一週間前の深夜だったな、と彼女は思い出していた。
 今日はまだ帰ってきていないが、純(ジュン)という、三歳年下の弟がいる。
 その弟に、唇を奪われ、体をもてあそばれ、そして。
(今してるコトを、あの子に見られて……)
 真っ赤になりながら、亜裕美はロールペーパーをたぐった。
 あれから純は、思いきり不自然に、亜裕美を意識し、避けていた。
 かえって、亜裕美のほうで、必死に平然さを保っていたほどだ。
 たんにテレからくる行動なんだよね、と彼女は思ってみたものの。
(……それでも、された私が気をつかってるっていうのも……)
 姉と弟、で考えれば、それは、姉が気をつかうのが普通よね。
 でも、男と女として関った以上、男にも気づかいがあるべきじゃないかしら?
 そう考えると、だんだん亜裕美は穏やかではなくなってきた。
 好き放題され、侮辱なまでの恥ずかしい目にあわされ。
「なにより」
 思わず声にしてしまい、あわてて口をつぐんだ亜裕美は、頭の中で付け足した。
(私は、純のを見てないわ……!)
 あの日からちょうど一週間後の今日。
 偶然にも、またもや両親は、急な用事で出掛けていた――


 夕食も済んだ、夜の八時頃。
 純が入浴していた。
 覚えたばかりの歌を口ずさみながら、風呂イスに座って体を洗っている。
 と、背にしているドア向こうの脱衣場から、なにやらゴソゴソする音が聞こえた。
 今、家には、泥棒じゃなければ、姉の亜裕美しかいない。
「ん……? 姉ちゃん?」
『え? そ、そうよ……』
 どこかオドオドした亜裕美の返事に、純はキョトンとした。
「……なにしてんの?」
『……服を脱いでるのよ』
「なんで?」
 思わずそう聞いてしまったらしい。
『なんでって……』
 亜裕美は、そんな純の疑問に答えながら、一糸まとわぬ姿で浴室に入った。
「わ、私も入るからじゃない」
「! な、なんだよ!」
 一度は全てを見た姉の裸だったが、いきなりだと話が違うのだろう。
 純は、目をふりほどくように、真っ赤になった顔を一気に横へ向けた。
 同時に、持っていたタオルで股間を隠した。
「……なにをいまさら……、散々見て、さわって、な、なめたりしたクセに」
「か、構わないって言ったじゃないか」
「構うわよ」
「な……?」
 戸惑う純の両肩を後ろからつかんで、亜裕美は言った。
「私は見てないもん」
「……!」
 純は、座っているイスを前に引きずって、亜裕美との距離を空けた。
「じょ、冗談だろ?」
「じょおだん?」
 亜裕美は純に近づき、その背中に、自分の胸のふくらみを押し付けた。
「!」
「見られっぱなしじゃ、納得できないって言ってるのよ?」
「…………」
「今度はお姉さんが見る番よ。あんたの、を」
 純は硬直して、首だけを小刻みに横に振った。
「や、やだよ。勘弁してよ」
「勘弁してくれなかったクセに」
「う……」
「ほらぁ。タオルをどけて」
 純は、観念したようにうな垂れ、ボソッと言った。
「わかったよ……。でも……、笑うなよ」
「……!」
 その一言で、亜裕美はそれを、それの状態を予想できた。
 年頃の十七歳。たとえ処女であっても、そのテの知識は持っている。
 そして、純のそれは、亜裕美が予想したとおりの状態だった。
「へ……ぇー……」
 実際、純のを見るのは、初めてではなかった。
 幼い頃は、今みたいな気持ちを抜きに、一緒の風呂に入っていたのだから。
 一緒に入らなくなったのは七年前。その間に、お互いの体つきは変わっている。
 純のそれは、姉のふくらみに反応してか、はちきれそうになっていた。
 亜裕美の驚きは、その大きさ、へのだった。
 が、純は別の、それの状態への驚きだと思ったようだ。
「な……。みっともないだろ?」
 と、嘆くように言った。
「ガキだよな。クラスの連中のほとんどはとっく……」
「何言ってるの。中学生なんて、まだガキの内じゃない」
 言いながら、亜裕美は彼のふとももに手をすべらせた。
「う……」
「まあ、男の子にとっては、深刻なんだろうけどね……」
「ほ、ほっといてくれよ。どうせガキなんだ。だから見せたくなかったのに」
「でもさ」
 亜裕美は右手で、純のをキュッと握った。
「うわ!」
 手中の大きな手ごたえは、突然の接触を驚くように跳ね上がった。
 同時に、純の体もビクンとし、その思わぬ反応に、握った亜裕美も驚いた。
「びっくりしたぁ。純も反応いいじゃない」
「う、うるさいなぁ」
「あ、ナマイキー」
 亜裕美は、握ったままの手を、上下に動かし始めた。
「ぅあ……っ」
「ふふっ……」
 抵抗をやめた弟がなんとも可愛くなり、亜裕美はさっき言いかけた言葉を続けた。
「……それって個人差なんでしょ? 恥ずかしがることないって……」
 もう純は何も言わず、姉の手にまかせていた。
「少なくとも私は……、全然構わないから……」
 亜裕美も、それ以上何も言わなかった。
 二人の息づかいが徐々に荒くなり、こすれる音だけが浴室に響いた。
 やがて、純の息づかいだけがテンポを上げ、そして。
「うぅっ!!」
「あっ!」
 純から飛び出した白い液に、亜裕美は目を丸くした。
(今の……、ああ、今のがそうなの?)
 それは、前の壁まで飛んで張り付き、そしてゆっくりと流れ落ちた。
 クタッとしている純の肩越しに、彼女はそれを指でさわった。
 触れた瞬間の、タンを思わせる感触に、一瞬指が引く。
 それでも、指にすくいとったそれは、熱くて、特異な臭いがした。
「…………ねえちゃん……」
 純は、突然向きを変えると、亜裕美を押し倒した。
「姉ちゃん!」
「きゃっ!」
 完全にバランスをくずして、亜裕美は腰から落ちた。
 純が抱きついていたおかげで、さほどの強打ではなかったが。
「姉ちゃん、俺もう……!」
「な、なに?!」
 聞きながらも、再び大きくなっている純のそれに、亜裕美は危機を感じていた。
 純は、ドアを背にした亜裕美にのし掛かり、その両足を開こうとした。
「入れたい! 入れさせてよ姉ちゃん!」
「そ、そんな! ダメ、ダメッ!!」
「が、がまんできないんだ!」
 姉の抵抗をものともせず、彼はついに、彼女の秘部を露出させた。
 あらためて見られる恥ずかしさで、焼けそうなほど真っ赤になる亜裕美。
「だめぇ……、だめよぉ……」
 そして彼女は、泣き声で言った。
「姉弟なのよぉ……」
「わ、わかってるよっ! でも!」
「……出来ちゃったらどうするの? どう責任取るつもりなの?!」
「っ!」
 純の動きが止まった。『責任』という言葉は、中学生には重すぎた。
 しかし、その興奮が納まっていない純は、亜裕美のそこを見ながら、言った。
「じゃあ、後ろならいいだろ?」
「えっ?!」
 とっさに足を閉じて、亜裕美は身構えた。
「うし……ろ?」
「ああ。後ろでも出来るんだろ? 確か」
 もちろん本当のところは、亜裕美だって知らない。
 ただ、友人とのそういう会話では、聞いたことはある。
 指なら、無理やりではあったが、受け入れたこともあるのだ。
「……で、でも、やっぱり汚いし……」
「洗えばいいじゃないか」
 純の台詞が、亜裕美には誘いの言葉に聞こえ始めていた。
 前にさんざんいじられ、そして今また求められている後ろが、ヒクッとうずいた。
 亜裕美はモジモジし、紅潮した顔をふせ、そのままコクンとうなずいて見せた。


 亜裕美は浴室のドアに両手をついて立ち、腰を、純につき出した。
 信じられないほど恥ずかしい格好をしている自分に、彼女は顔をふせたままだ。
「じゃ、じゃあ……」
 純の、おっかなびっくりとした声に、亜裕美はギュッと目を閉じた。
「う、後ろだからね。前はダメだからね!」
「わかったってば……」
 言いながら、純は、桶で湯をくんだ。
「じゃあ、お湯をかけるよ」
「…………」
 唇までギュッと閉じている亜裕美には、返事が出来なかった。
 純は、ちょっとだけ返事を待って、それから、そっと湯をかけた。
 湯はふくよかな丸みに注がれ、後ろや前のそこを流れ、足首に伝っていった。
「はぁぁ……」
 注射をされる前の、アルコール綿でふかれた時みたいな緊張が走った。
「なんか、またおもらししたみたいだ……」
「な、ば、ばかぁっ……」
 恥ずかしさと緊張で、亜裕美の目元には涙がにじんできた。
 純は、そんな姉を見て、意地の悪そうな笑みを浮かべる。
 ポンプ式容器のボディ・ソープが、そこにあった。
「……いいか? 姉ちゃん」
「え……? なに……」
 うつろに亜裕美が振り返った瞬間、純はポンプをギュッと押した。
 亜裕美の後ろに、ひとしぼりの白いソープ液が、勢いよくビュッとかかった。
「ひゃうっ!」
 まるで、ムチで打たれたみたいな、激しい反応だった。
「やぁぁ……、なに今の……」
「ボディ・ソープ」
「い、いきなりかけないでよぉ」
「だから『いいか?』って言ったじゃないか」
「うぅ……」
 それ以上何も言えず、再び彼女はうつむいた。
 親指で揉むように、純は、亜裕美のそこを洗い始めた。
「うっ、んぅ……」
 両手を使い、広げたり、閉じたりして、ソープ液をなじませる。
「ん、んあ、やぁ……」
 指先を細かく使って、ていねいにこする。
「あっ、あ、ふぁぁ、ぅぅん……」
 亜裕美はもう、ドアにもたれているのがやっとの状態だった。
 体中が小刻みに震え、汗がとめどなく流れ、腰が勝手にゆれた。
 さらに、純の指が浅く出入りすると、亜裕美の体はビクンビクンと波打った。
「ぁあ、あ、あっ! い、いい!」
「い、いいの? 姉ちゃん?」
「う、うん、いいの、気持ちいいのぉ」
「こう? こう?」
「ひ! そ、そこ、あ、ああん!」
 指の入り方が深くなった。根元まで埋め、一気に抜き取り、それを繰り返す。
 亜裕美の口元から、その歓喜を現すように、しずくが垂れた。
「あん! あん! あん!」
 自分の指に素直に反応する姉が、純にはたまらないようだ。
「よぉし……」
 指を抜いて、湯でソープを洗い流すと、今度は舌を使った。
「はぁぁっ! し、した、あ、あぅん!」
 ざらざらで、ヌルヌルの物体が、敏感な部分であばれている。
 亜裕美の反応はさらに激しくなり、髪がふり乱れた。
「あ! あは! あぁ!」
 前のそこからあふれ出た蜜が、ポタポタとこぼれる。
 あまりにもガクガクと震える姉の足を見て、純は、ふと口を離して聞いた。
「だ、大丈夫か、姉ちゃ……」
「や、やめちゃやだぁ」
「!!」
 初めて触れ合った時からは、想像もつかない亜裕美の台詞だ。
「やめないで、やめないで」
 純は、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「つ、続けるけど、その前にさ」
 純は、亜裕美を後ろから抱えた。
「……え?」
 そして浴室のドアを開けた。
「ほら」
「あ」
 開けたドアの敷居が腹部にくる形で、亜裕美は横たえられた。
 さらに純が腰を持ち上げ、受け入れる体位となった。
 ドアを開けたことで、浴室のせまさがフォローされていた。が。
「さ、寒……」
 室温の差と、興奮によって、亜裕美は震えていた。
「くっつけば、あったかくなるよ」
 そう言って純は、亜裕美の後ろに、またボディ・ソープを射った。
「はぁっ、んんっ」
 何度も何度も発射したせいで、そこがソープ液で白くドロドロになった。
「これで、もっと入れやすくなっただろ?」
「ふ、うぅ……」
 ソープ液が垂れ、前からふとももを伝い、床に流れる。
 そして純は、抑えのきかなくなった自らのそれを、そこにあてがった。
「ぁ……、じゅん……」
 亜裕美は、上気した瞳を動かして、純を見た。怖いほど真剣な表情をしている。
「……いくよ」
「!!」
 指など比べ物にならない異物感が、亜裕美のそこに、一気に差し込まれた。
「か……はぁ! い、痛……、う!」
「す、すごい……、姉ちゃんの中……」
 根元まで入った状態のまま、二人は動かなかった。
「はっ、あっ……、き、きついよぉ……」
「気持ちいいよ姉ちゃん。あったかいのが、キュウッときて……、うぅ……」
 純は、ゆっくりと腰を動かし始めた。ゆっくり抜いて、ゆっくり差し込む。
「あっ、痛! あ、ぅく!」
「姉ちゃん……、姉ちゃん……」
「ん! ん! んぅ!」
 腰の動きが、徐々に早くなる。だが亜裕美の顔からは、逆に苦痛が引いていった。
「うぁ、あ……、あ……、あ、はぁっ! あぁ!」
「いいよ……、いいよ姉ちゃん! 最高だよ!」
 その勢いは、彼女をガクガク揺らした。亜裕美のほうも、揺れるにまかせていた。
「あは! あん! ああっ! ああっ!」
「ま、まずい! よすぎる! も、もう!」
「あん! だめ! あ! ああ!」 
 純の表情がツラそうになる。しかし動きは、さらに激しさを増す。
「あはぁ! あ! あん! あ! あ!」
「ん、く! ぅう! は! で、でる!」
「はぅ! う! んあ! あ! ああっ!」
 亜裕美がたまらずに首を反らせた瞬間、純の体がガクンと硬直した。
「うわっ、くっ!」
「はあぁっ!?」
 あゆみは、後ろの異物感の暴走に、目を見開いた。
 ビクンビクンと暴れ、何か熱いモノを、自分の中に勢いよく吐き出している。
(純の……、さっきの、白いのが……)
 絶頂手前に震えながらそう思いだした時、純が自分のを、一気に引き抜いた。
「っっ!!」
 異物感からの開放と、抜いた時のこすれ。いきなりのそれが、最高の快感となった。
「い、いくぅっっ!!」
 限界まで首を反らせ、涙をボロボロこぼし、体中を震わせて、亜裕美は達した。
「…………!! っふぅ! う、んぅ……」
 数秒の絶頂が通りすぎ、力が抜けきった亜裕美は、体のすべてを床にあずけた。
 後ろのそこから、白い液体が、体の震えに合わせて吹き出している。
 ボディ・ソープも、それには混ざっていた――



「だけど姉ちゃんって、後ろが好きだよな」
 シャンプーを湯で流しながら、純はそう言った。
 湯船に入っていた亜裕美は、赤くなりながらもムッとして言い返した。
「なによ。アンタのほうじゃないソレ。毎度後ろばっかり……」
 と、そこで、亜裕美の頭に、なんとなくイヤな結論が浮かんだ。
(ひょっとして……、遺伝?)
「どしたん?」
「え? い、いや別に」
 亜裕美は、アゴまで湯に入った。
(まあ、後ろばっかりだったら、私達が出来なかったわけだし……)
「だけど、『やめちゃやだ』にはマイッタなぁー」
「うぷっ!」
 思わずコケた亜裕美は、ドポンと湯に沈んだ。
「ぷはっ! あ、アンタねー!」
 ズブ濡れで真っ赤になってニラむ姉に、純はニヤニヤと笑って返した。
「『やめないで、やめないで』なんだもん」
「うー……」
 亜裕美は、うなりながら手を伸ばして、側にあったボディ・ソープを取った。
「えい! 『純攻撃』っ!」
 ポンプを押して、白いソープ液を、弟に向けてピュピュッと吹きかける。
「わ、よ、よせよ姉ちゃん!」
「うるさい! それ! それ!」
 だが、最後のひと絞りで、そのボディ・ソープは空となった。
「……あ」
 とうとう、ひと晩で使いきってしまったのだ。


                                
おしまい


【後書き】

 前作が純の視点を基本とした描写だったのに対して、本作ではあゆみの視点を使って表現してみました。「あゆみの逆襲」とでも(^^;)。
 相原コージ作の「コージ苑」とゆーのをご存じですか? あれのネタで、男が風呂場でボディ・ソープを腹にかけて「膣外射精!」って言うのがあったんです(^^)。それで、小道具に使ってみたんです。安直なものですネ。
 「処女がシリかい!」と、周りにツッコまれたんですが(^^;)、確かに酷かな?(^^;)
 でもまあ、達したみたいだし、きらいじゃなさそーだし、いっかぁ(←鬼)。
 では次回「秘密のダンス」に、乞うご期待!

eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。