姉と弟が肉体関係を持つ――愛しあう。
それは、世間では許されない行為だ。科学的に、道徳的に。
が、男と女であることにかわりはない。
一つ屋根の下に住む、憎からぬ異性。
それは逆に、自然なことなのかも知れない。
亜裕美(あゆみ)・二十一才。純(じゅん)・十八才。
あれから二年――
ANSWER
~遠くにありて・追章~
【成人向】
「…………」
二年ぶりに見た弟の、その成長した姿に、亜裕美は絶句していた。
結婚した亜裕美が、夫、そして娘一人と暮らしている一軒家の玄関先。
初夏の陽射しを背にうけて、純はニガ笑いをしながら言った。
「いつまでも、そんな顔するなよな。姉ちゃん」
リビングに座り、背負っていたリュックを降ろした純は、煙草をくわえようとした。
が、すぐ横の、クッションの上に寝ている赤ちゃんに目が行き、
「あ、だめか」
煙草を箱に戻して、赤ちゃんにほほ笑みかけた。
(姉ちゃんの子供か……)
そこへ、コーヒーカップを二つ持って、亜裕美が台所から戻ってきた。
「あんた、煙草吸うようになったの? まだ十八のクセに」
「いいじゃん別に。いや、ここでは吸わないけどさ」
「そうして」
静かな午後だった。
純は、コーヒーをブラックのまま飲んだ。
「……煙草は吸う。コーヒーはブラック。お酒は?」
「もちろん」
「……か」
自分は砂糖一杯とフレッシュ半分を注ぎ、スプーンで混ぜたままにしていた。
「で?」
テーブルの向かいに座った亜裕美は、両ひじをついて、純を見すえた。
「今までどうしてたの? 勝手に高校中退して」
とがめるような口調だった。
「住み込みだよ。工場で」
「……二年よ、二年。その間、電話も手紙もなしで。私にも、父さんや母さんにも」
「いいだろ? 二人とも、あいかわらず家にいないし、姉ちゃんには長谷部(はせべ)さ、いや、……義兄さんがいるんだし。桜庭(さくらば)家はカラッポじゃないか」
「そういう話じゃないでしょ? ……心配してるのよ、父さん達」
「わかったよ」
「……」
どこか手ごたえのない純に、亜裕美は言葉を失った。色々言いたいことがありすぎて、整理がつかないのだ。
「姉ちゃん。赤ちゃん、ダッコしてみていいか?」
「? ……いいけど」
純は、おそるおそる赤ちゃんを抱えた。
「コワいな、簡単に壊れそうで。……名前は?」
「さやか。長谷部 彩香よ」
「女の子か。彩香ちゃん、……叔父さんだよー」
「!……」
純も亜裕美も、「叔父」という言葉に抵抗を感じた。
叔父、ではない可能性。結婚前夜の、二人だけの夜があったからだ。
「叔父……さんだよ……」
「純……」
と、彩香が急にグズり始めた。
「ふええぇぇ……」
「わ、わ。なんだ?!」
「待って」
亜裕美は、彩香の手の平を握って、うなずいた。
「おネムね。寝かしつけなくちゃ」
慣れた手付きで純から彩香を受け取って、亜裕美は奥の部屋のベビーベッドに向かった。
ほどなく、純の耳に、姉の静かな子守歌が聞こえた。窓からの陽射しに溶け込む、宝石みたいな声だった。
「……おまたせ」
「あ、ああ」
亜裕美が再びテーブルの向かいに座ると、純は少しうつむいて、ボソボソと言った。
「俺さ……、ずっと姉ちゃんのこと考えてたんだ」
「……」
「結婚して人の妻になった、実の姉。って考えれば、別に普通だよな」
「そう……ね」
「でもさ、俺……」
「だめ」
亜裕美は、純の言葉をさえぎった。
「だめよ純。もう……終わったんだから」
「終わった? 終わったのか?」
純は、まっすぐ亜裕美を見つめた。
「……そうよ。やっぱり、いけないことだし……」
「……違う。違うと思うんだ。そう考えたんだ、俺」
「違う? だって姉弟なのよ、私達」
「だからさ」
「え?」
純は、またも煙草に手をだそうとして、やはりやめた。
「ちょっとテレくさいセリフだけど……愛ってさ、ひとつの形だけじゃない、って……」
「…………」
亜裕美の瞳が、寂しそうに反れた。
「でも……、姉弟は姉弟だから……」
「姉弟愛、は?」
「……え?」
一瞬遅れたリアクション。
「姉弟愛……?」
「そうさ。家族愛に、姉弟愛。それだって、愛って付くじゃないか」
「…………」
「そりゃ、結婚はできないけど、でも愛だろ? 愛して、確かめあって、なんで普通の……他人との恋愛と区別される?」
亜裕美は、反らしていた目を純に戻した。
「……じゅん……」
「俺は……今でも……姉ちゃんを愛してる」
「!!」
亜裕美は、純を凝視した。その目から、時間をかけて、ひとしずく流れた。
「……いいのかな。……愛しても」
「ああ。少なくとも俺はそう思……」
言いかけた言葉が止まった。亜裕美が、熱い瞳のままで近づいてきて。
その彼女の口から、ささやくような声がこぼれた。
「神の誓いに背いても?」
「……まあ、はせ……いや、義兄さんに理解してくれって言っても無理だろうけど……」
「うん……。もちろん、広樹(ひろき)さんのことも好きよ。でも……」
亜裕美は、さらに純に近づいた。
「でも…………、でも!」
そして、押し込めていた感情から逃げ出すように、純に抱きついた。
「でも! やっぱり純が好き! 好きなの!」
「ねっ……亜裕美……」
「いいんだよね! 好きなままで! 愛してるって言って!」
純の手も、力強く亜裕美を包み込んだ。
「あ、ああ! もちろんさ! 亜裕美が愛してくれるなら、俺はもっと亜裕美を愛せる!」
「愛してる! 愛してる愛してる愛してるっ!」
心と時間が作ってしまったすき間をふさぐように、二人はきつく抱きしめあった。
そして二人の唇は、ごく自然に重なり合った。
「あっ! あ! あぁ! あ!」
ベッドルームで、生まれたままの姿で、亜裕美と純はひとつになっていた。
上になっている純は、汗を飛び散らせて、腰の動きを速めた。
「亜裕美……! もう……!」
「あ! い、いいわ! きて! 一緒に! ああっ!」
「ふ……っく! ん! ん! ……っくぅ!」
「んああああ――っ!」
甘美な衝撃に、二人は硬直しあった。
「……っくー……。はあ、はあ、はあ……」
「あは……ぁ……」
「ふぅ……」
動けるようになった純は、つながったまま、亜裕美を抱きしめた。
「やっぱり最高だよ、亜裕美……」
「ん……、はぁ、はぁ……」
亜裕美の荒い息が、純の耳にかかる。たまらなく、愛しさが込み上げた。
「よっと!」
「きゃ!」
純が、亜裕美を抱いたまま、横に転がった。上にされた亜裕美は、余韻が残ったままで、力なく純にもたれかかるしかなかった。
うっとりした目で、純の胸に頬を寄せて、彼女は言った。
「こんなに広かった?」
「え? ……ああ。まあ、二年も離れてたからね。成長もするさ」
胸の上にある亜裕美の頭を、彼はていねいに撫でた。
「…………」
「あゆ……姉ちゃんは変わらないよな。あの頃のまま、かわいいままで……」
「ん……」
軽いキスを交わしてから、純は亜裕美を降ろして、横に寝かせた。
「と。……じゃあ俺、そろそろ帰るから」
「え……。どうして?」
「ど、どうしてって。夕方も近いし、義兄さんも帰ってくるだろ?」
「……広樹さんなら、いつも八時は過ぎるよ」
「……でも……、やっぱり帰らなくちゃ……うん」
上体を起こした純の腕に、亜裕美の手が絡み付いた。
「……いじめてくれないの?」
「!」
真っ赤な顔で、うるんだ瞳で、おねだりをする姉。純は、ゴクリとつばを飲んだ。
「い、いや……」
彼の戸惑いで、亜裕美も思わず目を反らせた。そして、ボソッと言った。
「だって……私、マゾだもん」
「…………」
亜裕美の亭主は、亜裕美のそのことを承知で結婚した。が、セックスには弱く、亜裕美の欲求に応えきれていなかった。亜裕美からそれを口にすることはなかったが。
「純のせいなんだから。……責任とってよ」
「……わかった。じゃあ……」
と言った純は、下着とズボンだけを着けて、ベッドルームを出た。
「?……」
残された亜裕美がベッドに座ってキョトンとしていると、ほどなく彼は戻ってきた。自分のリュックを持って。
「俺さぁ……」
「え?」
「まずいかなーと思ったんだ。あんまり準備がいいと、それが目的だったみたいで」
「準備?」
亜裕美の問い掛けに応えず、純はリュックを探った。
そして出したのは、布製の帯のようなものだった。
「……純……」
「勘違いしないでくれよ。俺の目的が、姉ちゃんの体だけ、なんてさ……」
「おっ、思うわけ……、思うわけないじゃない……」
亜裕美は、胸元を自分で抱きしめながら、続けた。
「……本当はね。純と会うのが怖かったんだから」
「…………」
「忘れよう。広樹さんだけを愛そう。そんな努力が、あっけなく壊れそうで……」
「姉さん……」
少し哀しそうな顔になった純に、亜裕美ははにかんだ。
「でも、そんな努力自体が無意味だったんだね」
「……」
「それがわかった今、自分へのウソはいや。私は純が好き。弟のあなたを愛してる。私はあなたに愛されたい。身も心も愛して欲しい。だから、疑うわけじゃないけど……」
亜裕美は腕を解き、膝を開いて、純にすべてを見せた。
「せめて体が愛されるなら、それだけでもいい……」
「……あゆみ……」
純は亜裕美に近づき、静かで熱いキスをし、胸に抱きしめた。
「もう止まらないぞ。どんなにいやがっても、泣き叫んでも」
「止めたら許さない……」
頬を伝う涙は、嬉しさの表現だった。
亜裕美の、ふくらみの下の鼓動は、はち切れそうなほど高鳴っていた。
両手両足を、純の持ってきた帯によってベッドに固定された、完全な大の字。今の彼女に、自分の体を隠す術は、一切ない。
その側に腰かけた純は、姉のおなかをさすりながら、たずねた。
「……どうだい? 縛られた気分は……」
「やっぱり……、ちょっとコワいかも……」
「ふーん」
純は、おなかをさすっていた手を下に移動し、いきなり彼女のひだに親指を埋めた。
「あひゃあっ!」
「『あひゃあ』だって、『あひゃあ』。かっわいー」
「や、やあん……」
思わず出てしまった素っ頓狂な声が恥ずかしくて、亜裕美は子供のように首を横に降った。
「だ、だって、あ、いきなり指、ああん!」
純は、顔を亜裕美の顔に近付けた。
「んじゃ、こっちなら、どんな声を出すのかな?」
「え? ……あ! や! や! 顔見ちゃやぁ」
「そのかわいい口から、今度は……」
言うと同時に、中指をギュッと後ろの穴に押し込んだ。
「きゃううっ!」
「あははー。『きゃうう』かー」
「いや、あ、あん! はず、恥ずかしい……! 恥ずか、あぁ!」
「そのわりに、腰動いてるじゃん。グショグショにしてるし」
「か、勝手に……あ! あ、あ!」
「っと、ここまで」
純は、あっけなく、彼女から指を抜いた。
「あ、ああ……」
亜裕美は、あきらかに物足りなさそうに、腰をモジモジさせた。
そんな彼女を横目に、純はリュックから缶ジュースと、ある錠剤を取りだした。
そして、ジュースと錠剤を口に含み、口移しで亜裕美に飲ませた。
「ん……? な、なに今のは?!」
「へへ……。これだよ」
純が見せたのは、薬のパッケージだった。そこに書かれていた文字に、亜裕美は青ざめた。
「利尿剤!?」
「ぴんぽーん」
「ば、ばか! やめなさいよ!」
「やめなさいって……、飲んだ後じゃ、どーしよーもないじゃん」
「そんな……!」
「どうしても、亜裕美のオシッコ姿が見たくてねー」
「そんなっ。それなら、ト、トイレで見せてあげるから! ほどいて!」
必死の哀願に、純は舌を出した。
「ここがいいんだもーん」
「やだ! ベッド汚しちゃうよぉ……」
「いいじゃん。前だって……」
初めて亜裕美と純が体を交わした時、彼女は自分のベッドの上で漏らしたのだ。
「あの後、マットレスにシミが出来ちゃったんだから! だから……うあ!!」
突如、猛烈な尿意が彼女を襲った。手足が固定されて、抑えることもできない。
「だ、だめ……! お、お願いぃ……!」
「いいなあ。オシッコを我慢してる顔も」
「やぁ……、やぁぁ……、だめぇ……」
「大丈夫。シーツは汚れないから」
「でも……! んんうっ!」
目を口をギュッと閉じて、奥歯をくいしばって、亜裕美は耐えた。
「じゃ、そろそろ……」
と言って、純は両手で彼女の腰を抱き、顔をその股間に埋め、口を秘部にピッタリと着けた。
「うそっ! や、やめ……んんっ! ……やめて、やめて純……!」
しかし純は、やめるどころか、舌でピンクの突起をもてあそんだ。
「はあん! いや! いや! いやぁ! ……っんん!! もうダメぇー!」
亜裕美の全身が激しく震えた。
「出ちゃうぅぅ!」
「!!」
純の口の中に、熱くて黄色い液体が、音をたててほとばしった。純はそれを、どんどん飲んだ。
「やあぁ……、飲まないでぇ……」
飲み込む音が、彼女の耳に容赦なく響く。
「止まらないよぉ……」
それでもようやく勢いが弱まり、やがて最後のひとしずくをこぼして止まった。
純は残りを吸い上げ、口を離して丹念にその部分に舌をはわせた。
「う……ううぅ……」
「ふう。おいしかったぜ、亜裕美」
「やだぁぁ……」
涙をボロボロこぼして首を振る亜裕美。を抑えて、純は唇を重ねた。
「んむ!」
「…………」
(私のオシッコを飲んだ口……)
最初はいやがった亜裕美だが、自分から舌を入れて、純の口中をなめた。
少し経って、二人の唇が、唾液の線を残して離れた。
「おいしいだろ?」
「…………」
真っ赤な顔で瞳をふせながら、亜裕美はコクンとうなずいた。
「よしよし。じゃ、スッキリしたところで……」
「! ま、まさか今度は……!?」
「へ? ……ああ」
純は、ニガ笑いした。
「さすがにアッチは……、いいかもな。亜裕美のその時の顔ってのも」
亜裕美は真っ青になって、無駄な抵抗をした。
「や、やだ! それだけは許して! 本当に許して!」
「冗談だよ。浣腸なんて出さないから。そこまでの趣味はないって」
「ホント?」
「ああ。次に出すのは……これこれ」
ピンク色でまがまがしい形の棒――バイブレーターだった。
「あ……」
「欲しいだろー」
「そんな……、純のがいい……」
素直な姉のセリフに若干赤らみつつも、純は言った。
「ま、まあ、そう言わずにさ、ほーら」
「あん……」
亜裕美の溝にそって、バイブが上下に動いた。小水じゃないものが、そこからジワッと溢れた。
「んん……ぅ。じらさないでぇ……」
「だろ? じゃ、ほら……」
純は、それの先端だけを挿入した。
「はぁ……ん。も、もっと……もっと深くよぉ……」
「そんなに欲しいなら、自分でくわえこんでみなよ」
「…………」
閉じた目から涙をこぼしながらも、亜裕美は懸命に腰を動かした。
「ん……、んん……」
「ほらほら。落ちそうだぞー」
「はっ、はっ……はあぁ……。できないよぉ……」
腰の動きが止まったところで、純はバイブを根元まで射し込んだ。
「あうっ!」
さらに純は、バイブのスイッチを、最強レベルで入れた。激しい振動が、亜裕美の中で暴れる。
「んはっ! あ、ああ! あはぁっ!」
亜裕美の顔が恍惚となり、口から歓喜の声が漏れた。
「いいみたいだな。ヨダレでベチョベチョだぞ」
「あ、んん! んう! ふぅん!」
「聞いてないなぁ……」
じらされたことで、興奮が高まりきっていたのだ。
そんな姉を見ながら、純はコッソリと彼女の足の戒めを解いた。が、亜裕美に気付いていない。
「ああ! あああ! い、ううっ!」
「ま、そんだけ喜んでもらえると、苦労して買った甲斐はあるけど……」
と言いながら、彼は彼女の両足首を持ち上げて、グイッと前に倒した。
「あ?!」
「少しは俺も楽しませてくれなくちゃ」
「あ……や! やあ!」
胸も、バイブの入ったそこも、後ろの穴も、そして汗と涙と唾液にまみれた顔も、すっかり純にさらすポーズだった。
「見な、ああ! 見ないでぇ!」
「今さらだなぁ。こんなに腰をヒクヒクさせといて」
「だって、あ! こ、んな、ああ! 格好……うっ!」
「まんぐり返しって言うらしいね」
「やあぁ……ああっ!」
もちろん、両手はつながれたままだから、隠すことも、純の手を払うことも出来ない。
純は片腕で彼女の両足を抑えると、残りの手でその後ろの穴をこじあけた。
空気の感触が、彼女に、そこが奥まで見られていることを伝えた。
「そ、そこダメェ……、あ、あん!」
「ひさしぶりだな……っと!」
「うあぁっ!」
純の指が強引にねじ込んで、中をデタラメに動き回った。
「ふぅぅっ! うあ! や、やめ……ひぃっ!」
「どうだい? 義兄さんにちっとは開発してもらったの? ここは」
「や、やだぁ! そこいやぁ! ああ!」
「なんだ全然か。久しぶりじゃ、キツいかもな」
純は指を抜き、亜裕美の足を両手で抑え直した。
「……! だ、だめ! だめよぉ!」
そこにあてがわれたモノの感触に、亜裕美は何をされるのか理解した。
「大丈夫だって。一回したんだから。前よりラクなハズだぞ。これだけ汗で濡れてるし」
「でも、あ! よ、四年前にしたっきりで、うう!」
「いくぞ!」
前はバイブレーター。そして後ろは純のモノで、すっかり埋められた。
「ううううっ!」
「ほら。入った。入ったじゃないか」
「う、ふぅ! んん、っくぅ……、ああ!」
苦しそうに歪んだ亜裕美の顔が、純の腰が動くと、アゴをつきだすように大きく反れた。
「はああ! ああ! ああ!」
「こっちの……、しまりも……、昔どおりだな……、くぅ」
「はうう! も、もっと! もっとぉ! 純ぅ!」
「はは! よーし! ほら! ほら! ほら!」
「あああ! いい! いいの! いいのぉ!」
バイブのすき間から、熱い蜜が噴き出す。
「気持ちいいよ亜裕美! やっぱりお前が最高だ……!」
「んふぅ! ふあぁっ! すきぃ! すきぃぃっ!」
「ほら! いっちゃえ! いっちゃえ!」
「いい! いいぃっ! 狂っちゃう! 狂っちゃうぅぅ!」
「俺も……! 狂いそうだ……! もう……も、う!」
「……! ……! ……!」
「くぅっ!」
絶頂の瞬間、純は亜裕美に刺さっていたバイブを、一気に引き抜いた。
「かはぁっ……………………っ!!」
「ぉ…………っ!」
体がバラバラに引きちぎれそうになるほどの、最絶頂の中。
亜裕美の足首を握り締め、信じられない量の白濁を亜裕美の体内に放出した、純。
固定された手を限界まで開き、涙と唾液をとめどなく流す、亜裕美。
二人は、もう二度と動かないかと思うほど、そのままだった。
「……っはあ! はあ、はあ……」
「…………」
純は、亜裕美の足を、そっとベッドに戻した。
そして、手の戒めも解いた。
それから、亜裕美の頬にかかっていた髪を、やさしく撫で取った。
その頃になって、ようやく余韻の納まった亜裕美が、今まで閉じていた目をうっすらと開けて、言った。
「キスぅ……」
「ん? ああ……」
まだ両手を開いたままの亜裕美の、汗と涙にまみれた両頬をそっと包んで、純はゆっくりと優しいキスをした。
キスを終えても、亜裕美はトロンとしたままだった。
「幸せ……。好きよ純……」
「…………」
生まれたままをさらけだして、自分に愛をささやく彼女の姿に、純は奥底から込み上げる衝動を抑えきれなくなった。
「ああー! もう!」
「! な、なに?!」
純は、驚く亜裕美に力一杯抱きつき、慟哭した。
「どうして姉弟なんだよ! 身も心もひとつなのに! こんなに愛しあってるのに!」
「!……。……そうだね……、ホントだね……」
「なぜ許されない?! なぜ、許されないって思っちまうんだ!」
「ホント……だね…………」
抱き返した亜裕美の声にも、涙が混ざった。
「どうして……かしら……ね…………」
どんなに言葉をゴマかしても、世間はあざむけない。
それが、わかりすぎていた。
忘れることが、ついに出来なかった。
それが、彼女にその言葉をこぼさせた――
シノウカ?
「……! だ、だめだ!」
純は亜裕美を離して、上半身を起こした。
「何を言ってるんだ姉ちゃん! 馬鹿なこと言うなよ!」
「だって……。あなたと結ばれないなら、ずっと一緒でいられないなら……」
「だめだ!!」
怒鳴りながら、亜裕美の両肩をつかんだ。
亜裕美の、おびえたような、疲れ果てたような瞳をまっすぐに見ながら、純は言った。
「……二人だけじゃないだろ、俺達は」
「…………彩香?」
「そうだ。“俺達の娘”だ」
「あ……! ああ……」
亜裕美の瞳に、さらに涙があふれた。
「うれしい……、純……」
「……ん、んまあ、そういうことだからさ」
今になってテレくさくなった純は、亜裕美から離れ、背をむけるようにベッドの端に座った。
「うん……、うん!」
その背中に、亜裕美はしがみついた。世界中の幸せを独り占めしたような顔で。
「私、一生懸命あの子を愛して、育むわ。誰にも負けない、地球で一番きれいで、優しくて、正しい女の子にするんだから!」
とまで言って、ふと思い付いてニッと笑い、純の背に頬を押しつけた。
「……でもダメよ、娘には手を出しちゃ」
「う」
冷や汗を上から下へ流した純は、なんとか余裕を取り戻して、言い返した。
「ね、姉ちゃんこそ、ちっとは義兄さんも愛してやれよ」
「べーだ。言われなくたって、広樹さんのことも愛してるよーだ」
「はは……、あれ? 姉ちゃん?」
ふと顔をあげて、純はジッとした。
「……泣いてねーか? 彩香」
「え……、ああ! こんな時間! ミルクだ!」
亜裕美は大慌てで跳ね起き、ダッシュで寝室を出ていった。
「お、おいおい姉ちゃん! これ! せめてコレ!」
亜裕美のショーツを握り締めて、純も後を追った。
だが、そういう純も、トランクスを置きっぱなしだ。
とっさの行動が似てしまう。
さすが、姉弟である――
おしまい
【後書き】
書いてしまいました。あ・れ・ほ・ど「続編はなし!」と豪語していたクセに、へいちゃらで書いちゃいました(^^;)。
何とでも言うがいい。私は書きたかった。それだけなんだ。ああ満足(^^;)(^^;)。
いや、こうして書いてみて、本当の意味で、完結できたかもと思ってます。
亜裕美の嫁ぎ先の名前も判明しましたし、子供の性別も判明しました。「さやか」というネーミングにふきだした方もいらっしゃるでしょうが、まさにそれが由来です(わからない人はおいてくよー(^^))。ちょっといいかげんかしら?
そして、シャーについても、今回のが、私の書きうる究極だと思います。どうすればこれ以上になるだろう? アイデアのある方は
ご一報ください。このシリーズはもう、今度こそもう書きませんが(;;)、別の作品に盛り込みたいので。
なんせ好きなんですよ、シャーが。出るモノが、じゃなくて、出してるその表情が、ね。
さあ、素敵なシチュエーションを思い付いたあなたの応募を待ってます!(^^;)
さ、さて(^^;)、この作品は、これ以上物語を進めても、今度こそどーにもならないでしょう。作者としても、気持ちの整理がつきました。心置きなく、思い出にできそうです。本当に、書いてて楽しいカップルでした。シリーズの1話目を書いた時に、ここまで話がふくらむとは想像も出来ませんでしたよ。ありがとね、亜裕美、純(^^)。