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小説(転載) 天狗村奇談 サーカスの夜 その2

近親相姦小説
02 /25 2021
掲載サイト「母と少年 禁断の部屋」は消滅。
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客席からステージに進む母にさらに大きな拍手が起こった。きっと、母の美貌が観客を喜ばせたのだろう。
「へえ、いいケツしてるな」
 後ろからそんな声が聞こえ、ぼくは不快な思いをした。
 ステージに上がった母に賀来はうやうやしくおじぎをした。母は大勢の視線を浴びるのが恥ずかしいらしく、顔を赤らめ俯いている。
 賀来の助手が箱の蓋を開けると、賀来がもう一度おじぎをしながら、どうぞお入り下さい、と手で指し示した。母は恐る恐る箱に入り、中で窮屈そうに座った。
「では・・・」
 賀来は蓋を閉めた。
 音楽が高鳴り、観客が固唾を飲んで見守るなかで蓋が開けられると、箱の中には母の姿はなく、代わりに鎖につながれた一頭の虎が出てきた。
 グォーッという虎の吠える声と、観客の割れんばかりの拍手が交差しているなかで、ぼくは、消えた母がいったいどこから現れるのだろうとドキドキしながら待っていた。
 ところが母は現れず、箱をかたづけさせた賀来は、その虎でショーを始めてしまったのだ。
 賀来は鞭を振るって、虎に綱渡りをさせたり、火の輪くぐりをさせている。ぼく以外、もう、誰も消えてしまった母のことなど気にしてはいないかのようだった。ぼくはふと、さっきの母から聞いた「神隠し」という言葉を思い出した。もしかして、このまま母がいなくなってしまうのではないか・・・そんな不安に駆られ、ぼくはいても立ってもいられなくなってきた。
 しかも、猛獣ショーが終わると、今度は空中ブランコの女性達が出てきてアラビア風の踊りを始めたのだ。
 遠い異国を感じさせる不思議な音色が鳴り響き、煌びやかな衣装をまとった女性達の踊りは、それはそれで心を引かれるものだったが、ぼくはもう不安で堪らなくて、楽しむどころではなかった。
 しかし、女性達の踊りが終わると、やっとのことでステージにさっきの箱がもう一度運び込まれた。
 箱と一緒に出てきた賀来が、蓋を開けて中を見せ、中には何も入っていないことを観客に見せた。それからまた蓋をし、黒い布をかける。
 場を盛り上げる音楽が鳴り響き、賀来はえいっ、と布を剥いだ。
 箱の各面がパタパタと外れ、母がはっとしたような表情で立ち上がったのを見て、ぼくはやっと胸を撫で下ろすことができた。
 拍手を浴びながら母が席に戻ってきた。母は席に着きながらぼくに言った。
「どうしたのそんな顔をして。心配だったの?」
「うん・・・お母さんがこのままいなくなっちゃうような気がして・・・心配だった」
「馬鹿ねえ、そんなことあるわけないでしょう」
 母は微笑み、ぼくの頭を優しく撫でてくれた。
「本日は、我が賀来サーカスにおいで下さいましてありがとうございました。なお、最終日は成人男子のみの入場となります。本日とは違った趣向をご用意しておりますので、ぜひ今一度お運びください。それでは」
 賀来の挨拶でサーカスは終わった。ステージに当たっていたライトが消え、テントの中は裸電球だけの薄ぼんやりした明るさにもどった。
 ぼくと母は、天の川を見上げながら家路へと急いだ。

 つぎの日、学校では夕べのサーカスの話題でもちきりだった。
 ぼくも輪の中に入って、あれがよかった、これがすごかったと語り合った。けれどぼくは、ロドリゲスのことを思い出すと胸が痛んだ。あまりに醜く、可哀想だと思いながらも、つい笑ってしまった自分に良心の呵責を覚えていたのだ。
 それから数日の間、何事もない平穏な毎日が過ぎていった。
 ぼくは毎日、神社の境内から真っ青な空に向かってぽこんと飛び出した黄色いテントを見上げながら、学校に行き帰りした。
 そして、サーカスは毎晩盛況だった。遠くの村からも毎晩観客が詰めかけてくるのだという。学校でもあいかわらずその話題が中心で、中には親と一緒に二度も三度も見に行く子までいた。
 やがて、一週間が瞬く間に過ぎ、公演の最終日を迎えた。
「サーカスも今日で終わりだね」
「うん、今日は子供の入れない日なんだよね。何でだろうね」
 ぼく達は教室の窓から身を乗り出して、明日にはなくなってしまうテントを眺めやった。 平凡な村に突然現れた黄色いテント。その中で繰り広げられた胸躍る異世界が、テントとともにどこかへ行ってしまうのかと思うと、ぼくは堪らない寂しさを覚えた。ところが、夕方家に帰ると、家に異変が起こっていた。母がお昼頃に黙って家を出たまま、帰ってこないというのだ。
「こんなことは今までなかったのに・・・」
 と、祖母はおろおろしていた。隣り近所にも聞いたが誰も母の姿は見ていないそうなのだ。
 確かに変だった。この時間には、母は必ず台所で食事の用意をしているはずだ。母の性格からして、家事を放り出してどこかに行ってしまうなんてありえないことだった。
 ぼくは驚きながら、とっさに母に聞いたサヨちゃんの話しを思い出していた。
 もしかして母は、サーカス団に捕らえられ、どこかに連れ去られようとしているのではないか・・・そんな考えが浮かんだのだ。
 自分でも、あまりに馬鹿げた想像だと思ったが、ほかに考えられる理由も思いつかなかった。何しろ狭い村のことだ。変わったことがあれば、すぐに近所の人が教えてくれる。
 やがて役場から帰ってきた父も、祖母から事情を聞いて顔色を変えた。そのくせ父は、妻を捜しにいくなんて男の沽券に関わるとでも思っているらしく、ちゃぶ台の前に座り込んで、祖母に用意させた酒を陰気な顔で飲み始めたのである。
 外が真っ暗になっても、母は帰ってこなかった。
 ぼくと祖母は互いに不安な表情で、何度も顔を見合わせたが、父はだんだん怒った顔になって酒を飲み続けるばかりだった。近所に聞きにいこうともしなかった。
 さらに時間が過ぎ、夜の闇はますます濃くなっていく。ぼくはもう、我慢ができなかった。
「ちょっと捜しに行ってくるよ」
 ぼくは台所で祖母に耳打ちし、父に見つからないように、勝手口からそっと家を抜け出した。
 家を出ると、ぼくは必死にサーカスのテントを目指して走り出した。とにかく、行ってみようと思ったのだ。
 空にはいつもと同じように天の川がかかっている。星明かりに照らされながらぼくは走り続け、息を切らしながら境内に駆け上がった。
 サーカスは今日も満員らしく、中から大勢の観客の熱気が伝わってきた。テントの周りには誰もおらず、入場口も無人だった。もう終盤に近づいているので切符を切る係も中に引っ込んだらしい。
 ぼくは入場口の幕をめくり、中を覗き込んだ。一週間前と同じように、饐えたような動物の匂いと観客の熱気が充満している。
 ぼくは意を決っしてテントの中に入り、最後尾の席の後ろに屈み込んだ。満員の観客の目はステージに注がれていて、ぼくに気がつく者は一人もいなかった。ぼくは観客の後ろ姿を見渡してみた。
 もし母がいれば、髪型とか雰囲気で見つけられると思ったが、あまりにも観客が多すぎて捜しようもなかった。それに、考えてみれば今日は男しか入れない日だった。
(何をやっているんだろう、ぼくは・・・)
 見当はずれなことをしていた自分に呆れながら、ふとぼくは今夜の観客の雰囲気が一週間前と違うことに気がついた。それは、大人の男しか入場していないのだから当然とも言えるが、それにしてもこれだけ熱気でむんむんしているくせに、妙に静かすぎた。
 ステージに目をやるとちょうど賀来が出てきたところだった。
「・・・演目も残り二つとなりました。長らくお待たせいたしましたが、つぎはいよいよお待ちかねの演目です。さて、皆さん、噂でお聞き及びのことと存知ますが、この演目につきましては公の場にていっさい口外なさらぬようお願い申し上げます。耳から耳へ内緒で伝えて頂きたい、というのが私どもの希望でございます。もちろん皆さんはそのようにして噂を聞きつけ、今夜おこしになったものと存じます。くれぐれもご内密に、そして存分にお楽しみ下さい」
 賀来の、奇妙な口上だった。
 このときぼくは賀来の秘密めいた言葉に、いったい何が始まるのだろうと、つい母のことも忘れて胸をときめかせてしまった。しかし、音楽が鳴り響き、幕が開いた瞬間、ぼくはカミナリに打たれたような衝撃を受けた。
 一輪車を抱えた母が、信じられないような姿でステージに現れたのだ。

小説(転載) 天狗村奇談 サーカスの夜 その1

近親相姦小説
02 /25 2021
掲載サイト「母と少年 禁断の部屋」は消滅。
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夏休みも終わり、秋の気配が漂ってきた頃である。
 その朝、授業が始まる前に学校中がちょっとした騒ぎになっていた。どの学年の窓からも生徒達が身を乗り出し、神社の境内を見詰めていた。
 境内には大きな黄色いテントが張られ、とんがった天井が校舎から見える。
 村に、サーカスがやってきたのである。
「賀来サーカス団来たる。一週間の限定公演。演目は空中ブランコ、猛獣ショー、世紀の魔術ショー。その他バラエテイに富んだ演目あり。開演は本日午後七時より。尚、最終日の公演は少年少女来場不可」
 各家に配られたビラには、そう印刷されていた。魅惑的な言葉と、どこか神秘的なテントの出現にぼく達は興奮しきっていた。
「空中ブランコだってさ」
「猛獣ショーって、ライオンとかが出るのかな」
「でも、最終日は少年少女来場不可ってなんのことだろう」
「大人しか入れないってことじゃないの」
 誰も彼も胸を躍らせ、目を輝かせていた。
 皆は親と一緒に行くんだと口々に話し合っている。ぼくも行きたくて堪らなかったが、父が許してくれるか不安だった。
 堅物の父は「見せ物」のたぐいが嫌いなのである。人前で芸を見せてお金をもらう人達を軽蔑しているからだ。
「サーカスだと・・・くだらん、そんなもの行くな」
 そう言われそうで、ぼくはとても心配だった。
(どうやって頼めば、父は許してくれるだろうか)
 そんなことを考えているうちに、いつの間にかその日の授業は終わってしまった。町田先生が何を教えていたのか、さっぱり覚えていなかった。
 学校からの帰り道も、ぼくの頭の中はサーカスのことでいっぱいだった。なおもあれこれと算段しながら歩いていると、奇妙な格好をした男が目に入った。
 何が奇妙かというと、肌寒くなったとはいえまだ秋のかかりなのに、男は膝まである黒いマントを着て、頭には円筒でまわりに縁のついた帽子をかぶっていたのだ。
 ぼくは、きっとあれはシルクハットだと思った。確か、母が買ってくれたシャーロックホームズの本に、こんな人物の挿し絵があった。
 どこまでも続く田圃には、いっせいに実った穂が重そうに頭を下げている。男はその田圃を背景に立ち、じっとぼくを見詰めていた。まるで、ぼくを待っていたかのようだった。
 ぼくが近づくと、男はニッと笑った。彫りが深くて日本人離れした顔だった。それに、若いのか年寄りなのかよくわからない顔をしていた。
「あの、何かご用ですか」
 恐る恐る声をかけると、男はもう一度ぼくに笑いかけてきた。
「君、サーカスにはくるかね」
「サーカス・・・ですか? 行きたいですがお父さんが許してくれるかわかりません・・・あのう、あなたは誰ですか」
「私かね、私は賀来という者だ」
「ガライ・・・さんですか? それじゃあ、あのサーカスの・・・」
「そうだ。私はあのサーカス団の団長だ」
 ひえーっ、とぼくは驚いてしまった。サーカスの団長に会えるなんて夢のようだった。
「そんなに嬉しいかい」
「はい・・・」
 ぼくは、猛獣ショーの猛獣はライオンなんですか、とか魔術ショーって人が消えたりするのですかと聞きたかったが、ドキドキしてうまく言葉がでなかった。
「君にいいものをあげよう」
 そう言って賀来は懐に手を差し込み、二枚の紙を取り出した。
「無料招待券。賀来サーカス団」
 受け取って目を落とすと、そう書かれていた。
「もらって、いいんですか!」
 あまりの嬉しさにぼくは胸を弾ませ、叫ぶように言った。
「いいとも。それを見せればお父さんも駄目だとは言うまい。お母さんと一緒に見に来なさい」
 はいっ、と答えながら、ぼくは何度も「無料招待券」という文字を目でなぞった。
 賀来の言うとおり、この券を見せて頼めば、いくら父だって行くなとは言えないだろう。
(ああ、ぼくも猛獣ショーや空中ブランコが見られるんだ。ぼくは何てついているんだろう・・・)
 そんなふうに思いながら顔を上げると、すでに賀来はいなかった。あれっ、と思ってあたりを見回すと、 稲穂が風に揺れるなかに、テントに向かって歩いて行く遠い後ろ姿があった。
 
 夕方、村役場から帰ってきた父に招待券を見せると、思った通り父はあっさりと許してくれた。夕食を食べてから、母と二人で見に行くことになった。
 家を出て、並んで夜道を歩きながら、母もぼくと同じように胸を弾ませているように見えた。
「懐かしいわ、サーカスなんて」
「お母さん、前にも見たことがあるの?」
「ええ、あるわよ。ずーっと昔、お母さんがまだ正一くらいのときだったわ。村にサーカスが来てね、そのときもやっぱり神社の境内にテントが立ったのよ。楽しかったわ」
 そう言いながら母は、遠くを見るような目になった。サーカスの思い出とともに、幼い頃の自分に思いをはせていたのかもしれない。
 空には無数の星が輝き、天の川もはっきりと見えていた。
 境内が近くなり、そびえ立つテントが見えてきた。自然とぼくは急ぎ足になった。
 石の階段を登って境内に入ると、すでに大勢の人が詰めかけていて、列になって入場を待っていた。クラスメートの顔もあったが、知らない顔も多かった。おそらく近辺の村からも大勢来ていたのだろう。
 受付には、まだ十歳くらいの可愛い女の子が座っていた。西洋のドレスのような衣装を身にまとい、まるで大人のようにてきぱきとお客をさばいていた。
 入場待ちの列が進み、ぼく達の番になった。
 ぼくは母の分も一緒に招待券を差し出した。受け取りながら女の子はにっこり笑い「ごゆっくり」と声をかけてくれたが、そのときぼくは、母が驚いた顔でその子をしげしげと見つめているのに気づいた。
「お母さん、入るよ」
 ぼくが母の袖を引くと、母ははっとしてぼくに視線を移し、それから気を取り直したように一緒にテントの中に進んだ。女の子の方は、母の視線には気づかなかったようだ。
「どうしたの」
「・・・ううん、何でもないわ」
 母は言ったが、それでも何かが引っかかっているような表情だった。
 テントの中はかなり広かった。観客席の前に広いステージが設置されていて、その両端に出入り用の黒い幕がかかっていた。
 観客席には百人位座れそうだ。すでに客席の半分が埋まっている。
 見上げると高い天井には複雑に梁が交差していて、吊された二本の空中ブランコがゆらゆらと揺れていた。
 天井にぶらさがった裸電球の薄暗さが少し物悲しい雰囲気を漂わせていたが、観客の人いきれと獣臭い匂いで、テントの中はむっとするような熱気に包まれていた。
 息苦しくもあったが、日常とまったくかけ離れたその雰囲気に、ぼくはすっかり心を奪われてしまった。これからあのステージで、空中ブランコや猛獣ショーが始まるのだと思うと、ゾクゾクするような期待感が込み上げてくるのである。
 ぼくと母は、運良く空いていた前の方の席につくことができた。
 しばらく待っていると、観客も入りきったのだろう、裸電球の明かりが消え、ステージにスポットライトが当たった。
 ステージの右の幕が跳ね上げられ、黒いマントの男が現れた。
 団長の賀来だった。昼間会ったときとまったく同じ服装をしていた。その、異国を思わせる賀来の姿に、早くも客席にどよめきが起こった。
 賀来は、観客を見回しながらゆっくりとステージの中央に進み出ると、よく通る渋い声で口上を述べた。
「わが賀来サーカス団にようこそおいで下さいました。こよいは心ゆくまで妙技の数々をお楽しみ下さい」
 言い終わった賀来は、もう一度ゆっくりと観客席を見渡した。
「最初にお目にかけるのは、一輪車のショーです。少女達の息の合った演技をご堪能下さい」
 幕が開くと、きらびやかなステージ衣装を身にまとった三人の少女が、一輪車に乗って飛び出してきた。同時に、優雅な音楽も流れ始めた。
 もうそれだけで、割れんばかりの拍手が巻き起こった。ステージに上がった少女達は、一輪車を巧みにあやつり、音楽に合わせてぐるぐるとまわったり、ジグザグに動きまわったり、あるいは一瞬ピタリと静止したりと、実に華麗で息の合った演技を繰り出した。
 観客の目は、ステージに釘付けだった。
 ぼくも夢中で見ていたが、そのうちに三人の中の一人が、さっきの受付の女の子であることに気づき、ふと母の顔を見上げた。
 奇妙なことに母の目は、その子だけを真剣に追っていた。
「ねえ、どうしたのお母さん」
 ぼくは、母に耳打ちするようにそっと尋ねてみた。
「・・・変ねえ、サヨちゃんにそっくりなのよ」
 母は首をかしげるようなしぐさをしながら囁き返した。
「誰? サヨちゃんて」
「お母さんと仲の良かった子なの。お母さんの子供の頃にも、サーカスが来たって言ったでしょう」
「うん」
「サヨちゃんは、そのサーカスが来ているときに急にいなくなってしまった子なの」
「・・・いなくなった?」
「そう、突然いなくなって、村中で捜したけれど見つからなかったの・・・神隠しに合ったって言う人もいれば、サーカスにつれて行かれたって言う人もいたわ。そのサヨちゃんに、あの子がそっくりなのよ」
「・・・」
「でも、生きていればサヨちゃんももう大人になってるわ。だからあの子はサヨちゃんじゃない・・・でも、本当によく似ているの。だから不思議なのよ」
 母はもう一度首をかしげ、軽く溜息をもらした。
 ぼくもふーっ、と息を吐いた。母の話しが少し怖かったのだ。
「ごめんね。変な話しをしちやったわね」
 ぼくの様子に気づいた母が、慌てたように言ったので、
「ううん、全然平気だよ」
 ぼくは笑い返して見せた。

 めくるめくような時間が流れていった。
 一輪車の演技が終わると、今度は若い女性達による空中ブランコがあり、つぎにはピエロの玉乗りがあった。
 ぼくはハラハラしたりドキドキしたり、さっきの母の話しもすっかり忘れてサーカスに酔いしれた。
 途中で気がついたのだが、この賀来サーカス団の団員には異国の人達が多かった。さっきの一輪車も、母がしげしげと見つめていた子は日本人だったが、あとの二人はどう見ても西洋人の顔だったし、空中ブランコを演じた人もそうだった。
 そして、ピエロの玉乗りのつぎの演目はどうにも見るに堪えない出し物だったのだが、そのとき登場したのもやはり日本人ではなかった。といって西洋人でもなく、あとから思えば、その名のとおりメキシコあたりだったのだろう。
 その男のことを、賀来は「世にも醜い小人男、ロドリゲス」と紹介した。褌のようなものを腰に巻いただけで、ほとんど素っ裸のロドリゲスが登場すると、客席は一瞬シーンと静まりかえった。言葉どおり、あまりにも醜かったからだ。
 背はぼくと同じくらいだったが、ぶよぶよと太っていた。しかも手足が短くて、まるで太ったオットセイのようだった。
 それだけでもぼくには衝撃的だったが、もっとすごいのは、顔がぼくの二倍くらいあることだった。しかも両目の間は離れすぎていたし、ぶ厚くてぬめぬめとした唇が気持ち悪かった。
 いったいこんな醜い小人男が、どんな演技を見せるのだろうと思っていると、あとからさっきのピエロが一輪車を持って出てきて、ロドリゲスに乗ってみろというしぐさをする。
 ロドリゲスは短い手足で一輪車を跨ごうとするが、もともと短い足が届くはずもなく、見事にひっくり返ってしまった。
 ピエロはひゃっひゃと笑い、観客にも笑うよう促した。
 なんのことはない、この哀れで醜いロドリゲスをただ笑い物にするだけの出し物なのだ。 しかし、静まり返っていた客席からは、つぎつぎに笑い声が漏れ出した。哀れではあるが、一輪車に乗ろうとして何度も倒れるロドリゲスが滑稽なのだ。ぼくも、何て酷い出し物なのだろうと思いながらつい笑ってしまった。
 倒れるたびに、ロドリゲスは悲しそうな顔をした。その顔を見ていると心のどこかが妙に刺激され、可哀想で胸が痛むのに、それでも笑わずにいられないのだ。
 いつまでたっても一輪車に乗れないロドリゲスに(もともと乗れるわけがないのだが)ピエロは大袈裟に呆れ返ったしぐさをして見せ、笑い声はどっと大きくなった。
 そこへ、今度は玉乗りの大きな玉が届けられた。
 ピエロは、これは俺しかできないんだ、でも、とりあえずやってみろ、というようにロドリゲスに玉を押しやった。するとロドリゲスはピョンと玉の上に乗り、短い足で器用に転がし始めたのだ。
 おおーっ、とどよめきが起こり、面目をつぶされたピエロがやめさせようと追いかける。ロドリゲスは、このときばかりは得意げに玉を転がしてピエロから逃げ回ったが、最後には追いつかれて玉を蹴り飛ばされてしまった。
 ステージに叩き落とされたロドリゲスが、またも悲しそうな目をしている。ぼくは可哀想に思いながらも、ロドレゲスの分厚い唇にたれた涎が気持ち悪くて堪らなかった。
 何とも残酷で滑稽な出し物はそれで終わった。
 ロドリゲスは、ピエロに追い立てられてステージから退場し、客席には奇妙な興奮だけが残った。ぼくは、何とも後ろめたいものを覚えていた。
   
 演目もそろそろ終わりに近づいてきた頃、ステージに人が一人すっぽりと入れるくらいの箱が運び込まれた。一緒に出てきた賀来が観客を見回して声を張り上げた。
「つぎは世紀の大魔術ショーです。この箱に入った人間を、たちどころに虎に変えてごらんにいれましょう」
 それから賀来は、もう一度ゆっくりと客席を見回した。
「そこの美しいご婦人、ご協力を願えまいか」
 賀来に指さされたのは、何と、ぼくの母だった。観客の視線がいっせいに母に注がれ、大きな拍手が巻き起こった。母は驚き、手を振って断わろうとしたが、母が応じない限り拍手は鳴りやみそうになかった。
 母は困った顔でぼくと目を合わせていたが、やがて意を決したらしく、
「仕方がないから行ってくるわ」
 と、席を立った。

小説(転載) 天狗村奇談 権堂さんの宴 その5

近親相姦小説
02 /25 2021
掲載サイト「母と少年 禁断の部屋」は消滅。
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「良平、今度はお前だ」
 安二郎が指示した。良平は安二郎の顔を跨いで立っていたが、頷くと母の顔を両手で押さえ、グイッと引き寄せて肉棒を母の口元に突きつけた。
「あむっ」
 と呻き声を上げた母の唇に、良平は肉棒をグリグリと押しつけていく。母は堪らずに口を大きく開き、その口の中に良平がズブズブと肉棒を押し込んだ。 
「ぐうっ・・・」
 と母の喉が鳴った。母の美貌が良平の陰毛の中に埋もれていた。
 振り向くと、権堂さんが愉快そうに目を細めている。健ちゃんも、鼻の頭に汗の玉を溜めながら食い入るように見つめていた。三人は、互いに目配せしながら腰を動かし始めた。
最初はゆっくりした動きだった。安二郎が腰を突き上げ、引き抜くを待って、今度は達蔵がお尻の穴に突き上げる。達蔵が終わると良平が口の中に、というふうに一定のリズムで母の体に抽送を加えていくのだ。
「あうっ・・・あおっ・・・」
 肉棒の出入りする母の喉から、くぐもった呻き声が漏れている。ぼくにはそれが、まるで地の底から響いてくる声のように聞こえた。
 母の肉穴も、お尻の穴も、めいっぱい広がりきって境目がなくなっていた。
 出入りするたびに肉棒が擦れ合い、境目が今にもプチッ、と切れてしまいそうだ。
 良平は母の顔をしっかりと押さえつけ、口の中に深々と肉棒を挿入している。舐めさせるとか、しゃぶらせるなどという生やさしいものではない。喉の奥に肉棒をドスドスとぶつけているのだ。
 良平が腰を引くたびに、苦しそうに歪んだ母の顔が見えた。呼吸できないらしく、ズルッ、と肉棒が抜けるたびに必死に息を吸い込んでいる。
「うはは・・・どうだ健次、すごいだろう」
 権堂さんが杯を傾けながら、高らかに笑った。
「うん、すっ、すごいや!」
 健ちゃんも嬉しそうに声を上げ、それからぼくの顔の顔を覗きこんだが、ぼくが反応しないのがおもしろくなかったらしい。
「ねえ、お父さん、ねえ、もっと激しくやらせてよ」
 と権堂さんの肩を揺すった。
「おい、聞こえたか、もっと激しくやってやれ。正一が泣き出すくらいにな」
「はい、旦那様」
 ゆっくりしたリズムが崩れ、三人はそれぞれ勝手に、力まかせに肉棒を突き上げ始めた。
もう、粘膜の擦れる音ばかりで、呻き声さえ聞こえなかった。
 三人は、母を人間扱いしていなかった。まるで、マネキン人形をよってたかって叩き壊そうとしているかのようだ。乳房は絡みついた何本もの手で揉まれ、食い込んだ爪跡からはうっすらと血が滲んでいる。ぼくはもう、見ていられなかった。
 どのくらい続いたのだろうか。やがて三人は恍惚の表情となり、つぎつぎに歓喜の呻き声を噴き上げていった。母の体に精液の流れ込む音が聞こえてくるようだった。
 ようやく射精を終えた達蔵と良平が次々に肉棒を引き抜いていった。安二郎は引き抜く代わりに、起きあがりながら母の体を突き飛ばした。
 両足を広げたまま床の転がった母の肉穴とお尻の穴からぴゅっ、ぴゅっ、と白濁が噴きこぼれている。口からもドロドロとしたたっている。何という無惨な母の姿だろう。
「お母さん!」
 ぼくは叫び、母に駆け寄ろうとした。だが、そのぼくの肩を権堂さんが掴んだ。
「まだ終わってないぞ、正一」
「ええっ・・・だって、もう・・・・」
 泣きそうになたぼくの顔を、権堂さんが冷ややかに見下ろしてきた。
 神社の境内からは、あいかわらず祭囃子の練習の音が聞こえていた。
 空が急速に暗くなろうとしている。
 ほとんど意識を失っている母が、安二郎達に体を縄で縛られ、庭の柿の木に吊されてしまうのをぼくは呆然と見つめていた。
 西の空に夕焼けが最後の輝きを放っている。山々が美しいほどに紅く染まっていた。そんな光景のなかに、体中に精液をしたたらせた母が揺れ動いていた。
 母の体も、夕焼けを浴びて紅く染まっている。がっくりと首を落とし、目を閉じている母は、まるで首を吊った死人のように見えた。
「どうだ健次、これですっかり満足したろう」
「うん。胸がすーっとしたよ、お父さん」
「よしよし、しかし、おまえのおかげでわしもいい思いをしたわい」
 柿の木に吊された母を、まるで一幅の名画を鑑賞するかのように見上げながら談笑する権堂さんと健ちゃんを、ぼくはぼんやりと眺めていた。
 すべてが夢のような気がしていた。
 はっと気がつくとぼくは家にいて、母は何事もなく夕食を作っているのではないだろうか・・・。何度もそう思った。しかし、いつまで待っても場面は変わらなかった。
 ふとぼくは、こんなことが平気でできる権堂さんは、本当は人間ではないのではないか、もしかしたら天狗ではないのだろうかと思った。
 恐る恐る目をやると、権堂さんの目が夕焼けを映したように紅く鋭く光っていた。
 
 ようやく許されたぼくと母が、権堂さんの屋敷を後にしたのはあたりが真っ暗になってからだった。
 星明かりの下で、家に戻る道のりは本当に遠かった。
 健ちゃんが穫った魚をよこせと言ったとき、なぜ素直に従わなかったのだろうと、ぼくは後悔の念でいっぱいだった。素直に従ってさえいれば、母がこんな酷い目にあうことはなかったのだ。
「正一、お父さんにもお婆ちゃんにも、絶対に言わないでね・・・お願い・・・」
 かすれた声で何度もくりかえす母が哀れだった。
 見上げると、夜空に満天の星が輝いている。
 手を伸ばせば掴めるほどにキラキラと輝き、とぼとぼと歩くぼく達を、いつまでも照らし続けていた。

小説(転載) 天狗村奇談 権堂さんの宴 その4

近親相姦小説
02 /25 2021
掲載サイト「母と少年 禁断の部屋」は消滅。
権堂さんが褌を外した。股間には、てらてらと黒光りする肉棒が、にょきりと突き立っている。息を飲むほど太く立派だった。
「さあ健次、今度はわしが、これを使っておまえの仕返しをしてやるからな」
 権堂さんはそう言ってから、腰を両手でがっしりと掴みしめた。
「あっ」
 怯えたように声を上げた母の尻を、権堂さんはグイッと引き寄せ、膝を屈めて高さを合わせながら肉穴に先端を近付けていった。
「ひいいっ・・・」
 母の、断末魔のような悲鳴があたりに響いた。肉棒が突き刺さったのだ。唾液でぬるぬるになっていた肉穴が肉棒の形にヌメッ、と押し広がり、砲身をズブズブと飲み込んでいく。
「おう、よく締まる、堪らんぞこれは」
 権堂さんは歓喜にも似た声を上げ、ずんっ、と一気に肉棒を押し込んだ。
「健次、前に回ってこの女がどんな顔をしているか見てやるといい」
「うん、おまえもこいよ」
 健ちゃんがぼくの腕を掴み、強引に立ち上がらせた。嫌だったが、ぼくは四つん這いの母の顔の前に移動し、健ちゃんと並んで座らされた。
「ああっ・・・」
 母は悲鳴を上げ、慌てて俯いたが、
「下を向くな、健次達に顔を見せるんだ!」
 権堂さんに怒鳴られ母は仕方なく顔を上げたが、ぼくと目が合うと堪りかねたように頬をキューッ、と引きつらせた。
「もっと近づこうぜ」
 健ちゃんが母ににじり寄った。ぼくもそうするしかなかった。母の顔に息がかかるほどそばまで近寄った。権堂さんが母の腰を掴みしめ、尻をしっかりと固定しながら、グイッ、グイッと肉棒を突き上げ始めた。
「あっ・・・あうっ、あっ・・・」
 カッと目を見開いた母の顔が、権堂さんの力強い動きに合わせて体ごと前に押し出されてくる。そのたびに母の熱い吐息が、ぼくや健ちゃんに吹きかけられた。
 母の目は大きく見開かれたままで、眉毛がきゅっと吊り上がり、眉間には深い立て皺が刻まれている。朱色の唇がワナワナと震えていた。
 しきりにぼくの視線を避けようとしていたが、これほど近づいていてはそれも無理だった。今にも叫び出しそうな母の顔を、ぼくは見続けるしかなかった。
 腰を突き上げながら権堂さんは、母の背中から両腕をまわして両の乳房をすくい取った。
「ひいっ・・・」
 母はビクン、と体を震わせた。眉毛がさらに吊り上がり、額の立皺はいっそう深くなった。権堂さんの手で揉まれ始めた乳房が、弾力と柔らかさを交互に見せながらゴム鞠のようにひしゃげ、歪んでいく。搾るように揉まれて痛いのだろう。母は乳房がつぶれるたびに大きく口元を引きつらせた。
「やーい、おまえのお母さん、ぼくのお父さんにおっぱいを揉まれてやがる」
 健ちゃんが、ぼくの耳元で笑った。カーッと体が熱くなったが、ぼくは歯を食い縛って堪えた。やがて、権堂さんの腰の動きは、乱暴なものになっていった。下腹部が母の尻にバシッ、バシッと音を立てて激しく打ちつけられ、そのたびに母の尻はブルッ、ブルッと波打った。
「あっ・・・ああああ・・・」
 とうとう母も、首をうち振って悶え始めた。すべやかな額や首筋には、汗に濡れた髪がぐっしょりと絡みついている。権堂さんも額に汗の玉を光らせている。ハアハアと息も荒い。それでも権堂さんは、
「おうっ、おうっ」
 と呻きながら、激しく腰を突き立てていく。あまりの激しさに母が壊されてしまう、と思ったときだ。
「おううっ・・・」
 権堂さんが大きく呻き上げた。
「くっ、くうううう」
 気持ちよさそうに顔をほころばせ、呻き続けながら、権堂さんはなおも腰を動かした。
(ああっ、権堂さんは、巡査長や町田先生のときと同じように、白い液体をお母さんの体の中に注ぎ込んでいるんだ)
 と、ぼくは思った。母が穢されていく悔しさと悲しさが、強烈に込み上げてきた。
「あああっ・・・」
 ついに母も堪えきれなくなったらしく、ひときわ高く喘ぎ上げた。その顔が、それ以上ないほどに歪み上がっていた。
 権堂さんは、そのまま痙攣したように背中をのけ反らせていたが、やがて満足した表情で乳房を離し、肉棒をズルッ、と引き抜いた。その肉棒の先端から、白い液が糸を引くように垂れ落ちている。母は、力尽きたように床に崩れ落ちた。
「健次、敵はとってやったぞ」
 母から離れ、元の位置に戻った権堂さんは、素っ裸のまま旨そうに酒を飲みながら健ちゃんに言った。健ちゃんはうん、うんと頷きながら、
「正一、あそこがどうなってるか見ようぜ」
 ぼくの腕を掴んで立ち上がった。
 二人して母の尻の方に回り、屈み込んだ。
 盛り上がった母の尻は汗にまみれ、照り輝いていた。
 両足は大きく開いたままで、肉ひだはだらしなく左右にめくれていた。
 ぽっかり開いた穴から、白い液がドロドロと滴っている。無惨な光景だった。
 しかし、なぜかぼくは、こんなに姿になってまでぼくを守ろうとしてくれた母の心が嬉しかった。そして、嬉しさを覚える自分に、強い罪悪感も込み上げてくるのだった。
 
 空一面が、夕焼けで燃えているようだった。
 帰り遅れたらしい一羽の鴉が西に向かって、鳴きながら飛んでいくのが見える。
 神社から聞こえてくる祭囃子の音も、かなり息が合ってきたようだ。
 もう、家に帰してもらえると思っていたぼくは、後ろを振り返ってギョッ、とした。ぼく達から二三歩離れたところで、安二郎とさらに二人の使用人が、よろよろと体を起こしかける母を、凄い目で睨みながら立っていたのだ。
 襦袢には、それぞれ「辰」「良」という名前が染め抜かれている。安二郎と同じようにそれぞれ辰蔵とか良三とかという名前なのだろう。
 権堂さんも気づいて振り返り、彼らを見てニッと笑った。
「お前達も健次の敵を取りたいというのか」
「はい、旦那様。私らもぼっちゃんが怪我をさせられて悔しくて堪りません」
 安二郎が代表して答えた。
「いいだろう、やるがいい。そうだな・・・それなら、三人でいっぺんにやってやれ」
「はい、おっしゃる通りに・・・」 
 母のまわりを男達が取り囲み、すぐに着ているものを脱ぎ始めた。
 どうすることもできず、身震いしながら見上げている母が、まるでライオンに囲まれ、いまにも食い殺されそうなウサギのように見えた。
 三人が互いに目配せしながら褌を外した。肉棒が三本、ひくひくしながらそそり立っている。ぼくは、本当に母が食い殺されてしまいそうな恐怖を覚えた。
「健次、こいつは見物だぞ」
 権堂さんが杯を傾けながら、健ちゃんに声をかけた。
「うん」
 健ちゃんは目を輝かせている。今度はいったい何が始まるのかと、胸を弾ませているのだ。そんな健ちゃんが、ぼくはつくづく憎らしかった。
「立たせろ」
 安二郎が指図した。達蔵と良平が母の腕を掴んで立ち上がらせると、代わりに安二郎が仰向けに横たわった。安二郎の肉棒がビンと宙に尽き出している。二人は母にその安二郎の体を跨がせると、無理矢理に母をしゃがませていった。
「あっ、ああ・・・」
 母は喘ぎながら膝を突いた。そそり立っている肉棒に向かって、母の尻がグイグイと下ろされていく。
「ああっ・・・!」
 母の顔が大きく歪み上がった。膝を曲げてしゃがみ込んだ母の肉穴を安二郎の肉棒が受け止め、グサッ、と突き上げたのだ。
 権堂さんの精液でぬるぬるになっていた肉穴は、いとも簡単に王冠部を受け入れ、そのままズブズブと根元まで呑み込んでいった。
 安二郎が気持ち良さそうにおうっ、と呻き上げながら目配せすると、あらかじめ打ち合わせをしたように息の合った動きで、達蔵が母の背後に回り、良平が母の顔の前に立った。
 達蔵も安二郎の足を跨ぎ、膝を突きながら母の背に覆い被さっていった。
「あ・・・」
 尻をくいっ、と持ち上げられ、母が喘いだ。結合部はおろか、お尻の穴までが丸見えになっている。
「ああっ」
 と、さらに母が喘いだ。辰蔵が母のお尻に指をそえ、こねこねと揉み立て始めたのである。
「ひ、ひいっ・・・」
 母は、首を振りたくって悶え上げた。こね回される菊皺が嫌らしくよじれ上がっている。と、辰蔵はいきなり菊皺に指を突っ込み、今度はグリグリと内部を掻き回すように指を動かし始めた。
「うっ、くううっ・・・」
 母はおぞましげに呻き、これ以上ないほど顔を歪めているが、達蔵はかまわずに指を動かしている。母が呻くたびに、肉棒をくわえこんだ肉ひだがヒクヒクと収縮した。
「もう、いいようです」
 そう言って達蔵が指を引き抜くと、さつきまできつくすぼまっていたお尻の穴が、何だかとろんとして見えた。
「よし、ぶち込んでやれ」
 安二郎が号令し、達蔵は肉棒を掴んでお尻の穴にあてがった。
「ひいいーっ」
 引き裂かれるような母の悲鳴だった。ギシッ、と菊皺を突き破った肉棒が母の体内深く埋没していった。いくら揉みほぐされていても、相当な痛みに違いない。
 ぼくは瞬きもせずに見つめていた。目の前でぼくの大事な母が、肉穴とお尻の穴に同時に肉棒を突き立てられている。めいっぱい押し広げられた二つの穴はキシキシと軋んでいるかのようだった。ぼくは、あまりにも酷すぎると思った。
(どうして・・・どうしてお母さんがこんな目に合わなくちゃいけないんだ・・・)
 胸が張り裂けるような思いで権堂さんを見ると、権堂さんはぼくに向かってにいーっ、と笑って見せた。

小説(転載) 天狗村奇談 権堂さんの宴 その3

近親相姦小説
02 /25 2021
掲載サイト「母と少年 禁断の部屋」は消滅。
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ぼくと母は靴を脱いで縁側に上がった。そして、ぼくだけが権堂さんの少し後ろに正座させられた。
「正一、お母さんは何があっても平気だから・・・自分を責めてはだめよ」
 母は、決意を秘めた顔に笑みを浮かべ、ぼくに囁いた。それから母は権堂さんの前に進み出た。健ちゃんは、権堂さんの横に座っている。
「さあ、まずは素っ裸になってもらおう」
 命令してから、権堂さんは届けられた新しい酒を旨そうに飲んだ。
 母はすーっ、と深呼吸してから服を脱ぎ始めた。毅然とした顔だった。しかし、わずかに目が潤んでいる。
 母はブラウスを脱ぎ、スカートを下に落とした。スリップを脱ぎ捨てると、たわわな乳房が弾むように飛び出した。
 頬が赤く染まっている。覚悟はしていても、恥ずかしさが火のように込み上げてくるのだろう。パンティにかけた手が、小刻みに震えていた。しかし母は両目をきっと光らせ、唇を噛み締めながらスルッ、と尻からパンティ剥き下ろした。そして、そのまま下げおろし、両足から引き抜いた。
 素っ裸になった母の体が、夕日に染まっていた。恥ずかしくて堪らないだろうに、母は前を隠そうともしなかった。権堂さんは見事に張り出した母の乳房や、腰のあたりを舐めるように見まわしている。
「うーむ、実に・・・実にいい体をしている・・・」
 権堂さんは溜息をつくように言いながら、かなり長いこと母の体を見詰めていた。
 母は、歯を食い縛りながら必死に視線に堪えている。
「よし、四つん這いになって、尻をこっちに向けるんだ」
 権堂さんが、容赦なくつぎの命令を下した。
「は、はいっ・・・」
 母はすーっ、と息を吸い込んだ。そして意を決したように、ぼく達の方に背を向け、床に膝をついて、両手もついた。四つん這いになった母の尻が、盛り上がるように突き出された。
「ほおー」
 圧倒されたように権堂さんが溜息を漏らした。健ちゃんも一緒になって目を細めている。
 胸を締めつけられながらも、ぼくも吸い込まれるように母の尻を見入ってしまった。鏡餅を二つ並べたように丸くて白い、重量感のあるお尻に、見ずにはいられない妖しい迫力があったからだ。
 権堂さんは杯を下に置いた。母ににじり寄ると、尻に息がかかるくらいに顔を近づけ、抱きかかえるように両手を乗せた。
「おお、何とすべすべして・・・吸いついてくるようじゃのう」
 権堂さんは感嘆の声を漏らしながら母の尻を撫で回し、二度三度と頬ずりをした。母はおぞましそうに身を震わせながらも、決して抗おうとはしなかった。
「健次、おまえも触ってみなさい」
「うん」
 うながされ、健ちゃんも手を伸ばした。二人して陶器をいじるように母の尻を撫でさすっている。何という親子だろうとぼくは思った。
「もっと足を広げるんだ」
「は、はい・・・」
 母は言われた通りにした。
「もっと、もっとだ」
 母は、乳房が床に触れるほど背中を前に傾け、お尻をめいっぱい突き出して足を広げた。
 尻の割れ目がこれ以上無理というところまで開ききり、肉ひだやお尻の穴を剥き出しにしている。あまりにも恥ずかしい母の姿に、ぼくの胸はつぶれそうだった。しかし母は、ぼくのためにしてくれているのだ。どんなに悔しくても、母が哀れにみえようとも、ぼくは堪えるしかなかった。
「うほほ・・・ぱっくりと開きおって・・・」
 好色そうな笑いを漏らしながら、権堂さんが両手の指を母の肉ひだに添え、左右に掻き広げた。赤黒い粘膜が剥き出しになり肉穴も顔を出した。権堂さんはいきなり人差し指を肉穴に突き刺した。
「あうっ・・・」
 母は喘ぎ、背中を激しく震わせたが、権堂さんの指はずぶずぶと母の体内に埋没していった。
「おう、ねっとりとして・・・堪らんわい」
 権堂さんは根本まで突き刺した指で、母の肉穴をねちねちと掻き回し始めた。母はおぞましさに震え、首を打ち振っている。
「どうだ正一、母親の穴をこねまわされる気分は?」
 ぼくに振り向いた権堂さんがにたにたと笑っている。どうだと言われても返事のしようもなかった。ぼくの胸はさっきからずっと張り裂けそうなのだ。
「おいっ、この穴は何という穴だ?」 
 権堂さんは母に向かって尋ねた。
「そ、それは・・・」
 母は言葉を詰まらせた。
 ああ、どうして大人達はあの恥ずかしい言葉を母に言わせたがるのだろう・・・と、ぼくは思った。母の羞恥に悶える姿が、よほど刺激的なのだろうか?
「言ってみろ、おまえのそのお上品な口で四文字を言ってみろ」
「・・・はっ、はい・・・言います・・・そ、その穴は・・・」
「その穴は? 何? つぎが聞こえないぞ」
「お・・・」
「お・・・何だ」
「お、おま×こです・・・」
 母は羞恥に震える声をやっとのことで絞り出した。それは、何度聞いてもぼくにとって衝撃的な言葉だった。堪らなく羞恥心を掻きむしられるのに、もっと聞きたいような妖しい響きを含んた母の声。ぼくのなかの清楚な母の像にひびが入ったような気がするのに、その清楚さと嫌らしい言葉の対比が刺激的にも感じられるのはなぜだろう・・・。
「正一はどこから産まれてきた?」
「お、おま×こからです・・・」
「そうか、この穴から産まれてきたのだな」
「は、はい・・・そうです」
「もう一度言ってみろ」
「正一は、私のおま×こから産まれてきました」
「ふふっ、聞いたか健次」
 母に執拗に恥ずかしい言葉を言わせてから、権堂さんは健ちゃんに振り向いた。
「うん。何て下品なことをいうおばさんなんだろうね、お父さん」
「まったくな・・・さあ健次、おまえも正一の産まれてきた穴をいじくってやりなさい。正一にとってはその方が、自分が殴られるより辛いことなんだぞ」
「うん、わかるよ。だってこいつ、泣きそうな顔をしてるもん」
「よしよし、それじゃあ存分に仕返ししてやんなさい」
「うん。おい正一、よく見てろよ」
 ぼくは、人を小馬鹿にした健ちゃんが悔しくて堪らなかった。キッ、と睨みつけたが、健ちゃんはさらに喜ぶばかりだった。
 健ちゃんは権堂さんと入れ替わり、母の尻の前に座り込んだ。母の恥ずかしい四文字に刺激されたのか、健ちゃんの目も異様に輝いていた。
「ううっ・・・」 
 と、またも母が呻き上げた。健ちゃんが、母の肉穴に乱暴に指を突き刺したのだ。
「ほら、正一、よく見ろよ・・・ほらっ、どうだ」
 健ちゃんはぼくに見せつけながら、肉穴をぐりぐりと掻き回した。
「うっ・・・くう・・・」
 必死に抑えようとしていたが、それでもときおり母の喉からは呻き声が漏れた。その切ない響きが、堪らなくぼくの胸を締めつけてくる。
 健ちゃんはもっと母を呻かせたいらしく、掻き回しながらずぶっ、ずぶっ、と何度も乱暴に指を出し入れした。そのたびに母の尻はくなくなと揺れ動き、呻き声もしだいに大きくなっていった。
「どうだ正一、どうだ。お母さんをぼくに取られて悔しいだろう。ほらっ、もっと怒れ、もっと悔しがれ、ははっ、ははははっ」
 得意げな健ちゃんの顔があまりに悔しくて、ぼくは腸 が煮えくり返るような怒りを覚えていた。そう、槍でもあったら、突き殺してやりたいくらいだった。
「ははっ、正一が本気で怒ってらあ」
 怒りで目の前が真っ白になり、ぼくは健ちゃんに飛びかかる寸前だった。
 そのとき、母がよじる顔を上げ、こちらを振り返った。
「正一、大丈夫よ。お母さんは平気だから・・・だから我慢して。ねっ、正一・・・」
 かすれた声で、諭すように母は言った。母のすべやかな頬は真っ赤に染まり、目は潤んでいた。今にも泣き出してしまいそうなのに、母はぼくに向かって必死に微笑えもうとさえしていた。
「お母さん・・・」
 胸を詰まらせながら、ぼくは思わず母に呼びかけた。母は(いいわね)というように頷いて見せた。
「お母さん・・・だってさ、甘ったれてやがるの」
 健ちゃんが、ぼくの口まねをして笑い物にしようとしたが、ぼくはかろうじて自分を抑えた。母はぼくのために死ぬ思いで堪えているのだ。母の心を無駄にすることはできなかった。
 ようやく指を引き抜いた健ちゃんの顔には、思いを遂げたような表情が浮かんでいた。
「どうだ健次、少しは気が晴れたか?」
「うん、すーっとしたよ」 
「よし、あとはわしが引き受けよう。健次、おまえは正一と一緒に見ているがいい」
 権堂さんは、再び健ちゃんと体を入れ替えた。健ちゃんはぼくの隣りに座り、得意げにニヤーッと笑って見せたが、ぼくはもう相手にしなかった。驚いたことに権堂さんは、母の肉ひだに顔を近づけると、口を開けてしゃぶりついたのである。
「あっ」
 ぼくの体を衝撃が走った。信じられない光景だった。権堂さんは肉ひだにぴったりと唇をかぶせ、チューチューと音を立てて吸った。それから赤い舌でベロベロと粘膜を舐め始めた。
「ひいっ・・・あああ・・・」
 おぞましそうに顔を歪め、悲鳴と喘ぎ声を漏らしながら、母の体ががくがくと震え出した。たわわな乳房も、ぷるぷると重そうに揺れ動いた。
 権堂さんは、粘膜をすくい取るかのように舐め上げている。母の股間は、たちまち唾液でぬるぬるになっていった。
「どうして・・・そんなことするの」
 健ちゃんが、不思議そうな顔で尋ねた。
「それはな、わしのものを入れやすくするためだよ」
 答えた権堂さんが立ち上がり、やおら浴衣を脱いだのを見て、ぼくはまたも驚いた。鶴のように痩せ、座っているときは小柄に見えた権堂さんが、立ち上がって褌一枚になると背は高く、筋骨は細いながらも隆々とたくましかった。

小説(転載) 天狗村奇談 権堂さんの宴 その2

近親相姦小説
02 /25 2021
掲載サイト「母と少年 禁断の部屋」は消滅。
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権堂さんの家は、江戸時代に庄屋だった頃からの由緒のある立派なお屋敷だった。権堂さんの権力を象徴するかのように、村を一望できる高台に神社と並ぶように建っている。
 屋敷に足を踏み入れるのも、権堂さんと会うのも、ぼくには初めてのことだった。
 大きな門をくぐりかけたとき、神社からピーヒャラピーヒャラという笛の音と太鼓のドンツクドンツクという音が聞こえてきた。数日前から続いている祭り囃子の練習が、今日も始まったのである。まだ息が合っていないらしく、調子っぱずれな笛の音も混じっていた。
 戸の開け放たれた表玄関から中に入り、上がり框の前に立つと、奥から年老いた使用人が出てきた。痩せていて目つきが鋭かった。ぼくは一目見て、きっとこの屋敷の使用人を束ねる番頭のような人なのだろうと思った。
 羽織っている襦袢には「安」という文字が縫い込んである。たぶん安二郎とか何とかいう名前なのだろう。
「どなたかな・・・何のご用で」
 安二郎は作り笑いをしながら尋ねたが、母が来意を告げるとぴたりと作り笑いが消えた。
「すると、家の坊ちゃんに怪我をさせたのはあんたの子かね。それでお詫びに来たということだね」
「はい、さようでございます」
 母が答えると、安二郎は明らかに憎しみのこもった声で、
「旦那様は奥の縁側にいらっしゃるから中庭を回って行くといい。ただし、旦那様はたいそう機嫌が悪いから覚悟して行きなさいよ」
 わざとぼく達を怖がらせるようなことを言うのだ。ぼくが憎らしくて、言わずにはいられなかったのだろう。使用人がこれでは、権堂さんがどれほど怒っているか知れたものではなかった。ぼくも青くなったが、母はもっと青くなっていた。それでも母は、
「ありがとうございました」
 と、安二郎に深々と頭を下げた。ふん、と鼻を鳴らし、早く行けというように顎をしゃくった安二郎が、何とも憎らしかった。
 ぼくと母は、表玄関を出て中庭に向かった。屋敷の角を回り込むと、よく手入れをされた広い庭が広がっていた。縁側には権堂さんらしき人物が座っていて、夕日に照らされながら酒を飲んでいた。
 縁側と言っても屋敷自体が大きいから、公会堂の舞台ほどもある。その広い縁側を一人で独占するように浴衣姿であぐらをかき、大振りの杯でくいくいと酒を飲んでいる姿は、噂に聞く権堂さんそのものだった。
 権堂さんは手足も長く、背も高いのに、鶴のように痩せているという。額は大きく禿げ上がり、太い眉毛の下にはギョロッ、とした目が光かっている。鼻がやたらに高かくて、まるで天狗のような人相であるという。まさに噂通りだった。
 安二郎が素早く知らせに来たのだろう、権堂さんは最初からこちらを見つめていて、僕達が中庭に入ると、早くここまでこい、というように手招きをした。
母の顔を見上げると、母はぼくを安心させるようにこくっ、と頷き、ぼくの手を引いて権堂さんの前に進み出た。二人で縁側の前に立つと、権堂さんは無言でぼく達を見下ろしながら、くいっ、と杯を煽った。それから、おもむろに口を開いた。
「わしの倅に怪我を負わせたのは、おまえか」
 権堂さんがぼくを睨んでいる。足がすくんでしまうほど怖い顔だった。
「た、たいへん申し訳ないことをしました・・・。どうぞお許し下さい」
 母がぼくの代わりにお詫びの言葉をのべ、頭を下げた。
 ぼくも慌てて頭を下げたが、権堂さんはそれっきり、また無言になった。
 かなり長いこと、二人で頭を下げていたと思う。上目遣いに見ると権堂さんは、いったいこいつらをどうしてくれようかと思案しているらしく、苦々しい顔で二度、三度と杯を煽っていた。
「安、健次を呼んでこい」
 権堂さんが奥に声をかけると、しばらくしてから安二郎につれられて、健ちゃんが縁側の奥から現れた。頭には包帯が巻かれている。
「健次、おまえを突き飛ばしたのは、この子かい」
 意外にも、健ちゃんに話しかけるときは優しい声だった。それに目つきも穏やかである。
「そう、こいつだよ。正一がぼくを突き飛ばしたんだ」
 違う、とぼくは思った。ぼくは突き飛ばしてなどいない。健ちゃんが勝手に足を滑らせたんだ、と心の中で叫んだ。それが顔に出たのだろう。権堂さんは一変して怖い目つきになった。
「謝りに来たと言ったが、この子は少しも反省していないように見えるぞ」
「い、いえ、そんなことはございません、この子は深く反省しております・・・・」
 母は慌てて弁解し、さらに何度も頭を下げながら申し訳ありません、と繰り返した。そんな母がどこか惨めに見え、ぼくには堪らなかった。
「そうか、それなら反省していることにしておいてやろう。しかしだ、何にしても大事な倅に怪我を負わされたのだ。謝られたからといって、ああそうですか、と簡単に許すわけにはいかん。それなりの代償を払ってもらわんと、ご先祖様に申し訳が立たん」
「・・・治療費などでしたら、こちらでお払いいたします」
「そんなことはどうでもいい。わしが言うのは我が家の面目のことだ」
「面目・・・と申しますと・・・」
 母の顔に動揺と不安が広がっている。
 権堂さんの目が、いっそう鋭い光を放ち始めていた。
「ご維新さえなければおまえ達平民など、何をされても文句は言えないのだぞ。何しろ我が家のご先祖様はこの村の庄屋だったのだ。庄屋というのは、武士で言えば殿様も同様だ。その息子を傷つけられて黙っていたのでは、当家を預かるわしの面目が立たんのだ」
「・・・・」
 母は言葉が出なかった。困りきっている母をどこか楽しそうに見やりながら、権堂さんは猫なぜ声で健ちゃんに尋ねた。
「健次、こんな怪我をさせられて悔しかったろう、遠慮しないで言ってみるがいい。おまえはこの子をどうしてやりたい?」
 健ちゃんは、権堂さんにニヤッ、と笑って見せ、それから、庭にある太い柿の木を指さしながら言った。
「お父さん、こいつを裸にして、あの柿の木に吊しちゃってよ」
「そうか、裸にして、痛めつけて、それから柿の木に吊すか・・・いいだろう、そのくらいのことをしてやらんと、身にしみて反省はせんだろうからな」
「そ、そんな!」
 母は驚いて叫び上げた。その顔がみるみる蒼白になっていった。
「ど、どうか・・・そんなことはしないで下さい」
 母は、唇を激しく震わせながら頼んだ。しかし権堂さんは答えず、冷たい目で母を見下ろすばかりだった。
 やがて、権堂さんは安二郎を振り返り、
「おい安、聞いていたろう」
「はい、そのようにしてよろしいのですな」
「うむ、おまえにまかせる」
「喜んでやらせて頂きます。まずはこの小僧を、素っ裸にすればよろしいのですね」
 満面に喜色を浮かべて立ち上がった安二郎が、縁側から草履を履いて下におりてきた。
 ぼくは怖くて逃げ出したかったが、足が震えて動けなかった。
「何をするんです・・・本当に吊す気ですか、お願いですからやめて下さい」
 母が、庇うようにぼくの前に立ったが、安二郎は馬鹿にしたようにせせら笑いながらぼく達に迫ってきた。
「お願いです、やめて下さい!」
 叫びながら両手を広げた母を乱暴に押しのけ、安二郎がぼくの腕を掴んだ。恐ろしくて、思わずぼくは悲鳴を上げていた。
 母は安二郎の腕にしがみつき、必死に止めようとしてくれた。しかし安二郎は、老いていても驚くほどの腕力を持っていた。しがみついた母を振り回すようにしてぼくを地面に押し倒し、シャツをめくり、ズボンを引き下げたのだ。
「わあっ・・・」
 あまりの怖さに、ぼくは叫び上げた。そのときである。
「やめて下さい!」
 母があたりに響き渡るような声で叫んだ。
(母のどこからあんな声がでたのだろう)
 母の声にはそう思わせるほどの迫力があった。安二郎もはっ、として手を止めたほどだった。母は、権堂さんの方に向き直り、
「私が身代わりになります。だから正一には何もしないで下さい」
 と、きっぱりと言いきった。さっきまでとは別人のように思えるほど、堂々とした態度だった。
「ほう、おまえが息子の身代わりになるというのか」
「はい。正一の代わりに殴るなり蹴るなり、私を好きにして下さい」
 そう答えた母の目に怯えた色はなかった。それどころか、凛とした光まで放っていた。
「ふうむ・・・しかし、女では殴ったり蹴ったりするわけにもいかんしな・・・となるとおまえは、女としての辱めを受けなくてはならんことになる。それでもよいか」
「はいっ」
 母は、きっぱり答えた。
「その言葉に嘘はないな」 
「ございません」
 頷いた母を見上げながら、ぼくは言葉もでなかった。ぼくを守るために、身代わりを勝って出た母の姿は凛々しくさえあった。しかし、いったい母はどうなるのだろう。母の心は嬉しいけれど、ぼくはとてつもなく恐ろしかった。
「健次、正一の母親がああ言っているが、どうする? この女は我が子を助けようと悲壮な覚悟をしているのだ。わしはその覚悟を尊重してやるのが礼儀だと思うがな」
 健ちゃんはニヤッ、と笑いながら答えた。
「うん、いいよ・・・その方がおもしろそうだ」
 こいつめっ、とぼくは全身が焼けるような怒りを覚えた。
「しかし、おまえ達は運がいいぞ」
 権堂さんは、ぼく達に目を据えて言った。
「家内は事情があって、昨日から実家の方に里帰りしている。もし家内がいたらおまえ達は八つ裂きにされていたろうな・・・それに健一のやつもそれ、そこで太鼓の練習をしているが・・・」
 権堂さんは神社を指さした。健一というのは、あの乱暴者のお兄さんのことだ。
「あいつも可愛い弟が怪我をさせられたとあって相当に怒っておったからな。あいつがいたら、やはり何をされるかわからんな」
 ぼくはごくり、と唾を飲んだ。運がいいと言いながら、実は一番怖いのはこのわしだよ、と、権堂さんがぼく達を脅かしているように思えてならなかった。
「では二人とも、ここへ上がってこい。健次に怪我をさせた報いをたっぷりと味あわせてやる」
「安、台所の者に酒を持ってくるように伝えてくれ。それと、新しいつまみもな・・・何やらおもしろくなってきたわい」
 安二郎はぼくを押さえていた手を放し、縁側の奥に消えていった。
 権堂さんの目が、異様な光を帯びて輝いていた。
 神社の境内からは、さっきより息の合った笛の音と、力強い太鼓の音が響き渡っている。
 夕焼けが空一面を覆っていた。
 真っ暗になるまでには、まだ時間がかかるだろう。

小説(転載) 天狗村奇談 権堂さんの宴 その1

近親相姦小説
02 /25 2021
掲載サイト「母と少年 禁断の部屋」は消滅。
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その夏は、うだるように暑い夏だった。
 人間はもとより、犬や猫までがげんなりしているように見えた。そんな暑さのなかでも、村の子供達は元気いっぱいだった。
 ぼくは毎日、近所の子供達と山の中を駆け回わっていた。暑くて我慢できなくなると素っ裸で川に飛び込み、泳いだり魚を穫ったりした。
 へとへとに疲れて家へ帰ると、母が井戸の中で冷やしておいてくれたスイカやトマトをむさぼるように食べ、それからよく縁側に横になって昼寝をした。
 夕方までうつらうつらしていると、何日かに一度は空が真っ暗になって夕立になった。
 稲妻が走ったり、地面が大雨に叩きつけられたりと、見慣れている光景が夕立によって様変わりしていく。それは、ぼくにとって最もわくわくする夏のイベントだった。
 ところで、夏休みに入ってからぼくは、一度だけ交番の前を通った。あれ以来交番の前を通るのが怖くて、いつも遠回りをしていたのだが、その日は誰もいないように見えたので安心して横切ろうとしていた。
 ところが、加藤巡査は奥の方にいたらしく、ちょうど交番に差し掛かったときに表に出てきてしまった。目が合い、ぼくは慌てて逃げようとしたのだが、加藤巡査はにこにこしながらぼくに声をかけてきたのである。
「おっ、正一君、真っ黒に日焼けしているじゃないか」
 優しくぼくを手招きし、キャラメルをくれた。この間のあの怖い顔が嘘のように、加藤巡査は穏やかな目をしていた。母にあんなことをした人とは、とても思えなかった。
 町田先生には、小学校の近くで出会った。先生は折り畳みイスに座って道で水彩画を描いていた。
「おお、正一。はっはっ、よく焼けてるなあ。しかし夏休みの宿題も少しはやらないといかんぞ。川で遊ぶときは、流されないようによく気をつけてな」
 そう言ってぼくに笑いかけた。いかにも子供好きな町田先生の顔だった。画用紙を覗き込むと、青々とした水田が見事に描き出されていた。
 そして、教室で母を冷たく見つめていた他のお母さん達にも出会ったが、皆、何事もなかったように「あら、正ちゃん」とぼくに声をかけてきたし、健ちゃんも含めてクラスの子にも何人か出会ったが、不思議なことに誰一人としてあのことを口にする者はいなかったのである。
 母はといえば、当日だけは沈み込んでいたが、つぎの日からはいつもの明るい母に戻っていた。まるで終業式の日の記憶だけが、すっぽりと抜け落ちたかのように・・・。
 もしかしたら、あの声の主が皆の記憶を消してしまったのだろうか? それではなぜ、ぼくだけが覚えているのだろう。ぼくには、わけがわからなかった。
 あのとき、ぼくは夢でも見ていたのではないだろうか、とも思ったが、ぼくの指には、母のあそこに突き刺したときの、あの温かく柔らかい感触が、今でもはっきりと残っている。こんなことがあるのだろうか・・・。
 とはいえ、あれが夢だろうと現実だろうと、ぼくにとっておぞましい記憶には変わりがなかった。だからぼくは、あのことを無理にでも忘れようとしていた。
 
 そんなある日のこと、ぼくは健ちゃんに怪我をさせてしまった。お盆も近づき、もうすぐ夏祭りが始まるという、その夏で一番暑い日のことだった。
 ぼくはいつものように近所の子と川で遊び、素手で魚を穫っていた。魚というのは、人が近づくと石や岩、岸の穴などに隠れる性質がある。澄んだ水の中を潜水し、そっと近づいて手で押さえ込むと、岩魚やウグイが簡単に穫れるのである。
 長時間潜水を続けるのは苦しいし、かなり疲労するけれど、一匹、また一匹と、うまく捕まえていくときの快感には応えられないものがある。そこへやってきたの健ちゃんだった。健ちゃんもどこかで遊んできた帰りだったようだ。突然やってきてバケツの中を覗き込み、
「へえ、いっぱい穫れたなあ。おい、この魚ぼくにくれよ」
「えっ」
 健ちゃんはお兄さんのように乱暴者ではないが、親の威光を笠に着るところは同じだった。
「だめだよ、みんなで獲ったんだから・・・」
 そう、ぼくが断ると、健ちゃんは怒り出した。
「なんだと、いいじゃないか、おい! いいか、これはぼくが貰うぞ」
 と、バケツを掴んで持って行こうとするのだ。
「だめだっら、やめてよ!」
 ぼくもさすがに頭にきてバケツを掴んだ。
「よこせ」
「だめだったら」
 しかし、バケツを引っ張り合っているうちに健ちゃんは弾みで足を滑らせ、倒れて頭を岩にぶつけてしまった。額から血がしたたっている。バケツも川にぶちまけられ、魚は全部逃げてしまった。
「ちきしょう、やったな」
 健ちゃんは悔しそうにぼくを睨んでから、走り去って行った。その目には涙が溜まっていた。威張ってはいても、案外意気地がないのだ。しかしぼくは、これは大変なことになったと思った。
 家に帰ると、父はすでに帰宅していて、晩酌を始めていた。役場に勤めているので帰りは早いのだ。ぼくは、父にありのままを話した。思った通り、父は仰天した。
「ご、権堂さんの子に怪我をさせたって・・・な、何てことをしてくれたんだ正一!」
 父はぼくを怒鳴りつけ、それからオロオロしながら母に言った。
「権堂さんが怒ってるぞ。こいつのせいでえらいことになった・・・」
 権堂さんは村長だし、地所も借りている。権堂さんを怒らせたらこの村に住めなくなるとさえ言われているのだから、父が狼狽するのも仕方のないことだった。しかし、父はあまりにも情けなかった。逆に母の方が落ち着いていた。
「子供同士のことじゃないですか。それに悪いのは健ちゃんの方だと思いますが・・・」
 と、ぼくをかばってくれた。
「ばっ、ばか、権堂さんの子煩悩は有名じゃないか。そっちが悪いなんて言ったら余計に怒り出すぞ」
「でも、きちんと謝れば権堂さんだって許してくれると思います・・・」
「だ、だったらおまえが行け。正一を連れて今から謝りに行ってこい!」
「・・・・」
 偉そうにしているくせに頼りない父を、母はがっかりしたような目で見つめた。
「な、何だその目は・・・この家の主は俺だぞ、主の俺が言うんだからおまえが行ってこい」
 そのうちに、黙って聞いていた祖母までが、早く行ったほうがいい、と母にけしかけ始めた。
「わかりました。私が正一を連れて謝りに行ってきます」
 母はきっぱりと言った。それから身支度を整え、うなだれているぼくの肩に優しく手を乗せた。
「さあ、行きましょう正一。だいじょうぶ、きっと許してくれるわよ」
 母はそう言って微笑んでくれたが、その顔には不安そうな色も滲んでいた。ぼくは、母に伴われて家を出た。昼間のうだるような暑さもおさまり、ときおり爽やかな風もそよいできたが、それでも歩くとまだ汗が噴き出した。
 太陽はとっくに沈んでいたが、外はまだ明るく、西の空が燃えるように紅く染まっている。今日はもう、夕立はなさそうだった。

ベランダに干した女性下着を盗もうと…男逮捕「見たいという欲求に負けた」

ひとりごと
02 /25 2021
「香川県警高松東署は20日、高松市、香川河川国道事務所職員の男(28)を窃盗未遂容疑で現行犯逮捕した。発表では、男は20日午後3時30分頃、同市内のアパートで、女性(26)宅のベランダに干してあった下着を盗もうとした疑い。男は「盗もうという気持ちはなく、女性の下着を見たいという欲求に負けてやった」と話しているという。」ということだが、こういう言い訳を思いつくセンスはある意味すごいと思う。

小説(転載) 天狗村奇談 教室のお稲荷さん その3

近親相姦小説
02 /24 2021
掲載サイト「母と少年 禁断の部屋」は消滅。
終業式の長い一日は、それで終わりではなかった。
 帰り道、ぼくと母が雑木林を横切っているときだった。木の陰に隠れていた者が数人、バラバラと飛び出してきて手を広げ、ゆくてを遮ったのだ。ぼくのクラスの男子が五人。あの健ちゃんもいた。そして、なぜか健ちゃんのお兄さんもいた。
 お兄さんは尋常高等学校の一年生だが、乱暴者で評判がよくなかった。しかし権堂さんの息子なので、村人の中で表だって注意できる大人はいなかった。おそらく勉強が嫌いなお兄さんは、学校を早引けしてこのあたりをブラブラしていたのだろう。たまたま出会った弟に話しを聞いて、一緒に隠れていたのに違いない。
 全員が、嫌らしい笑いを浮かべて母を見ている。
 母は怯えて後ずさった。ぼくも怖くて足が震えてしまった。
「兄ちゃん、この人だよ、何でもさせてくれるおばさんて」
 健ちゃんが得意げに母を指さすと、お兄さんは陰険な顔を下品にほころばせた。
「あのさ、おばさん、俺、女がおしっこするところを見たいんだ。見せてくれるだろう」
 そして、一転して凄んだ顔になり、お兄さんは母の腕を掴んだ。
「あっ、何を・・・」
「いいから来いよ」
 お兄さんは、母を引きずるようにして雑木林の中に入っていった。健ちゃん達も嬉しそうについていく。ぼくも後を追うしかなかった。
 雑木林には小道が通っていて、行き止まりには古い社が建っている。何でも江戸時代からのものがそのまま残っているそうで、赤い格子戸の奥には二体のお稲荷さんが奉ってあった。
 木彫りの、まるで生きているようにちょこんと鎮座している狐の像は、表面の漆もところどころ剥げかかって、奉られてからの長い年月を静かに物語っていた。そして、ここは、ときおり村の老人達が連れ立ってお参りにくるくらいで、普段はめったに人のくるところではなかった。少し不気味で、寂しいところなのだ。
 お兄さん達は、母を社のところまで連れていった。
「さあ、おばさん、おしっこして見せてくれよ」
「い、いやよ、そんなこと・・・」
 みんなに取り囲まれた母が震えた声で拒否すると、お兄さんはニヤッ、と笑ってからぼくの方を見た。
「ふうん、じゃあ正一がどうなってもいいのかい?」
「なんですって!」
 母は目を見開き、お兄さんとぼくを交互に見つめた。健ちゃん達が今度はぼくを取り巻いてきた。
「兄ちゃん、殴っちゃっていいの?」
 指をポキポキ鳴らしながら健ちゃんが言った。
「ああ、半殺しにしてやんな」
 ぼくは後ずさった。恐怖がこみ上げ、恥ずかしいことに足が震えている。と、
「やめて、正一に手を出さないで・・・」
 母が声を上げた。ハッとして母を見ると、母は諦めたように言った。
「・・・わ、わかったわ、して見せるから正一に乱暴はしないで・・・」
 その、母の苦渋の滲んだ声を聞きながら、ぼくは、非力な自分がくやしくて堪らなかった。もっと大きかったら、もっと強かったら、お兄さん達をやっつけることができただろうに・・・。
「ああ。見せてくれれば正一になんか手を出さないよ」
 お兄さんはそう言ってニヤリと笑った。
「じゃあ、さっそくおしっこをして見せてよ、おばさん」
「・・・わ、わかったわ・・・そ、その前に正一・・・お母さんは大丈夫だから向こうに行っていてちょうだい」
 と、母は悲痛な目をぼくに向けた。しかしお兄さんは、顔は笑っているのに凄みのある目で母を睨み、
「いいじゃねえか、正一にも見せてやろうぜ」
 母は、諦めたように小さな喘ぎ声を漏らした。
「さあ、早く見せてくれよ」
 お兄さんにせかされた母は一瞬困ったようにぼくを見たが、すぐにキュッと唇を噛むとスカートの中に両手を差し込み、スルスルとパンティを引き下ろしていった。
 白いパンティを両足から引き抜くと、少し震え出した手でスカートを腰の上までまくり上げ、母はその場にゆっくりとしゃがみ込んでいった。
 母の白いお尻が丸みを強調するようにぐっ、と突き出され、健ちゃん達がおおーっ、と歓声を上げた。母は真っ赤になって悶えている。
 お兄さんを真ん中にして全員が母の正面に屈み込んだ。ぼくも健ちゃんに腕を捕まれ、一番後ろに屈ませられた。
 母の黒い陰毛ごしに、ぱっくりと割れた肉のひだが晒け出ていた。しかも内部の真っ赤な粘膜は町田先生の精子でヌルヌルしていた。
「うう・・・」
 と、母の喉から羞恥の呻き声が漏れた。
「すっ、すげえなおま×こってこうなっているのか・・・」
 吸い寄せられるようにお兄さんは手を伸ばした。ぱっくり割れた肉ひだにお兄さんの人差し指が差し込まれた。
「くう・・・」
 母は呻き上げ、太股の付け根をキュー、と硬直させた。
「うひっ、なんかいい感じだぜ」
 と嬉しそうに言いながら、お兄さんは何度も指を出し入れしていたが、しばらくして引き抜き、
「ようし、おしっこしてみろよ、さあっ」
 と、母に迫った。
「は、はい・・・」
 母はすーっ、と目を細めた。よほど恥ずかしいらしくますます顔が赤らんでいる。
「ど、どこからでるのかな」
「しっ、黙ってろ」
 皆が目を皿のように見開いている。
 くやしいことにぼくも同じだった。母を助けられない自分が情けなくて堪らないくせに、誰かが呟いたようにいったいどこからおしっこが出てくるのか、どんなふうに噴き出してくるのか、好奇心が興奮さえともなって込み上げてきたのだ。
 息を飲んで見つめていると、肉穴の少し上の小さなすぼまりがピチッ、と開いた。開いたかと思うと、シャー、と音をたてて透明な液体が噴き出し始めた。
「おおっ」
 と皆が歓声の声を上げていた。
「あああ・・・」
 母は首を振りながらあえぎ声を上げている。
 シャー、シャー・・・・
 と、せまい尿道口がめいっぱい開ききり、膀胱いっぱいに溜まっていたらしいおしっこが、何とも恥ずかしい大きな音をたてながら、あとからあとから飛沫をあげて噴き出してくる。その音がよほど恥ずかしいらしく、母は首筋まで真っ赤に染めていた。
「すげえ!」
「女って、すげえ音をたてておしっこするんだな!」
 お兄さんや健ちゃん達が、興奮に満ちた嬉しそうな声で声を上げている。
 母は悲鳴を上げそうな顔で悶え続けている。
 しかし、健ちゃん達同様にぼくも目を離せなかった。
(お母さん、ごめんなさい・・・)
 心で謝りながらも、ぼくも見続けた。そしてぼくは、母がこんなすさまじい音をたてておしっこをすることに少し衝撃を受けた。この大袈裟な音と大量に噴き出すおしっこの量が、清楚な母のイメージとはあまりにも不釣り合いだったからだ。
 いったん噴き出し始めたおしっこは、なかなか終わらなかった。汗に濡れた額に苦悶のたて皺を刻み、唇をワナワナと震わせながら恥ずかしさに耐え続ける母。ぼくは、そんな母の姿を興奮と罪悪感とともに見続けた。
 やがて、やっとのことで大袈裟な音がやんだ。
 母はほーっ、と安堵のため息をもらし太腿の付け根をブルッ、と震わせた。地面に溜まったおしっこからは湯気が立ち登っている。母の股間はぐしょぐしょに濡れそぼり、白い内腿にも、しずくがしたたっていた。
「いやあ、すごかったなあ」
「こんなに出るなんて、ぼく驚いちゃった」
「本当だよな」
 などと口々に言いながら、お兄さん達はなおも見続けている。と、そのときぼくは、何かの気配を感じて空を見上げ、あっ、と叫びそうになった。交番で見た白い球体が一つ、小学校の方からこっちに向かって飛んでくるのが見えたのだ。
 すごいスピードだった。しかし、お兄さん達は母の股間に夢中でまったく気がつかない。
 球体はぼく達の頭上までくるといったん空高く昇っていき、今度は青空を引き裂くような威勢で落ちてきた。
(ああっ、ぶつかる・・・)
 ぼくは思わず飛び跳ねそうになった。しかし、球体が目指していたのはぼくではなく社だった。球体は、途中でふわりとスピードを緩めてから壁を突き抜け、社の中に消えていった。一瞬、社の中がぱっ、と青白く光ったように見えた。
(遅かったじゃないか。やりすぎてボロを出さなかったろうな)
 あの奇妙な声が、またも頭の中で聞こえてきた。
(ああ、そんなヘマはしねえよ。しかしいい女だった。久しぶりに人間の女を堪能したぜ)
(そのうちまた、出かけようじゃないか・・・ふ、ふふっ・・・)
(ああ、今度はどの女にしようかな、うふっ、ふふ・・・)
 それっきりその声は聞こえなくなり、代わりに聞こえてきたお兄さん達の声でぼくは我に返った。
「おばさん、ありがとうよ。さあっ、いくぜ」
「うんっ」
 お兄さん達は走り去って行った。
 後に残された母が、立ち上がってパンティを引き上げている。母の顔はいまだに真っ赤に染まっていて、いまにも泣き出しそうな目をしていた。
「お母さん・・・ぼく、誰にも言わないから・・・」
 ぼくが喉を詰まらせながら、やっとのことで母に声をかけると、母はこくり、とうなずいた。でも、何とも気まずい空気がぼくと母の間に流れている。
 母と歩き始めたぼくは、ふと後ろを振り返った。
 すると、社の格子戸越しに、二体の狐がぼくに向かってにやっ、と笑ったように見えた。
 ぼくは慌てて前に向き直り、もう二度と振り返るまいと思った。
 雑木林が、かすかに風に揺れている。
 頭上には、どこまでも青い空が広がっていた。

eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。