2ntブログ

小説(転載) 『記念日』

近親相姦小説
06 /23 2018
掲載サイトは消滅。
『記念日』

 玲子が目覚めたのはちょうど朝の七時だった。窓のカーテンの隙間から明るい光が
こぼれる。今日も天気は良いらしい。
 玲子は無言でカレンダーを見た。今日の部分に赤のペンでハートマークが、小さく
――玲子にだけわかるように書かれている。ついにこの日となったのだ。
「……よし」
 自分だけで呟いてから玲子は視線を傍らに移す。同じダブルベットの毛布の間から
一人息子の功司が可愛い寝息をたててぐっすり眠っているのが見えた。
「ほんと寝ている時は可愛いのよね―――起きたらケダモノだけど」
 そう言って何を思い出したか頬を染め――いや、こんな事をしている場合ではない
のだ。
 玲子は出来るだけ音をたてないようにしてベットから抜けでた。ここで功司を起こ
すと、またお口だの何だのをせがまれるからだ。また、たまにせがまれなくてもやっ
てしまう事もあるから急いで出たのは自分を押さえるためでもある。意思を強く持て
るうちにやるべき事をやってしまわねばならないのだ――特に今日は。
 そのまま寝室を抜け出し、バスルームに向かった。熱めのシャワーで昨夜からの汗
と涎を流す。半分は息子の物なので、いつもちょっと惜しい気がするのだが、今朝は
そんなことを言っていられない。
 急いで身体を洗うと、半ば髪をぬらしたままで洗濯と掃除を始めた。朝食の準備は
その後だ。何としてでも功司が起きてくる前に全てを終わらせておかねば。

 母子が住んでいるのは東京板橋の八階建てマンションの最上階である。間取りは
5LDK。借りているのでも買ったのでもない。建てたのだ――実はマンションその物
が玲子のものなのである。
 資産家の一人娘だった玲子は小学生で両親と死に別れ、その後は祖父母の手によっ
て育てられていた。祖父は優しい人ではあったが、やはり明治時代生まれだけあって
厳格で、また変に固陋だった。高校を卒業したての玲子に無理矢理、婿養子を取らせ
たのもその現れである。
「一日も早く跡取息子――いやひ孫を!」
 これが祖父の願いであった。本人にとっては真面目な話であったので玲子は嫌々で
も従ったのだが、家より玲子自身の幸福を優先させなかったのもまた事実である。
 玲子の夫になったのは有名大出で一流企業の会社員と言う絵に描いたような退屈な
男だった。しかも、祖父の念願どおりに、結婚してすぐ玲子を妊娠させたまでは良
かったが、その妊娠四ヶ月の時に交通事故死してしまったのである。
 休日に「接待ゴルフに行く」と称して外出したのに、言っていたのとは全然違う場
所で、しかも玲子の知らない女の運転する車の助手席で事故にあったのだから、玲子
としては同情する気にもなれなかった。
 まあ、生命保険にはたっぷり入っていてくれた事と生まれた子供が男の子だった事
には感謝はしている。そうでなかったら家意識の強すぎる祖父に再婚を迫られていた
であろう。もっとも、亡夫の写真や遺品などその存在を示すものは全部処分してしま
い、今住んでいるこのマンションにはかけらも残っていないのだが。
 そう言う事情による唯一の息子功司の誕生であったが、関係各位は満足したようで
ある。祖父はひ孫が中学生になった年に亡くなったが、その前に資産を整理し、全て
不動産にかえていた。今の玲子はこのマンションの他に池袋にビル、目白と練馬と大
崎にマンションをそれぞれ一軒づつ持っており、それらからあがってくる賃貸料で生
活している。高卒ですぐ家に入れられた玲子の生活力でもこれなら不自由する事は
まったくないであろう。不動産の管理の方は祖父の推薦してくれた不動産会社のやり
手の女社長で、今では親友でもある宏美に全部まかせてあるから、完全に安心であっ
た。
 そして、その一人息子の功司も四月に中学三年生になった。玲子にとっては今や唯
一の肉親との生活は――。

「おはよ……」
 5LDKの部屋とトイレ、浴室の掃除と洗濯物の干しがすんだ頃にようやくその功司
が起きてきた。
 ぶかぶかのTシャツにトランクスだけと言うラフな格好だ。二人きりの時はいつも
こうである。身長はまだ玲子と同じくらいだから百六十五くらいだろうか。祖父の命
令で幼稚園の頃から空手を習っている身体は引き締まってなかなかに強力である。し
かし、寝起きの今は電池の切れかけたおもちゃのように鈍くしか動けないようであっ
た。
(ったく!暴れすぎなのよ、毎晩毎晩!本当に休みもなく!ママ、昨夜だけで何回死
んだと思うの?!)
「おはよう。歯は磨いた?それからシャワーも浴びてきなさい。汗をかいているで
しょう」
「…ねむい……」
「遅くまで騒いでいるからよ。いったい何時に…」
「だって、ママが離さないんだも…」
「いいから早くしなさい!」
 母に叱られて功司はのそのそとバスルームに消えていった。その後姿を見ながら玲
子がため息をつく。
「まったく朝からなんて事言うのよ。思い出しちゃうじゃない」
 そう言って急に頬を染める――思い出してしまったらしい。
 玲子は赤い顔のまま急いで朝食の準備をした。二人の取り決めで朝食のメニューは
和洋交互と言う事になっており、今日は洋の日だ。玲子はいそいそとパンを焼き、ハ
ムエッグ、コーンスープにレタスとトマトのサラダを作り始めた。
 準備が整ったのを見計らったようにバスルームから功司があがってきた。さすがに
目がはっきりしている。
「パンは三枚焼いたわ。足りる?」
「うーん、もう一枚足して」
 さすがに育ち盛りである。来年にはその身長が玲子を抜く事は間違いないであろ
う。
 玲子は手際良くテーブルに用意した朝食を並べた。パンは功司指定の四枚と玲子の
二枚。まだまだ子供のくせに功司は辛党でジャムは使わない。もっぱらバターたっぷ
りだけで、蓋をあけられたマーマレードと苺ジャムは玲子用であった。
 飲み物も玲子は紅茶だが、功司はジョッキについだミルクである。元気な事だ。
「そうそう、起きがけにメイルを見たら夏休みの予約取れていたよ」
 生きかえったように元気良く食べ出しながら、功司がとても嬉しそうに言った。 
「あのインターネットで見つけたって言う温泉旅館の事?」
「うん。三泊四日で値段はサイトどおり。まずまずでしょ」
「まあ良心的だったけど――でも山の中でほかには何もない所なんでしょう。こう
ちゃんがつまんないんじゃない?」
「いーや。旅館そのものがすっごく楽しい所だそうだから他はどうでもいいんだ」
 功司は明るく笑った。それが何かの下心を隠すためのものだと察知できるほど、お
嬢様育ちの玲子はすれていない。
「そう―――じゃあ、まあ久しぶりに温泉でゆっくりしようかしら」
「いや、忙しくてゆっくりは出来ないと思うよ」
「?」
 息子の言っている意味が判らない玲子であったが、聞きなおす前に電話が鳴った。
出てみると相手は資産の管理をまかせている不動産会社社長の宏美である。
「ごめんなさい。玲子さん。ちょっとお休みをいただいていたものでしたから、連絡
が遅れまして――営業から聞きましたわ。四月からそちらへ入ったお客さんのことで
すって?」
「ああ、宏美さん。そうなんです。御本人から直接連絡がありまして、何でもお子さ
んが――」
 そうやって、ひとしきり仕事の話をしていたが、親友同士である二人の会話はいつ
の間にか世間話へ移っていってしまう。まあ、いつもの事だ。女は本当にこれが好き
なのである。
「そう言えばゴールデンウィークはどこかへ行っていらしたの?」
「え?………ええ―――その、息子とちょっと温泉へ……」
「へえ、いいわねえ。あたしの家も夏休みには温泉に行く予定ですの。場所は――
えーーとっ、どこだったけ――ああ、そう言えば宏美さんはどちらの温泉へ?」
「………う、うーん。あ、あの、あ、あんまり、ゆ、有名なところじゃないから言っ
ても判らないじゃないかしら…」
「あらそう?」
「そ、そ、そうなのよ。おほほほ……」
 何故か宏美は過剰に笑い、二言三言何か言って急に電話を切ってしまった。何か慌
てたようなそぶりだったが、玲子には意味が良く判らない。もともとあまり他人を疑
わない性格なのである。
受話器を戻して食卓に戻り、玲子は残されていたジャムたっぷりのパンとスープを
やや急いで流し込んだ。もう時計は9時をまわっている。掃除洗濯は済んだとは言
え、今から買い物や料理の時間を考えると、そんなに余裕はないはずであった。
 いつもはとろいくらいに遅い玲子がようやく全部を食べた頃には功司もすでに全部
を食べ終わり、空の食器だけがテーブルに並んでいた。
「さあて」
 ややわざとらしく呟きながら玲子はエプロン姿のまま立ち上がり、片づけを始め
る。二人きりの家族だから朝食なら皿洗いも大した量ではない。母一人でもあっとい
う間であろう。
 しかし、何故か玲子は動きながらもちらちらと息子の方を見てしまっていた。別に
手伝って欲しいわけではない。“また、何かやる気じゃないかしら?”と疑っている
のだ。理由は今朝は玲子が全く相手にしていないからで――
 期待――いや、予想は皿洗いを始めた瞬間に的中した。キッチンに向かう姿勢上や
むなく向けた玲子の背に熱い塊のようなものがおおいかぶさったのである。もちろん
それが息子の肉体である事は振り向かなくても――一年も前から判りきった事であっ
た。
「…ちょっとやめてよ。こうちゃん」
 それでも玲子は抗議の声を上げる。自分でも“一応は”とか“体面上は”と形容詞
をつけたくなるほど弱気な声であった。喉に力が入らないのだからしょうがない。い
や、これからの事を想像しただけで腰まで力が抜けそうでーーー。
(いけない!今日こそはびしっ!と言って母親の威厳を取り戻さなきゃ!じゃないと
これからもずっとこうちゃんの言いなりよ!――まあ、それも嫌いじゃないけど…い
やいや!やっぱり母としての責任もあるんだし!)
 それでも(本人だけには)悲壮な決意をして、背中にのった息子の身体を全身をふっ
て拒絶した。しかし、反射神経の良い功司は寸前で身体を離したので玲子の身体が半
回転ほど空回りしただけである。せいぜいふられた右手が息子の股間の前を通過する
時に、すでに触れた肌に跡が残るほど熱くなっている硬質な肉棒の先端をはじいたく
らいであった。
(も、もう、こんなに……)
 思わず玲子が赤面したのはその硬さへの意外性よりその後の事態への予想のせいだ
ろう。
 予想は違わず、功司はこりずにまた身体を押しつけてきた。Tシャツだけの上半身
とトランクスだけの下半身が玲子の後ろにのしかかる。どちらも声が上がるほどに熱
く、そして硬くなっていた。
「ちょっと…やめなさい。皿洗いできないでしょう」
「それより先にする事があるじゃん」
(あ…やっぱり……!)
 玲子の思ったとおりであった。二人きりの時にはひたすら母から離れない子なの
だ。特にあの日からは―――
「やめなさい。ママはすることがあるの」
「どしてそんな意地悪言うのよ。ママ」
 功司が言った。大きな声ではない。耳元でそう囁くのである。だから拗ねたような
台詞と同時にねとつくような熱い吐息も玲子の耳から首筋にかけてたっぷりと吹きつ
けられるのだ。もうそれだけで玲子は目が眩みそうであった。
「意地悪じゃないわよ……」
 それでも抵抗したのは母の威厳を意識しての事であろうが、声が震えていたので効
果はなさそうであった。そして、たったそれだけで母の虚勢を確信した功司はさらに
自信を持って手の中の豊満な母の肉体をなぶり始めたのである。
 功司の左手がエプロンの裾から玲子の胸を、右手がスカートをまくしあげてパン
ティに触れるところまでまで伸びた。どちらも抵抗も出来ないほど素早く自然な動き
である。わざわざブラジャーやパンティの裾を指ではじいて、これからの行動を暗に
宣言する余裕すらあった。
「だって、今日はお目覚のお口もなかったし」
 そう言う淫靡な動きを実行しながらも、功司の口調はあくまで甘えた風を装ってい
る。台詞の内容さえ問わなければ、幼子の実母への駄々っ子めいた甘えにしか聞こえ
なかったかもしれない。これからの事を予想すれば――あるいは今までの事を思い起
こせばこれが、余裕の現れである事は明白である。それなのにーー
 十代の少年のものとは絶対に思えない優しく落ち着いた――そしてじっくりとじら
す手の動きに、感じつつも、あえて耐えて玲子は気丈にも抵抗した。(口だけでは
あったが……)
「普通のママはそんな事しないの!」
「普通じゃないじゃない。“こうちゃん”のママは」
 そう言って功司はエプロンの下に潜入した左手をさらにするりと伸ばし、まだブラ
ジャーをつけていない玲子の乳首をつまんだ。ピッ!と電気にも似た快感が玲子の上
と下に走る。
「ほら、普通のママは息子に後ろから迫られた時に、こうやって期待で乳首を立てた
りしないんだよ」
 功司は勝ち誇ったように囁いた。指はまだ乳首をもて遊んでいる。そこからの快感
ははっきりと玲子の身体に流れ、いつまでも止まらない。それに耐えるように玲子は
歯を食いしばる。
「……ママ、期待なんかしてないもん…」
「ほぉ――本当かな?」
 功司の右手が玲子のスカートを割った。慣れた手つきで前からパンティーの中に入
り、柔らかい陰毛をかき分けてその下の秘肉にふれる。ぬめりのある小さな音が確か
にした。
「ほら、こーーーんなに濡れている」
そこから抜かれた功司の指が玲子の顔の前に示された。その人差し指と中指の間に粘
液状の何かが糸を引いてつながっている。玲子は恥ずかしそうにいやいやをした。し
かし、その体面に反して玲子の股間は、じゅん!と音まで立ててさらに湿ってしまっ
た。
「やっぱり嘘つきさんだ」
 優しく言いながら功司は再度中指をゆっくりと玲子の秘肉にさしこんだ。まだいつ
もほどリラックスはしていなくて肉襞は狭かったが、すでにたっぷりと愛液が染み出
ており、功司の指にまとわりつくように流れる。もう一年も母の秘肉を楽しんでいる
息子には後どれくらいでここがとろけ出し、柔らかく熱い肉壺になるか容易に予想で
きた。
「まず、嘘つきさんにはお仕置きをしないとね」
 そう耳元に息を吹きかけるように囁きながら功司は中指を抜き、次に両手をそろえ
てエプロンの下に入れた。玲子のパンティの両端に熱い手のひらが差し込まれる。そ
して功司はゆっくりと母のパンティを下げはじめた。
「…………」
 母としてはここで怒るのが普通なのだろうが、秘肉が濡れていることを指摘された
恥ずかしさか、それともこの後の期待のせいか、玲子は抗えない。ただ、歯を食いし
ばり、目に力を入れて閉じ―――そして頬を染めて次の息子の動きを待つのである。
 功司はすんなり母のパンティを脱がす事に成功した。玲子が無言で脚を上げて協力
してくれたおかげである。そして、勝ち誇った笑顔で下半身が剥き出しになった母の
淫靡な後姿をしばし眺めて堪能した後、次の行動を開始した。
(……また、あそこを指で声を出すまでいじくるのかしら?それとも胸を触りながら
のキスなのかも……いやいやこの前のようにいきなり後ろから……!)
 べちゃ……
「ひうっ!」
 湿った音にあわせる様に玲子の口から小さく悲鳴が漏れた。下半身から快感が、理
性から恥ずかしさが同時に心臓に走り、鼓動が倍加する。
 たとえ見なくても功司が跪いて母の股間に後ろから顔を寄せ、舌で肉襞をなぞった
事はわかる。この感触は絶対に間違いないのだ。柔らかいくせに弾力が強く、そして
何故かやや冷たいこの感触は確かに息子の舌による愛撫であった。
「こ、こうちゃん……やめて……ママ、恥ずかしい………」
 後ろのやや下から下半身の女の秘部を全て見られているのだ。大きな尻も、女とし
て見られたくない菊座も、そして母として絶対に見せてはならない――息子の愛撫に
悦んで愛液をしたたらせる秘肉さえも――
 しかし、玲子の消え入るような哀願も功司は聞こうとしなかった。にやにやしなが
らさらに舌を動かして秘肉に差し込み、次にはクリトリスまで舐め上げる。母の本音
はよーく判っているのだ。口では何と言おうとも“もっとして――”であることが。
「ひ…ひいぃぃっ………」
 功司の愛撫はしつように続けられた。舌だけではなく指も十分に使っており、玲子
は押さえようとはしていてもあえぎと悲鳴の入り混じった声が止まらなかった。
 そして大した時間もかからずに玲子の膝が震えだし、腰が大きくゆれだす。すでに
下半身に力が入らなくなったようで、両手をキッチンについてかろうじで身体をささ
えていた。
 なにせ体育会系の功司は体力には自信がある。跪くという無理な姿勢なのに、玲子
がよがり狂うまでに愛撫は執拗で激しく、そして終わりがないかのように続けられ
た。
「も、もう駄目ぇぇ……こうちゃ…ん。や、やめて…ママ、死んじゃうーーー」
 そのままどれくらいたったであろうか。玲子の秘肉は音を立てるように愛液を流し
出し、下方の功司からの至近距離で見ると肉襞も飢えた口のように動き食いつく獲物
を求めはじめた。これなら今すぐにでもぶち込む事ができるだろう。もちろん功司の
股間の肉棒はずっと前からいきりたっており、先汁どころか、母の可愛い喘ぎ声を聞
いているだけで爆発しそうであった。
 その衝動にやむなく舌を離し、そっと立ち上がる。
「――あん…いやぁ、やめちゃ…い、いや、そのぉ…あぁ……」
「ねえママ…欲しい?」
 息子の愛撫によがる母の上気した耳に息を吹きかけるように功司は囁いた。同時に
固すぎるほどの肉棒を股間に注し入れ、息子のよだれと母の愛液でびしょびしょの秘
肉の淵をなぞるように動かす。自分だって危ないくせに、まだ余裕を装えるのが息子
が常に主導権を握っている理由であろう。
「……………」
 玲子はすぐに答えなかった。さすがに先ほど自分の中で毅然とすると決意したばか
りだけに口に出すのは恥ずかしかったのである。それでも我慢できないのは事実であ
り、玲子は恥ずかしさで一杯になりながらも無言のままゆっくりと両腿を開いた。
「駄目だよ。口でちゃんと言わなきゃ」
 息子の肉塊の先端が開かれた股間の奥の肉襞にあてがわれた。が、そのままで動き
を止めて功司は囁く。まだ許さないつもりらしい。
「…………」
 息子の意地悪な意図は明白であった。悔しさと肉欲の飢えで玲子は一瞬、目が眩み
そうになる。それでも何とか淫らな声を押さえたのは母としての意地であったのだろ
う。いくらそう言う仲だとは言え、母子として―――
「どうしたの?お願いしないとこれ以上しないよ」
(だって……そんな息子にお願いして姦ってもらう母親なんて!)
「こーーなにママ濡れているのに。まだ、聞き分けがないの?ほら、あてがっている
だけで僕のおちんちん、びしゃびしゃなのに」
 本当だった。玲子の肉襞からは愛液が滴るように流れ出ている。先ほどの愛撫とそ
れ以上にこの意地悪なじらしのせいだ。下から見たら股間から内腿にかけて、ねばつ
く甘い液体によって肌がぬめるように光っているのが見えたであろう。
 それが判っていても、それでも玲子は声を出さなかった。身体はすでに受け入れよ
うとしているのに―――でも、さすがに口に出して言うのは……
「……じゃ、しょうがない。今日はこれでお終い」
 さすがに母の強情にあきれたのかもしれない。功司はそう言って意外にあっさりと
腰を引き、肉棒を離した。その時――
「だ、駄目ぇ!こうちゃん、離しちゃ……」
 ついに母は陥落した。もう、終わりと思った瞬間、我慢出来なくなったのである。
功司はにんまりと笑う。あの貞淑そのものの美人の母が、羞恥心と、そしてそれ以上
の欲情に震えながら、泣き声で嘆願し、腰を振り股間を開く――なんと甘美な光景で
あろうか。これだから母を虐めるのはやめられないのであった。
「え?何だって?ちゃんとはっきり言いいなよ」
 しばしの沈黙があった。悩んでいるのか恥じているのか――功司はわくわくして待
つ。そして―――
「こうちゃん…お願いします。ママを――ママのいけないあそこに、こうちゃんの硬
いおちんちんを入れてください……」
 ついに玲子がかすれるような声で言った。耐えきれないほど恥ずかしく、そしてそ
れ以上に淫らな自分の台詞に股間がわなないてしまう。同時に功司は腰を突き出し
た。こちらももう限界だったのだ。こんなにも淫らで可愛い母を見たのだからなおさ
らである。
「ひ、ひいいぃぃ……お、奥までくるぅぅ…」
「ママ―――可愛いよ」
 功司の腰が乱暴に動き出し、玲子の悲鳴はさらに大きくなった。それに混じって濃
いスープを掻き回すような音までする。張詰めた肉棒が濡れすぎた肉壺をすりあげる
音だ。
「あ・あ・あ・あ・あああぁぁぁ……こう、こうちゃんの…大きっいぃぃ…ああぁ!
あ、あついのぉぉ…」
 功司の攻撃は繊細ではなく、むしろ体力任せではあったが、獣に堕ちたような今の
玲子にはそれのほうがむしろ刺激的であった。一度理性が飛んでしまうと、後は息子
に犯される淫らな牝と化し、股間からの叩きつけられるような快感に、ただただ女体
を震わせ悲鳴を上げるだけである。
 すでに玲子はまともに立っていられず、キッチンを掴んだ両手と白い尻を抱える息
子の手、そして肉壺の中で暴れる息子の肉棒だけで女体を支えている。その不安定さ
がまた淫情を増加させ、声をさらに大きくさせた。
「く…すごいね。ママ。本当に食べられちゃいそうだよ」
 功司の方もそろそろ限界が近づいてきたようであった。たまらないまでの母の痴態
に加え、母の肉壺――締め上げて吸い込むと言ういやらしすぎるほどの刺激にさきほ
どから我慢してきた肉棒の先端がもう破裂しそうである。そしてついに――
「ごめん、ママ。もういっちゃう―――」
「あああぁぁぁ――!」
 功司の声はよがり狂う玲子には判らなかった。しかし、その息子の肉棒が爆発し、
母の肉壺に注ぎ込むようにミルクを発射した瞬間、何百回も肌を合わせてきた呼吸に
よってか、それとも母としての本能のせいか――同時に玲子も絶頂に達した。

 朝食後の大騒ぎにようやく一息つくと、玲子はいつもどおりに後始末をした。功司
を椅子に座らせ、今度は玲子が跪いて功司の股間に顔を寄せる。あの生意気でいつも
母を虐めている肉棒をお口で綺麗にするのだ。
(んんん―――終わっちゃうと可愛くなるのね。これがあーんなに大きくなってあた
しを泣かせるんだから、ほんと悪魔なんだわ。こうちゃんのここって!)
 玲子は何やらぶつぶつと思いながら、息子のミルクと自分の愛液を舌と口で丁寧に
舐めとっていく。この時の母の真面目で、それでいてかなり淫らな表情を見るのが功
司は大好きだった。
「いいなあ。ママの口って最高だよ。ほんと僕の為にあるみたいにぴったりなんだ」
「うるさいわね!可愛がってんじゃないわよ。綺麗にしてやってんの!勘違いしない
でよね!」
「はい、無駄口は叩かない。舌と手はこっちに使いましょう」
「もうっ!」
 そうしていつもの後始末を終えると玲子はシャワーを浴びた。股間から足首にかけ
て自分の愛液と息子のミルクで濡れそぼっているだけではない。その他も汗でびっ
しょりである。これから買い物にいくんだから綺麗にしなくては。
「あれ、どっか行くの?」
 浴室から出てすぐ化粧を始めた母に功司は不思議そうに言った。
「ちょっと池袋まで買い物があるの。昼ご飯は自分で作ってね」
「じゃ、僕も行く。ちょうど買いたい物があるんだ」
「え?ええーーーっ!」
 今日だけは一人で行きたかったのだが、功司がごねたのでどうしようもなかった。
本当に甘い母親である。それに見れば時計は十一時近く、ここでもめて時間を浪費す
るわけにはいかないのだ。
「しかたないわね。来ても良いけど今日はママの買い物優先だからね。いいっ!」
「はーーーーい」
 二人はマンションの地下駐車場から自家用のセダンで池袋に向かった。
 板橋から池袋までの道はたいてい混んでいる。この日もアクセルはそう踏めない程
度の渋滞だった。それでも何とか三十分くらいで池袋駅が見えるところまでは出れ
た。
 その時である。
「う……」
 突然、助手席の功司がうめき声を上げた。見ると難しい顔で腰の辺りを押さえてい
る。
「どうしたの?!どっか痛いの?」
「ちょ、ちょっとどこか休めるとこに連れていって…まじでやばい――」
「えーーーっ!」
 この時、幸いに信号で止まることができたので、玲子は大急ぎでギアをPにし、息
子の腰にあてた手をどかそうとする。さっきの大騒ぎで腰でも痛めたのかと本気で心
配になっていたのだ。
 しかし、何故かその手に、なじみのある硬く熱い感触があたった。
「……え?」
「ママ。ごめん。立っちゃった」
 功司のジーンズのファスナーがあけられ、そこから本当に棒のようなあれが直立し
ていた。思わず見入ってしまったが間違いない。さきほど母の舌で綺麗にしたそれ
は、立派に――いつものように臨戦体勢で勃起していた。
「ど、ど、ど、どうして!?ついさっきも、たっぷり………!」
「やっぱり池袋に来たからだと思う。ここに来る時はいつもホテルでご休憩だったか
ら」
 言われてみればそのとうり。去年から、池袋に来た時はたいていその手のホテルで
二人きりの楽しみを味わっていたのだ。しかし、だからと言って――
「こ、この“パブロフの犬”息子!」
 運転席で絶叫した玲子であったが、現実は変えられない。功司がここまで反応して
いるのは事実であったし、そうである以上、これをこのまま放置していくとこの先ど
うなるか――例えばデパートの試着室に突然引っ張り込まれたり――判ったものでは
ない。当初の予定をやむなく(?)変え、仕方なく何とかすることにした。
「何だよ。ほんとは嬉しいくせに。顔が紅いじゃん。きっと乳首とあそこも――」
「お黙りっ!」
 玲子は乗用車を池袋駅地下駐車場に入れ、駅の西口から大塚向きに功司と歩いた。
そちらの方角にホテル街があるのである。まだ十二時前のせいもあってか、ホテルを
目指していると考えただけで恥ずかしく、頬が火のように熱い。まして連れているの
は美少年で、かつ実の息子であり、また野獣のように実の母に欲情している功司であ
る。何をどう考えても、視界がぐらぐらするほどに血が逆流してしまう刺激的な現実
であった。
「ここにしようよ。ねっ!」
 功司はホテル街の中ほどにあった、とあるホテルの入り口を指差した。初めて来た
ところにしては確信的である。どうせインターネットやその手の雑誌で下調べは完璧
なのに違いない。いや、そもそも今日池袋の買い物についてくると言ったのも―――
「じゃ決まりね。Let’s go!」

 母子が入った部屋はなかなか良かった。全般的に清潔感があり、採光や照明もちゃ
んと計算されていて、十二時前というのに落ち着いた雰囲気である。壁や天井はほと
んど鏡張りで大きなダブルベットのある部屋と、二人がたっぷり入れる浴槽にまるで
ソープのようなマットのあるバスルームで構成されていた。
「…………」
 部屋に入ったと同時に功司は母を抱きしめ、何も言わさずに唇を奪った。舌が荒荒
しく母の口腔をねぶり愛撫する。注ぎ込まれる息子の甘い唾液と、ふるえがくるよう
な乱暴で執拗な触感を玲子はたっぷりと堪能した。
「……もう、激しいんだから…」
 やっと功司が唇を離し、ようやく玲子は声を出せた。すでにとろんとしてしまい、
抗議も甘えているようにしか聞こえない。功司はにやりと笑いながら手際良く手を動
かす。もちろん母の服を脱がせているのだ。
「ちょっと――どうするの?」
「お風呂に入るの。僕がママを洗ってあげるよ」
 抵抗すらさせず巧妙に母を全裸にした功司は、自分も服をさっさと脱ぐと押すよう
にしてバスルームに母を連れていった。
 バスルームは綺麗に掃除されていた。もちろんこの母子が今日はじめての客なのだ
ろうが、きっと毎晩のように、ここでさまざまな男と女が、肉欲かそれとも愛を確か
めあっているのに違いない――そう考えて玲子は思わず艶かしい気持ちになる。
(あたしも――こうちゃんもその一人なんだわ。でも…)
 きっとこの母子ほど淫靡で背徳的で――深く愛し合っている二人はいなかったので
はないか――玲子は何故か確信を持ってそう思った。
「はい、こっち向いて!」
 そんな母の思いも気づかずに功司はシャワーをひねった。熱めの刺激が玲子の頭か
ら身体にかかる。中からすでに熱くなっている玲子には気持ち良かった。
「はい、座って!」
 功司は浴槽にお湯をためながら、玲子をマットに座らせて手際良くその裸体を洗っ
ていった。さすがに慣れている(?)だけあって、その手の感触が玲子にはたいそう
心地よい。すぐにも全部洗い終わってしまったのが残念なくらいであった。
「はい、終わり!じゃ、今度は僕を洗って!」
 玲子を泡まみれにして功司はそう宣言した。ちょっと惜しいがまあ玲子に異存はな
い。功司の手から泡のついたタオルを受け取ろうとする。しかし、功司はそれをさっ
と洗面器に放り込んでしまった。
「は……?」
「駄目だよ。ママは身体でやってくれなくちゃ」
 そう言って功司はマットにごろんと仰向けになった。その腰の辺りにはほとんど腹
についている狂暴そうないつもの肉棒が嫌でも見える。それで玲子はようやく息子が
望んでいる事が判った。
「…………つまり…そ、その…ソープみたいな事をして欲しいの?――」
「ピンポーン!」
(もう、この子ったら――こう言う好奇心はほんと尽きないのよね……)
 嬉々としている息子の表情を見て、玲子はため息をついてしまった。もちろんあき
れたのである。比べてはいけない事かもしれないが、かって唯一の男だった前夫とは
えらい違いであった。
 前夫は玲子を定期的に組み敷き、ただ出すだけの男だった。愛撫らしきものについ
ても記憶が薄いし、こんなプレイの考案もなかった。いや、そもそも玲子に向けてこ
の功司のような熱く燃える瞳を見せてくれた事があったであろうか。
(……それって、ひょっとして――わたしへの思いの差なのかしら)
 ため息をつきながらも不意にそう思って、玲子は胸がずきりとうずいた。同時にそ
の衝撃によって頬が熱くなり、腰のあたりに一瞬力が抜けたような感触が走ったのが
はっきり判る。
「どしたの?まだぁぁぁ?」
 母の気も知らない息子がぶうたれた。ムードのない事である。玲子はまたため息を
つきそうになった。
 しかし、この母の長所は息子の期待を決して裏切らない事である。どんないやらし
い事でも受け入れなかった事はかってない。特に今は胸のうずきが瞳や乳首、股間の
秘肉に直結していて――
「……こう――するの?」
 玲子は急いで、しかし、かなりぎこちなく功司の裸体に覆い被さった。胸や腹や足
がぴったりと触れ、息子の肌からの熱さを目が覚めるほどに感じてしまう。玲子もか
なり熱いはずなのに。
「…………」
 泡まみれの裸体で熱いまでの息子の裸に乗った玲子はすぐには動かなかった。その
熱さが証明する息子の期待を肌で感じてしまった感激に動けなかったせいも、もちろ
んある。しかし、本当はこれからどうして良いのかわからなかったのであった。
 それはそうであろう。なにせ“箱入り母”である。ソープのサービスなどわかるわ
けがない。“泡踊り”とか言う単語は聞いた事はあるが具体的にそれが何なのかは
知っているはずもなく、とにかく何かしなければとは思うのだが―――
(ええっと、どうしよう――泡踊りとか言うらしいけど、泡っていうからには泡で何
かするのよね…)
 無言で慌てている母を至近で見ながら功司はにやにや笑っていた。母好みの息子に
とって、息子の為に母が悩む姿は何度見ても嬉しいものなのである。
「何してんだよ。まだぁ?」
 母の困惑をわかっていてあえてせかしてみる。実の母に息子が言う台詞でも、また
言えた状況でもないが、息子より百倍は純情な母はたったそれだけで降参してしまう
のであった。
「……ごめん――どうすれば良いの?ママ、よく知らないのよ…」
 消え入りそうな声で言う母に功司はたっぷりと満足感を感じた。ここまでわがまま
を真剣に考えてくれたとは――と感動したのである。もともと母がソープまがいのこ
とが出来るなどと思ってはいない(普通の母親なら当たり前だ)。
 ただ、自分の為に悩む母の姿を見てみたいという息子のわがままなのである。この
二人にはいつものことであった。
 そして、希望どおりわがままは通った功司は思わず言ってしまった。
「――僕だって知らないよ。ソープなんか行った事ないし、雑誌にも肝心なことは書
いていないし」
 二人の間に無言の時間があった。しまった――と功司が思ったのは次の母の台詞を
聞いてからである。
「―――そうよね。普通ならあたしは知らないし、こうちゃんも判らないはずよね
!」
 功司にもやや声が怒っているのはさすがに判った。自分のからだの上に乗った熱い
裸体の母から結構厳しい視線が突き刺さる。しかし、それに対する動揺を素直に出す
ような息子ではない。平気でこんなことを言うのだ。
「まあ、いつか本当のソープにいったら調べておくよ」
「…………」
 やや、沈黙があった。功司はすぐには気づかなかったが、玲子は先ほど以上の険悪
な目つきになっている。次にその紅い唇からもれたのは呪詛めいたかなり怖い声で
あった。
「……ソープでも何でも―――こうちゃんが他の女にこんな事をしてもらったら
――」
「――――?」
「殺す」
 そう言う玲子の表情も瞳も冗談には見えなかった。それは、もし、将来にこの宣言
を実行したとしても二人とも意外には思えなかったほどだったのである。
 しかし、至近距離でその事を確認した功司は、何故か、にやり――と微笑む。恐縮
したようには絶対に見えない。玲子にはその意味を計れなかった。
(――どうせ、聞いたって白状しないわよね!くやしいーーっ!)
 息子の得意げな表情に本気でむかむかした玲子は、その悔しさもあって、泡まみれ
の裸体を力を込めて動かし始めた。それはまるで息子の身体をしごくかのような激し
くも妖しい動きであり、泡とお湯と若干の体液がぬめり、バスルームに熱めで湿った
音がたっぷりと流れた。 
「……ど、どう?気持ち良い?」
 しばらく一生懸命裸体を動かし、玲子は囁くように言う。声を潜めているのではな
い。これをやってみると声を出すのも大変になってしまったのだ。
 とにかく自分の裸体で息子の裸体をしごく事を意識して動いているのだが、これが
想像以上に深い触感なのである。泡のせいかいつも以上にスムーズに身体が動き、そ
の分、息子の熱さと硬さがもろに裸体に伝わってくるのだ。
(……こうちゃんって――こんなに熱くて――その硬かったけ?…)
 特に抱きついている息子の裸体の筋肉の存在感は意外なほどであった。そしてその
硬さがじっくりと玲子の乳首や股間を刺激する。他の部分も泡と湯と体液を間に含ん
でいるせいか、まるで湿った舌で全てを舐められているかのような微妙な感触で一杯
になる。責めているのはあたしのはずだったのに!
「うーーーーん。これ良いよ。ママの肌って最高」
 効果はあるようだった。母の下で功司がうっとりと薄目になっている。母が動くた
びに下腹や股間、腿にあたる肉棒も灼熱のように熱く、そして硬い。
「そ、そう…良かったわ…その――もっとこれしてていい?」
 息子の反応が嬉しくもあったが、それ以上に玲子の身体の方がたまらない。ただ泡
を介しただけで肌を合わせるという――二人には普通の行為がこんなに刺激的になる
なんて思いもよらなかった。
(しかし、普通のソープの女の人は仕事とは言えこんな事をやって良く平気でいられ
わね。それとも、あたしとこうちゃんだからこそこんなに感じるのかしら)
「うん、良いよ。そのまま続けてよ。そろそろいきそうなんだ」
「え?――駄目よ、そんなもったいない!」
 思わずはしたない事を叫んでしまった玲子であったが、その事を恥じている余裕な
どない。泡まみれのまま両手で息子の股間を探り肉棒を掴むと、腰を真っ直ぐに寄
せ、まるで食いつくように肉壺に打ち込んだ。すでに十分に濡れてはいたが、その乱
暴なまでの急な刺激に母の肉壺の全ての秘肉に若干の痛みが走る。しかし、同時にそ
れ以上の快感も走り、一瞬、目が眩んだ。
「な、なにするんだよ。乱暴な!」
 功司が驚いたように言ったが、日頃の行動からしてどう考えても文句が言えた義理
ではないだろう。本人もそれは判っているらしく顔は笑っていた。玲子の方は肉壺か
らはしる快感にそれどころではないのだ。
「だ、駄目よ。許さないわ。自分だけいっちゃうなんて――」
「やれやれ、本当にママはわがままなんだから」
 快感にとびそうになる母の精一杯のうめきを心地よく聞きながら、功司は巧妙に腰
を使い出した。母の裸体を下から貫く肉棒を上下に、しかも斜めから横の動きをも含
めて突き上げる。いずれも母――いや母の身体が大好きなものであった。
「ひぃ…ちょっと…ま、待って――ママにやらせてよ…」
「だーめ。ママは僕に犯されている時が一番綺麗なんだから」
「く、くやしいぃぃ…」
 その間にも息子の肉棒が母の肉壺をえぐり、愛液を垂れ流させる。下から突き上げ
られ、腰が浮いてしまうと身体を支えるものがない玲子は空に放り出されたかのよう
な感じになり無意識のうちにも何かを掴もうとした。しかし当然、そんな物はないの
で、結局唯一掴んでいる肉壺内の息子の肉棒だけに力が入り、その分息子を悦ばせる
のである。
「い、いく―――いっちゃう…」
 大した時間もかからず、玲子の脳裏に閃光が走った。意識がすっと遠のくほどの快
感に全身が痙攣を始める。
「もう、自分勝手なんだから」
 口だけは余裕を持っていた功司も母のこの絶頂の表情と声にたまらず、ついに音を
立てんばかりにミルクを大量に発射した。

 結局、何回いかされたであろうかであろうか。
 一回目の後は二人で浴槽に入り、そこで功司が玲子の白いCカップの乳房を執拗に
貪った。それだけで玲子が耐えられなくなりそうになるとそのままベットに運ばれ、
鏡の前で座位で姦られた。失神した後には舌による奉仕を要求され、汗と母の匂いで
一杯になった息子の裸体のすみずみを犬のようになめまわす。そしてそのご褒美とし
て玲子の望んだ屈曲位で犯されるように姦られたのである。
 だからご休憩時間が終わり、ホテルから出た時にはもう玲子は腰も頭もとろとろで
息子の肩にしなだれかからんばかりであった。“他人に見られたら”と言う理性すら
ぼやけるほどに、“いって”いたのである。
「じゃ!僕は見たい本とかCDがあるから、先に帰っておいて」
 そんな玲子に、さわやかに功司は宣言した。そしてそのまま止める間もなく、
さーっと駆け去ってしまう。玲子には何が何だかさっぱり判らなかった。
「………何なのよ、こうちゃんったら!」
 ようやく事態を理解して玲子は息子の後姿に小さく罵る。確かにこれではせっかく
の余韻が台無しだ。まさに“デートを途中キャンセル”されたような気分で、おとな
しいはずの玲子の眉がめずらしいくらいに逆立ったのが自分でも判るくらいであっ
た。
「……まあ、しかたないわね――」
 ややするとそれでもそう呟いてしまう玲子であった。確かにここで怒っても仕方が
ない。もともとああ言う息子なのだし、こう言う息子に本気で恋した以上、母――い
や、女としてこの程度は―――
 そう自分をなだめながら時計を見た玲子は少し慌てた。すでに午後三時近かったの
だ。ホテルのご休憩をフルに堪能したのだからこれくらい時間がたつのは当然である
――いや、そんな事よりこれでは今日予定していた夕食を作っている暇がないではな
いか。ホテル街から池袋駅に早足で歩き出した玲子は少しパニくりながらも、なんと
か予定をたてなおした。
 残念であるが、当初に予定していた“まるごと一羽チキンのロースト”を含む夕食
の献立は中止だ。幸い池袋にいるので幾つもあるデパートの地下で適当な惣菜を買っ
てすまそう。せっかくの“あの日”であり、また功司の事を思うと少し可愛そうだが
――でも、これもみーーんな、ママに優しくないこうちゃんが悪いのよね!
「ママをこんな時間まで虐めて、しかもその上におっぽり出して遊びに行ったんだか
ら!」
 台詞の前半と後半のどちらにより力が入っていたかは本人にも謎である。

 さて、そのように惣菜で今夜の夕食をすますと決まると今度は逆に時間が余ってし
まった。あの様子ではどうせまだ功司は戻っていないだろうと思うと真っ直ぐ帰宅す
る気にもなれない。
(まあ、一、二時間でいいから池袋で暇をつぶそうかしら――)
 結局、久しぶりに池袋の自分のビルを見に行く事にした。
 玲子のビルは駅からサンシャインビルに向かう60階通りから、駅よりに少し外れ
たところと言うなかなかの好位置にあった。オフィス街と繁華街の両面を持った池袋
に合わせた多目的オフィスビルで、地下にはイタ飯屋と中華料理店、一階と二階をブ
ティック、それより上の階は弁護士事務所や旅行会社等のオフィスとして貸し出して
いる。不動産会社社長である友人の宏美の腕が良い事もあっていつもほとんど満杯で
あった。
 もっともその宏美に管理運営は一任しているので、ビルオーナーである玲子がここ
に顔を出すことは滅多にない。ビルの利用者でも玲子の顔を知っているのは極少数で
あろう。
 なのに今日、覗いてみる気になったのは、その極少数の中でも特に親しい友人の顔
を久しぶりに見たくなったからであった。確か土曜の今ごろは三分の一位の確率で池
袋店にきているはずだ――
「あら、大家さん。久しぶり!」
 一階のブティックに入るとすぐに大きな声がかかった。右手を見ると声にふさわし
い長身でスーツ姿の女性が大またで寄って来た。見るからに周囲を明るくさせるよう
な大作りの美人で、声も動作も外見も実に気風が良い。女っぽい玲子と並ぶとレズの
恋人同士にすら見えるくらいであった。
「“大家さん”はやめてよ。社長さん」
「じゃ、“社長”もやめてよ。玲子さん」
 女性はそう言って大きく笑うと大げさな身振りで玲子に抱きついた。
「じゃ、オーナーの由佳さん。こんにちは」
「“オーナー”もやめて!おばさんくさい!」
 これが玲子の友人の由佳である。年齢は玲子と同じくらいだが、この池袋店の他に
も幾つも支店を持つアパレル会社のオーナーだ。二人は例の宏美を介し、大家と店子
の関係として知り合い、今では大変仲の良い親友同士であった。
 本音を言うと玲子はこの由佳の事をもう一人の親友である宏美と同じ位に尊敬して
いる。玲子と同じ母一人子一人の母子家庭なのだが、かなりのやり手で、亡父からの
借金で作った吉祥寺の一号店からはじめてたった十年かそこらで会社をここまで大き
くしたと言う。祖父の遺産で生きている専業主婦の玲子には本当に憧れの女性なので
あった。
最初に会ったのは三年位前だが、今では家族ぐるみの付き合いである。大柄で美人の
由佳には瑞樹と言う母親の店の専属モデルをやっている美形の一人息子がおり、これ
も功司とは仲が良い。男のタイプで言えば剛と柔くらい違うのだが。
 由佳は玲子を二階端のオフィスに通した。事務室と倉庫と更衣室を混ぜたような雑
然としたその部屋のソファに玲子を座らせ、由佳自身がコーヒーを煎れた。
「で、どうしたのよ、今日は。買い物?夏物ならもう良い物が出てるわよ」
「いや、特に何か欲しいってわけじゃなくて、その近くまできたもんだから――」
 その近くでさっきまで実の息子によがり狂わされてました――と心の中だけでつけ
たす。しかし次の瞬間、その淫らな独り言に反応してしまった玲子は真っ赤になって
しまった。
 急に赤くなって視線を下げた玲子を不審に思いながらも由佳がコーヒーカップを手
にとって言った。
「?――ああ、そう言えば功司君もさっき来てたみたいね」
「えっ!」 
 今度は玲子の方が不審に思う番である。
(こうちゃんが?何故、この店に?本屋さんにいったんじゃないの?まさかあたしに
嘘をついて―――!)
 思わず顔を上げた玲子であったが、不思議そうに見ている由佳の目と視線が正面衝
突してしまう。別に由佳の表情に悪意なぞないが、自分の考えていること――或いは
やっていることのやましさを思い出した玲子は慌て、無理矢理に視線をずらし話を変
えた。
「そ、そう言えば最近調子はどう?」
「ま、全般的には悪かないんだけどね」
 玲子の不自然さには気づかず――或いは気づいたふりを見せずに由佳は話に乗っ
た。もともと他人が言いたくない事は無理に聞かないと言う男らしい性格の彼女であ
る。
「ここ池袋店が少しきついわ。フロアマネージャーの霧子を青山の店長にしたのが
やっぱ痛かった。あの子のファンがどっとあっちに流れちゃったのよ」
「まあ…霧子さんって、あのすらっとした――」
「そ、あの胸なし」
 相変わらず口が悪い。言った本人はバレーボールのような巨大でがちがちの巨乳だ
からこの嫌味は実にきつかった。まあ、霧子と言うスレンダーな部下は由佳にとって
片腕のように頼りになり、またその分可愛がっているからこそ、こう言う冗談も叩け
るのであろうが。
「店のコンセプトはオーナーのあたしが決められても、細かい雰囲気だとかは現場の
スタッフのセンスだからね。そこらへんをマニュアル化しようとしても、そんなもの
出来あがった時には流行も何もすでにその先に進んでいるのだから意味がないのよ。
 でもんで最後の調整は、結局、現場の子頼りになっちゃうの」
「ふーーん、そういうものなの」
「うん。そういうものなの。まあ霧子のファンはともかく、普通のお客さんもいまい
ちなのよ。後任のマネージャーの百合が悪いって訳じゃないんだけど、お客さんは正
直で百合の作る雰囲気が――空気や接客術まで含めて霧子のそれと違う事を微妙に感
じているの。その分、お店でのってくれないってわけ」
「?のるって……買い物なのに?」
「何言ってのよ。買い物は“のり”よ!特に服なんて、お客さんが『あたし、この服
に似合う!』って信じなきゃ買ってくれないものなの。冷静にデータを見つめて買う
ような物じゃないんだから」
 強引なのだが妙に説得力はある由佳の理屈である。素直な玲子は素直に納得――或
いは信じた。そして、ついこんな事までいってしまった。
「そうだ!じゃ、妹さんに手伝ってもらったら。由佳さんの妹ならセンスも良いんで
しょ」
 数ヶ月前に会った時に由佳が一回り近く下の妹を引き取ると言っていた話をたまた
ま思い出したのである。玲子にすればほんの話しつなぎのつもりだったが、何故か由
佳の反応は複雑だった。
「あ、ああ、里佳の事ね。そうね、あの子もいたわね―――でも、ちょっと問題が
あってねぇ……」
 いつもの闊達さとは違い、何か言いにくそうな、或いは言いたくなさそうな由佳で
ある。血がつながった姉妹でも人間同士である以上、いろいろと事情はあるものなの
だ。礼儀としては由佳の顔色を察してここでひくべきなのだろうが、一人っ子で世間
知らずの玲子は今一つこの手の気配りには鈍い。つい余計な事を考えて、いらぬ事を
口にしてしまった。
「ひょっとして瑞樹君と上手くいっていないの?その妹さんと同居になったもんだか
ら――」
「いーーえ!と・っ・て・も・二人は仲が良いわよ!」
 由佳の返事は怒鳴り上げんばかりであった。部屋の外にまで響いたであろう突然の
大声に玲子は半分くらい飛びあがってびっくりし、あやうく手のコーヒーカップを
ひっくり返すところであった。
「あ……ごめん」
 親友の驚愕ぶりを見て由佳は我にかえったらしい。顔を半分赤くしながらも苦笑し
てみせる。まだ半分硬直している由佳もつられるようにして愛想笑いを返した。さす
がにここまでくると玲子でも言わないで良い事を言ってしまったと気づいたらしい。
正直言って、あの姉御肌の由佳がこうも興奮する理由を知りたくもあったが、ひとま
ずこの場はひいたほうが無難であろう。
 やや気まずく笑いあう二人のところへ、ちょうど外からオーナーを探す店員の声が
聞こえてきた。

 忙しそうになった由佳の元を遠慮したふりをして急いで退散した玲子は、予定通り
西武の地下一階と二階に行き、惣菜――ハーブ焼きチキンやビーフシチュー、サラ
ダ、パンなどを買いこんだ。家族は二人きりでも三人前は食べる奴がいるから量はか
なり多めである。
「重い……やっぱりこうちゃんを捕まえとくべきだったわね」
 最後のケーキを買いながら思わず呟いたのは玲子の本音である。
 そのままよたよたと駅地下駐車場へ行く。ちょっぴり期待はしていたが、そこに母
を待っている息子の姿はなかった。勝手に帰ると功司が言っている以上、当たり前な
のだがそこは甘えん坊の玲子である。他人が見ていないのを良い事にぶつぶつと息子
の愚痴を口にしながら車に乗り、乱暴にエンジンをかけた。
 途中、また渋滞にひっかかった事もあって玲子がマンションに帰りついたのは五時
を大分回っていた。ちょっとだけ期待して玄関のチャイムを鳴らす。中から返事が
あった。
「お帰り、ママ、遅かったね」
 ドアが開けられ屈託のない息子の笑顔が玲子を迎えた。そんな日常的な当たり前の
事でも玲子は胸に、“じいん”とくるような幸せを感じてしまう。自分でも驚くほど
今までの不機嫌があっという間に消え、つい笑顔になりそうになった。
「持ってよ!重いんだから!」
 それがまた悔しいからついつい言葉遣いが邪険になる。功司はそれを気にもせず、
軽々と荷物を受け取った。
「わあ!すごいご馳走じゃん。今日何かあったけ?」
 チキンやケーキを見て喜ぶ功司に玲子は半分微笑み、しかし半分は落胆をする。
(本当に今日が何の日か判ってないのかしら?―――あたしはずっと前から意識して
いたと言うのに……悔しい)
 ちょっとふくれた玲子に気づきもせず、功司は料理を手際良くテーブルに並べ始め
た。買ってからそれなりに時間はたっているが、レンジで暖めたりはしない。実はこ
の母子はそろって猫舌なのである。
「?どうしたの?シャワー浴びないの?」
「え?あ、ああ…はいはい」
 思わず考えこんでいた玲子に功司が日常的な質問をした。見れば本当に仲の良い親
子が浮かべるような屈託のない笑顔が玲子の視界に映る。何故か玲子は頬が熱くなる
のを感じた。
「汗を流しといでよ。夕食の準備はしとくからさ」
「ありがと…」
「いいって。僕だってお腹がもう限界なんだから。だいたい今日は昼ご飯も食べれな
かったからね」
 それはいったい誰のせいよ!――と思わず叫びたくなったのをかろうじてこらえ、
玲子は浴室へ向かった。途中でちょっと振り向いてキッチンを見たが、息子は真面目
に食事の準備をしており、こっそり背後からせまってくる予定はないらしい。
「……ふーーんだ!」
 食欲が性欲に勝ったと言うわけではないのだろうが、玲子がシャワーを終え、部屋
着のワンピースに着替えるまで何の事件もなかった。それが玲子には何となく悔しい
のだから女はわがままなものである。
 テーブルには先ほど買った夕食が並んでいる。お酒は弱いけどワインは好きな玲子
の為にグラス半杯の赤ワインも添えてあった。
「いただきまーーーす」
 行儀良く挨拶だけはして功司は目の前のご馳走にむしゃぶりついた。四人前はある
はずの料理が瞬く間にその胃袋に吸収されていく。それでも母の分はちゃんと残す息
子であるから、別に慌てずに玲子はワインをゆっくりとすすった。
「どうしたの。ママ。ちゃんと食べないと身体がもたないよ」
「うっさいわね!食べるわよ!」
 だいたい、誰のせいで身体がもたなくなると思ってんのよ!――――とはさすがに
恥ずかしくて口には出せなかった。
 結局、母が一人前食べ終える頃には息子は三人前をたいらげてしまった。育ち盛り
とは言え大した食欲である。毎晩、母を泣かすまで元気な理由がよーーく判るという
ものであった。
「さあっーーて。あとは確かケーキがあったよね」
「あ、ああ。そうね。今出すわ」
「せっかくだからソファで食べようよ」
「え?」
「いいじゃん。デザートくらいゆっくりじだらくに食べようよ。ねぇ!」
 急にソファへ誘われて玲子の心臓が倍速で脈打ちだした。ソファと言ってもこの家
にはテレビ鑑賞用に大きなのが一台しかない。よって、ケーキはテーブルにおき、母
子は並んで座る事になる。そして、予想通りに功司は玲子にすりより――まるで抱き
かかえるようにして座った。
 それでもすぐに功司は行動を起こさなかった。玲子の匂いやその身体の抱き心地を
楽しむかのように猫みたいにごろごろするだけである。
 しかし、何かを意識している玲子にはそれが催促にも、また愛撫にも感じられてた
まらない。
「――ねえ……」
「ん?」
「―――その……何故このケーキを買ってきたと思う?」
 功司の手は母の肩に手をかけられ、身体はぴったりと密着している。玲子のワン
ピースと功司のシャツ越しに息子の熱い体温が母の身体に染み込むように伝わる。そ
の刺激に思わず、このソファでやった二人の数え切れないほどの過去のSEXを脳裏と
股間で思い出してしまう。
 そのせいか、さっき替えたばかりのパンティに恥ずかしい染みが出来たような感触
が確かに股間に走り、また心臓音も大きくなったようであった。
「えーと、何だったけ?」
 玲子の期待に完全に反して功司はあっけらかんと首をひねった。思い出さないのか
思い出す気がないのか――とにかく、玲子の期待はかなえられなかった。
「…………」
 玲子は思わず唇をかむ。母がここまで胸をときめかせ、また股間を濡らせているの
に何と言う無粋であろうか。玲子は純粋に腹が立ち、もう、ほっとこうかとすら一瞬
思ってしまった。こんなに触れている肌は熱いというのに!
 それでも玲子が諦めなかったのは、今の二人の間の事実を確認したいという――こ
こ一年間の執念のあらわれであったろう。
「……思い出してよ。ほら、去年の今ごろ―――」
「何かあったけ?去年の今ごろと言っても――まだ地区予選前だし、中間テストには
まだ余裕があるしーー」
 思い出さないのか、思い出す気がないのか―――
「ほら、こうちゃんが珍しく夕食を作ってくれてーーーそっ、そして、その後にママ
が気分が悪くなって――」
「ああ!思い出した!」
 功司は元気に言った。
「初めてママが未成年の僕に淫行した日!」
「初めてこうちゃんがママを襲った日でしょう!」
 思わず絶叫してしまった玲子であった。
「“ご飯を作ってあげる”とか言って料理酒代わりにブランディをたっぷり入れ、お
酒に弱いママがふらふらしているところを介抱しているふりをして服を脱がしてここ
で犯したじゃない!」
 玲子の主張に嘘は全くない。確かにちょうど一年前にそう言うことがあったのであ
る。それまで仲の良い母子だった二人が初めて男女の関係になった事件であった。
「でもその前にもいろいろあったじゃない」
 事実をつきつけられても素直に非を認めない功司である。
「な、何よ」
 そして自信満々の息子に何故かひるむ母であった。
「ママがわざと下着姿でうろついたり、妙に身体を寄せて来たり」
「そ、そんなこともあったかしら…」
「あったの。それに僕は寝室でママがオナニーする時、僕の名前を呼んでるのも聞い
たもんね」
 これも事実であった。きっかけは功司に誰かから来たラブレターを玲子が部屋の掃
除中に発見した事であろう。その時、自分でも我慢できないくらいの悔しさを感じた
事を今でもはっきりと覚えている。
「だって、こうちゃんがママの下着に悪戯していたし……」
 功司がオナニーを憶えた頃であるからラブレターの件と同じ時期であろうか。その
事自体のショックもあったが、それ以上にたんに女の下着に欲情しているのか、それ
とも母の身体に恋焦がれているのかが判らず悶々と悩んだものであった。
「だって、ママとしたかったんだ。他の女なんてどうでもよくてただひたすら今みた
いになりたかったんだよ」
 あっ気なく言って功司は玲子を抱きしめた。息子の暖かさと吐息が母の肌に触れ
る。
「ママはどうだったの?僕とはしたくなかったの?」
「……………」
 面と向かってそう言われると何も言えない玲子であった。今はこれほどまでの関係
にはなっているが、あの時はどうだったであろう。どこかでこの危険な―――息子と
その身体を望んではいたのかもしれないが、母子相姦と言うあってはならないはずの
禁忌への拒否感もまた強くあったのも事実である。
 だからこそ、あらわな姿を息子に見せる行為や故意に身体に触れさせる事――そし
て息子を思ってのオナニーにも、抜けがたいまでの背徳の喜びがあり、理性はいけな
いと主張しつつもやめられなかったのだ。
「ねえ、どうだったんだよ。ママは?したかったの?そうじゃないの?」
「………したかったの……」
 息子の強い腕の中で、母は消え入るようなか細い声を出し、そう言った。至近距離
に顔を寄せていた功司がにっこりと笑う。それにつられるように――しかし恥ずかし
い告白の分、頬を染めて玲子も微笑んだ。
「よく言えました。じゃ、ご褒美にプレゼントをあげるね」
「?プレゼント?」
 何の事か判らぬ玲子に功司がソファの下から包装された包みを取り出した。見れば
由佳の店の包装用紙である。
「あーーーっ!まさか、今日、由佳のお店に来たって言うのは――」
 功司は最初から今日が何の日か知っていたのである。知っていてどきどきしている
母に今までとぼけていたのだ。
「もう!意地悪ね!」
「オーナーの由佳さんに礼を言っといてよ。“ママのプレゼントにする”って言った
ら黙って七割引にしてくれたんだ」
 由佳も、息子が母にこっそりプレゼントを渡したい事が判っていて玲子には詳しい
事を言わなかったのだろう。なかなかに粋な女であった。
「ありがとーー!ごめんね。ママ、てっきりこうちゃんが今日の事を忘れているん
じゃないかと疑っちゃって――」
「いいよ。やきもきするママもなかなか楽しめたし」
「もう!」
「その代わり、今ここでこのプレゼントだけを着てくれない?早く見てみたいんだ」
「もちろん良いわよ。ママ、こうちゃんのプレゼントなら一生大事にするわ」
 そう言って受け取った包みを玲子は急いで開ける。出てきたのは蝶の上品な柄が綺
麗な、白い絹のストールであった。色合いもデザインもまさに玲子の趣味にぴったり
である。
「わあ!すっごい!こうちゃん、これ高かったでしょう。幾ら由佳がまけてくれたと
は言っても」
 功司の小遣いは普通よりやや多め程度しか与えていない。その上、たまにいかがわ
しいビデオ(母と子が実に仲良くしているような種類の)を買ったりと変な使い方を
しているから、決して余裕があるわけではないはずだ。
「まあね。この日の為にとっといたお年玉が全部ふっとんだよ」
「ありがとう!」
 満面の笑みを浮かべ、玲子はさっそくストールを羽織って見せた。もともと上品な
若奥様風の玲子である。部屋着であるワンピースの上からでも、まるでこのストール
の為に用意されたモデルのように実に決まっていた。
 だが、最愛の息子のお気には召さなかったようである。
「駄目だよ、そんなんじゃあ!約束を守ってよ」
「へ?約束って?」
「プレゼントだけを着てって言ったじゃん」
 ようやく玲子は息子の悪だくみに気づいた。プレゼントのストールだけを着ろとい
う事は、つまり―――
「どしたの?約束守んないの?じゃあ、プレゼントは――」
「やります!守ります!」
 またもや息子にはめられた悔しさはあったが、何と言っても功司のプレゼントであ
る。取り上げられでもしたら、涙がでてしまう。
 玲子は息子の幸せそうな視線を浴びながらもワンピースと下着を脱ぎ、全裸になっ
てストールだけを肩にかけてソファに座った。
 不思議なもので完全な裸より、中途半端に隠せる物があるほうが恥ずかしさは増す
らしい。玲子は唯一の衣装であるストールをあちこちに引っ張って何とか裸体を隠そ
うとするが、もちろん、硬直した乳首を含むCカップの乳房や、すでに何となく湿り
が感じられる股間の茂みを同時に隠せるわけもない。
「ほんとうに綺麗だよ。ママ」
 その光景に満足しきった功司が唇を寄せてきた。玲子も無駄な努力をやめて、紅い
唇をわずかに開ける。
 そして息子の舌が母の口腔をたっぷりと淫らに弄った。
「…………」
 キスと言うより舌で口を犯されるような濃厚な愛撫を受けながら、玲子は一年前の
事を思い出した。
 あの時、酔って朦朧としていた玲子は息子のキスで意識を取り戻したのである。息
子の母へのキスと言う許されない事態に玲子は驚いたはずだったが、何故か――それ
も反射的なまでに母の舌を動かし、息子の口を吸ったのだ。母に受けいられたと感激
した息子がかちんかちんの肉棒を母のとろけそうな肉襞にあてがったのはそのすぐ後
だった―――
「でも、いけない事なのよ。これって………」
 ようやくキスが終わり、功司が唇を離すと何故か玲子は今更ながらな事を言った。
責めているのではない。どこか夢見がちな口調である。
「世間じゃそうらしいけど、僕は良いんだ。だって、ママにしか勃起しないんだも
の。他の誰と姦れっていうんだよ」
 功司は屈託なく答える。その笑顔は玲子が女としてずっとすがりつきたくなるほど
力強く、自信に満ちていた。
 でも―――
「いかがわしいビデオを見て悦んでいるのは誰かしら!?」
「あれはママを悦ばす為の研究。その証拠に側にママがいないと勃起していないで
しょう」
 証明不可能な事をしゃあしゃあと言う息子である。もちろん母は納得などしなかっ
た。
「最近、よく女の子から電話がかかってくるんですけど。それも声をおぼえられない
ほど複数に」
「それで困っているんだよね。もてるのはいいんだけどさ。僕にはすでに恋人がい
るって言っても誰も信じないし、それどころかその恋人とSEXしているところを見る
まで諦めないって過激な奴も知るし」
「……ふー―んだ!」
 ふくれた玲子は下に手を伸ばし、乱暴に息子のトランクスの中の肉棒を掴んだ。そ
れはすでに臨戦体勢なまでに硬直し、火傷するほど熱くなっている。そのまま玲子は
身体を反転し、息子の下半身に顔をよせた。もちろん邪魔なトランクスはむしりと
る。いつもの――それもほぼ毎日、母を泣かしている肉棒がつきつけるように母の目
の前に飛び出た。
「……ほんとうに元気ね。今日、何回、ママを虐めたと思うの?」
「ママの事を意識するといつでもどこでもこうなんだ。その内、顔を見ただけでも勃
起するかもしれない」
「いつでもどこでも?」
「そう」
「“いつでもどこでも、誰とでも”じゃないでしょうね!」
「まさか!僕はママしかいらないんだよ」
 さわやかな宣言であったが、疑い深くなっている母は納得しなかった。我が息子の
調子の良さは十二分に知っている。
「じゃ、ここに“ママ専用”って刺青していい?」
「えーーーっ!」
 さすがに功司も慌てた。と言って、こんな敏感な場所に刺青と言うに驚いたので
あって、“ママ専用”なのが嫌だったわけではないだろう――多分。
「あ、そう!やっぱり嫌なんだ。いつか他の女の子にここをしゃぶってもらったりす
る予定があるんだ!」
「ちょ、ちょっと待ってよ。僕は刺青に問題があると思っているんだよ。ママだって
身体に、“功司専用”とか“SON’S”とか入れられたら困るだろう!」
「あたしは構わないわよ。こうちゃんだけのものでも、こうちゃんだけだと知られて
も」
 玲子が思わず言ったのは、まさにその場の売り言葉に買い言葉であって、深く考え
ていたわけではない。しかし、功司は急に黙ってしまい、我に返った玲子を慌てさせ
た。
「ちょっと、こうちゃん。どうしたの………きゃっ!」
 心配そうに声をかけた玲子を、突然、功司が組みしいだ。ソファの上で仰向けの状
態で、熱く硬い息子の全てが玲子にのしかかる。
(ああ、あの最初の時と同じだーーー)
 じんわりとした感慨が玲子の胸にしみわたった。身体にかかる息子の重さも、押さ
えつけられた痛みも、不思議なくらいに甘美に感じる。思えばあの瞬間が人生で一番
いい瞬間であった。しかもそれは今も続いている。いや、きっとこれからもずっと
―――
 息子が熱い吐息と共に囁いた。
「本当に――本当にママは僕だけのものでいいの?」
「もちろんよ。一生こうちゃんのものよ」
 今度は迷わず言えた。意識しての事ではない。嘘も虚栄も世間体すらもない次元の
本音だった。
「……………」
 功司は頬を玲子の乳房にうずめた。同時に腰も動き、すでに先端が濡れた肉棒が玲
子の両腿を割っている。
「―――うっ!」
 そしてそのまま一気に肉棒が玲子の肉壺に打ち込まれた。愛撫好きの功司には珍し
い乱暴さであった。しかし、ここまでの言葉のやりとりだけですでに十分に濡れてい
たらしく玲子に痛みはない。それどころか最初から全開の快感が股間から全身に走
る。
(ああぁぁ、本当に最初の時と一緒だわ…)
 あの時も、最初から感じられ、素直なくらいに絶頂をむかえられた。あそこまで完
璧な絶頂は玲子の人生でも初めてだったのでよーく憶えている。それからは毎日かか
さず息子の肉棒か手か舌で何回も絶頂を味わっているが、最初の、それも極めつけの
感触は身体が忘れないようであった。
「好きよ。こうちゃん。愛しているわ――誰よりもずっと…」
「僕もだよ。ママ」
 ゆっくりと、そして確実に息子が母の秘肉をえぐる中、母子は真剣に言葉を交わし
た。
「――本当は、最初の日より前からこうちゃんにこうされたかったの。ずっとこう
ちゃんに女として愛されたかったの…」
「僕だって初恋はママだったし、幼稚園の頃からママと結婚したかったんだ」
 功司の腰の動きが一段と激しくなった。何故かいつもと違い動きに技巧がなく、た
だ本能だけでつきまくっているかのような乱暴さである。
 しかし、それでも玲子には十分なようであった。一生懸命喋っているあいまのあえ
ぎが加速度的に大きく盛んになっていく。
「じゃあ…ママをずっと愛してくれる?」
「うん。もちろんだよ。結婚したいくらいだ。何でもアメリカのネバダ州には愛し
あっていれば誰とでも結婚できる教会があるらしいんだ。そこにママと行きたい!」
「うれしい……」
 玲子の身体が振動し始めた。腰を止めない功司も歯を食いしばる。絶頂だとしたら
二人ともいつもよりかなり早いが、愛し合う事には技術や時間ではなく、情熱が第一
と言う説を証明する好例らしい。
 乱暴な動きであっても全身が飛ぶような快感の中、二人は無意識にも抱き合い、愛
撫し、語りあった。
「―――こうちゃん。ずっとママを可愛がってね…」
「もちろんだとも。ママ」
「―――ありがとう。…でも、もしこうちゃんがこの事で嘘をついたら…」
「――ついたら?」
「無理矢理にでも心中してやるから――いい?」
「…………」
「いいわよね?どしたの?何故、お返事が無いの?こらっ!こうちゃ―――ぁぁあ
あぁぁん……!」
 息子が無言で腰の動きを加速する。母の可愛い喘ぎ声が部屋中に響き渡った。

―終―

[2000/09/06]

小説(転載) 『待ってたの』

近親相姦小説
06 /23 2018
掲載サイトは消滅。
『待ってたの』

 美奈の家族はいつもシンプルである。多少の増減はあったが、印象としては生まれ
た時から最低限の数しかいない。
 でも美奈にはそれで十分であった。


 子供の頃の美奈は母の美代子と二人きりであった。
 もちろん美奈にも父親はいた。顔も名前も知っている。しかし、父親と言う実感を
感じた事はない。なぜなら母の美代子は実業家であった父の愛人だったのである。
 料理研究家として実力のあった美代子が、何故、報いられることのない愛人などに
なったのかは美奈には判らない。“父親”のはずの男は社会的には地位があったとし
ても、二人の女――愛人と私生児――に責任もとれないような情けない俗物であった
し、実の娘が尊敬出来るようなそぶりを見せたことは一度としてなかったのだ。
 ただ、母は取るべき物はちゃんと取っていたらしく、その後も二人は経済的にはさ
して苦労はなかった。美奈が中学生の時に美代子は新設の料理学校への投資と言う大
博打を打ちはしたが、幸いにも成功し、逆に老衰死までは絶対に困らない程度の資産
を作る事は出来た。
 そう言う頼もしい母のもとで美奈はすくすくと成長したのである。学校の成績も良
く、大学も第一志望になんなく合格する事が出来た。父親がいない事でいやな目に
会ったこともあるが、まあ幸福な少女時代であったろう。
 ただし、その反動は大学生時代に来た。
 父親がいなかったせい――とは思いたくもないが、美奈は親ほど年齢の離れたゼミ
の助教授と不倫関係になってしまったのである。もちろん、相手には妻子がいたし、
また、世間体と社会的地位をかけてまで真実を貫くような性根の座った男ではなかっ
た。
「馬鹿って遺伝するものなのね」
 不倫の挙句に妊娠し、それを口実に捨てられた娘に、母の美代子はしみじみとため
息をついたものである。美奈は何も言い返せなった。
 それでも美奈は妊娠した子供はちゃんと出産した。不倫相手の都合で自分の子供の
命を左右されたくないと言う意地もあったし、また美代子が中絶に強力に反対したか
らでもあった。
「その子はあんたの子供じゃないの。それに最後にあてになるのは――信じられ、愛
せるのは、結局、血のつながった家族だけよ。あんたがすぐに自殺する予定でもない
のなら、これから生きていくためにもその子を産みなさい」


 勇が経済的に親孝行なのは母親と同じ誕生日だと言う事である。
「かんぱーーい!」
「…乾杯」
 新宿のとあるレストランの個室で今日三十四歳になった美奈と十四歳になった勇は
祝杯をあげた。ちなみに未成年の息子はトマトジュースである。
「ああ。勇も今日で十四歳になったのよねえ。母一人子一人だったけど苦労して育て
たかいがあったわ。うんうん。ママ偉い!」
 美奈がわざとらしく涙を拭くふりをする。もちろん一人息子の勇には異論があっ
た。
「ママは勉強と仕事をしてただけじゃん。育児も家事も美代子さんがやってたはずだ
けど」
 事実である。大学をなんとか卒業した美奈であったが、不倫の子連れではまともな
就職も出来ず、結局、法学部卒をいかすべく司法試験に挑戦した。二十六歳の時に合
格したのは見事だったが、その間も、またそれ以降も一人息子の勇の面倒を見ていた
のは祖母である美代子であった。
「でも美代子さんだって途中からミクロネシアに引きこもったじゃないの!それから
はママ一人勇一人で頑張ってきたんだから!」
 一応、事実である。ちょうど勇が十歳の誕生日に祖母の美代子は何を思ったか、故
郷のはずもないミクロネシアの何とかと言う島に隠棲すると宣言し、そのまま本当に
移住してしまったのであった。
 その島は事実上、美代子の親友の持ち物で、美代子はその親友――元々は老舗旅館
の女将とか言う実業家――が経営しているホテルの支配人をやっているらしいのだ
が、詳しい事は二人も知らない。一応、今年の夏休みには会いに行く事になってはい
るのだが……
「でも朝・夕と、場合によってはお弁当までつくっているのは僕なんだけど」
 これも事実であった。美代子がいなくなってからの食事の世話は勇の分担になって
いる。
「……だって、あたしがご飯作ったら、勇、怒るじゃない!」
「うん。材料に申し訳ないくらいにまずいから」
 一般に、親が家事に堪能だと子供はそれに頼りきってしまい、自分は家事が苦手に
なると言う。美代子と美奈がその典型例であった。また、逆に親が家事を苦手とする
と、子は生きていく必要性の為に上手くなるとも言うが――その実証例が美奈と勇で
ある。
 ちなみにそれ以外の家事については、家の掃除は分担制だし、最近は洗濯も勇がほ
とんどやっているし、買い物だけは週末に二人で行くが、お金の計算をしているのは
勇だし―――
「いーじゃないのよ!ママだって、ママだっていろいろと大変なんだからあっ!」
 子供の様に駄々をこねる美奈であった。勇が黙ってこめかみを押さえる。まるで躾
に悩む若い父親のようだ。二人はこの光景が示すとおり、確かに実の母子なのだが、
精神的な関係はほぼ逆転していた。世間での二人の姿を知っている他人には想像を絶
する光景であろう。特に美奈のほうが。
 何せ、美奈は背の半ばまでのストレートヘアに一切の無駄のない長身と言うモデル
のようなスタイルの持ち主である。美貌の方ももちろん大したもので、ややつりあ
がった目に仕事用の伊達眼鏡をかけ、血で染めたような紅い唇で冷たく論理的にしか
喋らないその姿は、“オフィスの女王様”とあだ名されるほどであった。
 仕事の上でも東京池袋の著名な弁護士事務所に所属し、今では離婚や遺産問題等の
家庭問題専門の弁護士としてちょっとは名が売れてきている。特に――自分が不幸
だったせいでもないだろうが――クライアントへの理解とその信用を得る誠実さ、そ
れに論敵への容赦のない鋭い舌鋒で知られていた。
 しかし、この才色兼備の美女も、私生活においてだけはこのありさまである。家事
も下手だし、ひたすら子供っぽくわがままであった。息子の勇が祖母似のしっかり者
でなかったら、この家族は大都会の真ん中で栄養失調か原始人並の不健康な生活を余
儀なくされたのに間違いなかったであろう。


 毎年、誕生日だけに来るレストランではあるが、味は例年どおりに満足のいくもの
であった。さすがに祖母美代子の弟子である真由美さんが経営しているだけのことは
ある。
 もっとも勇は味より母の飲酒のピッチの方が心配であったが。
「ほら、もういい加減にしなよ。ママ。いくら明日は祝日だからって」
「うるさいわねぇ。まだ半分じゃない!」
「半分たって、そのワインは二本目でしょうが!」
 息子の心配を無視して美奈は水を飲むようにグラスをあける。
「いいの!今日はママが勇と初めて出会っためでたい記念日なんだから!ここで二色
そろえるのが日本の美しい伝統じゃないの」
「紅白饅頭と赤と白のワインを一緒にするんじゃない!」
 息子の真摯な心配はわがままママには通じなかった――いつもの事ではある。
「それよりさ!聞いてよ。あの由佳なんだけどさ。今日、ついに現場を押さえたの
よ。うふふふーふーふふー!」
 由佳と言うのは美奈の大学の先輩の事である。
 産まれた時から美貌で知られた美奈は大学在学中にも文句なしでミスキャンパスに
なっているが、由佳はその一期前のミスキャンだったそうだ。由佳本人はミスキャン
になったその年に事情があって中退したので、学生時代の美奈とは面識はない。
 しかし、ミスキャンコンテストの記録によると、その年の圧勝だった奈美よりもさ
らに何割か投票数の多いぶっちぎりの完勝だったそうで、母校では今でも伝説となっ
ている女性である。
 根が子供の美奈はその事をしつこく気にしていたのだが、運命は奇遇であった。就
職した弁護士事務所の入っているビルの下の階のブディックのオーナーが何とその由
佳だったのだ。
 美奈は直接由佳に会ってその事を告げ、後輩としての仁義を切った。伝説の存在で
あった由佳は意外なほどいい人で、ミスキャンの後輩とのめぐり合いを素直に喜び、
結果、二人は友人になったはずなのだが、まあ、女の意地と言うのはそれでも消滅な
どしないものなのであって―――
「結婚もせず、働いてばかりのくせにいつも満ち足りていた風なのが不思議だったけ
ど今日こそは判ったわ。やっぱり、由佳はレズだったのよ!」
 きっと由佳さんがママより胸があんなに大きくなければこうまでこだわらなかった
だろうな――勇は心の中だけでそう呟いた。
「と言うのもママがね。今日、勇の作ってくれたお弁当を食べにサンシャイン広場に
行こうとした途中でばったり会っちゃたのよ。由佳が愛人の女と仲良く歩いているの
を!
 本人は妹だの何とかだとか言っていたけど、そんなはずはないわ。その女は由佳よ
り一回りは若い二十歳すぎだったし、二人の言動を見ると何とはなく由佳に嫉妬のむ
らむらが感じられるのよ。あれは絶対、若い愛人だわ。きっと由佳と誰かを二股かけ
て両天秤しているのね。ママが見た時は痴話げんかの最中だったのよ!
 考えてみれば前々からあやしかったの、あの由佳は!店の店員も女ばっかしだし、
息子とか言って店のイメージキャラに使っている子もいかにも宝塚っぽいし――」
「早く食べないと冷めるよ。ローストしたのは、その温度が判るまでに食べないと
作った人と材料に失礼だって、おばあちゃんがいつも言っていたでしょう」
 いつもの事であるから勇は気にしない。そもそも美奈と由佳は基本的に仲が良いの
である。たまに飲みに行く事すらあるほどだ。ようするにじゃれているのであって、
まともに聞く必要は他人にはない。
「判ってるわよ。ほんと口うるさいんだから!最近、ママに対して生意気だぞ。こら
!」
「ママは僕が産まれた時からいい加減だけどね」
 何のかんのと騒ぎながら、仲良くディナーを終え、さらに追加したバースディケー
キまで平らげて、二人はようやく手と口を休めた。ちなみにワインはついに二本目が
空になっている。
「うーーうう。美味しかったけど食べ過ぎた…」
 お腹の苦しさにやや後悔して勇がうめく。もともとそんなに大食漢なわけではな
い。
 顔は母親似の勇は背はまだ美奈にはかなわない上にほっそりとしていて、一見して
女の子のようであった。顔立ちも明らかな女顔だったので、私服で電車に乗っていて
痴漢されることも何度かあったくらいだ。
 本人としてはこの外見をかなり気にしている。しかし、母親の美奈はとても気に
入っているらしく、運動したり日焼けしたりするのを嫌がっており、その話になると
駄々をこねてわざと家事を増やしたり、無理に二人でどこかへ遊びに連れ出したりす
るのであった。
「何よ,軟弱ねえ。ママなんか、ほら!こんなに元気!」
「元気じゃないの。それは酔っているだけなの!」 
 ハイになった母を抱えるようにして連れ出し、清算をすまして二人は外に出た。
 そのままJRに乗ろうとしたのだが、美奈が“やだ!”と言う。しかたなくタクシー
を拾おうとすると――
「それも、や!」
「や!じゃないの!じゃ、どうすんだよ、こんなところで!」
「ママ、少し歩きたいの!」
 

 結局、夜八時すぎの新宿の盛り場を北に向かって二人で歩く事になった。
 二人の住むマンションは板橋にあるから方角は間違いない。しかし距離は軽く十キ
ロ以上なので適当なところでタクシーを捜さなければならないだろう。
「まったく!こんなところを二人で歩くなんて――補導されたらどうするんだ」
 勇の心配は冗談ではない。去年も夜の渋谷を二人で歩いていて勇が実際に補導され
かかった事がある。あの時は美奈が母だと言っても、あまりに若すぎ、また艶っぽ
かった為に補導した警官がなかなか信じてくれず、逆に淫行罪の容疑までかけられて
しまった。
 最後には伝家の宝刀として弁護士バッチを出したのだが、模造品に違いないと断言
される始末であった。やはり、黒のレザースーツと網タイツでばっちり決め、足元は
9センチのピンヒールと言う格好がまずかったのだろう。
「SM嬢って決めつけられていたもんなあ。あの時は。今日は普通のスーツだけど、
ちょっと脚を出しすぎだし……」
 そう呟いて悩む息子に支えられ美奈は上機嫌で歩いていた。はしゃぎすぎて酔いが
まわったらしく――そもそも飲みすぎなのだが――、一人では真っ直ぐ進まないのだ。
年齢のわりにも華奢な勇には大変な重労働であった。
「重い……」
 それでも我慢していた勇であったが、さすがに自分よりまだ大きい母の身体を支え
るのはきつかった。繁華街では緊張もあってまだ無理もきいたが、それを過ぎてしま
うと気力も続かない。じきに勇は音を上げた。
「…………あーーーあ……」
 音を上げたとは言っても、そのままどうにかなるわけではない。不幸な事に繁華街
から抜けてしまったのでタクシーもすぐには見つからないのだ。
「……どうしよう―――お?」
 まさに天の助けであった。二人の位置からほんの百メートル先に小さな公園があっ
たのだ。しかも、勇の位置からもすいたベンチがあるのが見える。
 勇は何とか残る力を振り絞って酩酊状態の母をそこに連れていった。公園内には幾
つもの人影もあったが、気にも出来ず、とにかく入っていく。ここで何とか母の酔い
をさましてから自宅へ帰るつもりであった――この時は確かに。
「はあーーーやでやで」
 人に見られると恥ずかしい母の酔態なので出来るだけ道路から離れたベンチに母の
身体を抱えていって座らせる。その左隣に腰掛けた時にはため息と同時にしたたるほ
どの汗が顔中にあふれてきた。
 その隣で美奈は幸せそうに目を閉じ、頭を息子の肩にかけている。寝てはいない様
だがーーー
「もう、あんまり迷惑を―――え……」
 そう良いながら首を向け,至近距離で美奈の顔を見た勇に、母の髪の甘い匂いと肌
の熱さが急に感じられた。薄く開いた真っ赤な唇が舌でも届きそうなところにあり、
そこから綺麗な真っ白い歯と鮮やかな舌が見える。それが息子には何故かとても素敵
な光景であった。ここに触れられたらどんなに―――
「……違う違う!」
 思わず脳裏に浮かんだ不思議な願望を勇は大急ぎで頭を振って打ち消した。いけな
いいけない。今、自分は何をとんでもないことを思ったのであろうか。
 産まれて初めて感じる母への恥ずかしさと困惑に勇は無理に顔を母からそらせた。
それでも母の香りと熱さは勇の意識からは消えない。心臓の鼓動が急に速くなってい
くのが自分でも判り、さらに動揺が大きくなる。一体、今日の自分はどうしたと言う
のだろう。二人きりなんていつもの事なのに・・母の息からのワインの芳香に酔いで
もしたのだろうか?
 しかし、今日はそれだけではないようであった。そむけた目が別の光景を捉えたの
だ。
「あ………」
 一瞬、傍らの母のことも忘れ、勇はその光景に見入ってしまった。
 光景そのものは世間一般にありふれたものであった。向こうのベンチにカップルと
おぼしき男女がいるのである。はずれとは言え夜の新宿なのだから別に珍しいもので
はない。せいぜい異常な事といえば女のブラウスが開かれて二つの乳房が露出し、し
かも座った男に跨って乱暴に腰を振っているというだけであろう。あとは激しい動き
にめくれたスカートの裾からは女がその下に何もつけていないのが確認できたくらい
であった。
「………あれって……」
 馬鹿のように口を開け、勇は何事か呟いた。もちろんあれはSEXなのだが、実はAV
も見た事がなく、学校の性教育しか知識のなかった勇には刺激が強すぎる光景であっ
た。生で見るのも、もちろん産まれて初めてである。
 呆然とする十四歳には目もくれず、向こうのカップルは自分の快感に熱中してい
た。特に女がすごく、壊れるんじゃないかと思うほどの乱暴な動きに本当の獣のよう
な咽び声を上げている。この様子だと例え観客がいることに気づいてもやめたりはし
なかったであろう。
 そうやって見ているうちに女の動きがさらに加速し、声のボリュームも上がった。
下に座っている男も歯を食いしばるような表情になる。そして―――
「なーーーに見てんのよ!」
 地獄から響くような怖い声は耳元でした。恥ずかしさとやましさによる驚きで心臓
が止まりそうになった勇が全力で振りかえったその先に怒りに燃える母の紅潮した顔
があった。
「マ、ママ……」
「何見てんのよって聞いてるでしょう!まったく、いやらしい!」
 いつのまにか――あるいは最初から――意識を取り戻していた美奈は眼元を極限ま
で吊り上げ、息子を全力でにらみつけた。もともときつめの美人でしかも背が高い女
王様風であるから、これはかなり怖い。
「い、い、いや、あの、違うんだよ――そ、そ、その……」
「何が違うのよ!この変態息子!こんな公園のベンチで二人きりなんていいな――な
んて思っていたら――何よ、あんなのを見て!」
 美奈が怒りを込めてうなる。一瞬、異常な台詞もあったが、動転した勇は気がつか
ない。
 母の主張の異常に息子が気がついたのはその次であった。
「そんなにHなのが見たいのならママのを見なさい!」
 突如、美奈が自分のスーツの前を外し、真っ赤なブラに包まれた形の良い乳房を出
したのである。勇の動転は数倍化した。
「マ、ママ!」
 勇の視界に母の胸がさらけ出されている。ブラジャー越しにもそのサイズと形の美
しさがわかるほどに見事な代物であった。勇もさすがに十四歳であるからその手の本
はこっそり見た事は何度かあったが、それらの中でも最高点の乳房だと頭の中の誰か
が言った。
「ちょ、ちょっと、やめてよ!見えちゃうよ!」
 しかし、目は美しさと魅力に虜になってはいてもそれ以外はそうもいかない。勇の
手が慌てて母の胸を隠そうとする。この瞬間、母の胸を他人に見られたくないと思っ
たのは、母の体面を気にしたのではなく、明らかに嫉妬のせいであったと気づくのは
翌日の事である。
「そうね。勇以外に見られるのも、もったいないしね」
 言われた美奈は意外におとなしく胸元をしまった。それが慌てる息子の真意を判っ
た上での優越感によるものだとは頭がほとんど真っ白の勇にはわからない。だから次
の母の行動も完全に予想外であった。
「じゃ、こっちなら外からは見えないわよ」
 そう言って勇の右手を取る。息子に触れた指も手のひらもかなり熱い――そして有
無を言わさず強い力でそれをスカートの中に引っ張り入れたのだ。
「!!!!!!」
 あまりの異常事態に勇は必死で抗おうとしたが、母の力は完全に息子の抵抗に勝
り、すんなりと短目のスカートを割ってしまう。むろんその手を引き抜く事も出来な
い。実の母のスカートの中に手を入れている――と言う信じられない事実に声も出な
い勇の指先に、すぐにも柔らかく小さな布切れと熱い肌に触れた感触がはっきりと伝
わった。
「はい、これがママのパンティ。色はブラと同じ赤でそろえているの。デザインは
ちょっとTバックぎみのいやらしい奴よ。勇もきっと気に入ると思うわ」
「……………」
 もう何が何だか判らない勇は声も出ない。顔中真っ赤になって口と目を極限まで開
いているだけである。そんな息子の慌てぶりを見て美奈はにんまりと笑う――それは
息子が見てぞっとしたほどの妖しい微笑であった。
 そして美奈の腕はまだ止まらなかった。ゆっくりではあるが、そのままパンティの
裾に息子の指を引き寄せ―――その中に入れたのである。ざわりとした刺激と湿った
感触が勇の指先から心臓に直撃した。
「!!!!!!!」
 そこが何なのかはさすがに晩熟の息子でも判った。もちろん勇は女のこんな大事な
所を触るのは産まれて初めてである。しかも――実の母のものを――
 その初体験からの衝撃もすごかったが、それ以上に普通の性教育以上を受けた事が
ない勇の常識では、“母が相手”と言うのは耐えられないまでの事実であった。勇の
舌はわななくだけで音を出せず、視界は上下左右に回転している。もう完全にパニッ
ク状態であった。
「そして――このパンティの下がママの女の子の部分なの……デリケートなところだ
から優しく…してね…」
 しかしパニックになりながらも“優しく――”の母の一言で、右手に入った力だけ
は緩めたのだから、人の良い息子である。全身の動きを止めたのは、それによって人
目を引いてこんなシーンを他人に見られたら母がどう非難されるか――と言う恐れの
せいであった。
 そんな息子の驚愕と気配りを見て美奈はさらに深く微笑んだ。きっとろくでもない
解釈をしたに違いない。一番美人で二番目に意地悪な魔女のような妖しく楽しそうな
微笑がその証拠であろう。
「――この下が……ママのは柔らかいでしょう。これでもちゃんと下の御手入れはか
かしていないんだからぁ……」
 もう抵抗も出来なくなった勇の指は暖かい叢のようなものをかきわけるようにして
下がっていく。言われたとおり柔らかい絹糸のような感触である。手入れしていると
言うからにはきっと形も良く整えられているのであろう。
「そして……その先にあるのがママの一番大事なところ……」
 叢を通過した勇の指が何か熱く濡れたものに触れる。小さな肉に触れたような感触
と舌を鳴らしたような湿った音――そして母の小さなうめき声が同時に重なった。
「ひうっ!」
 うめくと同時に美奈は顔を半分ほどのけぞらせた。初めて指先以外の状況に気づい
た勇が見ると、母の頬は息子と同じくらい紅潮し、目はそれ以上に潤んでいる。
「マ――ママ……」
「そ…そう――優しく触って…濡れているのが判るでしょう……ひっ!……」
 勇の指先は熱い肉片に触れている。それは美奈の手の誘導によって微妙にいかがわ
しく動いた。そして、指が肉に触る強さが変るたびに母は震え、やるせない喘ぎをも
らした。
「い…いさ…むの指って―――柔らかくていいわ…うっ!」
 母に導かれるままに勇の人差し指は熱い肉と液の中に入った。その指先から、熱く
ぬめった――そして弾力のある感触が伝わるたびに美奈が悩ましい声を上げる。勇の
ほうはそのありうべからざる感触だけでもう一杯であった。いや、息子の指で母が自
慰にふけっていると思っただけで―――
「う…ううっ…あ、あーーーん…あ…ら?」
 実の息子の指で母の肉壺をこすり上げる背徳的な現実からの快楽に美奈は没頭して
しまった。目が潤み、背骨までも痺れあがる。美奈にとっても刺激的すぎる愛撫なの
だ。もうこれだけでいきそうだ。何せ、産んだ時から――
 しかし、その最中に、ふと勇の異常に気づいてしまった。息子が自分の股間を微妙
にもてあましている事に。
「ふ…ふふ…勇も感じているのね」
 勇のはいているのは普通の綿パンでそれほどゆったりしているわけではない。その
前の部分を勇の左手が押さえていた。顔を見ればいかにも苦しそうである。それが何
を意味するかはすぐに美奈にはわかった。
「ちょっとママに見せなさい!」
 美奈は自慰に使っている息子の右手を掴む手を右手に替え、開いた左手を息子の腰
に伸ばした。やすやすと払いのけた勇の左手の下に熱く硬い大きな感触がある。美奈
の唇の両端がこれ以上ないくらいに釣りあがった。
「なーーに?これ?勇ったら実の母親のいけないところを触って興奮しているの?い
やらしいのね!」
 言いながら器用に左手だけでチャックを下げ、パンツの下の物を取り出す。すぐに
もピンク色をした熱い――そして意外に逞しい息子の肉棒が弾けるようにその全身を
あらわにした。
「いーーつも真面目な顔をして大人ぶっているくせに――これって何?ママのを感じ
て興奮しているの?ほんっと、はしたないないわね!」
 息子の指で自慰をし、しかもばんばんに感じまくっている母の事は棚に上げきり、
美奈はそう勇の耳元に囁いた。ワインの芳香混じりの吐息が勇の耳から周囲の肌にい
やらしくふきつけられる。それに対し勇は抵抗も出来ない。すべてが母の言うとおり
だからだ。それどころか、母の左手にぐいっと握られた肉棒はそれだけで痺れるよう
な快感が走り、弾けてしまいそうだった。
 興奮と混乱と欲情でパニック状態の息子を美奈は実に幸せそうに見て、またにんま
りとする。獲物を手中にした猫のようだ。その間も勇の右手を動かしての自慰は続け
ているが、幾分動きを遅くしている。まるでセーブしているかのようであった。
「ふふふふふ…これ、しごきたかったんでしょう?」
 美奈は勇の耳元で囁いた。母が息子に言うにしてはいやらしすぎるその台詞に勇は
一瞬、首を横に振ろうかとしたが、かちんかちんの肉棒を、欲情している実の母に握
られていると言う事実を思いだし、硬直してしまう。それを美奈は自分勝手に解釈し
た。
「ママの前でしごくのは恥ずかしかったの?ふふふ…じゃあ、ママがしてあげるわ…
勇のオナニー…」
 そう言って母は息子の肉棒をゆっくりしごき始めたのである。
「!……ママ……」
 どんな夜の夢でも見た事のない淫靡な光景に勇はうめきのような声しか出なかっ
た。言葉も文章にならないし、そもそも何と言うつもりなのかもわからない。肉棒か
らの初めて味わうような快感に腰の辺りが引きつりそうにすらなった。
「――嬉しいわ…勇ったらママに感じて、こーーんなになってくれているのね…こん
なに逞しく…元気に…もう…たまんない――」
 息子の肉棒をしごき始めると同時に美奈は自分の自慰も加速した。股間でのねとつ
く音が大きく、口からのあえぎも更に大きくなる。それを指先に感じ、耳元に吹きつ
けられる勇の方こそたまったものではなかった。そしてついに――
「あ――!」
 ずんっ!と脳髄まで走る快感と同時に勇は爆発した。それは一瞬、目の前が真っ白
になったほどのすごさであった。その振動が握った左手から美奈の心臓まで直撃する。
そして息子をいかせたという感動によってか、美奈の肉壺にも瞬間的な大波がくる。
「あああーーっん!」
 勇から発射された男のミルクがアスファルトに湿った音を立てて叩きつけられるよ
り、半瞬はやく、美奈は絶頂に達した。
 

 二人が意識を失っていたのはそれほど長い時間ではない。先に我に返ったのは勇で
あった。
「………!」
 ふと気づいてみれば、自分の肉棒はむき出しにされて母に握られ、自分の右手はま
だ母の肉壺に咥えられたままである。動転しないはずがない。
 たった今、実の母子でやった、あってはならない痴態を思い出してしまった勇はま
たもや赤面し、硬直しそうになったが、向こうで人の気配があった事がかろうじて理
性を取り戻させた。
 なにがどんなであろうともこんな光景を他人に見せるわけにはいかない。僕はとも
かく、ママは――誰であろうと許せる事ではない!
 勇は自分と美奈の服を直し、その肩を急いでかついだ。義務感と他のなんとかのお
かげで疲れたはずの身体から信じられない力が出て、そのまま一気に路上まで走る。
そして運良くやってきたタクシーを捕まえて、母と自分の身体を押し込む事に成功し
たのである。その間、とうの美奈は満足しきったようにすやすやと眠ったままだっ
た。
「運転手さん。とりあえず板橋のほうまで!」
 二人が住むマンションは池袋の先の板橋にある。築三年で4LDKと言う立派なもの
だ。美奈が美代子の援助を得て買ったものだが、実はかなりのお買い得物件であっ
た。
 と言うのも、マンションのオーナーである玲子と言う女性が、自分が母子家庭であ
る事から、片親だけだとか、親がいないとか言う境遇の人に同情的で、そう言う事情
があれば、こっそり売値を割引していたのだ。
 美奈はこの話を、以前、亡夫の遺産相続問題で相談に来ていた恵美子と言う女性の
保護者代わりの兄から聞き、すぐに応募したのである。その紹介してくれた兄という
のが建設会社の若社長で、そのマンションを建てた当人だったから話しは早く、見
事、母子の自宅確保と相成ったのであった。
 その二人だけの住処に何とか着いたのは十時前であった。タクシーの釣りをもらう
余裕すらなく、勇は美奈を担ぐ様にしてエレベーターに向かう。急いでいるのはまだ
深夜と言う時間でもなく人気がある可能性もあるからである。今はとにかく人の目に
触れるのがひたすらなまでに嫌であった。
 それでも何とかエレベーターの所までは誰にも会う事はなかった。そのまま一階で
待っていたエレベーターに乗り、最上階である八階のボタンを押す。扉が締まってか
ら初めて勇はため息をついた。
「はーーーーー」
 とりあえず安堵する息子の肩を貸してもらいながら、当の美奈はまだ気持ちよさそ
うに眠っている。それだけ見るとまるでさっきの淫劇が嘘の様だ。息子の鼻先で寝息
を立てているのはいつものわがままで可愛い母親に間違いないはずであった。
 しかし、先ほどの二人の事は事実なのである。その証拠に勇の指には母の中のぬく
もりと、そこからしたたった粘りの強い愛液がしっかりと残っている。
「嘘……みたいだった……」
 勇は一人だけで呟き、自分の右手の指を見つめた。そこについた愛液はまだ乾いて
はいない。母のもののはずの光沢がはっきりと見える。
 つい先ほどこの指で母の秘肉をまさぐり、なぶり、いかせてしまったのだ。今、思
い出せば嘘の様だが確かに起こった現実であった。あの時の母の声も熱さも香りも
――絶頂に達した衝撃も勇の全身ではっきりと憶えている。そしてその母がしごいて
くれた幼い自分の肉棒の感触と射精感も――
「…………」
 あれほど淫らだった母の身体を抱え、それに反応した息子である自分の身体の感触
を思い出すうちに、勇はまたもや変な感じになってきた。自分の指先から目が離せな
いばかりか、その内にそれを舐めてみたい衝動がじんわりと沸いてきたのである。
「………」
 二人しかいないのに勇は緊張して唾を飲み込んだ。母は勇の肩で寝ている。今なら
何をしても見ている者はいない――そう唱える様に思いなおす。
 そして――勇の指がその口に―――

 ピーーーン!

 エレベーターが最上階につき、無粋な電子音が狭い空間に響いた。ドアが低い音を
立て出ろと言わんばかりに開く。勇は我に返った。慌てて母の身体をかかえなおし
て、急いでエレベーターから降りる。
「キャッ!」
 出た途端に鋭い悲鳴が響き、勇を母の身体ごと飛びあがらせた。今日何度めかの止
まらんばかりの心臓の動揺を感じながら、見れば右手に人影がある。二人――誰かい
た。
「なんだ。勇じゃないか」
 それは一歳上の功司だった。さほど大きくはないが抜群に喧嘩が強い上級生だ。近
所のよしみもあってか、主夫としては優秀でもまだまだひ弱な勇を学校の内外でも何
かとかばってくれる有難い先輩である。その後ろにいた清楚な美人は、その母でこの
マンションのオーナーでもある玲子であった。
「どうしたんだ?こんな時間に?あ…美奈おばさん――どうかしたのか?」
 功司は心配そうにそう言った。いつも面倒を見てもらっている勇としては恐縮する
しかない。まさか、こうなってしまった経緯を説明するわけにも行かないだろう。恥
ずかしさと困惑を誤魔化すかのように勇は急いで頭を下げる。
 だから玲子が必死でむき出しになった胸元を直している事は,功司が巧妙に間に
入った事もあって気づかなかった。
「大丈夫です!ちょっとママは飲みすぎたけで――大丈夫なんです!」
 勇は説明した――つもりであったが緊張と興奮で絶叫にしか聞こえない。その音量
に功司もちょっと驚いてしまう。
「いや……大丈夫は良いんだけど…何か大変そうじゃん。手を貸そうか?」
 功司がそう言ったのは完全に善意によるものである。母の玲子より一回りは大きい
美奈を功司より一回り小さい勇が顔を半分青くするぐらいに必死でかかえているの
だ。心配して当然であろう。
「いや、いいです!」
 しかし功司の好意は判りながらも、勇は反射的に拒絶した。瞬間的に脳裏に爆発し
た感情が何なのかは判らないまでも、とにかく、母の身体をどんな誰かであろうと触
られるのがたまらなく嫌だったのである。
「あ……そう……」
 あまりの拒絶に鼻白む功司にはそれ以上かまえもせず、とにかく勇は母を抱え自分
達の家へ向かった。二人の家は804号室であるから、一番端の功司の部屋からはほん
のニ十メートル弱である。この気合ならば数十秒だろう。
「あ?」
 しかし、世の中は甘くなかった。勇の進路を段ボール箱の壁が塞いでいたのであ
る。
「だから言わんこっちゃない」
 後ろで功司が言った。段ボール箱は803号室のドアの前に山積みされている。この
部屋は童話作家の香織さんのとこで、無責任な出版社から送り付けられてきた資料な
どがよく放置されているのだ。しかし、よりにもよって今夜に!
 段ボール箱自体は何段も積まれているわけではない。せいぜい二段だ。普通ならま
たげばすむであろう。しかし、今の勇は美奈を抱えている。このままこすのは不可能
であった。
「う―――――ん……」
 足で箱をどかす努力はしてみたが、重すぎて無理だった。やはり何かの資料等の紙
なのだろう。両手が使えるのならともかく、母に肩を貸したこの姿勢ではまず駄目
だ。美奈をどこかに置けば何とかなるかもしれないが、適当な場所がない。もちろん
そこらへんの地べたに母を置くなどと言うのは論外である。
「ほら、どけ。相変わらず非力だなあ。お前」
 ぶつぶつ言いながら功司がやってきてくれた。勇の足では微動だにしなかった重い
箱を、まるで空でもあるかのようにぽんぽんと片付ける。すぐにも勇と美奈が通れる
だけのスペースが開いた。
「…すいません。ありがとうございました」
「いいって事よ。それより、お前の家も母子家庭だろう。そう言う家は息子がひ弱
じゃやってけないぞ。もっと身体を鍛えないと」
「はあ……」
「第一、ママが満足しないぞ。そんなんじゃあ――おばさんってのは限界がないんだ
から」
 功司はそう言い残してさわやかに帰ってしまった。勇としてはその好意に頭を下げ
るしかない。だからその台詞の真の意味も、余計なことを言ったとして母の玲子に向
こうで口元をつねり上げられている功司の姿にも気づかなかった。


「や、やっと帰ってきた……」
 鍵を左手だけで開け、ようやく部屋に入った勇は外に聞こえるほどの大きなため息
をついた。外での肉体的精神的疲労にすぐにでも玄関に寝転びたいくらいである。し
かし、夜はまだまだ終わらない。まだ、する事があるのだ。
「…そろそろ――重い……」
 勇は最後の力を振り絞って母の身体を寝室に入れ、出来るだけゆっくりとベットに
横たわらせた。それがなんとか終わった時にはその場にへたり込んでしまったくらい
である。
「終わった……」
 勉強部屋を兼ねているせいもあって美奈は十二畳もある一番大きな部屋を私室にし
ていた。法律書や試験で使ったレジメ集を並べた一面の壁一杯の本棚とどの角度でも
ぐっすり眠れるほどの広さのダブルベットがやたら印象的な部屋である。
 母をそのベットに乗せた後、床にへたったままで何とか息を整えようとこころみ
る。ようやく呼吸音が抑えられるようになるまでかなりの時間が必要だった。それで
も何とか落ち着き、座りなおすことが出来た。その目の前にちょうどベットの上の母
の身体がある。
「………」
 母の身体を見ているうちにまた先ほどの事を思い出してしまう勇である。まさに夢
のような事だった。熱さや柔らかさやぬめり、そして快感が今でもはっきりと思い出
せはするが、それが実の母との事だと言う事実だけで現実味がおぼろげになってしま
う。確かに事実だったはずなのに……
 いや、そもそも母はあの事を憶えているのだろうか?かなり酔ってはいたが、その
せいの痴態だったのだろうか。また明日はどのようにしてこの母の顔を見ればいいの
だろう?
 ――そういろいろと考えているうちに勇の身体に変化が現れた。とても恥ずかしい
事なのだがまたもや股間がむっくりと起き上がってきたのである。母との痴態を思い
出したからか、それとも無防備で魅力的な母の寝姿を目の前にしたせいであろうか
―――
 とにかくこれを何とかしなくてはならない。肉棒はすでにかなりかちんかちんで
ほっとけばいずれおさまるようなレベルではなかった。と言ってここではまずいだろ
う。母の寝姿を見ての自慰などあまりにもいやらしすぎる。
 勇は美奈を起こさない様にそっと立ちあがった。とにかく自分の部屋にもどるつも
りだ。そこならこっそり出来る。しかし、そうして背を向けた瞬間――
「……く、苦しい……」
 美奈のうめき声がした。勇はぎょっ!と立ち止まる。振りかえるとベットで首元と
腰を押さえてうごめいている母の姿があった。
「ど、どうしたの?ママ!」
 急いで枕元に勇は飛びつく。見れば母の頬は紅潮し、ねぼけたままの手で服をひっ
ぱっていた。
「――胸とお腹がきついの……服を脱がせて……」
 うめくように美奈はそう言った。目はつぶっているし、その緩慢な動きからも眠気
かアルコールの余韻で朦朧としているのは判る。しかしその仕草は本当に苦しそうに
見えたのだ。
「う………」
 勇は数瞬だけ本気で悩んだ。何せさっきの事がある。何であれ母の身体に触るのは
まずい事のような気がするのだ。あの時、美奈は酔っていたかもしれないが、実の母
に欲情して勃起し、ついには射精までいった勇は素面だったのだから。こう言う状況
で、またそんな事をしでかさないと断言できるだろうか?
「苦しい……い、息が……」
 しかし、優しい息子には母の苦痛を放っておく事などできはしない。途切れ途切れ
に続く母のうめきに、ついに震える手で母の服を脱がせにかかった。
「え……っと……」
 もちろん女の服を脱がせるのは初めてであったが、洗濯係だから構造くらいは知っ
ている。勇は出来るだけゆっくりと美奈を起こさないよう――ここで目を覚ましたら
どんな大騒ぎになるか――上着、スカート、シャツと脱がしていった。季節柄か美奈
は結構薄着であって、それだけ脱がしただけでもすぐ下着姿になってしまう。
「――きれい……」
 息子の手によってブラジャーとパンティだけになった美奈のセミヌードを見て勇は
思わず小さな声をあげた。まったく無駄のない長身に鮮やかなまでの白い肌。胸と腰
もしっかり出ていて全体的なバランスは申し分ない。そして何よりもわずかにそれを
覆う下着のいやらしさが息子の目を釘付けにする。
(Tバックぎみのいやらしいの――なんて言っていたけど…)
 パンティは色は赤でほとんど限界までしか隠していないようなきわどい物であっ
た。洗濯係の勇も見た事はないから秘蔵のものなのであろう。それと同色のブラ
ジャーも派手なフリルつきのいやらしい奴である。こっちはさっき公園で見たのだ
が、改めて部屋の照明の下で見ると白い母の肌との対比が絶妙で、見ているだけでど
こかがすごくなりそうであった。それでなくても脱がす時に手に触れた母の身体の熱
さが骨まで伝わり、勇のあちこちをたまらなくさせていると言うのに――
「む…胸が……」
 そんな息子に身体をさらしていた母がうめいた。
「あ…どうしたの?苦しい?」
 思わず母のセミヌードに見とれていた勇は急いで美奈の口元に耳を持っていった。
身体を曲げると腰の辺りの硬くなっている塊がひねられて痛かったのだが、母への心
配のほうがその痛みと恥ずかしさに勝った。
「…苦しい…ブラも外して……」
「え?―――えーーーっ!」
 母が苦しそうなのも忘れて勇は悲鳴めいた大声を上げた。誰が見ているわけでもな
いのに、必死で首を横に振る。母のブラを息子が外すなど――それだけでもすごい事
なのに、その上、さっきの今である。あの母と子ではあってはならない事をした直後
に、母の下着まで脱がすなどとは―――今でも勇の下半身はいけない反応でカチカチ
になっていると言うのに!
「お願い…外して…きついの…」
 しかし、その常識的な決意も母のすがるような声の前にははなはだもろいもので
あった。この面倒見と人の良さが勇の弱いところである。勇は数秒間だけ本気で悩ん
だ末に、一大決心をして手を母の胸に伸ばした。
 美奈のブラジャーはフロントホックだったから外すのは簡単だ。前の部分を押すだ
けで良い。すぐにも小さい音がしてブラが外れる。そっと布切れを指で掴んで両脇に
押しやると、その下からお椀のような形とサイズの綺麗なふくらみが現れた。
「…………」
 勇がこうやって母の乳房をはっきりと見るのは何年ぶりだろうか。祖母の美代子が
いる頃にはまだ一緒に入浴していたが、それでも小学校高学年あたりでもう直視する
のが恥ずかしくまともに見てなかったような記憶がある。
 久しぶりに見る母の乳房は柔らかく滑らかで、暖かそうであった。このサイズが大
きいのかどうかは、まだまだ勇には判断がつかないが、形はとても美しく見える。二
つの乳首はやや濃い肌色で結構先端が尖っているようだった。それが硬くなっている
事だとはまだ勇には判らない。
「ママって……こんな風にも――綺麗だったんだ…」
 半分くらい呆然として勇は呟いた。もちろん母が美人である事は産まれた時から
知っていたが、胸をあらわにして横たわる母の身体に感じた美しさは今まで知ってい
たものとは違う。淫靡とも妖しいとも表現すべきであろうか。いずれにせよそれは息
子が母に感じるには背徳的すぎる感動だったのかもしれなかった。
(でも・・)
 そうして母の身体を眺めているうちに、ふと勇の中に今まで意識してなかった願望
が産まれた。
(触ってみたい・・ちょっとだけでいいから―――――いや子供の頃のように……)
 ごくりと唾を飲み込む音がやけに大きく響いた。今、自分が何を考えているのかが
判りながらも、その事に胸の鼓動が高まる。それは母に持ってはいけない感情への罪
悪感のせいであり、また目の前の一番愛おしい女の身体への欲情のせいでもあった。
「……」
 勇の頭の中で何かと何かがぐるぐる回っていた。どちらにすべきか、どうしたいの
か、が自分でも自分に説明できないほどの混乱状態である。母の乳房が息子にさらけ
出されなければこうはならなかったかもしれない。きっとこんなに刺激的なものを見
て錯乱しているからに違いない――と判っていてもそれ以上の衝動を押さえる事は出
来なそうである。
 ついに勇は決心した。こっそりと――母が起きない程度にあの柔らかく暖かそうな
ふくらみに触れようとしたのである。いけない事だけど、ばれさえしなければ・・
 後ろめたさと緊張に縛られた手と指がまだるっこしいくらいゆっくりと動き出し
た。
(そ……っと…そ――っと…)
 十数秒かかって勇の指が母の肌に触れた。熱さと柔らかさがじんわりと伝わる。場
所はちょうど左乳首の下くらいだ。そのまま指をなぞっていく。やがて右の手のひら
が母の乳房を下から包むようになった。熱さと柔らかさが手のひら一杯に広がる。
「わあ……」
 思わず小さな声が出てしまった。女の乳房を女と意識して触ったのは初めてだが、
こんなに気持ちの良いものだとは知らなかった。今まで触った何よりも柔らかく、肌
に吸いつくような感触は何とも離れがたいものである。
「…………」
 勇にはそれを揉むような余裕はない。ただじっと手のひらに感じているだけであ
る。それだけでも―――母の乳房にこっそりと触れていると言うだけでも十分に胸が
高まり、全身が熱くなっている。あまりの興奮にめまいまでしそうであった。
「う……ちょっと痛い……」
 しかし、母に触れた感動とは別に息子の男の部分が勝手に反応した。光景の美しさ
と今の行為の淫らさに勇の股間は異性を意識してもりあがったのだ。その中の肉棒が
熱くなりすぎもう震え出しそうである。このままでは触らずともいってしまいそう
だった。
「………」
 仕方なかった。ここは諦めて自分の部屋に帰るしかないだろう。でないとこの場で
出てしまいそうだ。それはさっき母の手で射精させられたのと同じ位恥ずかしい事に
思えた。
 そう考えた勇は手を引こうとした。しかし、その時、ほんのわずかに悪戯めいた誘
惑を思いついてしまったのである。
(でも、ちょっとだけ…赤ちゃんの時のように……)
 美奈の綺麗な乳房に赤ん坊の頃を思い出したのか、それとも自分では判らない男と
しての欲情のせいか――とにかく勇は最後に母の乳房を――軽くで良いから口にして
みたくなったのである。一応、周囲をうかがうが、もちろん妨害するものなどない。
そして少しの間だけ悩み――ついに決心した。
「………」
 勇は息を整え、口を母の胸に寄せた。ベットの端から美奈の身体が離れているため
にそのままでは届かない。やむなくそっとベットに乗り、母の体に触れないように上
にかぶさる。
「ママ………」
 上から見下ろす母の寝顔はとても美しかった。こうして見るといつものわがままマ
マが女神のように見え、勇の胸が弾けそうなくらいに高まる。実の母をこんな風に好
きだと感じたのは産まれて初めてだったかもしれない。
 そのままずっと母の寝顔を見ていたくもあったが、相変わらず股間の肉棒は獣のよ
うに自己主張している。ゆっくりする余裕はない。勇はやや急いで口を寄せ――つい
に舌の先端が母の乳首に触れた。
(あ…こりこりしている)
 母の肌の良い匂いが口の中に広がり、舌の先から熱めで意外に固い感触が刺激的に
伝わる。もう少し頬張ろうかと口を大きく開き―――その瞬間!


「あ、勇がエッチしている!」
 はっきりと美奈の声が響き、勇は心臓が止まるかと思ったくらいに仰天した。反射
的に身を離そうとしたが、それを後頭部に巻きついた奈美の両手ががっちりと止め
る。そしてパニックでどう動いて良いか判らない勇を、美奈はその姿勢のまま胸に押
しつけ、息子の口を母の乳房の肉で一杯にした。
「…う……うぐ…うーーっ!」
「もう!ママ、恥ずかしいわ。実の息子がママの服を脱がせておっぱいを悪戯しよう
とするなんて!」
 母の胸に埋まるように抱きしめられながら、勇は極限まで真っ赤になった。悪戯
――事実そうではないか。現場を押さえられたのだから言い訳のしようもない。母の
抱擁から離れられないのは腕力のせいではなく、罪悪感と挫折感によるものに違いな
かった。
(こんな事をしてしまって――ママに嫌われる!)
 脳裏に絶望に近い思いが駆けめぐる。血の気まで引いてしまいそうであった。もう
今までの母子ではいられないに違いないと思うと、先ほどとは別の意味で目の前まで
暗くなった。しかし――
「ママに触りたいのならちゃんと言いなさい!勇になら許してあげるんだから」
 美奈の声は笑っていた。目だけ上げて何とか見た顔はさっき公園で見たのと同じ位
に淫靡で妖しい――勝ち誇った笑みを浮かべている。今日何度目かの動転状態の勇に
もそれが拒絶ではないことくらいは判った。
「ふふふふ。やあっと本性を出したわね。十四年間待っていたかいがあったわ」
 勇にはまだ理解できない台詞をつぶやくと美奈はその笑みのまま勇の頭を左手で押
しつけ、右手は勇の腰に伸ばす。ベルトとボタンを外す音があっさりと寝室に鳴り響
いた。
「ほら,何してんのよ。ちゃんとママのおっぱいをしゃぶるの!おっぱいを出来るだ
け入れて口で刺激し、舌は乳首のこりこりした所を中心に動かすの。おっぱいのほう
を舐める時は舌のざらざらしたところをいかすようにしてね!」
 母が息子に命じる台詞ではない。しかし、動転しきっている勇はまるで魔法にか
かったかのように言われた通りにした。まるでこれが本能か願望かのように赤ん坊み
たいな音を立てて母の乳房をしゃぶる。昔と違うのはミルクを吸うためでない動きで
あり、母がうめくように女としての歓声を上げた事であろう。
「あ……あ――っん!勇って巧い…ああん…!」
 美奈は思いっきり恥ずかしい声を上げた。今夜起きた限界を超えた刺激に動転のあ
げく夢中で動いている息子より、はるかに冷静に、そしてその分貪欲に息子の愛撫を
堪能していた。勇の動きは愛撫と言うには稚拙で乱暴すぎたが、そんな事より息子に
してもらっていると言う淫らさだけでも美奈には限界ぎりぎりの刺激であった。
「も…もっと…先っぽを舐めて…勇ぅ…こっちも…」
 美奈は息子の舌の愛撫に恥ずかしげもなく悶える。その激しさに引きずられるよう
に勇はより一層舌と口を動かした。その息子の綿パンとその下のパンツを悶えながら
も美奈は遮二無二脱がせた。ぴん!と音を立てて母の痴態に欲情した息子の肉棒が美
奈の腿にあたる。
「勇ったら…男らしいのね。うふ…」
 嬉しそうに美奈はその息子の男の証を右手で握ろうとした。その指先が触れただけ
で声を上げたくなるほどの熱さが伝わる。美奈はもう一度にんまりと笑った。しかし
――
「だ、駄目…触っちゃあ!出ちゃう!」
 悲鳴を上げたと同時に勇の下半身に快感が走った。大好きな母の乳房を愛撫しなが
ら硬直した肉棒を母に愛撫されると言う事実に息子の男の部分が耐えられなかったの
だ。びりびりと痺れるような快感が―――
「駄目っぇ!もったいない!」
 美奈は部屋中に響く大声で叫び、身体を跳ね上げた。その勢いで上にいた勇がひっ
くり返る。鈍い音がしてどちらかが痛かったのかもしれないが、それには一切構わ
ず、美奈は息子の股間に顔を必死でよせた。目標はもちろん母の刺激に欲情しきった
肉棒である。美奈の口は息子の肉棒を飲み込まんばかりに開き、唇が熱い強張りに一
瞬触れた。
「あ―――!」
 その瞬間、勇は爆発した。さっきの公園以上の量の男のミルクが盛大に発射され
る。その全部が寸前にあった母の口の中とその美しい顔に飛び散った。その粘着質の
音は勇にも聞こえた。
「ま…ママ…」
「もう!もったいないわね!もうちょっと我慢しなさいよ!」
 実の母の顔に射精してしまった勇はさすがにあまりの事に血の気が引きかけたが、
美奈の反応は意外――と言うか変らなかった。ベットの上に座り込みちょっと怖い表
情で勇をにらむと――顔についたミルクを指でなぞって舐めだしたのである。さっき
口の中に入った分も含めて全部飲んでしまう気のようであった。
「ママ…そんな…汚いよ。それ」
「汚くなんかないわよ。勇の中で作ったものじゃない。ママ、全部飲んであげるわ」
 全て舐め終わった美奈はにっこりと笑って言い、また勇の股間に手を伸ばした。つ
い数十秒前に中のものを全部吐き出したはずのそれは母の両手が触れた瞬間に――恥
ずかしいくらいはっきりと硬さを取り戻す。
「いいわあ。さすが勇!ママの子ね。公園の時もすごかったけど、今日の二度目を出
してまだこうなんだからママ嬉しくなっちゃう」
「公園…って、ママ、気づいていたの!僕、てっきり酔っていると思って――」
「酔ってはいたけど意識はちゃんとしてたわよ。勇はママの手で射精して、ママは勇
の指でいっちゃったなんてすごい事、一生忘れないわ」
 今更ながらであったが勇は唖然とした。ではあれは――!
「でも、じゃあ何故あんなことを?いや、こんな――」
「何言ってんの!勇が産まれた時からママの物にしてやろうとずーーーーっと狙って
たんだから」
 美奈は力を込めて主張した。
「だって、ママは勇が一番愛していたんだもの。本当はもうちょっと大きくなるまで
待つつもりだったけど、今夜は勇が自分からママをあんな公園に連れ込んだりしたも
んだから・・とっても期待して寝たふりをしていたのに――あれは何よ、この浮気者
!ママの前であんなよその女のSEXに見いったりなんかしてさ!」
「いや、あれは……」
 もちろんあの時の勇にそんな下心があったはずもないが、美奈は言い訳など聞かな
かった。それどころではないのだ。片手で勇のもう硬直した肉棒を掴みながら勇の顔
に唇を寄せる。真っ赤な唇が音を立てて勇の唇を奪った。
「……………」
 生まれて初めてのキスに陶然となった勇に寄り添うようにして美奈は身体を倒す。
そのまま巧妙に息子の下に入ると、まだキスのまま素早く紅いパンティを脱いだ。勇
が見たらその股間の部分がべっとりと湿っていることに気づいたであろう。
 キスが外れ、母の裸体におおいかぶさった息子の耳元へ甘い声が囁いた。
「さあ、いらっしゃい。ママの中へ…」
 どんなに晩熟な勇であってもそれが何を意味するかは判る。まして母が両腿を開
き、息子の肉棒を片手で掴んでその間の秘密の滴りの中心に誘っているのだから。し
かし―――
「どうしたの?あんまり――ママをじらせないでよ…もうたまんないんだから…」
「で、でも…これって…近親相姦なんでしょ…僕達、実の親子なんだし――」
 本人には真面目な疑問であった。背徳とされる行為はもちろん、実はそれをした
がっている自分を感じて、勇は全身に震えが起きるほどに葛藤している。そんな息子
を見て美奈は笑った。苦笑いでも愛想笑いでもない本当の笑顔だった。
「馬鹿ね。勇ったら。これはSEXよ。そしてSEXはどう言う相手とするものか判る?」
「…………」
「本当に愛している人とだけするものなの。だから援助交際とかは駄目だけど、ママ
と勇ならいいの。だって、ママは勇が大好きなんですもの。それで十分なの。勇はど
うなの?」
 息が頬にかかる近さでそう言う母の笑顔を勇は崇拝したくなるほど魅力的に感じ
た。それと同時にずっと前から自分も母とこうなる事を望んでいたかのような奇妙な
感覚が心の中に浮かぶ。
 勇はこっくりとうなずき、美奈はより一層艶やかに微笑んだ。
「じゃあ、おいで。ママの中で――男の子にしてあげる……」
 美奈の握った片手が引かれる。それに従って勇の肉棒が母の肌に触れた。先端に粘
つく液をはっきりと感じ――そしてその先の秘肉の間に飲み込まれるようにして硬い
息子の強張りが差し込まれた。
「ひうっ!」
 入った瞬間、熱さとぬめりと吸い込まれる感覚を味わった勇の下で、美奈も悲鳴の
ような喘ぎを上げた。女の肉襞の中はもうとろとろで、息子の逞しい肉棒を受け入れ
るのには十分なはずだったが、自分が望んだこととは言え、やはり実の息子を女とし
て受け入れると言う背徳的な刺激が全身の感覚を何倍にも敏感にしたらしい。
「―――全部はいっちゃった…た、逞しいのね。勇って…いやあっ…あんまり動かな
いでぇ…ママもういっちゃいそう――」
 言われなくても実の母の肉壺の感触を自分の肉棒にじかに感じる快感と説明できな
い感動に勇は身動きもしていない。ただ噛み締めるように肉棒に神経を集中している
だけである。しかし、その快感と感動は無意識のうちにも肉棒を更に太くさせ、その
刺激が美奈には狂いそうなくらいたまらなかった。
「ねえぇ…動いていいけど…ゆっくりね…ママが壊れないように――」
 やがて息を整えてから美奈は勇の頭を力一杯抱きしめて耳元でそう囁いた。声を落
としているのは肉壺がたまらないからだけではない。実の息子の下にしかれ、その肉
棒に女の奥まで貫かれてしまうと、いつもの強気な自分ではなく、逆に十四歳の息子
にかしづきたいような――或いはその女になったかのような奇妙な倒錯感がじんわり
と心の中に広がっていくのである。さっきまでの自分とは違い、愛撫をねだるのも吐
息が更に熱くなるほどに恥ずかしかった。
「う、うん……」
 母に言われてようやく勇は動かす事に気がついた。“確か前後に出し入れするはず
だが――”と一生懸命考えながらもぎこちなく腰を動かす。それが巧い愛撫のはずも
なかったが、美奈の裸体には十分過ぎるようであった。
「い…いいわあ、い、いさ、勇ぅっ!すごいぃぃぃっ!」
 勇の下で美奈は泣き叫ばんばかりに悶え狂った。ずっと待っていた息子とのSEXだ
が、それがこんなに感じるとは思ってもみなかったのである。
 勇も母の裸体のねとつくような快感にひたすら溺れた。最初は遠慮していたつもり
だったが、すぐにもそれを忘れ、硬直した肉棒が吸い込まれるような淫らな心地よさ
のままに腰を乱暴に動かす。美奈のむせび泣きは更に大きくなった。
「いくぅ!いっちゃう!」
 獣のような息子の責めについに美奈は最初の絶頂に達した。そのショックで腕が締
まり、肉壺も締め上げる。その最後の締めつけか、母の淫らな声かがたまらず勇も爆
発する。先ほど以上のミルクが母の中を一杯にするくらいに打ち込まれた。


 勇が目覚めた時には時計の短針は八時を指していた。今日は休日であるからこれで
も良いのだが、勇はにわかに起きあがる事はできない。見るまでもないが服は全部脱
がされたままだ。
(――――――――)
 一体、昨夜の自分達はなんだったのだろうか。せっかくの誕生日と言うのに実の母
子で相互オナニーからついにはSEXまでしてしまったのである。勇には今思い出して
も信じられない。この自分があんな事を――許されないはずの最初の一度目の後にも
狂暴な肉棒はおさまらず、ただ美奈に導かれ、また自らの欲望のままに何度も何度も
母の――美しかった裸体を犯したのだ。そう、あんな獣のようなことを…
 頭を抱える勇の横にはその美奈が添うようにして横たわっている。見れば全裸だ。
しかも乳首や首筋など見える部分には息子が昨夜つけたキスマークがいやになるほど
見える。だから夢ではない。昨夜の事は――母の淫らもそれに欲情した自分も全部事
実なのだ。
(――これからどうしよう・・)
 自分がしてしまった罪の重さにおののき、声も出せない息子の視線の先では母がす
うすう可愛い寝息を立てながら眠っていた。こうしていると昨日の淫らさが嘘のよう
だ。この整った口で息子の肉棒を舐め、それに貫かれてあえぎ悶えたのである。その
痴態は今思い出してもいやらしく魅惑的で――とても美しいものであった。
(あ・・また――)
 見ている内にある反応に気がついて勇は慌てた。自分の股間に思わず手をやる。全
く恥ずかしい事にもう勃起しつつあった。間違いない。全裸の母を見、その痴態を思
い出したからだ――それについて深刻に反省していたと言うのに!
 男の生理か自分の背徳的な劣情かにいささか腹を立てながらも、勇は慌てざるを得
なかった。下着もつけていないからもし母が起きてきたら隠す事も出来ない。服を着
るかそれとも何とか小さくするかしかないだろう。とにかくまずはこの母の寝室を出
る事だ。
「う、うーーーーーん」
 可愛い小さな声が傍らでし、勇は飛びあがらんばかりに驚いた。何でもない。美奈
が半分寝返りをうっただけなのだが、息子としてやましすぎる状態の勇の心臓には悪
すぎる。勇は動きかけた身体を真剣に硬直させ、数秒間、母の次の反応を待った。
 しかし、ただの寝返りだったらしい。その次の動きはない。更にしばらく時間を置
いてから勇はその上に念のために耳を寄せて寝息をうかがう。規則正しい呼吸音と母
がいつも使っているシャンプーの良い香りがした。
「うん?シャンプー?」
「ちっ、ばれたか」
 今度こそ勇は心臓が止まると思った。聞き間違えるはずのない美奈の声が確かにそ
う言ったのだ。視線を向ければ下から悪戯っぽく笑って息子を見上げている母の綺麗
な顔がある。
「お、起きてたの!」
「まあったく!寝たふりしていたらママの身体にいけない悪戯するんじゃないかと期
待して待ってたのに。この甲斐性なし息子!」
 美奈はそう言いながら上半身を立てた。昨夜,息子がたっぷりとしゃぶりついた形
の良い乳房も、息子が何度も何度もミルクを注ぎ込んだ股間の茂みも隠そうともしな
い――それはとても綺麗な光景であった。
「ま、ママ・・」
「おはよう。勇」
 舌が震える息子に、先に起きてシャワーまで浴びていたくせに息子の横で寝たふり
をして待っていた母は、息子の劣情がたまらないまでに暖かい笑顔を向け――キスを
した。
「う・・」
 ただのキスではない。舌で口の中を舐め取るかまでに濃厚な愛撫である。まるで昨
夜の続きのようなキスに勇はすぐにもくらくらしたくらいであった。
「――よーーし。お目覚めのキスは合格!」
 たっぷり息子とのキスを堪能した美奈はようやく口を離し、明るく言った。母との
キスに舞い上がり酔ったようになっている勇は何ともいいようがない。それを見た美
奈はにんまり笑うと、次には何と息子の元気な肉棒に唇を寄せたのである。
「こっちのほうはどうかな?ちゃんとママに合格点をもらえるかしら?」
 美奈の手が掴んだ時にはもう息子の肉棒は硬さを完全に取り戻し、それどころかび
くびくと武者震いまでして母を威嚇するかのようであった。そのピンクの先端ににん
まりと笑ったままの母の口が近づき――一口で咥えこむ。舌と口腔が涎で濡れたよう
な音を立てた。
「うふん――」
 美奈は一気に息子の肉棒を吸い込み、口の中に入るだけ入れてその硬さと大きさを
確かめる。肉棒を咥えたままの淫らな顔がにっこり微笑んだ。満足行くものだったら
しい。そして一旦、口を離してから楽しむかのようにじっくりと愛撫にかかった。そ
の舌が先端から根本の双玉までを丹念に全て舐め、次には咥えこんだままで頭を上下
に振りながら、口腔中で締めつけ吸い上げる。
「う・・!」
 そんな母の淫らな愛撫に十四歳の息子のような初心者が耐えられるはずもない。勇
はあっという間に限界に達し、一瞬すらも止める事も出来ずに母の口の中へ射精し
た。何とかそれだけは外そうと腰を引こうとしたが、母は許さない。かえって口中の
吸引力が増す。どくどくと音を立てて出された息子のミルクを美奈は全て飲み込ん
だ。
「あーーー、多かった。それにすごい勢い――よし!こっちも合格よ。さすがママの
勇だわ」
 ようやく息子の股間から顔を上げた美奈は嬉しそうに言った。その間にもすでに右
手は息子の肉棒をしごき始めている。二人の今日はまだまだ始まったばかりのようで
あった。
「ママ・・もうやめようよ。こんなこと・・」
 全裸の母に半分のしかかられ、しかも肉棒を握られていると言う、いやらしような
情けないような格好のままで勇がか細い声で言った。あまりの声の弱さに美奈に伝わ
るのはやや時間がかかる。さらにその意味を理解するのに少々かけてから、美奈は全
身で笑った。
「なに言ってんのよ。馬鹿ね。まだ近親相姦だって気にしてんの?」
 全裸で全裸の息子に触れながらも何の屈託も美奈にはない。そんな母に勇は眩しい
ものと何かの美しさを感じつつも何とか――罪悪感によってか――口を動かした。
「そうだよ。だってママと僕は実の親子なんだし――」
「だから、昨夜も言ったでしょ。SEXは愛がなければ駄目だけど、ありさえすればす
べてOKなんだって」
「でも・・」
「じれったいわね!何が“でも”よ!そんなに言うのならこれを見なさい!」
 言うなり美奈は上半身を起こし後ろ手に両手をつくと、両腿をぱっくりと開けてみ
せた。その間の茂みや秘肉が息子の視線の前に全てあらわになる。母の体温を感じさ
せるような甘い香りが勇の顔に吹きつけた。
「どう?ママの“女の子”の部分?」
「・・」
 あまりの事に勇は息を飲むしかない。“どう?”と言われて何を言えば良いのであ
ろうか。そして勇にとっては初めて見る女の恥ずかしいポーズであったが、目が離せ
ないほど淫らで――魅力的であった。
「濡れているでしょう?」
「――――」
「女は好きな人を欲しくなるとこうなるの。判る?もちろんママの場合は勇の事よ」
 母の言うとおり、その股間の茂みも秘肉も触ればねとつくほどに濡れていた。勇が
見ている間にもそこからしたたるしずくがシーツにしみを作ったくらいに。
「まだわかんないのなら。顔を近づけてよく見なさい」
 後で思い出すたびに不思議だった事に、この時、勇は理性では抵抗はしつつも、母
の命令に身体は従ったと言う事である。それが何かを確認したかったのか、それとも
母の最も恥ずかしい部分を見たかったからだけなのかは判らなかった。
「どう・・濡れているでしょう・・」
 美奈の声が急に小さくなった。頬が赤くなっている。やはり実の息子にあらわな股
間を覗きこまれると言う淫らな行為を母として平気では受け入れられないようであっ
た。
「うん・・」
 勇の目の前で母の股間は濡れそぼっていた。ピンク色の秘肉から本当に愛液が滴り
落ちる。実の息子に欲情してこうなっているのだ。勇にはそれが美しくにしか見えな
い。同時に何かが吹っ切れたような気が確かにした。
「そこが女の一番正直な部分なの。ママがどんなに勇を欲しがっているか判ったで
しょう」
「・・うん――ママ」
「なあに?」
 やや沈黙がある。
「その――触っていい?」
「――――良いわよ。昨日みたいにしても。何だったら舐めたって」
 勇の申し出には美奈もいささか驚いたらしい。まさかこの恥ずかしがっている息子
が触るなんて大胆な事を口にするとは思っていなかったのだ。だから本当に勇が――
母の許した通りにその秘肉に舌を這わせた瞬間には全身が跳ねあがってしまった。
「・・はっ!――う――っ!い、勇、そんな・・とこ・・舐め・・あぁん!」
 いきなり悲鳴を上げ――しかし美奈は自分の股間にむしゃぶりついた息子の頭を抱
きしめるように押さえた。引き離すのではない。押しつけたのである。それほどまで
に息子の母の秘肉への舌の愛撫は淫猥で刺激的だったのだ。
 母が嫌がっているわけではない事は判った勇はそのまま夢中で舌を動かし続けた。
その鼻先に甘い香りがする。母の身体の匂いだけではない。きっとさきほどシャワー
を浴びた時に香水でもつけたのであろう。そのうっとりする香りと、それをつけた母
の目的と期待を想像して、ますます勇は舌を激しく動かした。
「い・・いいわぁ・・勇ったら・・大胆・・すぎ――ママおかしくなっちゃう・・」
 もう、クリトリスも肉襞も何もない。勇は舌が触れた全てを乱暴なまでに舐めてい
く。稚拙な愛撫ではあったが、その分、次が予想出来ないスリリングな刺激に母はむ
せび泣くようにあえいだ。第一、こんなところを舐められるのは初めてなのだ。しか
もそれが実の息子なのだから――
「も、もうだめぇ!限界よ!」
 突然、美奈は跳ね起きた。その勢いで股間の息子まで顔を上げさせられる。次の瞬
間にはまだまだ強い母の力で仰向けに倒された。
「ど、ど、どう・・?」
 何が何だかわからない勇の股間に全裸の母が有無を言わさずまたがった。右手で乱
暴に息子の肉棒を掴み、母の肉襞に導く。息子は自分の涎と母の愛液がたっぷりと肉
棒に滴り落ちたのを感じた。
「さあ、覚悟しなさい。昨日はたっぷり犯されたけど、今朝はそうはいかないわ。あ
やうくまた舌でいかされそうだったけど――今度は、ママが犯してやる」
 よこしまに淫らに悪戯っぽくそう宣言すると、美奈は腰を激しく落とした。息子の
肉棒が食われるかのようにその母の肉壺に飲み込まれる。その先端が肉壺の奥にあた
る感触に母は小さな可愛らしい声を上げたが、何とか耐えて腰を激しく上下に動かし
始めた。
「い、いいぃ!勇のが突き刺さるぅ!」
「ママ・・」
 息子を犯すというより、その肉棒に串刺しにされて泣き叫んでいる美奈を勇はうっ
とりと見上げた。今朝のママも――その喘ぎ泣く姿もとても可愛くいやらしいもので
あった。
「どう?ママのは、ママの中は気持ち良い?」
「―――うん・・」
「ママもよ。もう勇から離れなくなっちゃいそう――」
 美奈が秘肉をえぐられる快感にわなないているように、勇も熱くきつくたっぷり濡
れた秘肉にしごかれ飲み込まれる快感に歯をくいしばっている。
「あ・・いく・・」
「ママもよ。一緒にいって!」
 やがて二人だけのベットルームで全裸の母子は同時に絶頂を迎え爆発した。


 たっぷりと母の胎内にミルクをぶちまけた勇の唇に、存分に息子のミルクを秘肉で
搾り取った美奈の唇が触れた。暖かくおだやかだが、深いキスに二人は熱中する。
「やっとこれで勇の女になれたわ」
 ようやくキスを終えると美奈は猫のように笑い、頬を息子の胸に摺り寄せた。まだ
二人とも全裸だから、勇には母の身体の熱さも裸体の肉感も、もろに肌同士で伝わっ
てしまう。また一部が元気になりそうでとても心配になった。
「本当はね。ずうっと前から勇の恋人になりたかったのよ。勇が男になるのを待って
たの。ママ」
 そう言って笑う美奈は勇には、いつものちょっとわがままで手が焼けて――可愛い
母であった。
「何とかきっかけを掴みたくって洗濯係を勇にしてママの下着まで洗わせたりさせた
のに――何もなかったんだからこの甲斐性なし息子!ママの下着を手にしたらいけな
い悪戯をするのが愛する息子のセオリーってもんじゃないの?」
 どこの世界のセオリーであろうか?
「勇はどう思うの?ママが恋人じゃ、いや?」
「――ううん。うれしいよ」
 とんでもない質問であったが、勇は意外なほどすんなりと答えられた。その事も驚
きだったが、答えた後に暖かい幸福感で身体中が一杯になったのはもっと不思議だっ
た。いつから僕は実の母とこんな関係になることを期待していたのだろう?
「やった!じゃ、今日からママが勇の最愛の恋人ね!」
「・・うん」
「おかえしに勇が十八歳になったら婚約者になってあげる。いいわあ。大学生の婚約
者かあ。若い娘達の前で勇を一人占めするのよね。うーん今からもわくわくしちゃ
う。
 あ、もちろん就職したら結婚もね!式は教会にしようっと」
「・・そんな婚約者っても――そもそも、何故、就職してから結婚なの?」
「だって、給料三ヶ月分の奴が買えないじゃない。それともまさかママが生まれて初
めてのリングをくれないつもり?」
 あまりの女らしい話に、勇は思わず果てそうになったが、寸前で思いとどまる。美
奈の人生には確かに結婚と言える時間も相手もなかった。それはきっと本人のせいで
もあり、恐らくは勇のせいでもある。
だからというわけではないが、その人生に欠けた部分を実の息子の勇が埋める事が
出来るとしたら、それはすばらしい事ではないだろうか――それに、勇にとっても美
奈とこれからずっと生きていくのが最も幸せな事に違いなかったのだし。
「・・でも僕はママと同じ弁護士になりたいんだよ。司法試験って何年も合格するま
でにかかるんでしょう?」
 思わず赤くなりながらも、照れと恥ずかしさで勇は話題をそらそうとした。
「じゃ、その間は愛人で良いわ。うーーん。夢を信じて頑張る息子を昼も夜もしとや
かにささえる女ってのも憧れるわ」
 相変わらずの自分勝手である。第一、この母が“しとやかに”なるわけはない。ど
うせどたばたと――恥ずかしい事を想像してしまった勇は慌てて視線を下に向けた。
そんな息子に母が急に作った声をかける。
「あ、そうそう、一つ言い忘れたけど――」
「なに?」
「勇ってもてるじゃない。女の子から良く電話かかってくるし、ママと街を歩いてい
ても軟派するようなあつかましいのも結構いるし」
「そんな事ないよ・・」
「でも、今日から勇の恋人はママなんだから浮気はやめてね。Hしたくなったらいつ
でもどこでも上でも下でもママがしてあげるから!」
 最後の方はとんでもないが、真摯な訴えであった。勇は思わず、じいんとしてしま
う――しっかりしているようでもまだまだ甘い点だ。
「浮気なんかしないよ。僕はママだけだよ」
「本当?うれしいわ」
 美奈はもう一度勇に抱きついた。勇も母の美しい身体を力強く抱く。裸のままでこ
の母子は一体化するまでに抱きしめあった。
「それでね。勇――」
 なんとも言えない幸福感にひたる息子の耳に母はそっと囁いた。
「もし勇が嘘をついて、浮気なんかしたらママは未亡人になるわ――絶対にね」
 勇は自分の身体から血の気の引く音を確かに聞いた。

 
 この朝、三度目のSEXが終わり、美奈が息子の肉棒を舌で丹念に綺麗にしていた
時、健康的な音がした。思わず、二人は顔を見合わせる。音の発信源は勇の腹だ。考
えてみればもう十時であった。
「判ったわ。そりゃお腹がもすくわよねぇ。ママの中であれほど暴れりゃあ」
 くすくす笑いながら美奈が起き上がり、可愛くウインクをした。それをまぶしく思
いながらも勇は、今、自分は息子の顔をすれば良いのか、男の顔をすれば良いのか
――それとも夫の顔をすれば良いのか迷う。
「じゃ、朝ご飯作るわ。だからエプロンだけは着せて?」
 そう嬉しそうに言って美奈は息子のキスマークと涎で一杯になった見事な裸身のま
ま立ちあがり、軽やかにドアへ向かった。白い大きな尻の下の辺りには昨夜から息子
のミルクをたっぷりそそぎこまれた秘肉があるはずだ。美奈はあの裸にエプロンだけ
着て朝食を作るつもりらしい。その見事なまでのいやらしさと頬が染まるほどの美し
さに、勇は母が食事を作ると言う事実の恐ろしさも忘れて、ほんわかと見とれてし
まった。
「あ、そうそう――」
 ドアのところで急に美奈が引き返した。母の裸の後姿だけで元気にも勃起してし
まった肉棒を、勇は慌てて毛布で隠す。たとえこう言う関係になったとしても、そし
てその事に納得したとしても、やっぱり実の母子の間ではまだまだ羞恥心のほうが先
にたつようであった。
「な、なに・・?ママ・・」
「さっき言ったとおり、今日から勇とあたしは恋人同士なんだけど――」
 やましさと恥ずかしさで真っ赤な息子に母は肉感的な笑みを寄せ、熱く甘い息を吹
きかけた。それだけでも、もう一度押し倒したくなるような衝動を勇は必死でこらえ
る。
「・・判っているよ。もう―――」
「うん。でも寛大なママとしては、恋人同士でもちゃんと愛しあっていれば息子の婚
前交渉は許す主義なの」
「は?」
 意味が判らない勇に美奈は、息子が一生忘れられないような可愛らしく――そして
何よりも淫らな笑顔を見せて囁いた。
「朝ご飯終わったら、またしよーよ。婚前交渉!十四年間待っていた分、勇をママに
食べさせて―――いい?」

――了――

[2000/11/08]

小説(転載) 張り合い

近親相姦小説
06 /23 2018
掲載サイトは消滅。
タイトル : 張り合い

 (最近多くなったな。)

 博がため息をついた。去年還暦を迎えた母親の失禁がひどくなって来たのだ。それも博
が家にいるときに限って。

 二年前に女房と別れた博は母親の信子と二人で暮らしている。四十を過ぎた博に再婚す
る気持ちは全く無かった。今更母親を一人にする訳にも行かないし、その上での話しとな
ると年寄りの面倒を見て貰うための再婚のようで気が退けるのだ。

 最初の失禁は去年の夏だった。食事が終わっても椅子から立ち上がらない信子を不審に
思った博が母親のスラックスに出来た大きな沁みに気付いたのだ。

 「母さん。」

 信子の目が虚ろだった。慌てた博が信子を立ち上がらせてスラックスを下ろす。スラッ
クスだけではない。下着もビッショリだった。風呂場から替えの下着とパジャマを持って
来た博が信子の下着を下ろした。少し白いものが混じった毛もビッショリ濡れていた。博
が丹念に拭き清め、片足ずつ上げさせて新しい下着とパジャマを履かせた。その間、信子
は虚ろな目で宙を見据えていた。

 母親のこんな姿を博は見たことが無かった。昔から厳格だった母は決して自分の肌を息
子の前では晒さなかったし、そう言う話題すら顔をしかめて厳しく戒めて来たのだ。博が
信子の女の部分を見たのは実際問題これが初めてのことだった。

 信子は見た目が結構若々しいので外見上は失禁とか呆けとは無縁に見える。確かに少し
前から髪に白いものが混じり始めていたが、それも今では薄い栗色に染めているので全く
目立たない。むしろ染めることの出来ない下の毛に混じった白髪の方が少しだけ母親の歳
を感じさせた。それでもお腹から太ももにかけての肌には弛み一つ無く、そこだけ見る限
りでは四十でも十分に通用する。胸も服の上から見た限りではそれなりの膨らみを保って
いた。そんな母親が呆けてしまったなど、博には到底信じられなかった。

 翌朝、信子はいつもの厳格な母親に戻り、てきぱきと家事をこなした。博の弁当を詰め、
着替えのワイシャツからネクタイまで用意してきちんと送り出す。昨日のことは全く憶え
ていないらしい。博もそれには一切触れず家を出た。

 それから一週間ほどして再び信子が失禁した。苦笑した博が前と同じように丁寧に面倒
を見る。今回はタオルで拭くときに信子が自分から片足を椅子の上に上げた。母親の大き
な襞がパックリ口を開けた。博が初めて間近に見た母親の生々しい姿だった。濡れた肌を
そっとタオルで拭っても信子は何も言わず、息子に全てを任せていた。

 失禁の回数は日を追う毎に増えていった。週に一度が二度になり、それがほぼ毎日にな
るまでにそれ程時間は掛からなかった。最近は日に何度もと言う状態になっている。不思
議なことに、博が会社に出ている間は全く大丈夫だった。ちゃんとトイレにも行っている
ようで、会社から戻ったときは何ともない。ようやく博がくつろいだ時をまるで見計らっ
たように信子は失禁した。また、夜、寝ている間も粗相したことはただの一度もない。世
話をしてくれる息子がいる時に限っての失禁だった。

 (そう言えば・・・・)

 始末を終えた博が信子の失禁の様子を思い出していた。妻と別れた博はそれ以来女っ気
の無い暮らしを続けている。四十になったとは言ってもまだまだ男の機能は健在で、時に
はモヤモヤした気分になり自分で慰めたりもしている。そんな中で見た母親の女の部分は
妙に生々しく、ある時、丁寧に拭った後でそっと指先で触れてしまったことがある。正気
の時の母親なら考えもよらないことなのだが、その時の信子は腰を突き出し、自分から脚
を開きさえした。考えてみればその頃から急に失禁の回数が増えたような気がした。

 三十分位してまた信子のパジャマの前にシミが出来た。回数が増えた分だけ量が減って、
ほんの小さなシミだった。博は老人用のおむつや尿取りパッドも試したのだが、正気に戻
った信子にはその理由が分からないらしく、すぐに外してしまった。

 博は信子を絨毯の上に寝かせ、赤ん坊のように両足を上げてパジャマのズボンと下着を
脱がせた。そのままの格好で脚を開いている信子をタオルで拭い、改めて母親の女の部分
を見下ろした。粘膜に老化は無いのだろうか。その部分は全く年齢を感じさせない。やや
分厚い襞に囲まれたピンク色の肌。艶やかに濡れたその肌が何となく物欲しそうに見えた。
博が信子の足元に座ってそっと指先で触れてみた。こうしている間の記憶は殆ど無いらし
い。改めて触れた襞の中は思った以上に濡れていた。一渡り探った後、博が指先をそっと
送り込んでみた。父親は若くしてこの世を去っているので、もう二十年以上ここに踏み込
んだ指はないはずだ。

 博の予想に反してそこはかなり緩かった。暫くしないときつくなる。もう長年付き合っ
ている女友達は何ヶ月振りかで博に抱かれるといつもそう言う。個人差なのだろうか。博
がもう一本指を入れてみた。途端に信子が腰をくねらせた。緩かった内部が急に狭まり、
目で見ても分かるほどに入り口がヒクついた。母親の歳になってもやはり感じるのだ。博
が母親の生々しい姿に思わず唾を飲み込んだ。

 博はそのまま母親への愛撫を続けた。指を抜き差ししながら、もう一方の手でそっと顔
を出した小さな粒を摘んでみる。無表情だった信子が目を固く閉じて眉根に深く皺を寄せ
た。指先に感じるほど潤いが増し、溢れ出たものが尻を伝って流れ落ちた。

 突然、信子がキリキリと博の指を締め付けた。胸が大きく上下して呼吸が荒くなってい
る。こんな時でも信子の慎み深さがブレーキを掛けているのか、あからさまな喘ぎが口か
ら漏れることは無かった。

 博がもう一度母親の体を清め、用意してあった下着とパジャマのズボンを履かせた。信
子の失禁が非道くなってから下着とパジャマだけはそれぞれ三十枚以上買い揃えてあった。
母親を抱き起こしソファーに座らせた博が部屋を出ていった。暫く一人にしてあげると元
通りの厳格な母親に戻るのだ。

 「博、ちょっと聞いてもいいかい。」

 翌日、会社から戻った博に信子が遠慮がちに聞いてきた。

 「何だい、母さん。」
 「あの、風呂場にあるパジャマと下着なんだけど、あんなに沢山、お前が買ってくれた
のかい。」
 「え、何のこと。」
 「風呂場に出てるパジャマと下着のことだよ。」
 「さあ、母さんが自分で買ったんじゃないの。」

 博は適当にとぼけた。正気の信子と失禁した後の信子は全く別の人格のように感じてい
たからだ。

 「そうかねえ。私には全然覚えがないんだけど。」
 「やだなあ、母さん。まだ呆けるには早いよ。」
 「やっぱり私が買ったんだね。あんなに沢山。」

 博は着替えさせた後の汚れた下着とパジャマはすぐに水に浸けておいた。そうすれば正
気に戻った信子が自分の失禁に気付かずに済むと思ったのだ。

 「ご飯が先。それともお風呂かい。」
 「腹減ったから、ご飯にしよう。」

 その日は珍しく信子が粗相をしなかった。食事が終わり、博が風呂から上がってくると
信子がソファーにだらしなく寝そべっていた。注意して服を見たが漏らしたようなシミは
見当たらなかった。

 「母さん。」

 声を掛けたが返事がない。目は開けているのだが焦点が定まっておらず、博の言葉にも
全く反応しなかった。

 「母さん、大丈夫かどうか、着替えてみようか。」

 それでも返事がない。博がスラックスのベルトに手を掛けても全然動かなかった。既に
正気の信子ではない。そう判断した博が手早くスラックスを脱がせ、セーター、ブラウス
と順番に脱がせて行く。最後の下着を下ろしても信子は無反応だった。

 博が信子の腹に唇をつけ、そのまま下がって行く。その時になって信子がスッと脚を開
いた。襞を分け、小さな粒を口に含み、指を二本揃えて中を探り始める。信子が逆エビに
腰を突き上げた。奥を探る指の動きが淫らな音を立てている。博が見守る中、信子は三度
続けて登り詰めた。

 博が信子にパジャマを着せようとしたが、今日の信子はなぜか素直に従わない。手足を
突っ張ってどうしても服を着ようとはしないのだ。諦めた博が信子を抱えて寝室まで運ん
だ。裸のままだが仕方がない。上から毛布を被せ、居間に戻ってきた。

 息子の前で一人の女と化した信子。無意識で失禁を繰り返したのは博に恥ずかしいとこ
ろを見られ、触れられる、それを期待してのことではないのか。その証拠に博がはっきり
と母親を愛撫するするようになってからの信子はただの一度も失禁していないのだ。ビー
ルを飲み干した博が電気を消して二階の寝室に上がった。自分の部屋に戻る前に母親の様
子を見に行った。ドアを開けてみるとベッドはもぬけの殻だった。

 「母さん、どこ。」

 信子が一階に下りてきた様子はない。二階の納戸を覗き、最後に自分の部屋のドアを開
けた。博のベッドの上に信子が大の字で寝ていた。

 「母さん。心配したよ。」

 博が近付くと信子が手を差し伸べて自分の方に引き寄せた。大きく開いた腿の付け根に
博の顔が行くとそのまま大人しくなる。この歳になって再び体の悦びに目覚めたのだろう。
信子が貪欲に息子の唇をそこに求めた。

 「母さん、抱いて欲しいの。」

 口を離した博が意を決して言った。ここまで来れば残るはそれしかない。信子が目をつ
ぶった。博の脳裏に母親がずっと正気だったのではないかと言う確信が芽生えていた。

 「分かったよ、母さん。」

 博がパジャマを脱いで裸になった。ゆっくりと母親の上に重なって行くが、博の体は全
然反応しなかった。信子の身体に魅力を感じない訳ではない。もし、これが赤の他人だっ
たら勇んで一つになっていたことだろう。しかし、今、自分の胸にしがみついているのは
自分の産みの親その人なのだ。

 博が信子の手を取って自分の方に導いた。もし母親が自分の体を握りしめてくれたら吹
っ切れるような気がしたのだ。初めて博の体に触れた信子の手が弾かれたように逃げた。
博は信子が正気だと確信した。胸の中にいるのは、あの慎ましい母親そのものだったのだ。
もう一度、博が信子の手を導いた。今度はほんの僅かの間握りしめ、再び慌てたように手
を離した。根気よく博がその動作を繰り返した。その度に信子が手を離すまでの間隔が長
くなって行く。七回目にようやく信子が手を離さなくなった。それでも緩く握っただけで
動くことは無かった。

 時間がゆっくりと過ぎて行く。今日はこのまま寝ようか。博が諦めかけたその時、まる
でそれを見透かしたかのように信子の指先がジワッと動いた。博の体がそれに反応して少
しだけ首を持ち上げる。それに呼応して信子の指がまた動く。こうなると博の体が臨戦態
勢になるまでにそれ程時間は掛からなかった。

 改めて博が母親の体を探ると、そこは博の心配をよそに赤々と濡れていた。そっと宛っ
た博の先端を信子の体が待っていたとでも言うように口を開いて飲み込もうとする。入る
瞬間は全く抵抗無く、あっと言う間に博が根元まで飲み込まれてしまった。

 博が思わず呻いた。何という動きだ。それはまるで唇のように博を吸い込み、迎えた内
部が嵐のような荒々しさで動き始める。どう形容したらいいのか。それは間違いなく名器
と言っていい。博は自分の母親の意外な一面を知った思いだった。

 持続には自信があった博が呆気なく果てた。母親と交わっていると言う異常な興奮がそ
うさせたか、それとも今まで出会ったことのない母親の動きに翻弄された結果なのか、博
には分からなかった。仕方なく余韻を楽しむことにした博を信子の体が執拗に責め始めた。
内部に生じた圧力が高波となって入り口目掛けて押し寄せてくる。幾分固さを失った博が
その力に抗しきれず、吐き出されそうになった。

 次の瞬間、博が驚きの声を上げた。まるで寄せる波が返して行くように、信子の中で別
のうねりが生じたのだ。今回は入り口から内部に向かう正に引き波だった。固さを取り戻
していない博がまるでポンプに吸い込まれるように中に向かってめり込んでいった。その
吸引力が一瞬のうちに博に新たな硬直をもたらした。

 博はさっきから全く動いていない。にも関わらず、博の体が信子の中で翻弄されている。
よく『別の生き物』と言う表現をするが、信子の体が正にそれだった。今回は何もしない
うちに再び博が登り詰めた。

 信子の体が更に強く動き始めた。流石に二度続けて果てた博はなかなか回復する兆しを
見せない。それでも柔らかくなった博を信子は半ば吐き出し、寸前のところで信じられな
い強さで再び内部に向かって引きずり込んで行く。三十分ほどしてようやく博が回復して
きた。前後の動きは信子の体に任せた博が腰だけを回転し始める。余り元気が無いときに
よく使う手だ。その時なってようやく信子の口から歓喜の声が漏れ始めた。

 「い、い、」

 信子は少し間隔を置いてそう言い続けた。イキそうだ、そう解釈した博が腰の回転を強
めた。すると声の間隔が狭まり、やがて長く糸を引くような悲鳴に変わっていった。
 ラストスパートに入った博が自分の方からも思い切り奥に突き込んだ。

 「博ーっ。」

 信子が一声大きく息子の名を叫んだ。信子が自分の息子と交わっていることをはっきり
認めた瞬間だった。

 翌日から信子が一切の食べ物、飲み物を口にしなくなった。最初は昨日のショックで食
欲が無いのだろうと多寡をくくっていた博も、その絶食が二日目に入ると流石に慌て始め
た。恐らく信子は自分が博の足手まといになることを嫌ったのだろう。そして、この世の
最後の思い出にと一芝居打ったに違いない。確かにそれはまんまと成功し、博はこの歳に
なって生涯で最高の交わりを経験した。博は何が何でも信子に水を飲ませ、食事を摂らせ
る決心をした。

 飯はともかく、水っ気を絶やしてはいけない。この歳になれば三日も水分を摂らないと
命取りだ。博は近所のスーパーからスポーツドリンクを買い込み、信子の枕元で封を切っ
た。それを一口含むと信子の唇に持って行く。口移しに与えようとした。最初、信子は歯
を食いしばって抵抗した。含んだドリンクが虚しく信子の頬を伝って流れ落ちる。それで
も博は諦めない。今度はドリンクを含まずに信子の唇にキスをした。舌の先で唇を分け、
食いしばった歯を根気よく愛撫した。とうとう根負けした信子が歯を弛める。その隙に博
の舌が信子の口に侵入した。

 博は唾液の分泌が人一倍激しい。朝、歯磨きをしていてもダラダラ涎がこぼれ落ちて困
るくらいだ。流石にほっぺたの方からは大した量が出なくなって来ているが、舌下腺から
は今でも大量の唾液を出すことが出来る。博は根気よく自分の唾液を絞り出しては母親の
口に注ぎ込んだ。

 「負けたわ。」

 とうとう信子が博の唇を振り解いて言った。

 「素直には逝かせてくれないようだね。」
 「当たり前だよ。そう簡単に逝かれちゃ困る。」
 「分かった。分かったから、そのドリンク頂戴。」

 博が再び口に含んでは信子に口移しに与える。信子は自分から吸い付いてドリンクを美
味しそうに飲み込んだ。

 「さて、何か作ろうか。腹減ったろう。」

 信子が恥ずかしそうに頷いた。

 「おかゆがいいかな。」
 「おかゆじゃ物足りないから、何か美味しいおじやでも作っておくれ。」
 「はいはい。飛び切り美味しいのを作るよ。」

 博が用意していると信子が降りてきた。

 「歩いて大丈夫なの。」
 「全然。作って貰ってる間に風呂入って来ようか。」
 「ああ、そうすれば。」
 「二日入ってないから汚れてるしね。」

 信子がウィンクして出ていった。博はそれが夜の誘いだと分かって苦笑した。

 風呂から上がってきた信子は博が用意したおじやを口移しで食べさせてとねだった。最
早かつての慎み深い母親の姿はどこにも無かった。

 「ねえ、母さん。」
 「なあに。」
 「何で俺とって気になったの。」
 「笑わないでおくれ。」
 「笑わないよ。」
 「私がいちゃ博の身動きが取れないだろうって思ってさ。施設に入ることも考えたけど、
結構お金が掛かるんだよね。私の年金くらいじゃ全然足りないし。大昔と違って姥捨てっ
て訳にも行かないしさ。それなら食を断って逝っちゃえばいいって思ったんだよ。」
 「そりゃあ分かるけど。」

 博がちょっと考えてから信子に聞いた。

 「しっこ漏らしたの、あれわざと。」
 「うん。そうすりゃ、あんたが面倒見てくれる。嫌でも大事なところ見たり、触ったり
してくれるだろう。あんたに少しでもその気があるなら、何とかしてくれるって思ったん
だよ。」
 「そこが分からないんだよ。あんなに慎み深かった母さんが何でって。」
 「お前、いつから私が正気だって気が付いてたの。」
 「最初からおかしいなとは思ってたんだけど、確信したのは始末の後で手で触った後か
な。だって、それ以来ピタッと漏らさなくなったじゃない。」
 「やっぱりね。私もまずいなって思ったんだけど、おしっこ漏らすのって気持ち悪いの
よ。だから早くやめたかった。」
 「そうだと思った。だから正気だなって勘付いたのさ。それはいいとして、何で俺と、
その、しようと思ったの。」
 「お前、私の体に気が付いているだろう。」
 「あの、凄い動き。」
 「うん。私はあれが普通だと思ってたけど、そうじゃないみたいね。」
 「普通だなんてとんでもない。何千人、いや何万人に一人かも知れないよ。」
 「死んだ父さんもそんなこと言ってた。それでさ、実は私、あんたが自分で擦ってると
ころ見ちゃったんだ。ほら、去年の夏。」
 「ああ、あの時ね。やっぱり見られてたんだ。」
 「あんたも不自由してるなって思ったら、自分の体のこと思い出してね。父さんがあん
なにいいって言ってたんだから、あんたも少しは悦んでくれるかなって思ってさ。」
 「少しどころか、大いに楽しんだよ。」
 「でもねえ、こんなしわくちゃの婆さんで、本当に抱いてくれるかどうか自信なくて、
それで時間掛けてここまで来たのよ。」

 信子がまたおじやをねだった。

 「博、ほんとに再婚する気、無いのかい。」
 「全然。」
 「まあ、掃除洗濯、食事の世話くらいなら私の足腰が立つ内は出来るけど、あっちの方
が寂しくないかい。」

 博が何も言わずにニヤニヤと信子を見つめた。

 「え、私かい。私ゃ・・・」

 信子が顔を赤くした。

 「こんな婆さんでいいの。」
 「自分じゃそう思って無いくせに。それに、何万人に一人かも知れないって言っただろ
う。使わないで放っておくのは勿体ない。」
 「そりゃあ、私だって博に可愛がって貰えれば生きてる張り合いがあるってもんだけど
さ。」
 「それが一番いいんだよ。誰にも迷惑掛からないし、子供が出来る心配もないし。母さ
んが成仏するまで、せいぜい可愛がってあげるから。」
 「そんなこと言っていいの。女の平均寿命、幾つだと思ってるの。八十三か四だよ。ま
だ二十年以上あるんだよ。その前にあんたの方が駄目になったりして。」
 「言えてるかも。でも母さんだったら、一度入れてしまえば何とかなるさ。」
 「やだよ、この子は。そんな風にあからさまに言われると、顔が赤くなっちゃうじゃな
いか。」
 「さて、食べ終わったらそろそろ上に行こうか。」
 「何だか恥ずかしいね。あんたとまともにするの、今日が初めてだから。」
 「俺もワクワクしてる。今日は早いかも。」
 「駄目。」

 信子が真面目な顔で言ったので博が吹き出した。

 「大丈夫だって。今日は二度でも三度でも。」
 「今日は、じゃないよ。今日も、と言っておくれ。」

 再び信子の股間に顔を埋めた博は、もしかしたら張り合いのある余生を貰ったのは自分
の方かも知れないと思い始めていた。


[2002/12/23]

小説(転載) ただいま

近親相姦小説
06 /23 2018
掲載サイトは消滅。いつも同じような感想になってしまうが・・・、テンポのよい作品でその才能が羨ましい。
タイトル : ただいま

 東京 板橋――
 その中心を走る国道沿いの程よい場所に八階建てのとあるマンションがある。玲子
という女性がオーナーのそのマンションは、作りは瀟洒で、セキュリティ関係も駐車
場も万全、しかもオーナーの出す条件さえ満たせば更に割引と言う実にお勧めな物件
であった。実際、お得さにおいては区内で五指に入り、近在の不動産屋の間では“本
音で言ってのベスト1”に入っているほどだ。
 ただ、これを読んでいるあなたがここに入居できるかどうかは別問題である。実
際、そこの住人達は――ちょっと世間の常識とは変っている人達ばかりなのだか
ら……

―― “変わっている人達しか住めない”のではなく、住んでしまうと変わった人に
なるという説のあることも、一応、付記しておくことにする。


 六○一号室――

「ただいま」
 慎一はいつもの小さな声で自分の家へ帰ってきた。いかにも力ないその様子は、や
たら可愛い顔立ちと背は年齢並にしても細くて白すぎる体つきには、嫌になるほど
合ってはいる。これが“女の子”だったら将来が実に楽しみな逸材であったろう。
 ――しかし、その名の通り、慎一君は男なのであって……
「あーーあ。また、やられたのか」
 ちょっと低めの声と同時に、奥から大柄な影が現れた。慎一はその声にびくっ!と
しながらも、何故かすりよりたいかのような泣き顔になる。
「まあ、いい。早くあがれ。今日からはさすがに何とかしてやろう」
 実に男らしい台詞が、その人影――ライオンのたてがみのような豊かな髪に、きっ
ちりとタンニング(日焼け)した肌、そして、筋肉のみで作られたほぼ完璧な造形美
の身体をTシャツとスパッツだけで包んだ女性がさらりと口にした。信じられないか
もしれないが、この女性は慎一の――
「……ママ……」
「あーーもう!泣くんじゃないよ。またクラスの女の子に虐められたんだろ。言わな
くたって判るよ。その顔の泪の跡を見れば!」
 二人並んだら絶対、実の母子とは思われないであろう。しかし、この二人――どう
みてもはかなげな美少女の男装にしか見えない息子“慎一”と、フィットネスクラブ
でエアロビとボディビルのインストラクターをやっている逞しい母“虎美”は本当の
母子なのであった。

 母の寝室に連れられながらも息子は、声を押さえながらしゃくり始めた。いつもの
事だが母が自分の不幸を慰めてくれると言う信頼の故である――同情されると泪がで
てくるものなのだ――男の子って。
 まあ、いつもなら、元気付けてくれるのは、リビングのソファであり、今日に限っ
て、何故、母の大きなベットに腰掛けさせられたかについては、息子は今だその違い
にすら気がついてはいなかったのだが。
「いいか。ママはいじめに対して肯定的なことは言わないが、泣いたって誰も助けて
はくれないのは確かな事実だ」
 母はそう言うが、この慎一のいじめに関してはそれなりに複雑な事情があった。
 まず、同性からのものではないことだ。これは同じマンションのお兄ちゃん達(空
手の功司君とか柔道の巧君とか)が近所のよしみで長年周辺の小学校、中学校に睨み
を効かせているおかげである。誰であれ男が慎一をいじめようものなら、きつーーい
折檻が待ち構えている事は何度も“実際に”確認されていた。だから男で慎一を虐め
るものなどこの校区には存在しない――
 しかし、お兄ちゃん達も男であるから、“男社会”には顔を利かせられてもそれ以
外はちょっと――ということはある。ぶっちゃけて言えば、慎一の周辺の“女の子”
達には支配力が及ばないのであった。
 要するに、“外見美少女そのもの”の慎一を現在、虐めているのは学校の『女の
コ』なのである――
「不細工な女ガキ共がお前を虐める理由はひとえにお前の外見にある」
 同じ美形でも母とは違い気弱げかつ儚げな――ちょうど守ってあげたくなるようで
あって――それがいけなかった。つまり、どう努力したってその域には届かない世間
一般の女ブス達の運命的な反感を一身に背負っていたのである――それが毎日の慎一
君の泣きべそとなっていたのであった。
「と言って、その外見を変えるわけにもいかない。せっかく、ママ似なんだし…
(?)
 だから、ママが慎一に女向けの攻撃法を伝授してやる。習得には厳しい修行が必要
だが、しっかりマスターするように」
「はあ…」
「まずは特訓の準備だ!」

 ――どこかの師範みたいな口調の実母に命じられるままに準備をした慎一はおずお
ずと口を開いた。
「ねえ、ママ」
「ん?」
「どうしてママはレオタードに着替えているの?」
 息子の教育のためのわざわざ着替えた母は堂々と答えた。
「ママの仕事着だからね。これが一番気合が入るの」
 ベットに腰掛けた虎美は豹柄のレオタードを装ったみごとに鍛えぬかれた身体をし
ならせる。贅肉や無駄や油断はかけらもない、しなやかな筋肉が流れるように、そし
て美しくその女体を形作っていた。息子の慎一の脳裏に、『美しい“牝獣”』――と
いう単語が思わず浮かぶ。
「じゃ、じゃあ……どうして、僕は裸なの?」
 胸の無い少女のようなか細い――白い裸身のままでベットの脇に立たされた慎一
は、恥かしさに消え入るような声で――しかし、真剣に問うた。いくら実の母子とは
言え、この年になっての全裸は恥ずかしい。いったいどういう理由で、母の寝室で息
子が裸にならなければならないのか――
「もちろん、今から行う特訓のためだ」
 母は揺るぎ無い自信を込めてきっぱりと言いきった。
「そ、そうなの?」
「そう!」
 母にそこまで言われてはそれ以上の反抗は絶対に出来ない息子である。
「いいか。慎一」
 母はそんなか弱い息子の薄い両肩に力強い両手をかけた。
「相手はブスでもカスでも、一応、“女の子”だ。だから、普通の暴力はできない。
お前が男の子である以上、どんな理由があろうとこっちが悪者になるからな」
「うん…」
「しかし、世の中には“暴力”にはならない“攻撃”というものもあるんだ。これな
らば相手は――特に女には有効だ。反撃するどころか絶対にお前の言う事を聞く――
いや聞かざるをえないようになる」
「……うん……」
「幸い、お前はママに似て美少年だ。今から教える技さえ習得すれば女相手には無敵
となろう」
ほんとかな――と言う顔を慎一はしたが母は意にも介さなかった。
「ではいくぞ」
「え?」
「まずは基礎からだ」
「え?え?」
「基本その一!口技!」
 ぐん!と風を切って母の鋭い、しかし、かなり美人な小麦色の顔が息子の視界に急
接近した――と思う間もなく、母の両手が息子の頭を後ろからがっしりとつかむ。そ
して、驚くその唇へふわりと生暖かい――そして柔らかくていい匂いのするものが触
れた。
(う…)
 それが母の唇だ――と理解したと同時に、その真っ赤な唇の間から刃のように舌が
刺しこまれ、あっという間に慎一の口の中に侵入する。
(ううっ?!)
 母の唇が息子の口を封鎖するように密着するなか、その舌は思うが侭に息子の口内
を蹂躙、かつ、ねぶりつくした。産まれて初めての箇所への初めて味わう感触に慎一
は動転するが―――ボディビルダーの母の腕力にしっかりと抱えられた頭は全力でも
動かせなかった
 しかも、その無駄な抵抗に煽られるように母の舌の動きはさらに加速する。母の唾
液に口中を染められる感触に、爆発的なほどのびりびりした痺れが口から脳髄に走
る。
「――――以上が、一般的な攻撃だ」
 どれほどの時間が経過したかわからないくらいに、とろんと酔った慎一にようやく
母の声が聞こえた。――と言うことはキスは終わっているのであろう。
「唇を接触させただけでは、ほんの挨拶でしかない。本気で好きな相手ならそれでも
感動だけど、普通の相手なら是が非でも舌を刺しこまなければ始まらないのだ。その
際の基本は、今、やってみせたように“吸う”、“弄る”、“舐めほじる”、“甘噛
み”――」
 実に冷静な母の指導であったが、息子は半分も聞いていない。上気した顔のまま、
母の手にすがるように身体を支えている。腰すらもがくがくとふるわせて――無理も
ない。初めてキスを―それもの飛びきり濃厚なやつを――しかも、世界で一番好きな
実母にしてもらったのだから。
 いや、キスそのものの意味は判っていなかったかもしれないが、母の舌技はそれで
も――それこそ腰まで痺れるくらいに強烈であった。
「どうした?何をぼけっとしている?」
「あ、は、はい…」
「実戦的に技の説明と実技の練習を混ぜるからな。ちゃんと憶えておけよ」
 息子の動揺には一切構わない母である。
「じゃ、次は胸だ」
「え?う?あ?」
「まずは、脱がすところから。さあ!」
 さあ!――と言ったって慎一にはわけがわかるはずもない。実母は自分のレオター
ドを脱がせて、その戦闘的な乳房を剥き出しにせよ!と命じているのであるが――さ
すがにそれが、男女にとっての非常事態であることは、“うぶで世間知らずでたった
今まではキス以上はしたことがない”慎一にも判る。
 まして、今ここにいる二人はただの男女ではない――実の母子ではないか!
「あ――っ!もう!のろのろしない!ママに言われた事はすぐやるっ!一日百回は
言っているでしょう!」
 良識外の命令に硬直した息子は、次の母のやや怒り気味の叱責に――寸前までの躊
躇や常識を急いで捨てて――ゼンマイを巻いた玩具のように動いた――見事なまでの
条件反射である。
(わあ…!)
 慌てていた分、情緒のない息子の手の動きに母のセパレ―ツになっているレオター
ドの上部が外され、その下から狂暴かつ巨大な握り拳みたいな――固くきっちりとし
た――そして、そこすらも黒くカリビアンに日焼けした乳房が剥き出しになった。
(ママのって…綺麗――)
 思わず、慎一がそう思ったのは、多分にえこひいきの故もあったであろうが、公平
に言って誇張ではない。一般にいう“巨乳”のような“柔らかな豊さ”ではなく、む
しろ“歯応えのある瑞々しさ”の乳房と乳首が威嚇せんばかりに母のしまった胸で自
己主張している。
「も―――う!脱がせかたがなっていないぞ!確かに乱暴を喜ぶマゾもいるけど、そ
うでないものも一杯いる!あくまで基本は『情緒を持って丁寧に』、あるいは“優し
くゆっくり確実に”だ!
 ちなみにママはマゾじゃない!」
 ぽや~~としている息子に母の叱責が飛ぶ。母の“固そうな”双つの胸の塊に見と
れていた息子も、慌ててばたばたした――が、だからと言ってここから先を理解して
いるはずもないのだが。
 結局、動転するだけの息子に母は痺れを切らして叫んだ。
「女の胸を剥き出したら、次は口と指で奉仕する!
 あ―――っ!もうっ!部屋中探しても隠した本やビデオがないんでまさかとは思っ
ていたけど、こんな“常識”も知らないのか!?ママは家庭内教育を誤った!」
 母は絶叫しているが、何を怒られているかも判らない慎一である。いったい、何が
“常識”で、どう“家庭内教育を誤った”なのであろうか?
「ぐずぐずしない!このまんまじゃ、ママだって恥ずかしいでしょ!」
 取りあえず慎一は怒鳴られるがままに実母の胸にむしゃぶりついた。慌てていた
分、雑な動きだったが、その歯と舌を母の乳房の張り詰めた弾力が見事に受けとめ
る。まるで熱く良い香りの“肉塊”にむしゃぶりついたかのようであった。

「そう、そ…そこ…ゆっくりと――」
 数分後、慎一の手と口は、母の指示通りに母の胸の上で動いていった。固い乳房が
握られ舐められ、固くなった乳首がつまれて舌で転がされる。
 とにかく夢中で真剣に慎一は動いた。さっきまで強気だった母の声が急に間延びし
てきたことや、或いはその母の――表情のみならず――全身の太陽色の肌にあわやか
な桃色が混ざりつつあることに息子は気がつく余裕はない。ただ一心不乱に舌と指を
蠢めかせたのだ
「……なかなかだな。筋が良いぞ。慎一」
 ――どれくらい時間がたったか判らなくなったほど熱中している息子に母は――上
気した声で――優しく囁いた。
「――これなら、うちのジムの生徒の中でもトップの…麻美や由紀子なみだ…」
 とにかく夢中で実母の胸を咥え舐めしゃぶっている慎一にはよく意味が判らない
が、誉められている事は確かなようだ。そして、母が“悦んで”いるらしいことも…
「しかし、これが邪魔だな」
 言いざま、母は自分の胸にむしゃぶりついている息子の股間に手を伸ばし――握っ
た。
「!」
 慎一が悲鳴を上げる。突然、母に股間の肉棒を握られたんだから無理はない。しか
もそこはさっきから本人もちょっと困るほど硬直して――
「なーーんだ。これは。さっきからぴたぴたと身体にあたってうっとしい。特訓中に
何をしてんだ」
「…!!!」
 常識的に考えてみれば、生まれて初めて――実母とは言え――女とキスをし、その
胸を愛撫しているんだから、慎一の“男の子”の部分が臨戦体制に入るのも無理はな
い。が、まあ、性知識にとぼしい慎一にも、さすがに実母の身体に勃起し、しかもそ
れを握られていることが“やばい”ことくらいは判る。
 慎一は無理な姿勢のまま――握られたままですから(笑)――第三者が見たら笑え
るくらいにあせり顔色を変え――そして何をして良いかもわからずにいた。
「しかたないな」
 大好きな母はそんな息子を頼もしくも助けてやるようであった。ちなみに声に落ち
着きが戻っているのは、その胸への愛撫が息子のパニックにより中止していることと
無縁ではない。
「確か、男は“ここ”を小さくしなきゃ落ち着けないんだった。いいよ。ママが小さ
くしてやる。ここに立って!」
 母の命ずるままに息子は身体を起こし、ベットの上に立つ。そうするとその前にひ
ざまづいた母の目の前に、股間がいき――さっきから痛いほど勃起していた肉棒が本
当に天をつかんばかりにいきり立っているのが母の鼻先につきつけたような形になっ
た。
「ふーーん。結構、大きいいじゃん」
 母はしみじみと呟いた。何故かはわからねども、それだけ息子は恥かしさで真っ赤
になる。だから、その母の声がわずかに上気したことまでは気がつかない。
「なかなかに固くて熱かったけど、大きさもこれとは――慎一。よかったな。お前の
ここはすごく男らしいぞ」
「……」
 真面目に母は誉めているんだが、“息子”としてはなんと応えて良いかわかるはず
もない。
「でも、この大きさだと…入るかな?」
 呆然と混乱の混合状態にある息子に比べて、ある意味で冷静な母はそう呟きなが
ら、顔を息子の肉棒に寄せた。そして――
 “ぱくっ”
「わ?!」
 妙な音と感触に急いで下を見た慎一が見たのは――
「マ、ママ!何を…僕のおちんちんを…」
 咥え――いや口一杯に頬張るなんて!
「……」
 動転する息子には構わず、母はしっかりと口と舌と手を使っていた。言ったよう
に、息子の肉棒は“結構な”大きさだったが、何とか“母”の口に入れたらしい。喉
にあたるほど飲みこんでも、全部は入りはしないのだが、ま、これでも十分ではあ
る。
「ま、ママ…」
 肉棒への母の口の愛撫はすぐにも息子を虜にした。熱いぬめりと柔らかな口腔の圧
迫にまるで別の生き物のように蠢く舌の感触に、息子の“まだ”大きく固いだけの肉
棒は過剰なまでに反応し、ほとんど“あっ”と言う間に爆発したのである。
「あ、な、何か、出ちゃう…」
「○△□!(駄目っ!)」
 初めての快感に腰から脳髄まで痺れさせながらも――慌てて腰を引こうとする慎一
の腰に母の力強い両腕が抱きつく。もとより力で母に抵抗できるはずもない。その姿
勢のまま、慎一は爆発して発射された何か――男の子のミルクを母の口腔に全て叩き
つけた。

「――美味しかった。量も勢いもすごいし」
 全てが終わってからようやく母は口を息子の肉棒から離し、恥かしさと快感の余韻
にぼうっとしている息子を見上げた。喋った拍子にその口の端に白いミルクがこぼれ
る。母はそれを舌でなぞって飲みこんだ。
「慎一。おまえ、女相手の戦いは才能があるぞ。アメリカの映画でもこんなすごいの
は見たことがない。ママとしても他の男なんぞは触りたくもないけど、こんな未完の
大器なら腕によりをかけて本物にしてやる」
 満足げにうなずく母であったが、うぶな息子は三分の一も理解できていない。
「さ、これで小さくなっただろう。特訓を続けるぞ!」
 次に母が命じたのは、男からの口淫であった。
「ちょうど女の攻撃は見せたけど、原理はちょっと違う。舌中心の責めになるんだ」
 慎一は言われるがままにベットに横たわり、その顔の上に母が覆い被さる。豹柄の
レオタードはすでに脱がされ、息子の目の前に濃い陰毛の叢とピンクに近い女の肉襞
が剥き出しになる。どちらもすでに湿っていたが、その意味まではまだ息子には判ら
ない。
「まず、その豆みたいなのをちょこっと舌で触り――それから、襞のあるあたりをな
ぞる――たまにその中に入れて…」
 母の命じるままに一生懸命舌を動かす慎一であった。今度はこっちの攻撃だからす
ぐには終わるわけもない。集中しているから時間もわからないが、それでもやがて、
母の声がさきほど以上に昂揚していく。さらに次には目の前の母の秘所が湿り気をま
し――ついには蜜のような熱い液体が母の肉襞の中から息子の顔をびしょびしょにす
るくらいにあふれ出てきたのである。そして――
「あ…あ――っ!」
 突然、息子の顔の上の母の裸身が電気にでもうたれたかのように硬直し――次には
崩れ落ちた。息子には判らなかったが、母は“絶頂った”のである。ほんのわずかな
間とは言え、腰が立たなくなり、そのまま母の秘所は息子の口に押しつけられた形に
なった。慎一の顔面は熱さとぬめりと濃厚な甘い香りに一杯になる。その濃すぎるほ
どの圧迫に息子は何故か満足感と悦びを覚えたのであった。
 しばらくしてから、ようやく元に戻った母は腰を上げ、ベットに仰向けのままの息
子に覆い被さっってキスをした――さっきの愛撫ではない本当のキスを。
「すごいぞ。慎一。ママを舌だけでいかせるなんて」
「そ、そう?」
 喉を鳴らす牝虎のようにうっとりとした母の台詞を、息子は今一つ理解していな
かったが、まあ母の上機嫌が嬉しくないはずもない。はにかみながらも慎一は微笑み
返した。
「絶対にお前は才能がある。ママの女生徒の中にもこんなに舌使いの上手いのは何人
もいない。男に舐めさせたのは初めてだから、興奮したのかもしれないけどそれを差
し引いても立派なものだ」
「はあ」
 思わず慎一は“へへ――”と笑ってしまう。のんきなものだ。
「しか――し」
 恥かしくも幸せな息子の笑顔が引きつった。またしても母の手が伸びて――
「まーーた、大きくしている!これだけははしたない!ママはおまえの実の母親だぞ
!冷静にならんか!」
 あんまりな言いざまであった。いくら、息子が、また股間の肉棒をかちんかちんに
しているとは言え――ベットの上で全裸の健康な美少年に全裸の野性的な美女が寄り
添っているのである。反応するなというほうが無理であろう。まあ、実母相手と言う
のは問題なのかもしれないが…それを言うのなら!
「ご、ごめん…」
 母にまた硬直をむんずと掴まれた息子は消え入りそうな声を出すが、それには反し
てその股間の“男の子”はいっこうに静まってはくれなかった。むしろ母に握られて
いることによって硬度と角度を増してすらいたのだ。
「仕方がないな」
 母はわざとらしくため息をついた。
「ちなみに性教育として教えるが、この男のおちんちんをこのように固くしたのを、
女の“ここ”――さっきお前が舐めたとこに入れるのがSEXだ。男はそこでああこう
するとさっきママの口でしたように“射精”して良い気持ちになる。判ったな?」
 淡々とした声の正確な教育ではあるが、その“おちんちん”を母に握られたまま言
われているのだから、息子としては声も出ない。
「ただし、SEXは誰ともして良いと言うわけじゃない。
 今まで教えたように女への攻撃に使うのならともかく、通常は一番好きな女相手
じゃないとしてはいけないんだ」
「……」
「だから、練習の時はママが口とか手で小さくしてやっても良いが、普通は慎一の好
きな女の子以外にこう大きくしてはいけないんだ。判ったな?」
「はあ…」
「よし。それで良い。いつでもどこでも誰とでもと言うのはさかりのついた獣だ。慎
一はちゃんと節度を持ってここを使うんだぞ。で――」
 次の質問はさりげなかったが、その実、精一杯さりげなさを装ったものであった。
「慎一はどの女の子が一番好きなんだ?」

 母の演技まで読み取れるほどの慎一ではない。だから即答できなかったのは、質問
内容自体に緊張したせいである。
「……」
 実は――ずっと以前から――答えは決まっていた。しかし、答えるかどうかは別問
題である。慎一の口もさすがにすぐには動かない。ベットの上で全裸同士で息子に寄
り添っている母も口を止めた。
 その状態のまま時間だけがたつ。やがて息子の肉棒を握ったままの母の手にやや力
が入った。意識したわけではない。焦燥の故かもしれない。そして、それが息子の背
を押したのである。
「ママ――なんだ。僕が一番好きなのは」
 やや沈黙があった。この“告白”に恥かしい慎一は目を背ける。よって、母の頬の
熱さが見える小麦色の表情に妖しい笑みが浮かんだのは見えなかった。
「ほう――」
 母はいつもの口調で次の台詞を続けた。
「慎一はママが一番好きというんだな」
 童貞――今の慎一のレベルでは、母の声がかなり努力して感情を押さえているもの
とは判らない。
「…うん」
 慎一はこくりとうなずく。頬が真っ赤に染まり、肩がわずかに震えているのは、け
な気と表現すべきであろうか。
「つまり、このママと――実の母とSEXがしたいと?」
 露骨で背徳的な台詞である。人によっては糾弾に聞こえたであろう。しかし、今の
この二人にとっては“厳粛な”事実なのであった――
 二人だけのこのベットの上ではそれが望みうる最上のであることを息子はこの時、
確信していたのである。
「うん…僕は――ママと…せ、SEXがしたい…」
 止めていた息が漏れる音が二人の間に響いた。母のものである。目を背けたままの
息子には判らなかったが、大胆なまでの息子の告白に母は眼の縁が赤くなるまでに興
奮していた。
「――まあ、そう言うことなら――慎一がそこまで頼むんなら、この“おちんちん”
を使わせてやっても良いが――」
 言いながらも母は力をこめて息子の頭を自分のはりつめた乳房に押しつける。台詞
は偉そうだが、声は熱いまでに上ずっていた。
「でも、ママはそこらへんのジャリ娘とは違うぞ。たとえ、一度でもママとそういう
事をする以上、慎一にもそれなりのものを約束してもらわなければならぬ」
「 ………」
 強気の発言に息子はようやくおびえた風に視線を上げる。その先で上気した母の悪
そうな笑顔がゆっくりと囁いた。
「まず、今後、ママ以外の女に“おちんちん”をこういう風には絶対に使ってはいけ
ない――いや、こんなに硬くすることも許されない――判ったか?」
「うん…」
 母の熱い迫力に押されるようにして慎一はうなずいたが、どう見てもよく判っては
いない顔つきだ。
「それから、ママに“おちんちん”を使う以上、責任は取る!ママだってこれで――
この瞬間からこの身体に火がつくのだから、その火を一生、ちゃんと面倒みなければ
ならない。それこそ、いつでもどこでも何度でも!判った?!」
「…うん」
 とてつもない約束をよく判らずにうなずいてしまった息子であった。“それだけは
止めとけ”と忠告してくれる人も、危険性に気がつく知識もここには存在しない。慎
一は恐らく人生の大部分を今、ここで決定したのである――その事に気がつくには、
この日からさらに数年の歳月が必要なのであるが……
「そう――なら、いい」 
 母の美貌に野性的な微笑みが浮かぶ。満足した雌豹のように舌がその真っ赤な唇を
なぞった。
「―――おいで。慎一。ママの中へ…いらっしゃい」

 母は乱暴に――恥ずかしさを隠すために――仰向けになり、息子はおずおずとその
上に覆いかぶさる。ほぼ筋肉の母の裸身はどこも熱く、慎一に触れた全ての部分が火
傷しそうであった。
「もう十分濡れているけど…ゆっくりしろよ。ママがこう言うことするのは慎一を妊
娠して以来なんだからな…」
 意外に緊張している母であったが、息子はそれ以上にがちがちである。腹につきそ
うなまでに硬直した肉棒を何とか母の股間にあてがったが、そこから先が上手くいか
ない。
「そ、そこ…濡れているとこ…よし。さきっぽがあたった…そこからゆっくり――
あ…やっぱり…お、大っきい…」
 裂けるほどに刺しこまれる感じとつぶれるほどに締めつけられる感じに母子はしば
し無言になった。二人だけの寝室で、ただ、二人の腰だけがゆっくりと動き、熱い
息、汗と愛液の粘つく音が二つの全身に聞こえる。
 やがて――
「はいった…な――」
 確認するような母の声に息子はこくりとうなずいた。かちんかちんの肉棒は母の肉
襞の中へほとんど――ようやく――埋没している。そこでの締めつけと飲みこもうと
するかのようなぬめる感触に、肉棒はまたすぐに爆発してしまいそうに高熱化してい
た。
「あ、う、動かないで…ママ、もうこれだけで…いっちゃいそう…なの…」
 母も同じであった。こちらは大きいとかだけではない。愛する息子がこんな形で
帰って来たと言う事実によってである。
(男はもうこりごりだと思って女の子ばかりだったのに…こんなに逞しくなって…)
 母はもう一度息子を抱きしめた。
「慎一。約束は守れよ」
「え…」
「ママだけを愛すると言う約束だ。他の女には絶対に触らないこと!」
「う、うん」
「そのかわり、ママも今まで通りに他の男には絶対に触らないし――いつでも慎一と
SEXしてあげるから」
「うん!」
 急に元気良く息子が応え――母が悲鳴を上げた。元気ついでに息子の肉棒に力が
入ったのである。
「一生、ママだけにするよ。ママは僕にとって最高――いやこの世で唯一の好きな女
の子なんだ!」
 感動的な宣誓であったが、強気で勝気だったはずの母は声も出ない。喋るたびの振
動で息子の肉棒が秘壺内で微妙に動き、その痺れる感覚が背骨から突き上げていたの
だ。
(こ、このまま腰を使われたら、あたし、死んじゃうかもしれない…)
 母の心配は半分あたった。やがてひ弱な息子が男としての本能で腰を振り出すと、
たったそれだけで鍛え上げたはずの母の裸身は翻弄されたのである。
「あ――い、いいっ!慎一――つ、強いわ――!」
 童貞なのだが、さっき搾り取るほど出したのがきいたのかもしれない。母を半狂乱
にするほどまでに息子の下半身は荒れ狂った。偉そうな事を言っても同性愛専門だっ
た母にこの攻撃への耐性はない。ただただわななくのみである。
「も、もう駄目ぇぇぇ…お願い、せめて――い、一緒に――」
 それほど待つまでもなく母の願いはかなえられる――母子は同時に爆発したので
あった。

「ママ…」
「慎一…」
 そのままの姿勢でしばらくしてからようやく二つの裸身が動く。爆発の余韻の中で
愛し合う母子はしっかりと抱きしめあった。母は一人息子の最初の――おそらくは唯
一の――女となり、ひ弱な息子は逞しい母を真の意味で初めて“女の子”にしたので
ある。その事実の確認のための今の沈黙の時間ですら――
 事実にどちらがより感動したかは二人には判らない。その内容ないし主張を言葉に
するには互いにまだまだ時間が必要で…が――
「あ、また大きく…」
 熱中のあまり、入れたままだった母がうかつであった。息子はそのままで元気を取
り戻し、母と言う名の女を愛する“男”として―
「も、もうなの?なんて逞しい…い、いい!でも…もっとゆっくり…ああっ!慎
一ぃ…」



 六○二号室―― 

「ただいま」
 亮一はかなり陰気な声で自分のマンションのドアを開ける。その姿も声も――い
や、存在そのものが疲れきっていた
 無理も無い。金曜の夜である。月曜からの五日分の疲労が、下がった肩と辛気な顔
色に如実に出ていた――社会人と言うのは子供達が思う以上に大変なものなのだ。
「お帰り!」
 そこへ――何の配慮も同情もなく――反射的と言って良いほどの元気なダッシュで
人影が亮一の視界に飛びこんできた。絶対に待ち構えていたに違いない。驚く事にそ
の人影は、今時貴重なセーラー服を着てすらいたのだ――亮一はそれを確認した瞬
間、五日分の疲労のさらに三割増に重く脱力した。
「お兄ちゃん!どしたの膝なんてついて?何かあったの?」
「あるのはお前だ!」
 玄関に片膝つきながらも亮一は絶叫した。本人としては必死なほどに真面目であ
り、ほとんど“魂の叫び”である。そうだろう。無理も無い。何せ、女子大生の妹が
中学時代の制服を着てきたのだから…
「いい加減にしろ!なんだ、その格好は!」
「せーらあ服よ。あたしの中学の頃の」
「だから!何で、今更、その格好を!?」
「だって、好きなんでしょ!?お兄ちゃんは、こんな“制服”が!」
 実の――たった一人の妹の夏子の反撃に、亮一はぐっ!とつまった。顔色まで変わ
る。
「……」
 かなりのダメージのようだ。何か思い当たる――やましい――ふしがあるらしい。
その引きつった表情はそうとしか見えなかった。
「さ、リビングに来るの!今日の保健チェッ~ク~~」
 明らかに心理的なものによるショックで有効な反撃の出来ない兄を夏子はリビング
へ誘った――いや無理矢理連行した。
「はいっ!脱いで!チェックするから!」
 リビングで夏子はそのまま兄のベルトに手をかけ、強引にスラックスを脱がせてし
まった。抵抗する間もない。さらにパンツも一気に引き下ろす――実の妹の前で下半
身を剥き出しにされる兄の意思など聞こうともしない。
「こ、こらっ!」
 さすがに抵抗しようとした亮一だが、妹はさらに大胆であった。むんずと兄の剥き
出しになった肉棒を掴み――しかも強引にしごき出したのである。
「いい加減にしろっ!夏子!」
「うるさいわね!お兄ちゃんがまた“いかがわしい”とこに行って、“許されないこ
と”をしていないか確かめるのよ!文句あんの!」
「……」

 ここで絶句せざるを得ない、たわけた兄に代わって、事情を説明しよう。
 まず、この二人はとても“仲の良い”兄妹である。数年前に両親を亡くし、今はそ
の保険金で購入したこのマンション六○二号室に兄妹だけで仲むつまじく暮らしてい
た。
 ――で、今の騒動の原因となったのは、兄の亮一が職場の飲み会において――ま
あ、酔った勢いと同僚との付き合いとかなんとかで、制服ヘルスにいったことによる
ものであった。
 その事自体は一般成人健康男性としては不思議でも何でもないであろう。男のコの
生理と言うのは定期的に放出を求めるものだし、またそういう男のコの為にそういう
店は存在を許されているのだ。まして、亮一は独身で彼女もいないのだから、誰が、
どういう理由で責める――いや責められるというのだ。
 同僚達がそう思ったのは間違いない。実際、彼等としてはこの件は、入社以来女っ
けが全く感じられない亮一への気配りと友情の証だったのだから。
――しかし、彼等は知らなかった。実は亮一には、美人で可愛い――そしてたいそう
仲の良い実の妹――『夏子』――という存在がいたことを……

「う―――んん。何か元気ないなあ。やっぱり、今日も“また”一発やっているのか
な?」
 夏子が笑顔で呟いた。しかし、目は笑っていない。声もかなり怖い。手は兄の大事
な肉棒をしっかりと握っている。きっと、そのまま握りつぶすことも可能であろう
――
 亮一は色の変わった声で叫んだ。
「違う!何もしていない!反応しないのはおまえのその――即物的なせいだ!」
「即物的?」
「そう!そんな無理矢理脱がせて、乱暴に握り締めただけでいくわけないいだろう!
乳牛だって嫌がるぞ、そんなもん!男はもっと繊細なんだ!」
「やっぱり、お金払って自分から服を脱いで、どこの誰のどんな使い古しかわからな
い初対面のお姉さんに優しくされないと駄目なわけ?」
 兄の魂の叫びに対して夏子はにこやかに聞き返し――その一瞬で亮一はしぼんだ。
やましいことがある――いやあった男というものはそういうものである。さらにそう
責めながらも犬歯を牙のように見せて笑顔を作る妹を見ると、一生このネタで虐めら
れるのではないかと言う絶望的な気すらしてくるのであった。(見事な未来予測であ
る)
「心配しなくもいいよ。お兄ちゃん。そんなこともあろうかと思ってこういう準備を
してきたんだから」
 一生このままであろうと確信できる自己の優位を確信しきった怖い微笑を浮かべる
夏子は右手はそのままにして身体の位置を変え、ソファに腰掛けさせられている亮一
の剥き出しの膝に座る。そしてセーラー服の前をはだけ、下着をつけていない胸を包
みこむようにして兄の顔に押しつけた。
「ほーーら。セーラー服の生おっぱいだぞ。好きでしょ?好きなんでしょ?お兄ちゃ
ん」
 中学生用セーラー服のサイズにはすでにおさまりきれない妹の成長した両乳房が剥
き出しになり、“ぼわん!”と兄の顔を打つ。その熱さと柔らかさと、顔がうずまる
ような肉感が窒息しそうなくらいに亮一に迫った。
「…くっ!」
 亮一の奥歯が深刻な音を立てる。何と言う即物性であろうか。自分の見事な裸身を
出しさえすれば――自慢のDカップの乳房を押し付けさえすれば、兄がどんな状況で
あろうとすぐにも――簡単にも!――恥かしい反応をすると決め付けているのだ。夏
子は――この妹は!
「あ……ほーーら。やっぱり。今、くいっ!と来たわね。お兄ちゃん」
 ………悲しい男の性であった。結局――或いはいつものことながら――亮一の兄と
してのプライドは関係なかった。セーラー服から突き出された妹の生乳に顔を埋もれ
させられただけで、その妹の手に握られた兄の肉棒が大きく反応してしまったのであ
る――事実がこれほど悔しかったことは亮一の人生でも…まあ、ほぼ毎日のように
あったのだが。
「ほんと。制服が好きなのね。この、へ・ん・た・い・お兄ちゃん!」
 勝利感に更なる優越感を足し、加えて兄の全てを支配していることへの無限の自信
をかけ合わせた夏子が囁く。どんな言い訳も弁明も、今の現実の前には無意味と悟っ
た亮一は顔をそむけるしかできない。妹はそれにはこだわらず、その小悪魔の笑みの
まま、兄の勃起した肉棒をゆっくりとしごきにかかった。
「おい…ちょっと」
「言い訳は出たのを見てから聞くわ」
 丁寧な手の動きに反して夏子の口調はそっけない。身体を入れ替え、真剣な顔を兄
の恥かしい塊によせる。それはまるで今日の兄が敵か味方か判断しようとしているか
のようだ――と言うことは亮一にもわかりすぎるほどに判っている――でも、兄とし
てはどうすることもできないのだ。
 実妹のセーラー服と生乳にすでに男として“反応”してしまっている兄としては…
 そして――
「え?わ、わ、わー―きゃん!」
 その両手一杯に感じた実兄の躍動と爆発の衝撃に夏子が歓声を上げる。続けて“び
しゃっ!”と鳴ったのは、“兄の男のミルク”が近ずきすぎた“妹の顔”に直撃した
音だ――思わずにんまりと笑う妹の笑顔を、亮一は鋭く痺れる感覚の中で確かに見
た。

 恥かしいけれどもそれなりの“余韻”にひたる亮一の前で、夏子は自分の顔に飛び
散った白いミルクを丹念に指でなぞり――舐めとった。それもこれ以上ない真剣な表
情で。
「うう――ん。濃さはこれくらいかなあ。朝、我慢したわりには今ひとつの気もする
んだけど。外で一回だした可能性が…ないとは――」
「昨晩、お前が自らたっぷり絞っただろうが!」
 恐怖の宣託に一瞬で覚醒した亮一が真剣に叫んだ。
「何回したってんだ!平日は仕事があるからセーブするって約束したくせに!」
 身の潔白を本気で主張する兄であった。よほど“有罪”が怖いのであろう。まあ、
殴る蹴る程度では終わらないのが、ごく最近実証されているのだから、無理はない。
「じゃ、良いわよ。特別に許してあげる」
 意外にも夏子は明るく宣言し、亮一はやっとほっとする。何よりも目の色を変えて
いる兄に満足している妹の“笑顔”であることは兄には判っているのだが、怒るわけ
にもいかない。過去の過ちのせいだけではない。この“妹”に許してもらうことが、
この“兄”にはそれだけの意味があるのだから……
 ところが――――
「おい」
「え?なに?」
「ちょっと待て。何をしている?!その手は?!」
 亮一は、兄の肉棒を――疑いは晴れたと言うのに――掴んで離さず、それどころか
上下にしごいている妹に怖い顔を向けた。
「もう、疑いははれたのだろう!」
「ん…ま、そうなんだけど…」
「“ん”じゃない!何が“ま”だ!認めるんなら、すぐさまその手を――」
 妹を身体ごと押しのけようとした亮一であったが、柔らかく、かつ強固な抵抗があ
り、そうはいかない。そして―――
「なんか、お兄ちゃんの“いった”時の幸せそうな顔とか、この両手の中で跳ねま
わってミルクを噴いている“お兄ちゃんのあそこ”とかがあってさ……ちょっと興奮
しちゃったの」
 実妹の――猫が媚びるような最高度の甘い囁きであった。情けない話だが、たった
それだけなのに、実兄の節操のない身体は反応したのである。
「あ…お兄ちゃんもその気なのね…」
「ち、ちが…」
 という理性の声も虚しい。実際に、妹に握られたままの兄の本音は、すでに“男の
反応”をしつつあった。
「ほらほらほらほら――いいじゃない。けちけちしないでよ」
「…お前は、今週の労働で疲れた社会人の金曜日の夜の状況をどう理解しているんだ
?」
 精一杯怖い声であったが、真意は伝わらなかったようであった。妹は右手でパン
ティを脱ぎ、左手で兄のすでにかなり起き上がってしまっている肉棒を掴んでいる。
そしてそれに唇をよせ軽くキスをした。“ぞくっ!”と強い電流が兄の背筋に走る。
(ここで流されてしまっては!)
 辛うじて気力だけで兄は――兄の上でうごめく熱い妹の肉感とそれに対する自分の
身体の無節操な反応に――堪えようとする。
 が、次の妹の可愛い囁きがその全てにとどめを刺したのであった。
「―――ねえ…いやなの?あたし、もう濡れちゃっているの。今ならすぐ出来るし
――
 お願い、お兄ちゃん…
“して…”」

「きゃん!」
 理性をかなぐり捨てて――妹の可愛い一言“して…”だけで――獣となった亮一は
跳ねあがり、逆に妹の身体を組み敷いた。ピンク色の悲鳴が夏子の唇から嬉しそうに
漏れる。
「いやん…乱暴にしちゃ―――でも、これも好き…」
 確信犯的に騒ぐ妹には構わず、亮一はさっき出したばかりとは信じられないくらい
に一瞬で硬直した肉棒を、妹のスカートの下で剥き出しになっている秘肉にあてる。
宣言どおり、愛液でびしょびしょだ。これなら、すぐに出来る――そして兄が腰を突
き出すのと妹が下から抱きしめるのとが同時になり、次の瞬間、ぬめる音を上げて兄
は妹を突き刺し――“同じ”ぬめる感触のもとに妹は兄を飲みこんだ。
「あ、あ、あ、あ……」
 妹が甘く叫び、それに合わせるように兄の腰が乱暴に動く。“ぐちゃぐちゃ”とい
う粘液質の音がかなり大きく響き、兄妹の激情を更に加速した――
 この兄妹にはいつもの流れである。兄が無言で責め――妹がむせび泣く。そしてそ
れは二人の快感が高まり、爆発するまで続いていく…
「お、お兄ちゃん…あ、あ、熱いのぉ…もっと…乱暴にしてぇぇぇ…」
 下半身だけ裸の兄がセーラー服の妹をひたすら責めて、あえがせている。妹は強引
に犯されながらも――決して離さないと言わんばかりに必死でその兄にしがみつくの
だ。
「もっと…もっとぉ…お兄ちゃんの好きにして…夏子はその為にいるんだもの――」
 ある意味さっきまでの力関係が嘘のような光景である。しかし、この兄妹にとって
は…
「いいのよぉ…好きにして…乱暴なのがお兄ちゃん好きなんだから…夏子もそれが好
きなの…お兄ちゃんが好きなのは―――みんな……
 だって…『お兄ちゃんはあたしのもの。あたしはお兄ちゃんのもの』なんだも
の…」
 わななくように夢中で囁く妹の声が聞こえたのか、やがて責め続けた兄にも限界が
きた。一度出した分だけ、堪えていたのだが、今度は我慢できなかった。腰の辺りか
らの“ぐっ!”と言う感触に気力が切れ、発射の感触とそれに伴う快感が下半身に走
り――同時にまるで“欲しいものを手に入れた”かのような不思議な満足感が胸を一
杯にする。
「ひ…い、いっちゃうぅぅ…お、に、にいちゃん…感じるのぉぉ…お…にいちゃんの
熱い…」
 更に痙攣さながらに悶える妹が悲鳴を上げつつ痛いばかりに兄にしがみつく事実
に、男としての――まごう事無き“実の妹へ”の愛情と独占欲に、文字通り震えるほ
どの満足感で全身がひたるのだった。
「離さないからな。夏子」
 深い満足感とともに亮一は、実兄の肉棒に奥までえぐられたまま、半分失神してい
る妹に囁いた。同時に抱きしめる両手と腰の辺りに力が入ったのは、故意とも言えな
い自然な動きの故である。
「あ…」
 妹が意識を完全に取り戻すまで、兄はしっかりとその熱くなった半裸身を抱きしめ
ていた。

ほんの十数分後―――
「ふ――っ。お兄ちゃん、素敵!かっこいい――っ!ごちそうさまでした!やっぱ
り、お兄ちゃんだけが夏子の“彼氏”よね“」
 醒めてしまえば幾ばくかの後悔に悩む兄を下から抱きしめながら可愛く喉を鳴らす
夏子であったが、もちろんこれで終わりではなかった。
「で、続きはご飯のあとにしよ」
「え?」
「精のつくもんを用意しているから一杯食べてね。今夜は麦とろご飯と鰻よ!金曜だ
からもちろん焼きニンニクもあるわ!」
「ちょっと待て!続きって何だ?俺は疲れているんだから…」
「大丈夫!あとナースとバニーと浴衣は準備しているから!お兄ちゃんならあと三回
は軽いでしょ!夜明けのコーヒーまでお願いね!
 あ、安心して。チャイナ服とサンバとマーメイドとバーチャと喪服は間に合わな
かったけど、来週入荷予定で――」



 六○三号室

「ただいま」
 健一は返事を期待せずにマンションのドアを習慣的にあけ――どきりとした。
「姉さん。帰っているの?」
 玄関に見慣れたハイヒールが脱ぎ捨てられている。まだ、午後三時だと言うのに
――何かあったのであろうか。
 少なからずびくびくしながら健一はダイニングに顔を出す。誰もいない――しか
し、流しには使用後の皿が二枚置かれていた。
「やっぱり…姉さん。帰ってたんだね」
 毎朝、この家のキッチンは健一が登校前にちゃんと片付けている。よって、これは
片付けをしない――本当は家事全般をしない――人物がすでにこの部屋内に存在する
と言う事なのだ。
「姉さん…」
 リビングに“諒子”は――探していた健一の姉はいた。スーツ姿のままでソファに
ひっくり返っている。ぎろり!と弟を睨んだ目が据わり頬が赤くなっているのは、
テーブルに並んだビールの空き缶三個とこちらも空になったワインボトル一本――そ
してそれ以上にこの時間に健一が帰ってきたせいに違いなかった。
「あ、あの…」
「今まで何やってきたの?」
 押さえようともしない姉の声は、弟には遠雷のように威厳――いや、恐怖をもって
聞こえた。少なくともそれだけ容赦はなく、最悪の事態の危険性も同レベル以上なの
だ。
「今日の講義は午前の、しかも一時限だけだったわよね?健一。
 ――で、今、何時か知っている?」
「ゼ、ゼ、ゼ、ゼ、ゼミの――そ、そう、今度、同じゼミになる連中とスタバで顔合
わせしていたんだよ!ごめん!姉さんがこんなに早く帰ってくるなんて思わなかった
から…」
 弟の必死の主張は――絶対に嘘ではないにも関わらず――姉にはとどかなかった
――或いは聞いていなかった。
「ゼミ?ああ、そう」
 一瞬だけ納得したふうをしたのは、姉の弟への純粋な悪意である。
「で、その中に女はいたの?」
 一応、さりげない質問であったが、弟は即答できなかった。その意味することを心
の底から理解している故である。
「慌てているわりには静かね。それとも聞こえなかった?お姉さんは、今日、健一が
お茶した相手の中に“女の子”がいなかったかどうかを聞いているの」
「――――」
 姉が何を言っているかが“この”弟にはよーく判っている。だから何も言えない
――そしてそのこと自体が明確な返答であった。
「やっぱりね」
 諒子の宣言は健一の脊髄まで貫くばかりに悪意に満ちていた。
「姉のあたしが弟の“あんた”の為に、ほとんどの女の喜びを捨て、秘書として会社
でめっちゃ嫌なじじい共の相手に神経をやすりにかけられるような日々を送ってい
るって言うのに、その稼ぎで生きている弟のあんたはよりどりみどりのキャンパスラ
イフを堪能しているってわけね」
 どれほど悪意に満ちた声であるかについては、言われた健一が顔色を変えてわなわ
なと震えだしたことからも実証できる。とにかくこの弟にはよほど、“怖い”ことで
あったらしい。
「しかも、ついにはどうにもこうにもストレスに耐えがたく何とか午後休を取り、こ
の日この時間なら家にいるはずのあんたの顔を見て、せめてもの癒しにしようと半死
半生で帰ってきたあたしの気持ちって――判る?どっかのブス共と楽しく“お茶”し
てきた健一君に?」
 酒精に頬を染めた姉の糾弾に弟は沈黙で応える事しかできなかった。
 そして――
「ごめなさい―――姉さん。どんな罰でも受けます。僕をお仕置きしてください」
 第三者が見れば仰天したであろう。弟は――今時のいけてる学生風で、異性には事
実もてもての――彼はそのまま膝をつき、頭を床まで下げたのである。
「ふーーん」
 弟が土下座して謝っているのを紅い頬の姉は意地悪に見つめていた。ややしてか
ら、次の命令をしたのは純粋な悪意からである。
「まあ、ちゃんと罪を認めるのならお仕置きしてやってもいいけど――それには準備
が整っていないようね」
 弟の肩が一度だけ震えた。それは姉の発言への疑問のゆえではない。判りきってい
る内容への反応であった。
「はい……」
 弟は素直に答えると、姉の指示に従った――すなわち、服を全部脱いでから再度姉
の足元に土下座したのである。満足そうな姉の哄笑だけが部屋へ響いた。
「ふん。悪いことしたと判っているのなら、玄関からその格好にしなさいよ」
 勝利感に満ちてのたまう姉に弟は床につけた頭を一ミリも上げられない。
「ま、でもお姉ちゃんは優しいから、今日のお仕置きは“口のご奉仕”にまけてあげ
るわ」
 勝ち誇った姉のご許可である。“優しく”命じられた弟は一度だけびくっ!しなが
らも、やがておずおずと命令に従おうとした――が、すぐ、叱責が飛ぶ。
「何やってんのよ!“口”だけって言ったでしょ!手が触るのまでは許していないわ
!」
 空気を裂くような悲鳴に弟は再度ひれ伏した。弟は姉のスカートの中に手を入れ、
パンティを脱がそうとしていただけなのである。
「ご、ごめんなさい…」
 土下座でもってわびる弟に姉は意地悪く微笑んだ。もちろん、床に伏せている弟に
その笑みは見えない。ただ、次の命令だけは歯っきり聞こえた。
「さあ!」
 これ以上叱責されないということは、許してもらえた――ではなく、次に急いで進
まないといけないということである。健一は慌てて動いた。
「それでいいわ。丁寧にするのよ!」
(あ……)
 命令通りに顔だけを動かして犬のように姉のスカートの中へ入る。薄暗い中、むっ
!とくる熱気と同時に、見た事のあるパンティ――紐でとめるタイプが見えた。
(姉さん……意地悪言ってたけど、本当は僕の為に準備していてくれたんだ…)
 欲情した姉がさらに楽しむために着替えて待っていた――と思わないから、この弟
は奴隷状態なままなのである。
(う……)
 犬のような姿勢と口しか使えない不便さのもと、健一は姉のスカートの下の太股に
口を動かし、パンティの紐を何とか咥えた。蝶結びのそれは軽い一引きで容易に緩
む。それをあえてゆっくりとしたのは無意識からの姉へのサービスであったのだろう
か。
「も、もう一つね」
諒子の声もやや紅くなっている。実の弟にスカートの中を漁られ、パンティの紐を
口で解かれたという事実が痺れるほどの刺激的なのだ。その危なげなパンティの下の
“もの”がはっきりといやらしい兆候を示している事は、弟が帰ってきたときから判
りきっているのだ―――
(ん……)
 命じられるままに弟は口だけでパンティを外した。もちろんそのままスカートの中
から出てはこない。ということは今、そこでは剥き出しになった自分の恥かしい部分
が最愛の弟の目の前に―――
「何してんのよ!ご奉仕は!」
 内心の動揺――或いはときめきを隠して姉は叫んだ。従順な弟はそのまま従う。次
の瞬間の恥かしい部分への濡れた感触に、姉は必死であえぎを堪える。
「……ふん。まあ、上手くなったじゃない」
 弟は夢中で舌を――最愛の姉の秘肉に動かした。舐める音とすする感触が諒子の腰
にまでじんじんと響く。思わずでそうになる可愛い声を高飛車な台詞でおさえるのが
やっとだった。
「まだまだよ。あたしがいいというまで…何十分でも…」
 弟への意地悪の為にそう宣言した姉であるが、ほんの数分も立たないうちにそれど
ころいではなくなってきた。
(い、いい!…こんな…ずっと待ってたせいかも――でもけんちゃんもいつもより上
手で…激しくて…)
 何時間も前からこの事態を期待していた分だけ、姉が不利だったのであろう。強が
りを良いながらも、身体は正直であった。
「あ……ん…」
 姉の頬がさらに紅潮し、口元がだらしなく開く。そこから出た舌先が真っ赤な唇を
忙しくなぞった。すでに目は半分くらい空ろだ。そのスカートの中では弟の舌がしつ
こくいやらしく姉の秘肉を舐め蜜壺に刺しこんでいる。その快感は腰から背骨まで突
き抜けそうで愛液のたてる音が“ぴちゃぴちゃ”へかわっていた。
「く……」
 しかし、声は出せない。不埒な弟をお仕置きする姉としては、まさか、舌だけでい
かされそうになったなど認めるわけには―――
「よ、よし…もう良いわ。立ちなさい」
 支配者としてのぎりぎりのプライドで姉は命じた――ほとんど“いってしまう”三
歩手前くらいで。その心の中では“いや!やめないで!”と絶叫するもう一人の女が
いるのだが、姉はそれを強烈な意思の力で何とか押さえこむ。ある意味でたいした精
神力であった。
「は、はい…」
 舌のご奉仕は上手くいってたはずなのに――と弟は命令を訝ったが、もとよりこの
姉に逆らえるわけもない。心残りながらも出来るだけ急いで立ちあがる。
「あー―わ…」
 急いで立ちあがった弟はさっきから全裸だ。当然、この位置ではソファに座ってい
る姉の目の前に腰のあたりがくる。そしてそこには…
「なーーに、おちんちん、おったてているのよ?お仕置きだってのに欲情したの?
!」
 弟の恥かしい反応に急に余裕を取り戻す姉であった。姉に奉仕することに欲情した
弟の可愛らしさが虐めてやりたいほどに可愛く、また、その事実がさっきからぬめる
ほど濡れている秘肉の愛液をさらに潤わせる。何より、羞恥に満ちた弟の顔と反応が
どちらが優位かを決定したのだ。
 姉の勝ち誇ったくすくす笑いが部屋に鳴り響く。
「ほんと、変態ねぇ。実の姉のここを犬みたいに舐めて勃起するなんて。あんたに
きゃきゃ騒ぐ外の女達が知ったらどうなるかしら?」
 姉は意地悪に微笑むと、恥かしさにうつむいた弟の股間を注視する。まだまだピン
クだが、大きさは並以上の弟の肉棒が腹につかんばかりに反り返っていた。これは目
の前の実の姉に欲情しているなによりの証だ。そしてそのことをなじられ侮蔑されて
もこの弟は抵抗する事も逃げ出す事もしないのである。ただただ、許しを請うように
立ちすくむだけ…
(だから、どんなになっても、けんちゃんはあたしからは離れられないのよ。ずっと
ずっと、あたしのもの…)
 優越感を強烈に刺激された姉は右手をあげた。これはよけいなことだったかもしれ
ない。しかし、女王様然と構えながらも、弟の恥かしい――愛しい――反応をもっと
感じたかったのである。
「ふん!何度見てもいやらしい…」
 そう責めながら、姉の右手が伸びて弟の肉棒に触れる――本当にかちんかちんだ。
試しにこっちへ倒してみた。ちょっと力を使ってようやく肉棒の先端が姉のほうを向
く。その時―――
「あ!」
 姉の手の中で弟の肉棒がびくっと震え――半瞬後に弟の悲鳴と“その”爆発が重
なった。よける間もなく姉の顔一杯に“びしゃっ!”と白くて熱いものが多量に叩き
つけられる。そう、その匂いも味も堪能するほどに知っているそれが―――
「何すんのよ!姉さんに向かって!」
 奴隷からの“顔シャ”と言う予想外の事態に、一瞬、呆然とした女王様であった
が、すぐに覚醒するやいなや右手で弟の肉棒を力一杯はたいた――これは痛い。
「いたっ!」
「ふざけんじゃないわよ!」
 当然の悲鳴を上げる弟に対し、さらに姉は両手で――その真っ赤なマニキュアをし
た長い爪の指で、肉棒と下の双玉を無茶苦茶に握り締める――これはたまらない。男
ならわかる。
「痛い痛い!ごめんなさい!許して!姉さんが触るもんだから……」
「だからって、こんな事をして良い言い訳にはならないわよ!こんな…こんな…」
(もったいない!)
 指の跡が残るほどのお仕置きであったが、被害者はともかく加害者にとっては意外
に早く終わった。涙目で股間をかばう弟は気がつかなかったが、この時、弟のミルク
を顔中に飛び散らせた姉の目の色が変わっていた――そうぬめった熱い朱鷺色に。
(いやだわ…あたし、こんなことでまた興奮している。顔にかけられるなんて、ひど
い話なのに…)
 頭のどこかでそう思わないでもなかったのだが、欲情も二度目となるともう我慢で
きない。許せない思いをこの際、我慢してでも―――
「まったく、しょうがないわね。いつもいつもたまっているからそんな恥かしいこと
になるのよ!」
 姉の主張には無理がある。ほぼ毎日こういうプレイをやって、最後には必ず弟は姉
の裸体の中へ存分に発射しているのだ。
「だから、外の汚らしい女までもいやらしく欲しがるんだわ。
 わかったわ。姉さんが今日は空になるまで搾り取ってあげる」
 顔中に飛び散った弟のミルクを指で丹念になぞりながら、姉は宣言した。

「ただし、甘やかしてるんじゃないからね。さっきの無礼の分のお仕置きはするわ
よ」
 そう言って姉が命じたお仕置きは単純なものであった。もう一度勃起しろというの
だ。まあ、これからの二人には当然必要なことでもある。ただし―――
「手を使っちゃ駄目!」
 今、たっぷり出した身としてはいささか辛い条件であった。
「それも今から“あたしが服を全部脱ぐ”までの間によ!いい!」
(ね、姉さん…)
 ありがたいお言葉に弟は思わず涙が出そうになった。そこまで僕のことを気遣って
――感動する弟の前で、姉はシャツのボタンを外し、スカートのホックを取る。その
動きは奇妙に緩慢で――むしろ、たった一人の観客を煽るかのように淫靡ですらあっ
た。
 姉は弟の目の前で短いストリップを演じてみせたのだ。
(姉さん――綺麗だよ…)
「ふん――」
 シャツとスカートに続いてブラジャーが外れて短いショーは終わった。最後に現れ
た姉の双房は、意外なほど――言うと本人が本気でおこるほど――小ぶりであった
が、形はそう悪くはない。第一、たった一人の観客にそんな欠点など視野に入ってい
なかった。
「姉さん…」
「どうやら、間に合ったみたいね」
 可愛いくらい感激する弟の股間には、もう十分なまでに――さっき以上に大きく固
くなった肉棒があった。それを見る姉の目が朱鷺色にぬめる。
「じゃあ、約束だからやってあげるわ。そこに横におなり」
 弟は急いで命令通りになった。
「ふふん」
 姉は素直に横になった弟の均整の取れた裸身をひとまずまたいで立った。その姿勢
のまま見下ろすと懇願するような目と抱きつきがいのある身体、そして最大限に硬直
し姉の慈悲を乞うように不安定に揺れている肉棒が一度に見える。素晴らしい光景で
あった。
(あたしの可愛いけんちゃん…)
 しかし、姉も余裕を持っていられる状況ではない。またいだ股間の秘肉から、先ほ
どからだらだらと垂れていた愛液が、ちょうど弟の肉棒へとろりと大きな滴を落とし
たのだ。
(いつまでも可愛がってあげるからね…ずっと、あたしだけのものよ…)
「ね、ねえ…」
 出来るだけあせらないように腰を落とし、弟の股間に座る。揺れるその肉棒を右手
で掴むとそのまま自分の秘肉にあてがい――するりと咥えこんだ。
「姉さん!」
「あ……」
 そのぞろりとした感触が意外に大きく、思わず腿の力が抜けたのが姉の不覚だっ
た。自然に落ちた腰のせいで、一気に弟の肉棒は姉のとろとろの肉壺へ全部突き刺
さってしまったのである。
「あああ――――っ!」
 今度上げた絶叫はまごう事無き本気のものだった。もちろん“お姉様”らしくはな
いが、散々じらしたあとだから、もはやプライドも精神力も姉の欲情した女体を止め
られない。弟がびっくりするような大きなあえぎを上げながら、壊れそうになるくら
いに腰を振る。
(い、い…いいっ!けんちゃん、いいっ!)
「…姉さん…気持ちいいよぉ…」
「あんたは動いちゃ駄目ぇっ!」
 姉の“中”のあまりの気持ち良さに陶然とする弟に、厳しく命じて姉は腰を振り続
けた。自分が気持ち良いように動いているのだから、よけいなことをされては迷惑な
のはもちろんだが、それ以上に――この期に及んでも“姉の立場”というものがある
のだ。
 そう、弟に“させてやっている”のであって、姉が“いかされる”わけにはいかな
いという事情が。
「どう?気持ちいい?」
「うん…最高だ…ずっとこうしていたい…気持ち良くて…もう――」
「い、いいのよ――健一。いっても…はやくいきなさい…」
「ん…でも、大丈夫。もう少しは耐えられる…」
(はやくいけっていってるでしょう!じゃないとあたしのほうが先にいっちゃうじゃ
ない!)
 心の中の姉の絶叫は、弟には決して聞かせてはならない。かくして姉は自分の快感
と戦う最高の拷問を受けることになったのだった。
(は、は、はやく!もう、いって!いってよ!)
 どれだけ時間がかかったか、夢中の姉弟にわかるはずもない。ただ、さっき思いっ
きり一度出した弟の方が条件的に有利であって、早く搾り出そうとする姉が必死で腰
をふるほど自分の肉壺の中の快感があふれんばかりにどんどんたまっていくのであっ
た。
「ねえ…気持ち良い?」
「うん…姉さんの中って熱くてきつくて…」
(そんな感想はいいから、早く!)
「我慢しちゃ…駄目ぇ…身体に悪いわ…」
「でも、なかなかすぐには姉さんのここには入れないんだし…」
「―――大丈夫…今日はサービスしてあげるから…」
「本当?じゃ、せめて姉さんも気持ち良くなるよう僕も頑張るよ!」
 逆効果であった。
「い、いや…いやーーっ!あたしが、先に、い、いっちゃう…」



六○四号室――

「ただいま」
 ドアを開ける義一の声は期待ですでに浮きあがっていた。一日の仕事疲れなど一歩
部屋に足を踏み入れた瞬間からどっかへ蒸発してしまっている。げんきん――或いは
元気なものであった
「あれ?お兄ちゃんへのお迎えはどしたのかな?おーーい、加奈ちゃーーん!」
「騒がないでよ、もうっ!聞こえているわよ!」
 ずかずかとあがった義一は自室からおずおずと出てきた妹を見てにんまりとした。
その兄の笑顔を、加奈は睨みつける。眼鏡をかけた結構美少女かつ気の強そうな妹
は、驚くべき事に、この時、“眼鏡”しか身につけていなかった。
「おお、愛しの妹よ。約束は守ったんだね。お兄ちゃんは嬉しいよ。これも愛だね」
「えーーい、白々しい!愛なんてもんじゃないわよ!もし、守らなかったら…ちょっ
と!触んないで――」
 妹の抗議も抵抗も無視して兄は駆けより、“ほぼ全裸”の妹を抱きしめた。実の兄
の前に裸――可愛い乳房や薄い股間の叢までも――をさらす羞恥にほんのりと紅く
なっている妹の身体は、両腕の中で折れるほどに華奢で、かつ、“どきり”とするま
でに熱くなっていた。
「力を緩めてよ!服がすれて痛いんだから―――あ…」
 恥かしさを誤魔化す為にも騒ぎ立てる妹の唇を、兄は唇で蓋をした。その態度が虚
勢の証拠に、兄の舌は容易に妹の唇と歯を割り、たっぷりと口腔内をねぶりつくす。
妹の身体をすみずみまで知り尽くした兄の攻撃に全身を痺れさせながらも、何とか息
だけは荒げまいと押さえる妹の反応が義一にはたまらなく可愛かった。
 やがて、ようやく唇を離した兄は妹に命じた。
「さ、ソファに横におなり」
「ちょ、ちょっと待って。もう“する”の?!」
「当たり前だ。昨日は俺の連勝だったんだよ。だから、命令権はあと一つ残っている
はずだろ」
「う……」
「家の中では今日一日は裸でいること――それから、今からのただいまHね」
 今更言うまでもないことだが、この実の兄妹は――両親が離婚して兄妹二人暮らし
なのをいいことに――こういう関係なのである。そしてこの兄妹だけの家庭内ルール
で、『SEXの際、先に“いった”ほうが負けで、一敗につき、一つ命令を聞かなけれ
ばならない』と言うのがあるのだ。
 と言っても、勝敗に関してはほぼ兄の全勝だったのだが。
「あ、いや…」
 抵抗も出来ないままにソファに横たわらせられた妹の胸に兄は顔をうずめた。さし
て大きくない右の乳房にむしゃぶりつき、指は左の乳首をつまむ。
「ちょっ…そんな…一方的に――ああん!」
 どんなに偉そうなことを言っても気が強くても、十四才の処女を奪ってから二年
間、その女体を徹底的に開発した兄は妹の全てを知り尽くしている。加えて徹夜も辞
さない体力と、この“妹”には無限に復活する元気――どう考えてもSEXで妹が勝つ
可能性は皆無であった。
「おや?もう濡れているじゃない?加奈ちゃん。ほんとはお兄ちゃんが帰ってきてこ
うしてくれるのを“うずうず”しながら待っていたのかな?」
「……知らないっ!」
 兄の指は妹の薄い股間の叢をかき分けて、その下の秘肉に触れた。やや小さいそれ
からはしっとりと湿り気が伝わってくる。どんなに偉そうなことを言っても身体は正
直であった。
「あ…」
 兄はひとしきり秘肉をなぞってからおもむろに中指をその裂け目に入れた。ゆっく
りと進む指に少女の肉襞のきつい締め付けがからむ。そしてそれが強くなるほどに、
妹のあえぎ声も大きくなっていくのであった。
「い…あ――そんな…そこ――」
 兄の指に感じる妹の感触が、湿り気からとろとろ――ついにはびしょびしょになる
までにはたいした時間はかからなかった。
「いい…あー―お、お兄…ちゃん――」
 乳房を口で責められ、秘肉を指で弄られ、妹はついに虚勢を捨てた。下から兄の身
体にしがみつく。妹の裸体の熱さといやらしい汗が兄の胸と腹と足にぴったりとへば
りついた。
「お兄ちゃんが欲しいのなら、はっきりそうお願いしなさい」
 余裕をもって兄が囁く。囁きながらも急いでスラックスとパンツを脱ぎ捨てている
のも大変なのだが、妹にそこを突っ込む余裕などありはしない。あえぎはそのまま悲
鳴となった。
「お、お願いします。お兄ちゃんの“あれ”を――加奈の…中へ―――入れ…てくだ
さい…」
 妹のいやらしい懇願に兄は満足した。その分、現れた股間の肉棒は固く大きく角度
を増す。そしてそのまま、“大きすぎる”と苦情の多いそれを妹の秘肉にあてがい
――一気に突き刺した!
「い、いやーーーーっ!いたっ、き、きつ―――あ、ああーーん…」
 妹の鋭いはずの悲鳴に甘い粘液がかかったような動揺が混じる。成功だ。もうここ
までくれば妹の――高校一年生の女体は意のままなのだ。多少の痛みはすぐにもそれ
以上の快感で吹き飛ぶ。あとは獣のように責め上げるだけで―――
「も、も、もう…だめ―――っ!」

 いつもよりは長くはあったが、やっぱり妹が先にいったのを確認してから兄は
“たっぷり”と放出した。痺れあがっているはずの幼い女体に止めを刺すように兄の
ミルクが注ぎ込まれ、あえぐ波のように反応する。男として至福の時間であった。
「ま――た、勝っちゃった。今度は何にしようかなあぁ」
 全てを終えてから兄はソファに大きく座った。終わったばかりの姿のままに――
シャツ、ネクタイに下半身は裸という変な格好だが、本人はいっこうに気にしていな
い。そのまま隣で放心状態の妹の裸体を見下ろす目には幸せと満足と意地悪ながらも
慈しみがたっぷりと含まれていた。
「あー―――」
 ようやく気がついた妹であったが、事態の理解にはさらにややかかり――兄に聞こ
えないように奥歯を噛み鳴らした。
(くっ!またしても……お兄ちゃんのおもちゃになっちゃって…)
「あのね、お兄ちゃん」
(でも――いいわ。最終作戦発動よ。もう、お兄ちゃんを自由にはさせない!)
「ん?なんだい?」
 さっきの猛攻のせいでちょっとふらふらの妹に可愛く囁かれた兄は明るく応えた。
「もっとゆっくりしていいんだよ。疲れたろう」
 優しい言葉である。思わず、妹は“じん!”とくるが――これに騙されてはいけな
いと自分を叱咤した。そうだ、実の妹を半日も全裸でまたせ――いろいろといけない
想像をさせた上で――無理矢理犯した兄なのだ。今更、ちょっと優しくされたからっ
て…
「あのね、さっきの加奈の負けね。お風呂でおぎなわさせてほしいの」
「え?風呂?」
「うん。どうせ、入るんでしょ。加奈が“サービス”してあげるからさあ」
「“サービス?”――ま、それもいいんだけど」
「じゃ、決まりぃぃ――っ」

 妙に明るくなった妹に背中を押されながらも兄は浴室に入った。そのこと自体に疑
問を感じないまでもなかったが、まあ、考えてみれば誰でも全裸になる場所である。
“仲の良い”兄妹にとっては“うふふ”の空間であろう。まして、さっきから全裸の
妹がかいがいしくも兄の身体を洗ってあげようと言うのだから…
 結局、兄はこの下心に負けたのであった。
「ぜーーんぶ洗ってあげるからね。お兄ちゃん」
 そう言って兄の身体を洗い出した妹は、両手を一生懸命動かしながらも、意識して
裸体を摺り寄せる。泡一杯のボディタオルの刺激以上に、妹の木目細かく――熱くぬ
める肌の感触に兄は陶然となった。
「背中に前に足に…これで、全部終わりね。じゃあ――」
 そして、ほとんど泡だらけになった兄に妹は優しく囁いた。思わず唾を飲む兄の喉
である。実はまだ唯一残っているところがあるのだ。それは兄のこ…
「ここは―――大事だから…加奈のお口でして上げる…」
 言うなり、妹は兄の前に膝まづき、頭を下ろす――そのまま股間に顔を寄せ、その
可愛い口で、兄の――さきほど妹を半狂乱にさせた――肉棒をぱくっと咥えた。
「は…うっ!」
 意外に可愛い声を上げる兄であった。実は今までの妹はこの口淫が苦手でなかなか
やってくれなかったのだ。兄には“今日はそれなのに…”という感動が入っているの
である。
(フ…グ!フモ…グ!)
 感動の分、急に大きくなった肉棒に妹は目を白黒させたが、何とか我慢した。その
事にさらに感動する兄であったが、実は妹の事情は少し違う。
(見てなさいよ)
 その決意に燃える表情を見れば何か企んでいることは明白である。だが、肉棒を大
きく口に咥えた姿勢では兄からは見れない。
「い…いいぞ…研究したな…そう――吸いながら舌を上手く動かして…先っぽを刺激
したら、次はボールのほう…」
 気持ち良さに打ち震える兄に対しての妹の口淫は執拗に執拗に続けられた。いつも
ならすぐ“いや!”と言い出すところだが、今日は口が疲れようと顎がだるくなろう
と歯を食いしばって――いや、本当にこの状態でそうしたらたいへんだが――耐え
る。
 そして―――
「あ…」
 一度出したせいもあって粘った兄であったが、妹の努力と妹がしているといういや
らしさに、ついに爆発した。ビシャリ!と言う音ともに兄のミルクが妹の口中に叩き
つけられ、その濃厚な匂いが鼻孔から咽喉まで充満する。妹はそれら全てを一息に飲
みこんだ。
「全部飲んでくれたんだね…」
 感極まって兄が囁く。とても本気で嬉しいらしい。その股間では妹が兄の肉棒をさ
らに舌で綺麗にし、ミルクの残りを吸い取っていた。
「加奈…お兄ちゃんは嬉しいよ。こんなことまでしてくれるなんて…毎日開発に努め
た甲斐があったというもの―――」
 兄は妹を抱き起こした。抱きしめてキスをしようと言うのだ。しかし、そこで急に
股間から顔を上げて立ちあがった妹はその兄の手を払いのけた。
「なーーに、勝手なこと言っているのよ!中二の妹の処女を奪ってから毎日毎日ケダ
モノ三昧だったのを美化しないで!それより判っている?」
「え?え?ちょっと、加奈…」
「あたしが今度は“勝った!”ってことよ!お兄ちゃんだけが一方的にいっちゃった
んだからね!」
 妹の突如の変貌ぶりに唖然とする兄であったが、ようするに妹は謀ったのである。
今までの“可愛くいやらしい妹”も艶技であり、“あまあま”で奉仕するふりをして
一方的な口淫に持ちこむ作戦だったのだ。
「そ、そんな…加奈。お兄ちゃんを心をこめて奉仕してくれたんじゃ…」
「よくもぬけぬけと!―――あ、でもそれ良いわ。今度のあたしの命令権はそれに決
まりね」

 寝室のベットに戻った裸の妹は、同じく全裸のまま、まだどこか傷心の兄にサディ
スティックに宣言した。
「じゃ、舐めて!」
 ベットに偉そうに腰掛けて足を組んだ妹である。兄はまだ良く理解していない。
「舐めるのよ。あたしがいつもやらされているみたいに、いやらしいところを犬のよ
うに!もちろん、あたしが良いというまでよ!
 文句ないわよね?お兄ちゃんがいつもさせていることなんだし!」
 呆然としたまま頭を下げ、兄はのっそりと妹に接近した。観念したらしい。いつも
自分がさせていることをするのだ。自分が気持ち良いわけではなく、許してくれるま
でどれだけ時間がかかるかわからない苦行を。
 だが、まだ甘かった――妹は。
「駄目!キスはなしよ!いつもどおり身体の端から!上手かったらご褒美にさせても
いいけど」
「…はーーい」
  兄は陰気に応え――突然、妹の身体を押し倒した!
「きゃああーーーっ!何するのよ!」
 もちろん、妹はびっくりして悲鳴を上げる。ばたばた抵抗しようとするが、上を取
られてしかも抱きしめられているから思うようにはいかない。
「先にいったら言う事を聞くのは大事な“約束”でしょ!守ってよ、馬鹿ぁっ!」
「もちろん、約束は守るさ」
 兄の唇が妹の耳元で囁いた。ふっ、と息がかかる。ぞくりとして一瞬抗議の止まっ
た妹に次の感触は予想外であった。
「い?な、なに…」
「身体の端からだろ?」
 そう囁いた兄の舌は妹の耳たぶをゆっくりと舐めた。熱い粘液が薄い皮膚に塗られ
るように染み込む。初めての感触だった。
「う……う…」
 予想した舐め技とはまったく場所が違う。“反則よ!”と叫ぼうとした妹であった
が、奇妙なくすぐったさと――ひょっとしたら“気持ち良さ”で声を飲む。こんなと
ころが性感帯になるとは思わなかったのに…
「あ…」
 耳をたっぷりと舐め尽くした兄は、ほのかな快感に浸っている妹を確認してから
“にやり”と笑い右手に力を込めた。ほとんど脱力状態にある妹の裸身が簡単に裏返
る。
「え…?」
 急にうつぶせにされた妹であったが、いやとは兄は言わせない。そのままその白い
うなじに口を寄せ、ゆっくりと舐めはじめたのである。
「ぉぉ……」
 それだけでぞくぞくっ!と電流が妹の背筋から脳天まで走る。重要な場所以外への
こういう丁寧な愛撫は初めてだったが、じっくりと味わうそれは、まるで別種の、し
かし確かな“快感”であった。
「くぅ…っ!」
 兄の舌は妹のうなじを唾液でたっぷりと濡らすとそのまま下がり、背中へ踏み入れ
た。そしてことさらにゆっくりと動き始める。まずは背骨から肩甲骨沿いに――次は
背中の筋肉の一つ一つを丹念に執拗に――そして愛情を込めて…
「…………」
 終わりのない舌技に妹は耐えた。まるで、裸体の奥深くに灯された小さな火を少し
づつ大きくしていくかのような燃え上がりかたに、わずかなうめきだけで耐える。感
じているのは事実だとしても、どこでもない背中を舐められているだけでこうなった
とは、兄に知られるのがたまらなかく悔しい――或いは恥かしかった。
(ど、どこでこんな技を――さっきの仕返しね…でも、あたし、このままでいってし
まうかもしれない…それは…それだけは…)
「さあ、次はお尻だ。それから腿から脚の先まで」
 兄は妹の腰の辺りに吹きつけるように囁いた。背中一杯に広がった痺れあがる快感
に浸っていた妹の脳裏にわずかな理性が走る。
(それはつまり、まだ続くという事であり――まだ“しない”ってことで…)
「あ、あのね。お兄ちゃん…」
 ようやく単語を口にした妹に兄は“ん?”と顔を上げた。あどけない顔である。し
てやったりと笑っているようには見えない。
「どした?加奈」
「あ、あの…もう、もういいから…」
「ええーーーっ!」
 わざとらしい兄の声が妹には心底憎らしかった。
「まだ、いっぱい残っているのに!下も、それから仰向けにして前も!キスもおっぱ
いもお蜜さんも!――それなのにもういいっていうのかい?」
「い、いいのよ!もうっ!」
 妹は自分でもびっくりするくらいの大声を出した。
「そんなことより――お願い」
「やれやれ。あせっちゃってもう――はしたないなあ、加奈は」
 絶対、許さない!と妹が誓った台詞と共に兄は身体を上げ、うつ伏せの妹の腰を両
手で抱えた。そのまま腰だけを持ち上げる。牝犬のようなポーズを取らされた妹で
あったが、今更、抗議などできなかった。
「あああ。もうびちょびちょだ」
 あくまで余裕をもって兄は後ろから、こちらもすでに十分に固くなっている肉棒を
恥かしい姿勢の妹の肉襞にあてがう。
「こんなはしたない妹に育てたつもりはないのにねえ」
「いいから!早く!」
「はいはい。ご命令とあれば」
 “ずぶり”と兄の肉棒が突き刺さった。ほとんど抵抗がないくらいあっさりと。同
時に妹が悲鳴をあげる。それだけで今度の“勝負”は決まったようなものであった。
「あー―い、い、いいっ…も、もうお兄ちゃんの…かたくて――いっぱいで…」
 さんざんじらされた火が一気に爆発した妹の裸体は、自分でも恥ずかしいことを叫
びながら、後ろからの兄の攻撃に荒れ狂った。自分の身体を満足に支える事すら出来
ずに顔をベットにこすりつけながらも、妹の腰は兄を求めて高く差し上げられている
のである。兄の攻撃がどんどん加速していったのも無理はない。
「あ…ああああああ――――っ!」
 今度の絶頂も妹が先だった。再度の爆発に大きく痙攣すら走る。数秒遅れて、妹の
痴態に満足した兄も爆発した。
(もう――やっぱり…)
 汗だくの裸体でベットに崩れながら妹は心の中だけで呟いた。
(―――お兄ちゃんにはかなわないわ…)



六○五号室――

「ただいま」
 ドアを開けながら聖一は首をかしげた。鍵は開いているのに、部屋の中が真っ暗
だったからである。
「姉さん。帰っているの?どしたの?――あ、いた」
 明かりをつけながら中へ入る聖一は、リビングのソファにうずくまる姉の恭子を発
見した。
「どしたのよ。姉さん」
 見れば朝、大学に行った時のままの服である。膝を抱えるポーズからも姉がぐれて
いるのは判るが、いつもの“だだ”とは少しちがうようでもあった。
「ねえ。どうしたの?姉さん」
「せいちゃーーん…」
 優しい言葉に恭子は夢中で弟に抱きついた。流れからも構えてはいた弟がしっかり
受けとめる。十六才の弟に二十才の姉の身体は決して軽いものではなかったが、聖一
は男の義務はしっかりと果たしたのであった。
「うんうん。大丈夫。僕がついている」
「せいちゃん…お姉ちゃんね――あのね、あのね――」
 母は海外赴任で滅多に帰ってこない。よっていつも二人きりの姉弟で仲はとても良
い。ただ、精神年齢はほぼ逆転していた――清楚な美人の恭子は頭が悪いわけではな
いのだが、ちょっとぼけていて…
「どうしたの?何かあったの?いいから全部言ってご覧」
 だから、あやすような弟もあやされる姉も二人にはちっともおかしな光景ではな
かった。
「今日ね。クラブの先輩がお茶しようっていうからね―――」
 そして、姉は暖かい弟の胸の中でとんでもない訴えをはじめたのであった。

「――で、暗いお店に連れていかれてね。二人きりになったところで先輩がばさっ!
と――」
「な、なにーー!」
 長い話をまとめると、恭子は大学の先輩にだまされていかがわしい喫茶店につれこ
まれたらしい。その先輩はそこで二人にきりになったとたんに下を脱いでいかがわし
いものを取りだし“舐めろ”と強制したというのだ。
「そ、そ、それで姉さん、どうした!」
「怖くなったから力一杯暴れて逃げてきたの」
「ああ、良かった」
 あせって顔色を変えた弟はちょっと安心したが、怒りそのものは収まらなかった。
まったくとんでもない話だ。僕の大事な姉にいかがわしい真似をする奴がいようとは

「もう信じられない!学校じゃ優しい人だったのに!あんなことするなんて!」
「そうだよ。外は悪い奴ばっかりだからね。僕以外の男には近づいちゃいけないんだ
よ」
「―――うん。そうするわ。せいちゃん以外はもう絶対信じないことにする!」
「そうそう、男なんてのはみんな下心だけで動いているんだから」
 世間知らずの姉に都合のいい教育をする弟ではあったが、同時にこの時、重大な一
つの決心をした。もう限界だ。このままではいずれこの穢れない姉が世の男共の毒牙
にかかり汚されてしまう。
 だから、その前に僕の手で―――

「え?いやあ…何故服を脱がなきゃなんないの?」
 実の弟に言葉巧みに寝室のベットに連れこまれた恭子は、そこでようやく弟の意図
が良く判らないままにも抵抗をした。
「姉さんが、今日みたいな目に会わないようにするためだよ」
「それは良いんだけど――だから何故、あたしが服を脱がなきゃなんないの?それに
せいちゃんまでなんで脱いじゃうの?」
「だから!今日のことも含めて姉さんが狙われるのは、男共が下心で…姉さんにいや
らしいことをしたいからなんだよ!」
「う…うん。せいちゃんがいつもそう言っているよね」
「でも姉さんはそれが具体的どんなことか知らないでしょ?だから狙われてもその場
まで判らないんだよ。今日、へんな店に連れ込まれたのも、この前、電車でへんなも
のを掴まされたのも、そのさらに前に夜道でへんなものを見せられたのも―――
 その対抗上の基礎知識として今日特別に僕が教えてあげるよ」
 優しく囁きながらも聖一は結構本気であり、そのぶんたいへんであった。自分の服
を脱ぎながらも柔らかく姉の服も剥ぎ取っていかねばならないのだ。安心させるため
の笑みに脂汗が数滴流れていた。
「でも、いやらしい事って……いつも言っていた“せ、せっくす”なの?」
「ま、そうもいうね」
「“せっくす”って姉弟でやっちゃいけないんじゃなかったかしら」
 ぼけているようで意外に常識はある姉であった。ま、そりゃそうだ。
 弟の脂汗が倍化する。しかし、ここで諦めては長年の――
「そうだよ。だからそれがどんなのか教えるだけさ。最後まではやんないよ。安心し
て」
「そ、そう?」
 弟の大嘘に姉の抵抗が止まる。何と都合の良い姉であろうか。今の状況のおいしさ
に不純な弟は涙すら出そうだった。が――
「でも、具体的に教えてくれるってことは、せいちゃん、せっくすをしたことがある
の?」
「ん……ま、まあ、ちょっとね――」
 ほんとはたくさん――優しい担任女教師から始まって、学校やクラブの先輩後輩多
数。街で声をかけてくれたお姉様、恐喝にきたのを逆に食べちゃったヤンキー娘、お
小遣いまでくれたOL、腰が抜けるほどタフだった主婦、本当に上手だったおばさま、
その他もろもろ――
「まだ十六才なのにぃ?」
 上は五十六才から下は十二才まで――
「最初はキスからだよ!」
 天然ぼけのくせに鋭い――いかがわしい弟のいかがわしい過去を次々に暴こうとす
る姉に、弟は急いで実力行使に出た。
「あ…」
 全裸の姉を押さえつけ――抱きしめ、強引に唇を奪う。殴るように刺しこまれた舌
にこれがファーストキスの姉が抗えるはずもない。
「う…ううっ…」
 もうここまで来たらあとは一気呵成にいくまでである。男とはそう言うものだ。最
愛の女である以上、たとえそれが血のつながった姉だとしても――
 弟は今までの――豊富な――経験の成果を全て駆使し、その口と舌と歯で、姉の口
腔を丁寧に吸い、執拗になぶり、甘く噛み締めた。
「……」
 初心な姉はそんな弟のキスに酔ってしまう。ファーストキッスでここまでされれば
無理はあるまい。まして弟は経験も豊富にあり、それ以上に“本気”だったのだか
ら。
 ようやく唇を離した弟への一声はあえぎとしか聞こえないものであった。
「ああ…せいちゃん…なんか――お姉ちゃん、へん…になっちゃった…」
「いいんだよ。姉さん。姉さんは綺麗なんだから」
 脈絡はないが、うっとりと目を細め頬を染める姉を見た本音を呟く弟であった。ま
して、それが自分のキスによるものとあれば…
(ああっ!あちこちの女で練習しといてよかった!努力ってむくわれるんだ!)
 不純に感動した弟は欲情に耐えきれずそのまま顔を下げる。目の前に夢にまで見た
――よく入浴や寝姿は覗いていたが――姉の豊満なおっぱいが世界一杯に広がった。
「いやん、せいちゃん。おっぱいにそんな…赤ちゃんみた――はうっ!」
 欲望のままに弟は姉の乳房にむさぼりついた。動機は不純でも姉を想う心は純粋
で、かつ技は百戦錬磨である。夢中であっても“つぼ”をはずすわけがない。
「い、いやあ…そんな…舐め――ないで…こんな…初め…てよ――お姉ちゃん、おか
しくな…ちゃ…う…」
 弟の口が右乳房を一杯に頬張り、舌が乳首を弄ぶ。手は空いた左乳房を握り――
じっくりと丁寧な愛撫を行った。
(あせっちゃいけないんだ。姉さんにとっては初めてなんだし、僕にとっても姉さん
は“初めて”なんだから…)
 弟は自分にそう一生懸命言い聞かせながらも、手と指と口と舌を乱暴なまでに動か
す。“やりすぎかな”とも思うのだが、姉が敏感に反応してあえぐ声を聞くと、わ
かってはいてもより一層力が入ってしまうのだ。
「あ、ああああああ、ああああっ――――!」
 その時は意外なまでに早く来た。姉の裸体が紅く染まり、同時に微妙な痙攣が始
まったのだ―――胸への愛撫だけで姉が絶頂寸前までいったのである。
 弟は慌てた。
(まずい!これで終わってしまっては、下手したら醒めちゃうじゃないか!)
 急いで口と手を――惜しいながらも――離し、姉の裸体の沈静化を図る。それでも
じたばた感じていた姉であったが、やがて少し静かになった。“え?終わり?”と目
が言っているような気がしたのは弟の願望であろうか。
(難しいなあ。いかせてはならず、その寸前まで盛り上って、そこからじらして――
だもんなあ)
 真剣に悩む弟であったが、身体はちゃんと動いている。すうっと顔を下げ――
「え?なにをするの?せいちゃん。そんな恥かしいとこ――」
 慌てて両腿を閉じようとする姉より、わずかに早く弟は、そのかぐわしい股間に頭
を入れた。もちろん、ここで姉に“恥かしい”と陶酔を醒まさせてはいけない。だか
らここは一気にいくしかない。
「やめて!そんな、汚いわあっ!」
 真っ赤になって叫ぶ姉の悲鳴を、むしろ心地よいものとして弟はその股間の薄い叢
の下へ、ずぶりと舌を刺し入れた。姉の――一度として汚された事のない――美しい
秘肉が、弟の熱い――百戦練磨の――舌に初めて犯される。姉は羞恥の絶叫を、弟は
会心の微笑を同時に放った。
「せいちゃん…や、やめ…そんな汚い――恥かしいとこを…ああん…舐めちゃ…いや
あ…ああん…」
 騒ぎ悶える姉だが弟は両手で固く姉の両腿をロックして離さない。舌を一心不乱に
動かし続ける。ここまでくると技巧うんぬんではない。純粋に姉への口姦へ没頭して
いたのだ。
 そして最初から十分湿っていた姉の秘肉がわずかな間に牝蜜を涎のように垂らしだ
した。“今だ!”と悪い弟は思った。
「姉さん!」
 にわかに体を起こし、姉の上に腰を合わせて覆い被さる。何十人のよその女を泣か
せたその肉棒はすでに直線と化していた。
「気持ち良かっただろ?」
「あ……う…ん」
「もっと気持ち良くしてあげるね」
 弟は狂暴な肉棒をとろとろの姉の秘肉にあてがった。今なら簡単に入るはず――し
かし
「だ、駄目ぇ…それって本当の“せっくす”じゃない…あたし達、姉弟なのよ…」
 そう言って姉の腰が逃げようとする。日頃、ぼけている分、こんな状況でもそれな
りの理性が残っているのか!――と絶叫したい弟であったが、ここは我慢である。も
うひとおしなのだ。
「でも、姉さん。“恋人同士”ならSEXは許されるんだよ」
「え?こいびと?」
「そうさ!姉さんは僕が好き?」
「…それは…好きだけど…」
「じゃ、僕以上に好きな男はいる?」
 結構、真剣な質問である。問題は、こういうことをする前に確認すべきことなので
あって――
「いいや…せいちゃんより好きな男っていない…」
 思わず、ガッツポーズを取る弟であった。
「実は僕も姉さんが一番好きなんだ。誰よりも愛しているよ。本当にもの心ついた時
から!」
「…でも他の女の人と“せっくす”したんでしょ?」
 冷や汗が弟の背筋に一筋流れる。
「そ、それは、姉さんが振り向いてくれなかったからさ!姉さんさえ恋人になってく
れるのなら、そんなことは絶対にしなかったよ!」
「そう?」
「そうさ!
 そしてこれでわかっただろう!僕達は愛し合っているんだ。だから恋人同士さ!だ
から、今からその愛を確かめあっても良いんだ!」
 弟は姉を力強く抱きしめた。
「…そうなの?」
「僕の恋人になるのは嫌?」
「そ、そんなことはないわ…」
「じゃ、恋人同士で良いんだね?」
「で、でも…」
「でも、何さ?」
「恋人同士ってことは浮気しちゃいけないんだよ。せいちゃん。これからお姉ちゃん
だけって約束できる?」
 喋れば喋るほど立場が悪くなることに気がついた弟は、ついにここで決心して実力
行使に出た。さっきからあてがっていた腰をわずかに前進させたのである――その肉
棒の先端は姉の秘肉にずぶずぶと入りこんだのだ。
「あ、あああーーーんっ!」
 あえぎと悲鳴をミックスした姉の絶叫に弟は全身が紅潮するまでに煽られた。しか
し同時に数多の処女を奪ってきた経験が、“最愛の姉の為に”身体を冷静にコント
ロールする。
 あせってはならない。最初はほんとに痛いだけなのだ。それを貴重かつ美しい体験
とするには、男の気配りと思いやりと愛と――何より我慢が必要なのであった。
「姉さん。力を抜いて。大丈夫。僕に任せて。この世で一番愛している姉さんのため
だもの」
「ほ、ほんと?…せいちゃん、お姉ちゃんを愛してくれるの?」
 最初はじわじわだ。出血するくらいだから乱暴はいけない。出来るだけゆっくりと
腰を前後させて――男がつまらなくても、ここは女の身体をならすほうを優先するべ
きで――
(で、でも…姉さん、締まる…この前やった…先輩のお尻より…)
 弟にとって意外だったのはあれだけ愛撫して緩めたはずの姉の秘壺が、生まれて初
めて味わうまでに緊縮だったのである。これでは――ただでさえ、姉の処女を奪って
興奮している弟の肉棒が―――
「ね、姉さん…」
「…なに?」
「気持ち良い?痛くない?」
「う…ん…ちょっと気持ちは良いけど…やっぱり痛い――さっきほどじゃないけ
ど…」
「そ、そう?良かった…」
「?せいちゃんは大丈夫なの?なんか苦しそうだけど?」
「いや、苦しくはないんだ…気持ち良くて――」
 その気持ち良さを我慢するのが苦しくて――姉のことを思いながらも、徐々に速く
なる腰の動きを止めかねる弟であった。
「あ……まさか…」
 そして、爆発は信じられないほど早く来た。感じたときにはもはや手遅れで、弟は
童貞を失った時よりも激しく噴出す感触に、ただただ驚きを感じるしかなかったので
ある。
「あ…せいちゃん。何かした?大丈夫?お姉ちゃんの中で――何か熱いものが…」
 こういう状況でも弟を気遣い、かつ可愛くぼける姉を弟は全力で抱きしめた。
「姉さん。一生離さないよ。たった今から僕等は最高の恋人同士だ」
「うん。良いわよ。お姉ちゃんもせいちゃんなら――一生、大丈夫だわ…」
「姉さん!」
「でもね」
「え?――でもって?何?」
「さっきも言ったけど浮気は駄目よ」
 急に冷静な姉の強固な主張に、幸福に酔っていた弟の熱い背を冷たい汗が数筋流れ
る。
「わかった?もし、浮気したら――お姉ちゃん、怖いからね!お返事は?!」



六○六号室――

「ただいま」
 ドアを開けると、それを待ち構えていたかのように急いだ小走りの足音がした。
「お帰りなさい。宏一さん」
 睡蓮の柄の浴衣にエプロンという――ちょっと、家庭的には妙ないでたちのその女
性は、思わず声を上げてしまいたくなるほどに上品でしっとりとした――そのくせ、
胸と腰の辺りは特に大きいなかなかの美人であった。年齢は三十代半ばであろうか
――名は津子と言う。
「やっと期末試験が終わったよ。ママ」
「お疲れ様でした。
ご飯になさいますか?それともお風呂に?」
 これが宏一の実の“母親”だと言われても十人中十一人は信じないであろう。高校
生を息子に持つには“若すぎる”だけではない。何よりも、その“実の息子に対し
て”貞淑な妻が最愛の夫に尽くすかのようなその態度に――である。
「風呂にする。電車の中で汗をかいた」
「判りました」
 津子はうやうやしく頭を下げると息子の鞄を両手で受け取った。その手を宏一が掴
む。
「あ……いけませんわ」
 母のかすかな抗いをものともせずに宏一はその豊満な体を抱き寄せ、その唇に自分
の唇を――強引に重ね合わせた。
「う、ううう……」
 息子の舌が母の唇の間に刺すように侵入する。津子は一応、抵抗しようとしたが、
息子は母の浴衣ごしの熱い身体をしっかりと抱きしめて、許さない。すぐにも息子の
舌が母の口内をねぶりつくすように愛撫し出すと抵抗も加速度的に弱っていった。
「あ、う……うう・・」
 いつの間にか抗う母の両手は動きの向きを変えて、息子の首を抱きしめていた。頬
も見る見る赤くなり、もう相当にたまらないのか、身体も震え出す。その効果に息子
は会心の笑みを浮かべて、ようやく唇を離した。
「も、もう。おいたしちゃいけませんわよ。宏一さん」
 実の息子の淫らすぎるキスに、上気した顔とまだ微妙に震える身体のままで津子は
“めっ!”をした。母としての最後の見栄であろう。それが判っている息子はそんな
母をたまらなく可愛いと思った。
「だって、試験のために一週間も我慢したんだ。これくらいは許してもらわないと」
「駄目です。まず汗を流して、ごはんを食べてからです!」
 それなりの威厳を込めて津子が命令する。それでも、『わたしだって我慢したんだ
から…』という本当の思いを判らない最愛の息子ではない。宏一はにやりと笑った。
「その浴衣、いいね。ママに似合っているよ」
 津子が着ている睡蓮のデザインの浴衣――二人がどこよりも気に入っている“あ
の”旅館で買った浴衣である。それをわざわざ着て息子を出迎えた母の意味などは
――それこそこの二人にとっては口にする必要も無い事であった。

「お湯加減はどうですか?」
「ちょうど良いよ。ママ」
 待っていた息子はそう答えながらにやりと笑った。浴室のドアの向こう側の光景が
明快に想像できる。そこにはあの母がいて――いつものように次の準備をしているの
に違いないのだ。
「お背中を流しますわ。宏一さん」
 二分後、予想通りに母 津子が、予想通りの姿――その豊満な女体を、片手と手ぬ
ぐいだけで覆いながら浴室に入ってきた。もちろん息子に否やはない。
「じゃ、頼むよ」
 宏一は我慢して今まで入っていた湯船から、わざと勢い良く立ちあがった。浴室に
満ちる鋭い水飛沫と豊な湯気の中で、宏一の“男の子”の部分が威勢良く跳ね上が
り、元気良く振りまわされる。宏一はそれが“ママ”に直視されていることを確信し
ながら、あえて一切隠そうとぜずに洗い場の湯椅子に座った。
「ほんとうに立派になられましたね」
 向けられた息子の広くなった背中を見ながら、津子はしみじみと呟いた。母として
の誇らしさと嬉しさと――そして、“母”のものではない恥ずかしさが微妙に入り混
じった声で――
 それが判った宏一は、にやりと――子供の顔でなく“男”の顔で――笑う。
「綺麗にしてよ。ママ」
「はいはい」
(何せここは今からたっぷりとしがみつくんだから……)
 ――と思ったのがどちらかは判らない。
 津子はボディシャンプーをつけたタオルを両手で持ち、息子の背中を丁寧に流し始
めた。その愛情のこもった力具合が息子にはとても良い。心と身体をマッサージされ
ているような絶妙な感触である。
「あの――終わりました」
 うっとりとした息子に津子はちょっとおずおずと言った。
「これでいいですか?」
「何言ってんだよ。前もしてよ」
 言いざま宏一はくるりと身体ごと振りかえる。湯椅子に腰掛けた姿勢のまま、ほぼ
垂直に起立した息子の肉棒が津子の視界に突きつけられる格好となった。
「きゃっ!」
 刺激的な“息子”の光景に、少女のような声を上げて顔を両手で覆った母が宏一に
はたまらなく愛おしい。それが、演技ではない証拠に、その頬も――両手が上がって
剥き出しになった豊な裸身も、鮮やかに紅潮しているではないか。
「きゃっ!じゃないよ」
 この母の自分への態度に宏一は永久に勃起し続けるような強烈な陶酔感を骨の髄か
ら味わいながらも、あえて命令調にでた。
「早く洗ってよ。おなかが空いているんだ。“母親”なら当然だろ」
 言われて津子はおずおずおとタオルを構える。息子がこう強く言わねば、恥ずかし
がり屋の母は動けないのである。例え――本人がどんなに求め、欲情していたとして
も。
「駄目駄目。前にタオルは駄目。こっちは背中より繊細なんだから、もっと優しく
洗ってくれなきゃ」
「はい……」
 いつものことなので津子にも息子の要求している意味は判る。そして、それを自分
も望んでいるということも――実の母子の間としてはどんなに恥ずかしく、かつ背徳
的であろうことも。
「……失礼します」
 津子は礼儀正しく一礼してから、湯椅子に腰掛ける息子の――股間の前にひざまづ
いた。その姿勢だと、当然、息子の逞しく勃起した肉棒が目の前につきつけられた格
好になる。至近距離で見るそれは、大きく、何本もの血管が威嚇するように浮き上が
り――そして、息子の前に屈辱的な姿勢でひざまづいた“母”である津子の裸身と、
今から息子のそれを受け止めると決めた心――いや、“欲情”めがけて勃起している
ことがありありと判る。
(……では)
 心の中でそう拍子を取る。同時に津子は自分の股間が湿った音で鳴ったような気が
した。
「はうっ!」
 宏一が小さい声を上げる。自分の肉棒を母の真っ赤な美しい唇がぱっくりと咥えた
感触と――その背徳的かつ甘美すぎる事実に……。
「ふふふ。ママ、良いよ。一週間ぶりってこともあるけど、ママのお口は最高だ」
 誰よりも美しい“母”が息子の股間に誠心誠意“お口の奉仕”をする――と言うこ
とが、男としての優越感と息子としての愛される深さへの感動の双方をたまらなく刺
激する。宏一は、股間の下の母を力一杯抱きしめたい衝動を、せめて母の頭を抱える
ことでこらえ、母の口と舌と――“愛情”による肉棒への感触をたっぷりと堪能し
た。
(う…大きい…宏一さんって――やっぱり一週間我慢したせいかしら。それにとって
も熱くって……)
 母としてあるまじきことを思いながらも津子は懸命に舌と口を動かし、口の中の息
子の肉棒を愛撫する。この狂暴さは誰よりも良く知っているが、加えて今は本当に食
べてしまいたいくらいに可愛いい感じすらもしていた。
(……やだ、あたしも一週間我慢したせいかしら。実の息子の宏一さんに対してはし
たないことを……それとも――)
 これからの狂暴さを期待しているのかしら――などと全身で真っ赤になって思いな
がらも、津子は舌で息子の肉棒を丹念に舐め上げ、口全体で力一杯吸いこむ。
「そうそう…もっとなぶって…下のほうも…」
 息子の希望の通りに――加えて母の欲情のままに、息子の肉棒は母の口腔に愛され
――弄り続けられた。そして――
「……そろそろいくよ。ママ、どっちが良い?」
 眉間に皺を寄せ――股間の爆発に耐えて宏一がうめく。津子も“大変!”と視線を
上げた――息子の肉棒をその真っ赤な唇にしっかりと咥えたまま。
「顔か胸にする?」
 母はちょっと考え――いやいやをする。
「じゃ、飲む?」
 息子の肉棒を口から一ミリも離さずに、“こくこく”と母がうなずく。宏一はそん
な母の可愛らしさににっこり笑い――同時にその淫靡さにこらえきれずに肉棒を爆発
させた。
(う……!)
 びしゃっ!と男のミルクによる音と衝撃が津子の喉まで叩きつけられ、息子の熱さ
と男の香りが口一杯に飛び散る。それでも母の口の中でどくどくとうごめく息子の肉
棒を津子は離さずーー逆にその全てを飲みこもうと喉に力を入れた。

 入浴を終え、すっきりとした宏一はパンツだけをはいてリビングへ入った。すでに
一足先に出て、浴衣に着替え直した津子がいる。
「今日はちゃぶ台にしときましたわ」
 津子はリビングの絨毯の上に置いたこたつ机に料理を並べていた。サイコロステー
キや刺身、ガーリックライス等々の息子の好物を嬉しそうにそろえるその姿は、まる
で新妻のように初々しく――けなげでもあった。第三者であれば、これがついさっき
息子の全部を飲みこんだ実の母だとは絶対に見えなかったであろう。
「あ、鯛に烏賊だ。この刺身はママが作ってくれたの?」
「もちろんです。魚市さんに活きのいいのが入っていましたの」
 ちょっと自慢する母に歓声を上げながら、宏一はするりとその母の隣に身体を刺し
入れた。その際に触れた息子の身体の熱さに津子の心臓は思わず跳ねあがる。
「あの…宏一さんの席はあっちなんですけど」
 嬉しい動揺を悟られないよう何とか押さえようとする母の抗議を息子は嬉しそうに
無視した。
「だあめ!試験明けで疲れてんだから、食べさせて」
 そう言いながら息子は母を横から抱きしめようとする。その肌の熱さが胸が密着し
た脇から腕が回った背中にまで焼け付くように津子の身体に響いた。思わず、母の理
性は声をからして叫んだ。
「な、なんですか。宏一さん!子供みたいに!」
「子供だもーーん。ママの」
「………あ――」
 言われて見ればそのとうりである。宏一は津子の実の――たった一人の息子なの
だ。
「あーーん」
 しかし――いや、息子がまるで雛鳥のように口を大きくあけてご飯をねだるのは、
まあ良しとしよう。しかし!その間にその両手が母の浴衣のあちこちから不埒な侵入
することを“母”として許して良いのだろうか?
「ちょ、ちょっと!いけません!そんなおいたをしちゃあ…」
「ママ。和服の時には下着をつけないっていう言いつけは守ってるんだね」
 息子は母の躾などは、“完全”に聞いていなかった。
 それどころか、右手を胸元から入れて母の豊な乳房をわしづかみにし、左手は裾を
割って暖かい母の股間に侵入する。すでに固くなった乳首への刺激ととっくに湿って
いる股間への攻撃に、津子は――母として!――はしたない声だけは必死でこらえ
た。
「なんだ。もう立ってるし、濡れているじゃない。結構、飢えていたんだね。ママ」
「だ、駄目ですぅ…」
 息子の右手が母のすでに固くなった乳首を弄び、また左の中指が母の肉襞の中に刺
しこまれる。乳首のこりっ!とした感触と愛液のぬめる音は誤魔化しようが無い。あ
まりの恥ずかしさに津子の声は消え入りそうであった。
「なに?何が駄目だって?今すぐママを姦ること?」
 宏一の腰が動き、津子のお尻にその股間が押し当てられた。
「あ、ああ……」
 その感触に津子の背筋が震える。薄い浴衣の布ごしに伝わるその熱さと硬さは、い
つもの――母子が変わった“あの日”から、ほぼ毎日、浸りきるほどの堪能した日々
によって津子の“女”の全てに刻印されたものであった。
「ほら、もう僕は準備OKだよ。触って――次に何をするかは判っているよね?」
「…ご飯を食べてください……成長期なんだからお身体にさわりますぅ…」
 実の息子に巧妙に胸と股間を責められ、また、耳元で“女”として甘く囁かれなが
らも、津子はかろうじて“母”の台詞を声に出した。
「ほおおう。まだ、そんなうそつきなことを言うの」
 台詞とは裏腹に息子は嬉しそうである。か細い抵抗が更に嗜虐性をくすぐったよう
だ。少し意地悪な息子は、口だけは正直でない母の身体に対して実力行使にでた。
「きゃうんっ!」
 素早く――しかし丁寧に、津子の身体は仰向けにされた。その勢いで割れた裾を覆
う間もなく、すでに十分に熱く湿った股間めがけて息子の頭がかぶさる。どうなって
いるのか理解したのは、恥ずかしい母の肉襞に息子の熱い舌が触れた痺れるような刺
激によってであった。
「いやっ!そんな――ご飯前にぃ!」
 抗おうとしても何も出来ない津子の股間に息子が顔をうずめている。和服故に下着
は何も付けていないから、息子の視覚と嗅覚には剥き出しになった母の“女”の部分
が――それも息子の指の愛撫だけで、涎のように愛液を垂れ流している肉襞が熱さを
感じるほど密着して存在しているのだ。津子の声はもう死にそうであった。
「や、やめて…それより先に…ご飯を食べて下さいぃぃ…」
「食べるよ。今から――ママの一番美味しいところを」
「ひうっ!」
 津子の秘肉に生暖かく柔らかいものがぞろりと触れた。見るまでもなく、毎夜の経
験からそれが息子の舌の愛撫であることは感触だけで母には判る。そして、それがい
かに執拗、かつたまらないものであるかと言う事も…
「あ、ああん…いやぁぁ…そんなぁ…いいっ…いや…宏一さ…ぁぁん…」
 千回以上の経験を誇る息子の母自身への舌での愛撫は、津子の予想通りに果てがな
いほど濃厚で、かついやらしいものであった。ぺちゃぺちゃと息子の舌と母の秘肉が
鳴る音が二人にははっきりと聞こえる。
 そして、そのどうしようもない快感には、“母の威厳”など何の意味もなく、津子
はただただあえぎを上げてむせぶだけである。“止めなくては…”と頭のどこかで
思ったとしても、息子の両腕が母の両腿をしっかりと抱きこんでいて、外せそうにな
い。いや、それどころか無意識のうちにその両手は股間にむしゃぶりつく息子の頭を
逆に押さえてすらいたのだ。
「ひ――ッ!」
 ついに短い悲鳴と衝撃が津子の身体を鋭く走った。濃すぎる息子のクンニに母が軽
く“いった”という事は津子にも宏一にもわかる。さっき母の口に爆発して男のミル
クを全部飲んでもらった息子はようやく満足げな笑みを母の剥き出しの股間に密着し
たままもらした。
「良かった?ママ」
「――あ…ああん…」
 まだ痺れる股間から上げた息子の笑顔に優しく聞かれたって応えられる状態の母で
はない。一週間待たされたあげくに、お風呂で“息子の”への濃厚な肉奉仕を強制さ
れ、そしてこれから先の予定に、本意ではなくてもどこかで、わくわく―母として恥
かしくも―していたのだ。同じくらいに盛り上っていた息子の愛撫が――
「じゃ、本物で行くよ」
 まだ余韻に浸りきっている母の身体に熱くなった息子の身体が覆い被さる。浴衣の
帯はすっと息子に外され、津子の白い肌の裸身――豊すぎる胸と大きな腰――そして
勃起したような乳首と繁みまで濡れた秘肉までもが、剥き出しにされた。
「いや、でもその前にせっかくのおっぱいを食べちゃおうかな」
(え?――)
 と、思ってしまったことが、母として実に恥かしいことであった。宏一は母の“希
望”に反して、まずは胸に殺到したのである。
「美味しいよ。ママ」
 母の乳首をぺろりと一舐めしてから猛然と宏一は津子の乳房にむしゃぶりついた。
知り尽くした息子の舌と歯が激しくあばれ、しびれが母の脳天まで響く。その快感の
激しさは(“おあずけ”なのに)、全身が跳ねあがるほどであり、実際、これだけで
もう一度いってしまいそうであった。
「あああぁっ――!」
 しかもそれだけではなかった。息子の胸への激しい愛撫だけでこれだけ狂っている
というのに、母の濡れきった下半身は満足していなかったのである。
「ひ、ひぃ…い、いいっ…でもぉ…」
 母の大きな乳房をむさぼる息子の頭をしっかりと右手に抱きしめながらも、津子の
左手は下を――半ば無意識のうちにさぐる。探しているのだ。母の、沸騰するほど欲
情している肉壺をふさぎ、思いっきり蹂躙してくれる最愛の――母だけの肉棒を。
「あ、はしたないことしている」
 母にようやく肉棒を掴まれた宏一は余裕たっぷりに囁いた。津子の左手のひらから
伝わる息子の肉棒の熱さと血の鼓動の合間にその悪戯声が耳に染み入る。もう、津子
には母としての威厳などなかった。
「お願い…して…宏一さぁん…もう…我慢…でき…な――」
 母の肌の熱さと股間の十分過ぎる湿り、乳首の背伸びするかのような硬直――そし
てこの哀願に宏一は満足の笑みを浮かべた。腰を引いてゆっくりと母の左手から自分
の“凶器”を解き放ち、それを慎重に母の秘肉に押し当てる。
「うっ…うーーーーーっ!」
 ことさら丁寧にしたのはじらすためだけではない。一気に行くと自分も爆発しそう
だったからである。
 そして、ぐっ!という衝撃が母子の双方に波のように走った。
「いいっ!…こ、宏一さん!」
 上から熱い肉棒を刺しこむ息子に、母の熱い肉壺はしゃくりあげるように腰を浮か
せて迎えた。欲情した肉と肉が交わるいやらしい音と快感が、二人の股間から全身へ
爆発する。
「ひぃぃぃ――っ!」
「いいよ…ママ。相変わらず最高だ。一週間待ったかいがあったよ」
 息子の激しい腰の動きの下で母が獣のように跳ね、泣き叫ぶ。余裕のある台詞の息
子も、それにあおられるように紅潮し、さらに母の肉壺をえぐる自分の肉棒を加速さ
せた。
「い―――いくぅっ…い…くぅ――お…お願い…こ…こう…宏一さ…」
 夢中で津子は――いや津子の体は宏一にしがみついた。熱すぎる母の肌が汗を浮か
べた息子の肌を覆い尽くすように密着し、硬くなった母の乳首が息子の胸に押しつけ
られる。母の右手が動いて息子の頭を抱え、同時にその唇が息子の唇に貪るように食
いついた。その感触がさらに母子に欲情をあおる。
「そ、そんなにされるとぉ…」
 次の爆発までの時間はいつもより早かったが、二人とも、もう本気の限界であっ
た。それから数秒後――
「あ……」
 二人の身体中に、しかも同時に爆発が起きた。自分の中のふるえるほどの快感――
それを密着した肌から伝わる相手に同種の衝撃がある喜びがさらに倍化させる。それ
はきっと相手への――実の母子であっても、いやそれだからこそ――“愛”の故で
あったのだろう……
「ああ……宏一さん…」
「ママ…良かったよ。やっぱりママが最高だ。僕はもうママしかいらない」
「――嬉しい…」
 二人だけの世界で愛し合う母子は互いを力一杯抱きしめて、余韻と互いの愛を確か
め合う。しかし、同時に次の愛へのエネルギーがその二つ裸身に加速度的に盛り上り
つつもありー―そして数分後二つの声が重なるのだ。
「ねえ…」



「――いかがでしょうか。お客様。
 さらに申し上げれば、ただいま説明させていただきましたお勧め点は、当マンショ
ンの魅力のほんの一部でしかございませんが、それだけでも十分なものであったと、
私どもは確信しております。他の様々なお買い得ポイントにつきましては、後ほど
個々の説明で申し上げますが、それ以上につきましては――ご購入の上でお客様自ら
ご確認くださいませ。
 ご心配なく。絶対に損はさせません。
 あ、それから――最初に申し上げましたように、当マンションに入居なさるについ
てはオーナーより『仲の良いご家族であること』という条件がつけられております
が、お客様達なら大丈夫でしょう。
 いえいえ、ご謙遜なさらないで。こうしてお伺いしているだけで仲むつまじさは十
分判りますわ。片親だけだとか子供だけだとかなんて気になさらないで下さい。最近
では珍しいことでもないですよ。この私も母子家庭ですし、そもそもここのオーナー
もそうです。
 それに、申し上げましたように、このマンションはお客様のようなご家庭には特別
割引がございますので…私の親友の由佳のご紹介の分も合わせて勉強させていただき
ますわ…
 
 え?では早速、ご契約いただきますので?
 ありがとうございます――そしておめでとうございます。いや、正直申し上げまし
て、不動産屋としてもお客様の今後のお幸せをこれほど確信できる物件は他にござい
ません。
 では今後のお二方のご多幸をお祈り申し上げます―――」

 K不動産株式会社社長 宏美女史のある日の営業活動より

[2002/08/18]

eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。