小説(転載) 『記念日』
近親相姦小説
掲載サイトは消滅。
『記念日』
玲子が目覚めたのはちょうど朝の七時だった。窓のカーテンの隙間から明るい光が
こぼれる。今日も天気は良いらしい。
玲子は無言でカレンダーを見た。今日の部分に赤のペンでハートマークが、小さく
――玲子にだけわかるように書かれている。ついにこの日となったのだ。
「……よし」
自分だけで呟いてから玲子は視線を傍らに移す。同じダブルベットの毛布の間から
一人息子の功司が可愛い寝息をたててぐっすり眠っているのが見えた。
「ほんと寝ている時は可愛いのよね―――起きたらケダモノだけど」
そう言って何を思い出したか頬を染め――いや、こんな事をしている場合ではない
のだ。
玲子は出来るだけ音をたてないようにしてベットから抜けでた。ここで功司を起こ
すと、またお口だの何だのをせがまれるからだ。また、たまにせがまれなくてもやっ
てしまう事もあるから急いで出たのは自分を押さえるためでもある。意思を強く持て
るうちにやるべき事をやってしまわねばならないのだ――特に今日は。
そのまま寝室を抜け出し、バスルームに向かった。熱めのシャワーで昨夜からの汗
と涎を流す。半分は息子の物なので、いつもちょっと惜しい気がするのだが、今朝は
そんなことを言っていられない。
急いで身体を洗うと、半ば髪をぬらしたままで洗濯と掃除を始めた。朝食の準備は
その後だ。何としてでも功司が起きてくる前に全てを終わらせておかねば。
母子が住んでいるのは東京板橋の八階建てマンションの最上階である。間取りは
5LDK。借りているのでも買ったのでもない。建てたのだ――実はマンションその物
が玲子のものなのである。
資産家の一人娘だった玲子は小学生で両親と死に別れ、その後は祖父母の手によっ
て育てられていた。祖父は優しい人ではあったが、やはり明治時代生まれだけあって
厳格で、また変に固陋だった。高校を卒業したての玲子に無理矢理、婿養子を取らせ
たのもその現れである。
「一日も早く跡取息子――いやひ孫を!」
これが祖父の願いであった。本人にとっては真面目な話であったので玲子は嫌々で
も従ったのだが、家より玲子自身の幸福を優先させなかったのもまた事実である。
玲子の夫になったのは有名大出で一流企業の会社員と言う絵に描いたような退屈な
男だった。しかも、祖父の念願どおりに、結婚してすぐ玲子を妊娠させたまでは良
かったが、その妊娠四ヶ月の時に交通事故死してしまったのである。
休日に「接待ゴルフに行く」と称して外出したのに、言っていたのとは全然違う場
所で、しかも玲子の知らない女の運転する車の助手席で事故にあったのだから、玲子
としては同情する気にもなれなかった。
まあ、生命保険にはたっぷり入っていてくれた事と生まれた子供が男の子だった事
には感謝はしている。そうでなかったら家意識の強すぎる祖父に再婚を迫られていた
であろう。もっとも、亡夫の写真や遺品などその存在を示すものは全部処分してしま
い、今住んでいるこのマンションにはかけらも残っていないのだが。
そう言う事情による唯一の息子功司の誕生であったが、関係各位は満足したようで
ある。祖父はひ孫が中学生になった年に亡くなったが、その前に資産を整理し、全て
不動産にかえていた。今の玲子はこのマンションの他に池袋にビル、目白と練馬と大
崎にマンションをそれぞれ一軒づつ持っており、それらからあがってくる賃貸料で生
活している。高卒ですぐ家に入れられた玲子の生活力でもこれなら不自由する事は
まったくないであろう。不動産の管理の方は祖父の推薦してくれた不動産会社のやり
手の女社長で、今では親友でもある宏美に全部まかせてあるから、完全に安心であっ
た。
そして、その一人息子の功司も四月に中学三年生になった。玲子にとっては今や唯
一の肉親との生活は――。
「おはよ……」
5LDKの部屋とトイレ、浴室の掃除と洗濯物の干しがすんだ頃にようやくその功司
が起きてきた。
ぶかぶかのTシャツにトランクスだけと言うラフな格好だ。二人きりの時はいつも
こうである。身長はまだ玲子と同じくらいだから百六十五くらいだろうか。祖父の命
令で幼稚園の頃から空手を習っている身体は引き締まってなかなかに強力である。し
かし、寝起きの今は電池の切れかけたおもちゃのように鈍くしか動けないようであっ
た。
(ったく!暴れすぎなのよ、毎晩毎晩!本当に休みもなく!ママ、昨夜だけで何回死
んだと思うの?!)
「おはよう。歯は磨いた?それからシャワーも浴びてきなさい。汗をかいているで
しょう」
「…ねむい……」
「遅くまで騒いでいるからよ。いったい何時に…」
「だって、ママが離さないんだも…」
「いいから早くしなさい!」
母に叱られて功司はのそのそとバスルームに消えていった。その後姿を見ながら玲
子がため息をつく。
「まったく朝からなんて事言うのよ。思い出しちゃうじゃない」
そう言って急に頬を染める――思い出してしまったらしい。
玲子は赤い顔のまま急いで朝食の準備をした。二人の取り決めで朝食のメニューは
和洋交互と言う事になっており、今日は洋の日だ。玲子はいそいそとパンを焼き、ハ
ムエッグ、コーンスープにレタスとトマトのサラダを作り始めた。
準備が整ったのを見計らったようにバスルームから功司があがってきた。さすがに
目がはっきりしている。
「パンは三枚焼いたわ。足りる?」
「うーん、もう一枚足して」
さすがに育ち盛りである。来年にはその身長が玲子を抜く事は間違いないであろ
う。
玲子は手際良くテーブルに用意した朝食を並べた。パンは功司指定の四枚と玲子の
二枚。まだまだ子供のくせに功司は辛党でジャムは使わない。もっぱらバターたっぷ
りだけで、蓋をあけられたマーマレードと苺ジャムは玲子用であった。
飲み物も玲子は紅茶だが、功司はジョッキについだミルクである。元気な事だ。
「そうそう、起きがけにメイルを見たら夏休みの予約取れていたよ」
生きかえったように元気良く食べ出しながら、功司がとても嬉しそうに言った。
「あのインターネットで見つけたって言う温泉旅館の事?」
「うん。三泊四日で値段はサイトどおり。まずまずでしょ」
「まあ良心的だったけど――でも山の中でほかには何もない所なんでしょう。こう
ちゃんがつまんないんじゃない?」
「いーや。旅館そのものがすっごく楽しい所だそうだから他はどうでもいいんだ」
功司は明るく笑った。それが何かの下心を隠すためのものだと察知できるほど、お
嬢様育ちの玲子はすれていない。
「そう―――じゃあ、まあ久しぶりに温泉でゆっくりしようかしら」
「いや、忙しくてゆっくりは出来ないと思うよ」
「?」
息子の言っている意味が判らない玲子であったが、聞きなおす前に電話が鳴った。
出てみると相手は資産の管理をまかせている不動産会社社長の宏美である。
「ごめんなさい。玲子さん。ちょっとお休みをいただいていたものでしたから、連絡
が遅れまして――営業から聞きましたわ。四月からそちらへ入ったお客さんのことで
すって?」
「ああ、宏美さん。そうなんです。御本人から直接連絡がありまして、何でもお子さ
んが――」
そうやって、ひとしきり仕事の話をしていたが、親友同士である二人の会話はいつ
の間にか世間話へ移っていってしまう。まあ、いつもの事だ。女は本当にこれが好き
なのである。
「そう言えばゴールデンウィークはどこかへ行っていらしたの?」
「え?………ええ―――その、息子とちょっと温泉へ……」
「へえ、いいわねえ。あたしの家も夏休みには温泉に行く予定ですの。場所は――
えーーとっ、どこだったけ――ああ、そう言えば宏美さんはどちらの温泉へ?」
「………う、うーん。あ、あの、あ、あんまり、ゆ、有名なところじゃないから言っ
ても判らないじゃないかしら…」
「あらそう?」
「そ、そ、そうなのよ。おほほほ……」
何故か宏美は過剰に笑い、二言三言何か言って急に電話を切ってしまった。何か慌
てたようなそぶりだったが、玲子には意味が良く判らない。もともとあまり他人を疑
わない性格なのである。
受話器を戻して食卓に戻り、玲子は残されていたジャムたっぷりのパンとスープを
やや急いで流し込んだ。もう時計は9時をまわっている。掃除洗濯は済んだとは言
え、今から買い物や料理の時間を考えると、そんなに余裕はないはずであった。
いつもはとろいくらいに遅い玲子がようやく全部を食べた頃には功司もすでに全部
を食べ終わり、空の食器だけがテーブルに並んでいた。
「さあて」
ややわざとらしく呟きながら玲子はエプロン姿のまま立ち上がり、片づけを始め
る。二人きりの家族だから朝食なら皿洗いも大した量ではない。母一人でもあっとい
う間であろう。
しかし、何故か玲子は動きながらもちらちらと息子の方を見てしまっていた。別に
手伝って欲しいわけではない。“また、何かやる気じゃないかしら?”と疑っている
のだ。理由は今朝は玲子が全く相手にしていないからで――
期待――いや、予想は皿洗いを始めた瞬間に的中した。キッチンに向かう姿勢上や
むなく向けた玲子の背に熱い塊のようなものがおおいかぶさったのである。もちろん
それが息子の肉体である事は振り向かなくても――一年も前から判りきった事であっ
た。
「…ちょっとやめてよ。こうちゃん」
それでも玲子は抗議の声を上げる。自分でも“一応は”とか“体面上は”と形容詞
をつけたくなるほど弱気な声であった。喉に力が入らないのだからしょうがない。い
や、これからの事を想像しただけで腰まで力が抜けそうでーーー。
(いけない!今日こそはびしっ!と言って母親の威厳を取り戻さなきゃ!じゃないと
これからもずっとこうちゃんの言いなりよ!――まあ、それも嫌いじゃないけど…い
やいや!やっぱり母としての責任もあるんだし!)
それでも(本人だけには)悲壮な決意をして、背中にのった息子の身体を全身をふっ
て拒絶した。しかし、反射神経の良い功司は寸前で身体を離したので玲子の身体が半
回転ほど空回りしただけである。せいぜいふられた右手が息子の股間の前を通過する
時に、すでに触れた肌に跡が残るほど熱くなっている硬質な肉棒の先端をはじいたく
らいであった。
(も、もう、こんなに……)
思わず玲子が赤面したのはその硬さへの意外性よりその後の事態への予想のせいだ
ろう。
予想は違わず、功司はこりずにまた身体を押しつけてきた。Tシャツだけの上半身
とトランクスだけの下半身が玲子の後ろにのしかかる。どちらも声が上がるほどに熱
く、そして硬くなっていた。
「ちょっと…やめなさい。皿洗いできないでしょう」
「それより先にする事があるじゃん」
(あ…やっぱり……!)
玲子の思ったとおりであった。二人きりの時にはひたすら母から離れない子なの
だ。特にあの日からは―――
「やめなさい。ママはすることがあるの」
「どしてそんな意地悪言うのよ。ママ」
功司が言った。大きな声ではない。耳元でそう囁くのである。だから拗ねたような
台詞と同時にねとつくような熱い吐息も玲子の耳から首筋にかけてたっぷりと吹きつ
けられるのだ。もうそれだけで玲子は目が眩みそうであった。
「意地悪じゃないわよ……」
それでも抵抗したのは母の威厳を意識しての事であろうが、声が震えていたので効
果はなさそうであった。そして、たったそれだけで母の虚勢を確信した功司はさらに
自信を持って手の中の豊満な母の肉体をなぶり始めたのである。
功司の左手がエプロンの裾から玲子の胸を、右手がスカートをまくしあげてパン
ティに触れるところまでまで伸びた。どちらも抵抗も出来ないほど素早く自然な動き
である。わざわざブラジャーやパンティの裾を指ではじいて、これからの行動を暗に
宣言する余裕すらあった。
「だって、今日はお目覚のお口もなかったし」
そう言う淫靡な動きを実行しながらも、功司の口調はあくまで甘えた風を装ってい
る。台詞の内容さえ問わなければ、幼子の実母への駄々っ子めいた甘えにしか聞こえ
なかったかもしれない。これからの事を予想すれば――あるいは今までの事を思い起
こせばこれが、余裕の現れである事は明白である。それなのにーー
十代の少年のものとは絶対に思えない優しく落ち着いた――そしてじっくりとじら
す手の動きに、感じつつも、あえて耐えて玲子は気丈にも抵抗した。(口だけでは
あったが……)
「普通のママはそんな事しないの!」
「普通じゃないじゃない。“こうちゃん”のママは」
そう言って功司はエプロンの下に潜入した左手をさらにするりと伸ばし、まだブラ
ジャーをつけていない玲子の乳首をつまんだ。ピッ!と電気にも似た快感が玲子の上
と下に走る。
「ほら、普通のママは息子に後ろから迫られた時に、こうやって期待で乳首を立てた
りしないんだよ」
功司は勝ち誇ったように囁いた。指はまだ乳首をもて遊んでいる。そこからの快感
ははっきりと玲子の身体に流れ、いつまでも止まらない。それに耐えるように玲子は
歯を食いしばる。
「……ママ、期待なんかしてないもん…」
「ほぉ――本当かな?」
功司の右手が玲子のスカートを割った。慣れた手つきで前からパンティーの中に入
り、柔らかい陰毛をかき分けてその下の秘肉にふれる。ぬめりのある小さな音が確か
にした。
「ほら、こーーーんなに濡れている」
そこから抜かれた功司の指が玲子の顔の前に示された。その人差し指と中指の間に粘
液状の何かが糸を引いてつながっている。玲子は恥ずかしそうにいやいやをした。し
かし、その体面に反して玲子の股間は、じゅん!と音まで立ててさらに湿ってしまっ
た。
「やっぱり嘘つきさんだ」
優しく言いながら功司は再度中指をゆっくりと玲子の秘肉にさしこんだ。まだいつ
もほどリラックスはしていなくて肉襞は狭かったが、すでにたっぷりと愛液が染み出
ており、功司の指にまとわりつくように流れる。もう一年も母の秘肉を楽しんでいる
息子には後どれくらいでここがとろけ出し、柔らかく熱い肉壺になるか容易に予想で
きた。
「まず、嘘つきさんにはお仕置きをしないとね」
そう耳元に息を吹きかけるように囁きながら功司は中指を抜き、次に両手をそろえ
てエプロンの下に入れた。玲子のパンティの両端に熱い手のひらが差し込まれる。そ
して功司はゆっくりと母のパンティを下げはじめた。
「…………」
母としてはここで怒るのが普通なのだろうが、秘肉が濡れていることを指摘された
恥ずかしさか、それともこの後の期待のせいか、玲子は抗えない。ただ、歯を食いし
ばり、目に力を入れて閉じ―――そして頬を染めて次の息子の動きを待つのである。
功司はすんなり母のパンティを脱がす事に成功した。玲子が無言で脚を上げて協力
してくれたおかげである。そして、勝ち誇った笑顔で下半身が剥き出しになった母の
淫靡な後姿をしばし眺めて堪能した後、次の行動を開始した。
(……また、あそこを指で声を出すまでいじくるのかしら?それとも胸を触りながら
のキスなのかも……いやいやこの前のようにいきなり後ろから……!)
べちゃ……
「ひうっ!」
湿った音にあわせる様に玲子の口から小さく悲鳴が漏れた。下半身から快感が、理
性から恥ずかしさが同時に心臓に走り、鼓動が倍加する。
たとえ見なくても功司が跪いて母の股間に後ろから顔を寄せ、舌で肉襞をなぞった
事はわかる。この感触は絶対に間違いないのだ。柔らかいくせに弾力が強く、そして
何故かやや冷たいこの感触は確かに息子の舌による愛撫であった。
「こ、こうちゃん……やめて……ママ、恥ずかしい………」
後ろのやや下から下半身の女の秘部を全て見られているのだ。大きな尻も、女とし
て見られたくない菊座も、そして母として絶対に見せてはならない――息子の愛撫に
悦んで愛液をしたたらせる秘肉さえも――
しかし、玲子の消え入るような哀願も功司は聞こうとしなかった。にやにやしなが
らさらに舌を動かして秘肉に差し込み、次にはクリトリスまで舐め上げる。母の本音
はよーく判っているのだ。口では何と言おうとも“もっとして――”であることが。
「ひ…ひいぃぃっ………」
功司の愛撫はしつように続けられた。舌だけではなく指も十分に使っており、玲子
は押さえようとはしていてもあえぎと悲鳴の入り混じった声が止まらなかった。
そして大した時間もかからずに玲子の膝が震えだし、腰が大きくゆれだす。すでに
下半身に力が入らなくなったようで、両手をキッチンについてかろうじで身体をささ
えていた。
なにせ体育会系の功司は体力には自信がある。跪くという無理な姿勢なのに、玲子
がよがり狂うまでに愛撫は執拗で激しく、そして終わりがないかのように続けられ
た。
「も、もう駄目ぇぇ……こうちゃ…ん。や、やめて…ママ、死んじゃうーーー」
そのままどれくらいたったであろうか。玲子の秘肉は音を立てるように愛液を流し
出し、下方の功司からの至近距離で見ると肉襞も飢えた口のように動き食いつく獲物
を求めはじめた。これなら今すぐにでもぶち込む事ができるだろう。もちろん功司の
股間の肉棒はずっと前からいきりたっており、先汁どころか、母の可愛い喘ぎ声を聞
いているだけで爆発しそうであった。
その衝動にやむなく舌を離し、そっと立ち上がる。
「――あん…いやぁ、やめちゃ…い、いや、そのぉ…あぁ……」
「ねえママ…欲しい?」
息子の愛撫によがる母の上気した耳に息を吹きかけるように功司は囁いた。同時に
固すぎるほどの肉棒を股間に注し入れ、息子のよだれと母の愛液でびしょびしょの秘
肉の淵をなぞるように動かす。自分だって危ないくせに、まだ余裕を装えるのが息子
が常に主導権を握っている理由であろう。
「……………」
玲子はすぐに答えなかった。さすがに先ほど自分の中で毅然とすると決意したばか
りだけに口に出すのは恥ずかしかったのである。それでも我慢できないのは事実であ
り、玲子は恥ずかしさで一杯になりながらも無言のままゆっくりと両腿を開いた。
「駄目だよ。口でちゃんと言わなきゃ」
息子の肉塊の先端が開かれた股間の奥の肉襞にあてがわれた。が、そのままで動き
を止めて功司は囁く。まだ許さないつもりらしい。
「…………」
息子の意地悪な意図は明白であった。悔しさと肉欲の飢えで玲子は一瞬、目が眩み
そうになる。それでも何とか淫らな声を押さえたのは母としての意地であったのだろ
う。いくらそう言う仲だとは言え、母子として―――
「どうしたの?お願いしないとこれ以上しないよ」
(だって……そんな息子にお願いして姦ってもらう母親なんて!)
「こーーなにママ濡れているのに。まだ、聞き分けがないの?ほら、あてがっている
だけで僕のおちんちん、びしゃびしゃなのに」
本当だった。玲子の肉襞からは愛液が滴るように流れ出ている。先ほどの愛撫とそ
れ以上にこの意地悪なじらしのせいだ。下から見たら股間から内腿にかけて、ねばつ
く甘い液体によって肌がぬめるように光っているのが見えたであろう。
それが判っていても、それでも玲子は声を出さなかった。身体はすでに受け入れよ
うとしているのに―――でも、さすがに口に出して言うのは……
「……じゃ、しょうがない。今日はこれでお終い」
さすがに母の強情にあきれたのかもしれない。功司はそう言って意外にあっさりと
腰を引き、肉棒を離した。その時――
「だ、駄目ぇ!こうちゃん、離しちゃ……」
ついに母は陥落した。もう、終わりと思った瞬間、我慢出来なくなったのである。
功司はにんまりと笑う。あの貞淑そのものの美人の母が、羞恥心と、そしてそれ以上
の欲情に震えながら、泣き声で嘆願し、腰を振り股間を開く――なんと甘美な光景で
あろうか。これだから母を虐めるのはやめられないのであった。
「え?何だって?ちゃんとはっきり言いいなよ」
しばしの沈黙があった。悩んでいるのか恥じているのか――功司はわくわくして待
つ。そして―――
「こうちゃん…お願いします。ママを――ママのいけないあそこに、こうちゃんの硬
いおちんちんを入れてください……」
ついに玲子がかすれるような声で言った。耐えきれないほど恥ずかしく、そしてそ
れ以上に淫らな自分の台詞に股間がわなないてしまう。同時に功司は腰を突き出し
た。こちらももう限界だったのだ。こんなにも淫らで可愛い母を見たのだからなおさ
らである。
「ひ、ひいいぃぃ……お、奥までくるぅぅ…」
「ママ―――可愛いよ」
功司の腰が乱暴に動き出し、玲子の悲鳴はさらに大きくなった。それに混じって濃
いスープを掻き回すような音までする。張詰めた肉棒が濡れすぎた肉壺をすりあげる
音だ。
「あ・あ・あ・あ・あああぁぁぁ……こう、こうちゃんの…大きっいぃぃ…ああぁ!
あ、あついのぉぉ…」
功司の攻撃は繊細ではなく、むしろ体力任せではあったが、獣に堕ちたような今の
玲子にはそれのほうがむしろ刺激的であった。一度理性が飛んでしまうと、後は息子
に犯される淫らな牝と化し、股間からの叩きつけられるような快感に、ただただ女体
を震わせ悲鳴を上げるだけである。
すでに玲子はまともに立っていられず、キッチンを掴んだ両手と白い尻を抱える息
子の手、そして肉壺の中で暴れる息子の肉棒だけで女体を支えている。その不安定さ
がまた淫情を増加させ、声をさらに大きくさせた。
「く…すごいね。ママ。本当に食べられちゃいそうだよ」
功司の方もそろそろ限界が近づいてきたようであった。たまらないまでの母の痴態
に加え、母の肉壺――締め上げて吸い込むと言ういやらしすぎるほどの刺激にさきほ
どから我慢してきた肉棒の先端がもう破裂しそうである。そしてついに――
「ごめん、ママ。もういっちゃう―――」
「あああぁぁぁ――!」
功司の声はよがり狂う玲子には判らなかった。しかし、その息子の肉棒が爆発し、
母の肉壺に注ぎ込むようにミルクを発射した瞬間、何百回も肌を合わせてきた呼吸に
よってか、それとも母としての本能のせいか――同時に玲子も絶頂に達した。
朝食後の大騒ぎにようやく一息つくと、玲子はいつもどおりに後始末をした。功司
を椅子に座らせ、今度は玲子が跪いて功司の股間に顔を寄せる。あの生意気でいつも
母を虐めている肉棒をお口で綺麗にするのだ。
(んんん―――終わっちゃうと可愛くなるのね。これがあーんなに大きくなってあた
しを泣かせるんだから、ほんと悪魔なんだわ。こうちゃんのここって!)
玲子は何やらぶつぶつと思いながら、息子のミルクと自分の愛液を舌と口で丁寧に
舐めとっていく。この時の母の真面目で、それでいてかなり淫らな表情を見るのが功
司は大好きだった。
「いいなあ。ママの口って最高だよ。ほんと僕の為にあるみたいにぴったりなんだ」
「うるさいわね!可愛がってんじゃないわよ。綺麗にしてやってんの!勘違いしない
でよね!」
「はい、無駄口は叩かない。舌と手はこっちに使いましょう」
「もうっ!」
そうしていつもの後始末を終えると玲子はシャワーを浴びた。股間から足首にかけ
て自分の愛液と息子のミルクで濡れそぼっているだけではない。その他も汗でびっ
しょりである。これから買い物にいくんだから綺麗にしなくては。
「あれ、どっか行くの?」
浴室から出てすぐ化粧を始めた母に功司は不思議そうに言った。
「ちょっと池袋まで買い物があるの。昼ご飯は自分で作ってね」
「じゃ、僕も行く。ちょうど買いたい物があるんだ」
「え?ええーーーっ!」
今日だけは一人で行きたかったのだが、功司がごねたのでどうしようもなかった。
本当に甘い母親である。それに見れば時計は十一時近く、ここでもめて時間を浪費す
るわけにはいかないのだ。
「しかたないわね。来ても良いけど今日はママの買い物優先だからね。いいっ!」
「はーーーーい」
二人はマンションの地下駐車場から自家用のセダンで池袋に向かった。
板橋から池袋までの道はたいてい混んでいる。この日もアクセルはそう踏めない程
度の渋滞だった。それでも何とか三十分くらいで池袋駅が見えるところまでは出れ
た。
その時である。
「う……」
突然、助手席の功司がうめき声を上げた。見ると難しい顔で腰の辺りを押さえてい
る。
「どうしたの?!どっか痛いの?」
「ちょ、ちょっとどこか休めるとこに連れていって…まじでやばい――」
「えーーーっ!」
この時、幸いに信号で止まることができたので、玲子は大急ぎでギアをPにし、息
子の腰にあてた手をどかそうとする。さっきの大騒ぎで腰でも痛めたのかと本気で心
配になっていたのだ。
しかし、何故かその手に、なじみのある硬く熱い感触があたった。
「……え?」
「ママ。ごめん。立っちゃった」
功司のジーンズのファスナーがあけられ、そこから本当に棒のようなあれが直立し
ていた。思わず見入ってしまったが間違いない。さきほど母の舌で綺麗にしたそれ
は、立派に――いつものように臨戦体勢で勃起していた。
「ど、ど、ど、どうして!?ついさっきも、たっぷり………!」
「やっぱり池袋に来たからだと思う。ここに来る時はいつもホテルでご休憩だったか
ら」
言われてみればそのとうり。去年から、池袋に来た時はたいていその手のホテルで
二人きりの楽しみを味わっていたのだ。しかし、だからと言って――
「こ、この“パブロフの犬”息子!」
運転席で絶叫した玲子であったが、現実は変えられない。功司がここまで反応して
いるのは事実であったし、そうである以上、これをこのまま放置していくとこの先ど
うなるか――例えばデパートの試着室に突然引っ張り込まれたり――判ったものでは
ない。当初の予定をやむなく(?)変え、仕方なく何とかすることにした。
「何だよ。ほんとは嬉しいくせに。顔が紅いじゃん。きっと乳首とあそこも――」
「お黙りっ!」
玲子は乗用車を池袋駅地下駐車場に入れ、駅の西口から大塚向きに功司と歩いた。
そちらの方角にホテル街があるのである。まだ十二時前のせいもあってか、ホテルを
目指していると考えただけで恥ずかしく、頬が火のように熱い。まして連れているの
は美少年で、かつ実の息子であり、また野獣のように実の母に欲情している功司であ
る。何をどう考えても、視界がぐらぐらするほどに血が逆流してしまう刺激的な現実
であった。
「ここにしようよ。ねっ!」
功司はホテル街の中ほどにあった、とあるホテルの入り口を指差した。初めて来た
ところにしては確信的である。どうせインターネットやその手の雑誌で下調べは完璧
なのに違いない。いや、そもそも今日池袋の買い物についてくると言ったのも―――
「じゃ決まりね。Let’s go!」
母子が入った部屋はなかなか良かった。全般的に清潔感があり、採光や照明もちゃ
んと計算されていて、十二時前というのに落ち着いた雰囲気である。壁や天井はほと
んど鏡張りで大きなダブルベットのある部屋と、二人がたっぷり入れる浴槽にまるで
ソープのようなマットのあるバスルームで構成されていた。
「…………」
部屋に入ったと同時に功司は母を抱きしめ、何も言わさずに唇を奪った。舌が荒荒
しく母の口腔をねぶり愛撫する。注ぎ込まれる息子の甘い唾液と、ふるえがくるよう
な乱暴で執拗な触感を玲子はたっぷりと堪能した。
「……もう、激しいんだから…」
やっと功司が唇を離し、ようやく玲子は声を出せた。すでにとろんとしてしまい、
抗議も甘えているようにしか聞こえない。功司はにやりと笑いながら手際良く手を動
かす。もちろん母の服を脱がせているのだ。
「ちょっと――どうするの?」
「お風呂に入るの。僕がママを洗ってあげるよ」
抵抗すらさせず巧妙に母を全裸にした功司は、自分も服をさっさと脱ぐと押すよう
にしてバスルームに母を連れていった。
バスルームは綺麗に掃除されていた。もちろんこの母子が今日はじめての客なのだ
ろうが、きっと毎晩のように、ここでさまざまな男と女が、肉欲かそれとも愛を確か
めあっているのに違いない――そう考えて玲子は思わず艶かしい気持ちになる。
(あたしも――こうちゃんもその一人なんだわ。でも…)
きっとこの母子ほど淫靡で背徳的で――深く愛し合っている二人はいなかったので
はないか――玲子は何故か確信を持ってそう思った。
「はい、こっち向いて!」
そんな母の思いも気づかずに功司はシャワーをひねった。熱めの刺激が玲子の頭か
ら身体にかかる。中からすでに熱くなっている玲子には気持ち良かった。
「はい、座って!」
功司は浴槽にお湯をためながら、玲子をマットに座らせて手際良くその裸体を洗っ
ていった。さすがに慣れている(?)だけあって、その手の感触が玲子にはたいそう
心地よい。すぐにも全部洗い終わってしまったのが残念なくらいであった。
「はい、終わり!じゃ、今度は僕を洗って!」
玲子を泡まみれにして功司はそう宣言した。ちょっと惜しいがまあ玲子に異存はな
い。功司の手から泡のついたタオルを受け取ろうとする。しかし、功司はそれをさっ
と洗面器に放り込んでしまった。
「は……?」
「駄目だよ。ママは身体でやってくれなくちゃ」
そう言って功司はマットにごろんと仰向けになった。その腰の辺りにはほとんど腹
についている狂暴そうないつもの肉棒が嫌でも見える。それで玲子はようやく息子が
望んでいる事が判った。
「…………つまり…そ、その…ソープみたいな事をして欲しいの?――」
「ピンポーン!」
(もう、この子ったら――こう言う好奇心はほんと尽きないのよね……)
嬉々としている息子の表情を見て、玲子はため息をついてしまった。もちろんあき
れたのである。比べてはいけない事かもしれないが、かって唯一の男だった前夫とは
えらい違いであった。
前夫は玲子を定期的に組み敷き、ただ出すだけの男だった。愛撫らしきものについ
ても記憶が薄いし、こんなプレイの考案もなかった。いや、そもそも玲子に向けてこ
の功司のような熱く燃える瞳を見せてくれた事があったであろうか。
(……それって、ひょっとして――わたしへの思いの差なのかしら)
ため息をつきながらも不意にそう思って、玲子は胸がずきりとうずいた。同時にそ
の衝撃によって頬が熱くなり、腰のあたりに一瞬力が抜けたような感触が走ったのが
はっきり判る。
「どしたの?まだぁぁぁ?」
母の気も知らない息子がぶうたれた。ムードのない事である。玲子はまたため息を
つきそうになった。
しかし、この母の長所は息子の期待を決して裏切らない事である。どんないやらし
い事でも受け入れなかった事はかってない。特に今は胸のうずきが瞳や乳首、股間の
秘肉に直結していて――
「……こう――するの?」
玲子は急いで、しかし、かなりぎこちなく功司の裸体に覆い被さった。胸や腹や足
がぴったりと触れ、息子の肌からの熱さを目が覚めるほどに感じてしまう。玲子もか
なり熱いはずなのに。
「…………」
泡まみれの裸体で熱いまでの息子の裸に乗った玲子はすぐには動かなかった。その
熱さが証明する息子の期待を肌で感じてしまった感激に動けなかったせいも、もちろ
んある。しかし、本当はこれからどうして良いのかわからなかったのであった。
それはそうであろう。なにせ“箱入り母”である。ソープのサービスなどわかるわ
けがない。“泡踊り”とか言う単語は聞いた事はあるが具体的にそれが何なのかは
知っているはずもなく、とにかく何かしなければとは思うのだが―――
(ええっと、どうしよう――泡踊りとか言うらしいけど、泡っていうからには泡で何
かするのよね…)
無言で慌てている母を至近で見ながら功司はにやにや笑っていた。母好みの息子に
とって、息子の為に母が悩む姿は何度見ても嬉しいものなのである。
「何してんだよ。まだぁ?」
母の困惑をわかっていてあえてせかしてみる。実の母に息子が言う台詞でも、また
言えた状況でもないが、息子より百倍は純情な母はたったそれだけで降参してしまう
のであった。
「……ごめん――どうすれば良いの?ママ、よく知らないのよ…」
消え入りそうな声で言う母に功司はたっぷりと満足感を感じた。ここまでわがまま
を真剣に考えてくれたとは――と感動したのである。もともと母がソープまがいのこ
とが出来るなどと思ってはいない(普通の母親なら当たり前だ)。
ただ、自分の為に悩む母の姿を見てみたいという息子のわがままなのである。この
二人にはいつものことであった。
そして、希望どおりわがままは通った功司は思わず言ってしまった。
「――僕だって知らないよ。ソープなんか行った事ないし、雑誌にも肝心なことは書
いていないし」
二人の間に無言の時間があった。しまった――と功司が思ったのは次の母の台詞を
聞いてからである。
「―――そうよね。普通ならあたしは知らないし、こうちゃんも判らないはずよね
!」
功司にもやや声が怒っているのはさすがに判った。自分のからだの上に乗った熱い
裸体の母から結構厳しい視線が突き刺さる。しかし、それに対する動揺を素直に出す
ような息子ではない。平気でこんなことを言うのだ。
「まあ、いつか本当のソープにいったら調べておくよ」
「…………」
やや、沈黙があった。功司はすぐには気づかなかったが、玲子は先ほど以上の険悪
な目つきになっている。次にその紅い唇からもれたのは呪詛めいたかなり怖い声で
あった。
「……ソープでも何でも―――こうちゃんが他の女にこんな事をしてもらったら
――」
「――――?」
「殺す」
そう言う玲子の表情も瞳も冗談には見えなかった。それは、もし、将来にこの宣言
を実行したとしても二人とも意外には思えなかったほどだったのである。
しかし、至近距離でその事を確認した功司は、何故か、にやり――と微笑む。恐縮
したようには絶対に見えない。玲子にはその意味を計れなかった。
(――どうせ、聞いたって白状しないわよね!くやしいーーっ!)
息子の得意げな表情に本気でむかむかした玲子は、その悔しさもあって、泡まみれ
の裸体を力を込めて動かし始めた。それはまるで息子の身体をしごくかのような激し
くも妖しい動きであり、泡とお湯と若干の体液がぬめり、バスルームに熱めで湿った
音がたっぷりと流れた。
「……ど、どう?気持ち良い?」
しばらく一生懸命裸体を動かし、玲子は囁くように言う。声を潜めているのではな
い。これをやってみると声を出すのも大変になってしまったのだ。
とにかく自分の裸体で息子の裸体をしごく事を意識して動いているのだが、これが
想像以上に深い触感なのである。泡のせいかいつも以上にスムーズに身体が動き、そ
の分、息子の熱さと硬さがもろに裸体に伝わってくるのだ。
(……こうちゃんって――こんなに熱くて――その硬かったけ?…)
特に抱きついている息子の裸体の筋肉の存在感は意外なほどであった。そしてその
硬さがじっくりと玲子の乳首や股間を刺激する。他の部分も泡と湯と体液を間に含ん
でいるせいか、まるで湿った舌で全てを舐められているかのような微妙な感触で一杯
になる。責めているのはあたしのはずだったのに!
「うーーーーん。これ良いよ。ママの肌って最高」
効果はあるようだった。母の下で功司がうっとりと薄目になっている。母が動くた
びに下腹や股間、腿にあたる肉棒も灼熱のように熱く、そして硬い。
「そ、そう…良かったわ…その――もっとこれしてていい?」
息子の反応が嬉しくもあったが、それ以上に玲子の身体の方がたまらない。ただ泡
を介しただけで肌を合わせるという――二人には普通の行為がこんなに刺激的になる
なんて思いもよらなかった。
(しかし、普通のソープの女の人は仕事とは言えこんな事をやって良く平気でいられ
わね。それとも、あたしとこうちゃんだからこそこんなに感じるのかしら)
「うん、良いよ。そのまま続けてよ。そろそろいきそうなんだ」
「え?――駄目よ、そんなもったいない!」
思わずはしたない事を叫んでしまった玲子であったが、その事を恥じている余裕な
どない。泡まみれのまま両手で息子の股間を探り肉棒を掴むと、腰を真っ直ぐに寄
せ、まるで食いつくように肉壺に打ち込んだ。すでに十分に濡れてはいたが、その乱
暴なまでの急な刺激に母の肉壺の全ての秘肉に若干の痛みが走る。しかし、同時にそ
れ以上の快感も走り、一瞬、目が眩んだ。
「な、なにするんだよ。乱暴な!」
功司が驚いたように言ったが、日頃の行動からしてどう考えても文句が言えた義理
ではないだろう。本人もそれは判っているらしく顔は笑っていた。玲子の方は肉壺か
らはしる快感にそれどころではないのだ。
「だ、駄目よ。許さないわ。自分だけいっちゃうなんて――」
「やれやれ、本当にママはわがままなんだから」
快感にとびそうになる母の精一杯のうめきを心地よく聞きながら、功司は巧妙に腰
を使い出した。母の裸体を下から貫く肉棒を上下に、しかも斜めから横の動きをも含
めて突き上げる。いずれも母――いや母の身体が大好きなものであった。
「ひぃ…ちょっと…ま、待って――ママにやらせてよ…」
「だーめ。ママは僕に犯されている時が一番綺麗なんだから」
「く、くやしいぃぃ…」
その間にも息子の肉棒が母の肉壺をえぐり、愛液を垂れ流させる。下から突き上げ
られ、腰が浮いてしまうと身体を支えるものがない玲子は空に放り出されたかのよう
な感じになり無意識のうちにも何かを掴もうとした。しかし当然、そんな物はないの
で、結局唯一掴んでいる肉壺内の息子の肉棒だけに力が入り、その分息子を悦ばせる
のである。
「い、いく―――いっちゃう…」
大した時間もかからず、玲子の脳裏に閃光が走った。意識がすっと遠のくほどの快
感に全身が痙攣を始める。
「もう、自分勝手なんだから」
口だけは余裕を持っていた功司も母のこの絶頂の表情と声にたまらず、ついに音を
立てんばかりにミルクを大量に発射した。
結局、何回いかされたであろうかであろうか。
一回目の後は二人で浴槽に入り、そこで功司が玲子の白いCカップの乳房を執拗に
貪った。それだけで玲子が耐えられなくなりそうになるとそのままベットに運ばれ、
鏡の前で座位で姦られた。失神した後には舌による奉仕を要求され、汗と母の匂いで
一杯になった息子の裸体のすみずみを犬のようになめまわす。そしてそのご褒美とし
て玲子の望んだ屈曲位で犯されるように姦られたのである。
だからご休憩時間が終わり、ホテルから出た時にはもう玲子は腰も頭もとろとろで
息子の肩にしなだれかからんばかりであった。“他人に見られたら”と言う理性すら
ぼやけるほどに、“いって”いたのである。
「じゃ!僕は見たい本とかCDがあるから、先に帰っておいて」
そんな玲子に、さわやかに功司は宣言した。そしてそのまま止める間もなく、
さーっと駆け去ってしまう。玲子には何が何だかさっぱり判らなかった。
「………何なのよ、こうちゃんったら!」
ようやく事態を理解して玲子は息子の後姿に小さく罵る。確かにこれではせっかく
の余韻が台無しだ。まさに“デートを途中キャンセル”されたような気分で、おとな
しいはずの玲子の眉がめずらしいくらいに逆立ったのが自分でも判るくらいであっ
た。
「……まあ、しかたないわね――」
ややするとそれでもそう呟いてしまう玲子であった。確かにここで怒っても仕方が
ない。もともとああ言う息子なのだし、こう言う息子に本気で恋した以上、母――い
や、女としてこの程度は―――
そう自分をなだめながら時計を見た玲子は少し慌てた。すでに午後三時近かったの
だ。ホテルのご休憩をフルに堪能したのだからこれくらい時間がたつのは当然である
――いや、そんな事よりこれでは今日予定していた夕食を作っている暇がないではな
いか。ホテル街から池袋駅に早足で歩き出した玲子は少しパニくりながらも、なんと
か予定をたてなおした。
残念であるが、当初に予定していた“まるごと一羽チキンのロースト”を含む夕食
の献立は中止だ。幸い池袋にいるので幾つもあるデパートの地下で適当な惣菜を買っ
てすまそう。せっかくの“あの日”であり、また功司の事を思うと少し可愛そうだが
――でも、これもみーーんな、ママに優しくないこうちゃんが悪いのよね!
「ママをこんな時間まで虐めて、しかもその上におっぽり出して遊びに行ったんだか
ら!」
台詞の前半と後半のどちらにより力が入っていたかは本人にも謎である。
さて、そのように惣菜で今夜の夕食をすますと決まると今度は逆に時間が余ってし
まった。あの様子ではどうせまだ功司は戻っていないだろうと思うと真っ直ぐ帰宅す
る気にもなれない。
(まあ、一、二時間でいいから池袋で暇をつぶそうかしら――)
結局、久しぶりに池袋の自分のビルを見に行く事にした。
玲子のビルは駅からサンシャインビルに向かう60階通りから、駅よりに少し外れ
たところと言うなかなかの好位置にあった。オフィス街と繁華街の両面を持った池袋
に合わせた多目的オフィスビルで、地下にはイタ飯屋と中華料理店、一階と二階をブ
ティック、それより上の階は弁護士事務所や旅行会社等のオフィスとして貸し出して
いる。不動産会社社長である友人の宏美の腕が良い事もあっていつもほとんど満杯で
あった。
もっともその宏美に管理運営は一任しているので、ビルオーナーである玲子がここ
に顔を出すことは滅多にない。ビルの利用者でも玲子の顔を知っているのは極少数で
あろう。
なのに今日、覗いてみる気になったのは、その極少数の中でも特に親しい友人の顔
を久しぶりに見たくなったからであった。確か土曜の今ごろは三分の一位の確率で池
袋店にきているはずだ――
「あら、大家さん。久しぶり!」
一階のブティックに入るとすぐに大きな声がかかった。右手を見ると声にふさわし
い長身でスーツ姿の女性が大またで寄って来た。見るからに周囲を明るくさせるよう
な大作りの美人で、声も動作も外見も実に気風が良い。女っぽい玲子と並ぶとレズの
恋人同士にすら見えるくらいであった。
「“大家さん”はやめてよ。社長さん」
「じゃ、“社長”もやめてよ。玲子さん」
女性はそう言って大きく笑うと大げさな身振りで玲子に抱きついた。
「じゃ、オーナーの由佳さん。こんにちは」
「“オーナー”もやめて!おばさんくさい!」
これが玲子の友人の由佳である。年齢は玲子と同じくらいだが、この池袋店の他に
も幾つも支店を持つアパレル会社のオーナーだ。二人は例の宏美を介し、大家と店子
の関係として知り合い、今では大変仲の良い親友同士であった。
本音を言うと玲子はこの由佳の事をもう一人の親友である宏美と同じ位に尊敬して
いる。玲子と同じ母一人子一人の母子家庭なのだが、かなりのやり手で、亡父からの
借金で作った吉祥寺の一号店からはじめてたった十年かそこらで会社をここまで大き
くしたと言う。祖父の遺産で生きている専業主婦の玲子には本当に憧れの女性なので
あった。
最初に会ったのは三年位前だが、今では家族ぐるみの付き合いである。大柄で美人の
由佳には瑞樹と言う母親の店の専属モデルをやっている美形の一人息子がおり、これ
も功司とは仲が良い。男のタイプで言えば剛と柔くらい違うのだが。
由佳は玲子を二階端のオフィスに通した。事務室と倉庫と更衣室を混ぜたような雑
然としたその部屋のソファに玲子を座らせ、由佳自身がコーヒーを煎れた。
「で、どうしたのよ、今日は。買い物?夏物ならもう良い物が出てるわよ」
「いや、特に何か欲しいってわけじゃなくて、その近くまできたもんだから――」
その近くでさっきまで実の息子によがり狂わされてました――と心の中だけでつけ
たす。しかし次の瞬間、その淫らな独り言に反応してしまった玲子は真っ赤になって
しまった。
急に赤くなって視線を下げた玲子を不審に思いながらも由佳がコーヒーカップを手
にとって言った。
「?――ああ、そう言えば功司君もさっき来てたみたいね」
「えっ!」
今度は玲子の方が不審に思う番である。
(こうちゃんが?何故、この店に?本屋さんにいったんじゃないの?まさかあたしに
嘘をついて―――!)
思わず顔を上げた玲子であったが、不思議そうに見ている由佳の目と視線が正面衝
突してしまう。別に由佳の表情に悪意なぞないが、自分の考えていること――或いは
やっていることのやましさを思い出した玲子は慌て、無理矢理に視線をずらし話を変
えた。
「そ、そう言えば最近調子はどう?」
「ま、全般的には悪かないんだけどね」
玲子の不自然さには気づかず――或いは気づいたふりを見せずに由佳は話に乗っ
た。もともと他人が言いたくない事は無理に聞かないと言う男らしい性格の彼女であ
る。
「ここ池袋店が少しきついわ。フロアマネージャーの霧子を青山の店長にしたのが
やっぱ痛かった。あの子のファンがどっとあっちに流れちゃったのよ」
「まあ…霧子さんって、あのすらっとした――」
「そ、あの胸なし」
相変わらず口が悪い。言った本人はバレーボールのような巨大でがちがちの巨乳だ
からこの嫌味は実にきつかった。まあ、霧子と言うスレンダーな部下は由佳にとって
片腕のように頼りになり、またその分可愛がっているからこそ、こう言う冗談も叩け
るのであろうが。
「店のコンセプトはオーナーのあたしが決められても、細かい雰囲気だとかは現場の
スタッフのセンスだからね。そこらへんをマニュアル化しようとしても、そんなもの
出来あがった時には流行も何もすでにその先に進んでいるのだから意味がないのよ。
でもんで最後の調整は、結局、現場の子頼りになっちゃうの」
「ふーーん、そういうものなの」
「うん。そういうものなの。まあ霧子のファンはともかく、普通のお客さんもいまい
ちなのよ。後任のマネージャーの百合が悪いって訳じゃないんだけど、お客さんは正
直で百合の作る雰囲気が――空気や接客術まで含めて霧子のそれと違う事を微妙に感
じているの。その分、お店でのってくれないってわけ」
「?のるって……買い物なのに?」
「何言ってのよ。買い物は“のり”よ!特に服なんて、お客さんが『あたし、この服
に似合う!』って信じなきゃ買ってくれないものなの。冷静にデータを見つめて買う
ような物じゃないんだから」
強引なのだが妙に説得力はある由佳の理屈である。素直な玲子は素直に納得――或
いは信じた。そして、ついこんな事までいってしまった。
「そうだ!じゃ、妹さんに手伝ってもらったら。由佳さんの妹ならセンスも良いんで
しょ」
数ヶ月前に会った時に由佳が一回り近く下の妹を引き取ると言っていた話をたまた
ま思い出したのである。玲子にすればほんの話しつなぎのつもりだったが、何故か由
佳の反応は複雑だった。
「あ、ああ、里佳の事ね。そうね、あの子もいたわね―――でも、ちょっと問題が
あってねぇ……」
いつもの闊達さとは違い、何か言いにくそうな、或いは言いたくなさそうな由佳で
ある。血がつながった姉妹でも人間同士である以上、いろいろと事情はあるものなの
だ。礼儀としては由佳の顔色を察してここでひくべきなのだろうが、一人っ子で世間
知らずの玲子は今一つこの手の気配りには鈍い。つい余計な事を考えて、いらぬ事を
口にしてしまった。
「ひょっとして瑞樹君と上手くいっていないの?その妹さんと同居になったもんだか
ら――」
「いーーえ!と・っ・て・も・二人は仲が良いわよ!」
由佳の返事は怒鳴り上げんばかりであった。部屋の外にまで響いたであろう突然の
大声に玲子は半分くらい飛びあがってびっくりし、あやうく手のコーヒーカップを
ひっくり返すところであった。
「あ……ごめん」
親友の驚愕ぶりを見て由佳は我にかえったらしい。顔を半分赤くしながらも苦笑し
てみせる。まだ半分硬直している由佳もつられるようにして愛想笑いを返した。さす
がにここまでくると玲子でも言わないで良い事を言ってしまったと気づいたらしい。
正直言って、あの姉御肌の由佳がこうも興奮する理由を知りたくもあったが、ひとま
ずこの場はひいたほうが無難であろう。
やや気まずく笑いあう二人のところへ、ちょうど外からオーナーを探す店員の声が
聞こえてきた。
忙しそうになった由佳の元を遠慮したふりをして急いで退散した玲子は、予定通り
西武の地下一階と二階に行き、惣菜――ハーブ焼きチキンやビーフシチュー、サラ
ダ、パンなどを買いこんだ。家族は二人きりでも三人前は食べる奴がいるから量はか
なり多めである。
「重い……やっぱりこうちゃんを捕まえとくべきだったわね」
最後のケーキを買いながら思わず呟いたのは玲子の本音である。
そのままよたよたと駅地下駐車場へ行く。ちょっぴり期待はしていたが、そこに母
を待っている息子の姿はなかった。勝手に帰ると功司が言っている以上、当たり前な
のだがそこは甘えん坊の玲子である。他人が見ていないのを良い事にぶつぶつと息子
の愚痴を口にしながら車に乗り、乱暴にエンジンをかけた。
途中、また渋滞にひっかかった事もあって玲子がマンションに帰りついたのは五時
を大分回っていた。ちょっとだけ期待して玄関のチャイムを鳴らす。中から返事が
あった。
「お帰り、ママ、遅かったね」
ドアが開けられ屈託のない息子の笑顔が玲子を迎えた。そんな日常的な当たり前の
事でも玲子は胸に、“じいん”とくるような幸せを感じてしまう。自分でも驚くほど
今までの不機嫌があっという間に消え、つい笑顔になりそうになった。
「持ってよ!重いんだから!」
それがまた悔しいからついつい言葉遣いが邪険になる。功司はそれを気にもせず、
軽々と荷物を受け取った。
「わあ!すごいご馳走じゃん。今日何かあったけ?」
チキンやケーキを見て喜ぶ功司に玲子は半分微笑み、しかし半分は落胆をする。
(本当に今日が何の日か判ってないのかしら?―――あたしはずっと前から意識して
いたと言うのに……悔しい)
ちょっとふくれた玲子に気づきもせず、功司は料理を手際良くテーブルに並べ始め
た。買ってからそれなりに時間はたっているが、レンジで暖めたりはしない。実はこ
の母子はそろって猫舌なのである。
「?どうしたの?シャワー浴びないの?」
「え?あ、ああ…はいはい」
思わず考えこんでいた玲子に功司が日常的な質問をした。見れば本当に仲の良い親
子が浮かべるような屈託のない笑顔が玲子の視界に映る。何故か玲子は頬が熱くなる
のを感じた。
「汗を流しといでよ。夕食の準備はしとくからさ」
「ありがと…」
「いいって。僕だってお腹がもう限界なんだから。だいたい今日は昼ご飯も食べれな
かったからね」
それはいったい誰のせいよ!――と思わず叫びたくなったのをかろうじてこらえ、
玲子は浴室へ向かった。途中でちょっと振り向いてキッチンを見たが、息子は真面目
に食事の準備をしており、こっそり背後からせまってくる予定はないらしい。
「……ふーーんだ!」
食欲が性欲に勝ったと言うわけではないのだろうが、玲子がシャワーを終え、部屋
着のワンピースに着替えるまで何の事件もなかった。それが玲子には何となく悔しい
のだから女はわがままなものである。
テーブルには先ほど買った夕食が並んでいる。お酒は弱いけどワインは好きな玲子
の為にグラス半杯の赤ワインも添えてあった。
「いただきまーーーす」
行儀良く挨拶だけはして功司は目の前のご馳走にむしゃぶりついた。四人前はある
はずの料理が瞬く間にその胃袋に吸収されていく。それでも母の分はちゃんと残す息
子であるから、別に慌てずに玲子はワインをゆっくりとすすった。
「どうしたの。ママ。ちゃんと食べないと身体がもたないよ」
「うっさいわね!食べるわよ!」
だいたい、誰のせいで身体がもたなくなると思ってんのよ!――――とはさすがに
恥ずかしくて口には出せなかった。
結局、母が一人前食べ終える頃には息子は三人前をたいらげてしまった。育ち盛り
とは言え大した食欲である。毎晩、母を泣かすまで元気な理由がよーーく判るという
ものであった。
「さあっーーて。あとは確かケーキがあったよね」
「あ、ああ。そうね。今出すわ」
「せっかくだからソファで食べようよ」
「え?」
「いいじゃん。デザートくらいゆっくりじだらくに食べようよ。ねぇ!」
急にソファへ誘われて玲子の心臓が倍速で脈打ちだした。ソファと言ってもこの家
にはテレビ鑑賞用に大きなのが一台しかない。よって、ケーキはテーブルにおき、母
子は並んで座る事になる。そして、予想通りに功司は玲子にすりより――まるで抱き
かかえるようにして座った。
それでもすぐに功司は行動を起こさなかった。玲子の匂いやその身体の抱き心地を
楽しむかのように猫みたいにごろごろするだけである。
しかし、何かを意識している玲子にはそれが催促にも、また愛撫にも感じられてた
まらない。
「――ねえ……」
「ん?」
「―――その……何故このケーキを買ってきたと思う?」
功司の手は母の肩に手をかけられ、身体はぴったりと密着している。玲子のワン
ピースと功司のシャツ越しに息子の熱い体温が母の身体に染み込むように伝わる。そ
の刺激に思わず、このソファでやった二人の数え切れないほどの過去のSEXを脳裏と
股間で思い出してしまう。
そのせいか、さっき替えたばかりのパンティに恥ずかしい染みが出来たような感触
が確かに股間に走り、また心臓音も大きくなったようであった。
「えーと、何だったけ?」
玲子の期待に完全に反して功司はあっけらかんと首をひねった。思い出さないのか
思い出す気がないのか――とにかく、玲子の期待はかなえられなかった。
「…………」
玲子は思わず唇をかむ。母がここまで胸をときめかせ、また股間を濡らせているの
に何と言う無粋であろうか。玲子は純粋に腹が立ち、もう、ほっとこうかとすら一瞬
思ってしまった。こんなに触れている肌は熱いというのに!
それでも玲子が諦めなかったのは、今の二人の間の事実を確認したいという――こ
こ一年間の執念のあらわれであったろう。
「……思い出してよ。ほら、去年の今ごろ―――」
「何かあったけ?去年の今ごろと言っても――まだ地区予選前だし、中間テストには
まだ余裕があるしーー」
思い出さないのか、思い出す気がないのか―――
「ほら、こうちゃんが珍しく夕食を作ってくれてーーーそっ、そして、その後にママ
が気分が悪くなって――」
「ああ!思い出した!」
功司は元気に言った。
「初めてママが未成年の僕に淫行した日!」
「初めてこうちゃんがママを襲った日でしょう!」
思わず絶叫してしまった玲子であった。
「“ご飯を作ってあげる”とか言って料理酒代わりにブランディをたっぷり入れ、お
酒に弱いママがふらふらしているところを介抱しているふりをして服を脱がしてここ
で犯したじゃない!」
玲子の主張に嘘は全くない。確かにちょうど一年前にそう言うことがあったのであ
る。それまで仲の良い母子だった二人が初めて男女の関係になった事件であった。
「でもその前にもいろいろあったじゃない」
事実をつきつけられても素直に非を認めない功司である。
「な、何よ」
そして自信満々の息子に何故かひるむ母であった。
「ママがわざと下着姿でうろついたり、妙に身体を寄せて来たり」
「そ、そんなこともあったかしら…」
「あったの。それに僕は寝室でママがオナニーする時、僕の名前を呼んでるのも聞い
たもんね」
これも事実であった。きっかけは功司に誰かから来たラブレターを玲子が部屋の掃
除中に発見した事であろう。その時、自分でも我慢できないくらいの悔しさを感じた
事を今でもはっきりと覚えている。
「だって、こうちゃんがママの下着に悪戯していたし……」
功司がオナニーを憶えた頃であるからラブレターの件と同じ時期であろうか。その
事自体のショックもあったが、それ以上にたんに女の下着に欲情しているのか、それ
とも母の身体に恋焦がれているのかが判らず悶々と悩んだものであった。
「だって、ママとしたかったんだ。他の女なんてどうでもよくてただひたすら今みた
いになりたかったんだよ」
あっ気なく言って功司は玲子を抱きしめた。息子の暖かさと吐息が母の肌に触れ
る。
「ママはどうだったの?僕とはしたくなかったの?」
「……………」
面と向かってそう言われると何も言えない玲子であった。今はこれほどまでの関係
にはなっているが、あの時はどうだったであろう。どこかでこの危険な―――息子と
その身体を望んではいたのかもしれないが、母子相姦と言うあってはならないはずの
禁忌への拒否感もまた強くあったのも事実である。
だからこそ、あらわな姿を息子に見せる行為や故意に身体に触れさせる事――そし
て息子を思ってのオナニーにも、抜けがたいまでの背徳の喜びがあり、理性はいけな
いと主張しつつもやめられなかったのだ。
「ねえ、どうだったんだよ。ママは?したかったの?そうじゃないの?」
「………したかったの……」
息子の強い腕の中で、母は消え入るようなか細い声を出し、そう言った。至近距離
に顔を寄せていた功司がにっこりと笑う。それにつられるように――しかし恥ずかし
い告白の分、頬を染めて玲子も微笑んだ。
「よく言えました。じゃ、ご褒美にプレゼントをあげるね」
「?プレゼント?」
何の事か判らぬ玲子に功司がソファの下から包装された包みを取り出した。見れば
由佳の店の包装用紙である。
「あーーーっ!まさか、今日、由佳のお店に来たって言うのは――」
功司は最初から今日が何の日か知っていたのである。知っていてどきどきしている
母に今までとぼけていたのだ。
「もう!意地悪ね!」
「オーナーの由佳さんに礼を言っといてよ。“ママのプレゼントにする”って言った
ら黙って七割引にしてくれたんだ」
由佳も、息子が母にこっそりプレゼントを渡したい事が判っていて玲子には詳しい
事を言わなかったのだろう。なかなかに粋な女であった。
「ありがとーー!ごめんね。ママ、てっきりこうちゃんが今日の事を忘れているん
じゃないかと疑っちゃって――」
「いいよ。やきもきするママもなかなか楽しめたし」
「もう!」
「その代わり、今ここでこのプレゼントだけを着てくれない?早く見てみたいんだ」
「もちろん良いわよ。ママ、こうちゃんのプレゼントなら一生大事にするわ」
そう言って受け取った包みを玲子は急いで開ける。出てきたのは蝶の上品な柄が綺
麗な、白い絹のストールであった。色合いもデザインもまさに玲子の趣味にぴったり
である。
「わあ!すっごい!こうちゃん、これ高かったでしょう。幾ら由佳がまけてくれたと
は言っても」
功司の小遣いは普通よりやや多め程度しか与えていない。その上、たまにいかがわ
しいビデオ(母と子が実に仲良くしているような種類の)を買ったりと変な使い方を
しているから、決して余裕があるわけではないはずだ。
「まあね。この日の為にとっといたお年玉が全部ふっとんだよ」
「ありがとう!」
満面の笑みを浮かべ、玲子はさっそくストールを羽織って見せた。もともと上品な
若奥様風の玲子である。部屋着であるワンピースの上からでも、まるでこのストール
の為に用意されたモデルのように実に決まっていた。
だが、最愛の息子のお気には召さなかったようである。
「駄目だよ、そんなんじゃあ!約束を守ってよ」
「へ?約束って?」
「プレゼントだけを着てって言ったじゃん」
ようやく玲子は息子の悪だくみに気づいた。プレゼントのストールだけを着ろとい
う事は、つまり―――
「どしたの?約束守んないの?じゃあ、プレゼントは――」
「やります!守ります!」
またもや息子にはめられた悔しさはあったが、何と言っても功司のプレゼントであ
る。取り上げられでもしたら、涙がでてしまう。
玲子は息子の幸せそうな視線を浴びながらもワンピースと下着を脱ぎ、全裸になっ
てストールだけを肩にかけてソファに座った。
不思議なもので完全な裸より、中途半端に隠せる物があるほうが恥ずかしさは増す
らしい。玲子は唯一の衣装であるストールをあちこちに引っ張って何とか裸体を隠そ
うとするが、もちろん、硬直した乳首を含むCカップの乳房や、すでに何となく湿り
が感じられる股間の茂みを同時に隠せるわけもない。
「ほんとうに綺麗だよ。ママ」
その光景に満足しきった功司が唇を寄せてきた。玲子も無駄な努力をやめて、紅い
唇をわずかに開ける。
そして息子の舌が母の口腔をたっぷりと淫らに弄った。
「…………」
キスと言うより舌で口を犯されるような濃厚な愛撫を受けながら、玲子は一年前の
事を思い出した。
あの時、酔って朦朧としていた玲子は息子のキスで意識を取り戻したのである。息
子の母へのキスと言う許されない事態に玲子は驚いたはずだったが、何故か――それ
も反射的なまでに母の舌を動かし、息子の口を吸ったのだ。母に受けいられたと感激
した息子がかちんかちんの肉棒を母のとろけそうな肉襞にあてがったのはそのすぐ後
だった―――
「でも、いけない事なのよ。これって………」
ようやくキスが終わり、功司が唇を離すと何故か玲子は今更ながらな事を言った。
責めているのではない。どこか夢見がちな口調である。
「世間じゃそうらしいけど、僕は良いんだ。だって、ママにしか勃起しないんだも
の。他の誰と姦れっていうんだよ」
功司は屈託なく答える。その笑顔は玲子が女としてずっとすがりつきたくなるほど
力強く、自信に満ちていた。
でも―――
「いかがわしいビデオを見て悦んでいるのは誰かしら!?」
「あれはママを悦ばす為の研究。その証拠に側にママがいないと勃起していないで
しょう」
証明不可能な事をしゃあしゃあと言う息子である。もちろん母は納得などしなかっ
た。
「最近、よく女の子から電話がかかってくるんですけど。それも声をおぼえられない
ほど複数に」
「それで困っているんだよね。もてるのはいいんだけどさ。僕にはすでに恋人がい
るって言っても誰も信じないし、それどころかその恋人とSEXしているところを見る
まで諦めないって過激な奴も知るし」
「……ふー―んだ!」
ふくれた玲子は下に手を伸ばし、乱暴に息子のトランクスの中の肉棒を掴んだ。そ
れはすでに臨戦体勢なまでに硬直し、火傷するほど熱くなっている。そのまま玲子は
身体を反転し、息子の下半身に顔をよせた。もちろん邪魔なトランクスはむしりと
る。いつもの――それもほぼ毎日、母を泣かしている肉棒がつきつけるように母の目
の前に飛び出た。
「……ほんとうに元気ね。今日、何回、ママを虐めたと思うの?」
「ママの事を意識するといつでもどこでもこうなんだ。その内、顔を見ただけでも勃
起するかもしれない」
「いつでもどこでも?」
「そう」
「“いつでもどこでも、誰とでも”じゃないでしょうね!」
「まさか!僕はママしかいらないんだよ」
さわやかな宣言であったが、疑い深くなっている母は納得しなかった。我が息子の
調子の良さは十二分に知っている。
「じゃ、ここに“ママ専用”って刺青していい?」
「えーーーっ!」
さすがに功司も慌てた。と言って、こんな敏感な場所に刺青と言うに驚いたので
あって、“ママ専用”なのが嫌だったわけではないだろう――多分。
「あ、そう!やっぱり嫌なんだ。いつか他の女の子にここをしゃぶってもらったりす
る予定があるんだ!」
「ちょ、ちょっと待ってよ。僕は刺青に問題があると思っているんだよ。ママだって
身体に、“功司専用”とか“SON’S”とか入れられたら困るだろう!」
「あたしは構わないわよ。こうちゃんだけのものでも、こうちゃんだけだと知られて
も」
玲子が思わず言ったのは、まさにその場の売り言葉に買い言葉であって、深く考え
ていたわけではない。しかし、功司は急に黙ってしまい、我に返った玲子を慌てさせ
た。
「ちょっと、こうちゃん。どうしたの………きゃっ!」
心配そうに声をかけた玲子を、突然、功司が組みしいだ。ソファの上で仰向けの状
態で、熱く硬い息子の全てが玲子にのしかかる。
(ああ、あの最初の時と同じだーーー)
じんわりとした感慨が玲子の胸にしみわたった。身体にかかる息子の重さも、押さ
えつけられた痛みも、不思議なくらいに甘美に感じる。思えばあの瞬間が人生で一番
いい瞬間であった。しかもそれは今も続いている。いや、きっとこれからもずっと
―――
息子が熱い吐息と共に囁いた。
「本当に――本当にママは僕だけのものでいいの?」
「もちろんよ。一生こうちゃんのものよ」
今度は迷わず言えた。意識しての事ではない。嘘も虚栄も世間体すらもない次元の
本音だった。
「……………」
功司は頬を玲子の乳房にうずめた。同時に腰も動き、すでに先端が濡れた肉棒が玲
子の両腿を割っている。
「―――うっ!」
そしてそのまま一気に肉棒が玲子の肉壺に打ち込まれた。愛撫好きの功司には珍し
い乱暴さであった。しかし、ここまでの言葉のやりとりだけですでに十分に濡れてい
たらしく玲子に痛みはない。それどころか最初から全開の快感が股間から全身に走
る。
(ああぁぁ、本当に最初の時と一緒だわ…)
あの時も、最初から感じられ、素直なくらいに絶頂をむかえられた。あそこまで完
璧な絶頂は玲子の人生でも初めてだったのでよーく憶えている。それからは毎日かか
さず息子の肉棒か手か舌で何回も絶頂を味わっているが、最初の、それも極めつけの
感触は身体が忘れないようであった。
「好きよ。こうちゃん。愛しているわ――誰よりもずっと…」
「僕もだよ。ママ」
ゆっくりと、そして確実に息子が母の秘肉をえぐる中、母子は真剣に言葉を交わし
た。
「――本当は、最初の日より前からこうちゃんにこうされたかったの。ずっとこう
ちゃんに女として愛されたかったの…」
「僕だって初恋はママだったし、幼稚園の頃からママと結婚したかったんだ」
功司の腰の動きが一段と激しくなった。何故かいつもと違い動きに技巧がなく、た
だ本能だけでつきまくっているかのような乱暴さである。
しかし、それでも玲子には十分なようであった。一生懸命喋っているあいまのあえ
ぎが加速度的に大きく盛んになっていく。
「じゃあ…ママをずっと愛してくれる?」
「うん。もちろんだよ。結婚したいくらいだ。何でもアメリカのネバダ州には愛し
あっていれば誰とでも結婚できる教会があるらしいんだ。そこにママと行きたい!」
「うれしい……」
玲子の身体が振動し始めた。腰を止めない功司も歯を食いしばる。絶頂だとしたら
二人ともいつもよりかなり早いが、愛し合う事には技術や時間ではなく、情熱が第一
と言う説を証明する好例らしい。
乱暴な動きであっても全身が飛ぶような快感の中、二人は無意識にも抱き合い、愛
撫し、語りあった。
「―――こうちゃん。ずっとママを可愛がってね…」
「もちろんだとも。ママ」
「―――ありがとう。…でも、もしこうちゃんがこの事で嘘をついたら…」
「――ついたら?」
「無理矢理にでも心中してやるから――いい?」
「…………」
「いいわよね?どしたの?何故、お返事が無いの?こらっ!こうちゃ―――ぁぁあ
あぁぁん……!」
息子が無言で腰の動きを加速する。母の可愛い喘ぎ声が部屋中に響き渡った。
―終―
[2000/09/06]
『記念日』
玲子が目覚めたのはちょうど朝の七時だった。窓のカーテンの隙間から明るい光が
こぼれる。今日も天気は良いらしい。
玲子は無言でカレンダーを見た。今日の部分に赤のペンでハートマークが、小さく
――玲子にだけわかるように書かれている。ついにこの日となったのだ。
「……よし」
自分だけで呟いてから玲子は視線を傍らに移す。同じダブルベットの毛布の間から
一人息子の功司が可愛い寝息をたててぐっすり眠っているのが見えた。
「ほんと寝ている時は可愛いのよね―――起きたらケダモノだけど」
そう言って何を思い出したか頬を染め――いや、こんな事をしている場合ではない
のだ。
玲子は出来るだけ音をたてないようにしてベットから抜けでた。ここで功司を起こ
すと、またお口だの何だのをせがまれるからだ。また、たまにせがまれなくてもやっ
てしまう事もあるから急いで出たのは自分を押さえるためでもある。意思を強く持て
るうちにやるべき事をやってしまわねばならないのだ――特に今日は。
そのまま寝室を抜け出し、バスルームに向かった。熱めのシャワーで昨夜からの汗
と涎を流す。半分は息子の物なので、いつもちょっと惜しい気がするのだが、今朝は
そんなことを言っていられない。
急いで身体を洗うと、半ば髪をぬらしたままで洗濯と掃除を始めた。朝食の準備は
その後だ。何としてでも功司が起きてくる前に全てを終わらせておかねば。
母子が住んでいるのは東京板橋の八階建てマンションの最上階である。間取りは
5LDK。借りているのでも買ったのでもない。建てたのだ――実はマンションその物
が玲子のものなのである。
資産家の一人娘だった玲子は小学生で両親と死に別れ、その後は祖父母の手によっ
て育てられていた。祖父は優しい人ではあったが、やはり明治時代生まれだけあって
厳格で、また変に固陋だった。高校を卒業したての玲子に無理矢理、婿養子を取らせ
たのもその現れである。
「一日も早く跡取息子――いやひ孫を!」
これが祖父の願いであった。本人にとっては真面目な話であったので玲子は嫌々で
も従ったのだが、家より玲子自身の幸福を優先させなかったのもまた事実である。
玲子の夫になったのは有名大出で一流企業の会社員と言う絵に描いたような退屈な
男だった。しかも、祖父の念願どおりに、結婚してすぐ玲子を妊娠させたまでは良
かったが、その妊娠四ヶ月の時に交通事故死してしまったのである。
休日に「接待ゴルフに行く」と称して外出したのに、言っていたのとは全然違う場
所で、しかも玲子の知らない女の運転する車の助手席で事故にあったのだから、玲子
としては同情する気にもなれなかった。
まあ、生命保険にはたっぷり入っていてくれた事と生まれた子供が男の子だった事
には感謝はしている。そうでなかったら家意識の強すぎる祖父に再婚を迫られていた
であろう。もっとも、亡夫の写真や遺品などその存在を示すものは全部処分してしま
い、今住んでいるこのマンションにはかけらも残っていないのだが。
そう言う事情による唯一の息子功司の誕生であったが、関係各位は満足したようで
ある。祖父はひ孫が中学生になった年に亡くなったが、その前に資産を整理し、全て
不動産にかえていた。今の玲子はこのマンションの他に池袋にビル、目白と練馬と大
崎にマンションをそれぞれ一軒づつ持っており、それらからあがってくる賃貸料で生
活している。高卒ですぐ家に入れられた玲子の生活力でもこれなら不自由する事は
まったくないであろう。不動産の管理の方は祖父の推薦してくれた不動産会社のやり
手の女社長で、今では親友でもある宏美に全部まかせてあるから、完全に安心であっ
た。
そして、その一人息子の功司も四月に中学三年生になった。玲子にとっては今や唯
一の肉親との生活は――。
「おはよ……」
5LDKの部屋とトイレ、浴室の掃除と洗濯物の干しがすんだ頃にようやくその功司
が起きてきた。
ぶかぶかのTシャツにトランクスだけと言うラフな格好だ。二人きりの時はいつも
こうである。身長はまだ玲子と同じくらいだから百六十五くらいだろうか。祖父の命
令で幼稚園の頃から空手を習っている身体は引き締まってなかなかに強力である。し
かし、寝起きの今は電池の切れかけたおもちゃのように鈍くしか動けないようであっ
た。
(ったく!暴れすぎなのよ、毎晩毎晩!本当に休みもなく!ママ、昨夜だけで何回死
んだと思うの?!)
「おはよう。歯は磨いた?それからシャワーも浴びてきなさい。汗をかいているで
しょう」
「…ねむい……」
「遅くまで騒いでいるからよ。いったい何時に…」
「だって、ママが離さないんだも…」
「いいから早くしなさい!」
母に叱られて功司はのそのそとバスルームに消えていった。その後姿を見ながら玲
子がため息をつく。
「まったく朝からなんて事言うのよ。思い出しちゃうじゃない」
そう言って急に頬を染める――思い出してしまったらしい。
玲子は赤い顔のまま急いで朝食の準備をした。二人の取り決めで朝食のメニューは
和洋交互と言う事になっており、今日は洋の日だ。玲子はいそいそとパンを焼き、ハ
ムエッグ、コーンスープにレタスとトマトのサラダを作り始めた。
準備が整ったのを見計らったようにバスルームから功司があがってきた。さすがに
目がはっきりしている。
「パンは三枚焼いたわ。足りる?」
「うーん、もう一枚足して」
さすがに育ち盛りである。来年にはその身長が玲子を抜く事は間違いないであろ
う。
玲子は手際良くテーブルに用意した朝食を並べた。パンは功司指定の四枚と玲子の
二枚。まだまだ子供のくせに功司は辛党でジャムは使わない。もっぱらバターたっぷ
りだけで、蓋をあけられたマーマレードと苺ジャムは玲子用であった。
飲み物も玲子は紅茶だが、功司はジョッキについだミルクである。元気な事だ。
「そうそう、起きがけにメイルを見たら夏休みの予約取れていたよ」
生きかえったように元気良く食べ出しながら、功司がとても嬉しそうに言った。
「あのインターネットで見つけたって言う温泉旅館の事?」
「うん。三泊四日で値段はサイトどおり。まずまずでしょ」
「まあ良心的だったけど――でも山の中でほかには何もない所なんでしょう。こう
ちゃんがつまんないんじゃない?」
「いーや。旅館そのものがすっごく楽しい所だそうだから他はどうでもいいんだ」
功司は明るく笑った。それが何かの下心を隠すためのものだと察知できるほど、お
嬢様育ちの玲子はすれていない。
「そう―――じゃあ、まあ久しぶりに温泉でゆっくりしようかしら」
「いや、忙しくてゆっくりは出来ないと思うよ」
「?」
息子の言っている意味が判らない玲子であったが、聞きなおす前に電話が鳴った。
出てみると相手は資産の管理をまかせている不動産会社社長の宏美である。
「ごめんなさい。玲子さん。ちょっとお休みをいただいていたものでしたから、連絡
が遅れまして――営業から聞きましたわ。四月からそちらへ入ったお客さんのことで
すって?」
「ああ、宏美さん。そうなんです。御本人から直接連絡がありまして、何でもお子さ
んが――」
そうやって、ひとしきり仕事の話をしていたが、親友同士である二人の会話はいつ
の間にか世間話へ移っていってしまう。まあ、いつもの事だ。女は本当にこれが好き
なのである。
「そう言えばゴールデンウィークはどこかへ行っていらしたの?」
「え?………ええ―――その、息子とちょっと温泉へ……」
「へえ、いいわねえ。あたしの家も夏休みには温泉に行く予定ですの。場所は――
えーーとっ、どこだったけ――ああ、そう言えば宏美さんはどちらの温泉へ?」
「………う、うーん。あ、あの、あ、あんまり、ゆ、有名なところじゃないから言っ
ても判らないじゃないかしら…」
「あらそう?」
「そ、そ、そうなのよ。おほほほ……」
何故か宏美は過剰に笑い、二言三言何か言って急に電話を切ってしまった。何か慌
てたようなそぶりだったが、玲子には意味が良く判らない。もともとあまり他人を疑
わない性格なのである。
受話器を戻して食卓に戻り、玲子は残されていたジャムたっぷりのパンとスープを
やや急いで流し込んだ。もう時計は9時をまわっている。掃除洗濯は済んだとは言
え、今から買い物や料理の時間を考えると、そんなに余裕はないはずであった。
いつもはとろいくらいに遅い玲子がようやく全部を食べた頃には功司もすでに全部
を食べ終わり、空の食器だけがテーブルに並んでいた。
「さあて」
ややわざとらしく呟きながら玲子はエプロン姿のまま立ち上がり、片づけを始め
る。二人きりの家族だから朝食なら皿洗いも大した量ではない。母一人でもあっとい
う間であろう。
しかし、何故か玲子は動きながらもちらちらと息子の方を見てしまっていた。別に
手伝って欲しいわけではない。“また、何かやる気じゃないかしら?”と疑っている
のだ。理由は今朝は玲子が全く相手にしていないからで――
期待――いや、予想は皿洗いを始めた瞬間に的中した。キッチンに向かう姿勢上や
むなく向けた玲子の背に熱い塊のようなものがおおいかぶさったのである。もちろん
それが息子の肉体である事は振り向かなくても――一年も前から判りきった事であっ
た。
「…ちょっとやめてよ。こうちゃん」
それでも玲子は抗議の声を上げる。自分でも“一応は”とか“体面上は”と形容詞
をつけたくなるほど弱気な声であった。喉に力が入らないのだからしょうがない。い
や、これからの事を想像しただけで腰まで力が抜けそうでーーー。
(いけない!今日こそはびしっ!と言って母親の威厳を取り戻さなきゃ!じゃないと
これからもずっとこうちゃんの言いなりよ!――まあ、それも嫌いじゃないけど…い
やいや!やっぱり母としての責任もあるんだし!)
それでも(本人だけには)悲壮な決意をして、背中にのった息子の身体を全身をふっ
て拒絶した。しかし、反射神経の良い功司は寸前で身体を離したので玲子の身体が半
回転ほど空回りしただけである。せいぜいふられた右手が息子の股間の前を通過する
時に、すでに触れた肌に跡が残るほど熱くなっている硬質な肉棒の先端をはじいたく
らいであった。
(も、もう、こんなに……)
思わず玲子が赤面したのはその硬さへの意外性よりその後の事態への予想のせいだ
ろう。
予想は違わず、功司はこりずにまた身体を押しつけてきた。Tシャツだけの上半身
とトランクスだけの下半身が玲子の後ろにのしかかる。どちらも声が上がるほどに熱
く、そして硬くなっていた。
「ちょっと…やめなさい。皿洗いできないでしょう」
「それより先にする事があるじゃん」
(あ…やっぱり……!)
玲子の思ったとおりであった。二人きりの時にはひたすら母から離れない子なの
だ。特にあの日からは―――
「やめなさい。ママはすることがあるの」
「どしてそんな意地悪言うのよ。ママ」
功司が言った。大きな声ではない。耳元でそう囁くのである。だから拗ねたような
台詞と同時にねとつくような熱い吐息も玲子の耳から首筋にかけてたっぷりと吹きつ
けられるのだ。もうそれだけで玲子は目が眩みそうであった。
「意地悪じゃないわよ……」
それでも抵抗したのは母の威厳を意識しての事であろうが、声が震えていたので効
果はなさそうであった。そして、たったそれだけで母の虚勢を確信した功司はさらに
自信を持って手の中の豊満な母の肉体をなぶり始めたのである。
功司の左手がエプロンの裾から玲子の胸を、右手がスカートをまくしあげてパン
ティに触れるところまでまで伸びた。どちらも抵抗も出来ないほど素早く自然な動き
である。わざわざブラジャーやパンティの裾を指ではじいて、これからの行動を暗に
宣言する余裕すらあった。
「だって、今日はお目覚のお口もなかったし」
そう言う淫靡な動きを実行しながらも、功司の口調はあくまで甘えた風を装ってい
る。台詞の内容さえ問わなければ、幼子の実母への駄々っ子めいた甘えにしか聞こえ
なかったかもしれない。これからの事を予想すれば――あるいは今までの事を思い起
こせばこれが、余裕の現れである事は明白である。それなのにーー
十代の少年のものとは絶対に思えない優しく落ち着いた――そしてじっくりとじら
す手の動きに、感じつつも、あえて耐えて玲子は気丈にも抵抗した。(口だけでは
あったが……)
「普通のママはそんな事しないの!」
「普通じゃないじゃない。“こうちゃん”のママは」
そう言って功司はエプロンの下に潜入した左手をさらにするりと伸ばし、まだブラ
ジャーをつけていない玲子の乳首をつまんだ。ピッ!と電気にも似た快感が玲子の上
と下に走る。
「ほら、普通のママは息子に後ろから迫られた時に、こうやって期待で乳首を立てた
りしないんだよ」
功司は勝ち誇ったように囁いた。指はまだ乳首をもて遊んでいる。そこからの快感
ははっきりと玲子の身体に流れ、いつまでも止まらない。それに耐えるように玲子は
歯を食いしばる。
「……ママ、期待なんかしてないもん…」
「ほぉ――本当かな?」
功司の右手が玲子のスカートを割った。慣れた手つきで前からパンティーの中に入
り、柔らかい陰毛をかき分けてその下の秘肉にふれる。ぬめりのある小さな音が確か
にした。
「ほら、こーーーんなに濡れている」
そこから抜かれた功司の指が玲子の顔の前に示された。その人差し指と中指の間に粘
液状の何かが糸を引いてつながっている。玲子は恥ずかしそうにいやいやをした。し
かし、その体面に反して玲子の股間は、じゅん!と音まで立ててさらに湿ってしまっ
た。
「やっぱり嘘つきさんだ」
優しく言いながら功司は再度中指をゆっくりと玲子の秘肉にさしこんだ。まだいつ
もほどリラックスはしていなくて肉襞は狭かったが、すでにたっぷりと愛液が染み出
ており、功司の指にまとわりつくように流れる。もう一年も母の秘肉を楽しんでいる
息子には後どれくらいでここがとろけ出し、柔らかく熱い肉壺になるか容易に予想で
きた。
「まず、嘘つきさんにはお仕置きをしないとね」
そう耳元に息を吹きかけるように囁きながら功司は中指を抜き、次に両手をそろえ
てエプロンの下に入れた。玲子のパンティの両端に熱い手のひらが差し込まれる。そ
して功司はゆっくりと母のパンティを下げはじめた。
「…………」
母としてはここで怒るのが普通なのだろうが、秘肉が濡れていることを指摘された
恥ずかしさか、それともこの後の期待のせいか、玲子は抗えない。ただ、歯を食いし
ばり、目に力を入れて閉じ―――そして頬を染めて次の息子の動きを待つのである。
功司はすんなり母のパンティを脱がす事に成功した。玲子が無言で脚を上げて協力
してくれたおかげである。そして、勝ち誇った笑顔で下半身が剥き出しになった母の
淫靡な後姿をしばし眺めて堪能した後、次の行動を開始した。
(……また、あそこを指で声を出すまでいじくるのかしら?それとも胸を触りながら
のキスなのかも……いやいやこの前のようにいきなり後ろから……!)
べちゃ……
「ひうっ!」
湿った音にあわせる様に玲子の口から小さく悲鳴が漏れた。下半身から快感が、理
性から恥ずかしさが同時に心臓に走り、鼓動が倍加する。
たとえ見なくても功司が跪いて母の股間に後ろから顔を寄せ、舌で肉襞をなぞった
事はわかる。この感触は絶対に間違いないのだ。柔らかいくせに弾力が強く、そして
何故かやや冷たいこの感触は確かに息子の舌による愛撫であった。
「こ、こうちゃん……やめて……ママ、恥ずかしい………」
後ろのやや下から下半身の女の秘部を全て見られているのだ。大きな尻も、女とし
て見られたくない菊座も、そして母として絶対に見せてはならない――息子の愛撫に
悦んで愛液をしたたらせる秘肉さえも――
しかし、玲子の消え入るような哀願も功司は聞こうとしなかった。にやにやしなが
らさらに舌を動かして秘肉に差し込み、次にはクリトリスまで舐め上げる。母の本音
はよーく判っているのだ。口では何と言おうとも“もっとして――”であることが。
「ひ…ひいぃぃっ………」
功司の愛撫はしつように続けられた。舌だけではなく指も十分に使っており、玲子
は押さえようとはしていてもあえぎと悲鳴の入り混じった声が止まらなかった。
そして大した時間もかからずに玲子の膝が震えだし、腰が大きくゆれだす。すでに
下半身に力が入らなくなったようで、両手をキッチンについてかろうじで身体をささ
えていた。
なにせ体育会系の功司は体力には自信がある。跪くという無理な姿勢なのに、玲子
がよがり狂うまでに愛撫は執拗で激しく、そして終わりがないかのように続けられ
た。
「も、もう駄目ぇぇ……こうちゃ…ん。や、やめて…ママ、死んじゃうーーー」
そのままどれくらいたったであろうか。玲子の秘肉は音を立てるように愛液を流し
出し、下方の功司からの至近距離で見ると肉襞も飢えた口のように動き食いつく獲物
を求めはじめた。これなら今すぐにでもぶち込む事ができるだろう。もちろん功司の
股間の肉棒はずっと前からいきりたっており、先汁どころか、母の可愛い喘ぎ声を聞
いているだけで爆発しそうであった。
その衝動にやむなく舌を離し、そっと立ち上がる。
「――あん…いやぁ、やめちゃ…い、いや、そのぉ…あぁ……」
「ねえママ…欲しい?」
息子の愛撫によがる母の上気した耳に息を吹きかけるように功司は囁いた。同時に
固すぎるほどの肉棒を股間に注し入れ、息子のよだれと母の愛液でびしょびしょの秘
肉の淵をなぞるように動かす。自分だって危ないくせに、まだ余裕を装えるのが息子
が常に主導権を握っている理由であろう。
「……………」
玲子はすぐに答えなかった。さすがに先ほど自分の中で毅然とすると決意したばか
りだけに口に出すのは恥ずかしかったのである。それでも我慢できないのは事実であ
り、玲子は恥ずかしさで一杯になりながらも無言のままゆっくりと両腿を開いた。
「駄目だよ。口でちゃんと言わなきゃ」
息子の肉塊の先端が開かれた股間の奥の肉襞にあてがわれた。が、そのままで動き
を止めて功司は囁く。まだ許さないつもりらしい。
「…………」
息子の意地悪な意図は明白であった。悔しさと肉欲の飢えで玲子は一瞬、目が眩み
そうになる。それでも何とか淫らな声を押さえたのは母としての意地であったのだろ
う。いくらそう言う仲だとは言え、母子として―――
「どうしたの?お願いしないとこれ以上しないよ」
(だって……そんな息子にお願いして姦ってもらう母親なんて!)
「こーーなにママ濡れているのに。まだ、聞き分けがないの?ほら、あてがっている
だけで僕のおちんちん、びしゃびしゃなのに」
本当だった。玲子の肉襞からは愛液が滴るように流れ出ている。先ほどの愛撫とそ
れ以上にこの意地悪なじらしのせいだ。下から見たら股間から内腿にかけて、ねばつ
く甘い液体によって肌がぬめるように光っているのが見えたであろう。
それが判っていても、それでも玲子は声を出さなかった。身体はすでに受け入れよ
うとしているのに―――でも、さすがに口に出して言うのは……
「……じゃ、しょうがない。今日はこれでお終い」
さすがに母の強情にあきれたのかもしれない。功司はそう言って意外にあっさりと
腰を引き、肉棒を離した。その時――
「だ、駄目ぇ!こうちゃん、離しちゃ……」
ついに母は陥落した。もう、終わりと思った瞬間、我慢出来なくなったのである。
功司はにんまりと笑う。あの貞淑そのものの美人の母が、羞恥心と、そしてそれ以上
の欲情に震えながら、泣き声で嘆願し、腰を振り股間を開く――なんと甘美な光景で
あろうか。これだから母を虐めるのはやめられないのであった。
「え?何だって?ちゃんとはっきり言いいなよ」
しばしの沈黙があった。悩んでいるのか恥じているのか――功司はわくわくして待
つ。そして―――
「こうちゃん…お願いします。ママを――ママのいけないあそこに、こうちゃんの硬
いおちんちんを入れてください……」
ついに玲子がかすれるような声で言った。耐えきれないほど恥ずかしく、そしてそ
れ以上に淫らな自分の台詞に股間がわなないてしまう。同時に功司は腰を突き出し
た。こちらももう限界だったのだ。こんなにも淫らで可愛い母を見たのだからなおさ
らである。
「ひ、ひいいぃぃ……お、奥までくるぅぅ…」
「ママ―――可愛いよ」
功司の腰が乱暴に動き出し、玲子の悲鳴はさらに大きくなった。それに混じって濃
いスープを掻き回すような音までする。張詰めた肉棒が濡れすぎた肉壺をすりあげる
音だ。
「あ・あ・あ・あ・あああぁぁぁ……こう、こうちゃんの…大きっいぃぃ…ああぁ!
あ、あついのぉぉ…」
功司の攻撃は繊細ではなく、むしろ体力任せではあったが、獣に堕ちたような今の
玲子にはそれのほうがむしろ刺激的であった。一度理性が飛んでしまうと、後は息子
に犯される淫らな牝と化し、股間からの叩きつけられるような快感に、ただただ女体
を震わせ悲鳴を上げるだけである。
すでに玲子はまともに立っていられず、キッチンを掴んだ両手と白い尻を抱える息
子の手、そして肉壺の中で暴れる息子の肉棒だけで女体を支えている。その不安定さ
がまた淫情を増加させ、声をさらに大きくさせた。
「く…すごいね。ママ。本当に食べられちゃいそうだよ」
功司の方もそろそろ限界が近づいてきたようであった。たまらないまでの母の痴態
に加え、母の肉壺――締め上げて吸い込むと言ういやらしすぎるほどの刺激にさきほ
どから我慢してきた肉棒の先端がもう破裂しそうである。そしてついに――
「ごめん、ママ。もういっちゃう―――」
「あああぁぁぁ――!」
功司の声はよがり狂う玲子には判らなかった。しかし、その息子の肉棒が爆発し、
母の肉壺に注ぎ込むようにミルクを発射した瞬間、何百回も肌を合わせてきた呼吸に
よってか、それとも母としての本能のせいか――同時に玲子も絶頂に達した。
朝食後の大騒ぎにようやく一息つくと、玲子はいつもどおりに後始末をした。功司
を椅子に座らせ、今度は玲子が跪いて功司の股間に顔を寄せる。あの生意気でいつも
母を虐めている肉棒をお口で綺麗にするのだ。
(んんん―――終わっちゃうと可愛くなるのね。これがあーんなに大きくなってあた
しを泣かせるんだから、ほんと悪魔なんだわ。こうちゃんのここって!)
玲子は何やらぶつぶつと思いながら、息子のミルクと自分の愛液を舌と口で丁寧に
舐めとっていく。この時の母の真面目で、それでいてかなり淫らな表情を見るのが功
司は大好きだった。
「いいなあ。ママの口って最高だよ。ほんと僕の為にあるみたいにぴったりなんだ」
「うるさいわね!可愛がってんじゃないわよ。綺麗にしてやってんの!勘違いしない
でよね!」
「はい、無駄口は叩かない。舌と手はこっちに使いましょう」
「もうっ!」
そうしていつもの後始末を終えると玲子はシャワーを浴びた。股間から足首にかけ
て自分の愛液と息子のミルクで濡れそぼっているだけではない。その他も汗でびっ
しょりである。これから買い物にいくんだから綺麗にしなくては。
「あれ、どっか行くの?」
浴室から出てすぐ化粧を始めた母に功司は不思議そうに言った。
「ちょっと池袋まで買い物があるの。昼ご飯は自分で作ってね」
「じゃ、僕も行く。ちょうど買いたい物があるんだ」
「え?ええーーーっ!」
今日だけは一人で行きたかったのだが、功司がごねたのでどうしようもなかった。
本当に甘い母親である。それに見れば時計は十一時近く、ここでもめて時間を浪費す
るわけにはいかないのだ。
「しかたないわね。来ても良いけど今日はママの買い物優先だからね。いいっ!」
「はーーーーい」
二人はマンションの地下駐車場から自家用のセダンで池袋に向かった。
板橋から池袋までの道はたいてい混んでいる。この日もアクセルはそう踏めない程
度の渋滞だった。それでも何とか三十分くらいで池袋駅が見えるところまでは出れ
た。
その時である。
「う……」
突然、助手席の功司がうめき声を上げた。見ると難しい顔で腰の辺りを押さえてい
る。
「どうしたの?!どっか痛いの?」
「ちょ、ちょっとどこか休めるとこに連れていって…まじでやばい――」
「えーーーっ!」
この時、幸いに信号で止まることができたので、玲子は大急ぎでギアをPにし、息
子の腰にあてた手をどかそうとする。さっきの大騒ぎで腰でも痛めたのかと本気で心
配になっていたのだ。
しかし、何故かその手に、なじみのある硬く熱い感触があたった。
「……え?」
「ママ。ごめん。立っちゃった」
功司のジーンズのファスナーがあけられ、そこから本当に棒のようなあれが直立し
ていた。思わず見入ってしまったが間違いない。さきほど母の舌で綺麗にしたそれ
は、立派に――いつものように臨戦体勢で勃起していた。
「ど、ど、ど、どうして!?ついさっきも、たっぷり………!」
「やっぱり池袋に来たからだと思う。ここに来る時はいつもホテルでご休憩だったか
ら」
言われてみればそのとうり。去年から、池袋に来た時はたいていその手のホテルで
二人きりの楽しみを味わっていたのだ。しかし、だからと言って――
「こ、この“パブロフの犬”息子!」
運転席で絶叫した玲子であったが、現実は変えられない。功司がここまで反応して
いるのは事実であったし、そうである以上、これをこのまま放置していくとこの先ど
うなるか――例えばデパートの試着室に突然引っ張り込まれたり――判ったものでは
ない。当初の予定をやむなく(?)変え、仕方なく何とかすることにした。
「何だよ。ほんとは嬉しいくせに。顔が紅いじゃん。きっと乳首とあそこも――」
「お黙りっ!」
玲子は乗用車を池袋駅地下駐車場に入れ、駅の西口から大塚向きに功司と歩いた。
そちらの方角にホテル街があるのである。まだ十二時前のせいもあってか、ホテルを
目指していると考えただけで恥ずかしく、頬が火のように熱い。まして連れているの
は美少年で、かつ実の息子であり、また野獣のように実の母に欲情している功司であ
る。何をどう考えても、視界がぐらぐらするほどに血が逆流してしまう刺激的な現実
であった。
「ここにしようよ。ねっ!」
功司はホテル街の中ほどにあった、とあるホテルの入り口を指差した。初めて来た
ところにしては確信的である。どうせインターネットやその手の雑誌で下調べは完璧
なのに違いない。いや、そもそも今日池袋の買い物についてくると言ったのも―――
「じゃ決まりね。Let’s go!」
母子が入った部屋はなかなか良かった。全般的に清潔感があり、採光や照明もちゃ
んと計算されていて、十二時前というのに落ち着いた雰囲気である。壁や天井はほと
んど鏡張りで大きなダブルベットのある部屋と、二人がたっぷり入れる浴槽にまるで
ソープのようなマットのあるバスルームで構成されていた。
「…………」
部屋に入ったと同時に功司は母を抱きしめ、何も言わさずに唇を奪った。舌が荒荒
しく母の口腔をねぶり愛撫する。注ぎ込まれる息子の甘い唾液と、ふるえがくるよう
な乱暴で執拗な触感を玲子はたっぷりと堪能した。
「……もう、激しいんだから…」
やっと功司が唇を離し、ようやく玲子は声を出せた。すでにとろんとしてしまい、
抗議も甘えているようにしか聞こえない。功司はにやりと笑いながら手際良く手を動
かす。もちろん母の服を脱がせているのだ。
「ちょっと――どうするの?」
「お風呂に入るの。僕がママを洗ってあげるよ」
抵抗すらさせず巧妙に母を全裸にした功司は、自分も服をさっさと脱ぐと押すよう
にしてバスルームに母を連れていった。
バスルームは綺麗に掃除されていた。もちろんこの母子が今日はじめての客なのだ
ろうが、きっと毎晩のように、ここでさまざまな男と女が、肉欲かそれとも愛を確か
めあっているのに違いない――そう考えて玲子は思わず艶かしい気持ちになる。
(あたしも――こうちゃんもその一人なんだわ。でも…)
きっとこの母子ほど淫靡で背徳的で――深く愛し合っている二人はいなかったので
はないか――玲子は何故か確信を持ってそう思った。
「はい、こっち向いて!」
そんな母の思いも気づかずに功司はシャワーをひねった。熱めの刺激が玲子の頭か
ら身体にかかる。中からすでに熱くなっている玲子には気持ち良かった。
「はい、座って!」
功司は浴槽にお湯をためながら、玲子をマットに座らせて手際良くその裸体を洗っ
ていった。さすがに慣れている(?)だけあって、その手の感触が玲子にはたいそう
心地よい。すぐにも全部洗い終わってしまったのが残念なくらいであった。
「はい、終わり!じゃ、今度は僕を洗って!」
玲子を泡まみれにして功司はそう宣言した。ちょっと惜しいがまあ玲子に異存はな
い。功司の手から泡のついたタオルを受け取ろうとする。しかし、功司はそれをさっ
と洗面器に放り込んでしまった。
「は……?」
「駄目だよ。ママは身体でやってくれなくちゃ」
そう言って功司はマットにごろんと仰向けになった。その腰の辺りにはほとんど腹
についている狂暴そうないつもの肉棒が嫌でも見える。それで玲子はようやく息子が
望んでいる事が判った。
「…………つまり…そ、その…ソープみたいな事をして欲しいの?――」
「ピンポーン!」
(もう、この子ったら――こう言う好奇心はほんと尽きないのよね……)
嬉々としている息子の表情を見て、玲子はため息をついてしまった。もちろんあき
れたのである。比べてはいけない事かもしれないが、かって唯一の男だった前夫とは
えらい違いであった。
前夫は玲子を定期的に組み敷き、ただ出すだけの男だった。愛撫らしきものについ
ても記憶が薄いし、こんなプレイの考案もなかった。いや、そもそも玲子に向けてこ
の功司のような熱く燃える瞳を見せてくれた事があったであろうか。
(……それって、ひょっとして――わたしへの思いの差なのかしら)
ため息をつきながらも不意にそう思って、玲子は胸がずきりとうずいた。同時にそ
の衝撃によって頬が熱くなり、腰のあたりに一瞬力が抜けたような感触が走ったのが
はっきり判る。
「どしたの?まだぁぁぁ?」
母の気も知らない息子がぶうたれた。ムードのない事である。玲子はまたため息を
つきそうになった。
しかし、この母の長所は息子の期待を決して裏切らない事である。どんないやらし
い事でも受け入れなかった事はかってない。特に今は胸のうずきが瞳や乳首、股間の
秘肉に直結していて――
「……こう――するの?」
玲子は急いで、しかし、かなりぎこちなく功司の裸体に覆い被さった。胸や腹や足
がぴったりと触れ、息子の肌からの熱さを目が覚めるほどに感じてしまう。玲子もか
なり熱いはずなのに。
「…………」
泡まみれの裸体で熱いまでの息子の裸に乗った玲子はすぐには動かなかった。その
熱さが証明する息子の期待を肌で感じてしまった感激に動けなかったせいも、もちろ
んある。しかし、本当はこれからどうして良いのかわからなかったのであった。
それはそうであろう。なにせ“箱入り母”である。ソープのサービスなどわかるわ
けがない。“泡踊り”とか言う単語は聞いた事はあるが具体的にそれが何なのかは
知っているはずもなく、とにかく何かしなければとは思うのだが―――
(ええっと、どうしよう――泡踊りとか言うらしいけど、泡っていうからには泡で何
かするのよね…)
無言で慌てている母を至近で見ながら功司はにやにや笑っていた。母好みの息子に
とって、息子の為に母が悩む姿は何度見ても嬉しいものなのである。
「何してんだよ。まだぁ?」
母の困惑をわかっていてあえてせかしてみる。実の母に息子が言う台詞でも、また
言えた状況でもないが、息子より百倍は純情な母はたったそれだけで降参してしまう
のであった。
「……ごめん――どうすれば良いの?ママ、よく知らないのよ…」
消え入りそうな声で言う母に功司はたっぷりと満足感を感じた。ここまでわがまま
を真剣に考えてくれたとは――と感動したのである。もともと母がソープまがいのこ
とが出来るなどと思ってはいない(普通の母親なら当たり前だ)。
ただ、自分の為に悩む母の姿を見てみたいという息子のわがままなのである。この
二人にはいつものことであった。
そして、希望どおりわがままは通った功司は思わず言ってしまった。
「――僕だって知らないよ。ソープなんか行った事ないし、雑誌にも肝心なことは書
いていないし」
二人の間に無言の時間があった。しまった――と功司が思ったのは次の母の台詞を
聞いてからである。
「―――そうよね。普通ならあたしは知らないし、こうちゃんも判らないはずよね
!」
功司にもやや声が怒っているのはさすがに判った。自分のからだの上に乗った熱い
裸体の母から結構厳しい視線が突き刺さる。しかし、それに対する動揺を素直に出す
ような息子ではない。平気でこんなことを言うのだ。
「まあ、いつか本当のソープにいったら調べておくよ」
「…………」
やや、沈黙があった。功司はすぐには気づかなかったが、玲子は先ほど以上の険悪
な目つきになっている。次にその紅い唇からもれたのは呪詛めいたかなり怖い声で
あった。
「……ソープでも何でも―――こうちゃんが他の女にこんな事をしてもらったら
――」
「――――?」
「殺す」
そう言う玲子の表情も瞳も冗談には見えなかった。それは、もし、将来にこの宣言
を実行したとしても二人とも意外には思えなかったほどだったのである。
しかし、至近距離でその事を確認した功司は、何故か、にやり――と微笑む。恐縮
したようには絶対に見えない。玲子にはその意味を計れなかった。
(――どうせ、聞いたって白状しないわよね!くやしいーーっ!)
息子の得意げな表情に本気でむかむかした玲子は、その悔しさもあって、泡まみれ
の裸体を力を込めて動かし始めた。それはまるで息子の身体をしごくかのような激し
くも妖しい動きであり、泡とお湯と若干の体液がぬめり、バスルームに熱めで湿った
音がたっぷりと流れた。
「……ど、どう?気持ち良い?」
しばらく一生懸命裸体を動かし、玲子は囁くように言う。声を潜めているのではな
い。これをやってみると声を出すのも大変になってしまったのだ。
とにかく自分の裸体で息子の裸体をしごく事を意識して動いているのだが、これが
想像以上に深い触感なのである。泡のせいかいつも以上にスムーズに身体が動き、そ
の分、息子の熱さと硬さがもろに裸体に伝わってくるのだ。
(……こうちゃんって――こんなに熱くて――その硬かったけ?…)
特に抱きついている息子の裸体の筋肉の存在感は意外なほどであった。そしてその
硬さがじっくりと玲子の乳首や股間を刺激する。他の部分も泡と湯と体液を間に含ん
でいるせいか、まるで湿った舌で全てを舐められているかのような微妙な感触で一杯
になる。責めているのはあたしのはずだったのに!
「うーーーーん。これ良いよ。ママの肌って最高」
効果はあるようだった。母の下で功司がうっとりと薄目になっている。母が動くた
びに下腹や股間、腿にあたる肉棒も灼熱のように熱く、そして硬い。
「そ、そう…良かったわ…その――もっとこれしてていい?」
息子の反応が嬉しくもあったが、それ以上に玲子の身体の方がたまらない。ただ泡
を介しただけで肌を合わせるという――二人には普通の行為がこんなに刺激的になる
なんて思いもよらなかった。
(しかし、普通のソープの女の人は仕事とは言えこんな事をやって良く平気でいられ
わね。それとも、あたしとこうちゃんだからこそこんなに感じるのかしら)
「うん、良いよ。そのまま続けてよ。そろそろいきそうなんだ」
「え?――駄目よ、そんなもったいない!」
思わずはしたない事を叫んでしまった玲子であったが、その事を恥じている余裕な
どない。泡まみれのまま両手で息子の股間を探り肉棒を掴むと、腰を真っ直ぐに寄
せ、まるで食いつくように肉壺に打ち込んだ。すでに十分に濡れてはいたが、その乱
暴なまでの急な刺激に母の肉壺の全ての秘肉に若干の痛みが走る。しかし、同時にそ
れ以上の快感も走り、一瞬、目が眩んだ。
「な、なにするんだよ。乱暴な!」
功司が驚いたように言ったが、日頃の行動からしてどう考えても文句が言えた義理
ではないだろう。本人もそれは判っているらしく顔は笑っていた。玲子の方は肉壺か
らはしる快感にそれどころではないのだ。
「だ、駄目よ。許さないわ。自分だけいっちゃうなんて――」
「やれやれ、本当にママはわがままなんだから」
快感にとびそうになる母の精一杯のうめきを心地よく聞きながら、功司は巧妙に腰
を使い出した。母の裸体を下から貫く肉棒を上下に、しかも斜めから横の動きをも含
めて突き上げる。いずれも母――いや母の身体が大好きなものであった。
「ひぃ…ちょっと…ま、待って――ママにやらせてよ…」
「だーめ。ママは僕に犯されている時が一番綺麗なんだから」
「く、くやしいぃぃ…」
その間にも息子の肉棒が母の肉壺をえぐり、愛液を垂れ流させる。下から突き上げ
られ、腰が浮いてしまうと身体を支えるものがない玲子は空に放り出されたかのよう
な感じになり無意識のうちにも何かを掴もうとした。しかし当然、そんな物はないの
で、結局唯一掴んでいる肉壺内の息子の肉棒だけに力が入り、その分息子を悦ばせる
のである。
「い、いく―――いっちゃう…」
大した時間もかからず、玲子の脳裏に閃光が走った。意識がすっと遠のくほどの快
感に全身が痙攣を始める。
「もう、自分勝手なんだから」
口だけは余裕を持っていた功司も母のこの絶頂の表情と声にたまらず、ついに音を
立てんばかりにミルクを大量に発射した。
結局、何回いかされたであろうかであろうか。
一回目の後は二人で浴槽に入り、そこで功司が玲子の白いCカップの乳房を執拗に
貪った。それだけで玲子が耐えられなくなりそうになるとそのままベットに運ばれ、
鏡の前で座位で姦られた。失神した後には舌による奉仕を要求され、汗と母の匂いで
一杯になった息子の裸体のすみずみを犬のようになめまわす。そしてそのご褒美とし
て玲子の望んだ屈曲位で犯されるように姦られたのである。
だからご休憩時間が終わり、ホテルから出た時にはもう玲子は腰も頭もとろとろで
息子の肩にしなだれかからんばかりであった。“他人に見られたら”と言う理性すら
ぼやけるほどに、“いって”いたのである。
「じゃ!僕は見たい本とかCDがあるから、先に帰っておいて」
そんな玲子に、さわやかに功司は宣言した。そしてそのまま止める間もなく、
さーっと駆け去ってしまう。玲子には何が何だかさっぱり判らなかった。
「………何なのよ、こうちゃんったら!」
ようやく事態を理解して玲子は息子の後姿に小さく罵る。確かにこれではせっかく
の余韻が台無しだ。まさに“デートを途中キャンセル”されたような気分で、おとな
しいはずの玲子の眉がめずらしいくらいに逆立ったのが自分でも判るくらいであっ
た。
「……まあ、しかたないわね――」
ややするとそれでもそう呟いてしまう玲子であった。確かにここで怒っても仕方が
ない。もともとああ言う息子なのだし、こう言う息子に本気で恋した以上、母――い
や、女としてこの程度は―――
そう自分をなだめながら時計を見た玲子は少し慌てた。すでに午後三時近かったの
だ。ホテルのご休憩をフルに堪能したのだからこれくらい時間がたつのは当然である
――いや、そんな事よりこれでは今日予定していた夕食を作っている暇がないではな
いか。ホテル街から池袋駅に早足で歩き出した玲子は少しパニくりながらも、なんと
か予定をたてなおした。
残念であるが、当初に予定していた“まるごと一羽チキンのロースト”を含む夕食
の献立は中止だ。幸い池袋にいるので幾つもあるデパートの地下で適当な惣菜を買っ
てすまそう。せっかくの“あの日”であり、また功司の事を思うと少し可愛そうだが
――でも、これもみーーんな、ママに優しくないこうちゃんが悪いのよね!
「ママをこんな時間まで虐めて、しかもその上におっぽり出して遊びに行ったんだか
ら!」
台詞の前半と後半のどちらにより力が入っていたかは本人にも謎である。
さて、そのように惣菜で今夜の夕食をすますと決まると今度は逆に時間が余ってし
まった。あの様子ではどうせまだ功司は戻っていないだろうと思うと真っ直ぐ帰宅す
る気にもなれない。
(まあ、一、二時間でいいから池袋で暇をつぶそうかしら――)
結局、久しぶりに池袋の自分のビルを見に行く事にした。
玲子のビルは駅からサンシャインビルに向かう60階通りから、駅よりに少し外れ
たところと言うなかなかの好位置にあった。オフィス街と繁華街の両面を持った池袋
に合わせた多目的オフィスビルで、地下にはイタ飯屋と中華料理店、一階と二階をブ
ティック、それより上の階は弁護士事務所や旅行会社等のオフィスとして貸し出して
いる。不動産会社社長である友人の宏美の腕が良い事もあっていつもほとんど満杯で
あった。
もっともその宏美に管理運営は一任しているので、ビルオーナーである玲子がここ
に顔を出すことは滅多にない。ビルの利用者でも玲子の顔を知っているのは極少数で
あろう。
なのに今日、覗いてみる気になったのは、その極少数の中でも特に親しい友人の顔
を久しぶりに見たくなったからであった。確か土曜の今ごろは三分の一位の確率で池
袋店にきているはずだ――
「あら、大家さん。久しぶり!」
一階のブティックに入るとすぐに大きな声がかかった。右手を見ると声にふさわし
い長身でスーツ姿の女性が大またで寄って来た。見るからに周囲を明るくさせるよう
な大作りの美人で、声も動作も外見も実に気風が良い。女っぽい玲子と並ぶとレズの
恋人同士にすら見えるくらいであった。
「“大家さん”はやめてよ。社長さん」
「じゃ、“社長”もやめてよ。玲子さん」
女性はそう言って大きく笑うと大げさな身振りで玲子に抱きついた。
「じゃ、オーナーの由佳さん。こんにちは」
「“オーナー”もやめて!おばさんくさい!」
これが玲子の友人の由佳である。年齢は玲子と同じくらいだが、この池袋店の他に
も幾つも支店を持つアパレル会社のオーナーだ。二人は例の宏美を介し、大家と店子
の関係として知り合い、今では大変仲の良い親友同士であった。
本音を言うと玲子はこの由佳の事をもう一人の親友である宏美と同じ位に尊敬して
いる。玲子と同じ母一人子一人の母子家庭なのだが、かなりのやり手で、亡父からの
借金で作った吉祥寺の一号店からはじめてたった十年かそこらで会社をここまで大き
くしたと言う。祖父の遺産で生きている専業主婦の玲子には本当に憧れの女性なので
あった。
最初に会ったのは三年位前だが、今では家族ぐるみの付き合いである。大柄で美人の
由佳には瑞樹と言う母親の店の専属モデルをやっている美形の一人息子がおり、これ
も功司とは仲が良い。男のタイプで言えば剛と柔くらい違うのだが。
由佳は玲子を二階端のオフィスに通した。事務室と倉庫と更衣室を混ぜたような雑
然としたその部屋のソファに玲子を座らせ、由佳自身がコーヒーを煎れた。
「で、どうしたのよ、今日は。買い物?夏物ならもう良い物が出てるわよ」
「いや、特に何か欲しいってわけじゃなくて、その近くまできたもんだから――」
その近くでさっきまで実の息子によがり狂わされてました――と心の中だけでつけ
たす。しかし次の瞬間、その淫らな独り言に反応してしまった玲子は真っ赤になって
しまった。
急に赤くなって視線を下げた玲子を不審に思いながらも由佳がコーヒーカップを手
にとって言った。
「?――ああ、そう言えば功司君もさっき来てたみたいね」
「えっ!」
今度は玲子の方が不審に思う番である。
(こうちゃんが?何故、この店に?本屋さんにいったんじゃないの?まさかあたしに
嘘をついて―――!)
思わず顔を上げた玲子であったが、不思議そうに見ている由佳の目と視線が正面衝
突してしまう。別に由佳の表情に悪意なぞないが、自分の考えていること――或いは
やっていることのやましさを思い出した玲子は慌て、無理矢理に視線をずらし話を変
えた。
「そ、そう言えば最近調子はどう?」
「ま、全般的には悪かないんだけどね」
玲子の不自然さには気づかず――或いは気づいたふりを見せずに由佳は話に乗っ
た。もともと他人が言いたくない事は無理に聞かないと言う男らしい性格の彼女であ
る。
「ここ池袋店が少しきついわ。フロアマネージャーの霧子を青山の店長にしたのが
やっぱ痛かった。あの子のファンがどっとあっちに流れちゃったのよ」
「まあ…霧子さんって、あのすらっとした――」
「そ、あの胸なし」
相変わらず口が悪い。言った本人はバレーボールのような巨大でがちがちの巨乳だ
からこの嫌味は実にきつかった。まあ、霧子と言うスレンダーな部下は由佳にとって
片腕のように頼りになり、またその分可愛がっているからこそ、こう言う冗談も叩け
るのであろうが。
「店のコンセプトはオーナーのあたしが決められても、細かい雰囲気だとかは現場の
スタッフのセンスだからね。そこらへんをマニュアル化しようとしても、そんなもの
出来あがった時には流行も何もすでにその先に進んでいるのだから意味がないのよ。
でもんで最後の調整は、結局、現場の子頼りになっちゃうの」
「ふーーん、そういうものなの」
「うん。そういうものなの。まあ霧子のファンはともかく、普通のお客さんもいまい
ちなのよ。後任のマネージャーの百合が悪いって訳じゃないんだけど、お客さんは正
直で百合の作る雰囲気が――空気や接客術まで含めて霧子のそれと違う事を微妙に感
じているの。その分、お店でのってくれないってわけ」
「?のるって……買い物なのに?」
「何言ってのよ。買い物は“のり”よ!特に服なんて、お客さんが『あたし、この服
に似合う!』って信じなきゃ買ってくれないものなの。冷静にデータを見つめて買う
ような物じゃないんだから」
強引なのだが妙に説得力はある由佳の理屈である。素直な玲子は素直に納得――或
いは信じた。そして、ついこんな事までいってしまった。
「そうだ!じゃ、妹さんに手伝ってもらったら。由佳さんの妹ならセンスも良いんで
しょ」
数ヶ月前に会った時に由佳が一回り近く下の妹を引き取ると言っていた話をたまた
ま思い出したのである。玲子にすればほんの話しつなぎのつもりだったが、何故か由
佳の反応は複雑だった。
「あ、ああ、里佳の事ね。そうね、あの子もいたわね―――でも、ちょっと問題が
あってねぇ……」
いつもの闊達さとは違い、何か言いにくそうな、或いは言いたくなさそうな由佳で
ある。血がつながった姉妹でも人間同士である以上、いろいろと事情はあるものなの
だ。礼儀としては由佳の顔色を察してここでひくべきなのだろうが、一人っ子で世間
知らずの玲子は今一つこの手の気配りには鈍い。つい余計な事を考えて、いらぬ事を
口にしてしまった。
「ひょっとして瑞樹君と上手くいっていないの?その妹さんと同居になったもんだか
ら――」
「いーーえ!と・っ・て・も・二人は仲が良いわよ!」
由佳の返事は怒鳴り上げんばかりであった。部屋の外にまで響いたであろう突然の
大声に玲子は半分くらい飛びあがってびっくりし、あやうく手のコーヒーカップを
ひっくり返すところであった。
「あ……ごめん」
親友の驚愕ぶりを見て由佳は我にかえったらしい。顔を半分赤くしながらも苦笑し
てみせる。まだ半分硬直している由佳もつられるようにして愛想笑いを返した。さす
がにここまでくると玲子でも言わないで良い事を言ってしまったと気づいたらしい。
正直言って、あの姉御肌の由佳がこうも興奮する理由を知りたくもあったが、ひとま
ずこの場はひいたほうが無難であろう。
やや気まずく笑いあう二人のところへ、ちょうど外からオーナーを探す店員の声が
聞こえてきた。
忙しそうになった由佳の元を遠慮したふりをして急いで退散した玲子は、予定通り
西武の地下一階と二階に行き、惣菜――ハーブ焼きチキンやビーフシチュー、サラ
ダ、パンなどを買いこんだ。家族は二人きりでも三人前は食べる奴がいるから量はか
なり多めである。
「重い……やっぱりこうちゃんを捕まえとくべきだったわね」
最後のケーキを買いながら思わず呟いたのは玲子の本音である。
そのままよたよたと駅地下駐車場へ行く。ちょっぴり期待はしていたが、そこに母
を待っている息子の姿はなかった。勝手に帰ると功司が言っている以上、当たり前な
のだがそこは甘えん坊の玲子である。他人が見ていないのを良い事にぶつぶつと息子
の愚痴を口にしながら車に乗り、乱暴にエンジンをかけた。
途中、また渋滞にひっかかった事もあって玲子がマンションに帰りついたのは五時
を大分回っていた。ちょっとだけ期待して玄関のチャイムを鳴らす。中から返事が
あった。
「お帰り、ママ、遅かったね」
ドアが開けられ屈託のない息子の笑顔が玲子を迎えた。そんな日常的な当たり前の
事でも玲子は胸に、“じいん”とくるような幸せを感じてしまう。自分でも驚くほど
今までの不機嫌があっという間に消え、つい笑顔になりそうになった。
「持ってよ!重いんだから!」
それがまた悔しいからついつい言葉遣いが邪険になる。功司はそれを気にもせず、
軽々と荷物を受け取った。
「わあ!すごいご馳走じゃん。今日何かあったけ?」
チキンやケーキを見て喜ぶ功司に玲子は半分微笑み、しかし半分は落胆をする。
(本当に今日が何の日か判ってないのかしら?―――あたしはずっと前から意識して
いたと言うのに……悔しい)
ちょっとふくれた玲子に気づきもせず、功司は料理を手際良くテーブルに並べ始め
た。買ってからそれなりに時間はたっているが、レンジで暖めたりはしない。実はこ
の母子はそろって猫舌なのである。
「?どうしたの?シャワー浴びないの?」
「え?あ、ああ…はいはい」
思わず考えこんでいた玲子に功司が日常的な質問をした。見れば本当に仲の良い親
子が浮かべるような屈託のない笑顔が玲子の視界に映る。何故か玲子は頬が熱くなる
のを感じた。
「汗を流しといでよ。夕食の準備はしとくからさ」
「ありがと…」
「いいって。僕だってお腹がもう限界なんだから。だいたい今日は昼ご飯も食べれな
かったからね」
それはいったい誰のせいよ!――と思わず叫びたくなったのをかろうじてこらえ、
玲子は浴室へ向かった。途中でちょっと振り向いてキッチンを見たが、息子は真面目
に食事の準備をしており、こっそり背後からせまってくる予定はないらしい。
「……ふーーんだ!」
食欲が性欲に勝ったと言うわけではないのだろうが、玲子がシャワーを終え、部屋
着のワンピースに着替えるまで何の事件もなかった。それが玲子には何となく悔しい
のだから女はわがままなものである。
テーブルには先ほど買った夕食が並んでいる。お酒は弱いけどワインは好きな玲子
の為にグラス半杯の赤ワインも添えてあった。
「いただきまーーーす」
行儀良く挨拶だけはして功司は目の前のご馳走にむしゃぶりついた。四人前はある
はずの料理が瞬く間にその胃袋に吸収されていく。それでも母の分はちゃんと残す息
子であるから、別に慌てずに玲子はワインをゆっくりとすすった。
「どうしたの。ママ。ちゃんと食べないと身体がもたないよ」
「うっさいわね!食べるわよ!」
だいたい、誰のせいで身体がもたなくなると思ってんのよ!――――とはさすがに
恥ずかしくて口には出せなかった。
結局、母が一人前食べ終える頃には息子は三人前をたいらげてしまった。育ち盛り
とは言え大した食欲である。毎晩、母を泣かすまで元気な理由がよーーく判るという
ものであった。
「さあっーーて。あとは確かケーキがあったよね」
「あ、ああ。そうね。今出すわ」
「せっかくだからソファで食べようよ」
「え?」
「いいじゃん。デザートくらいゆっくりじだらくに食べようよ。ねぇ!」
急にソファへ誘われて玲子の心臓が倍速で脈打ちだした。ソファと言ってもこの家
にはテレビ鑑賞用に大きなのが一台しかない。よって、ケーキはテーブルにおき、母
子は並んで座る事になる。そして、予想通りに功司は玲子にすりより――まるで抱き
かかえるようにして座った。
それでもすぐに功司は行動を起こさなかった。玲子の匂いやその身体の抱き心地を
楽しむかのように猫みたいにごろごろするだけである。
しかし、何かを意識している玲子にはそれが催促にも、また愛撫にも感じられてた
まらない。
「――ねえ……」
「ん?」
「―――その……何故このケーキを買ってきたと思う?」
功司の手は母の肩に手をかけられ、身体はぴったりと密着している。玲子のワン
ピースと功司のシャツ越しに息子の熱い体温が母の身体に染み込むように伝わる。そ
の刺激に思わず、このソファでやった二人の数え切れないほどの過去のSEXを脳裏と
股間で思い出してしまう。
そのせいか、さっき替えたばかりのパンティに恥ずかしい染みが出来たような感触
が確かに股間に走り、また心臓音も大きくなったようであった。
「えーと、何だったけ?」
玲子の期待に完全に反して功司はあっけらかんと首をひねった。思い出さないのか
思い出す気がないのか――とにかく、玲子の期待はかなえられなかった。
「…………」
玲子は思わず唇をかむ。母がここまで胸をときめかせ、また股間を濡らせているの
に何と言う無粋であろうか。玲子は純粋に腹が立ち、もう、ほっとこうかとすら一瞬
思ってしまった。こんなに触れている肌は熱いというのに!
それでも玲子が諦めなかったのは、今の二人の間の事実を確認したいという――こ
こ一年間の執念のあらわれであったろう。
「……思い出してよ。ほら、去年の今ごろ―――」
「何かあったけ?去年の今ごろと言っても――まだ地区予選前だし、中間テストには
まだ余裕があるしーー」
思い出さないのか、思い出す気がないのか―――
「ほら、こうちゃんが珍しく夕食を作ってくれてーーーそっ、そして、その後にママ
が気分が悪くなって――」
「ああ!思い出した!」
功司は元気に言った。
「初めてママが未成年の僕に淫行した日!」
「初めてこうちゃんがママを襲った日でしょう!」
思わず絶叫してしまった玲子であった。
「“ご飯を作ってあげる”とか言って料理酒代わりにブランディをたっぷり入れ、お
酒に弱いママがふらふらしているところを介抱しているふりをして服を脱がしてここ
で犯したじゃない!」
玲子の主張に嘘は全くない。確かにちょうど一年前にそう言うことがあったのであ
る。それまで仲の良い母子だった二人が初めて男女の関係になった事件であった。
「でもその前にもいろいろあったじゃない」
事実をつきつけられても素直に非を認めない功司である。
「な、何よ」
そして自信満々の息子に何故かひるむ母であった。
「ママがわざと下着姿でうろついたり、妙に身体を寄せて来たり」
「そ、そんなこともあったかしら…」
「あったの。それに僕は寝室でママがオナニーする時、僕の名前を呼んでるのも聞い
たもんね」
これも事実であった。きっかけは功司に誰かから来たラブレターを玲子が部屋の掃
除中に発見した事であろう。その時、自分でも我慢できないくらいの悔しさを感じた
事を今でもはっきりと覚えている。
「だって、こうちゃんがママの下着に悪戯していたし……」
功司がオナニーを憶えた頃であるからラブレターの件と同じ時期であろうか。その
事自体のショックもあったが、それ以上にたんに女の下着に欲情しているのか、それ
とも母の身体に恋焦がれているのかが判らず悶々と悩んだものであった。
「だって、ママとしたかったんだ。他の女なんてどうでもよくてただひたすら今みた
いになりたかったんだよ」
あっ気なく言って功司は玲子を抱きしめた。息子の暖かさと吐息が母の肌に触れ
る。
「ママはどうだったの?僕とはしたくなかったの?」
「……………」
面と向かってそう言われると何も言えない玲子であった。今はこれほどまでの関係
にはなっているが、あの時はどうだったであろう。どこかでこの危険な―――息子と
その身体を望んではいたのかもしれないが、母子相姦と言うあってはならないはずの
禁忌への拒否感もまた強くあったのも事実である。
だからこそ、あらわな姿を息子に見せる行為や故意に身体に触れさせる事――そし
て息子を思ってのオナニーにも、抜けがたいまでの背徳の喜びがあり、理性はいけな
いと主張しつつもやめられなかったのだ。
「ねえ、どうだったんだよ。ママは?したかったの?そうじゃないの?」
「………したかったの……」
息子の強い腕の中で、母は消え入るようなか細い声を出し、そう言った。至近距離
に顔を寄せていた功司がにっこりと笑う。それにつられるように――しかし恥ずかし
い告白の分、頬を染めて玲子も微笑んだ。
「よく言えました。じゃ、ご褒美にプレゼントをあげるね」
「?プレゼント?」
何の事か判らぬ玲子に功司がソファの下から包装された包みを取り出した。見れば
由佳の店の包装用紙である。
「あーーーっ!まさか、今日、由佳のお店に来たって言うのは――」
功司は最初から今日が何の日か知っていたのである。知っていてどきどきしている
母に今までとぼけていたのだ。
「もう!意地悪ね!」
「オーナーの由佳さんに礼を言っといてよ。“ママのプレゼントにする”って言った
ら黙って七割引にしてくれたんだ」
由佳も、息子が母にこっそりプレゼントを渡したい事が判っていて玲子には詳しい
事を言わなかったのだろう。なかなかに粋な女であった。
「ありがとーー!ごめんね。ママ、てっきりこうちゃんが今日の事を忘れているん
じゃないかと疑っちゃって――」
「いいよ。やきもきするママもなかなか楽しめたし」
「もう!」
「その代わり、今ここでこのプレゼントだけを着てくれない?早く見てみたいんだ」
「もちろん良いわよ。ママ、こうちゃんのプレゼントなら一生大事にするわ」
そう言って受け取った包みを玲子は急いで開ける。出てきたのは蝶の上品な柄が綺
麗な、白い絹のストールであった。色合いもデザインもまさに玲子の趣味にぴったり
である。
「わあ!すっごい!こうちゃん、これ高かったでしょう。幾ら由佳がまけてくれたと
は言っても」
功司の小遣いは普通よりやや多め程度しか与えていない。その上、たまにいかがわ
しいビデオ(母と子が実に仲良くしているような種類の)を買ったりと変な使い方を
しているから、決して余裕があるわけではないはずだ。
「まあね。この日の為にとっといたお年玉が全部ふっとんだよ」
「ありがとう!」
満面の笑みを浮かべ、玲子はさっそくストールを羽織って見せた。もともと上品な
若奥様風の玲子である。部屋着であるワンピースの上からでも、まるでこのストール
の為に用意されたモデルのように実に決まっていた。
だが、最愛の息子のお気には召さなかったようである。
「駄目だよ、そんなんじゃあ!約束を守ってよ」
「へ?約束って?」
「プレゼントだけを着てって言ったじゃん」
ようやく玲子は息子の悪だくみに気づいた。プレゼントのストールだけを着ろとい
う事は、つまり―――
「どしたの?約束守んないの?じゃあ、プレゼントは――」
「やります!守ります!」
またもや息子にはめられた悔しさはあったが、何と言っても功司のプレゼントであ
る。取り上げられでもしたら、涙がでてしまう。
玲子は息子の幸せそうな視線を浴びながらもワンピースと下着を脱ぎ、全裸になっ
てストールだけを肩にかけてソファに座った。
不思議なもので完全な裸より、中途半端に隠せる物があるほうが恥ずかしさは増す
らしい。玲子は唯一の衣装であるストールをあちこちに引っ張って何とか裸体を隠そ
うとするが、もちろん、硬直した乳首を含むCカップの乳房や、すでに何となく湿り
が感じられる股間の茂みを同時に隠せるわけもない。
「ほんとうに綺麗だよ。ママ」
その光景に満足しきった功司が唇を寄せてきた。玲子も無駄な努力をやめて、紅い
唇をわずかに開ける。
そして息子の舌が母の口腔をたっぷりと淫らに弄った。
「…………」
キスと言うより舌で口を犯されるような濃厚な愛撫を受けながら、玲子は一年前の
事を思い出した。
あの時、酔って朦朧としていた玲子は息子のキスで意識を取り戻したのである。息
子の母へのキスと言う許されない事態に玲子は驚いたはずだったが、何故か――それ
も反射的なまでに母の舌を動かし、息子の口を吸ったのだ。母に受けいられたと感激
した息子がかちんかちんの肉棒を母のとろけそうな肉襞にあてがったのはそのすぐ後
だった―――
「でも、いけない事なのよ。これって………」
ようやくキスが終わり、功司が唇を離すと何故か玲子は今更ながらな事を言った。
責めているのではない。どこか夢見がちな口調である。
「世間じゃそうらしいけど、僕は良いんだ。だって、ママにしか勃起しないんだも
の。他の誰と姦れっていうんだよ」
功司は屈託なく答える。その笑顔は玲子が女としてずっとすがりつきたくなるほど
力強く、自信に満ちていた。
でも―――
「いかがわしいビデオを見て悦んでいるのは誰かしら!?」
「あれはママを悦ばす為の研究。その証拠に側にママがいないと勃起していないで
しょう」
証明不可能な事をしゃあしゃあと言う息子である。もちろん母は納得などしなかっ
た。
「最近、よく女の子から電話がかかってくるんですけど。それも声をおぼえられない
ほど複数に」
「それで困っているんだよね。もてるのはいいんだけどさ。僕にはすでに恋人がい
るって言っても誰も信じないし、それどころかその恋人とSEXしているところを見る
まで諦めないって過激な奴も知るし」
「……ふー―んだ!」
ふくれた玲子は下に手を伸ばし、乱暴に息子のトランクスの中の肉棒を掴んだ。そ
れはすでに臨戦体勢なまでに硬直し、火傷するほど熱くなっている。そのまま玲子は
身体を反転し、息子の下半身に顔をよせた。もちろん邪魔なトランクスはむしりと
る。いつもの――それもほぼ毎日、母を泣かしている肉棒がつきつけるように母の目
の前に飛び出た。
「……ほんとうに元気ね。今日、何回、ママを虐めたと思うの?」
「ママの事を意識するといつでもどこでもこうなんだ。その内、顔を見ただけでも勃
起するかもしれない」
「いつでもどこでも?」
「そう」
「“いつでもどこでも、誰とでも”じゃないでしょうね!」
「まさか!僕はママしかいらないんだよ」
さわやかな宣言であったが、疑い深くなっている母は納得しなかった。我が息子の
調子の良さは十二分に知っている。
「じゃ、ここに“ママ専用”って刺青していい?」
「えーーーっ!」
さすがに功司も慌てた。と言って、こんな敏感な場所に刺青と言うに驚いたので
あって、“ママ専用”なのが嫌だったわけではないだろう――多分。
「あ、そう!やっぱり嫌なんだ。いつか他の女の子にここをしゃぶってもらったりす
る予定があるんだ!」
「ちょ、ちょっと待ってよ。僕は刺青に問題があると思っているんだよ。ママだって
身体に、“功司専用”とか“SON’S”とか入れられたら困るだろう!」
「あたしは構わないわよ。こうちゃんだけのものでも、こうちゃんだけだと知られて
も」
玲子が思わず言ったのは、まさにその場の売り言葉に買い言葉であって、深く考え
ていたわけではない。しかし、功司は急に黙ってしまい、我に返った玲子を慌てさせ
た。
「ちょっと、こうちゃん。どうしたの………きゃっ!」
心配そうに声をかけた玲子を、突然、功司が組みしいだ。ソファの上で仰向けの状
態で、熱く硬い息子の全てが玲子にのしかかる。
(ああ、あの最初の時と同じだーーー)
じんわりとした感慨が玲子の胸にしみわたった。身体にかかる息子の重さも、押さ
えつけられた痛みも、不思議なくらいに甘美に感じる。思えばあの瞬間が人生で一番
いい瞬間であった。しかもそれは今も続いている。いや、きっとこれからもずっと
―――
息子が熱い吐息と共に囁いた。
「本当に――本当にママは僕だけのものでいいの?」
「もちろんよ。一生こうちゃんのものよ」
今度は迷わず言えた。意識しての事ではない。嘘も虚栄も世間体すらもない次元の
本音だった。
「……………」
功司は頬を玲子の乳房にうずめた。同時に腰も動き、すでに先端が濡れた肉棒が玲
子の両腿を割っている。
「―――うっ!」
そしてそのまま一気に肉棒が玲子の肉壺に打ち込まれた。愛撫好きの功司には珍し
い乱暴さであった。しかし、ここまでの言葉のやりとりだけですでに十分に濡れてい
たらしく玲子に痛みはない。それどころか最初から全開の快感が股間から全身に走
る。
(ああぁぁ、本当に最初の時と一緒だわ…)
あの時も、最初から感じられ、素直なくらいに絶頂をむかえられた。あそこまで完
璧な絶頂は玲子の人生でも初めてだったのでよーく憶えている。それからは毎日かか
さず息子の肉棒か手か舌で何回も絶頂を味わっているが、最初の、それも極めつけの
感触は身体が忘れないようであった。
「好きよ。こうちゃん。愛しているわ――誰よりもずっと…」
「僕もだよ。ママ」
ゆっくりと、そして確実に息子が母の秘肉をえぐる中、母子は真剣に言葉を交わし
た。
「――本当は、最初の日より前からこうちゃんにこうされたかったの。ずっとこう
ちゃんに女として愛されたかったの…」
「僕だって初恋はママだったし、幼稚園の頃からママと結婚したかったんだ」
功司の腰の動きが一段と激しくなった。何故かいつもと違い動きに技巧がなく、た
だ本能だけでつきまくっているかのような乱暴さである。
しかし、それでも玲子には十分なようであった。一生懸命喋っているあいまのあえ
ぎが加速度的に大きく盛んになっていく。
「じゃあ…ママをずっと愛してくれる?」
「うん。もちろんだよ。結婚したいくらいだ。何でもアメリカのネバダ州には愛し
あっていれば誰とでも結婚できる教会があるらしいんだ。そこにママと行きたい!」
「うれしい……」
玲子の身体が振動し始めた。腰を止めない功司も歯を食いしばる。絶頂だとしたら
二人ともいつもよりかなり早いが、愛し合う事には技術や時間ではなく、情熱が第一
と言う説を証明する好例らしい。
乱暴な動きであっても全身が飛ぶような快感の中、二人は無意識にも抱き合い、愛
撫し、語りあった。
「―――こうちゃん。ずっとママを可愛がってね…」
「もちろんだとも。ママ」
「―――ありがとう。…でも、もしこうちゃんがこの事で嘘をついたら…」
「――ついたら?」
「無理矢理にでも心中してやるから――いい?」
「…………」
「いいわよね?どしたの?何故、お返事が無いの?こらっ!こうちゃ―――ぁぁあ
あぁぁん……!」
息子が無言で腰の動きを加速する。母の可愛い喘ぎ声が部屋中に響き渡った。
―終―
[2000/09/06]