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小説(転載) 「原孫氏の素晴らしき淫楽な生活」

近親相姦小説
07 /03 2018
掲載サイトは消滅。
題名  「原孫氏の素晴らしき淫楽な生活」

1.
夕暮れ近く、辺り一面薄暗くなった頃、その閑静な住宅街に、一台のタクシーがやって来た。
そしてそれは、ゆっくりとスピードを緩めると、一軒の洋式建築の家の前に停車した。
中から、白髪交じりのダンディなスーツ姿の男性が出てきた。

「おう。今帰ったぞ。」
「お帰りなさいませ。」

義男がドアベルを鳴らしてドアを開けると、目の前に一人の女性が、
上り口の居間で三つ指をついて座っていた。

妻の幸子は夫の出向かいには、いつもこうして待っていてくれた。
いつも明るい笑顔。優しげな微笑が義男の疲れた気持ちを癒してくれる。

「今日は、随分とお早いのですね。」
「あっ・・ああ。まあ今日は特に仕事のトラブルなど無かったからな。」
「そう・・それは良かったわ。それじゃああなた、今からお風呂を先に
します?それとも食事の方を先になさいますか?」
「そうだなあ。風呂を先にしようか。」

義男は、夫婦兼用の居間に入ると、直ぐに上着から靴下までを脱ぎ捨てて、
シャツとパンツだけの格好で風呂場に向った。
脱衣所には、既に代えの下着類とパジャマが用意されていた。

ゆっくりと湯船に浸かる。ひと時の開放感が全身を覆った。
「ふうう。ああ気持ちが良いなあ。」
義男は大きく息を1つ吐いた。


幸子は申し分の無い女房だった。それは新婚当時から変わらない。
万事至り尽せりの対応だった。夫が戦場から帰ってきてからも余計な気を
使わせぬように、細心の尽くし様に心を配った。
義男も、また女房孝行には余念が無かった。

休みの日には女房を連れての旅行を何度もした。
勿論買い物の時も一緒について行った。たまに料理だってする。
二人はいつも互いの事を第一に考えていた。
だから、この関係は新婚当時から、何一つ変わってはいない。

幸子とは職場結婚だった。当時幸子は社長秘書を務めていた。
社内では評判の美人。気立ても良く明るい性格。
当然社内の男性が放っておく訳など無かった。何人も群がる。
義男もその中の一人だった。だがそれほど熱心な信者では無かった。

遠くから見ていただけ。気にはなるが、積極的な行動はしなかった。
義男自身、女性に媚を売るのが嫌だったせいもあったからだ。
そりゃそうだ。他の男性と同じ様な事をしても、所詮その中の一人
でしか評価されない事を理解していたからだ。

媚びを売って女性にアピールしても男の値打ちなど判りはしないだろう。
若い内は仕事で自分の今を構築するのが先決なのだ。

義男の仕事における成果は、着実に実っていった。
数年の後、彼は社運が懸かったプロジェクトから召集があった。
社長の陣頭指揮の元、その大きな仕事に参加した義男は、そこで初めて
幸子と出合った。

二人は自然と語らい、そして自然と付き合うようになった。
だがそのきっかけは義男からではなく、幸子からの誘いからであった。
彼女は仕事に追われる義男を常にサポートしていた。
積極的だったのは幸子の方だった。傍目で見ていてもそれははっきりと
分かった。社内のマドンナに惚れられたのだ、後の流れは決まったも同然。
義男だってまんざらではなかったのだから・・
そして数ヶ月の付き合いの後ゴールイン。社長の媒酌の元、二人は永遠の愛
を誓った。

以来30年近く、順調な夫婦生活を送ってきた。
30才手前で娘・舞を得た。そして42才でアメリカに単身赴任。
当時娘は中学に入ったばかりで、思春期の真っ盛りだった。
環境の変化が与える影響の大きさを考えると、一緒には連れて行けない。
勿論そうなると妻もダメだった。

「舞は私がちゃんと育てます。あなたは仕事に集中して下さい。」
幸子は、健気に笑って義男を見送った。

厳しいアメリカでの生活。幸子は年に2回夫の元に通った。
ひと時の安らぎを与えてくれた。その後は大きくなった娘も来てくれた。
最後の数年間は、幸子が体調を崩したせいもあって娘の舞だけが来てくれた。

そんな家族のお蔭で義男は15年もの長きに渡って第一線で踏ん張る事が出来
たのであった。

義男が取締役常務として本社に戻って6ヶ月経った。
その間には娘、舞の結婚式があった。
相手の男性は、がっちりとした身体の持ち主。人の良い顔つき。しっかり者の
舞にふさわしい良い旦那様が来た。

人の良い・・・そう。義男がそう思うのは、あの帰りの飛行機での出来事。
娘を一人の女性として抱いたあの時を思い出していた。
誰も気づかない娘との秘め事。義理の息子の満面の笑顔を見ると、義男の胸が
痛んだ。勿論良きパートナーである妻にも同様だった。

「あなた。お湯加減は如何かしら?」
思いに耽っている義男の耳に、ふいに幸子の声が入って来た。

「ああ、凄く良い加減だ。どうだお前も一緒に入らないか?」
「何バカな事言ってるのよ。もうすぐ舞も帰ってくるんですよ。」

義男の誘いも、あっさりと一蹴された。
国際線FAとして勤めている舞だが、ここ最近は内勤として本社に入っていたから、
帰りも早かった。

舞は結婚後も以前と同様に勤務に従事していた。
旦那は結婚後直ぐにイギリスへ単身赴任した。
新婚旅行も含めてイギリスに1ヶ月滞在して帰って来た。

当初の予定は、仕事を辞めて2人でイギリスで新婚生活を送るはずだった。
だが一転その約束は反古にされた。舞は仕事を続け、そして実家で暮らす事になった。

当然旦那は大反対。約束が違う。だけど舞は突っぱった。
いざとなれば結婚破棄まで辞さなかった。
折れた旦那。惚れた弱み。結局月1回イギリスに足を運ぶ事で決着した。
幸子は呆れ、義男は肩を窄めた。

原因は自分にある。義男は舞に対してビシっとした態度が取れなかった。
舞は笑顔で義男を見る。幸子には勝手気まま娘の満足げな笑みに映った。
義男には小悪魔な誘いに見えたのだった。

「お父さんには2人の妻が出来たのよ。」
舞の言葉が頭の中で何度も反芻した。
「あの人とお父さんとは似ている所があるの・・・それは血液型。」
その意味を考える度に身が竦む思いに駆られた。

どこまで本気なのだろうか?
道の真ん中で足が竦んでしまった義男。当然その先には、おそらく1つの結論が
控えているだろう。その答えを口にする事は出来なかった。
身の毛もよだつ結論。出来れば引き返したい。
だが、もうそれも無理だった。父は娘とSEXしたのだ。この事実は変えられない。

密会はいつもホテル。そしてそれは舞のフライト帰りに限っていた。
密室の中での逢瀬。ひと時の夫婦生活だった。

頭の中で否定しても、身体は正直だった。煩悩は既に全身を蝕んでいた。
舞の肉体は最高だった。柔らかくて、弾力に富んでいて、そして躍動的だった。

舞は色々なテクニックで義男の肉体を虜にした。
それは様々な男性遍歴を裏付けるかのようだった。

舞の柔らかな肢体は、様々な体位を可能にした。愁いを秘めた瞳が潤んでいた。
そして魅惑的な”おんな”の声が悩ましい。
義男は若さを取り戻したかのように、舞を何度も抱いた。
もう離れられない。もはや舞の淫らな表情が頭の中から消える事はなかった。

義男は、湯を何度も顔に浴びせた。
悩んでても仕方が無い。こうなれば今の状況を楽しむしかないのだ。
勝手な理屈で結論付けた。

勢い良く湯船から身を起こした。”欲望”が元気に反り返っていた。
それはもうニ週間も舞を抱いていない事実を証明していた。

風呂から上がると、夕食は既に出来上がっていた。
「さああなた、一杯いかがですか?」
義男が食卓に座るや、タイミング良く幸子がビールを手にして催促した。

風呂上りの一杯は格別だ。義男の喉は一気に潤った。
幸子は、にこやかに義男の表情を見ている。15年ぶりの夫婦水入らず、幸子の
笑みは何時までも消えなかった。

「ただいまあ!」
その時、玄関から舞の声が響いてきた。
そして直ぐに紺のスーツ姿の舞が食卓に顔を出した。

「おかえり舞。丁度良かったわ。今から夕食なの。あなたも直ぐに着替えてらっしゃい。」
「うん。私もうお腹ペコペコだったの。直ぐに来るからね。」

舞は満面の笑みを振り撒くと、急いで自分の部屋に入った。
しばらくして着替えた舞が食卓に現れた。
3人の夕食が始まった。

「あ~あ。デスクワークって疲れるわ。もう目がチカチカしてしょうがないの。」
そう呟くと自分の肩をつまんで首を左右に揺らす。疲れて肩が凝った親父がよくする仕草。

「しょうがない奴だなあ。まあ、お前は昔から身体を動かす事が好きだったから椅子に座った
ままの仕事なんて似合わないのかもな。」
呆れた表情で義男が合いの手を入れた。

「まあなんですか。なんて呆れた事を言ってるの。あなたがどうしてもと言って続ける事に
したお仕事なのでしょ?今更そんなグチを言ってたら、イギリスに独り住んでいる人に申し訳
ないでしょ。続ける以上は、何があってもグチは言わないの。分かった?」

幸子が語尾を強くして舞をたしなめた。
舞は首を窄めて舌をペロリと出した。
「ごめんなさい。でもFAのお仕事は大好きよ。天職だと思ってるわ。だから続ける決心をしたの
でもねデスクワークは辛いのよ。座ってばかりじゃ何だか身体がムズムズして気持ち悪くなるの。
それは分かってよう、お母さん。」
「それでも言っちゃダメなの。あなたには責任があるの。大事な旦那様との約束を破ってまで続ける
仕事なんですから当然でしょ。黙って耐えなさい。」

幸子は厳しい口調で道理を諭した。舞は仕方なさそうに首を縦に振った。
気まずい雰囲気。家族の箸の動きが止まった。

「あっああ、なあ舞。それならお前いつからフライト業務に戻るんだい?」
重苦しい空気を打破するように、義男は調子ハズレの声で舞に問うた。

「あっああ。それなら明後日からなの。明後日月曜日からシフト交代するの。次の内勤までは
思いっきり頑張るわよ。うふふ。」
おどけるように笑う舞。だけど母は不機嫌なままだった。

「そういえばお父さんも、これから仕事が忙しくなる時期じゃないの?」
舞の目がイタズラっぽく笑っている。
「あっああ。そうだな。これから大事な株主総会があるからな。」
舞の誘いの文句に思わず動揺する義男。幸子の横顔をちらりと見て返事をした。

「また帰宅が遅くなるのですか?もう大変ねえ。身体には十分に注意して下さいよお父さん。」
「ああ分かってる。いつも済まんなあ。これが終わったら今度一緒に温泉でも行くか?なあ母さん。」
「はいはい。せいぜい期待せずに待っていますわ。」

やっと幸子から笑みがこぼれた。複雑な気持ちで娘と妻の顔を見比べる義男。
舞がこっちを見ながらウインクをした。ドキリと胸が高鳴った。
そして舞が下唇をひとなめして挑発する。あの悩ましいくびれた腰のラインが頭の中に浮かんだ。

その時義男の妻を想う気持ちは、あっけなく霧散してしまった。
自然と身体全体が持ち上がるような感覚を覚えた。
嗚呼男って奴は・・・。すまない幸子。
薄っぺらい夫婦愛を嘆く一方で、ニ週間ぶりの舞の肢体をその手に抱く期待を胸いっぱいに
膨らませていた。

夕食が終り、幸子が洗物の後片付けをしている時、義男は隣のリビングでのんびりとテレビ
に見入っていた。
舞は風呂に入っていた。機嫌良いいのか鼻歌が聞こえて来た。
義男は内心、気がそぞろとしていた。だからといって風呂場へ行こうなどというバカな行動は
しなかった。
そんな変な行動をしてバレては元も子もないからだ。

舞との”夫婦生活”は決められた空間だけの関係だった。
舞と義男はあくまで父と娘。娘の旦那は今はイギリスの空の下で泣いている。
古女房は、台所で不機嫌そうに洗物をしている。

しばらくして舞が風呂から上がってきた。ミルキーホワイトのバスローブに包まれた格好で、
リビングに現れた舞。その頭に巻かれたタオルからは濡れた髪がほんの少し耳の上に垂れて
出ていた。そしてそれは上気して赤らめた顔と合さって、辺り一面にほんのりとした色気を
漂わせていた。

「いいお湯加減だったわ。ああさっぱりした。」
そう言いながらソファーに大きくジャンプして、その大きな身体を沈めた。
「まあなんですか、そのはしたない格好は!あなたも人の奥さんになったのだから、
もう少し落ち着いた行動をしたらどうなの!」

幸子の怒声が即座に台所から響いた。
「きゃあ!」
慌てて両足を揃えて座り直す舞。だけど肩を窄める姿は、まさに居心地が悪そう。

そして幸子はその姿を見届けると再び洗物を続けた。
舞はそんな母の後ろ姿を見ながら、恐る恐る義男の近くに寄って来た。

「お母さん最近ずっとあの調子で私に怒ってばかりなのよ。もう嫌になっちゃうわ。」
「そりゃあ当たり前だろ。お前のわがままのせいで、母さん相手先の両親に何度頭を下げて
いるか。勿論俺も下げたけどな。もう大変だったんだぞ・・お前分かっているのか?」
「そ、そりゃあ悪いなとは思ってるけど・・・でも。」
「でも、じゃない。母さんが怒るのも無理は無いぞ。ああ見えて筋の通らない事に対しては
断固許さない性質なんだからな。」

二人は額を着き合わせながらコソコソ話。
バツの悪そうな表情が2つ。

「お父さん、何とかしてよ。」
「何とかってなんだよ。」
「どうにかしてお母さんの機嫌を直してちょうだい。このままじゃあ辛いもん。」
「そんなこと言ってもなあ、俺もどうしていいか・・」
「何言ってるのよ。これってお父さんにも半分責任あるんだからね。」
「なっなんだと・・・勝手な事言うんじゃないぞ。大体これはお前から持ちかけた
事なんだからな。」
「な、何よその態度。娘の私が困ってお願いしているんだから、素直に聞いてくれ
たって良いじゃないのよ!」
「何だあ!親に向ってその口の聞き方は!」
次第に大声になっていく2人のやり取り。一気に白熱化した。
そしてとうとう舞は義男のむなぐらを掴み、そして義男は舞の頭を鷲掴んだ。

「あなたたち何ごちゃごちゃやっているのよ!!ケンカなら外でやりなさあい!!」
とうとう横綱のお出ましとなった。
ピタっと綺麗に2人の動きが止まった。しばらくお互いの情けない表情を見ていた。

「ごめんなさい。もう止めますから。」
低いユニゾーンの響き。

幸子は、それを見届けるや再び後片付けに専念した。

「ねえ、本当にお願いします。何とかして。」
「わ、分かったよ。このままじゃあちょっとマズイからな。」

両手を合わせる仕草の舞を見て、義男は仕方ない表情で幸子のいる台所まで、
ゆっくりと歩を進めた。
どうしようもない不安に1度振り返る。舞の両手が頭上高くかざして拝んでいた。
頷く父。またゆっくりと一歩ニ歩・・・ああいやだなあ。
2度目の振り返り。舞は胸元で両手を組みながら、顎を前に突き出すようにして早く早くと催促。
あの野郎~・・・だけどしょうがない。こみ上げる怒りを抑えつつ前へ進む。

「な、なあ母さん。ちょ、ちょっと話があるんだけど・・いいかなあ?」
「なんですの。今はちょっと手が離せないんですけど・・」
ツンとした横顔。深い怒りが垣間見える。これには義男も気が引けた。

「ま、舞の事なんだが、も、もうちょっと穏やかに対応したらどうだろうかなあ・・と思ってさ。」
「穏やかに?・・・それはどういう事ですの?」
「あいつだって反省はしてるだろうってことだよ。だからお前がそういつまでも怒ってばかりじゃ
あいつはずっと肩身が狭い思いをして可哀想だと思うんだ。だから・・」
「可哀想?あの子が?あんなわがまま一杯で子供っぽさが抜け切らない行動ばかりする子がですか?」
「え?ああ、いや・・その。」

幸子の予想外の言い返しに驚く義男。二の句が継げなくなった。

「私は今も独りイギリスで寂しい思いで単身赴任している彼の事を思うと、物凄く申し訳無い気持ちで
いっぱいになるんです。勿論親御さんにもです。ああ・・娘の我がままで大変迷惑をかけているって・・
私が日々どんな気持ちでいるか分かりますか?肩身が狭い思いなのはこっちの方なんですのよ!!」

わっと、関を切ったかのように泣き出す幸子。
びっくりした義男は、ただオロオロと立ち尽くすばかり。
助けを求めるように、部屋の向こうにいる舞を見た。

舞は両腕を身体の前に出して、大きな輪を作った。
そして目を瞑って首を可愛く横に傾けた。
ー黙って抱きしめろー パントマイムの答えは容易に理解できた。

義男は言われるままに幸子の腰に腕を回して、ぐいっと自分の身体に引き寄せた。
幸子は突然の事に驚いた。その表情は義男の胸元に寄せられた。
「あ、あなた・・」
「いつも苦労をかけて済まない。お前のお蔭で私は安心して仕事に打ち込んでこれたんだからね。
お前がいないと私は身の回りのことなど何1つ出来やしない。凄く感謝しているんだ。」
「まあ、あなた、そんな・・・」

戸惑いながら恥らう幸子。50を超えても可愛らしい表情だった。
舞は両腕で作った輪を更に小さくしていった。そして呑気に目を瞑りながら唇を尖がらせている。
ーもっと強く抱きしめろー
義男は言われるままに両腕に力を入れた。すると幸子も両腕を義男の背中に回していった。

「舞だってバカじゃないさ。たた今は仕事が凄く楽しい時期なんだろうな。随分迷ったはずだと私は
思うよ。今回の事は彼とよく話し合った末の結論なんだから、ここは黙って様子を見てあげようじゃ
ないか。ずっとこのままってはずはないよ。ちゃんと時期を考えているはずだ。それがいつなのかは
分からないけど。」
「私もそう思いますよ。そう思うんだけど、やっぱり相手のこと考えると、娘だからって甘やかすの
はダメだと思って、せめて厳しく接しないと相手様に申し訳なくて・・」

良く出来た嫁だ。義男に愛しい感情が沸き起こった。
だがその肝心な時に継ぎ足す言葉を失念してしまった。
わらわらと慌てる・・・”助けてくれ”
泳ぎ気味の視線が、また舞に向けられた。

その時舞はーーー。
抱きしめる格好のままに、尖がらせた唇の先から舌を出し入れしていた。
”ば、ばかもんがあ!”
義男は眉を吊り上げて睨みつける。娘の前でそんなところを見せられるはずなどないだろ。

舞は、にぱっと笑うと挙手の礼をして(頭に巻きつけてあるタオルが帽子代わりなのだろう)
スタスタと歩いていってしまった。

「あなたどうしたの?」
ふいに幸子が顔を上げて、急に黙りこんだ義男の様子を伺った。
「あっ、いやなに。」
義男は、急ごしらえの笑顔で答えた。

「ああ見えてもあの子が、実に心根の優しい娘なのは、お前も知っているだろう?」
「え、ええ。」
「結婚しても一緒に住みたいなんてさ、普通の女の子じゃあ言ってもくれないからな。
勿論、旦那の理解と優しさがあってこそなんだけど。」
「私もそこのところは分かっていますわ。そんな彼の優しさに感謝しているからこそ、
舞にはちゃんとして欲しいのですよ。何か間違っています?」
「い、いや、正解だよ。舞ももうちょっと理解してもらわんとな。」
大汗をかいた・・首筋や背中が熱い。ウソの言葉の羅列に気が咎める。そして目が泳ぐ。
義男は幸子の顔を正面から見るのが辛くなった。

”くすくす”突然に幸子が笑い出した。

拍子抜けした表情の義男が思わず幸子の顔を覗き込んだ。
「ど・・どうした?」
「いえ、あなたに抱きしめられたのって何十年ぶりなのかなと思っちゃって、つい・・うふふ。」
「あんまり笑うな。こっちも照れちまう。」
「ごめんなさい。うふふ・・・」

ふう~なんだあ・・・女のご機嫌取りも楽じゃないな。
義男もため息交じりの笑いが鼻から抜け出ていく。

おや?
ふいに頭を上げると、その視線が向こうの廊下に行った。
そこには舞がまた戻っていた。

右手を口元に当てて、”ありがとう”と唇だけが動いた。
”ああ、良かった良かった”義男も笑顔で頷いた。

だが次の瞬間、舞がその身を包んだバスローブの紐を解いた。
(おや?何してんだ?)
義男も不思議そうに、首を前に突き出して、その姿を凝視した。

前が開くと、バスローブの襟口を背中の真ん中までずり下ろして止めた。
見事なお碗型のおっぱいが、露わにそしてひと際大きく写った。
(わ、わわ・・ば、バカが。何てことしてんだ。こんな所でストリップなんぞして
悪ふざけが過ぎる!!)

舞は義男の驚く顔を確認すると、更に大胆に足を上げた。
そして軽く一周回ってみせると、その綺麗な背中が義男の目に飛び込んで来た。
まさにストリッパーの仕草そのものだった。
唖然とした表情の義男。だが視線はそのまま。瞬きも無い。

更にもう一周すると、今度はそのバスローブを全て地べたに落としてしまった。
まるまるの全裸だ。綺麗な肢体が露わになった。
今幸子が振り返ったら、どうなるだろう? 卒倒モノなのは間違いない。

そんな心配は義男だけなのだろう。舞はまったく気にもせずに踊っている。
そして右足を上げると、そのかかとを壁にくっ付けた。
するとその大事な部分は、ぱっくりと見事に全開になっていた。

左手の人差し指と中指の二本が、花弁を押し広げていった。
そこには綺麗なピンクの花が咲いていた。
二週間ぶりの舞の裸に、見惚れる義男。

「あうっ!」
突然に股間に痛みが走った。
窮屈なブリーフの中で、子供が窒息状態になって暴れ始めたからだ。

”ったくなんて娘なんだ”
恨めしそうな表情で舞を見る義男。だけど嬉しそうな笑顔で、もう一度挙手の礼をする舞。
そして落ちていたバスローブを引き揚げると今度こそ、その場を去って行った。

「まあ!」
その時幸子が、素っ頓狂な声を上げた。
何と義男の大きくそして元気になった肉棒が、幸子の下っ腹辺りに当たっていたのだ。
真っ赤な頬の幸子。戸惑い気味に顔がうつむいていた。

「君があまりにも可愛いから、つい元気になっちまったんだよ。済まない。」
「い、いえ。いいんですよ。はい・・」

情けなく引きつった笑顔で妻を見る。そして思わず天井を仰いだ。
そして弱弱しいため息を、1つ2つと漏らしていったのだった。




2.
3日後、ここは都内シティホテルの中の一室。

「あああああああああっ!!」
正面から女の両手が男の広い背中に回っている。そして男の腰が激しく動いている。
布団からはみ出た両足が、宙を彷徨っていた。

「ああ、舞。父さんもうイクぞ。」
「キスして!ねえお父さん。お願いだから。」
激しく唇が重なり合う2人。
「おおおお。まあああい!!」
「ああああん。気持ちイイよ。おとうさああん!!」

激しく痙攣した瞬間、二人はぐったりと重なり合った。
義男は、ゆっくりと起き上がると自分の股間に手を入れた。
嵌めていたコンドームを取り出すと、そのままゴミ箱に放り込んだ。

そして寝ている舞の横に、大の字になって倒れ込んだ。
「ねえ、もうゴム使うの止めようよ。」
「バカ言え、これは男としてのエチケットだ。」

不満気な声色の娘を、あっさりと一蹴する父。
「だってえ、ゴムってそんなに良い感触が無いのよ。」
「ウソをつくなよ。お前まだ諦めてないんだろ?」
顔を横にして、隣の娘の横顔に向って言い放つ。

「そうよ。妻として夫の子供が欲しいのは当たり前じゃないの。」
キッと鋭い目で義男を睨みつける舞。

その勢いに、はっと驚く義男。
「で、でもなあ。私たちは親子だぞ。生まれてくる子供は、私にとっては子であり
孫でもあるんだ。それって生まれてくる子供にとって良いのかどうかも分からんしな。」

「子供は、望まれて生まれてきてこそ幸せなのよ。そこらのバカカップルの出来ちゃった
婚と一緒にしないで。私はどうしてもお父さんの子供が欲しいの。」
素早い切り返しで反論するその表情にはいつもの明るくおどける舞の姿などどこにもなかった。
真剣そのものの眼差しで義男を見つめていた。

「だけどな、旦那が不在の今、そんな事になっちまったら、直ぐにおかしいと思われてしまうだろ?」
それでも義男は、舞を説き伏せるように言葉を重ねていく。

だがその言葉を聞いた舞は、急ににんまりと笑みを浮かべた。
「それなんだけどね。実は彼がね来月帰ってくることになったの。」
「な、なんだとー!そ、それは本当か?」

慌てた義男。同居の条件が本当なら、これから一緒に住まなくてはいけない。
大きな声も無理は無かった。義男は、寝ている舞の両肩を掴むと強引に起こした。

「ちょっちょっと、そんなに興奮しないでよ。帰国って言っても一時的なものよ。
ちょうど赴任して半年経ったから、特別休暇を貰えたって言ってきたの。
最初私があっちに行く手筈をしてたんだけど、彼がどうしても1度日本に帰りた
いって言うもんだから、それで決まっちゃったの。」

「それでいつまでいるんだ?」
「10日間。まあ将来の為の予行演習と思えば・・ねえ、うふふ。」
母親と同じ笑い方をする舞。
急速に脱力感に襲われる義男。ばったりとベットに寝転がってしまった。

「この10日間で、彼と何回もSEXするわ。勿論中出しでね。」
「ああ何てこった。」
義男は、がっかりした表情のまま左手を額に当てている。

舞は義男の胸に顔を、そっと押し当てた。
「だから・・お父さんも安心して私に中出ししても良いのよ。うふふ・・」

美しい悪魔の甘美な誘い。うつろな心の隙に染み入るように入り込む。
義男の手が舞の髪を何度も撫でつけていた。



「今日から暫くの間お世話になります。よろしくお願いします。」
明るくハキハキとした口調が玄関先で響き渡った。
舞の旦那が10日間という限定付きでやって来たのだ。

「そんなに緊張しなくてもいいのよ。どうせ将来ここはあなたのお家になるんだから。
勿論今だってここはあなたの家であることは間違いないんだから、もっとどーんと構
えててちょうだいね。うふふふ。」

幸子がいつも以上の優しい笑みを満面に表わして出迎えた。
勿論その後ろには、仏頂面の義男が憮然とした態度で立っていた。
旦那と舞は駅で待ち合わせていて、彼は大きな荷物を1つ抱えていて、
もう1つを舞が持ってやってきたのだった。

「お母さん、随分と嬉しそうねえ。彼の事気に入ったみたいだね。」
「まあ、母さんは昔からああいった折り目正しい男が好きだったからな。」
「それに最近私に対しても、そんなに厳しい態度を取らなくなったわ。これってお父さん
のお蔭かしら?」
「まあ俺の説得が良かったんだろうな。あはは。」
「説得って・・勿論アレ?」

舞はニヤリと笑うと、義男は慌てて否定した。
「ええ?何?お父さん、日本に帰ってから、まだ一度もお母さんとSEX無いの?ウソー!」
「当たり前だろ。今更この歳で長年連れ添った母さんと、そんなことが出来るはずが無いだろ。」

舞は眉間にシワを寄せながら、頭を何度も左右に振った。
「だめだなあ。道理でお母さんが怒りっぽくなったと思ったわ。何にもしないんじゃね。」
呆れた表情で喋る舞。だがそれを見た義男は、ちょっとカチンときたみたいだ。
「これは長年夫婦をやっている奴にしか分からん事だ。初心者に何が分かるか。バカモン!」
「何よ。私だってあなたの妻なのよ。私の言ってる事の方が当っているわよ。」

舞は義男の太ももを、ぎゅうっとつねった。
「いっ・・痛ってえ!」
堪らず大きな声が出てしまった。

「あなたたち、さっきから何ごちゃごちゃ言ってるの?そんな所に突っ立ってないで、
さっさと荷物を運ぶのを手伝ってちょうだい。」
「は、はい。分かりました。」
幸子の命令に2人は背筋をピーンと伸ばして、またまた仲良くユニゾーンで返事をしたのだった。

新婚夫婦の部屋は1階の奥にある八畳の間になった。
部屋の中は、全て幸子が仕立てていた。小奇麗な佇まい。舞の旦那は気に入った様子だ。

その日の夕食は、久しぶりに賑やかなものになった。
舞の子供の頃の話から始まって、2人の馴れ初めの話、そしてイギリスでの生活の話になり、
最後は義男と幸子の夫婦話まで披露する羽目になってしまった。

とうとう幸子は口を開けて大笑いする始末。それを見た舞と義男は呆気に取られてしまった。
こんなに笑う妻を母を見るのは初めてだったからだ。
義男はふと、幸子はずっと男の子が欲しかったのだなと直感した。
それは叶わなかった夢が実現した喜びが爆発したのだと素直に思ったのだった。

それから2日経ち3日経ちと、時間が過ぎていく内に、次第に彼は家族の中に溶け込んでいった。
遠慮がちの態度は徐々に無くなっていった。食事の時でも、おかわりを言う声が響くや、その手が
伸びやかに幸子の目の前に差し出されていた。
「はいはい、元気があって良いわよ。うふふ・・」
幸子の表情が如実に変わっていくのが分かった。
以前より若返ったような笑顔と肌の張りが顕著に出ていた。
彼はもはや原孫家にはなくてはならない人となっていたのだった。


それから暫く経ったある日の夜。
その時寝室で寝ていた義男は、ふと何かの物音で目が覚めた。
ダブルベットの横では幸子が、背を向けて寝ていた。
その物音は、何かがきしむ様な音がした。
義男は起き上がって辺りを見回した。が、そんな音を出す様な気配などどこにも無かった。

(おかしいなあ?確かに何かの音がしたんだけど・・)
義男は、諦めて枕に頭を置いた。するとまた・・・ギシギシ。
枕の上に置いた方の耳から聞こえて来た。どうやら物音は下からだ。

義男は、枕を退けて片方の耳をベットに押し当てた。
きしむ音は、さっきより鮮明に聞こえて来た。義男は更に耳に神経を集中させた。
きしむ音の合間から、何やら人の声が混じって聞こえて来た。

「アッ・・・ソコ・・・アア・・もっとつい・・」
小さな声の主は、どうやら舞のようだ。義男は直ぐにそれが夫婦の営みだと理解した。
ここでの生活に慣れた旦那が、とうとう堪らずに行動を起こしたのだった。
「オオ・・舞・・・イイぞ・・・最高・・」
旦那の方も遠慮もせずに声を上げている。随分と派手にやっているみたいだ。

(こうなれば当然中出しだろうなあ。張り切るのも当然か、ふふふ・・)
義男は以前舞が言ってた子作りの話が現実に行なわれているのを実感していた。
(まあアイツもイイ身体してるから、何発抜かれることか。大変だぞ。)

やれやれといった表情で、もう一度寝ようとしたその時、義男は目に前の異変に気がついた。
背中を向けて寝ていた幸子の肩が、静かに小刻みに震えているのが分かった。

すると義男は、ゆっくりと右手を伸ばして幸子の肩にそっと置いてみた。
するとその瞬間、びくっと大きく肩が揺れた。
「なあ、幸子。起きているのか?」
「えっ・・・ええ。」
か細く震えた声が聞こえて来た。

「寝れなくなったのか?」
「は・・はい。まあ。」
「無理も無いか。あいつらここに慣れた途端に、随分と派手にやってるなあ。」
「・・・・」

義男の気を紛らすような一言には、もう返事が無かった。
義男は、幸子の顔を覗き込むために身を乗り出した。

「おい、お前随分と顔が赤いなあ。あの声に興奮したのか?」
「な、何言ってるんですか。そ、そんな事は・・・」
「無いって?本当かあ?」

義男は、すっと右手を幸子のパジャマズボンの中に入れた。
そしてパンティの先端部分を指でなぞって行った。
「あああ。何を・・やめ、やめて!」
幸子は下半身をくねらせて、その指の侵攻を阻止しようとした。
「何してるんだい。ちょっと調べているだけじゃないか。直ぐに終わるからさ。我慢しなさい。」

「ああやめて。とめてぇ!」
幸子のあがきも空しく、その指の探索は終り、右手がズボンから出て来た。
「おいおい、何だか湿り気を感じたけど、これはどういう事かな?」
にやつく義男。スケベ親父の表情丸出し。興奮する野郎は全てこんな顔なんだろう。

「し、知りません。」
背中の向こうから実に聞き取りにくい、か細い声が聞こえて来た。
背中は相変わらず震えていた。
「おい、今何て言ったんだ?」
義男は、もう一度その声の内容を聞こうと、幸子の肩を揺らした。

1度、2度・・揺すっても答えない。
そして更に3度、4度とひつっこく肩を揺すり続けた。
すると・・

とうとう堪えきれずに、いきなり義男の方に身体を向けた。
「知りません!!」
幸子は先程と同じセリフを、大きな声で復唱した。

だが、その瞬間、義男の中に新しい感情が生まれた。
振り向いた幸子の顔は、真っ赤に染まっていた。そして今にも泣き出しそうな潤んだ瞳。
恥らいの表情で、下唇が震えていた。

「さ、幸子!」
義男は、たまらずに自分の唇で幸子の唇を塞いだ。暴れる舌先が幸子の舌に絡みついた。
両手でガッチリと幸子の両頬を押さえつける。強引なキス。そしてその舌は、顎から首筋
へと下りてきた。義男の剥き出しの感情がそこに現れていた。
「あ、ああ。あなたあ・・」
幸子の両腕が、自然と義男の背中に回っていた。

義男は、ふいに訪れた感情に押し流されるように、背中からゾクゾクするような痺れを覚えた。
パジャマのボタンを外すと、小ぶりのおっぱいが見えた。娘の大きさから見れば、物足りない
のはものはあったが、実に綺麗な隆起をしていた。まだまだ張りは十分に残っていた。

義男は舌を震わすようにして、隆起物の外郭を舐め始めた。
「はあああん。」
幸子の声が変わった。男をソノ気にさせる淫らな音域が聞こえて来た。
実に甘い。そして可愛い淫声が耳元から入って来た。

義男は右手を、再び幸子の股間に伸ばした。そしてパンティの中に指が入った。
陰部の周りは、既にじっとりと濡れていた。
中指が一本ゆっくりと花弁の中に押し入って行った。
そしてその温かさを瞬時に全身に伝えてくれた。

義男は指の腹を、ゆっくりと中のヒダに押し当てながら、左右に揺らしていった。
「あああああ・・・こんな、こんなの初めてええ!」
普段おしとやかで、あまり感情の揺れを感じさせない幸子が、別人の如くに乱れている。
義男の驚きも同様だった。その昔から淡白なSEXで終始していた頃とは、今ではまったくの
別人に変わっていたと言ってもよかった。

義男はすぐさま、幸子のパジャマズボンとパンティを下にずり下ろしていた。


「おおお舞。凄く気持ちイイよ。」
一方一階では、若夫婦の営みが繰り広げられていた。
正面から深く差し込まれた舞は、左足が太ももまで、旦那の肩口の辺りまでくっ付いていた。
「あああああん。あなた硬いわ。凄く硬くなっている。まるで石みたいよう!」
「な、何て気持ちイイおまんこなんだあ!」

旦那は我を忘れたかのように、一心に腰を降り続けていた。
「はああああん。もっともっとちょうだあい。硬いオチンポをぶち込んでええ!」
舞は、必要以上に大きな声を張り上げていた。
まるで二階の住人たちに聞かせるように。

「今日は、いつもと違って随分と悦んでいるじゃないか?舞。」
「だってあなたとのSEXって、久しぶりでしょ?だから凄く感じちゃってしょうがないの。」
「俺だってそうさ。お前とは久しぶりにだし。それに初めてのナマだろう?もう無茶苦茶気持ち
良くてさ。最後は中出しだろ。燃えない訳無いじゃんか。」

満面の笑みが、幸せの証明。
可愛く頷く舞。だけど、その笑みはそっと天井に向かってのものだった。
彼は何も知らない。本当に幸せな旦那様だった。


「ああああ。そ、そんなあ。あなたそんな事は止めてちょうだい。そことっても汚いのよ。」
幸子は、両手で顔を覆った。その下に視線を動かすと、股間のところで義男が顔を埋めている
のが見えた。舌がピチャピチャと嘗め回す音が聞こえている。

一生懸命にクリトリスを舐めていた。唾液が滴り落ちるまで舌での奉仕。
こんな事は幸子にとって初めてのことだった。
昔は、ただ単に正面から腰を沈めて何度か動いて、それでお終いというパターンだった。
幸子はSEXにはあまり感心が無かったし、また義男自身も仕事の事で頭がいっぱいだった
事もあって、いつも淡白に終えていたのだった。

だが、この変わりようは何だ?
幸子は、痺れる快感の中、その疑問に対して。ある思いをめぐらせていた。
浮気ーーー?
長いアメリカでの生活で、何かがあったのかも?
だが考えてもしょうがなかった。

今、この瞬間、夫は古女房の自分を愛してくれている。
この事実を大切にしようと思った。自分が女として愛されている。
その思いだけで十分だった。50を過ぎて再び得れたこの快感に身を委ねよう。
幸子の目から薄っすらと涙が流れていた。

義男は、やおら頭を上げた。
「今度は、お前の番だぞ。」
そう言うと、義男はゆっくりと身体を起こすとズボンを下ろし、そのまま腰を幸子の胸の
所まで持っていった。
「あ、あなた?」
幸子の目の前に、巨大な肉棒がそびえ立っていた。
初めて真近に見る男根に、幸子は息を呑んだ。

義男は左手で幸子の頭を持ち上げた。そして右手には硬くなった肉棒を握っていた。
そしてゆっくりと近づけていくが、幸子はいやいやをして顔を横に背けた。
だけど更に強引に押し付けていくと唇に、その先っぽが当たった。
「い、いやあ。もうやめて。そんな事は出来ないわ。」
幸子は顔を振って拒否した。だけど義男は、それでも委細構わずに口の中にねじ込んで行った。

「むぐぅうう!!」
大きくて硬い男根が、ずぼっと全部口の中に入ってしまった。
喉に当たったらしくむせ返る幸子。目から涙がポロポロとこぼれてきた。
「さあ、舌を使うんだ。舌をしっとりと絡ませるんだ。」
「うう・・ふううん。」

言われるがままに舌を動かす幸子。「おおおお。凄くイイぞ。幸子。」
夫の歓喜に震える表情を見るうちに、次第に自分で動かすようになっていった。
奥歯に少し力を入れたり、舌を裏筋に這わしたりして、義男の表情の変化を観察する
余裕まで出て来たみたいだ。

「随分と飲み込みが早いじゃないか。ははは。」
義男は嬉しそうな表情で、腰を軽く浮かした。
そして目の前に置いてある鏡台の扉に手を伸ばして開いた。

「ちょっと見てみなさい。」
義男は全開した鏡の前に幸子の身体を起こしてやった。
勿論口には肉棒を咥えたままの状態で・・

(きゃああ。何て顔をしているの。恥ずかしい!)
幸子は鏡に映った、その姿に死ぬほどの恥ずかしさを覚えた。
口一杯にほうばった肉棒が、義男が腰を動かす度に頬を何度も膨らませていたからだ。
目は涙で充血していた。幸子はそれがまるで下僕のような扱いに思えた。

屈辱的で恥ずかしい。まるで玩具のように扱われている事に悲しくなった。
だけど・・
同時に身体の奥から沸き立つ痺れるような快感が徐々に全身を覆っていくのを感じていた。
恥ずかしい事をさせられているのに、何故か気持ちが高揚している。
対等な人としてではなく下僕のような扱いに興奮する自分に、少なからず驚いていた。

(もっと苛めて!!)
何時の間にか幸子は肉棒を口の中で優しく愛撫していた。



「なあ、そろそろ俺イキそうなんだけど。」
「もうちょっと頑張ってよ。私まだイケないの。」
旦那の辛抱たまらない表情とは対照的に舞の顔には物足らなさが漂っていた。
そして舞は、何度も天井に視線をやる仕草をした。

「おおお。もうダメ。イク!」
激しい腰の動きが、一気にリズムを無くして無軌道な動きになった。
「あああん。ダメよう。」
舞は素早く起き上がると、すっと身体を離した。
股間に顔を埋めると、肉棒を口に含みながら、右手で扱き上げていった。

「くわああ!!で、出るう!」
旦那の背中が伸びた。そして腰が前後に揺れ、舞の顔が何度も打ち付けられた。
熱い放流が喉を直撃した。舞は一気にそれを飲み干したのだった。

「あああ・・・そんなあ。約束が違うじゃないか。」
これではまるで楽しみに残しておいた好物を、食べる前にお預けを喰らったようなものだ。
旦那が怒るのも当然だった。
だが舞は悪びれずに平然としていた。

「私まだイケないって言ったでしょ。あなたの方がだらしないんじゃないの。」
「俺が早かったとしてもいいじゃないかよ。どうせ中出しOKの条件なんだから一緒じゃないか。」
「あのね、私を満足させないであなたが勝手に満足するのが嫌なのよ。」
「何だとお!」
「悔しかったら、もう一回挑戦しなさいよ。今度は私をちゃんとイカしてちょうだい。そうしたら
今度は満足いくまで私の中に出しても良いから。どう?」
「おう!言われなくてもそうするさ。」

旦那は舞を押し倒すと、力強くたわわに実った舞のおっぱいをもみ始めた。
そして顔を舞の首筋辺りに近づけると、ゆっくりと舌を這わしていった。
(やれやれ・・・)
ちょっぴり不満げな表情。小さくため息をついた。
その時、舞の頭の中では、別の男性の顔を思い浮かべていた。
もの悲しげな瞳で天井を見つめる。そして唇が小さく動いた。
(お父さん・・・・)



「あああああ!!恥ずかしいわ。あなたイイわよ。」
幸子はよつんばの状態で、義男を後ろから迎え入れていた。
正上位しか知らない幸子にとって、初めてする体位に更に興奮を増していた。
「幸子のケツの穴まで丸見えだ。」
「い、いやああ。見ないで。恥ずかしい!」

義男は容赦無く腰を強く打ちつけた。
「ほら、鏡を見てごらん。まるで犬になったみたいで凄くいやらしい格好だよ。」
幸子は義男の言う通りに鏡を見た。
意地汚く腰を突上げて、後ろから義男の肉棒を咥え込んでいる自分自身の姿が見えた。
「いやあああ。本当に犬みたいだわ。」

義男にとって幸子が見せる恥じらいは実に新鮮だった。
まるで何も知らない蕾のままの少女のようだ。
夫婦になって30年近く経つが、初めて見る妻の痴態に義男の興奮は最高潮に達した。

激しくバックから突き立てる。「いやあああん。だめええ!」
幸子は髪を振りかざしながら、何度も打ち寄せる快感を受け止めた。
理性はあっと言う間に吹っ飛んだ。
「ああああ。あなたの・・あなたの・・・」
「おいあなたの何だ?」義男は腰の動きを止めた。

「お願い止めないで!あなたの・・・あなたのオチンチン気持ちイイの!!」
「おおおお。幸子。良いセリフだ。最高だぞ。あはは。」

義男は幸子を仰向けにすると、再び正常位から貫いた。
激しくキスを何度も繰り返す。幸子の口からよだれが溢れていく。

義男は、そのまま幸子の腰を持ち上げると、繋がったままに立ち上がった。
「え?え?何?なんなの?何だか浮いているわ。」
「そうさ今お前は、宙に浮いているんだ。どうだ?」

抱き抱えられたままに、義男の肉棒が花弁に抜き差しされている。
「も、もうだめ。気が変になりそう。もう勘弁してくださああい。」
「あははは・・俺は気持ち良いんだ。お前はイイ女だ。」

そのまま子供みたいな笑顔の義男。ベットの周りをぐるりと一周した。
しがみ付きながら身体を震わす幸子。

その時何を思ったのか義男は、その状態のまま部屋を出て行った。
「ああ、あなたいったいどこへ行くの?」
「お前が気になった部屋に行こう。」
「ば、ばかあ!あなた気は確かなの?こんな格好で行ったらダメです。
親として子供達に明日からどんな顔をして会えばいいのです?降ろして
ねえ降ろしてください。あなた。お願いだから・・やめて!!」

委細構わず義男は幸子を抱えながらゆっくりとした足取りで階段を降りて行った。
手足をバタつかせながら抵抗する幸子も一緒に降りて行ったのだった。


「おおおう。今度こそバッチリ決めるぜ。舞どうだ?」
「あんあんあん。いいわあ。すっごく気持ちいいわよ。」
その時、一階では2回戦が展開されていた。
今度こそ中出しを決めようと躍起になる旦那が側位から腰を上手にくねらせながら
懸命に突上げていた。

旦那は舞の右足を持ち上げながら、横から深々と貫いていた。
「あああ。もっともっとちょうだああい。もっとよ。」
快感にどっぷりと浸かったような、甘ったるい声が大きく響いた。

だがよく見ると、その時舞の表情はまるで正反対の無表情だった。
(アア~ア。全然だわ。この人いつも独りよがりだもんな。チンポ突っ込むだけで女が
感じると思ったら大間違いだっつうの。)

呆れた表情のままで、更に大きな声で淫らな声を張り上げた。
「いいのか?舞。俺もそろそろイキそうだ。」
「あああん。いいわ。もう私イッちゃいそう。ああああん。だめえええ!」

後ろからでは舞の表情など見えない。気持ち良さそうな表情で横から一生懸命腰を振り続ける
旦那様。舞の演技は完璧。彼が哀れに見えた。

(しょうがないわね。そろそろフィニッシュだわ。一杯出すんだろうなあ~。)
舞が腰をクイクイっと捻ると、旦那が情けない声を張り上げた。
「ああああ。凄い締め付けだああ。もうだめ。イッちゃう。イッちゃうよう。」

旦那のお尻が左右にぶれながら、乱暴な動きで舞に乗っ掛かった。

(さあ・・いよいよね。)
その時、舞の目の前にあるドアが、少しずつ開くのが見えた。
(あら、何かしら?)
人影の気配に舞は少し頭を浮かした。

大きな塊の人影が壁を伝って伸びた。
薄っすらと義男の顔がドアの横手から見えた。

(お・・お父さん?)
一瞬驚いた表情の舞。自分のエッチな声に誘われて覗きに来たのだと思った。
なんだあ・・可愛いらしいとこあるじゃん・・口元が緩んだ。
たっぷりと興奮させてあげるわ。それから気持ち良くしてあげる。

「あああああん。きてぇ!一杯出してぇ!」
舞は目一杯に足を広げて、男根が出し入れしている所を見せ付けた。
そしてその淫らな声は一層艶っぽく響かせた。

だが次の瞬間、舞の目が大きく見開いて固まったままになった。
「お・・お母さん?ウソ・・・」

義男の前に、もう一人の背中が見えた。綺麗な肌。横顔から薄っすら上気した頬が見え隠れした。
泣いている様にも興奮している様にも見える潤んだ瞳が、すがりつくように義男の胸にあった。

「ああ・・恥ずかしいわ。早く、早く上に行ってください。」
「いいじゃないか。向こうは気づいてはいない。よく見ろ凄いぞ。まさに興奮ものだ。」

そう言うと正面から抱っこをしたままで、1回2回と腰を突上げた。
「はあああ・・や、やめて。そんな事をしたら、こ・・声が出そう。」
「だめだぞ。今、声を上げたら、ここから覗いている事がバレるぞ。」
「そんなあ。あなた戻りましょ。早く部屋に・・ああああ。」

容赦の無い義男の突き上げに、脆い肉体が悲鳴を上げそうに鳴っていた。

舞は、驚きを隠せなかった。瞬間、義男と目線が合った。
”どういうつもり?””こういうつもりだ”
互いの目が、そう言葉を交わした。

義男は幸子を降ろした。そして壁に手をつかすと、後ろから一気に差し込んだ。
「きゃああああ。そ・・そんなに突いたら壊れちゃう。だめえ声が出るう~。」
頭を左右に降りながら、迫り来る快感に必死に耐えている。
「さあ前を見なさい。ほらあ・・早くな見ないと終わっちまうぞ。」
「い、いやああ。もう勘弁してください。」

幸子は泣きながら懇願した。実に色っぽい表情に、義男の興奮も最高潮に達した。
「幸子。お前がそんなに色っぽくて可愛い女だとは思わなかったよ。ああ何て時間の無駄遣いを
してしまったのだろう。」
「ああああ。も、もっと、もっと突いてくださああい。お願い。もうたまんないわ。」
「ああいいぞ。もっと突いてやる。そして一緒にいこう。おおお幸子!」

舞は、義男が幸子を見る表情を見て、血が逆流するような思いに駆られた。
今まで見たことの無い慈しみに溢れた表情を舞は見たのだ。

「ま、舞!もうダメだ。出る。出る。出るぞおお!」
旦那の堪えきれなくなった声と、激しく肉がぶつかり合う音とが合さって響いた。
「い、いやあ。止めて、中はダメよ。いやいやいやダメだったら。外に出して!」
その時突然に拒否反応を示す舞の慌てた声が、旦那の耳に入った。

「ば、ばか・・いまさら何言ってんだ。もう止まらん。うおおお、行くぞ!」
「いやああ!!」
いきなりヒステリックな叫び声と共に、後ろにくっ付いていた旦那を突き飛ばした。
「わ、わわ・・何すんだ。ううう!!」
その瞬間大きく反り返った肉棒から、白い花火が打ち上がり、高い放物線を描いた。
「ぶはあ。なんだこりゃあ!!」
哀れその花火は、そのまま旦那の額に着弾したのだった。

だけど舞は気にも留めずに、その大きく見開いた瞳をドアの方向に向けていた。

「おおお幸子。俺たちも・・。」
「ああ・・あなた。もう私、どうでもいいわ。あああ来て!!」

すると義男は何度か大きく腰を突き出した後、一旦幸子から離れた。
そしてそのまま、幸子は壁にもたれかかって、ずるずると腰から崩れ落ちて行った。

「おおおお!!幸子。」
勢い良くしごく肉棒を、空ろ気な瞳で見ている幸子。
「あなた。何するの?」
荒い息遣いの中、幸子は顔を上げた。
そして快感に打ち震えている夫の表情を見た瞬間、その何かがすぐに理解出来た。

「私の顔を汚したいのね。いいわ。思いっきり汚してちょうだい。」
「幸子・・・お前は最高だよ。うおおおお!!」

激しい手の動きが止まった。そしてその瞬間・・・
「いやああああ。」
幸子の顔が、あっと言う間にドロドロに汚されていった。
物凄い量のザーメンが、幸子の目と鼻を塞いでいく。

舞の両目が、母の悦びに満ちた表情を捉えた。
何と美しくて可愛い顔なんだろう。舞は自分が男だったら、きっと手放さないだろうと思った。
初めて見る母親の”おんな”としての表情だった。
年輪を重ねても失われない、その可愛らしさは、自分には生涯持てないだろう。
その両目は瞬きを忘れてしまった。

父は、もうこっちには振り向かないかもしれない。舞はそう直感した。

「おい!舞。話が違うじゃないか。 さっきまで散々その気にさせといて、なんだよ!」
「うるさい!」
舞の怒声が旦那の怒声を圧した。そのすさましい迫力の前に旦那は、声を詰まらせてしまった。

舞は、そんな旦那に一瞥もくれずに、ただ前を、じっと凝視していた。
義男は、冷めた視線を舞に向けたまま、そっと扉を閉めていった。

舞は下唇を、ぎゅっと噛んだまま、ただ黙って顔を伏せてしまった。


3.
翌日の朝の食卓は、皆一様に口が重くなっていた。
「あら・・どうしたの皆さん?。あまり箸をつけないけど、美味しくないの?」
「いや、そんなことはないよ。この焼き魚、結構美味いよ。なあ?」

義男は、若夫婦に話を振ったが、旦那は終始うつむいたままで、ぼんやりと茶碗を持っていた。
舞は、黙ったままお茶を啜っていた。その重苦しい空気は2人を取り巻いていた。

「おいおい、お前今日からハワイへ行くんだろ?久しぶりのフライトだからって緊張しているのか?
ちゃんと食べないと、機内で倒れてしまったらみっともないだろ?」
「分かってるわよ。ちゃんと食べますよ。食べるったら。」

膨れ面の舞は、ゆっくりと茶碗にある御飯を口に入れていった。
じっと目の前にいる母を見ながら・・・箸を動かしていく。

「ねえお父さん。今日の帰りは早いのですか?」
「ああそうだな。」
「だったら今日は久しぶりに鍋でもしましょうか。あなたも如何かしら?」
「あっああ。そうですね。ぼ・・僕、鍋大好きですから頂きます。」

ぼんやりとしていた旦那が、幸子の問いかけに、はっと我に帰った。
「おいおい、君までどうしたんだい?舞と一緒になってぼんやりしちゃって。」
「い、いえ・・別に何もないですよ。はい・・。」
「ふううん。そうなの?」

その白々しい問いかけに、幸子の表情が、ちょっと恥らうかのように、ぽっと赤くなった。
そして幸子は義男から見つめられると、すこしはにかんだような笑顔を浮かべた。
「背広にアイロンをかけておいた方を、そこのリビングに置いてますから、今日はそちらを着ていって
くださいね。あっそれから、ハンカチはこちらの方を使って下さい。それと財布は・・」

てきぱきと義男の世話をやく幸子。舞の眉がちょっとずつ吊り上がっていく。
「ねえ母さん。」「なあに?舞」
「今日は随分と張り切ってるけど。昨日何か良いことでもあったの?」
「ベ、別に何も無いわよ。」
「そう?今日は何だか、いつもと違って明るいし、それにちょっと若く見えるわ。お化粧変えた?」
「ば、ばかね・・そんな事しないわ。いやあねえ、この子ったら。」

どぎまぎした表情で顔をそらす幸子を見て、ますますムスっとした表情になる舞。
「ねえお父さん?」「う・・ん?なんだい?」
「そろそろお父さんの会社って、決算時期に差しかかってて、結構忙しくなるんじゃないの?」
「まあ確かに忙しくなるけど、お父さんは結果報告を受ける立場なんで、それほど忙しくはならないんだ。
という事だから母さん、私の帰宅は当分の間早くなるから、夕食の方はちゃんと頼むよ。」

「まあそんなんですの。それは良かったわ。それならこれからは一層腕によりをかけて料理しますわ。」
嬉しさで、まるで子どものように小躍りする幸子。
「あっ、新しい靴を出しておくの忘れたわ。早く用意しなくっちゃ。」
そしてそのまま踊るようにして、パタパタと玄関に向って走っていった。

だが舞は反対に、眉間にシワを寄せて実に険しい表情になっていた。
「どういう事よ。いつもの所で逢う約束じゃないの?」
「あれはキャンセルだ。私は幸子の料理が食べたいんだ。これからもずっとな。」
「私だってあなたの妻よ。私だって料理を作れるわ。」
「私の妻は一人だけだ。お前は私の娘だ。だからもう彼と一緒にイキリスへ行け。」

「二人とも、どうしたんですか?ボソボソと話したりして?」
一人つま弾きにされた格好の旦那が、申し訳なさそうな顔で、二人の会話に首を突っ込んで来た。
「いやあなに、娘にそろそろ仕事を辞めて、イギリスで君と一緒に暮らしたらどうだって言ってた
ところなんだ。なあ舞。もうそろそろどうだ?このままじゃあ彼に申し訳が立たんじゃないか。」

「え?そうなんですか?お義父さん。」
旦那の表情が急に、ぱあっと晴れた。嬉しそうに笑顔で舞を見た。
パアーン!!
その時、勢い良く箸がテーブルの上に置く音が大きく響き渡った。
思わず後ろに仰け反る義男と旦那。

「もう時間だから行くわ。」地の底から響くような低い声。
舞は怒りを堪えるように、目玉と眉が大きく吊り上げたままに立ち上がった。

「おい舞。ビューティスマイルはFAとしての基本だぞ。そんな顔のままで仕事はするなよ。」
「勿論分かっているわよ。じゃあ行ってくるわ。」
そう言うと用意してあった2輪キャリーケースを手にして、さっさと部屋から出て行った。

「君も大変だなあ。」
「はあ・・どうも申し訳ありませんです。お義父さん。」
そう言いながら、本当に申し訳無さそうに頭をポリポリと掻く若旦那。
「君に1つ良いことを教えてやる。」
「はあ。何でしょう?」
「あいつはな、背中から脇にかけてが弱いんだ。一度試してごらん。効果てきめんだぞ。」
「は・・はああ?」

いきなり予期せぬ言葉を耳にして、素っ頓狂な声を張り上げる若旦那。
義男は悠々と新聞を広げていた。

それから幾日が経って、明日は旦那がイギリスへ戻る日となった。
舞は、その日の昼過ぎにハワイから戻っていた。

幸子は、義理の息子の為に、たくさんの料理を作った。今日は宴会なのだから。
義男も旦那も、よく食べよく喋った。幸子も舞もよく笑った。

義男は舞の笑顔を見て、内心ほっとした気持ちになった。
出かける前の怒りようから、これからどうなるかと心配したが、
これなら大丈夫だ。今は、まだわだかまりはあるだろうが、これで良かったのだ。
義男は、すぱっと娘との関係を絶つ決断した事が、事態を好転させたと確信した。
舞の笑顔は、旦那との新しい生活への決心がついたと思ったのだった。


その夜・・・
「あああいいわ。イッちゃう!!。」「おおおお。幸子!!」
復活した夫婦の営み。あの日以来、義男と幸子は、肌を合わさない日など無かった。
特に義男は日々、幸子の肉体の素晴らしさを発見する毎日だった。

男を受け入れた時の表情、快感に浸る時の表情、終わった時の恥ずかしそうに笑う表情。
全てが新鮮だった。アメリカでの15年の空白が無ければ、こんな感動は得れなかった。
いや、それと同時に娘との出来事があったからこそ、今再びの妻との恋愛があるのだ。

全てが終わった。幸子は義男の腕に顔を寄せると、すやすやと眠りについた。
義男は、安堵の笑みを浮かべて、横で眠っている妻の鼻をピンと指で軽く弾いた。

その時、部屋のドアが開く音がした。外の光りが帯状に差し込んで来た。
それと一緒に、長く伸びた人影が入って来た。
(誰だ?)
義男は、その影を見ようと頭を上げた。
するとその影は、すっとまるで幽霊のように音も無く、前に寄って来た。

立っていたのは舞だった。しかも上半身裸で、パンティ一枚という格好だった。
「おい、舞。お前なんという・・・」
驚いた義男は思わず大きな声を出した。だけど舞の手が直ぐにその口を塞いだ。

そして、にっこり笑うと右手の人差し指を自分の口元に置いて、おだまりの指示を出した。
義男はまさかといった面持ちで、固まったままになった。

舞は、すぐさま義男の既に”終わった”肉棒を口に含んだ。
「うおっ!」
舞の舌が、左右前後と自在に動き回った。これは堪らない。一瞬義男は声が出そうになる
衝動に駆られた。だが耐えねば。今、幸子が目を覚ませば、今までの幸せの全てを失って
しまうからだ。

舞はフェラを続けながら、パンティを脱ぎ捨てた。そして素っ裸のまま、その下半身を義男
の顔の上に押し付けた。
義男の唇に、じんわりとした湿り気を感じた。若い淫臭が鼻をついた。
舞は腰を振って、その花弁を舐めるよう懇願した。

下半身では舞のフェラが、上半身では舞の花弁が義男の五感を刺激していった。
(何という事だ。こんなに気持ちが良いのは初めてだ。)
義男は自分が早くも回復したというのを確信した。
下では舞の声が漏れ始めていた。その大きくなりつつある肉棒が次第に咥え難そうになって
いったからであった。

顔を横に向けると、幸子が幸せそうな表情で眠っていた。そして前を向くと舞の大きなお尻が
目の前にそびえ立っていた。義男は当然の如くに分かりやすい興奮に陥った。

義男は舌で、花弁や尻の穴などを思い切り嘗め回し始めた。
舞の腰が妖しく揺れた。我慢する呻き声が、まるで地を這うように低く漏れた。

そしてそれに応えるように、舞は頭を激しく上下に動かした。
互いの淫らな音が、静かな部屋の中に溢れた。

舞は2度3度とお尻を、義男の顔に押し付けると、すっと、腰を股間の方へ移動させた。
左手で肉棒の根っこを持つと、ゆっくりと腰を浮かせて、花弁の周りに押し当てた。
ねっとりとした肉ヒダが肉棒の先にまとわりつく。
舞は焦らすように、肉棒を花弁の周りに円を描くようになぞっていった。

義男は、本能のままに腰を上下させて要求を訴えた。
振り返って義男の顔を見た舞の顔には、口元にいやらしさを含んだ笑みを見せていた。
少し腰を震わせると、肉棒が、ずぶりと舞の肉壷の中に埋まって行った。

それから直ぐに物凄い速さのシャウトが義男の腰の上で行なわれた。
大きなお尻が躍動感に溢れた動きをしていた。溢れる肉汁が肉棒を包み込んでいく。
舞の腰が上下に動く度に、潤滑油でこすれる淫らな音が耳に入って来た。

互いの小さく吐く息が、何度も交差する。
母親の寝ている横で、父娘が上下で結合しながら互いの淫肉を貪りあっていた。
しかも義男の左腕には、幸子がその身体を寄せていて、身動きが取れない状態にあった。

その時、義男は自分の肉棒が、強い力で締め付けられるのを感じた。
ぬめった肉が絡みつく感覚が、堪らない程の快感をもたらした。
”だめだ。持たない”義男は舞の背中を何度も叩いて、直ぐに退くように指示した。

舞は退くような気配は無かった。むしろ更に、その締め付けを強めた。
”ああなんという気持ち良さだ。”肉体は正直に欲望の吐き出しを準備した。

舞は上半身を後ろ向きに寝かした。義男の胸の上に舞の背中が乗っかった。
舞は舌を出して、義男の頬を舐めた。2人の身体はピッタリと重なり合った。
その時義男は、既にまったく動けなくなっていた。

容赦の無い舞の締め付け。義男は左右に腰を振って逃れようとしたが、まったく動かない。
何度も迫り来る快感の波状攻撃に耐えるのにも限りがあった。

「う、うううん。」
その時、横で寝ていた幸子が、掴んでいた左腕に顔を摺り寄せた。
義男の首筋に、幸子の吐息が吹きかかった。

「あうっ!!」
もはや限界だった。その時義男の右手が舞の大きなおっぱいを鷲掴みにした。
大きく脈打つのが判った。すさましい射精感が何度も下半身を襲った。

暫くして腰の震えも収まった時、射精後の虚脱感が全身を包み込んだ。
舞は、コトが終わると、ゆっくりと身体を起こした。
しっとりと濡れた唇を、ゆっくりと義男の口元に寄せた。甘く優しいキス。
義男は、その痺れた頭が次第に収まっていくのを感じていた。

濡れて潤った瞳には、優しげな明かり灯っていた。
その美しさに義男は、しばし呆然とした表情で見つめていた。
すると舞は、そっと義男の耳を軽く噛んだ。

「ごめんなさい、お父さん。でもありがとう。」
小さい声で、そう呟くと舞は立ち上がって、ゆっくりとした足取りで部屋を出て行った。
後には、ただ呆然と天井を見ている義男がいた。


舞は、部屋に戻ると直ぐに、寝ている旦那の鼻をつまんだ。
気持ち良さそうな寝顔が、次第に充血していった。そしてバタつく手足。
「ぷ、ぷふぁあ。く、苦しい、お前、お、俺を殺す気か。一体どういうつもりな・・ん?」

次の一瞬、旦那の訴える口が舞の唇で塞がれてしまった。
旦那は仰天して目を丸くした。

「起こしちゃってゴメンね。私、急にしたくなっちゃって。」
「ま・・舞?。」
「あなたは、そのまま寝てて。全部私が面倒見てあげるから・・」

舞は、そう言うと旦那の唇に何度も合わせた。
そしてパジャマズボンから、トランクスからを全て剥ぎ取ると、剥き出しになった肉棒を鷲掴み
にした。
「今からあなたのオチンチンを、私のオマンコに入れるからね。」
「お、おい舞、一体どうしたんだい?」
「もう裏切らないから。最後まで愛してあなた。最後までオチンチンを抜かないから・・
最後までイッていいのよ。だから、このままずっと愛して。お願い。」

舞は旦那の上にまたがると、ゆっくりとそして静かに腰を下ろしていった。


義男は、ふと寝ている横から、静かな寝息がするのに気づいた。
「さ・・幸子。」
義男は、寝ている幸子の前髪に手ぐしを入れた。柔らかい笑みで古女房の寝顔を見つめた。
自分の手元で安心して幸せそうに寝ている幸子。

そっと抱き寄せて、額に口づけをした。
幸子の顔が義男の胸元に寄り添う。
義男は左手を背中に回して、そのか細い肩を抱きしめた。

しばらくすると、静かな寝息が重なり合うように聞こえて来た。
幸せそうな笑みを浮かべた寝顔が2つ寄り添うようにして、1つの枕の上にあった。
                                      (おわり)

[2005/01/28]

小説(転載) 守ってあげたい

近親相姦小説
07 /03 2018
掲載サイトは消滅。
題名  守ってあげたい

古来、日本の家族は大所帯であった。
どこの家庭にも4人、5人兄弟なんかは、ザラに居た。
近年では、政府自ら「産めよ増やせよ」の号令の元、せっせと子作りに励んだ時代もあった。

こうなると、うじゃうじゃと子供たちで一杯になってしまうのは当然だ。
親だって、いい加減な名前をつけるのも無理は無い。
一郎、次郎、三郎・・など、数字をつけるなんて事は、まだましで、朝に生まれたから、朝子、昼太郎、晩次郎・・・
もっと昔なら、ウシ、ウマ、トラ、クワ・・おおよそ人間につける名前では無いのが一杯あった。
子供の健やかな精神的成長なんぞ、考えないある意味大らかな時代でもあった。

その上、こうも子供が多くなると、親だって、一々名前なんぞ覚えてはおらず、顔すら覚え切れないといった事もあった。
それに、それら兄弟がそれぞれ所帯を持つとなれば、さらに一族は増える・・叔父、叔母は勿論、従兄弟を併せると、その
数は膨大に膨れ上がる。
それに歳の差もマチマチで、10、15ぐらいは軽く開いているのだから、兄弟とはいえ、一方は大人もう片方はガキって
事も、よくあった。
これでは己自身の存在意義は薄れるばかり・・・自立は生きていく上で、必要不可欠な行事となっていた。

さてさて・・現代のお話をしよう。
核家族化が進み・・1世帯の家族構成は、子供がいれば、せいぜい3,4人、姑舅とか合わせても6人が最大数である。
そしてどこの家庭も、数少ない子供たちの一挙手一投足に振り回され続けている毎日を送っている。

少ないが故に尊重される自我。
競争の無いが為に、自立がなされない脆弱な子供たち。
社会の競争に立ち向かえない子供たちが、次第に内へ内へと逃避していく。
そこには無条件で助けてくれると信じている母親がいるから・・・
禁忌の扉はいつでも開けれる状態なのだ。

しかしながら世の中には、そんな人たちだけではない。
本来親がしっかりと子供達を育成している家庭などは、どこにでもあるのだ。
立派にしつけを施し、未来への挑戦を促がす。
子供の甘えを外に目を向けさせる事で、正常な自我の成長を促がすようにしている。

いつかは、1人で生きていく、人生の目標を持って歩いていく・・それが人生だ。
子は親の背を見て育つもの・・

さて、今回の物語の主人公、橘新一は、父孝一を尊敬している。
そこで、父孝一の生い立ちを簡単に説明しておこう。

彼は幼少の頃から、ひどい困窮生活を虐げられていた。
理由は、彼の父親にあった。
父親には特に変なクセは無く(酒とかギャンブル)、真面目に家業であった畜産業に努めていた。
母とは中学の同級で知り合った。
20で結婚、翌年孝一を授かった。
生来温厚で、人当たりも優しい人だった、全てが順調だった。
ただ優しすぎた・・・友人に騙されて、借金の保証人になったのが躓きの始まりだった。
家財一切を取られ、親子3人寒空に投げ出されたのだ。

それでも父は恨まず、騙した友人の身を案じ、また母も決して父を恨まず励ましていた。
孝一は、どんな逆境に巻き込まれても、人を恨まず、ただ黙々と生活の立て直しを図ろうとする
両親を見て育った。
孝一の父は母を愛した、また母も・・幾重の年月を重ねても、それは変わらなかった。
父は孝一に人を愛する事を説いた。
人間1人で生きていくには限りがあるもの、人を愛し、人の為に生きてこそ、己の幸せがあると・・
母は、苦労をする事を説いた。
人として痛みが分かるには、相当の苦労を体験しなければいけないのだと。
痛みが分からなければ、人・・1人の女性すら守ることすらできない、一人前の男にはなれないのだと。

孝一は、愛する両親から自立への訓練と教えを教授された。
ひどい困窮生活でも、彼は捻じ曲がらなかった。
そして彼は多くの友人に、先生たちに恵まれた・・彼は誰からも好かれた。
いつも誰かの為に一生懸命になったから、そして優しかったから・・・

人一倍の努力で、奨学金を得るほどの成績で高校、大学を通過していった。
そして大手商社に入った・・・彼は社内でも評価は高かった。
どんな仕事でもこなし、人付き合いも上手だった。
上司の覚えも良く、わずか1年で少人数ながらも部下を持つ身になっていた。
そして当然に部下の面倒見も良かった。
そこで、新一の母とも出会った。
23の若さで結婚・・そして新一が誕生した。
彼は単なる仕事人間にはならなかった。
家庭の幸せこそが彼にとっての大仕事だったからだ。

人一倍の愛情を家庭に注いだ。
息子新一が生まれてからは、その世話も母親だけに任せたりせず、進んで協力していった。
そして新一が成長するに従って、自身が幼いころに授かった自立のススメを新一に説いた。
カッコイイ父、厳しい父なんかはいらなかった・・ただ傍に居て欲しい父でありたかった。

幼い新一は父孝一に憧れた。
新一にとって彼はやっぱりカッコイイ父だったのだ。
人の為に、自分の為に一生懸命に動いてくれる父が好きになった。
誰彼なしに頼ってくるのを見て、カッコ良く頼もしい父を誇らしく思った。
いつかは自分も・・
新一の決意は自然の流れだった。

時は流れ・・
その年4月、新一は17才、高校3年生になった。
彼は柔道部のキャプテンに推された。
小さい頃から強い男を目指した新一は、柔道一筋に邁進した。
個人戦インターハイベスト8が、彼のこれまでの最高成績だった。
今年こそは更に上を行く・・・それが目標だ。

家庭的にも変化があった。
その1ヶ月前に父孝一の両親が亡くなったのだ。
車同士での衝突事故だった。

人からの頼まれ事を果たす為に、わざわざ遠出をして、その用事を済ましてからの帰り道であった。
最後まで人の為に奔走した人だった。
そして、その時両親2人は、手をつないで重なるように倒れていたと警察から報告を受けた。
孝一は泣いた・・しかしその後始末は迅速に行った。
心残りをさせてはいけない・・・ただその為だけに。

孝一は、その心残りを手元に引き取った。
これからは私がちゃんと面倒を見る・・・そう誓ったのだった。

「おはよう父さん、母さん。」
「おう、おはよう」「あら、おはよう・・今日はちゃんと起きれた様ね。感心、感心。」
朝の会話を交わす3人。

「そりゃ今日は特別だもん、緊張するなぁ~。」
「何言ってんだ、今日は逢子(おうこ)の入学式だからって、お前が緊張してどうするんだ。」
読んでいた新聞を、せわしく折畳む孝一。
「あらあら何ですか、お父さんの方も、ちょっと変ですよ。もうちょっと落ち着いてくださいな。」
朝の用意をしていた母、良子が笑った。

「今日から逢子も高校生かぁ~、いやあ嬉しいなぁ。もう15なんだな。」
「何しみじみしちゃってんのさ。今日から僕の後輩になるんだぜ・・でも何か不思議な気持ちだな。」
感慨ひとしおの2人・・・

「何ぼんやりしているの?もう7時半過ぎていますよ、逢子ちゃん大丈夫なの?まだ寝ているのかしら?・・」
時計を見ながら心配そうに呟く母。
「大丈夫だよ母さん。もう起きてるよ・・確かもう直ぐ降りてくるはずだよ。」
新一は、そう言って悠然と椅子に腰掛けてお茶をすすった。

パタパタ・・・
忙しそうに歩く音が次第に大きくなっていった。
ゴン・・「イタ!」
何かにぶつけた音と共に、痛がる声が響いた。
再び足音が食卓に近づく・・入り口の前でまた、
ゴン・・・「いったぁ~い!」

「おいおい、もういい加減慣れてくれよ逢子。確かにウチは、そんなに大きな家じゃないけどな・・あははは。」
孝一が愉快に笑った。
「す・・すみません。あっ、おはようございます。」
か細く、済まなさそうに小さい声で挨拶をしながら1人入ってきた。

入り口のドアの上スレスレに、頭が入ってきた。
これはでかい!
身長はどう見ても、180cmはある。

「また、おでこ打っちゃった? もう赤くなっちゃってるよ。あははは・・」
「これ新一、そんなに笑うもんじゃありません。逢子ちゃん、困ってるじゃないの。」
ふざけて笑った新一を窘めた母は、即座に逢子に話し掛けた。

「ねえ、逢子ちゃん。今日から高校生活の始まりね、私ね今日の日を無事迎えられて、凄く嬉しいの・・
今まで、色々な事があったけど、その都度あなたは立派に振舞ったわ。私は感心してるのよ、こんなに若いのに、
ちゃんと・・」
次第に感極まってしまい言葉に詰まってしまった。

「そんなにも心配してくれていたなんて・・・ありがとうございます、お義姉さん。」
内気な性格のせいか顔を赤らめながら、うつむいて喋る逢子。
「良かったな・・逢子。これで俺も、ちょっとは父さん、母さんに顔むけできるよ。うん・・うん。」
孝一も涙声だった。
「ありがとう、お兄さん。私、頑張るから・・」
逢子も泣いていた。

そう、亡くなった2人の心残りは、遅くして生まれた長女・逢子だった。
21で孝一を授かって以来25年の歳月を経て、得た待望の女の子だった。
長い年月は、決して錆び付かない2人の愛の軌跡でもあったのだ。
こうしてやっと回り逢えた奇跡に感謝して「逢子」と命名された赤ちゃんに、両親の愛情の全てが注がれた。

「ミーちゃん」
両親が逢子に点けたアダ名だった。
ミケ猫のように、丸い顔、くりくりとした丸い目、ふっくらしたほっぺ。
その愛らしい表情に、周囲の大人たちは癒され、そして可愛がってくれた。
真直ぐに見つめる表情、直ぐに笑うあどけなさ、ちゃんと最後まで人の話を聞く態度。
人を疑わない無垢な心・・両親だけでなく、周囲の人たちが大事に育ててくれた賜物であった。

身長は小学5年生ごろから急激に伸び始めた。
それは、まるで朝露に濡れた竹の子のように、日に日に伸びていった。
中学に入った頃には、すでに170は優に超えていた。
当然、運動部の連中は黙って見逃すはずもなく、特にバレー部の勧誘は熱心だった。
逢子も、スポーツが好きだったし1人よりも集団で頑張れる種目が特に好きだったので、直ぐにOKしたのだった。

彼女は、その身長を見込まれて直ぐにレギュラーの座を得た。
生来、運動神経も良かったので、直ぐにコツを掴んで、チームのエースに抜擢された。
ブロックは100%、アタッカーとしても成功率95%を誇った。
そしてチームは全国大会で優勝するまでに至った。
そして瞬く間に、その名は全国区となった。
雑誌、新聞などに紹介されるやいなや、その愛らしい容姿にも世の男性たちの支持が沸騰した。
もはや、彼女を知らぬ者など、ほとんど居なかったぐらいだった。
日本バレー界の期待は、特に大きかった。
次代のスターを得れる期待感からだろう。
実際、あの忌まわしい両親の事故さえなければ、今頃は当然のように全日本のメンバーに名を連ねていたはずだった。

「もう~早く朝ゴハン食べようよ、時間が無いしさ・・」
新一が、しんみりとした空気を打ち破った。
「あらあら、ホント、こんなことしている場合じゃないわね。さあさあ早く頂きましょ・・逢子ちゃんも早く座って
ゴハン食べちゃってね。」
母・良子の明るく優しい声に押されて、逢子は席に着いて食事を始めた。

「しかし、そうは言っても結構大変な学校生活になるぞ、これは。」
孝一は、心配そうな顔を見せた。
「そうかもね、なんせ学校の方も、凄く舞い上がってるからなあ~・・・中学とはいえ、全国的に知られたバレー界の
スターが、ウチの学校に、いち生徒としてやって来るんだから、そりゃあビックリモンだよ。」
新一が続けて相槌を打つ・・

「私は、あの新聞、雑誌が悪いと思うわ。」
いきなり良子が割って入ってきた。
「バレーに関する記事なんて、ホンのちょっとで、後は全部、男の子が興味惹きそうな逢子ちゃんの写真ばっかり、
それに、逢子ちゃんの趣味は何とか、好きな男の子のタイプは何とか、もお~最悪だったわ。」
吐き出すように続けて喋る良子だった。

「まあまあ、そりゃしょうがないさ、雑誌の方も売らんが為の方策だからな。実際、逢子は可愛いし、バレーの才能も
ある。だから男たちの食いつきもあると判断して記事にしたんだ。
まあ~腹は立つけど、認められている証拠と見て、嬉しいとも思っているんだ。」

「まあ!?、これだから男ってや~ね。あの写真を見て、毎日男たちのイヤラシイ視線に晒されているかと思ったら寒気が
するわ。女にとってこれ以上の屈辱はないのよ、第一逢子ちゃんは、タレントじゃ無いのよ。普通の女の子なの・・
分かりますか?あなた。」
アツクなって孝一に詰め寄る良子。

「分かってるさ、でもね、男の気持ちも、もうちょっとぐらい理解してよ良子さん。何も男全員が、逢子をいやらしい目で
見ているんじゃないと思うよ。中には、ああ可愛いな、こんな子が妹だったら、とか友達になりたいなとか、思っている子
もいると思うんだよな。」
「まあ・・そんなのは詭弁よ。あなた、何が男の気持ちよ、女の気持ちすら満足に理解していないのに、言う資格なんて無い
わ。だって私が、普段どういう気持ちで暮らしているか判ります?判らないでしょ。
あなたは、いつも遅くまで仕事、仕事で満足に休んでいないし、その上、家の用事もちゃんとこなしてくれているわ。
いつも一生懸命で、私は感謝しているのよ、だから心配なのよ・・いつ身体を壊すか・・
それなのにあなたは、いつも素っ気ない口ぶりで、心配するなの一点張り・・・もう嫌なのこんな気持ち・・」

「おいおい、泣くなよ。俺がいつ君を蔑ろにしたんだ?心配してくれてるのはありがたいけど、俺は本当に大丈夫だからさ、
心配しないでよね・・・・それに俺は女の気持ちは、よく判ってるつもりだけどなぁ~。」
「まあ・・どうだか~」
「俺はウソは言わないぞ。」

朝っぱらから、夫婦喧嘩とは・・・しかも論点がズレて来ているし。

「もう、止めなよ2人共さぁ~、そんな事はどうでもいいじゃん。問題は、これからの学校生活についてだろ?
興味本位で付き纏って来る連中をどうするかなんだ。そうでしょ?」
実に良いタイミングだった。
新一は、こうやって2人の喧嘩の仲裁を何度もやっていた。
やれやれ、またか・・・そんな呆れた表情からも、それが伺えた。
「それにさぁ~2人共いい加減にしなよ・・あれ見ろよ、逢子叔母さんうつむいちゃって食事してないじゃないのさ。」

2人が振り向いた先には、箸とお茶碗を持ったまま、黙ってうつむいている逢子がいた。
「ご、ゴメンな・・逢子」
「ごめんね・・・逢子ちゃん。」
息ピッタリの二重奏。

プゥー!!
肩を震わせて、思い切り吹きだしてしまった。
「あっははは・・ご、ご、ごめんなさあ~い。私一生懸命我慢してたんだけど、も、もうダメ・・きゃははは・・」
なんとも笑いが止まらない逢子・・・そして唖然とする3人。

「私たちの喧嘩って、そんなに面白かったの?あらいやだ、恥ずかしいわぁ~。」
「おいおい、なんだよう逢子、俺てっきり泣いちゃったかと思ったんだぜ。それを笑うなんて、どういうつもりだよ。」
2人して訝しがっている様子だった。

「お兄さん、お義姉さんごめんなさい。私、別にふざけて笑ったわけじゃないの・・・2人の言い争う姿が、あまりにも
似ていたから・・つい。」
「つい似ていた?・・」
孝一ははっとした。
逢子は思い出したのだ・・・両親の事を。

「親父とお袋の事をかい?」
「うん。似てたの・・・いつもお互いの事を思い合いながら喧嘩してんの。傍で聞いててもノロケているとしか思えない
ぐらいに・・本当に仲が良かったわ。」
「でも、思い出させちゃってごめんなさいね、私、そんなつもりで言った訳じゃないんだけど・・」
バツが悪そうに、しょげかえってしまった良子だった。
「うううん、いいのお義姉さん、そんなに謝らないで下さい。私ね嬉しかったの・・お父さんやお母さんの事を思い出せて・・
あの事故以来、私の記憶の中から、そういう楽しかった頃の思い出なんて、まるで抜け落ちていたから。」

「つまり、父さんや母さんらを見て、相変わらず仲がイイなとか、相変わらずバカだなとか思っちゃったって訳ね。」
「うん、そうなの・・・あ!ああ!?違う、違う、あのぉ~私、バカだなって思っていませんよ、お兄さんたち、な、
仲がイイなあって思っていますよ・・本当ですよ。ハイ・・」
天然のノリツッコミに、一気に食卓が華やいだ。

「あははは・・おいおい、俺たちって、そんなにバカに見えるのかい逢子?」
孝一のイジワルなツッコミに逢子は、またまたうつむいてしまった。
新一は、全国的に有名になろうが、チヤホヤされようが、何1つ変わらず、内気で恥ずかしがりやで、その純粋無垢な心根
に、なぜか嬉しさを覚えた。
「はいはい・・あんた達、もう時間無いわよ、くっちゃべってないで早くごはんを食べてしまってちょうだい。」
良子の締めの言葉が出て、新一らは急いで残りの分を口に運んでいった。

今日は入学式だから、当然授業は無い。
新一は、本来なら休みの日だったのだが、逢子と一緒に登校することになった。
目的は、正式に柔道部のキャプテンとして始動するため、敢えてその最初の練習日として充てたからだ。
そしてもう1つ・・おそらく群がるであろう野次馬連中たちから、逢子の身を守る為でもあったからだ。

孝一と良子も、後から行くという事なので、新一と逢子たちは先に一緒に家を出た。
学校までの道を2人で肩を並べて歩く・・
新一はその時改めて逢子が、かなり目立つという事を思い知った。
小さい頃から柔道一辺倒だった為、身長はあまり伸びずに、足も短くO脚に曲がっていた。
その上身体を鍛え上げたものだから、肩幅、腰周りなどにがっちりと筋肉が付いてしまって一見したら、
まるで大きな弁当箱みたいだった。
新一の頭は、ちょうど逢子の肩口のちょっと下ぐらいにあった。
これじゃあ、まるで新一の方が、弟のような感じで見えてしまうようだ。
遺伝的に丸顔は一緒だが、後は全然・・ダンゴ鼻に、太い眉に、小さい目玉・・ちょっと幼く見えて愛嬌があるが、
まあ平々凡々たる顔であった。

その横の逢子はと言うと、すらりと伸びた背丈、足、腕も同様にすらりと長い。
歩いていくうちに、次第にぽつぽつと新入生らしき女の子たちが見えてきたのだが明らかに頭2つ、いや3つは抜けていた。
そんな自分が恥ずかしいのか、終始うつむき加減で歩く逢子。

そんな中、目ざといヤツが逢子の存在を知って、大きな声を上げた。
「あ、橘逢子だ。おいおいあれ、バレーの橘逢子じゃないのか?」
「え?そう?」「ああ、本当だ。」
「スッゲーでっけ~な。」「すんげぇ可愛いなぁ~ヤバクねぇ?」

2人は、たちまちに囲まれてしまった。
当然の如く、道の真ん中で大渋滞となってしまった。
もみくちゃにされる2人・・スターと触れ合えるとあって、みんな興奮気味になっていた。
「キャー!!」
その時人ごみの渦の中から、突然耳を劈くような悲鳴が轟いた。
渦が散開していった・・・そしてその中から、うずくまっている逢子が見えてきた。
「ど、どうしたんだ逢子ちゃん?」
びっくりして駆け寄る新一。
「お、お尻触られた・・」
顔を真っ赤にして、泣き出しそうな顔を新一に向けた。

「おい、こらお前らぁ~!いいかげんにしろよ。こっちが大人しくしていると思ったら、ズケズケと踏み込んできやがって・・
この娘はなぁ、お前らと一緒の15の女の子なんだぞ、芸能人とは違うんだ、普通の学生なんだぞ、それを・・・
何やったか分かってんのか?おお? おい誰だよ、誰なんだよ・・出て来いよ・・おらぁ!。」
怒りで一気に捲し立てる新一。
周囲の人だかりは我関せずとばかり、ちりじりに散っていった。
「おい、いいかぁ・・俺は星村高校柔道部キャプテン橘新一だぁ・・今度こんな事があったら容赦はせんぞ、分かったか?
これからこの娘に、何かあったら俺だけでなく、柔道部一同が相手になってやるからな!!」

必要以上に脅しのセリフを吐く新一。
それは逢子を守る上において必要な防波堤を築く為だった。
大きな身体をしているが、その心の中は小さい野うさぎのように、いつもプルプル震えていた。
傷つき易い柔らかい心の持ち主なのだ。
そんな女の子が、これからずっと学校で社会の中で、絶えず好奇な目で見られ続けられるのだ。
まだ15の子供に、それが耐えられようか・・・
新一に一抹の不安が過ぎった。

「大丈夫か?逢子ちゃん。しっかし災難だったなぁ~まさかこんなに人が集まるなんて・・ゴメンな。ちゃんと守れなくて。」
「大丈夫です。こっちこそゴメンなさい。私の方も、あんな大声出さなくても良かったんだけど・・ついビックリしちゃって。」
「出して良いんだよ・・悪いのはアッチのやつらなんだから・・ったく何て野郎たちだ。」
「でも、助けてくれてありがとう新一さん。ホント、いてくれて良かったです。」

にっこりと笑って新一に感謝の言葉を述べた逢子。
そのあどけない笑顔に、さっきまでの怒りはどこへやら・・不思議と和らいだ気持ちが胸いっぱいに広がった。
「さぁ~気持ちを取り直して、学校へ行こうか逢子ちゃん。」
「ハイ!!」

午前10時を回って学校の体育館にて、厳粛な雰囲気の中、入学式が執り行われた。
新一も校庭でのランニング中だったが、ちょっと見たくなったので体育館に寄って、窓にその顔を張り付けた。
遠目でも逢子が何処にいるかは一目瞭然だった。
顎を引いて真剣な面持ちで校長先生の祝辞を聞いていた。
「う~ん。逢子ちゃんヤル気まんまんだなぁ~」
一人ご満悦な新一・・・・思わずニヤける。
そしてちょっと視線を右に向けた。
「あれ?」
そこには1組の夫婦が人目憚らず泣きじゃくっていた。
「あっちゃあ~あれは父さんかぁ?母さんもなんだい・・俺の時なんか泣かなかったクセに・・」
でも悪い気はしなかった・・・・家族全員が、本当に彼女の味方なのだと分かるからだ。

その時、幸せ気分の新一の肩をチョンチョンと突っつく奴がいた。
(ん?・・誰だ?)
何気なく振り向いた瞬間・・・「げっ、な、何だ?お前ら・・」
なんと、柔道部員9名全員勢揃いしていたのだ。
「キャ~プテン、ランニングサボって何見てんスか?えへへへ。」
「噂の逢子ちゃん見てたんスか?」
「まったくスミにおけないなぁ~おい新一よ、俺たちにもちゃんと紹介しろよ。」

ガヤガヤうるさく喋り出す連中・・
「おい、し、静かにしろよ!今、入学式の真っ最中だぞ、見たいのなら黙って見てろ。いいな!」
「ウィース!」
バカが・・そんな野太い野郎の声が9つも重なれば、否応なしに気づかれてしまうのに・・・

「こらぁ~!!な、何だお前らは!!柔道部の連中か、ここで何しているんだぁ~!!」
校長先生の怒声が響いた。
新入生、親御さんたちが一斉に窓側を向いた。
その瞬間、顔を覆う母良子、うつむいたままの父孝一。
逢子は、その時新一の顔を発見した。
そして、にっこり笑って手を振った。

「あっ、キャプテン、逢子ちゃん、手を振ってますよ。」
「ああ・・本当だ。か、可愛いなぁ~逢子ちゃん。お、おお~い!!」
応えるように、手を振る9人の部員たち。
しかし唯一人呆れかえる新一・・なぜか手を振るのを躊躇した。
でも、ずっと手を振り続ける逢子を見ている内に、いとおしい気持ちが湧いてきた。

「バッカモ~ン・・お前ら早くそこから立ち去れ~!!」
校長先生の怒声が増々勢いついた。
「い、いっけねぇ、おいお前ら逃げるぞ。」
「ウィース!」
そして新一は、そのまま敬礼のポーズを取った・・・もちろん部員も全員同じく。
「失礼いたしました!!」
その掛け声と共にグランドに駆け出していった。
場内は爆笑の渦だった。
新一は、その時、チラっと逢子を見た。
コロコロと笑っている表情が見えた。
それはまるで可愛い子猫が無邪気に遊んでいるように見えたのだった。

「こらぁ新一!!お前、よくも俺に恥かかしやがったな。」
「そうよ、もう~お母さん、どんだけ恥ずかしかった事か・・もうあんたって子は・・」
両親が怒るのも無理なかった。
あの後、校長先生や、他の先生達全員に平謝りしたそうだ。
「ごめんよ~俺1人だったらちゃんと見つからなかったのに・・あいつらが・・くっそう。」
「あいつらじゃない、そもそもお前が行かなきゃこんな事にはならなかったんだ・・人のせいにするな!!」
父孝一の一喝に、さしもの新一もシュンとしてしまった。

「でも、まあ今日の式は良かったな。天国の親父とお袋もきっと満足してくれただろうな。な?そう思うだろ新一。」
「ああ、そうだね。きっとそうだよ。」
「ええ、私もそう思いますわ。」
何時の間にか、仲良く会話する親子3人。
逢子は、その光景を羨ましそうに見つめていた。

「あっそうだ逢子ちゃん、これから柔道部員全員を紹介するから、一緒に来ないかい?」
「ハイ、行きます。」
1つ返事で承諾した逢子は、ピタっと新一に寄り添った。
「まぁ~こうして見ると、なかなか仲の良い兄妹に見えるわね。ほほほ・・」
2人の姿に微笑ましさを覚えた良子。
「じゃあ俺はこれから仕事があるから、先に行くわ・・後はちゃんと逢子を頼むぞ。」
孝一は、そう言って良子と連れ立って足早に去っていった。

そして逢子は新一と一緒に柔道部の部室を訪れた。
「ウオ~」
突然のスターの来訪に色めきたつ部員たち。
「みなさん初めまして、橘逢子と申します。どうぞよろしくお願いします。」
「ウィース!!」
新一は部員一人一人を紹介していった。
みんな、もうデレデレだった。

「って言う事は、逢子ちゃんはキャプテンと、どうゆう関係になるんですか?」
「何言ってんだよ、当然イトコに決まってるだろ、イ・ト・コ・・・それ以外に何があるっつうんだよ。」
「そりゃそうだよな、2つ違いだから、それ以外にないじゃんね。」
部員たちは、彼女が説明する前に、もう勝手に盛り上がってしまっていた。

「あのう~違うんです。」
可愛く小首を振って、やんわりと否定した。
「あのな、お前ら、聞いてビックリすんなよ。実はな、俺と逢子ちゃんとはなぁ・・」
そこで一旦息を止めて、周りを見回した。
「叔母と甥っ子という関係なんだ。」
「ええ~?!!」
案の定、予定通りのリアクション・・
「ど、どうゆう事よ~、そんな関係ってアリなの?」
「まあな、実は俺の親父と逢子ちゃんとは25も離れた兄妹なんだ。祖母ちゃんが21の時に親父を産んで、それから
46の時に、再び逢子ちゃんを産んだってことなんだ。」

訳が分からずに不思議そうにしている顔が9つ並んだ・・・
「そうなると、キャプテンは年上の甥っ子で、逢子ちゃんは年下の叔母さんになるわけね・・何か変だなぁ~。」
確かに変な親戚関係ではある。
大昔の大家族なら、おそらくあった事かもしれないが、核家族化が進む現代においては極めて珍しい現象といえる。

「よっぽど、愛してたんだろうな~お祖父ちゃんとお祖母ちゃん・・でなきゃそんな年数が経ってから子供なんて
できないからな。」
この言葉に、逢子は即座に反応した。
「はい。私もそう思います。父はず~っと女の子が欲しかったって言ってました。なのにずっとできなくて・・・
もう諦めた頃に出来たものだから、物凄く喜んだって、母がいつも言ってました。
それで、ようやく出逢えた奇跡に感謝して「逢子」って名づけられたんです。」

部員たちもしんみりと聞いていた。
すると1人の部員がいきなり大きな声を出した。
「あ、あのう逢子ちゃん・・・出来たら、俺たち柔道部員のマネージャーやってくれませんか?お願いします。」
「あ、俺も・・」「俺もなんだ・・」
突然に、その声の波が9人全員に波及していった。

「おいおい、お前らバカか?逢子ちゃんが一体今、何をしているか分かって言ってんのか?」
「はい・・バレーです。」
「だろ。いいかこの子はな、あんな事故さえ無かったら、今頃は全日本のメンバーに入っていたんだぞ。
それにこの高校でもバレーをやるんだ。おそらく学校側も、全国大会出場はおろか優勝まで期待しているはずだ。
1年ぐらい経ってから、生活や精神状態なんかが安定してきたと判断されたら、即座に全日本から声が掛かるはずなんだ。
だからもう明日から早速バレー漬けの毎日なんだ・・なのに片手間みたいな感じで、ここのマネージャーなんかできると
思ってるのか?ちょっとは考えてからしゃべ・・」

「私、ここのマネージャーやりたいです。」
新一の話を遮るように逢子はいきなり意思決定を口にしてしまった。
「ええ??ホントー?」
思わず沸き立つ部員達・・・
口を開けたまま・・の新一。

「だってぇ~このまま、またバレー漬けの毎日なんて面白くないんですもの・・せっかくの高校生活なんだから、もっと
色んな事がしたいんです。」
ランランと瞳を輝かせる逢子・・だけど。
「でもねぇ・・やるといったって一体どうするの?バレーの練習時間って、いつも大体夜の7時ごろまでだろ、俺たちの
練習時間は、まあ遅くても6時までだし・・・そうなると、マネージャーとしてすることもできないしなぁ・・」
何とか止めさそうとする新一・・・・これは当然か。

「だったら、練習時間を延ばせば良いだけじゃんか・・なぁ?」
「おう、そうだぁ!!」
「それに昼休みの時間も練習に充てれば良いしな。」
「おう、そうだぁ!!」
「洗濯物は、今まで通り俺たちで洗えばいいんだし、後は、俺たちの練習を見守ってくれれば良いだけなんだから。」
「おう、そうだぁ!!」
部員たちは抜群のコンビネーションで話を決定させていった。

「おいおい、お前ら今まで、そんなに練習熱心だったかぁ?・・俺がさんざんハッパかけても、ちっとも動かなかったくせに」
呆れた顔で部員たちを見渡す新一。
「あの、事情が変わったんスよキャプテン。」
「そうです、俺たち今まで女の子に、全然縁が無かったから、嬉しいんス、だから頑張れそうなんスよ。だから・・」
「おねがいしま~す。」
最後は部員全員の声出しだった・・・

「新一さん、私からもお願いします。今日の朝、助けてもらったお礼もあるけど・・でも」
「そうスよ、今日の朝みたいな事が、また起こるかもしれないじゃないですかぁ・・俺たちで逢子ちゃんを守りましょうよ。」
「そうだ、そうだ!」
みんなの熱意はホンモノだった。

「しかし、バレー部の連中が認めるかなぁ?おそらく無理だろうなぁ。」
新一には、無理だと言う事が判っていた。
だが・・
「いいえ、もし認めてくれなかったら私・・バレー部を辞めます。」
「よっしゃ~決まったぁ~いいぞ逢子ちゃん!!」
結局、逢子と部員たちの熱意に押し切られてしまった。

そして日が暮れて・・みんなそれぞれの家路に消えていった。
新一と逢子も、テクテクとゆっくりとした足取りで家に向かっていた。
「なあ・・逢子ちゃん。どうして柔道部のマネージャーなんかやりたいって言ったの?」
「え?」
「いつもはあんなに自分の意思なんかを全面に出さないのに、今日に限ってなぜなんだい?」
「え・・あの、そのう・・・」
先程までの勇ましい姿とは一転して、いつもの逢子・・・もじもじして何も言い出せない内気な娘だった。
「俺は分かってるつもりだよ・・・君は今、バレーに対して戸惑いを感じているんじゃないのかい?どう?」
優しく問質す新一・・・すると逢子の顔から、はっとした驚きの表情が飛び出した。

「はい・・そうなんです。私、最近バレーをやってて怖いって思う事があるんです。
私、入学前に先行してバレー部の合宿に参加したんだけど、みんな勝つ事ばかり追求していて、
楽しい雰囲気なんて何処にも無いんですよね・・橘逢子が来たんだから、全国大会へ行って優勝するぞって
みんな、私に期待しているんですもの・・正直プレッシャーで辛いんです。
楽しくやっていた中学の時だって、優勝した後、みんな変わっちゃったんだもの・・またそれが続くかと思うと・・私。」

「逢子ちゃんってさ、みんなで楽しみながら何かをやるってのが好きだったんだよな。
みんなでワイワイガヤガヤとくっちゃべったり、騒いだりして、楽しくやっていたんだよな・・分かるよ楽しいってのは。
でも、やっているうちに次第に目的や、目標なんかが出来てくるってのは当然なんだよ・・
いつまでも遊びでやっているなんて事は無いんだよ・・楽しさの次には面白さが生まれて、そして目標が生まれるんだ。
みんな何時までも子供のままじゃないんだよ・・・目標ってのは、生きる上での指標なんだから。」
新一は逢子に対して優しく諭していった。

「私だって、いつも真剣にやっていました。決して遊びの延長なんかでバレーはやってません。
やるからには勝ちたかったし、優勝もしたかった・・・でも、前までは、例えミスがあっても、
ドンマイって言ってみんなでかばって、カバーしてたのに、優勝して強豪テームって見られるようになってからは、
ちょっとでもミスしたら、そこを指差して、なじるようになっていたんです。他のチームから目標とされるように
なってから、みんな変わってしまったんです・・・」
そう言うと、ポロポロと泣き始めた。

「あっああ~ゴメン、泣かないで・・俺が間違ってたようだね。
君は、間違ってなかったようだ・・君を子供扱いにした俺がバカだった。」
慌てた新一は泣きじゃくる逢子の肩をぎゅっと抱きしめた。
ちょっと背伸びしたから、つま先が立ったままの何とも不恰好な姿勢だったのだが・・・
逢子は、甘えるように顔を新一の肩に横たえた。
髪の甘い匂いが、新一の鼻をくすぐった・・静かに泣きじゃくる声を心地よい気持ちで聞いていた。

翌日、新一は女子バレー部顧問の先生を訪ねて、逢子の柔道部マネージャー兼任の件の了承をお願いした。
当然の如く顧問は思いっきり不快感を示した。
橘逢子は、全国的に知られた天才アタッカーだ、全国の高校女子バレー界では、憧れであり目標でもあるのだ。
そんな子が我がバレー部に入ってきた以上、まずは県内での大きな目標とされてしまった。
ゆえに無様なバレーなど見せれないのだ・・なのに片手間で柔道部のマネージャーをするなんてもってのほかだ。
満足な練習もできやしないし、特にコンビネーションの練習は時間が掛かるのだ。
それよりもなにも、男所帯の柔道部に女の子が1人ってのが、危険極まりないのだ・・と。

予め想定してた通りの答が帰って来た。
新一は逢子の心情に沿って1つ1つの懸案を処理していった。
まず、逢子には過剰な期待をかけないと言う事を説明した。
逢子1人の加入で、いきなり全国だ、優勝だと口にするのは、逢子1人に過剰な期待をしている証拠だ。
まだ15の女の子に、それは酷ではないか。
そして彼女は今の勝利至上主義に対して大きく不満を持っている。
それは、彼女への過剰なまでの期待の延長線上にある。学生らしく楽しんで何かを得るといった環境に無いのだ。
今は学生らしく、みんなで楽しんで目標を持ち、達成していきたいと願っている。
今は彼女の心の成長を促がすのが先決なのでは・・ましてや彼女は両親を無くして間が無いのだ。
心のキズを癒す時間を与えてやってもいいのでは、まだ1年生なんだから、あと2年以上もある・・
それに今彼女が希望するものは、我が柔道部にある、確かに野郎ばかりのむさくるしい所だけど、気の良い連中ばかり
だ、それに自分がしっかりと監視するから大丈夫である。
・・と説明を丹念に繰り返した。
それでも顧問の不満は残った。
仕方なく、これが認められなかった場合は、逢子は直ちにバレー部を辞める意思があるということを伝えた。
そこでやっと渋々だが、なんとか認めてくれた。

この結果を部員全員に伝えた。
みんな一斉に歓喜の声を上げた。
「よ~しいいかぁみんな、今日から我が柔道部の練習は今までの3倍の量となるが、覚悟はいいか?」
「ウィース!!よーしみんなぁ、今度の春の地区大会の目標はベスト8だぁ~」
「うわぁ、セコ・・・思い切って優勝って言えんのか?折角、逢子ちゃんがマネージャーでいてくれるんだから、
頑張って優勝を狙おうぜ!!なぁ!!」
「ウィース!!」

「それから逢子ちゃん、君もこれから大変になるけど、大丈夫かい?」
「ハイ!!大丈夫です。私、一生懸命頑張ります。もちろんバレーも頑張ります。みなさんも頑張ってくださいね!!」
「ウィース!!」
「よ~し、これから練習に入るぞ、まずは乱取り稽古からだ。」
「ウィース!!」

その日から、柔道部の活気に溢れた練習が始まった。
早朝トレ、昼間のランニング、夕方からの練習と・・・今までの3倍の量をこなしていった。
逢子も、マネージャーらしく甲斐甲斐しく世話をしていた。
早朝トレも一緒につきあい、昼のランニングも大きな声で励ましていた。
夕方の練習も、バレー部の練習が終了した後に、1人買い出しに出かけて、柔道部員のお腹の面倒も見た。
部員たちの顔つきも次第に厳しいオトコの表情と変わっていった。
あの橘逢子が、ここまで一生懸命応援してくれているんだ、これに応えずしてなんの男か!・・
部員たちの気持ちが1つになっていった。

「ありがとう逢子ちゃん。」
新一は、ある日の夕食の食卓で逢子に礼を言った。
「そ、そんなぁ~、私こそお礼を言います。あんな楽しくて密度の濃い練習を見るのは久しぶりです。」
「そうかぁ~?俺には、まだまだ足らないって気がしているけど・・」
「いいえ、私は凄いって思います。だって一気に3倍の練習量に増えたのに、誰からも文句が出ずに、黙々とこなして
いるし、誰かがミスしたりしても、全員でカバーするように声を出し合っていますよね・・あれいいですよねぇ。」

「君の理想が目の前にあるわけなんだな?」
「ハイ!そうなんです。」
逢子は当初この家にやって来た時より、よく喋るようになっていた。
環境に慣れ始めてきた証拠だろう・・・新一は、この可愛い子猫を優しい目で追っていた。

「さあさあ・・お待たせ。今日は私特製のカレーでござ~い。たくさん食べてね。」
母、良子の明るい声が心地よく3人の耳に響いた。
「おっ今日はカレーかぁ・・良子さんが手を抜きたい時に作る特製カレーだぁ!!」
父・孝一の素っ頓狂な声と、そのとぼけた内容に、思わず大笑いの2人・・・

「それに、お前の方も大変なんだろう?何もそこまで新一の後をついて行かなくてもさ・・朝なんてもっと寝てれば
いいのに・・。」
孝一の心配はもっともだった。
いくら若いといったって、ハードな練習を課せられるバレーと平行して、柔道部の面倒を見るなんて実際無茶な話だった。

「いいえ、大丈夫です。だってバレーの練習だって早朝からあるからちょうどいいんですよね。
朝は同じ体育館内での練習だから、みんなの練習も見れて励みになるの・・私、今とっても充実しているの。うふふ・・」
屈託のない笑顔を見て、孝一、新一親子は、もう何も言えなかった。

そうこうしてバレー、柔道の2足わらじの生活が1ヶ月過ぎていった。
相変わらず放課後の女子バレー部の練習には、見物の人、人、人・・・凄い盛況ぶりだった。
「逢子ちゃ~ん、可愛い!!」「頑張って!!」
長い手がしなり、身体の半分はあるのではと思わせる長い足が空を跳ねる・・・
まるでこの世の者とは思えない美しい生き物が、目の前で華麗に躍動していた。
全ての観客たちは、彼女の動きだけを追っていた。

練習終了後は、着替える間もなく、柔道部の道場へ一直線。
そこでは今日も地道な反復練習を行っていた。
「はい!次は、腹ばい5周です。ヨ~イ始めぇ!」
逢子の掛け声と共に、部員10名の腕引き前進運動が始まった。
「山本さん、頑張って~」「吉田さん、しっかり~」「権藤さん、顎を上げてくださ~い!」
逢子の声に奮い立つ部員たち・・
バレーユニフォームのままで応援する逢子・・連中は、その長く綺麗な脚を見て、ありったけの根性を見せた。
やがて1人遅れ始めた・・・そして最後1人になってしまった。
全員は声を出して応援した。
「頑張れぇ~、あともうちょっとだ。」「頑張って!!あと半分よ!」
逢子の懸命な表情を見て、最後の力を振り絞ってゴールした。
「逢子ちゃあ~ん、やったよぉ~ん」
「よっしゃあ!!」
全員で目指す柔道部・・逢子の笑顔が大きく華やいだ。

夜8時・・練習終了。
帰り道・・柔道部全員が逢子の周りを取り囲んで家路に向かった。
そして、やがて新一と2人きりになった。
「いよいよ明後日が、俺がキャプテンとしての最初の試合となる大会だ・・う~ん緊張するなぁ。」
「私もです。もうみんなには是非頑張って欲しいです。」
「ここまで来れたのも、みんな君のお陰だな・・感謝してるよ。」
素直に頭を下げる新一。
「いえ、そんな・・私なんて何にも役になんか立ってませんよ・・どうか頭を上げてください。私困ります。」
首を小さく振って新一を見る逢子。

街灯の明かりに、ぽぉ~と浮かび上がる逢子の表情・・甘えた仕草の子猫の表情に似た可愛らしさがあった。
何の気なしに新一の手が逢子の頬を触った。
そして何の抵抗も無く、ただじっとしている逢子。
ほんのしばらくの静寂・・・
「新一さん?・・」
逢子の戸惑う小さな声に、はっとする新一。
「あ、ああ、ご、ごめん・・・お、俺ちょっと変だったなぁ・・あは、あは・・気にしないでね・・俺何してたんだ?」
思いっきり狼狽する新一。
「あ、ああ、家が見えてきた。さあ~ここから走って帰ろうか?」
足早に目の前に見える家に向かう新一・・・・一度も振り返らずに、ただ一直線に・・・

逢子は、触られた頬を左手で覆った。
何か満足そうな笑顔を浮かべた・・・そして、いとおしそうに頬を押さえて小走りに新一の後を追っていった。

次の日の午後・・・明日に大会を控えているので、軽い乱取り稽古で調整した。
「うりゃ~!!」「さぁ来い~!!」「うっしゃあ~!」
勇ましい声と共に、次々と投げが決まっていた。
「すみませ~ん。遅れましたぁ~」
逢子が息を切らしながら、道場に駆け込んできた。
急いで靴を脱いだ時、焦っていたせいか右足のかかとが、畳の上で滑ってしまった。
ズテ~ン!!
思わず、お尻からずっこけてしまった逢子・・・
スカートがめくれ、真っ白いパンティが、野郎たちの20個の目玉の中に映し出された。
「きゃあ!!いや~ん!!」
急いで前を塞いだ逢子・・・しかし、時すでに遅し。

ちょうど投げを打たれた瞬間だった・・投げられた3人は、つい受身を忘れた様で、全員顔から落ちていた。
その3人の中には、あらら・・新一も含まれていたようだ。
顔を擦ったようで、右の頬から血が出ていた。
他の2人も同様に、鼻血や、口の中を切ったりしていた。

「おいおい、大丈夫か?新一?おい、お前らも・・」
「アイタタタ・・まあちょっと顔を擦っただけだ、何ともないさ・・それよりも、おい、お前らはどうだ?」
もう一方のケガをした後輩たちを気遣う新一。
「ちょっと、切っちゃいましたけど、大丈夫ス・・でも、何か良いモノ見ちゃいましたよね・・グフフ。」
「俺も・・グフフ」
下品な笑い顔が部員全員に広がった。
「バカ野郎、何て顔してんだぁ、お前らは~、あんな事で気を取られるなよ、情けない!!」
「キャ~プテン、その言葉、あなたに、そっくりそのままお返ししまっせ・・」
「あははは・・そうだ、そうだぁ~!!」
10人の野郎の輪から一斉に笑い声が響いた。

「退いて、退いて、退いてくださぁ~い!!」
その声が響いた瞬間、10人の輪が吹っ飛んでしまった。
逢子が救急箱片手に、猛然と突っ込んできたのだった。
「だ、大丈夫ですか?!!」
気が動転しているらしく、大きな声で新一に呼びかけた。
「ああ、血が出てるぅ~、ごめんなさい、本当にごめんなさい・・私のせいだぁ~・・」
猫みたいに大きくて丸い瞳が潤んでいた・・そして頬に涙が伝っていた。

ポロポロと泣きながらも、白棉に消毒液を染み込ませ、傷口を拭いて素早くバンソーコを貼った。
「頭は大丈夫ですか?」「首は痛くないですか?「背中は・・」
矢継ぎ早に問質していく逢子。
「あのぉ~僕たちも血が出ているんだけど・・ちょっと見て・・くれませんよね、ハイハイ判りました。」
逢子には、もう一方のケガをした2人の声など聞こえてはいなかった。

みんなの手前、バツの悪い新一だった。
「なあ、逢子ちゃん。俺は、もう大丈夫だから、こっちの2人も診てやってくれよな・・こいつらも被害者なんだからさ。」
「え?あ・・ああゴメンナサ~イ!! 直ぐ診ま~す。」

部員全員がニヤニヤしながら、新一を見た。
熱くて仕方ないとばかりに道着の襟を掴んで、パタパタと扇ぐ仕草を全員やった。
それを見て、居心地が悪くて思わず首をすぼめる新一だった。
「お~い、明日の大会は絶対頑張ろうなぁ~」
新一の、ハリの無い細い声が、空しく部員全員の耳に響いた。

そして帰り道・・片時も新一の傍を離れずに寄り添う逢子。
新一には、それがなぜかムズ痒かった。

遅い夕食を終え、自分の部屋で明日に備えて軽い屈伸運動をしていた時、「コン、コン」と、ドアを、
ノックする音がして、逢子が携帯用救急セットを携えて入ってきた。
「もう1回だけ消毒して、バンソーコを貼り替えて置きますから・・」
「い、いいよもう、単に顔を擦っただけなんだから、逢子ちゃんも、もう気にしなくても良いからさ・・
早く部屋に戻んなよ。」
軽く拒否をする新一・・だが逢子は引き下がらない。
「いいえ、このままでは私の気が済まないんです。あと1回だけ診させてください、お願いします。」
深々と頭を下げる逢子。
こんな事で、揉めるのもなんだと、仕方なく逢子を部屋に入れた。

「今日は本当に済みませんでした・・・私ってホント、あわてんぼなんだから、困っちゃう。」
白棉でキズ口を丁寧に拭きながら、バンソーコを貼った・・新一の前に、逢子の顔が近づいた。
一生懸命に新一のキズ具合を診る逢子・・その表情に可愛いと思う感情とは別の何かが新一の心を放さなかった。

チラっと下を覗いた。
上からの視線の先にはブラウスの隙間から見える白いブラがあった。
ほんのりと盛り上がった丘に、新一は急に緊張した。

「今日は災難だったね・・俺たちの前でこけちゃってさ、その、あの・・・下着が見えちゃって・・・さ。」
「あ・・ああ、あれ・・まあ、ちょっとしまったなぁ~と思ったけど、履き替えてて良かったです。
私たちの練習って結構ハードでしょ・・終わったら下着も何もかも汗でびっしょりだから、全部履き替えちゃうんです。
だから、あの時は綺麗なパンツだったんで、まあ、助かったかなってね。アハハ・・」
屈託の無い15才の笑顔・・・あどけない瞳に、優しい光が宿る。

「ああ、そうなの・・ふ~ん。つまり逢子ちゃんってさ、いつも白なんだね?15なんだから当然か・・ははは。」
2人だけの親密な空気に酔っ払ったのか、つい軽口が突いて出た。
「え?・・あ、あのう~そ、それは、そのぉ~・・」
真っ赤な顔でうつむく逢子・・
しまったぁ・・・慌てて取り繕う新一。
「ご、ごめん、俺、ついバカな事、聞いちゃった・・・あっちゃあ、無神経だよな、俺って・・・」
「じゃあ、私はこれで・・」
慌てて、救急セットをしまって、急いで部屋を出ようとする逢子。
ゴィ~ン・・・
ドア扉の上の部分に、またまたおでこをぶつけた。
「いった~い!!」
額を押さえてうずくまる逢子・・慌てて駆け寄る新一。
「大丈夫かい?逢子ちゃん。また打っちゃったみたいだね。」

すっと逢子の肩に手を置いた。
しかし意外にも、想像していたのとは違って、随分と華奢な肩だった。
誰もが、たじろいでしまう程の強烈なスパイクを繰り出す発射台としては、拍子抜けするぐらいの細さだった。
「あ~あ・・また赤くなっちゃってる・・そんなに慌てて出て行かなくてもいいのに・・まあ俺が悪いんだけどさ・・はは」
そう言いながら、肩に置いた手を、ぐっと手前に引いた。
逢子の顔が新一の胸元に、すっぽりと収まった。

「あっ・・」
小さく呟いた逢子。
速まる脈拍を実感する新一。
(ああ・・困ったなぁ~何でこんな事を・・恥ずかしいなぁ・・・。)
トクトクと早鐘を打つ鼓動・・・悟られたらどうしよう。
あれこれと別の事を考えても、逢子の吐息が新一の胸を突っつく度に、鐘の連打が続いた。
甘い花の香りが鼻をくすぐる。
やけに股間が痛くなってきた・・・若い新一には、たまらない状況だ。
「も、もう痛くは無いかい?」
努めて冷静に言葉を出す・・・が、震えてしまった。
「は、はい。もう大丈夫です。」
逢子も、同様に小さく声を出した・・ちょっと震えているみたいだった。

「わざわざ診てくれてありがとう。」
そこまで言うのがやっとだった。
「いえ・・」
か細い声・・・逢子は、散らばった救急セットを拾い上げて立ち上がった。
「それじゃあ、おやすみなさい・・」
「ああ・・おやすみ。」

逢子は新一に背を見せながら、チョコンと小さくお辞儀をしてドアを開いた。
その時、ふいに・・・
「あのう・・」
「ん?何?逢子ちゃん。」
ふいの一言に、思わず反応する新一。
「私・・・ブルーが大好きなんです。」
そして振り向いて新一の顔を見た。
真っ赤に染まった頬・・・はにかんだ笑顔。
もう1度、今度は深々とお辞儀して部屋を出て行った。

ゴ~ン・・・
またやった・・・今度は自分の部屋の前で、おでこを擦っている逢子。
プッ・・ククク。
思わず笑いが出る新一だった。
(ああ、何ていじらしくて可愛い子なんだろう。)
ただただ無性に愛しく思った。

翌日は日曜日・・戦いの1日が始まった。
いつもは2回戦あたりが精一杯の彼ら団体戦だったが、今年は違う。
今年の彼らは、ひと味違っていた。
可愛い女神が、この1ヶ月間彼らの意欲を後押ししたからだ。
そして彼らは、この後その女神の凄い力を、まざまざと見せ付けられる事となる。

1回戦・・星村高校入場。
「あっ、あれ橘逢子じゃないのか?」
「え?ウソ・・あっホントだ!!」
「ホント、スッゲェ~可愛いな。」
目ざとく逢子を見つけた観客・・そしてざわめく会場・・異様な雰囲気が漂う。
「ウオォ~ン」
会場全体が逢子の存在を認識した雄たけびだった。

会場は星村高校を無条件に応援した・・そりゃそうだ、負けりゃ逢子を見れなくなってしまう。
一方の相手高校のやり難さは想像を絶した。
四面楚歌・・・本来味方であるべき本校の応援団も、裏切ってしまったのだ。
それに加え、星村柔道部員の張り切り様は凄かった。
「ガンバッテ!!」「そこ、足が開いてる!」「もうちょっとよ、山本さん!!」
逢子は、1人1人、一生懸命応援した。
自分だけの為の応援・・その瞬間だけは彼女は己1人だけを見ているのだ・・
ヒーロー気分を味わう面々。

一方逢子は、技が決まれば、ハデに飛び跳ね、笑い、そしてガッツポーズ・・
もう会場は逢子の姿しか追わなかった・・・そしてそこは即、熱狂ライブ会場と化した。

そして、気が付けば、もう決勝戦だった。
会場は全部星村柔道部一色・・・萎縮する相手校。
結果は明らかだった。

あっさり優勝。
全員で抱き合って喜びを爆発させた・・・そして、もうボロ泣き。
新一の個人成績だけの柔道部に、新たに1つの勲章がもたらされたのだ。
それも全員で勝ち取った価値あるものだった。
「さぁ~次は県大会、全国大会だ。そして俺も個人で頑張るぞぉ~」
「オッシャ~!!」
全員で声を上げて誓ったのだった。

「よ~し全員、逃げるぞ~」
新一の掛け声と共に、全員一斉に柔道着を着たままで駆け出した。
逢子と触れ合いたく押しかけた観客から逃げる為だった。

「逢子ちゃん、今日はありがとう、君のお陰で、なんと優勝だぁ・・あっはは・・」
「そんなぁ~、皆さんの実力ですよぉ~私なんて、ただ声出してただけなんですから・・あはは。」
「来週は、逢子ちゃんの番ですよねぇ・・今度は俺たちが応援するからね・・ねえ・・キャプテン?」
「ああ、そうだな・・お~いみんなぁ~着いて来てるかぁ?」
「ウィース!!」
逢子のお陰で、とんだ大脱走になってしまった。

(これからは専用バスが必要になるな)
逢子の存在の凄さを、マザマザと見せ付けられた1日となった。
だけど大会に出る度に、こう走っていたんじゃ身が持たない・・嗚呼、新一の悩みは尽きないようだ。

次の日から2週間、新一は逢子に柔道部マネージャーを休ませた(部室出入り禁止)。
大会に向けて、バレ-に専念させる為だった。
やはりというか、逢子は不服そうな顔をしていたけど・・・

楽しかった日々も今は無く・・
柔道部の連中も気が抜けた様な練習で日々を流した。
あの大会の余波で、道場を覗き込む人が増え、また入部を希望する野郎が多く殺到するといった現象が起きていたが、
彼女がいないと判ると、あっと言う間に消えていた。
もちろん、ウソの情報を流したのだけど・・・
結局は元のサヤで今までの10人だけが、そのまま代わり映えせずに残っただけだった。

新一も、どこか気が乗らない1人だった。
別に手を抜いている訳ではなかったのだけど、どこか集中力に欠ける所があったようだ。
家でも、ぼ~っとする事が多くなった。
次の大会は2ヶ月も先とあって、練習も軽め中心のメニューの段階だったせいもあって、どこか持余し気味の状態だった。

本来のバレー漬けの日々にどっぷりと漬かった逢子とは、逢う時間が極端に減っていた。
大会が近いということもあって、空いている時間全てをかき集めて練習の時間として充てていたからだ。
夜は9時を回ってから帰ってくる日が続いた。
もうヘトヘトの状態であるのは一目瞭然だった・・ここしばらくは笑顔など見たことが無かった。
うつろな目が、食欲よりも睡眠を欲していた・・母、良子が何とか食事をさせていた。
そして、ふらつく足取りで自室へ戻る。
でも、階段の途中で力尽きる逢子・・・たまらず肩を貸す新一。

逢子を部屋に入れると、着替えをするよう促がして部屋を出た。
すると暫くすると「バタン・・」と、ベットに倒れこむ音がした。
もう一度部屋に入ってみると、ボタンを外していて、上着を脱ぐところで力尽きていた。
スカートは既に下に落ちていて、下着1枚の状態だった。

暖かい季節だとはいえ、疲れきった身体に風呂にも入らずに下着だけで寝てしまっては、身体を壊しかねない。
新一は直ぐに逢子を起しにかかった・・・しかし反応は無かった。
昏々と眠り込む逢子・・疲労の極限状態だった。

普段の新一なら、母を呼び対処を任せていたはずだった。
しかし、この時新一は、それを行うのを躊躇してしまった。
マネージャーとして密接に会っていた時には、感じなかった感情が、今強烈に胸に迫っていた。
逢う時間の少なさ、交わせない会話、見えなくなった笑顔。
一緒に住むようになってから、無意識だけど徐々に募っていた思慕の念が、持余し気味の身体と心の中に入り込んでしまった。

新一は、恐る恐るボタンの外れた上着を脱がした。
上下ブルーの下着だけになった逢子・・・依然云ってた好きな色柄だった。
ほんのりと盛り上がった白い胸・・こんもりとした下腹部。
異常に長い手足には、無数のアザが刻まれていた・・・苛烈な練習を声高く主張しているよう。
身体は大きくとも、どこか幼さを感じる造りに見えた・・そりゃあ、やはりまだ15才だからだろう。

新一は、そっと胸に手を当てた。
柔らかい・・・まるでマシュマロを掴んだ時の感触に似ていると思った。
少し握っては放し、また握る・・・逢子は深い眠りの中・・ピクリとも動かなかった。
そして次にブルーブラを上にずらした。
そこには初めて見る、若い女の子の乳首があった。
薄いピンク色の可愛い蕾だった。

勢いづいた新一は、直ぐに下のブルーパンティをずらしに掛かった。
荒い息遣いが止まらなかった・・・そしてその行動も。
少しずつ、ずらすパンティ・・・・ゆっくりと薄く生えている陰毛が見えてきた。
初めて見る女の秘密の箱の中身。
新一は、そこで女の子には、男の子にはあるべきものが無いのだというのを本当に理解したのだった。
そしてキチンと閉じた両足を左右に広げた。
すると洞穴のようなものが目の前に見えた。
(これがオマンコと呼ばれるモノなんだな・・すっごい!何か別の生き物みたいだ。)
そして洞穴の上にあるコリコリとした部分を指で撫でるように触ってみた・・・すると・・
「あ・・あん」
眠っている逢子の口から、声が漏れた。

(うわぁ!やばい起きてしまう・・)
新一はそこで、勢いに任せて己がやっている事に怖さを覚えた。
吹き出る冷や汗・・・その時、何とか冷静になるきっかけを得た。
ブラを元に戻し、パンティを腰のところまで引き揚げたのだった。
そして逢子は、何も気が付かず、すやすやと寝息を立てていた。

(今、俺は何をやっていたんだろう・・)
忘れ難い感触が手に残る。
甘酸っぱい体臭が鼻をくすぐり続ける。
(おい新一!お前勘違いするなよ・・逢子は他人じゃないんだ、親族なんだぞ。従兄弟なんかじゃない・・俺の叔母なんだ。)
小さい子供の頃から、ずっと一緒に遊んできた・・時には兄妹のようにさえ思っていた時期もあった。
今でも、そう思う事があった・・そして、ここに住むようになってからは、都合良く従兄弟かなとさえ思い込んでいた。

従兄弟なら将来的にも、それなりの展望は開けても来るが・・彼女とは、そんな望みすら持てない間柄なのだ。
逢子の父母は、新一の祖父祖母であり、彼女の兄は新一の父親なのだ。
絶望的な血の壁だった。
いっそ年が離れていれば、こんな気持ちにはならなかったはずだ・・
全国の野郎たちを熱狂させる程の魅力的な美少女が、わずか2つ年下の叔母だなんて・・
やっと巡り逢えた奇跡・・だけど、新一にとっては悪魔の所業としか思えなかった。

(こんな関係なんて他には無いはずだ・・25才差なら、血の方だって薄くなっているはずだろう?違うのか!!)
じっと手を見ながら、自問自答を繰り返す新一。
「う・・う~ん」
寝返りを打つ逢子・・・やっと我に帰った新一。
急いで上着を着せて1階で用事をしていた母、良子を呼んだ。

「あらあら、まあまあ・・何て格好で寝ているのかしらねぇ~、ホホホ・・でも、このままじゃ身体に毒ね・・
新一、あんたは外へ出てなさい。」
即座に外に追い出された新一。
「はいはい、逢子ちゃん。起きましょうか・・ね?ほらこのままじゃ身体に悪いでしょ?さあ、お風呂に入ってさっぱり
しましょうね。はいはい、起きて起きて・・」
良子は母親のように、あやしながら逢子を起した。
「う~ん・・お母さ~ん。もう~眠いよ~う・・」
寝ぼけて良子の首にかじりつく逢子・・・外でその声を聞いた新一にとって、胸の締め付けを覚えた一言だった。
まだまだ母親に甘えたい年頃なんだ、と。
そして己のした事を素直に恥じたのだった。

しかしながらその理性の裏側に、もう1人の自分がいるのに気づいては居なかった。
新一の股間は、それでも窮屈な感触が解消しなかったのだった。

それから日が流れて、次の日曜日になった。
いよいよ2週に渡っての春のバレー大会が始まったのだった。
大会会場の雰囲気は、柔道大会の比では無かった。
超満員の観客、そして耳を劈くような地響きにも似た声援。
バレーは、柔道に比べるとかなりメジャーだが、その他のサッカーなり野球などと比べれば、
それほどの人気は無いはずなのだが、この異様な盛り上がりは一体?・・・

1回戦・・会場には2つのコートが用意されていた。
そこに4チームが縦列して入場してきた。
そして最後に星村高校が入ってきた時、うねりの様な地響きが大きくなった。
カメラのフラッシュが目映いほど放たれた。
逢子が入ってきたのだ。
何という光景なのだろう・・フラッシュの中にたたずんでいる少女は、もう新一たちが知っている逢子では無かった。
180cmの長身が、一層大きく、そして美しく映えた。
逢子は、目の前のコートに視線を向けていた・・・集中している様子が伺えた。
可愛い子猫は、1匹の美しき虎に変身していた。

「キャプテン・・逢子ちゃん気合入ってますねぇ~良い顔してるぜ。」
「ああ、そうだな、あれから結構濃密な練習を積んだそうだから、自信に溢れているなあ・・」
「しかし、すっごい人気ッスね、逢子ちゃん。みんなあの子しか見てないッスよ。まあ、すっげぇ可愛いもんな。」
柔道部員1人1人が、改めて逢子の人気の凄さを実感したようだ。
そしてそれぞれ驚きの声が口々に出た。

試合が開始された。
だがその瞬間から、そこはもう逢子の独壇場と化した。
地面も割れよとばかりに、ボールを叩きつけるアタッカー逢子。
全ての物を跳ね返す壁として、仁王立ちの逢子。
まるでミュージカルの芝居を見ているかのようだった。
その華やぐ舞台の中心には、逢子が1人光っていた。
飛んで跳ねて、そして大きく広げた腕から閃光が走る・・・観客すべて彼女の虜となった。
その時新一は、あの日の出来事をオーバラップしていた。
全裸で横たわっていた逢子の姿を・・その白い柔肌の感触も、この目に、そしてその手に残っていた。

この会場の中で、彼女の全てを知っているのは俺だけだ。
みんながどれほど乞うても、決して得る事ができない逢子の心の中を知っている。
俺はいつも逢子の近くにいるのだ・・手を出せば、直ぐにでも触れれるぐらいに・・。

いやらしいまでの優越感に、1人浸る新一。
人として最低な行為だと分かってても、その思いは消えなかった。

その日は3回戦まで行われ、当然のようにベスト8まで駒を進めた。
逢子のチームは完璧な内容で、当然のように勝ちあがった。
望んだ結果が出て、観客は大喜びだった。
一斉に逢子1人に声援が送られた・・・皆に笑顔で手を振る逢子。
その時、ようやく2階席にいる柔道部員たちを見つけた・・・「みんな~!」大きく両手を広げた。
満面の笑顔・・でも、もしあの時の行為を知ったら、それでも無邪気な笑顔を、俺に向けてくれるのだろうか?

新一の胸の中に広がる後ろめたい気持ち・・・素直に笑って手を振れなかった。

新一の悶々たる気持ちとは別に時間は大急ぎで過ぎていった。
バレー部は、優勝へ向けての最後の調整とばかりに、猛練習の日々に明け暮れた。
そうすると当然の様にヘロヘロの態で帰ってくる逢子だった。
食事も、そこそこにへたり込む日々が続いた。

その時、男としての欲望を辛抱する新一がいた。
あの日以来、逢子の裸体を思い出さない日は無かった。
そして大会の日が明日に迫ったその日・・もう1度見たいというチャンスが、今日で最後だと思った時、
新一の辛抱は限界を超えた。

ドサッ・・
いつものようにベッドに倒れこむ音がした。
新一は意を決して、逢子の部屋に入った。
そこにはいつものようにボタンを外しかけのまま力尽きて寝込んでいる逢子がいた。
母親を呼ぶまでの時間を10分と決めて行動を開始した。

逢子を仰向けに寝かせて、素早く上着を脱がした。
そして手際よく、ブラ(今日は上下シロだった。)を首のところまでずらし、パンティを足首まで一気に下げた。
新一だけに許された光景が広がった・・新一の頭から一時も離れなかった逢子の裸体が今、目の前にあった。
スースーと可愛い寝息をたてながら、すっかり安心しきった表情で寝ている・・・今起きている事実など知らずに・・

胸のふくらみに手を置いた・・・そしてピンクのつぼみを口に含んだ。
それから、ゆっくりと吸ってみた・・・やはり柔らかった。
指は下の茂みを這った。
そして秘密の洞窟の入り口に到達した。
例のコリコリした部分を擦った・・甘い吐息が漏れた。
今度は焦らなかった、新一は丹念に指で擦り続けた。
「あ、あ、あん・・ああ~ん」
敏感な部分なだけに、逢子も太ももを、くねらせてた。
続けてゆっくりと人差し指1本を洞窟内に入らせた・・ヌルヌルした感触がしたと思った瞬間、
一気に奥まで入ってしまった。
(暖かい・・)
新一は女の身体の不思議さを実感した。
男には体内に入るという体験なんか無いからだ。
入った指を少し折り曲げると、「あん・・」・・伸ばすとまた「ああ~ん」。
まるで探知機のように敏感に反応する逢子。
甘く可愛い声を漏らすと、新一の興奮も最高潮に達した。

(ああいかん、ここまでだ!!)
のめり込んでバレては元も子も無くなってしまう。
決めた制限時間10分が迫ってきた。
溢れそうになる興奮を、何とか堪えた・・ぶっ放す欲望をギリギリ鎮めたのだった。

急いで服装を整えて、何事も無かったかのような雰囲気で、母親を呼びに云った。
そして急いで風呂に入って、先程までの過程を思い起こしながら、溢れかかった欲望を吐き出した。
最高だった・・
これで当分気持ちも治まるはずだ・・
暴走しかかる寸前に歯止めが掛けられた、その安堵感で一杯になったのだった。

次の日は大会最終日だった。
よく眠れたようで、スッキリとした表情の逢子が、軽い足取りで食卓に降りてきた。
「おはようございます。」
「おお、よく眠れたようだな、逢子。今日はおでこを打たずに来れたしな・・絶好調だな・・ははは。」
陽気な口調で、逢子の身体を気遣う孝一だった。
「さあさ、今日はガンバッテよ逢子ちゃん。今日は私も見に行くからね。」
「ありがとうお義姉さん。私、今日は朝から調子がいいみたいなの。絶対に優勝するから、期待しててね。」
いつもは万事控えめな逢子にしては、珍しく強気な口調だった。
よほどの自信があるようだ。

暫くして、新一が降りてきた。
「おはよう。」
覇気の無い声、重い足取り・・・腫れぼったい目元。
「どうしたの?新一、風邪でもひいたの?顔色が悪いわよ。」
心配そうに声を掛ける良子。
「素っ裸で寝ちまったのか?新一。ちょっとだらけてるんじゃないのか。逢子を見てみろ、もうちょっと覇気を出せ。」
情けない息子に怒り心頭の様子の孝一。

結局一睡もできなかったようだった。
もう1度だけ、逢子の裸を堪能すればコト足りると思っていたが、結果、一層深みに嵌ってしまったようだった。
17の男にとって、若い女の裸は強烈な刺激だった。
ましてや、ナイスボディの逢子なら尚更の事・・逢子の喘ぎ声が新一の耳にこびりついて離れなかった。
そして逢子の中に入った指の感触も・・・
全てが中途半端に終わっているから、もどかしい気持ちもそのまま続いていた。
疲労感だけが募るだけだった。

「大丈夫ですか?新一さん・・・ホント顔色が悪いですよ。今日は1日ゆっくり休んでいた方がいいんじゃないですか。」
不安げな表情で新一の顔を見る逢子。
「な、なあ~に心配要らないよ、ちょっとテレビを見過ぎちゃってさ、夜更かししただけなんだからさ。」
手を振って否定する新一。
でも、後ろめたさからか、真正面から逢子の顔が見れなかった。
「今日も部員全員で応援するからさ、頑張って優勝してくれよ、逢子ちゃん。」
「ハイ!!絶対に勝ちます。」
いつになく瞳に力を込めて、きっぱりと言い切った。

試合会場は先週同様、超満員だった。
全員、逢子見たさで集まったのは云うまでもなかった。
「キャプテ~ン、どうしたんスか?何か疲れているみたいですね・・大丈夫スか?」
「平気だよ、ちょっと寝てないだけだから、心配するな。それよりも、ちゃんと応援しろよ、いいな!」
「ウィース!!」

試合は逢子の圧倒的な能力の前に、あっさり白旗状態になってしまった。
会場全体の雰囲気も逢子一辺倒であったのも一因だったが、その実力の差は如何ともし難いものだった。
そして、あっさりと優勝を決めた。
まさに橘逢子のワンマンショーとも云える大会であった。
飛んで跳ねて、打って拾って・・
観客は大いに満足したようだった。
ただ、新一だけが、疲労の度合いを濃くしたようだった。
例の妄想が止むことは無かったようだったからだが・・・
全裸の逢子がコートの上で躍動していたのだ。
ツンと上を向いたおっぱいが、アタックする度に揺れるのである。
コートすれすれの球を回転レシーブで防いだ時、秘貝がパックリと割れて見えた・・

幸せと思えば幸せだし、不幸だと思えば不幸だ・・・
まともな神経なら、すでに壊れている状態だった。
何度ぶっ放しても、この気持ちは収まらなかった。
裸の逢子は新一自身の願望なのだろう・・・正直に、そして堂々と名乗れない哀れな男よ。

試合後、逢子たち女子バレー部員全員は、駅近くの焼肉店で祝賀会を開いた。
2時間たっぷりと焼肉を存分に楽しんだ。
2週間ものキツイ練習に耐えた、そのごほうびだった。
久しぶりに味わう開放感・・・
満足した笑顔で店を出た・・そうだ、自宅まではゆっくりと歩いて帰ろうかな・・・・
今日1日の出来事を振り返りながら、ゆっくりと歩を進めた。
ふと前を見た時、見覚えのある男の人が、自転車にまたがってこちらを見ているのを発見した。
「よっ!今お帰り?乗ってかない彼女?」
ナンパ調の誘い文句の主は新一だった。
「今まで待っててくれたのですか?」
驚く逢子。
「いいや、買い物の次いでさ。」
「何の買い物?」
「ジュース。もう飲んじゃったけどさ。」
「アハハ・・」

軽快に飛ばす新一に、後ろから腰に腕を回して、ぴったりと密着する逢子。
「気持ち良いかい?」
「はい、とっても!」
顔を背中に押し当てながら、涼しい風を満喫する逢子。
新一の狙いは、この密着感を味わう為だったのだ。
逢子の柔らかい肌感が、背中から伝わってくる・・あれほど疲れてても、直ぐに反応する股間。
やっぱり若いってことだ。

「私って、いつも助けて貰ってばかりですね・・ホント申し訳ないわ。」
「そんなことないって、今日は偶然なんだから。気にしないで。」
「いいえ、私が小さい頃から、ずっと新一さんには助けて貰ってるわ。」
「なんだい、そんなこと、俺はもう忘れちゃったよ。」
「私は忘れた事は一度もないです・・近所の男の子たちに苛められて泣かされた時も、両親が用事で家にいなくって、
一人ぼっちで泣いてた時も、いつも新一さんに助けられたわ。」
ぎゅっと、腕に力が入った。
「うお!?」
急に締め付けられた驚きで声が出てしまった。
「あ!ごめんなさい。痛かったですか?」
「まあ・・ね。ビックリしただけだよ・・でも凄い力だね逢子ちゃん。」
「・・・・」
(また、うつむいちまったかな?)
新一の背中が少し熱く感じたのは気のせいではなかったようだ。
ゆっくりと、だが徐々にスピードを上げて2人を乗せた自転車は家路へと向かったのだった。

家に戻ったら、ささやかながらも祝賀会の用意ができていた。
「おめでとう逢子。よくやったな!」
「私、見てて、感動しちゃったわ・・おめでとう逢子ちゃん。」
食卓には、料理が溢れるぐらいに並べられていた。
母、良子の頑張りは相当だったに違いなかった。

申し訳無さそうな顔を見せる逢子・・・先の祝賀会で、たらふく焼肉を食べたせいで、お腹がいっぱいだった。
それでも、何とか食べようと頑張った。
勿論、新一も頑張った。
良子のがっかりした顔は見たくなかったから、2人でほとんどの料理を平らげたのであった。
また1つ、新一に感謝する逢子だった。

食事を終え、新一が部屋に入ろうとした時、後ろから抱きつく逢子・・・・胸の柔らかさを直に感じた。
また股間を熱くさせる新一・・嗚呼耐えろ!身が持たなくなるぞ。
背中に彼女の吐息を感じる・・
「新一さんって、ホントいい人・・私好きです。」
いきなりの告白に、戸惑う新一。
「俺も大好きだ・・キスしてもいいかい?」
って素直に言えれば苦労はしない。

相手は、年下とはいえ血が濃く繋がっている叔母である。
所詮は成さぬ仲なのである・・それに彼女の好きは、男としてでは無く、単に人柄だけに対しての一言だろう。
無邪気な子供の一言だ・・彼女も承知しているはずだ。
アホな妄想はケガの元なのだ。
「え?ホント?そりゃあ嬉しいな。でも他の奴らが聞いたら、絶対に殺されるかもな・・あはは。」
努めて軽く聞き流すフリをする新一だった。

それから一息入れて風呂に入りに行った。
うっすら汗をかいてしまっていて、ちょっと気持ち悪かった。
ズボンを脱いだ・・それでも暑苦しさは変わらない。
まだトランクスの中で、窮屈そうに暴れているからなのか?

急いでトランクスを脱いだ・・涼しい風が分身に当たって気持ち良かった。
やっと開放感に浸れたって感じだった。
ふいに逢子のヌードが目の前に表れた。
いつもの妄想が始まった。『新一さん・・』
甘えるように顎を上に上げて伏目がちに、こっちを見ている。
長い腕が、胸を揉みし抱く、腰をくねらせ、長い脚が九の字に曲がる・・お尻がツンと上を向いた。
1度眼に焼きついた逢子の裸は、新一の頭の中で、ドンドン進化していった。
「逢子・・」
愛しい人の名を、そっと呼んだ。
懸命に努力しても敵わぬ・・いや報われぬ人に思いのたけをぶつけれるのは、この時だけだった。
分身は、勢いを増して、お腹にくっ付くぐらいに反り返っていた。
新一は、それをそっと握り締めた。
(熱い・・)
こみ上げる興奮・・今日もここで逢子と逢瀬を楽しもうか・・
ひとこすり・・ふたこすり・・みこすり。
ゆっくりと扱き上げる新一。
「ふ・・んん・・」
快感が背中に走った・・・思わず声が漏れた。

その時、ふいに入り口のドアが開いた。
着替えの下着一式と、パジャマとバスタオルを小脇に抱えた逢子が入ってきたのである。
「え?!!」
「ああっ?!!」
お互いの目が合った。
逢子の目に新一の元気な子供が写った。
突然の出来事に固まってしまった新一。
「きゃあーーーー!!」
一呼吸遅れて逢子の絶叫が轟いた。
「うわあ~!!」
新一も遅れて叫び声が出た。
逢子は即座に外に飛び出してドアを閉めた。
新一も風呂の中に飛び込んだ。

(な、な、なんだぁ~ど、どうしよう・・変なトコ見られちゃったよう・・)
突然の出来事で、混乱と恥ずかしさが、ごちゃごちゃと頭の中で渦巻いていた。
「ご、ごめんなさあ~い。誰もいないと思ってたのに・・あ~ん・・またドジっちゃったみたいね。」
ドアの外で逢子が叫んでいた。
返す言葉が出ない新一・・・何も考えられないのだから無理も無かった。
その気になったオトコを見られたのだ・・これほどの辱めは生涯初めてだった。
決して表には出さなかった感情の全てが、今白日の元に晒されたのだ・・わずか15の女の子の前に・・

「ゆっくり入って下さいね。今日は疲れているみたいだから・・・じゃあ。」
そう言い残すと、パタパタと足音を立てて2階に上がっていった。
新一は泣きそうになった。
そして湯船の中に、勢い潜ってしまった。
(どうしよう・・もう嫌いになっちまったかもな・・)
もはや絶望のシナリオしか考えられなかった。

暫くして、風呂から上がった新一は、自分の部屋で一息ついた。
全てに萎えてしまった・・・力が入らない。
もう、まともに顔なんか見れない・・・
柔道部のマネージャーも、どうなるやら・・きっとギクシャクするだろうから。
その時はみんなに何て言おうか?
ああ~まずい、まずいなぁ~。
後悔の言葉が何度も新一の頭の中で反芻していた。
グダグタ悩みこんで、頭の中はウニのようにぐちゃぐちゃの状態になったような気分だった。
ふと時計を見た・・時刻は0時を回っていた。
(なんだぁ~もうこんな時間か、明日は朝から練習だし、もう寝るか。)
おそらく寝れそうに無いのは分かっていたけど、布団にだけは入っておこう、ひょっとしたら疲れて寝れるかも・・
そう考えた新一は、電気を消そうとスイッチに手を伸ばした。

「コンコン・・」
突然ドアをノックする音がした。
「コンコン・・」
暫くして、もう1回。
「誰?」
「私です。逢子です・・・お話があるんですけど、今いいですか?」
深夜、突然の来訪に一抹の不安を覚える新一。
だがここは、普通にしておかないと、後々面倒になると思った。
それに、これからどうやって話をしようかと悩んでいたところに、彼女の方から来てくれたのだから、これは幸いだった。

「あ、ああ・・いいよ、入っておいでよ逢子ちゃん。」
新一は、努めて普段通りの声で返事をした。
ドアが開いた。
ブルーのパジャマ姿の逢子が、ちょっとうつむき加減に、ゆっくりと入ってきた。
きっとどこかに多くいるであろう橘逢子ファンの人達よ・・申し訳ない。
君達には絶対分からないだろうな・・プライベートの彼女が、いかに可愛いかを・・
コートの中を縦横無尽に走り回る躍動的な逢子だけしか知らない人達よ、普段の彼女は、大人しく実に控えめな人なのだ。
明るく無邪気な笑顔しか知らないファンの人たちよ、普段の彼女は、いつも伏目がちの、大変内気な女の子なのだ。

そんな彼女の全てを知っている新一だが、今その立場が危うくなっていたのである。
しかし、一体どのような思いで新一の部屋を訪ねてきたのであろうか?

「一体どうしたの?こんな夜遅くに・・何かなぁ?その話って。」
すっとぼけた返事をした・・気にしていない素振りは、この際大事にしたいからだ。
「あのう~そ、その、え、ええ~と・・」
モジモジして、要領を得ない言葉しか聞こえない・・
嗚呼じれったい!
云いたい事は分かっている・・またいつもの調子か?
新一は、我慢できず自ら反省の弁を言おうと思った。
「君の言いたい事は分かっているさ。あの、その、あ、あれはちょっとした俺の不注意というか、その・・」
「あのう、気にしないで下さい!」
新一の言い訳を逢子が、大きな声で遮った。
「え?え?・・気にしないって?」
突然の大声にビクつく新一。
「わ、私、あ、ああいったモノは、み、見慣れていますから・・」
「み、見慣れているって・・あ!ああ・・そ、そうなの?」
「はい!いつもお父さんの、お風呂上りには、素っ裸でいることが多かったものですから・・
その、あれも、いつも私見せられていましたから・・今見ても別に、どうってことないって言うか・・その・・アハハ。」

どうやら逢子は、落ち込んでいるであろう新一を気遣って、わざわざ部屋を訪ねてきたようだった。
恥ずかしがりやの逢子だけに、あの出来事が起こった以上、素直に会話するなんて事は、もう出来ないのでは、
と思っていただけに、逢子からの積極的な行動は嬉しかった・・が、それ以上に驚きもあった。
おそらく、今までの関係を壊したくないとの思いからだろうけど・・。
しかし、あの内気な逢子が、ここまでの行動をやってしまうとは・・ひょっとすると彼女の思いは・・

新一は確かめたくなった。
「祖父ちゃんってさ、こ~んなにデカかったよね?」
両手を広げてオーバーに、そのカタチを造った。
「え・・ええ。いつもブラブラさせて、私の前を歩いて・・あっ!」
自分が、今女の子として凄い一言を言い放った事に気付いて、慌てて口を閉じてしまった。

「アハハハ・・ブラブラかぁ・・俺負けたなぁ~ 俺のはあんなに大きくしてても、そんなにブラブラしないもんな。」
「し、知りません!!」
顔を真っ赤にして横を向く逢子。
ここまで来たら、もう突き進むしかない・・新一は直接語を使って逢子に対峙した。

「どうしてオトコって、アレをおっきくするか分かるかい?」
「・・・・・」
「なんでもかんでも、何時でも何処でも、ってな感じでデカくさせてるんじゃないよ。そんな低俗な生き物じゃないよ。
欲しくて欲しくて、どうしようもないのに、どうやっても手に入らないもどかしさで苦しんだり、
好きで好きで、たまらないのに、どうしても打ち明けられない切なさに耐える時に心の中で爆発させるのさ。
その人の事を考えて・・想像して、内に溜まったエネルギーを吐き出す・・」
「そ・・そういう事って?」
「そう、オトコにはよくある事なんだよ。」
「私には、よく分かんないなぁ・・」
逢子は恥ずかしさからか、何処を見たら良いのか判らずに、視線が横の壁や下のカーペットを行ったり来たりしている。

「君が見たのは、俺が、そんな気持ちでいる所を見ちゃったんだよ。」
「そうなの?」
「うん・・そう。」
新一は、言葉を選ばずに、更に核心の部分を逢子に迫った。

「君は、俺の事を気遣ってここに来てくれた・・そこで、俺はちょっと驚いたんだ。
君みたいな女の子が、男のあんな所を見たら、恥ずかしいやら、気まずいやらで、普通の会話なんて出来なくなるもんだよな。
正直俺は、もうダメだと思っちゃったんだ・・君はとってもシャイで内気だから、なおさらにね・・・
でも、君は直ぐに来てくれた・・・なぜ?」
思い詰めたような表情で、真直ぐに逢子の顔を見つめる新一。
「そ・・それは、わたし・・」
「君も、俺との関係がギクシャクするのは嫌だったから?」
逢子の返答を待たずにクチを出す新一。
焦りからか・・表情が硬い。

「は・・い・・そうです。だって新一さんはいつも私には優しくしてくれるし、それにいつも私の傍にいてくれて、
励ましてくれたり、助けてくれたりしてくれて・・私いつも感謝しているんです。
だから・・嫌われたくはないし、それに口を聞いてくれなくなったりしたら、とっても悲しいんです。」
感情の昂ぶりからか、目を潤ませながら、泣きそうな顔を新一に向けた。

「だから、あんなウソを?・・」
「え?・・それは・・」
「祖父ちゃんは、そんな事はしないよ・・あんなに身の回りのことに対してキチンとする人が、そんなみっともない
事をするはずはないよ。第一、君は、祖父ちゃんらが願って願って、やっと授かった大事な宝なんだよ。
そんな宝に対して、うかつな行動はしないはずだよ・・あの祖父ちゃんなら。
「ご・・ごめんなさい・・」
「謝るのは、俺の方だよ・・君に、そんなウソをつかせたから・・ゴメン。」

ポロポロと涙を流す逢子・・いつもいつも静かに泣く可愛い娘よ・・・
新一は感情が抑えられなくなった。
さっと抱きかかえて、逢子の下唇にキスをした。
ビックリ眼の子猫ちゃん・・・真丸い瞳が一層丸く見開いた。
新一は、逢子の頭を抱えて、自分の胸元に埋めた。
頬で逢子のおでこを撫でる・・・愛しい人は今、腕の中にいた。

錯覚でもない、狂ったりもしていない・・今、はっきりと言える。
俺は逢子が好きだ、愛している・・
新一は、その時、己の心と対峙していた。

彼女とは血族であり、その血の濃さも判っている。
逢子は叔母であり、新一は甥である・・そんな事は百も承知だ。
厳然たる血の壁は、大きくて分厚い・・決して乗り越えられないのは事実だ。
でも、それでも新一は叔母である逢子が欲しかった。
いや・・叔母とは思えなかった。
2つ年下の叔母って・・どう考えたって在り得ないシチュエーションだ。
知らないヤツからみれば、どう見たって、従兄妹ぐらいにしか見えないはずだ。

それに逢子は新一を頼りにしている。
たとえそれが、一瞬にして両親を亡くして出来た心の穴を埋める為のものだとしても・・
独り善がりの錯覚の愛だと判ってても、決して報われないと判ってても、それでも逢子を守りたいのだ。
それは・・逢子の全てを知っている自分にしかできない事なのだ。

だからこそ確証が欲しかったのだ。
ほんの僅かの間でもいいから、逢子をこの手で抱きたかった。
繋がりが支えになる・・と思いたいから。
新一の想いは一気に昇華した。

「俺、君が好きだ・・好きで好きで堪らないんだ。」
そう言って、何度も唇を重ねる新一・・抱きしめる腕に力が入る。
「ら、乱暴にしないで・・お願い。」
小さく呟く逢子・・背中に回した腕をぎゅっと引き寄せた。
「キスは初めて?」
「ウン・・・。」
「ヘタクソでゴメンね。」
「・・・・・」
逢子は穏やかな笑顔を浮かべながら、黙って新一の胸に全てを委ねた。
「想像したとおりの逞しい胸板ですね。やっぱり男の人には、敵わないわ。」
初キスは甥っ子の新一だった・・だが逢子は気にも留めていなかった。
左手の人差し指で、ゆっくりと胸の上をなぞる・・・

「さっき俺の事を好きだって言ってくれたけど、あれって1人の男としてって事なの?」
勢いに乗じて逢子に、その真意を問質した・・自分の腕の中にいる以上、答えは分かっていたけど、
どうしても、彼女の口から聞きたかったのである。
「うん・・・そうよ。」
その声は、少ししゃがれていたが甘えるような口調だった。
赤くふっくらとした頬で、ゆっくりと新一の胸を擦っていく・・

我が意得たり・・・とうとう確証を得たのだ。もう独り善がりな事では無いのだ。
腕の中にいるのは、叔母ではなく、唯1人の愛すべき女性なのだ。
この先には、幸せなど無いかもしれない・・自分の思惑だけで彼女を振り回すかもしれない。
その時は・・いや今は考えない、考えたくも無い。
今この時、この瞬間の喜びをかみしめたい・・・
そして、これだけは心に刻んでおこう・・「逢子は俺が守ってみせる。」

ぎゅっと、両腕に力が入った。
「い・・痛い、痛いわ。」
逢子が苦しそうに声をあげた。
新一は委細構わず、更に力が入った。
「し、新一さん・・痛いわ。」
苦しそうに喘ぐ逢子・・だが彼女も、新一の背中に回した両腕に力を入れていた。
「もっと優しくして・・」
甘くささやく・・・コトは熟した。

新一は、そっと逢子を抱きかかえた。
180cmが小さく折畳まれた・・幼子のように新一の首根っこにかぶりつく逢子。
ゆっくりとベットに寝かされた。
だが、その長い手は新一の首に巻かれて、放そうとはしない。
パジャマのボタンに手が掛かった・・・上から、1つ、2つ、3つ・・

前扉が広げられた・・・ブルーブラが、新一の目に鮮やかに映った。
「大好きな色だったね、これって・・」
「はい。」
震える手つきで、ブラに手を置いた。
素晴らしい弾力が伝わってきた・・野郎同士の組み手では、絶対に味わえない感触だった。
女の子の肌って、こんなにも柔らかいのか。
以前自分勝手に、眠っている逢子にイタズラをした時には、思いも寄らなかった・・
その発見は、今ゆっくりと味わっている余裕から来たものなのかもしれない。

ブラを外した。
雪のように白い肌の上に、ふんわりと盛り上がった丘が出来ていた。
更にその上には、小さくて薄いピンク色の蕾があった。
新一の舌が、ゆっくりと蕾を撫でた。
「あ、ああ~ん」
軽い感度を示す逢子。
だがその声に刺激されて、いきなり荒れ狂ったように乳房を吸い付き始める新一。
しかし無邪気な赤ちゃんのソレとは違っていた。
吸って、噛んで、顔をうずめる・・・
長身の逢子は、優しく両手で新一の頭を抱えて、自分の胸に押し当てていた。
慈愛に満ちた表情で、新一の後頭部分に顔を寄せた・・新一の身体は、逢子の身体の中にすっぽりと包まれていた。

乱暴に逢子のパジャマズボンを剥ぎ取り、ブルーパンティも、一気に脱がした。
興奮する身体に制御は掛からなかった。
男の本能からか、新一の右手が逢子の秘部に伸びた。
親指はクリトリスを擦り、中指と薬指が、周辺のヒダを撫でた。
「あん・・き、気持ちいい~・・・な、なんだか変な気分になってきたわ。」
「そりゃ良かった・・ああ、俺も嬉しいな。」
新一は更に、擦っていた中指と薬指を花芯に入れた。
「ああ~ん、ウソ、何?気持ちイイわ・・あん、あん、あん・・ああ~頭が変になりそう・・」
身体を反って、よがる逢子・・・
新一の指にも力が入る・・更にスピードを上げた。
「ああ、ダ、ダメェ~、飛ぶ、飛ぶ・・飛んじゃいそう~アアアアア~ン、そこ、ダメ~!!」

階下には聞こえないように小さく呻き声を出す逢子・・
大きく身体が揺れた。
そして風船が弾けて割れたように、奇声を上げた瞬間、身体が崩れ落ちて新一に寄りかかった。
新一の我慢も弾けた。
急いでズボンを脱いだ。
大きく山を作るトランクスが見えた。
思わず丸い目をクリクリさせながら見張る逢子・・・

そして一気にトランクスを下ろした。
大きく反り返る肉棒・・・硬い弾力を伝えるように左右に揺れる茎。
充分に剥けた先っぽに、透明感のある湿り気があった。
逢子の鼻に、ツンとした匂いが立ち込めた・・
確かめようと、鼻で大きく息を吸い込んだ。

「お、俺も・・俺も気持ち良くなりたい。」
興奮からか、ろれつの回らない喋り方の新一。

急いで腰を沈めようとするが、上手くいかない。
右へ左へ・・照準が定まらない。
こみ上げてくる痺れ・・嗚呼、手とは違って、腰を使う為に目標地点が見えないのだ。
「く、くっそう・・何でだ?如何してなんだあ~?」
イラつく新一・・・バケツはもう溢れ帰りそうだ。

心配そうに見つめる逢子。
助け舟とばかりに、腰を新一の中心に移動させた。
「新一さん、ココよ・・」
指示を出す逢子。
「ああ・・」
今度こそと、腰を沈めた新一。
だがまた左にずれた・・・よく考えてみれば、よく判らない者同士が良くやっていると思う。
「こっちよ、新一さん。」
堪らずに、新一の肉茎を握って目標位置に持ってきた。
「ああ~ダメだぁ~」
その時には、既に逢子の手の温もりに耐える力はもう残っていなかった。

ピュピュ・・・・
激しい噴射が始まってしまった。
「う、う~ん・・あう・・」
堪らず呻く新一。
ピューピュ~
更に噴射が続く・・・逢子のお腹に湖が出来た。
ピュッ・・
最後の勢いで、逢子の顎にまで飛んだ。

「わぁ~何これ?・・凄いわ・・」
逢子の驚きの声が新一の耳に入った。
「はあはあ・・な、なっさけない!・・ああ、でも気持ち良かったぁ~」
気張った力が抜けていく・・次第に冷静になる新一。

「あ!そうだ、ゴムが無かったんだ・・俺、もうちょいでバカな事しでかしていたな。」
そう・・ゴムなしでヤッていたら・・あの暴発からして直ぐにでも中で出してたはずだ。
「新一さんの、あんな焦った顔を見たのは、私初めて・・アハハハ、ホントおかしな顔ねぇ・・アハハ。」
無邪気にコロコロと笑う逢子。
男のメンツ台無しからか、ちょっとむくれる新一だった。
「あのね、俺たち危なかっただぜ・・俺が上手くやってたら今頃・・ミーちゃんのお腹は、こうだったんだぜ。」
両手でお腹が膨らんだ様子を模写する新一。

「ミーちゃんって・・それ?。」
新一の突然の言い方に、はっとした表情をする逢子。
「あはは、昔小さい頃には、ずっとこう呼んでいたんだよな・・ねえ逢子ちゃん?」
「うん・・そうだったわ。私はずっと、新ちゃん、新ちゃんって言って、新一さんの背中にくっ付いてたっけ。」

その昔、2人は辺りが暗くなるまで、泥んこになりながらも、ず~と一緒に遊んでいた。
そうだ・・ずっと一緒だったんだ。
懐かしく昔の光景を思い出す2人だった。

「これからも俺たちは一緒だよな?ミーちゃん。」
「うん、そうだよ新ちゃん。」
ティシュで逢子のお腹を拭きながら、新一は逢子の顔を見た。

「それにね、私がここに来たのは、ひょっとしてこうなるかもって期待していたのよね。」
「え?それってどういう意味なの?」
「うふふ・・」
イジワルそうな笑顔で新一を見る逢子・・
大きくてクリクリした目を、更に丸くして新一の顔を覗き込む・・
「ま・・まさか!」
胸の動悸が大きく鳴り響く・・・
「私のカラダにイタズラしたでしょ?・・うふふ。」
「・・・・・」
何も言えない新一。
「私疲れてて、動けなかったけど意識はちゃんとあったんだよ。もうびっくりしたけど・・」
「ご・・ごめん。でも・・・」
「さすがに指入れちゃあ、分かるわよ・・でも、あそこで起きたら、新一さん恥かくと思って・・黙ってたの。
何か思い詰めた表情だったもん・・ちょっと怖かったわ。」
「俺もどうかしてたんだ・・君は俺の叔母なんだし、どこかではっきりさせるのが怖かったからかもしれない。
ホント・・済まなかった。許してくれ逢子ちゃん。」
深々と頭を下げる新一・・・

「ミーちゃんでしょ?新ちゃん。うふふふ・・・」
「え?」
「私は、新一さんが、こんなにも真剣に想ってくれてたって事が判って嬉しいの。私は小さい頃からあなたの事が好きでした。
今もその思いは変わりません。新一さんは何時も私の傍にいてくれて守ってくれたわ。
だから今度は私の番・・・あなたが望む事は、なんでもします・・私の事で、もう悩まないで・・
これからは私が傍にいるから・・・ね。」

逢子のいじらしい気持ちが新一の胸に伝わる。
抑えられない気持ちが、何度も何度も唇を重ねさせた。
逢子の舌が新一の舌に絡みつく・・・決して離れまいと決意したかのように。
「好きよ・・大好きよ。新ちゃん。」
「俺もだよ・・ミーちゃん。」

行為は失敗したが、2人の心は結ばれた。
新一は一番良い結果が出たのだと思った。
肉体的には結ばれなかったお陰で、叔母、甥の血の壁に触れる事は無かったからだ。
だがいずれは・・・

否応なしに真っ向から立ち向かわなくてはいけない時が、必ず来るはずだ。
その時には新一よ、お前は、どんな困難な事が起こっても逢子を守れるのか?幸せにできるのか?
己に問い掛ける新一・・・だが答えは容易に出なかった。
まだ17の少年に、その責任は重かった。
だけど、これだけは言える・・・「逢子だけは何があっても絶対に守ってみせる。」と。
この子だけには辛い道など歩ませたくは無い・・いざとなれは俺が消えれば良いだけの事だ。

無邪気に新一の首根っこにかぶりつく逢子。
小さい子供のように抱き合う2人。
神は2人に祝福するかのように静かな夜を与えた・・・


翌日・・
2人を地の底まで叩き落す大事件が勃発した。
1枚の写真が、学校の掲示板に張り出されていたのだった。
そこには1組のカップルが写っていた。
1人は逢子、そしてもう1人は・・・
                         (つづく)


[2004/03/08]

小説(転載) 「美咲」

近親相姦小説
07 /03 2018
掲載サイトは消滅。
 「美咲」

なぜあんな事をしてしまったのか・・ちょっと、後悔しているようなしてないような・・・


 俺は20歳の大学生。自宅から大学に通っている。両親は去年から父親の赴任先の九州
にいて、帰ってくるのは1ヶ月に2回くらい。今はほとんど小学校3年生の妹と二人暮ら
しのような状態。家事は妹と俺が半分ずつ分担しているが、叔母が車で30分ほどの場所
に住んでいるため、俺が授業の関係で帰りが遅くなる日などは、顔を出してくれるそれ以
外はずっと二人きり。俺は何とも思っていなかったが、妹は寂しい思いをしていたのかも
しれない。

 妹の名は美咲、ショートカットのボーイッシュなタイプで、自分のことを「ボク」と呼
ぶ男勝りな女の子だ。髪を伸ばしておとなしくすれば可愛いと思うのだが、学校で喧嘩を
しても負けてくるようなことはまず無いし、今時珍しく外でよく遊ぶ子供だ。俺も蹴られ
たり殴られたりすることも珍しくない。しかし毎日一緒にいれば喧嘩ることにも飽きて、
いつの間にか美咲は俺のことを今まで以上に慕ってくれるようになった。元から年が離れ
ていたこともあり、美咲は俺のことをいろいろと頼りにしていたようだ。今までは可愛い
妹だと思っていたし、年が離れているため、自然と一緒に風呂に入ったりしても全く何も
感じなかった。なんと言っても、俺が中学生の頃はおしめを変えてあげたくらいだ。欲情
するはずもない。この平凡な兄妹の生活がちょっと変わってしまったのは、1週間前の週
末の出来事があったからだ。


今日は夕食の当番が美咲の番だ。しかし、美咲ははっきり言ってほとんど料理が出来ない。
包丁を使わせるのは見ている方が怖くてイヤだし、背が低いからスパゲティパンなどをコ
ンロにかければ中を覗くこともできない。必然的に簡単な料理になってしまう。今日はレ
トルトカレーだった。食べ飽きたカレーを食べ終わって、俺はテレビをぼーっと見ていた。
美咲は洗い物をしていたが、水道の蛇口をひねる音がして、ぱたぱたと走ってくる音が聞
こえた。そしていきなりの予想外のこの一言。



全てはこの言葉から始まった。


 「ねーおにいちゃん?せっくすってなに?」

はぁ!?いきなり何を聞くんだ?俺は返答に困ってしまった。小学校3年生の言うセリフ
じゃないだろ?まったく、今時のガキってのは、ホントにませてるなぁ・・・何処で覚え
たんだよ?いったい・・・

 「はぁ?何言ってるんだよ?そんなのおまえは知らなくてもいいんだよ。」

 「え~~!?お兄ちゃん知ってるの?ずるいよ~!!」

 「ばーか、中学生になったら教えてやるよ。今はまだ早い。」

まぁ、中学生にもなれば友達との会話からそれがどういうことか分かるだろう。今は知る
必要もないし、そんな事を言うのも恥ずかしくてイヤだった。

 「だってね、萌ちゃんが彼氏とセックスしたんだって!みんなセックスって知ってるの
  にボクだけ分からなかったんだよ!!悔しいじゃんか!ボクもセックス知りたいよ!」

な、なに・・!?小学校3年生で、彼氏とセックスだと!?ちょっと待て・・俺だって中
学3年だ。しかも当時の仲間内では早いと思ってた。なんかおかしいぞ?世の中・・・

 「ちょっと待て・・萌ちゃんて、おまえの友達の萌ちゃんか?」

 「そうだよ?この前もウチに来たじゃん。」

 「彼氏がいるって・・美咲の同級生か?」

 「違うよ、高校3年生だって言ってたかなぁ・・・名前は忘れちゃったケド。」

おい・・・小学3年生の彼女って・・・犯罪だろ?凄まじいロリコンじゃねーか?美咲と
同い年の子供に欲情するか?そもそもセックスって・・・できるのかよ?

 「萌ちゃんが、その彼氏とセックスしたっていったのか?」

 「うん。そうだよ?彼氏の家で昨日しちゃったんだって。」

やはり世の中おかしい。そんな事が許されてたまるか・・・

 「今日ね、学校でその話をしてたんだけど・・・・」

 「ふ~ん・・・みんなはセックスって言葉知ってたのに美咲だけ知らなかったんだ?」

 「さっきからそう言ってるでしょ!ボクだけ取り残されちゃって・・・お兄ちゃんは 
  知ってるんでしょ?だったら教えてよぉ!」

とは言え、セックスを教えることなんかできない。とりあえずは、その簡単な意味だけで
も教えてやろうと思った。

 「いや・・・でもなぁ・・・そうだ、学校で性教育やったか?」

 「性教育・・?えっと・・・保健室の先生と一緒に女子だけ呼ばれてお話聞いた事かな
  ぁ・・・たしか「せいきょういく」って言ってたと思うけど・・・」

 「それだ、その時に聞かなかったか?セックスの話。」

 「う~んとね・・・その時は月経のお話だったよ。」

月経・・・あ、生理のことか。なるほど。小学校3年過ぎると始まる女の子もいるらしい
からな。ってその時にセックスの話もしておいてやればいいのに・・・

 「その時のお話はどんなことを聞いたんだ?」

 「・・・・・お兄ちゃんのエッチ・・・」

 「はぁ?何言ってんだよ?」

 「女子だけのお話なんだよ!男子には教えないんだからね!」

 「ばーか、セックスを教えるのに必要なんだよ。さっさと言え。っと・・・あ、その前
  にビール持ってこい。グラスもな。」

 「ぶぅ。。なんでそんなこと・・・」

ふくれた可愛い顔をして冷蔵庫にビールを取りに走る。

 ”ぱたぱたぱた”

俺はなんとなくこの音が好きだ。美咲がスリッパでフローリングを小走りする音。なぜか
安心してしまう。と、ふと気づいた。なんかさっきから俺、セックスって連呼してるよな
ぁ・・妹の前で何を言ってるんだ・・・反省しなければ・・・

ビールを「ドン」と置くと、栓を抜き、グラスを俺に渡してビールをつぎながら言う。

 「言わなくちゃいけないの?」

 「別に恥ずかしがることもないだろ?つーか、俺はほとんど知ってるんだよ。何処まで
  聞いたか知りたいだけ。」

ビールをぐいっと飲み干すと、美咲は次の一杯をまたつぎ足す。しっかりと酌をしてくれ
るのがこいつの良いところだ。うん。

疑わしい目で俺を見ると、少し恥ずかしそうに話し始めた。

 「えっとね・・・女の子は子供を産むために、「卵子」っていうのが毎月体の中に作ら
  れるの。それでね、それと「精子」っていうのが出会うと赤ちゃんの元になるんだよ。
  でもね、「精子」と逢えなかった「卵子」は、体の外にでていくの。その時に一緒に
  血が出るんだって。それが月経って言うんだよ!」

なるほど。教わったばかりの見事な解説だ。俺に言えと言われてもうまく言えなかっただ
ろう。そこまで知っているなら話は早い。が、終わったと思いきや、まだ話し始める。

 「それでね、初めての月経のことを「初潮」って言ってね。お母さんがお赤飯炊いてく
  れるんだって!おめでたいことなんだよ!知ってた?」

なるほど。どうやらここまでか。初潮、こいつはまだだな。当分だろう。まだこ~んなに
ガキだしなぁ。つーか、俺に赤飯がどうだとか知ってるかって言われても、女じゃないか
ら生理もない。もちろん赤飯も炊いて貰ってない。

 「でもね・・うちはいつもお母さんが家にいないでしょ?だから先生が月経が始まった
  ら、保健の先生のところに行きなさいって。」

たしかに・・・俺は生理用品の使い方を教えることはできないな。母親がいないことで苦
労かけてしまうな・・・と、親のような心配をしてしまった。まぁしょうがない。保健の
先生が付いているんだし・・・しかし、家で始まったら・・・まずいな。今度女友達にな
んとなく聞いておくことにするか。・・・・変態と思われそうだが・・・・しょうがない。
「生理用品もくれ」なんて言ったら・・・友達無くすな。

 「まだおまえは月経始まってないだろ?」

 「うん。まだだけど・・・」

 「始まってる子もいるのか?」

 「いるよ。優香ちゃんと、愛奈ちゃん。」

 「そうか、女の子が大人の女になった証拠だからな。その二人はもう大人だな。」

 「そーだよね!みんなもすごく羨ましがってるんだよ!」

『いや・・生理痛とか大変らしいぜぇ・・・』と、心の中で思ったが、口にはしなかった。

 「おまえはまだまだだな。こ~んなにガキだし。当分だろうな。」

すると顔をぷくっと膨らませて怒る。美咲のこの顔は可愛くて好きだなぁ・・と思ってい
るとスネを思い切り蹴られた。

 「いぃ!?・・・・・・・・い・・いてぇ・・・・・」

 「べーーっっだ!!ボクだってもうすぐ大人になるよーだ!」

やっぱり可愛くない。

 「それよりもさぁ!セックスのこと、教えてよ!」

あぁ、そうか。そう言えばその話だった。性教育の授業をしているなら話が早い。まぁ、
やばくならない程度にと思いながら、話し始めた。

 「さっき話してた精子と卵子の話があるだろ?」

 「うん・・・・」

 「卵子は女の子の体の中に出来るんだよな。」

 「うん、そうだよ。」

 「じゃあ、精子はどこから来るんだ?」

 「え?・・・・・・・・・えっと・・・・・・・・・・・・・・わかんない。だって、
  まだ性教育は始まったばかりなんだもん!また次の時に聞くんだと思う。」

 「じゃ、その時まで待て。その時に教えてもらえるだろ」

俺はつまらなそーにテレビを見始めた。

 「え~~??ダメ!!月曜日もきっとその話するもん!その時には知ってたいの!」

あ~あ、めんどくせーなぁ・・・

 「しょうがねーなー。じゃあ黙って聞いてろ。」

 「うぅ・・・うん。」

 「はいだろ?」

 「はぁ~~い。。」

 「えっと・・どこまでだっけ・・・ああそうだ。精子は男の体の中で作られるんだよ。」

 「へぇ~?そうなんだぁ・・・」

 「んじゃ、そこで問題。男の中で作られた精子と、女の中で作られた卵子、どうやって
  出会うんだ?」

 「え・・・・?う~ん・・・・・・・っと・・・・・・・・・・・・・・わかんない。」

 「それがセックスだ。セックスをすると男の精子と女の卵子が出会うんだよ。」

ヤバイ・・・まじめに性教育の授業をやってしまっている。なんだかなぁ・・・

 「な~んだ!そっかぁ!それがセックスって言うんだね!?」

 「そー、ゆー、こ、と、」

俺は美咲に背を向けるとつまらないバラエティー番組を見ながらまたビールを飲み始めた。
もうこの話は終わったつもりだった。が、しかし・・甘かった。

 「どうやるの?」

 ぶっ!
俺はビールを吹き出しそうになってしまった。ここまでつっこんで聞いてくるとは思って
いなかったからだ。参った・・・説明すべきか・・・

 「そんなのまだ知らなくていいって言っただろ!?」

 「だって!萌ちゃんはもうしたって言ってるんだよ??ボクだっていつ彼氏が出来て 
  セックスするか分からないもん。今のうちに知っておかないと・・・」

おい!待て待て待て!!やるつもりなんかい!?まだ早すぎだ!妹が小学校3年でセック
スをするなんて、兄としてはちょっと耐えられない。というより、相手の男が許せない。

 「美咲ぃ~~おまえなぁ・・あんな事小学生には早すぎるぞ。ほとんど不可能だ。萌ち
  ゃんはどうだか知らないが、おまえには出来ない。」

 「なんでボクじゃ出来ないの?じゃ、お兄ちゃんはやったことあるの?」

しまった・・墓穴を掘った。しかし、嘘を付いてもしょうがないので、言うことにした、

 「あるよ。」

 「え~~~~~あるの?教えてよ~!ねぇ!」

 「うるせーなぁ・・だからおまえじゃ出来ないって言ってるの。」

 「なんで~?お兄ちゃんに出来て、ボクに出来ないわけないでしょ?」

 「だからぁ・・・女は中学生くらいにならないと無理だ。」

 「そんなことない!!ボクにも出来るの!」

 「出来ない!」

 「出来る!!」

 「おまえじゃ無理だ!」

 「無理じゃない!」

 「無理だっつってんの!」

 「なんで?」

 「はいらねーよ、そんな小さいのに。」

あ・・・・・・・・・・・・・・・やべぇ・・・・・・・・・・・・

 「入る?」

 「いや、なんでもない。」

 「ねぇ?何が入るの?」

 「しらねーよ。」

 「何にはいるの?」

 「しらねー。」

 「教えてよ~~!!」

 「やだ。」

 「教えて!!!」

 「ヤダったらヤダ。」

まずったなぁ・・と思いながら横目で美咲の顔を見ると、いつものふくれっ面で顔を真っ
赤にしている。そろそろ諦めるかと思って、またビールを一口飲んだ。

 「もしかして・・・膣に入るの?」

 ぶっ!!
また吹き出しそうになる。

 「あっ、そうなんでしょ?」

 「知らん。」

 「そうなんだ~!お兄ちゃん嘘つくとすぐ分かるんだもん。左の眉毛が上がるんだよ!
  可愛い♪」

何でそんなこと知ってるんだ?こんなにガキなのに・・しかも一回りも上の兄に向かって
可愛いって・・・なんだそりゃ?

 「うるせーよ・・・」

 「ねぇ、そうなんでしょ?先生が言ってたもん。膣に精子が入って来るって。」

 「知ってるんじゃねーか。そうだよ。」

 「ふ~ん・・・・・・そうなんだぁ・・・。」

 「わかっただろ?もういいな?」

これ以上聞かれるとつらいので、無理矢理に話を結びにかかる。

 「どうやって精子入れるの?」

うぐっ・・・・・・・はぁ・・・核心をついてきやがった。

 「さーなぁ・・・勝手に入って来るんじゃねーの?おじゃましま~すってよ。」

 「そんな事あるわけないでしょ!ボクのこと子供だと思って!!」

 「子供じゃん。」

もっともだ。

 「子供じゃないよぉ~っだ!!」

 「子供だよ」

 「子供じゃないの!」

このやりとりがすでに子供だ。

 「教えてよ!」

 「めんどくせー。」

 「お兄ちゃんのいじわるぅ~~!」

 「うるせーなぁ・・・。そんな事知らなくても子供は生きていけるの。」

 「うぅ・・・お兄ちゃんの・・・いじ・・わる・・・うぅ・・う・・・ぁぁあああああ
  ああん!!いじわるぅ~~~~~~!!!」

しまった!泣かせちまった!!まずい!まずすぎる!!いつものパターンだと、ここで親
に電話を入れるはずだ!それは避けないと・・・今考えると、別に避けなければいけない
わけでもないのだが・・・

 「あぁぁ・・・悪い。わかったよ。俺が悪かったよ。」

いつものように膝の上に抱っこしてやって、肩までないくらい、ショートボブの柔らかい
髪を撫でてやる。もう小3だというのにこれをやらないと泣きやまない。やっぱり子供だ。

 「グスッ・・ヒッ・・・・じゃ、教えてくれる?」

はぁ・・・しつこい。しょうがない。教えてやるか。美咲を膝の上からおろして諭すよう
に言い聞かせる

 「わかったよ。教えてやる。その前に泣くのやめろ。じゃないと教えない。」

 「・・・ヒック・・・う、うん・・・グスッ・・・」

しゃっくりをしながら鼻をすすって泣く。泣き方もまさに子供だな。ったく・・・

 「泣きやんだな?んじゃ、教えてやるよ。」

 「うん・・」

まだ赤い目をこすりながら、まじめに正座をして俺の方をまっすぐ向いている、話しづら
いなぁ・・・こういうところはまじめなヤツだ。

 「女の子の膣は何処にあるか分かるか?」

 「う、うん・・・あそこ・・。」

恥ずかしそうな赤い顔をして言った。

 「アソコってどこだ?」

さらに真っ赤な顔になって、自分の股間を指さして、

 「ここ・・・」

 「はい、よくできました。んじゃ、男のそこには何がある?」

 「え・・・?お・・・・おちんちん・・・・」

これ以上ないくらい恥ずかしそうな顔をして言った。

 「そうだよな。女の膣と男のおちんちんが性器って言って、子供を作るための道具なん
  だよ。」

 「え・・・?おちんちんはおしっこするんじゃないの?」

ちょっとびっくりしたように質問を返してくる。

 「おまえのそこだって、おしっこするだろ?」

 「あ・・・・う、うん・・・・・・・」

 「それでな、男のおちんちんを、女の膣の中に入れて、精子を出すんだよ。そうすると
  膣の中で、卵子と精子が出会うんだ。」

すげぇ・・・俺まともな性教育やってるよ。偉いなぁ・・・つーか、これは学校の先生の
仕事だろ?何で俺がやらなきゃいけないんだ・・・・先生頼むぜ?

 「・・・お、おちんちんが、ボクの中に入って来るんだ・・・」

自分の股間を凝視して、下腹部をさするようにしてそんな事を言った。・・・・・いや、
そう言う言い方は止めてくれ。せっかく「男女」って言ってるのにさぁ・・・わざわざ
「ボクの中」って・・想像しちゃうだろーが!

 「膣って、どこにあるの?」

 「っておまえ、さっき知ってるって言わなかったか?」

 「おなかの中にあるのは知ってるよ。・・・でも、どこからおちんちん入るの?」

なるほど・・・まだ自分のま○こを見たことがないらしい。まぁ、鏡でもないと見れない
だろうからなぁ・・・小学生で観察するヤツもあまりいないか。

 「そんなことはもういいだろ。終わりだ。」

 「ヤダ!ここまで教えてくれたんだから、最後まで教えてよ!!」

ささ、さいごまで・・・・・・・・一瞬想像してしまった・・・

 「なに言ってんだ。そんなの自分で調べろ。」

 「どうやって?」

 「鏡で見ればいいだろうが」

なんかバカな事言ってるなぁ・・・俺。

 「一緒に見てよ!」

 「バカ!!人に見せるもんじゃねーだろ!!」

大慌てで言い返す。俺ってばちょっと動揺しているらしい。

 「いいもん、お兄ちゃんなら。一緒にボクのあそこ見ようよ!」

な、ななななんてことを・・・・・・・・しかし、ここまで来たら、無視して逃げるのも
どうかと思い、結局つき合うことになってしまった。

美咲は直径15センチほどの手鏡を持ってきて、何のためらいもなくはいていたスカート
をまくり上げ、可愛いピンクのハートパターンのパンツに手をかけると、ふと何かに気づ
いたように俺の顔を見ると、恥ずかしそうに言う。

 「ちょっと・・・あっち向いてて。。」

 「あぁ・・わるい。」

あわてて後ろを向いてよく考えると・・・・あれ?今から一緒にま○こ見ようってのに、
何でパンツ脱ぐところ見ちゃいけないんだ?・・不思議に思いながらも美咲が「いいよ」
というまで律儀に後ろを見ていた。

 「やっぱ恥ずかしいよぉ・・・・」

 「んじゃ俺やめるわ。一人で見てくれ。」

 「あ、ごめんなさい!いいよ・・」

よくわからないな・・・美咲は勝手に足を開くと、その間に手鏡を差し込み、じっくりと
観察を始めた。

 「ん~~~~~・・・・・・・・・・・・・よくわかんないよ・・」

俺はほとんど見ていなかった。当たり前だ。8歳の子供の、しかも妹のま○こなど、普通
は見るものじゃない。

 「ねぇ?おにいちゃん?どれが膣?」

 「あぁ?自分で探せよ。そんな広くもねーだろ?」

素っ気ない態度をとると、美咲はかえって聞いてくる。

 「ねぇねぇ!どれ?」

おいおい・・・美咲は下半身裸のまま立って、俺の顔に股間を近づける。やばいだろ!?
他人に見られたら・・・捕まるな、俺。

 「分かった。見るから座れ!!」

 「うん・・・」

またぺたんと床に座り込み、足を開いて、俺にま○こを見せつけた。

 「ふぅ・・・・・・いいか?」

興味津々で自分のま○こをのぞき込む。こりゃひでぇ・・線だよ。しかも全く無毛。産毛
すらない。一本の線が通っているだけみたいなもんで、俺が今まで見たことのない女性器
だった。

 「こりゃ見えないな。」

 「え~?」

 「ぴったり閉じてて、これじゃ膣なんか見えない。」

 「大丈夫だよ!」

そう言うと、なんと自分の指でぴったりと閉じたま○こを開いた。おいおい・・

 「ね?みえるでしょ?」

確かに見えるが・・・このポーズはちょっと・・・・危険すぎる。いやマジで。

 「どれが膣?」

俺はしょうがなくチビッコのま○この観察を始めた。しつこいようだが、こんな姿、誰に
もみせられないな。

 「ああ、これだ、これが膣口。膣の入り口。ここに男のちんちんを入れるんだよ。」

 「へぇ・・・・すごく狭いんだね?」

 「この入り口あたりにあるのが処女膜って言ってな。初めてセックスするときに破けて
  入り口が広くなるんだよ。」

 「そうなんだ・・・・これがおしっこの穴でしょ?・・・じゃ、これは?」

クリトリスを指さして恥ずかしげもなく聞いてきた。・・・言うべきか、言わないべきか。
悩んでしまった。まぁ、ここまで来たら怖いものなど無い。

 「それはな・・クリトリスって言って・・・なんて言えばいいかなぁ・・・気持ちいい
  んだよ。」

 「くり・・なに?」

 「クリトリス。」

 「くり・・と・・りす?」

 「そう。」

 「気持ちいいって・・・?」

 「そりゃ・・・・んっと・・・大人になって、セックスしたらわかる。」

 「ふ~ん・・・・・・・・・・」

なんか俺、変なことやってるよなぁ・・・そう思いながらも、妹の性教育だと、自分に無
理矢理言い聞かせて納得していた。

 「じゃ、セックスしようよ!」

・・・・・・・ちょっと待て。こいつ、何言ってるんだ?

 「おい、おまえ言ってる事の意味分かって言ってるのか?」

 「萌ちゃんだってしたんだもん。ボクもしたいよ!」

 「いや、そう言う意味じゃなくて・・・セックスってのは、恋人同士、大好きな人とす
  る事なの。兄妹でするものじゃないんだよ。」

 「大好きな人とするんでしょ?それならボクはお兄ちゃん大好きだから、お兄ちゃんと
  セックスするんだ!」

 「そういう好きじゃなくてだなぁ・・・おまえ、クラスに好きな男の子とかそういうの、
  いないのか?」

そう言えば一人の男の子を家に連れてくるようなことは今までなかった。もしそう言う子
がいたとしても、まだセックスするには早すぎるとは思うのだが・・・

 「いないよ。みんな弱いんだもん。ボクより強くないとダメ。」

 「いや・・・でもなぁ・・・」

 「大丈夫。萌ちゃんがしたのに、ボクがしてないなんてイヤだもん!」

 「だからぁ・・・そう言うノリでするものじゃないんだよ。そうだなぁ・・一番好きで、
  結婚したいと思うくらい好きな人と初めてのセックスってのはするモノなんだよ。だ
  からダメだ。」

我ながら今の女子高生とかに聞かせてやりたいセリフだ。いいことゆうぜ!俺!

 「いいもん!ボクお兄ちゃんと結婚するから!!」

まずい。。話にならない。こうなると美咲はしつこいんだ。強情だからなぁ・・

 「処女膜破れていたいぞ~~~~~!」

 「あ・・萌ちゃんも言ってた・・・痛かったって・・・。そんなに痛いの?」

 「そりゃもう!死んじゃうかと思うくらい痛いぞ!!」

脅して逃げるしかない。これだけ脅せばさすがにびびって止めるだろう。

 「やっぱり・・ち、血も・・・でるの?」

 「いっぱいな。すごくいっぱい出る。」

 「萌ちゃんはそんなに出なかったって・・・ちょっとだったって・・・」

 「個人差があるからな。痛い人は痛いし、痛くない人は痛くない。血も、たくさん出る
  人と、全然出ない人もいるからな。」

あ・・・・しまった。まともに答えちまった・・・・

 「なんだ。もしかしたら出ないかもしれないんじゃん!痛くもないかもしれないんだ!」

つーか出ないわけないだろ・・・こんなんに突っ込んだら・・・

 「あ・・いや、そのなぁ・・・」

 「大人になってセックスして、痛い思いするなら、今お兄ちゃんとしたいよ!」

ヤバイ。。。ぐらっと来てしまった・・・どうしてそんな可愛い笑顔でそういうことを言
うかなぁ・・・しかもノーパンスカート。そういう変に興奮するような格好で。実は、密
かに俺のチ○ポも相当大きくなっていた。普通の女が相手なら見破られているところだ。

 「でも・・・いや・・あの・・・なぁ・・」

 「あ、そうだ!ボクのあそこ見たんだから、お兄ちゃんのおちんちんも見せてよ!」

しまったぁ!!まずい、まずすぎる。今はまずい。イヤ、今じゃなくてもだ。美咲の妙に
意識した視線を当てられたら大きくなってしまいそうだ。まずい!変なことに気づくんじ
ゃない!あぁ・・どうしようかなぁ・・・

 「バカ!見せもんじゃねーよ!」

 「ずるいよ!ボクのだけ見て、お兄ちゃんのは見せないなんて!ずるい!」

どうやら形勢は圧倒的に不利だ。

 「おまえが見ろって言ったんだろ?俺は見たいなんて一言も言ってないぞ!」

 「ずるいずるいずるいぃ!!みせてよ~!!」

美咲が俺のジーンズに手をかけようとした。まずい!!とっさにはねとばしてしまった。
美咲はひっくり返り、赤いタータンチェックのスカートは思い切りめくれ上がりノーパン
のま○こは足を大きく開いていて、穴まで丸見え状態。男の悲しいサガか・・・それとも
俺にロリコンの気があるのか。幼女のま○こに俺のチ○ポは思い切り反応してしまった。
しかし、美咲はすぐに起きあがらずに、鼻をすすり始めた。

 「うぅ・・・う・・う・・ぐすっ・・・」

まずい!!また泣く!!これで泣かれて、親に電話され今の状況を話された日には、俺は
勘当される。いや、警察に突き出されるかもしれない。いったい、どうすればいいんだ・・
とにかく泣かせないようにしなければ・・・・

 「あ・・・だ、大丈夫か?美咲・・・?」

 「・・・うぅ・・・・・・・・」

今にも泣きそうな顔。牽制するか。

 「泣くなよ?泣き虫は嫌いだぞ?」

 「な、泣かないもん!」

 「でもごめんな・・・ホント。痛いところ無いか?」

 「大丈夫・・・」

 「今のは俺が悪かった。ホントにごめん。」

すると、表情がパッと明るくなり、にこっと笑って、

 「ね。じゃ、許したげるからぁ・・・・見せて♪」

げ・・やられた。うそ泣きだ。女の最強の武器。この年ですでに手に入れているとは・・・

 「え・・・いや・・・でも・・・」

 「あぁ~!それじゃ、お母さんに言っ・・・

うあぁ~~~~!!!まずい!俺はその言葉を遮るようにとっさに喋ってしまった。

 「だぁ!わかった!見せるよ!見せるから・・・」

 「ほんと?やったぁ!!」

完全に美咲のペースに巻き込まれ、ついに抵抗もここまで。一回り年下の美咲は一枚上手
だったようだ。しかし、この大きくなったチ○ポを見られるわけにはいかない。時間稼ぎ
をしなければ・・・そうだ、風呂だ!

 「あ、悪い、その前にシャワー浴びてくるよ。おしっこして汚いままだと悪いからな。」

 「うん。わかった!一緒に入ろっ!」

 「い、いや!それはダメだ!いいから、俺が出るまで待ってろ。」

 「ぶぅ・・・うん。。」

何とか時間稼ぎが出来たようだ。この間に一発抜いてとにかく萎えさせよう。風呂場に行
くと、すぐにオ○ニーを始めた。はぁ・・妹に見せるために、何でこんな事を・・・・・
エロ本などのおかずがないのだが、なぜか浮かんでくるのはさっきみた美咲のつるつるの
ま○こ。ヤバイよなぁ・・・そっちの世界に足を踏み入れそうだ。ネタはともかく一発抜
き終わりシャワーを浴びていると、脱衣場から美咲の声が。

 「お兄ちゃん入るよ~!」

 「えぇ??お、おい!?」

すでに時遅し。まっぱになって風呂場に入ってきてしまった。

 「出るまで待ってろって言っただろ!?」

 「いいじゃん。久しぶりに一緒に・・・ね?」

はぁ・・・今日はまずいなぁ・・と、思いながらも股間をかくし、バスタブに逃げ込んだ。
すると美咲も軽くシャワーで体を流すとバスタブに飛び込んできた。いや、まずいって、
ダメだってば・・・

 「おいおい・・・。」

 「久しぶりだね~。ボク、お兄ちゃんと一緒にお風呂はいるの半年ぶりくらいなぁ?」

 「あ・・あぁ・・そうかもな・・」

もう俺は気が気じゃないっていう状態だ。しかもまた膨らんできてしまった。懸命に美咲
から見えないよう隠しながら、出来るだけ平静を装う。

 「ね。おちんちん見せてよ?」

はぁ。。。やっぱりまた始まったよ。

 「またあとでな・・・。」

 「ケチ!」

 「けちって・・なんだそりゃ?」

 「いいじゃん!減るもんじゃないしさ!」

いや、それは女が言うせりふじゃない。どこで覚えて来るんだ?

 「まーいいや、俺は出る。」

 「え~?お兄ちゃん頭洗ってないよ?」

そうか・・オナニーしただけで、頭も体も洗っていなかった。

 「いや、いいんだよ、毎日洗わなくても。」

 「だめ~~!夏は毎日洗わないといけないんだよ?ボクが洗ってあげるから!」

さばっと立ち上がると、洗い場に下り、頭の上からシャワーをかける。目の前にまた筋一
本のま○こが・・・はぁ・・

 「そんなのしなくていい!」

 「ほらほら、遠慮しないで!」

しょうがない・・・でかくなり始めているチ○ポを隠すと、洗い場に出て座り込む。

 「洗ったげるね~~♪」

美咲は俺の後ろ側にまわるとシャンプーをかけてがしゃがしゃと洗い始めた。まいったよ
なぁ・・目をつぶっていろいろ考えながらぼーっとしていると髪を洗っている手が止まっ
た。ん・・・なんだ?終わったか・・・?すると・・・なんてことだ。。

 「お兄ちゃんのおちんちん。見ぃちゃった~~!」

 「バカ!見るな!!」

あわてて両手で隠す。まずい、でかくなってる。

 「あれぇ・・・?なんかおっきくなってるよ?」

 「気のせいだ!見ないでいい!!」

 「見せて見せて~!」

 「ダメだって言ってるだろーが!」

 「いいもん。ボク、勝手にみちゃうから。」

すると・・・美咲の小さな手が手の隙間を通って俺のチ○ポに触れた。

 「うあぁ~!?おい!止めろ!」

 「あれぇ・・・?なんか硬いよ・・?」

まずい、ばれた。

 「バカ、最初からこんなだよ。」

 「え~?違うよ!前見たときはもっと柔らかかったよ?」

 「気のせいだ。」

 「こんなにおっきくなかったし・・・・・」

シャンプーのせいで目を閉じていて、今どんな状況なのかよく分からない。どうやら俺と
向かい合って座り込んでいるようだが・・急いでシャワーで泡を洗い流すと、びっくりし
た。美咲の顔は俺の足の間にあって、チ○ポから30センチほどの距離で凝視している。
さらに手を伸ばそうとしてくる。チ○ポはもうギンギン。片手では隠せないほどになって
いた。

 「見るなぁ!触るなぁ~!」

 「ねぇ・・・何でこんなに大きくなってるの?」

もうここまで来たらどうしようもないか・・・開き直ってとことん性教育してやるか・・・

 「しょうがねーなぁ・・・わかったよ。見せてやる。だから・・・触るな!!」

まだ触ろうとしているので美咲の手を払いのけながら言った。

 「はぁ・・・こんなモノ見るのまだ早いと思うけどなぁ・・・」

 「いいのいいの!見せて♪」

めちゃくちゃ恥ずかしかったが、手をどかし、最大級まで大きくなったチ○ポを、8歳の
妹、美咲の目の前にさらす。こんな緊張したのは初めてかもしれない。

 「おっきい・・・・・・・・」

普通は誉め言葉なんだが・・・なんだかなぁ・・・・

 「こんなにおっきいのが、ボクのおなかの中にはいるの?」

いや、だから俺はおまえに入れるつもりは無いんだけどなぁ・・・と思いながらも、心の
奥底では、さっき見た小さすぎる穴の中に入れてみたいかも・・・と、思い始めていた。
そう思うとさらに大きさは増し、カチカチになってしまった。

 「な・・なんか・・もっと大きくなったよ?」

 「あ・・あぁ・・・大きさが変わるんだよ、ちんちんは。」

 「この中で精子が作られるの?」

息がかかりそうな距離で美咲が喋るとぴくぴくと動いてしまった。

 「え!?何これ?動いてるよ??」

 「うるさい・・精子はな、こっちの袋に入った玉の方で作られるんだよ」

 「へぇ・・・この中で精子が出来るんだ・・・」

不意に玉を触ってきた。急なことでよけることが出来なかった・・・

 「あぁ・・お、おい・・・さ、触るな・・・」

そんな事をしているうちに、なんと先走り汁が染み出てきてしまった・・・・・

 「あれ?なんか先から出てきたよ?ヤダ・・もしかして・・・おしっこ?」

 「バカ!違うわ!」

 「おしっこじゃないの?じゃ、なに?」

 「この中に精子が入ってるんだよ。女の膣の中にはいると、この汁がもっといっぱい出
  て、卵子とくっつくと子供が出来るんだ。」

 「ふ~ん・・・・ホントに入るのかなぁ・・」

すでに20センチくらいの距離まで近づいている。なんかムラムラしてきた・・・・やば
いよなぁ・・・でも・・・・ま、いっか。って、全然良くないが・・・

 「触ってみたいか?」

なんて余計なことを・・俺のバカ。この言葉が一気に流れを変えてしまった。

 「触っていいの?ほんと?」

 「あ、ああ・・・触ってみろ。」

ちょっと緊張した顔で限界の近いチ○ポに手を伸ばす。

 「ん・・ぅぁ・・・」

つい声が出てしまった・・・

 「あれ?・・お兄ちゃん・・痛いの?」

可愛く顔をかしげて、丸い目で上使いに俺の顔をのぞく。

 「いや・・痛くないけど・・・」

 「変な声出して、どうしたの・・?」

心配そうな顔でさらに俺の顔をのぞき込む。やばい。もう妹だということを忘れそうだ。

 「いや・・・気持ちがいいんだよ・・・・・」

 「えぇぇぇ~~~!?気持ちいいの?」

 「あ、あぁ・・・」

美咲は手を動かし始める。気持ちよすぎる。小さくて柔らかい手は、今まで味わったこと
のない快感をもたらす。

 「ボクが触ってるから気持ちいいの?」

 「そうだよ、男は女の子にちんちんをさわられると気持ちいいんだ。」

 「もしかして・・さっき言ってたボクのくり・・・なんだっけ。えへ。。あれを触ると、
  ボクも気持ちよくなるの?」

 「ああ、そうだよ。クリトリスも触ると気持ちよくなるぞ。」

 「そうなんだ・・・」

手を強く動かすと俺の反応が大きくなることに気づき、面白がって激しく動かし始めた。
やば・・このままだと・・・イっちゃいそうだ。

 「あははっ!お兄ちゃん、気持ちいいの・・・?」

 「うっっ・・くっ・・・うん。いいよ・・・」

 「あは。。もっとしてあげるね?」

といって、強く握り、上下に動かした瞬間、イってしまった。

 「きゃ!?」

精子が飛び出し美咲の顔に思いきりかかる。

 「やだぁ~~?何?おしっこでちゃったの??汚いよ~!」

 「う・・あぁ・・違う。これが精子だ。ちんちんを膣に入れて、これをお腹の中に注ぎ
  込んだとき、お腹の中に卵子があると子供が出来るんだよ。」

 「これが・・・?」

ついさっき一度出したばかりなのに、大量に出てしまった・・・美咲はそのベタベタした
モノを顔から拭うと、不思議そうに眺めた。

 「汚くないの?」

 「汚くはないよ。」

すると、なんと舌を出し、ぺろっと舐めてしまった・・・

 「うぅ・・・苦くてしょっぱい・・・・」

な、なんてことを・・・・・・

 「おいしくなかったよぉ・・・」

いや、誰もおいしいとは言ってないんだが・・・・

 「ねーねーお兄ちゃん!!次はボクも・・・気持ちよくしてくれる?」

はぁ?そ、それは・・・まさか、そういうことなのか・・・?まずいとおもうんだが・・・

 「くり・・なんとかを触れば気持ちいいんでしょ?触ってよ!」

 「いやでも・・・」

 「お兄ちゃんずるい!ボクもお兄ちゃんのこと、気持ちよくしてあげたんだからね!次
  はお兄ちゃんの番だよ!」

なんか、もうどうでも良くなってきてしまった。犯っちゃってもいいかも・・・なんて、
危険なことまで考えてしまった。今ならまだ止められるか・・・と思い、『もう終わり』
と、言おうと思ったら・・・・・

 「ここだったよね・・・」

自分で触り始めた。

 「これを触れば気持ちいいの?」

まずいまずい!!何とかこの空気を変えなければ・・・・そうだ。これは近親相姦だ。子
供が産まれると、奇形児になる確率が高いって言う話だ。これを言えば納得するだろう!

 「もう止めようぜ。いいか?セックスってのはな、家族でしちゃいけないんだよ。もし
  すると、赤ちゃんが病気になって産まれて来るんだよ。」

こうでも言って止めなければ・・・

 「え・・・?そうなの?」

 「そうだ。だから兄妹でセックスはしちゃいけないんだよ。」

 「でもボクは月経まだだし、赤ちゃん出来ないんじゃないのかなぁ・・?」

あ・・・そうか、なるほど。この話説得力無かったか・・・しかし、頭の回転いいなぁ。

 「だから大丈夫。ね?しよっ♪」

か、可愛い・・・自分のクリトリスを触りながら、兄に向かってなんて事を・・・まずい、
でも・・・ホントに犯っちゃおうか・・・?

 「お兄ちゃん!ねーボクも気持ちよくしてよ・・」

まぁ、やると思えば、ペッティングくらいは許させる範囲さ。うん。そうだ。そうに決ま
ってる。まーいいだろう。いや、ホントは良くないが、その時は、そう思ってしまった。
 
 「・・・しょ、しょうがねーな・・・ちょっとだけだぞ?」

 「あはっ。。やったぁ~!セックスしてくれるの?」

 「バカ!違う、気持ちいいことしてやるだけだ。勘違いするな。」

 「なーんだ。でも、気持ちよくさせてくれるんだぁ~!やたっ!」

なんだかなぁ・・・・とりあえず風呂場ではなんなので、あがることにした。体を拭いて
やると、裸のまま俺の部屋に走っていった。ホント、まだまだガキだなぁ・・・って・・
こんなガキと”そういうこと”をしようとしてる俺って・・・やっぱり・・・ともかく、
トランクスとTシャツを着て部屋にはいると、美咲は俺のベットの中で裸のままゴロゴロ
していた。

 「やっぱもう寝ろ。俺はおまえの部屋で寝る。」

実はすでにこの時点で俺はやる気満々。心にもないことを言って、美咲が『して!』とい
うのを期待していた。そして期待通りのセリフ

 「やだぁ~!して!」

単純で面白い。

 「しょうがねーなぁ・・・じゃ、仰向けになって足開け。」

 「はぁ~い!」

なんか、明るいって言うか・・・色気も何もねーな、こりゃ。

 「気持ちよくなるためには緊張していないといけないんだよ。少しは無口になれ。」

ちょっと不満そうな顔をしていたが、しょうがなさそうに

 「うん・・・。」

よし、それでいい。俺は美咲に覆い被さるようにすると、小さい体をつぶさないように左
腕で体重を支え、右手でつるつるのま○こを弄りはじめた。痛くしないように、触るか触
らないか、ぎりぎりのところで愛撫した。すると、そっこーで

 「きゃはははは!!くすぐったぁ~~!!!」

・・・・・・・・・・・・・・おい。

 「ひゃはははっ!やだぁ~お兄ちゃん!くすぐらないでよぉ~!」

その瞬間、俺は切れた。むっかつく!!せっかく人が優しくしてやろうとしてるのに!!
許せん。俺はその体勢のまま、何も言わずに美咲の唇をふさいだ。

 「!?んんん??・・・・」

抵抗はあっという間に終わり、唇を離すと、美咲はちょっと恥ずかしそうに

 「あは・・・・・・ボクのファーストキス、お兄ちゃんにあげちゃった。。」

可愛いなぁ・・・・・なんだ、そういう表情も出来るんじゃねーか。って・・ファースト
キスだぁ?その前にチ○ポしごいて顔射までされてるくせによ?? まあ、とにかくこの
キスで俺は完全に壊れてしまった。本気で犯ろうと思ってしまった。キスをしたことで、
少しは女らしくなったようだ。ディープキスでもしたら、少しは感じるようになるかもし
れないな・・・やってみるか。

 「俺じゃ、イヤだったか?」

 「ううん・・そんなことない。お兄ちゃんで良かった。」

泣かせてくれるぜ・・・

 「そうか、じゃ、大人のキスもしような。」

 「え?大人のき・・・・・・

言い終わる前にもう一度唇を重ねる。今度は舌を突っ込む。

 「んんんんんんんん~~~~!?!?!?!?」

びっくりして声にならない唸り声をあげていたが、小3の小さな体を抱きしめると、少し
ずつ落ち着き、黙って目を閉じた。子供ってのは体はもちろん、口まで小さいんだよな。
長いディープキスを終えて美咲の表情をうかがってみると、とろ~んとした目で俺を見つ
めていた。

 「どうだ?大人のキスの味は。」

 「ん・はぁ・・・なんか・・・よくわかんなかったけど・・・・きもちよかった・・・」

おっけー。予定通り。どうやらこれで女になったようだ。しかし、ファーストキスの10
秒後に、初めてのディープキスか。ちょっと悪い事したかな?なんてことは、今は思うけ
どその時は全く思うわけない。

 「じゃ、始めるぞ・・・・」

 「う・・うん・・・・」

俺はもう一度深いキスすると、まず最初に乳首をいじることにした。今の状態なら、ここ
も感じるかもしれないと思ったからだ。正解だった。胸はやせがたの男と変わらない、ま
さに「ぺったんこ」だったので、乳首しか攻撃できない。「揉む」という行為は不可能だ
った。とりあえず乳首をちょっとつまむと女らしい声を上げてくれた。

 「んん・・・・・・・・んぁ・・・・あんっ・・」

やればできるじゃねーか。いい声で鳴くな。気をよくした俺は唇を乳首に移した。乳首と
は言え、あまりにも小さい。俺のより小さい。が、舌全体でぺろっと舐めあげてみる。

 「んんんん・・・・・・あぁ・・・・ふぅ・・」

完全に感じているな。そう思った俺はついに本命のま○こに照準を移動した。念のため、
もう一度キスをする。早くも病みつきになったか、俺の首に腕をまきつけ、ぎゅうっと抱
きしめる。なんか嬉しいナ。そのまま毛の全くない一本のラインを優しくなぞった。さっ
き大笑いされた愛撫とほとんど変わらないタッチだ。しかし

 「はっ・・ぁぁ・・・んん・・・・・」

やっぱり感じてる。スイッチってモノが必要らしいな。こういうシーンでは。

 「どうだ?気持ちいいか?」

 「あぁ・・・・ん・・うん・・・なんか・・・ぞくぞくするような感じ・・。」

 「そうか、もうすぐもっと気持ちよくなってくるからな。」

そう言うと、ラインをなぞっていただけの指で今度は、ぴったりと閉じていたそこを開き、
中を弄り始めた。しかし、まだ全然濡れていない。美咲も少しだけ痛そうな素振りを見せ
たのですぐに止めた。濡れていない。というか、この年じゃ愛液は分泌されないのだろう
か?しょうがないので指に唾をたっぷりとつけてもう一度アタック。今度は滑りが良くな
って痛そうな素振りも見せない。行けるか・・・美咲のリクエスト通り、クリトリスを触
る。すると・・・体がびくっと跳ね上がった。まずい・・・痛かったかな?

 「美咲・・・痛かったか?」

 「ん・・・ううん・・痛くないよ。なんか・・・わかんないけど・・・・変な感じ。」

 「そのまま俺に任せてろ。気持ちよくなれるからな。」

続けることにした。クリトリスもまだまだ小さい。なんとなく触る程度のモノで、大きく
なるとか皮がむけるとか、そう言う世界の問題じゃない。ただ、やはり感じることだけは
確かなようだ。

 「痛くなったらすぐに言うんだぞ?」

 「うん・・でも・・・大丈夫。全然痛くないよ。」

なんか健気な感じでいいなぁ・・・やっぱりこんなに幼くても女は女。俺は美咲の反応を
見ながら、さらに萌えてきた。

 「今度は舐めてやるよ。ここ、さっき綺麗に洗ったよな?」

 「えぇ・・?だって・・おしっこするところだし・・・・汚いよぉ・・・」

 「いいからいいから。ちょっとここに座ってみろ。」

美咲をベットに座らせ、俺は床に座り込み、少しだけ濡れてきた(ような気がする)ま○
こを舐め始めた。

 「んんんん・・・・・・・・」

押し殺した、唸り声のような声を上げる。俺の唾液か美咲の愛液か、イヤらしく光ったま
○こは、見た目こそ幼く毛も生えていなかったが、清潔感があり妙な魅力を感じた。

 「どうだ?」

 「ん・・んん・・・・きもちいいよぉ・・・ボク・・・こんなの初めて・・・・。」

上半身はすでにベットに倒れ込み、クリトリスを刺激するたびに細い体をくねらす。女性
器特有のきつい匂いはほとんど感じない。かえって、甘い子供特有の香りが漂う。

 「いい匂いがする・・・」

つい言葉に出して言ってしまう。

 「あ・・・ほ、ほんと?」

 「美咲のここ、おいしいよ。」

 「ヤダ・・・恥ずかしいよぉ・・・」

もうこの時点で、この幼い女の子が自分の妹であることはほとんど忘れていた。一人の女
としてみていた。当然だが俺は男、女の体を求めてしまう。

 「美咲・・・お兄ちゃんのも触ってくれるか?」

 「あ・・・ん・・・ん・・うん・・・」

俺はすでにトランクスの間から大きく顔を出しているチ○ポを美咲の顔に押しつけるよう
に、シックスナインの体勢にする。

 「おっきいよぉ・・・・」

俺のモノを見つめぎこちなく弄ぶ。とてつもなく気持ちいいのだが、負けるわけには行か
ないとばかりに、俺も少し愛液の分泌したま○こを責め立てた。 

 「あっ・・・んあぁっ!?」

ひときわ大きな反応を示し、俺のチ○ポを弄ぶ手を止めた。俺は「しめた!」と思い、声
をあげている口をめがけ、最大級まで大きくなったチ○ポを押し込んだ。

 「はむっ・・・ん!?・・・ん~!!」

びっくりして顔をそむけるので、口から出てしまう。

 「やだ!なにすんの~???」

 「俺もお前のここを舐めてあげてるんだぞ?お前も俺の、舐めてくれよ。」

さすがに逆らう気はないらしく、渋々舌で亀頭部分を舐め始めた。またぎこちない舌使い
がたまらない。

 「はむっ・・・ん・・む・・・きもちいい?」

 「うん、すっごくきもちいいよ。」

 「あははっ・・ほんと?よかった・・・」

 「次は口の中に入れてしゃぶってくれ・・・」

 「え・・・・?これを口に入れるの?・・・む、無理だよぉ~!」

 「大人の女の人は、みんなこれをするんだ。セックスしたいならやらないとな・・・」

嘘を教えて、何とかフェラチオをして貰おうとしている。このとき、罪悪感など微塵も感
じていないから怖い。理性が飛んでいる状態ってのは、こういうことなのか・・・

 「ほんとに・・・?そしたら、ボクとセックスしてくれる・・・?」

 「あぁ、してやる」

言ってしまった。もう引き返すことは出来ない。しかし、美咲はこれで吹っ切れたようだ。

 「じゃ、してあげるね・・・」

そう言うと、小さな口にいっぱいに俺のチ○ポを頬ばった。

 「いてぇ!」

思いっきり歯を立てやがッた・・・まぁ、しらないんだからしょうがないか・・・

 「噛むなぁ!!舌を使って、よくしゃぶるんだよ。」

 「ふむ・・・はむ・・・ふ・・・う・・うん。。ごめんなさい・・・」

そうしているうちに、コツを少しつかんだらしく、ねっとりとして、口なのに締まりがい
い(特別小さいからか・・)フェラに、俺も相当気持ちよくなってきていた。美咲のま○
こも、すでに完全に愛液が流れ出していた。

そろそろいいかもしれないな・・・

そう思い、体を離す。

 「ん・・もう終わり・・?」

美咲が物足りなそうな顔で俺の顔を見た。違うんだな。やってやるんだよ。

 「セックスしようか。」

 「うんっ!!!」

ほんとに嬉しそうな顔で俺に笑いかける。後悔はしないだろうか・・・・俺も、美咲も。
もう一度考えたが、俺はすでに思考能力はほとんどなし。一応、美咲に最後の確認をとら
なければならないと思った。

 「美咲、俺と初めてのセックスをして、後悔はしないな?」

もしかしたら、心の奥で、断ってくれることを願っていたのかもしれない。が・・・

 「うん。ボク、お兄ちゃんとセックスしたい。」

もう俺と美咲の間に遮るモノはない。

 「痛いだろうけど、我慢できるか?」

 「う・・・うん・・がまんする・・・・」

 「よし、わかった・・・」

一大決心をして、処女には女性上位の方が負担が少なくて痛みも少ないという話を聞いた
のを思い出した。俺はベットに座り、座位で挿入することにした。

 「美咲、ここにおいで」

ベットに腰掛けた膝の上に、向かい合いに美咲を座らせた。こうすると体重の少なさがは
っきりと感じられる。あとで聞いたら、体重は23キロ・・・俺の1/3強といったとこ
ろだ。

 「お兄ちゃん・・・」

 「ん?怖いか?」

 「ん・・うん・・ちょっと・・ね。」

 「大丈夫だ。優しくしてやるからな。」

 「うん・・」

位置を確認し、美咲の唾液で濡れてピクピクしているチ○ポの先に幼すぎるであろうま○
こをあてがう。美咲が少しでも痛みを感じないよう、ゆっくりとその体をおろしていく。

 「入るぞ・・」

 「ん・・・」

暖かく柔らかい感触を味わいながら、これ以上ないくらい遅い速度で挿入を始めた。

が、しかし・・・入らない・・・・確かにそこに穴はある。でも俺のチ○ポの直径と比べ、
全くサイズが合っていないのだ。(あたりまえだ) 言ってみれば500mlペットボト
ルの口に、チ○ポを差し込もうとしているようなもの・・・無理に決まってる。無理か・・
美咲はまだ痛がっていない。膣口の入り口で止まっているからだ。ヘタに無理矢理入れた
りすれば、処女膜どころか膣そのものが裂けてしまうかもしれない。子供の産めない体に
なったら・・・俺は責任をとることが出来ない。

『やはり止めよう・・・』

そう思ったとき

 「お兄ちゃん・・入れるよ・・・」

なんとなく涙声でそうしゃべった。そして次の瞬間・・・

 「ひ、うぁ・あ・・ひい・ひあああああぁぁぁぁぁぁ」

美咲は、声ではない、叫び声のような奇声を発した。自分で腰を落とし、一気に根本まで
挿入したのだ。俺は凄まじい締め付けを感じながらも、その快感より今の状況を判断する
ことが出来なかった。

『え・・?俺、止めようと・・・・?』

それとほぼ同時に、美咲は気を失ってしまった。小さな体に不釣り合いなモノを飲み込ん
だまま、俺にもたれかかり意識を失っている。一瞬放心状態になったが、すぐにチ○ポを
抜き、美咲をベットに寝かせる。すでに萎えてしまった俺のチ○ポと美咲のま○こにはべ
ったりと鮮血が・・・

 「おい!美咲?」

返事はない。

 「おい?美咲!みさき!みさきぃーーーー!!」

死んだかと思い(その時は混乱していたから・・)頬を軽く叩きながら呼び続けていたが、
呼吸していることに気づき、ちょっとだけほっとしながらも、救急車を呼ぼうかと考えて
いた。しかし・・・これは犯罪だ・・13歳未満の少女との性交は有無を言わさず強姦罪
になるとどこかで聞いた。まずい・・まずすぎる・・・・・・・などと自分勝手なことを
10分くらい悩み、同時に美咲の頬を叩き続けた。

 「は・・ふん・・?」

ちょっと寝ぼけたような声を出して美咲が目を覚ました。

 「みさき?おい、だいじょうぶか!?」

どうなることかと思ったが、よかった・・

 「美咲?大丈夫か?」

まだぼーっとしている美咲はさっきまでしていたことを思い出したように

 「いったぁああああああああああああああああああああああい」

隣近所に聞こえるほどの声を一度あげてから、顔をくしゃくしゃにして泣き始めた。俺に
出来ることは・・・・?全く分からない。どうしていいのか、なにをすればいいのか・・・

 「いたい・・いたいよぉ・・・・い・・・いたい・・・・」

とにかく泣き続けた。30分くらい泣き続けたかもしれない・・・

 「美咲・・・ほら、血拭いてやるからさ・・・」

まだぐずっている。うわごとのように「痛い・・痛い・・」と繰り返しながら・・・
しかしどうしようもない。俺はおしめを変えるような格好で、美咲の血にまみれたそこを
ウエットティッシュを使って拭いてやる。
拭き終わってから俺のTシャツを着せ、俺もトランクスとTシャツを着た。パンティは、
はかせない方がいいと思った。
そのまま美咲が泣きやむまで、ずっと膝の上にのせて優しく頭を撫でてやった。

どのくらい時間が経ったのか、美咲はそのまま寝てしまった。が、俺は寝る気にはなれず
ずっと寝ている美咲の頭を撫でていた。朝まで。



 「ん・・・お兄ちゃん・・・」

気づくとやはり寝てしまっていたようで、時計は昼の12時を指していた。美咲も泣き疲
れて今まで寝ていたようだ。俺の腕枕で腫れた目をしたまま俺を見ている。

 「美咲・・・・」

なんと声をかけていいのか分からず、細い体を抱きしめて、妹の名を呼ぶことしか出来な
い。

 「ごめんね。お兄ちゃん」

なにが?なにがゴメンねなんだ?

 「お兄ちゃんの言ったとおりだったね。まだ無理だって。」

あぁ、そうか・・今になって昨日の成り行きを思い出した。混乱して忘れていたようだ。

 「あはは・・ボク、まだ子供・・・だね。」

なんとなく感傷的な雰囲気になってしまってきた。まずい。美咲がこのままふさぎ込んで
しまってはいけない。そう思っていつもの自分を演じることにした。

 「だから言っただろ。お前はいつまでもガキなんだよ。」

まぁ、ホントだからな。

 「うぅ・・・」

言い返せない、いつものふくれた顔で俺を見る美咲。

 「やーいやーい!ガキンチョ!」

二人ともまだ横になったまま、俺の体の上にうつぶせになって俺の顔を見ている美咲の柔
らかいほっぺたをプニプニとつついてやった。

 「ボク、ガキじゃないもん!」

俺の上で急に正座をするような格好になるので、みぞおち炸裂。不意をつかれた。苦しも
うと思ったんだが、美咲が・・

 「イタッ・・・」

 「うぐっ・・・・ど、どうした?」

 「ん・・まだ・・・あそこが痛いの。。」

あたりまえだよな。あれだけの出血と気を失うほどの痛み。一日や二日で消えるわけない。

 「大丈夫・・・なのか?」

 「うん・・・なんとか・・・ね。」

 「歩けそうか?」

 「ん~・・・・ダメかも。」

 「ま、マジで?どうしよう・・・・」

 「ボク、シャワー浴びたいな。」

 「そ、そうか、じゃあ連れていってやるよ。」

あわててひざと首の下に腕を通して抱き上げ、風呂場に連れていってやる。シャワーを美
咲の好きな低めの温度に下げて、熱くないのを確認してから脱衣所に戻ると、洗濯機の上
に浅く座らせた美咲はなんとなく楽しげに

 「Tシャツ脱がせて。」

 「あ、あぁ・・」

言われるがままにTシャツを脱がせるが、そのまま俺の顔をじっと見つめている。

 「風呂、入らないのか?」

 「だって歩けないんだもん・・・」

 「あ、そうか。悪い。」

もう一度抱きかかえて浴室に。

 「一人で大丈夫だよな?」

 「ダメかも・・」

 「俺、どうすればいい?」

 「シャワーかけて。」

 「おう。」

 「身体洗って。」

 「お、おう」

美咲専用の柔らかいタオルを使って洗ってやる。が、

 「ここも・・・」

もちろん「あそこ」のこと・・ね。

 「痛いだろ・・自分で・・」

 「洗って!」

 「はい・・・」

 「優しく・・・ね?」

 「も、もちろん・・」

昨日拭いてあったものの、多少血の固まりがついていた。指で優しく、優しく、とことん
優しく、シャワーは直接当てずに桶に貯めたぬるま湯を手でかけながらきれいに洗ってや
った。

 「痛くないか?」

 「ん・・・痛い。。」

 「ご、ごめん・・止めようか?」

 「大丈夫。続けて。」

 「あぁ・・・」

しかし悲しきかな俺の男。・・・・・・・・立っちゃった。

 「お兄ちゃん・・・おっきくなってる・・・」

 「あ!?いや、こ、こ、これは・・・・」

 「エッチ。」

 「わ、わりぃ・・」

 「いいよ。」

そのまま洗い続けるが、さすがに中までは指を入れて洗うことは出来ない。傷ついている
だろうからなおさらだ。ともかく美咲が痛がらない範囲を指の腹で優しく洗ってやった。
その間も

 「痛くないか? 大丈夫か? いたかったら言えよ?」

などと、気を使いながら長い時間をかけて洗ってあげた。ボディソープを綺麗に流したあ
と、やはり抱いて外に連れ出しよく拭いてやる。柔らかい洗い髪からいい匂いがする。

 「これからどうしたい?」

美咲は歩けない状態なので、希望を聞く。

 「んっと・・・お腹空いた。」

 「おう。わかった。」

居間に連れていき、座らせると、美咲の大好物のプリンを2つ(俺の分も)持ってきた。

 「俺のも食べろ。」

 「え?いいの?」

 「あぁ。」

あっという間にたいらげてしまう。そして次の希望を。

 「ボクね・・○○公園行きたいナ・・・」

 「でも・・・歩けないだろーが?」

 「んふふ。。だっこ♪」

 「だっこして外歩くのかぁ?」

ちょっとイヤな顔をしてみせると、わざとらしい泣き顔を作って・・

 「イヤなんだ・・・・・」

 「あ、いや、そうだな。天気もいいしな。」

 「うん!」

仕方ない・・・その公園は車で10分ほどの場所。人の少ない公園だから、誰かに見られ
ることもないだろう。
服を着せなければ行けないが、今の状態じゃパンティもはけないしズボンをはくこともで
きない。必然的にノーパン&スカート決定。やばいけどなぁ・・・とりあえず膝丈のワン
ピースを着せて、リクエスト通り公園へ向かう。

 公園に着くと、予想通り人はほとんどいなかった。さらに、全く人気のない芝生のある
場所に連れていって用意してきたクッションに座らせた。痛くないようにもぞもぞと体を
動かしながら、時々「イタッ」と声をあげて痛みのない体勢を探しているようだった。

 「お兄ちゃん。ボクアイス食べたい。」

 「おう!買って来るぜ!」

ほとんど奴隷。

 「はぁ・・はぁ・・ぜぃ・・ぜぃ・・・ほらよ。」

 「ありがと。」

 「おいしいか?」

 「うん!おいしーよ!」

 「よかったな。」

 「うん・・・・」

 「・・・・」

いい天気だ。空を見上げて二人ともぼーっとしていた。無言のままだった。

 「なぁ?美咲・・・後悔してないか?」

ふと思ったことをなんとなく口にした。

 「・・・・」

 「そっか。悪かったな。」

 「・・・・」

 「俺、にいちゃんなのにな。」

 「・・・・」

 「お前のこと考えずに。」

 「・・・・」

なんだよ・・この空気。

 「おにいちゃん。」

 「な、なんだ?」

 「帰る。」

 「あ・・・あぁ・・・・」

わけわかんねーな。こいつは。

 「だっこ。」

 「おう。」

そのあと美咲の言うがままにドライブをして、(帰るって言ったくせに・・)

家についたのは結局夜。家に戻っても美咲のわがまま放題は続く。

 「牛乳。」

 「おう。」

 「じゅーす。」

 「おう。」

 「おかし。」

 「おう。」

 「テレビのリモコン。」

 「おう。」

 「ピカチュウのぬいぐるみ。」

 「おう。」

 「・・・・・」

そろそろ終わりか・・・?

 「もういいのか?」

 「・・・・」

 「いいのかなぁ~~?・・・みさきちゃ~~ん?」

 「キスして。」

 「は?」

 「き・す・し・て・・」

 「はいぃ?」

 「きぃ~すぅ~~しぃ~~~てぇ~~~~!!!!」

 「な、なにを??」

いつものぷぅっとふくれた顔で俺をにらむ。

 「わ、わかったよ・・・」

ちょっぴりとがった唇に軽く口づけする。

 「ちがうっ!」

 「な、なに?」

 「大人のキスして!」

なんなんだ??いったい?????

 「おとなのきすして!!」

訳も分からないまま言われるがままに・・・

 「こ、これでいいのか?」

満足げに顔を赤くして微笑むと、

 「ボク、ううん・・・・わたしが大人になったら・・・・・今度こそ・・・・最後まで
  セックス・・・しようね♪」   

とことん明るい、いつもの美咲に戻った気がした。

 「あ、あぁ・・・」

 「あはははっ。。お兄ちゃん!だ~~い好き!」

まったく・・・わけのわからない妹だ。

だが・・・・

やっぱり俺もこんな美咲のことが大好き・・・・・・・らしい。・・・です。

小説(転載) 危ない画像

近親相姦小説
07 /03 2018
掲載サイトは消滅。
危ない画像

 雅彦が父の遺品を整理していた。本や書類の殆どは既に母親が始末している。残っ
たのはパソコンやオーディオ関係で、特にパソコンは母親の手に負えなかったのであ
る。
 雅彦はまずメールから処理することにした。未読メールの殆どがいかがわしいDM
や得体の知れないウィルス付きと疑われるようなものだった。長く使っているアカウ
ント程この手のメールが勝手に送り付けられて来るものである。雅彦はそう言った数
十通のメールを一括でゴミ箱に捨てた。
 残ったメールの殆どが仕事関係だった。一通り目を通して全てに同じ文面で父の死
を伝える返信を送った。最後に「KK」と言う訳の分からないフォルダが残った。こ
こにも新しいメールが十通以上届いていた。
 雅彦が一番新しいメールを開くと父親の安否を気遣う内容が書かれていた。文面か
ら察するところ、父親とはかなり親しい間柄らしい。差出人は女である。未読メール
を次々に開いて行くと、そこには驚くべきことが書かれていた。

 「愛する賢治へ、
昨日は楽しかったわ。本当に久し振りに逢えて良かっ
  た。戻ったら腰がちょっぴりしんどかったわ(笑)
賢治は相変わらずタフねえ。
貴男の歳で抜か六なんて、そうざらにはいないわよ。
お陰でお○○こがはばったいわ(苦笑)
これで、また当分逢えなくても大丈夫(嘘々)
次の出張はいつ?どこ?
外国出張なんかあればいいのにね。
勿論、付いて行くわよ。
じゃ、また来週。いつものところで。    圭子」

 読み終わった雅彦が苦笑した。あの父親が不倫とは意外だった。そんな素振りなど
毛程も見せなかったからである。そう言えば、毎週金曜日は父親の帰りが遅かった。
恐らくそれがデートの日だったのだろう。もう何年も続いて来た習慣なので特別気に
も留めなかったのである。
 今日は金曜だから、もし、あの事故が無ければ今頃このメールの女とホテルにしけ
込んでいたに違いない。過去のメールは数百通以上ありそうなので、その全てを一度
に読むのは不可能だった。雅彦が一番古いメールを開いた。五年以上前の日付である。
その文面も既に不倫がかなり続いていることを窺わせる内容だった。つまり、雅彦の
父親は随分昔からその相手と不倫していたことになる。暫く考えてから、雅彦がこれ
までの紋切り型とは別の文面を書き始めた。

  「圭子さん、はじめまして、菅沼賢治の息子、雅彦です。
   父が随分お世話になったようで、感謝しております。
   (皮肉ではありません、念のため)
   ところで、言いにくいことですが、父、賢治は今週の月
   曜日、高速道路の事故でこの世を去りました。飲酒運転
   のトラックに追突され、車が炎上してしまったのです。
   ニュースでも大きく報道されましたがご覧にならなかっ
   たみたいですね。
   僕は今、父のメールを確認して、必要な方々に父の死を
   お知らせしています。葬儀も滞りなく済み、一周忌に納
   骨の予定です。お寺は豪徳寺、井伊直弼の墓があるとこ
   ろです。納骨当日は無理だと思いますが、お時間の許す
   時にでも参ってやって下さい。父も喜ぶと思います。
   失礼とは思いましたが、玲子さんと父のやり取りは大体
   読ませて頂きました。悪しからず。
   ちなみに、このメールアカウントは当分僕が代行して管
   理します。もし何かご質問がありましたら出来る範囲で
   お答えしますので、ご遠慮無く仰って下さい。
   では、失礼致します。             雅彦」

 一通りメールチェックが終わったところに母親の麻美が顔を出した。雅彦が慌てて
メールを閉じた。父親が逝ってしまった今、母親に嫌な思いをさせる必要は無いので
ある。
 「ねえ、お茶にしない。」
 「うん。降りてく。」
 「そのパソコン、雅彦が使うんでしょ。」
 「うん。」
 「だったら、あんたが使ってるノート、私にくれない。」
 「どうするの。ママ、パソコン使えないじゃない。」
 「そうだけど、ちょっと勉強してみようと思ってさ。」
 「ああ、それならパパのノートで十分だよ。後で探してママが使えるようにして上
げる。」
 「何でもいいわ。お願いね。」
 母親が出て行ったので雅彦がパソコンを終了させた。まだデータの確認が残ってい
る。チラッと見ただけでもかなりの画像と動画ファイルがあったので、その確認にも
時間が掛かりそうだった。父親はパソコンには惜しみなく小遣いを使っていたらしく、
この機械には殆ど全ての機能が装備されている。メモリーもハードディスク容量も全
て十分すぎる位だった。中でも音楽とデジタルビデオの環境は抜群だった。DVDだ
ってパソコンの大画面で見た方が遥かにきれいである。音も昔から愛用してきた山水
の高級コンポからサラウンドで流れて来るので下手なホームシアターよりも臨場感が
あった。
 雅彦は母親が思ったより落ち込んでいないのが驚きでもあり、救いでもあった。こ
れからは母親と二人暮らしになる。いつまでもメソメソされては自分も滅入ってしま
うからである。もっとも、父親は少なくとも五年以上不倫を続けていたのだから、夫
婦と言ってもそれ程の強い結びつきはとっくの昔に無くなっていたのかも知れない。
リビングに降りて行くと麻美がお気に入りのカモミルティーとシュークリームを用意
して待っていた。
 「ねえ、もうすぐ春休みでしょ。落ち着いたら、どっか、旅行に行かない。」
 麻美がシュークリームを頬張りながら言った。雅彦の高校は来週の金曜日が終業式
である。
 「いいよ。少しは気晴らしもしなくちゃね。どこ行く。」
 「そうねえ、スキーって気分じゃないから、温泉かな。」
 「温泉じゃすること無くて退屈しそう。山奥だとインターネットも出来ないし。」
 「じゃ、海辺の温泉にしようか。それなら大丈夫でしょ。」
 「うん、ならいいかも。美味しい魚も食べられるしね。どこか探しておいて。」
 「そうするわ。三泊くらいしてもいいでしょ。」
 「いいよ。ついでにパソコン、教えて上げようか。」
 「あ、それがいい。だったら昼間も退屈しないわね。」
 雅彦は麻美が一生懸命に明るく振る舞っているのを見て目頭が熱くなった。母親と
言ってもまだ三十半ば。父親が生きている間は何となく頼り無いと思っていた雅彦で
ある。
 「じゃあ、もう少しパソコンの整理しちゃうね。」
 「もう行っちゃうの。」
 麻美が寂しそうな顔をした。
 「オッケー、もう一杯お茶付き合うよ。どうせなら、温泉の本とか無いの。二人で
選べばいいじゃない。」
 「うん、探してくる。」
 途端に麻美の顔が明るくなった。父親の本は麻美が片付けたので、その中から探す
つもりなのだろう。
 「今晩、一緒に寝て上げようか。」
 雅彦がからかい半分に言った。リビングから出掛かっていた麻美が振り返って赤ん
べえをした。
 「だーめ。そんなことしたら襲っちゃうぞ。」
 「あ、言えてる。」
 「こら。」
 麻美が吹き出した。つられて雅彦も笑い出す。
 「ったく、飛んでもない息子だわ。」
 「どっちが。」
 「兎に角、温泉のガイドブック探して来るわね。お茶飲みながら待ってて。」
 雅彦は友人や知り合いから、お前の母親は美人だと言われる。当の雅彦本人は毎日
見慣れた顔なので特別感じたことはなかった。ただ、自分の母親が普通だと言う感覚
はしっかり身に付いているようで、彼女にしたいと思う相手は学校でも飛び切りの可
愛い子ばかりだった。そのせいか、まだ恋人と言える段階まで付き合いが進展した相
手は一人もいなかった。
 「ねえ、こんなのがあったわ。」
 麻美が持って来たのは露天風呂ばかりを集めたガイドブックだった。
 「ふうん、パパにもそんな趣味があったんだ。でも、一度も連れてってくれなかっ
たね。」
 「そう言えばそうね。彼女でもこっそり連れて行ったのかな。」
 雅彦が一瞬ヒヤリとした。あのメールの圭子となら有り得る話しである。
 「ねえ、ここに折り痕が付いてるわ。パパ、行ったのかしらね。」
 それは十和田湖に近い青荷という温泉である。今でもランプの宿らしい。現在は冬
場も雪上車が入るので営業しているが、かつては十二月から四月までは閉じてしまう
文字通りの秘湯だった。宿の周りはイワナ釣りのメッカである。
 「かもね。でも、そこだと山ん中でしょう。まだ雪が凄いんじゃない。」
 「うん。それに青森じゃ遠いしね。じゃあ、こっちならどうかな。」
 麻美が示したのは伊豆の温泉だった。海岸に面しており、露天風呂や岩風呂もある
らしい。
 「いいんじゃない、そこで。伊豆ならそう遠くないし。」
 「明日にでも予約入れてみるわ。金曜の晩からでいい。」
 「どうせ休みなんだから平日に行こうよ。わざわざ土日の混んでる時に行かなくて
もいいんじゃない。その方が料金も安いし。」
 「それもそうね。じゃあ、日曜の晩からにしよう。」
 結局ああだこうだと麻美に付き合った雅彦はそろそろ眠くなって来た。時計を見る
と既に十二時を回っていた。
 「じゃあ、僕、お風呂入って寝るね。」
 「うん。久し振りの旅行、楽しみだわ。」
 雅彦が風呂から上がってくると麻美は既に寝室に行ったらしい。残っていたカモミ
ルディを飲み干して雅彦も寝ることにした。麻美の部屋を通り過ぎるとドアが開いて
おり、中から麻美が声を掛けて来た。
 「ねえ、添い寝してくれるんじゃないの。」
 「え、いいよ、そうしても。」
 「冗談よ、冗談。今度温泉に行ったらそうして貰うかも。」
 「はいはい。いつでもどうぞ。」
 雅彦が苦笑しながら麻美の部屋のドアを閉め、自分の部屋に入った。布団に入って
ウトウトした頃、ドアが微かにノックされた。
 「え、ママ。」
 雅彦が寝惚け声で聞いた。
 「うん。一緒に寝てもいい。」
 「いいよ。でも、こっちはベッドが狭いよ。」
 「いいの。何か寂しくて。」
 布団に潜り込んで来た麻美の肩を雅彦が抱くと、胸に顔を埋めて来た。
 「ごめんね。でも、一人じゃ心細いの。」
 麻美が雅彦の腰に手を回した。麻美の小さな身体を雅彦がしっかり抱き寄せる。母
親の身体はドキッとするくらい柔らかかった。変な気分にならないよう必死に気を逸
らせながら、雅彦が麻美の頭をそっと撫でた。
 翌朝、目覚めた雅彦がドキッとした。腕の中で母親がスヤスヤ寝息を立てていたか
らである。すぐに昨日のことを思い出した。覗き込んだ麻美の寝顔にはあどけなさす
ら漂っている。改めて間近に見る母親は信じられない位可愛い顔をしていた。
 「うーん。」
 麻美が寝惚けて雅彦に抱き付いて来た。半ば覆い被さった麻美の腿が雅彦の腹の上
に乗っている。朝の変化が起きかけているパンツの膨らみが麻美の腿に擦られて固く
なってしまった。弱ったな、と苦笑しながら雅彦が麻美の肩を抱き寄せる。この調子
で毎晩一緒に寝られると困った状態になりそうだった。
 「お早う。」
 いつの間にか麻美が目を開けていた。
 「あ、ママ、目が覚めた。」
 「うん。久し振りによく眠れたわ。こんなにグッスリ寝たの、初めてよ。暫く添い
寝してくれる。」
 「う、うん。構わないけど。」
 麻美が腰を少し動かした。その拍子に雅彦の前がピクンと跳ねてしまった。麻美は
チラッと雅彦の顔を見ただけで何も言わなかった。いつもの調子で冗談を言ってくれ
た方が助かるのだが、今日に限って麻美は何も言わない。何となく居心地が悪い雅彦
が身体をずらそうとした。麻美が追い掛けるように抱き付いて来た。
 「駄目、もう少しこうしてて。」
 困ったような顔をして雅彦がチラッと時計を見た。まだ起きるには三十分くらい間
があった。

 その日、午後遅くに雅彦が土曜日の部活から戻ると麻美は外出していた。ホッとし
た雅彦が父親の書斎に入り、パソコンのスイッチを入れた。麻美がいない方が何かと
都合が良いのである。真っ先に雅彦がメールをチェックする。「KK」のフォルダに
も新しいメールが一通届いていた。

「雅彦さん、メールありがとう。全然返事が来ないん
   で心配してたんです。
 でも、メール読んだんだから分かってるでしょうけ
   ど、私の方から電話なんか出来ないので困ってまし
   た。
 そうですか、賢治さん、亡くなってたんですね。知
   りませんでした。
 ごめんなさいね。私はあなたのパパと、ずっといけ
   ないことしてました。賢治さんが亡くなる二日前に
   もホテルで一緒だったんです。だから、あんなメー
   ル出しました。まさか、賢治さん以外の人に、まし
   て賢治さんの息子さんに読まれたなんて、恥ずかし
   くて顔が真っ赤になってます。目も涙で真っ赤です
   けど。
 一つだけお願いがあります。私のことはママに言わ
   ないで下さい。今更知ったところで、ママは悲しむ
   だけだし、隠しておいても、別に、もう何も無いこ
   とですから。と言うか、もうママはとっくにご存じ
   かも知れませんけど、今更表沙汰にしても仕方ない
   ことですし。
 もう一つ、ちょっと困ったことがあります。賢治さ
   ん、私の写真とかビデオ持ってる筈なんです。見ら
   れたら困るような、とっても恥ずかしいものなんで
   す。見ないでってお願いしたいけど、無理かしら?
   無理よね。でも、それだけは絶対にママに見せない
   で。一生のお願いです。
 もう少し時間が経ったら、雅彦さんにも会ってみた
   いと思っています。雅彦さんは幾つですか?中学
   生?それとも高校生かしら?文章が上手だから、き
   っと高校生ね。
 無理にとは言いません。もし会って貰えるなら、そ
   の時に連絡先を教えます。
 教えて下さって、とても感謝してます。   圭子」

 読み終えた雅彦がちょっとドキドキした。写真やビデオ、それも恥ずかしいものだ
とすると余計見たくなる。父親も雅彦が使っているのと同じ画像管理ソフトを使って
いた。そのプログラムを開くとサムネイルと呼ばれる小さな画像の見出しが次々と画
面に並んで行った。そのどれもがヌード写真だった。フォルダの名前は「KK」にな
っている。どうやら圭子さんの写真を集めたものらしい。この手のソフトでは最後に
見たフォルダが自動的に表示される。雅彦の父親はデートの余韻をこれらの写真で楽
しんでいたのだろう。
 最初の写真は正面から全身を写したものである。素早くその見出し画像をダブルク
リックすると画面一杯に大写しになった。父親の使っていたディスプレイは二十一イ
ンチなので凄い迫力である。その大画面の中で裸の女がこちらを向いて微笑んでいた。
 雅彦が唸った。やはり親子と言うべきか、顔立ちもスタイルも雅彦好みだった。優
しそうな大きな目が印象的で、歳は二十代後半くらいに見える。胸は大きい方ではな
いが、形がよく、乳首が小さかった。下に目をやると殆ど翳りが無く、僅かに切れ込
みが見えていた。
 雅彦が一旦全身の写真を閉じ、改めて見出しを見ていった。写真の枚数は数百枚に
及んでいる。父親の使っていたデジカメはプロ仕様の一眼レフなのでどの写真も鮮明
に写っていた。雅彦がもう一度全身の写真を開き、スライドショーのボタンを押した。
これは一定間隔で次々に写真を表示させる機能である。色々な角度から写された写真
が段々アップになり、徐々に女の部分が拡大して行く。脚を大きく開いたもの、四つ
ん這いになったところを真後ろから撮ったもの等、どれもその部分が中心になってい
た。
 やや厚ぼったい襞は周りよりも赤みが強い。襞の最上部は頭巾のような形で、その
中からピンク色の、全体のバランスから見たらやや大きめの粒が顔を覗かせている。
中には指先で襞を広げたアップ写真も含まれていた。への字に結んだ入り口。物欲し
そうにポッカリと穴が開いて奥の様子が見えているもの等、インターネットでこの手
の写真は見慣れた雅彦だが、出回っている無修正画像の殆どが外人で、日本人のその
部分がここまで鮮明に六百万画素の高解像度で写されたものは見たことが無い。産毛
の一本一本までがリアルで、湧き出た透明な滴が光っていた。
 雅彦は更にサブフォルダと呼ばれる小引き出しを開いた。フォルダの名前は「PI
PI」になっている。出てきたのは全てアップばかり。開いた襞の間から雫が垂れて
いたり、中には勢いよく放物線を描いて前に飛ばしているものさえあった。雅彦はP
IPIがフランス語でおしっこを表す幼児語だと気付いた。英語ならPEEである。
父親にこんな趣味があったのが意外でもあり、思わずニヤッとしてしまった。まさか
息子が自分のコレクションをこうして覗くなど夢にも思ってなかったに違いない。
 一通り圭子とおぼしき写真を見終わった雅彦が別のフォルダに移った。他の写真の
殆どがインターネット、それもニュースグループと呼ばれるところから集めたものら
しい。やはりアップ写真と放尿シーンが数多く収められていた。それでも、父親のコ
レクションには男女の絡みは全く見当たらなかった。指を入れている写真はあったが、
バイブなどをくわえ込んだものも見当たらない。その辺りに父親の趣味を見た思いが
した。
 雅彦が全く別の場所に「AI」と言うフォルダを見付けた。AIは愛だろうか。何
気なく開いたそのフォルダにもヌード写真やアップ画像が満載だった。こちらはかな
り毛深く、襞の色が黒ずんでいる。広げた襞の中は濃いサーモンピンクだった。これ
らの写真は色調と解像度が他とは違っていた。どうやらイメージスキャナで取り込ん
だものらしい。元は発色の悪いポラロイド写真のようである。もしかしたらデジカメ
が出来る以前に撮られた写真かも知れない。
 このフォルダの写真を見て行くと何となく見覚えのある顔立ちばかりだった。雅彦
が上半身を正面から写した写真を開いてハッとした。それは母親の若い頃の写真だっ
た。母親の旧姓は五十嵐である。「AI」は五十嵐麻美のイニシアルで、これらの写
真は結婚前に父親が撮ったものに間違い無さそうだった。
 麻美は今でも童顔で愛らしい顔立ちをしている。その母親が真っ黒な毛に囲まれた
生々しい女の姿をしていると知って雅彦が思わず生唾を飲み込んだ。圭子のきれいな
その部分にも魅力を感じたが、母親の、どちらかと言えば女を強く意識させる姿も雅
彦には魅力的に思えた。最後の方に麻美が大きな粒を露出させている写真が出てきた。
それは親指の第一関節位ありそうで、直角に襞の中から飛び出していた。
 雅彦がハッとした。今朝、布団の中でパジャマのボタンだと思ったあの突起。実は
麻美の身体の一部に他ならなかったのである。しかも、大きく固くなっていたと言う
ことは、雅彦だけでなく麻美も負けず劣らず興奮していたことを意味している。まだ
未経験の雅彦でもその位の知識は持ち合わせていた。
 そこまで考えた雅彦がもう一度ドキッとした。こんな写真、見なければ良かったと
後悔した。麻美は今晩も一緒に寝る積もりだろう。その生々しいものが自分の腿や、
場合によったら一番敏感なところに押し付けられるのである。冷静でいられるかどう
か、雅彦は全く自信が持てなかった。
 改めて見る麻美の若い頃はとても魅力的だった。特に悩ましげな視線を送ってくる
その目が雅彦の心を乱した。若き日の母親に恋してしまった自分に雅彦は動揺しなが
らも次々と写真を開いて行った。女の部分の大写しは沢山あったが、流石に放尿シー
ンは一つもなかった。安心したような、ガッカリしたような、複雑な気分で雅彦がも
う一度最初からスライドショーを実行して母親の姿を目に焼き付けて行った。何度見
ても麻美の若い姿は魅力的だった。
 「ただいま。雅彦、帰ってるんでしょ。」
 麻美の声に雅彦が慌てて写真を消した。ドアが開くのと画面から麻美の姿が消える
のが殆ど同時だった。
 「何か面白いの、見付かった。」
 雅彦の慌て振りを見て麻美が意味ありげな視線を送ってきた。
 「え、うん。ちょっとね。」
 「もしかして、エッチな写真でもあったんじゃないの。良かったら後で見せてね。」
 「え、まあね。」
 「ちょっと挨拶回りに行ってきたの。お土産に鶴瀬の豆餅と大福買ってきたから、
食べない。」
 「食べる、食べる。あそこの豆餅、美味しいんだよね。」
 鶴瀬は湯島に古くからある和菓子の老舗で、ここの豆餅にはえんどう豆がビッシリ
入っている。雅彦の大好物だった。
 「大福もよ。さ、降りてらっしゃい。」
 雅彦の脳裏にまだ麻美の生々しい姿が焼き付いていた。短めのスカートの中に、あ
の毛むくじゃならなものが包まれていると思うと、固くなってくるパンツの中を抑え
るのが大変だった。麻美はついでに買い物もしてきたらしい。紙袋からお揃いのカッ
ターシャツを出して並べて見せた。
 「ねえ、今度の旅行、これ着て行こうね。」
 「え、ママとペアルックで行くの。」
 「大丈夫よ。上に着るのはそれぞれ違うんだから。あ、これも。これなら外から見
ても分からないでしょ。」
 麻美が紙袋の底から小さな包みを取り出した。ペアルックの下着だった。どちらも
かなり際どいビキニである。
 「どうかしてるよ、ママ。それって、恋人同士が履くもんだよ。」
 「うん。そうよ。今度の旅行はその積もりで行くの。」
 「困ったママ。」
 雅彦はその下着を見せ合っている二人の姿を想像して思わず顔を赤くした。こんな
小さな下着では麻美の濃い茂みがはみ出してしまうだろう。
 「やだ、顔が赤くなってるわ。」
 麻美がそう言って雅彦をからかった。
 その晩も麻美は雅彦のベッドに潜り込んできた。今日は最初から腰を擦り付けて来
るので、どうしても前が強張ってしまう。麻美の方もそれは同じらしく、二人の固く
なったものが触れ合った。それ以上の気配は見せなかったが、麻美は時々固くなった
突起を雅彦に擦り付けた。その度に我慢が限界に来た雅彦がヒクついてしまう。それ
を感じた麻美が更に強く抱き付いて来る。やがて麻美が静かな寝息を立て始めたが、
雅彦は暫く寝付けず、悶々とした時間を過ごすハメになってしまった。

 翌日、雅彦はもう一度圭子にメールを送った。

 「圭子さん、今日は。雅彦です。
ごめんなさい、写真見ました。凄い美人でビックリし
  ました。
写真、消さないで持っててもいいでしょう?ママは勿
  論他の人にも絶対に見せません。約束します。
インターネットのヌード写真ってわざとらしいのが多
  いけど、圭子さんのは全然そんな感じがしないのでき
  れいだと思います。
この写真、全部パパが撮ったんですね?僕も早くそう
  言うことが出来る相手に巡り会いたいと思います。圭
  子さんにも一度会ってみたいけど、今すぐは無理です
  よね?当分は写真で我慢します。でも、おかずになん
  かしませんから安心して下さい(笑)。約束します。
時々メールしてもいいですか?落ち着いたら、またパ
  パのことを話しましょう。 雅彦」

 その後、圭子から返事が来ることは無かった。怒らせたかなと心配したが、また続
けてメールしても余計に気を悪くするかも知れないので返事が来るまで待つことにし
た。麻美と抱き合って寝る落ち着かない日が続き、終業式も終わり、ようやく春休み
になった。
 「いよいよ明日ね。楽しみだわ。」
 麻美は旅行の準備に余念がない。雅彦にと買ってきたブレザーやズボン、靴まで全
て新調してしまった。それらを身に付けた雅彦は歳よりも上、ちょっと見には大学生
でも通用しそうだった。反対に麻美はラフなジーンズと派手なジャンパーを買ってき
た。束ねていた髪を解くと実際の歳よりも十くらい若返って見えた。
 「ね、これなら恋人同士でも立派に通用するでしょ。」
 はしゃいでいる麻美が雅彦には眩しかった。こんなにハイになった母親を見たこと
がない。何か言ってまた落ち込まれてもまずいので雅彦は何も言わなかった。その晩
の麻美はこれまでに増して腰を激しく擦り付けてきた。
 出発前に雅彦がメールをチェックしたが圭子からの返事は届いてなかった。少し気
になったが、今はどうすることも出来ない。二人分のノートパソコンを用意し、自分
の方にはこっそりと母親の写真も入れてしまった。約束通り圭子の写真をおかずにす
ることはなかったが、実は母親の写真がその役目を果たしているのである。
 東京駅から直通の特急に乗った二人はまるで修学旅行のようにはしゃいでいた。傍
目には仲の良い姉弟か、ちょっと歳の離れた恋人同士にしか見えないだろう。事ある
ごとに身体をすり寄せる麻美に雅彦はずっと緊張しっぱなしだった。列車がトンネル
に入った瞬間、ほんの僅かの間電気が点くのが遅れた。その暗闇の中で麻美がいきな
り雅彦にキスをした。それはほっぺたにする親子のものではなく、唇と唇が触れ合う、
恋人同士のキスだった。電気が点く前に麻美は素早く離れたが、雅彦の心臓が早鐘の
ように高鳴っていた。
 「ね、来て良かったでしょ。」
 麻美が笑いながらそう言って雅彦の肩に頭を載せてきた。髪の甘い匂いが雅彦の身
体を熱くした。
 駅から宿まではタクシーで十分程だった。車に揺られながら、麻美はその間ずっと
雅彦の手を握りしめていた。手の平が汗ばんできても麻美は決して離そうとしなかっ
た。
 宿は古びた木造で、入れ違いに帰る客で玄関がごった返している。部屋に落ち着い
たところで雅彦が様子を見に行ったが、お目当ての露天風呂は結構混んでいた。
 「まだ大勢入ってるよ。女湯の方は分からないけど。」
 部屋に戻った雅彦が報告した。麻美が予約しておいた部屋は内風呂付きだった。
 「露天風呂は夜のお楽しみに取っておくか。」
 そう言って立ち上がった麻美がスルスルと服を脱ぎ始めた。
 「折角二人で来たんだから、一緒に入ろう。」
 あっと言う間に裸になった麻美が風呂場に入って行った。残された雅彦が迷ってい
ると麻美が顔を出した。
 「いいお湯よ。さ、早く脱いで。」
 一瞬見えた麻美の茂みは写真の通り黒々としていた。仕方ないと言う表情で立ち上
がった雅彦も裸になり麻美の後に続いた。タオルは麻美が持っていってしまったので
隠しようがない。手で隠すのも変なので、なるべく自然に振る舞いながら浴室に入っ
た。案外小さな風呂場で浴槽も家のと大差なかった。
 「全然石鹸が効かないわ。」
 麻美がサッと身体を流して湯船に浸かった。雅彦も簡単に湯を被って続いた。
 「これじゃ、うちの風呂と大差ないわね。」
 一応向き合って入れる広さはあるのだが、膝を曲げないとお互いにくっついてしま
う。
 「ちょっといい。」
 麻美が立ち上がって姿勢を入れ替えた。今度は後ろ向きにしゃがんで来る。雅彦が
脚を開くとその間に尻を入れてきた。
 「いい気持ち。」
 麻美が寄り掛かって来たので雅彦が慌てて両手を上に挙げた。麻美がその手を自分
の腰に回す。二人の肌が密着した。
 「狭いお風呂も捨てたもんじゃないわね。」
 麻美がそう言ってクスッと笑った。固くなった雅彦が麻美の尻を突き上げたのであ
る。ヌメッとした感触が雅彦を慌てさせた。母親の女の部分に違いないと思った。
 麻美が立ち上がって浴槽から出た。腰を屈めた拍子に写真で見慣れた景色が雅彦の
目の前を横切る。その部分は昔と変わらないように思えた。
 雅彦が麻美とは目を合わせずに湯から上がった。コチコチになったモノが真上を向
いてしまっていたが、隠せば余計変な雰囲気になってしまう。麻美がチラッと見て、
慌てて目を逸らせた。
 「立派になったわね。」
 「お陰様で。」
 先に吹き出したのは麻美の方だった。
 「何がお陰様よ。あ、そっか、私を見てこんなになったんだ。」
 「うん、だからお陰様。」
 「く、苦しい。笑かさないで。」
 男と女の間では会話の呼吸がとても大切である。もし、ここで会話が途切れると気
まずい雰囲気は避けられない。しかし、雅彦は麻美譲りの軽妙なやり取りを自然に身
に付けていた。それが今、二人を救ったのである。
 風呂から上がった二人が浴衣と丹前を羽織って宿の外に出た。そろそろ夕日が傾き
山の端に消えようとしている。海辺の道を二人が手を組みながら歩いた。麻美が磯に
降りようとした。雅彦が先に降りて麻美の身体を受け止める。その度に麻美が抱き付
いてきた。有り触れた海辺の景色が一生の思い出になりそうだった。
 陽も暮れたので二人が宿に戻った。あらかじめ食事の時間を遅めに頼んでおいたの
である。まだ表が明るいうちに夕食を出されても味気ないことこの上ない。部屋に運
ばれてきた料理は豪華なものだった。雅彦がちょっぴり宿代を心配したが、麻美はそ
んな様子もなく、また特別料理を注文してしまった。アワビの踊り焼きである。二十
センチ以上ありそうな大きなアワビが火に掛けられてクネクネと動いていた。その黒
い姿が雅彦に麻美のあの部分を連想させた。
 「ふふ、何か嫌らしい動きね。」
 麻美も同じことを考えたらしい。雅彦は浴衣の前の膨らみを隠そうと必死だった。
 麻美は決して箸を取ろうとはしなかった。代わりに口をアーンと開けて雅彦にせが
んだのである。ビールも口移しで飲ませてと甘えてきた。雅彦が抱き寄せて唇を重ね
ると麻美が舌を絡めてきた。
 「何か、新婚旅行みたいで楽しい。」
 ようやく口を離した麻美が雅彦のおでこを指先で突きながら言った。
 「来て良かったでしょ。」
 浴衣の胸元がはだけて白い胸が覗いていた。隣に座っている雅彦が見下ろすと乳首
が二つとも丸見えである。ビールが回って来たのか、麻美が膝を崩した。今度は乱れ
た裾から真っ白な腿が剥き出しになり、動いた拍子に黒い茂みまでがチラッと顔を覗
かせた。風呂場で見た時はさほどでもなかったが、こうして浴衣からこぼれる裸は妙
に刺激的なものである。雅彦も素肌の上に浴衣を羽織っただけなので、動いた拍子に
合わせ目から固くなったものが頭を覗かせてしまった。麻美は横目でそれを見たが、
何も言おうとはしなかった。
 「失礼します。」
 女中が膳を下げに来た。麻美が慌てて居住まいを正す。雅彦も浴衣の前をかき合わ
せて自分の席に戻った。
 「ご馳走様、とても美味しかったわ。」
 麻美が膳の下に用意してあったティッシュの包みを女中に渡した。心付けである。
その女中は形ばかりの辞退を見せたが、麻美が重ねて押し付けると案外素直に受け取
った。
 「申し訳けありませんが、本日は清掃のため女性用の露天風呂はご利用出来ません。
他には後二組のお客様だけですので、時間をずらせて男性用をご利用下さい。」
 女中がちょっと間を置いてから付け加えた。
 「でも、その方がおよろしいでしょう。」
 女中は二人の親密な空気を敏感に感じ取ったようだった。
 「ええ、その方が楽しいわね。」
 麻美がニッコリ笑って相槌を打った。
 「お風呂にいらっしゃっている間にお床を述べさせて頂きます。ごゆっくりどうぞ。」
 麻美がサッと立ち上がった。その拍子に黒い茂みがチラッと見えた。女中が一瞬卑
猥な目で雅彦を見た。

 男用の露天風呂だから脱衣所も男用である。幸い誰も居なかったので急いで裸にな
り、内湯の大浴場を抜けて露天風呂に向かう。露天風呂と言っても屋根付きで岩をく
り抜いただけの浴槽が裸電球の下で湯気を立てていた。目の前は海で波の音だけが聞
こえている。あちこちに漁船らしい灯りがまたたいていた。
 「ねえ、さっきの女中さん、何か勘違いしたみたいだね。」
 並んで湯に浸かりながら雅彦が言った。
 「どう言う風に。」
 麻美が振り向いた。
 「だって、ママ、浴衣の下に何も履いてないとこ見せちゃうんだもん。」
 「あら、見えてた。」
 「うん、ママ、毛深いから目立つんだよ。」
 「そうなの。水着を着る時なんか大変なのよ。お毛々がはみ出しちゃって。」
 麻美が指先で摘んで見せた。つられて覗き込んだ雅彦が慌てて顔を背けた。
 暫くすると麻美と同じような年配の男がタオルで前を隠しながら近付いて来た。す
ぐ後から高校生位の女の子が付いてくる。こちらは全然隠していなかった。浴槽の縁
まで来た女の子が雅彦達に気付き、慌てて両手で前を隠した。その仕草がおかしかっ
たので麻美がケラケラ笑った。
 「失礼します。」
 男が湯を被って麻美の隣に入って来た。
 「どうぞ、ご遠慮なく。」
 麻美が雅彦の方に寄った。女の子もサッと身体を流してから男の横に滑り込んだ。
考えてみたらお互いに不釣り合いなカップル同士だった。
 「お嬢さんですか。」
 麻美が聞いた。
 「ええ。」
 男が面映ゆそうな顔で答えた。
 「これは息子です。」
 麻美が雅彦を指差した。
 「お互いに、親子で混浴という訳ですね。」
 「ええ、女性用は清掃中ですって。」
 「らしいですね。」
 四人が黙って湯に浸かっていると、また一組、中年の夫婦らしい客が入ってきた。
女中の話からすると、これが今晩の泊まり客全てと言うことになる。雅彦が場所を空
けるために横にずれた。娘と父親も同じように横に移動する。反対側の縁で雅彦と女
の子が肩を並べることになった。お互いに相手の身体をチラチラ横目で窺っていた。
 雅彦達の正面に後から来た二人が入ってきた。一瞬見えた女の股には毛が一本も無
かった。女の子が珍しそうに覗き込んだので女が顔を赤らめて手で隠した。雅彦は女
の子の注意が正面の女に向けられている間にその子の身体を観察した。胸は小さめだ
が乳首は麻美より大きい。女の子も毛は薄く、クッキリ入った溝が印象的だった。
 雅彦の視線に気が付いた女の子がちょっと恥ずかしそうな顔をした。それでも嫌が
っている表情ではない。ニコッと笑った目が雅彦の前に注がれた。今度は雅彦が顔を
赤らめた。
 「お先に。」
 麻美が雅彦を促して湯から上がった。雅彦が湯から出ると女の子の視線が腰の辺り
絡み付き、すぐに顔を背けた。
 浴衣を羽織りながら雅彦は腑に落ちない気持ちで一杯だった。中年の夫婦らしいカ
ップルはともかく、父親と一緒に入ってきた女の子が殆ど自分の裸を気にしている様
子を見せなかったからである。父親の方も娘の裸を他人、それも若い男の子の目に晒
しても平気なものだろうか。そう言えば麻美も、娘の父親も自分の身体を全く隠そう
とはしなかった。偶然出会った同士ならもう少し違った態度を取ってもいいような気
がした。
 首を捻りながら部屋に戻った雅彦がノートパソコンを携帯に接続してメールをチェ
ックした。圭子からの返事は届いてなかった。雅彦が友達にメールを書いていると麻
美が布団から手招きした。
 「もう寝ない。」
 麻美は浴衣を脱いで裸のまま布団に入っていた。二組の布団はピッタリくっつけて
敷かれている。多分、先程の女中が気を利かせたのだろう。
 「まだ八時じゃない。もうちょっと。メール書いてからね。」
 「うん、いいわ。でも、先に寝ちゃうかもよ。」
 雅彦が友人からのメールに返事を書いていると麻美が寝息を立て始めた。起きる様
子がないのを横目で確かめた雅彦が麻美の写真を画面一杯に映し出した。このまま麻
美と一緒に寝ると困った状態になりそうなので、その前に自分で始末しようと思った
のである。その部分が大写しになったものを次々に開き、固くなった前を思い切り握
りしめた。ギリギリまで我慢してトイレに駆け込む積もりだった。
 「ふふ。」
 耳元で麻美の声がしたので雅彦が慌てて振り向いた。いつの間に起きたのか、麻美
が肩越しに画面を覗き込んでいた。
 「雅彦もこう言う写真見るようになったんだ。でも、凄いわねえ。ぼかしも何も無
しで、しかもこんなドアップ。どこで手に入れたの。」
 慌てた雅彦が写真を閉じた。
 「駄目、もうちょっと見せて。」
 麻美が雅彦の肩に手を掛けて揺すった。
 「参ったなあ。」
 雅彦が左手で顔を撫でながら、もう一度写真を開いた。言われるままに開く写真の
全てがその部分のドアップばかりだった。
 「ねえ、これ、同じ人の写真よね。」
 麻美はまだそれが自分の写真だとは気付いていない。雅彦が次の写真を開いた途端、
思わず目をつぶった。開いた脚の向こうに麻美の顔が写っていたのである。
 「ちょ、ちょっと。これって、もしかして、私。」
 雅彦の肩に置かれた麻美の手に力が入った。雅彦は振り返ることが出来なかった。
 「ねえ、こんな写真、どこにあったの。あ、パパのパソコンか。」
 雅彦は何も言えず、じっと画面を見詰めていた。
 「そう言えば、昔、まだパパと結婚する前だけど、パパがポラロイドで恥ずかしい
写真沢山撮った覚えがあるわ。これ、その時のだわ。」
 「これ、ママが幾つの時。」
 「確か二十歳か二十一位よ。」
 「全然変わってないね、ママ。」
 「ちゃんと見てもいないくせに、お世辞なんか言っちゃ駄目。」
 言ってしまってから、麻美がハッとしたように口をつぐんだ。重苦しい沈黙の後で、
麻美が雅彦の両肩に置いた手を揺すった。
 「マーちゃん。」
 そんな呼び方は子供の時以来だった。
 「ねえ、もう一度。最初から全部見せて。」
言われた通り、雅彦が最初から写真を開いて行った。前半は顔が写ったもの多い。
雅彦が上半身の写真が出たところで動きを止めた。
 「この写真のママが一番きれい。」
 麻美が耳元で溜息をついた。
 「本当にそう思う。」
 「うん。」
麻美が雅彦の耳たぶを軽く噛み始めた。
 「そんなこと言われたら、マーちゃんが欲しくなっちゃうよ。」
 雅彦は答えられなかった。下半身は既に母親が欲しくて我慢出来ない状態になって
いたが、心のどこかで、そんなことしたらママがママじゃなくなってしまう、と言う
自制の気持ちが働いていた。
 「マーちゃん、経験ある。」
 麻美が耳元で囁いた。雅彦が首を何度も横に振った。
 「そっか、初めてがママじゃマズイかな。」
 また雅彦が首を横に振った。
 「嘘、マーちゃんはそれでもいいの。」
 今度は首が二度、縦に振られた。
 「経験したいから、それだけじゃないよ。」
 雅彦がボソッと言った。
 「この写真見てから、ママがどうしようもなく好きになっちゃったんだ。」
 雅彦がもう一度麻美の上半身が写った写真を画面に呼び出した。
 「私、もう、こんなに若くないよ。」
 雅彦はほっぺたに生暖かいものを感じた。麻美の涙だった。
 「見せて。」
 雅彦が小さな声で呟いた。
 「え、何を。」
 「今のママが見たい。」
 「本気。」
 「うん。ママが見たい。」
 「これとか、他の写真みたいに、全部見たいの。」
 「うん。」
 「見るなら覚悟してね。見た後で嫌だなんて言ったら、承知しないわよ。」
 「分かってる。」
 「マーちゃんに見せちゃうのか。」
 麻美が雅彦の耳元で笑った。
 「じゃ、ちょっと待って。」
 麻美が雅彦の首に回していた腕を解いた。サラサラと浴衣を脱ぐ音が聞こえた。
 「いいわよ。こっち向いて。」
 雅彦が振り返ると目の前に麻美の白い身体があった。
 「どう。」
 「ママ、きれい。」
 「ありがと。好きなだけ見ていいわよ。」
 「ちょっと待って。」
 雅彦がバッグからデジカメを取り出した。父親が使っていたものである。これなら
ポラロイドよりもきれいな写真が撮れるはずだった。
 「やだ、写真撮るの。」
 麻美が恥ずかしそうな顔をした。
 「うん。このカメラならきれいな写真が撮れるよ。今日の記念にママの全てを撮り
たい。」
 「誰にも見せないって約束できる。」
 「当たり前じゃない。ママがいいって言っても、誰にも見せないよ。」
 「何か緊張するわね。」
 それでも麻美は楽しそうだった。雅彦が麻美の周りを回りながら次々とシャッター
を切って行く。その度にフラッシュが光った。
 「ねえ、今度は脚開いて。」
 「こう。」
 麻美が両脚を前に投げ出した。白い身体と黒い茂みのコントラストが鮮やかだった。
 「もうちょっと。」
 「やだ、全部見えちゃう。」
 それでも麻美は雅彦が言う通りに脚を大きく開いた。茂みの中で黒ずんだ襞が左右
に割れた。大きめの突起はまだベールに包まれていた。
 「ねえ、ここ。もうちょっと大きくならない。」
 雅彦が指先でチョンと突いた。
 「わ、駄目。感じちゃう。」
 麻美が身体を捩った。
 「大きくって。」
 「こんな感じに。」
 雅彦がパソコンに映し出した写真を見た麻美が顔を赤くした。
 「え、無理よ。」
 「何で。」
 「うーん。」
 麻美が首を傾げて雅彦の目を見詰めた。
 「本当にこうしたいの。」
 「うん。」
 「じゃあ、ママの言う通りにして。」
 麻美が雅彦の手を取って胸に押し当てた。
 「先にここをコリコリして。」
 雅彦が生唾を飲み込みながら麻美の乳首を摘んだ。
 「あ、」
 麻美の身体がピクンと震えた。既に乳首はツンと飛び出して固くなっている。
 「もうちょっと強く。」
 「こう。」
 「もうちょっと。」
 雅彦がカメラを置いて両手で二つの乳首を揉み始めた。写真を撮るため、という建
前はとっくにすっ飛んでいた。
 「素敵・・・」
 パックリ割れた襞から透明な密が溢れ始めた。
 「ねえ、大きくならないみたい。」
 雅彦が割れ目を覗き込んだ。
 「しょうがないわねえ。吸ってくれたら大きくなるかも。」
 「え、吸うって、ここ。」
 「うん。嫌。」
 雅彦が何度も首を横に振った。
 「いいの。」
 「だって、大きくしたいんでしょ。」
 雅彦が大きく頷いて麻美の前に腹這いになった。両手で茂みを分け、現れたベール
にそっと唇を付ける。舌の先でそのベールをすくい上げると固く張りつめた粒がよう
やく姿を現した。
 「素敵・・・」
 麻美が膝を目一杯広げ、心持ち尻を浮かせて雅彦の口にその粒をグリグリと押し付
けた。
 「今晩は、ちょっといいですか。」
 不意に部屋の外から声が掛かった。男の声だった。
 「は、はい。」
 慌てて顔を上げた雅彦が答えた。
 「先程露天風呂で一緒になった者です。」
 「ちょ、ちょっと待って下さい。」
 慌てて飛び起きた麻美が脱ぎ捨てた浴衣を持って風呂場に逃げ込んだ。雅彦も慌て
て浴衣の前をかき合わせ、入り口の鍵を開けた。
 「はい、どうぞ。」
 戸を開けると先程風呂で一緒になった親子が浴衣姿で立っていた。
 「娘が遊びに行きたいと言うもんですから。」
 「は、はい。どうぞ。母は今風呂に入ってます。」
 慌てて取り繕いながら雅彦が二人を部屋に入れた。明るい電気の下で見るその娘は
ビックリする程可愛かった。娘がパソコンの前に座った。その目が一瞬点になった。
(しまった)
 雅彦の頭にカーッと血が上った。さっき麻美に大きくなった突起の写真を見せたま
まになっていたのである。畳の上にはデジカメが転がっていた。
 「ふうん、凄いカメラ持ってるんですね。」
 男がそのカメラを手に取った。ああ、と女の子が納得したような顔をして雅彦に微
笑んだ。雅彦はどう答えていいか分からず、そっと手を伸ばしてパソコンの蓋を閉め
た。女の子がニヤッと笑った。
 「すいません、お風呂使ってて。」
 麻美が出てきた。顔が真っ赤になっていた。
 「こちらこそ、こんな時間にすみません。娘が来たいってねだるもんですから。」
 「きれいなお嬢さんですね。お幾つかしら。」
 「まだ高校生になったばかりです。」
 「あら、雅彦と同い年。」
 「ほう、大学生かなって思ってました。」
 男は相沢進、娘は久仁子だと名乗った。麻美も自分たちの名前を告げた。
 久仁子は大きな目をしていた。雅彦は誰かに似てるなと思った。唇が薄く、真ん中
がちょっぴり突き出ている。そのせいで美人と言うよりも可愛さが目立つ顔付きであ
る。クルクルよく動くその大きな瞳が時々雅彦の目をジッと見据えた。時折視線が下
に行くので雅彦が前を気にし始めた。少しは治まっていたが、それでもまだ半ば上を
向いたままだったのである。
 「ちょっと、お風呂に行ってきます。」
 息苦しくなった雅彦がそう言って立ち上がった。
 「私も一緒に行っていい。」
 久仁子が父親に聞いた。
 「行っておいで。」
 雅彦は父親が呆気なく許したので面食らった。若い男と女が二人だけで入浴するの
である。しかも、泊まり客は他に一組の中年夫婦だけ。二人っきりの可能性が大きい
のに父親は全然気にしていないようだった。
 「行ってらっしゃい。私たちはもう少しお話してるから。」
 麻美もそう言って雅彦にタオルを投げてよこした。麻美たちも部屋で二人っきりに
なる。二人ともそれを望んでいるように見えた。
 「行こう。」
 久仁子が雅彦の手を引いた。部屋に残して行く二人のことも気になったが、久仁子
と二人きりで風呂に入れるこのチャンスを逃す気は全然無かった。
 雅彦と久仁子が裸になって露天風呂に行くと先程の中年夫婦が入っていた。湯の中
で女が男に跨っていたが、二人が来るのを見て慌てて離れた。雅彦は男のものがしっ
かり上を向いてるのを見逃さなかった。軽く挨拶を交わして雅彦と麻美が湯に入ると
二人がそそくさと出て行った。
 「ねえ、あの二人、エッチしてたみたい。」
 久仁子が笑った。
 「そうみたい。」
 雅彦が照れながら答えた。
 「雅彦くんはエッチしたことある。」
 久仁子が聞いた。
 「ううん、まだ。」
 「本当にまだなの。」
 久仁子がジッと雅彦の目を覗き込んだ。もう一度雅彦が頷くと、うんうんと頷くよ
うに何度も首を振った。視線が湯の中の雅彦に注がれていた。
 「そう言う久仁子ちゃんは。」
 雅彦が逆襲に出た。お返し、とばかりに久仁子の腰に視線を落とす。ちょっと考え
てから久仁子が答えた。
 「私もまだ。どころでさっきの写真だけど、あれ、雅彦くんが撮ったの。」
 「ううん、あれは昔、ママが若い頃にパパが撮った奴だよ。」
 「パパは一緒に来ないの。」
 「ちょっと前に死んじゃったんだ。高速でトラックに追突されて、車が燃えちゃっ
て。テレビで見てない。」
 「あ、あの事故。」
 「うん。」
 「大変だったのね。」
 「うん。ようやく少し落ち着いたんで、ママと二人で気晴らしに来たんだ。」
 「ふうん。でも・・・」
 「でも、何。」
 「さっきの写真、凄かった。」
 雅彦は何と答えていいか分からなかった。
 「ママのあんな写真みても平気なの。」
 「どう言う意味。」
 「エッチしたくならない。」
 ちょっと考えてから雅彦がコクッと頷いた。
 「じゃあ、まだエッチしたこと無いなんて嘘じゃない。」
 「嘘じゃないよ。まだママとエッチなんかしてないから。」
 「ふうん。」
 久仁子が疑わしい目つきで雅彦を見た。
 「じゃあ、さっき私たちが来なかったら。」
 雅彦が答えに詰まった。久仁子の言うとおり、もしあのまま続いていたら、多分そ
う言うことになっていた筈である。
 「ねえ、何してたの。パパが声掛けたとき。」
 「写真撮ってたんだ。」
 「ヌード。」
 「うん。撮る準備してた。」
 「パソコンみたいな写真。」
 「うん。」
 「凄いエッチ。」
 久仁子が可笑しそうに笑った。
 「私もあんな写真撮って欲しいな。」
 「え、」
 雅彦が驚いて久仁子の身体を覗き込んだ。
 「やだあ、エッチィ。」
 久仁子が半ば開いていた足をキュッと閉じた。
 「ね、撮って。」
 久仁子がもう一度閉じた脚を開いて見せた。
 「何で。」
 「記念にしたいの。」
 「何の記念。」
 「ひ・み・つ。」
 「パパに叱られない。」
 「大丈夫よ。だって、こうして二人だけでお風呂入っても許してくれてるでしょ。」
 「うん、僕もちょっとビックリした。」
 「雅彦くんのママだって怒らなかったじゃない。」
 「そう言えば、久仁子ちゃんのママは。」
 「ママは、ずっと昔に家から出て行っちゃったの。パパとは上手く行かなかったみ
たい。」
 「そうなんだ。変なこと聞いちゃって、ごめん。」
 「ううん、全然気にして無いから。それより、雅彦くんのパパの方が可哀想。」
 久仁子が浴槽の縁に腰掛けた。
 「私もさっきの人みたいに、ここ、剃っちゃおうかな。」
 久仁子が自分の毛を摘んで見せた。雅彦が並んで腰掛けると久仁子が自分と雅彦を
見比べた。
 「男の子って面白い。でも、パパとは全然違うのね。」
 「久仁子ちゃんだって、大人の人とは違う。」
 「誰と比べてるの。ママ。」
 「ううん。ママは凄く毛深い。」
 「そうみたい。色も全然違うし。」
 久仁子はパソコンの写真をしっかり見たようだった。
 「見て。」
 久仁子が脚を開いて見せた。色や形がどことなく圭子に似ているような気がした。
 「きれい。」
 思わず雅彦が手を出した。指が触れた瞬間、久仁子がビクッと震えた。
 「私も触っていい。」
 雅彦が返事する前に久仁子の手がサッと伸びて雅彦を握りしめた。
 「こんなのが付いてて、邪魔じゃない。」
 「普段はもっと小さくなってるよ。」
 「何か、おチンチンって不思議。」
 暫くすると雅彦が慌てて久仁子の手を剥がそうとした。
 「どうしたの。」
 久仁子が不思議そうな目で雅彦を見た。
 「ちょっとヤバイ。」
 「ヤバイって、あ、セイシが出ちゃうんだ。」
 雅彦が力無く頷いた。
 「見せて。」
 「え、そんなこと。」
 「いいから見せて。私、まだセイシがでるのって見たこと無いの。」
 仕方なく雅彦が湯船から足を抜いて洗い場の方を向いた。浴槽の湯を汚したくなか
ったのである。
 「どうしたらいいの。」
 「もっと強く握って。うん、手を動かして。もっと強く。」
 久仁子が言われるままに手を動かした。ぎこちない手の動きに僅かな痛みすら覚え
たが、その痛みすら雅彦には心地よく思えた。
 「イ、イク。」
 雅彦が久仁子の手を上から包み込んだ。次の瞬間、二人の手の間から一塊りの滴が
飛び出した。
 「わ、凄い臭い。」
 久仁子が食い入るような目で自分の手元を見詰めた。
 ようやく落ち着いた雅彦が身体を流して湯船に浸かると久仁子がピッタリ寄り添っ
て来た。
 「気持ちよかった。」
 久仁子がそう言って雅彦の手を自分の方に導いた。
 「私も気持ちよくなりたい。」
 湯の中で探った久仁子の割れ目はしっかりと口を閉じていた。雅彦の指がなぞると
久仁子がスッと脚を開いた。
 「いい気持ち。」
 雅彦は急な展開に戸惑いながらも指先に触れる久仁子の柔らかな感触に我を忘れた。
それでも無意識の内につい先ほど触れた母親の柔肌と比べていた。久仁子の方が幾分
固いような気がした。一番大きな違いが襞に埋もれた粒で、麻美と比べたら久仁子は
無いに等しい。
 流石に露天風呂でのこれ以上の行為は無理である。手を離した雅彦が久仁子をしっ
かり抱きしめ、唇を重ねた。
 「戻ろうか。」
 「うん。パパ達、どうしてるかしら。後から来ると思ったんだけど。」
 「二人だけにして、やばかったかな。」
 「それは私たちの方じゃない。」
 「言えてる。」

 素肌の上に浴衣を羽織った二人が戻ると部屋の鍵が掛かっていた。
 「やだ、パパ達、やってるみたい。」
 久仁子が笑いながらノックすると暫く間があって戸がスッと開いた。開けたのは麻
美だった。何も身に着けていなかった。
 「入って。」
 と麻美が二人を促した。女中でも通り掛かると面倒なことになる。二人が今まで抱
き合っていたのは一目瞭然だった。それを示す匂いが部屋に充満している。それでも
久仁子は嫌な顔一つしない。雅彦には意外だった。
 「暑いわね、また汗でびっしょり。」
 そう言って久仁子が裸になった。雅彦一人が浴衣のままだった。
 「どうせだから、マーちゃんも脱いじゃえば。」
 麻美が笑った。
 「どうだった。」
 久仁子が父親にウィンクした。
 「本人の目の前でそんなこと言えるか。」
 進が顔をしかめて見せた。
 「あら、良くなかったの。」
 「馬鹿、反対だ。」
 「あらあら、ご馳走様。」
 雅彦は二人のあっけらかんとしたやり取りに目を白黒させていた。父親が母親とは
別の女を抱いても気にならないのだろうか。まして、その女が目の前に、それも裸で
全てを見せているのである。父親も裸で、半ばうなだれたモノからは麻美の移り香が
漂っていた。
 「ねえ、パパ、そのカメラ使えるでしょ。」
 「雅彦くんに教えて貰えばな。でも、何を撮るんだ。」
 「私達。」
 「え、私達って。」
 麻美が横から口を挟んだ。
 「うん、私達。これから一つになるの。私はバージン卒業。雅彦くんも童貞じゃな
くなるの。」
 「え、ここで。」
 面食らった雅彦が思わず叫んだ。
 「うん。パパ達が見てる前でそうなりたいの。駄目。」
 麻美と進が顔を見合わせた。
「自分たちを棚に上げて、お前達は駄目なんて言えないか。」
 進が肩をすくめて見せた。
 「そうね。目の前でって言うのがちょっとだけど。」
 麻美も進を真似て肩をすくめた。嬉しそうに雅彦に近付いた久仁子が脚の間に雅彦
の顔を引き寄せた。
 「お風呂じゃこんなこと出来なかったから。」
 雅彦が久仁子の膝を割って露わになった襞に唇を当てた。その口元を麻美がジッと
覗き込んだ。
 「人がしてるの、初めて見たわ。しかもそれが息子と来てる。複雑な気分ね。あな
たはどう。娘が大切な所を舐められてるのよ。」
 進もつられて覗き込んだ。
 「写真に撮っておくか。」
 進がデジカメを構えた。ズームで引き寄せると久仁子の割れた肌が大写しになる。
その中を雅彦の舌が行き来していた。
 「いい画が撮れそうだ。」
 進が続けてシャッターを切った。
 「ついでに麻美も撮っておこうか。」
 進が母親の名前を呼び捨てにしたので雅彦が一瞬ビクッと反応した。この二人、も
しかしたら以前からの知り合いかも知れない。その疑惑が雅彦の胸の中で大きく膨ら
んで行った。麻美が進を睨んだ。久仁子がベーッと舌を出した。
 「そろそろ、かな。」
 進が苦笑しながら雅彦の肩を叩いた。顔を上げた雅彦の口元がベットリ濡れていた
ので麻美が吹き出した。
 「まさか息子のこんな顔見るとは思わなかったわ。」
 「え、さっき散々見たんじゃないの。」
 久仁子が意地悪く言うと今度は麻美がベーッと舌を出して見せた。
 「あのう、」
 雅彦が口を挟んだ。
 「何。」
 麻美と久仁子が同時に答えた。
 「このままで大丈夫。」
 雅彦が自分の前を指差した。
 「ああ、避妊のことね。どうかしら。」
 麻美の問いに久仁子が頷いた。
 「大丈夫。今日が安全日だって確かめてあるから。」
 「確実は無いわよ。」
 「分かってます。でも最初は付けないで欲しいの。万一出来ちゃったら雅彦くんの
お嫁さんにして貰うから。」
 「一年早いわ。あなた方、まだ十六よ。久仁子ちゃんは大丈夫だけど、雅彦は子供
が生まれてもまだ結婚出来ないわ。」
 「そっか、そう言うこともあるんだ。でも、いいの。パパ達だって結婚できないん
だし。」
 一瞬、麻美が嫌な顔をした。雅彦は二人の会話の中の暗黙の了解が気になった。久
仁子は両親が別れたと言っていたが、どうやら正式に離婚した訳ではないらしい。そ
の辺の事情をなぜ母親の麻美が知っているのか。疑念はますますつのるばかりだった。
 「あ、ごめんなさい。別に嫌みじゃないから。」
 「分かってますよ。ま、そこまで覚悟決めてるんじゃ、これ以上何も言うこと無い
わね。そうと決まれば、私が手伝って上げる。さ、いらっしゃい。」
 麻美が久仁子を布団の上に寝かせた。
 「雅彦も。」
 久仁子が脚を開いて受け入れる体勢になると麻美が雅彦の根元を握って襞に宛った。
すぐには入れようとせず、前後に動かしながら少しずつ力を込めて行く。先端が少し
だけ潜り、すぐに外れた。その繰り返しに久仁子の口から微かな呻き声が漏れ始めた。
 「遠慮しないで。思い切り気持ちよくなった方がいいのよ。」
 久仁子がクスッと笑った。
 「多分、大丈夫だと思うな。私、自分で指入れたことあるから。」
 「指とおチンチンじゃ太さが違うわよ。いいから、任せなさい。」
 雅彦の唾液でベトベトだったところが更に潤って来た。粘っこい音が規則的に続き、
ようやく先端が見えなくなった。
 「今よ。突いて。」
 雅彦が弾かれたように尻を突き出した。
 「キャ、」
 久仁子が奇声を発した。雅彦が久仁子を貫いた瞬間だった。
 「駄目、そのまま動かないで。」
 麻美が雅彦から手を離さずに押し留めた。まだ僅かに先端が入り込んだだけである。
 「今日は貫通式だけ。ここまで来ればもう大丈夫だから、後は根気よく押し込んで。
無理しちゃ駄目よ。ジッと待ってれば久仁子ちゃんの方からお迎えに来てくれるから。」
 雅彦は麻美の言っていることが分からなかったが、それでも言う通りにジッと堪え
ていた。暫くその姿勢で待っていると久仁子の内部が僅かに弛んだ。
 「ゆっくり、優しくね。」
 麻美が握っていた手をそっと外した。その手が邪魔になる所まで雅彦が進んだので
ある。その機を待っていたように進が続けてシャッターを切った。やがてカメラのフ
ァインダーから雅彦の姿が全て見えなくなった。
 「嬉しい。」
 久仁子が雅彦の背中を思い切り抱きしめた。
 「痛くない。」
 麻美が久仁子の頬に手を当てながら聞いた。
 「ちょっと。でも大丈夫。こんな幸せな初体験って無いわよね。」
 「かもね。雅彦はどう。」
 「僕、勿論最高だよ。まさかママ達の目の前でこうなるなんて思ってもいなかった
けど。」
 「今日は動いちゃ駄目よ。後でお口でして貰いなさい。」
 「うん。してくれる。」
 雅彦がそう言って久仁子の唇を塞いだ。久仁子が何度も頷いた。
 「もういいかな。」
 進がデジカメを置いて麻美を抱き寄せた。
 「またするの。」
 麻美が苦笑した。
 「駄目。」
 そう言いながらも進の手が麻美の襞を探り始める。
 「駄目なわけ、無いでしょ。」
 麻美が進をそっと押し倒し、上から跨って行った。その様子を抱き合った二人が見
詰めている。激しく腰を振り始めた麻美の尻を久仁子がそっと撫でた。
 「ビデオに撮って上げたいくらい。麻美さんって凄く嫌らしいのね。」
 「ふん、何とでも仰い。その内あなたもこうなるわよ。」
 雅彦のアンテナが再びピンと立った。麻美と久仁子も打ち解けた親しさを滲ませて
いる。考えてみたら、今日初めて出会った同士が繰り広げている光景としては信じら
れないことばかりだった。久仁子が雅彦の目を見上げた。
 「ねえ、私もパパとしたくなっちゃった。」
 唐突だが、雅彦はなぜかその言葉を予想していた。そして、母親に対する自分の気
持ちも同時に許されそうな雰囲気にホッと胸を撫で下ろした。
 「僕も、ママとしたい。いいよね、しても。」
 「うん。いいわよ。」
 二人の会話に麻美がビクッとして腰の動きを止めた。
 「ちょっと、勝手にそんなこと決めないで。」
 「あら、駄目。」
 久仁子が笑いながら麻美の尻に手を伸ばした。すぐ隣なのでその手が尻の間に潜り
込む。
 「凄い。ヌルヌルになってる。」
 「ちょっと、駄目。そんなことしないで。」
 麻美が嫌々をした。久仁子の指が無防備な後ろを探ったのである。
 「ねえ、駄目。」
 久仁子が意地悪く聞いた。
 「私に聞かないで。進さんに聞いて。」
 「おいおい、俺に下駄預けるなよ。」
 進が麻美の尻から久仁子の手を払いのけた。
 「考えておく。」
 「狡ーい。」
 久仁子が進の手をつねった。
 麻美がようやく動きを止めた。ゆっくり腰を上げると強烈な匂いが部屋を満たした。
 「お風呂に行きましょうか。」
 立ち上がった麻美に進が頷いた。
 「じゃ、あなた達も一緒に行かない。」
 雅彦がゆっくり身体を起こした。離れ際に久仁子が顔をしかめた。麻美がそっと指
先で確認したが、出血している様子は無かった。
 「大丈夫そうね。お風呂に入っても。」

 浴衣だけ羽織った四人が露天風呂に向かった。もう夜中過ぎなので辺りはシンと静
まり返っている。脱衣所には脱ぎ捨てられた浴衣があった。
 大浴場から最初に出た久仁子が振り返ってウィンクした。
 「またエッチしてるわ、あの二人。」
 久仁子の言葉通り、浴槽の縁に座った男の上から女が跨っていた。四人に気付いた
男が慌てて女を離そうとしたが嫌々をして離れない。四人がそばまで来ても女は腰を
振り続けていた。
 「どうぞ、ご遠慮なく。」
 麻美が声を掛けてから湯に入った。男は困ったような顔をしたが、女はしがみつい
たまま離れなかった。
 四人が湯に入ったところでようやく女がハッと振り向いた。
 「やだ、ごめんなさい。」
 今更離れても遅いと思ったのか、女は男の胸に顔を埋めてしまった。
 「失礼ですが、不倫ですか。」
 進が笑いながら話し掛けた。
 「いえ、そう言う訳じゃないんです。」
 男が照れながら答えた。
 「ちょっと人には言えない関係なんです。」
 ピンと来た麻美が微笑んだ。
 「もしかして、ご兄妹。」
 二人の顔付きがよく似ていたからである。男が麻美をきつい目で睨んだ。
 「大丈夫。心配なさらないで。私達だって親子同士でこうしてるんですから。」
 麻美がそう言いながら雅彦の前を握って見せた。
 「本当に、実の親子ですが。」
 男が疑わしそうな目で二人を見比べた。
 「母親ですから、実の子かどうかは百パーセント分かってますわ。」
 進も苦笑しながら口を挟んだ。
 「うちは百パーセントかどうか分かりませんが、多分これは私の娘です。」
 進も湯の中で久仁子の身体を抱き寄せた。
 「信用します。はい、私達、実は兄妹なんです。」
 男は邦宏と名乗った。妹は和美だと言い添えた。

 邦宏は連れ合いに先立たれて独り暮らしだった。妹の和美は四十を目前にしてよう
やく結婚した。邦宏は妹の結婚相手に余り好印象は持てなかったが、婚期を逃して焦
っていた和美は何が何でもと結婚に邁進した。
 邦宏の予感は当たっていた。妹の旦那に不倫相手がいたのである。それも、和美と
見合いする以前から続いていたようである。相手の女は亭主持ちだった。
 その不倫に真っ先に気付いたのが邦宏だった。それとなく和美に注意したが、嘘だ
と言い張る和美。仕方なく邦宏が私立探偵を雇ってその証拠を和美に突き付けた。
 「悪いことは言わない。あんな男とは別れろ。」
 泣き崩れる和美に言い聞かせ、邦宏が旦那を詰問した。動かぬ証拠を突き付けられ、
その男がようやく頭を下げた。二度と逢わないと土下座までした。仕方なく引き下が
った邦宏だったが、その後も不倫は続いていたのである。最早邦宏は許そうとしなか
った。ローンの残っていた住居は旦那名義なので諦めたが、預金など全てを妹に渡す
ことで協議離婚を承諾させた。行き場を無くした和美は邦宏が引き取った。
 和美は離婚が余程ショックだったようで、そのまま閉じこもりになってしまった。
食事も摂らず、部屋から一歩も出てこない。仕方なく弁当や飲み物を差し入れた邦宏
だが、風呂は勿論、トイレにも出てこない和美に邦宏が業を煮やした。一週間もする
と和美の部屋は凄い臭いで窓も開けられない状態になった。
 「おい、出てこい。」
 溜まりかねた邦宏が和美を部屋から引きずり出した。泣き叫ぶ和美を風呂場に連れ
て行き、着ているものを全て剥ぎ取った。汚れで固まった髪。首の周りにも垢がこび
り付いていた。
 「いい加減にしろ。」
 子供のように頭から足の先まで邦宏が擦ってやると和美が大人しくなった。最後に
湯を浴びせると泣きながら和美が抱き付いて来た。
 「分かってる。好きなだけ泣け。」
 その晩、邦宏は和美を抱いて寝た。兄の腕に抱かれて静かな寝息を立て始める。泣
き腫らして目を真っ赤にした妹を見て不憫に思った邦宏が頬にそっと口付けした。
 「ありがと。」
 和美が邦宏の胸に顔を埋めてきた。
 「あいつのことは早く忘れろ。これからは俺が和美を守ってやる。」
 「うん。もう兄さんから離れない。」
 二人が顔を見合わせた。兄妹が抱き合って寝るのはこれが初めてだった。邦宏がそ
っと顔を寄せると和美が驚いたように目を見開いた。唇が重なっても和美は動かなか
った。
 「忘れろ、あいつのことは忘れるんだ。」
 邦宏の手が和美の胸に伸びた。
 「兄さん・・・」
 和美が戸惑ったように体を退いた。
 「いいから、俺に任せろ。」
 「だって、私達・・・」
 「それも忘れろ。これからは俺たち二人で生きて行くんだ。いいな。」
 和美が顔を赤くして頷いた。
 邦宏の予想通り、和美は男と女のことに関しては全くの無知だった。旦那に抱かれ
たのも数える位、それも一方的に押し入られただけらしい。和宏が脚の間に顔を埋め
ようとすると必死で抵抗した。
 「何するの、止めて。そんなとこ汚いから。」
 「いいから、俺に任せるんだ。ほら、もっと力を抜いて。」
 それでも和美はとうとう脚を開かなかった。仕方なく乳首を口で転がしながら指先
だけの愛撫を続ける邦宏。ようやく潤んできた妹の中に邦宏が押し入ったのは夜中も
大分過ぎた頃だった。
 「大丈夫か。」
 「うん、ちょっと痛いけど、平気。」
 「もっとリラックスして。ここに神経を集中するんだ。」
 邦宏が一つになったところを指でなぞった。
 「恥ずかしい。」
 和美がもう一度邦宏の胸に顔を埋めた。
 その晩、邦宏は一睡もせずに妹を抱き続けた。少しずつ和美の肩から力が抜けてき
た。
 「何か変になりそう。」
 和美が呟いた。
 「ん、痛いか。」
 「そうじゃないの。ここが熱い。」
 和美が初めて手を伸ばして来た。
 「入ってる。」
 「うん。」
 「気持ち良くなりそう。」
 「もっとなれ。遠慮するな。」
 兄妹だからお互いに遠慮はない。一旦堰を切ると和美の気持ちがどんどん和らいで
行った。
 「それ、凄くいい。あ、あ、」
 和美が眉根に皺を寄せた。
 「こんなの、初めて。」
 夜が明けた頃、いつの間にか眠ってしまった和美の唇に邦宏がそっと口付けした。
和美がそっと目を開いた。
 「これからも、ずっと可愛がってくれる。」
 「勿論だ。そうでなければ抱いたりしないさ。」
 「嬉しい。私、別れてよかった。」
 次の晩、会社から戻った邦宏が二人だけの新婚旅行に行こうと和美を誘った。一週
間の長期休暇を取ったのである。その旅行で選んだのがこの温泉だった。

 「私はもう五十近いし、こいつも四十過ぎてます。お互い張り合いのない余生を送
る位なら、一緒に地獄に堕ちて、目一杯最後の人生を楽しもうじゃないか、ってこと
なんですよ。」
 和宏がもう一度和美を抱き寄せた。
 「しかし、とんでも無いところを見られてしまいました。」
 「大丈夫です。心配しないで下さい。」
 進がそう言って久仁子を自分の方に引き寄せた。麻美も負けじと雅彦の手を引き寄
せる。
 「お互いに似たもの同士の二人組と言う訳けですね。」
 和宏が安心したように笑った。
 「そろそろ寝ようか。」
 風呂から上がったところで進が自分たちの部屋に戻ろうとした。
 「そうね、私も。」
 久仁子が後から付いて行く。自分たちの部屋に戻った麻美が雅彦をギュッと抱きし
めた。
 「マーちゃんが欲しい。」
 「僕もママが欲しい。」
 「さっきは辛かった。」
 「さっきって。」
 「久仁子ちゃんとマーちゃん見てた時。」
 「だって、ママだって進さんと散々してたんでしょ。」
 「それとこれは別。」
 「狡い。」
 「向こうも今頃かしら。でも、今晩は無理かな。」
 「多分ね。」
 浴衣を脱ぎ捨てて素肌になった麻美が雅彦の前に跪いた。浴衣の裾を分け、飛び出
して来たものに頬ずりする。
 「さっき、久仁子ちゃんにして貰わなかったでしょ。」
 麻美がそっと口に含んだ。その動きが段々きつくなる。一度口で果ててさせようと
思っているらしい。
 「ママ、寝て。」
 雅彦が麻美の顔を引き離した。
 「ん、まだよ。」
 「そうじゃなくって、僕もママにキスしたいから。」
 「うん、分かった。」
 仰向けになった麻美の上から雅彦が逆向きに被さって来た。茂みの中の突起が既に
大きく飛び出している。雅彦がそれを口に含むと麻美の口が止まった。
 同じ頃、久仁子も進の上にのし掛かっていた。今日はまだ無理だと進に言われた久
仁子が自分から父親を口に含んだのである。進も娘のきれいな割れ目に舌を差し込ん
でいた。後ろまで動くその舌に久仁子が身を揉んだ。

 次の晩は雅彦と久仁子が一緒に寝た。
 「大丈夫だから動いて。」
 一つになったところで久仁子が腰を揺すった。
 「痛くない。」
 「平気。」
 雅彦が気遣いながらゆっくり腰を回し始めた。昨日の晩、麻美に教えて貰った動き
である。こうすれば少しは痛みが軽くなるらしい。
 「ねえ、昨日、ママとエッチした。」
 久仁子がそう言って唇を押し付けてきた。
 「うん。」
 「どうだった。」
 「良かったって言ったら、怒る。」
 「ううん。でも、ちょっぴり妬けるかも。」
 「久仁ちゃんもパパとしたんでしょ。」
 「お口でね。最後にちょこっとだけ入れて貰った。」
 「どうだった。」
 「分からない。嬉しかったけど。でもさあ、私達って凄いよね。自分の親としちゃ
ってるんだから。」
 「これから先もずっとかな。」
 「勿論よ。私、きっと雅彦くんのお嫁さんになるわ。」
 「まだ分からないよ。」
 「ううん、他の人と一緒になったらパパに可愛がって貰えないじゃない。」
 「そうだね。僕もママと一緒だし。でもさあ、昨日何でママと進さんがしちゃった
んだろう。初めて会ったのに。」
 「さあ、二人に聞いてみれば。それ言うなら私と雅彦くんも同じよ。」
 「うん、凄いラッキーだと思う。初めてが久仁ちゃんで。」
 「私も雅彦くんじゃなきゃ嫌。」
 久仁子が腰を擦り付けて来た。もうそれ程痛まないらしい。雅彦が少し強めに動く
と久仁子が目をつぶった。
 「痛い。」
 「ううん。大丈夫。奥の方が変な感じ。」
 「どんな感じ。」
 「気持ちいいって、こう言うのかな。」
 「良かった。僕は凄くいい。久仁子ちゃんの中に入ってると思うと余計。」
 「あ、動いた。ねえ、それ、わざと動かしてるの。」
 「うん。これ。」
 「それそれ。凄くいい。」
 今日の久仁子は奥の方までかなり潤んでいた。雅彦が動くとつながったところから
粘っこい音がする。その度に久仁子がきつくしがみ付いて来た。
 最後の晩は雅彦達の部屋で四人が一緒に過ごした。邦宏たち兄妹も押し掛けて来た。
雅彦が麻美と、久仁子が進と抱き合っているのを見て二人が目を丸くした。
 「本当に、なんですね。」
 和美が眩しそうに二組のカップルを見比べた。
 「どうぞ、ご遠慮なく。」
 麻美が雅彦の下から顔だけ出して和美にウィンクした。

 雅彦が家に戻って二日後に圭子からのメールが届いた。雅彦に会ってみたいと言っ
て来た。翌日は麻美が夜まで戻らないことが分かっていたので雅彦が学校の帰りに圭
子と待ち合わせた。お互いに初対面だが、雅彦は既に圭子の顔を父親の撮った写真で
散々見ている。待ち合わせの小田急線梅丘駅に圭子は車で迎えに来た。
 「雅彦くん、よね。」
 「はい。圭子さんですね。すぐ分かりました。」
 「あなたも。パパとよく似てるわ。さ、乗って。」
 雅彦が助手席に乗り込むと圭子が素早く車を発進させた。
 「何時まで大丈夫。」
 圭子が狭い道に車を入れながら聞いた。この辺りはかなり道が入り組んでいるのだ
が、裏道を知り尽くしているようだった。
 「七時までに帰れば大丈夫です。」
 「今、四時か。あんまし時間無いわね。」
 車は世田谷通りを横切って用賀方面に向かっている。どうやら東名に乗る積もりら
しい。雅彦はどこに行くのか聞かなかった。圭子も無言で車を走らせている。
 圭子が躊躇いもなくラブホテルに車を乗り入れても雅彦は驚かなかった。時間が無
い。圭子の言葉がこれから起きることを十分に予想させていたのである。
 「ごめんなさい、いきなりこんな所に連れ込んで。」
 車から降りて部屋に入ると圭子が雅彦の手を取った。
 「パパの身代わりじゃないけど、抱いて欲しいの。いいかしら。」
 「僕もその積もりで来ました。」
 「ママは。」
 「今日は出掛けてます。帰りは多分七時過ぎ。」
 「それで七時って言ったのね。」
 圭子が風呂場に入って湯を溜め始めた。
 「さ、脱いで。」
 圭子が素早く裸になって浴室に消えた。雅彦も裸になってドアを開けた。シャワー
を浴びている圭子の身体は写真そのままに白く、魅力的だった。
 「見て、これが実物の私。」
 圭子がそう言って両手を広げた。
 「写真よりずっときれいです。」
 雅彦が目を細めると圭子が照れたように湯船に入った。
 「嘘仰い。あなたが見たのはもう十年以上前の私。最近はパパも写真撮ってくれな
くなってたし。」
 雅彦も湯船に入ると圭子の手が伸びて前を握りしめた。
 「元気ね。」
 「圭子さん見たら、誰だって元気になります。」
 「お世辞でもそう言ってくれると嬉しいわ。さ、ベッドに行きましょう。」
 圭子が灯りを落とさないので雅彦は身体の隅々までじっくりと鑑賞できた。女の部
分は写真と全く変わらない。そっと口に含むと圭子が溜息を突いた。
 「慣れてるのね。」
 雅彦が更に奥へと舌を差し入れた。写真で見たよりも僅かに襞のはみ出しが大きく
なっている。舐め上げた舌の先がベールを分けて大きめな粒を掘り起こした。大きさ
は松の実大で形はピーナッツに似ている。普段は襞に埋もれているせいか、周りより
も白っぽい色をしていた。そっと唇で挟むとかなりな弾力である。
 「ふふふ。」
 圭子が意味ありげに笑ったので雅彦が顔を上げた。
 「何か。」
 「ごめんなさい、パパそっくりだったから。」
 「何がですか。」
 「感じがね。パパはいつもこうして可愛がってくれたの。」
 雅彦がムッとした顔で上体を起こした。
 「パパの身代わりじゃないって言ったのに。」
 「ごめんなさい、そんな積もりじゃないの。でも、雅彦くんがあの人の息子だって
ことは嫌でも意識しちゃうのよ。」
 「それは何となく分かるような気もするけど。」
 「分かって。さ、今度は私の番。」
 圭子の口の動かし方は独特だった。少なくとも母親とは全然違う。特に舌の動きが
早く、時には狭い入り口を押し広げるように先端を尖らせたり、裏側を集中的に攻め
てくる。圭子は若い雅彦に一度果てさせようと思っているらしい。その必要はないの
で雅彦が圭子の頭を軽く叩いた。
 「ん、」
 圭子が口を離さずに見上げた。
 「時間が気になるから。」
 スポッと音を立てて雅彦が吐き出された。
 「一度出しておかなくても大丈夫。」
 「と思います。」
 「自信たっぷりね。」
 仰向けになった圭子が両足を高く振り上げて雅彦を迎えた。その足を肩に担ぐ形に
なった雅彦が一気に押し入った。
 「す、素敵・・・」
 あっと言う間に先端が奥まで届いた。雅彦にとって三人目の女の身体である。久仁
子はまだきついだけだった。母親の麻美は大分余裕があったが中のザラつきが気持ち
いい。圭子は滑らかだが入り口の締め付けが強かった。雅彦が吐き出されるギリギリ
まで腰を退いてから勢い良く突き戻した。
 「じょ、上手。」
 圭子が喘いだ。雅彦がその動きを繰り返していると今度は先端が何かに当たるよう
になた。ナマコの口を思わせる、柔らかい中にも芯のある感触だった。雅彦が膝を進
めて真上から突き下ろすと先端がそこにはまったような気がした。
 「い、嫌・・・」
 圭子が更に強くしがみついて来た。その『嫌』が本心からでないことは雅彦にも分
かる。同じ動作を続けていると圭子が白目を剥いて動かなくなった。入り口がヒクヒ
クと雅彦を締め付けていた。
 「もう、死ぬかと思ったわ。」
 ようやく黒目が戻ってきた圭子が雅彦の唇にかじりついた。
 「一度きりの積もりだったけど。」
 圭子が雅彦の肩から両足を下ろした。
 「誰に教わったの。」
 「ううん、こう言うやり方したの、今日が初めて。」
 「ふうん、生まれ付き勘がいいんだ。良すぎてどうにかなりそうだったわ。」
 圭子が首を回して枕元の時計を見た。五時近かった。
 「六時には出ないと駄目ね。それまで、いい。」
 「うん。大丈夫。まだイッてないし。」
 「今度は私が上になっていい。」
 「うん。」
 圭子は自分が上になると腰を回転させながら激しく前後に動かし始めた。勢い余っ
て雅彦が飛び出すと慌てて戻す。白い肌に玉のような汗が噴き出し、その滴が雅彦の
胸から腹にポタポタ落ちてきた。
 「イッて。」
 圭子が雅彦の耳元で呟いた。
 「このまま。」
 雅彦が不安そうに聞いた。
 「大丈夫、このままイッて。」
 「うん。」
 雅彦が下から手を伸ばして圭子の尻を両手で掴んだ。その尻を思い切り自分にぶつ
けると先ほどの感触が戻ってきた。
 「そこ、そこ。」
 圭子が焦れたように身を揉んだ。

 進と久仁子が雅彦の家に引っ越してきた。元々一家三人が暮らして来た家である。
進が麻美の寝室で寝起きすれば久仁子にも一部屋使わせることが出来た。邦宏と和美
の兄妹も家が近いことが分かり、お互いに往き来するようになった。
 ある日、雅彦がパソコンの写真を整理していると久仁子が部屋に来た。雅彦は残っ
ていた画像の整理をしている最中だった。画面を見た久仁子が思わず叫んだ。
 「何でママの写真がここにあるの。」
 画面には圭子が両足を広げた正面からのポーズが映っていた。
 「え、ママって、圭子さんが久仁ちゃんのママなの。」
 雅彦が振り返って久仁子を見詰めた。言われてみれば顔付きもあそこの形もそっく
りだった。
 「そうよ。でも、ママが何でこんな写真を。あ、もしかしてママの不倫相手って、
マーちゃんのパパ。」
 一緒に暮らすようになってから久仁子は麻美の真似をして雅彦をマーちゃんと呼ぶ
ようになっていた。
 「うん。ずっと昔からみたい。」
 「うわあ、何だか凄い関係。マーちゃん、ママと逢ったの。」
 一瞬考えた雅彦がコクッと頷いた。
 「もしかして、エッチ、した。」
 こんな写真を雅彦が見ているのだから当然の質問だった。もう一度、雅彦が頷いた。
 「やだ、ママともしちゃったんだ。」
 雅彦は久仁子がさして驚いた様子でもないのが意外だった。
 「久仁ちゃん、僕がママとエッチしても平気なの。」
 「うん。相手がママなら許して上げる。」
 「変なの。」
 「かもね。自分でも分からないけど、ママなら許せるの。」
 「僕のママは。」
 「仕方ないでしょ。駄目って言ってもするんだから。私の方もパパとするからお相
子よね。あ、狡い、マーちゃんの方が一人多い。」
 「ごめん。」
 「ねえ、私のママと、また逢う。」
 「圭子さんは逢いたいって言ってる。」
 「このこと、パパたちに話した方がいいかしら。」
 「うん、僕も迷ってるんだ。」
 「ずっと秘密には出来ないよね。だったら話した方がいいかも。」
 「でも、うちのママと圭子さん、上手く行くかな。」
 「さあ、その話しは寝耳に水だもんね。」
 久仁子が雅彦の顔を自分の方に向けて唇を重ねてきた。雅彦は久仁子のちょっとし
た言葉も聞き逃してはいなかった。圭子のことは意外でも、その他は全て当然のこと
だったらしい。
 その晩、珍しく四人一緒にベッドに入ったところで雅彦が久仁子に目配せした。
 「話すの。」
 「うん。」
 二人の意味ありげな様子に麻美が顔を上げた。二人が抱き合っているタイミングを
選んだのである。
 「実は、圭子さんのことなんだけど。」
 進が驚いたように後ろを向いた。
 「雅彦が何で圭子のことを知ってるんだ。」
 「そうよ、何でマーちゃんが。」
 麻美もきつい目で雅彦を睨んだ。
 「これで少しずつ糸が解けて来たね。」
 麻美がハッとして目を逸らせた。二人が偶然温泉で出会った訳ではないことを白状
したも同然である。
 「パパと圭子さん、ずっと不倫してたんだよね。ママも進さんも、そのこと知って
たんでしょ。」
 二人が顔を見合わせた。
 「久仁ちゃんもね。」
 三人が黙って雅彦を見た。
 「ママと進さんはいつからこう言う関係だったの。」
 雅彦が二人の腰を指差した。麻美が間に手を差し込んだ。深刻な話しになって進が
萎えてしまったらしい。麻美が諦めたように進の上から離れた。
 「きちんと話す時期が来たのかな。」
 進がベッドの上に座り直した。
 「雅彦の言う通り、俺たちは圭子と雅彦のパパのことは何年も前から気が付いてい
た。気が付かない方がおかしいさ。自分の女房が他の男に抱かれてるんだからな。そ
れも毎週金曜。欠かさずだった。」
 「ママも。」
 雅彦が麻美に聞いた。
 「ええ、初めてパパが浮気、と言うか圭子さんと寝てきた日に気が付いたわ。」
 「それでも別れなかったんだ。」
 「勿論、色々考えたわよ。すぐ興信所に頼んで調べさせたの。そしたら、向こう、
進さんのことね、そっちでも調べてるらしいって。ちょっと微妙だったんだけど、私
の方から進さんに連絡したの。」
 「それって、何年前の話し。」
 「六年、いえ、七年くらいになるわね、もう。」
 「それで、ママと進さんが会ったんだ。ところで、いつ二人が出来ちゃったの。」
 「出来ちゃったはご挨拶ねえ。ま、その通りだけどさ。白状しちゃうと、初めて会
った日なのよ。お互いにビビッて感じるものがあったから。」
 「じゃ、ママたちも七年くらい付き合ってるんだ。」
 「そう。でも、滅多に会えなかったから、雅彦が思ってる程じゃ無いのよ。」
 「久仁ちゃんはそのこと、知ってたんだ。」
 雅彦が傍らの久仁子の肩を抱きながら聞いた。
 「うん。エッチしてるって知ったのはつい最近だけど。」
 「平気だった。」
 「ちょっと妬けたわよ。パパ取られたと思ったし。」
 雅彦が麻美を見た。
 「ねえ、肝心なこと聞いていい。」
 「そう来ると思ってた。この際だから、何でも話すわよ。」
 「何でママ、僕とセックスする気になったの。それと、進さんと久仁ちゃんも。そ
れが無ければ全部納得なんだけど。」
 「当然の質問だわね。答える前に聞いておくけど、雅彦は今のこと、どう思ってる
の。」
 「どうって。」
 「後ろめたい。こんなことしちゃいけないって思ってる。」
 「それが、全然。僕がママのこと好きになってたのは分かってるでしょ。」
 「私の写真見たからね。若い頃の。」
 久仁子がニヤニヤしながら雅彦の脇腹を突っついた。
 「ねえ、先に話しといた方がいいんじゃない。」
 「え、何を。」
 麻美がいぶかしそうに久仁子の目を見た。
 「実はさあ、マーちゃん、圭子さんと会ってるんだって。」
 「何で。そう言えば、どうして雅彦が圭子さんのこと知ってるの。」
 「本人から説明した方がいいわね。」
 久仁子がニヤニヤしながら雅彦の背中を叩いた。
 「ねえ、もしかして、雅彦と圭子さん、何かあったんじゃないの。」
 「鋭い。」
 久仁子が大声で笑った。
 「女の勘って馬鹿に出来ないわね。」
 「ちょっと、本当にしちゃったの。」
 麻美がきつい目で雅彦を睨んだ。雅彦が素直に頷いた。
 「何てこと。雅彦があの人とだなんて。」
 麻美が進の肩を揺すった。
 「あなたも何か言って頂戴。」
 進が苦笑いした。
 「まあ、圭子は形の上じゃまだ俺の女房だけど、もう何年も会ってないからな。」
 「でも、雅彦が圭子さんと、なのよ。」
 麻美は夫の不倫相手と自分の息子が逢い、セックスまでしてしまったことが我慢出
来ないようだった。
 「しかも、相手は久仁子ちゃんのママなんだから。」
 「あら、私は平気。」
 久仁子がケロッとした顔で言ってのけた。
 「もう、みんないい加減なんだから。」
 代わる代わる三人の顔を見比べた麻美が諦めたように両手を広げた。
 「要するに、私さえ良ければってことね。」
 進が済まなそうに頭を掻いた。
 「ところで、あなたはやり直せるの。」
 麻美が進に抱き付いた。
 「元通りに行く筈はない。それに、俺は麻美も久仁子も手放せない。でも、もし圭
子がやり直したいと言ったら、何か出来ることはしてやりたい。雅彦くんと圭子がそ
う言う仲になったんなら、尚更だ。」
 久仁子は勿論異存無かった。母親は母親である。雅彦までが二人のやり直しに同意
すると麻美が笑った。
 「あんたはもう寝ちゃったんだからね。」
 麻美が萎んだ進の前をまさぐりながら言葉をつないだ。
 「ハッキリ言えば、圭子さんのこと、恨んでたことは確かなの。それを、私がどう
飲み込むか、それだけね。それに、また進さんを取り返されちゃうような気もするし。」
 「それは無い。仮に今、麻美と圭子のどちらかを選ばなければいけないとしたら、
俺は麻美を選ぶよ。」
 「ありがとう。でも、圭子さんには絶対そんなこと言っちゃ駄目よ。」
 既に進と麻美には共に歩んで来た時間がある。一方、圭子との間では別れて七年と
言う長い歳月が過ぎ去っていた。麻美はそんな進の気持ちを疑った訳ではないのだが、
いざ圭子が目の前の現実として姿を現すとなれば話しは別だった。結局、麻美は返事
を保留した。三人ともそれで当然と受け止めた。
 「もう一つ聞いていい。パパが事故で死んだ時、ママはどう思ったの。」
 雅彦がこれまで経緯を反芻しながら母親の気持ちを確かめようとした。
 「これまた難しい質問ね。うーん、ホッとした、と言うのが正直なところかな。行
き場が無い感じだったのよ、もう何年も。パパと圭子さんは私達のこと知らなかった
と思うの。自分たちの方が先だから、後ろめたさが先に立ってたんでしょうね。圭子
さんは家を出ちゃったけど、パパは家にいたし。でも、マーちゃん、全然気が付いて
なかったの。」
 「今になってみれば、ああ、そう言うことだったんだって思い当たることが沢山あ
るよ。でも、男と女のことって、知ってみるまでは分からないことだらけだもんなあ。
それに、ずっと昔から家の中じゃエッチな雰囲気無かったでしょ。」
 「当たり前よ。子供にエッチしてる様子なんか見せないわ。それに、確かに男って
鈍感よね。」
 「ところで、最後の質問。」
 「まだあるの。」
 「肝心なこと。ねえ、伊豆の温泉で進さんや久仁ちゃんと一緒になったの、偶然じ
ゃないよね。ママが仕組んだの。」
 「私一人じゃないわ。一番乗り気だったは久仁子ちゃんよ。」
 「え、久仁ちゃん。」
 雅彦が呆れたように腕の中の久仁子を見詰めた。
 「へへ、」
 久仁子が悪戯っぽく笑って雅彦の唇を塞いだ。ようやく進が口を開いた。
 「久仁子が俺と麻美のことに気付いたんだ。ホテルから出て来るところを見られて、
その晩凄い剣幕で詰め寄られたよ。言い訳けはしなかった。久仁子に泣かれて、その
晩は抱いて寝た。次の晩も久仁子は俺のベッドに来たんだ。」

 一週間ほどして進が麻美と逢ってきた。その晩も進に抱かれて寝た久仁子が上から
のし掛かって来た。
 「パパ、エッチして来たでしょ。」
 「何で。」
 「匂いがする。その人の。」
 「嘘だろう。ちゃんと石鹸で・・・」
 進がしまったと言う顔をした。久仁子の誘導尋問にまんまとはまってしまったので
ある。
 「やっぱり。」
 進の胸に顔を埋めた久仁子が泣き出した。
 「弱ったなあ。」
 震えている久仁子の背中を進があやすように軽く叩いた。
 「パパも男だ。ママがいなければこう言うことだってある。」
 「どんな人。この間の人。」
 「うん。」
 「きれいな人だった。」
 暫く考えてから進が話し始めた。
 「こうなったら全部話しておこう。その人、麻美って言うんだが、ママの不倫相手
の奥さんだ。」
 「嘘、パパはママの相手の人、知ってるの。」
 「ママの不倫が始まってすぐに調べたさ。麻美の方も別の探偵雇って調べてた。お
互いにそれが分かって、麻美の方から俺に連絡して来たんだ。」
 「やだ、二人とも不倫された腹いせだったの。」
 「いや、そんな積もりは全然無かった。」
 「ふうん、ちょっと信じられないけど。」
 久仁子が身体の間に手を差し込んで進の前を握りしめた。
 「おい、馬鹿なことするな。」
 焦った進が久仁子の手を振り解こうとした。
 「やだ。このおチンチンでその人としてきたんだ。」
 進が諦めたように手を離した。
 「久仁子はもう経験したのか。」
 「ううん、おチンチンに触ったの、これが初めて。」
 「少しは慣れておいた方がいいか。」
 「うん。パパじゃなければヤバイよね。」
 「当たり前だ。この人って思える相手が出てくるまで、軽はずみなことするな。」
 「パパはその人、麻美さんって言うんだっけ。その麻美さんとこれからも付き合う
の。」
 「その積もりだけど、駄目か。」
 「またエッチするんだ。」
 「まあな。」
 「ちょっと悔しいかも。」
 「ごめん。」
 「あーあ、私も早くエッチしたくなっちゃった。」
 いつの間にか進の前が固くなっていた。トランクスなので久仁子が横にずらすと裾
から先端が飛び出して来た。久仁子の手が怖ず怖ずと握りしめた。
 「大っきい。」
 「大したことないさ。普通だよ。」
 「こんなのが入るなんて、信じられない。」
 「その信じられないところから赤ん坊が出てくるんだよ。」
 「あ、そっか。そうだよね。」
 その晩、久仁子は進を握ったまま手を離さなかった。朝、目が覚めてもまだしっか
り握っていた。それ以来、久仁子は一緒に寝ると必ず進の前を握るようになった。ま
だ経験が無いのでそれ以上のことは無かったが、そんな行為が当たり前になって来る
とお互いにその先を意識するようになっていた。
 「ねえ、パパが最初じゃ、駄目。」
 久仁子が握りしめた手を動かしながら聞いた。
 「そう言う訳に行くか。親子でなければ話しは別だけどな。」
 進がちょっと考えてから久仁子を抱きしめた。
 「今度、麻美に会ってみないか。」
 「え、あの人と。それが私とどう言う関係があるの。」
 「実は、ママの不倫相手、つまり麻美の旦那がこの間亡くなったんだ。落ち着いた
ところで旅行に行きたいって言ってるのさ。向こうには久仁子と同い年の息子がいる。
これからのことを考えると、お互いに一度会っておいても悪くないんじゃないかって
思うんだが。」
 「だから、それが私とどんな関係があるって、あ、パパ、もしかして麻美さんの息
子と私がって考えてるの。」
 「いや、そう言う訳じゃないけど、もし気に入ればそうなってもいいかなって。」
 「何だかパパの言い訳みたいな気がするなあ。」
 「多分な。」
 「狡い。でも、会ってみたい気もする。」
 「どっちと。」
 「二人とも。でも、もし私が麻美さんの息子と付き合うようになったら困らない。
だって、パパはいずれママと離婚してその人と一緒になる積もりでしょ。そうなった
ら私と麻美さんの息子は兄妹になっちゃうじゃない。」
 「籍を入れなければ大丈夫さ。」
 「それでも何か変。」
 その晩、結局久仁子はうんと言わなかった。次の晩、進が久仁子に謝った。
 「ごめん、昨日はパパ、変なこと言っちゃった。まだ会ったこともない相手とどう
のこうのなんて、全くひどい話しをしたもんだ。昨日のことは忘れてくれ。」
 「ううん。」
 久仁子が首を横に振った。
 「私も一日よーく考えてみたんだけど、悪い話しじゃないかなって思うの。」
 「いや、パパの都合ばっかり考えて悪かった。」
 「兎に角、旅行には行こう。会ってみて気に入ったらその時はその時。」
 「そうだな。その話しは抜きにして、一度会っておくのも悪くないかも知れない。」
 「ねえ、もし麻美さんの息子が気に入ったら、エッチしても怒らない。」
 「さあ、いざとなると分からんな。」
 「大人って狡いよね。自分のことは棚に上げて娘にだけは厳しいんだから。」
 「そりゃあ、自分の娘が別の男に抱かれると思うと心穏やかじゃないさ。」
 「じゃあ、代わりにパパが抱いてくれるの。久仁子はそれでもいいよ。」
 「そうは行かないところが悩ましいんだよ。ま、麻美と連絡取って旅行の話しを進
めてみよう。」
 「うん、すっごく楽しみ。」

 「そう言う訳なんだ。」
 話し終えた進が照れ臭そうに頭を掻いた。
 「久仁ちゃんの方も進さんとやばかったんだ。」
 雅彦が二人を見比べた。久仁子が雅彦の腰に手を回しながら頷いた。
 「うん、だから、あのパソコンの写真見た時、凄く安心したの。ほんとはパパに抱
いて貰いたくてウズウズしてたから。」
 「何でパパと。」
 「分からない。でも、マーちゃんこそ、何でママとしたいって思ったの。」
 「ママの若い頃の写真見たからかなあ。」
 「分かるかも。麻美さんって凄くきれいだから。」
 「あら、久仁子ちゃんだってとっても可愛いわよ。雅彦だって一目惚れしたんじゃ
ないの。」
 麻美が雅彦のおでこを突っついてケラケラ笑った。
 「残るは圭子のことだけか。」
 進の言葉に三人が一様に頷いた。
 話を聞いた邦宏が、圭子を自分の養子にしたらどうかと言ってきた。子供のいない
二人。都内でも一等地の家と僅かな蓄えはあると言う。自分たちが緩衝剤になる筈だ
と言うのである。それを受けて、麻美が圭子と正式に別れて欲しいと進に持ち掛けた。
 「私、圭子さんと同じ土俵で進さんと付き合いたいの。それならお互いにわだかま
り無く付き合えるかも知れないから。」
 「もっともだ。圭子の方も今更自分が正式な女房だなんて言わないだろうし。」
 すぐさま進が同意した。別居してもう五年以上になるが、戸籍上、進と圭子は夫婦
のままなのである。
 雅彦が圭子に連絡を取った。もう一度会って話がしたいと告げ、都内のホテルにス
イートを予約して全員揃って圭子を迎えた。進の姿を見て慌てて逃げようとする圭子
を久仁子が必死に引き留めた。
 「ママ、逃げないで。」
 「だって、こんなの、ひどい。」
 圭子が恨めしそうに雅彦を睨んだ。
 「何でそう言ってくれなかったの。」
 「話したら来なかったでしょう。」
 「それはそうだけど。」
 圭子が開き直ったようにソファーに腰掛けた。麻美がお茶の用意を始めた。
 「こちらは邦宏さんと和美さん。圭子に話しがあるんで来て貰った。」
 進が二人を紹介した。いぶかしそうに圭子が形ばかりの挨拶をした。
 「私達六人はこれから一つの家族として暮らして行こうと思っている。もし圭子さ
えよければ、一緒に暮らさないか。」
 進の言葉が圭子にはよく分からないようだった。
 「それって、あなたと麻美さんが一緒になるってこと。だったら私は邪魔でしょ。
それよりも、いつからあなたと麻美さん付き合ってたの。」
 「もう六年以上になる。」
 「それって、私と賢治さんが始まった頃じゃない。」
 賢治は雅彦の父親の名である。
 「そうだ。お前たちのことを俺も麻美も同時に調べようとしたんだ。それが分かっ
て、麻美が俺に連絡して来た。それからだよ、俺たちの付き合いが始まったのは。」
 「それで、私が出て行っても平気だったのね。」
 「まあ、そう言うことだ。」
 「あなた、さっき、私も一緒にやり直すって言ったけど、麻美さんも一緒なんでし
ょ。そんなの無理よ。」
 「勿論、圭子の気持ち次第だ。ただ、圭子が雅彦とそう言う仲になったと聞いたん
で、もしかしたら一緒に暮らせるかも知れないって思ってな。」
 「頭がクラクラして来たわ。つまり、私とあなたがやり直す。あなたと麻美さんも
これまで通りで、私と雅彦くんもって訳。」
 「それだけじゃないけどな。」
 圭子が改めて邦宏と和美を見た。
 「この人たちも一緒、ってこと。」
 「いずれはそうなるかも知れないが。邦宏さんは別のことでここに来て貰ってるん
だ。圭子に養子にならないかって言ってくれてるんだよ。」
 「はあ、養子ですって。」
 圭子は全然話しに付いて行けず、目を白黒させるばかりだった。
 「つまり、これは麻美が出した条件なんだが、俺と圭子が正式に別れて欲しいと言
うこと。麻美も俺の籍には入らない。麻美は圭子と同じ条件になって一緒に暮らした
いと言う希望なのさ。」
 「それと養子の話し、何の関係があるの。」
 「取り敢えず気持ちの上でやり直せるまでのワンクッションと言うところだな。今、
俺と久仁子は麻美さんの家で暮らしてるが、いずれそこも引き払って邦宏さんのとこ
ろで厄介になろうと思ってる。邦宏さんもそう言ってくれてるし、家も十分な広さだ
から、圭子は一足先にそこで待ってると言う寸法だ。」
 「あなた方と邦宏さんはどう言う関係なの。」
 「言いにくい関係さ。圭子が一緒に暮らす決心付いたら、何もかも説明する。」
 「何が何だか分からないけど、今日決めなければいけないの。」
 「出来ればな。」
 「そう言われても、まだ頭の中がゴチャゴチャだわ。」
 夕食の時間になり、麻美がルームサービスを注文した。話しが話しなのでその方が
いいと思ったのである。
 「今晩は勿論ここに泊まるのよね。」
 食事も終わり、圭子が幾分打ち解けた口調で進に聞いた。
 「その積もりでスイートを取ってある。」
 「そこが腑に落ちないの。まさかみんながいるところで。」
 「その積もりだ。」
 「麻美さんがいる前で。」
 「うん。」
 「だって、ねえ。」
 圭子が麻美の顔を見た。
 「私に遠慮しないで。私もその積もりで来てるから。」
 「何だかやばい雰囲気。もし私がうんって言えば、これからずっとこうなのね。信
じられない。」
 「やはり、すぐには無理かもな。」
 それまでニヤニヤしながら話しを聞いていた久仁子が口を挟んだ。
 「そうでもないみたいよ。嫌だったらとっくに帰ってるわ。そうでしょ、ママ。」
 圭子がちょっと気色ばんで久仁子を怒鳴りつけた。
 「子供が口を挟むようなことじゃないでしょ。」
 「あら、私、マーちゃんと同い年よ。」
 「え、マーちゃんって、雅彦くんのこと。」
 「うん。ママ、マーちゃんと寝たんでしょ。」
 圭子の顔が真っ赤になった。
 「それは、そうだけど。」
 「だったら私だけ子供扱いしないで。」
 「まったく、あなた達は全部オープンなの。」
 麻美が久仁子に代わって答えた。
 「そうよ。隠し事も分け隔ても無し。そうなの、分け隔ては一切無しなのよ。」
 「何か意味深な言い方ね。」
 「圭子さんの想像、多分当たってるわ。」
 「嘘。」
 圭子が顔を赤らめた。
 「とにかく、俺たちはそっちの部屋に行こうか。」
 このスイートは寝室が二つだった。広い部屋にはキングサイズのベッドが二つ、隣
にはダブルベッドが置かれていた。とは言っても二つの部屋の間にドアは無い。間仕
切りはあったが、お互いに顔が見える配置になっていた。
 「ねえ、久仁子も見てるのよ。」
 圭子が文句言ったが、進はお構いなしに服を脱いでベッドに入ってしまった。それ
を見た麻美と雅彦も寝支度を始める。圭子が様子を見ていると、まず邦宏と和美が同
じベッドに入った。続いて麻美と雅彦が隣のベッドに潜り込む。いつの間にか裸にな
った久仁子が隣の部屋のベッドサイドにしゃがみ込んでいた。
 仕方ない、と言った表情で圭子も服を脱いだ。慌てて毛布を剥ぎ、進の隣に滑り込
んだ。
 「こんなことなら、別の下着にしてくれば良かったわ。」
 圭子が恨めしそうに進を睨んだ。圭子は雅彦と過ごす積もりで前開きの下着を身に
着けていたのである。
 取り敢えずベッドには入った圭子だが、どうにもぎこちない風情で進とは距離を保
っていた。業を煮やした久仁子が進の後ろからベッドに潜り込んで背中を押した。進
の身体が圭子の上に半分重なった。
 「パパの意気地なし。」
 久仁子がそう言って手を伸ばした。その手が圭子の下着に触れた。
 「ママ、凄い下着履いてる。」
 「え、あんたなの。やめて、変なところに触らないで。」
 圭子が慌てて身を退こうとすると進が抱き寄せた。
 「親子三人、水入らずだな。」
 「ちょっと、茶化さないでよ。まさか久仁子と三人でなんて考えてるんじゃないで
しょうね。」
 圭子が必死に抵抗した。その間に久仁子の指が下着の合わせ目から中に滑り込んで
きた。
 「いや、駄目。」
 必死に抵抗する圭子の耳に麻美の含み笑いが聞こえてきた。圭子が首を回してそち
らを向くと、雅彦が麻美の上からのし掛かっていた。
 「まさか。」
 圭子の身体からガクッと力が抜けた。
 「あなた達って、とんでもない人達なのね。」
 もう一つのベッドからも絡み合う気配が聞こえてきた。
 「兄さん。」
 和美が小さく喘いだ。
 「頭がおかしくなりそう。」
 最早抵抗しなくなった圭子の下着を久仁子がそっと下ろした。久仁子の唇が露わに
なったところに触れても圭子は足を閉じようとはしなかった。
 「私って、やぱりお邪魔虫。」
 圭子がポツリと言った。
 「そんなことはない。圭子次第だ。」
 進が圭子の上になった。久仁子が進の前を握って圭子に擦り付ける。
 「七年振りだな。」
 進が少しずつ圭子の中に沈んで行った。最後に挟まった手を久仁子がそっと外した。
 「これで、私もお仲間なの。」
 圭子が進の首に手を回した。進が答える代わりに腰を動かし始めた。久仁子が進の
手を自分の方に引き寄せても圭子はその様子をジッと見詰めているだけだった。
      
 久し振りに二人きりになった雅彦と麻美が抱き合っていた。進と久仁子は圭子の引
っ越しを手伝いに行ったまま向こうに泊まると言って来た。
 「まさか天国の、いえ地獄かもね。パパも、マーちゃんと圭子さんがあんなことに
なっちゃうなんて、思ってもいなかったわね。」
 「それもこれも、パパの写真が全ての始まりだよ。」
 「そうね。あれが無かったら圭子さんとマーちゃんも出会って無い訳だ。」
 「ところでママ、圭子さんとは上手く行きそう。」
 「うん。最初はちょっと心配したけど、何とかなりそう。圭子さんの方はどうかし
ら。その辺はマーちゃんの方がよく分かるんじゃない。」
 「自分が無理矢理割り込んだんじゃないかって気にしてるみたいだよ。邦宏さんた
ちがいるんで少しは気が楽みたいだけど。」
 「確かに進さんとはまだぎこちないわね。一度醒めちゃった夫婦だから無理無いん
だけどさ。私だってパパともう一度って言われても、きっと無理よ。」
 「そんなもん、夫婦って。」
 「そうなの。何故かしらね。ところでマーちゃんと久仁子ちゃんは上手く行ってる
の。」
 「うん。最近凄く感じるようになったみたい。」
 「進さんと二人掛かりだからね。」
 「ううん。」
 「違うの。」
 「邦宏さんも。」
 「あ、もしかして、あんたも和美さんと。」
 「うん。」
 「そっか、そうだよね。」
 雅彦が麻美の膝を割って顔を埋めた。何度見てもこの景色は飽きないな、と雅彦が
思った。


[2004/03/05]

eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。