夏の思い出 ごみ箱
ひとりごと
子どもの頃は夏の朝は今より涼しく、気持ちよく起きられた。当時川の字で寝ていたが左右には誰もいない。起きた頃には父は会社にでかけてしまって母は台所で家事をしていた。私は枕元にあったゴミ箱が気になって覗いてみた。なぜ気になったのかは覚えていないが、おそらく寝る前にはなかったものが置いてあったからだと思う。ゴミ箱の底にちり紙と何かがつまった風船が捨ててあった。風船は薄い青色だった。膨らませずにしばってあった。中に入っているのはなんだかわからないが触るとぶにゅぶにゅしていたので、父の喉に詰まった痰だと思っていた。高校生になってコンドームを使うようになったころ、幼い日に見たものが今自分が用を済ませて口を結んでみてつながった。私が寝ている間に父と母が繫がっていたのだがまったく気が付かなかった。お互い声を出さないように気をつけていたのだろう。