2ntブログ

小説(転載) 『誕生日の素敵なプレゼント』 第二部 4/8

近親相姦小説
09 /19 2018
(四)再会、そして

 美子の引っ越しが終わるのを待って弥生が賢と圭子を家に連れてきた。玄関
で出迎えた賢治を見て圭子が絶句した。
 「二十年振りだな。ちょっとふっくらしたけど、全然変わってないな。」
 「賢治さんこそ。」
 賢は賢治と弥生のことを殆ど報告していなかったらしい。
 「まさか、弥生と賢がこう言うことになってしまうなんて。世の中狭い。」
 「私も弥生さんって名前を聞いた時はちょっとは胸騒ぎがしんたけど、まさ
かねぇ。」
 「さ、こんなところで立ち話も何だから、上がって。」
 「お邪魔します。ところで賢治さん、奥さんは今日いらっしゃらないの。」
 賢治と弥生が顔を見合わせた。
 「話してないのか。」
 「それはパパの口からじゃない。」
 「そうだな。とにかく上がって。時間はたっぷりあるんだから。」
 圭子と賢をリビングに通した賢治が弥生にお茶の支度をさせた。圭子は紺の
スーツにピンクのブラウスを着ていた。タイト気味のやや短めのスカートなの
で、ゆったりしたソファーに深々と腰掛けるとピッタリ膝を閉じていても僅か
に下着が見えていた。賢治が言う通り腰の辺りの肉付きは一回り大きくなって
いたが、全体のプロポーションは殆ど崩れていなかった。
 「さっきの質問だけど、女房とは先週、正式に別れたんだ。細かいことを抜
きにして言えば、もう実質的に夫婦じゃなくなって何年にもなるし、弥生にそ
の辺をきちんとしておけって言われたんだよ。」
 「まあ、弥生さんに。」
 「うん。全てに於いて弥生には振り回されっぱなしなんだ。ところで、圭子
には全て事情が分かっていることだが、賢にもその辺のことをきちんと説明し
ようか。」
 自分が呼び捨てにされたので圭子がチラッと上目遣いに賢治の顔を見た。
 「俺の方は全て弥生に話してあるんだ。」
 賢が顔を上げて賢治の目を真っ直ぐに見た。賢治が口を開く前に賢が先回り
して答えた。
 「大体分かりました。要するに、あなたが僕の父親と言うことなのですね。」
 「その通りだ。俺は一目見たときにそれが分かった。何しろ、圭子にそっく
りなんだから。」
 「いえ、この子は父親似ですわ。ね、弥生さん。」
 「私もそう思うわ。初めて抱かれ・・・あ、いけね。」
 弥生がペロッと舌を出した。顔が真っ赤になっていた。
 「そんなこと分かってますよ。遠慮しなくていいわ。」
 圭子が苦笑しながら弥生にウィンクして見せた。
 「とにかく、うう・・・パパそっくりで驚いたんだもん。」
 弥生が危うく言葉を飲み込んだ。調子に乗って喋ると飛んでもないことを言
ってしまいそうだった。
 「それより、パパ達、もう一度出直す気持ちはないの。」
 「パパ達って、俺と圭子のことか。」
 「うん。二人とも嫌いになって別れた訳じゃないんでしょう。」
 「今日、それも二十年振りに会ったばかりだよ。今すぐそんなこと言われて
も。なあ、圭子。」
 「いえ、私の方は賢治さんさえよければ。」
 「ほら、圭子さんもああ言ってるんだから。」
 「そりゃあ俺に異存がある訳じゃないが。」
 賢治がコーヒーを飲み干して暫く黙り込んだ。
 「その前に、何で、二十年前に圭子が俺の前から姿を消さなければならなか
ったのか、その訳を聞かせてくれないか。」
 圭子が暫く考えてから口を開いた。
 「そうね。こうなったら、その辺をきちんとしておかないと行けないわね。」
 圭子が賢と弥生を交互に見比べた。
 「実は、私と賢治さんは、賢と弥生さんと同じ関係なの。」
 「え、どう言うことだ。」
 「私と賢治さんの父親は同じと言うこと。詳しくは聞かされてないけど、賢
治さんのお父様と私の母親が不倫して、それで私が生まれたんですって。それ
を知っていたのは不倫の当事者二人だけ。私の父親も不倫そのものには気が付
いていたらしいけど、相手が誰かまでは知らなかったみたい。母が私達の結婚
に猛反対したんで、それで初めて相手が賢治さんのお父様だって分かったんで
すって。」
 「俺と圭子が兄妹。間違いないのか。」
 「勿論、その辺のことは全て問い質したわ。だって、そんなに簡単に賢治さ
んのことを諦められる筈無いでしょう。お腹の中には賢もいたんだし。母は土
下座して私に謝ったわ。兎に角、一緒になることだけは諦めてくれって。そん
なことじゃなかったら、勿論、私独りでヨーロッパから逃げて来てたわよ。」
 「ありがとう。」
 賢治が圭子に向かって深々と頭を下げた。
 「お陰で二十年間、ずっとわだかまってたモヤモヤが晴れたよ。圭子のこと
を心のどこかで恨みに思ってた自分が恥ずかしい。許してくれ。」
 「もう言わないで。」
 圭子の目から涙がこぼれ落ちた。
 「私が誰とも結婚しなかった訳が分かる。それがせめてもの母親に対する抵
抗だったの。私の気持ちの中にはいつも賢治さんしかいなかった。だから、さ
っき弥生さんにもう一度出直してみたらって言われて、涙が出るくらい嬉しか
った。」
 弥生が嬉しそうな顔で二人を見比べてから賢に同意を求めた。
 「決まったようなものね、賢。」
 「うん。僕も二人がもう一度、一からやり直して欲しいと思うな。」
 ようやく涙を拭いた圭子が立ち上がった。
 「今日はそろそろお暇しましょう。また改めてと言うことにして。もう少し
落ち着いて考えたいし、あんた達のこともあるし。」
 「そうだね。そうしようか、ママ。」
 賢治も頷いた。
 「焦ることは何もない。圭子の気持ちが固まったら俺の方から迎えに行く。
それでいいかな。」
 「勿論、待ってます。今すぐでもいい位なんだけどもう少し時間を下さい。」
 「うん。賢、ママを頼むよ。」
 「はい。今日は何だか凄い一日でした。」
 「全くだ。気を付けて帰りなさい。」
 圭子と賢を見送った弥生が、二人の姿が角を曲がって消えるのを待ち兼ねた
ように賢治の手を取って家の中に急いで戻った。
 「何だか凄い因縁ね。パパと圭子さんも兄妹だったなんて。」
 「本当だ。俺もまだ頭の中が混乱してるよ。」
 「さ、晩ご飯にはまだ早いから。」
 弥生が賢治の手を引いて寝室に入ろうとした。
 「ねえ、もうママいないんだから、約束破ってもいいでしょう。」
 「弥生には賢がいるじゃないか。」
 「賢は私の半分っていったでしょ。今はもう半分のパパに滅茶苦茶甘えたい
の。」
 「そうは行くか。それとも、これが最後の晩餐か。」
 「ううん。今日の雰囲気なら別の可能性だってあると思うよ。」
 喋りながら弥生が賢治の服を次々と脱がせていった。最後にパンツから勢い
良く飛び出したものを弥生がしっかりと口に含んだ。その口を離さずに弥生も
服を脱いで行く。下半身裸になった弥生が自分からベッドに仰向けになった。
 「来て、パパ。」
 最後のTシャツも脱ぎ捨てて素肌になった弥生が両手を広げて賢治を迎え入
れた。
 「素敵・・・」
 賢治はこれが最後と言う感慨を持って娘の身体を激しく突き立てた。しかし、
弥生にはそんな悲壮感は全く無いようだった。次の晩も弥生は当然のように賢
治のベッドに潜り込むと賢治の腰に跨って激しく求めてきた。賢治は、圭子と
一緒になる日まで、と自分に言い聞かせながら娘に譲歩せざるを得なかった。


(5)へつづく・・・

小説(転載) 『誕生日の素敵なプレゼント』 第二部 3/8

近親相姦小説
09 /19 2018
 あれから二十年。間もなく成人に達するところまで成長した息子が目の前に
いた。賢の顔立ちは圭子に瓜二つ。もし道ですれ違ったとしても間違いようが
無い位だった。
 「植野くんのお父さんは何をしてるの。」
 賢治がそれとなく圭子の現在を探り始めた。
 「いえ、僕には父親がいないんです。祖父母の反対で一緒になれなかったと
母が言ってました。」
 「お母さんは。」
 「母は今、翻訳とか通訳の仕事をしています。」
 「英語。」
 「いえ、フランス語です。僕が生まれたときはベルギーに住んでいたので。」
 「ベルギーね。」
 賢治は祝電の発信元がベルギーだったことを思い出した。
 「ところで、弥生から聞いたんだけど、二人のデュエット、その内聞かせて
よ。」
 「は、はい。喜んで。」
 「お母さんは歌、歌わないの。」
 「たまに歌うこともあります。嫌いじゃないみたいです。」
 「その内、四人でコーラス出来たら楽しいだろうな。」
 「ええ。母にも聞いておきます。」
 「うん。」
 賢治と賢のやり取りを弥生がジッと見つめていた。勘の鋭い弥生は何かに気
付いたようだった。賢と別れた二人が家に戻ろうとすると、弥生が賢治の手を
強く引っ張った。
 「ねえ、パパ。今日はこのまま帰りたくない。」
 「何だ、急に。」
 「まだ九時でしょ。」
 弥生が駅とは反対の方角に向かって歩き始めた。
 「おい、今日はやめとこう。」
 「駄目。」
 賢治はどこかで賢と出くわさないか、それが気になって仕方が無かったが、
弥生はお構いなしに裏通りに入っていった。飲屋街を通り過ぎるとその先には
ホテルのネオンが幾つも輝いていた。弥生が何度も後ろを振り返り、人通りが
絶えたのを確認してから一軒のホテルに賢治を引っ張り込んだ。弥生自身も賢
のことが気になっていたらしい。
 部屋に入った弥生が無言で服を脱ぎ捨て、煮え切らない賢治を素早く裸にし
てしまった。風呂も使わず強引にむしゃぶりついてきた弥生を賢治が抱きしめ
た。そのまま賢治をベッドに押し倒した弥生が自分の方から強引に一つになっ
てきた。
 「ねえ、パパ。どう言うことか聞かせて。」
 「え、何の話だ。」
 「パパ、賢のこと知ってるんでしょう。」
 「いや、会ったのは今日が初めてだよ。」
 「嘘。」
 「いや、本当だ。正真正銘の初対面さ。」
 「でも、何かあるんでしょう。今日のパパ、凄く変だった。」
 弥生はその鬱憤を身体で晴らそうとでもするように腰を乱暴に擦り付けて来
た。
 「ちょっと待て。こう言うのパパ嫌いだ。話すからジッとしなさい。」
 「何もかも話してくれる。」
 「パパが知ってる範囲で全部話すよ。」
 「うん、ならいいわ。」
 弥生の動きが鎮まったところで賢治が重い口を開いた。
 「賢は俺の息子だ。多分、間違いないだろう。」
 「パパの息子って、私の兄さんって言う意味。」
 「うん。母親はママじゃないが。」
 賢治が手短に圭子との経緯を話して聞かせた。
 「へえ、そんなことがあったんだ。でも、パパ、何でママと結婚したの。子
供まで出来ちゃってたのに。どうしてその圭子さんって人を追い掛けなかった
の。」
 「追い掛けたさ。夏休みに休暇取ってヨーロッパまで捜しに行ったんだ。」
 「それでも見つからなかったの。」
 「うん。結局、圭子の方が会おうとしないんなら諦めるしかないかなって。」
 「でもさぁ、一年くらいで簡単に諦められちゃうもん。それともママが美人
だから気が変わったの。」
 「タイプは違うけど圭子もママに負けない美人だよ。そうだなあ、二人の若
い頃思い出して比べてみても、今の弥生が一番かな。」
 「またまたぁ。娘喜ばしてどうするの。」
 口ではそう言いながらも弥生は満更でもない様子だった。少しだけ弥生の機
嫌が直ってきた。
 「パパが簡単に圭子さんって人諦めちゃったのは不満だけど、別れてなかっ
たら私は生まれて来なかったのよね。うーん、複雑な気分。」
 「簡単に諦めた訳じゃないんだよ。」
 「でもさあ、賢のお母さんがその圭子さんだとすると、ちょっと微妙ね。い
ずれ会うことになるでしょ。」
 「うん。会わないって訳にも行かないだろう。こうなったら、圭子の両親が
そこまでして、なぜ俺達を強引に引き離したのか、その理由が知りたくなった
よ。」
 「パパ、その前にすることがあるんじゃないの。」
 「何だ。」
 「ママのこと、このまま放っておくの。」
 「ああ、そのことか。」 
 「私、ママの浮気の証拠、しっかり集めておいたよ。パパとこうなってから
すぐに興信所に頼んだの。写真も撮ってあるって。」
 「そんなことまでしてたのか。」
 「うん。パパ、そろそろ潮時だと思うよ。もう、どうやったって元には戻れ
ないんでしょう。」
 「まず無理だな。」
 「だったらパパがきれいな内に別れた方がいいと思うよ。」
 賢治が苦笑した。
 「パパのどこがきれいなんだ。」
 賢治が下から腰を突き上げた。弥生が咽の奥でククッと笑った。
 「私は別。だって、パパの娘でしょ。」
 「余計悪い。」
 「そんなこと言わないで。」
 賢治が元気を回復したので弥生がまた腰を動かし始めた。さっきと違って落
ち着いた動きに今度は賢治も下から優しく応じた。
 「気持ちいい。」
 弥生が目を細めて腰を震わせた。
 「上になろうか。」
 「ううん。このままがいい。何かこうしてるとパパが本当に自分のものだっ
て実感するんだもん。」
 「パパはずっと弥生のものさ。弥生は俺のものじゃないけど。」
 「駄目、弥生もパパのもの。」
 「賢がいるだろう。」
 「そうだね。じゃあ、半分だけパパのもの。」
 「困った奴だ。」
 「パパの方の残り半分はどうするの。」
 「そんなの、圭子に会って見なけりゃ分からないさ。」
 「パパの方はそれでもいいの。」
 「圭子がうんって言えばな。」
 「ちょっとは先が見えてきたかな。」
 「何だ、先って。」
 「ううん、こっちの話し。でも、パパにとっても悪い話じゃないと思うよ。」
 弥生が腰を前後にきつく擦り付けて来た。弥生は何があろうとも賢治とのこ
の時間を無くすつもりはないようだった。

 翌週、弥生が興信所からの報告書を賢治に見せた。添えられている写真を見
て、賢治は妻の不倫相手が誰なのかを初めて知った。一緒にホテルから出てく
るその男は賢治の旧友、青沼だった。以前は家族ぐるみで行き来したいた時期
もあったのだが、ここ数年、顔を合わせたこともない。恐らく二人がそう言う
関係になったので自然と疎遠になってしまったのだろう。賢治は依頼主の名前
を自分に書き換えさせ、その書類を妻の前に突き付けた。
 「もう、お仕舞いにしようじゃないか。」
 賢治の言葉に美子が黙ってうなだれた。
 「青沼の方も最近カミさんと別れたそうじゃないか。だったら、お前にも受
け皿があることだし、この辺で区切りをつけないか。」
 「あなたの方はどうなさるの。」
 「さあ、暫くは独りになってゆっくり考えるさ。弥生のこともあるしな。」
 「最近、随分弥生と仲がおよろしいのね。」
 賢治にはそれが皮肉に聞こえた。
 「いい加減に仮面夫婦やめたらって言い出したのは弥生だよ。あいつにもど
うやら恋人が出来たようだし。それに、この調査も最初は弥生が俺の名前で依
頼したんだ。」
 「そのようね。弥生もここ暫くで随分女っぽくなったわ。ところで、弥生は
どうするって言ってるの。弥生が私のこと調べた位だから、あなたと一緒って
ことね。」
 「その方がお前も身軽でいいだろう。青沼の方にも確か子供が二人いた筈だ
し。」
 「三人よ。分かりました。それで、あなたの方の条件は。」
 「家は俺と弥生が使わせて貰う。預金はお前が全部持ってっていい。まあ、
大した額じゃないけどな。別に、青沼から慰謝料取ろうなんて気は全く無いよ。
百パーセントお前達が悪いなんて言わないから。」
 「随分寛大なのね。もしかして、あなたにもいい人が出来たんじゃないの。」
 「そんなのがいたら、とっくに調べてるだろ。」
 「ええ。あなたが最近やたら元気なんで調べようかと思ってたくらい。ま、
その辺は今更詮索しようとも思いません。でも、最後に弥生と話をさせて下さ
い。その上で改めてご返事します。」
 弥生の返事は当然決まっていた。それを受けて美子が書類に判を押し、全て
が終わった。賢治は約束通り定期預金など全てを解約して美子に渡した。弥生
の学費等これからの出費もそれなりあったが、家のローンが終わっているので
当座の心配は無かった。


(4)へつづく・・・

小説(転載) 『誕生日の素敵なプレゼント』 第二部 2/8

近親相姦小説
09 /19 2018
 「ご、ごめん。」
 賢が慌てて腰を浮かせようとしたが弥生が腰に手を回して離さなかった。二
度、三度、それが口に入って来る度に弥生の喉が鳴った。一滴もこぼすまいと
しているようだった。
 賢がフーッと息を吐いて顔を上げた。弥生が口を離すと、体の向きを変えて
上から重なって来た。見上げた弥生の目が潤んでいた。
 「ご、ごめん。我慢出来なかった。」
 「ううん。嬉しかった。」
 「そう言ってくれると、俺も嬉しい。」
 「少し休んだら。」
 父親の賢治は一度果てると最低でも十分くらいは休憩するのである。しかし、
賢は首を横に振った。
 「弥生がよければ、今すぐにでも一つになりたい。」
 「うん、いいよ。」
 「ちょっと待って。」
 賢が起き上がって枕元から小さなビニール袋を取った。
 (コンドーム付けるんだわ)
 それは弥生にとって初めての経験だった。最初の晩も含めて賢治は一度も付
けたことがない。賢が振り返ったので弥生がチラッと確認した。それは透明な
スキー帽のように少し先端が余って垂れ下がっていた。
 「弥生。」
 「賢。」
 賢が弥生の膝を開き、その膝を抱えさせた。上を向いた襞が物欲しそうに半
ば口を開いている。賢が先端を宛うと弥生が息を吐いた。スルッと入って来た
ものがやけに滑らかだった。
 (やっぱり生の方がいい)
 きっと賢の方も物足りないことだろう。出来ることなら邪魔なゴムなど外し
て直に賢の感触を味わいたかった。しかし、今日が安全日なのか、弥生には自
信がなかった。一番奥まで到達した賢が両腕で押し付けていた弥生の膝を自分
の腰に絡ませた。
 「好きだよ。」
 賢が弥生の耳元で呟いた。
 「私も。なぜか分からないけど、賢が好き。」
 「動いてもいい。」
 「動いて。滅茶苦茶にして。」
 賢の腰が激しく動き始めた。最早弥生に優しさは要らなかった。父親の賢治
と比べたら倍以上の早さで賢の腰がコクコクと前後に動いている。それも単純
な動きではない。突き入れる度に角度を変えて来るのである。合わさった部分
から粘っこい、いかにも卑わいな音が部屋中に響き始めた。
 「い、いい・・・・」
 弥生は身体の芯から沸き上がって来る心地よい波に身を任せながら、心の中
で必死に賢治の面影を思い浮かべていた。ふと見上げた賢の顔がドキッとする
くらい父親に似ていた。

 「そうか、弥生にもとうとう彼氏が出来たか。」
 上になった賢治が腰の動きを止めた。ともすれば強張って来そうな表情を何
とか和らげようと必死になっていた。
 「初デートで抱かれたんじゃ、よっぽど気に入ったんだな。」
 「分からない。カラオケハウスで二人きりになったら、なぜか胸がキューン
となっちゃって、気が付いたら抱かれてたって感じかな。」
 「兎に角、一度連れておいで。」
 「パパ、怒らない。」
 「馬鹿言うな。俺に怒る筋合いなんて無いさ。」
 「駄目よ、パパ。元気無くしちゃ。」
 弥生が下から腰を突き上げた。
 「男って、本当にデリケートなのね。」
 勢いを失った賢治に弥生が焦れたように腰を押し付けた。
 「駄目、ちゃんと可愛がって。」
 弥生が目をつぶると目の前に賢の顔が浮かんできた。ハッと目を開くと目の
前の父親の顔が賢とダブって見えた。
 (何でこんなに似てるのかしら)
 中の感じだけが違っていた。
 (やっぱり生がいい。賢とも生でしたい)
 弥生は父親のゆったりした動きに身を任せながら勝手な想像を巡らせていた。
 (きっと賢とも生でしたらこんな感じなんだわ)
 弥生は父親と一つになりながら平気で賢のことを想像している自分に苦笑し
た。
 翌日、弥生が賢治の会社に電話を掛けてきた。
 「ねえ、帰りに待ち合わせていい。」
 「昨日の今日じゃちょっと。」
  賢治が言い淀んだので弥生が苦笑した。会社だから滅多なことは口に出来
ないのである。
 「違うの。今、賢とデート中なの。で、パパが会いたがってるって言ったら、
今日じゃ駄目か聞いてみてって。」
 「そこにいるのか。」
 「うん。」
 「分かった。今晩会おう。どこか適当なところで待ってなさい。もうすぐ出
られるから六時前には行けるだろう。そうだな、新宿西口交番の前でどうだ。
地下のロータリーの。」
 「何か色気のない待ち合わせ場所ね。」
 「そのまま寿司でも食いに行こう。家には俺の方から電話入れておくから。」
 「いいわ、それで。じゃあ六時ね。」
 「うん、なるべく早めに行くよ。」
 電話を切った賢治が隣の若い事務員、洋子に向かって照れ笑いした。
 「娘が彼氏に会ってくれだってさ。」
 「あら、父親としては複雑な気分じゃありません。」
 「うん。どんな奴を連れて来るんだか。」
 「父親の目って、どんなにいい相手でも厳しいらしいですね。娘を取られち
ゃうような気分になるんでしょう。」
 「違いない。」
 「お寿司、喉、通ります。」
 「さあ。井上くんの時はどうだった。」
 「私、まだ一度も彼を紹介したことないんです。そんな決まった相手いない
し。あら、そう言えば課長のお嬢さん、まだ高校生じゃなかったかしら。」
 「うん、高校一年だ。」
 「お嬢さん、よっぽど課長のこと信頼してるのね。私だったら、例え彼氏が
出来ても絶対に父親に会わせたりなんかしないわ。」
 「そんなもんか。」
 「だって・・・」
 洋子が頬を赤らめた。
 「彼氏って言うからには、もうしてる訳でしょ。そんな相手、恥ずかしくっ
て父親なんかに紹介出来ないわよ。」
 「やっぱり、してるかな。」
 「してなかったら彼氏だなんて言わないし、ただのボーイフレンド紹介して
も始まらないし。」
 「言われてみればそうかも知れないな。」
 洋子が時計をチラッと見た。
 「ほら、課長。急がないと遅刻ですよ。残りの書類は私が片付けて置きます
から。」
 「すまない。そうさせて貰うよ。」
 「明日、しょげて来ないで下さいね。」
 「だといいんだが。」
 賢治が約束の西口に着いたのは六時五分前だった。既に弥生が賢を連れて待
っていた。
 「パパ、紹介します。植野賢さんです。」
 「植野です。はじめまして。」
 「こちらこそ。弥生の父親です。さ、こんなところで立ち話してないで、寿
司でも食いに行きましょう。」
 賢治は一目見て、賢が自分の息子だと確信した。

 今から二十年前、妻の美子と知り合う前に賢治は大学の後輩、植野圭子と付
き合っていた。既に大学を卒業して現在の会社に就職していた賢治は圭子の卒
業を待って一緒になる積もりだった。圭子の卒業式の日、二人は初めて避妊せ
ずに抱き合った。二人の結婚に反対だった圭子の両親に既成事実としての二人
の関係を認めさせる積もりだった。その日は危険日のまっただ中だった。
 二人の思惑通り圭子が妊娠した。圭子はその事実をひたすら隠し通し、腹の
出っ張りが傍目にも目立つようになって初めて両親に賢治との結婚を頼み込ん
だ。既に中絶は不可能だった。
 ところが圭子の両親は頑としてこれを認めず、強引に圭子を連れて海外に移
住してしまった。なぜ、これ程までに圭子の両親が自分を嫌うのか。その理由
が賢治には分からなかった。半年後、男の子が生まれたこと。名前は賢治から
一字貰って賢としたことが簡単な封書で知らされた。差出人は圭子の名前にな
っていたが、賢治はその筆跡が本人のものではないような気がした。
 失意の賢治に結婚話が持ち上がった。美子との縁談だった。圭子との非常な
別れの直後だったので賢治は頑なにこれを拒んだ。圭子の家族はヨーロッパに
いるらしかったが、一箇所に留まっていることは無かったらしい。音信不通の
まま一年の歳月が流れ、賢治も周囲からの圧力を押さえきれなくなって来た。
何よりも賢治の父親が美子との縁談に積極的だった。
 美子は父親の友人の娘だった。少し我が儘なところは見られたが顔立ちは目
が覚めるほど整っており、何年か前の全日本レベルのミスコンで準ミスに選ば
れたこともあるらしい。両親や周囲から徐々に外堀を埋められた形でようやく
賢治が結婚を了承した。
 結婚式の祝電の中に賢治は植野の名前を見付けて愕然とした。差出人は植野
賢になっていた。どこで聞きつけたのか、圭子が息子の名前で送って寄こした
ものらしい。
 『ご結婚おめでとうございます。末永くお幸せに。』
 賢治はその行間から圭子の想いを読み取ろうとした。飾りっ気も何もない電
文。全てを打ち消すような言葉の中に賢治は、最早同じ世界では暮らして行け
ないと言う圭子の覚悟のようなものを読み取った。その日から賢治は美子のこ
とだけを見つめて生きて行く決心をした。


(3)へつづく・・・

小説(転載) 『誕生日の素敵なプレゼント』 第二部 1/8

近親相姦小説
09 /19 2018
(三)弥生の恋人

 賢治は週に一度、仕事が早く終わりそうな日に弥生の携帯に電話を入れるこ
とにした。帰りに待ち合わせて秘密の時間を持つためである。弥生は何があっ
ても都合をつけて、常に賢治とのデートが最優先だった。
 「ねえ、パパとこうなってから、私、何か急にもてるようになったのよ。」
 弥生がいつものように上になって腰を振りながら賢治の耳元で囁いた。
 「だろうな。パパの目から見ても随分女っぽくなったよ。それで、気になる
ような相手はいないのか。」
 「一人だけいるけど。」
 「好きなのか。」
 「分からない。でも、何となく気になるんだ。」
 「いざとなったらパパに遠慮なんかするな。」
 「さあ、まだパパ以外の人とこうなるなんて想像できないよ。」
 弥生は自分が一番感じる部分に当たるような動きを繰り返していた。腰をピ
ッタリ押し付けて離さず、激しく前後に擦り付けて来るのである。そうすると
奥だけでなく、入り口の少し上で二人の間に挟まった小さな粒がもみくちゃに
なるのである。感極まった弥生がそれでも足りないと言わんばかりに賢治の指
先を固くしこった粒の上に持って来た。
 「一週間に一度じゃ足りないよぅ。」
 弥生が駄々をこねた。
 「無理言うな。」
 「分かってるけどさ。」
 次の週は賢治の都合が付かなかった。翌週の月曜日にようやく時間が取れた。
ホテルに入って抱き合ったとき、賢治は弥生の様子がいつもと違うのに気が付
いた。ほんの一瞬だが賢治の胸に飛び込むまでに間があったのである。
 「何かあったのか。」
 賢治が髪を撫でると弥生がコクッと頷いた。
 「ごめんね、パパ。私、抱かれちゃった。」
 「土曜の晩か。」
 「うん。」
 「帰りが遅かったからな。で、どんな男だ。」
 「やっぱり気になる。」
 「まあな。」
 「今度連れてくるね。」
 「そうしなさい。冷静に会えるかどうかが問題だけど。で、同級生か。」
 「ううん、大学生。私と入れ違いに去年卒業した先輩なの。」
 「どこで知り合ったんだ。」
 「合唱部のOBなの。時々顔出す人で。植野さんって言うの。」
 「ウエノ。上野駅の上野か。」
 「ううん。植えるって言うか、植物の植って書くの。」
 「ああ、そっちの植野か。名前は。」
 「賢よ。パパと同じ字書くの。」
 「弥生より三つ年上で、植野賢か・・・」
 賢治の顔が一瞬曇った。
 「どうかしたの、パパ、知ってる人。」
 「いや、別人だとは思うけど。」
 「パパと雰囲気が似てるんだよ。だからその気になっちゃったんだと思うけ
ど。」

 賢は弥生が所属している合唱部のOBだった。部の顧問が音楽には全く縁の
ない数学の教師だったので、月に二度、授業のある土曜日の放課後に現役部員
たちの発声練習を指導していた。弥生の高校はブラスバンドが盛んで毎年全国
大会に駒を進める位レベルが高い。音楽の教師はそちらに掛かり切りだった。
 弥生は少し前から賢のことが気になっていた。穏やかな雰囲気がどことなく
父親に似ていたからだろう。その日、帰り支度を始めた賢に弥生が話し掛けた。
 「先輩、カラオケなんかに行ったりしないんですか。」
 「カラオケねぇ。行かない訳じゃないけど。」
 「あなたが生きたラブソングって曲、知ってます。玉置浩二と高橋真梨子の
デュエットなんです。」
 「ああ、知ってるよ。いい曲だな。」
 「あれ、歌いたいなあって思うんだけど、男のパート歌える人がいないんで
す。」
 「へえ、高橋真梨子の歌は難しいけど、歌えるの。」
 「何とか。」
 「よし、お相手になるか。俺も誰かと歌ってみたいなって思ってたんだ。」
 「わぁ、いいですか。」
 「うん。これから行くか。」
 「行きます。行きます。連れてって下さい。」
 幸い部室に残っているのは二人だけだった。一緒に連れ立って学校を出るの
は気が退けたので弥生が先にカラオケハウスに行って待っていることにした。
賢に好意を寄せている女子部員が結構いたので彼女らの目が気になったのであ
る。賢は十分ほど遅れて弥生と合流した。そこは少人数用の小部屋だった。弥
生がコーラを、賢がビールを注文した。
 「さて、合わせて見るか。」
 「はい。」
 賢がリモコンを操作してピアノのイントロが始まった。
 「確かなことは分からない・・・」
 弥生が静かに歌い始めた。歌詞は憶えていたので賢の目を見つめ続けた。
 「なぜ今ここに二人が・・・」
 その瞬間、弥生の胸の中に熱いものがこみ上げてきた。父親に抱かれた時と
同じ切なさが弥生を包み込んだ。
 「そっと揺らめいた、季節を呼んで、マイラブ・・・」
 完璧なデュエットだった。賢も歌詞を憶えていてメロディも完璧に歌い上げ
た。元々合唱部の二人だからハーモニーもバッチリである。その素晴らしさに
弥生の目から涙がこぼれ落ちた。
 「先輩・・・」
 弥生が吸い寄せられたように賢の胸に顔を埋めた。弥生の肩をしっかり抱き
しめた賢の腕にも力が籠もっていた。
 「好きになってもいいですか。」
 一瞬驚いた表情を見せた賢が小さく頷いた。弥生が顔を寄せると二人の唇が
重なった。
 二人は同じ曲を三度続けて歌った。歌い終える度に弥生が抱き付き、唇を求
めた。しっかり抱きしめた賢の前が少し固くなっていた。嫌な気は全くしなか
った。反対に身体の芯が熱くなってきた。
 「先輩・・・」
 「賢と呼んで。」
 「賢。」
 「何。」
 「どこかに連れて行って。静かなところに。」
 「いいの。」
 弥生が黙って頷き、強張ったところに自分の腰を強く擦り付けた。
 「出よう。」
 賢が弥生の身体をそっと引き離した。
 外に出ると弥生が賢の腕を抱えて歩き始めた。途中で一年先輩の女子部員二
人とすれ違った。彼女らのきつい視線を背中に感じながらも弥生は決して手を
離そうとはしなかった。弥生が腰に手を回すと賢が肩を抱きしめて来た。それ
が二人の交際宣言になることは明らかだった。
 賢がホテルの入り口を躊躇い無く潜った。弥生も同じ歩調で続く。弥生はま
だ背中に絡み付く視線を感じていた。恐らく月曜には部の仲間全員に知れ渡っ
ていることだろう。それがむしろ誇らしくさえ思える弥生だった。
 部屋に入ると賢が何も言わずに服を脱ぎ始めた。弥生も慌ててそれに従う。
全てを脱ぎ捨てた二人がベッドを挟んで向かい合った。弥生が改めて賢の身体
を眺めた。特別逞しいと言う印象は無いが、均整の取れた体付きだった。目を
下に移すと父親そっくりのものが真っ直ぐに弥生の方を向いていた。
 (不思議だわ)
 弥生が心の中で呟いた。全く違和感が無かった。賢が先にベッドに上がった。
弥生も隣に身を横たえる。自然に回された賢の手が弥生の肩を引き寄せ、二人
の身体が密着した。
 「初めて。」
 賢がそっと聞いた。弥生が首を横に振る。安心したように賢が唇を重ねてき
た。
 賢の手が動き始めた。背中から肩、脇腹から胸へと這い回るその手を弥生は
気持良く感じた。そっと乳首を摘まれ、弥生が腰を賢の方に押し付けた。間に
挟まった賢の強張りが何度も脈動した。
 賢が手を離し、唇が喉から胸元に下りてきた。目をつぶっていると父親の愛
撫を受けているような錯覚に陥ってくる。唇の当て方もそっくりだった。乳首
を含まれ、弥生は自分が濡れてくるのを感じて思わず腿を擦り合わせた。
 (この人、パパと同じくらい女を知ってる)
 賢の顔が弥生の膝を割って入ってきた。舌の先が襞の周りをゆっくりと動き
回る。片方の襞が唇に挟まれ、そのまま吸い込まれた。吸い込まれたまま唇が
少しずつ上がってくる。合わせ目の部分で舌の先がベールを剥いて固くなった
粒を転がし、今度は反対側の襞へと移っていった。
 襞を伝って下まで降りた唇が後ろの入り口に押し付けられた。舌の先が僅か
に差し込まれる。どちらかと言うと体の中で一番恥ずかしいところ。そこを賢
の舌に委ねている。襞の中から溢れ出た蜜が流れ落ち、賢の舌がその滴をすく
い上げた。全ての動きが父親そっくりだった。
 「パ・・・」
 危ういところで弥生がパパと言いそうになった。顔から火が出るほど恥ずか
しかった。心臓が喉から飛び出すかと思った。
 「わ、私にも。」
 弥生が賢に向きを変えるよう手で促した。一刻も早く賢のものを口に含みた
い。飛んでもない言葉が口から飛び出るのを防ぐにはそれしか無いと思った。
反対向きに跨って来た賢のものが目の前に来た。弥生は何の躊躇いもなくそれ
を口に含み、思い切り舌の先で転がした。
 どの道これが初めての経験ではないことを賢には伝えてあるのだから今更取
り繕う必要など無い。弥生はいつも父親にしているように、多分一番感じると
思われる部分に舌の先を集中させた。賢にはそれが予想外だったらしい。
 弥生の口の中で賢が急速に膨らみ、あっと言う間に弥生の口が生暖かいもの
で満たされた。


(2)へつづく・・・

eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。