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小説(転載) 黒部峡谷 3/3

官能小説
04 /06 2015
 真理を風呂の縁に座らせて大きくM字に足を開くとやや濃いめの陰毛に包ま
れた割れ目が現れる・・その中心に息づく潤いの源に口づけ舌をはわす・・吸
う・・舐めあげる・・舌先をすぼめて入れる。
 割れ目からかすかに漂う香り・・そこは湯をかけ軽く洗い湯船に入っただけ
であるから無理もない。
 しかし、それはいやな臭いではなく成熟した人間の雌の放つフェロモンであ
る。
(あああ・・いいい・・久しぶり・・ああいいわ・・ああ)
 頃合いを見て私は真理から離れ風呂の縁に座った。
 真理は風呂の中で立膝になり私の股間にいきり立つ欲棒を両手で拝むように
握ると軽くしごき亀頭をむき出してくわえた。
 むき出された亀頭から脳髄まで伝わってくる真理の口内の暖かさと柔らかな
粘膜とからみつく舌の刺激。
 別れた亭主に仕込まれたのであろうか、フェラは実にうまい。
 左手平で玉袋を下から持ち上げるように包み右手で亀頭をむき出すように竿
を軽くしごきながら亀頭をくわえて吸う・・時々口から出して鈴口を舐めあげ
ては再びくわえ、強く吸いながらのどの奥まで吸い込む、竿を持ち上げ玉袋を
口に含み裏筋を舐めながら亀頭に戻る・・・亀頭を舌を回転させて舐め回す。
(じゅるるるる・・ちゅば)
「うう・・出そうだよ・・」
 だが、真理はさらに深くくわえ直し、今度は口から欲望を出すことなく頭全
体を前後に振り始めた・・口内に射精されるのを待っているのであろう。
 耐えられなくなった私は真理の頭を抱え、身震いしながら欲棒をけいれんさ
せ口内に射精して果てた。
 真理の口元からあふれた唾液と精液の混ったよだれが糸を引き、湯面にぽた
りとこぼれ落ちた。
 真理は放たれても欲棒を口から出さず精液を少しずつ飲みながら、なおも首
を振り舌を絡ませ吸いながら欲棒に刺激を送り込んでくる。
 その舌と唇の刺激に一旦萎え始めた私の欲棒は口内で再び堅さを取り戻し始
めた。
「お願い・・入れて」
「ここは狭いし背中が痛くなる・・続きはゆっくりと布団の中でしょうか」
「うふふ・・」
 色白のスレンダーな姿態の真理が露天風呂を出る・・続いて欲棒をぶらつか
せた私。
 部屋の明るい照明の下で仰向けになり私を待つ真理・・まだ子供は産んだこ
とのないようなウエストのくびれ、張りのある身体・・。
 私は再びキスから再開した。
 差し入れた舌を強く吸う真理、大きくはないが弾力のある乳房、薄い乳輪小
さな乳首・・私はゆっくりと時間をかけて乳房をもみ舐める。
「あああ・・いい・・いいいい」
 真理の両足を開き、69の体制になると両足を抱え込み尻を浮かせてマング
リ返す・・むき出しになった割れ目を吸う、舐める・・明るい照明の下、割れ
目は子供のように一筋、膣はピンク、舌先を分け入れる・・真理は亀頭をくわ
えて音を立てて吸っている・・。
「ああっ・・ああ・・・これを入れて・・・」
 私はこんなこともあろうかと真理から一旦離れると鞄の中から常に携行し隠
し持っていたコンドームを取り出した。
「いいの、付けないで・・そのまま来て・早く・最後は中に、中に出して」 
 私は正常位から真理の両足を肩に乗せ、私の唾液と真理のジュースで濡れた
膣口にむき身の亀頭を合わせぐいと押し入れた。
 膣口はエラの張った亀頭を飲み込むように迎え、広がりながら奥へとくわえ
込んでいく・・。
(暖かいぬめり・・しまりも申し分ない)
 私はピストンを開始する・・強く、弱く、深く、浅く・・・・担ぎ上げてい
た真理の両足を肩から降ろし正常位・・M字の真理を突く。
 私の欲棒の突く動きに腰の動きをあわせる真理・・締める・・締まる・・心
地よいぬめりとからみつくような感触が欲棒から伝わってくる。
「あっあっ・・ああいいい・・あああいいわ・・」
 私は貫いたまま真理を起こし、身体を回して犬のように四つんばいにさせる
と後ろから再び突きはじめる・・結合部から空気の漏れる音がこぼれ、玉袋が
クリにあたる音がぴたぴたと部屋に響く。
「あああ・・」
「はっはっ・・」
 私の息が荒くなり・・真理の声が大きくなる・・。
「う・・・・」
「あ・あああ」
 私の白い分身は真理の子宮口に向かって深く放たれた・・・・・・。
 時計は12時を回り真理は内風呂に入り帰り支度を始めた。
 私は不覚にも、いつもは冷静に抱いた女は全裸からはめ撮り写真まで写真を
撮るのだが、今回はそれを忘れていた。
 忘れさせるほど真理の身体は私好みで素晴らしかったのだ。
 真理がショーツをはこうとしている。
「ちょっと待って、そのまま記念に1枚・・」
「いやだ、記念だなんて」
 全裸の真理にカメラを向ける。
「そこに立って、身体はちょっと斜めに、そう、顔はこちらに」
「恥ずかしいわ」
 と言いながらも素直にポーズをとる真理、スレンダーな姿態に上向きの乳房、
くびれたウエスト、やや濃い目の陰毛・・。
 ピカッ、カシャリ・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 翌朝、9時少し前、真理は宇奈月駅で待っていた。
 手を挙げ近寄る私。
「お待たせ・・」
 昨夜のことを思い出したのか少し恥ずかしそうなそぶりを見せる真理。
 トロッコ電車は黒四ダム建設のために引かれた軌道で現在は観光用に使用さ
れ、宇奈月駅から終点欅平駅まで21キロを約80分で結ぶ山岳鉄道である。
 私は車中で峡谷の風景を撮りたいので窓のない開放感のある普通客車を選ん
だ。
 真理と二人、駅で買ったゆで卵をつまみに缶ビールを飲みながらしばしの時
間トロッコ電車を楽しむ、途中、渓谷や外を見ている自然体の真理の横顔を撮
った。
 電車は小さなトンネルをいくつも抜け終点の欅平に着いた。
 欅平に着いた私は落胆した。
 人食い岩以外にこれと言った被写体がない。
 まして、密かに真理の屋外ヌードでもと思ったが、そのポイントさえも見あ
たらない。
「中山さん、どうしたの?」
「いやー意外と殺風景なのでがっかりしたんだよ。これじゃあ写真にならない
よ」
「そうね、私もちょっとがっかりしたわ、絶景の渓谷だと思っていたのに」
「綺麗な景色をバックに真理さんを撮りたかったんだが、少し山を登らないと
ポイントはないんだろうな・・昼ご飯でも食べようか?」
「はい」
「実はね・・本当のところ欅平ではあまり景色の良いところがないことは聞い
ていたんだよ」
「えっ、じゃあなぜ欅平に」
「昨夜の夕食の時、真理さんと話を合わせようと明日はトロッコ電車に乗ると
言ったんだ。横浜の家までは車を飛ばして7~8時間、朝帰らないと夜中にな
ってしまう。でもね、君とこのまま別れるのがつらくてね。少しでも長く一緒
にいたかったんだよ」
「・・うれしい」
「今、午後の2時だから、宇奈月駅に戻りすぐに帰っても家に着くのは早くて
夜の11時、たぶん深夜になる。疲れて明日は仕事になりそうもないからもう
一泊して明日の朝ゆっくり時間をかけて帰ろうかな・・部屋は空いているのか
な?」
「たぶん空いているわ、でももったいないわ」
「えっ・・」
 真理は少し顔を紅潮させて、
「もし、よかったら私のアパートに泊まりませんか?狭いけれど」
 意外な誘いに私は驚いた。
 昨夜の真理との濃厚なSEXを思いだし思わず股間がぴくりと反応した。
「えっ、いいのかい?泊まっても?」
「いいの、旅館の寮から先週アパートに引っ越したばかりで周りの人はまだ誰
も知らないし、仮に誰かに聞かれたら別れた旦那が私を連れ戻しに来たとでも
言っておくわ」
「じゃあ、本当に泊まっても良いんだね?」
「どうぞ、小さいけれどお風呂は天然の温泉が引いてあるのよ。うふふ・・・」
(何というラッキー、真理は明日も休みらしいから今からじっくりと昨晩撮り
忘れたはめ撮りでもするか・・・)


- 完 -

小説(転載) 黒部峡谷 2/3

官能小説
04 /06 2015
(仲居さんがそばにいてお酌してくれるなどなど滅多にないこと、これは男の
一人だから旅館のサービス?・・いや、さっきのチップが効いたかな・・美人
と二人で・・こりゃあ、最高な夜になった)
「そう、合掌造りの集落が世界遺産に指定されたんですよ。真理さんも一杯ど
うですか?」
「私は・・・」
「今日は私の専属でしょう?飲めないなら無理にとは勧めませんが?」
「・・・・」
 私が半場強引に酒を勧めると真理は杯を受けとり、一口でぐいと飲んだ。
「いけるじゃありませんか・・もう一杯・・」
「ごちそうさまです」
 差しつ差されつ話が弾む、真理は酒が強そうだ。
「お酒、相当飲めそうですね・・」
「ちょっとだけですけど・・ところで中山様、明日はご自宅にお帰りになるん
ですか?」
 お酒が入ったせいなのか、お客に対する言葉使いではなくなってきたような
感じがする。
「明日は午前中トロッコ電車に乗って欅平で写真を撮り、そのまま高速で帰り
ます」
「欅平・・中山様、もしご迷惑でなかったら私もご一緒させていただいても良
いかしら?」
「・・仕事は?」
「明日、明後日と2日間お休みなんです。4月からこの旅館で働いているので
すが、まだトロッコ電車に乗ったことがないんです」
「そうですか・いやーそういうものなんだよなー・・いつでも乗れるからと案
外地元の人で乗ったことのない人っているんですよね。良いですよ。一緒に行
きましょう。次いでと言っては申し訳ないがモデルさんでもお願いしようかな」
「えっ・・モデル?」
「大丈夫ですよ。ヌードじゃあありませんよ。ポートレートですよ」
「・・うふふふ・・私なんかで良いんですか?」
「鈴木さん、いや、真理さんは私好みの素敵な美人さんですよ。是非ともお願
いしますよ」
「美人だなんて恥ずかしい・・写真はどこかに出品でもなさるのですか?」
「いや、本人の承諾がなければ出しません。もっぱら私の趣味の範囲でデジタ
ルカメラですから保存して時々見るだけですよ」
「よかった。それなら良いかも・・・」
 真理は少し酔いが回ったのかそれとも私に心を許したのか身の上話を始め、
それを私は優しく聞いてやった。
 新潟の生まれで32歳、早くに両親に死に別れ、家族はいないという。
 平凡な会社員と結婚し今年5歳になる男の子がいるが、義母との折り合いが
悪く新潟から一人家を出て宇奈月にきたらしい。
 戸籍上はまだ夫婦である旦那には未練はないが子供には会たいと綺麗な瞳を
潤ませる。

 1時間ほどの間に追加のお銚子を含めて6本が空になった。
「中山さん、これからご食事の後、どこか外に出られますか?」
「いや、外に出ても一人だし、つまらないので今日撮ってきた写真をパソコン
で整理して、もう一度風呂に入って寝ようかと思っているんですよ」
「中山さん、おじゃまでなかったら今日撮った写真を私に見せていただけます
か?今日の勤務は9時までなんです。アパートに帰ってもどうせ一人でテレビ
を見るだけ・・・」
「撮った写真を他人に見てもらうのは大歓迎ですよ。待ってます」
 私はこのときこれは絶対に脈があると感じとっていた。
 8時をまわり夕食が終わると真理は座卓を片づけはじめた。
 私はベッドより畳に布団の方が良いというと番頭らしき男が現れ、部屋に布
団を敷き「ごゆっくりお休みください」と言って部屋を出て行った。
 9時を少し回ったころ約束通り真理が部屋にやって来た。
 ジーパンに少しラメの入った黒のTシャツ・・押し着せの紺の着物とは違っ
て若々しく見え20代中半ぐらいにも見える。
「本当に来たんだね。冗談かと思っていたよ」
「あら、もう写真の整理は終わってしまったのですか?」
「カードをパソコンに移して気に入らないものだけ消去しただけ、見て、これ
が白川郷でこちらが相倉集落」
「綺麗ですね・・・素朴な風景・・一度行ってみたい」
 座卓の上に置いたパソコンの前に座りマウスを操作する私、横から真理が液
晶画面をのぞき込む、仕事が終わったばかりでまだ風呂に入っていないのであ
ろうか、真理からは甘酸っぱいような汗のにおいがするが、それはいやなにお
いではなく、男の本能をくすぐるにおいであった。

 30分ほどで今回の撮影分の写真を見せ、説明し終わった。
「真理さん、まだ時間は良いんでしょう?他の写真も見て見ませんか?パソコ
ン操作できる?」
「ええ、あまり得意ではないけれど」
「なら、この山形とか秋田と書いてあるフォルダーアイコンをクリックすると
中に過去に私が撮り歩いた私の好きな写真があるから開いて見ていてください
・・私はそこの露天風呂に10分ほど入ってくる」
 私は部屋の隅で浴衣を脱ぎ露天風呂に入った。
 露天風呂は2畳ほどの広さで竹の囲いがあり外からは見えないが、風呂に入
って立つと首から上が外に出て周囲の景色が見えるようになっていた。
 私は露天風呂から部屋の中を覗いた。
 外は暗いが部屋は明るくて室内が手に取るようによく見える。
 真理はフォルダー名をクリックし、私が撮りためた写真を見はじめた。
 私は上から三つ目のフォルダーに(ひみつ)と題名した木曽のどろん沢で撮
った私と綾乃が絡み合っている写真のロックを外して貼っておいた。
(真理は一つだけひらがなで意味深の題名だから見るはずだ)
 ほぼ一定の速度で動いていた真理のマウスの指先が止まった。
(たぶん、仕込んでおいた写真を見ているに違いない・・よし、いいぞ、目を
輝かせてじっと見ている・・もし私に興味があるならうまくいくはず・・)
 私は頃合いを見て、窓を少し開けて前も隠さずに真理に声をかけた。
「真理さん、背中を流してくれませんか?」
 真理はあわててクリックした。
 おそらく見ていた綾乃と私のSEX画面を切ったのだろう。
「えっ・・あっ・・いや・・あっ・・」
 真理は私を見、そして目をそらした。
 無理もない、私が液晶画面に映っていたのと同じように大きく誇張した欲棒
を真理の目の前にさらしているのだから。
 私はだめ元でさらに、
「一緒に入りませんか・・待ってますよ」
 それから数分・・その賭は当たった。
手と腕で胸と股間を隠しながら全裸の真理が恥ずかしそうに露天風呂に現れ
た。
 私はじろじろ見るのはやめて何気なく、ごく自然に振る舞った。
 薄暗かったが真理は想像していたとおりの私好みの色白のスレンダーな姿態
であった。
真理は風呂桶で身体に2度3度湯をかけ、少し離れて湯の中に離れてといっ
ても小さな風呂だから手を伸ばせば真理の身体に手が届く。
 私は前も隠さず立ち上がると外の景色を見ながら、
「真理さん、あの黒く長く帯のように見えるのが黒部川ですか?」
 真理も私につられるように立ち上がると私の横に並び私の指さす方向を見る。 
 束ねた髪のうなじは白く、しっとりとしめった素肌・・スレンダーな姿態。
「そう、あの細長いのが黒部川だと思います。私も夜こうして見るのは初めて」
 私は真理の背後に回るとウエストに両手を回してそっと抱き寄せた。
「あっ・・いや」
 真理は小さな声を出したが、抱きしめる私の腕から逃れようとはしない。
 ふいに真理の尻の割れ目に密着していた私の欲棒が暖かく柔らかな物に包ま
れた。
 「中山さん・・大きい・・堅い・・素敵」
 真理が私の欲棒の太さ堅さを確かめるかのように右手で握りしめてきたのだ
った。
 既に勃起していた欲棒は真理の手の中でさらに硬度と太さを増す。
 私は真理に握らせたまま振り向かせ抱きしめると唇を吸うとほのかに甘いル
ージュの味が口内に広がった。
 真理は亀頭をむき出すと欲棒をゆっくりとしごきはじめた。
 私は真理に欲棒をゆだねながら左手で背中を抱き柔らかな唇を吸いながら右
手で乳房をまさぐる・・弾力のある感触を手のひらに感じ、乳首を指でつまむ
・・くびれた脇腹、つんと持ち上がった尻に手のひらをはわせた。
「ああっ・・」
 時々真理の欲棒をしごいている手が止まる。
 私の右手は柔らかな感触の陰毛を手の平に感じ、中指を曲げると割れ目を下
から上に引っかけるようにはわす・・中指はねっとりと潤った膣に潜り込む。
そしてクリをとらえ少しむき出しとんとんと指先でつま弾く。
 感じて我を忘れた真理はとうとう握っていた欲棒を手放した。
 それを合図のように私は真理の膣に指を入れ立たせたまま、うなじから首筋
そして乳房へと舌をはわせ、乳首を赤子のように舌先を絡ませて吸うとこりこ
り小堅くなった。
「写真見たんだね?」
「あああ・・ああっ・・み、見ました・・奥様、お若くて綺麗な人」
「いや、あれは妻ではない・・神田の行きつけのそば屋の女の子だよ」
「あっ・・あ・・中山さんって、ちょい悪じゃなくて・あっ・本当に悪い人な
のね」


(3)へつづく・・・

小説(転載) 黒部峡谷 1/3

官能小説
04 /06 2015
一人旅にエロは欠かせない。いつだってどんなときだって出会いとなるのだ。


某家電メーカーで営業部長をしている自称アウトドア系アマチュア写真家の
私、中山和宏(46歳)は先日、愛車の4駆ワゴン車で気ままな2泊3日の一
人旅を楽しんできた。
 32歳の時、5歳年下で営業部のOLだった妻、文香と結婚したが、3年間
子供がなかったので、妻は私の趣味に合わせてキャンプや渓流釣りを一緒に楽
しんでくれたが、待望の子供が授かると子供の世話にかかり切りになり、亭主
の私はこの10年ほどほったらかしの放し飼いにされている。
 妻から小遣いは毎月それなりに貰い、下請け会社からのリベートを少々懐に
納め、酒もタバコもやるが、タバコは昨今世間様からいやがられるようになっ
たので、飲み会の時だけたまに吸う半休状態、酒はもっぱら会社や下請けの接
待で楽しむことにしているから派手には遊べないものの、年に4~5回は1~
2泊で好きな写真と渓流つりの一人旅が出来る。
 私は一人旅に行くとき、旅費や小遣いをせびらないので妻は小言一つ言わず
に笑って送り出してくれる。
(亭主元気で留守が良いと言うのか?干渉されないのでそれは良いんだけれど)
 男の一人旅=ロマンチック、かっこいいなどと思われていたのは昔の話で、
今では人生も終盤期の黄昏れ男が放浪するそんな感じでちょいと寂しい・・だ
が、たまには男の一人旅でしか巡りあえることのできない行き当たりばったり
の楽しみに遭遇することもある。

 今回は2泊3日で新緑と北アルプスに残る残雪、合掌造りの集落をテーマに
上高地から~岐阜白川郷~富山相倉集落~宇奈月温泉を回る旅、時間があれば
渓流釣りも楽しもうと言う何ともケチで忙しい計画であった。
 1日目、横浜の自宅を出たのは午前6時、国道16号はやや渋滞するも八王
子ICから中央道~松本IC~上高地(沢渡)午前11時、マイカー規制のた
め上高地入り口手前の沢渡に駐車して軽く昼食をとってからシャトルバスに乗
り換えて大正池で降車した。
 焼岳をバックに大正池や足下に咲き乱れる草花を撮りながら河童橋まで歩く。
 河童橋・梓川・残雪の西穂高、奥穂高、明神岳、誰もがカメラを向けシャッ
ターを切りたくなる絶景、ときおりほほにあたる澄んだ冷たい空気を思い切り
都会の空気で汚れた肺を清めるように送り込む。
 時計を見ると午後3時、これから明神池まで往復すると高山には着くのが遅
くなるのでバスターミナルからシャトルバスで沢渡に戻り、安房トンネルを抜
け高山の宿に着いたのは午後5時近くであった。
 高山では朝市会場まで徒歩3分の宮川沿いの宿に予約しておいた。
 夕暮れ時の古き町並みを撮り、翌朝7時から始まった宮川朝市の風景を写真
に納め、やや遅めの朝食後高山を後にして白川郷~越中五箇山相倉集落に向か
った。
 どちらも合掌造りの世界遺産ではあるが、どちらかと言えば周囲が田んぼの
相倉集落の方がひなびていて私的には好きである。
 白川郷、相倉集落で期待どおりほぼ満足のいく風景をカメラに納めると国道
156号を2泊目になる宇奈月温泉に向って車を走らせ、砺波ICから北陸道
に入り、途中魚津ICで高速を降りた。
 宇奈月温泉に行くには黒部ICが一番近いのだが、魚津ICで降りたのには
理由がある。
 目的は以前から釣り仲間から聞かされている良型のうぶなイワナのいる〇〇
川で竿を出すためである。
 上流に向かって川沿いに3キロほど車を走らせると今までゆったりと流れて
いた川は渓流に変わり、いかにも大物が潜んでいそうな渓相になった。
 はやる胸を押さえ大石の周りのよどみに毛針を打つと、いきなり良型のイワ
ナが飛び出してきた。
 私は我を忘れたかのようにしばらくは夢中で竿を振り続けた。
 キャッチアンドリリースを繰り返しながら上流に向かって歩く。
 竿から身体の芯に伝わる小気味よい魚心に一人至福の笑みを浮かべ、しばし
の間満足感にひたった。
 一服しながらふと時計を見るともう午後の4時に近い。
 本当の釣りは夕方から今からが本番の時間なのだが、もう少し釣りたい・・
そんな後ろ髪引かれる思いを裁ち切り、本日の宿泊地宇奈月温泉に向かった。

 予約していた旅館には午後5時過ぎに着いた。
 旅館は宇奈月ではまあまあの中級旅館である。
「7階の黒部の間です。お荷物をお持ちします」
「良いんですよ。写真器材とノートパソコンだから重いんですよ」
 若い仲居さんに案内され、エレベーターに乗る。
「本日、お客様はラッキーな方です」
「ラッキー?」
「はい、これから最上階の7階の黒部の間にご案内しますが、黒部の間は他の
部屋より広くて部屋からの景色も良く、いつもは特別室の扱いなのですが、今
日はお泊まりのお客様が少ないので黒部の間にお部屋を変えさせていただきま
した」
「特別室?」
「スイートルームではございませんが、当館では良い部屋の一つです。料金は
ご予約のままで、ご夕食はお部屋までお運びいたします」
「本当ですか?レストランでの夕食と聞いていましたので、ラッキーですな」
 仲居さんは見た目20代後半、身長160センチぐらい、ちょっと過去を背
負った暗いような感じもするが、制服であろう紺の着物に束ねた黒髪、うなじ
が白く、ほつれ毛がみょうに色っぽくなまめかしくて温泉旅館の仲居さんでは
不釣り合いの感じがするような美人、胸元の名札には鈴木真理と書いてある。
 部屋に入って驚いた。
 ツインのベッドの寝室が付き12畳ほどの畳の間、窓際の4畳ほどのジュウ
タンにソファー、内風呂、トイレ洗面所、開口部は大きなガラス窓で、遠く黒
部川が見え、外には小さいながらも露天風呂まで付いている。
 私は出されたお茶を飲みながら、
「本当に良いんですか・・私がお願いしたのは期間限定のお得な料金と言うこ
とでネットで予約したんですよ」
「はい、五月の連休がおわり、梅雨明けの夏休みまでは団体さんが入らない日
は当館は暇なのです。昨日はバスツアーが入って満室でしたが、今日のお客様
は中山様をお入れして8組20名様だけです」
「何人ほど泊まれるんですか?」
「30室で150名です」
「仲居さんはどのくらい?」
「フロントや板前さんを入れて全員で25名ぐらいです」
「仲居さんは一人何部屋ぐらい担当するんですか?」
「各階に仲居は2~3名ですから満室の場合、多いときは5つのお部屋を担当
します。今日はお客様が少ないので、本日は私がお客様のお部屋を専属で担当
をさせていただきます」
「えっ、じゃあ今日は鈴木さんが私だけの専属ということですか?」
「・・はい・・・」
 仲居の真理は胸に付けた名札をさすりながら答えた。
 ちょっと色白の顔に赤みが差したのは気のせいだろうか?
 私は自分で言うのもなんだが、やや太り気味だが津川雅彦似のちょい悪系の
おやじだと部下のOLが言っていたと部の飲み会の時に聞いたことがある。
 したがって、仲居の真理には感じの悪い客には見えていないはずである。
「ご夕食は何時になさいますか?」
「今5時半だから風呂に入ると6時・・6時半にお願いします」
「6時半でございますね。お飲み物は何を・・・・?」
「日本酒を2本、熱燗で・・」
「ではご夕食は6時半、熱燗のお銚子を2本、このお部屋にご用意させていた
だきます・・お風呂はこの部屋に内風呂と露天風呂がございますが、1階の売
店奥にサウナ付きの大浴場と露天風呂がございます。小さいですが貸し切りの
露天風呂もございます・・あっ、そうか、このお部屋には露天風呂があるし、
お客様はお一人ですからから貸し切りは必要ありませんよね。うふふ・・」
 そのとき私の脳裏に長年経験して得た中年スケベ男の動物的カンが灯った。
「あっ・・ちょっと待って」
(私好みのいい女・・なんか気を引くようなしゃべり方?・・ここは奮発して
チップでも・・もしかしてチップが大化けるかも・・・・いやー、それはない
だろう・・・だがあの目は・・含み笑いは何?・・)
 私は財布から福沢諭吉を取り出すと手渡した。
「これ少ないけれど」
「すみません、当館ではサービス料を頂きますのでチップは頂かない決まりに
なっております」
「まあ、そう堅いことは言わずに・・黙っていればわからない・・私も一度出
したからにはひっこめられないよ」
 私は真理の胸元に強引に押し込んだ。
「あっ、すみません、ありがとうございます」
 真理はにっこりと笑った。
 一階の露天風呂に入って部屋に戻ると真理が料理を並べていた。
「これは当館の名物のイワナのお造り、これは塩焼きです」
「これは養殖のイワナだな」
「えっ、中山様、おわかりになります?お詳しいんですね」
「日本、いや、本州には大きく分けて2種類のイワナがいるんですよ。日光イ
ワナと大和イワナ。この辺の天然イワナは大和イワナで日光はいないからたぶ
ん養殖の日光だと思います」
「へぇー、そうなんだ」
「私はつりと写真が好きなので月に1回ぐらいですが、一泊か2泊でつりと写
真の旅をしているんですよ。昨日は上高地と乗鞍をまわり高山に泊まりました。
今日は合掌造りの白川郷と五箇山の相倉集落の写真を撮ってきました。魚津で
イワナ釣りもしてきましたよ」
「五箇山相倉って?」
「富山県の砺波市から高山に抜ける途中にある合掌造りの集落でね。除雪機械
のない昔は冬になると3~4メートルの雪が積もり陸の孤島呼ばれ、昔からサ
ラサという木製の楽器を手に持ってもって歌う民謡のコキリコ節と日本刀を持
って踊るむぎや節で知られていた割と有名なところなのですが、ちょっとマニ
アックだったかな?・・つい最近、世界遺産になったので全国的に知られるよ
うになったらしい、とてもひなびていて静かで良いところですよ」
「世界遺産?・・・どうぞ」
 真理がお酌してくれる。


(2)へつづく・・・

eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。