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小説(転載) 盆休み6/6

官能小説
06 /17 2018
「やっ……んっ……はぁっ……圭介…さ…ん………」
「ん……?」
「わ…わたし……圭介さ…んが……あぁっ……」
圭介は腰を動かしながら、紫織の言葉の続きを待つ。紫織は、甘い吐息を吐きながら、かすかに唇を動かすが、声にならない。
「あとで…教えて……。」
圭介は、紫織の両脚を抱えて、男根を根元まで突き入れた。
「あぅっ……うぅっ…」
奥まで突き入れられた男根に、紫織がうなる。
 
ぬちゅっ…ぐちゅっ…ぬちゅっ…ぬちゅっ…
 
紫織の愛液が圭介の股間を濡らし、男根が抜き挿しされるたび淫らな音が聞こえてくる。紫織が、圭介の男根の形や硬さ、そして隆起した血管に至るまで、女陰で直に感じ取っていたように、圭介もまた、紫織の女陰のやわらかな肉壁やその締めつけを男根全体で感じ取っていた。
 
「ちょっと…はぁっ……きゅ…休憩…しても…いい?」
圭介が息を切らせながら、動きをとめた。
「すぐに……いきそう……はぁっ……だから……。」
圭介は呼吸を整える。小さくうなずく紫織を抱き起こした圭介は、紫織の中に挿入したまま向かい合わせに紫織をかかえて座った。
「気持ちよすぎて……。終わるのがもったいない…。」
圭介の言葉に紫織は恥ずかしそうに微笑む。
「このままでも……いいです…。」
自分の中で萎える気配がなく、張りつめたままの男根の感触だけで、紫織は幸せな気分になる。圭介と繋がっているという思いが、紫織の躰を熱くしていた。
「それは…俺には酷なことなんだけど…。」
紫織の背中を撫でながら、圭介がつぶやく。
 
 圭介は紫織の乳房に片手をあて、唇を重ねる。圭介と紫織の舌が深く絡み合い、乳房がやわらかく形を揉み上げられる。
「あふっ……はぁっ……」
再び、紫織の甘い吐息が漏れ始めた。圭介は、紫織の向きをかえ、背後から抱きかかえると、片手で乳房を揉みながら、もう片方の指を紫織の突起にあてがった。
「んっ……やだ……な…何を…?」
前に上体を倒すような格好になった紫織は、圭介の方に振り向く。
「紫織ちゃんは、いってもいいよ。」
圭介は指で、紫織の突起をこすり始めた。少し大きくなった突起が、圭介の指先にはじかれ、紫織の躰を快感が貫く。
「やっ……やめ……はぅっ……あぁっ…んっ……」
紫織は徐々に前に上体を倒し、圭介の指から逃れようとしていた。
「そんな格好になったら…」
「えっ…?」
圭介は紫織の腰をつかんだ。紫織はいつのまにか四つん這いになり、圭介に尻を突き出す格好になっていたのだ。圭介は紫織の格好に誘われるように、再び腰を動かし始めた。月明かりに照らされた二人の影が、やしろの壁に映り、紫織の目にとまる。
  
「あっ……や……あぁっ……んんっ……」
激しく首を振り、快感を伝える紫織を、圭介は背後から突き上げ続ける。紫織のお尻と圭介の腰があたるたび、パン、パンとはじけるような音が鳴り響いていた。
「も…もう…あぁっ…おかし…く…なっちゃう……はぅっ…おねが…い……いって……ください…。」
突き上げられるたび、男根が奥にあたり、紫織の躰がびくんびくんと反応している。圭介は崩れる紫織の躰を抱きしめると、紫織の突起を激しくこすり、腰を動かしていく。
「はぁっ……うっ……」
びくんっ…びくんっ……びくっ、びくっ…
紫織の女陰が激しく痙攣し、圭介の男根を締めつける。圭介は、紫織が絶頂に達したのを感じると、夢中で腰を動かし、やがて勢いよく抜き取って紫織の尻に精液を放った。
 
 
「愛子の跳び蹴りは痛いぞ。」
手をつなぎ、家への道をゆっくりと歩きながら、圭介はつぶやく。紫織は愛子の顔が目に浮かんだ。愛子がこのことを知ったら…。きっと、バカ兄貴、と叫びながら圭介に向かっていくに違いない。圭介は、微笑む紫織を見ながら、紫織の肩に手をまわした。
「明日、帰っちゃうんだよね。」
紫織がうなずくと、圭介はしばらく黙って歩いていたが、やがて足を止めた。
「もう一回、神社に戻る?」
驚く紫織の返事を待たずに、圭介は紫織の手首をつかんで、今来た道を引き返していった。
 
「このお、バカ兄貴い!」
翌朝、愛子の跳び蹴りはきれいに決まった。
 
 

~終わり~

小説(転載) 盆休み5/6

官能小説
06 /17 2018
 すき間から差し込んだ月の光が紫織の乳房から腹部をすべて照らしている。青白く見える紫織の躰がなまめかしい。圭介はその姿を眺めたあと、ゆっくりと紫織の乳房に唇をあてた。あたたかい唇と舌の感触が肌を伝わる。
「だ…だめぇ……う…っく……」
紫織は自由の利く片方の手で圭介の上腕部をつかみ握った。しかし、指をいっぱいに開いても、圭介の腕をつかみきれず、紫織はその腕の強さにあらがえない。
「はぁっ……あぅっ……はぁぁっ……」
紫織の息づかいがだんだん荒くなっていた。乳房を揉まれ、乳首を優しく吸われ続けるうちに、紫織はその快感に身をゆだね始め、抵抗する力が抜けていく。
 
 圭介は、自分の腕をつかんだ紫織の手を、自分の肩にまわすと、紫織の足首から内側をなぞるように手を這わせ、紫織の一番敏感な場所までたどり着いた。
 圭介は紫織のショートパンツのボタンをはずし、チャックをおろす。背中中央を支えられて仰け反っていた紫織の躰から、簡単にショートパンツが脱がされていった。
 
 ショーツの上から、紫織のやわらかい丘を撫で、圭介は谷間を指でなぞっていく。少しくぼんだ股間中央に指を押しあてると、じわりと紫織の愛液が染み出してきた。
「うっ……」
紫織は恥ずかしさでうめく。指先に伝わるショーツの湿り気が、圭介の動きを変えた。圭介の胸元をたたいて、紫織がもがきだすが、圭介は股間中央に中指を押しあてたまま、親指で小さな突起をショーツ越しにこすっている。
「あぅっ……はぁっ……くっ…」
紫織の声が大きくなり、ショーツから染み出した愛液は圭介の指先を濡らしていく。
「紫織ちゃんの……触りたい…。いい?」
圭介の言葉に、紫織からの返事はなかったが、圭介の指は、紫織のショーツの中へと滑り込んでいた。
「ああっ……あんっ……んぅっ…」
紫織のあたたかい愛液が圭介の指に触れると、圭介はゆっくりとなぞり始めた。上から下へとなぞっては、再び上に戻り小さな突起をゆっくりと指先で撫でる。
 その間、紫織の小さな甘い悲鳴が絶え間なく繰り返され、紫織の躰は更に仰け反り、宙に浮いていた紫織の頭が床についていた。
 
 圭介は、静かに紫織の躰を床におろすと、紫織の下着をとり、自分も服を脱いだ。そして、再び紫織の背中に手をまわし、広げたTシャツの上にのせると、紫織の膝に両手をおく。
 
「な……やめてっ……圭介さんっ……ひっ……あぁっ……」
 
紫織は圭介の頭を両手でつかんだ。紫織の太ももの間に顔を入れ、圭介は紫織の秘部に舌を這わせている。圭介の舌先で、愛液が音を立て、紫織はこの上ない恥ずかしさを感じた。
「いいから、目を閉じて。そうすれば恥ずかしくないから。」
恥ずかしさでわけが分からない紫織は、圭介に言われるまま両手で顔を覆う。
 
ぴちゃっ…ちゅぷっ…ぴちゃっ……
 
淫靡な音が紫織の耳に入る。
「はぅっ…や……恥ずかしい…あぁっ……」
目を閉じたことで、逆に神経が秘部に集中し、激しい快感が紫織を襲っている。圭介はそうなることを知っていて、紫織に目を閉じさせたのだった。圭介は、紫織の突起に何度も吸い付き、最後に軽く歯をあてた。
「いやぁぁぁぁっ…」
悲鳴をあげ、紫織の躰が大きく仰け反るのと同時に、とろりと愛液があふれ出る。
 
 圭介は顔をあげ、太ももを両脇に抱えると、紫織の女陰の口に男根をあてがい、ゆっくりと挿し込んだ。
「あぁっ…うぅぅっ……んっ…」
張りつめた男根の感触が、紫織の体内に直に伝わり、紫織の頭がくらくらしていく。圭介の腰が前後に動き始めると、紫織は、激しい快感におかしくなるのではないかと思った。
 
「気持ちいい?」
圭介の言葉に、紫織は小さくうなずき、太ももにまわされた圭介の手をぎゅっと握る。

小説(転載) 盆休み4/6

官能小説
06 /17 2018
 突然、がさっと境内の草むらが動いた。紫織は悲鳴をあげ、圭介の腕をつかんだ。
「何ですか?」
おそるおそる音がする方を見ながら紫織が言うと、圭介は傍にあった小石を草むらになげた。また、がさがさっと音がし、遠くへ行ってしまった。
「たぶん、ねこかなんかだろ。」
圭介が紫織に言うと、紫織は慌てて圭介の腕から手を離し、自分の膝においた。紫織は、そのまま黙り、うつむいている。
 
 圭介は妙な雰囲気になってしまったことに気づいて言葉を探したが、どれもたいしたことではない。困ったなあ、と思いながら紫織の方をみた。紫織はまだ、うつむいている。圭介は月明かりに照らされた紫織の姿を、思わず見つめてしまった。ノースリーブのシャツから細い腕が出、その手が置かれているショートパンツの裾からのびた脚は、月明かりで妙に白く見える。紫織の横顔には洗いざらしの髪が垂れ、うつむくまぶたにはくっきりと二重のラインがある。
 圭介の視線に気づいた紫織が、圭介の方を振り向き、目が合うと、紫織はすぐに目を反らしたが、みるみるうちに頬が赤く染まっていく。
  
 圭介は引き寄せられるように、紫織に顔を近づけた。
「えっ?」
たった今まで、どうしよう、何か話さなきゃ、と懸命に頭の中で思いめぐらせていた紫織は、突然の圭介の行動に躰が震えた。
 
 圭介が紫織の唇を覆っている。夜風でひんやりとした自分の肩に、圭介の手のひらの暖かさが伝わってくる。
 紫織は圭介の腕に手をあて、圭介を押し戻そうとした。しかし、それは意味がなかった。紫織の手が腕に触れた瞬間に、圭介が唇を離し、紫織を抱き寄せたからだ。
 紫織の躰がびくっと痙攣し、震えが止まらない。
「け…圭介さん…?」
 圭介の胸に紫織の震えが伝わって来ると、圭介は紫織を抱きしめる腕の力をさらに強めた。
「んっ。」
紫織が苦しそうにもがけばもがくほど、紫織の躰は圭介の胸に収まってしまう。
 
 どれくらいの時間が経っただろうか。紫織は抱きしめられる力強さに、頭が真っ白になり、自分の躰を圭介の胸にあずけている。
「襲いたくなってるんだけど…いいかな。」
圭介の言葉に、紫織は戸惑う。いつもの冗談とは違う声だったからだ。
「何を言ってるんですか?冗談はやめてください。」
「本気だよ。……さっきまでは、手を出すつもりはなかったけど…愛子の友達だし…まずいかなって。でも…、やっぱりこのまま帰すのが惜しくなった。」
圭介はそう言うと、紫織の返事を待つことなく、腕の力を少し弱め、紫織の唇に自分の唇を重ねた。紫織の鼓動が激しくなる。紫織は圭介に惹かれていた自分に気づいていたものの、圭介の言動は予想していなかった。
 
 圭介は、紫織の膝に片腕をまわし、紫織を抱きかかえると、社の扉を足で押して中に入っていった。社の中はがらんとしていて、わりあい広く、正面 に神棚が祭ってある。
「バチが当たりそうだけど…。」
圭介は、つぶやきながら紫織を床の上におろした。紫織は両脚を斜めに折り曲げ、床に座っている。圭介は、社の扉を閉め、紫織と反対側を向くようにあぐらをかいて座った。圭介の行動をただ見つめるだけの紫織の肩に、圭介は腕をまわすと、口づけしながら自分に引き寄せる。紫織は体勢を崩され、圭介の太ももに手をついた。指先から、圭介の太もものかたさが伝わってくる。圭介の腕に触れていた反対側の指先からも同じ感覚が伝わってくる。鼓動が紫織の躰を脈打つようだった。
 圭介の舌が紫織の唇の間をわって入り、引っ込めようとする紫織の舌を誘い出す。紫織はゆっくりと誘われるまま、圭介の動きに従った。
 
 圭介は、片腕だけで紫織の躰を支えると、首筋から肩へと手を這わせていく。やがて持ち上げるように、紫織の胸をつかんだ。紫織はその手の力に驚き、体勢を変えようとするが、圭介の片腕に収まった躰はほとんど動かせない。
 圭介の手がシャツの中に入り込んできても、紫織は抵抗することができなかった。
「んっ…。」
小さなうめき声が、紫織の喉もとから漏れる。
 
 圭介はブラジャーのホックをはずすと、意味なく覆うだけになったレースの布きれを上にずらし、紫織のやわらかな胸を手のひらに感じていく。乳首が指先にあたると、圭介は中指で触れながら、紫織の反応を確かめた。乳首の先端を撫でるたび、紫織がぴくんと反応する。紫織の乳首が、圭介の指先の動きで小さな突起を作り始めていた。
 
「やっ……ま…まだ……私…圭介さんのこと……よく…知らないのに……。」
紫織は圭介の唇から逃れ、圭介に訴える。このままでは、最後までの関係になってしまうと思った紫織は焦り始めた。この数日間の圭介の様子からは、想像もつかない行動だったのだ。
「こんな…あっ……強引な…人…だったんですか…?」
圭介の手首をつかみ、動きを止めようとしながら、紫織がつぶやく。圭介は紫織の抵抗にかまうことなく、乳首をつまみ上げた。
「あぅっ……んっ……や……まって……」
紫織の躰の奥深くが、ずきずきする。自分が嫌がっていないことを、紫織は気づいたが、さっきまでそんな素振りを見せていなかった圭介の男の本能に困惑していた。
「俺、妹の友達だからって、こんなに可愛い子をほっとくほど大人じゃないよ…。」
圭介はそう言って、紫織の乳房を揉み、乳首を刺激する。
 
「はぁっ……こ…困ります……私……こんな……んんっ」
紫織は、自分を抱きしめる圭介の胸に顔を埋めた。躰の震えは圭介の腕に伝わり、圭介は紫織の顔を向かせるように紫織の体勢を変える。
「やっ。」
社の壁の上部にあるすき間から月の光が差し込み、自分の顔ははっきりと圭介に見えるはずだ。そう思った紫織は躰をひねり、また顔を埋めようとするが、再び圭介に体勢を変えさせられていく。
「こっち向いて。」
圭介が耳元でささやくと、その熱い息で、紫織の躰がぴくりと反応した。圭介は紫織のシャツを上にずらしながら、支えていた腕を紫織の腕の下から背中にまわし、紫織の躰を仰け反らせた。
「やめて…。」
両方の胸が完全にあらわになり、それらが圭介の目の前になったことに紫織は気づくと、腰を浮かせ逃れようともがいた。

小説(転載) 盆休み3/6

官能小説
06 /17 2018
「愛子お。ビール買ってきて。」
圭介が残り少なくなったビールの缶を見て、愛子に言った。小遣いをもらった手前、愛子は嫌とは言えず、紫織と一緒にその場をあとにした。
「愛子ちゃんの友達ねえ、圭介のこと好きみたい。」
聡美が圭介に言うと、聡美の言葉を聞いた他の仲間が、奇声をあげて騒ぎ出した。聡美は慌ててそれをたしなめたが、圭介も酔っぱらっていたので、一緒になって騒ぎ出した。
「行けっ、圭介。追いかけろお。」
という仲間の声に、圭介はおっしゃあ、と叫び走り出した。聡美は止めようとしたが、圭介の姿は遠くの方へと行ってしまい、どうすることもできなかった。
 
 愛子たちは、お店で酒やつまみを調達すると、祭りの会場へと戻っていくところだった。
「あれっ、兄貴だ。」
圭介はすでに酔っていた体で走ったため、さらに酔いがまわって足元を少しふらふらさせながら、愛子たちに近づいてくる。
「うーんと、聡美がさあ…、紫織ちゃんがあ…。」
あきらかに酔っぱらった圭介が話そうとすると、愛子は圭介がなぜここに来たのかを悟った。愛子は圭介の言葉を遮り、不思議そうな顔をしている紫織を残して、圭介の腕を引っ張って行った。神社の境内までくると、愛子は圭介の尻を蹴っ飛ばし、
「酔いがさめるまで、家に帰ってくるな。」
そう言い残すと、愛子は買ってきた酒を圭介の仲間のところに置いて、紫織のところまで戻り、そのまま家に帰った。
 
 夜もふけ、盆踊りの音も聞こえなくなったころ、聡美から電話があった。聡美は愛子に、圭介に話したことをわびると、圭介は家に戻ったかどうかを聞いてくる。愛子はたぶん境内にいるだろうから、自分が迎えにいくと行って、電話を切った。
 浴衣からジーパンに着替えた愛子は、心配する紫織を家に残し、境内へ走って行った。   
 案の定、圭介は神社の境内にある石段で眠っていた。愛子は圭介を起こし、近くの自販機でお茶を買って圭介に渡した。圭介はしばらく自分の状況が分からないようだったが、愛子から話を聞き、酔っぱらって紫織に絡まないようにしてくれた愛子に礼を言った。
「兄貴は、紫織のことどう思ってるの?」
「どうって…。可愛いし…いい子だし……嫌いなタイプじゃない。でも、お前の友達だろ?」
圭介の答えに、愛子は大きなため息をつく。
「紫織から好きだってはっきり聞いたわけじゃないからね。兄貴にその気がないなら、口説いたりしないでよ。」
「口説くって、お前…。どうして俺が……。」
愛子に念を押され、圭介はたじろぐ。
「兄貴の元彼女って、全部紫織みたいなタイプだったっけなあ。」
そう言って、圭介の元彼女の名前を次々に挙げていく愛子を、圭介は慌てて止めた。愛子はもう少しここにいるという圭介を残して、家に帰った。
 
 
 次の日、愛子は何事もなかったかのように、また圭介を運転手として遊びに連れて行かせた。圭介に気持ちを知られているとは知らない紫織は、普通 に圭介に接してくる。
 圭介も普通にしていようと思うが、どこか紫織を意識している自分に気づいていた。紫織の仕草が目につき、しばらくそれを眺めてしまう。
 
 
 その夜、連日連れ回された圭介はさすがに疲れて、夕食が済むとすぐに寝てしまった。のどが乾いて目を覚ますと、すでに午前1時をまわっていた。水を飲もうと縁側の角を曲がったとき、居間の前の縁側に座っている紫織を見つけた。紫織は圭介に気づき、振り向いた。
「どうしたの?」
圭介が声をかけると、
「妙に目が冴えちゃって…。」
と紫織は答えた。圭介は、冷蔵庫から缶ビールを取り出して、戻ってくると、紫織に差し出した。圭介は紫織の隣に座り、庭に足を投げ出して、缶 ビールを飲みだした。
「いろいろ、ありがとうございました。」
愛子と一緒に、遊びに連れて行ってくれたことに礼を言うと、圭介は
「また、いつでも遊びにおいで。」
と答えた。紫織が缶ビールの缶を開け、少し飲んだとき、圭介は、散歩でもしようか、と紫織を誘った。
 
 圭介が服を着替え、戻ってくると、紫織もショートパンツとノースリーブのシャツに着替えて待っていた。圭介と紫織は一緒に家の外に出た。
「月が明るいですねえ。」
紫織が空を見上げて言う。見ると、空には月が出ていて、辺りをうっすらと明るく照らしている。
「懐中電灯はいらないな。」
圭介は庭石に懐中電灯を置き、二人は家の前の道を歩き始めた。道路には、二つのうすい人影ができている。家の前に広がる田んぼからは、ウシガエルの鳴き声や、虫の声が聞こえていた。
「この声って、カエルなんですよね?」
紫織にはウシガエルの鳴き声が珍しいらしい。圭介は、紫織をその場に待たせると、かがんで田んぼのあぜ道を静かに歩き始めた。
「おっしゃ。」
圭介がすばやく稲の中に手を入れたかと思うと、黒い塊を両手につかんでいる。そして圭介は紫織のそばまで行き、その塊を紫織に差し出した。
「ぶおっ」
黒い塊から大きな鳴き声が聞こえ、紫織が悲鳴をあげて後ずさりした。
「これがウシガエルだよ。」
気持ちが悪いといって、近寄らない紫織に、圭介は笑いながら
「これ、食えるんだぜ。」
と言いながらウシガエルを田んぼに返した。
 圭介はそばの民家の庭にあった水道で手を洗うと、また紫織に並んで歩き出した。辺りは静かで声がよく響く。圭介は小声で話しながら、紫織を笑わせた。
 
 しばらく行くと神社が見えてきた。境内の石段をのぼり、やしろの前の床に腰掛けると、圭介は愛子の小さい頃の話をし始めた。今とそれほど変わらないやんちゃな愛子の子供時代に、紫織はくすくす笑う。

小説(転載) 盆休み2/6

官能小説
06 /17 2018
 次の日から、圭介は愛子たちの運転手としてあちこち連れまわされた。都会育ちの紫織は、何もかもが珍しいようで、あれこれ愛子や圭介に教えてもらいながら、そのつど感心していた。
 愛子は活発で、言いにくいこともずばずば言うが、紫織は愛子に比べるとおとなしい性格だった。ただ、たまに変なことをくちばしったりするので、愛子はおもしろがって紫織と付き合っているらしい。
 
 
 夕方、圭介の友人四人が家に遊びに来た。みんな地元を離れて生活しているので、盆や正月になると決まって圭介の家で飲むのだ。
「おっ、愛子ちゃんじゃねーの。」
友人の佐々木が愛子の姿を見つけて呼び止めた。
「ちょっと見ないうちに、きれいになったねえ。」
隣に座っていた聡美が愛子に言うと、愛子は笑いながら、聡美さんにはかなわないよ、と答えた。圭介の友人たちは大笑いし、部屋に戻っていく愛子に手を振った。
 
「圭介、あさっての祭りどうする?」
寺田が言うと、圭介の隣に座っていた伊藤が太鼓でもやるか、と言いだした。圭介の地元では、盆踊りのイベントとして子供たちに太鼓を演奏させる習わしがある。聡美を除く四人も中学までは太鼓の演奏に参加していた。
「聡美は腹踊りでもしてろ。」
自分が参加できない、と文句を言う聡美に伊藤が言った。よしっ、と言って服をまくろうとする聡美を、寺田が慌ててとめた。
「相変わらずだなぁ、聡美ぃ。」
 その日、遅くまで圭介たちの笑い声が絶えなかった。
 
 翌朝、圭介は祭りの責任者に連絡すると、太鼓の練習に出かけていった。おかげで愛子たちはどこへも行けず、近所の河原で愛子の両親とバーベキューをした。
「愛子、明日の祭りに紫織ちゃんを連れていったらええわ。」
母親はそう言いながら、押し入れから二人分の浴衣を出した。紫織は、喜んで浴衣を眺めている。愛子も屋台が出ると聞き、あれこれ食べたいものを紫織に言いながら、浴衣を干す母親を手伝った。
 
 夜遅く、圭介が帰ってくると、愛子は明日の祭りに、紫織を連れて行くことを話した。圭介は、祭りの夜はたぶん打ち上げがあるだろうから、自分は一緒に帰れないが、二人で楽しめと言って、財布から五千円札を出し、愛子に渡した。
「やったあ。」
うれしそうに愛子はお金を受け取ると、紫織に話すと言って部屋に戻った。
 
 翌日、昼頃から盆踊りの音楽が聞こえてきた。圭介は朝早くから準備があると言って、家を出かけていて、家にはいなかった。
 陽がおちると、愛子と紫織は愛子の母親に浴衣を着せてもらい、歩いて祭りの会場となっている神社へと出かけた。祭りの会場はもう大勢の人でにぎわっている。二人はたち並ぶ屋台をひとつひとつ見ながら、はしゃぎまわった。
 
どーん。
太鼓の音が聞こえた。
「あっ、太鼓が始まるみたいだね。」
愛子が紫織の手を引っ張り、盆踊りの輪の近くへ連れていった。はっぴを来た子供たちがかけ声をあげながら、太鼓をたたき始めた。垂れ幕がかかった正方形のやぐらの上に大きな太鼓が二つあり、その前に小さめの太鼓が四つ並んでいる。紫織は、一生懸命太鼓をたたく子供たちの様子を見て、かわいいと笑った。
 
「愛子ちゃん。」
太鼓の音の中で、自分を呼ぶ声が聞こえ、愛子が振り返ると、浴衣を着た聡子が立っていた。
「もうすぐ、圭介たちの番だよ。」
聡子はそう言うと、愛子の横に立ち、一緒にやぐらを見上げる。紫織は圭介と親しそうな聡子の姿を見て、心の中がもやもやとし始めていた。
「あ、兄貴だ。」
愛子の声に、紫織がやぐらを見上げると、圭介が大太鼓の前に立っていた。四人は白い短パンをはき、さらしを巻いた上半身に、黒地のはっぴを着ている。
「あれーっ、あのはっぴどうしたの?」
見慣れぬはっぴに気づき、愛子が聡美に尋ねると、地元の消防団のはっぴを借りたと聡美が言った。
「そっか、聡美さんの彼氏って、地元の人だったもんねえ。」
愛子が聡美を見て微笑み、聡美の恋人が地元の消防団員であることを紫織に教えた。
「彼氏がいたんだ…。」
紫織がつぶやく。
「えっ、何か言った?」
愛子が紫織に聞き返したのと同時に、やあっというかけ声で、どーんと大太鼓の音が鳴った。愛子たちは、やぐらの上を見上げる。
 
 どーん、どーんという大太鼓の低い音に合わせて、前の小太鼓の音が繰り返される。さきほどの子供たちの太鼓よりも力強い音が、紫織の全身にびりびりと伝わってくる。テレビでしか、太鼓の演奏を聴いたことのない紫織は、その迫力に圧倒された。
「結構、うまいもんでしょ。」
愛子が大声で紫織に話しかけたが、紫織は気づかない。紫織の目線をたどるように愛子は、やぐらに目をやった。
「わかりやすいなあ。紫織は…。」
愛子は紫織の目線が圭介の元にあることに気づき思った。まあ、無理もないか、と愛子は圭介を見た。
 
 酒を飲み、だらしない格好で愛子に話しかけてくる圭介と友人たちを見ている愛子でも、今、やぐらの上に立ち、真剣に太鼓をたたく姿はかっこいい、と思う。
「でも、顔は平凡なんだけどなあ。」
愛子のつぶやきに、聡美が気づいた。どうしたのか、と聞く聡美に、愛子は紫織をちらっと見て、なにやら告げた。聡美も、愛子の耳元で何か言っている。
 
 演奏が終わり、会場から拍手が起こった。人のざわめきが聞こえ始めると、スピーカーから盆踊りの曲が流れ始めた。何事もなかったかのように、また人が動き出す。愛子は聡美と別 れ、紫織と一緒に歩き始めた。
 しばらくすると、遠くで佐々木が愛子を呼んでいる。近づくと、佐々木は愛子と一緒の紫織を見て、打ち上げに誘った。紫織はためらっていたが、愛子は強引に紫織を連れて行った。人混みから少し離れた場所に、大きなシートを広げ、紫織の知らない人たちと圭介たちがビールを飲みながら笑っていた。みな、愛子と紫織に気づくと、酔っぱらっているのかいろいろと話しかけてくる。愛子は酔っぱらいたちをうまくあしらいながら、紫織も加えて場を盛り上げてた。

eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。