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小説(転載) 蒲柳の母6-3

近親相姦小説
03 /27 2022
掲載サイト「母親の香り 息子の匂い」は消滅。

 幹太はユッコに相談をしようと思った。 ユッコなら由布のことを詳しく知っているだろう。 なにか貴重な意見をもらえるかもしれない。 そんな淡い期待を胸にユッコに電話をした。
「もしもし、ユッコ?今、大丈夫?」
「なんなのよ。仕事のあとは疲れてるって言ってるでしょ。 また、お母さんがなにかやらかしたとでも言うの?」
幹太はユッコの機嫌が悪いときに電話をしてしまったと思った。 しかし、引き下がるわけにはいかなかった。
「お母さんの機嫌がいいときってどうやって見分ければいいと思う?」
幹太は早く本題に入ってしまおうと思った。
「お母さんの機嫌がいいとき?そんなこと知らないわよ。 なんでそんなこと聞くのよ。」
ユッコがまともに考えてくれる様子はない。
「夜、お母さんとユッコが話をしているときに、 お母さんがすごく楽しいそうにしているときとかあったでしょ。 そんなときになんかわかりやすい仕草とか、表情とか、そんなのなかった?」
幹太はそのことだけが知りたかった。
「お母さんの機嫌がいいとき? そんなのわかんないわよ。なにかあったの?」
ユッコは今すぐにでも電話を切りたい様子だった。
「お母さんお様子がさ、一時期みたいに悪くはないんだけどさ、よくもないんだよ。 でさ、オレってお母さんの機嫌がいいのか悪いのかわからないからユッコに教えてもらおうと思って、」
幹太の話をさえぎってユッコが話し始めた。
「幹太に言ってもわからないかもしれないけど、 お母さんってよくしゃべるときに右の唇の先が微妙に上がるのよね。こんなのでいい?」
幹太はさすが姉弟だと思った。 同じところをユッコも気がついていたのだ。 これで由布の機嫌がいいときはわかるようになった。 朝の由布は確かに機嫌がよかったのだ。
「そんな微妙なこと、オレにわかるかなぁ?」
幹太はわざと知らないふりをしてみせた。
「今でもときどきお母さん突然切れちゃうんだけど、昔もそんなことあったの?」
幹太は抱きしめる以外の対処法も知りたかった。
「お母さんっていつも愚痴ばっかり言ってたから機嫌がいいときってあんまりなかったけど、 すごく機嫌が悪いとか、切れちゃうことなんかなかったと思うのよねぇ。 突然お茶碗投げたりしちゃうんでしょ。私はそんなこと知らないわよ。」
やはりユッコは見たことがないようだった。
「それでさ、もしユッコだったらそういうときどうやって止めると思う? オレいつも強引に突撃して押さえ込んでいるんだけど、これって逆効果だと思うんだよね。 だって、お母さんって押さえ込まれたらかえって暴れる性格だろ。」
「そうねぇ。自分の思うようにならないことがあると反発はするでしょうねぇ。 でも、暴れてるんでしょ。押さえないと止まらないんじゃないの?」
この件に関してはユッコから有益な情報は得られそうにない。 しかし、機嫌が悪そうだったユッコが優しい言葉遣いで答えてくれると幹太は不思議に思った。 そのとき、電話の向こうで知らない男の声がした。
「いつまで電話してんだよ。続きしようぜ。」
「電話中は黙っててって言ってるでしょ。弟と話をしてるんだから。」
幹太は一瞬だけ話が見えなかった。 しかし、すぐに状況を把握することができた。 最近の電話は性能がすごくよいということである。
「ユッコは男と一緒にいたから言葉遣いが悪くなかったんだ。」
幹太は間違いないと思った。 しかし、ここで「誰かいるの?」などと聞くほど幹太はヤボではない。 この事実をいつどのように使うかはタイミングを待つことにした。 さすがに由布の子である。 ユッコも幹太も確実に由布の性格を継いでいることろがある。
「ユッコはお母さんのこと心配じゃないのかよ。」
幹太は話を広げてみた。
「心配だけど、離れて暮らしていたらどうしようもないでしょ。」
ユッコの答えはいつも同じだ。 積極的に由布を助ける気はないようだった。
「オレだけだと心配なんだよね。」
幹太が話をしているときにも男の声が混じって入ってくる。
「ちょっと、やめてって言ってるでしょ。」
ユッコの声も混じってくる。 ユッコも朝の由布のように男を焦らして楽しむのだろうか。 ふとそんなことが気になった。 しかし、そんなことは知る術がなかった。
「ちょっと、もう切るわよ。」
男がせかすのか、ユッコが我慢できないのか、2人の世界に戻りたいようだった。
「わかったよ。また困ったら電話するから相談に乗ってよね。」
幹太は素直にユッコの時間を邪魔しないことにした。
「また、なにかあったら電話してね。 私だってお母さんのこと心配なんだからね。」
本音か建前かわからないようなことを言ってユッコは電話を切った。 幹太も最低限知りたかったことは知ることができた。 しかし、これで問題がさらに深刻化したことは明らかである。 由布が暴れるようなことがあれば幹太は由布を抱きしめなければならない。 そのときに由布が朝のようなちょっかいを出さないとは限らない。 幹太にとって、由布を守るとはどのような行為を意味するのだろうか。

小説(転載) 蒲柳の母6-2

近親相姦小説
03 /27 2022
掲載サイト「母親の香り 息子の匂い」は消滅。

 膝から落ちた由布がひじで感じたものは硬直した幹太だった。 由布はあきれた声を上げた。
「幹太、なにを考えてたの。」
幹太は慌てて否定した。
「朝勃だよ。朝、起きたら勃つんだよ。」
そう言いながら由布を振りほどいた。 由布は今まで弱っていたのが嘘のように立ち直っていた。
「幹太、いつもそんなこと考えて抱きしめてたのね。」
由布は幹太の下半身を見つめたままつぶやいた。 幹太から由布の表情は見えなかったが、不思議と由布の声からは怒りを感じなかった。 それどころか、格好の見下す相手を見つけたときの由布は生き生きとしていた。
「だから、そんなんじゃないって言ってるだろ。」
幹太は必死になって否定した。 由布を抱いて硬直したなど絶対に認めたくなかった。
「そんな必死になっちゃって。体はウソをつけないわよ。」
幹太を見上げた由布の瞳は生き返ったように輝いていた。 由布が幹太に迫る。 幹太は後ずさりをしてベッドに座り込んだ。 幹太の股間に由布の手が伸びる。
「これはなんなの?」
由布の指が根元から先へとくねくねと這う。 由布も幹太を襲おうなどと思っていたわけではない。 幹太が由布の体に感じたと思っていたわけでもない。 ただ、恥らう幹太をからかうのが楽しかった。 幹太は由布の手を握りしめて離そうとした。
「なにムキになってるの?怪しいわねぇ。」
由布は水を得た魚だった。 幹太のどのような行動に対しても即座に揚げ足を取ることができた。 幹太は意地でも由布を抱いて硬直したのではないことを認めさせたかった。
「お母さん、ズルいよ。朝勃って知ってるんだろ。」
幹太は泣きそうな顔をしていた。 そんな表情が由布をますます調子に乗らせた。
「知ってるわよ。朝勃ってすぐに終わっちゃうんでしょ。 どうしてこんなにずっと勃ってるのかしら。おかしいわねぇ。」
由布は満面の笑みだった。 特に、わずかに上がった口元は、かつて幹太の知っていた由布の口元だった。 ユッコと話をしているときにそんな表情をしていた。 しばらく見ていなかった由布の由布らしい表情をこんな形で見ることになるとは考えたこともなかった。
「お母さんが触ってるからだろ。だから、お母さん、ズルいって。」
幹太が拒否し続けている間も由布は優しく触り続けた。 それは決して興奮させる触り方ではななかった。 かろうじて勃起し続ける触り方だった。 この行為からも由布が若い頃遊んできたことがよくわかる。 特に男を焦らす遊び方が得意だったのだろう。 童貞の幹太がそんな由布にかなうわけがなかった。
「お母さんそんなに触ってないでしょ。勃ってるかどうかを確かめているだけよ。 」
幹太は負けを認めたのか由布から逃げる口実を考え始めた。 そして、わざと慌てて時計の方を振り返って叫んだ。
「お母さん、オレ学校に行かなくっちゃ。もうこんな時間だよ。」
しかし実際に時計に目をやると幹太が期待したほど時間は進んでいなかった。 由布が抱擁を求めてきてからかなり長い時間が経っているように感じていたが、しかしまだ1時間弱だった。 幹太が学校に行くまでにはまだしばらくの余裕があった。
「まだ大丈夫でしょ。そんなに急ぐことないわよ。」
幹太の言い訳はいとも簡単に覆された。 由布にとって久しぶりに味わう快感である。 ユッコがいなくなってから初めての快感だった。 この貴重な機会を簡単に手放すほど由布は淡白な女ではなかった。 幹太は落ち込んだ由布の心を感じることはできても、 快楽を享受する由布の気持ちまでも見透かすことはできなかった。
「お母さん、ズルいって。親子でこんなこと、おかしいよ。」
幹太はもはや由布に怯えていると言った方が正しかった。 その事実がさらに由布を興奮させた。 由布は頭のどこかで幹太を支配する計算をしていたに違いない。 幹太が由布の正体を知らなかっただけである。 ユッコもどこまで知っていたのか定かではない。 由布はただプライドの高いお嬢様ではなかった。 息子でさえも支配の対象にしてしまうほど貪欲な女だった。
「あら、だったら幹太がお母さんを抱きしめることはおかしくないって言うの? 幹太だって人のこと言えないでしょ。」
もはや由布の屁理屈に幹太は屈するしかなかった。 幹太にはそれ以上言葉が出てこなかった。 幹太の由布を助ける気持ちを踏みにじられた気がした。 由布の態度が信じられなかった。
「だったら好きなようにしたらいいだろ。 オレだって男だよ。勃起くらいするよ。なにがおかしいんだよ。 お母さん、ズルいよ。信じらんないよ。」
幹太が開き直ると由布には楽しみを続けることができなかった。 開き直った幹太をもてあそんでも快感は得られなかった。 それに由布が幹太に頼らなければならないことも事実だった。 これ以上幹太を追いこんでも由布が得られるものは少なかった。
「もう学校に行きなさい。」
それだけ言うと由布は自室に帰っていった。 幹太は朝食を食べる暇もなく学校に向かった。 学校に向かいながらその朝のできごとがまだ信じられなかった。 何十分も正気をとり戻すことができなかった由布の突如の変貌ぶりに、 なにが起こったのかさえ正しく認識できないままでいた。
「あれは一体なんだったんだ?」
幹太は学校に向かいながら魑魅魍魎の正体でも暴くかのように朝のできごとを思い返していた。

小説(転載) 蒲柳の母6-1

近親相姦小説
03 /27 2022
掲載サイト「母親の香り 息子の匂い」は消滅。

 ある朝、まだ幹太が起きる前、由布は朝食の準備をしていた。 朝の由布は機嫌がいいことが多い。 やはりユッコと楽しく会話をしていた夕食後が1番落ち込むことが多いだろうか。 しかし、その朝は違った。 幹太が寝ている部屋に音も立てずに由布が忍び込んできた。 ユッコがいなくなってから幹太は1階の部屋で生活をしている。 以前はユッコの部屋だった場所である。 理由はいたって簡単である。 由布の寝室も1階にあるからである。 太一とともに2階で生活していた幹太は、由布のために1階に下りてきた。 その部屋に由布が飛び込んできたのである。 幹太はまだ寝ている。 由布は乱れる息を抑えながら幹太を起こした。
「幹太、起きて。早く起きて。」
由布は幹太にすがりついた。
「えっ!今何時?」
幹太は寝坊したのかと勘違いして飛び起きた。 幹太の声に由布が慌てる。
「大きな声出さないで。お父さんに気づかれるでしょ。」
由布の腕はなにかに怯えて震えている。 幹太は半分寝ぼけたまま条件反射で由布を抱きしめた。 しかし、由布の震えが止まらない。
「どうしたんだよ。しかも、こんな朝早くに。」
幹太は由布を抱きしめる腕に力を込めた。
「朝ご飯を作っていたら、2階でお父さんお足音がして、そしたら・・・」
由布はまるで幽霊でも見たかのように怯えている。 由布が恐れているのは太一の存在ではない。 由布自身が暴れ出すことである。 それは幹太も十分にわかっている。 それほどの回数だけ由布を抱きしめてきた。 由布の心の乱れに関しては、まるで恋人のように幹太は理解していた。
「もう大丈夫だって。」
幹太はとりあえず由布を安心させようとした。 太一が階段を下りてくる音がする。 幹太にはただの足音に聞こえていても、由布には家全体がきしんで由布を押し潰すような音に聞こえていた。
「大丈夫じゃない。」
由布が小声でつぶやく。 幹太はいつもよりも敏感な由布に不安を感じ始めていた。 いつものように幹太の抱擁で簡単に平常心を取り戻すことができないようだった。 幹太はベッドに座ったまま不安定な体勢で由布を抱きしめている。 由布もベッドに片膝をのせて幹太に体を半分だけあずけている。
「いつもみたいに抱きしめてあげるよ。」
幹太は由布を立ち上がらせるといつものように立って抱きしめた。 由布もいつものように両腕を胸の前に組んで幹太の腕の中にすっぽりと納まる。 由布の体の震えは収まっていたが、由布の心はまだ落ち着いていない。 なぜか幹太にはそれがわかる。 それがわかるから抱きしめる腕から力を抜くことができない。
「まだダメ。」
由布は小声で幹太を求め続ける。 幹太の胸に由布の声が響く。
「わかってる。」
太一に聞こえないように幹太も小声で答える。 お互いに耳元でささやきあっているような状態である。 幹太の背中には緊張感が走る。 こんなに壊れてしまいそうな由布を見るのは初めてかもしれない。 いつもの由布からは想像もつかないほどに、か弱い乙女を演じているようだった。 しかし、幹太には演技ではないことがわかる。 いつまで抱きしめればいいのかも想像がつかなかった。 永遠にいつもの由布が帰ってこないようにも思われた。 そして太一が朝食を終えて2階に上がっていった。 20分は抱きしめていただろうか。
「お父さん、行っちゃったよ。」
幹太は由布の頭上でささやく。
「知ってる。」
由布の返事に幹太は困った。 もう抱きしめなくてもよいかと思っていたのに、由布はそれを許してくれないようだった。 由布は幹太に体をあずけている。 幹太は由布の体を支えている。 幹太が由布を抱きしめ続けるのも限界があった。 こんなに長く抱きしめ続けたことはかつてなかったことである。 しかも寝起きの完全に目覚めていない体である。 足元にも力が入らない。 「『人』という字は人と人が支えあってできている。」 そんなつまらないことまでが幹太の脳裏をよぎるほど由布は幹太の腕の中にいた。 確かに2人は現在『人』という漢字を作っていると幹太は思った。 『人』は支えあわなくては生きていけない。 まさにそれを実感しているのが幹太だった。 1人では生きることができないガラスの心をもった由布を、 1人では生きることができない未成年の幹太が抱きしめている。 2人とも不完全な生き物だった。 そしてとうとう太一が出勤した。
「お父さん、行っちゃったよ。」
幹太はそろそろ許してほしかった。
「もう大丈夫かな。」
由布が不安げに答える。 幹太は恐る恐る由布を抱く力を弱めてみた。 由布も恐る恐る幹太を両腕で押して間を広げていった。 由布が顔を上げることはない。 これまでも立ち去るときに由布が顔を見せたことはなかった。 幹太は由布がどんな表情で去っていくのか知らなかった。 いつもうつむいたまま逃げるように由布は帰っていった。 この日も由布はうつむいたまま心の中を探っていた。
「うん。もう大丈夫。」
由布は力強く声を振り絞った。
「よかった。」
幹太は思わず自分自身が解放される喜びを口にしてしまった。 しかし、この言葉は由布の回復を喜ぶ言葉とも聞き取ることができた。 その瞬間、由布を開放しようとした幹太の足元がふらついた。 幹太に全身をあずけていた由布の体も一緒にふらついて膝から落ちそうになった。 幹太は慌てて由布の体を支えようとする。 しかし、幹太は由布を支えきることができなかった。 由布は膝から落ちて幹太の腰にすがりついた。

小説(転載) 蒲柳の母5-3

近親相姦小説
03 /27 2022
掲載サイト「母親の香り 息子の匂い」は消滅。

 幹太に助けられているからではないのだろうが、 由布と太一との関係は日に日に悪化していった。 もちろん最初は由布が太一にお茶碗を投げつけたことが原因である。 しかし、その行為に対して太一は夕食を外で食べてから帰るという返事で答えた。 今では朝食も由布が朝早く作って、誰もいない食卓で太一が1人で食べている。 この一家は朝食を外で食べることができるほど都会には住んでいなかった。 由布を立ち直らせるのは、本来夫である太一の役割である。 少なくとも普通の家庭ならそうだと幹太は信じていた。 しかしその役割を今は子どもの幹太が担っている。 夫の太一は見て見ぬふりをしている。
「なぜお母さんはお父さんを選んだのか。」
小さい頃から太一との接点が少ない幹太は常に由布の側からこの夫婦を見つめていた。 それは今でも変わらない。 しかし、幹太はただ由布を抱きしめ続けただけだったが、 由布が太一を選んだ理由がわかり始めた気がしていた。 由布は常に他人を見下す。 少なくともユッコと幹太の姉弟はずっとそう思ってきた。 その見方を少しだけ変えればよい。 つまり、見下すことができる人間しか近づかせなかったのではないだろうか。 由布は見下すことができるが、最低限の生活は保障してくれるパートナーとして太一を選んだのではないだろうか。 そう考えるとリビングで聞き続けた由布の愚痴も説明できる気がした。 由布は近所の友達ですら見下す対象として扱っていたのではないだろうか。 そして、他人を見下すことによって由布のプライドを守る。 そこに由布よりも優れている人間が現れるとすべてが破綻する。 それを由布は1番恐れていたはずである。 親しい家庭の不倫問題ですら由布にとっては格好の見下す材料だったのだろう。 由布が小さな声でユッコに話をするとき、 由布の心のどこかで他人を見下しているという、やましい気持ちがあったに違いない。 由布が太一の話をしているときに太一の悪口を言ったことはない。 むしろ、太一を擁護するような発言が多い。 しかし、これは裏を返せば、 由布が太一を褒めてもプライドが傷つかないほどに見下しているということにはならないだろうか。
「お父さんって実は頭がいいのよ。」
この言葉の裏には、太一を夫としている由布のプライドを守ると同時に、 太一を褒めても由布にはそれ以上に余裕があったと考えることもできる。 由布がほめることがあるのは太一だけである。 しかし、太一を尊敬している様子は全く感じられない。 事実、高専を卒業した太一よりも、有名女子短大を卒業した由布の方が学歴でも上だと考えていた。 おそらく結婚を決意した理由も、 堅実な仕事をしていて、安定した収入があって、遊ぶことを知らない太一が理想であったことは 十分に考えられることである。
 幹太には太一に関して、誰にも相談できないまま常に疑問に思っていることがあった。 幹太は太一を父親だと感じたことがほとんどない。 接点が少ないということもあるが、性格も似ているところがないに等しい。 体型も似ていない。 由布と幹太は物をきれいに片づけることが好きだったり、性格が似ているところがある。 例えば、本は本棚にきっちりと小さいものから順に並んでいないと気になる性格である。 太一の部屋は男の部屋とは思えないほどきれいに片付いている。 物が決まったところにないということが幹太にとっては不満なことだった。
「幹太の部屋て女の子の部屋みたい。」
かつて幹太はユッコにそんなことを言われたことがる。 幹太も別に悪い気はしない。 由布はそんな部屋が当たり前だと思っていた。 その一方で、太一の部屋は物が乱雑に散らかっていた。 由布も太一の部屋の掃除をすることを放棄していた。 それに、幹太は太一の1つのものごとに熱中する性格や、いつまでも集中できる性格を一切引き継いでいない。 太一は模型作りなどの趣味を持っていたが、1度作り始めたものは必ず完成させる。 しかも細部にまでこだわっている。 幹太は小さな頃そんな太一を尊敬していたことがある。 マネをしてプラモデルを作ってみたりもした。 しかし幹太には完成させることすら無理だった。 完成する前にきれいにできてないことが不満でやめてしまう。 そして、しばらくするともう作ることもないだろうと考えて捨ててしまう。 太一の部屋には美しい完成品が並んでいるのに対して、 幹太の部屋には1つでも完成品が置かれることはなかった。
「幹太はどうせ捨てちゃうのだから、もう買わなければいいのに。」
ユッコにそんなことを言われてからプラモデルを買ったことはない。 それに、太一のようにちゃんと完成させる自信もない。 また、太一は1人では炊事も洗濯もまったくできないが、幹太は食器洗いなどものがきれいになることは好きである。 小さい頃は食事のあとの後片付けのお手伝いも自ら進んでしていた。 このお手伝いは幹太にとっても楽しいことだった。 きれい好きな性格はユッコにも受け継がれている。 ユッコはなにかというと掃除をしていた。 少しでも汚れているところを見つけるとすぐに掃除をした。 太一は部屋が汚れていても気にならない性格である。
「お父さん汚さないでよ。」
ユッコはよく太一に文句を言っていた。 この性格は由布の性格でもある。 由布の潔癖症は高いプライドとも関係しているのかもしれない。 身の回りが汚れていることを由布自身が許せなかったのだろう。 幹太はそんな由布の気持ちを理解することができた。 しかし、太一とは性格が似ていると思ったことはなかった。 なぜ、親子でこんなに性格が違うものなのか、幹太には納得ができなかった。 由布とは似ていると思うことがあるのに、太一とは似ていると思うことがないのである。 太一は同じ屋根の下で別の生活をしているに等しかった。 由布とケンカをした今となっては、その生活がさらに激しくなっていた。 しかもユッコはもういない。 由布と太一だけが密かに結びついている。 そんな生活が日常となっていた。 太一と性格がまったく似ていない。 もはや太一と会話をする機会も皆無と言っていいほどだった。 この疑問は誰にどう聞けばよいのだろうか。 幹太の悩みの1つであった。

小説(転載) 蒲柳の母5-2

近親相姦小説
03 /27 2022
掲載サイト「母親の香り 息子の匂い」は消滅。

 幹太の苦悩をよそに由布は幹太に抱擁を求め続けた。 由布は抱擁依存症だった。 いや、幹太依存症だったのかもしれない。 由布が暴れることがなくなったのは、由布が暴れる前に幹太の抱擁を求めるからである。 おそらく幹太が抱きしめなければ、由布は自分を止めることができない。 由布もそのことを知ってか、頻繁に幹太の抱擁を求めた。 由布は幹太の抱擁よりも暴れることの方を恐れていた。
「幹太。抱きしめて。」
あのプライドの高い由布が当然のように自ら幹太に声をかける。 幹太も断る理由がない。
「いつもみたいにもっと強く。」
由布は恋人のようにすがりつく。 幹太が意識するからそう感じるのかもしれない。 ただ、これまでのように無条件で由布を強く抱きしめることはできなくなっていた。 実の母を抱きしめるという覚悟を決めなければならなかった。
「お母さん。オレが抱きしめなきゃダメなの?」
由布はそんなことを考えたことはなかった。 自分を抑えきれなくなるとき、抱きしめて落ち着かせてくれたのは幹太だけだった。
「他に誰がいるのよ。」
由布にとっては抱きしめてもらうことは前提条件だった。 幹太の質問には「誰がするのか?」という点だけに疑問を感じた。 しかも、由布は息子に抱きしめてもらうことに違和感を感じていない。 幹太は黙って由布を強く抱きしめた。 幹太にも由布の気持ちが落ち着いていくのがわかった。 錯角だったのかもしれないが、確かに幹太は感じていた。
「もういいわよ。」
由布は決して礼を言わない。 幹太には抱擁を熱望してくる由布が軽く簡単に去っていくときには気が抜ける思いだった。 初めの頃は由布が限界に達する瞬間に幹太の抱擁を必要とした。 その頃は由布の気持ちの落差も激しかった。 もうどうしようもないほど落ち込んでいるときに幹太に助けを求めてきた。 そのときは幹太にも抱擁のしがいがあった。 由布も明らかに見た目が変わるほどに安心して離れていった。 しかし、最近は由布が気軽に抱擁を求める。 少し落ち込むと幹太に抱きしめてもらう。 そしていつもの由布に戻って帰っていく。 この軽さに幹太の悩みが絡まりあって、幹太は抱擁の必要性を疑い始めていた。
「もう抱きしめなくてもお母さんは大丈夫なんじゃないのか?」
そんなことも考え始めていた。 これは実の母を抱きしめるという行為に疑問を感じている幹太の考えである。 実際に大丈夫なのかどうかは確かめてみればわかることである。 しかし、常軌を逸して暴れる由布を思い出すと幹太にはそれを確かめることができなかった。 実の母であっても助けることを優先するべきであると考える幹太もいた。 2人の幹太のせめぎあいは由布の前では常に抱きしめる幹太の勝ちだった。
「幹太。抱きしめて。」
そう言われると抱きしめないわけにはいかなかった。 由布はおとなしく幹太の腕の中に納まる。 ちょうど由布の髪の香りが幹太の鼻孔を刺激する身長差である。 由布の体は肉に包まれていて柔らかい。 優しく抱きしめるとまるで泡を抱きしめているようである。 幹太が知っていた由布はプライドだけで生きているような強気の由布である。 幹太が由布を抱きしめることがなければ、こんな由布の弱さを感じることなどなかったであろう。 幹太の体も由布より大きくなって由布を見下ろすようになった。 抱きしめれば抱きしめるほど由布の弱さに気がつくように感じる。 強く抱けば抱くほど、簡単に水に溶けて流れてしまいそうな弱さを感じる。
「お母さんを守ることができるのはオレしかいない。」
由布にはそう思わせるなにかがあった。 高いプライドのもとで自由気ままに生きている由布だったが、 だからこそその弱さを垣間見せたときにはより一層魅力的に見えるのだった。 そんな由布が毎日のように幹太に抱擁を求める。 幹太にだけ見せる由布の弱さである。 太一もユッコも知らない由布がそこにはいた。 幹太は由布を正面から抱きしめる。 幹太の手は由布の背中に回る。 肩甲骨がある辺りに指が届く。 肉に包まれて骨の感触はない。 強く抱きしめると肉がきしむ。 由布は胸の前で腕を組んでいる。 由布の腕が由布を守っている。 幹太はそんな由布を壊してしまうかと思えるほどの力で抱きしめる。 由布もその力強さを求めている。 しかし、由布は幹太にユッコの役割を求めたことはない。
「お母さん、なんでも話してよ。」
幹太はそんな声をかけたことがある。 そんなとき由布はただ微笑んで去っていく。 必要があるともないとも言ったことはない。 幹太にはそれが不満でもあった。 由布の役に立っていることだけは確かにわかる。 しかし、ただ抱きしめるだけの役割には物足りなさを感じていた。 由布を完全に立ち直らせるためにはただ抱きしめるだけでは不十分なはずだった。 昔の由布を取り戻すためには抱きしめる以外の行為が必要なはずである。 それがなにかわからなかった。 毎日のように、ただ由布に求められて抱擁する。 ただそれだけしかできない自分の頼りなさが情けなかった。 幹太は由布を守り続けて、昔の笑顔を取り戻すことができる男になりたかった。

小説(転載) 蒲柳の母5-1

近親相姦小説
03 /27 2022
掲載サイト「母親の香り 息子の匂い」は消滅。

 それ以来、由布の暴力は影をひそめた。 しかし、そのためには大きな問題をともなった。 幹太の抱擁が欠かせなかったことである。 この抱擁に愛はなかった。 あるのは由布の衝動と幹太の奉仕だけだった。 由布の心が乱れ始めると暴れ出す代わりに幹太に抱擁をねだった。 暴力を抑えようとする気持ちが衝動的に幹太を求めた。 そして心の安静をとり戻すと避けるように幹太から由布は離れた。 幹太はそんな由布の行為に不満を感じたことはなかった。 むしろ由布の役に立つことができている気がして嬉しかった。 そんなある日、ユッコから幹太に電話があった。 ユッコが由布の電話を拒否してから1ヶ月ほど経っていた。
「幹太?あれから全然連絡がないけどお母さんはどうなの?」
幹太はユッコがどこまで知っているのか不安だった。
「お母さんからはなにも聞いてないの?」
とりあえず当たり障りのない会話をして様子をみる。
「お母さんも意地になってないで電話くらいしてくればいいのに、 あれから全然連絡がないのよ。まあ、私もきつく言っちゃったからしにくいのはわかるんだけどさ。」
ユッコはなにも知らないようだった。
「とりあえず暴れることはなくなったよ。」
「暴れるってお母さんなにしたのよ!」
ユッコの驚愕の反応を聞いて幹太はユッコが由布が暴れたことを知らなかったのだと気がついた。 その瞬間、余計なことを言ってしまったと後悔した。 しかし、しゃべってしまったことはもうどうしようもない。 素直に状況を説明することから始めた。
「原因はわからないんだけどさ、お父さんとなにかあったみたいで、 突然お茶碗とか投げ始めちゃって、止めるのが大変だったんだから。」
幹太は初めて由布が暴れた日のことを話した。
「そんなことがあったなんて全然知らなかった。 どうしてなにも教えてくれなかったのよ。」
ユッコは幹太にすべてを任せて由布のご機嫌とりを放棄したことを覚えていなかった。
「どうしてって、ユッコがもう電話するなって言ったんだろ。」
幹太は無責任なユッコの発言に怒りをあらわにした。
「でも、そんなことになってるのなら報告くらいしなさいよ。」
幹太にはユッコの判断基準がわからなかった。 今まで1人で頑張って由布を守ってきたことがバカらしくなってきた。
「報告したらユッコがなにかしてくれたって言うのかよ!」
幹太はこれまでの努力が虚しくなって涙声で叫んでいた。
「なに?幹太泣いてるの?わけわかんない。」
ユッコはまだ幹太の大変さを理解してあげることができなかった。
「どうせ苦しい思いをしてるのはオレだけだよ。 ユッコなんか東京で仕事だけしてればいいんだよ。」
幹太は自分でもこんなにストレスが溜まっていたとは思っていなかった。 1度出始めた不満は次々と幹太の口から飛び出した。
「どうせお母さんが暴れてるときのオレの気持ちなんかわかんないんだろ。 もう手当たり次第に物を投げちゃってさ。いろんなものが割れたり壊れたりするし、 押さえつけようとしても殴られるし、もうめちゃくちゃなんだぞ。」
幹太は一気にまくしたてた。
「今でもそんな感じなの?毎日なの?」
ユッコはようやく事態の深刻さを理解し始めたようだった。
「やっと落ち着いてきたところだよ。」
そう言って幹太は初めて由布との抱擁が異常であることに気がついた。 とてもユッコに報告できるようなことではなかった。 異常な由布を落ち着かせるために異常なことをしていたのだ。 幹太はしばらく混乱して放心状態だった。
「それで最近はどうなのよ。」
ユッコの言葉で幹太は我に返った。
「もうだいぶ大丈夫みたいだよ。」
しかし、なぜ大丈夫になったのかを言うことはできなかった。
「お母さんも落ち着いてきた感じなの?」
「そ、そう・・・そんな感じかな?」
幹太は慌ててユッコの言葉を肯定した。
「私がいなくなっちゃったからなのかなぁ。」
ユッコも多少は責任を感じているようだった。
「ユッコのせいじゃないよ。 急に環境が変わったから体が拒絶反応を示したんだよ。 もう、だいぶ慣れてきたんじゃないのかな。」
幹太は思いつきで環境に責任を押しつけた。
「それならいいんだけど。」
ユッコはいまいち腑に落ちない様子だった。
「でも、最近はもう暴れることもなくなったし、 ユッコがいなくなったからじゃないと思うよ。」
幹太の心はユッコとの会話にはなかった。 とにかく早く電話を切って自分の気持ちを整理したかった。
「ホントに?なにかあったら絶対に連絡してよ。」
「わかったよ。また暴れたら電話するよ。」
他人に説明するとは恐ろしいことである。 自分の行為を客観的に見つめ直す機会になってしまうこともある。 幹太は由布を抱きしめるという行為そのものがもつ異常性を認識してしまった。 理由はどんなことであれ、実の母を抱きしめるという行為が正常なわけがない。 事実、幹太はユッコにそのことを言うことができなかった。 もちろんユッコ以外の誰にも言うことができない。 そんな行為を幹太は毎日のように繰り返していたのである。

小説(転載) 蒲柳の母4-3

近親相姦小説
03 /27 2022
掲載サイト「母親の香り 息子の匂い」は消滅。

 由布が1人で家にいるときは心が乱れることはほとんどなかったようだ。 やはり、対人関係に問題があるのだろうか。 太一はあの日以来、夕食を外で食べてから帰ってくる。 帰宅してからも自室を出ることはほとんどない。 明らかに由布を避けて生活していた。 由布もそんな太一を責めることはしない。 やはりさすがの由布でも後ろめたい気持ちがあるのだろうか。 なにも言わずに幹太と2人分の食事しか用意をしなくなっていた。
「お母さん。」
幹太は夕食中の沈黙を破って由布に話しかけた。
「なに?」
由布は極力何事もなかったかのように返事をしたが、 幹太には由布がなにかに恐れているような感じがした。
「ユッコがいなくなってから、お母さんはなにを考えているの?」
ユッコの話題に触れることは非常に危険なことであるとわかっている。 しかし、このユッコの壁を乗り越えなければ、いつまでも暴力的な由布を恐れて生活することになってしまう。 幹太はこれ以上病んだ由布を見たくなかった。
「ユッコは関係ないでしょ。」
由布には幹太が質問したいことがわかっていた。 しかし、ユッコが由布の心の支えになっていたことを認める気はなかった。
「お母さんを病気みたいに言わないで。」
幹太は決して由布が病んでいると言葉にしたわけではない。 ただ、考えを聞いただけである。 それにもかかわらず由布は幹太の心配を感じとって質問に答えていた。 しかも、由布が気にしていることを明言してしまっていた。
「そんなんじゃないよ。ただ、寂しそうだなぁって思っただけだよ。」
幹太は由布の心を気遣って言葉を選んだ。 そしてできるだけゆっくりと丁寧に、しかし由布を見ることなく話を続けた。 由布はうつむいたまま少しずつご飯を口に運んでいる。 育ちざかりの幹太は速いペースで箸を動かしている。
「寂しくなんかないわよ。友達だってたくさんいるもの。」
由布は幹太に答えながら自分にも言い聞かせていた。 由布も由布なりに事態の改善を図ろうとしていた。 もうユッコがいないという事実を受け入れることはできていた。
「ユッコがいればこんなことには・・・」
そんなことを思う日はとうの昔に終わっていた。 ユッコに助けを求める気もなかった。 この新しい環境でなんとかしなければならないと考えていた。
「お母さん、家で話し相手だったユッコがいなくなったからそう見えるだけよ。」
相変わらず由布はうつむいたままである。 幹太は黙って立ち上がるとお茶碗にご飯を山盛りよそいだ。
「それならいいんだけど、 おしゃべりじゃないお母さんなんてなんかおかしいよ。」
幹太は座りながら由布の表情を横目で確かめた。 心なしか由布の瞳がうるんでいる気がした。
「だから話し相手がいなくなっただけだって言ってるでしょ。」
由布の語気が強くなった。 しかし、幹太の優しさがわかるだけに不満をぶつける場所がなかった。 由布のプライドは絶対に心の病を認めない。 幹太がなにを問おうと由布の返事は決まっていた。
「オレ、ユッコの代わりにはならないかもしれないけど、 なんでもしゃべってくれたらいいし、オレ、なんでも聞くし、なんでもするし・・・」
幹太はそう言いながら由布の箸をもつ右手が震えているのに気がついた。
「そんな必要ないって言ってるでしょ!」
由布の立ち上がるのが早いか、その瞬間には幹太が由布の体を抱きしめて押さえつけていた。 由布の右手からお茶碗が落ちて床にご飯が散らばった。
「どうして・・・どうして・・・」
由布は涙を流して悔しがった。 幹太の前で耐えられなかったことが悔しかったのではない。 自分自身を制御できなかったことが悔しかった。 由布の高いプライドは弱い由布を決して認めようとはしなかった。
「病院に行ってみようよ。」
幹太はこのタイミングなら由布も聞いてくれるかもしれないと思った。 しかし、由布はそんなに簡単に意思を変える女ではなかった。
「病気じゃないって言ってるでしょ!」
由布は幹太の腕の中で泣きながら叫んだ。 幹太にはこれ以上どうすればよいのかわからなかった。 しかし、由布には新たな希望が見えかけていた。 幹太に強く抱きしめられていると、自然と由布の気持ちが落ち着いていくのがわかった。 これまでに経験したことがないほど急激に安心感を取り戻すことができていた。 次第に不安が募る幹太に対して、由布は落ち着きを取り戻そうとしていた。
「幹太。」
由布は非常に落ち着いた声で幹太を呼んだ。
「なに?」
幹太は不安と驚きが入り混じる中でなんとか声を出した。
「もっと強く抱きしめて。」
幹太には信じられない言葉だった。 さっきまで暴れようとしていた由布が、突然幹太を受け入れるとは思えなかった。
「どうして?」
幹太はとっさに由布の発言を否定してしまった気がして後悔した。 しかし、由布は予想外に素直だった。
「なんだかわからないけど・・・こうしていると・・・落ち着くの。」
幹太はしばらく黙って由布を抱きしめ続けた。 由布もうつむいて幹太に抱きしめられ続けた。 その沈黙を破ったのは由布のプライドだった。
「もういいわよ。」
そう言うと由布は幹太の腕からするりと抜けだして、足元に散乱したご飯を集め始めた。 幹太も黙って夕食の続きを食べ直した。 これが幹太の抱擁を許した初めての夜だった。 由布の体に変化が生じ始めていた。

小説(転載) 蒲柳の母4-2

近親相姦小説
03 /27 2022
掲載サイト「母親の香り 息子の匂い」は消滅。

 由布の異変が家庭内暴力として露見したのはそれから間もなくのことだった。 リビングにいた幹太は食卓で由布の悲鳴とともに物を投げつける大きな音を聞いた。 慌てて幹太が食卓に向かうと、太一が逃げ出してきた。
「幹太なんとかしろ。オレは知らんぞ。」
太一は詳細を告げずに自分の部屋へと駆け込んだ。 幹太は恐る恐る食卓をのぞいた。
「もう!誰も入ってこないで!」
由布の叫び声とともにお椀が飛んできた。 それでも幹太はひるむことなく部屋に飛び込むと、暴れる由布を両腕で後ろから抱きしめて身動きをとれなくした。
「幹太、なにするのよ!離してよ。離しなさいよ!」
由布は明らかに平常心を失っていた。 太一とどんな会話があったのかなどもうどうでもよかった。 とにかく、この由布をおとなしくさせることが先決だった。 こんな常軌を逸した由布を見るのは幹太も初めてだった。 いつもの愚痴ばかり言っている由布とは明らかに異なる精神状態だった。
「落ち着いてよ。まず、落ち着こうよ。それからだよ。 ね、落ち着いてから話をしようよ。」
「もう誰とも話なんかしないわよ!だから離しなさいよ!」
散々叫んでから幹太の力には勝てないと観念したのか由布が黙った。 黙ってもしばらく息遣いが激しかった。 その間は幹太は由布を強く抱きしめ続けた。
「いつまで押さえつけてるのよ。早く離しなさいって。」
暴れることはなくなった由布だったが、まだ精神的に落ち着いてはないようだった。 言葉の端々に殺気が感じられた。
「まだダメだよ。絶対に暴れないって約束したら離してあげるよ。」
幹太は由布を離すタイミングを失っていた。 少なくとも由布をイスに座らせたいと感じていた。
「わかったわよ。わかったから離しなさい。もう暴れないから。」
由布の声が小さくなり、激しい息遣いもなくなっていた。 幹太の手が緩むとその途端由布は振り返ると幹太の胸を両腕で思い切り殴り始めた。 再び幹太は由布を前から抱きしめた。
「もう暴れないって言っただろ。」
幹太は目の前にある由布の顔に向かって恐ろしい目つきでにらみつけた。 由布と幹太の身長差は20センチ弱である。
「幹太、お母さんのことをなんだと思っているのよ。 そんなことをして許してもらえると思ってるの?」
由布は幹太を見上げて強がった。 由布にとって幹太が由布に逆らうことは許されることではなかった。
「僕だってもう高校生だよ。なにが正しいのかくらいわかる年齢だよ。」
多少冷静さを取り戻した由布は幹太の力強い抱擁に不思議な安心感を覚えていた。
「幹太も大人になったのね。」
ようやく由布が観念したような言葉を吐いた。
「高校生になったら大人が考えることもわかるようになるんだよ。」
幹太は由布に認められたような気がして調子に乗った。
「幹太に大人のなにがわかるって言うのよ。 仕事をして、子育てをして、炊事洗濯をして、大人は高校生いみたいに暇じゃないのよ。」
そう言いながらも由布は幹太の力強い抱擁を忘れることができなかった。 明らかに幹太に抱きしめられて心の乱れが落ち着いた。 なにか想像を超える力で包み込まれているような安心感を感じることができた。 男の力に魅力を感じるのは女の性なのだろうか。 しかし、その事実を正直に認めることができるような由布ではない。
「今度私のことを押さえつけたら絶対に許さないわよ。 高校生になったからって力で事態を収拾しようなんて間違ってるわよ。」
いつもなら素直に従う幹太が珍しく反論した。
「お母さんが暴れなければなにもしないよ。 でも、またお母さんが暴れたら落ち着くまで押さえつけるからね。 そんな家庭内暴力を放っておくことなんてできないよ。 落ち着いたらそれから話しあいをしようよ。 今日のことだってなにも解決してないんだからね。」
由布は今日のことを掘り返されることを嫌った。
「もう今日のことはいいじゃない。これでいいってことにしましょ。 もう普通に話ができてるでしょ。もうお父さんにも話はしないし。」
どうやら太一に由布のプライドを傷つけるようなことを言われたらしい。 それなのに無責任に逃げてしまうあたりが太一らしかった。 家庭に問題が起きても太一が積極的にかかわろうとすることは1度だってなかった。 すべて由布の即断と偏見で決まってきたと言っても過言ではない。 そんな女王様のような、家庭の支配者に逆らうことは誰にも許されなかった。 それをユッコはうまく対応してきたものだと幹太は改めて感心していた。
「今度暴れたら、また押さえつけて止めるからね。 もう暴れないでよ。」
幹太は決意を由布に伝えた。
「わかったわよ。私だって暴れたくて暴れたわけじゃないのよ。 なにか我慢できないことがあると爆発しちゃいそうなのよ。」
由布はこれからも不安があることを告げて場を収めたかった。 しかし、これはまだ始まりにすぎなかった。 由布の心の乱れは日に日に暴力的になってゆき、それを幹太が抱きしめて抑え込むという、 非建設的な家族の関係が続くことになる。 ただ1つ建設的なことがあるとしたら、由布が幹太の抱擁に安心感を思え始めたことだろう。 由布が幹太に抱きしめられるという行為を、 暴力行為に移る前に認めることができれば表面上は問題がなくなることになる。 しかし、由布のプライドがそんなことを簡単に許すとは思えなかった。 こうやって残された家族の修羅場は一段落つくこととなった。

小説(転載) 蒲柳の母4-1

近親相姦小説
03 /27 2022
掲載サイト「母親の香り 息子の匂い」は消滅。

 由布の心が乱れ始めたのはユッコが東京に行った直後だった。 毎晩のように夕食後に話を聞いてくれていたユッコがいなくなり、 由布の不満のはけ口も、プライドを守ってくれる人もいなくなってしまった。 初めのうち、由布はユッコに電話を頻繁にしていた。 しかし、それも長くは続かなかった。
「ねぇ、ユッコ聞いてくれる。 木之元さん病気が見つかって入院することになっちゃったのよ。 1度入院したら完全に治るわけじゃないみたいだから、もう離婚は無理ね。 しかも、入院したら旦那さんが不倫をしてもわからないわよね。 かわいそうな人ね。」
相変わらず由布の話にはさりげなく相手をさげすむ内容が入っている。 ユッコも最初は由布の話につきあっていたが、仕事の忙しさや疲労もあり、 由布の愚痴につきあうことが少なくなっていった。
「そんなの私に関係ないじゃない。 なんで私にそんな話するのよ。」
「そんなこと言わないで聞いてくれてもいいじゃない。」
女同士が感情的なケンカを始めると関係の修復は難しい。
「お母さん、私の仕事知ってるでしょ。1日中電話でクレーム受けてるのよ。 どうして家に帰ってまでお母さんの愚痴を聞かされなくっちゃいけないのよ。 仕事なら『申し訳ありません』って言ってればいいけど、 お母さんお話って私には関係ないことばっかりなのよね。 もう私そんな話聞くのイヤなの。」
コールセンターで働くユッコの精神的な疲労も想像以上のものだった。 高校生のときのように由布の愚痴につきあうような余裕はなかった。
「愚痴ばっかりじゃないでしょ。 それに、ユッコしか話を聞いてくれる人がいないのよ。」
ユッコはなんとかして由布との話を終えたかった。
「おばちゃん同士で井戸端会議ができるでしょ。 どうして私じゃなくっちゃいけないのよ。もう私にそんな話はしないで。」
お互いの顔が見えない電話だとつい言い過ぎてしまうこともある。
「他人には言えないこともあるのよ。 ユッコだからお母さんだって安心して話ができるんじゃないの。 それを一方的に『もう話をしないで』って断ることないでしょ。」
由布が言うことももっともなことだった。 しかし、だからと言って毎日の電話につきあうほどユッコも暇ではなかった。
「私には私の生活があるのだから、もう用もないのに電話してこないで。」
たまたまユッコの機嫌が悪い日だったということもあったのかもしれない。 しかし、この言葉は由布のプライドを大いに傷つけた。
「わかったわよ。もうユッコに話を聞いてもらおうなんて思わないわよ。 もう電話しないからね。」
由布も感情的に電話を切ってしまった。 2人の会話はもはや支離滅裂だった。 ユッコではなく由布が電話を切ってしまったこともこの母娘の関係を象徴しているようだった。 しかし、この感情に任せて言ってしまった言葉がこんなに由布を苦しめることになるとは想像だにしなかったであろう。 ユッコに話を聞いてもらえなくなった由布は幹太に話しかけてみたりもした。 しかし、母と高校生の男子に共通の話題があるはずもなかった。 もちろん太一とも話があうことはなかった。 そして由布は閉鎖的になり、明らかに精神的に病み始めていた。 そんな頃、幹太が由布のことを心配してユッコに電話をしていた。
「ユッコ、お母さんから電話とかこないの?」
幹太はまだ由布とユッコのケンカのことを知らない。
「お母さんがどうかしたの?仕事で疲れているときにつまらない話ばかり言うから、 『もう電話してこないで』って言ってやったのよ。」
東京に出てユッコの言葉遣いがさらに乱暴になったと幹太は感じた。
「ユッコがいなくなってからお母さんがおかしいんだよ。 どうしたらいいかな。」
「おかしいって、なにがどうおかしいのよ。」
ユッコは多少責任を感じていた。 しかし、昔のように由布の愚痴を聞く生活にだけは戻る気がなかった。 そんなこともあり、ユッコの方から積極的に多くを聞き出そうとはしなかった。
「どうって、いつもイライラしてるって言うか。 とにかく、突然塞ぎ込んじゃったりして精神不安定って感じかな。」
幹太は正直な感想を伝えてみた。
「1度病院に連れて行ってみたら?」
ユッコは幹太との会話ですら真剣に続ける気がなかった。 短い言葉を発するだけで、幹太の用件を聞くだけで終わりにしたかった。
「あのお母さんが素直に病院なんか行くと思うの?」
幹太もユッコのプライドの高さには気がついていた。 ユッコももっともだと思った。
「じゃあ、私にもどうしたらいいかなんてわからないわよ。 第一、私はもう一緒に住んでいないのよ。どうしてそんな相談を私にするのよ。」
ユッコはもうこれ以上由布の問題にかかわりたくなかった。
「どうしてって、お母さんのことはユッコが1番良く知ってると思ったからさ。」
幹太にとっては当然の判断だった。
「1番良く知ってたかもしれないけど、今はもう1番じゃないでしょ。 幹太がなんとかしなさいよ。」
ユッコはもう由布を幹太に任せてしまいたかった。 幹太はこれ以上ユッコに頼っても無駄だと思った。
「ユッコ変わっちゃったね。昔はもっと優しかったのに。」
この言葉にユッコは感情が先に出てしまった。 1人で東京で暮らしているユッコにもストレスがたまっているのだろう。
「なによ。もう優しくないって言うの。 人間ってね働いたら変わるのよ。幹太も仕事したらわかるわよ。もう大変なんだから。 愚痴を言いたくはないけど、愚痴らなくっちゃやっていけないほどなんだからね。 だから、わかった。私は仕事で大変なの。もう、お母さんのことは私に振らないで。 そっちのことはそっちでなんとかして。」
幹太はこれ以上話をしても得られるものはないと感じた。
「わかったよ。なんとかしてみるよ。ありがとう。」
幹太はプライドの高い由布と、暴力的なユッコに育てられておとなしい性格になっていた。 無用なケンカはしたくなかった。 その一方で、ユッコは幹太の「ありがとう」という言葉が懐かしかった。 ユッコにとって幹太は精神安定剤だったのかもしれない。 幹太とじゃれあうことでユッコのストレスも解消されていたのだろうか。
「そういえば、最近誰からも『ありがとう』って言われてないなぁ。」
そう思いながら幹太との電話を切った。 幹太は電話を切ってこれからの由布との対応に気が重かった。 必要以上の責任感を背負ってしまったような気がしていた。

小説(転載) 蒲柳の母3-3

近親相姦小説
03 /27 2022
掲載サイト「母親の香り 息子の匂い」は消滅。

 幹太は次第にはっきりとしてきた意識と、快楽を堪能した肉体の間で葛藤していた。 1つにはユッコがいなくなった今となっては由布を守るのは自分しかいないという責任感であった。 しかし、だからと言って母子相姦まで許容できるのかという問題がつきまとった。 天使の幹太は由布を立ち直らせるために母子相姦は必要ないと言う。 悪魔の幹太は由布を立ち直らせるために母子相姦も必要だと言う。 どちらの幹太も根拠があるわけではない。 世間体を気にする常識人の幹太と、バレなければ快楽を楽しめばいいという裏の顔の幹太である。 しかし、今の今まで感じていた快感を否定することは幹太にはできなかった。 由布が求める以上、幹太もその快感を感じ続けたかった。 だからと言って簡単に認めることができるほど母子相姦は軽いものではない。 由布の裸体に反応する幹太を恨んだこともあった。 由布の肉体を求める幹太を喜んだこともあった。 なにもかもが矛盾していた。 母を守らなければならない息子が、母の肉体をむさぼっている。 母の肉体で理性を失う息子が、母の容体を心配している。 こんな関係がいつまでも続くはずがないと思う一方で、 この関係がいつまでも続くことを願ったこともある。 男としての責任感と、男としての欲求は、容赦なく幹太を苦悩の底に落とし入れた。 幹太にもあこがれの同級生の女性がいる。 その女性との初体験を夢に見たこともある。 しかし、実の母と初体験をしたという現実はもう変えることができない。 しかもその初体験は想像したことのないほどの快感をともなった。 はたして同級生の女性とそんな快感を得ることができるのだろうか。 童貞と処女で若い肉体が満たされるのだろうか。 由布が相手だったからこそすべてが満たされる性体験ができたのではないだろうか。 幹太は熟女の魅力とテクニックに溺れていた。 これが実の母でさえなければこれほど悩まなかったかもしれない。 しかも精神的に病んでいる母である。 無下に扱うことなどできるわけがない。 現在の由布は幹太の腕の中でしか平常心を取り戻すことができない。 病院に行くことはかたくなに拒否し続けている。 もはや由布を救うことができるのは幹太しかいなかった。
 一方、由布は幹太にすがりつく思いだった。 病院に行くことは自分が病気だと認めることに等しかった。 それは由布の富士山よりも高いプライドが許さなかった。 自分が精神的に病んでいるなど、どんなことがあっても認めたくなかった。 しかし、一旦、心が乱れると自分にはどうすることもできないことも事実だった。 幹太と寝ることが良いとか悪いとかそんなことを考える余裕もなかった。 太一と話をしようとしてもケンカになるだけである。 第一、太一が由布のために親身に相談に乗ってくれたことなど過去にも1度だってない。 就職して1人暮らしを始めたユッコも電話で少し話をすることができる程度で、 最近はユッコも由布の話を聞くことを拒否し始めた。 あんなに姉妹のように仲の良かった娘からも冷たくあしらわれることがあった。 由布の性格を知り尽くしたユッコだからこそ、そう対応せざるを得なかったのかもしれない。 もはや、由布の存在を受け入れてくれるのは幹太しかいないに等しかった。 幹太に甘えることは、幹太の母であるという自負がかろうじて許していた。 逆に幹太が息子でなければ弱い自分を見せるということができなかったであろう。 幹太以外の男に抱いてもらうことで心が満たされるとは到底考えられない。 しかも、由布は決して男に抱いて欲しいわけではない。 心を落ち着かせるために幹太に抱きしめてもらう延長線上に相姦が存在しているだけである。 存在しているだけなのだが、その存在が由布にとっては必要なものとなってしまっていた。 由布は必要となってしまったものを否定することができる性格ではない。 幹太との相姦を否定することは弱い自分を認めることに等しかった。 解決策は見えない。 ただ、今この現在に起きている心の乱れを取り除くことができれば、それだけでも由布にとっては十分だった。 それが幹太の抱擁であり、幹太との相姦であった。 幹太の力強い抱擁は不安定な由布の心までも強く抱きしめて安定させてくれる。 幹太との相姦はなにもかも忘れて没頭できる唯一の時間だった。 実際の自分よりも本当の自分はもっと大きな存在であると信じている由布にとって、 自分自身を見つめ直して等身大の自分を探しだすことは母子相姦をすることよりも難しいことだった。 由布にとってはプライドを守ることが最も大切なことだった。 それが由布の存在を支えていたし、それがなければ由布は存在することができなかった。 プライドを傷つけることなく自分自身をあずけることができるのが幹太だったのである。 心が乱れてどうしようもなくなったとき、幹太以外に頼ることができる人などいなかった。 母であるがゆえに幹太を利用してもプライドが傷つかない。 それは由布の身勝手な理屈でしかなかった。 しかし、頼れるものはほかにもうないのである。 もはや由布を救うことができるのは幹太しかいなかった。

eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。