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小説(転載)  母の山荘の夏……

近親相姦小説
01 /02 2019
 母の山荘の夏……

 

 「お久しぶり、母さん」

 夕子は十年ぶりの我が子の訪問に驚いた。信州の山荘に1人静かに住んでいる夕子に訪問する人間は少ない。まして離婚した夫が養育している幸平がたずねてくれるなんて、淡い夢でしかなかった。それが目の前に小柄で華奢で、大人しげな幸平が立っている。

 「迷惑……だったかな」

 玄関で硬直している母親に、心配げに少年は聞いた。母親の返答次第では、すぐにでも帰ってしまいそうだ。再会に感激していた夕子は、少年をまるで逃がさないように力いっぱい抱きしめた。

 「ううん、幸平が来てくれてすごくうれしいわ。もう、会えないと思っていたもの」

 そこまで言うと、涙が止まらなかった。5才で手放した我が子とは年に数回の手紙のやり取りだけの関係だったが、愛おしさが薄れるはずがない。喜んでくれる母親に幸平もうれしかった。同じ身長の母親を抱きしめると、柔らかい乳房が胸でつぶれる。甘い、花のような香りがする。思わず背中に腕をまわしてきつく抱きしめる。

 夕子も成長期の少年の匂いをかぎながら体を押しつける。うれしくてうれしくて身体が震えるほどだ。聞きたいことがたくさんあったが、夕子は長旅で疲れている幸平を入浴させ、その間に早めの昼食の支度を始めた。だれかのための食事を準備するなど何年ぶりか。その喜びにハミングしてしまう。ただ心配なのはかつての夫がこのことを知っているかどうかだ。幸平がだまって家を飛び出してきたのなら、夕子の元に行ったと思うはずだ。返せと言ってくるだろうし、押し掛けてくるかもしれない。

 それでもいいの、と思った。短い時間でもあの子との時間が取り戻せるなら、十分ではないか。疲れているはずの幸平は、旺盛な食欲を見せて夕子を感心させた。少年の食欲に今さらながら、夕子は歓喜を押さえられない。

 それでも聞かねばいけないことがあることを大人の分別がささやく。

 「ね、幸平、父さんには言ってあるの?母さんは来てくれてうれしいけど、父さんが心配するといけないでしょ?」

 「……父さんには話してあるよ」

 少年は言葉少なであった。言いたくないのならいいのよ、と優しく母親は息子の手に手を重ねた。うん、と幸平はうれしそうにうなづくと、身の回りの話を始めた。学校のこと、友人のこと、最近始めたという水彩画の話は夕子をさらに喜ばせた。夕子は画家として身を立てているのだ。

 「夏休み一杯いたいんだ、父さんにもそう言ってあるんだ」

 夢のような時間が始まった。木漏れ日のなか、2人は画材を手にして並んで森の中を歩いた。山々や湖畔、青空をキャンバスに描く。夕子は息子の画才に息をのんだ。15才の中学生でこれだけの水彩画をかけられる人間はまずいない。親ばかね、と自嘲するものの、やはり幸平の絵にはぬきんでたものがあった。自分が技術を教えるとそれを瞬く間に身につけてしまう。

 少年の白い手を取って筆を動かすと、彼が顔を赤くしている。

 「どうしたの、気分でも悪いの?」

 少年は視線を地面に落とす。

 「ううん、母さん、きれいだから」

 「あらうれしいわね。こんなおばさんでもほめられるとうれしいのよ」

 軽く受け流しながら、夕子はまんざらでもない。息子であれ、異性に賞賛されてうれしくないはずがないし、35才の夕子は1人静かに暮らしているせいか、30才に見える若々しさを保っている。化粧などしたこともない。

 イタズラ心で幸平と顔を近づけると、ますます顔を赤くしている。気が付くと自分も激しく動悸し、紅潮している。自分と同じ色白の息子はなかなかかわいいし、手取り足取り密着して絵を教えていると、抱きしめたくなる感情が高まってくる。

 「そ、そろそろお昼にしましょう」

 自分の感情を押さえるように立ち上がると、夕子はビニールシートを広げてサンドイッチをランチボックスから出す。じっと、崇拝するような目でそれを幸平が眺めていた。

 「どうしたの幸平?きゃっ!」

 いきなりだった。幸平が母親にのし掛かると抱きしめたまま、青い芝の上に転がった。夕子の青いオーバーをたくし上げると、白いブラジャーに手を突っ込み胸を握りしめる。

 「母さん、母さんっ、母さん!」

 一心不乱の幸平は母の胸を求めた。夕子は困惑しながら抵抗しない。10年間、我が子を放置していた自分に何が言えよう。それに甘い感慨があった。成長した1人息子に乳房を求められて、正直うれしかった。

 ほとんど襲いかかってくるような幸平だったが、下着を押し上げて乳房をつかむと、静かになった。両手で左右の豊かな乳房をもみ上げながら、乳首を口に含む。

 「ひゃあっ、幸平ぃ!」

 夕子は乳房から走ったあまりの快感に芝の上でのけぞった。両手で息子の頭部をつかむとわが身に押しつける。

 「いいのよ、幸平、いっぱい吸ってぇ!おっぱい吸ってえ」

 幸平は遠慮なく母の胸をもてあそんだ。そして口で吸い、舐め、軽くかんだ。

 「くう!あう、あん、ああ、ひいっく!ひいいいいい!。幸平、すごい、吸っておっぱいっ。母さんのおっぱい吸って!あああ!幸平、大好きっ」

 突然の快感に夕子は全身をふるわせた。夫と別れてから独り身を貫いたゆえ、久しぶりの愛撫だった。ましてや、わが子が求めてくるのだ。と、急に幸平が乳房から口を離すと両手でそれを握りながら、ブルブルと震え出す。

 「……母さん!」

 少年の手の力強さに夕子は苦痛を感じたが、いまやそれさえ快感だった。が、息子の様子に気がついた。幸平は急に静かになると、両手で母親の頭を抱きながら荒い息づかいをしている。夕子も大人の女であった、息子が射精したのだと分かると、優しい手つきでズボンをおろす。むっとした精液の匂いを嗅い。パンツをおろすと白濁した液体があふれ、ピンク色の男性の性器があった。それを取り出したハンカチで拭う。幸平が赤ん坊のころ、おむつを取り替えたのを漠然と思い出しながら。

 「たくさん出したのね幸平。幸平も、もう大人なのね、母さんうれしいわ」

 細い指先がふれると、肉棒がびくりと動く。かいがいしく、夕子は息子の濡れた股間をぬぐい続けた。

 

 昼食を始めても幸平は黙りだった。夕子が何事もなかったように饒舌にこの山々の話や絵画を語っても、口を閉ざしたままうなづくだけ。かまわず夕子は話し続けた。

 日が沈む頃、山荘に2人は帰ってきた。さりげなく夕子が入浴をすすめると、幸平は何も言わずに浴室へ向かった。

 「これでいいのよ、これで」

 些細な出来事だった。夕子は今日のことを性欲と愛欲が重なってしまった、不幸な事故で済ませるつもりだ。実際夕子に被害者意識などない。それどころか。

 幸平の姿がなくなると、夕子は急いでポケットからぐちゃぐちゃに濡れたハンカチを取り出していた。幸平の精液に漬かったハンカチ。夕子はそれを顔に押しあてて匂いを嗅いでいた。息子の匂い。あっというまに全身があつくなる。膝が震えて立っていられなくなると、倒れるようにクッションに座り込んだ。実子の精液に欲情するなど犬畜生のようだも思うものの、秘裂からは熱い蜜がだらだらとあふれてくる。昼間の時も、股間が濡れているのに冷たくなってから気がついた。小用のふりをして木陰でぬぐったけれど、それでは間に合わないほど蜜があふれていた。

 ……すごい、幸平のにおい、精液、いい匂いなのっ。

 とうとうハンカチを口に入れてしまう。苦いがどこか甘い味が広がる。

 ……幸平の精液、飲んじゃった。おいしいのよ、幸平っ。

 左手でスカートをめくってパンティをもどかしげにおろす。秘裂をなぞりながら、ハンカチで顔中をぬらした。

 ……あああん!幸平の精液、すごいっ。逝くっ、逝っちゃう!

 もう声を出すことが我慢できなかった。山荘に響きわたるような声。

 「幸平大好き!いいわっ、いいのっ。逝くっ、逝っちゃう、逝く逝く逝くー!気持ちいいのー!」

 

 夕食もやはり、幸平は無言だった。夕子は彼の気を引こうと一生懸命しゃべったのだが。

 就寝時間。思えば挑発するような格好でうろついていたのだ。夏場夕子は、寝間着がわりに素肌の上にシャツを着る習慣があった。一人暮らしだから気を使わなかったのだが、息子が来てからも彼女は下着も着ずにシャツ一枚の姿で同じ部屋で寝ていた。その上、夕子の寝室はこの10年間、彼女1人が使ってきた女の体臭が染み込んだ世界だ。

 一方、夕子の心のどこかで5才のまま、幸平を扱っていた。ダブルベッドで一緒に寝るのもそうかもしれない。昨夜までは楽しいおしゃべりをしながら寝たものだが、今晩は今までとは2人とも違っていた。言わなくても意識しあっている。

 一度は一緒にベッドに腰掛けたものの、幸平は居心地を悪そうにしている。

 「母さん。僕、リビングで寝るよ」

 元気なくそう言う幸平の手を、とっさに夕子は握りしめていた。

 「幸平、一緒にねましょう」

 「母さん、僕このままだと」

 「幸平、何か悪いことしたの?母さんはそう思ってないわ、何が悪いの、子供が母親のおっぱい吸って、何が悪いの。母さんうれしかったのよ」

 夕子は自分の言葉に陶酔した。彼女はもう、異常をそうだとは考えられなくなっている。幼い子供を教え諭すよう、優しく言いつのる。

 「ああ、やっぱり幸平は自分の子供なんだなぁ、て思ったくらいよ。幸せだと思ったわ。ね、幸平。幸平は悪くなにのよ。それに……」

 さすがに口ごもりながら、夕子はシャツのボタンを全て外す。乳房もへこんだ腹部も細長いへそも、小さな秘丘も、大切な茂みもわが子の前にさらけ出した。

 自分はとてつもない罪を犯そうとしている、我が身を我が子に与えようとしていると思うと恐ろしくてしょうがない。だが倒錯した愛情は強まるばかり。感情を吐き出すように夕子は言った。

 「これからは毎晩、母さんのおっぱい吸いながら寝ていいのよ。ううん、母さんからお願いしたいのよ、母さんのおっぱい吸ってぇ!」

 10年分の思いのぶつけようがなかった。夕子も器用な人間ではなかったし、離婚もそれが原因かも知れないが、ここで息子まで失うことに耐えられない。もし、今日寝床を分ければ永遠にこの子を失ってしまう、という危機感があった。

 夕子の握る手が強く握り返された。

 「母さん、いいんだね、母さん!」

 「い、いいのよ幸平、母さん、幸平のこと大好きなのよっ。母さんの体いっぱいさわって!」

 言ってしまうと二人は暖かい感情が満ちてくるのがわかった。

 2人は絡み合いながらベッドに沈んだ。熱心に幸平は母親の身体をいじくった。性欲と興味本位と愛情が混ざり合って、胸をまさぐる。包むように揉み、吸った。

 「幸平、すごく母さん気持ちいいわ、おっぱい気持ちいいっ。いいっ、はうう!あひい!すごいいいいぃ、幸平、気持ちいいわ、素敵よ、幸平っ」

 快感におぼれる母親は一層、幸平を大胆にした。夕子の真っ白な乳房をさまざまな形にもてあそぶ。胸をこねくり回されて夕子の性感が高まっていく。寂しい独り寝の年月を埋めてしまうほどの快楽に、秘裂は蜜をあふれさせていた。山地の夜とはいえ夏である、夕子は全身から滝のように汗を流し、その匂いが空気に溶けこんだ。体臭と汗の匂い、乳房の味に母の嬌声が重なって、幸平は手も触れていない肉棒が、激しく硬直していくのを感じた。乳房の谷間に舌を這わせ、母の汗の味を堪能する。

 もうろうとしていた夕子は、息子が自分の汗を舐め取っていることに気がつくと、ひっと息をのむ。乳房をいじられるのとは違う恥ずかしさだった。

 「だめ、母さんの汗なんか舐めちゃだめ!」

 「どうして、すごくおいしいんだよ。少ししょっぱいけれど」

 夕子は目がくらみそうな光景から怯えるようにして顔をそむける。

 「……ああ、汚いわ、汗はだめよ」

 「母さんの汗なんだ、綺麗だよ、いい匂いもするんだ」

 「いやっ、幸平っ匂いなんかかいじゃ嫌っ!」

 ますます汗を流す母の女体を、幸平はいじりながら必死に匂いを嗅いでいた。

 「やっぱり母さんの匂いだ、素敵な匂いだよ」

 噴き出す汗が、シャワーを浴びたように夕子の全身を濡らす。肌の香りと絡み合いなながらむせ返るようだ。

 「だめ、母さんだめになっちゃう、匂いなんかかいじゃだめ。ひい、ひいいい!」

 がくがくと痙攣するように身体をふるわせる夕子。快感が精神を超越してしまい、身体が言うことをきかない。いとおしい息子が、自分の身体の汗を舐めとり、いい匂いだという。言いようのない幸福感に包まれ、夕子の女性としての機能だけが反応する。嫌らしい声だけは出すまいと下唇を噛みながら、夕子はしびれきった全身をふるわせる。

 「ひ!あひいいいいいいぃ!くっひい!きぃぃぃぃー!ふああああんっ、いいいいいい!」

 「いい匂いだ、母さんっ」

 純真無垢な少年は、ただ、懐かしい母の匂いと味を求めて体中の汗を舐める。

 「言わないでぇ、お願い幸平、匂いなんて言わないで!」

 懸命の母の叫びに、幸平は夕子の汗に濡れた顔を上げると、優しく母の目を見つめた。

 「母さん、母さんの匂いはすごく素敵な匂いなんだ、懐かしい、いい匂いなんだよ」

 幸平の瞳を見返したとき、夕子は子宮のうずきが一瞬で限界を越えた。

 「逝くっ!母さん、逝く逝く逝くーっ!母さん逝っちゃうー!」

 ぴゅぴゅっ。熱い蜜が秘裂から間欠泉のように吹き出し、ベッドを濡らす。幸平も絶頂を迎えた母の姿に、勝手に肉棒が射精していくのを感じた。

 「母さん、ぼくも出ちゃうっ」

 「幸平、母さんを抱きしめて、い、いっしょにー!あ?あ、ああああーーーー!」

 母子は手足を絡ませながら同時に絶頂を極めた。精根尽き果てたように、ベッドに横たわる夕子の乳房を、幸平は握りしめた。途方もなく柔らかい肉の芸術品がつぶれる。いたいほどの快感。夕子は悲鳴を上げ、幸平に許しを請うた。

 「待って幸平。少し休ませてぇ。母さんおかしくなるっ!」

 「ごめんね母さん、僕、我慢できないよ」

 「そ、そんなにしたら、あ、ああーーーーー!あううんっ、い、いい、いいいい!」

 無理矢理快感を高められる夕子はあっけなく絶頂を極め、またしても潮を噴いた。

だが幸平は絶頂し、全身が性器になったように敏感になった母の肉体を求め続ける。

 手の愛撫と、舌や口であちこち攻められると、あっけなく夕子は3度目の絶頂を迎えた。後は息もたえだえになりながら、何回も何回も息子に攻められて潮を噴いた。噴くたびに魂の一部が消し飛ぶような、凄まじい快感。

 「う、うぐぐぐうー!ひぎぎっ!ひ、ひひいいいいぃ!ひーーーひーーー!」

 けだもののようなうめき声を上げながら夕子はまた絶頂を極めた。幸平が右手の白い細工物のような指を一本一本、舌を這わせている。片手で母の美乳をもてあそびながら。

 「おいしいよ。母さんの指」

 「ひーーー。恥ずかしいの、母さん、恥ずかしくて変になるう!あ、ああああーーー!いいいいいいいーーーー!変になる、変になっちゃうのよっ」

 もう夕子の許容量を越える快感が押し寄せていた。

 「かわいいよ、母さんすごくかわいいよ!」

 母親の真っ赤な顔を見ながら、幸平もまた射精した。息子の吠えた一言が、夕子にさらなる快感を呼ぶ。口元からよだれを垂らせながら、意思のない目を漂わせる。

 「くふっ、はん、はああああーーーー!あひいいーーーーーー!だめーっだめになるぅー!幸平、幸平っ!」

 大きくブリッジするように、夕子は嫌がりながら絶頂した。立て続けの絶頂に夕子のどこかが壊れてしまうほどだった。どっと射精された幸平の精液がさらに白い母の肌を濡らした。

 

 朝日が昇る頃、夕子は深い眠りから醒めた。何か腕に重みを感じると、幸平を胸にかき抱いたまま、眠っていたのだ。しかも我が子は母の乳房をくわえたまま。

 むっと2人の汗や愛液がひどく匂う。匂いに昨夜の情事を思いだし、かっと夕子は顔を赤く染める。われながらあられもない姿を実子に見せてしまった。身が縮むほど恥ずかしいのだが、幸平との一生の思いでが出来たと思えばいい。

 一緒に生活すると言ってもそれはこの夏の間だけ。ほんの一時の営みだからこそ、全身全霊で息子を愛したい。愛されたい。その一念が夕子の行為をすべて正当化する。

 結局去られてしまうという夕子の孤独さが、幸平の肉をも渇望してしまう。少年の肌の体液を濡れたタオルでぬぐっていると、寝息の中にも感じているらしい声を出す。夕子はまた欲情している自分を見つけてしまった。そっと幸平の肌に舌を這わせる。ふたりの入り交じった体液を舐めると、形容しがたい味がする。芳醇な味と香りが充満していた。

 ……綺麗にするだけ、綺麗にしてあげているだけなのよ

 自分を騙しながら、少年の全身をくまなく舐め上げた。足の指先から胸、額や耳、もちろん股間も。

 

 「おはよう。幸平」

 キッチンで挨拶した夕子は明るく息子を迎え、幸平も気恥ずかしさを隠しながら、「う、うん」と答える。目覚めると全身が母の唾液にくるまれていたのだ。甘い匂いに激しく肉棒を硬くさせる。母はキッチンにいっていたので、思わず自分の体についた母の唾液を舐めとった。思わずつぶやいてしまう。

 「ああ……おいしいよ、お母さん」

 二人は暗黙の了解で昨夜のことは口に出さず、朝食を済ませると昨日と同じ屋外の場所へと出かけた。積極的に夕子は幸平に手足をからませながら、絵の手ほどきをした。だが薄い夏服での接触が少年を興奮させないはずがない、一段落すると幸平は母親にのし掛かった。夕子はふざけるように芝の上に転がると、たわわに実った乳房をむき出しにして息子に差し出す。

 「あ、あああん、幸平、ウンン、あっ、あっ……。こ、幸平ぃ~」

 夕子は最初から甘い声でよがりまくった。幸平も遠慮なく左右の白い果実のような乳房をもみあげ、甘く香る乳首を吸う。

 「い、いいわー!幸平、あ……はあぁぁっ!ひいいいいいー、ひぃ、ひいいいいぃぃぃっ!ひゃぁあああーーー!」

 夕子の嬌声は静かな森で小鳥のさずりに混じっていった。

 息子の愛撫に満足した夕子は、手をつないで家路についた。やはり、汚れてしまった息子を浴室に行かせると、習慣でポストをのぞき込む。たまに知人の手紙があり、なによりも我が子の手紙を楽しみにしていたものだ。一人苦笑する。

 ……あの頃と比べれば、今は幸せそのものね

 一通の手紙がはいっており差出人は別れた夫だった。幸平のことね、と思うと急いで開封した。

 『久しぶりだ、元気にやっているか。この手紙がついたころには幸平が君の元を訪れているだろう。きっと暖かく迎えてくれていると思うが、一つ伝えねばいけないことがある』

 引き渡せと言うのだろう、と暗雲が心の中にたれ込めたが、夕子の予想ははずれた。

 『幸平がどうしても行くというのだ、私が止める権利はない。彼の人生なのだから』

 その先は夕子の想像を絶していた。

 『幸平は病に犯されている。医師は今年の夏を越すことはありえない、と断定した』

 夕子の手紙をもつ白い指先が震えている。

 『そのことを幸平に正直に教えた。残りの短い余生を有意義に使ってもらうために、残酷にもたった一月の命しかないのだと、私は宣告したのだ。だが幸平は泣きもせず怒りもせず、黙って受け入れた。丸々二日間、全く食事をとらない状態が続いたが、明るい顔で私に言うのだ、「母さんと残りの時間を過ごしたい」と。幸平は私や祖母や友人でもなく、君と暮らしたい、と言ったのだ。

 あと何日の命かは神のみ知るところだが、君が幸平と幸せな日々を過ごすことを祈っている。

 最後に手紙でこのようなことを伝える意気地のない私を、どうか許してほしい』

 手紙を読み終えたとき、夕子は放心していた。

 あまりにも残酷だった。愛らしい少年、豊かな画才。広がって行くであろう未来がすべて否定されたのだから。事実を受け入れられない夕子は、よろめきながら手紙をテーブルにたたきつけた。すると、幸平のもってきた錠剤入りの瓶が揺れた。幸平はビタミン剤だと言っていたが。別れた夫は少なくとも嘘をつくような人ではない。

 幸福な時間がもう残り少ないことを、今年の夏は2人にとって最後になることを夕子は知らされた。

 

 昨日とうってかわって幸平が楽しげに話しかける。夕子は相づちをうつので精一杯だった。ベッドに入ってからも同じ状態だった。楽しげな幸平を夕子は黙って眺めていた。全裸でベッドに入る親子だが、鏡でそれを見た夕子は神々しい、と思う。

 幸せになる、という名前の幸平。だが、あまりにも残酷な現実ではないか。いまこうして笑っている姿も、秋が来る頃には影も残っていない。夏が過ぎれば幸平は、二度と微笑んでくれない。

 どうしようもなく寂しくなった夕子は幸平の髪をなで始めた。思春期の活発な少年の匂いが胸にせまる。幸平は最後に自分を選んだのに、自分はなにもしてやれないではないか。

 「幸平、今日ね、父さんから手紙がきてたの」

 聡明な幸平はそれだけですべてを察し、笑みをこわばらせた。だが、すぐに笑みを見せた。

 「そう、どんな手紙だった?」

 もう我慢できない夕子は、ぼろぼろと涙をこぼし始めた。

 「幸平の病気のことが書いてあったわ、急に母さんに会いに来てくれた理由もあったわ」

 「うん。黙っててごめんね、母さんが悲しむのを分かっていて、言い出せなかったんだ」

 「いいのよ、それは。ただ母さんが何も出来なくて済まないの。長い間ほったらかしだったのに、幸平が来てくれて、それで、母さん、すごくうれしいのに……」

 嗚咽混じりで夕子はなにもしゃべれなくなった。幸平は落ち着き払って、母親を抱きかかえて背中をなでる。

 「離れて暮らしていて寂しかったけど、今はこう思うんだ。離れていたから、ずっと好きになれたんだ」

 夕子は涙に濡れた顔を上げ、息子の顔を間近で見た。

 「母さんと再会したとき、好きになっちゃった。女の人をこんなに好きになったのは初めてなんだ、話したい、触れあいたい、一緒にいたい、て思ったのは初めてなんだ。き、きっと初恋なんじゃない、かな……」

 真剣な表情で、幸平は夕子の目を見つめた。

 「キ、キスしていい?」

 言葉が心にとどいたとき、夕子は唇を息子に寄せていた。そういえばあれだけ激しい情事をしながらキスはしていないのだ。唇を不器用そうにあてがう母子。長くあわせているが、そっと離す。

 「母さん、好きなんだ」

 息子の告白に、夕子は全身が火照った。これからの行為が畜生のようなことでも、地獄に堕ちても、息子に愛されたいと痛切に感じた。

 「母さんも幸平が大好き。ね、母さんの恋人になってくれる?ううん、お嫁さんにしてくれる?母さん幸平だけのものになりたいの……」

 「……か、母さん」

 夕子は白い四肢をベッドに投げ出した。

 「幸平の好きにしていいのよ、母さんは幸平のお嫁さんなんだから」

 幸平は言葉ではなく行為で母親に応じた。口づけしながら乱暴に乳房をいじる。夕子はじっとしていながらも舌だけは幸平の口内に入れた。とまどっている幸平の舌と絡ませ、その唾液をすする。幸平も夢中になって舌を絡ませて母の唾液を飲んだ。唾液の糸を引きながら口を離すと、腋に舌をすすめて母の肉体を味わった。両手でボリュームのある熟女の肉体を存分に感じる。

 「う、ううん。いいわよ、幸平。もっとしてぇっ。あ、ああ、んんんんん!」

 子犬のように顔を舐められると夕子は予想以上に感じてしまった。もう全身が性感帯と化している。が、幸平は全身を愛撫するだけでそれ以上はしてこない。愛し合うすべを、年上の女として夕子は幸平を導かねば。

 「幸平、ちょっと見てて」

 夕子は上半身を上げると両膝を開いて、ひそかな場所を息子に披露する。

 「こ、ここが、女の一番大切なところよ、よく見て」

 幸平は蜜があふれている秘裂を見つけると、宝物のような視線で母の体を眺めた。

 「きれいだ」

 口から正直な感想がもれると、一層夕子は感じた。夫との初夜以上に心がときめく。

 「そうよ、男の人を迎えるんだから、綺麗じゃないとね。さ、さわっていいのよ。なめてもいいのよ……。あ、ひううううん!ひ、ひいいいいいいっー!」

 幸平がいきなり舌を入れたのだ。母のもっとも柔らかい肉体を思いっきり舐め上げる。舌が暴れると、しどしどに蜜で秘裂が濡れてきた。母の匂いもただよい、幸平は夢中になって舐めていた。

 「ヒイイイイイイ!いいい!いひいいいいぃぃー!いい、いい!」

 肉芽も秘裂もめちゃくちゃに舐めまくられ、体が溶けるような快感だった。息子に舐められる母親は、仰け反って鳴くしかない。そして、強烈な愛撫の嵐を中断させた幸平がつぶやいた。

 「僕はここから生まれたんだね」

 言われたとたん、背徳の意識が夕子にわき起こった。

 「きいいいいいいいっ、ひいいん!逝くッ、母さん逝っちゃう!逝く逝く逝く逝くー!逝くっ夕子逝っちゃうー!」

 ベッドで全身をのけぞらせて痙攣させる母の香る肉体を、呆然と幸平は眺めていた。夕子がベッドに沈み、手足を時々痙攣させていると幸平はまた母の秘裂に口づけした。

 「ああ!だめっ、感じちゃう!」

 涙を流し、口から一筋のよだれを垂れ流しながら夕子はもだえ始めた。

 「ま、まってっ!感じちゃう、感じすぎちゃうのよっ!?あひっ、あひっ、あひぅ!」 息子の愛撫は止まらない。

 「嫌ぁ!イヤ、イヤイヤイヤ!イヤッアッヒイー!ひいいいー!」

 乳房を揺すりながら、両手で幸平の頭をおのれの股間に押しつける。母親。その乱れぶりに一層息子の愛撫にも拍車がかかる。

 「ひいいいっ、逝く、逝っちゃう!母さん、また逝っちゃうっ、気持ちよくて、逝っちゃうー。うー、ひいいいー、いい、逝くう、逝っちゃう!」

 ひときわ大きく白い女体をのけぞらせる母。極限まで大きくなった自分の肉棒を押さえながら、幸平は顔を上げた。顔中蜜まみれにしながら、母の額に口づけする。

 「かわいいよ、母さん」

 その純真な心が紡ぎ出す言葉にも夕子は感動する。絶頂の余韻にひたりながら、少しでも股間を広げようとする。

 「母さん?」

 「きて、幸平。母さんの中に来て」

 慈愛に満ちた声に幸平も緊張した面もちでうなづき、緊張しながら肉棒を母の秘裂に合わせた。いよいよ貫かれると思うと、秘裂がとろけるように熱い。

 「母さんいくよ」

 「来て、母さん、幸平がほしいのよ」

 全裸の美女に言われれば、それが実母でも欲情してしまうのが男だ。幸平はまして15才の少年である。勢いよくペニスをつっこむ。

 「くっ」

 「ひいいいん!!」

 雄と雌の鳴き声が重なった。蜜まみれの膣はやすやすと幸平を受け入れた。幸平の硬直を暖かく柔らかく受け入れ、包み込んだ。あまりの感動と心地よさに、幸平は声もよく出ない。震えながら、愛する人を呼ぶ。

 「か……あ……さ……ん……」

 ああん、と夕子は悶えた。我が子の肉体のなんと熱く硬く、鋭いことか。女体の奥までひと突きで、その先端が届いている。

 「幸平、幸平のおっきい、立派よ。母さん気持ちいい」

 「母さん!」

 幸平は激しく腰を使い始めた。

 「は、はひいい!け、きけええっ」

 奇妙な鳴き声を上げながら、母親も息子の肉棒に応えて腰をふる。15年前に出産したわが子が、大きくなって還ってきたのだ。

 「ひいいいいい、ひいいいいいい、ひいいいいいーーー!」

 「母さん、母さん!」

 母さんと呼ばれるたびに、肉棒で突かれるのと同じほどの快感が、夕子を覆う。

 「いい、いいいいいっ!夕子、いいいのっイイノ!」

 息子の意外とたくましい体にしがみつくとどん欲なほど、その一撃一撃を感じた。堅い先端が子宮にとどく。自分をはぐくんだ子宮をペニスで突く。幸平は夕子との一体感に酔った。母親は乱れながら自分にしがみついてくる。秘裂からはどんどん蜜がもれ、全身から流れる汗が甘い果実のような匂いを発する。

 「愛しているよ、母さん!」

 それだけを言うと、一心不乱に幸平はペニスで母親の内部をかき回した。死を予感させるほどの快感に、夕子は肉体が自分どおりに動かない、とおぼろげに思う。勝手に体が息子に応じて腰をぶつけ合う。汗で肌をぬらし、口から流れるよだれは胸を伝ってへそに達している。愛し愛されて母子は激しく求め合った。

 「ひいいいい、あひいっ!ひいいい、きいいいいい!こ、こうへい、こーへーえぃ!」 「母さん、母さん!」

 母さんと呼ばれると夕子の背徳感が深まっていった。もうどうしようもなく、夕子はメスになっていった。むしゃぶるように息子の唇を奪う。自分の蜜の味がするが、それよりも息子の唾液や体温がいとおしくて仕方ない。

 「ム、ムフウウウー!んん、んんー!」

 舌を絡め合い、両手両足で息子にしがみつく。

 「ああ、愛して!もっと母さんを愛して!母さんいいのっ」

 幸平は自分の限界を感じた。

 「母さん、僕、でちゃう!で、でちゃうー!」

 「出していいの幸平!母さんの中に一杯出してーーー」

 ドピュ、ドピュピュピュドピュドピュドピュ!

 「ひいいいいいいいいいーーーーーっ!い、逝くう!逝く逝くーーーー!」

 白濁した息子の精をたっぷりと体内で受け止め、夕子は人生最高の絶頂に達した。

 

 「は、はあ、はあ、はあ」

 口を大きく開いて呼吸する夕子。全身が重い。

 「母さん」

 「こ、幸平」

 夕子は幸平の顔を両手でなでながら、絶頂の余韻に浸っていた。夫に抱かれてもこれだけ感じたことはない。軽い口づけを繰り返し、母は息子の、息子は母の愛を確かめ合う。破ってしまった禁のなんと甘いことか。もう互いなしではいられない存在となってしまった。

 口づけを中断すると、幸平はいつものように母親に微笑む。母も微笑もうとすると、奇声を発した。

 「ひゃあ」

 まだまだ、いや、一層硬く大きくなった少年の肉体が、母の肉を責めたのだ。

 「あ、幸平?こ、こう、こうへひゃんっ」

 喋ろうとしても、息子は微笑みながら母の子宮を突く。

 「ひゃあ!ひひゃああ!」

 「まだたくさん愛し合えるよ、母さん」

 「ひん、で、出来るの幸平?」

 「母さんがかわいいから」

 言い終える前にぐちゅっという音と母の声があがった。

 「あ゛、ああ゛ーーーー」

 思いの限りを放ったはずの息子は、腰を振るって母親を突き上げる。白い乳房がたぷんたぷんと大きく揺れる。突く。突き上げる。叩きつける。かき回す。

 「あ、あひーーーーーーーー!ひーー、ひーー、ひーー、ひーー、ひーー、す、すご、いっ!!か、母さん、また逝っちゃいそう!」

 息子の肉棒に翻弄される母親は鳴いた。

 「く!ぼ、僕は、たくさん母さんを、気持ちよくさせたい、んだ!」

 「ひぃ、か、感じすぎちゃう!母さん、あ、ひぃ、くう、い、逝くーーー!」

 ぴゅぴゅ。母は息子の下腹部へ潮を噴き上げた。

 「ぼ、僕も!」

 熱い流れが夕子の体を内側から灼く。それは代償に、自身のすべてを捧げてかまわないほどの絶頂。一旦逝った夕子はひとたまりもなく、またしても逝ってしまう。しかも逝くごとに絶頂は深く大きくなっていった。

 「ひーーーーーーー!い、逝くう、逝っちゃう、逝っちゃう……!」

 「ま、まだだよ母さん!」

 白い精を吐き出したばかりの肉棒を、母の体内へまた送り続ける幸平。

 「ひ、ひいい!ひいーーーーいいい!ひ、ひぃぃぃぃ!!」

 一心不乱に幸平は腰を振るい続ける。

 「ひぃ!逝く、また逝っちゃう!!とまらないわっ、母さん、逝っちゃうううううう!」

 夕子はあっけなく潮を噴く。今夜、四回目の絶頂、しかも四回つづけて潮を噴いた。それでもなお幸平は、愛し合うことをやめない。それが自分の存在意義だというように。すべてを息子にゆだねきった夕子の体も応じた。

 「逝っくう!逝く!逝く逝く逝くーーーー!」

 「ひい、ひ、ひいいいいぃぃ!た、たまんないっ、ま、また逝っちゃうっ」

 「だめえ!母さん、だめになっちゃうううーーー!」

 女の蜜が幾重にもかけられて、二人の結合した部分は、臭いほどになっていた。そんな匂いが母子の肉欲を深めていく。瞳からは涙を、口の両端からは涎を流しながら、夕子は鳴きまくった。

 「だ、だ、だめぇ!また逝っちゃううーーーーー!ああっ、中からかきまわさないでぇ、母さんの体ぁ!あひい、逝く逝く逝くう!(ぴゅぴゅ)……ひ、ひいいっ、きいいいいい!あはぁあ!す、すご、へ、変になっちゃうわ!幸平、こーへーいー!(ぴゅぴゅ)……こんなに、感じちゃうなんて、母さんもうだめ。え。そんな、まだ、ひ、ひいいっひいーー!ま、ま、つ、て!待ってぇ、母さんこれ以上すると、頭おかしくなっちゃう!だめぇ、そんなに動いたら、ひ、ひい!母さん、ひい、また逝っちゃう、逝くう!?、逝っちゃう?逝っちゃうのよおう!(ぴゅぴゅ)……ひ、ひいいいい!ひい、ひっひい!あひぃ。無理よぉ、これ以上、ひい、無理、よひい!母さん壊れちゃう、壊れちゃうーーーー!(ぴゅぴゅ)……ま、だぁ!いやあ、幸平、お願い、少し、ひ、休ませ、休ませて、ひぃ、やす、ひいい!ま、でぇええーーーーー!(ぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅ)」

 母が逝くたびに、幸平も少し遅れて射精し、また母を逝かせる。夕子はただただ逝きまくった。朝日が昇る頃、幸平はどろどろの汗だくになった夕子の顔を手の甲でぬぐう。

 あえいでいるだけの母の唇をゆっくりと奪い、舌で口中をなめ回す。舌を絡め合う。

 唾液の糸をひきながら、口づけをとくと、夕子はぼんやりとした表情で息子を見上げた。

 発狂する寸前だと思った。情死するかとも思った。あと一度でも交わっていたら、きっと耐えられなかったろうと思う。それだけに快感と余韻は深いが。けだるい中、幸平の頭髪をなでてやる。

 「か、母さんの中、幸平でいっぱいになっちゃったわ……」

 「うん、ぼくも気持ちよかった。母さん、かわいいから」

 ああん、と甘い感傷に浸りながら、夕子は、少し休みましょうね、と言うとしたが

 「でも今日は一日中こうしてようね。もっと母さんがほしい」

 「え?」

 「一晩で母さん20回ほど逝ったけど、一日中愛してあげるからね」

 「……え……」

 「きっと倍くらいは逝かせてあげるよ。母さんのもっとかわいい姿を見たいんだ」

 くい、と肉棒を動かすと、ひい!と夕子が鳴く。

 「ふふ、母さんもまだ大丈夫なんだね。これなら三倍くらいいけそうだね」

 ……ま、まって!

 夕子が言う前に、幸平の腰が動き出す。あえなく、夕子はよがり鳴く。

 「ひ、ひいいい!こ、幸平ぃ幸平!」

 ……休ませて、せめて少しだけで休ませて。母さん本当におかしくなる!こ、怖いの!

 「すごいよ、母さん。急に母さんの肉が僕のチンポに絡み合ってきた。すっごく気持ちいいよ。僕、もっとがんばれるよ。大好きだよ母さん」

 ひい、ひいい、と夕子は鳴くだけ。腰を振り両手で母の胸を揉みまくる少年。それに感じるしかない母親。

 「こうしてずっと可愛がってあげるよ母さん。うれしいでしょ?僕もだよ。幸せだな。残りの夏、ずーーと愛してあげるよ母さん」

 「ひーーーーーー!ひーーーーー!」

 「ね、母さん。もしも、この世に生まれ変わりがあるのなら、来世でも、きっと僕のお母さんになってね。きっとだよ、また、僕を産んでね。そうしたらこうやって、おちんちんで、たくさん気持ちよくしてあげるよ。そして僕と結婚しよう母さん」

 「ひい、ひいっ!逝くう!逝く逝くいっじゃうーーー!あひい、逝くう!逝くう!ひぃ、くふぅ!ひいいいぃぃぃぃーーー!逝くー!おわあああぁーーーーー!ひいい、ひいいいい!逝っちゃう!逝っちゃうわ!母さん幸平に抱かれて逝っちゃうわ!産んだ息子に抱かれて逝っちゃうのよ?き、気持ちいいいいいい!気持ちいい!気持ちいい!いい!い、逝く!逝く!あああああああーーーーー!」

 また夕子は潮を噴いた。これまでになく盛大に。逝きっぱなしになり、口から涎と泡を噴きながら。全身がけいれんして幸平をはじきそうになり、息子は母親の肢体に必死になってしがみついた。それでも母の体内を突き上げる。

 「あひぃ……母さん壊れちゃう……!」

 その夏の夕子の最後の人らしい言葉だった。

 

 

 夏は終わった。ひまわりはしおれ、陽光も弱まり、セミはもう鳴かない。郊外の墓地では少年の埋葬が一件行われ、残暑のなか二人の青年が受付を取り仕切っている。『急なことだったな』『ああ、なんとか八月を乗りこったって話だ、』

 喪服を着た女性が音も立てず、受付の前を通り過ぎていった。

 「……主は与え、奪いたまう。……その御心に魂をゆだね……聖霊の御名において……アーメン」

 神父の祈りが終わり、小さめの棺が墓穴にゆっくりとおろされる。上から花が手向けられると、葬儀屋が土をかぶせ始める。最後のお別れだと、参列者の涙を誘う。同級生の幾人かは泣きじゃくっている。ただ、女性は一人泣いていなかった。

 参列者が全員帰ってしまっても、女性一人は残っていた。しゃがみ込み墓標をなで、立ち上がると、微笑を浮かべながら同じ手で夕子は自分の腹部をなでる。

 「大丈夫よ、幸平、もう一度母さんが産んでみせるからね」

 夕子の生理は夏が終わる頃から止まっていた。

 

END

小説(転載)  心変り

官能小説
01 /02 2019
少し手が込んでしまって読みにくくなっていると感じてしまった。それが狙いなのかもしれないが。

心変り


今日
(±0Day/s)

 
 目を覚ます。
 カーテンから射し込んでくる光が部屋の暗闇を切り裂き、彼らを追い払おうとしている。
 可奈はゆっくりと体を起こした。十分に手入れをされた髪と、まだあどけなさを残した、美少女ではないが十分整った顔に手をやって軽く整える。薄い、体にかけていた布がずり落ちで、白い裸身が暗闇の中でほのかに輝いた。
 ジャラ、と金属同士が触れ合う音がする。
 鎖。
 可奈が唯一身に纏ったもの。
 可奈の黒い首輪に付けられた鎖が彼女の体と同じように、しかしもっと強く輝いていた。
 それは、可奈がある人物の所有物である証。
 初め、この首輪と鎖がもたらした物は、これから起こる事への不安と、打ち砕かれた過去への悲しみと、主人となった人物への恐怖であった。その時の可奈はただ泣くだけだった。
 だが、今の可奈にはこの鎖が彼女にもたらす物が必要だった。主人の手の中にいる安らぎ、誰かの所有物である喜び、愛される幸せ。
 自分は変えられてしまったのだと、可奈は思う。狂わされたのかも知れない。
 しかし、それによって得た、変わった、そして狂った幸せは、深く、可奈の心を浸していた。
 一日が、始まる。
 可奈は胸を躍らせて身支度を始めた。
 

二十日前
(-20Day/s)

 
 ここに閉じこめられて、何日が経ったのだろうか?
 カーテンの隙間から射し込まれた光がだんだん強くなってきているのを虚ろな瞳で見ながら、可奈は考えた。
 三日が過ぎた当たりから数えるのをやめた。いや、数えられなくなった。毎日毎晩与えられる陵辱は、今まで平穏に過ごしてきた可奈にとって耐えられるものではなかった。苦痛と快楽で意識が闇の中へ沈み、気が付くと日は高く上がり、そしてまた陵辱が始まるのだ。それが何度も何度も続き、とうとう彼女は昨日、疲れた体と心に無理矢理刷り込まれる苦楽に屈服してしまった。
 自ら懇願してしまったのだ。気持ちよくして欲しいと。あの男に。お願いしますと。自分をここへ監禁している男に。
 気持ちよかった。
 今まで与えられたどの快楽よりも気持ちが良かったのだ。
 可奈は膝を抱いて泣いた。
 

時間軸不明
(±0Day/s)

 
「私は、今でもあなたを恨んでます」
「…」
「でも…」
 
「…続けろ、可奈」
 
「…はい…。
 でも、私は…。私は、あなたを愛しています。」
 

十二日後
(+12Day/s)

 
 暗い部屋の中では、荒い息の音が音の全てだった。
 可奈は、自分の乱れたその音を聞いていた。
 
 また一つ、変えられてしまった。
 
 可奈はぼんやりとそう思う。変わり続け、変わることに馴れてしまった。そして、いつしか可奈はあの男に変えられることを望むようになっていた。
 今日、愛されたところを撫でる。自然と微笑んでしまう。理性では、非道いことをされていると認識しているのに、心と体は喜んでいた。
 苦しかった。
 でも、気持ち良かった。
 すでに苦しみすら快楽に感じるよう、変えられた心身は先ほどの行為を思い出し、歓喜に震える。
 たまらず、撫で回していた指をまだ塞がらない菊座に埋めた。
 可奈は自分が喘いでいることにも気付かずにいた。
 

八日前
(-8Day/s)

 
 可奈は寝ころんだ状態で突かれていた。すでに腰の所で引っかかっているに過ぎない淡い青のワンピースがその動きに合わせて揺れていた。
 上を見ると、星空が見えた。もうろうとした意識が覚醒し、ここが外であることを思い出させる。
 可奈は恥ずかしさのあまり目をつぶる。しかし、それは、今受けている刺激を増す働きしかしなかった。ひんやりとした外の風、木と土、男と女の匂い、交わりの激しい音。背筋を次々と登ってくる、快感。
 自然と声が出る。止められない。男にしがみつき、恥ずかしさに耐えるが、それもわずかな間だった。
 
 イった瞬間、月が見えた。
 

四日後
(+4Day/s)

 
 湯船に浸かりながら、可奈は自らの体に付けられた幾つもの痣に振れていった。
 もう痛みは引いたが、刻まれたその痕は今だ残っていた。その一つ一つを撫でていく。
 可奈の瞳は何も写してはいなかった。今の彼女が見ているのは記憶にあるあの男との交わりだった。
 彼女はとうとう、苦痛の中にあるものを見付けてしまった。
 先ほどまできつく縛られていた体はまだ火照っている。高揚した心は記憶の中を彷徨う。
 記憶の中で、彼女は抵抗しなかった。縛られるのは嫌だった。苦しいのも嫌だった。しかし、その後、必ず男は可奈を抱くことを知っていたので、可奈は抵抗せず、苦痛を我慢することにした。この時の可奈は、すでに快楽に溺れていた。
 苦痛を一つ一つ我慢する。一つ叩かれるたび、その後に与えられる快楽を想って。
 いつの間にか、可奈の手は自らの秘所に這わされていた。湯船に可奈が求めていることの証が流れ、湯と混じる。
 もっと、欲しい。
 さっきまでさんざん味わい、もう満足したと思っていたのに、自らに刻まれた痣を見ただけで、貪欲に求めてしまう。
 気持ち良くなりたい。
 胸を撫でる男の手を思い出してそれを真似る。
 きもちよくなりたい。
 中指を秘壺の奥深くまで入れる。掻き回す。
 もっと、キモチヨク…。
 もっと、気持ち良くなる方法。可奈はそれを知っていた。可奈は、苦痛の後の快楽がとても気持ち良いことを知っている。
 キモチヨク…。
 だが、ここで自らに苦痛を与えると言うことは、また一つあの男に屈してしまうことだった。
 もっと、モット…。
 激しく、中指を出し入れする。しかし、可奈はそれで逝っても自分が満足できないことに気付くだけだった。
 モット。モット、キモチヨクナリタイ!
 小さな悲鳴がでた。あまりに強い苦痛は体を強張らせ、彼女の意識は白く染め上げた。
 可奈は自分の乳房を握り締めたのだ。
 ゆっくりと痛みが引いていくと、それを埋めるように気持ち良くなっていく。
 痛いほど隆起した乳首を撫でると、それを親指と人差し指できつく挟む。痛みとその後に快楽がやってくる。
 痛い。でも、気持ちイイ…。
 体の中に入れっぱなしの中指は自らに苦痛が与えられるたびに締め付けられる。
 乳首をいじっていた手を下に降ろしていく。なだらかな腹をたどり、茂みをかき分けて肉芽に到達する。
 先ほどから手のひらで転がされていた肉芽はすでに興奮を表していた。それを乳首と同じように挟む。
 指に力を込め、つねる。刺激に馴れ始めたばかりの肉芽は、可奈に痺れるような痛みを伝えた。
 痛い…。
 その痛みはやはり快楽に変わっている。もう一度、繰り返す。
 痛い。気持ちイイ。
 繰り返す。何度も何度も。
 痛い。気持ちイイ。痛い。気持ちイイ。
 その間隔が次第に短くなってくる。秘壺に埋め込まれた指の出し入れを再開する。
 …痛いのが、気持ちいい?
 痛いのは、
 
 …気持ちいい…。
 
 はっきりと自覚した瞬間、可奈は体を震わせて、イった。
 

時間軸不明
(±0Day/s)

 
「でも、私は…。私は、あなたを愛しています」
 
「くっくっく。そうか」
「…笑うんですね、あなたも」
 

一週間後
(+7Day/s)

 
 可奈は、一人の男と対面していた。二人とも下着姿だった。可奈は白いスリーピースの下着姿を恥ずかしげに男の視線から隠そうとしていた。
 何度も彼女を犯し、彼女を変えてきた男。恨んでも、恨みきれないはずの男を可奈は潤んだ瞳で見つめていた。
 男が可奈に命令する。可奈は俯いて躊躇するが、軽く鎖を引かれると、男の前に跪いた。男のただ一つの下着を下げると、露わになったそれを手にして、愛撫し、口付けをする。
 可奈は男に頭を撫でられると嬉しそうに微笑んで、男のモノを口内に迎え入れた。
 

初日
(Absolute 0Day)

 
 可奈は泣いた。
 今時分の身に起こったことが信じられなかった。
 可奈が今まで守っていた純潔は散らされ、そればかりか首には首輪を付けられ、まるで家畜のように鎖で部屋の隅に繋がれてしまった。
 男は一月の間、可奈をここで飼うと告げ、部屋を去った。
 
 可奈はボロボロになった服を抱き締めて泣くことしかできなかった。
 

今日
(+31Day/s)

 
 男が部屋に入ってくると、可奈は嬉しそうな顔をした。事実、嬉しかったのだ。
 彼女は主人から送られた白いボディスーツ姿で三つ指を付いた。
 その体の上に何か布のようなものがかけられる。それは二度、三度か着たことのある淡い青のワンピースだった。前に着たときは『散歩』と称され、夜の公園に連れ出された。
 今は昼だが、服を渡した以上は着るのだろうと、可奈はいそいそと準備を始めた。服を着終わり、そのまま主人の言葉を待つ。
 何をされるかと考えると、可奈の歪んだ心は高鳴った。
 しかし、可奈の主人は首輪を外すと、きびすを返した。
 
 可奈は気が付いた。今日は、あの日から一月目なのだと。
 

三日後
(+3Day/s)

 
「どうした?」
「…」
 意を決して戻った男の家で、出迎えたあの男はそう言った。
 しばらくそのまま時間が過ぎる。
「用がないなら、帰れ」
 その言葉に、可奈は口を開く。
「私は、今でもあなたを恨んでます」
 男は黙って可奈の話に耳を傾けた。
「でも…」
 可奈は口ごもる。
「…続けろ、可奈」
 そう命令され、強制力はもう無いはずなのに、可奈は従った。そうしなければいけないのだと思った。
「…はい…。
 でも、私は…。私は、あなたを愛しています。」
 
「くっくっく。そうか」
 男のその笑い方は今まで可奈が見た笑いが演技であったと確信させた。
「…笑うんですね、あなたも」
 
「それで、お前はどうしたいんだ?」
 
 可奈は今までを思い出す。
 体の奥が熱くなって来るのが分かる。やはり離れることは出来ないのだと可奈は思った。
 
「い、今まで通り、飼って下さい…。
 …ご主人様…。」
 

小説(転載)  『もう一つの兄妹』

近親相姦小説
01 /02 2019
『もう一つの兄妹』

 御坂香苗みさかかなえは他人の評価を受けるに、『元気な子』であるらしかった。他ほかには、『純真な』『気の強い』『曲がろうにも曲がれない』という評価もあった。
 昔からの評価は、今でもあまり変わらない。流石さすがに、男の子に間違われることはなくなったが。
 この春、無事に高校を卒業した。短大生活にも慣れはじめ、高校時代に陸上をやるには邪魔だったので短くしていた髪も長くなってきた頃だった。
 
 彼女には、母と兄がいた。父親は彼女が若い頃他界して、家族と呼べる人物はその二人だけだった。
 気っ風の良い母親は時折切れることもあったが、おおよそ良い母で、彼女達兄妹をここまで育ててきた。
 兄、紀泰のりやす。香苗にとっては『兄貴』。歳が八つも離れているため、小さい頃は先生であり、仕事で忙しい唯一の親の代わりでもあった。頭の良い兄は昔は病弱だったが、それでも彼女を守ってくれる存在だった。
 その二人が事故にあった。
 兄の運転する車に、信号を無視したトラックが横から突っ込んだのだ。
 香苗は運良く、その場に居合わせなかった。しかし、真横からぶつけられ、運悪くその側にいた母は即死。兄も、意識不明の重体になった。
 
 香苗は、母の亡骸なきがらを見ることは出来なかった。
 

 
「兄貴……」
 香苗は兄に声を掛ける。兄は答えない。
 事故にあった日から、彼は香苗の、誰の問いにも答えることはなかった。
 今、香苗と紀泰は二人で家族が住んでいたアパートの一室にいた。駆落ち同然に結ばれた両親には親戚と呼べる者はおらず、兄妹二人で、実際には香苗一人で、暮らしていくしかなかった。幸いにも、慰謝料や保険金のおかげで、食べるのに困ることはなかったのだが。
「兄、貴……」
 香苗は車椅子の上でぼうっとしている兄の頬を撫でた。香苗の兄は、香苗が触れたことにも気付かないようにただ依然そこにいるだけの存在だった。
 香苗は、兄の症状について医師から何度か聞くことはあったが、憶えることは出来なかった。
 彼女が理解できたのは、植物人間の一歩手前のような状態であると言うことだけだった。元に戻ることはあるだろうが、それが明日なのか、十年先なのかは分からないと言うことだ。
 彼女の兄は怪我けがが完治した今でも、彼女の元へと帰ってきてはくれなかったのだ。
「兄貴……」
 香苗は兄、紀泰の体を抱き締めた。随分伸びた髪が、首筋をくすぐった。
 兄と母が事故に遭ってから休学し、ずっと兄の世話をしていた。もうどのくらい兄と二人きりだったのだろう。
 初めは寂しいだけだった。母が死に、兄も物言わぬ身になり、一人で事故の処理や、警察、行政などへの手続き。初めてのこと、今まで考えもしなかった一人で生きていくための手続きをしているうちに、寂しさを実感していく。
 一人暮らしをして寂しいとは根本的に違う。
 父が死に、母も死に、兄までもずっとこのままであったら、自分はどうなってしまうのだろう。家族がいなくなるのがこんなにも寂しいことだとは思わなかった。
 多分、兄を病院に預けて短大へ通い続けるのが正しい選択なのだろうが、しかし、香苗にはそれが出来なかった。まるで兄を見捨てるような気がしたのだ。それは、彼女にとって、一番寂しいことだった。
 だから、母と兄の匂いの残るこの部屋で兄の療養をさせることを選んだ。
 だが、その寂しさは、いつしか形を変えていった。
 普通なら消えて行くはずの寂しさは、形を変え、彼女の心に傷を付けた。
「兄貴」
 香苗は兄を抱く腕に力を込めた。
 怖かった。
 一人でいる事がとても怖かった。だから兄の体に縋すがる。兄が元に戻ることを望む。そしてまた孤独への恐怖を強めていく。
 彼女は、自分が悪循環の中にいることに気付いていなかった。
 兄の体は暖かかった。
 もし、兄貴がこのまま物言わぬままだったら、私はこうして兄貴の存在を確かめて生きていこう。
 香苗はそう思った。
 まだ、香苗は一人で生きて行けるほど、強くはなかったのだ。
 

 
「おはよう、兄貴」
 香苗はいつもの時間に兄を起こしに来た。
 部屋をノックし、入り、そのいつものセリフを言う。毎朝、そうしてきた。そしていつも返事はない。部屋では兄がベッドの上で、何も見ない瞳で天井を見つめているだけだ。
 だが、その日は違った。
「ああ、おはよう」
 兄はすでに起きて、着替えの途中だった。
 その光景に、香苗は硬直する。うれしさも、驚きもなく、ただいつもと違う光景に固まった。どちらの感情も、香苗の神経で感知できなくなる程、大きかった。
「……悪いけど、着替えが終わるまで、外で待っていてくれないかな?」
 紀泰は苦笑まじりに言った。妹はその言葉に顔を真っ赤にして、部屋に入りかけたままの体をしずしずと引っ込めていく。
「あ、そうだ。香苗」
「……?」
「迷惑、かけたね」
 紀泰は頭を掻かきながら言った。
 兄がよく、失敗したときに見せるその仕種しぐさが彼女を正常な感覚に戻した。
 目に涙が溜まっていく。顔が嬉しさのあまりぐしゃぐしゃになる。体が震え始める。
 気が付いたら、抱き付いて泣いていた。
 やっと、やっと香苗は兄が戻ってきたことを実感した。
 

 
 紀泰は、自分の胸で泣く妹を強く抱き締めた。
 事故に遭ってから今までのことを紀泰は夢の中のようにぼんやりと憶えていた。その記憶から、自分がどうなっていたのか、香苗が自分に尽くしてくれたことを思い出していた。
 この妹は、自分の大事な妹だった。
 今まで、一緒にいてくれた分、自分は一緒にいてあげたかった。
 それだけではなかった。
 自分に出来ることなら、なんでも、この妹にしてあげたかった。愛いとおしかったのだ。自分でも信じられないほど。
「ありがとう、香苗」
 その言葉に、香苗は首を振るしかできなかった。
 ひとしきり、兄の胸で泣いた香苗はぽつりぽつりと口を開いた。
「これからはずっと、一緒にいよう、兄貴。もう、何処にも行かないで」
 本当はもっと色々なことを喋りたかった。兄と久しぶりに話をしたかった。しかし、もうこれ以上喋ることは出来そうになかった。
「ご飯にしよう。準備、出来ているんだろう?」
 香苗は頷いた。
 

 
 それから、二人は日常生活に戻っていった。
 母親がいなくなったため、大変な生活ではあったが、二人とも完全に事故から立ち直った。
 紀泰は、職場に復帰した。事故前には多かった休日出勤を減らしたが、それ以外はその仕事ぶりに変わることはなく、完全復帰を同僚や上司から喜ばれた。
 香苗は、休学していた短大に戻った。休学中の講義や話題には付いていけないこともあったが、元々友達付き合いが良かったため、助けてくれる友達も多く、おかげで苦労は最小限だった。
 兄も妹も、事故前と何ら変わったことはないように思えた。少なくとも、傍目はためには。
 しかし、あの事故は確実に、二人の内面を変えていた。
 

 
 紀泰と、香苗は二人でテレビ画面を見つめていた。テレビの中では、レンタルしてきた映画がクライマックスを迎えようとしていた。
 ソファーに腰掛ける自分の膝に、寄り掛かるようにして画面を見つめる妹を、紀泰は映画そっちのけで見つめた。
 事故以来、兄妹は無意識に、香苗は兄に触れることが、紀泰は妹を見つめることが、多くなった。
「映画を見るときは、まわりを暗くしておいた方が雰囲気出るからね」
 そう言って、妹は照明を常夜灯にした。暗くなった部屋は、画面からの光を受ける妹を輝かせた。
 そんな妹を見ていると、紀泰の心に再び黒い欲望が沸き起こる。
 抱き締めたい。
 事故の後、妹を見る度、そんな強い思いに捕らわれる。
 妹を抱き締めて、その華奢な体を感じたかった。
 妄想は止まらない。
 紀泰は、これが事故の後遺症であると思っていた。実際はどうなのか分からないが、これを後遺症と呼ぶのは馬鹿げていた。しかし、そうしてでもおかないと、自分がおかしくなってしまいそうだったのだ。
 香苗が身じろぎをした。その動きで紀泰は我に返る。見ると、妹はうつらうつらと夢と現実を行き来していた。
 相変わらず、妹は兄に寄り掛かったままだった。
「眠い?」
 紀泰は、自分の妄想を振り切るためにも、妹に問いかけた。香苗は声を掛けられると、二三度目をこする。
「……うん」
 しかし、それだけで眠気は去らないのか、まだ眠そうにしていた。
「布団、敷いておくよ」
 そう言って急いで立ち上がろうとする兄を、妹は引き留めた。
「ううん。後少しで映画も終わるから、いい」
 そう言ってまた兄の体に身を寄せる。そしてまた数分もしないうちに眠り始めた。
 紀泰は、香苗の頭を撫でた。そのままソファーから降りて、妹の肩を抱いて引き寄せる。映画はいつの間にか終わり、画面は青で埋められていた。
 紀泰は妹をゆっくりと引き寄せ、胸の中に収めた。
 

 
 以来、紀泰の香苗への想いは日に日に強くなっていった。
 夢の中で、妹を犯すことすらあるようになっていた。
 だが、事故以来、ますます二人でいることが多くなった妹は、紀泰のそんな想いには気付いていない様だった。
 紀泰も、自分を全面的に信頼している妹を二度と悲しませたくないため、その想いをひた隠しにしていた。
 次第に、紀泰はその思いを断ち切るためにも、妹から離れていった。そして、離れるたびに、妹への想いは募っていく。
 そんな紀泰を、香苗がよそよそしいと感じるのは、当たり前だった。
 

 
 香苗は最近、兄の様子がおかしいことに気が付いた。何故か、自分を避けているようにも思える。
「兄貴最近、帰りが遅いけど、ちゃんとご飯食べてる?」
 朝。兄の早めの出勤を見送るのは、香苗の日課だった。
「ああ」
 素っ気ない様子で、兄は答えた。
 最近はいつもこうだった。香苗には、また、兄が離れて行ってしまうようにも思えた。
『よし!』
 香苗は決心した。
「兄貴、今日は一緒にご飯食べよう!」
「?」
 紀泰は、妹の突然の提案に驚く様子もなかった。妹の『突然』はいつものことだったからだ。
 そんな兄の目の前で、香苗は手を叩く。この突然は流石の紀泰も驚いたらしい。
「そんなローテンションじゃ、いつもまともな物食べてないでしょ! いいから今日は早く帰ってきて! 分かった?」
 妹の剣幕に、兄はたじろぎ、頷くことしかできなかった。
「よし、決まり。オイシイもの作っておくから、さっさとお仕事行って、さっさと帰ってきてね。行ってらっしゃい!」
 そう、兄に反論する余地も与えずに捲し立てると、兄の背中を押して家から追い出した。バタンと扉が閉じられる。
 しばらく唖然あぜんとしていた兄は苦笑すると、そのまま駅へと歩き出した。
 

 
 兄の帰りは遅かった。食卓の上では、冷めてしまった料理が並べられていた。
「兄貴……」
 そう呟いて、自分が寂しいと感じていることに気が付き、慌てて首を振る。
 何が寂しいのか。兄はちゃんと帰りが遅れると連絡を入れてきたし、前みたいに話せなくなったわけではない。
 第一、何故そんなに寂しいのか?
 ――兄貴がいないからだ。
 自らの心がそう即答した。
 香苗は、その答えに愕然がくぜんとした。
 どうして?
 その答えは薄々分かっていた。
 好きなのだ、兄貴が。
 香苗はもう一度首を振った。それで、その想いを振り切った。
 彼女の想いは、それで何とかなる程度だった。まだこの段階では。
 

 
 紀泰は、普段こなす残業もせずにいつもよりも早く上がった。
 しかし、足の向かう先は家ではなく、あまり来ない飲み屋に向かっていた。妹の携帯にメールで帰宅が遅れると入れておいた。
 紀泰は、自分の妹への想いがもう普通ではないことを知っていた。同時に、もう押さえられないことも。
 酒を飲んだ。
 あまり飲み慣れていない酒は苦く感じられたが、それでも飲んだ。
 自分はどうすればよいのか。
 決まっている。この気持ちを抑え、おくびにも出さず、妹が誰か良い男と結婚するまで過ごすことだ。だがそれはもう無理だった。
 では、それ以外の方法ではどうなのか。自分が妹の前から去ることか。誰かと結婚でもして?
 どれも駄目なような気がした。自分が生きている限り、妹への想いは消えそうにない。そして、この想いがある限り、いつか妹は傷つく。
 いっそ、死のうか。
 それも駄目だ。
 紀泰が事故にあったとき、香苗がどんなに悲しんだか、紀泰自身が良く知っていたからだ。もしこれで自分が死んだら、妹はどうなるか分からない。
 どん、と、お猪口ちょこを置いた。かなり酔いが回っている。
 ではもう、妹を自分の物にするしかないではないのか?
 紀泰は自虐的に笑った。
『いっそ、そうして、妹に嫌われた方がいい』
 妹を愛する兄は、そう思った。
 

 
 ドアが開く音がした。
「兄貴?」
「ただいま」
 香苗の問いかけに紀泰はそう答えた。妹は席を立つと、兄を出迎えるために、玄関へ向かった。
「兄貴、どうしたの?」
 兄は顔を真っ赤にして酔っていた。普段酒を飲まない兄の、酔った姿は珍しかった。
「いや、ちょっとね、っと」
 千鳥足で歩く兄は壁にぶつかったりと大変だった。見ていられず、香苗は紀泰の腕を取って肩を貸した。
「ごめん」
「いいよ、このぐらい。あたしだって同じ様な事、あったし」
 兄妹は、ゆっくりリビングへと戻る。いくら兄が華奢きゃしゃな方だといっても、香苗の細腕には荷が重すぎた。なんとかソファーまで辿たどり着き、兄をそこへ寝かそうとしたが、ソファーに足を引っかけた兄が転倒し、それに引きずられる形で、妹も床に転がった。
 いい音がした。
 紀泰は背中に鈍い痛みを感じていた。転がるように倒れたため、そんなに酷い痛みではなかった。それよりも、彼にとって、妹の方が心配だった。
「いたた」
 紀泰の腕の中で、香苗が言った。紀泰は倒れる際、香苗を庇かばうように抱き締めたのだ。
「大丈夫?」
「も~。兄貴は結構鈍くさいんだから、こんなに酒飲んだらダメ! 決定! 二度と飲むな! ……何笑ってんの?」
 紀泰は笑っていた。久しぶりに妹の憎まれ口を聞いたからだ。それが嬉しかったのだ。
「も~。兄貴、起きるから、放してよ」
 それを聞いて、紀泰は香苗を抱き締める腕に力を込めた。
「コラ、兄貴。ふざけないの」
 そう言いながら、香苗の顔も赤くなっていく。藻掻もがいて兄から逃れようとするが、それは一向に叶かなわない。
 そのうち、頭を後ろから押さえられると、一気に兄の方に引き寄せられた。今、香苗の目の前に、紀泰の顔があった。
「大好きだよ、香苗。愛してる」
 最大限赤くなっていた妹の顔が、さらに赤くなった。兄はそれを楽しんでいた。
 しかし、妹はそれが冗談では済まない要素を持っていることを感じていた。
 これまでの兄と妹の関係を続けるためにも、ここは嫌でも冗談で終わらせなければならない。
 近親相姦きんしんそうかんなんて、惨めすぎる。
 それに、万が一このまま求められたら、彼女はその要求に拒むことが出来ないと分かっていた。拒んだ場合、それは、兄との決別だ。今の香苗は紀泰の認識より自分の弱さを認識していた。
 一人では駄目だ。一人で生きていくことは出来ない。
 今の彼女はそう思っていた。
「ば、ば、馬鹿兄貴! 告白の相手が間違ってるよ!」
 妹はそう言って兄の胸を何度も叩いた。しかし、その腕は後ろからひょいと捕まれて動かすことが出来なくなった。
「間違ってない」
 目の前の兄は真面目な顔でそう言った。
「う、嘘だよ。兄貴、酔っぱらって、あたしのことをからかってるんだ」
「からかってなんか、いない」
「じゃあ、明日! 明日酔いが醒めてから言い直して。そうでなきゃ信じない」
「馬鹿。こんな事、素面しらふじゃ言えないよ」
 香苗は呻いた。
「愛している、香苗。香苗が僕をどう思っていても、僕は香苗を愛してる」
 そう言いながら、紀泰は妹のことを強く抱き締めた。
 香苗は泣いた。顔がくしゃくしゃになる。妹は泣く時は、そうなる。紀泰は、そんな妹も好きだった。
 
 だから、妹に嫌われたかった。
 

 
 香苗は力を込めて目をつぶった。
『駄目だ。駄目だよ兄貴。そんなこと言われたら、あたしは駄目になる!』
 甘えては駄目だ。
 今の彼女には、耐え難い、一人でいる事への恐怖があった。兄への、日に日に大きくなっていく思慕の情もあった。
 だが、兄妹で結ばれるわけには行かないのだ。
 香苗は全ての力を使って、体を兄から引き剥がした。
 その瞬間、兄と視線が混じり合う。
 その時の兄の表情を考えずに走った。自室に駆け込み、鍵をかける。扉に寄り掛かり、荒い息のままで、しばらくそうしていた。部屋の中は暗い。
 静寂。
 恐ろしいぐらい静かだった。香苗は兄が扉を破って自分を襲うのではないかと思った。すぐにその考えを打ち消したが。
 兄はそんなことをする人間ではないことを良く知っている。
 でも、もしそうなったら?
『あたし、あたし……!』
 目を閉じる。兄を世話して見覚えた兄の体。触れ合った体が覚えた兄の体。あの体が自分を抱き締めたら? あの体と一つになれたら? 兄と思う存分、心から愛し合えたら?
 どんなに、ドンナニ気持チガイインダロウ。
 
 どん!
 
 大きな音と共に、彼女のおかしくなった思考が砕け散った。バラバラになった思考は正常な方向性をもってまとまる。
 自分はなんて事を考えていたんだろう!
 香苗は勢い良く起きあがると、ベッドの中に潜り込んで丸まった。
 

 
 無事、妹に嫌われた。
 良かった。
 これで良かった。
 香苗は自分から離れていくだろう。あとは隙をみて自分がくたばるだけだ。
 妹には大嫌いな兄の事など忘れて、自分の幸せを掴んでほしい。
 そう思いつつも、妹を抱き締めた手は妹を忘れようとはしない。妹のぬくもりが染み込んだように手に残っていた。
 手だけではない。匂いを嗅げば、妹の匂いを思い出すし、耳の奥には妹の声が、目をつぶれば妹の顔が浮かぶ。
 痛い。
 紀泰は、生まれて初めて、心も痛むと知った。
 良心の呵責や、俗に言う『心が痛い』という痛みとは別の、体の怪我と同じ、痛み。本当に心が、まるで一部を切り落とされた体のように激痛を感じているのだ。
 痛い。
 痛みを我慢して、立ち上がる。その時テーブルの上にある、食事が目に入った。シチューとサラダをメインに、沢山の品目の料理が並んでいた。紀泰はこんなに食べるわけがないだろうと苦笑した。
 今朝の妹の顔が甦る。
 何で自分は早く帰ってきてやらなかったんだろう。
 妹は自分をこんなにも思ってくれているのに!
 紀泰は手近な壁を殴った。
 
 香苗が愛しい。愛しい。何よりも愛しい。愛してる。かなえ。カナエ。香苗!
 

 
 香苗は、短大の講義の間、講師の話を聞くこともなく、窓の外を眺めていた。もっとも、講師の話を聞いていないのは香苗だけではなかったが。
 このところ、講義に身が入っていない。
 親しい友達は、どうしたことかと聞いてきたが、香苗はそれをはぐらかした。
 理由が分からないわけではない。
 自分がいやになるほど、それは良く分かっている。
 
 それは兄の事だ。
 
 あの日から、紀泰は部屋に閉じこもり仕事に行かなくなった。
 兄妹二人が生きていくには十分なほどの資産はあったので、生活に困ることはない。
 兄を心配する声も、初めのうちはあったが、それも次第になくなっていった。
 香苗は思った。やはり、最後まで心配するのは家族なんだと。
「兄貴」
 香苗は兄の部屋の前に食事を置きながら、部屋の主に声を掛けた。
「ここにご飯、おいておくよ。あたし、これから短大に行くから」
 部屋からは声もしない。
 もう一週間ほど兄の言葉を聞いていない。時折、兄が唸るような声を上げているのを夜に聞く。しかし、兄の言葉を聞くことはない。
「兄貴……」
 扉に触れる。
 寂しかった。そして寂しさは恐怖に変わる。香苗は孤独が恐怖になってしまうことが普通になってしまった。だから、それを紛らわすために短大に行く。
 しかし、それでは根本的に解決しない。
 
『やはり、兄貴だ』
 香苗はそう思った。
『私は、兄貴のことが好きだ。でもそれだけじゃないんだ』
 思い出すだけでも、自分の体温が下がるような恐怖。それを感じないようにしてくれるのは、兄だけだ。兄が戻ってきてから、あの日までは、恐怖を感じることは一度もなかったからだ。
『怖いんだよ、兄貴。あたしは兄貴といないと』
 普通に友達と話をしていたりすると、恐怖に苛まれることはない。しかし、それは紛らわされているだけだ。癒されているわけではない。その証拠に、一人になったとき、香苗は恐怖に襲われる。
 一人でいると、怖い。
 もうその方程式は、香苗の心に定着してしまった。例外は、兄。
 兄だけが、恐怖を忘れさせる。癒してくれる。
『必要、なんだ』
 講義は淡々と進む。その中で香苗は、虚ろな目で空を眺め続けていた。
 

 
「兄貴。開けるよ」
 扉に手をかけ、開ける。
 てっきりかかっているものと思っていた鍵は無く、扉はいとも簡単に香苗を迎え入れた。
 香苗には鍵をかけていたのは自分だった様に思えた。
 部屋の中は、酷い有様だった。薄暗い中でも、元々整理されていた本や調度品が散乱しているのが分かる。その中に兄はいた。
「兄貴」
 香苗は微笑んだ。
「……どうして入ってきた」
「じゃあ、どうして鍵をかけなかったの?」
「……なんで僕を嫌いにならない」
「……あたしも」
 香苗は兄を抱き締めた。涙が出てくる。
「あたしも兄貴が好きだから」
 すぐに強い力で抱き締められる。狂ったように名前を呼ぶ兄に、香苗も兄を呼んだ。
 一つ名前を呼び合うたびに、自らの中にある毒のような、悪いものが抜けるような気がした。
 
 兄妹は自分たちが危うい綱渡りをしていることを認識していた。
 はじめに落ちそうになったのは、兄だ。それを助けようとしているのは妹。
 でも結果的に、先に落ちたのは妹だった。そして、助ける者がいなくなれば、兄もロープから落ちるのは当たり前だった。
 紀泰は、流れる妹の涙を舐め取った。香苗はその兄の舌を追い、それは自然に兄の口へと辿り着いた。
 
~完~
初稿:00/08/09

小説(転載)  「××市役所福祉課特別対策室」

官能小説
01 /02 2019
   「××市役所福祉課特別対策室」

「田中さーん」
 受付カウンター前のビニールソファーにに座っていたわたしは立ち上がる。
「お待たせしました。えーと、初めてのご利用ですね」
 白いワイシャツに地味なネクタイを締めた中年男が言う。
「身分を証明するものと医師の診断書はお持ちですか」
 わたしは免許書と感染症がないことを示す書類を示す。
「はい、結構です。では、この書類に印鑑を押してください。こことここ」
「ミトメですけど」
「結構ですよ。はい、結構です。で、本日のご希望は?」
 書類に目を落としたまま男は言う。
「え?」
「色々コースがございまして。まあ、基本的にはくちと手で射精していただくというパタ
ーンですが、口内で射精、もしくはスマタ、自信がおありならアヌスという…」
「本番は?」
「法で禁止されてますので」
「分かりました。じゃあ、口の中でということで」
「口内発射ですね」
 男は書類に記された「口内発射」の項目に丸を入れる。
「では、これを持って控え室へ」
「あのう…」
「何か?」
「女の子は選べないんですか?」
「それはですね、ウチはあくまでも住民の福祉という名目で行っているわけですから、そ
こまでは」
「そうですか」
 わたしは男が差し出した書類を受け取り廊下を歩く。エレベーターに乗り、地下に降り、
長く暗い廊下を歩いていく。
「ここか」
 ベニヤを張り付けただけのドアの上に「福祉対策特別室」の札。わたしは扉を開け、中
を見る。
「こちらへどうぞ」
 わたしを見つけた、神経質そうな中年女が小さな受付カウンターから声をかける。わた
しは女に書類を差し出す。
「はい、ではこの番号札を持ってしばらくお待ちください」
 無愛想で横柄な態度の女。平日の午後。わたし以外に待つものもいないのに、しばらく
も番号札もないだろうと、心の中で愚痴る。
 BGMもない殺風景な部屋に長いすがひとつ。奥側はカーテンで仕切られ覗くことがで
きない。ベージュの壁は薄汚れ、「これが民間ならとっくに廃業だろうな」と、思いなが
らわたしは黙って呼ばれるのをじっと待つのだった。

「この不景気で税収入も見込めない。それに、前の市長の借金返済もあって市は破産状態
だ。常套手段じゃどうしようもない」
 スペースは広いが装飾品の一切存在しない部屋で市長は言った。
「しかし、風俗というのは…」
「風俗の何がいけないんです?別に法を犯しているわけじゃない。ちゃんとした職業だし、
事業だ。何ら批判を受ける覚えはない。競輪競馬、博打がよくて風俗がいけないという理
屈は成り立たない」
「なるほど」
「余剰人員を整理するばかりがリストラでもありますまい。新しい部署をつくって新しい
仕事を作る。それも十分収入が見こめるものを。住民が本当に望んでいるサービスを行う
というのが行政の役目だと私は思っておるのです」
 前市長が公印を使って銀行から一時借入金の融資を受けた。市長はそのまま行方不明。
いわゆる公金流用疑惑だ。新たに首長の座に就いたこの男は、市でも指折りの事業家でも
あり、名家の出身。その人脈と資金力で議会を牛耳ることなどわけはない。
「色々いう奴はおりますが、市が潤ってい
るのは事実ですし、他の方法を考え出せる奴もいない。だから、文句はいわせない。ただ」
「ただ?」
「異動を希望する若い男の職員が増えて困ってます。女の子に手を出すのはご法度だとい
うのはこの業界の常識ですのにね」
 市長はそういって大声で笑った。

「次の方、10番の方、奥へどうぞ」
 鷹揚のない女子職員の声に導かれ、わたしはカーテンの向こうへ足を踏み入れる。簡単
な仕切りで区切られた各スペースの前には白いカーテンがぶら下がっていて、風俗店と言
うより、病院の大部屋といった様相だ。
「お待たせしました。口内発射をご希望ですね」
 わたしを迎えてくれたのは、年のころなら二十歳そこそこ。肩で切りそろえられた真っ
黒な髪と縁なしのメガネが印象的な、化粧の薄い、朴訥とした女だった。
 女は他の部署と同じ事務の制服に身を包んでいる。胸に市章が刺繍された濃い水色の上着。
膝下まであるスカート。そして足下はスリッパ履き。
 女は書類に目を通したまま踵を返し、わたしに背を向ける。そしてすたすた歩き始める。
わたしは慌てて後を追う。
(まさかこの女が)
 公務員が天職で、それ以外には考えも及ばないような女。1日中、机に向かって書類を書
くか、パソコンのキーを叩いているのが何よりもお似合いの女。色気も何もあったもんじゃ
ない。
「はい、では、ここに入って」
 女はそんなわたしの不安を払拭することもなく、一番奥のカーテンを開けた。
 部屋の中は小さなベッドが置かれているだけで、バスタオルや鏡の類は存在しない。傍ら
にはティッシュの箱とごみ箱。そして、濡れティッシュとなんだか良く分からないスプレー。
 壁は待ち合わせのスペースと同じくすんだベージュ色。天井の蛍光灯がジーと低い音を立
てている。
「はい、服を脱いでここに横になって」
 女は事務的に言う。
「君が?」
「何か不満ですか?」
 そのとき初めて、女はわたしの目を見る。
「い、いいえ…」
「そろそろ込み合ってくる時間ですから、早くしてください」
 女はそういって自分も服を脱ぎ始めた。
「へえ」
 メガネを取り、上着のボタンを外す。現われた白いブラウスの胸元は思った以上の盛り上
がりを見せている。
「な、何ですか」
「いや、けっこう胸、あるんだ」
 彼女は恥ずかしそうにプイッと横を向く。その仕草は今までとのギャップも伴って愛らし
さを覚えてしまう。仕草だけでなく、メガネをとった瞳は黒目がちで、睫も長く反りかえっ
ている。俯く横顔は艶美を増し、背筋が思わずゾクッとなる。
「彼女、名前は?」
「山本です」
「山本、なに?」
「必要ないでしょう」
 きつい口調で彼女は言う。しかし、今までのような憤りは覚えない。
 彼女は微かな羞恥を見せながら、テキパキと衣装を脱いだ。上着を脱ぎ、スカートを下ろ
し、靴下を脱いでストッキングを下ろす。そして、ブラウスのボタンを外し、わたしに背を
向けてブラジャーを取る。
 蛍光灯の白い明かりに佇む彼女はわたしに感嘆のため息を与えてくれた。実った乳房、ク
ビレた腰。ツヤとハリが備わった肌は病的に白くもなく、自分の知恵のなさを露呈してしま
うほど黒くもない。
「そんなにじろじろ見ないでください」
 彼女は頬を紅潮させ、俯いた。
「じゃあ、始めます。口の中…、ですよね」
 彼女はわたしの隣に横座りになり、言う。
「はい、お願いします」
 わたしは素直に返事をする。
「では」
 スプレーを手にし、わたしの身体に吹きつける。その冷たい感触に、思わず声を上げてし
まう。
「冷たい!何それ」
「消毒用のアルコールです」
「昨日、風呂には入ったよ」
「決められた手順ですから」
 彼女はそれから、濡れティッシュを取って身体を拭き始める。
「そこまでするの?」
「規則ですから」
「そんなに汚いかな?俺の身体」
「例外は認められていません」
 彼女はまるで、コレクターが自慢の壷を磨くかのようにわたしの体を拭く。そして、丁寧
丹念にペニスを拭うと、小さなため息をついた。
「では、始めます」
 メガネを外し、ショーツ一枚姿になった彼女を見て、少し興奮気味だったわたしのペニス
は、消毒液の冷たさと、ごしごし拭われる力に縮んでいる。彼女はそんなわたしに指を添え、
徐に舌を這わせ始めた。
「おお…」
 几帳面な態度とは裏腹に彼女のテクニックは巧みでツボを心得ている。先を舌先でテロテ
ロ擽ると、膨らんだ頭をトロリと舐める。そして、カリ首を拭い、裏筋をなぞり、横から竿
を唇ではさむ。わたしの肉棒は見る見るうちに固く、勃起する。
「うまい、上手だね」
わたしの誉め言葉に何の反応も示さず、彼女はしゃぶり続ける。そのそっけない態度が濃厚
な技に反比例し、妙な感慨を与えてくれる。
「ふう、さてと…」
 十分な屹立を保っているわたしを見下ろし、彼女は刹那の休息を得た。そして、垂れ落ち
た髪を掻きあげ、ニ、三度舌なめずりをすると、大きく唇を開いてわたしを呑み込んでいく。
「おおお、すごい…!」
 ズルっと奥まで含んだまま、彼女は首を上下させるわけでもなく、ただ、じっと根元に唇
を当てていた。しかし、わたしを納めた口の中では猛烈に舌が駆使されている。激しく吸い
こみながら内頬の粘膜が微妙に蠢いている。舌はぐるぐると螺旋を描き、先から根元まで絡
み付いてくる。その柔らかで暖かい感触にわたしは思わずうめき声を上げてしまう。
「すごい、すごいよ」
 わたしは呟きながら彼女の胸に手を伸ばす。
「ダメ、ダメです」
「どうして」
「体には触れないでください」
「じゃあ、どうして服を脱ぐの」
「規則です」
 冷たく言い放ち、再び咥えこむ。今度は髪を揺らしながら頭を上下させ、回転させる。も
ちろん、舌の動きは留まることを知らず、ぢゅぷぢゅぷと淫猥な音が狭い部屋の響き渡る。
「んん、んく…」
 彼女の鼻から、切なく艶美な吐息が漏れる。
「き、君も感じてるんじゃないの?」
 彼女は含んだまま首を横に振る。
「本当?」
 首を縦に振る。
「入れて欲しいって思わない?」
「ふぉ、本番行為は禁止です」
「堅いんだね」
「規則ですから」
「規則規則って、お役所みたいに」
「ここは役所です、公務です」
「公務で人のチンチンしゃぶってるんだ」
「変ないい方しないでください」
「事実だろ」
「……」
 彼女は少しだけ悲しそうな顔をしてもう一度ほおばる。
「ああ、いい気持ちだ、イキそうだ」
「ん、んん、んぁあ、出ますか?」
「もうちょっとで…」
 わたしの言葉に動きが速くなる。
「あああ、出る、出る!」
「ふうん、んくんく、んん…!」
 わたしはとうとう、堪えきれずに口の中に吐き出した。彼女はしばらくわたしの迸りを受
け止めている。そして、徐に抜き取ると、ティッシュの中に吐き出し、丸めてごみ箱へ捨て
るのだった。

「例えば、昔の赤線。あれは国家が認めておったわけだ」
 市長は言う。
「売防法以前の話ですね」
「本番しなければ法に触れない。法に触れないことを行政が行って悪いことはない」
「なるほど」
「金儲けなんてものは、あんた、人が欲しがるものを目の前にぶら下げてやる。それが基本。
役所だって、住民が本当に望んでいる物を与えてやる。税金を取りたてるなんて発想は古い、
古い。金は喜んで払ってもらうものなんだ」
「不公平感はありませんか?例えば、女の人は利用できないとか」
「この事業にかかる経費は独立採算。それでも十分余剰利益が出る。市が経営している事業
の中で唯一の黒字だ。それにね、名目はあくまでも福祉。あんた、本を読まない人が図書館
に文句を言いますか?町医者しかかかったことのない人が市民病院に文句を言いますか?同
じことですよ」

 仕事が終わる午後五時。わたしは山本嬢に取材を申し入れた。
「東京の短大を卒業してェ、二十歳になります」
 私服に着替え、アフター5の装いに身繕いした山本さんは、にこやかに微笑みながらはき
はき答えてくれる。役所の近くの喫茶店。わたしの目の前にはコーヒーカップ、彼女の前に
はアイスティーのグラスが置かれていた。
「なかなか就職口が見つかんなくて、こっちに帰って来たんです。でも、こっちでも働き口
が見つかんなくて、特別職?の募集があって、採用になりました」
「職種に対して戸惑いはありませんでしたか?」
「ないといえばウソになりますけどぉ。役所は福祉課のヘルパーだと親に言ってくれました
し、何といっても公務員でしょ。それにわたし、学生時代、風俗のアルバイトをしていたこ
とがあったんです」
「なるほど」
「もちろん、東京で風俗するのとは、お給料はぜんぜん違うけれど、公務員でしょ。ローン
も簡単に組めちゃうし、クレジットカードだって大丈夫だし」
「でも、どうしてあんなに無愛想なの?」
「仏頂面は規則なんです。一応公務ですから」
「なるほど」
「上半身裸になるのは早く終わってもらうため。本当はオッパイ触ってもらってもいいんだ
けれど、わたしは個人的に断ってるの」
 薄手のセーターに包まれた彼女はダサい事務服姿とは違い、艶美に胸の盛り上がりを誇示
している。その中身を知っているだけに、わたしの心中は穏やかではない。
「どうして胸を触らせるのを断るんです?」
「敏感なんです、わたし、感じすぎちゃって、疲れちゃうんです」
「ほお」
「お口でするだけならそんなに困っちゃうこともないけど、スマタのコースなんかだと、パ
ンツも脱いじゃうわけでしょ。アソコがぬるぬるになっちゃって」
「入ってしまうことも?」
「はい…」
 恥ずかしそうに彼女は俯く。
「そこのところをもう少し詳しく」
「そう…、ですね。まだ最初のころ、スマタコースのお客さんに跨ってたとき、オッパイを
しつこく弄くられたんです。わたし、濡れやすいタイプだから、アソコがすぐにぐちょぐちょ
になっちゃったんです。お客さんは下から突き上げてくるし、わたしも変な気分になっちゃっ
て、もういいやって」
「そのまま…」
「そのまま、ズブって…」
「入ちゃったんだ」
「そう、でも、すっごく気持ちよかった。だから、アンアン、キャンキャン、大声上げちゃっ
て。でも、そのお客さんひどいんですよ。そのままわたしの中に」
「中出し」
「うん、ドクドクって出しちゃったの。でも、本番は禁止でしょ。バレたら懲戒免職になっ
ちゃうの。だから、誰にもいえなくて。だから、それから、次の生理が来るまで、すっごく
不安だった」
「ほお」
「だから、それから、スマタのお客さんにはコンドームをつけてもらうことにしたの。する
とね、それは本番がOKだと勘違いされちゃって」
「断るんですか?」
「断りたいんだけど、わたしも嫌いじゃないし。ていうか、本当は中に入れてもらったほう
が気持ちいいし。でも、内緒にしてくださいね。本当にクビになっちゃうから」

「単純に健康な男子が射精するだけが目的じゃないんですよ」
 市長は言う。
「例えば身障者の方たち。彼らの性欲処理はどうします」
「あ…」
「どんなに親切なボランティアといえども、性に関する悩みまでは解消してくれない。手足
が不自由でオナニーすらできない人たちはどうするんです」
「なるほど」
「これは問題ですよ。そんな方たちには無料で利用していただく。これは完全な福祉でしょ」
 わたしは単純なエロ親父だとばかり思っていた市長の言葉に、感服してしまう。
「とにかく、赤字解消の役に立つ、寂しい人たち、女に縁のない人たちでも手軽に安価で気
持ちよくなれる。ウチの市の性的犯罪はゼロです。ま、そういうことです」

小説(転載)  「巨乳美人 白昼の挑発」

官能小説
01 /02 2019
   「巨乳美人 白昼の挑発」


 小さな町の商店街。路地裏に位置するレンタルビデオ屋で僕はアルバイトをしていた。
夕方から夜にもなるとそれなりに混雑するのだろうが、開店から一時間も立たないこんな
時間に訪れる客なんかいない。二十歳の僕はフリーターという立場を利用して、この暇な
時間帯に勤務している。
 そんな店に彼女はやって来た。
 薄い水色のキャミソールにマイクロミニのスカート。髪の毛は薄い栗色に染められてい
て、あごのラインで切り揃えられている。そして、何と言っても目を引くのは、豊満に実っ
た乳房の柔肉だった。
 彼女のキャミソールはランジェリーそのもののように胸元をカップだけで隠し、両腕の
付け根や盛り上がった鎖骨はもちろん、谷間やはみ出る胸乳を覆い尽くすことができずに
いる。そう、乳首周辺だけが何とか人目にさらされないように仕立てられている代物だ。
背中は剥き出しになっていて、上質の脂肪が彼女の肉体全部を覆っている。腋を締めると
まるで剃毛後のアソコのような割れ目が浮かび上がる。日に灼けていない素肌は薄い肌色
で触れれば弾き返されるであろうハリとツヤがある。
 僕が見惚れるのも無理ないことだ。
「見たい?」
 そんな僕の気持ちが分かったのか彼女は言った。
「え?」
「だって、さっきからずっと、わたしの胸ばかり見てる」
 僕は図星な指摘に言葉を失う。
「いいよ、見せてあげても。ほら」
 キャミソールの胸元をずらして、彼女はその、実り切った乳房を僕に覗かせた。前かが
みになり、自慢げに両の果実を誇示する。自然な盛り上がりを示す、柔軟で真っ白な膨ら
み。小さく勃起したピンクの乳首。
 僕は目をそらすことができずにいた。
「どう?」
「……」
「きれい?」
 誇らしげにほほ笑む彼女。僕はツバを呑み、うなずく。
「触ってもいいよ」
「え?」
「触ってもいいって言ってるの」
 僕はもう一度ツバを呑み、彼女の顔を見る。そして、薄物の衣装の向こうにはっきり見
てとれる乳房を見つめる。
 彼女はそんな僕の視線を感じながらカウンターの中に入ってきた。
「さ、遠慮しないで」
 彼女はキャミソールのストラップを肩からずり降ろした。
 間近に迫る巨大な肉塊に僕は言葉を失う。たっぷりと実った豊かな乳房に小さい乳頭、
狭い乳暈。うっすらと静脈が透けて見える肌。
「ほら、触って…」
 甘えたような声で彼女はつぶやく。表情は淫靡で妖しい。僕はわなわなと震える手を伸
ばす。
「どう?」
 指先が触れた途端に僕の神経に電気が走った。その力に痺れながらも興奮が増幅する。
「もっと強くしていいよ、遠慮しないで」
 彼女は僕の眼前で胸を反らせた。その、両の果実は微かにゆるゆると揺れながら僕を挑
発する。
 僕は言われるがままに指先に力を込めた。
「あうん…」
 彼女は敏感に反応する。
「いいよ、もっと強くしていいよ」
 僕は手のひらで握る。その感触は指が埋没してしまいそうなほど柔軟で危うい。
「な、なめていいよ。吸ってもいいよ」
 僕はそんな彼女の言いなりになって乳房にむしゃぶりついた。
「あうん…!」
 甲高い甘声を上げて彼女は身もだえした。痩身な僕が吹き飛ばされてしまいそうなほど
のボリュームが圧迫する。空気が淡く色づき始める。汗で彼女が湿り始める。
「ああん、そう、いいよ、その調子…」
 僕は彼女の胸に顔を埋め、舐り、噛み、吸い付く。彼女の声のトーンが高くなる。
「いいよ、いい、ああん、気持ちいい」
 彼女はいつしか僕のズボンに手を伸ばす。そして、おもむろにファスナーを降ろした。
「な、なに…」
「あうん、もう、こんなになってる」
 僕を握り締め彼女は言う。
「これが、これが欲しい…、もう我慢できない!」
 乳房に顔をうずめる僕を振り払い、彼女はそういってスカートをまくり上げ、ショーツ
を取るとカウンターに手をつき、形のいいヒップを僕に向けた。
「入れて、ねえ、ここへ入れて」
 大きく両脚を広げ、そのランの花びらのようなヴァギナを見せつける。僕は訳が分から
なくなりズボンをを脱ぐと襲いかかるように覆いかぶさった。
「ああん、好きなだけして、ムチャクチャにしてぇ!」
 僕は彼女の導くままに肉ビラを押しのけ、挿入を果たす。そして、中へ中へと侵入を試
みる。両手はもちろん乳房を握り締めたまま。
「そうよ、ああん、ムチャクチャにしてえ!」 
 僕は抽送を続ける。彼女の肉襞が僕に纏わり付き、彼女の愛蜜が僕を潤わせ、彼女の肉
壁が僕を圧迫する。内部のくびれが僕のくびれにうまくフィットし、入れ出しするたびに
鈍柔な刺激となって伝わってくる。キュキュと締まるとば口。そして、甘美な吐息が僕を
幻の世界へと誘っていく。
「ああん、ああん、イクイク、あ、イッちゃう」
「ぼ、僕も…」
「出して、いっぱい出して!」
「どこに」
「どこがイイ?出したい所に出してイイよ」
「じゃあ」
「じゃあ?」
「中に」
 彼女は目を細めてうなずいた。僕は激しくグラインドを繰り返し、そのまま膣内に迸り
を放つのだった。

小説(転載)  「巨乳ウェイトレス ユーコの災難」

官能小説
01 /02 2019
こんな短い作品なら簡単にできるさ、なんて思っていても実際にはうまくまとめられないものだ。

  「巨乳ウェイトレス ユーコの災難」
 ユーコは高校二年。放課後、近所のファミレスでバイトしてる。けれど、このごろなん
だか風邪気味で、だから、トイレでうがいして。
「キャ」
 お医者さんでもらったお薬をコップに入れて、くちゅくちゅ、くちゅくちゅしてた。け
れど、ユーコ、ドジだから制服の上にこぼしちゃった。
「やだー、シミになっちゃう、どうしよう」
 白いフリルのついたブラウスに緑色のエプロンスカート。胸のところに茶色のシミがで
きちゃった。
「やだなぁ」
 仕方ないからハンカチ濡らして、ポンポン拭いてた。お薬はブラウスを通って、ユーコ
のオッパイま
で染み込んでた。仕方ないからブラウス脱いで、オッパイとオッパイの谷間、拭いてた。
「ユーコちゃん、なに…」
 そのとき、トイレのドアがガチャリって開いた。で、そこに立ってたのはお店のマネー
ジャー。
「キャ」
 ユーコ、あわててオッパイを両手で隠した。でも、ユーコのオッパイEカップだから、
乳首が隠れる
だけで柔らかいお肉がはみ出ちゃう。
「……」
 ヤだ、マネージャーの目の色が変わってる。何だかいやらしい…。
「すいません、すぐにホールに…」
 ユーコ、あわててブラウスを着ようとした。でも、マネージャー…。
「いや、何するんですか!」
「我慢できないよ、時給上げてあげるからさ」
 マネージャー、ユーコの腕、つかむ。すっごい力で。ユーコのオッパイがペロンって。
「ヤだ、やめてください」
「いいだろ、いいんだろ!」
 マネージャー、そのままユーコを洗面台に押し付けた。そして、スカートをまくり上げ
て、ショーツに手をかける。
「ヤだ、やだやだ、やめて!」
「この日を待ってたんだ。面接したときからずっと、チャンスを待ってたんだ」
 そう言いながら、大慌てでズボンを脱いで、パンツを下ろした。すごい、もうビンビン
…。
「な、すぐに終わるからさ」
 ショーツがツルンて降ろされて、お尻が丸出し。
「やーん、恥ずかしい」
「たまんないよ、ユーコちゃん、Hな体してるからいけないんだ」
 そう言って、マネージャー、腰に手を当てて後ろからズンって…。 
「キャン」
 ユーコの中にマネージャーが入ってくる。マネージャーのすっごく堅くて大きくて、太
いの。
それが、ズリュッズリュて入ってくる。
「ああん、届くぅ、奥まで届くぅ…」
 目の前の鏡にユーコの顔がいっぱいに映ってる。Hされてる自分の顔見るの初めて。恥
ずかしい、って言うかぁ、何だかチョーHて感じ。
「いやん、いやいや、こんなところで、いやぁぁん…」
 明るいところで、しかも後ろから。スカートはいたままでオッパイ剥き出し。こんなの
初めて、すっごく感じちゃうん。 
「ああん、ダメダメ、あん、うん…」
「いいよ、気持ちいい、うん、よく締まる」
 すっごい力でオッパイ揉むから、グネグネに歪んじゃう。乳首がとっても大きくなって
くる。そんなの全部鏡に映ってる。ユーコ、Hな自分見て、もう、わけわかんない。
「ああん、気持ちいい、アンアン、ダメん、やんやん」
「いいよ、いいよ、最高だよ」
 ユーコのオマ×コがぐちょぐちょに掻き混ぜられる。ユーコのH汁がピチャピチャあふ
れ出す。ユーコの声が、トイレに響く。
「ああん、もうダメ…。イク、イッちゃう…」
「オレもだ、ユーコちゃん、ユーコちゃんのオッパイでイかせてくれ!」
 マネージャー、ユーコから抜き取った。ずりゅうって出て行く感触がくすぐったい。そ
のままマネージャーはユーコをしゃがませ、オッパイの間にオチンチンを挟む。そして、
ズリズリ、ズリズリ…。
「ああ、出る、イク」
 オッパイの間でマネージャー、ドピュピュッて…。ヤーン、顔にかかっちゃった。
「ふー、よかった」
 マネージャー、そういって出ていった。ユーコ、顔とオッパイがぐちゃぐちゃになっち
ゃった。けれど、チョー気持ちよかったし、何だかわけわかんなくて、ボーとそこに座り
込んでしまいました。オワリ。

eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。