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小説(転載)  紗枝の長い1日(後編)

近親相姦小説
12 /01 2018
題名 紗枝の長い1日(後編)

ホテル。

その独特の香りと雰囲気は紗枝にとって初めてではない。睦言を交し、お互いの肉体
を交し合った。彼は逢うたびに紗枝の体を求め、紗枝は羞恥を捨てて彼の望むがまま
に委ねた。いつも誘われ、従うだけ。性的好奇心だけで安直に生じた彼との交際だっ
たような気もする。判で押したように繰り返される男の誘いに紗枝は飽きていたの
だ。

最初の頃は、誘われるたびに、彼と励む行為を想って頬を赤らめたが、それも過去の
話だ。恋の蜜月というものは長くは続かない。彼をどこか醒めた目で見ている紗枝が
いた。紗枝の女の部分を露骨に貪る彼に、つまらない男の地金を見た思いがした。

彼に抱かれても、どこか満たされない。心底感じる事が出来ない。何かが足りない。
煮え切らないような漠然とした紗枝の心。欲求不満の一言で片付ける事はできない。
心の深部に知らず知らずのうちに溜まった澱(おり)が、徐々に紗枝の理性を侵食
し、胎内を疼かせた。近親相姦という禁断な行為。兄と繋がる自分の体を想い、背徳
感にのたうちながら身を焦し腰をくねらす。卑しい想像が心の深部に楔を打ち込み、
女はそれから逃れようがない。想像だけですら、これほど刺激的なものは他に無いよ
うに感じられた。紗枝の胸が黒い想像にふくれ上がる。


「この部屋にしよ。お兄ちゃ…!」

無人のフロントで紗枝はそう言いかけて慌てて口篭もった。自分達が兄妹だと誰かに
知られるのはまずい。こういう場所では、客の様子を別室からカメラやマイクで監視
しているものだ。只ならぬ関係を秘密にしなければ。否応なく紗枝の鼓動が高まっ
た。

久しぶりに湧き上がる緊張感。彼の時とは違い、自分から誘ったホテル。横に兄が佇
む。その兄に、これから抱かれると思うと、唇が震え、膝が揺れた。それでも慣れた
手つきで部屋を選択し、紗枝が先頭になって兄を導く。どちらも無言だ。柔らかなカ
ーペットが敷かれた通路を歩みだした時、紗枝の細い手が兄の腰に触れた。突然の紗
枝の行動に狼狽する兄。そっと兄に腕を絡ませながら耳元で紗枝が囁く。兄にしか聞
こえないほどの紗枝の呟き。

「お兄ちゃん、ムード出さないと、このホテルの人達から疑われからね。いかにも恋
 人同士って格好しないと駄目だから、こうして腕を繋ぐの。分かった?」

「そ、そうなのか?!。あ、ああ!分かった」

わざと兄の腕を自分の胸に押し付けるような格好で刺激する。その柔かい感触にどぎ
まぎしている兄の顔が微笑ましい。紗枝の企み。胸に当たる彼の腕は、潤滑油の切れ
た機械人形のようにぎこちない。ランプが点滅する扉が見えてきた。紗枝が選んだ部
屋だ。

「私、シャワー使うね!お兄ちゃん。せっかくお金出して入った部屋だから、使わな
 いともったいないし、それに汗かいちゃったから…。テレビでも見ててよ」

屈託の無い笑顔で、

「お兄ちゃんも一緒に入る?」

「!?」

「冗談で~す!覗かないでよね」

「ば、馬鹿!」

兄に軽口を言いながらバスルームに入った紗枝。かすかに「ジャー」と水が流れる音
が部屋に響く。あの音の中で紗枝は一糸まとわぬ姿なのだ。心が騒ぐ。駄目だ、変な
事考えるな!、と言い聞かせる。必死に理性を保っていたが、柔らかな妹の体をつい
想像してしまう。

ベットに腰を下ろして、ふーっと大きな溜息が出た。まだ妹の胸の感触が腕に残って
いる。兄は恥じていた。紗枝を女として見てしまったのだ。紗枝が腕を絡めてきた
時、思わず勃起してしまった。紗枝の胸は柔かかった。とにかく歯を食いしばって、
これ以上大きくならないように耐えた。そんな兄の心を知ったら紗枝は軽蔑するだろ
うと思う。
紗枝の体を見たい、直に触れてみたいが、紗枝には嫌われたくない。
紗枝に女を感じた自分の心を知られたくなかった。

シャワールームから出てきた紗枝の姿を見て驚いた。真っ白な備え付けバスローブを
身に着けていたのだ。唖然とした兄に構わず、思い詰めたような顔で兄に対峙した。

「お兄ちゃん…これが最後の提案なんだけど…その前に…お兄ちゃん…これから私が
 することを黙って見ててね」

紗枝の指が腰に伸び、紐をするりと引いた。はらりと白い花びらが散るかように、肩
からバスローブが滑り落ちた。兄の目の前で一糸まとわぬ姿になって立ちすくむ。

「さ、紗枝っ…」

見てはいけないものを見てしまい、慌てて下を向こうとするが、紗枝の見事な肢体か
ら目が離せない。紗枝は真剣な顔で兄の顔に向かっていたが、その目は欲情で潤んで
いた。

兄の視線が紗枝の肌に刺さり、その部分から熱くなっていくのを感じ、肌が上気して
いく。兄に自分のすべてを晒した興奮で、頭の奥がぐらりとした。今、少しでも触れ
られたら、たちまち絶頂に達してしまう。固まってしまい、妹の裸体を凝視する兄に
向かって応える。声が少し震えていた。

「最後の提案は…お兄ちゃん、私を抱いて。」

「な、なんだって!紗枝、自分が何を言ってるのか…」搾り出すような兄の声を遮っ
て、

「じゃあ、お兄ちゃんも脱いで…見せてよ。早く!」

「お、お前…」

「お兄ちゃんの、あそこを見れば、お兄ちゃんの言うことが本心かどうか分かるか
ら。私の裸を見て興奮してるのなら、我慢しなくたっていいじゃない!ね」

「…」

「お兄ちゃん、私がいいって言ってるのよ。誰にも言わないから。二人だけの秘密に
しようよ。私の体で練習すればいいんだから。恥ずかしがることないよ。兄妹だか
ら」

これまで男の本能を我慢していた兄は、いわば危険な「可燃物」のようなものだ。火
気が近づけばの話だが…。紗枝の肢体は「火気」としては充分すぎる。抑圧している
その分だけ噴出力も強いから見る見るうちに兄は手のつけられない火達磨になる。
何かが頭の中で切れた。

「紗枝…本当にいいのか?」

「うん。いいよ。お兄ちゃんも脱いで」

兄の締まった筋肉が眩しいくらいにキリッとして見えた。あの夢と同じ。いやそれ以
上の興奮に瞳を輝かせて兄の男を見つめる紗枝。肉棒は想像以上に逞しく、上に向か
って突き上げていた。思わず腰がへたりそうになるのを堪える。

「…凄い、お兄ちゃんの体」

全裸で対峙する兄と妹。どちらも興奮しきって小刻みに揺れている。神聖な儀式のよ
うな情景。

「お兄ちゃん、触ってもいい?」

「ああ」上ずった声。

紗枝の細い指が兄の肉棒の先に触れ、大きさを確かめるように、やさしく握る。

「お兄ちゃんも触って」

無言で、紗枝の柔らかな乳房を手のひらに包み込む兄。どう扱ってよいのか分からな
い戸惑いが腕の動きに感じられる。それをやさしく引き寄せ、自分の腰へ誘導した。
兄の指先が紗枝の敏感な部分を探り当てた瞬間、早くも達してしまった。すでに紗枝
の太股は胎内から溢れたもので濡れていた。

蜜壷の中で蠢く兄の指を全身に感じ、立っていられなくなり、ベットに倒れこむ。そ
れを妹の「サイン」と勘違いした兄。

兄は解き放たれた獣のような荒々しさで紗枝を組み敷き本能の赴くまま彼女の胎内に
一気に侵入した。

「ああっ!お兄ちゃん。待って…まだ…」

そんな紗枝の叫びも頭に届かない兄。紗枝の肉襞に強引に割り込み欲望を吐き出そう
と激しく動く。

「紗枝、紗枝!好きだ!」

口走りながら、これまで抑圧されたものを一気に紗枝の中で爆発させようとしてい
た。歯止めがきかない兄。既に理性が切れて、ただ紗枝の体を貪りつくす。

「お兄ちゃん!駄目。ちょっと待って、出さないで!まだ準備が…」

あっという間に登りつめた兄が大きく腰を反らせた瞬間!

「ううっ!」

「ああっ、嫌あぁぁっ!だめっ。」

紗枝の奥底で大きく弾ける感触。自分以外の熱い粘液に満たされた。壊れそうなほど
激しい肉棒の痙攣。(ああっ、熱いっ。 もう…どうなってもいい)

まるで犯されたような紗枝。大量の精液を全て受け入れてしまった胎内はまるで蜜壷
のようにとろけて兄の肉棒を包み込み、最後の一滴まで搾り出そうと締める。

(あぁ。中で出されちゃった…。「待って」って言ったのに。今日は危なかったのに
な~)

心でそう呟くも、これが紗枝の願望だったので兄を無下に責められない。ただ、もっ
と長く感じたかったと思う。だが兄にはそんな余裕など無かった。兄の初めての女は
紗枝になった。
これからも決して忘れる事ができない存在。

「…ごめん、紗枝」

兄が謝る理由が、乱暴なセックスをした事なのか、無防備な膣に射精した事なのか、
自分だけあっという間に達してしまった事なのか、分からなかった。

淫夢とは若干筋書きが違ってはいたが、願望は一応叶えられた。よろよろとベットか
ら上体を起こし兄と離れる。どちらも汗びっしょりでシーツを湿らせていた。息を整
える紗枝。

「お兄ちゃん…気持ちよかった?」

「ああ。最高だったよ」

「あ、そう。それは良かったね。おめでとう初体験できて。でもね、お兄ちゃん!」

「ん?」

「私が妊娠したらどうするつもりなの?」

「!…」

まるで、親に叱られて小さくなってる子供のような兄の姿がかわいい。
顔はうなだれているが。まだ兄の怒張は収まっていない。可笑しくて、口元が微笑
む。

「大丈夫(…たぶん)だから、お兄ちゃん、安心してよ」

いたずらっ子のような表情で優しく耳元で囁く。

「お兄ちゃん、とっても素敵だったよ。本当は私も凄く感じてたの…」

兄とセックスする夢や、兄を想って自慰した事まで目の前で披露する紗枝。お互い全
裸のままで。欲情して唇を貪りあい性器を啜り合った。

紗枝の唇に包まれた肉棒が弾け、たちまち口内を満たす体液。吐き出された白い汚濁
を飲み込む妹、その喉の動きを満足そうに眺める兄。妹の乳房に執着し、掻き分ける
ように肉襞の奥に舌を這わせる。

甘い香りのする果実のような妹の裸体を飽きることなく味わう。
妹は自ら進んで手や唇を動かし、兄の欲望の証を顔に受ける。

本来なら決して出逢うことなど叶わなかった兄の精液が妹の細胞一つ一つに染み込ん
で、妹を変質させていくような錯覚。飽くなき妄想と相手への性欲。

セックスは欲望を遂げれば沈静する。だが、血の繋がった相手同士だと話は違う。
すればするほどのめり込む。お互いの分泌した体液で溺れてしまう。いくらセックス
しても尽きないのだ。ますます昂ぶる兄妹…。

紗枝が考え及ばなかった事だ。近親相姦の罪。
お互いが離れられなくなってしまう魔力。麻薬そのものだ。


紗枝は彼氏と別れ、兄との関係にのめり込んだ。兄もまた紗枝だけの世界になった。
澱んだ沼の中で一生を過ごす魚のように、暗澹とした奈落に沈んでいく二人。

だが、いわゆる我々のような「保菌者」から見れば、この二人は幸せであると心から
思う。

ここに幸あれ。


[終]

[2000/06/08]

小説(転載)  紗枝の長い1日(中編)

近親相姦小説
12 /01 2018
題名 紗枝の長い1日(中編)

「初めて入ったレストランだったけど、美味しかったな」

満足そうに紗枝に告げる。紗枝が「ここにしよう」と入った洒落た店。
兄妹ふたりだけで外食するのも、初めてだった。
詳しくは訊ねなかったが、紗枝はたぶん彼氏とデートの時に来た事が
あるのだろう。いかにもカップルが好みそうな店だった。

既に外は暗い。兄は、紗枝が急に口数が少なくなった理由を考えていた。
特に気に障る事を話したつもりはないのだが…。


「紗枝、今日は楽しかったよ」

「…」

「ん?さっきから元気ないけど疲れたのか?」

ちらりと一瞬、助手席の紗枝の方を見る。
俯いて、もじもじしている妹の表情は、ハンドルを握る兄からは窺う
事が出来なかった。

「…お兄ちゃん」
顔は下に向けたまま、トーンが低い紗枝。かすれた声で口ごもる。

「あの…ね、ずっと考えていたんだけど…」

「うん?」

「お兄ちゃんに、彼女が出来ない理由を考えてたんだけど…」

紗枝はそんな事を真剣に考えていたのか。可愛い妹だ。紗枝の自分を心配
する気持ちは嬉しいと思うのだが、紗枝が自分に言いにくい程の『理由』
が何なのか気になった。

妹と今日1日一緒に過ごし、紗枝から付き合っている彼氏の話を何度も聞
かされたため、自分に彼女がいない寂しさを改めて思い知った。
心の奥に、かすかに彼氏への『嫉妬心』が生まれたのは事実だ。
紗枝のような思いやりのある女性と交際出来れば嬉しい。
今日は紗枝と楽しい休日を過ごし、妹とはいえ、女性と際どい猥談もして
内心胸が躍った。

「それで?」

「やっぱり…女を知らないって…ことかな。女性の前では緊張して無口に
 なったり、怖い顔してると思うよ、お兄ちゃんって」

「うん。だろうな~。俺って女の子に気軽に話せないっていうのか、緊張
 しちゃうんだよな」

「でね、お兄ちゃん…提案があるんだけど」

「提案って?」

「うん。問題は、お兄ちゃんが…その…経験していないってことだと思うの。
 つまり…女の人を…抱いたことがないっていうことかな」

「!」

兄は正直痛いところを突かれた。だが、そんな事は妹に言われなくても自分
自身よく分かっている。焦っている自分の心を妹に見透かされているようで
居心地が悪い。

同僚の彼女を見て羨ましいといつも思う。女が欲しい。抱いてみたい。
紗枝に(あなたは童貞だから駄目なのよ!)と言われたようで、少々ムッと
する。男としてのプライドを爪で引っ掻かれた気がして無造作な口調になる。
車の運転も、心なしか荒くなった。

「紗枝が言いたい事はわかるけど、じゃあどうすればいいんだ?風俗にでも
 行けってのか!」

「お兄ちゃん、怒らないでよ。ちゃんと前向いてて!危ないから」

「…」

「…んで、提案って何だよ!」

「うん…。お兄ちゃんが港に行きたかったのはデートスポットの『下見』が
 したいからって。独りではなかなか足が向かないからって。そう言ったよね」

「ああ」

「凄く勇気のいることなんだけど…これから…ホテル…に…下見に行かない?」

「えっ?!」

「提案ってのは、ふたつあるんだけど、まずホテルに行くこと。もうひとつは
 後で教えるから」

「ホテルって…お前!、兄妹でそんな所に入れる訳ないだろ!」

「いいじゃない、お兄ちゃん。これは下見なんだから」

「いくらなんでも…」

「なんでまずいの?これってお兄ちゃんのためよ。絶対に独りで行けないとこ
 ろだからね。それに、こんな機会って、もう無いと思うけど」

「でも…」

「お兄ちゃんって、たぶん、困ると思うんだけどな~。初めてホテルに入る時
 って。どうやって入るのかも知らないでしょ?そういうこと知ってると行動
 に余裕が出てくるし、女の子も安心すると思うよ」

「…」

「それにお兄ちゃんだって、部屋の中がどうなってるのか知りたいでしょ?」

「…それは、そうだけど…」

「それともお兄ちゃん、私と何かしようとか思ってるの?」

「ば、馬鹿言うなよ!」

「でしょ!部屋の中でテレビでも見て、すぐ帰るだけだけなんだから、いいじゃ
 ない。ね!」

「うん…でも…」

「もう、お兄ちゃん!優柔不断な態度って女に一番嫌われるんだからね!はっ
 きりしてよ」

「ああ…分かったよ。分かりました!行くよ」

「そう!そういう態度がもてる男の第一歩になるんだからね!これも覚えてお
 いてね。洒落たレストランの後は洒落たホテルってのもデートにはつきもの
 なの!」

「あっ、そこの信号右に曲がって!。いい所知ってるから。本当言うと、私も
 一度そのホテルに入ってみたかったの!」


紗枝は反芻する。

巧く事が運んだと思っていた。淫らな願望を叶えるために兄についた嘘。
この提案なら、もし兄が断っても自分のプライドは傷つかない。恥ずかしい思
いをしなくて済む。咄嗟に考えた『ホテルに行く理由』は、自分でもなかなか
良く出来た嘘だと思うが、あながち嘘とは呼べないかもしれない。



実の兄妹がホテルに入るなどという、本来なら絶対に許されない行為を正当化
した紗枝。「テレビを見て帰るだけ」と兄に言ったが、それだけで済むはずが
ない。本当は…兄に抱かれるのが目的なのだ。兄の肉体で感じたいのだ。
紗枝の心は、ブレーキを失った車のように兄への妄想に傾斜していった。


明るいネオンと重厚な造りの真新しいホテルが、フロントガラスの先に見えて
きた。「兄妹」という二文字が、異質な物に変わる分水嶺。

奈落へのスタートラインだった。

[終]

[2000/06/08]

小説(転載)  紗枝の長い1日(前編)

近親相姦小説
12 /01 2018
題名 紗枝の長い1日(前編)

「あぁ…お兄ちゃん」

かすれた、それでいてはっきりとした喘ぎが洩れる。なぜ、そんな事を考えている
のか自分自身でも解らない。
兄を想うと体の芯がじわじわと疼き、奥底から何かが湧き上がる感覚に腰がくねる。

何かがゆっくりと体の中に入ってきた。

「ぁあ、いやぁ」

言葉とは裏腹に溢れ出した粘液が抵抗なく、それを奥へ導く。
膣口を押し広げる熱い肉棒に襞が絡みつき、絞り上げる。
貫く動きが激しくなり、あっという間に絶頂に達した。

「あぁっ、いくっ!」

そう叫んだ瞬間、胎内の肉棒もそれに呼応するかのように大きく脈動し、熱い液体を
勢いよく奥に向かって吐き出す。ドク、ドクッとした痙攣を奥で感じながら、胎内を
精液で満たされる素晴らしい感触にとろける。
いつまでも脈打つ肉棒、太く逞しい兄の…

「あに?」
「兄って…」
「お兄ちゃん?!」

びっくりして紗枝が飛び起きた。汗びっしょりになって、喉がカラカラだった。

「…夢、だったんだ」

ほっと、溜息を漏らし、激しい鼓動を静めるように胸に手を置く。
痛いほど乳首が尖り、ノーブラのシャツを押し上げていた。肌が熱い。
そっと手を伸ばし、下半身を触ると、指にさらっとした体液がまとわりついた。

よりにもよって、兄を受け入れて感じてしまうなんて。
(欲求不満?)
それとも、心の中では、それを望んでるのかしら。
(嘘よ、嫌らしいっ!馬鹿みたい)
すぐに、女として、妹としてのプライドが否定する。
(…でも)
素敵だった兄とのセックス。
(何考えてるんだろ、私)
 
顔が紅潮してくる。
脳の奥に霧がかかり、さっきまでの情景がぼんやりと甦ってきた。
無意識に、胸に置いた指がシャツ越しに乳首を探り、もう片方の指先で下着の中の
敏感な秘所をもてあそぶ。ぬるみきったそこから「くちゅ」と音がした。

美沙が身支度を整えてキッチンに向かったのは、それから小1時間が過ぎた頃だっ
た。







「おはよう!」
わざとらしいような明るさで紗枝が声をかけた。少し口元が歪んでいる。
先程まで目の前の兄を想って自慰をした彼女にとって、内心とても気恥ずかしい瞬間
だった。

「ん。おはよう」そっけない兄の態度にホッとする。

そのまま冷蔵庫に向かい、水の入ったペットボトルを咥え、一気に飲み干した。
喉を潤して落ち着いたのか、ふーっと大きな溜息が洩れる。

「紗枝、今日はえらく朝が遅かったな。もう朝飯済ませたぞ。」
そう言いながら新聞に視線を落としていた兄の目が、ふと紗枝を見た。

「あれ?お前顔が赤いぞ、熱があるんじゃないか!風邪でもひいたのか?」

「へへん。熱なかったら死んでま~す。大丈夫で~す!」
照れ隠しに、わざとはしゃいだ態度で応える。

「ねえ、そう言えば―お母さん、どっか行ったの?」
ふと母が居ないのに気が付いて兄に尋ねた。

「ああ。朝早くから町内会の寄り合いとかで出かけたよ。遅くなるって。お前も
 今日はデートなんだろ?」

「ううん。それは明日に変更。今日は都合悪いって。お兄ちゃんは?」

「俺は久しぶりの土曜日の休みだから、1日中ボーっと過ごすよ」

「ふーん」

(じゃあ…今日は兄とふたりきりなんだ)そう思いながら、
「ねえ、お兄ちゃんって付き合ってる人いないの?会社の人とか…」

「いないよ。じゃなかったらこんな休みの朝から家にいないって!」

「そっかー、ちょっと淋しいね。…でも、何で彼女を作らないの?
 お兄ちゃんってわりとモテそうなタイプだけど」

紗枝の目がちらりと兄の顔を覗き、彼氏には無い逞しさに、どきりと男を感じてし
まう。(あの夢のせいで、意識しちゃう。兄なのに)

「そんなこと知らないって!別に女が嫌いなわけじゃないよ。ただ、そういう縁が
ないっていうのか、なんというか・・彼女が欲しいと思っても相手があることだ
し…」
歯切れが悪い。兄自身も少々焦っているのかもしれない。

「ねえ、お兄ちゃん、今日一緒にドライブでも行かない?どうせ暇でしょ!」

ふと思いついた事が紗枝の口から出た。
自分も兄も暇を持て余していたからなのか、兄が(気の毒)と同情したためか。
あるいは…

「どうせ暇で悪かったな!」乱暴に応えながらも兄の表情は優しかった。
兄自身、自分の事を気にかけてくれる妹が可愛いと思ったに違いない。

「いいけど…どこに行きたいんだ?」

「そうね~あっ、そうそう!駅前のデパートに行きたいんだけど!」

「あれ?さっきドライブって言ってなかったっけ?」

「いいじゃない。ねえ、お兄ちゃん付き合ってよ。ね!」








デパートで買い物を済ませ、夕飯まで時間があったので兄の提案で港までドライブ
することになった。
この辺りでは、カップルの集まるデートスポットとして有名な場所だ。

紗枝も何度か彼氏と来た事がある。

付き合い始めて間が無い頃、海に沈む夕日を見ながら車の中で彼と激しいぺッティ
ングを繰り返した思い出の場所だった。

車を走らせ、流れる風景の中で兄と妹は久しぶりにいろいろな話をした。

紗枝の彼の事、お互いの職場、仕事の事。普段から寡黙なタイプの兄だったが、
今日は1日中紗枝と接した気安さからか、よく口が動く。それでも紗枝の聞き
役に回る方が多かった。

「そういえば、お兄ちゃんと二人きりで車でどっか出かけるなんて初めてじゃない
?」

「ん、そうだな。ついでに助手席に座った女は、お前が初めてだよ」
少し恥ずかしそうに応える。

「ええっ、本当に?」
「よ~し!それなら記念のサインをここに書いちゃおう!」

悪戯っぽい瞳でセカンドバックからペンを取り出す仕草を横目で認め・・・慌てて!!

「うわっつ!こら紗枝、ダッシュボードに落書きするな!まだ新車なんだぞ、
 この車!」ハンドルを握る兄が叫ぶ。

「まったく、子供みたいな事するんだからな、お前は」

「冗談よ、冗談」

そう言いながら彼氏の車にも同じ事をし、ひどく怒られたのを思い出して、
くすくす独り笑いする紗枝。彼とそっくりに慌てた兄の態度が可笑しかった。










「ふー、到着」

目的地の岸壁に着いた。もう既に数十台の車が止まっている。夕暮れの時間を待
っているのだ。
土曜の夕方ともなれば近県からもぞくぞくとカップルが押し寄せ、車で岸壁がい
っぱいになるほどの盛況になるのだが、まだ時間が早いせいもあって、それほど
でもない。

どの車もお決まりの濃いスモークがガラスを覆い、中の様子を窺うことは出来ない。

「あ~疲れた。ちょっと休憩!」
シートを倒して大きく伸びをする兄。

「お兄ちゃん、ごめんなさい。買い物疲れたでしょ?」

「ああ。ちょっとだけ。やっぱり混んだデパートに行くってのは疲れるよ」
「なかなかお前が買う物決まらないし!」

「ごめんね。でもお兄ちゃん、彼女が出来たら買い物付き合うってのは大事なこと
 だからね」

「はいはい」

紗枝は、ふと助手席の窓から隣の車を見た。中のシルエットが2つになったり1つ
になったりしているのを見てドキリとする。紗枝の視線の先を追って、兄もそれを
見て呟く。

「うわー、まだ明るいのにキスしてる!スモーク張ったって見えるよな」

「ほ~んと」

「お前も、ここに来た事あるって言ってたけど、こんな風に覗かれてたんだぞ」

「……」

それには応えず、紗枝の脳裏にふと浮かんだものは…

初めて男性の性器に触れた。
彼氏から「手でして」と囁かれて、ぎこちない手つきで射精に導いた。
懇願されて口も使った。青臭い精液の匂いが車に充満した記憶。

急に無口になった紗枝に、

「ん?どうかした?」

「ううん。なんでもない」

「そんなHなことはしなかったから、覗かれても平気だったの!」
「ちょっと私もシート倒すね、腰が痛くなってきちゃった」

嘘をごまかすように明るい口調で応えるも顔が少し赤い。
彼氏との行為を思い出し、さらに朝の出来事―兄を対象にした自慰。
その兄がシートを倒して横で寝ている。

そういえば、彼のときもこんな格好で…彼を口に含んだのだ。
目を閉じて眠っているような兄の顔を見ながら―そっと兄のジーンズの股間に
視線を移す。紗枝の胸が淫靡なもので膨らんでいく。この中にあの夢の中で見た
逞しいものが…。(馬鹿、何考えてるの?)どこからか、囁くような声がした。






会話が途切れてしまい、二人とも無口になった。兄は眠ったのか?

「…」

「…ねえ、お兄ちゃん」

「ん?」

「お兄ちゃんって…その…したことあるの?」

「何を?」

「その…女の子とセックスしたことある?」

妹の口から『セックス』という言葉が飛び出し、少し驚いたようにパッと目を
開けて彼女へ顔を向ける。

「彼女、いないんだから、したことなんてある訳ないじゃないか!全く恥ずか
 しい事を聞くなよ!」

「ふふん。したことないんだ。」

「どうだっていいだろ!そんなこと」
怒ったような口調で応える。紗枝はかまわず、

「じゃあ、さ。お兄ちゃんって、独りでしてるんだよね」

「…」

「どんなこと想いながらするの?ねえ」大胆な問い。

「ば、馬鹿!そんなこと妹のお前に言えるわけないだろう!」
突然に際どい質問をされて、たじろぐ。

「いいじゃない!ねえ、教えてよ、お兄ちゃん。兄妹なんだから恥ずかしがる事
 ないじゃない!」

「そんなことはお前の彼氏に聞けよな!」

普通なら彼氏にも聞けないような事を兄に訊ねる紗枝。
兄妹だから、より一層そういう類の話は出来ないのが当然なのだが、今は不思議に
そんな考えは浮かんでこない。

兄にしてみれば、妹が、ただ単に興味本位と悪戯心で自分をからかっていると思っ
たに違いない。だが、女性経験が乏しい兄には、紗枝の瞳の奥が淫靡な光で濡れてい
る事など気付くはずもない。

「普通だよ!普通」

「何よ、普通って?」

「みんなと同じってこと」

「もっと具体的に教えてよ!」

妹の熱心さに押されて、しぶしぶ口を開く。兄も妹への気安さがある。

「う~ん。AV借りてきて観たり…そういう雑誌買ってきたり…かな」

「AVってアダルトビデオのことだよね?そんなの見ながら独りでしてるんだ~」
「ふふっ。いやらしい~、エッチ!」

「うるさいな~」

「男の人って、どんなシーンが一番興奮するの?お兄ちゃん」

「!!言えないよ…そんなこと」

「教えてって!」

「う~ん…口でしたり」
ぼそっと小さな声で呟く。

「きゃー!お兄ちゃんのスケベ!!はやく彼女作らないと駄目だね!」

「放っとけよ」

弾けたように、はしゃぎながらも紗枝の体は熱くなっていた。
腰の辺りがムズムズとして紗枝もはっとした。

最初は軽い気持ちで兄に尋ねた言葉が自分自身の心の中の淫らな部分をさらに膨
らます。兄を想って自慰に励んだあの時の絶頂感を思い出した。
さらに、『口でするのが興奮する』という兄の呟きが、紗枝の淫らな妄想に拍車
をかけた。

理性では、兄をそんな対象で考えてはいけないと思っている紗枝だが、女として
の肉体の疼き、淫らな感覚に抗うのは難しい。淫夢の絶頂感…彼とでは経験でき
ないようなエロティシズム。『兄』とのセックス。絶対にしてはいけないという
禁忌が強ければ強い程、逆に紗枝の理性的な部分を白い霧で覆ってしまう。

近親相姦って何が悪いのか。勿論無理やり思いを遂げるのは許されるはずがない。
でも、お互いに割り切って…する分にとっては問題ないと思う。

肉体の繋がりが『愛情』の証のためだけではないことは周知の事実だ。
男でも女でも肉体の欲望だけでセックスするではないか。

兄は勿論好きだが、それ以上兄を束縛する気にはならない。兄に早く素敵な彼女が
できるのを本心で願っている。妊娠に対しての恐怖感があるが、避妊をすればいい
だけの事だ。

彼と普段しているのと同じ。彼が兄に代わるだけ…それだけ。

兄の体を借りて、自分の肉体の疼きを静める事はそれ程『心の重み』になるとは
どうしても思えない。ただ単に己の欲望を満たすためだけに『愛』という言葉を
持ち出し、セックスを迫る人間よりは私のこの気持ちは純粋だ。人間的に正直だ。

加えて、兄だって早く『経験』したいに違いない。経験出来ないが為、自分の手
を使って慰めているのだ。その兄が、実の妹という立場ではあるが、女として欲
情した自分の肉体を拒めるのか?…無理だと思う。これまで20年間一緒に暮ら
した兄の考え方は自分なりに理解している。

兄が母親を含めて誰かに自分との行為を話すとも思えない。寡黙な兄だ。
私も心に秘めて決して口外しない。当然彼にも。秘密の守るということに関して
は、「兄妹」の方が、より安心なように思う。

だが、いざ実行しようとなると、そんなこと簡単に出来るはずがない。
どうしても心にブレーキがかかる。

第一、妹の私が兄に面と向かって「抱いて」などと言えるはずが無い。なにより
女としてのプライドがある。兄をその気にさせる為にはどうすればいいのか…

ふと紗枝はこう考える。これは兄にとっても格好の『練習の機会』なのでは?

女を知っていれば行動にも余裕が出てくる。ルックスは問題ないし肉体は逞しい。
兄に足りないもの、それは…経験だけ。その経験を積む為に自分の肉体を提供す
る。兄は「経験」を、自分は兄に抱かれることで彼氏とでは味わえない「絶頂感」
を得る事が出来る。

誰も困らない。誰も傷つかないし、誰も傷つけない。




ただ1つ…紗枝が考え及ばないことがある。それは、紗枝自身、後に『経験』
してから知るであろう重要な事…



そんなことを考えながら兄の方に顔を向ける紗枝。瞳が潤んでいる。

兄はさっきの会話の気恥ずかしさからシートに寝転んで背を向けていた。
その広い背中から引き締まった腰までゆっくりと視線を動かす。逞しい兄の体。

紗枝の顔が上気し、膝が小刻みに震えていた。
(…どうしよう…濡れてきちゃった)

次から次に自分勝手とも思える願望が湧き上がり、心が嫌らしいもので満たされ
ていく。既に心の中で兄に抱かれることに折り合いをつけた。
不思議に嫌悪感など感じない。兄と行為に及ぶ自分の姿を妄想した。









しばらくは無言のまま、気まずいような雰囲気が車中に漂う。
紗枝のそんな心などお構いなしに、突然の兄の言葉。

「さ~て、もう帰るぞ!お腹もすいたし」

紗枝は内心焦った。もしかしたらこんな機会はもう無いかもしれない。
『兄に抱かれて感じたい』という願望を叶えるのは今日しかないかも…

「ねえ、お兄ちゃん、今日は外食しない?私が払うから。」
「どうせお母さんって今日は遅いんでしょ?」

少し慌てたような紗枝の口調。密かな企み。

「…そうだな。じゃあ食べていこうか。いいよ、俺が金出すから」
「なんだか、今日はお前とデートしてるみたいだったな」

「うん、そうね。今日は…お兄ちゃんとデートの日だったね!」

兄の『デート』という言葉が嬉しい。(…もしかしたら、うまくいくかも)

「お兄ちゃん。デートには素敵なレストランがつきものよ、これも覚えておい
 てね!」

「お、おいおい!あまり高い物は食えないぞ」

そう応える兄も心なしか嬉しそうだ。かなり際どい会話を交わすことの出来る
紗枝への安心感があった。久しぶりに兄妹が打ち解けた気がする。
ただ、妹の淫らな心まで気が付く兄ではなかった。

紗枝の方も『兄の為の練習』という勝手な理由を付けて、欲望を満たそうとし
ている自分の不純さに気付いていない。紗枝の頭にあるのは、どうやって兄と
思いを遂げるか・・




車が岸壁を離れた時には、すでに日が傾きだし、情熱的な色で染まった陽が辺
りを包んでいた。

[終]

[2000/06/08]

eroerojiji

小さい頃からエロいことが好き。そのまま大人になってしまったエロジジイです。